JP2004039280A - 照光式スイッチ - Google Patents
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Abstract
【課題】オン・オフ操作に良好なクリック感が得られ、多数回の使用に耐えるスイッチを安価に提供する。
【解決手段】透明ベースフィルムの背面に透明電極層1bを形成した透明電極フィルム1を、前面に向かってドーム形状に突出成形してスイッチ操作部10を形成する。スイッチ操作部10の内部及び外周の透明電極層1b上に、発光層、絶縁層及び背面電極層を順次積層してEL発光部2,3を形成する。ドーム形状の立ち上がり角部1cの一部の透明電極層1b上に、高屈曲性導電層4を形成する。スイッチ操作部10の内部のEL発光部2から、立ち上がり角部1cを横切って第2絶縁層5を外方に延伸形成し、第2絶縁層5上に第2高屈曲性導電層6を形成してEL発光部2の背面電極層2cに導通させる。
【選択図】 図2
【解決手段】透明ベースフィルムの背面に透明電極層1bを形成した透明電極フィルム1を、前面に向かってドーム形状に突出成形してスイッチ操作部10を形成する。スイッチ操作部10の内部及び外周の透明電極層1b上に、発光層、絶縁層及び背面電極層を順次積層してEL発光部2,3を形成する。ドーム形状の立ち上がり角部1cの一部の透明電極層1b上に、高屈曲性導電層4を形成する。スイッチ操作部10の内部のEL発光部2から、立ち上がり角部1cを横切って第2絶縁層5を外方に延伸形成し、第2絶縁層5上に第2高屈曲性導電層6を形成してEL発光部2の背面電極層2cに導通させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話等に用いられる照光スイッチに関するもので、特には、ELシートによって照光するスイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の照光スイッチとしては、EL素子をドーム形状にエンボス成形し、その内面に上部接点を形成してなるものがある(例えば、特開平9−231857号公報。)。この技術は、樹脂フィルム等の透明材料の背面にITO等による透明電極層を設け、ドーム形状の径に対応する位置に銀インクによりリング状に導電材を設け、更に背面に順次発光層、誘電体層、及び下部電極層を設けて通常のEL素子構造の面状発光体とする。更に、リング状の導電材の位置を直径としたドーム形状をエンボス成形し、下部電極層に沿って絶縁層を形成し、ドーム形状の内部の絶縁層の背面に上部接点を形成したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術にあっては、このドーム形状によってクリック感を得ようとしている。しかしクリック感が得られるのは主として樹脂フィルムの弾性力によるものであるが、上記の従来技術では通常のEL素子による面状発光体を用いてドーム形状をエンボス成形しているので、発光層や絶縁層などが樹脂フィルムの弾性力を抑制することになる。特にフッ素ゴムを発光層や絶縁層のバインダとした場合には、樹脂フィルムの弾性力を大幅に抑制することになり、適度なクリック感が得られないという問題点がある。また、通常のEL素子の背面に更に絶縁層と上部接点とを形成しなければならず、それだけコスト高となるという問題点がある。また、ITO膜は折れに弱いのでドームの立ち上がりの部分にリング状に導電材を設けているが、EL素子についても何層かの積層膜で形成され膜厚が厚いので、打鍵回数が多いことからクラックの発生が避けられず、信頼性が損なわれるという問題点があった。
【0004】
そこで本発明は、スイッチのオン・オフに良好なクリック感が得られるようにし、多数回の継続使用に耐えられ、しかも簡単な構成によりコストの低減を達成する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の照光式スイッチは、透明ベースフィルムの背面に透明電極層が設けられた透明電極フィルムが形成してあり、上記透明電極フィルムには、前面に向かってドーム形状に突出成形されたスイッチ操作部が形成してある。上記透明電極フィルムの背面であって上記スイッチ操作部の内部には、発光層、絶縁層及び背面電極層が順次積層形成されたEL発光部が形成してある。上記透明電極フィルムの背面であって上記ドーム形状の立ち上がり角部の少なくとも一部には、高屈曲性導電層が形成してある。上記スイッチ操作部の内部に位置するEL発光部から上記ドーム形状の立ち上がり角部を横切って外方に延伸する第2絶縁層が形成してあり、この第2絶縁層上には第2高屈曲性導電層が形成されて上記スイッチ操作部の内部に位置するEL発光部の背面電極層に導通してあることを特徴としている。この構成によって、立ち上がり角部の少なくとも一部に高屈曲性導電層を設けているので、スイッチ操作の繰り返しに耐えるものとなる。
