JP2017181811A - 現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】現像剤担持への現像剤の供給が、規制部材による現像剤担持体の現像剤担持量の規制力を上回ることによる不具合の発生を抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】現像ブレード44は、現像ローラ42との対向部において、現像ローラ42へ向かって突出する凸部44B1が先端から距離を空けて設けられており、現像バイアスと現像バイアスとの電位差をΔ(V)とし、現像ブレード44の現像ローラ42に対する圧接圧をX(gf/cm)とし、現像ローラ42の回転軸に垂直な断面を見たときの、凸部44B1よりも先端側において現像ローラ42と対向する対向面44B2からの凸部44B1の高さをH(mm)とし、対向面44B2の現像ローラ42の回転方向における長さをL(mm)とした場合に、0.05≦H≦0.1,0.15≦L≦1.01,5≦X≦60であり、少なくともΔ≧−5*X−125の関係を満たす。
【選択図】図3

Description

本発明は、電子写真画像形成装置に用いられる現像装置に関する。
従来から1成分トナーを用いて静電潜像を可視化する現像装置として、トナーを担持搬送する現像剤担持体としての現像ローラと、現像ローラの周囲に配置され現像ローラにトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラと、を備えたものが知られている。この現像装置においては、供給ローラと現像ローラとの機械的摺擦によりトナーが摩擦帯電されながら現像ローラに供給される。供給されたトナーは現像剤規制部材である現像ブレードによって、現像ローラ上のトナー層厚が一定量に規制された後、像担持体である感光ドラムとの近接領域である現像領域に搬送され、静電潜像をトナー像として可視化する。現像領域で現像に使用されずに現像ローラ上に残留するトナーは、供給ローラとの当接部で現像ローラから機械的摺擦により、掻き取られる。それと同時に供給ローラから現像ローラに対してトナーが供給される。
ここで、トナー供給量と未現像トナーのかきとり性能を両立できるように、現像ローラと供給ローラとの表面が互いに相対周速比を有するように配置される。すなわち、現像ローラと供給ローラとの当接部において、供給ローラの方が現像ローラよりも早く移動するように、それぞれの回転速度が制御される。また、供給ローラに印加するバイアス(供給バイアス)と現像ローラに印加するバイアス(現像バイアス)との電位差を調整することにより、供給ローラから現像ローラへのトナー供給量を調整することができる。
従来の現像装置においては、トナー層厚を一定量に規制するために、枠体に固定された一端から現像ローラの回転方向とは逆方向に延びて他端側が現像ローラ表面に接触する現像ブレードにおいて次のような構成が提案されている。すなわち、現像ブレード他端先端部における現像ローラとの対向部に、現像ローラに圧接する圧接面と、該圧接面よりも現像ローラ回転方向上流側(先端側)に現像ローラから離れて対向するように形成された対向面と、を有する段差形状を設けることである。この構成によれば、現像ローラの回転方向における段差より上流側の対向部分においてトナー溜まりがより安定して形成されるため、層規制の直前におけるトナー圧力が均一化し、均一なトナー層が安定して得ることができる。
特開平11−272067号公報
しかしながら、上記構成の現像ブレードにおいて、供給バイアスと現像バイアスとの電位差を大きくしていくと、ある閾値以上において現像ブレードで規制できずに搬送されたトナーが現像ブレードと現像ローラとの間に溜まるボタ落ちと呼ばれる現象が発生した。これは、供給ローラによるトナー供給能力が現像ブレードの規制力を上回ったことに起因する問題である。トナーボタ落ちは、現像ローラのトナー規制部より下流部において、トナーが現像ローラ上に保持されずに現像ブレード上に落下している状態であり、この状態で画像形成を継続すると、画像形成本体内や記録材への汚染に発展し画像品質の低下が生じる。
本発明の目的は、供給部材による現像剤担持への現像剤の供給が、規制部材による現像剤担持体の現像剤担持量の規制力を上回ることに起因する不具合の発生を抑制することができる技術を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明の現像装置は、
画像形成装置に用いられる現像装置であって、
現像剤を収容する枠体と、
前記枠体の開口部に回転可能に設けられ、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に当接するとともに、回転する前記現像剤担持体に対して当接部において同じ方向に移動するように回転可能に設けられ、前記現像剤担持体へ供給する供給部材と、
前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制すべく前記現像剤担持体に接触するブレード状の規制部材であって、一端が前記枠体に固定され、前記現像剤担持体の回転方向とは逆方向に延び、自由端である他端が前記現像剤担持体に接触する規制部材と、
前記現像剤担持体に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、
