JP2004294849A - 帯電部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性樹脂層の誘電緩和特性を制御することで、優れた帯電均一性を確保することができ、画像不良の発生のない帯電部材を提供することにあり、特に直流電圧のみ印加し、一次帯電前に感光体上の電位を消去するための工程である前露光のない電子写真プロセスにおける帯電部材を提供することである。
【解決手段】帯電部材の最外層が測定周波数20Hz〜1MHz迄で誘電緩和が生じ、更にその誘電緩和特性が測定周波数20Hz時の比誘電率ε、1MHz時の比誘電率εとした時、10<ε−ε<500で、かつ1kHz時の誘電率ε>10である帯電部材。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンター等において、静電潜像プロセスに用いられる電子写真感光体等の潜像保持体を安定に帯電させるのに使用する、最外層の誘電緩和特性を制御した帯電部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機やプリンター等の電子写真プロセスでは、まず、電子写真感光体の表面を一様に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して、光の当たった部分の帯電を消去することによって潜像を形成し、次いで、トナーを付着させることによってトナー像を形成した後、紙等の記録媒体へトナー像を転写することによって、プリントする方法がとられている。これらをコントロールするための各種のローラが使われ、近年ますますそのローラ素材に対する要求特性は厳しくなっている。
【0003】
電子写真プロセスのうち、感光体の表面を帯電させる工程は、従来コロナ放電方式が一般的に採用されてきた。しかしながら、このコロナ放電方式は6〜10kVもの高電圧印加が必要とされるため、機械の安全保守の観点から好ましくない。また、コロナ放電時に発生するオゾン等が感光体に悪影響を及ぼすことがあった。
【0004】
このため、コロナ放電に比べて低い印加電圧で帯電を行うことができ、かつオゾン等の発生を抑制することができる帯電方式への取り組みがなされてきている。かかる帯電方式の試みとして、感光体等の被帯電体に所定の圧力で当接させた帯電用部材に電圧を印加することによって被帯電体を帯電させる接触帯電方式が提案されている。
【0005】
しかしながら、接触帯電方式は、帯電均一性に関しては、コロナ帯電方式と比較してやや不利である。
【0006】
この帯電均一性を改善するために、所望の被帯電体表面電位Vdに相当する直流電圧に帯電開始電圧(Vth)の2倍以上のピーク間電圧を持つ交流電圧成分(AC電圧成分)を重畳した電圧(脈流電圧:時間とともに電圧値が周期的に変化する電圧)を接触帯電部材に印加する「AC帯電方式」が用いられている。これはAC電圧による電位の均し効果を目的としたものであり、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央である電位Vdに収束し、環境等の外乱に影響されることなく、接触帯電方法として優れた方法である。
【0007】
しかしながら、直流電圧印加時における放電開始電圧(Vth)の2倍以上のピーク間電圧である高圧の交流電圧を重畳させるために、直流電源とは別に交流電源が必要となり、装置自体のコストアップの要因となる。更には交流電流を多量に消費することにより、帯電部材及び感光体の耐久性が低下し易いという問題があった。
【0008】
これらの問題点は、帯電部材に直流電圧のみを印加した帯電を行うことにより解消されるものの、帯電部材に直流電圧のみを印加すると、以下の問題点があった。
【0009】
即ち、前記従来の帯電部材に直流電圧のみを印加すると、感光体等の被帯電体表面に所望の帯電電位以上に帯電された場合や電位が不足した場合に起因する帯電ムラが発生し易い。特に、一次帯電前に感光体上の電位を消去するための工程である前露光のない電子写真プロセスにおいては、ハーフトーン画像領域の電位部に発生し易い。
【0010】
このような問題の発生する従来の帯電部材を用いて、例えば、反転現像方式を用いた電子写真装置によりハーフトーン画像を出力すると、上記の帯電ムラは画像上、部分的に白スジ、白ポチ、あるいは黒スジ、黒ポチやガサつきが発生し、画像品質が低下し易いという問題があった。この帯電電位ムラの発生は、温度15℃、相対湿度10%RH(以下L/L環境と呼ぶ)において、特に顕著に生じる傾向にある。
【0011】
特許文献1には、帯電部材と感光体の間に、直流に交流を重畳する電圧を印加すると振動による騒音が発生し、交流印加を止めれば帯電時の騒音は解消されるが、均一帯電ができないとしている。そこで、帯電時の騒音を低減するために、導電層の樹脂の比誘電率が8以下で、体積抵抗率が10Ω・cm時点で40以下とすることが記載されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平10−39579号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法であっても、直流電圧のみ印加し、一次帯電前に感光体上の電位を消去するための工程である前露光のない電子写真プロセスにおいては、ハーフトーン画像領域で帯電均一性が満足しないこともあった。
【0014】
従って、本発明の目的は、導電性樹脂層の誘電緩和特性を制御することで、優れた帯電均一性を確保することができ、画像不良の発生のない帯電部材を提供することにあり、特に直流電圧のみ印加し、一次帯電前に感光体上の電位を消去するための工程である前露光のない電子写真プロセスにおける帯電部材を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、帯電部材の最外層が測定周波数20Hz〜1MHz迄で誘電緩和が生じ、更にその誘電緩和特性が測定周波数20Hz時の比誘電率ε、1MHz時の比誘電率εとした時、10<ε−ε<500で、かつ1kHz時の誘電率ε>10であることを特徴とする帯電部材が提供される。
