JP7208023B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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近年、多岐にわたる市場要望の1つに、より豊かな画像を得ることを目的として、画像濃度の高濃度化や色味の拡大を要望されている。その目的を果たすために、一般的な画像濃度を得るためのモードに加え、感光ドラムと現像ローラの周速比を変化させて高濃度や色味の増大を行うモードを持ち、感光ドラムへの現像剤供給量を増加させ、記録媒体上の現像剤量を増加する技術がある。
感光体ドラム上の明部電位(以下、Vlとする。)と、現像ローラに印加される現像バイアス(以下、Vdcとする)で形成される電位コントラスト(以下、現像コントラスト:Vcontとする。)を大きく取ることで、記録媒体上の現像剤量を増加させる。これにより、効果的に高濃度や色味の拡大が実現される。使用履歴、使用環境等を鑑みて、上記各電位を適宜制御することで、良好な画像を得られるが、記録媒体上の現像剤量を増やす場合、感光ドラムや中間転写体、記録媒体に現像剤を転写する際に散りと呼ばれる現像剤飛散が悪化する場合がある。これは、現像する現像剤量を増やすと顕著になってくる現象で、現像部の現像剤が非現像部に崩れてきてしまうために起こる。散りに対しては、一般的に非現像部の暗部電位Vdを下げ、現像部のVdc電位との差(以下、Vbackとする。)を大きくすることで、現像部に現像剤が留まるような電界を強化して良化させることができる。
保できなくなり濃度が低下してしまう、感光体ドラムの残量起因の濃度薄が発生する場合があった。これは、感光ドラムの膜厚が厚い新品のときに特に顕著となる。
また、例えば現像剤の残量により現像ローラ上にコートされた現像剤のトリボ(電荷保持量)とM/S(単位面積当たりのトナー量)が変化するため、記録媒体上の現像剤量が増減してしまうことがあった。記録媒体上の現像剤量が減ると、画像濃度が低下してしまう。これは、例えば現像剤が新しく、トリボが高い、且つ現像剤担持体上のコート量が少ないときに顕著となる。逆に、記録媒体上の現像剤量が増える場合においても、他の画像形成ステーションに対して特定の画像形成ステーションの現像剤量が増えてしまうと、主に2次色の色味が変動してしまい、現像剤の残量起因の濃度薄及び色味変動が発生する場合があった。これは、例えば現像剤が劣化して、トリボが低く現像ローラのコート量が多いときに顕著となる。
本発明の目的は、このような課題を解決するためである。すなわち、本発明の画像形成装置は、感光ドラムと現像ローラ間の回転周速比が違う複数の画像形成モードを持つ画像形成装置において、回転周速比及び暗部電位を適切に取得可能な技術を提供することである。
本実施例の画像形成装置は、2つの画像形成モードを持つ。2つの画像形成モードの1つ目は、通常の画像濃度を得る画像形成モード(以下、通常モードとする。)である。2つの画像形成モードの2つ目は、像担持体上の暗部電位を下げつつ、像担持体としての感光ドラムと現像剤担持体としての現像ローラとの回転周速比を増加し、高濃度や色味の選択範囲の増大を得るための画像形成モード(以下、LGTモードとする。)である。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。尚、本実施例は、負帯電特性を持つトナーを用いて説明する。
以下、本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置について、電子写真方式を例にとって説明する。図2は、本実施例に係る画像形成装置200の概略断面図である。画像形成装置200は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザープリンタである。画像形成装置200は、画像情報に従って、記録媒体(例えば、記録用紙、プラスチックシートなど)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置200に接続された画像読み取り装置、或いは画像形成装置200に通信可能に接続されたパーンナルコンピュータ等のホスト機器から、画像形成装置200内のエンジンコントローラ214に備えられたCPU215に入力される。
施例では、画像形成ステーションSY、SM、SC、SKの構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