前記供給部材に供給バイアスを印加する供給バイアス印加手段と、
を備え、
前記規制部材は、前記現像剤担持体との対向部において、前記現像剤担持体へ向かって突出する凸部が前記他端の先端から距離を空けて設けられており、
前記供給バイアスから前記現像バイアスを引いたときの前記現像バイアスと前記現像バイアスとの電位差をΔ(V)とし、
前記規制部材の前記現像剤担持体に対する圧接圧をX(gf/cm)とし、
前記現像剤担持体の回転軸に垂直な断面を見たときの、前記対向部の前記凸部よりも前記他端の先端側において前記現像剤担持体と対向する対向面からの前記凸部の高さをH(mm)とし、前記対向面の前記現像剤担持体の回転方向における長さをL(mm)とした場合に、
0.05≦H≦0.1
0.15≦L≦1.0
15≦X≦60
であり、少なくとも
Δ≧−5*X−125
の関係を満たすことを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の現像装置は、
画像形成装置に用いられる現像装置であって、
現像剤を収容する枠体と、
前記枠体の開口部に回転可能に設けられ、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に当接するとともに、回転する前記現像剤担持体に対して当接部において同じ方向に移動するように回転可能に設けられ、前記現像剤担持体へ供給する供給部材と、
前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制すべく前記現像剤担持体に接触するブレード状の規制部材であって、一端が前記枠体に固定され、前記現像剤担持体の回転方向とは逆方向に延び、自由端である他端が前記現像剤担持体に接触する規制部材と、
前記現像剤担持体に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、
前記供給部材に供給バイアスを印加する供給バイアス印加手段と、
を備え、
前記規制部材は、前記現像剤担持体との対向部において、前記現像剤担持体へ向かって突出する凸部が前記他端の先端から距離を空けて設けられており、
前記供給バイアスから前記現像バイアスを引いたときの前記現像バイアスと前記現像バイアスとの電位差をΔ(V)とした場合に、少なくとも
Δ≧−200
の関係を満たすことを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の現像装置は、
画像形成装置に用いられる現像装置であって、
現像剤を収容する枠体と、
前記枠体の開口部に回転可能に設けられ、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に当接するとともに、回転する前記現像剤担持体に対して当接部において同じ方向に移動するように回転可能に設けられ、前記現像剤担持体へ供給する供給部材と、
前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制すべく前記現像剤担持体に接触するブレード状の規制部材であって、一端が前記枠体に固定され、前記現像剤担持体の回転方向とは逆方向に延び、自由端である他端が前記現像剤担持体に接触する規制部材と、
前記現像剤担持体に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、
前記供給部材に供給バイアスを印加する供給バイアス印加手段と、
を備え、
前記規制部材は、前記現像剤担持体との対向部において、前記現像剤担持体へ向かって突出する凸部が前記他端の先端から距離を空けて設けられており、
前記供給バイアスから前記現像バイアスを引いたときの前記現像バイアスと前記現像バイアスとの電位差をΔ(V)とし、
前記規制部材の前記現像剤担持体に対する圧接圧をX(gf/cm)とし、
前記現像剤担持体の回転軸に垂直な断面を見たときの、前記対向部の前記凸部よりも前記他端の先端側において前記現像剤担持体と対向する対向面からの前記凸部の高さをH(mm)とし、前記対向面の前記現像剤担持体の回転方向における長さをL(mm)とした場合に、
0.1≦H≦0.3
0.15≦L≦1.0
15≦X≦60
であり、少なくとも
Δ≧−5*X−175
の関係を満たすことを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明のプロセスカートリッジは、
画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
上記現像装置と、
前記現像装置によって現像される潜像が形成される像担持体と、
を備えることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
上記現像装置と、
前記現像装置によって現像される潜像が形成される像担持体と、
を備え、
前記潜像が現像されて前記像担持体に形成された現像剤像が記録材に転写されることを特徴とする。
本発明によれば、供給部材による現像剤担持への現像剤の供給が、規制部材による現像剤担持体の現像剤担持量の規制力を上回ることに起因する不具合の発生を抑制することができる。
実施例1に係る画像形成装置の概略断面図 実施例1に係る現像装置の概略断面図 実施例1における現像ブレードの概略断面図 実施例2、3、4における現像ブレードの形状範囲説明図 電位差Δとブレード圧Xとボタ落ち発生との関係説明図
