JP2004037785A - 接触帯電装置およびプロセスカートリッジ - Google Patents

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Naoki Fuei
笛井 直喜
Hiroyuki Osada
長田 弘行
Seiji Tsuru
都留 誠司
Hiroshi Inoue
井上 宏
Tomoji Taniguchi
谷口 智士
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Abstract

【課題】電子写真感光体との貼り付きや汚染がなく、均一な帯電が長期にわたって安定して得られる接触帯電装置および該接触帯電装置を設けたプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】被帯電体を帯電させる帯電装置において、帯電部材は、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも導電性弾性層と、該導電性弾性層の表面を被覆する表面層とを有し、前記導電性弾性層は導電性粒子が分散された熱可塑性エラストマーからなり、前記表面層の十点平均粗さをRz1、被帯電体の表面の十点平均粗さをRz2としたとき、Rz1+Rz2≦20μm(ただし、Rz2≦5μm)とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置に用いる接触帯電装置およびプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法として多数の方法が知られているが、一般には種々の手段により光導電性物質を有する感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像を粉末現像剤(トナー)で現像を行って可視像とし、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、熱及び圧力等により転写材にトナー画像を定着して複写物を得る方法である。また、転写材上に転写されずに感光体上に残ったトナー粒子はクリーニング工程により感光体上から除去される。
【0003】
また電子写真の帯電装置として、コロナ帯電器を用いたコロナ帯電装置が使用されている。近年、これに代って、接触帯電装置が実用化されている。接触帯電装置はコロナ帯電装置に比べて、低い電圧を使用できること、オゾンの発生量が少ないこと、装置を小型化できること等の利点を有している。接触帯電装置には、帯電部材として導電性ローラを用いたローラ帯電方式が、帯電の安定性という点から好ましく用いられている。
【0004】
図8に従来の帯電ローラを用いた接触帯電装置の構成例を示す。
ローラ帯電方式では、導電性の弾性ローラ(帯電ローラ)1を被帯電体である電子写真感光体2に加圧当接させ、これに電圧を印加することによって、感光体表面の帯電を行う。具体的には、帯電は帯電部材から被帯電体への放電によって行われるため、ある閾値以上の電圧を印加することにより帯電が開始される。例えば、放電閾値を650Vとすると、約650V以上の電圧を帯電ローラに印加すれば感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1の直線上に感光体表面電位が増加する。以後、この閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。つまり、電子写真に必要とされる感光体電位Vdを得るためには帯電ローラにVth+Vdという直流電圧が必要となる。このようにして、帯電部材に直流電圧のみを印加して感光体を所定の電位に帯電する方法をDC帯電方式と称する。
【0005】
しかし、DC帯電においては環境等による帯電部材を構成する材料の抵抗値変動の影響を受けたり、また感光体が削れることによって膜厚が変動してVthが変動したりするため、感光体の表面電位を所望の値にすることが難しい。
【0006】
このため、更なる帯電の均一化を図るために特開昭63−149669号公報に記載されるように、所望の感光体表面電位Vdに相当する直流電位にVthの2倍以上のピーク間電圧を持つ交流電圧との重畳電圧を帯電部材に印加する、いわゆるAC帯電方式が用いられる。これは交流電圧による電位のならし効果を目的としたものであり、感光体の電位は交流電圧のピークの中央値であるVdに収束し、環境等の外乱には影響されることはない。
【0007】
帯電ローラは、導電性支持体(芯金)の上に被帯電体との均一な当接部を形成するために必要な弾性を有する弾性層と、更にその上に耐摩耗性や耐感光体汚染性向上等の目的に応じて、表面層を設けた構成のものが使用される。また、抵抗調整やしみ出し物質の防止等必要に応じて、弾性層と表面層の間に中間層を設けた構成をとる場合もある。
【0008】
しかしながら、帯電部材の表面層の構成材料として、熱可塑性エラストマーを用いた場合は、硬度調整に問題がある。例えば、硬度調整(主に柔軟性付与)する目的でフタル酸エステル誘導体等の合成可塑剤や鉱物油系軟化剤(石油系軟化剤、コールタール系軟化剤等)、植物油系軟化剤といった軟化剤を添加する必要があるが、これらの可塑剤や軟化剤は、しみ出して感光ドラム表面に付着したり、感光ドラムの表面材料を溶解したりして、感光ドラムの帯電性を損なうことが少なくない。
【0009】
また、低硬度の熱可塑性エラストマーを表面層に用いた場合は、それ自体が粘着性を有しているため、粉末現像剤や紙粉、感光ドラムの削れ粉などが付着して、帯電性能を低下させる一因となる。
【0010】
一方、この粘着性を防止するためにシリカやタルク、クレーなどの無機系充填剤を入れて、表面層の表面を粗面化する方法もあるが、この場合は帯電部材表面にできた凹凸に粉末現像剤の外添剤が溜まりやすくなる。
【0011】
表面層の凹凸が大きくなると、感光ドラムと帯電部材の当接部内に空隙ができて、当接部内で放電が起こり、放電電流が増えることでドラム削れの原因となる。さらに凹凸が大きくなると、ドラム表面の摺擦傷の原因となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の従来技術の問題点を解決した接触帯電装置及び該接触帯電装置を設けたプロセスカートリッジを提供することにある。より詳しくは、感光ドラムとの貼り付きや汚染がなく、均一な帯電が長期にわたって安定して得られる接触帯電装置および該接触帯電装置を設けたプロセスカートリッジを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の通りである。
(1)被帯電体に接触配置された帯電部材に外部より電圧を印加して、被帯電体を帯電させる帯電装置において、
