JP7034813B2 - 画像形成装置、帯電部材、カートリッジ、及び帯電部材の製造方法 - Google Patents

画像形成装置、帯電部材、カートリッジ、及び帯電部材の製造方法 Download PDF

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本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置、その画像形成装置にて用いられる帯電部材、カートリッジ、及び帯電部材の製造方法に関するものである。
従来、例えば電子写真方式を用いた画像形成装置において、像担持体としての感光体(電子写真感光体)を帯電させる方式として、感光体に接触させた帯電部材に電圧を印加することで感光体を帯電させる接触帯電方式がある。帯電部材としては、ローラ状の帯電ローラが用いられることが多い。帯電ローラは、例えば、導電性支持体の外周に導電性弾性体層が設けられ、該導電性弾性体層の表面に導電性の表層が被覆された構成とされる。
接触帯電方式では、感光体と帯電部材との間の微小空隙において発生する放電(パッシェン放電)によって感光体の表面が帯電させられる。接触帯電方式には、帯電部材に直流電圧と交流電圧とを重畳した電圧を印加する「AC帯電方式」と、帯電部材に直流電圧のみを印加する「DC帯電方式」とがある。DC帯電方式は、AC電源が不要であるため、小型化、構成の簡易化、低コスト化に有利である。また、DC帯電方式は、AC帯電方式に比べて放電量が少なく、感光体の表面の削れが抑制されるため、感光体の長寿命化に有利である。一方、DC帯電方式では、AC帯電方式で得られる交流電圧による感光体の表面電位の収束効果が得られないため、帯電部材の表面形状の異常や表面への異物の付着などが画像不良として現れやすいという傾向がある。DC帯電方式の場合、AC帯電方式よりも、比較的帯電部材の表面形状の異常を少なく又は小さくすることが求められる。
一方、帯電部材の表面が平滑すぎると(すなわち、表面粗さが低すぎると)、感光体に付着している汚れ(クリーニング部材をすり抜けたトナーや、トナーから離脱した外添剤など)が帯電部材の表面に付着しやすくなる。そして、帯電部材の表面の汚れが付着した部分に対応する位置に、感光体の表面の移動方向に略平行にスジ状の画像濃度ムラ(画像スジ)が発生することがある。帯電部材への汚れの付着を抑制するには、帯電部材の表面粗さを上げるなどして、感光体と帯電部材との接触面積を低減することが有効である。
特許文献1は、帯電部材の最外層のシワの発生を抑制し、表面性状を制御して、帯電均一性を確保することを目的として、次のような構成の帯電部材を開示している。つまり、帯電部材は、表面粗さ(Rz)が10μmより大きく、25μmより小さくされ、最外層に平均粒子径Aが15~25μmの大粒子と平均粒子径Bが7μm未満の小粒子との2種類の大きさの異なる粒子が分散される。また、大粒子の平均粒子径Aと小粒子の平均粒子径Bとの比(A/B)が3より大きく、12より小さくされる。また、大粒子と小粒子との配合比(a/(a+b);aは大粒子の配合量、bは小粒子の配合量)は0.7以上、0.9以下とされる。
特許第4047057号公報
しかしながら、本発明者らは、特許文献1に従い追試を行った結果、黒ポチなどの画像不良は抑制されたものの、現像カブリが発生することがあることがわかった。なお、黒ポチは、感光体の表面の局所的な帯電電位不足により、画像上に黒点状の画像濃度ムラが発生する現象である。現像カブリは、感光体の帯電電位不足により、比較的広範囲の非画像部にトナーが付着する現象である。
帯電部材の表層に分散させる粒子(以下、「表層粒子」ともいう。)が大きければ大きいほど、感光体の表面に微視的に電位の乗りにくい部分が存在するようになる。そして、本発明者らの検討によると、表層粒子を大きくしていくと現像カブリが発生するようになり、更に表層粒子を大きくすると黒ポチなどの画像不良が発生するようになることがわかった。このように、表層粒子が大きすぎると、黒ポチや現像カブリが発生しやすくなる。一方、本発明者らの検討によると、表層粒子が小さすぎると、表層粒子を均一に分散させることが困難になり、表層粒子が凝集塊となって逆に現像カブリや黒ポチが悪化しやすくなることがわかった。また、表層粒子が小さすぎると、感光体と帯電部材との接触面積を低減する効果が得られなくなって、帯電部材に汚れが付着しやすくなることがわかった。
したがって、本発明の目的は、局所的な画像濃度ムラ及び現像カブリを抑制しつつ、帯電部材への汚れの付着を抑制することのできる画像形成装置、帯電部材、カートリッジ、及び帯電部材の製造方法を提供することである。
上記目的は本発明に係る画像形成装置、帯電部材、カートリッジ及び帯電部材の製造方法にて達成される。要約すれば、本発明は、像担持体と、前記像担持体に接触し前記像担持体を帯電させる帯電部材と、前記帯電部材に電圧を印加する電源と、前記像担持体に現像剤を供給してトナー像を形成する現像手段と、を有し、前記帯電部材は、基層と、前記基層の上に形成された表層と、を備え、前記表層には粒径が異なる第1、第2の表層粒子が分散されている画像形成装置において、前記帯電部材の表面粗さ(十点平均粗さRz)は6μm以上、かつ18.8μm以下、前記表層の厚さは7μm以上、かつ20μm以下であり、前記第1の表層粒子の平均粒子径をD1、前記第2の表層粒子の平均粒子径をD2としたとき、9.8μm≦D1≦15.8μm、かつ、2.8μm≦D2≦5.2μm、かつ、3≦D1/D2≦5.6を満たし、前記帯電部材の表面の単位面積当たりにおける、前記第1の表層粒子の質量をM1、前記第2の粒子の質量をM2としたとき、0.10≦M1/(M1+M2)≦0.32を満たすことを特徴とする画像形成装置である。
本発明の他の態様によると、基層と、前記基層の上に形成された表層と、を備え、前記表層に粒径が異なる第1、第2の表層粒子が分散され、表面粗さ(十点平均粗さRz)が6μm以上、かつ18.8μm以下、前記表層の厚さが7μm以上、かつ20μm以下であり、像担持体に接触し電圧が印加されて前記像担持体を帯電させるために用いられる帯電部材であって、前記第1の表層粒子の平均粒子径をD1、前記第2の表層粒子の平均粒子径をD2としたとき、9.8μm≦D1≦15.8μm、かつ、2.8μm≦D2≦5.2μm、かつ、3≦D1/D2≦5.6を満たし、前記帯電部材の表面の単位面積当たりにおける、前記第1の表層粒子の質量をM1、前記第2の粒子の質量をM2としたとき、0.10≦M1/(M1+M2)≦0.32を満たすことを特徴とする帯電部材が提供される。
本発明の他の態様によると、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なカートリッジであって、上記本発明の帯電部材を有することを特徴とするカートリッジが提供される。
本発明の他の態様によると、基層と、前記基層の上に形成された表層と、を備え、前記表層に粒径が異なる第1、第2の表層粒子が分散され、表面粗さ(十点平均粗さRz)が6μm以上、かつ18.8μm以下、前記表層の厚さが7μm以上、かつ20μm以下であり、像担持体に接触し電圧が印加されて前記像担持体を帯電させるために用いられる帯電部材の製造方法であって、硬化性の樹脂溶液中に、前記第1、第2の表層粒子を配合して表層用塗料を調製する工程と、前記基層の上に前記表層用塗料の塗膜を形成する工程と、前記塗膜を硬化させて前記表層を形成する工程と、を有し、前記表層用塗料を調製する工程では、前記第1の表層粒子の平均粒子径をD1、前記第2の表層粒子の平均粒子径をD2としたとき、9.8μm≦D1≦15.8μm、かつ、2.8μm≦D2≦5.2μm、かつ、3≦D1/D2≦5.6を満たす前記第1、第2の表層粒子を、前記第1の表層粒子の単位面積当たりの質量をM1、前記第2の表層粒子の単位面積当たりの質量をM2としたとき、0.10≦M1/(M1+M2)≦0.32を満たすように配合して前記表層用塗料を調製することを特徴とする帯電部材の製造方法が提供される。
本発明によると、局所的な画像濃度ムラ及び現像カブリを抑制しつつ、帯電部材への汚れの付着を抑制することができる。
画像形成装置の模式的な断面図である。 画像形成部の模式的な断面図である。 帯電ローラ及び帯電ローラの表層の模式的な断面図である。 感光ドラムの模式的な断面図である。 弾性変形仕事率の測定方法を説明するためのグラフ図である。 感光ドラムの表面に形成される凹部の模式図である。
以下、本発明に係る画像形成装置、帯電部材、カートリッジ、及び帯電部材の製造方法を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置の模式的な断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することのできる、中間転写方式を採用したタンデム型(インライン方式)の複写機、プリンタ、ファクシミリ装置の機能を備えた複合機である。本実施例の画像形成装置100は、DC帯電方式の接触帯電方式で、最大A3サイズの転写材Pに画像を形成することができる。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。なお、各画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを表す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。図2は、代表して1つの画像形成部Sを示す模式的な断面図である。本実施例では、画像形成部Sは、後述する感光ドラム1、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4、一次転写ローラ5、ドラムクリーニング装置6などを有して構成される。