【0016】
第2の本発明によれば、前記最外層に導電性粒子が5質量%〜15質量%、絶縁性粒子が10質量%〜30質量%を含有し、かつ該絶縁性粒子の平均粒子径が5〜25μmである帯電部材。
【0017】
第3の本発明によれば、前記帯電部材の表面粗さRz(μm)が、5<Rz<25である帯電部材。
【0018】
第4の本発明によれば、前記絶縁性粒子が球状の弾性体粒子であり、該球状の弾性体粒子が架橋タイプのアクリル樹脂又はアクリル樹脂/スチレン樹脂の共重合体である帯電部材。
【0019】
第5の本発明によれば、前記最外層の厚みが10〜50μmである帯電部材。
【0020】
第6の本発明によれば、前記導電性弾性体層の硬度が、アスカーCで70度以上である帯電部材。
【0021】
第7の本発明によれば、電子写真感光体、該電子写真感光体に接触配置され、電圧を印加されることにより該電子写真感光体を帯電する前記帯電部材を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0022】
第8の本発明によれば、前記帯電部材に印加される電圧が直流電圧のみであるプロセスカートリッジ。
【0023】
第9の本発明によれば、電子写真感光体、該電子写真感光体に接触配置され、電圧を印加されることにより該電子写真感光体を帯電する前記帯電部材、現像手段及び転写手段を具備することを特徴とする電子写真装置。
【0024】
第10の本発明によれば、前記帯電部材に印加される電圧が直流電圧のみである電子写真装置。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
本発明においては、直流電圧のみを印加する帯電方式のため、帯電均一性を確保するために、導電性樹脂層の静電容量を大きく、かつ誘電緩和特性を併せ持つことが必要があることを見出し本発明を完成するに至ったものである。この最外層としての導電性被覆層の誘電緩和特性として、測定周波数20Hz〜1MHz迄で誘電緩和が生じ、更にその誘電緩和特性が測定周波数20Hzときの比誘電率ε、1MHzの時比誘電率εとした時、10≧ε−εであると、静電容量が小さいため、帯電不足となり短い多数の黒スジが発生のため、帯電均一性が劣り、ε−ε≧500であると、逆に過帯電状態となり、白スジあるいはリーク等の問題が生じてくる。好ましくは20<ε−ε<300である。
【0027】
また、1kHzの時の誘電率ε≦10では、帯電不足となり短い多数の黒スジが発生のため、帯電均一性が劣る。好ましくはε>12である。
【0028】
最外層である導電性被覆層の誘電特性は、導電性粒子の量、絶縁性粒子の量及びその粒子径、また塗料化の際の分散条件等の影響を受ける。本発明においては、10<ε−ε<500で、かつ1kHzの時の誘電率ε>10となる範囲内であることが重要なのであって、その達成手段は特に限定されるものではないが、導電性粒子の量、絶縁性粒子の量及びその粒子径を調整するだけでなく、特に塗料化の際に重要な分散条件で調整することが好ましい。
【0029】
本発明の帯電部材の構造及び形態として、図2に本発明の帯電部材である帯電ローラの断面の一例の概略図を示す。図中の帯電ローラは、導電性弾性体層12を導電性支持体(シャフト)11の外周に有し、該導電性弾性体層12の外側に、最外層13として導電性被覆層を有している。
【0030】
上記導電性弾性体層12としては、従来から帯電部材の弾性体層として用いられているゴムや熱可塑性エラストマー等のソリッド体で形成することができる。具体的には、ポリウレタン、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム及びエピクロルヒドリンゴム等を基材ゴムとするゴム組成物、あるいは熱可塑性エラストマーで、その種類としては特に制限はなく、汎用のスチレン系エラストマー及びオレフィン系エラストマー等から選ばれる1種あるいは複数種の熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。
【0031】
スチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、三菱化学(株)製「ラバロン」、クラレ(株)製「セプトンコンパウンド」等が挙げられる。オレフィン系エラストマーの市販品としては、例えば、三菱化学(株)製の「サーモラン」、三井石油化学工業(株)社製の「ミラストマー」、住友化学工業(株)社製の「住友TPE」及びアドバンストエラストマーシステムズ社製の「サントプレーン」等として市場より求めることができる。
【0032】
この導電性弾性体層12には、導電性粒子を添加することにより、所定の導電性を付与することができる。その導電性粒子としては、特に制限されず、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム及び変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、エトサルフェート塩、臭化ベンジル塩及び塩化ベンジル塩等のハロゲン化ベンジル塩等の第四級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩及び高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤、各種ベタイン等の両性イオン界面活性剤、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル及び多価アルコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤等の帯電防止剤、LiCFSO、NaClO、LiAsF、LiBF、NaSCN、KSCN及びNaCl等のLi、Na及びK等の周期律表第1族の金属塩あるいは第四級アンモニウム塩等の電解質、また、Ca(ClO等のCa2+及びBa2+等の周期律表第2族の金属塩及びこれらの帯電防止剤が、少なくとも1個以上の水酸基、カルボキシル基及び一級ないし二級アミン基等のイソシアネートと反応する活性水素を有する基を持ったものが挙げられる。
