JP2004029670A - 画像形成装置、プロセスカートリッジ及び帯電部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】感光体には導電性支持体と、この導電性支持体上に形成されフタロシアニン化合物を含有する感光層とを有する感光体を用い、帯電部材には、導電性基体と、この導電性基体上に形成され少なくとも導電性及び弾性を有する被覆層とにより構成されるローラ状の帯電部材でありマイクロ硬度が90°以下である帯電部材を用い、画像形成装置を構成する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置、プロセスカートリッジ及び該電子写真装置に用いられる導電部材に関し、特にはプリンタ、ファクシミリ及び複写機等の電子写真方式を採用した画像形成装置において、感光体等の被帯電体に接触して配置され、電圧が印加されることにより被帯電体を帯電させる帯電部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置としては、従来より、感光体と、この感光体に接触して配置される帯電部材を有し、この帯電部材に電圧を印加することによって感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した感光体を露光して感光体に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像が形成された感光体にトナーを供給して静電潜像に応じたトナー像を感光体上に形成する現像手段と、感光体上のトナー像を転写材に転写する転写手段とを有する画像形成装置が知られている。
【0003】
上記感光体としては、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成されフタロシアニン化合物を含有する感光層とを有する回転自在な感光体が知られている。上記フタロシアニン化合物は、特に赤外領域に高感度を有し、この化合物を感光体の感光層に含有させることにより高画質化を達成することができる優れた電荷発生材料であることが知られている。
【0004】
また上記帯電部材としては、導電性基体と、この導電性基体上に形成され少なくとも導電性及び弾性を有する被覆層とにより構成されるローラ状の帯電部材(以下「帯電ローラ」ともいう)が、帯電安定性の観点から優れた帯電部材として知られている。
【0005】
また上記画像形成装置において、前記帯電部材を用いた感光体の帯電方法としては、直流電圧(DC電圧)を帯電部材に印加して感光体を帯電させるDC帯電方法が知られている。このDC帯電方法とは、電子写真に必要とされる感光体表面電位(暗部電位)をVdとし、帯電部材による帯電開始電圧をVthとしたときに、少なくともVd+Vthの直流電圧を帯電部材に印加する帯電方法である。
【0006】
また前記帯電部材を用いた感光体の他の帯電方法としては、特開昭63−149668号公報に開示されているように、所望の感光体表面電位Vdに相当する直流電圧に、上記Vthの2倍以上のピーク間電圧を持つ交流電圧成分(AC電圧成分)を重畳した電圧を帯電部材に印加するAC帯電方法が知られている。このAC帯電方法は、AC電圧による電位のならし効果により、感光体の電位がAC電圧のピークの中央である電位Vdに収束し、帯電が環境等の外的状況には影響されることのない優れた接触帯電方法として知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のDC帯電方法及びAC帯電方法等の接触帯電方法により、感光体の帯電処理を行う場合に、例えば図8に示されるように、静電潜像形成後の感光体の表面電位を表面電位計11で測定すると、図9に示すように、感光体表面の暗部電位(飽和電位)において、一回目の帯電による電位(VD1)と二回目以降の帯電による電位(VD2)との間に電位差が生じることがある。
【0008】
この現象は、例えば反転現像方式の場合、文字や黒い図形などの潜像を形成した直後に、連続してハーフトーン画像を出力する場合に、このハーフトーン画像上に前記の文字や黒い図形などが微かに残像してしまう現象(ゴースト画像)となって現れやすく、特に低温低湿環境(例えば温度15℃、湿度10%)において顕著に現れる傾向にある。
【0009】
上記ゴースト画像は、感光体の明部電位VL直後において、一回目の帯電によるハーフトーン電位(VHT1)と二回目以降の帯電によるハーフトーン電位(VHT2)との間に電位差が生じることが原因と考えられ、このような電位差が生じる原因としては、帯電部材において、感光体を均一に帯電させる帯電能力に問題があるものと考察される。
【0010】
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、優れた電子写真特性としての高感度を維持しつつ、ゴースト画像が発生することのない帯電部材、この帯電部材を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述したように、フタロシアニン化合物は、特に赤外領域に高感度を有し、優れた電荷発生材料であることが知られている。しかしながら、上記の化合物は、高感度であるが故に、帯電部材による微少な帯電の不均一性を画像に反映しやすく、ゴースト画像をより顕著に発生させてしまうという性質を有することが我々の検討により明らかになった。
【0012】
我々が鋭意検討を重ねた結果、帯電部材が感光体を均一に帯電する能力は、帯電部材(帯電ローラ)と感光体との当接状態に大きく起因していることが明らかとなった。言い換えれば、帯電ローラ硬度とゴースト画像の発生との間に相関関係が存在することを見出したのである。
【0013】
帯電ローラの硬度を表す指標としては、Asker−C硬度が知られており、我々はまず、ゴースト画像の発生とAsker−C硬度との相関性を見出すことを試みた。しかしながら、感光層に高感度なフタロシアニン化合物を含有させた感光体を用いた場合、明確な相関関係を見出すことができなかった。例えば、従来、Asker−C硬度で80°以下の帯電ローラならば一般に使用することが可能であるとされているが、上記の範囲内でゴースト画像が発生したり、範囲外でゴースト画像が発生しなかったりする場合が生じたのである。
【0014】
これは、Asker−C硬度が、ローラ全体、即ち、導電性基体を含む帯電ローラ全体の硬度を反映する硬度であるためであると考察できる。Asker−C硬度は、直径5.1mmの半球を試料に押し当て、その時試料が示す抵抗力と内部スプリングの力が均一になった状態での球押し込み深さを硬度値として表示する測定法が通常用いられ、ローラ表面からかなりの深さまでの範囲全体の硬度を反映する硬度である。感光層に高感度なフタロシアニン化合物を含有させた感光体を用いた場合には、高感度であるが故に、帯電ローラと感光体との表面の微少な当接状態を画像に反映してしまうと考えられ、Asker−C硬度のようなローラ全体を反映する硬度では相関関係を見出すことができなかったと思われる。
【0015】
そこで、我々は更に鋭意検討を重ね、マイクロ硬度(後に詳述する)との相関関係を見出したのである。即ち、感光層に高感度なフタロシアニン化合物を含有させた感光体を用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジにおいて、帯電ローラのマイクロ硬度を90°以下とすることにより、ゴースト画像を抑制することを見出したのである。
【0016】
本発明は、感光体と、この感光体に接触して配置される帯電部材を有し、この帯電部材に電圧を印加することによって感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した感光体を露光して感光体に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像が形成された感光体にトナーを供給して静電潜像に応じたトナー像を感光体上に形成する現像手段と、感光体上のトナー像を転写材に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、感光体は、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成されフタロシアニン化合物を含有する感光層とを有し、帯電部材は、導電性基体と、この導電性基体上に形成され少なくとも導電性及び弾性を有する被覆層とにより構成されるローラ状の帯電部材であり、この帯電部材のマイクロ硬度が90°以下であることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0017】