前記帯電部材は、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも導電性弾性層と、該導電性弾性層の表面を被覆する表面層とを有し、
前記帯電部材の導電性弾性層は、導電性粒子が分散された熱可塑性エラストマーを含有し、
前記帯電部材の表面層の十点平均粗さをRz1、被帯電体の表面の十点平均粗さをRz2としたとき、Rz1+Rz2≦20μm(ただし、Rz2≦5μm)であることを特徴とする接触帯電装置。
(2)前記帯電部材の導電性弾性層は、導電性カーボンブラックとパラフィン系オイルを含有するスチレン系熱可塑性エラストマーとを含有することを特徴とする(1)の接触帯電装置。
(3)前記パラフィン系オイルは、芳香族系有機化合物を含まないことを特徴とする(2)の接触帯電装置。
(4)前記帯電部材の導電性弾性層は、体積抵抗率が1×1010Ωcm以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの接触帯電装置。
(5)前記帯電部材の表面層は、導電性粒子が分散された熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを主体とした弾性材料からなることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかの接触帯電装置。
(6)前記帯電部材の表面層の熱可塑性エラストマーは、合成可塑剤や系軟化剤を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする(5)の接触帯電装置。
(7)前記帯電部材の表面層は、シームレスチューブからなることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかの接触帯電装置。
(8)前記帯電部材の表面層は、表面抵抗が1×10〜1×1013Ω□であり、該表面抵抗の最大/最小が10以内であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかの接触帯電装置。
(9)前記被帯電体は、有機光導電層を主成分とする感光層を有する電子写真感光体であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかの接触帯電装置。
(10)電子写真感光体、該電子写真感光体に接触配置され前記電子写真感光体を帯電させる帯電部材を有する接触帯電手段、前記帯電された前記電子写真感光体に静電潜像を形成させる像露光手段、および前記電子写真感光体表面に形成された静電潜像を可視化する現像手段が一体に支持されるプロセスカートリッジにおいて、
前記接触帯電手段は、上記(1)〜(8)のいずれかの接触帯電装置であり、前記電子写真感光体は、有機光導電層を主成分とする感光層を有する電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を、図を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の接触帯電装置1を有するプロセスカートリッジ9を設けた画像形成装置の好ましい実施の形態の断面図である。
【0016】
帯電部材1は、電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という)2と接触配置しており、接続されている高圧電源3から印加される電圧により、感光ドラム2に対して帯電を行う。
<1>本発明の接触帯電装置
以下に、本発明の接触帯電装置を説明する。
【0017】
接触帯電装置の帯電部材は、図2に示すような帯電ローラであり、導電性支持体(芯金)1aの上に被帯電体との均一な当接部を形成するために必要な弾性を有する導電性弾性層1bと、更にその上に耐摩耗性や耐感光体汚染性向上等の目的に応じて、表面層1cを設けた構成のものが使用される。また、抵抗調整やしみ出し物質の防止等必要に応じて、弾性層1bと表面層1cの間に中間層1dを設けた構成をとる場合もある(図3)。
【0018】
本発明における帯電部材の表面層1cは、導電性粒子が分散された熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性エラストマーを主体とした弾性材料が好ましく用いられる。
【0019】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン樹脂、エチレン−ブチレン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ホルマール樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂およびポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂などを用いることができる。
【0020】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどを用いることができる。
【0021】
なかでも、適度な柔軟性と弾性を有し、しかも加工性が良好であることから熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。また、熱可塑性エラストマーの中でも、可塑剤や軟化剤を含有しなくとも、硬度や伸び、強度など材料の機械特性の選択範囲が広く、しかも押出成形や射出成形、ブロー成形などの成形加工性が良好なことから、スチレン系熱可塑性エラストマーを用いることがより好ましい。
【0022】
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィンブロックコポリマー(SEBC)、およびランダムスチレン・ブタジエンコポリマー(SBR)の水素添加ポリマー(HSBR)等が挙げられる。
【0023】
上記スチレン系熱可塑性エラストマーは、フタル酸エステルやアジピン酸エステルなどの合成可塑剤、あるいは鉱物油系軟化剤や植物油系軟化剤等の軟化剤を添加せずに用いることが望ましい。すなわち、これらの可塑剤や軟化剤は時間とともに表面層の表面にしみ出し(いわゆるブリードアウト)、被帯電体として電子写真感光体を用いた場合、電子写真感光体の表面に付着したり、電子写真感光体表面の材料を溶解したりして、電子写真感光体の帯電性を損なう原因となる。
【0024】