【0033】
更には、それらと1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール等の多価アルコールとその誘導体等の錯体、あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル及びエチレングリコールモノエチルエーテル等のモノオールとの錯体等のイオン導電性粒子、あるいはケッチェンブラックEC及びアセチレンブラック等の導電性カーボン、あるいはSuper Abrasion Furnace(SAF超耐磨耗性)、Intermediate Super Abrasion Furnace(ISAF 準超耐磨耗性)、High Abrasion Furnace(HAF 高耐磨耗性)、Fast Extruding Furnace(FEF 良押出性)、General Purpose Furnace(GPF 汎用性)、Semi Reinforcing Furnace(SRF 中補強性)、Fine Thermal(FT 微粒熱分解)及びMedium Thermal(MT 中粒熱分解)等のゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀及びゲルマニウム等の金属及び金属酸化物、あるいはポリアニリン、ポリピロール及びポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられる。
【0034】
これら導電性粒子の配合量は、組成物の種類に応じて適宜選定され、導電性弾性体層12の電気抵抗が好ましくは10〜10Ω、より好ましくは10〜10Ωとなるように調整される。
【0035】
本発明においては、導電性弾性体層の硬度が、アスカーCで70度以上であることが好ましく、特には73度以上であることが好ましい。硬度が70度未満であると被帯電体との当接時の変形量が大きくなるために当接部分の永久変形量が大きくなり易い。
【0036】
上記最外層13である導電性被覆層が含有する樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、ウレタン変性アクリル、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂等が挙げられ、有機系及び水系のいずれのものも使用することができる。これらの中では、架橋可能な樹脂である、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂が好ましく、特には、ウレタン変性アクリル樹脂が好ましい。
【0037】
更に、この最外層13である導電性被覆層は、架橋剤等の添加剤を必要に応じて適量添加することができる。この場合、架橋剤としては、所望の架橋効果が得られるものであればいずれのものでもよい。例えば、エポキシ系、オキサゾリン系、メラミン系、イソシアネート系及びフェノール系の架橋剤を例示することができる。
【0038】
また、最外層である導電性被覆層13には、導電性粒子を添加して導電性を付与又は調整することができ、この場合導電性粒子としては、特に制限されるものではないが、ケッチェンブラックEC及びアセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAFFEF、GPF、SRF、FT及びMT等のゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属及び金属酸化物等を用いることができる。
【0039】
更に、前記導電性粒子を有機系溶剤で使用する場合は、分散性を考慮し、導電性粒子の表面をシランカップリング処理等の表面処理を施すことが好ましい。
【0040】
また、上記導電性粒子の添加量は、所望とする抵抗及び誘電緩和特性が得られるように適宜調整することができる。この場合、最外層13である導電性被覆層の抵抗は、電気抵抗10〜1012Ωが好ましく、特には10〜1011Ωが好ましく、このような体積抵抗率を達成するように導電性粒子の添加量を調整することができ、導電性粒子としてシランカップリング剤により表面処理を施されたアンチモンドープの酸化錫を用いた場合の添加量は、最外層13である導電性被覆層の全質量の5〜15質量%であることが好ましく、特には8〜14質量%程度であることが好ましい。
【0041】
また、帯電部材としての電気抵抗は、好ましくは10〜1010Ω、特には10〜10Ωとすることが好ましい。
【0042】
本発明においては、誘電緩和特性のうちε−εを増大させるという目的で、最外層13である導電性被覆層に絶縁性粒子14を添加することが好ましい。その場合の帯電部材の断面図を図3に示す。
【0043】
絶縁性粒子14の含有量は、最外層である導電性被覆層の全質量に対して10〜30質量%であることが好ましく、特には15〜25質量%であることが好ましい。含有量が10質量%に満たないと、粒子を添加したことによる帯電均一性向上の効果を得難くなり、30質量%を超えると、画像上の黒ポチの要因となり易い。
【0044】
かかる絶縁性粒子14の平均粒子径は5〜25μmであることが好ましく、特には8μm〜20μmである球状の弾性体粒子が好ましい。平均粒子径は、測定装置としてコールターカウンターのマルチサイザーII型(コールター社製)を用い、個数分布と体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピューター(キヤノン製)を接続し、電解液は特級又は一級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。測定法としては前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターのマルチサイザーII型により、アパーチャーとして、100μmアパーチャーを用いることによって測定される。平均粒子径が5μmに満たないと、ε−εを増大させる効果が小さいため、帯電均一性向上し難く、25μmを超えると画像上に黒ポチ発生及び耐久後のトナー外添剤等による帯電部材表面が汚れ易くなる。