【0006】
また、本発明の照光式スイッチは、透明ベースフィルムの背面に透明電極層が設けられた透明電極フィルムが形成してあり、上記透明電極層は針状結晶ITO粉末をバインダに分散させた材料で形成されているものであり、上記透明電極フィルムには、前面に向かってドーム形状に突出成形されたスイッチ操作部が形成してある。上記透明電極フィルムの背面であって上記スイッチ操作部の内部には、発光層、絶縁層及び背面電極層が順次積層形成されたEL発光部が形成してある。上記スイッチ操作部の内部に位置するEL発光部から上記ドーム形状の立ち上がり角部を横切って外方に延伸する第2絶縁層が形成してあり、この第2絶縁層上には第2高屈曲性導電層が形成されて上記スイッチ操作部の内部に位置するEL発光部の背面電極層に導通してあることを特徴としている。この構成によって、スイッチ操作部の立ち上がり角部にはEL発光部がないので、スイッチ操作に際して透明ベースフィルムの有する弾性力が抑制されることなく発揮され、良好なクリック感が得られる。また透明電極層に針状結晶ITO粉末を用いることで折れ性を改善することができ、スイッチ操作の繰り返しに耐えるものとなる。
【0007】
また、上記EL発光部は、上記スイッチ操作部の内部と外周に形成されていることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1において、透明ベースフィルム1aにはポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムが用いられ、その背面にインジウム−錫酸化物(ITO)等を蒸着して透明電極層1bを形成し、この2層により透明電極フィルム1が形成されている。この透明電極フィルム1には、スイッチの中央部分をエンボス成形により前面に向かってほぼ半球面状に立ち上がらせてドーム形状としたスイッチ操作部10が形成してある。
【0010】
透明電極フィルム1の背面のスイッチ操作部10の内部には円形状に、また外周にはリング状にEL発光部2及び3が形成されている。EL発光部2と3との間には、ドーム形状の立ち上がり角部1cが位置しており、この部分にはEL発光部は形成されず透明電極層1bが露出状態になっている。
【0011】
EL発光部2及び3は、透明電極層1b上に、発光層2a,3a、絶縁層2b,3b及び背面電極層2c,3cを順次印刷により積層形成してなる。発光層2a,3aは、発光体としてCuをドープした硫化亜鉛を用い、フッ素樹脂バインダとしてフッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンの共重合体を溶剤としてのメチルエチルケトンに溶かしたバインダを用い、両者を混合して攪拌してたものを発光インクとし、この発光インクをスクリーン印刷法等の方法によって透明電極層1b上に印刷し、その後、加熱し乾燥させて形成する。絶縁層2b,3bは、絶縁インクとしてチタン酸バリウムからなる高誘電体物質と前記のフッ素樹脂バインダとを混合して攪拌したものを用い、この絶縁インクを発光層2a,3aの形成と同様な方法により印刷し、加熱し乾燥することによって形成する。背面電極層2c,3cは、カーボンインクとしてカーボン粉をポリエステルをバインダとして混合したものを用い、このカーボンインクを前記と同様な方法により印刷し、加熱し乾燥することによって形成する。これによりスイッチ操作部10の内部及び外周の透明電極層1b上に、発光層、絶縁層及び背面電極層が順次積層されたEL発光部2及び3が形成される。
【0012】
図2はスイッチ操作部10を背面側(図1の下方側)から見た図であり、ドーム形状の立ち上がり角部1cに沿って一部に円弧状に、透明電極層1bに密着して、高屈曲性導電層4が形成してある。この高屈曲性導電層4は、透明電極層1bをITOを蒸着して形成した場合に、折れ易いという問題があるのでこれを改善するためのものである。例えば、ウレタンバインダにフィラーとして銀を分散させて導電インクを作り、この導電インクを前記の円弧状の部分とその一端から外方へ延伸する部分とに前記と同様な方法により印刷し、加熱し乾燥することによって高屈曲性導電層4を形成する。または、導電インクの他の例としては、ポリエステル系バインダに導電材として例えばカーボンを混入したものでも良い。