表面層1cの抵抗調整は、前記熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性エラストマー中に導電性粒子を分散して用いることにより行うことが好ましい。導電性粒子としては、導電性カーボンブラック、カーボングラファイト、あるいは導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、導電性酸化亜鉛などの金属酸化物、導電性硫酸バリウム、導電性チタン酸カリウム、あるいは金、銀、銅、ニッケルなどの金属粉末などが挙げられ、これらの導電性粒子を単独または2種類以上組み合わせて用いてもかまわない。また、これら各種導電性粒子の分散性を向上させるために、導電性粒子表面に脂肪酸処理、シリコーンカップリング剤処理、チタネート系カップリング剤処理、反応性シリコーンオイル処理などの処理をしてもかまわない。
【0025】
表面層1cの表面抵抗は、1×10〜1×1013Ω□の範囲にあることが好ましい。1×10Ω□より低い場合は、電圧印加によって表面層の絶縁破壊や、被帯電体として電子写真感光体を用いた場合、電子写真感光体にピンホールや傷等の表面欠陥が存在すると電流が集中してしまい、いわゆるピンホールリークが起こりやすい。また、表面抵抗値が1×1013Ω□を越えると、印加電圧が降下してしまい、電子写真感光体の帯電性が低下し、いわゆる砂地カブリが発生しやすい。また、表面層の表面抵抗のバラツキは、最大/最小が10以内であることが好ましい。表面層の表面抵抗の最大/最小が10を超えると、帯電性のバラツキによる画像濃度ムラが発生しやすくなる。
【0026】
表面層の表面抵抗は、抵抗測定器(商品名:ハイレスタUPおよびHAプローブ、三菱化学(株)製)を使用して測定することができる(測定環境:温度23℃、相対湿度55%、印加電圧250V、測定時間10秒)。表面層を10mmピッチで測定し、表面層の表面抵抗のバラツキについても測定する。
【0027】
表面層1cとして、例えば熱可塑性エラストマーを用いる場合、熱可塑性エラストマー中に、硬度調整および被帯電体への貼り付き防止を目的に、オレフィン系樹脂を混合して用いてもかまわない。オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂、エチレン−プロピレン樹脂、エチレン−ブチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−メチルメタクリレート樹脂、エチレン−エチルアクリレート樹脂、酢酸ビニル樹脂などを用いることができる。
【0028】
また、表面層は、熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性エラストマー中に、補強剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、分散剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0029】
帯電部材の表面層の作製方法としては、例えば以下のシームレスチューブを得て作製する方法が好ましく挙げられる。まず所定量の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー、導電粒子、充填剤、添加等をヘンシェルミキサー、V型ブレンダー及び円筒型ブレンダー等を用いて乾式混合する。ついで、加圧ニーダー、押出機及び加熱ロール等の混練機を用いて溶融混練し、押出機とペレタイザーで所定形状にペレット化を行い、所定のチューブ成形用ダイを備えた押出機でシームレスチューブ化する。シームレスチューブを得るには、フリーエクストルージョン、バキュームエクストルージョン、プレッシャーサイジング及びインターナルキャリブレーション等の成形方法を用いることができる。
【0030】
そして、得られたシームレスチューブ状の表面層を導電性弾性層上に被覆する。チューブが熱収縮性を有する場合には、その内径を導電性弾性層の外径より大きく形成し、シームレスチューブ内に導電性弾性層を挿入した後、加熱収縮することによって被覆することができる。また、熱収縮性を有しない場合には、シームレスチューブ状の導電性表面層の内径を導電性弾性層の外径よりわずかに小さく形成し、エアや窒素ガス等のガス、あるいはスペーサー治具など適当な手段で膨らませた後、導電性弾性層上に被覆することができる。
【0031】
また、上記方法以外に、多層押出成形法や多層射出成形法により、芯金上に表面層と導電性弾性層を同時に成形被覆することもできる。
【0032】
表面層1cの表面粗さとしては、JIS規格B−0601にもとづいて測定した十点平均粗さRz1が20μm以下であることが好ましい。表面層1cの十点平均粗さ(Rz1)が20μmを超えると、表面層に粉末現像剤の外添剤や紙粉が溜まりやすくなる。また、十点平均粗さ(Rz1)が大きくなると帯電性が不均一になったり、帯電部材と被帯電体の当接部内で放電が起こって、被帯電体削れが増えたりする。帯電の均一性とドラム削れの点から、表面層1cの十点平均粗さ(Rz1)は15μm以下がより好ましい。
【0033】
本発明において上記表面層1cの十点平均粗さ(Rz1)を上記範囲に調整する方法としては、上記のようにして得られた表面層の表面を、研磨剤を用いて研磨する方法、サンドブラスト法などによる機械的に研磨する方法の他、表面層中に金属酸化物や樹脂粉体などの電気的に不活性な粒子を分散させる方法などを用いることができる。
【0034】
また、本発明の接触帯電装置が帯電する被帯電体の十点平均粗さ(Rz2)は、Rz2≦5μmであって、かつRz1+Rz2≦20μmの関係を満たす。さらに耐久による汚れの付着性や被帯電体削れの抑制の点からRz1≦15μmとすることが好ましい。該構成とした接触帯電装置を画像形成装置に用いた場合、初期から良好な画像が得られ、しかも耐久によって汚れの付着が少なく、被帯電体削れ量が少ない接触帯電装置とすることができる。
【0035】
なお、本発明の接触帯電装置は、画像形成装置に用いられるものであり、前記被帯電体として、有機光導電層を主成分とする感光層を有する電子写真感光体であることが好ましい。電子写真感光体については後述する。
【0036】
表面層1cの厚みは、シームレスチューブを用いた場合、25〜2000μmが好ましい。厚みが25μm未満になると、チューブを導電性弾性層へ被覆する際に破れや縦裂きが生じやすくなる。また、厚みが2000μmを超えるとチューブが硬くなって弾性変形しなくなり、導電性弾性層上に被覆しにくくなる。
【0037】
表面層の硬度は、マイクロゴム硬度計(商品名MD−1、高分子計器(株)製)を用いて測定したときの値(いわゆるマイクロ硬度)が、85°以下が好ましい。表面層のマイクロ硬度はより好ましくは75°以下である。マイクロ硬度が85°を超えると、感光ドラム表面へのトナーの融着や帯電ローラ表面への外添剤粒子(シリカや酸化チタンなど)が固着して、それぞれの帯電性を低下させる原因となりやすい。