【0045】
かかる帯電部材の表面粗さRz(μm)が、5<Rz<25であることが好ましく、特に8μm〜12μmであることが好ましい。5μm以下では静電容量が小さくなり、帯電均一性が満足せず、25μm以上では表面層のトナー及びその外添剤等による付着が大きくなり、これも帯電均一性が劣るようになる。
【0046】
かかる球状の弾性体粒子としては、上記導電性粒子以外の絶縁性粒子の有機粒子として、アクリル樹脂、アクリル/スチレンの共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーンゴム粒子及びエポキシ樹脂粒子等が挙げられ、このうち有機粒子であるアクリル樹脂あるいはアクリル/スチレンの共重合体樹脂は、最外層の剛性をあまり変化させないので特に好ましい。特に、有機粒子は、使用溶剤との組み合わせで膨潤し、粒子形状が変化することがないように、架橋タイプを用いる方が好ましい。
【0047】
また、本発明においては、最外層13である導電性被覆層の厚さが10〜50μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。厚さが10μm未満であると、導電性弾性体層からブリードしてくる物質を防止することができなくなり易くなり、50μmを超えると、最外である導電性被覆層が硬くなって柔軟性が損なわれる場合があり、耐久性が低下して、使用に伴いクラックが発生し易くなる。
【0048】
上記最外層13である導電性被覆層の形成方法は、特に制限されるものではないが、各成分を含む塗料を調製し、この塗料をディッピング法やスプレー法により塗布して塗膜を形成する方法が好ましく用いられる。この場合、導電性被覆層を複数層とする場合には、それぞれの層を形成する塗料を用いてディッピングやスプレーを繰り返せばよい。なお、導電性被覆層の形成方法は、上記ディッピング法やスプレー法が好ましい。
【0049】
本発明においては、導電性弾性体層12と導電性支持体11の間、あるいは導電性弾性体層12と導電性被覆層13の間に、接着性を高めること等を目的とする中間層を設けることもできる。
【0050】
図4は、本発明の帯電部材を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略図である。像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(感光体)21は、図中の矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動する。感光体21には、例えばロール状の導電性支持体と該支持体上に無機感光材料又は有機感光材料を含有する感光層とを少なくとも有する公知の感光体等を採用すればよい。また、感光体21は、感光体表面を所定の極性及び電位に帯電させるための電荷注入層を更に有していてもよい。
【0051】
帯電手段は、帯電部材としての帯電ローラ(導電性ローラ)22と帯電ローラに帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加電源S1とによって構成されている。帯電ローラ22は、感光体21に所定の押圧力で接触させてあり、本例では感光体21の回転に対して順方向に回転駆動する。この帯電ローラ22に対して帯電バイアス印加電源S1から、所定の直流電圧(本例では−1200Vとする)が印加される(DC帯電方式)ことで、感光体21の表面が所定の極性電位(本例では暗部電位−600Vとする)に一様に帯電処理される。
【0052】
露光手段23には公知の手段を利用することができ、例えばレーザービームスキャナー等を好適に例示することができる。Lは露光光である。
【0053】
感光体21の帯電処理面に該露光手段23により目的の画像情報に対応した像露光がなされることにより、感光体帯電面の露光明部の電位(本例では明部電位−350Vとする)が選択的に低下(減衰)して感光体21に静電潜像が形成される。
【0054】
反転現像手段である現像手段24としては、公知の手段を利用することができ、例えば本例における現像手段24は、トナーを収容する現像容器の開口部に配設されてトナーを担持搬送するトナー担持体24aと、収容されているトナーを攪拌する攪拌部材24bと、トナー担持体24aのトナーの担持量(トナー層厚)を規制するトナー規制部材24cとを有する構成とされている。現像手段24は、感光体21表面の静電潜像の露光明部に、感光体21の帯電極性と同極性に帯電しているトナー(ネガトナー)を選択的に付着させて静電潜像をトナー像として可視化する(本例では現像バイアス−350Vとする)。現像方式としては特に制限はなく、既存の方法全てを用いることができる。既存の方法としては、例えば、ジャンピング現像方式、接触現像方式及び磁気ブラシ方式等が存在するが、特にカラー画像を出力する画像形成装置には、トナーの飛散性改善等の目的より、接触現像方式が好ましいといえる。
【0055】
転写手段としての転写ローラ25は、公知の手段を利用することができ、例えば金属等の導電性支持体上に中抵抗に調製された弾性樹脂層を被覆してなる転写ローラ等を例示することができる。転写ローラ25は、感光体21に所定の押圧力で接触させてあり、感光体21の回転と順方向に感光体21の回転周速度とほぼ同じ周速度で回転する。また、転写バイアス印加電源S2からトナーの帯電特性とは逆極性の転写電圧が印加される。感光体21と転写ローラの接触部に不図示の給紙機構から転写材Pが所定のタイミングで給紙され、その転写材Pの裏面が転写電圧を印加した転写ローラ25により、トナーの帯電極性とは逆極性に帯電されることにより、感光体21と転写ローラの接触部において感光体21面側のトナー画像が転写材Pの表面側に静電転写される。