画像形成装置100は、像担持体としての回転可能なドラム型(円筒形)の感光体である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって図中矢印R1方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。本実施例では、感光ドラム1は、負帯電性のドラム状の有機感光体であり、アルミニウムなどの導電性材料で形成された基体上に感光層(OPC層)を有して構成されている。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ2によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電工程時に、帯電ローラ2には、帯電電源(高圧電源回路)E1から、直流電圧(DC電圧、DC成分)のみからなる帯電電圧(帯電バイアス)が印加される。感光ドラム1の表面の帯電処理は、感光ドラム1と帯電ローラ2との接触部Nに対し感光ドラム1の回転方向の上流側又は下流側の少なくとも一方の感光ドラム1と帯電ローラ2との間の微小空隙において発生する放電によって行われる。帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段(静電像形成手段)としての露光装置3によって走査露光され、感光ドラム1上に静電像(静電潜像)が形成される。本実施例では、露光装置3は、半導体レーザーを用いたレーザービームスキャナである。
感光ドラム1上に形成された静電像は、現像手段としての現像装置4によって現像剤を用いて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像が形成される。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部に、感光ドラム1の帯電極性(本実施例では負極性)と同極性に帯電したトナーが付着する。つまり、本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。本実施例では、現像装置4は、現像剤としてトナー(非磁性トナー粒子)とキャリア(磁性キャリア粒子)とを備えた二成分現像剤を用いる。現像装置4は、現像剤4eを収容する現像容器4aと、現像容器4aの開口部から一部が外部に露出するように現像容器4aに回転可能に設けられた、非磁性の中空円筒部材で形成された現像スリーブ4bと、を有する。現像スリーブ4bの内部(中空部)には、マグネットローラ4cが現像容器4aに対し固定されて配置されている。また、現像容器4aには、現像スリーブ4bと対向するように規制ブレード4dが設けられている。また、現像容器4a内には2つの攪拌部材(攪拌スクリュー)4fが設けられている。現像容器4aには、トナーホッパー4gから適宜トナーが補給される。マグネットローラ4cの磁力により現像スリーブ4b上に担持された現像剤4eは、現像スリーブ4bの回転に伴って規制ブレード4dによって量が規制された後に、感光ドラム1との対向部(現像部)に搬送される。現像部に搬送された現像スリーブ4b上の現像剤4eは、マグネットローラ4cの磁力によって穂立ちして磁気ブラシ(磁気穂)を形成し、感光ドラム1の表面に接触又は近接させられる。また、現像工程時に、現像スリーブ4bには、現像電源(高圧電源回路)E2から、現像電圧(現像バイアス)として直流電圧(DC電圧、DC成分)と交流電圧(AC電圧、AC成分)とが重畳された振動電圧が印加される。これにより、感光ドラム1上の静電像に応じて、現像スリーブ4b上の磁気ブラシから感光ドラム1上にトナーが移動して、感光ドラム1上にトナー像が形成される。
本実施例では、帯電ローラ2により帯電処理されて形成される感光ドラム1の表面電位(暗部電位)が-800V、露光装置3により露光されて形成される感光ドラム1の表面電位(明部電位)が-300Vとなるように、帯電量、露光量が調整される。また、本実施例では、現像電圧の直流成分は-600Vに設定されている。また、本実施例では、プロセススピードは250mm/secであり、感光ドラム1上の画像形成可能領域の感光ドラム1の回転軸線方向の幅は360mmである。また、本実施例では、トナーの帯電量は約-40μC/g、画像ベタ部の感光ドラム1上でのトナー量は約0.4mg/cmに設定されている。
各感光ドラム1と対向するように、中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルト7が配置されている。中間転写ベルト7は、複数の張架ローラとしての駆動ローラ71、テンションローラ72及び二次転写対向ローラ73に掛け渡されて所定の張力で張架されている。中間転写ベルト7は、駆動ローラ71が回転駆動されることで、図中矢印R2方向に感光ドラム1の周速度と略同一の周速度で回転(周回移動)する。中間転写ベルト7の内周面側には、各感光ドラム1に対応して、一次転写手段としてのローラ型の一次転写部材である一次転写ローラ5が配置されている。一次転写ローラ5は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1に向けて押圧され、感光ドラム1と中間転写ベルト7とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)T1を形成する。上述のように感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写部T1において、一次転写ローラ5の作用によって中間転写ベルト7上に一次転写される。一次転写工程時に、一次転写ローラ5には、一次転写電源(高圧電源回路)E3から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム1上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、中間転写ベルト7上に重ね合わされるようにして順次転写される。
中間転写ベルト7の外周面側において、二次転写対向ローラ73と対向する位置には、二次転写手段としてのローラ型の二次転写部材である二次転写ローラ8が配置されている。二次転写ローラ8は、中間転写ベルト7を介して二次転写対向ローラ73に向けて押圧され、中間転写ベルト7と二次転写ローラ8とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)T2を形成する。上述のように中間転写ベルト7上に形成されたトナー像は、二次転写部T2において、二次転写ローラ8の作用によって、中間転写ベルト7と二次転写ローラ8とに挟持されて搬送される記録用紙などの転写材(シート、記録材)Pに二次転写される。二次転写工程時に、二次転写ローラ8には、二次転写電源(高圧電源回路)E4から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。
転写材Pは、給送装置(図示せず)によって1枚ずつ送り出されてレジストローラ対9まで搬送され、レジストローラ対9によって中間転写ベルト7上のトナー像とタイミングが合わされて二次転写部T2へと供給される。また、トナー像が転写された転写材Pは、定着手段としての定着装置10に搬送され、定着装置10によって加熱及び加圧されることでトナー像が定着(溶融固着)される。その後、転写材Pは、画像形成装置100の装置本体110の外部に排出(出力)される。
一方、一次転写時に感光ドラム1上に残留したトナー(一次転写残トナー)は、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6によって感光ドラム1上から除去されて回収される。ドラムクリーニング装置6は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード6aと、クリーニング容器6bと、を有する。ドラムクリーニング装置6は、感光ドラム1に当接して配置されたクリーニングブレード6aによって、回転する感光ドラム1の表面を摺擦する。これによって、感光ドラム1上の一次転写残トナーは感光ドラム1上から掻き取られてクリーニング容器6b内に収容される。また、中間転写ベルト7の外周面側において、駆動ローラ71と対向する位置に、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置74が配置されている。二次転写工程時に中間転写ベルト7上に残留したトナー(二次転写残トナー)は、ベルトクリーニング装置74によって中間転写ベルト7上から除去されて回収される。
本実施例では、各画像形成部Sにおいて、感光ドラム1と、帯電ローラ2と、ドラムクリーニング装置6とは、一体的に装置本体110に対して着脱可能なカートリッジ(ドラムカートリッジ)11を構成している。
2.課題と解決手段の概要
次に、従来の課題について更に説明する。
前述のように、帯電部材への汚れの付着を抑制するために、帯電部材の表面粗さを上げるなどして、感光体と帯電部材との接触面積を低減することが有効である。帯電部材は、一般的に、金属製の芯金と、芯金の外周に導電剤などにより電気抵抗を調整した弾性体で形成された基層と、基層の表面に導電剤などと樹脂成分とを溶剤に溶かした液体をコーティングし乾燥させて形成された表層と、を有する。この表層の表面粗さの制御方法としては、ミクロンサイズの粒子(「表層粒子」)を分散させる方法や、研磨により凹凸を形成する方法などがある。前述のように、特許文献1は、帯電部材の表層に表層粒子を分散させることを開示している。しかし、前述のように、特許文献1の構成では、黒ポチなどの画像不良は抑制されたものの、現像カブリが発生することがあることがわかった。