【0038】
本発明における帯電部材の導電性弾性層1bは、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の加硫ゴム、あるいはポリウレタン系、ポリスチレン系、ポリアミド系、ポリエステル系及びポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマーのソリッドあるいは発泡体を用いることができる。これらの熱可塑性エラストマーは、成形加工性が良好であることや、加硫工程が不要であること、リサイクル性が良いことなどの観点から、本発明に好適に用いられる。
【0039】
また、表面層と同様に、熱可塑性エラストマーの中でも材料の機械特性の選択範囲が広く、しかも押出成形や射出成形、ブロー成形などの成形加工性が良好なことから、スチレン系熱可塑性エラストマーを用いることがより好ましい。
【0040】
導電性弾性層1bの抵抗調整には、表面層に用いることができる導電性粒子を使用することができる。また抵抗調整のしやすさから、上記導電性粒子として導電性カーボンブラックを用いることが好ましく、各種導電性粒子を上記の弾性層用材料のゴムや熱可塑性エラストマーに混合して使用することができる。導電性カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどを用いることができる。
【0041】
導電性弾性層の体積抵抗率は、1×1010Ωcm以下であることが好ましい。体積抵抗率が1×1010Ωcmを超える場合は、弾性層1b中で印加電圧が降下してしまい、被帯電体の帯電性能が悪化する傾向がある。
【0042】
導電性弾性層の体積抵抗率は、導電性弾性層に用いる同じ弾性材料で、厚み2mmのシートを作製し、抵抗測定器(商品名:ハイレスタUPおよびJ−BOX、三菱化学(株)製)を使用して測定できる(測定環境:温度23℃、相対湿度55%、印加電圧10V、測定時間1分)。
【0043】
導電性弾性層1bの硬度は、帯電ローラ自身の硬度を決定するものである。帯電部材と感光ドラムの当接部の幅や圧力を均一にするためには、導電性弾性層1bの硬度をより柔らかくすることが好ましい。すなわち、導電性弾性層1bの硬度は、アスカーC硬度70°以下が好ましい。導電性弾性層の硬度は、アスカーC型硬度計(高分子計器(株)製)を用い、全荷重1kgの条件で、周方向4点、長手方向3点、計12点を測定して、平均値を求めることにより測定できる。
【0044】
導電性弾性層1bの硬度調整や流動性改良を目的として、パラフィン系オイルを添加してもよいが、芳香族系有機化合物を含有しないパラフィン系オイルを用いることが好ましい。パラフィン系オイル中に芳香族系有機化合物が入っていると表面にしみ出しやすく、表面層1cの抵抗を変化させたり、表面層の表面に移行して、被帯電体として電子写真感光体を用いる際、電子写真感光体表面に付着して帯電部材と電子写真感光体の貼り付きの原因になったり、電子写真感光体表面を溶解したりする可能性がある。芳香族系有機化合物を含まないパラフィン系オイルの例としては、出光興産(株)製、商品名「ダイアナプロセスオイルPW−90(平均分子量539)」、「ダイアナプロセスオイルP−380(平均分子量597)」などがある。
【0045】
パラフィン系オイルの添加量は、導電性弾性層全体に対して5〜50質量%の範囲が好ましい。添加量が5%質量未満ではオイルを添加した硬度調整の効果が得られにくく、50質量%を超えると、表面に粘着(タック)性が現われる。
【0046】
本発明における帯電部材の導電性支持体(芯金)1aは、鉄、銅、ニッケル、ステンレス及び真鍮等の金属丸棒をそのまま用いてもよいし、表面に防錆や耐傷性のために化学ニッケルメッキやクロムメッキ等の表面処理を施してもさしつかえないが、導電性を損なわないことが必要である。
【0047】
<2>本発明のプロセスカートリッジ
本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体、接触帯電手段、像露光手段および現像手段が一体に支持されるものであり、接触帯電手段として上述の本発明の接触帯電装置を備える。
【0048】
本発明のプロセスカートリッジ9に用いられる電子写真感光体(以下、「感光ドラム」ともいう)2の構成を図4に示す。感光ドラムは、導電性支持体2aと、有機光導電層を主成分とする感光層2bとを有する。感光層2bは、導電性支持体2aの上に設けられる。
【0049】
導電性支持体2aとしては、アルミニウム、ステンレスなどの金属、紙、プラスチックなどの円筒状シリンダー、シートまたはフイルムなどが用いられる。また、これらの円筒状シリンダー、シートまたはフイルムは、必要に応じて導電性ポリマー層あるいは酸化スズ、酸化チタン、銀粒子などの導電性粒子を含有する樹脂層を有していてもよい。
【0050】
また、感光層2bは、導電性支持体2a上に少なくとも電荷発生層21bおよび電荷移動層22b等の有機光導電層を主成分とする層を順次積層して構成される。導電性支持体2aと感光層2b(電荷発生層21b)の間には、バリアー機能と下引機能をもつ下引層2c(接着層)を設けることができる。(図5)
【0051】
下引層は感光層の接着性改良、塗工性改良、導電性支持体の保護、導電性支持体上の欠陥の被覆、導電性支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。下引層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ポリアミド、ニカワ、ゼラチン等が用いられる。これらは適当な溶剤に溶解して導電性支持体または該導電性支持体が有する樹脂層上に塗布される。その膜厚は0.2〜2μm程度が好ましい。
【0052】
電荷発生層は、電荷発生物質と電荷発生層用結着樹脂から構成される。電荷発生物質としては、ピリリウム、チオピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラトロン顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン系顔料、非対称キノシアニン、キノシアニンなどを用いることができる。電荷発生層用結着樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルベンザール樹脂などの熱可塑性樹脂;ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂;などのバインダー樹脂を用いることができる。
【0053】