【0056】
トナー画像の転写を受けた転写材Pは感光体面から分離して、不図示のトナー画像定着手段へ導入されて、トナー画像の定着を受けて画像形成物として出力される。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合は、この画像形成物が不図示の再循環搬送機機構に導入されて転写部へ再導入される。
【0057】
転写残余トナー等の感光体21上の残留物は、ブレード型等のクリーニング手段26により、感光体上より回収される。
【0058】
また、感光体21に残留電荷が残るような場合には、転写後、帯電部材22による一次帯電を行う前に、前露光装置(不図示)によって感光体21の残留電荷を除去した方がよい。
【0059】
本発明のプロセスカートリッジは、少なくとも帯電部材22と感光体21を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在の構成である。帯電部材22、感光体21、現像手段24及びクリーニング手段26を一体に支持してプロセスカートリッジとした。
【0060】
【実施例】
以下、実施例、比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
<導電性弾性体層の形成>
エピクロルヒドリンゴム(商品名「エピクロマーCG102」:ダイソー(株)製)100質量部、充填剤としての炭酸カルシウム45質量部、研磨性改善のための補強材としてのSRFカーボン(商品名「旭#50」:旭カーボン製)2質量部、酸化亜鉛5質量部、可塑剤(DOP:di−octyl phthalate)10質量部、ステアリン酸1質量部、下記式で示される過塩素酸四級アンモニウム塩2質量部
【0062】
【化1】
Figure 2004294849
及び酸化防止剤(テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン])1質量部をオープンロールで30分間混練し、更に加硫促進剤(DM:dibenzothiazyl disulfide)1質量部、加硫促進剤(TS:Tetramethylthiuram monosulfide)0.5質量部及び加硫剤として硫黄1質量部を加えて、更に15分間オープンロールで混練した。
【0063】
得られた混練物をゴム押出機で、外径10mm、内径5.5mmの円筒形に押出し、250mmの長さに裁断し、加硫缶で160℃の水蒸気で40分間1次加硫し、導電性弾性体層1次加硫チューブを得た。
【0064】
次に、直径6mm、長さ256mmの円柱形の導電性支持体(鋼製、表面工業ニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部231mmに金属とゴムとの熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU−20)を塗布し、80℃で30分間乾燥した後、更に120℃で1時間乾燥した。この支持体を前記導電性弾性体基層1次加硫チューブに挿入し、その後、電気オーブンを用い、160℃で1時間、2次加硫と接着剤の硬化を行い、未研磨品を得た。この未研磨品のゴム部分の両端を切断し、ゴム部分の長さを231mmとした後、ゴム部分を回転砥石で研磨し、端部直径8.2mm、中央部8.5mmのクラウン形状で表面の十点平均粗さ(Rz)5μm、振れ25μmの導電性弾性体層を有する帯電部材を得た。
【0065】
導電性弾性体層を有する帯電部材をN/N環境(常温常湿:23℃/55%RH)に24時間放置し、図5に示す、円筒電極(金属ローラ)31、固定抵抗器32、記録計(レコーダー)33等から構成された電流値測定装置によって、印加電圧200Vでの導電性弾性体層の抵抗測定を行ったところ、3.5×10Ωであった。また、硬度は74度(アスカーC)であった。
【0066】
<最外層(導電性被覆層)の形成>
導電性酸化錫粉体(商品名「SN−100P」:石原産業(株)製)50質量部にトリフルオロプロピルトリメトキシシランの1%イソプロピルアルコール溶液を500質量部と平均粒子径0.8mmのガラスビーズ300質量部を加え、ペイントシェーカーで70時間分散後、分散液を500メッシュの網でろ過し、次にこの溶液をナウターミキサーで攪拌しながら100℃の湯浴で暖め、アルコールを飛ばして乾燥させ、表面にシランカップリング剤を付与し、表面処理導電性酸化錫を得た。
【0067】
更に、ラクトン変性アクリルポリオール(商品名「プラクセルDC2016(水酸基価 80KOHmg/g)」:ダイセル化学工業(株)製)137質量部をMIBK(メチルイソブチルケトン)463質量部に溶解し、固形分16.0質量%の溶液とした。このアクリルポリオール溶液200質量部に対して、前記表面処理導電性酸化錫粉体を41.6質量部、シリコーンオイル(商品名「SH−28PA」:東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)を0.01質量部、微粒子シリカ(一次粒子径0.02μm)を0.96質量部配合し、弾性体粒子(商品名「MX−1000」(平均粒径10μm):綜研化学(株)製)を24.00質量部、直径0.8mmのガラスビーズ200質量部を加えて、450mlのガラスビンに入れて、ペイントシェーカーを使用し、22時間分散した。
【0068】
更に、この分散液330質量部にイソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体(IPDI)(商品名「ベスタナートB1370」:デグサ・ヒュルス社製)23.3質量部とヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(HDI)(商品名「デュラネートTPA−B80E」:旭化成工業(株)製)14.9質量部を混合し、ボールミルで1時間攪拌し、最後に200メッシュの網で溶液をろ過して、最外層用塗料を得た。