り付けられている。感光ドラム201は、図示しない駆動手段(駆動源)としての駆動モータの駆動力が感光ドラムユニット301に伝達されることで、画像形成動作に応じて図示矢印A方向(時計方向)に200mm/secの速度で回転駆動される。感光ドラム201は、Φ30mmのアルミニウム製シリンダの外周面に機能性膜である下引き層、高抵抗層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光体を用いている。キャリア移送層は、画像形成動作により削れて消耗していくため、感光ドラムユニット301の寿命に応じた膜厚を形成しなければならない。近年の市場要望を受け、長寿命化を達成するため、本実施例においては、キャリア移送層の膜厚を25μmとする。また、感光ドラムユニット301には、感光ドラム201の周面上に接触するように、クリーニングブレード206及び帯電ローラ202が配置されている。クリーニングブレード206によって感光ドラム201の表面から除去された転写残トナーは、クリーニング枠体303内に落下、収容される。
本実施例においては、23℃、60%RH環境下で、帯電ローラ202をアルミシリンダーに500gfで当接させる。そして、アルミシリンダーを10rpmで回転させながら帯電ローラ202に-200V印加した際に、1000~20000μAの電流が流れるような抵抗値を上下限として設定している。
像室18aの下方に配置され、現像剤収容室18bの上方に設けられた連通口を介して現像室18aと連通している。トナー305は、モータ駆動部406により駆動される現像剤搬送部材としての攪拌部材307の動き(回転方向は矢印G)によってトナー収納容器内を動く。なお、本実施例では、上述のように、トナー10として正規帯電極性が負極性のものを用いており、以下の説明は、負帯電性トナーを用いた場合を前提としている。ただし、本発明で用いることができるトナーは負帯電性トナーに限定されるものではなく、装置構成によっては正規帯電極性が正極性のトナーを用いてもよい。
の矢印D方向への回転によって、現像ブレード308と現像ローラ302との接触部へ進入する。そして、現像ローラ302に担持されたトナーは、現像ローラ302の表面と規制ブレード8との摺擦により摩擦帯電され、電荷を付与されると同時にその層厚が規制される。規制された現像ローラ302上のトナーは、現像ローラ302の回転により、感光ドラム201との対向部に搬送され、感光ドラム201上の静電潜像をトナー像として現像、可視化する。なお、供給ローラ304と現像ローラ302の回転方向が同方向、すなわち、当接部C2における相対的な移動方向(回転方向)が逆方向となる構成でもよい。
感光ドラムユニット301の使用量に応じた情報は、感光ドラム201の累積回転数などの動作量に係る情報や感光ドラム201の累積回転時間に係る情報を含んでもよい。感光ドラムユニット301の使用量に応じた情報は、感光ドラム201の累積回転数又は累積回転時間を感光ドラム201に関する所定値で割った値であってもよい。感光ドラム201に関する所定値は、感光ドラム201の回転数又は回転時間であって、感光ドラム201の寿命に基づいて設定された値である。感光ドラムユニット301の使用量に応じた情報は、感光ドラム201に関する所定値から感光ドラム201の累積回転数又は累積回転時間を減算した値であってもよい。尚、Oメモリm1は、画像形成装置200の制御部101と非接触、または電気接点を介した接触によって通信(情報の書き込み、読取り)可能に構成されている。一旦取り外した感光ドラムユニット301を画像形成装置200の装置本体(以下、画像形成装置本体という。)に再び取り付けた場合であっても、制御部101は、感光ドラムユニット301の使用量に応じた情報を取得することができる。
具体的には、Oメモリm1は、後述の表3に示す暗部電位制御テーブルTcを格納している。
ラ302に関する第1所定値で割った値であってもよい。現像ローラ302に関する第1所定値は、現像ローラ302の回転数又は回転時間であって、現像ローラ302の寿命に基づいて設定された値である。現像ユニット204の使用量に応じた情報は、トナー使用量を使用開始前の現像ユニット204内のトナー量で割った値であってもよい。現像ユニット204の使用量に応じた情報は、トナー残量を使用開始前の現像ユニット204内のトナー量で割った値であってもよい。制御部101は、DTメモリm2に保持された情報をもとに現像ユニット204の使用量に応じた情報を取得することができる。
本実施例における通常モード及びLGTモードの具体的な制御方法を表1に示す。
[本実施例における通常モードとLGTモードの電位設定と回転周速比]