電荷発生層21bは、前記電荷発生物質を0.2〜4質量倍の電荷発生層用結着樹脂、およびケトン類、アルコール類、エステル類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等の溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、高圧衝突分散機などの方法でよく分散し、塗布、乾燥して形成することができる。その厚みは5μm以下、特には0.01〜1μmの範囲が好ましい。
【0054】
電荷輸送層22bは、電荷輸送物質と電荷輸送層用結着樹脂からなる。電荷輸送物質としては、ヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物、スチリル系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、トリアリールメタン系化合物、ポリアリールアルカン系化合物などを用いることができる。電荷輸送層用結着樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、及び不飽和樹脂等から選ばれる樹脂が好ましい。特に好ましい樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル基重合体、ポリカーボネート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂などが挙げられる。また、電荷発生層あるいは電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、潤滑剤など種々の添加剤を含有させることができる。
【0055】
電荷輸送層22bは、一般的には前記の電荷輸送物質と電荷輸送層用結着樹脂を溶剤に溶解し、塗布して形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との混合割合は2:1〜1:2程度である。溶剤としてはアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、クロルベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などの塩素系炭化水素類などが用いられる。この溶液を塗布する際には、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法等の塗工法を用いることができ、乾燥は10〜200℃、好ましくは20〜150℃の範囲の温度で5分〜5時間、好ましくは10分〜2時間の時間で送風乾燥または静止乾燥下で行うことができる。
【0056】
生成した電荷輸送層の膜厚は、帯電均一性の点から5〜30μm、特には10〜25μmの範囲が好ましい。
【0057】
また、本発明のプロセスカートリッジの接触帯電装置が帯電する被帯電体である電子写真感光体の十点平均粗さ(Rz2)は、Rz2≦5μmであって、かつRz1+Rz2≦20μmの関係を満たす(Rz1は帯電部材の表面層の十点平均粗さである)。さらに耐久による汚れの付着性やドラム削れの点からRz1≦15μmとすることが好ましい。該構成とすることにより、初期から良好な画像が得られ、しかも耐久によって汚れの付着が少なく、ドラム削れ量が少ないプロセスカートリッジとすることができる。
【0058】
本発明における電子写真感光体の十点平均粗さを調整する方法としては、上記のようにして得られた電子写真感光体の表面を、研磨剤を用いて研磨する方法、サンドブラスト法などによる機械的に研磨する方法の他、感光体の表面となる層中に金属酸化物や樹脂粉体などの電気的に不活性な粒子を分散させる方法などを用いることができる。
【0059】
本発明のプロセスカートリッジを用いた画像形成装置の概略構成図を図1に示す。被帯電体としての回転ドラム型の電子写真感光体(感光ドラム)2は、矢印の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。2aは該感光ドラム1のアルミニウム等の導電性ドラム支持体、2bはそのドラム支持体2aの外周面に形成した感光層である。
【0060】
接触帯電手段1には、上述の本発明の接触帯電装置が用いられ、感光ドラム2表面にドラム母線方向に略平行にして所定の押圧力で当接させて配設したローラ体(以下、帯電ローラと記す)を帯電部材として有し、感光ドラム2の回転に従動回転する。帯電ローラ2に対して電圧を印加する高圧電源3から帯電ローラ2の芯金に所定の電圧を印加することで、回転する感光ドラム2の外周表面が所定の極性、電位に帯電処理される。帯電ローラ2に対する印加電圧は、直流電圧だけでもよいが、被帯電体としての感光ドラム1表面を均一に帯電処理するために直流電圧と交流電圧の重畳電圧(振動電圧)を印加する方が好ましい。直流電圧に重畳する交流電圧(ピーク間電圧Vpp)は、感光ドラムの表面電位をより均一にするためには直流電圧の2倍以上が好ましい。
【0061】
帯電ローラ2により所定の電位に均一に一次帯電処理された感光ドラム1表面に対して、不図示のレーザースキャナ(像露光手段)による目的画像情報のレーザービーム走査露光4で静電潜像を形成し、現像器(現像手段)5によるトナーで現像することにより該静電潜像を可視化してトナー像を形成し、次いでトナー像を転写手段6によって転写材(例えば紙)7に転写する工程が順次実行される。そして、トナー像転写を受けて感光ドラム1表面から分離された転写材7が不図示の定着手段へ導入されて画像形成物(プリント)として出力される。トナー像転写後の感光ドラム1表面はクリーニング装置8で転写残トナーの付着汚染物等の除去がなされて清浄面化され、繰り返して作像に供される。
【0062】
なお、本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体、接触帯電装置、像露光手段および現像手段が一体に支持されるものであるが、上記クリーニング装置等も一体に支持されていてもよい。
【0063】
また、本発明の接触帯電装置を有するプロセスカートリッジは、クリーニングブレードや廃トナー容器などのクリーニング手段を具備せず、転写残トナーを現像手段5で静電気的に回収する、いわゆる「クリーナーレスシステム」にも適用できる。クリーナーレスシステムとして、プロセスカートリッジの一つの実施の形態を図6に示した。
【0064】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0065】
【実施例1】
<帯電部材の作製>
(1)帯電部材の導電性弾性層の作製
以下の原料をV型ブレンダーを用いて5分間、乾式混合した。
・スチレン系熱可塑性エラストマー        100質量部
(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS))