また本発明は、画像形成装置本体に着脱自在に構成されたプロセスカートリッジにおいて、このプロセスカートリッジは、感光体と、この感光体に接触して配置される帯電部材とを有し、感光体は、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成されフタロシアニン化合物を含有する感光層とを有し、帯電部材は、導電性基体と、この導電性基体上に形成され少なくとも導電性及び弾性を有する被覆層とにより構成されるローラ状の帯電部材であり、この帯電部材のマイクロ硬度が90°以下であることを特徴とするプロセスカートリッジを提供する。
【0018】
また上記画像形成装置及びプロセスカートリッジでは、前記フタロシアニン化合物は、オキシチタニウムフタロシアニン、シリコンフタロシアニン及びガリウムフタロシアニンのいずれかより選ばれる化合物であることが好ましい。
【0019】
また本発明は、感光体と、この感光体に接触して配置される帯電部材を有し、この帯電部材に電圧を印加することによって感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した感光体を露光して感光体に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像が形成された感光体にトナーを供給して静電潜像に応じたトナー像を感光体上に形成する現像手段と、感光体上のトナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、前記感光体は、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成されフタロシアニン化合物を含有する感光層とを有する感光体である画像形成装置に用いられる帯電部材であり、この帯電部材は、導電性基体と、この導電性基体上に形成され少なくとも導電性及び弾性を有する被覆層とにより構成されるローラ状の帯電部材であり、かつマイクロ硬度が90°以下であることを特徴とする帯電部材を提供する。
【0020】
また本発明では、被覆層は、少なくとも弾性層と表面層とがこの順に形成された積層構造を有することが好ましく、また帯電部材の表面層は、シームレスチューブ被膜により形成されていることが好ましい。
【0021】
また本発明では、帯電部材の表面層は表面抵抗が103〜1015Ωcmであり、かつこの表面抵抗の最大値を最小値で除した値が100以内であることが好ましい。
【0022】
また本発明では、帯電部材の表面層は、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーの少なくともいずれかから形成された層であることが好ましく、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーは、スチレン系の熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーであることがより好ましい。
【0023】
上記のような構成を有する画像形成装置、プロセスカートリッジ及び帯電部材を用いることにより、優れた電子写真特性としての高感度を維持しつつ、ゴースト画像が発生することのない帯電部材、この帯電部材を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができるのである。
【0024】
以下に、本発明の目的を達成するための本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジ、それに用いられる感光体及び帯電部材の実施の形態についてそれぞれ詳述する。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジの概略構成について説明する。
【0026】
(1)画像形成装置及びプロセスカートリッジ
図1は本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。本実施形態の画像形成装置は、転写式電子写真利用の、反転現像方式の装置である。
【0027】
1は回転ドラム型の電子写真感光体(感光体)である。この感光体1は、図中の矢印が示す時計回りに所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動する。感光体1としては、例えばロール状の導電性支持体と、この導電性支持体上に形成される感光層とを少なくとも有し、この感光層にはフタロシアニン化合物が含まれるものであれば特に制限なく公知の構成の感光体を使用することができる。なお、感光体1については後で詳述する。
【0028】
2は帯電部材としての帯電ローラ(導電性ローラ)である。帯電ローラ2と帯電ローラ2に帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加電源S1とによって帯電手段が構成されている。帯電ローラ2は、感光体1に所定の押圧力で接触させてあり、本実施形態では感光体1の回転に対して順方向に回転駆動する。この帯電ローラ2に対して帯電バイアス印加電源S1から、所定の電圧が印加されることで、感光体1の表面が所定の極性電位に一様に帯電処理される。
【0029】
例えば、DC帯電方法を例にとって説明すると、電圧−1300Vの電圧を印加すると、感光体表面は−700Vに帯電する。なお、帯電ローラ2の構成については後に詳述する。
【0030】
3は露光手段である。この露光手段3には公知の手段を利用することができ、例えばレーザービームスキャナー等を好適に例示することができる。
【0031】
感光体1の帯電処理面に該露光手段3により目的の画像情報に対応した像露光がなされることにより、感光体帯電面の露光明部の電位(本例では明部電位−350Vとする)が選択的に低下(減衰)して感光体1に静電潜像が形成される。
【0032】
4は反転現像手段である。現像手段4としては公知の手段を利用することができ、例えば本例における現像手段4は、トナーを収容する現像容器の開口部に配設されてトナーを担持搬送するトナー担持体4aと、収容されているトナーを撹拌する撹拌部材4bと、トナー担持体4aのトナーの担持量(トナー層厚)を規制するトナー規制部材4cとを有する構成とされている。現像手段4は、感光体1表面の静電潜像の露光明部に、感光体1の帯電極性と同極性に帯電(本例では現像バイアスを−350Vとする)しているトナー(ネガトナー)を選択的に付着させて静電潜像をトナー像として可視化する。
【0033】
5は転写手段としての転写ローラである。転写ローラ5は公知の手段を利用することができ、例えば導電性の芯金に中抵抗に調製された弾性樹脂層を被覆してなる転写ローラ等を例示することができる。転写ローラ5は、感光体1に所定の押圧力で接触させて転写ニップ部を形成させてあり、感光体1の回転と順方向に感光体1の回転周速度とほぼ同じ周速度で回転する。また、転写バイアス印加電源S2からトナーの帯電特性とは逆極性の転写電圧が印加される。転写ニップ部に対して不図示の給紙機構部から転写材Pが所定のタイミングで給紙され、その転写材Pの裏面が転写電圧を印加した転写ローラ5により、トナーの帯電極性とは逆極性に帯電されることにより、転写ニップ部において感光体1面側のトナー画像が転写材Pの表面側に静電転写される。
【0034】
転写ニップ部でトナー画像の転写を受けた転写材Pは感光体面から分離して、不図示のトナー画像定着手段へ導入されて、トナー画像の定着を受けて画像形成物として出力される。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合は、この画像形成物が不図示の再循環搬送機機構に導入されて転写ニップ部へ再導入される。
【0035】
転写残余トナー等の感光体1上の残留物は、ブレード型等のクリーニング部材を有するクリーニング手段6により、感光体1上より除去される。
【0036】
なお、本例の画像形成装置は、二以上の異なる手段等を、例えば樹脂成形体等の支持部材によって一体的に支持し、この一体的な構成のまま画像形成装置本体に着脱自在に構成されたプロセスカートリッジを有する装置であっても良い。二以上の異なる手段等は、例えば感光体1と現像手段4、感光体1と帯電ローラ2と現像手段4、帯電ローラ2と現像手段4等の組み合わせが考えられるが、前述した手段等や組み合わせに限定されず、手段や部材の寿命、又はトナーの消費の程度などを考慮して選択することが好ましい。
【0037】
(2)感光体
本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジに用いられる感光体は、感光層にフタロシアニン化合物を含有することを特徴とし、またさらには、前記フタロシアニン化合物がオキシチタニウムフタロシアニン、シリコンフタロシアニン及びガリウムフタロシアニンのいずれかより選ばれる化合物であることを特徴とする。
【0038】
上記感光体の具体的構成としては、図6に示されるように、導電性支持体1aと、この導電性支持体1a上に形成される感光層1bとを有する。感光層1bには、図示するように電荷発生層11bと電荷輸送層12bとを積層した構成を好ましくは用いることができる。