本発明者らの検討の結果、黒ポチなどの画像不良が発生する原因は複数存在することが分かった。原因の一つは、帯電部材の表層の形状にある。つまり、表層と感光体との間の空隙長が他と比べて大きく異なると、同じ電圧が印加されていても局所的に放電開始電圧が異なるため、感光体の表面電位に差が発生し、それが画像不良として静電像に影響を与えることがある。このような画像不良に関しては、特許文献1に従って表層粒子の凝集塊や表層の乾燥ムラを抑制することで改善することがわかった。他の原因の一つは、表層粒子そのものにある。帯電部材の表層に分散される表層粒子は、典型的には、帯電部材と感光体との摩擦により摩耗しにくい弾性体で形成された弾性体粒子とされる。表層粒子の材料としては、スチレンアクリル樹脂、ウレタンアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂など、及びそれらの複合材料などを用いることができる。これらの樹脂は、電気抵抗が高い(典型的には絶縁性)であることから、表層粒子自体には電流が流れ難く、主に表層粒子の無い表層の導電部でパッシェン放電が発生する。つまり、表層粒子が大きければ大きいほど、感光体の表面に微視的に電位の乗りにくい部分が存在するようになる。そして、本発明者らの検討によると、表層粒子を大きくしていくと現像カブリが発生するようになり、更に表層粒子を大きくすると黒ポチなどの画像不良が発生するようになることがわかった。
本発明者の検討によると、表層粒子の粒径(直径)が50μm以上の場合は、黒ポチなどの画像不良として観測されやすいことがわかった。また、表層粒子の粒径が25μm付近の場合は、画像不良としては観測されにくく、現像カブリとして観測されやすいことがわかった。また、表層粒子の粒径が15μm以下の場合は、現像カブリとしても観測されにくいことがわかった。これは、人間の目の解像度が一般的に600~1200dpiの範囲に入ることから、ドットの視認限界が約20~40μm程度にあることと関係していると考えられる。すなわち、50μm以上のドットは画像不良として認識される可能性があるが、20~40μm付近ではドットとして認識できないが、濃度として検知できるために現像カブリとして認識される。更に小さいドットでは、電位の変化が小さくなるため、トナードット自体が形成されにくく、カブリになりにくい。このように、表層粒子が大きすぎると、黒ポチや現像カブリが発生しやすくなる。
一方、本発明者らの検討によると、表層粒子が小さすぎると、表層粒子を均一に分散させることが困難になり、表層粒子が凝集塊となって逆に現像カブリや黒ポチが悪化しやすくなることがわかった。また、表層粒子が小さすぎると、感光体と帯電部材との接触面積を低減する効果が得られなくなって、帯電部材に汚れが付着しやすくなることがわかった。
つまり、帯電部材への汚れの付着によるスジ状の画像濃度ムラ(画像スジ)を抑制するには、帯電部材の表層に表層粒子を分散させることが有効である。一方、表層粒子の粒径が大きいほど黒ポチや現像カブリが増加する。そのため、帯電部材への汚れの付着の抑制と黒ポチや現像カブリの抑制とを両立させることが困難であった。
そこで、本実施例では、帯電部材の表層に粒径の異なる複数種類の表層粒子として、第1の表層粒子と第2の表層粒子との2種類の表層粒子を分散させ、帯電部材への汚れの付着の抑制と黒ポチや現像カブリの抑制とを両立させる。つまり、帯電部材の表層に現像カブリが目立つようになる粒径未満(平均粒子径20μm未満)の粒径の第1の表層粒子(「大粒子」)を分散させて、帯電部材の耐汚染性を確保する。加えて、第1の表層粒子の隙間を該第1の表層粒子の粒径より小さい粒径の第2の表層粒子(「小粒子」)で埋めることで、帯電部材の汚れに対する離型性を確保して耐汚染性を維持する。これにより、帯電部材への汚れの付着を抑制しつつ、「大粒子」のみを用いる場合よりも「大粒子」の数を減らせるため、黒ポチや現像カブリを抑制することができる。このとき、第1、第2の表層粒子の粒径と単位面積当たりの質量、更には表層粒子の投影面積率を所定の範囲にすることで、黒ポチなどの局所的な画像濃度ムラ及び現像カブリを抑制しつつ、帯電部材への汚れの付着を抑制することが可能となる。この点について詳しくは後述する。
3.帯電部材
次に、本実施例における帯電ローラ2について説明する。図3(a)は、本実施例における帯電ローラ2の層構成を示す模式的な断面図である。
帯電ローラ2は、支持体(導電性支持体、芯金)2aと、支持体2aの外周に形成された基層(導電性弾性体層)2bと、基層2bの上に形成された表層(最外層)2cと、を有する。帯電ローラ2は、支持体2aの回転軸線方向の両端部が軸受け部材により回転自在に保持される。また、帯電ローラ2は、支持体2aの回転軸線方向の両端部の軸受け部材がそれぞれ付勢手段としての押圧ばねによって感光ドラム1の回転中心方向に付勢されることで、感光ドラム1の表面に所定の押圧力で圧接させられる。そして、帯電ローラ2は、感光ドラム1の回転に伴って従動して回転する。
支持体2aは、本実施例では、耐摩耗性と撓み応力に優れた金属製(鋼製、表面工業ニッケルメッキ)のシャフトである。
基層2bは、従来から帯電部材の基層として用いられているゴムや熱可塑性エラストマーなどで形成することができる。具体的には、ポリウレタン、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンゴム又はエピクロルヒドリンゴムなどを基材ゴムとするゴム組成物、あるいは熱可塑性エラストマーで、その種類としては特に制限はなく、汎用のスチレン系エラストマー及びオレフィン系エラストマーなどから選ばれる1種あるいは複数種の熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。また、必要とされる弾性力に応じて、ソリッドゴムを用いてもよいし、発泡ゴムを用いてもよい。
基層2bには、導電剤を添加することにより、所定の導電性を付与することができる。その導電剤としては、特に制限されず、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、エトサルフェート塩、臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩などのハロゲン化ベンジル塩などの第四級アンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩などの陰イオン界面活性剤、各種ベタインなどの両性イオン界面活性剤、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルなどの非イオン性帯電防止剤などの帯電防止剤、LiCFSO、NaClO、LiAsF、LiBF、NaSCN、KSCN、NaClなどのLi、Na、Kなどの周期律表第1族の金属塩、あるいはNH 塩などの電解質、また、Ca(ClOなどのCa2+、Ba2+などの周期律表第2族の金属塩、及びこれらの帯電防止剤が、少なくとも1個以上の水酸基、カルボキシル基、一級ないし二級アミン基などのイソシアネートと反応する活性水素を有する基を持ったものが挙げられる。更には、それらなどと1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコールとその誘導体などの錯体あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのモノオールとの錯体などのイオン導電剤、又はケッチェンブラックEC、アセチレンブラックなどの導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MTなどのゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウムなどの金属及び金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレンなどの導電性ポリマーなどが挙げられる。この場合、これら導電剤の配合量は、組成物の種類に応じて適宜選定され、通常は基層2bの体積抵抗率が10~10Ω・cm、より好ましくは10~10Ω・cmとなるように調整される。
表層2cは、帯電部材の表面を形成する材料として適した樹脂材料で形成することができる。具体的には、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンアクリル樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂などが挙げられ、有機系、水系のいずれのものも使用することができる。
表層2cには、導電剤を添加することにより、導電性を付与又は調整することができる。この場合導電剤としては、特に制限されるものではないが、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラックなどの導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MTなどのゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウムなどの金属又は金属酸化物などを用いることができる。また、上記導電剤を有機系溶剤で使用する場合は、分散性を考慮し、導電剤の表面をシランカップリング処理などの表面処理を施すことが好ましい。また、上記導電剤の添加量は、所望とする電気抵抗が得られるように適宜調整することができる。表層2cの電気抵抗が基層2bの電気抵抗よりも高い場合に感光ドラム1の帯電が安定する。表層2cの体積抵抗率は10~1015Ω・cmであることが好ましく、10~1014Ω・cmであることがより好ましい。
図3(b)は、表層2cの模式的な拡大断面図である。表層2cを形成する材料には、第1の表層粒子(「大粒子」)21と、該第1の表層粒子21の粒径よりも小さい粒径の第2の表層粒子(「小粒子」)22と、が分散される。この表層2cとなる導電性樹脂層中に添加する(含有させる)第1、第2の表層粒子21、22としては、上記導電剤以外の絶縁性粒子(1010Ω・cm以上)である有機粒子、あるいは無機粒子を用いることができる。有機粒子としては、ウレタン樹脂、ウレタンアクリル樹脂、アクリル樹脂、アクリル・スチレン共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーンゴム粒子、エポキシ樹脂粒子などが挙げられる。このうちウレタン樹脂、ウレタンアクリル樹脂、アクリル樹脂あるいはアクリル/スチレンの共重合体樹脂を用いることが、表層2cの材料の剛性をあまり変化させないことから特に好ましい。無機粒子としては、例えば炭酸カルシウム、クレー、タルク及びシリカなどが挙げられる。