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
(実施例1)
<画像形成装置>
図1を参照して、本発明の実施例に係る電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置)の全体構成について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザプリンタである。画像形成装置100は、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布など)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置本体100Aに接続された画像読み取り装置、或いは、画像形成装置本体100Aに通信可能に接続されたパーンナルコンピュータ等のホスト機器から、画像形成装置本体100Aに入力される。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、鉛直方向と交差する方向に一列に配置されている。尚、本実施例では、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
本実施例では、画像形成装置100は、複数の像担持体として、鉛直方向と交差する方向に並設された4個のドラム型の電子写真感光体、即ち、感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、図示矢印A方向(時計方向)に図示しない駆動手段(駆動源)により回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、感光ドラム1の表面を均―に帯電する帯電手段としての帯電ローラ2、画像情報に基づきレーザを照射して感光ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段としてのスキャナユニット(露光装置)3が配置されている。さらに、感光ドラム1の周囲には、静電像をトナー像(現像剤像)として現像する現像手段としての現像ユニット(現像装置)4、転写後の感光ドラム1の表面に残った転写残トナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング部材6が配置されている。さらに、4個の感光ドラム1に対向して、感光ドラム1上のトナー像を記録材12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト5が感光ドラム1の上方に配置されている。
なお、本実施例では、現像装置としての現像ユニット4は、現像剤として非磁性一成分現像剤のトナーを用いる。また、本実施例では、現像ユニット4は、現像剤担持体としての現像ローラを感光ドラム1に対して接触させて反転現像を行うものである。即ち、本実施例では、現像ユニット4は、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを、感光ドラム1上の露光により電荷が減衰した部分(画像部、露光部)に付着させることで静電像を現像する。
本実施例では、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像ユニット4及びクリーニング部材6とは、一体化され、即ち、一体的にカートリッジ化されて、プロセスカートリッジ7を形成している。プロセスカートリッジ7は、画像形成装置本体100Aに設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、画像形成装置100に着脱可能となっている。本実施例では、各色用のプロセスカートリッジ7は、全て同一形状を有しており、各色用のプロセスカートリッジ7内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されている。また本実施例では現像剤として非磁性一成分トナーを用いている。
中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト5は、全ての感光ドラム1に当接し、図示矢印B方向(反時計方向)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材として、駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53に掛け渡されている。中間転写ベルト5の内周面側には、各感光ドラム1に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ8が並設されている。一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を感光ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト5と感光ドラム1とが当接する一次転写部N1を形成する。そして、一次転写ローラ8に、図示しない一次転写バイアス印加手段としての一次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、感光ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