【0039】
また上記感光体は、上記以外の層を有していても良く、図7に示されるように導電性支持体1aと、この導電性支持体1a上に形成される下引き層1cと、この下引き層1c上に形成される感光層1bとを有する構成を用いることができる。以下、本発明に用いられる感光体の構成についてより詳しく説明する。
【0040】
導電性支持体1aとしては、回転自在に設けられる円筒状の導電体が一般的に用いられる。このような導電性支持体1aとしては、例えばアルミニウム、ステンレスなどの金属、紙、プラスチックなどの円筒状シリンダー、シート又はフィルムなどが挙げられる。また、これらの円筒状シリンダー、シート又はフィルム等の導電性支持体1aには、必要に応じて導電性ポリマー層あるいは酸化スズ、酸化チタン、銀粒子などの導電性粒子を含有する樹脂層を有していてもよい。
【0041】
感光層1bは光導電性を有する層であり、電荷発生材料としてフタロシアニン化合物が含まれる。先に図示したように積層構造の感光層を採用する場合では、上記フタロシアニン化合物は電荷発生層11bに配合される。
【0042】
感光層を形成するに当たっては、溶液又は分散液状態の層形成材料を導電性支持体や下引き層等の上に塗布し、塗布膜を乾燥等によって硬化させる方法が好ましくは用いられる。感光層の塗布方法としてはディッピング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法等の公知の方法が挙げられる。
【0043】
電荷発生層11bは、感光して電荷を発生する層であり、一般に電荷発生材料を結着樹脂に分散させた構成の層が用いられる。電荷発生層11bにはフタロシアニン化合物が配合されるが、このようなフタロシアニン化合物としては、酸素原子、塩素原子及び水素原子等の他原子と結合していても良い種々の金属原子にフタロシアニンが配位した構造の化合物が用いられるが、特にオキシチタニウムフタロシアニン、シリコンフタロシアニン及びガリウムフタロシアニンのいずれかより選ばれる化合物であることが好ましい。フタロシアニン化合物は、例えば後述する実施例に示されているように、通常用いられる方法で製造することが可能である。
【0044】
また電荷発生層11bで用いられる上記結着樹脂としては、電荷発生層11bの層形成方法や、結着樹脂の有する物性等によって異なるが、層形成に通常用いられるディッピング方法に用いられる公知の結着樹脂を好ましくは用いることができる。このような結着樹脂としては、例えばポリビニルブチラール、ポリアリレート(ビスフェノールと芳香族ジカルボン酸の重縮合体)、ポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0045】
電荷発生層11bは一般に、前記の電荷発生物質を質量比で0.2〜4倍量の結着樹脂、及び溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、高圧衝突分散機などの方法でよく分散し、塗布、乾燥されて形成される。その厚みは5μm以下、特には0.01〜1μmの範囲が好ましい。電荷発生層の膜厚が薄すぎると 十分な感度を得にくくなる傾向にあり、電荷発生層の膜厚が厚すぎるとゴースト画像が生じやすくなる傾向にあり好ましくない。
【0046】
上記電荷発生層を形成する際に用いられる溶剤は、樹脂の種類によって異なり、また、電荷輸送層や下引き層を溶解しない種類から選択することが望ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム、塩化エチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、トリクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、リグロイン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物が用いられる。
【0047】
電荷輸送層12bは、電荷発生層11bで発生した電荷を輸送する層であり、一般に電荷輸送材料を結着樹脂に分散させた構成の層が用いられる。電荷輸送層12bには通常知られている種々の電荷輸送材料を用いることができ、このような電荷輸送材料としては、例えばヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物、スチリル系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、トリアリールメタン系化合物、ポリアリールアルカン系化合物などが挙げられる。
【0048】
また電荷輸送層12bで用いられる上記結着樹脂としては、電荷発生層11bと同様に層形成方法や結着樹脂の物性等によって異なるが、例えばアクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、及び不飽和樹脂等から選ばれる樹脂が好ましい樹脂として挙げられる。特に好ましい樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル基重合体、ポリカーボネート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂などが挙げられる。
【0049】
電荷輸送層12bは一般的には前記の電荷輸送材料と結着樹脂を溶剤に溶解し、塗布して形成する。電荷輸送材料と結着樹脂との混合割合は一般に2:1〜1:2程度である。溶剤としては、前記電荷発生層11bと同様の溶剤を用いることができる。生成した電荷輸送層の膜厚は、5〜40μm、より好ましくは7〜30μmの範囲が望ましいといえる。電荷輸送層の膜厚が薄すぎると感光体の削れによる表面電位変動が大きくなる傾向にある。例えば同じ削れ量で考えた場合、電荷輸送層の薄い感光体は、電荷輸送層の厚い感光体に比べ、容量の変化が大きく、その分表面電位変動が大きくなってしまう。これにより、帯電開始電圧VTHが変化してしまうため帯電電位安定性や耐久性の面で好ましくない。電荷輸送層の膜厚が厚すぎると特に低温低湿度環境において、画像上に過剰帯電電位ムラ起因と考えられる微小な白抜けやガサツキが発生しやすくなる傾向にある。
【0050】
下引き層1cは、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。下引き層は、前述した感光層等と同様に形成することができ、公知の材料を用いることができる。下引き層の膜厚は0.2〜2μm程度が好ましい。
【0051】
本発明に用いられる感光体には、前記感光層の機能を妨げない範囲で、前述した各層の他にも、例えば感光層上に形成され感光層を保護するための保護層等、さらに機能の異なる層を形成しても良い。また、電荷発生層や電荷輸送層等の各層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、潤滑剤など種々の添加剤を含有させることができる。
【0052】
また本発明に用いられる感光体は、露光手段の像露光、例えばレーザー光の干渉により発生する干渉縞を防止することを目的として、表面を粗面化しても良く、感光体の表面を粗面にする方法としては、研磨剤を用いたり、サンドブラスト法などによる機械的な研磨方法の他、感光体の表面層中に金属酸化物や樹脂粉体などの電気的に不活性な粒子を分散する方法などを用いることができる。
【0053】
(3)帯電部材
本発明の帯電部材は、導電性基体と、この導電性基体上に形成され少なくとも導電性及び弾性を有する被覆層とにより構成されるローラ状の帯電部材であり、マイクロ硬度が90°以下であることを特徴とする。
【0054】
帯電部材のマイクロ硬度が90°以下であれば、帯電部材と感光体との当接が安定化して微少な当接ムラが発生せず感光体の帯電を均一に行うことが可能になる。90°以上であると、帯電部材表面の僅かな凹凸により、帯電部材と感光体との当接にムラが発生してしまい、そのムラが画像に反映されてゴースト画像が発生しやすい。また、AC帯電方法を採用した場合には、帯電部材が硬すぎることによって帯電音が発生するという問題が生じる。さらには、帯電部材と感光体との当接安定性が損なわれるために、現像剤としてのトナーが帯電部材表面へ付着及び固着したり、感光体表面上へ融着したりして、画像不良が生じるという問題も生じやすい。
【0055】
上記帯電部材のマイクロ硬度とは、直径0.16mm、長さ0.5mmの針を試料に押し当て、その時の針の食い込み量(変位)を硬度値として表示するもので、帯電ローラ表面近傍の硬度を測定することが可能である。したがって、感光体と帯電部材との当接状態をより明確に示す指標として適切であり、本指標を用いることで、ゴースト画像との相関性を見出すことができたのである。
【0056】