【0013】
更に、図2において、スイッチ操作部10の内部に位置するEL発光部2の背面に、前記と同様な絶縁インクを用いて第2絶縁層5が形成してある。この第2絶縁層5は、EL発光部2の背面の部分とその外周の一部からドーム形状の立ち上がり角部1cを横切って外方に延伸する部分とからなる。第2絶縁層5は、高屈曲性の電気絶縁層とするのが望ましい。一般に膜厚が厚くなると折れによるクラックが発生し易いので、例えば、ポリエステル樹脂等の電気絶縁材料は屈曲に耐える性質を有し、透明電極フィルム1の弾性力と相俟って多数回のスイッチ動作を繰り返してもクリック感が変わりなく得られるものである。そこで、ポリエステル系バインダを用いて粘度を落して薄く成形できるタイプのものを用いると、厚く印刷されたタイプのものよりも折れ性の点で優れている。
【0014】
第2絶縁層5の上には、前記と同様な材質からなる第2高屈曲性導電層6が形成してあり、その一端部はEL発光部2の背面電極層2cに導通している。即ち、第2絶縁層5に窓孔5aを設けておき、第2高屈曲性導電層6の一端部は第2絶縁層5の窓孔5aの内部で背面電極層2cに導通させてある。
【0015】
高屈曲性導電層4と第2高屈曲性導電層6とは図示しないELスイッチを介して図示しないEL駆動回路に接続されている。そして、ELスイッチをオン操作すると、EL発光部2及び3において透明電極層1bと背面電極層2c,3cとの間に電界が印加されるので発光層2a,3aが発光する。これによりスイッチ操作部10の内部が円形に、また外周がリング状に照光される。一方、ELスイッチをオフ操作すると、透明電極層1bと背面電極層2c,3cとの間の電界の印加が無くなるので、EL発光部2及び3の発光は停止する。
【0016】
図1に示すように、回路基板7の前面には、図示しない携帯電話等の動作用スイッチが設けてある。このスイッチを覆うように前記のスイッチ操作部10を対向位置させてある。これによって、スイッチ操作部10の操作により図示しないスイッチが開閉されるようになっている。
【0017】
このような構造であるので、スイッチ操作部10を押圧すると、透明ベースフィルム1aの弾性力によって好適なクリック感を持ってドーム形状が反転し、スイッチ操作部10の内部に位置する図示しないスイッチが閉成され、これによってスイッチがオン状態になる。スイッチ操作部10の押圧を解放すると、透明ベースフィルム1aの弾性力によって好適なクリック感を持ってドーム形状が再び反転し、元のようにドーム形状が前面に向かって突出する状態に戻る。そして、スイッチ操作部10の状態が元に戻ることにより、図示しないスイッチが開成され、これによってスイッチがオフ状態になる。
【0018】
ここで、スイッチ操作部10の操作時には、スイッチ操作部10のドーム形状の立ち上がり角部1cにEL発光部が存在していないので、透明ベースフィルム1aの弾性力による好適なクリック感を持ってスイッチ操作部10が操作され、発光層2a,3a等を損ねることもない。また、高屈曲性導電層4を設けているので、スイッチ操作部10の操作回数が多くなって高屈曲性導電層4以外の角部1cにクラックが発生したとしても、EL発光部2に接する透明電極層1bとは高屈曲性導電層4を介して導通が保たれるので、照光不良などは起こらない。また、EL発光部2の背面電極層2cも、第2高屈曲性導電層6により導通されているので、導通不良などは起こらない。
【0019】
他の例として、高屈曲性導電層4を立ち上がり角部1cに設ける代わりに、前記の照光式スイッチに用いた透明電極層1bを、折れに強い針状結晶ITO粉末をエポキシ樹脂又はウレタン樹脂等のバインダに分散させて透明電極層を形成したものでも良い。針状のITO結晶は折れ性の点で優れているので、ドーム形状の立ち上がり角部1cに前記のような高屈曲性導電層4を設けない場合でも、多数回のスイッチ操作に耐えるものとなる。
【0020】
【発明の効果】
このように本発明は、スイッチ操作部が、透明ベースフィルムと透明電極層との2層からなる透明電極フィルムに、前面に向かってドーム形状に突出形成され、EL発光部がスイッチ操作部の内部に設けられているので、スイッチのオン・オフ操作時には、透明ベースフィルムの有する弾性力が抑制されることなく十分に発揮されて良好なクリック感が得られる。また透明電極層に針状結晶ITO粉末を用いることで折れ性を改善することができ、スイッチ操作の繰り返しに耐えることができる。スイッチ操作部の内部のEL発光部の背面電極層に、第2絶縁層上に設けた第2高屈曲性導電層を導通させているので、スイッチの操作が繰り返されても内部のEL発光部が損ねられることがなく、しかも構造が簡単であり、多数回の使用に耐えられるスイッチを安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す要部の断面図である。