・炭酸カルシウム                 10質量部
・導電性カーボンブラック             16質量部
・パラフィン系オイル               10質量部
(比重0.870、芳香族系有機化合物含有率0質量%)
・ステアリン酸カルシウム              1質量部
次にこの混合物を、加圧式ニーダーを用いて180℃、10分間溶融混練した。さらに、冷却後、粉砕機で粉砕し、単軸押出機(スクリュ径60mm、樹脂温度190℃)を用いてペレット化した。得られたペレットを竪型射出成形機および円筒状金型を用いて、導電性支持体(芯金、外径6mm、長さ258mm)上に被覆して導電性弾性層を得た(樹脂温度190℃、ローラ外径12mm、長さ232mm)。このローラを本発明の帯電部材の導電性弾性層とした。
【0066】
さらに、導電性弾性層付きローラの硬度をアスカーC型硬度計(高分子計器(株)製)で測定した。硬度は全荷重1kgの条件で、周方向4点、長手方向3点、計12点を測定して、平均値を求めた。
【0067】
導電性弾性層材料の体積抵抗率は、同じロットのペレットを加熱プレス(熱板温度180℃)で、厚み2mmのシートを作製し、抵抗測定器(商品名:ハイレスタUPおよびJ−BOX、三菱化学(株)製)を使用して測定した(測定環境:温度23℃、相対湿度55%、印加電圧10V、測定時間1分)。
【0068】
(2)帯電部材の表面層の作製
以下の原料を、V型ブレンダーを用いて5分間、乾式混合した。
・スチレン系熱可塑性エラストマー           100質量部
(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS))
・炭酸カルシウム                    15質量部
・導電性カーボンブラック                10質量部
・ステアリン酸カルシウム                 1質量部
次にこの混合物を加圧式ニーダーを用いて180℃で10分間溶融混練した。更に冷却後、粉砕機にて粉砕し、単軸押出機(スクリュ径60mm、樹脂温度190℃)を用いてペレット化した。更に、内径12mmのダイスと外径11mmのニップルを備えたクロスヘッド押出機(スクリュ径30mm、樹脂温度190℃)を用いて、内径が11.5mm、肉厚が約150μmのシームレスチューブを得た。
【0069】
得られたシームレスチューブを本発明の帯電部材の表面層として用いた。シームレスチューブの表面抵抗は、チューブを切り開いて、抵抗測定器(商品名:ハイレスタUPおよびHAプローブ、三菱化学(株)製)を使用して測定した。(測定環境:温度23℃、相対湿度55%、印加電圧250V、測定時間10秒)表面抵抗はチューブの円周方向に10mmピッチで測定した。
【0070】
また、チューブの表面層の十点平均粗さは、JIS規格B−0601にもとづいて測定する。具体的には、シームレスチューブを切り開いて十点平均粗さ計((株)小坂研究所製、サーフコーダーSE−3400)を用いて測定した。
さらに、成形条件(成形温度、チューブの引き取り速度、押出量(吐出量))を変えて、十点平均粗さの異なるシームレスチューブを作製して表面層とした。
【0071】
(3)帯電部材の作製
上記シームレスチューブ(表面層)それぞれを用いて、エアを吹き込みシームレスチューブの内径を拡大した後、該シームレスチューブに上記の導電性弾性層付きローラを挿入し、チューブの収縮力により両者を嵌合して、帯電ローラを得た。
【0072】
ついで、帯電ローラの抵抗を、温度23℃、相対湿度55%環境下で測定した。ローラ抵抗は8×10Ωcmであった。測定には、図7に示すような抵抗測定治具を用いた。帯電ローラを外径30mmのステンレス製ドラムに荷重1kgで当接させ、ドラムを30rpmの速度で回転させて、帯電ローラを従動回転させた。次に、帯電ローラの芯金片側端部から直流電圧−250Vを印加し、このときステンレスドラムのアースに流れる電流値を、標準抵抗(1kΩ)を入れて記録計で測定した。さらに測定電流値をオームの法則により抵抗値に換算して、ローラ抵抗値とした。なお、本発明において、上記方法で測定される帯電ローラの好ましい抵抗範囲は、1×10〜1×10Ω(温度23℃、相対湿度55%)である。
【0073】
<電子写真感光体の作製>
外径30mm、内径28.5mm、長さ260mmのアルミニウムシリンダーを導電性ドラム支持体として、この上にポリアミド(商品名アミランCM8000、東レ(株)製)の5%メタノール溶液を浸漬コーティング法で塗布し、0.3μm厚の下引層を形成した。次に、下記一般式(I)で表されるジスアゾ顔料10質量部、
【0074】
【化1】
Figure 2004037785
【0075】
及びポリビニルブチラール(商品名エスレックBLS、積水化学(株)製)10質量部及びシクロヘキサノン100質量部を粒径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で20時間分散した。この分散液にメチルエチルケトン100質量部を加えて、下引層上に塗布し、厚み0.15μmの電荷発生層を形成した。次に、下記一般式(II)で表されるアミン化合物10質量部
【0076】
【化2】
Figure 2004037785
【0077】
及び下記構造式(III)で表されるビスフェノールZ型Zポリカーボネート(数平均分子量28,000)10質量部をモノクロロベンゼン100質量部に溶解した。
【0078】
【化3】
Figure 2004037785
【0079】
この溶液を前記電荷発生層上に塗布して100℃、1時間熱風乾燥して25μmの膜厚の電荷輸送層を形成した。こうして実施例1の感光ドラムを作製した。得られた感光ドラムの表面を乾式研磨機によって表面粗さを振り、十点平均粗さを変えた感光ドラムを得た。
【0080】
<画像評価方法>
上記帯電ローラをレーザビームプリンター(キヤノン(株)製、商品名;LBP−1660)に用いられるプロセスカートリッジ(キヤノン(株)製、商品名;EP−52カートリッジ)の一次帯電器に取り付け、上記感光ドラムを組み込んで、直流電圧;−600V、交流電圧;交流電流値が850μA±10%になるように印加する交流電圧Vppを制御した(定電流制御)、周波数;870Hzの重畳電圧を外部電源より印加し、高温高湿環境(温度32℃、相対湿度85%)下において、印字比率5%の文字画像を10000枚(A4サイズ)印刷して画像耐久試験を行った。画像評価は初期および10000枚耐久後にハーフトーン画像(1200dpi、1ドット2スペース横線)を5枚出力して、目視にて観察することによって行った。
【0081】
画像ランクの評価基準は以下の通りである。