また、中間転写ベルト5の外周面側において二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト5を介して二次転写対向ローラ52に圧接し、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9とが当接する二次転写部N2を形成する。そして、二次転写ローラ9に、図示しない二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、中間転写ベルト5上のトナー像が記録材12に転写(二次転写)される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、上述した一次転写までのプロセスが、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて順次に行われ、中間転写ベルト5上に各色のトナー像が次に重ね合わせて一次転写される。その後、中間転写ベルト5の移動と同期が取られて記録材12が二次転写部N2へと搬送される。中間転写ベルト5上の4色トナー像は、記録材12を介して中間転写ベルト5に当接している二次転写ローラ9の作用によって、一括して記録材12上に二次転写される。トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置10に搬送される。定着装置10において記録材12に熱及び圧力を加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。
一次転写工程後に感光ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニング部材6によって除去、回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって清掃される。なお、画像形成装置100は、所望の一つの画像形成部のみを用いて、又は、幾つか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
<プロセスカートリッジ>
図2を参照して、本実施例の画像形成装置100に装着されるプロセスカートリッジ7の全体構成について説明する。本実施例では、収容しているトナーの種類(色)を除いて、各色用のプロセスカートリッジ7の構成及び動作は実質的に同一である。図2は、感光ドラム1の長手方向(回転軸線方向)に沿って見た本実施例のプロセスカートリッジ7の
概略断面(主断面)図である。図2のプロセスカートリッジ7の姿勢は、画像形成装置本体に装着された状態での姿勢であり、以下でプロセスカートリッジの各部材の位置関係や方向等について記載する場合はこの姿勢における位置関係や方向等を示している。
プロセスカートリッジ7は、感光ドラム1等を備えた感光体ユニット13と、現像ローラ42等を備えた現像ユニット4とを一体化して構成される。感光体ユニット13は、感光体ユニット13内の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。クリーニング枠体14には、感光ドラム1が図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられている。感光ドラム1は、図示しない駆動手段(駆動源)としての駆動モータの駆動力が感光体ユニット13に伝達されることで、画像形成動作に応じて図示矢印A方向(時計方向)に回転駆動される。本実施例にて、画像形成プロセスの中心となる感光ドラム1は、アルミニウム製シリンダの外周面に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光ドラム1を用いている。
また、感光体ユニット13には、感光ドラム1の周面上に接触するように、クリーニング部材6、帯電ローラ2が配置されている。クリーニング部材6によって感光ドラム1の表面から除去された転写残トナーは、クリーニング枠体14内に落下、収容される。帯電手段である帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部を感光ドラム1に加圧接触することで従動回転する。ここで、帯電ローラ2の芯金には、帯電工程として、感光ドラム1に対して所定の直流電圧が印加されており、これにより感光ドラム1の表面には、一様な暗部電位(Vd)が形成される。前述のスキャナユニット3からのレーザ光によって画像データに対応して発光されるレーザ光のスポットパターンは、感光ドラム1を露光し、露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、露光部位は所定の明部電位(Vl)、未露光部位は所定の暗部電位(Vd)の静電潜像が、感光ドラム1上に形成される。本実施例では、Vd=−500V、Vl=−100Vとしている。
<現像ユニット(現像装置)>
現像ユニット4は、トナーTを担持する現像剤担持体としての現像ローラ42と、現像ローラ42にトナーを供給する供給部材としてのトナー供給ローラ43と、トナーTをトナー供給ローラ43へ搬送する現像剤搬送部材としてのアジテータ45と、を備える。現像ユニット4は、現像ローラ42、トナー供給ローラ43、アジテータ45がそれぞれ回転可能に組み付けられる枠体としての現像容器40を備える。現像容器40は、アジテータ45が配置されるトナー収容室41aと、現像ローラ42及びトナー供給ローラ43が配置される現像室41bと、トナー収容室41aと現像室41bとをトナーTの移動が可能なように互いに連通する連通口41cと、を有する。現像室41bは、トナーを現像容器40外部へ運び出すための開口部が設けられており、その開口部を塞ぐような配置で現像ローラ42が現像容器40に回転可能に組み付けられている。現像ローラ42の周面の一部は開口部から外部へ露出している。