【図2】回路基板を除いた図1の背面図である。
【符号の説明】
1 透明電極フィルム
1a 透明ベースフィルム
1b 透明電極層
1c 立ち上がり角部
10 スイッチ操作部
2,3 EL発光部
2a,3a 発光層
2b,3b 絶縁層
2c,3c 背面電極層
4 高屈曲性導電層
5 第2絶縁層
6 第2高屈曲性導電層
7 回路基板
8 スイッチ接点
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話等に用いられる照光スイッチに関するもので、特には、ELシートによって照光するスイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の照光スイッチとしては、EL素子をドーム形状にエンボス成形し、その内面に上部接点を形成してなるものがある(例えば、特開平9−231857号公報。)。この技術は、樹脂フィルム等の透明材料の背面にITO等による透明電極層を設け、ドーム形状の径に対応する位置に銀インクによりリング状に導電材を設け、更に背面に順次発光層、誘電体層、及び下部電極層を設けて通常のEL素子構造の面状発光体とする。更に、リング状の導電材の位置を直径としたドーム形状をエンボス成形し、下部電極層に沿って絶縁層を形成し、ドーム形状の内部の絶縁層の背面に上部接点を形成したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術にあっては、このドーム形状によってクリック感を得ようとしている。しかしクリック感が得られるのは主として樹脂フィルムの弾性力によるものであるが、上記の従来技術では通常のEL素子による面状発光体を用いてドーム形状をエンボス成形しているので、発光層や絶縁層などが樹脂フィルムの弾性力を抑制することになる。特にフッ素ゴムを発光層や絶縁層のバインダとした場合には、樹脂フィルムの弾性力を大幅に抑制することになり、適度なクリック感が得られないという問題点がある。また、通常のEL素子の背面に更に絶縁層と上部接点とを形成しなければならず、それだけコスト高となるという問題点がある。また、ITO膜は折れに弱いのでドームの立ち上がりの部分にリング状に導電材を設けているが、EL素子についても何層かの積層膜で形成され膜厚が厚いので、打鍵回数が多いことからクラックの発生が避けられず、信頼性が損なわれるという問題点があった。
【0004】
そこで本発明は、スイッチのオン・オフに良好なクリック感が得られるようにし、多数回の継続使用に耐えられ、しかも簡単な構成によりコストの低減を達成する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の照光式スイッチは、透明ベースフィルムの背面に透明電極層が設けられた透明電極フィルムが形成してあり、上記透明電極フィルムには、前面に向かってドーム形状に突出成形されたスイッチ操作部が形成してある。上記透明電極フィルムの背面であって上記スイッチ操作部の内部には、発光層、絶縁層及び背面電極層が順次積層形成されたEL発光部が形成してある。上記透明電極フィルムの背面であって上記ドーム形状の立ち上がり角部の少なくとも一部には、高屈曲性導電層が形成してある。上記スイッチ操作部の内部に位置するEL発光部から上記ドーム形状の立ち上がり角部を横切って外方に延伸する第2絶縁層が形成してあり、この第2絶縁層上には第2高屈曲性導電層が形成されて上記スイッチ操作部の内部に位置するEL発光部の背面電極層に導通してあることを特徴としている。この構成によって、立ち上がり角部の少なくとも一部に高屈曲性導電層を設けているので、スイッチ操作の繰り返しに耐えるものとなる。
【0006】