暗部電位Vdは、帯電ローラ202で感光ドラム201の表面を帯電した後の電位である。表1に示すように、LGTモードは、通常モードにおける暗部電位(第1の暗部電位)よりも大きい絶対値の暗部電位(第2の暗部電位)で感光ドラム201が帯電される。明部電位Vlは、スキャナユニット203で感光ドラム201を露光した後の電位である。現像電位Vdcは、現像ローラ302に印加される電位である。現像コントラストVcontは、明部電位Vlと現像電位Vdcとの差である。潜像コントラストVbackは、暗部電位Vdと現像電位Vdcとの差である。回転周速比は、感光ドラム201の回転周速を1としたときの、現像ローラ302の回転周速比である。具体的には、通常モードにおいて、感光ドラム201の回転周速は200mm/sec、現像ローラ302の回転周速は280mm/secとする。また、LGTモードにおいて、感光ドラム201の回転周速は100mm/sec、現像ローラ302の回転周速は210mm/secとする。LGTモードで感光ドラム201の回転周速を遅くした理由は、記録媒体上のトナー量を増やした場合であっても、良好な定着性を確保するためである。回転周速を変えずに定着性を維持するためには、定着温度を上げれば良いが、必要電力が上がるため、本実施例においては感光ドラム201の回転周速を遅くしている。
LGTモードの濃度が上がるのは、記録媒体上のトナー量が通常モードよりも増えるためである。図4は、記録媒体上のトナー量と濃度との関係である。図4の横軸は、記録媒体上のトナー量であり、図4の縦軸は、定着後の濃度である。トナー量が8.0E-03辺りから、トナー量の上昇が緩やかになるが、トナー量が増えると濃度は増加していく。濃度の増加の傾きが変わる理由は、二つある。理由の一つ目は、感光ドラム201上に形成されるVcontの電界は、トナーが現像されていくに従い弱くなっていくため、現像ローラ302上のトナーを引き寄せる力は低下する。理由の二つ目は、現像ローラ302上のトナーのうち高いトリボを有するトナーから現像され、最後は比較的低いトリボを有するトナーが現像ローラ302上に多く残り、感光ドラム201で形成される引き寄せ電界に関する感度が低下していくためである。上記は、回転周速比が一定の場合に起こる傾向にある。尚、図4における電荷移送層の膜厚は20μm、回転周速比は1.4である。
以上のように、LGTモードでは、通常モードよりも、現像コントラストVcontと回転周速比とを上げることで、記録媒体上のトナー量を増やすことができる。その結果、LGTモードでは、濃度を1.3から1.7まで上げることができた。
現像コントラストVcontを上げるためには、一般的に暗部電位Vdを上げて、スキャナユニット203の露光量を増やし、現像電位Vdcを上げることで達成できる。ただし、暗部電位Vdを上げ過ぎると画像弊害が発生してしまうことが分かった。図6は、画像弊害が発生しない暗部電位Vdの最大値と感光ドラム201の電荷移送層の膜厚(以下、CT膜厚とする。)との関係を示している。図6の横軸は、CT膜厚[μm]であり、図6の縦軸は、暗部電位Vd[V]である。図6の実線で区切られた領域(1)~(3)において、下記の理由により印加可能な暗部電位が異なっている。
大きくなるため、所望の暗部電位Vdを得る際の帯電ローラ202からの放電電流量は、Q=CVの関係から小さくなる。放電電流量が小さくなると、帯電ローラ202の回転方向下流側において異常放電が発生する場合があることが分かった。異常放電は、凹部の電界が集中し無いところでは放電せず、凸部の電界が高い部分で放電が起こり、放電できる領域が相対的に減るにも関わらず放電電流量は変わらないため、凸部で局所的に大電流が流れ暗部電位Vdが上がる。一方、凹部は放電しないので、暗部電位Vdは低いままとなる。その結果、記録媒体の一面に細かい白粒画像が発生すると考えられる。表2は、本実施例におけるCT膜厚毎の異常放電発生の状況を示している。表2において、○は異常放電が発生していないことを示し、×は異常放電が発生していることを示している。CT膜厚が23μm以上である場合、LGTモードの暗部電位Vdを表1のように設定すると、異常放電が発生する。
[本実施例におけるCT膜厚毎の異常放電発生状況]
領域(3)では、暗部電位Vdを上げると、リークが発生する場合があった。この領域(3)は、感光ドラム201の駆動量が多く、CT膜厚が削れて薄くなっている状態である。CT膜厚が薄いと、高電界に対する耐圧が下がり、感光ドラム201と帯電ローラ202との接触部において、リークが発生してしまう場合がある。電荷移送層(CT層)の削れムラや、アルミシリンダーの微小なささくれ、下引き層や絶縁層の微小な塗工ムラ等により、耐圧が相対的に低い部分でリークが発生してしまう。本実施例においては、-40V/μm以上の電界を印加すると、上記のリークが発生してしまう場合があるため、領域(3)の暗部電位Vdは、図6のようにCT膜厚が薄くなるに従い高く設定する必要がある。