なお、無機粒子を溶剤系塗料中で使用する場合は、塗料中に易分散するように疎水性の表面処理が施されていることが好ましい。また、有機粒子についても同様に、表層2cの樹脂材料との相溶性が良好なものを選択した方が、凝集を起こしにくいので好ましい。
粒径の異なる複数種類の表層粒子のうち、相対的に粒径の大きい第1の表層粒子(「大粒子」)21の平均粒子径(平均直径)をD1、相対的に粒径の小さい第2の表層粒子22(「小粒子」)の平均粒子径をD2とする(図3(b))。このとき、9.8μm≦D1≦15.8μm、かつ、2.8μm≦D2≦5.2μmの範囲で、かつ、3.0≦D1/D2≦5.6とする。これにより、表層粒子(特に「大粒子」)の粒径が大きすぎることによる黒ポチや現像カブリなどの画像不良を抑制することができる。また、これと共に、表層粒子(特に「小粒子」)の粒径が小さすぎることによる表層粒子の凝集体の発生を抑制することができ、また粒子同士の分散性を向上させることができる。
また、第1の表層粒子21の単位面積当たりの質量をM1、第2の表層粒子22の単位面積当たりの質量をM2、第1の表層粒子21と第2の表層粒子との質量比をM1/(M1+M2)とする。このとき、0.10≦M1/(M1+M2)≦0.32の範囲とする。これにより、1個の「大粒子」に対して30~100個程度の「小粒子」を配置することができる。そのため、帯電ローラ2に付着したトナーなどの比較的大きな汚れが感光ドラム1との間で潰れて付着しやすくなることを「大粒子」で抑制しつつ、外添剤などの比較的小さな汚れが帯電ローラ2に付着することを「小粒子」で抑制することが可能となる。
また、上述のように第1、第2の表層粒子21、22を配合することで達成される、表層2cの表面粗さ(十点平均粗さRz)は、6μm以上、かつ18.8μm以下であることが好ましい。これにより、帯電ローラ2の表面が平滑すぎることによる帯電ローラ2の表面への汚れの付着を抑制すると共に、帯電ローラ2の表面形状に起因する黒ポチや現像カブリなどの画像不良を抑制することができる。
また、上述のように第1、第2の表層粒子21、22を配合することで、上述のような帯電ローラ2の表面粗さRzを達成するためには、表層2cの厚さd(膜厚)(図3(b))は、7μm以上、かつ20μm以下であることが好ましい。なお、表層2cの厚さは、複数箇所の測定結果の平均値とする。これにより、帯電ローラ2の表層2cが厚すぎることで表層粒子が十分に帯電ローラ2の表面に突出できないことを抑制すると共に、表層2cが薄すぎることで表層粒子を保持し難くなることなどを抑制することができる。
なお、表層2cの第1、第2の表層粒子21、22を除いた全固形分の質量をM0、該全固形分の質量に対する第1、第2の表層粒子21、22の全質量の割合(百分率[%]で表すものとする。)を全質量比(M1+M2)/M0とする。このとき、14.5%≦(M1+M2)/M0≦38.9%の範囲とすることが好ましい。これにより、全配合量が少なすぎることで帯電ローラ2の所望の表面粗さを達成できないことを抑制すると共に、全配合量が多すぎて表層粒子が凝集することなどに起因する黒ポチや現像カブリなどの画像不良を抑制することができる。
表層2cの形成方法は、特に制限されるものではないが、各成分を含む塗料を調製し、この塗料をディッピング法やスプレー法により塗布して塗膜を形成する方法が好ましく用いられる。表層2cを複数層とする場合には、それぞれの層を形成する塗料を用いてディッピングやスプレーを繰り返せばよい。
つまり、本実施例では、帯電部材の製造方法は、硬化性の樹脂溶液中に、第1、第2の表層粒子を配合して表層用塗料を調製する工程と、基層の上に前記表層用塗料の塗膜を形成する工程と、塗膜を硬化させて前記表層を形成する工程と、を有する。そして、表層用塗料を調製する工程では、9.8μm≦D1≦15.8μm、かつ、2.8μm≦D2≦5.2μm、かつ、3.0≦D1/D2≦5.6を満たす第1、第2の表層粒子を、0.10≦M1/(M1+M2)≦0.32を満たすように配合して表層用塗料を調製する。
4.帯電ローラの製造方法
次に、帯電ローラ2の具体的な製造方法の一例について説明する。なお、以下の説明における「部」は質量部を示す。ここでは、後述する「比較例a」の帯電ローラ2の処方を用いて帯電ローラ2の製造方法の一例を説明する。後述する「比較例a」以外の例の帯電ローラ2についても、「比較例a」の帯電ローラ2の処方とは表層粒子の外径や質量部数などが異なるが、製造方法自体は同じである。
<基層の調製>
エピクロルヒドリンゴム(商品名:エピクロマーCG102、ダイソー(株)製)100部、充填剤としての炭酸カルシウム30部、研磨性改善のための補強材としての着色グレードカーボン(商品名:シーストSO、東海カーボン製)2部、酸化亜鉛5部、可塑剤DOP10部、下記式で示される過塩素酸四級アンモニウム塩3部、
Figure 0007034813000001
老化防止剤(2-メルカプトベンズイミダゾール)1部をオープンロールで20分間混練し、更に加硫促進剤DM1部、加硫促進剤TS0.5部、加硫剤として硫黄1部を加えて更に15分間オープンロールで混練した。これをゴム押出機で円筒形に押出した後に裁断し、加硫缶で、160℃の水蒸気で40分間一次加硫し、基層一次加硫チューブを得た。
次に、円柱形の支持体(導電性支持体)2a(鋼製、表面工業ニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部に、金属とゴムとの熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU-20)を塗布し、80℃で30分間乾燥後、更に120℃で1時間乾燥した。この支持体2aを上記基層一次加硫チューブに挿入し、その後、電気オーブン中で160℃、2時間の加熱により、2次加硫と接着剤硬化を行い、未研磨品を得た。この未研磨品のゴム部分の両端をカットした後、ゴム部分を回転砥石で研磨して、十点平均粗さRz7μm、振れ25μmの基層2bが支持体2a上に形成された中間品を得た。
<表層の調製>
導電性酸化錫粉体(商品名:SN-100P、石原産業(株)製)50部に、トリフルオロプロピルトリメトキシシランの1%イソプロピルアルコール溶液を450部と平均粒子径0.8mmのガラスビーズ300部を加え、ペイントシェーカーで48時間分散後、分散液を500メッシュの網でろ過し、次にこの溶液をナウターミキサーで攪拌しながら100℃の湯浴で温め、アルコールを飛ばして乾燥させ、表面にシランカップリング剤を付与し、表面処理導電性酸化錫を得た。
更に、ラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2009(水酸基価90KOHmg/g)、ダイセル化学工業(株)製)145部を、455部のメチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解し、固形分24.17質量%の溶液とした。このアクリルポリオール溶液200部に対して、上記表面処理導電性酸化錫粉体50部、シリコーンオイル(商品名:SH-28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)0.01部、微粒子シリカ(一次粒子径0.02μm)1.2部を配合し、第1の表層粒子(「大粒子」)4.5部(商品名:ケミスノーMX-1000(平均粒子径10μm)、綜研化学(株)製)、第2の表層粒子(「小粒子」)18部(商品名:ケミスノーMX-500(平均粒子径5μm)、綜研化学(株)製)、これに平均粒子径0.8mmのガラスビーズ200部を加えて、450mlのマヨネーズビンに入れて、ペイントシェーカーを使用し、冷却を行いながら12時間分散した。
更に、この分散液330部にイソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体(IPDI)(商品名:ベスタナートB1370、デグサ・ヒュルス製)27部と、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(HDI)(商品名:デュラネートTPA-B80E、旭化成工業(株)製)17部を混合し、ボールミルで1時間攪拌し、最後に200メッシュの網で溶液をろ過して、表層用塗料の固形分を43質量%とし、表層用塗料を得た。
上記表層用塗料を、ディッピングにより、上記基層2bが支持体2a上に形成された中間品の表面に塗工した。引き上げ速度400mm/minで塗工し、30分間風乾後、軸方向を反転し、再度引き上げ速度400mm/minで塗工し、30分間風乾後、オーブンで160℃×1時間乾燥した後、室温25℃、相対湿度50%の環境下で48時間放置した。
5.測定方法、試験方法
次に、帯電ローラ2に関する測定方法、評価試験の方法について説明する。
第1、第2の表層粒子21、22の平均粒子径D1、D2は、それぞれ中心粒子径であり、次のような方法で測定することができる。測定装置としては、コールターカウンターのマルチサイザーII型(コールター社製)を用い、個数分布と体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX-1パーソナルコンピューター(キヤノン製)を接続し、電解液は特級又は一級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。測定法としては上記電解水溶液100~150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1~5ml加え、更に測定試料を2~20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1~3分間分散処理を行い、上記コールターカウンターのマルチサイザーII型により、アパーチャーとして、100μmアパーチャーを用いて測定する。測定対象粒子の体積、個数を測定して、体積分布と、個数分布とを算出する。そして、体積基準の粒子分布の50%の粒子径D50を平均粒子径たる中心粒子径として用いることができる。また、この第1、第2の表層粒子21、22の平均粒子径D1、D2から、平均粒子径比D1/D2が導かれる。