マイクロ硬度の測定は、マイクロ硬度計MD−1型(高分子計器株式会社製)を用い、23℃/55%環境においてピークホールドモードで測定することが好ましい。より詳しくは帯電部材を金属製の板の上に置き、金属製のブロックを置いて帯電部材が転がらないように簡単に固定し、金属版に対して垂直方向から帯電ローラの中心に正確に測定端子を押し当て5秒後の値を読み取る。これを帯電部材のゴム端部から40mmの位置の両端部及び中央部のそれぞれ周方向に3箇所ずつ、計9箇所を測定し、この平均値をマイクロ硬度とする。
【0057】
本発明の帯電部材(以下、「帯電ローラ」ともいう)は、導電性基体上に少なくとも導電性及び弾性を有する被覆層が形成された構成であれば良く、被覆層は、被帯電体としての感光体に対する給電や、帯電部材の感光体に対する良好な均一密着性を確保するために、適当な導電性と弾性とを有するものであれば構成上は特に限定されない。また被覆層は発泡成形した発泡体を被覆層材料として用いても良い。このような本発明における帯電部材の例を図2から図5に示す。例えば帯電部材は図2に示すようにローラ形状であり、導電性基体2aと、その外周一帯に形成された弾性層2bから構成されている。
【0058】
本発明における帯電部材の他の構成を図3から図5に示す。図3に示すように、帯電部材は弾性層2bの外周に更に表面層2dを設けた二層構造であっても良いし、弾性層2bと表面層2dとの間に抵抗層2cを設けた三層構造であっても良いし、図4に示すように抵抗層2cと表面層2dの間に第2の抵抗層2eを設けた四層構造であっても良いし、更に抵抗層を設けて、導電性基体2aの上に四層以上を形成した構造であっても良い。本発明では、導電性基体上に形成されるこれらの弾性層、抵抗層、表面層すべての層を含む総称として被覆層と記載している。
【0059】
前記導電性基体2aは、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケルなどの金属材料の丸棒を用いることができる。更に、これらの金属表面に耐傷性付与を目的としてメッキ処理を施してもかまわないが、導電性を損なわないことが必要である。
【0060】
前記被覆層には、合成ゴム、樹脂及び熱可塑性エラストマー等のように、従来より知られている種々の化合物及びそれらの混合物を用いることができ、例えば、合成ゴムとしては、天然ゴム(加硫処理等)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、IR(イソプレンゴム)、BR(ブチルゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)等が挙げられる。
【0061】
樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(SEBC)、オレフィン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(CEBC)等が挙げられるが、特に熱可塑性樹脂が好ましいと言える。
【0062】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(高密度、中密度、低密度、直鎖状低密度)、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック又はランダム共重合体、ゴム又はラテックス成分、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体又はその水素添加誘導体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリビスアミドトリアゾール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチレンメタクリレート、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリウレタン共重合体等が挙げることができ、また、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂、あるいは、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体等のフッ素樹脂共重合体、フッ素系ゴム及びフッ素系エラストマー等の一種類又はこれらの混合物を使用することができる。
【0063】
フッ素樹脂としては、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリ塩化ビニル等も使用することができる。これらの材料は、単独又は二種類以上を混合しても良く、共重合体であっても良い。
【0064】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー及び塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。これらの材料は、単独又は二種類以上を混合しても良く、共重合体であっても良い。また、これらの弾性材料を発泡成形した発泡体を弾性材料として用いても良い。
【0065】
上記の材料の中でも、特に、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーが好ましく、より好ましくは、スチレン系の熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーであることが望ましい。これは、スチレン系の熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーは低硬度を実現しやすく、本発明に示す範囲のマイクロ硬度をより達成しやすいためである。
【0066】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の混合方法においては特に制限はなく、一軸押し出し機、二軸混練押し出し機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダーなど公知の方法を用いて製造することができる。中でも二軸混練押し出し機により混合し、ペレット化した後に成形に用いることが特に好ましく用いられる。また、特殊な場合は各成分を直接成形機に供給し、成形機によって本組成物を混練しながら成形することもできる。
【0067】
前記被覆層は、前述した熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーに導電性フィラーがさらに添加されていることが、被覆層の導電性を調整する上でより好ましい。導電性フィラーには、カーボンブラック、カーボン系導電性フィラー、金属系導電性フィラー、金属酸化物系導電性フィラー等の一種類又は、二種以上組み合わせて用いることができる。
【0068】
カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。カーボン系導電性フィラーとしては、グラファイト、グラファイト繊維、カーボンファイバー、活性炭、木炭等が挙げられ、金属系導電性フィラーとしては、銀、銅、ニッケル、亜鉛等の粉末状のもの、フレーク状のものとしては、アルミフレーク、銀フレーク、ニッケルフレーク等が挙げられ、金属繊維状のものとしては、鉄、銅、ステンレスなどが挙げられる。
【0069】
また上記導電性フィラーとしては、金属酸化物系導電性フィラーも好ましくは用いることができ、このような金属酸化物系導電性フィラーとしては、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタンなど)等、が挙げられる。金属酸化物系導電性フィラーの中には、格子欠陥の存在により余剰電子が生成し導電性を示すものがある。これらの金属酸化物系導電性フィラーは、この性質を利用してドーパントを添加し空孔の形成を促進して導電性を増加させたフィラーである。
【0070】
酸化亜鉛のドーパントとしてはアルミニウムなど、酸化錫のドーパントとしてはアンチモンなど、酸化インジウムのドーパントとしては錫などが使用される。導電性酸化チタンの場合は、酸化チタンに導電性酸化錫を被覆したものなどが挙げられる。
【0071】
また、これらの導電性フィラーは表面(疎水化)処理を施しても良く、表面処理としては、カップリング処理及び脂肪酸処理が挙げられる。カップリング処理としては、シランカップリング剤及びチタネート系カップリング剤等を用いたもの、脂肪酸処理としては、ステアリン酸等の酸を用いたものが代表的である。また、所望の電気抵抗を得るためにはこれらの各種導電剤を二種以上併用しても良い。
【0072】
本発明に用いられる被覆層には、低硬度を実現する目的により、可塑剤やオイル等を添加しても良い。可塑剤及びオイルの種類としては特に制限はないが、オイルについては、平均分子量が一般に300〜2,000、好ましくは500〜1,500のものが用いられる。