【0069】
前記最外層用塗料をディッピング法により、前記導電性弾性体層を有する帯電部材の表面に塗工した。引き上げ速度400mm/minで塗工し、30分間風乾後、軸方向を反転し、再度引き上げ速度400mm/minで塗工し、30分間風乾後、オーブンを用い、160℃で1時間乾燥した。この時の膜厚は20μmであった。この表層の電気抵抗は1.2×1010Ωであった。また、帯電部材の抵抗を導電性弾性体層と同様にして測定したところ、2.5×10Ωであった。
【0070】
最外層の誘電特性は、帯電部材の最外層用塗料と同様の塗料を厚さ75μmのアルミニウムシート上にバーコーターで塗布し、帯電部材の最外層形成時と同様にして乾燥することによって、約30μmのフィルムを形成し、更に電極として白金を蒸着させた。得られたサンプルについて、ヒューレッドパッカード製プレシジョンLCRメーター(HP4284A)(HP16451B 誘電体測定用電極使用)を用い、印加電圧1Vpp、測定周波数20Hz〜1MHzで測定した。εは33.3、εは5.6、ε−εは27.7、εは14.2であった。
【0071】
<帯電部材の評価>
上記のようにして得られた帯電部材を用いて、以下に示すようにして画像評価を行った。
【0072】
本試験で使用した電子写真式レーザープリンターは、帯電部材と感光体を一体に有するプロセスカートリッジを具備する反転現像方式のA4縦出力用のマシンで、記録メディアの出力スピードは、94mm/secで、画像解像度は600dpiである。
【0073】
感光体はアルミニウムシリンダーに膜厚15μmのOPC層をコートした感光ドラムであり、最外層は変性ポリカーボネートをバインダー樹脂とする電荷輸送層である。トナーは、ワックスを中心に電荷制御剤と色素等を含有するスチレンとブチルアクリレートのランダムコポリマーを重合させ、更に表面にポリエステル薄層を重合させシリカ微粒子を外添した。このトナーのガラス転移温度は63℃、体積平均粒子径6μmの重合トナーである。
【0074】
画像評価は全て、L/L環境(低温低湿:15℃/10%RH)で行い、A4ハーフトーン(感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)画像を出力し、帯電均一性を目視により観察した。帯電ムラが発生していないものを◎、画像端部に少し発生したものを○、中程度に発生したものを△、非常にムラが大きかったものを×とした。
【0075】
実施例1の帯電部材は、L/L環境で帯電ムラが全く発生しなかった。
【0076】
(実施例2)
実施例1と同様にして、導電性支持体上に導電性弾性体層を形成した。
【0077】
次に、更に、ラクトン変性アクリルポリオール(商品名「プラクセルDC2016(水酸基価 80KOHmg/g)」:ダイセル化学工業(株)製)137質量部をMIBK(メチルイソブチルケトン)463質量部に溶解し、固形分16.0質量%の溶液とした。このアクリルポリオール溶液200質量部に対して、前記表面処理導電性酸化錫粉体41.6質量部、シリコーンオイル(商品名「SH−28PA」:東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)を0.01質量部、微粒子シリカ(一次粒子径0.02μm)0.96質量部を配合し、弾性体粒子(商品名「MX−2000」(平均粒径20μm):綜研化学(株)製)を24.00質量部、直径0.5mmのジルコニアビーズ200質量部を加えて、450mlのガラスビンに入れて、ペイントシェーカーを使用し、6時間分散した。
【0078】
更に、この分散液330質量部にイソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体(IPDI)(商品名「ベスタナートB1370」:デグサ・ヒュルス社製)4.8質量部とヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(HDI)(商品名「デュラネートTPA−B80E」:旭化成工業(株)製)3.1質量部を混合し、ボールミルで1時間攪拌し、最後に200メッシュの網で溶液をろ過して、最外層用塗料を得た。
【0079】
上記塗料を用い、実施例1と同様の条件でディッピング塗布し、乾燥することによって、実施例2の帯電部材を得た。この時の膜厚は25μmであった。この表層の電気抵抗は2.1×1010Ωであった。また、この帯電部材の電気抵抗は、印加電圧200V時で2.0×10Ωであった。
【0080】
この時の最外層の誘電特性は、εは156.7、εは5.0、ε−εは151.7、εは35.3であった。
【0081】
実施例2の帯電部材は、L/L環境で帯電ムラが全く発生しなかった。
【0082】
(実施例3)
実施例1と同様にして、導電性支持体上に導電性弾性体層を形成した。
【0083】
次に、ラクトン変性アクリルポリオール(商品名「プラクセルDC2016(水酸基価 80KOHmg/g)」:ダイセル化学工業(株)製)129質量部をMIBK(メチルイソブチルケトン)471質量部に溶解し、固形分15.0質量%の溶液とした。このアクリルポリオール溶液200質量部に対して、前記表面処理導電性酸化錫粉体66.00質量部、シリコーンオイル(商品名「SH−28PA」:東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)を0.01質量部、微粒子シリカ(一次粒子径0.02μm)0.96質量部を配合し、弾性体粒子「テクポリマー MBX−8」(平均粒径8μm)を22.50質量部、直径0.5mmのガラスビーズ180質量部を加えて、450mlのガラスビンに入れて、ペイントシェーカーを使用し、6時間分散した。
【0084】