また、第1の表層粒子21の単位面積当たりの質量M1、第2の表層粒子22の単位面積当たりの質量M2から、第1、第2の表層粒子21、21の全質量における第1の表層粒子21の質量の比である質量比M1/(M1+M2)が導かれる。また、第1、第2の表層粒子21、22を除いた表層2cの全固形分の質量M0から、該全固形分に対する第1、第2の表層粒子21、22の全質量の割合[%]である全配合量(M1+M2)/M0が導かれる。
また、帯電ローラ2の表面粗さ(十点平均粗さRz)は、JIS 1994に従い、次のようにして測定した。測定器としては、小坂研究所製の表面粗度計SE-3300Hを用いた。また、測定条件は、カットオフ0.8mm、測定距離8mm、送り速度0.5mm/secとした。そして、帯電ローラ2の長手方向3箇所、周方向3箇所(任意の場所を起点に120°刻み)の十点平均粗さRz[μm]の平均値を求めた。
また、表層粒子が実際に帯電ローラ2の表面に十分に突起(露頭)しているか確認するため、帯電ローラ2の表面の単位面積当たりにおける、第1、第2の表層粒子21、22による突起の投影面積が占める割合を示す指標として、粒子投影面積率を求めた。第1、第2の表層粒子21、22による突起は、該第1、第2の表層粒子21、22が表層2cの樹脂材料で被覆されていてもよいし、該第1、第2の表層粒子21、22が露出していてもよい。便宜上、第1の表層粒子21による該突起の投影面積率を「第1の表層粒子21の投影面積率S1」、第2の表層粒子22による該突起の投影面積率を「第2の表層粒子22の投影面積率S2」ともいう。第1、第2の表層粒子21、22の投影面積率S1、S2は、次のようにして測定した。レーザー顕微鏡(VK-8700、KEYENCE(キーエンス)社製)を用い、50倍の対物レンズで帯電ローラ2の表面を観察(帯電ローラ2の表面の法線方向と略平行に観察)し、デジタル撮影を行った。得られた画像をデジタルズームでさらに拡大し、100μm×100μmの視野とした。視野内の第1、第2の表層粒子21、22による突起の個数及び面積をそれぞれ求めた。視野の全面積に対する第1、第2の表層粒子21、22による突起のそれぞれの面積(投影面積)の割合(百分率[%]で表すものとする。)である投影面積率を算出した。なお、第1、第2の表層粒子21、22による突起は、突起の直径の違いにより区別できる。また、第1、第2の表層粒子21、22による突起の面積は、得られた画像において突起以外の平坦部から明確に隆起している部分の面積を求めるものとする。そして、上記測定を、帯電ローラ2の長手方向3箇所、該長手方向の3箇所の各点の周方向3箇所(任意の場所を起点に120°刻み)の計9点で行い、第1、第2の表層粒子21、22のそれぞれの投影面積率S1、S2の平均値を求めた。
また、帯電ローラ表層2cに存在する粒子の直径を直接的に測定する必要がある場合は、帯電ローラ表層2cを研磨し、その領域に存在する粒子の直径を測定することにした。具体的には、次のようにして測定した。
まず、研磨前の帯電ローラ2の表層2cについて、レーザー顕微鏡(VK-8700、KEYENCE(キーエンス)社製)を用い、50倍の対物レンズで帯電ローラ2の表面を観察(帯電ローラ2の表面の法線方向と略平行に観察)し、デジタル撮影を行った。得られた画像をデジタルズームでさらに拡大し、100μm×100μmの視野内の粒子の直径を測定した。ここで、100μm×100μmの視野内の粒子の数は帯電ローラ2の処方によってまちまちであるが、殆どの場合は十数個から100個以下の範囲に入る場合が多い。但し、100μm×100μmの視野内に収まる粒子の数が100個を超える場合は測定が大変なため、視野サイズを50μm×50μmなどにして、1回の粒子の測定個数は100個以下になるようにした。逆に、100μm×100μmの視野内に収まる粒子の数が10個未満の場合は、粒子直径の算出としてサンプル数が不足して誤差が大きくなる可能性があるので、次のようにした。つまり、視野サイズを200μm×200μmなどにして、1回の粒子の測定個数は少なくとも40個以上になるように調整した。
次に、三共理化学製のDACS#1000などの目の細かいサンドペーパーを用いて、帯電ローラ2の表層2cを観察しながら、なるべく平均的になるように、帯電ローラ2の表層2cを深さ約1μm程度研磨した。次に、研磨前に観察したのと同じ場所の研磨後の帯電ローラ2の表層2cの粒子の直径を同様の手段で測定した。その後、帯電ローラ2の表層2cを深さ約1μm程度研磨し、粒子の直径を測定するという作業を表層2cの厚みが無くなるまで繰り返した。この様にして、帯電ローラ2の表層2cを研磨した後に粒子の直径を測定していくと、徐々に粒子の測定上の直径は大きくなるが、更に研磨していくと粒子は小さくなっていく。そして、同じ位置の粒子の直径の、研磨していった中での最も大きい値を、その粒子の真の直径とすることで、帯電ローラ2上の粒子の直径の値を得ることができる。また、前述の粒子の単位面積当たりの質量M1又はM2を求める方法としては、上記の様に求めた粒子の直径と所定の面積中の粒子の数から求められる。すなわち、仮に粒子を真球と仮定した場合、粒子の直径が既知であれば、粒子の体積を求めることができる。粒子の体積が分かれば、粒子の比重を掛けることで粒子一個一個の重量が求められる。ここで、粒子の比重を知る方法としては、帯電ローラ2の表層2cから粒子を取り出してGS/CM等の方法で元素分析を行うことで知ることができる。このように、個々の粒子の質量と、帯電ローラ2の所定面積あたりの粒子の数が判明すれば、帯電ローラ2の固形分中の粒子の質量が求められ、複数種類の粒子がある場合の質量比を求めることが可能になる。
本実験では、前述の通り一か所あたり少なくとも40個から、多くとも100個以下の粒子を測定し、更に帯電ローラ2の長手方向3箇所、周方向3箇所(任意の場所を起点に120°刻み)の合計9か所で測定する。そして、粒子の数を少なくとも360個から多くとも900個の間で計算し、その分布を取る。これにより、粒子が単一種類の粒子か、又は複数種類の粒子が分布しているのかを判断し、更にその粒子の中心直径D1及びD2の値と、粒子の単位面積当たりの質量M1及びM2を得た。
また、帯電ローラ2の評価試験(耐久試験及び画像評価試験)を、次のようにして行った。試験では、本実施例に従うA3縦出力用の画像形成装置100を用いた。プロセススピード(転写材P出力スピード)は250mm/sec、画像解像度は600dpiである。また、感光ドラム1は、アルミニウムシリンダーに厚さ(膜厚)20μmのOPC層をコートした反転現像方式のものである。トナーは、ポリエステルを主材料とした体積平均粒子径6.5μmの粉砕ワックス内添トナー母体にシリカなどで外添処理を施したものである。
耐久試験は、上記画像形成装置100に試験対象の帯電ローラ2を組み込んで、低温低湿(L/L:15℃/10%RH)の環境下で画像比率5%の画像を10万枚連続で出力することで行った。
画像評価試験では、まず初期状態(耐久試験前)でハーフトーン画像を出力して黒ポチの発生程度を評価し、次に10万枚の耐久試験後にハーフトーン画像を出力して帯電ローラ2の汚れによるスジ状の画像濃度ムラ(画像スジ)の発生程度を評価した。また、これらとは別に、初期状態及び耐久試験後において、現像カブリを起こしたトナー(以下、「カブリトナー」ともいう。)の量の指標として、感光ドラム1上のカブリ濃度を測定した。感光ドラム1上のカブリ濃度は、次のようにして測定した。まず、所定の画像(ベタ白など)の画像形成中に感光ドラム1の駆動モータを強制停止させ、感光ドラム1上の現像位置(現像部)と一次転写位置(一次転写部)との間の位置において非画像部にポリエステルテープを貼り付けて、該位置のトナーを採取した。そのポリエステルテープを感光ドラム1上から剥がし、白色紙上に貼り付け、(有)東京電色製の白色光度計TC-6DS/Aを用いて紙上のポリエステルテープ部分の反射濃度を測定した。また、別途、新品の白色紙上に同じポリエステルテープを貼り付け、同じ測定器によりポリエステルテープ部分の反射濃度を測定した。そして、上記測定した2つ反射濃度の濃度差(%)を感光ドラム1上のカブリ濃度として評価した。カブリトナーの量を感光ドラム1上のカブリ濃度で評価する理由は、次のとおりである。感光ドラム1上のカブリトナーは、正規の電荷を有していないことが多く、極性が反転した電荷を有したトナー又は電荷が実質的にゼロのトナーもある。そのため、紙上でカブリトナーの量を評価しようとすると、紙上に転写されないカブリトナーがある場合に、カブリトナーの量を正しく評価できないことがあるためである。
初期状態の帯電ローラ2の表面形状の不具合により発生する黒ポチは、出力されたハーフトーン画像を目視で観察して評価した。このとき、黒ポチが全く発生しない場合を◎(非常に良好)、発生したが極めて軽微で注視しないと分からないレベルの場合を○(良好)、軽微だが一見して判別可能なレベルの場合を△(やや不良)、明らかに目立つレベルの場合を×(不良)と評価した。また、耐久試験後の帯電ローラ2の汚れによるスジ状の画像濃度ムラ(画像スジ)は、濃度として測定した値と目視での観察結果とでズレが生じやすいので、出力されたハーフトーン画像を目視で観察して評価した。このとき、画像スジが全く発生しない場合を◎(非常に良好)、発生したが極めて軽微で注視しないと分からないレベルの場合を○(良好)、軽微だが一見して判別可能なレベルの場合を△(やや不良)、明らかに目立つレベルの場合を×(不良)と評価した。また、感光ドラム1上のカブリ濃度は、0.5%以下の場合は◎(非常に良好)、0.5%より大きく、1.0%以下の場合は○(良好)、1%より大きく、2%以下の場合は△(やや不良)、2%より大きい場合は×(不良)と評価した。