【0073】
オイルの種類としては、芳香族環、ナフテン環及びパラフィンの三者を組み合わせた混合物が好適に用いることができ、パラフィン鎖炭素数が全炭素中の50%以上を占めるものがパラフィン系オイルと呼ばれ、ナフテン環炭素数が30〜45%のものがナフテン系オイルと呼ばれ、芳香族炭素数が30%より多いものが芳香族系オイルと呼ばれて区分されている。これらの中ではパラフィン系オイルを用いることがより好ましい。
【0074】
一般に、樹脂のオイルの含有量には限界があるので、軟化の効果にも限度が生じるが、吸油能力に優れた物質と組み合わせることにより、導電性と硬度の物性バランスを保つことができる。
【0075】
本発明の被覆層には、各種目的に応じて任意の配合成分を配合することができる。具体的には、各種酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、着色剤、難燃剤、分散剤、帯電防止剤等の各種添加物を添加することができる。更に、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、各種熱可塑性樹脂、各種エラストマー等の配合材を配合することができる。各種熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーは前述したものと同様のものを用いることができる。
【0076】
また、被覆層には表面処理を施してもよい。表面処理としては、UV及び電子線を用いた表面加工処理、化合物等を表面に付着及び含浸させる表面改質処理等の方法を挙げることができる。
【0077】
また、本発明の帯電部材は、帯電部材と感光体の均一密着性を確保するために、被覆層を研磨する等によって中央部を一番太く、両端部にいくほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状に形成することが好ましい。一般に使用されている帯電部材は、導電性基体の両端部に所定の押圧力が与えられて感光体と当接するので、中央部の押圧力が小さく、両端部ほど大きくなっているために、帯電部材の真直度が十分であれば問題ないが、十分でない場合には中央部と両端部に対応する画像に濃度ムラが生じてしまう場合がある。上記クラウン形状はこれを防止するために形成される。
【0078】
本発明の帯電部材には、先に例示したように種々の構成を適用することができるが、積層型の被覆層を適用することがより好ましい。このような被覆層を形成する層としては、前述したように弾性層、表面層、抵抗層等を例示することができる。以下これらの各層に関して詳細に説明する。
【0079】
本発明の帯電部材は、少なくとも弾性層と表面層とがこの順に形成された積層構造を有する(図3参照)ことが好ましい。弾性層の電気抵抗は特に規定はないが、108Ωcm未満に調整されることが好ましい。弾性層の導電性が108Ωcm以上であると、帯電部材の帯電能力が低くなり、感光体を均一に帯電するという帯電均一性を満足することができなくなってしまうことがあり、これにより、ゴースト画像が発生するという弊害を生じることがある。
【0080】
本発明において、表面層は必ずしも設ける必要はないが、設ける場合には表面層の電気抵抗は、103〜1015Ωcmに調整されることが好ましい。103Ωcmよりも小さいと感光体表面のピンホール及び傷等によるリークを防止することが困難になり、1015Ωcmよりも大きいと帯電部材の帯電能力が低くなり、帯電均一性を満足することが困難になる。
【0081】
また、表面層の電気抵抗について最大値を最小値で除した値(最大値/最小値)が100以内であることが好ましい。より好ましくは10以内である。上記最大値/最小値が100以上であると、帯電部材による感光体の帯電にムラができてしまい、帯電均一性を満足することが困難になり、これによりゴースト画像が発生するという弊害を生じることがある。
【0082】
抵抗層も、表面層と同様に本発明において必ずしも設ける必要はないが、設ける場合には、抵抗層の電気抵抗は、表面層の電気抵抗以下、弾性層の電気抵抗以上に調整されることが好ましい。本範囲を外れると、帯電均一性を満足することができなくなってしまうことがあり、これによりゴースト画像が発生するという弊害を生じることがある。
【0083】
また、前記弾性層、表面層及び抵抗層の導電性(電気抵抗)の測定は、例えば抵抗測定装置(三菱化学(株)製絶縁抵抗計Hiresta−UP)を用いて行うことが好ましい。より詳しくは、弾性材料自体を2mm厚に膜成形し、23℃、55%の環境で10vの電圧を1分間印加して導電性の測定を行う。また、上記方法による電気抵抗測定が不可能な場合は、各々の層を形成したものと同一の材料を塗料化し、そのクリア塗料をアルミシート上にコーティングし、上記の条件でそれぞれの層の導電性を測定すれば良い。
【0084】
また、前記弾性層、表面層及び抵抗層の作製は、各層を好適な層厚に形成するのに適当な方法であれば特に限定されず、公知の方法を用いて作製することができる。これらの層の作製は、例えば、予め所定厚に形成されたシート状又はチューブ状の層を接着又は被覆することによって行っても良いし、静電スプレーやディッピング塗工等、従来より知られている工法によって、又はそれに準じて行っても良い。また、射出成形、押し出し成形によって大まかに層形成した後に研磨等によって形状を整える方法であっても良いし、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法であっても良い。特に表面層を設ける場合、その作製においては、表面層の平滑な表面性を実現するために、シームレスチューブ被膜により形成されたものが好ましい場合がある。
【0085】
また、前記弾性層、表面層及び抵抗層の層厚は、それぞれの層の機能の発現を損なわない範囲であれば特に限定されないが、弾性層であれば0.5mm以上であることが好ましい。弾性層の層厚が0.5mm以下になると、弾性層に適度な弾性を保持させることが困難となり、感光体との当接が不適正となりやすく、帯電均一性を満足することができなくなってしまうという不都合が生じ好ましくない。
【0086】
また、本発明において、表面層及び抵抗層は必ずしも設ける必要はないが、設ける場合には、表面層及び抵抗層は、その層厚は1μm〜1000μmであることが好ましい。表面層及び抵抗層の層厚が上記範囲よりも小さすぎると層厚のムラが発生しやすくなる。これにより帯電均一性を満足することができなくなり、これにより、ゴースト画像が発生するという弊害を生じ好ましくない。また、上記範囲よりも大きすぎると弾性層に保持させた適度な弾性が失われ、感光体との当接が適正でなくなるため、帯電均一性を満足させることができなくなってしまうという不都合が生じ好ましくない。
【0087】
また、弾性層、表面層及び抵抗層の層厚は、層断面を光学顕微鏡により観察し、その層厚を実測することにより求める方法を好ましくは例示することができる。具体的には、帯電部材をカッターナイフ等により切断し、その切断部分を光学顕微鏡により観察し、それぞれの層厚を測定する。
【0088】
また表面層や抵抗層を設ける場合では、表面層は熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーの少なくともいずれかから形成された層であることが、表面層及び抵抗層が被覆層の一部を形成する観点から好ましく、これらの樹脂やエラストマーには、被覆層で先に例示した樹脂やエラストマーが挙げられる。同様に表面層や抵抗層はスチレン系の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーで形成されていることが好ましく、表面層や抵抗層の電気抵抗を調整する観点から、これらの樹脂やエラストマーには先に示した導電性フィラーが添加されていることが好ましい。
【0089】
【実施例】
本発明について、実施例により、更に具体的に説明するが、本発明の要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0090】
<実施例1>
下記の要領で本発明の帯電部材としての帯電ローラを作製した。
スチレン系エラストマー(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体
) 100質量部
カーボンブラック 25質量部
エポキシ系改質剤 4質量部
パラフィンオイル 17質量部
以上の材料を、二軸混練押し出し機を用いて混練、造粒して熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。上記ペレットを、クロスヘッドダイを有するφ40mm押し出し機を用いて、φ6mmステンレス製の芯金に外径φ12mmの被覆層を成型し、導電性ローラを得た。
【0091】
作製した帯電ローラについて、以下の項目について測定を行った。