トナー収納室41a内に収容されているトナーTは、アジテータ45により現像ローラ42が配置される現像室41に汲み上げられる。汲みあげられたトナーTは現像ローラ42と供給ローラ43との接触部の重力方向上側に貯留し、供給ローラ43の回転に伴い、供給ローラ43と現像ローラ42接触部で機械的に摺擦される。本摺擦によりトナーが摩擦帯電し、現像ローラ42上に担持、供給される。回転する現像ローラ42に担持されたトナーTは、開口部を通過して現像容器40の外部へ移動し、感光ドラム1の静電潜像の現像に供されることになる。その際、現像容器40外部へ運び出されるトナー量は、現像ブレード44によって規制、調整されることになる。すなわち、現像ローラ42に担持されているトナーは、現像ローラ42にトナーを介して当接している現像ブレード44により適当な層厚に薄層化される。同時に、現像ローラ42に供給されたトナーは、現像ロー
ラ42と現像ブレード44との間に挟まれることで現像ローラ42表面、現像ブレード44表面と摩擦され、所望の極性に摩擦帯電される。そして、現像ローラ42の矢印方向の回転により、感光体1との対向部である現像領域に搬送される。
現像領域では、現像ローラ42上のトナー層が現像ローラバイアス印加手段50による現像電界によって、感光ドラム1上の静電潜像の現像に供され、該静電潜像がトナー像として可視化される。現像領域で現像に使用されず現像ローラ42上に残留するトナーは、供給ローラ43との当接部で摺擦混合される。同時に現像ローラ42上には供給ローラ43の回転により現像剤が新たに供給される。一方、供給ローラ43によって摺擦混合された未現像トナーは、供給ローラ43の回転により下方のトナー収納室41a内に戻され、アジテータ45の回転によりトナー収納室41a内で他のトナーと攪拌混合される。
現像容器40の開口部において現像ブレード44が配置された側とは逆側にはトナー漏れを防止する吹き出し防止シート46が備えられている。トナー収容室41aは、現像室41bよりも重力方向下方に位置する。現像ブレード44が現像ローラ42に当接する位置は、現像ローラ42の回転中心よりも下方、かつ水平方向において現像ローラ42の回転中心とトナー供給ローラ43の回転中心との間に位置する。本実施例では、トナーTとして非磁性一成分のトナーを使用している。
本実施例に係る現像ユニット4の各部の詳細条件を説明する。本実施例では、トナーとして、非磁性一成分の負帯電性トナーを用いている。なお、本実施例では初期状態で凝集度が5〜40%のトナーを用いている。このような凝集度を持つトナーを用いることで耐久を通してトナーの流動性を確保することが可能である。また、トナーの凝集度については、次のようにして測定を行った。測定装置としては、デジタル振動計(DIGITAL
VIBRATIONMETERMODEL 1332 SHOWA SOKKI CORPORATION製)を有するパウダーテスター(細川ミクロン社製)を用いた。測定法としては、振動台に390メッシュ、200メッシュ、100メッシュのふるいを目開の狭い順に、すなわち100メッシュふるいが最上位にくるように390メッシュ、200メッシュ、100メッシュのふるい順に重ねてセットした。このセットした100メッシュふるい上に正確に秤量した試料(トナー)5gを加え、デジタル振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように調整し、15秒間振動を加えた。その後、各ふるい上に残った試料の質量を測定して下式にもとづき凝集度を得た。その際の測定サンプルは、それぞれ事前に23℃、60%RH環境下において24時間放置したものであり、測定は23℃、60%RH環境下で行った。
凝集度(%)=(100メッシュふるい上の残試料質量/5g)×100+(200メッシュふるい上の残試料質量/5g)×60+(390メッシュふるい上の残試料質量/5g)×20。
供給ロ−ラ43は、φ15mmであって、φ6mmの導電性の芯金上に可撓性を有する発泡ポリウレタンを形成したものを用いている。また表面硬度はAsker−Fで50〜80°を用いることができる。また、現像ローラ42に対して侵入量1.0mmで配置される。供給ローラ43には、供給バイアス印加手段としての供給ローラバイアス電源(高圧電源)60からバイアス(供給バイアス)が印加される。
現像ローラ42は、φ12mmであって、φ6mmの導電性の芯金上にシリコーンゴムを基層とし、その上にウレタンゴムを表層として形成したものを用いている。なお、現像ローラ42の体積抵抗としては10E4〜10E12Ωの抵抗のものを用いることができる。また、表面硬度はAsker−Cで30〜75°の範囲のものを用いることができる。また、現像ローラの回転速度は200rpmである。現像ローラ42には、現像バイアス印加手段としての現像ローラバイアス電源(高圧電源)50から、感光ドラム1上の静
電潜像をトナー像として現像、可視化するのに十分なバイアス(現像バイアス)が印加される。