6.評価結果
「実施例A」~「実施例D」及び「比較例a」~「比較例j」の帯電ローラ2の処方及び評価試験の結果を後掲表1に示す。
<比較例a>
「比較例a」は、特許文献1に従う帯電ローラ2の再現試験である。「大粒子」の平均粒子径D1は19.2μm、「小粒子」の平均粒子径D2は5.2μm、「大粒子」の質量比M1/(M1+M2)は0.90である。また、全質量比(M1+M2)/M0は14.4%、表層2cの厚さは25μmである。比較例aでは、初期状態での黒ポチは発生せず、耐久後のローラ汚れも評価は◎であったが、初期状態でのカブリ濃度の評価は△であった。
<比較例b~比較例d>
次に、「大粒子」のみの効果を調べるために、次の3種類の帯電ローラ2の評価を行った。つまり、表層粒子として「大粒子」のみを有し、平均粒子径D1が19.2μmの「比較例b」、平均粒子径D1が15.8μmの「比較例c」、平均粒子径D1が9.8μmの「比較例d」の3種類の帯電ローラ2である。その結果、初期状態での黒ポチの評価は「比較例b」、「比較例c」、「比較例d」のいずれも△であった。これらの帯電ローラ2の表面を光学顕微鏡で観察すると、表面に微小な起伏やシワがあり、所々に表層粒子同士が凝集している部分があった。初期状態での黒ポチの評価の悪化はこれが原因であると考えられる。すなわち、粒子の分散性を維持し、凝集塊の発生を防止するためには、少なくとも粒径の異なる複数種類の表層粒子が必要であることが再確認できた。
ただし、平均粒子径D1を「比較例b」よりも小さくした「比較例c」及び「比較例d」ではカブリ濃度は良化しており、単一粒子であっても粒径が小さければカブリ濃度を良化することが可能であることが分かった。一方、「比較例c」及び「比較例d」は耐久試験後の画像スジが「比較例a」に比べて悪化しており、単一粒子で粒子を小径化すると帯電ローラ2の汚れが悪化してしまうことがわかった。つまり、単一粒子では、黒ポチ、現像カブリ、及び帯電ローラ2の汚れの全てを十分に抑制することはできないことがわかった。
<比較例e>
次に、「比較例a」に対して、「大粒子」の量を約1/4に減らし、「小粒子」の量を約10倍に増やし、「大粒子」の質量比M1/(M1+M2)を0.20まで下げた「比較例e」の帯電ローラ2の評価を行った。その結果、「比較例a」と比較して、若干カブリ濃度が良化する傾向が現れた。
<比較例f>
次に、「比較例e」に対して、「大粒子」の平均粒子径D1を19.2μmから15.8μmに下げた「比較例f」の帯電ローラ2の評価を行った。その結果、カブリ濃度は「比較例e」の△から○まで更に良化した。しかし、表層2cの厚さが25μmであるのに対して「大粒子」の平均粒子径D1を15.8μmに下げたため、表面粗さRzは4.2μmまで低下し、画像スジは◎から△まで悪化してしまった。
<実施例A>
次に、「実施例A」の帯電ローラ2の評価を行った。「実施例A」は、「大粒子」の平均粒子径D1は15.8μm、「小粒子」の平均粒子径D2は5.2μmである。そして、「実施例A」は、「比較例f」に対して、「大粒子」の質量比であるM1/(M1+M2)を0.10、更に表層2cの厚さを20μmまで下げ、表面粗さRzを6.0μmまで上げた。その結果、初期状態での黒ポチは発生せず評価は◎、初期状態でのカブリ濃度も0.5%以下で評価は◎であり、耐久試験後のカブリ濃度の評価は○、耐久試験後の画像スジも軽微で評価は○であった。
ここまでの結果から、黒ポチ、現像カブリを良化させるためには、表層粒子の平均粒子径は少なくとも15.8μm以下であることが必要であることが分かった。また、黒ポチ、現像カブリを良化させつつ、帯電ローラ2の汚れを良化させるためには、表面粗さRzは6.0μm以上であることが好適であることが分かった。また、「大粒子」の質量比であるM1/(M1+M2)を0.70から0.90の範囲では無く、より低い値にした方が好適であることが分かった。
<実施例B>
次に、「実施例A」に対して、表層2cの厚さを15μmまで下げ、「大粒子」の質量比M1/(M1+M2)を0.32まで上げることで、表面粗さRzを18.8μmまで上げた「実施例B」の帯電ローラ2の評価を行った。その結果、黒ポチ、カブリ濃度、及び画像スジの全ての評価が◎となった。
<比較例g>
次に、「実施例B」に対して、更に「大粒子」の質量比M1/(M1+M2)を0.35まで上げ、表面粗さRzを19.2μmまで上げた「比較例g」の帯電ローラ2の評価を行った。その結果、初期状態での黒ポチとカブリ濃度のいずれも△となった。この帯電ローラ2の表面を光学顕微鏡で観察すると、「大粒子」と「小粒子」の凝集塊が現れていた。このことから、表層粒子の量が増えすぎて分散性が悪化し、黒ポチや現像カブリが発生したものと考えられる。
<比較例h>
次に、「実施例B」に対して、「大粒子」の質量比M1/(M1+M2)を0.08まで下げた「比較例h」の帯電ローラ2の評価を行った。その結果、画像スジが悪化してしまった。「比較例h」の帯電ローラ2の表面粗さRzは6.0μm以上あるにもかかわらず、画像スジが悪化してしまった。この理由は、「大粒子」の数が減り過ぎることによって、感光ドラム1と帯電ローラ2との間の接触面積が増加し、耐久による「大粒子」の削れとあいまって、感光ドラム1の汚れが帯電ローラ2に付着しやすくなってしまったためと考えられる。
これまでの結果から、黒ポチ、現像カブリを良化させつつ、ローラ汚れ(画像スジ)を良化させるためには、「大粒子」の質量比M1/(M1+M2)は0.10以上、かつ0.32以下の範囲が好ましい。また、表面粗さRzは6.0μm以上、かつ18.8μm以下の範囲が好ましい。但し、表面粗さRzがこの範囲内であっても単一粒子の場合はローラ汚れが不良の場合もあるため、中心直径の異なる少なくとも2種類の表層粒子が必要である。
次に、「大粒子」及び「小粒子」の平均粒子径D1、D2の下限を調べるために、次の「比較例i」、「実施例C」、「比較例j」、「実施例D」の4種類の帯電ローラ2の評価を行った。
<比較例i>
まず、「比較例i」の帯電ローラ2の評価を行った。「比較例i」は、「大粒子」の質量比M1/(M1+M2)を0.10以上、かつ0.32以下の間に維持しつつ、「大粒子」の平均粒子径D1を9.8μm、「小粒子」の平均粒子径D2を5.2μmとした。すなわち、「大粒子」と「小粒子」の直径の比であるD1/D2を1.9とした。また、「比較例i」は、表層2cの膜厚を10μm、表面粗さRzを10.6μmとした。その結果、黒ポチ、現像カブリのランクは△であった。これは、「小粒子」の平均粒子径D2が「大粒子」の平均粒子径D1に近すぎると、粒径の異なる複数種類の表層粒子を用いることで、粒子同士の分散性を向上させる効果が低下してしまったためと思われる。
<実施例C>
次に、「実施例C」の帯電ローラ2の評価を行った。「実施例C」は、「大粒子」の質量比M1/(M1+M2)を0.10以上、かつ0.32以下の間に維持しつつ、「大粒子」の平均粒子径D1を9.8μm、「小粒子」の平均粒子径D2を2.8μmとした。すなわち、「大粒子」と「小粒子」の直径の比であるD1/D2を3.5とした。更に、「実施例C」は、表層2cの膜厚を7μmまで下げることで表面粗さRzを8.1μmとした。その結果、表層粒子が小さいにもかかわらず、黒ポチ、現像カブリ、ローラ汚れのいずれも〇以上の結果が得られた。
<比較例j>
次に、「比較例j」の帯電ローラ2の評価を行った。「比較例j」は、「大粒子」の質量比M1/(M1+M2)を0.10以上、かつ0.32以下の間に維持しつつ、「大粒子」の平均粒子径D1を4.9μm、「小粒子」の平均粒子径D2を1.8μmとした。すなわち、「大粒子」と「小粒子」の直径の比であるD1/D2を2.7とした。また、「比較例j」は、表面粗さRzを5.2μmとした。その結果、初期状態での黒ポチ、耐久試験後の画像スジの評価が×であった。「小粒子」の平均粒子径D2が1.8μmの状態では、「小粒子」の量を増やしても表面粗さRzが6.0μmを超えることは無く、凝集塊が発生して黒ポチが悪化する結果となった。
<実施例D>
次に、「実施例D」の帯電ローラ2の評価を行った。「実施例D」は、「大粒子」の質量比M1/(M1+M2)を0.10以上、かつ0.32以下の間に維持しつつ、「大粒子」の平均粒子径D1を15.8μm、「小粒子」の平均粒子径D2を2.8μmとした。すなわち、「大粒子」と「小粒子」の直径の比であるD1/D2を5.6とした。更に、「実施例D」は、表層2cの膜厚を11μm、表面粗さRzを14.2μmとした。その結果、黒ポチ、現像カブリ、ローラ汚れのいずれも〇以上の結果が得られた。
これまでの結果から、「大粒子」の平均粒子径D1は9.8μm以上、かつ15.8μm以下が好ましい範囲である。また、「小粒子」の平均粒子径D2は2.8μm以上、かつ5.2μm以下が好ましい範囲である。また、「小粒子」の平均粒子径D2が「大粒子」の平均粒子径D1に近すぎると、粒径の異なる複数種類の表層粒子を用いる効果が十分に得られなくなる。そのため、「大粒子」と「小粒子」の直径の比D1/D2は、3.0以上、かつ5.6以下が好ましい範囲である。
また、「大粒子」の質量比M1と、「小粒子」の質量比M2に関して、「大粒子」の質量比M1/(M1+M2)は0.10以上、かつ0.32以下が好ましい範囲である。
また、表層2cの膜厚は7.0μm以上、かつ20μm以下が好ましい範囲である。
また、「実施例A」~「実施例D」及び「比較例a」~「比較例j」の帯電ローラ2における「大粒子」の投影面積率S1及び「小粒子」の投影面積率S2と、黒ポチ及びカブリ濃度との相関を調べた。その結果、「大粒子」の投影面積率S1は1.0%以上、3.9%以下であることが好適であることがわかった。また、「小粒子」の投影面積率S2は、13.5%以上、25.5%以下であることが好適であることがわかった。つまり、1.0%≦S1≦3.9%、かつ、13.5%≦S2≦25.5%の範囲とすることが好ましい。
Figure 0007034813000002