「帯電ローラマイクロ硬度測定」
前述したマイクロ硬度計MD−1型(高分子計器株式会社製)を用い、23℃/55%環境においてピークホールドモードで測定した。結果を表1に示す。
「帯電ローラ電気抵抗測定」
前述した抵抗測定装置(三菱化学(株)製絶縁抵抗計Hiresta−UP)を用い、23℃/55%環境において測定した。
【0092】
本実施例の被覆層の電気抵抗は、5.0×105Ωcmであり、その最大値/最小値は8.2であった。
【0093】
また、下記の要領で本実施例に用いる感光体を作製した。
まず、実施例に使用する電荷発生材料であるオキシチタニウムフタロシアニンを下記の要領で作製した。
【0094】
α−クロロナフタレン100g中、o−フタロジニトリル5.0g、四塩化チタン2.0gを200℃にて3時間加熱撹拌した後、50℃まで冷却して析出した結晶を濾別し、ジクロロチタニウムフタロシアニンのペーストを得た。次にこれを100℃に加熱したN,N’−ジメチルホルムアミド100mLで撹拌・洗浄し、次いで60℃のメタノール100mLで2回洗浄を繰り返し濾別した。更にこの得られたペーストを脱イオン水100mL中80℃で1時間撹拌し、濾別して青色のオキシチタニウムフタロシアニン結晶を得た。収量は4.3gであった。この化合物の元素分析値は以下の通りであった。
【0095】
【0096】
次にこの結晶を濃硫酸30mLに溶解させ20℃の脱イオン300mL中に撹拌下で滴下して再析出、濾過し、十分に水洗した後、非晶質のオキシチタニウムフタロシアニンを得た。この非晶質のオキシチタニウムフタロシアニン4.0gをメタノール100mL中室温(22℃)下、8時間懸濁・撹拌処理し、濾別、減圧乾燥し低結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを得た。更に、低結晶性のオキシチタニウムフタロシアニン2.0gにn−ブチルエーテル40mLを加え、1mmφガラスビーズと共にミリング処理を室温下(22℃)20時間行った。この分散液より固形分を取りだし、メタノール、水で十分に洗浄、乾燥した。収量は1.8gであった。この結晶のX線回折における回折角2θ±0.2°は9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有していた。
【0097】
上記の電荷発生材料を用い、下記の要領で本実施例に使用する感光体を作製した。
直径30mm、長さ260mmのAlシリンダーを導電性支持体とし、それに、以下の材料より構成される塗料を導電性支持体上にディッピング法で塗布し、140℃、30分の条件で熱硬化して厚さ15μmの導電層を形成した。
導電性顔料:酸化スズコート処理酸化チタン 10質量部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 10質量部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 10質量部
レベリング剤:シリコーンオイル 0.001質量部
溶剤:メタノール/メチルセロソルブ=1/1 20質量部
【0098】
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部と共重合ナイロン3部とをメタノール65部とn−ブタノール30部とに溶解し、この溶液をディッピング法で塗布して厚さ0.5μmの中間層を形成した。
【0099】
次に、上記で作製した電荷発生材料(オキシチタニウムフタロシアニン)3質量部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM−2、積水化学製)2部及びシクロヘキサノン80部を、φ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、メチルエチルケトン115部を加えて電荷発生層用分散液を得た。これを前記中間層上にディッピング法で塗布し、厚さ0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0100】
次に、下記構造式(1)のアミン化合物7部、下記構造式(2)のアミン化合物3部、及び下記構造式(3)のビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量22000)12部を、モノクロルベンゼン55部及びジクロルメタン12部に溶解した。この塗料を前述の電荷発生層の上にディッピング法で塗布し、110℃で1時間乾燥し厚さ20μmの電荷輸送層を形成した。
【0101】
【化1】
【0102】
【化2】
【0103】
【化3】
【0104】
得られた帯電ローラ及び感光体を使用して、画像形成装置によるゴースト画像評価を行った。
【0105】
「ゴースト画像評価」
図1に示す電子写真方式の画像形成装置に、作製した帯電ローラ及び感光体ドラムを取り付け、環境1(温度23℃、湿度55%)、環境2(温度32.5℃、湿度80%)、環境3(温度15℃、湿度10%)の各環境下においてゴースト画像評価を行った。このゴースト画像は、前述したように、図9に示す感光体ドラムの表面電位において、帯電1周目、帯電2周目以降の飽和電位(暗部電位)との間に電位差(VD1とVD2との差)が生じるため、発生するのであるが、その画像ランクは上述した電位差に依存しているのである(以降、上述の電位差をΔVDと称することにする)。即ち、ΔVD値が小さい程、ゴースト画像レベルは良いのである。
【0106】
したがって、本発明書中におけるゴースト画像レベルの評価はΔVDの値をもって行うこととする。結果を表1に示す。表中のランク1はΔVD=0v、ランク2は0v<ΔVD≦5v、ランク3は5v<ΔVD≦10v、ランク4は10v<ΔVDである。実際のゴースト画像レベルは、ランク1が非常に良い、ランク2は良い、ランク3はかすかにゴースト画像発生、ランク4はゴースト画像が目立つというレベルである。
【0107】
<実施例2>
本実施例の帯電ローラについては、実施例1と同様にして弾性層を得た。これと同時に、
スチレン系エラストマー 100質量部
カーボンブラック 10質量部
のペレットを弾性層と同様にして作製し、別のクロスヘッドダイを用いて上記弾性層を被覆して帯電ローラを得た。被覆により形成された表面層の膜厚は23μmであった。また作製した帯電ローラについて、実施例1と同様に測定を行った。本実施例の帯電ローラのマイクロ硬度を表1に示す。また本実施例の帯電ローラにおける表面層の電気抵抗は4.6×106Ωcmであり、その最大値/最小値は20.5であった。
【0108】
また、本実施例においては、実施例1と同様の感光体を用いて同様の画像評価を行った。結果を表1に示す。
【0109】
<実施例3>
本実施例の帯電ローラについては、実施例1と同様にして弾性層を得た。これと同時に、
ポリアミド系エラストマー 100質量部
のペレットを弾性層と同様にして作製し、別のクロスヘッドダイを用いて上記弾性層を被覆して帯電ローラを得た。被覆により形成された表面層の膜厚は18μmであった。また作製した帯電ローラについて、実施例1と同様に測定を行った。本実施例の帯電ローラのマイクロ硬度を表1に示す。また本実施例の帯電ローラにおける表面層の電気抵抗は6.0×1014Ωcmであり、その最大値/最小値は9.0であった。
【0110】
また、本実施例においては、実施例1と同様の感光体を用いて同様の画像評価を行った。結果を表1に示す。
【0111】
<実施例4>
本実施例の帯電ローラについては、実施例1と同様にして弾性層を得た。続いて、
スチレン系エラストマー 100質量部
カーボンブラック 20質量部
を30φの押し出し機で混練した。混練したペレットを環状ダイ付き40φの押し出し機を用い、環状ダイより下方に溶融チューブの状態で押し出す。押し出した溶融チューブを、環状ダイと同一軸線上に支持棒を介して装着した。φ30の冷却マンドレル外表面に接しめて冷却固化させてシームレスチューブとした。次に、シームレスチューブの中に設置されている中子と、外側に設置されているロールにより、シームレスチューブを円筒形を保持した状態で引き取った。得られたチューブを先に得られた弾性層ローラへ加熱収縮により被覆させ帯電ローラを得た。被覆により形成された表面層の膜厚は50μmであった。また作製した帯電ローラについて、実施例1と同様に測定を行った。本実施例の帯電ローラのマイクロ硬度を表1に示す。また本実施例の帯電ローラにおける表面層の電気抵抗は4.5×1011Ωcmであり、その最大値/最小値は9.8であった。
【0112】
また、本実施例においては、実施例1と同様の感光体を用いて同様の画像評価を行った。結果を表1に示す。
【0113】
<実施例5>
下記の要領で本発明の帯電部材としての帯電ローラを作製した。