更に、この分散液330質量部にイソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体(IPDI)(商品名「ベスタナートB1370」:デグサ・ヒュルス社製)19.3質量部とヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(HDI)(商品名「デュラネートTPA−B80E」:旭化成工業(株)製)12.3質量部を混合し、ボールミルで1時間攪拌し、最後に200メッシュの網で溶液をろ過して、最外層用塗料を得た。
【0085】
上記塗料を用い、実施例1と同様の条件でディッピング塗布し、乾燥することによって、実施例2の帯電部材を得た。この時の膜厚は20μmであった。この表層の電気抵抗は2.6×10Ωであった。また、この帯電部材の電気抵抗は、印加電圧200V時で5.6×10Ωであった。
【0086】
この時の最外層の誘電特性は、εは408.3、εは3.8、ε−εは404.5、εは75.2であった。
【0087】
実施例3の帯電部材は、L/L環境で若干画像端部に黒スジが出た程度で、問題なかった。
【0088】
(実施例4)
実施例1と同様にして、導電性支持体上に導電性弾性体層を形成した。
【0089】
次に、ラクトン変性アクリルポリオール(商品名「プラクセルDC2016(水酸基価 80KOHmg/g)」:ダイセル化学工業(株)製)137質量部を463質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、固形分16.0質量%の溶液とした。このアクリルポリオール溶液200質量部に対して、前記表面処理導電性酸化錫粉体48.0質量部、シリコーンオイル(商品名「SH−28PA」:東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)0.01質量部、微粒子シリカ(一次粒子径0.02μm)0.96質量部を配合し、弾性体粒子(商品名「テクポリマー MBX−8」(平均粒径8μm)24.00質量部:積水化成品工業(株)製)、直径0.8mmのガラスビーズ200質量部を加えて、450mlのガラスビンに入れて、ペイントシェーカーを使用し、4時間分散した。
【0090】
更に、この分散液330質量部にイソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体(IPDI)(商品名「ベスタナートB1370」:デグサ・ヒュルス社製)22.2質量部とヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(HDI)(商品名「デュラネートTPA−B80E」:旭化成工業(株)製)14.2質量部を混合し、ボールミルで1時間攪拌し、最後に200メッシュの網で溶液をろ過して、最外層用塗料を得た。
【0091】
上記塗料を用い、実施例1と同様の条件でディッピング塗布し、乾燥することによって、実施例4の帯電部材を得た。この時の膜厚は19μmであった。この表層の電気抵抗は4.0×1010Ωであった。また、この帯電部材の電気抵抗は、印加電圧200V時で3.2×10Ωであった。
【0092】
この時の最外層の誘電特性は、εは18.2、εは5.0、ε−εは13.2、εは12.6であった。
【0093】
実施例4の帯電部材は、L/L環境で若干画像端部に黒スジが出た程度で、問題なかった。
【0094】
(比較例1)
実施例1と同様にして、導電性支持体上に導電性弾性体層を形成した。
【0095】
次に、ラクトン変性アクリルポリオール(商品名「プラクセルDC2009(水酸基価 90KOHmg/g)」:ダイセル化学工業(株)製)163質量部を437質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、固形分19.0質量%の溶液とした。このアクリルポリオール溶液200質量部に対して、前記表面処理導電性酸化錫粉体49.4質量部、シリコーンオイル(商品名「SH−28PA」:東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)0.01質量部、微粒子シリカ(一次粒子径0.02μm)0.96質量部を配合し、直径0.8mmのガラスビーズ200質量部を加えて、450mlのガラスビンに入れて、ペイントシェーカーを使用し、6時間分散した。
【0096】
更に、この分散液330質量部にイソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体(IPDI)(商品名「ベスタナートB1370」:デグサ・ヒュルス社製)29.4質量部とヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(HDI)(商品名「デュラネートTPA−B80E」:旭化成工業(株)製)16.4質量部を混合し、ボールミルで1時間攪拌し、最後に200メッシュの網で溶液をろ過して、最外層用塗料を得た。
【0097】
上記塗料を用い、実施例1と同様の条件でディッピング塗布し、乾燥することによって、比較例1の帯電部材を得た。この時の膜厚は20μmであった。この表層の電気抵抗は3.5×1010Ωであった。また、この帯電部材の電気抵抗は、印加電圧200V時で4.2×10Ωであった。
【0098】
この時の最外層の誘電特性は、εは8.2、εは5.3、ε−εは2.9、εは7.4であった。
【0099】
比較例1の帯電部材は、L/L環境で画像全体に黒スジ多数発生し、帯電ムラが大きかった。
【0100】
(比較例2)
実施例1と同様にして、導電性支持体上に導電性弾性体層を形成した。
【0101】