[暗部電位制御テーブルTc]
図9に示すように、ほぼ高濃度化が達成できているが、以下の2点の課題がある。課題の一つ目は、感光ドラムユニット301の残量Roが87%以上のところだけ、濃度が低くなることである。課題の二つ目は、感光ドラムユニット301の残量Roが7%未満のところだけ、濃度が高くなることである。発明者の検討により、これはそれぞれ二つの理由であることが分かった。
図10は、現像ユニット204の使用量Rdが異なる場合の現像コントラストVcontと濃度との関係図である。図10の横軸は、現像コントラストVcont、図10の縦軸は、濃度である。図10において、実線は、通常モード、破線は、LGTモード、細線は、現像ユニット204の使用量Rdが5%≦Rd<95%、中太線は、現像ユニット204の使用量Rdが0≦Rd<5%、太線は、現像ユニット204の使用量Rdが95%≦Rdである。また、図10において、感光ドラムユニット301の残量Roは33%である。通常モードにおいて、現像ユニット204の使用量Rdが0≦Rd<5%の場合、現像ローラ302上のトナーのM/Sが少なく、Q/Sが高い。このため、同じ現像コントラストVcontでも少ないトナー量で感光ドラム201上の電荷量が均衡してしまう。さらに、現像ローラ302上のコート量自体も少ないので、濃度の感度がなくなる100%現像領域(図10中のΔ200V近傍)の濃度も低いVcontで飽和し、且つ濃度は低くなってしまう。これはLGTモードにおいても同じであるため、初期の濃度は低くなる。
以上から、回転周速比は、RoとRdのそれぞれを考慮して決定する必要がある。図11は、LGTモード時における感光ドラムユニット301の残量Roと、現像ユニット204の使用量Rdと、回転周速比との関係図である。図11の縦軸は、回転周速比であり、図11の横軸は、現像ユニット204の使用量Rdである。図11において白色の丸は、Ro<87%であり、黒色の丸は、Ro≦87%である。これは、本実施例において前
述の二つの理由(1)及び(2)を考慮して設定している。これにより、Vdc/CTが低い場合、現像ローラ302上のM/Sが低くQ/Sが高い場合や、M/Sが高くQ/Sが低い場合においても、色味が変動することなく高濃度化が達成できる。
[回転周速比制御テーブルTd]
次に、図12を用いて、画像形成装置200の制御ブロック図について説明する。
制御部101は、不図示のCPU、ROM,RAMなどの回路からなり、画像形成装置200内の各装置を制御するプログラムを実行する。制御部101内のブロックは制御部101が実行する機能を意味する。
加するために、電源部510に指示を出す。回転周速比決定手段560は、回転周速比制御テーブルTdの情報を参照し、画像形成モード、感光ドラムユニット301の残量Ro及び現像ユニット204の使用量Rdに基づいて、感光ドラム201と現像ローラ302との回転周速比を決定する。そして、回転周速比決定手段560は、決定した回転周速比に応じた回転速度で感光ドラム201及び現像ローラ302を駆動させるために、モータ駆動部511に指示を出す。
次に、実施例1に係る画像形成装置200において、LGTモードの画像形成動作を行った場合のシーケンスについて図1を参照して説明する。
例えば、画像形成装置200に接続された不図示のホスト機器から画像情報に基づくプリントデータが入力されると、制御部101が、メモリに格納されたプリントジョブのシーケンスを読み出してプリント動作を開始する(S1)。その際、制御部101は、プリントデータに含まれる設定情報に例えば「0」が設定されていれば通常モードを、設定情報に「1」が設定されていればLGTモードを選択し、以後の処理を実行する(S2)。画像形成モードとしてLGTモードが選択された場合、制御部101は、Oメモリm1から感光ドラムユニット301の残量情報を読み取り(S3)、感光ドラムユニット301の残量Roを取得(算出)する(S4)。また、制御部101は、DTメモリm2から現像ユニット204の使用量情報を読み取り(S5)、現像ユニット204の使用量Rdを取得する(S6)。制御部101は、環境センサ102から画像形成装置本体の使用環境を読み取る(S7)。制御部101は、感光ドラムユニット301の残量Roと画像形成装置本体の使用環境とから、暗部電位を取得する(S8)。尚、画像形成装置本体の使用環境については後述する。また、画像形成装置本体の使用環境を用いない場合、S7の処理をスキップし、S8の処理において、制御部101は、感光ドラムユニット301の残量Roから暗部電位を取得する。制御部101は、感光ドラムユニット301の残量Roと現像ユニット204の使用量Rdとから、回転周速比を取得する(S9)。制御部101は、決定した暗部電位と回転周速比とにより、画像形成動作を開始する(S10)。一方、画像形成モードとして通常モードが選択された場合、制御部101は、表3に示す暗部電位を印加しつつ、回転周速比1.4にて、画像形成動作を開始する(S11)。