また、本発明の照光式スイッチは、透明ベースフィルムの背面に透明電極層が設けられた透明電極フィルムが形成してあり、上記透明電極層は針状結晶ITO粉末をバインダに分散させた材料で形成されているものであり、上記透明電極フィルムには、前面に向かってドーム形状に突出成形されたスイッチ操作部が形成してある。上記透明電極フィルムの背面であって上記スイッチ操作部の内部には、発光層、絶縁層及び背面電極層が順次積層形成されたEL発光部が形成してある。上記スイッチ操作部の内部に位置するEL発光部から上記ドーム形状の立ち上がり角部を横切って外方に延伸する第2絶縁層が形成してあり、この第2絶縁層上には第2高屈曲性導電層が形成されて上記スイッチ操作部の内部に位置するEL発光部の背面電極層に導通してあることを特徴としている。この構成によって、スイッチ操作部の立ち上がり角部にはEL発光部がないので、スイッチ操作に際して透明ベースフィルムの有する弾性力が抑制されることなく発揮され、良好なクリック感が得られる。また透明電極層に針状結晶ITO粉末を用いることで折れ性を改善することができ、スイッチ操作の繰り返しに耐えるものとなる。
【0007】
また、上記EL発光部は、上記スイッチ操作部の内部と外周に形成されていることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1において、透明ベースフィルム1aにはポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムが用いられ、その背面にインジウム−錫酸化物(ITO)等を蒸着して透明電極層1bを形成し、この2層により透明電極フィルム1が形成されている。この透明電極フィルム1には、スイッチの中央部分をエンボス成形により前面に向かってほぼ半球面状に立ち上がらせてドーム形状としたスイッチ操作部10が形成してある。
【0010】
透明電極フィルム1の背面のスイッチ操作部10の内部には円形状に、また外周にはリング状にEL発光部2及び3が形成されている。EL発光部2と3との間には、ドーム形状の立ち上がり角部1cが位置しており、この部分にはEL発光部は形成されず透明電極層1bが露出状態になっている。
【0011】
EL発光部2及び3は、透明電極層1b上に、発光層2a,3a、絶縁層2b,3b及び背面電極層2c,3cを順次印刷により積層形成してなる。発光層2a,3aは、発光体としてCuをドープした硫化亜鉛を用い、フッ素樹脂バインダとしてフッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンの共重合体を溶剤としてのメチルエチルケトンに溶かしたバインダを用い、両者を混合して攪拌してたものを発光インクとし、この発光インクをスクリーン印刷法等の方法によって透明電極層1b上に印刷し、その後、加熱し乾燥させて形成する。絶縁層2b,3bは、絶縁インクとしてチタン酸バリウムからなる高誘電体物質と前記のフッ素樹脂バインダとを混合して攪拌したものを用い、この絶縁インクを発光層2a,3aの形成と同様な方法により印刷し、加熱し乾燥することによって形成する。背面電極層2c,3cは、カーボンインクとしてカーボン粉をポリエステルをバインダとして混合したものを用い、このカーボンインクを前記と同様な方法により印刷し、加熱し乾燥することによって形成する。これによりスイッチ操作部10の内部及び外周の透明電極層1b上に、発光層、絶縁層及び背面電極層が順次積層されたEL発光部2及び3が形成される。
【0012】
図2はスイッチ操作部10を背面側(図1の下方側)から見た図であり、ドーム形状の立ち上がり角部1cに沿って一部に円弧状に、透明電極層1bに密着して、高屈曲性導電層4が形成してある。この高屈曲性導電層4は、透明電極層1bをITOを蒸着して形成した場合に、折れ易いという問題があるのでこれを改善するためのものである。例えば、ウレタンバインダにフィラーとして銀を分散させて導電インクを作り、この導電インクを前記の円弧状の部分とその一端から外方へ延伸する部分とに前記と同様な方法により印刷し、加熱し乾燥することによって高屈曲性導電層4を形成する。または、導電インクの他の例としては、ポリエステル系バインダに導電材として例えばカーボンを混入したものでも良い。
【0013】
更に、図2において、スイッチ操作部10の内部に位置するEL発光部2の背面に、前記と同様な絶縁インクを用いて第2絶縁層5が形成してある。この第2絶縁層5は、EL発光部2の背面の部分とその外周の一部からドーム形状の立ち上がり角部1cを横切って外方に延伸する部分とからなる。第2絶縁層5は、高屈曲性の電気絶縁層とするのが望ましい。一般に膜厚が厚くなると折れによるクラックが発生し易いので、例えば、ポリエステル樹脂等の電気絶縁材料は屈曲に耐える性質を有し、透明電極フィルム1の弾性力と相俟って多数回のスイッチ動作を繰り返してもクリック感が変わりなく得られるものである。そこで、ポリエステル系バインダを用いて粘度を落して薄く成形できるタイプのものを用いると、厚く印刷されたタイプのものよりも折れ性の点で優れている。