(初期の画像ランク)
○:均一なハーフトーン画像が得られた。
△:画像上にわずかに濃度ムラが発生した。
×:画像があきらかに不均一である。
【0082】
(耐久後の画像ランク)
A:均一なハーフトーン画像が得られた。
B:画像上にわずかに濃度ムラが発生した。
C:画像があきらかに不均一である。
D:明らかに帯電ローラピッチの濃度ムラが見える。
【0083】
<感光ドラム削れの測定法>
感光ドラムの削れ量は、渦電流式膜厚計を用いて、感光ドラムの周方向4点、長手方向5点の計20点の膜厚を測定し、10000枚印刷前後での膜厚差の平均値を削れ量とした。
【0084】
<感光ドラム汚染性試験>
上記と同一構成の帯電ローラと感光ドラムを組み込んだプロセスカートリッジを温度40℃、相対湿度95%環境中に1ヶ月放置した後、初期画像評価を行った。初期画像評価はハーフトーン画像(1200dpi、1ドット2スペース横線)を20枚出力(A4サイズ)して、目視にて観察することによって行った。
【0085】
画像ランクの評価基準は以下の通りである。
(画像ランク)
H:均一なハーフトーン画像が得られた。
M:1〜10枚目まで感光ドラムピッチ(約94mm)の横スジが見えるが、その後横スジが消失した。
L:20枚目で感光ドラムピッチ(約94mm)の横スジがはっきりと見える。
【0086】
【実施例2】
<帯電部材の作製>
導電性弾性層材料の配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様の方法で帯電ローラを作製した。
・スチレン系熱可塑性エラストマー           100質量部
(スチレン−エチレン・ブチレン−結晶性オレフィンブロックコポリマー(SEBC))
・炭酸カルシウム                    10質量部
・導電性カーボンブラック                20質量部
・パラフィン系オイル                  20質量部
(比重0.870、芳香族系有機化合物含有率0質量%)
・ステアリン酸カルシウム                 1質量部
【0087】
<電子写真感光体の作製>
電子写真感光体の電荷輸送層の結着樹脂を下記構造式(IV)で表される構成単位を有するポリアリレート樹脂(重量平均分子量80000)に変えた以外は、実施例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した(電荷輸送層厚み23μm)。
【0088】
【化4】
Figure 2004037785
【0089】
<画像評価>
さらに、実施例1と同様の画像評価を行った。
実施例1及び実施例2の帯電ローラおよび感光ドラムのそれぞれの表面粗さ(十点平均粗さ)を振った画像評価結果を表1、表2に示した。
【0090】
【表1】
Figure 2004037785
【0091】
【表2】
Figure 2004037785
【0092】
帯電部材の表面粗さRz1が15μm以下で、感光ドラムの表面粗さRz2が5μm以下の場合は、初期および耐久で良好な画像が得られた。一方、帯電部材の表面粗さRz1が15μm以下で、感光ドラムの表面粗さRz2が5μmを超える場合は、初期から画像が不均一であった。しかも、耐久によるドラム削れ量が増えた。
【0093】
また、帯電部材の表面粗さRz1が15μm以上で、感光ドラムの表面粗さRz2が5μmを以下の場合は、初期画像は均一であったが、耐久によって帯電ローラピッチの濃度ムラが発生した。これは帯電ローラ表面への汚れの付着が原因と考えられる。また、ドラム削れ量が増えた。
【0094】
また、実施例1および2の帯電ローラは高温高湿条件に放置しても、感光体汚染性は全く問題がなかった。結果を表3に示す。
【0095】
【表3】
Figure 2004037785
【0096】
【比較例1】
<帯電部材の作製>
導電性弾性層の材料の配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様の方法で帯電ローラを作製した。
・スチレン系熱可塑性エラストマー           100質量部
(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンンブロックコポリマー(SEBS))
・ナフテン系オイル(芳香族系有機化合物含有量15質量%)20質量部
・炭酸カルシウム                    10質量部
・導電性カーボンブラック                18質量部
・ステアリン酸カルシウム                 1質量部
【0097】
<画像評価>
上記帯電ローラを用いた以外は、実施例1と同様にして画像評価、感光ドラム汚染性試験を行った。結果を表3に示す。
【0098】
【比較例2】
<帯電部材の作製>
表面層材料の配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様の方法で帯電ローラを作製した。
・スチレン系熱可塑性エラストマー             100質量部
(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンンブロックコポリマー(SEBS))
・パラフィン系オイル(芳香族系有機化合物含有量10質量%)   10質量部
・炭酸カルシウム                      15質量部
・導電性カーボンブラック                  12質量部
・ステアリン酸カルシウム                   1質量部
【0099】
<画像評価>
上記帯電ローラを用いた以外は、実施例1と同様にして画像評価、感光ドラム汚染性試験を行った。結果を表3に示す。
【0100】
【比較例3】
<帯電部材の作製>
表面層材料の配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様の方法で帯電ローラを作製した。
・スチレン系熱可塑性エラストマー           100質量部
(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンンブロックコポリマー(SEBS))
・ナフテン系オイル(芳香族系有機化合物含有量15質量%)10質量部
・炭酸カルシウム                    15質量部
・導電性カーボンブラック                12質量部
・ステアリン酸カルシウム                 1質量部
【0101】
<画像評価>
上記帯電ローラを用いた以外は、実施例1と同様にして画像評価、感光ドラム汚染性試験を行った。結果を表3に示す。
【0102】