上記説明した制御を行うことにより、異常放電画像やリーク画像の発生を抑制しつつ、良好な高濃度画像を得ることができる。
[比較例1における画像形成装置及びプロセスカートリッジの構成]
比較例1において、特に記載のない場合は、実施例1の構成に従う。
比較例1のLGTモードにおける暗部電位は、感光ドラムユニット301の残量Roに関わらず、-750Vとした。また、LGTモードにおける回転周速比は、現像ユニット204の使用量Rdに関わらず、2.5とした。
[比較例2における画像形成装置及びプロセスカートリッジの構成]
比較例2において、特に記載のない場合は、実施例1の構成に従う。
比較例2のLGTモードにおける回転周速比は、現像ユニット204の使用量Rdに関わらず、2.5とした。
図13Aに実施例1、図13Bに比較例1、図13Cに比較例2のそれぞれのLGTモード時の耐久濃度推移を示す。図13A~図13Cにおいて、縦軸は濃度であり、横軸はRo[%]である。また、図13A~図13Cにおいて、黒色の丸は現像ユニット204の使用量Rdが5%未満を示し、斜線付きの丸は5%≦Rd<95%を示し、白色の丸は
Rd≦95%を示している。本実施例では、特に顕著なRoとRdの組み合わせについて、濃度の値を示している。
以上の結果を、表5に示す。表5における比較例1の高濃度化と色味変動の結果は、異常放電画像及びリーク画像が発生していない状態での評価結果である。表5に示すように、実施例1の構成によって、画像弊害が発生せずに高濃度化が達成できている。
[実施例1と比較例1及び比較例2とのLGTモード時の効果及び弊害一覧]
本実施例においては、現像ローラ302上のトナーのM/S及びQ/Sに応じて、回転周速比を設定している。トナーのM/S及びQ/Sは、上述の耐久変動以外に使用環境によっても変化する。例えば、本実施例の現像ユニット204を使用した場合、低温低湿環境、常温常湿環境、高温高湿環境におけるM/S及びQ/Sは、現像ユニット204の使用量Rdにより、図14A及び14Bのように変動する。図14Aの縦軸はM/S、横軸はRdであり、図14Bの縦軸はQ/S、横軸はRdである。図14A、14Bにおいて、白色の丸は低温低湿環境を示し、白色の三角は常温常湿環境を示し、白色の四角は高温高湿環境を示している。実施例1は、常温常湿環境における制御を示したが、図14A、14Bに示すように、使用環境次第でM/S及びQ/Sは変化する。低温低湿環境では、湿度が低い為、トリボが高くなる。トリボが高いと、トナー同士が凝集し易くなり、現像ブレード308で規制し難くなり、M/Sも上昇する。また、Rdが少なくなってトナーが劣化してくると、更にトナーの凝集度が上がり、トナーを規制できなくなり、M/Sが更に上昇する。高温高湿環境では、逆にトリボが低い為、現像ブレード308で規制し易く、M/Sが常温常湿環境と同様に低くなる。更に、Rdが低くなってくると、トナーが劣化し、トリボが低くなってくる。このため、回転周速比を制御しない場合、潜像に対して多くのトナーが乗るようになってしまう。
通常モードの他に、暗部電位を低くしつつ感光ドラム201と現像ローラ302との回転周速比を大きくしたLGTモードを実施する際、Oメモリm1に格納されている感光ドラムユニット301の使用量に応じた暗部電位を形成する。これにより、帯電部材の異常放電や感光ドラムのリークを抑制することができる。暗部電位が相対的に高くなる場合は、明部電位と現像電位で形成される現像コントラストが小さくなり、現像ローラ302上のトナーを感光ドラム201の表面に引き付ける電界が弱くなる。そのため、記録媒体上