以上の材料を45℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練し、原料コンパウンドを調製する。このコンパウンドに原料のゴムのエピクロルヒドリンゴム100質量部に対し、加硫剤としての硫黄1質量部、加硫促進剤としてのDM(ジベンゾチアジルスルフィド)1質量部及びTS(テトラメチルチウラムモノスルフィド)0.5質量部を加え、20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練する。得られたコンパウンドを、φ6mmステンレス製の芯金に外径φ15mmのローラ状になるように押し出し成型機にて成型し、加熱蒸気加硫した後、外径がφ12mmになるように研磨加工を行い、弾性層を得た。
【0114】
上記弾性層の上に以下に示す表面層を被覆形成した。表面層の材料として、
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液 100質量部
メチルイソブチルケトン 220質量部
導電性酸化錫(シラン系カップリング剤処理品) 90質量部
変性ジメチルシリコーンオイル 0.08質量部
を混合して混合溶液を作製した。ガラスビーズ(平均粒径φ0.8mm)を分散メディアとして、前記分散メディアを80%充填したビーズミル分散機を用い、この分散機中に前記混合溶液を13回循環させて分散を行った。分散溶液にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の各ブタノンオキシムブロック体1:1の混合物をNCO/OH=1.0となるように添加し、表面層用塗料を調製した。前記弾性ローラの弾性層の表面上に表面層用塗料をディッピング法にてコートした後、熱風循環乾燥機中で温度150℃にて1時間乾燥した。乾燥後に得られた表面層の厚みは20.5μmであった。また作製した帯電ローラについて、実施例1と同様に測定を行った。本実施例の帯電ローラのマイクロ硬度を表1に示す。また本実施例の帯電ローラにおける弾性層の電気抵抗は5.2×107Ωcmであり、その最大値/最小値は1.1であり、表面層の電気抵抗は6.7×1013Ωcmであり、その最大値/最小値は2.5であった。
【0115】
また、本実施例においては、実施例1と同様の感光体を用いて同様の画像評価を行った。結果を表1に示す。
【0116】
<実施例6>
本実施例においては、実施例2と同様にして帯電ローラを得た。
【0117】
また、本実施例においては、使用するフタロシアニン化合物をヒドロキシガリウムフタロシアニンに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。
【0118】
本実施例に使用するヒドロキシガリウムフタロシアニンを下記の要領で作製した。o−フタロジニトリル73g、三塩化ガリウム25g、α−クロルナフタレン400mLを窒素雰囲気下、200℃で4時間反応させた後、130℃で生成物をろ過した。得られた生成物をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて130℃で1時間分散洗浄した後、ろ過し、メタノールで洗浄後乾燥し、クロロガリウムフタロシアニンを45g得た。
【0119】
ここで得られたクロロガリウムフタロシアニン15gを10℃の濃硫酸450gに溶解させ、氷水2300g中に撹拌下に滴下して再析出させてろ過した。2%アンモニア水で分散洗浄後、イオン交換水で十分に水洗した後、ろ別、乾燥して低結晶性のヒドロキシガリウムフタロシアニンを13g得た。
【0120】
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンを10g、N,N−ジメチルホルムアミド300gを1mmφのガラスビーズ450gと共にミリング処理を室温(22℃)下、6時間行った。この分散液により固形分を取り出し、メタノール、次いで水で十分に洗浄、乾燥してヒドロキシガリウムフタロシアニンを9.2g得た。このヒドロキシガリウムフタロシアニンのX線回折における回折角2θ±0.2°は7.4°、28.2°に強いピークを有していた。この化合物の元素分析値を示す。
【0121】
【0122】
得られた帯電ローラ及び感光体を用いて実施例1と同様の画像評価を行った。結果を表1に示す。
【0123】
<比較例1>
比較例1において下記の方法で帯電ローラを作製した。
EPDM 100質量部
導電性カーボンブラック 30質量部
酸化亜鉛 5質量部
脂肪酸 2質量部
以上の材料を60℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練した後、20℃に冷却した密閉型ミキサーでさらに20分間混練し、原料コンパウンドを調製する。このコンパウンドに原料のゴムのEPDM100質量部に対し加硫剤としての硫黄0.5質量部、加硫促進剤としてのMBT(2−メルカプトベンゾチアゾール)1質量部、TMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)1質量部、ZnMDC(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)1.5質量部を加え、20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練する。得られたコンパウンドを、φ6mmステンレス製の芯金の周囲に外径φ12mmのローラ状になるようにプレス成型機にて加熱加硫成型することにより弾性層を得た。
【0124】
上記弾性層の上に以下に示すような抵抗層を被覆形成した。
抵抗層の材料として、
ポリウレタン樹脂 100質量部
導電性カーボンブラック 15質量部
をメチルエチルケトン(MEK)溶媒にて分散溶解して抵抗層用塗料を作製する。この塗料を弾性層2b上にディッピング法にて塗布して膜厚100μmの抵抗層を被覆形成した。
【0125】
さらに抵抗層2cの上に以下に示す表面層を被覆形成した。
表面層2dの材料として
ポリアミド樹脂 100質量部
導電性カーボンブラック 10質量部
をメタノール/トルエン混合溶媒にて分散溶解して表面層用塗料を作製する。この塗料を用いて、ディッピング法にて塗布して膜厚5μmの表面層を被覆形成しローラ形状の帯電部材を得た。
【0126】
また作製した帯電ローラについて、実施例1と同様に測定を行った。本比較例の帯電ローラのマイクロ硬度を表1に示す。また本比較例の帯電ローラにおける弾性層の電気抵抗は8.2×109Ωcmであり、その最大値/最小値は58.3、抵抗層の電気抵抗は5.3×1016Ωcmであり、その最大値/最小値は20.5、表面層の電気抵抗は6.3×1017Ωcmであり、その最大値/最小値は101.2であった。
【0127】
また、本比較例においては、使用する電荷発生材料を下記構造式(4)に示すジスアゾ顔料に変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。
【0128】
【化4】
【0129】
得られた帯電ローラ及び感光体を用いて実施例1と同様の画像評価を行った。結果を表1に示す。
【0130】
【表1】
【0131】
表1からわかるように、上記実施例では各環境においてランク1〜ランク3を示し、ゴースト画像の発生が概ね防止されたが、比較例ではランク4が確認され、より顕著なゴースト画像の発生が認められた。
【0132】
【発明の効果】
本発明によれば、接触帯電方式の画像形成装置において、感光体には導電性支持体と、この導電性支持体上に形成されフタロシアニン化合物を含有する感光層とを有する感光体を用い、この感光体に接触して帯電させるための帯電部材として、導電性基体と、この導電性基体上に形成され少なくとも導電性及び弾性を有する被覆層とにより構成されるローラ状の帯電部材であり、マイクロ硬度が90°以下である帯電部材を構成することから、優れた電子写真特性としての高感度を維持しつつ、ゴースト画像が発生することのない帯電部材、この帯電部材を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができ、安定した帯電特性を維持することが可能なことから、長期にわたって良好な画像を提供することができる。
【0133】
また本発明では、感光体の感光層に含まれるフタロシアニン化合物は、オキシチタニウムフタロシアニン、シリコンフタロシアニン及びガリウムフタロシアニンのいずれかより選ばれる化合物であると、優れた電子写真特性としての高感度を維持する上でより一層効果的である。
【0134】
また本発明では、帯電部材の被覆層は、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーの少なくともいずれかから形成された層であると、感光体に対する接触性を向上させ、感光体に対する帯電均一性を高める観点からより効果的であり、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーは、スチレン系の熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーであるとより一層効果的である。