以上説明したように、本実施例では、DC帯電方式を採用した構成において、帯電ローラ2の表層2cに分散させる粒径の異なる2種類の表層粒子21、22の粒径と単位面積当たりの質量比を所定の範囲にすることで、帯電ローラ2の表面性状を制御する。これにより、帯電均一性を向上させ、かつ、帯電ローラ2への汚れの付着を抑制して、画像不良の発生を抑制することが可能となる。つまり、本実施例によれば、DC帯電方式を採用した構成において、黒ポチなどの局所的な画像濃度ムラ及び現像カブリを抑制しつつ、帯電部材への汚れの付着を抑制することができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
近年、感光ドラム1の長寿命化を図るために、感光ドラム1の表面層(感光ドラム1の最表面に位置する層(最外層))の低摩耗化が行われている。例えば、感光ドラム1の表面層として、結着樹脂として硬化性の樹脂を用いて形成される保護層が設けられることがある(特許第3944072号公報など)。
図4は、本実施例の感光ドラム1の層構成を示す模式的な断面図である。本実施例では、感光ドラム1は、実施例1と同様、光導電性物質(電荷発生物質や電荷輸送物質)として有機材料を用いた、負帯電性のドラム状の有機感光体(OPC)である。この感光ドラム1は、基体(導電性基体)1aの上に、電荷発生層1b、電荷輸送層1c、保護層1dがこの順番で下から設けられた積層構造を有する。また、基体1aと電荷発生層1bとの間に、バリア機能や接着機能を有する中間層(下引き層)や、更に干渉縞防止などのための導電層が設けられていてもよい。本実施例では、保護層1dは、結着樹脂として硬化性フェノール樹脂を用いて形成されている。なお、感光ドラム1の表面層の結着樹脂は、本実施例のものに限定されず、利用可能な任意の硬化性樹脂を用いることができる。例えば、炭素-炭素二重結合を有するモノマーを熱又は光のエネルギーを用いて硬化させて得られる硬化膜を感光ドラム1の表面層とする技術が知られている。また、本実施例では、感光ドラム1の表面層は保護層とされているが、この保護層は導電性粒子を含有していてもよい。また、感光ドラム1の表面層は、保護層としての機能の他、電荷輸送物質を含有した電荷輸送層(より下層の電荷輸送層とは別の電荷輸送層であっても、実質的に単一の電荷輸送層であってもよい。)の機能を有していてもよい。
本実施例では、感光ドラム1の表面の弾性変形仕事率は47%以上(特に、本実施例では48%)である。これにより、感光ドラム1の表面とクリーニングブレード6aとの摩擦による感光ドラム1の表面の削れが抑制され、感光ドラム1の長寿命化が図られている。
感光ドラム1の表面の弾性変形仕事率は、25℃/50%RH(相対湿度)の環境下で、微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて測定した値である。このフィシャースコープH100Vは、測定対象(感光ドラム1の表面)に圧子を当接させ、この圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読することにより、連続的硬さを求めることのできる装置である。圧子としては対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用い、圧子に連続的にかける荷重の最終(最終荷重)は6mNとし、圧子に最終荷重6mNをかけた状態を保持する時間(保持時間)は0.1秒とした。また、測定点は273点とした。
図5は、感光ドラム1の表面の弾性変形仕事率の測定方法を説明するためのグラフ図である。図5において、縦軸は圧子にかけた荷重F(mN)を示し、横軸は圧子の押し込み深さh(μm)を示す。図5は、圧子にかける荷重を段階的に増加させて最終的に荷重を最大(ここでは6mN)とし(A→B)、その後段階的に荷重を減少させた(B→C)ときの結果を示している。弾性変形仕事率は、圧子が測定対象(感光ドラム1の表面)に対して行った仕事量(エネルギー)、すなわち、圧子の測定対象(感光ドラム1の表面)に対する荷重の増減によるエネルギーの変化より求めることができる。具体的には、弾性変形仕事量Weを全仕事量Wtで除した値(We/Wt)が弾性変形仕事率(百分率[%]で表すものとする。)である。なお、全仕事量Wtは図5中のA-B-D-Aで囲まれる領域の面積であり、弾性変形仕事量Weは図5中のC-B-D-Cで囲まれる領域の面積である。
感光ドラム1の表面の弾性変形仕事率が小さすぎると、感光ドラム1の表面の弾性力が不足して、感光ドラム1とクリーニングブレード6aなどの当接部材との当接部での感光ドラム1の表面の摩耗が発生しやすくなる。感光ドラム1の表面の弾性変形仕事率を47%以上とすることで、弾性変形仕事率が47%未満の場合よりも顕著に感光ドラム1の表面の摩耗を抑制して、感光ドラム1の長寿命化を図れることがわかっている。一方、感光ドラム1の表面の弾性変形仕事率が大きすぎると、感光ドラム1の表面の塑性変形量も大きくなり、感光ドラム1とクリーニングブレード6aなどの当接部材との当接部で感光ドラム1の表面に細かい傷が発生しやすくなる。そのため、感光ドラム1の表面の弾性変形仕事率を60%以下とすることが好ましいことがわかっている。なお、感光ドラム1の表面の弾性変形仕事率は、材料及び製造条件の組合せにより調整することができる。
上述のように、本実施例では、感光ドラム1の表面層が低摩耗化されて感光ドラム1の長寿命化が図られている。しかし、このような構成では、感光ドラム1の表面が、例えば現像剤のキャリアとの摺擦などによって陥没して穴が形成されやすくなる傾向がある。そのため、このような構成では、クリーニングブレード6aとその穴との隙間に起因して、クリーニングブレード6aをトナーや外添剤がすり抜けやすくなり、帯電ローラ2の汚れが発生しやすくなる傾向がある。
また、別の問題として、感光ドラム1の表面層が低摩耗化されると、帯電ローラ2と感光ドラム1との間でのスリップが発生しやすくなる傾向がある。このスリップが発生すると、帯電ローラ2が適正に感光ドラム1の回転に従動せずに、感光ドラム1の帯電均一性が低下したり、感光ドラム1の表面の摩耗が促進されたりする。そして、このスリップは、帯電ローラ2の表面粗さが大きいほど、帯電ローラ2と感光ドラム1との接触率が減少して発生しやすくなる傾向がある。
これに対し、本実施例では、実施例1と同様に、帯電ローラ2の表層2cに分散させる粒径の異なる2種類の表層粒子21、22の粒径と質量比を所定の範囲にすることで、帯電ローラ2の表面性状を制御する。これにより、感光ドラム1の表面層が低摩耗化された構成においても、帯電均一性を向上させ、かつ、帯電ローラ2への汚れの付着を抑制できることがわかった。また、「大粒子」のみを用いる場合よりも「大粒子」の数を減らせることなどから、帯電ローラ2の表面粗さが必要以上に大きくなることが抑制されるため、帯電ローラ2と感光ドラム1との間でのスリップを低減する効果も得られることがわかった。
[実施例3]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
感光ドラム1の表面層が低摩耗化されると、感光ドラム1とクリーニングブレード6aとの摩擦力が大きくなり、クリーニングブレード6aのビビリ(異常振動)や捲れ(自由端が感光ドラムの回転方向に捲れる現象)、更には欠けや摩耗が発生しやすくなる。そこで、感光ドラム1とクリーニングブレード6aとの摩擦力を制御して上記不具合を抑制するなどのために、感光ドラム1の表面に複数の独立した凹部が形成されることがある(特許第4101278号公報)。
本実施例では、感光ドラム1の表面(より詳細には、実施例2と同様の保護層1dの表面)には、上述のような複数の各々独立した凹部が形成されている。図6は、本実施例の感光ドラム1の表面の一部を、感光ドラム1の表面の法線方向から見た模式図である。同図中の円形(感光ドラム1の周方向と略平行な断面の形状は下に凸のドーム形状)の部分が後述する特定凹部、それ以外の部分が後述する平坦部である。
典型的には、この凹部は、感光ドラム1の表面の任意の位置に一辺が感光ドラム1の回転方向に対して平行である一辺500μmの正方形領域を配置したとき、該領域における所定条件を満たす特定凹部の面積率が所定値になるように設けられる。
ここで、一辺500μmの正方形領域における特定凹部及び平坦部の定義などについて説明する。感光ドラム1の表面の特定凹部や平坦部などは、例えば、レーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡、原子力間顕微鏡などの顕微鏡を用いて観察することができる。まず、感光ドラム1の表面を顕微鏡などで拡大観察する。感光ドラム1の表面が回転方向に沿って湾曲した曲面である場合は、その曲面の断面プロファイルを抽出し、曲線をフィッティングする。その曲線が直線になるように上記断面プロファイルの補正を行い、得られた直線を感光ドラム1の長手方向に拡張した面を基準面とする。得られた基準面から高低差が所定の範囲内(例えば±0.2μm以内)の領域を、上記一辺500μmの正方形領域における平坦部とする。平坦部よりも下に位置するものを凹部とする。また、深さ及び開口部最長径に関しては、平坦部から凹部の底面までの最大の距離を凹部の深さとし、平坦部による凹部の断面を凹部の開口部とし、開口部を横切る線分のうち、最も長い線分の長さを凹部の開口部最長径とする。
感光ドラム1の表面の凹部は、所定の形状を有する型を感光ドラム1の表面に圧接し形状転写を行う方法(インプリント)で形成することができる。例えば、モールド(型)を有する圧接形状転写加工装置により、感光ドラム1を回転させながら、その表面(周面)に連続的にモールドを接触させ、加圧することにより形成することができる。この他、レーザー照射により、所定の形状の凹部を感光ドラム1の表面に形成する方法なども知られている。