のトナー量が若干低下して、高濃度にできない場合がある。この場合、感光ドラム201と現像ローラ302の回転周速比を大きくすることで、あるトリボ分布を持って現像ローラ302に担持されているトナーの内、電界に対する感度の高い高トリボトナーを十分送ることができる。結果、記録媒体上のトナー量を暗部電位が相対的に低い場合と同等程度に十分確保でき、高濃度及び色域の広がった良好な画像を得ることができる。さらに、Oメモリm1に格納されている感光ドラムユニット301の使用量に応じた情報及びDTメモリm2に格納されている現像ユニット204の使用量に応じた情報に基づいて回転周速比を選択する。これにより、任意の感光ドラム201及び任意の現像ユニット204が組み合わさった2体化構成においても、異常放電やリーク画像を抑制しつつ、トナーのトリボに応じて記録媒体上のトナー量を最適化できる。その結果、高濃度及び色域の広がった良好な画像を得ることができる。
実施例2について説明する。以下では、実施例1と実施例2との相違点について説明し、実施例2における実施例1と同一の構成要素については、実施例1と同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施例2では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成ステーションSY、SM、SC、SKのうち、SY、SM、SCの現像ユニット204を駆動する駆動モータを共通としている。これにより、フルカラー印字とモノカラー印字をスムーズに行いつつ、小型化、コストダウンが達成できる。Y、M、C、Kの各色用のプロセスカートリッジ208のそれぞれは、Oメモリm1Y、DTメモリm2Y、Oメモリm1M、DTメモリm2Y、Oメモリm1C、DTメモリm2C、Oメモリm1K、DTメモリm2Kを有する。以下では、Oメモリm1Y、Oメモリm1M、Oメモリm1C及びOメモリm1Kの全てを示す場合、Oメモリm1YMCKと呼び、Oメモリm1YMCKのそれぞれを示す場合、各Oメモリm1YMCKと呼ぶ。また、DTメモリm2Y、DTメモリm2Y、DTメモリm2C及びDTメモリm2Kの全てを示す場合、DTメモリm2YMCKと呼び、DTメモリm2YMCKのそれぞれを示す場合、各DTメモリm2YMCKと呼ぶ。このように、実施例2において、Oメモリm1及びDTメモリm2の符号にY、M、C、Kを添え字として付加しているが、他の各構成要素の符号にY、M、C、Kを添え字として付加した場合も同様である。
実施例2では、表4の回転周速比制御テーブルTdを用いて、現像ユニット204の使用量Rd及び感光ドラムユニットの残量Roから、各色の回転周速比が取得される。この場合、画像形成ステーションSY、SM、SCの現像ユニット204を駆動する駆動モータが共通のため、選択できる回転周速比は一つである。基本的に、回転周速比を上げていくと通常モードに対してより高濃度化が図れるが、Rdによっては、画像弊害である色味変動が発生してしまう。本実施例においては、画像弊害が出ない範囲で高濃度化が達成できるように、取得した回転周速比のうち、一番低い値を採用するようにする。
次に、図16を用いて、画像形成装置200の制御ブロック図について、実施例1との違いを説明する。各現像ユニット204YMCに配置された各DTメモリm2YMCに、各現像ユニット204YMCの使用量Rdが格納されている。また、各感光ドラムユニット301YMCに配置された各Oメモリm1YMCに、感光ドラムユニット301YMCの残量Roが格納されている。
ド及び各残量RoYMCに基づいて、感光ドラム201上に形成する各暗部電位を決定する。各残量RoYMCは、各感光ドラムユニット301YMCの残量Roを意味する。そして、暗部電位決定手段550は、決定した各暗部電位に応じた電位を帯電ローラ202Y、202M、202Cに印加するために、電源部510に指示を出す。回転周速比決定手段560は、回転周速比制御テーブルTdの情報を参照し、画像形成モード、各残量RoYMC及び各使用量RdYMCに基づいて、感光ドラム201と現像ローラ302との各回転周速比を決定する。各使用量RdYMCは、各現像ユニット204YMCの使用量Rdを意味する。そして、回転周速比決定手段560は、各回転周速比のうち一番小さい回転周速比に応じた回転速度で感光ドラム201及び現像ローラ302を駆動させるために、モータ駆動部511に指示を出す。