【0014】
第2絶縁層5の上には、前記と同様な材質からなる第2高屈曲性導電層6が形成してあり、その一端部はEL発光部2の背面電極層2cに導通している。即ち、第2絶縁層5に窓孔5aを設けておき、第2高屈曲性導電層6の一端部は第2絶縁層5の窓孔5aの内部で背面電極層2cに導通させてある。
【0015】
高屈曲性導電層4と第2高屈曲性導電層6とは図示しないELスイッチを介して図示しないEL駆動回路に接続されている。そして、ELスイッチをオン操作すると、EL発光部2及び3において透明電極層1bと背面電極層2c,3cとの間に電界が印加されるので発光層2a,3aが発光する。これによりスイッチ操作部10の内部が円形に、また外周がリング状に照光される。一方、ELスイッチをオフ操作すると、透明電極層1bと背面電極層2c,3cとの間の電界の印加が無くなるので、EL発光部2及び3の発光は停止する。
【0016】
図1に示すように、回路基板7の前面には、図示しない携帯電話等の動作用スイッチが設けてある。このスイッチを覆うように前記のスイッチ操作部10を対向位置させてある。これによって、スイッチ操作部10の操作により図示しないスイッチが開閉されるようになっている。
【0017】
このような構造であるので、スイッチ操作部10を押圧すると、透明ベースフィルム1aの弾性力によって好適なクリック感を持ってドーム形状が反転し、スイッチ操作部10の内部に位置する図示しないスイッチが閉成され、これによってスイッチがオン状態になる。スイッチ操作部10の押圧を解放すると、透明ベースフィルム1aの弾性力によって好適なクリック感を持ってドーム形状が再び反転し、元のようにドーム形状が前面に向かって突出する状態に戻る。そして、スイッチ操作部10の状態が元に戻ることにより、図示しないスイッチが開成され、これによってスイッチがオフ状態になる。
【0018】
ここで、スイッチ操作部10の操作時には、スイッチ操作部10のドーム形状の立ち上がり角部1cにEL発光部が存在していないので、透明ベースフィルム1aの弾性力による好適なクリック感を持ってスイッチ操作部10が操作され、発光層2a,3a等を損ねることもない。また、高屈曲性導電層4を設けているので、スイッチ操作部10の操作回数が多くなって高屈曲性導電層4以外の角部1cにクラックが発生したとしても、EL発光部2に接する透明電極層1bとは高屈曲性導電層4を介して導通が保たれるので、照光不良などは起こらない。また、EL発光部2の背面電極層2cも、第2高屈曲性導電層6により導通されているので、導通不良などは起こらない。
【0019】
他の例として、高屈曲性導電層4を立ち上がり角部1cに設ける代わりに、前記の照光式スイッチに用いた透明電極層1bを、折れに強い針状結晶ITO粉末をエポキシ樹脂又はウレタン樹脂等のバインダに分散させて透明電極層を形成したものでも良い。針状のITO結晶は折れ性の点で優れているので、ドーム形状の立ち上がり角部1cに前記のような高屈曲性導電層4を設けない場合でも、多数回のスイッチ操作に耐えるものとなる。
【0020】
【発明の効果】
このように本発明は、スイッチ操作部が、透明ベースフィルムと透明電極層との2層からなる透明電極フィルムに、前面に向かってドーム形状に突出形成され、EL発光部がスイッチ操作部の内部に設けられているので、スイッチのオン・オフ操作時には、透明ベースフィルムの有する弾性力が抑制されることなく十分に発揮されて良好なクリック感が得られる。また透明電極層に針状結晶ITO粉末を用いることで折れ性を改善することができ、スイッチ操作の繰り返しに耐えることができる。スイッチ操作部の内部のEL発光部の背面電極層に、第2絶縁層上に設けた第2高屈曲性導電層を導通させているので、スイッチの操作が繰り返されても内部のEL発光部が損ねられることがなく、しかも構造が簡単であり、多数回の使用に耐えられるスイッチを安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す要部の断面図である。
【図2】回路基板を除いた図1の背面図である。
【符号の説明】
1 透明電極フィルム
1a 透明ベースフィルム
1b 透明電極層
1c 立ち上がり角部
10 スイッチ操作部
2,3 EL発光部
2a,3a 発光層
2b,3b 絶縁層
2c,3c 背面電極層
4 高屈曲性導電層
5 第2絶縁層