次に、ラクトン変性アクリルポリオール(商品名「プラクセルDC2016(水酸基価 80KOHmg/g)」:ダイセル化学工業(株)製)137質量部を463質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、固形分16.0質量%の溶液とした。このアクリルポリオール溶液200質量部に対して、前記表面処理導電性酸化錫粉体16.0質量部、シリコーンオイル(商品名「SH−28PA」:東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)を0.01質量部、微粒子シリカ(一次粒子径0.02μm)0.96質量部を配合し、弾性体粒子(商品名「テクポリマー MBX−8」(平均粒径8μm)24.00質量部:積水化成品工業(株)製)、直径0.8mmのガラスビーズ200質量部を加えて、450mlのガラスビンに入れて、ペイントシェーカーを使用し、12時間分散した。
【0102】
更に、この分散液330質量部にイソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体(IPDI)(商品名「ベスタナートB1370」:デグサ・ヒュルス社製)25.7質量部とヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(HDI)(商品名「デュラネートTPA−B80E」:旭化成工業(株)製)16.4質量部を混合し、ボールミルで1時間攪拌し、最後に200メッシュの網で溶液をろ過して、最外層用塗料を得た。
【0103】
上記塗料を用い、実施例1と同様の条件でディッピング塗布し、乾燥することによって、比較例2の帯電部材を得た。この時の膜厚は25μmであった。この表層の電気抵抗は8.1×1010Ωであった。また、この帯電部材の電気抵抗は印加電圧200V時で6.5×10Ωであった。
【0104】
この時の最外層の誘電特性は、εは13.9、εは3.5、ε−εは10.4、εは9.5であった。
【0105】
比較例2の帯電部材は、L/L環境で画像中央部に黒スジが若干発生し、帯電ムラが僅かに大きかった。
【0106】
(比較例3)
実施例1と同様にして、導電性支持体上に導電性弾性体層を形成した。
【0107】
次に、ラクトン変性アクリルポリオール(商品名「プラクセルDC2009(水酸基価 90KOHmg/g)」:ダイセル化学工業(株)製)137質量部を463質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、固形分16.0質量%の溶液とした。このアクリルポリオール溶液200質量部に対して、前記表面処理導電性酸化錫粉体80.0質量部、シリコーンオイル(商品名「SH−28PA」:東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)0.01質量部、微粒子シリカ(一次粒子径0.02μm)0.96質量部を配合し、弾性体粒子(商品名「テクポリマー MBX−8」(平均粒径8μm)16.00質量部:積水化成品工業(株)製)、直径0.5mmのジルコニアビーズ160質量部を加えて、450mlのガラスビンに入れて、ペイントシェーカーを使用し、4時間分散した。
【0108】
更に、この分散液330質量部にイソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体(IPDI)(商品名「ベスタナートB1370」:デグサ・ヒュルス社製)21.9質量部とヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(HDI)(商品名「デュラネートTPA−B80E」:旭化成工業(株)製)12.5質量部を混合し、ボールミルで1時間攪拌し、最後に200メッシュの網で溶液をろ過して、最外層用塗料を得た。
【0109】
上記塗料を用い、実施例1と同様の条件でディッピング塗布し、乾燥することによって、比較例3の帯電部材を得た。この時の膜厚は22μmであった。この表層の電気抵抗は1.2×10Ωであった。また、この帯電部材の電気抵抗は、印加電圧200V時で3.5×10Ωであった。
【0110】
この時の最外層の誘電特性は、εは669.7、εは5.1、ε−εは664.6、εは111.4であった。
【0111】
比較例3の帯電部材は、L/L環境で画像端部に過帯電と思われる白スジが多数発生した。
【0112】
【表1】
Figure 2004294849
【0113】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、導電性樹脂層の誘電緩和特性を制御することで、優れた帯電均一性を確保することができ、画像不良の発生のない帯電部材及び該帯電部材を具備するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】導電性樹脂層の誘電特性を示す図である。
【図2】本発明の帯電部材である帯電ローラの断面の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の帯電部材の断面の拡大図である。
【図4】本発明の帯電部材を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略図である。
【図5】本発明の帯電部材である帯電ローラの電流値測定装置を示す概略図である。
【符号の説明】
11 導電性支持体
12 導電性弾性体層
13 最外層(導電性被覆層)
14 絶縁性粒子
21 像担持体(電子写真感光体)
22 帯電部材(帯電ローラ)
23 露光手段
24 現像手段
24a トナー担持体
24b 攪拌部分
24c トナー規制部材
25 転写手段
26 クリーニング手段
31 円筒電極(金属ローラ)
32 固定抵抗器
33 記録計(レコーダー)
L 露光光
S1、S2、S3 バイアス印加電源
P 転写材

Claims (1)

  1. 帯電部材の最外層が測定周波数20Hz〜1MHz迄で誘電緩和が生じ、更にその誘電緩和特性が測定周波数20Hz時の比誘電率ε、1MHz時の比誘電率εとした時、10<ε−ε<500で、かつ1kHz時の誘電率ε>10であることを特徴とする帯電部材。
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