次に、実施例2に係る画像形成装置200において、LGTモードの画像形成動作を行った場合のシーケンスについて図17を参照して説明する。図17のS21及びS22の処理については、図1で説明したS1及びS2の処理と同様であるので詳しい説明を省略する。画像形成モードとしてLGTモードが選択された場合、制御部101は、各Oメモリm1YMCKから各感光ドラムユニット301YMCKの残量情報を読み取り(S23)、各残量RoYMCKを取得する(S24)。各残量RoYMCKは、各感光ドラムユニット301YMCKの残量Roを意味する。また、制御部101は、各DTメモリm2YMCKから現像ユニット204の使用量情報を読み取り(S25)、各使用量RdYMCKを取得する(S26)。各使用量RdYMCKは、各現像ユニット204YMCKの使用量Rdを意味する。制御部101は、環境センサ102から画像形成装置本体の使用環境を読み取る(S27)。制御部101は、各残量RoYMCKと画像形成装置本体の使用環境とから、各暗部電位(Y、M、C、K)を取得する(S28)。また、画像形成装置本体の使用環境を用いない場合、S27の処理をスキップし、S28の処理において、制御部101は、各残量RoYMCKから各暗部電位(Y、M、C、K)を取得する。制御部101は、各残量RoYMCと各使用量RdYMCとから、プロセスカートリッジ208YMCにおける各回転周速比(Y、M、C)を取得し、各回転周速比のうち最小の回転転周速比(最小値)を決定する(S29)。S29において、制御部101は、最小の回転転周速比(最小値)をプロセスカートリッジ208YMCにおける各回転周速比に決定する。また、S29において、制御部101は、感光ドラムユニット301Kの残量Roと現像ユニット204Kの使用量Rdとから、プロセスカートリッジ208Kにおける回転周速比を取得する。制御部101は、決定した暗部電位と回転周速比とにより、画像形成動作を開始する(S30)。一方、画像形成モードとして通常モードが選択された場合、制御部101は、表3に示す暗部電位を印加しつつ、回転周速比1.4にて、画像形成動作を開始する(S31)。
以上説明した制御を行うことにより、プロセスカートリッジ208YMCの駆動モータを共通化し、小型化した簡易な構成であっても、異常放電画像やリーク画像の発生を抑制しつつ、良好な高濃度画像を得ることができる。
Claims (5)
- 静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、前記像担持体を帯電させる帯電手段と、を有する、画像形成装置の装置本体に着脱可能な潜像ユニットと、
現像剤担持体に担持された現像剤を前記像担持体に供給して前記静電潜像を現像剤像として現像する、前記画像形成装置の装置本体に対して着脱可能な現像ユニットと、をそれぞれ有する複数の作像部と、を備え、
前記現像剤担持体が前記像担持体に対して第1の周速比で回転し、かつ、第1の暗部電位で前記像担持体が帯電される第1モードと、前記現像剤担持体が前記像担持体に対して第1の周速比よりも大きい第2の周速比で回転し、かつ、前記第1の暗部電位よりも大きい絶対値の第2の暗部電位で前記像担持体が帯電される第2モードと、を有する画像形成装置であって、
前記潜像ユニットの使用量に応じた情報に基づいて前記第2の暗部電位を取得し、かつ、前記潜像ユニットの使用量に応じた情報及び前記現像ユニットの使用量に応じた情報に基づいて前記第2の周速比を取得する制御部を備え、
前記制御部は、前記複数の作像部のそれぞれが有する前記潜像ユニットの使用量に応じた情報に基づいて複数の第2の暗部電位を取得し、かつ、前記複数の作像部のそれぞれが有する前記潜像ユニットの使用量に応じた情報及び前記現像ユニットの使用量に応じた情報に基づいて、複数の周速比を取得し、前記複数の周速比のうち最小値を前記第2の周速比となるように制御することを特徴とする画像形成装置。 - 前記潜像ユニットは、前記潜像ユニットの使用量に応じた情報が記憶された第1メモリを有し、
前記現像ユニットは、前記現像ユニットの使用量に応じた情報が記憶された第2メモリを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記制御部は、前記潜像ユニットの使用量に応じた情報及び前記画像形成装置の使用環境に関する情報に基づいて前記第2の暗部電位を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記潜像ユニットの使用量に応じた情報は、前記像担持体の残寿命を含み、
前記像担持体の残寿命が少ないほど、前記第2の周速比が大きくなることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の画像形成装置。 - 前記現像ユニットの使用量に応じた情報は、前記現像ユニットの使用量を含み、
前記現像ユニットの使用量が大きいほど、前記第2の周速比が大きくなることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の画像形成装置。
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