6 第2高屈曲性導電層
7 回路基板
8 スイッチ接点
Claims (3)
- 透明ベースフィルムの背面に透明電極層が設けられた透明電極フィルムが形成してあり、
上記透明電極フィルムには、前面に向かってドーム形状に突出成形されたスイッチ操作部が形成してあり、
上記透明電極フィルムの背面であって上記スイッチ操作部の内部には、発光層、絶縁層及び背面電極層が順次積層形成されたEL発光部が形成してあり、
上記透明電極フィルムの背面であって上記ドーム形状の立ち上がり角部の少なくとも一部には、高屈曲性導電層が形成してあり、
上記スイッチ操作部の内部に位置するEL発光部から上記ドーム形状の立ち上がり角部を横切って外方に延伸する第2絶縁層が形成してあり、この第2絶縁層上には第2高屈曲性導電層が形成されて上記スイッチ操作部の内部に位置するEL発光部の背面電極層に導通してある
ことを特徴とする照光式スイッチ。 - 透明ベースフィルムの背面に透明電極層が設けられた透明電極フィルムが形成してあり、
上記透明電極層は針状結晶ITO粉末をバインダに分散させた材料で形成されているものであり、
上記透明電極フィルムには、前面に向かってドーム形状に突出成形されたスイッチ操作部が形成してあり、
上記透明電極フィルムの背面であって上記スイッチ操作部の内部には、発光層、絶縁層及び背面電極層が順次積層形成されたEL発光部が形成してあり、
上記スイッチ操作部の内部に位置するEL発光部から上記ドーム形状の立ち上がり角部を横切って外方に延伸する第2絶縁層が形成してあり、この第2絶縁層上には第2高屈曲性導電層が形成されて上記スイッチ操作部の内部に位置するEL発光部の背面電極層に導通してある
ことを特徴とする照光式スイッチ。 - 請求項1または2において、上記EL発光部は、上記スイッチ操作部の内部と外周に形成されていることを特徴とする照光式スイッチ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002190741A JP2004039280A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 照光式スイッチ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002190741A JP2004039280A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 照光式スイッチ |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004039280A true JP2004039280A (ja) | 2004-02-05 |
Family
ID=31700582
Family Applications (1)
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JP2002190741A Pending JP2004039280A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 照光式スイッチ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004039280A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7625094B2 (en) | 2004-02-26 | 2009-12-01 | Toshiba Materials Co., Ltd. | Switch lighting EL sheet and lighting switch and electronic apparatus using it |
-
2002
- 2002-06-28 JP JP2002190741A patent/JP2004039280A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7625094B2 (en) | 2004-02-26 | 2009-12-01 | Toshiba Materials Co., Ltd. | Switch lighting EL sheet and lighting switch and electronic apparatus using it |
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