供給ローラ43は、現像ローラ42と逆方向に回転、すなわち両ローラ43、42の当接部で互いに表面が順方向に移動するように回転駆動される。現像ローラ42の表面周速VDRに対する供給ローラ43の表面周速VSPの比、すなわちVSP/VDRは、160%に設定している。また、供給ローラ43に印加される供給バイアスと現像ローラ42に印加される現像バイアスとの電位差を調整することにより、現像ローラ42へのトナー供給量を調整することができる。現像ローラバイアス電源50と供給ローラバイアス電源60によって印加されるバイアスは、画像形成装置の各種動作を制御する、CPUやメモリなどで構成される制御部70によって制御される。本実施例では、供給ローラ43と現像ローラ42の当接部で互いに表面が順方向に移動するように回転駆動されているが、トナー供給と未現像トナーのかきとり性能を両立できればよく、当接部でカウンター方向に回転駆動してもよい。
<本実施例の特徴となる現像ブレード構成>
図3を参照して、本実施例の特徴である現像ブレード44について説明する。現像ブレード44は、現像ローラ42に接触し、現像ローラ42上のトナーの量の適性化およびトナーの電荷の適性化を行う。ここで、現像ブレード44の現像ローラ42に対する圧接圧は15〜60gf/cmが好ましい。15gf/cmよりも低くなると、現像ブレード44と現像ローラ42との間の摺擦力が低下し、トナーへの摩擦帯電能力が弱まり、現像ローラ42を通過したトナーが飛散する。また、60gf/cmよりも高くなると、現像ブレード44と現像ローラ42との間の圧力が強す過ぎるため、トナー劣化を促進することになる。トナー劣化、すなわちトナー表面における外添剤の遊離・埋没が促進されると、凝集度の増加やトナー帯電性能低下を招き、現像ローラ上にトナーが融着するトナーフィルミング等の問題が発生し、長寿命化の妨げとなる。
現像ブレードの圧測定方法を説明する。現像ブレード44は、現像ローラ42の外周面に面接触にて当接している。現像ブレード44の当接圧は、現像ローラ42を取り外した現像ユニット4を専用の測定治具に装着し、仮想の現像ローラとしての現像ローラ42と等しい直径のアルミスリーブに現像ブレード44を当接させて測定する。このアルミスリーブは長手に5分割されており、測定子の長手は50mmである。5点の測定ポイントでの平均値から現像ブレードの当接圧を算出する。
図3(a)は、本実施例における現像ブレード44の形状を説明するための模式的断面図である。現像ブレード44は、支持部材44Aと、支持部材44Aの先端側に一体的に取付けられる樹脂層44Bと、を有するブレード状の部材である。
支持部材44Aは、板状の弾性部材である。支持部材44Aには、弾性(ばね性)を持たせるべく、金属製薄板を用い、ステンレス鋼を用いた。ただし、ステンレス鋼のほか、リン青銅、アルミニウム合金などを用いてもよい。支持部材21aは、本実施例では、長手方向の幅が226mm、長手方向と直交する短手方向の幅が9.6mm、厚み0.08mmの板金を用いている。支持部材44Aは、短手方向の一方の端部が被固定部として現像容器40の現像室41に設けられた固定部にビス等の締結具によって固定され、他方の端部に片持ち梁における自由端となっている。すなわち、支持部材44Aの他方の端部が、現像ブレード44における基端部となり、樹脂層44Bが形成された支持部材44Aの一方の端部が、現像ローラ42と摺動接触する現像ブレード44における先端部となる。そして、支持部材44Aの先端側は、現像ローラ42の回転方向において上流側を向く。すなわち、現像ブレード44は、現像ローラ42の回転に対し、カウンター方向を向くように配置される。
樹脂層44Bは、支持部材44Aにおける現像ローラ17との対向面(表面)側から他方の端部の先端を経て裏面側まで、支持部材44Aの他方の端部を覆うように形成されている。樹脂層44Bは、支持部材44Aにポリウレタンをコーティングして作製した。樹脂層44Bの材料には、このほか、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリエステルテレフタラート、シリコンゴム、シリコン樹脂、メラミン樹脂から、単独で、または2種類以上を組み合わせてもよい。さらに、これら材料には、必要に応じて粗し粒子等の各種添加剤を含有させることもできる。また、コート層に金属を採用してもよい。
樹脂層44Bの形成は、今回採用したコーティング法のほか、大別して支持部材44Aに直接形成(一体成形)する方法と、予め樹脂層44Bを形成し、それを支持部材44Aに接着する方法がある。支持部材44Aに直接に樹脂層44Bを形成する方法としては、支持部材44Aに原料を押出し形成する方法や、浸漬、コーティング、噴霧等により金属製薄板に塗布する方法がある。また、予め樹脂層44Bを形成する方法として、原料から作成したシートを切り出す方法、樹脂層44Bを金型等で形成する方法がある。
樹脂層44Bは、現像ローラ42との対向部において、現像ローラ42へ向かって突出する凸部44B1が先端(支持部材44Aの他方の端部側、現像ローラ42の回転方向の上流側)から所定距離を空けて設けられている。凸部44B1よりも先端側、すなわち現像ローラ42の回転方向上流側の対向部44B2は、現像ローラ42と所定空間を介して対向する。凸部44B1における先端側とは反対側(現像ブレード44の基端側)、すなわち、現像ローラ42の回転方向下流側は、現像ローラ42と所定空間を介して対向する、平面状に形成されたストレート部44B3となっている。