【0135】
また本発明では、帯電部材の被覆層は、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーの少なくともいずれかから形成され、かつ導電性フィラーが添加されている層であると、帯電部材の導電性を調整する上でより効果的である。
【0136】
また本発明では、帯電部材の被覆層はオイルが添加されている層であると、感光体に対する接触性を高める上でより効果的であり、被覆層に添加されているオイルがパラフィン系オイルであるとより一層効果的である。
【0137】
また本発明では、被覆層は、少なくとも弾性層と表面層とがこの順に形成された積層構造を有すると、例えば離型性の向上や、弾性特性と機械的強度との調整など、帯電部材に望まれる各種物性を調整する上でより有利であり、優れた電子写真特性としての高感度を維持しつつ、ゴースト画像が発生することのない帯電部材を提供する上でより一層効果的である。
【0138】
また本発明では、帯電部材の表面層は、シームレスチューブ被膜により形成されていると、良好な表面層を形成する上でより効果的である。
【0139】
また本発明では、帯電部材の表面層は表面抵抗が103〜1015Ωcmであり、かつこの表面抵抗の最大値を最小値で除した値が100以内であると、感光体を均一に帯電する上でより一層効果的である。
【0140】
また本発明では、帯電部材の表面層は、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーの少なくともいずれかから形成された層であると、表面層を有する帯電部材の感光体に対する接触性を向上させる上でより効果的であり、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーはスチレン系の熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーであるとより一層効果的である。
【0141】
また本発明では、帯電部材の表面層は、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーの少なくともいずれかから形成され、かつ導電性フィラーが添加されている層であると、表面層を有する帯電部材の帯電特性を調整する上でより一層効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置における一実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明の帯電部材における一例を示す概略図である。
【図3】本発明の帯電部材における他の例を示す概略図である。
【図4】本発明の帯電部材における他の例を示す概略図である。
【図5】本発明の帯電部材における他の例を示す概略図である。
【図6】本発明に用いられる感光体の一例における層断面を示す概略図である。
【図7】本発明に用いられる感光体の他の例における層断面を示す概略図である。
【図8】感光体の表面電位を測定する構成の一例を示す概略図である。
【図9】従来技術において感光体の表面電位を測定した際のチャートの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 帯電部材(帯電ローラ)
2a 導電性基体
2b 弾性層
2c 抵抗層(第1の抵抗層)
2d 表面層
2e 第2の抵抗層
3 露光手段
4 現像手段
4a トナー担持体
4b 撹拌部材
4c トナー規制部材
5 転写手段
6 クリーニング手段
11 表面電位計
L レーザー光
S1、S2 バイアス印加電源
P 転写材
Claims (9)
- 感光体と、この感光体に接触して配置される帯電部材を有し、この帯電部材に電圧を印加することによって前記感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した感光体を露光して感光体に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像が形成された感光体にトナーを供給して静電潜像に応じたトナー像を感光体上に形成する現像手段と、感光体上のトナー像を転写材に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
前記感光体は、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成されフタロシアニン化合物を含有する感光層とを有し、
前記帯電部材は、導電性基体と、この導電性基体上に形成され少なくとも導電性及び弾性を有する被覆層とにより構成されるローラ状の帯電部材であり、この帯電部材のマイクロ硬度が90°以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 前記フタロシアニン化合物は、オキシチタニウムフタロシアニン、シリコンフタロシアニン及びガリウムフタロシアニンのいずれかより選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 画像形成装置本体に着脱自在に構成されたプロセスカートリッジにおいて、
このプロセスカートリッジは、感光体と、この感光体に接触して配置される帯電部材とを有し、
前記感光体は、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成されフタロシアニン化合物を含有する感光層とを有し、
前記帯電部材は、導電性基体と、この導電性基体上に形成され少なくとも導電性及び弾性を有する被覆層とにより構成されるローラ状の帯電部材であり、この帯電部材のマイクロ硬度が90°以下であることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 前記フタロシアニン化合物は、オキシチタニウムフタロシアニン、シリコンフタロシアニン及びガリウムフタロシアニンのいずれかより選ばれる化合物であることを特徴とする請求項3記載のプロセスカートリッジ。
- 感光体と、この感光体に接触して配置される帯電部材を有し、この帯電部材に電圧を印加することによって前記感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した感光体を露光して感光体に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像が形成された感光体にトナーを供給して静電潜像に応じたトナー像を感光体上に形成する現像手段と、感光体上のトナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、前記感光体は、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成されフタロシアニン化合物を含有する感光層とを有する感光体である画像形成装置に用いられる帯電部材であり、
この帯電部材は、導電性基体と、この導電性基体上に形成され少なくとも導電性及び弾性を有する被覆層とにより構成されるローラ状の帯電部材であり、かつマイクロ硬度が90°以下であることを特徴とする帯電部材。 - 前記被覆層は、少なくとも弾性層と表面層とがこの順に形成された積層構造を有することを特徴とする請求項5記載の帯電部材。
- 前記帯電部材の表面層は、表面抵抗が103〜1015Ωcmであり、かつこの表面抵抗の最大値を最小値で除した値が100以内であることを特徴とする請求項5又は6に記載の帯電部材。
- 前記帯電部材の表面層は、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーの少なくともいずれかから形成された層であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の帯電部材。
- 前記熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーは、スチレン系の熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項8記載の帯電部材。
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-
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- 2002-06-28 JP JP2002189886A patent/JP2004029670A/ja active Pending
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