なお、感光ドラム1の周面に設けられる複数の特定凹部は、すべてが同一の形状、開口部最長径、深さであってもよいし、異なる形状、開口部最長径、深さのものが混在していてもよい。また、特定凹部の形状は(感光ドラム1の表面の法線方向から見た表面形状、感光ドラム1の周方向と略平行な断面形状のいずれも)、本実施例のものに限定されるものではなく、必要に応じて任意の形状であってよい。該形状としては、例えば、円形、楕円形、あるいは正方形、長方形、三角形、四角形、五角形、六角形といった多角形などが挙げられる。また、特定凹部は、整列して配置されていてもよいし、ランダムに配置されていてもよい。
本実施例では、感光ドラム1の表面にインプリントで凹部が形成されている。そして、本実施例では、特定凹部は、感光ドラム1の表面の法線方向から見たとき開口部最長径(直径)が30μmの円形であり、該特定凹部の深さは0.7μm、面積率は56%である。なお、特定凹部の面積率は、所定領域における特定凹部の開口面積の合計と特定凹部以外の部分の面積の合計との総和に対する、特定凹部の開口面積の合計の割合(百分率[%]で表すものとする。)である。
上述のように、本実施例では、感光ドラム1の表面に複数の独立した凹部が形成され、クリーニングブレード6aのビビリ、捲れ、あるいは欠けや摩耗が抑制されて、クリーニングブレード6aの長寿命化が図られている。しかし、このような構成では、クリーニングブレード6aと感光ドラム1の表面の凹部との隙間に起因して、クリーニングブレード6aをトナーや外添剤がすり抜けやすくなり、帯電ローラ2の汚れが発生しやすくなる傾向がある。また、感光ドラム1の表面の凹部により帯電ローラ2と感光ドラム1との接触率が減少して、帯電ローラ2と感光ドラム1との間でのスリップが発生しやすくなる傾向がある。
これに対し、本実施例では、実施例1と同様に、帯電ローラ2の表層2cに分散させる粒径の異なる2種類の表層粒子21、22の粒径と質量比を所定の範囲にすることで、帯電ローラ2の表面性状を制御する。これにより、感光ドラム1の表面に複数の独立した凹部が形成された構成においても、帯電均一性を向上させ、かつ、帯電ローラ2への汚れの付着を抑制できることがわかった。また、「大粒子」のみを用いる場合よりも「大粒子」の数を減らせることなどから、帯電ローラ2の表面粗さが必要以上に大きくなることが抑制されるため、帯電ローラ2と感光ドラム1との間でのスリップを低減する効果も得られることがわかった。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
上述の実施例の画像形成装置の帯電方式はDC帯電方式であったが、本発明はAC帯電方式の画像形成装置にも適用できるものである。
上述の実施例では、帯電ローラの表層に2種類の表層粒子を分散させたが、上述した帯電ローラの表面性状を満たすのであれば、3種類以上の表層粒子を分散させてもよい。例えば、帯電ローラ2の表層に、上述の実施例における第2の表層粒子よりも平均粒子径が小さい第3の表層粒子が含まれていたりしてもよい。
上述の実施例では、画像形成装置は複数の画像形成部を有するカラー画像形成装置であったが、本発明は画像形成部を1つだけ有する単色の画像形成装置にも適用できるものである。
また、帯電部材はローラ状の部材に限定されるものではなく、複数の張架ローラに張架された無端状のベルトやブレード状の部材であってもよい。また、像担持体はドラム状の感光体(感光ドラム)に限定されるものではなく、無端ベルト状の感光体(感光体ベルト)であってもよい。静電記録方式の画像形成装置であれば、像担持体はドラム状や無端ベルト状の静電記録誘電体であってよい。
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
2c 表層
3 露光装置
4 現像装置
21 第1の表層粒子(大粒子)
22 第2の表層粒子(小粒子)

Claims (16)

  1. 像担持体と、前記像担持体に接触し前記像担持体を帯電させる帯電部材と、前記帯電部材に電圧を印加する電源と、前記像担持体に現像剤を供給してトナー像を形成する現像手段と、を有し、前記帯電部材は、基層と、前記基層の上に形成された表層と、を備え、前記表層には粒径が異なる第1、第2の表層粒子が分散されている画像形成装置において、
    前記帯電部材の表面粗さ(十点平均粗さRz)は6μm以上、かつ18.8μm以下、前記表層の厚さは7μm以上、かつ20μm以下であり、
    前記第1の表層粒子の平均粒子径をD1、前記第2の表層粒子の平均粒子径をD2としたとき、9.8μm≦D1≦15.8μm、かつ、2.8μm≦D2≦5.2μm、かつ、3≦D1/D2≦5.6を満たし、
    前記帯電部材の表面の単位面積当たりにおける、前記第1の表層粒子の質量をM1、前記第2の表層粒子の質量をM2としたとき、0.10≦M1/(M1+M2)≦0.32を満たすことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記帯電部材の表面の単位面積当たりにおける、前記第1の表層粒子による突起の投影面積率をS1、前記第2の表層粒子による突起の投影面積率をS2としたとき、1.0%≦S1≦3.9%、かつ、13.5%≦S2≦25.5%を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記第1、第2の表層粒子は、ウレタン又はウレタンアクリル又はアクリル又はアクリル・スチレン共重合体で形成された粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記像担持体は感光体であり、前記感光体の表面の弾性変形仕事率は47%以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記像担持体は感光体であり、前記感光体の表面には独立した複数の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 前記帯電部材には、前記像担持体を帯電させる際に直流電圧のみが印加されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 基層と、前記基層の上に形成された表層と、を備え、前記表層に粒径が異なる第1、第2の表層粒子が分散され、表面粗さ(十点平均粗さRz)が6μm以上、かつ18.8μm以下、前記表層の厚さが7μm以上、かつ20μm以下であり、像担持体に接触し電圧が印加されて前記像担持体を帯電させるために用いられる帯電部材であって、
    前記第1の表層粒子の平均粒子径をD1、前記第2の表層粒子の平均粒子径をD2としたとき、9.8μm≦D1≦15.8μm、かつ、2.8μm≦D2≦5.2μm、かつ、3≦D1/D2≦5.6を満たし、
    前記帯電部材の表面の単位面積当たりにおける、前記第1の表層粒子の質量をM1、前記第2の表層粒子の質量をM2としたとき、0.10≦M1/(M1+M2)≦0.32を満たすことを特徴とする帯電部材。
  8. 前記帯電部材の表面の単位面積当たりにおける、前記第1の表層粒子による突起の投影面積率をS1、前記第2の表層粒子による突起の投影面積率をS2としたとき、1.0%≦S1≦3.9%、かつ、13.5%≦S2≦25.5%を満たすことを特徴とする請求項7に記載の帯電部材。
  9. 前記第1、第2の表層粒子は、ウレタン又はウレタンアクリル又はアクリル又はアクリル・スチレン共重合体で形成された粒子であることを特徴とする請求項7又は8に記載の帯電部材。
  10. 前記像担持体を帯電させる際に直流電圧のみが印加されるものであることを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の帯電部材。
  11. 画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なカートリッジであって、請求項7~10のいずれか一項に記載の帯電部材を有することを特徴とするカートリッジ。
  12. 前記帯電部材により帯電させられる前記像担持体としての感光体を更に有することを特徴とする請求項11に記載のカートリッジ。
  13. 基層と、前記基層の上に形成された表層と、を備え、前記表層に粒径が異なる第1、第2の表層粒子が分散され、表面粗さ(十点平均粗さRz)が6μm以上、かつ18.8μm以下、前記表層の厚さが7μm以上、かつ20μm以下であり、像担持体に接触し電圧が印加されて前記像担持体を帯電させるために用いられる帯電部材の製造方法であって、
    硬化性の樹脂溶液中に、前記第1、第2の表層粒子を配合して表層用塗料を調製する工程と、
    前記基層の上に前記表層用塗料の塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜を硬化させて前記表層を形成する工程と、
    を有し、
    前記表層用塗料を調製する工程では、前記第1の表層粒子の平均粒子径をD1、前記第2の表層粒子の平均粒子径をD2としたとき、9.8μm≦D1≦15.8μm、かつ、2.8μm≦D2≦5.2μm、かつ、3≦D1/D2≦5.6を満たす前記第1、第2の表層粒子を、前記第1の表層粒子の単位面積当たりの質量をM1、前記第2の表層粒子の単位面積当たりの質量をM2としたとき、0.10≦M1/(M1+M2)≦0.32を満たすように配合して前記表層用塗料を調製することを特徴とする帯電部材の製造方法。
  14. 前記帯電部材は、前記帯電部材の表面の単位面積当たりにおける、前記第1の表層粒子による突起の投影面積率をS1、前記第2の表層粒子による突起の投影面積率をS2としたとき、1.0%≦S1≦3.9%、かつ、13.5%≦S2≦25.5%を満たすことを特徴とする請求項13に記載の帯電部材の製造方法。
  15. 前記第1、第2の表層粒子は、ウレタン又はウレタンアクリル又はアクリル又はアクリル・スチレン共重合体で形成された粒子であることを特徴とする請求項13又は14に記載の帯電部材の製造方法。
  16. 前記帯電部材は、前記像担持体を帯電させる際に直流電圧のみが印加されるものであることを特徴とする請求項13~15のいずれか一項に記載の帯電部材の製造方法
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