ここで、凸部44B1と対向部44B2との間の段差の高さ(凸部44B1の高さ)、すなわち、現像ブレード44において現像ローラ42に圧接する圧接面と、該圧接面よりも現像ローラ42から距離をとる対向面との距離を、H(mm)とする。また、対向部44B2の短手方向における長さを、L(mm)とする。また、現像ローラ42に当接する現像ブレード44の凸部44B1の当接半径、すなわち、現像ローラ42の回転軸に垂直な断面、すなわち図3の断面で見たときにおける、凸部44B1の先端面を形成する円弧の曲率半径を、R(mm)とする。なお曲率半径Rは、現像ブレード44が現像ローラ42と一定の当接幅で安定して当接するようにするため、1.00mm以上とすることが好ましい。
図3(b)は、本実施例の変形例における現像ブレードの形状を説明するための模式的断面図である。本発明を適用した現像ブレード44の構成としては、上述した対向部44B2を有していれば他の部分については、図3(b)に示すような構成としてもよい。
すなわち、図3(a)に示すように、実施例1では、ストレート部44B3が凸部44B1よりも低くなるように(現像ローラ42から距離をとるように)構成されている。これに対し、図3(b)の変形例では、ストレート部44B3を凸部44B1と同じ高さに形成している。
<ボタ落ちに対する効果>
本実施例では、凸部の高さH=0.05mm、対向部の長さL=1.0mmの現像ブレード44を使用して、ボタ落ちの有無について実験を行った。本実施例の現像ブレード44の現像ローラ42に対する圧接圧Xは、下限設定をX=15gf/cmとした。また、現像ローラ42に印加される現像バイアスと供給ローラ43に印加される供給バイアスとの電位差Δ、を−100V〜−220Vで実験を行った。ここで、電位差Δは、供給バイアスの値から現像バイアスの値を引いたときの電位差の値であり、電位差Δがマイナスと
は、バイアスの絶対値の大きさが現像バイアスよりも供給バイアスの方が大きいことを意味する。例えば、現像バイアスV=−300Vに対し、供給バイアスV=−400Vを印加した場合、電位差Δ=−100Vとなり、負極性のトナーを供給ローラ34から現像ローラ42へ向かわせる付勢力が供給ローラ43と現像ローラ42との間に発生する。
耐久テストの条件としては、評価環境15.0℃、10%Rhにおいて画像印字率が0.5%の横線が周期的に現れる画像を間欠的に10000枚通紙した。間欠通紙とは、一度プリント後待機状態を経て、次のプリントを行う通紙である。この評価における「ボタ落ち」の発生とは、現像ローラの現像ブレード当接位置より下流部において、トナーが現像ローラ上に保持されずに現像ブレード上にトナーが落下している状態である。ボタ落ちが発生した状態で画像形成を継続すると、画像形成装置本体内や記録材への汚染に発展し画像品質の低下が生じる。
<実験結果>
評価結果を表1に示す。なお、表中の○はトナーボタ落ちの発生がないことを示し、×はトナーボタ落ちの発生があることを示している。
<表1>
Figure 2017181811
表1に示すように、ボタ落ちは現像バイアスと供給バイアスの電位差Δ=−100、−160、−180、−200(V)では発生なく、Δ=−220(V)で発生した。従って、本実施例における特徴的な現像ブレードを用いた装置構成において、ボタ落ちの発生を回避するためには、少なくとも、現像バイアスと供給バイアスの設定に関して、その電位差Δが、Δ≧−200(V)の関係を満足することが必要となる。
以上説明したように、本実施例の特徴は、まず、現像ローラとトナー供給ローラとが当接部において互いに同じ方向に移動するようにそれぞれが回転する現像装置において、現像ブレードが次の構成を備えることを特徴とする。すなわち、現像ブレードの自由端の端部近傍における現像ローラとの対向部に、現像ローラへ向かって突出する凸部を自由端先端から距離を空けて設け、現像ローラに圧接する圧接面と現像ローラから離間して対向する対向面とによる段差を形成する。そして、現像バイアスと供給バイアスの電位差Δが、Δ≧−200(V)となるように各バイアス印加を制御することを特徴とする。ボタ落ちは、供給ローラによるトナー供給能力が現像ブレードの規制力を上回ることに起因する問題であるため、電位差Δを調整することでボタ落ちの発生を抑制することができる。
(実施例2)
本発明の実施例2について説明する。本実施例では現像ブレード44の凸部の高さHと対向部の長さL、現像ブレード44の現像ローラ42に対する圧接圧Xの設定が実施例1と異なる。その他の実施例2における構成は、実施例1と同じであり、再度の説明を省略する。実施例2においてここで述べない事項は、実施例1と同様である。
<現像ブレードの形状範囲について>
実施例2における現像ブレード44の形状範囲について説明する。現像ブレード44の凸部の高さHと対向部の長さLの各パラメータを変えた現像ブレード44を作製して、以下の実験を行った。比較例としては、凸形状がない現像ブレード44を使用した。現像ブレード44の現像ローラ42に対する圧接圧Xの上限設定をX=60gf/cmとし、現像バイアスと供給バイアスの電位差ΔをΔ=−200(V)として実験を行った。
(1)ベタ画像の先端濃度安定性評価