比較例1によれば、導電性弾性層中にナフテン系オイルを添加すると、感光ドラム汚染性が悪化した。これは導電性弾性層に添加したナフテン系オイルが原因であると考えられる。また、比較例2によれば、表面層中に芳香族系有機化合物を含むパラフィン系オイルを添加すると、感光ドラム汚染性がわずかに悪化した。
【0103】
一方、比較例3によれば、表面層中に芳香族系有機化合物を含むナフテン系オイルを添加すると、初期画像のレベルと感光ドラム汚染性が悪化した。芳香族系有機化合物のしみ出しが原因であると考えられる。
【0104】
【発明の効果】
本発明の接触帯電装置およびプロセスカートリッジは、すぐれた耐久性を有する。すなわち、本発明の接触帯電装置は帯電部材の表面層の表面粗さRz1(十点平均粗さ)と電子写真感光体の表面粗さRz2(十点平均粗さ)の関係を、Rz1+Rz2≦20μm、(ただし、Rz2≦5μm)にすることで、画像形成装置に用いた場合、画像耐久による表面汚れが生じにくく、しかも感光ドラム削れが少なくなる。その結果、良質な画像が得られる。さらに本発明の接触帯電装置および該接触帯電装置を設けたプロセスカートリッジは、画像形成装置に用いた場合、長期にわたって感光ドラム汚染などの欠陥を生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接触帯電装置を用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置の一つの実施の形態を示す概略図。
【図2】本発明の接触帯電装置の帯電部材の一例を示す概略図。
【図3】本発明の接触帯電装置の帯電部材の一例を示す概略図。
【図4】本発明のプロセスカートリッジに用いる電子写真感光体の一例を示す概略図。
【図5】本発明のプロセスカートリッジに用いる電子写真感光体の一例を示す概略図。
【図6】本発明の接触帯電装置を用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置の一つの実施の形態を示す概略図。
【図7】帯電ローラの抵抗を測定するローラ抵抗測定治具を説明する図。
【図8】従来の接触帯電装置を用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置の一例を示す概略図。
【符号の説明】
1 帯電部材(帯電ローラ)
1a 導電性支持体(芯金)
1b 導電性弾性層
1c 表面層、
1d 中間層
2 電子写真感光体(感光ドラム)
2a 導電性支持体、
2b 感光層
21b 電荷発生層
22b 電荷輸送層
3 高圧電源
4 レーザービーム走査露光
5 現像器
6 転写手段
7 転写材
8 クリーニング装置
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段(ガイド)
11 ステンレスドラム
12 高圧電源
13 記録計あるいはテスター
14 標準抵抗

Claims (10)

  1. 被帯電体に接触配置された帯電部材に外部より電圧を印加して、被帯電体を帯電させる帯電装置において、
    前記帯電部材は、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも導電性弾性層と、該導電性弾性層の表面を被覆する表面層とを有し、
    前記帯電部材の導電性弾性層は、導電性粒子が分散された熱可塑性エラストマーを含有し、
    前記帯電部材の表面層の十点平均粗さをRz1、被帯電体の表面の十点平均粗さをRz2としたとき、Rz1+Rz2≦20μm(ただし、Rz2≦5μm)であることを特徴とする接触帯電装置。
  2. 前記帯電部材の導電性弾性層は、導電性カーボンブラックとパラフィン系オイルを含有するスチレン系熱可塑性エラストマーとを含有することを特徴とする請求項1記載の接触帯電装置。
  3. 前記パラフィン系オイルは、芳香族系有機化合物を含まないことを特徴とする請求項2記載の接触帯電装置。
  4. 前記帯電部材の導電性弾性層は、体積抵抗率が1×1010Ωcm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の接触帯電装置。
  5. 前記帯電部材の表面層は、導電性粒子が分散された熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを主体とした弾性材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の接触帯電装置。
  6. 前記帯電部材の表面層の熱可塑性エラストマーは、合成可塑剤や軟化剤を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項5記載の接触帯電装置。
  7. 前記帯電部材の表面層は、シームレスチューブからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の接触帯電装置。
  8. 前記帯電部材の表面層は、表面抵抗が1×10〜1×10 Ω□であり、該表面抵抗の最大/最小が10以内であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の接触帯電装置。
  9. 前記被帯電体は、有機光導電層を主成分とする感光層を有する電子写真感光体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の接触帯電装置。
  10. 電子写真感光体、該電子写真感光体に接触配置され前記電子写真感光体を帯電させる帯電部材を有する接触帯電手段、前記帯電された前記電子写真感光体に静電潜像を形成させる像露光手段、および前記電子写真感光体表面に形成された静電潜像を可視化する現像手段が一体に支持されるプロセスカートリッジにおいて、
    前記接触帯電手段は、請求項1〜8のいずれか一項記載の接触帯電装置であり、前記電子写真感光体は、有機光導電層を主成分とする感光層を有する電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008242338A (ja) * 2007-03-29 2008-10-09 Tokai Rubber Ind Ltd 電子写真機器用帯電ロールおよび電子写真機器用帯電ロールの製造方法
JP2014157308A (ja) * 2013-02-18 2014-08-28 Ricoh Co Ltd 帯電装置及びこの帯電装置を備えた画像形成装置
JP2016090817A (ja) * 2014-11-05 2016-05-23 株式会社ブリヂストン 帯電ローラおよび画像形成装置

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