画像不良(現像ゴースト)の評価方法として、ベタ画像の先端濃度安定性という観点について、ベタ高印字を通紙した場合の画像濃度低下量の測定を実施した。評価は、画像形成装置を評価環境15.0℃、10%Rhにて1日放置して当該環境になじませた後、行った。印字評価テストは、まずトナーを消費させないベタ白画像を通紙した後、連続してベタ黒画像を出力してベタ黒画像の出力先端部と現像ローラ一周後のベタ黒画像の濃度差から評価を行った。測定は、X−Rite社製spectordensitometer
500を用いて行った。印字テスト及び評価画像は単色(黒)画像で出力した。
A:ベタ画像において、記録材先端部と現像ローラ一周後以降の濃度差が0.02未満
B:ベタ画像において、記録材先端部と現像ローラ一周後以降の濃度差が0.02〜0.04未満
C:ベタ画像において、記録材先端部と現像ローラ一周後以降の濃度差が0.04以上
(2)ボタ落ちの有無
上記(1)の評価後、耐久テストを実施し終了した画像形成装置を分解し、現像ブレード上にトナーのボタ落ちがあるか無いかを調査し、評価した。耐久テストの条件としては、評価環境15.0℃、10%Rhにおいて画像印字率が0.5%の横線が周期的に現れる画像を間欠的に10000枚通紙した。
<実験結果>
評価結果を表2に示す。
<表2>
Figure 2017181811
まず、比較例の結果について述べる。比較例はトナー規制面に凸形状がない構成の現像ブレードを用いている。比較例の構成においては、ベタ白印字時後とベタ黒印字後に現像ローラ上のトナー帯電量(電荷量)に差が生じてしまい、記録材先端(画像先端)の濃度安定性を確保することが難しい。
次に本実施例の結果について述べる。本実施例では、図3に示すようにトナー規制面に凸形状を配設した構成の現像ブレード44を用いている。凸部の高さHは0.05から0.35mm、対向部の長さLを0.15から1.5mmまで振って実験を行っている。凸部の高さH0.05〜0.3mmの場合、対向部の長さLが0.15から1.5mmまで先端の濃度安定性を確保できた。しかし、凸部の高さH=0.05、対向部の長さL=1.5mmの場合にΔ=−200(V)でボタ落ちが発生した。凸部の高さH=0.35mmの場合、対向部の長さLが0.15mmのときにボタ落ちは発生しないものの、先端の濃度安定性が確保できなかった。よって、現像ブレード44の形状は、凸部の高さH=0.05〜0.3mm、対向部の長さL=0.15〜1.0mmの範囲が適していることがわかった。さらに、より好ましくは凸部の高さH=0.05〜0.1mm、対向部の長さL=0.15〜1.0mmの範囲であれば先端の濃度安定性が良く、ボタ落ちも発生しないため最適である。
<ボタ落ちに対する効果>
図4、表3を参照して、ボタ落ちに対する本実施例の効果について、更に詳しく説明す
る。図4は、現像ブレード44の形状範囲を示す図であり、本実験ではA領域の4種類の現像ブレード((1)H=0.05、L=0.15 (2)H=0.05、L=1.0 (3)H=0.3、L=1.0 (4)H=0.3、L=0.15)を使用した。表3は、各種のブレードを用いて、ボタ落ちを判定した評価結果を示す。ボタ落ちの判定は、低温低湿環境となる温度15℃、湿度10%において画像比率が0.5%の横線が周期的に現れる画像を間欠的に10000枚印字し、現像ローラ42に対して供給ローラ43に印加する電位差Δを振って、判定を行った。
<実験結果>
評価結果を表3に示す。
<表3>
Figure 2017181811

評価結果について説明する。表3は、4種類の現像ブレード44において、現像バイアスと供給バイアスの電位差Δとボタ落ちとの関係について調べた実験結果である。表3に示すように、現像ブレード44の形状によってボタ落ちが発生する電位差Δは異なるものの、現像ブレード44の圧接圧が上限設定の本実施例では、少なくとも
Δ≧−400(V)
の関係を満足することができれば、ボタ落ちの発生を回避することができる。
以上説明したように、ボタ落ちは、供給ローラによるトナー供給能力が現像ブレードの規制力を上回ったことに起因する問題である。本実施例によれば、現像バイアスと供給バイアスの電位差Δと、現像ブレードの圧接圧Xとを適宜調整することで回避することができる。
(実施例3、4)
本発明の実施例3、4について説明する。実施例3、4では、現像ブレード44の凸部の高さHと対向部の長さLが実施例1と異なり、現像ブレード44の圧接圧Xが実施例2と異なる。その他の実施例3、4における構成は、実施例1と同じであり、再度の説明を省略する。実施例3、4においてここで述べない事項は、実施例1と同様である。
図4に示すように、実施例3の現像ブレード44は、B領域のものであり、凸部の高さHは0.05〜0.1mm、対向部の長さLは0.15〜1.0mmである。また、実施例4の現像ブレード44は、A領域からB領域を除いたC領域(図中の斜線領域)のものであり、凸部の高さHは0.1〜0.3mm、対向部の長さLは0.15〜1.0mmである。
<ボタ落ちに対する効果>
図5は、凸部の高さHと対向部の長さLがそれぞれ異なる値に設定された各種のブレー
ドを用いて、現像バイアスと供給バイアスの電位差Δと現像ブレードの圧接圧Xとの関係について調べた実験結果である。図5を参照して、ボタ落ちについての評価結果について説明する。ボタ落ちの判定は、低温低湿環境となる温度15℃、湿度10%において画像比率が0.5%の横線が周期的に現れる画像を間欠的に10000枚印字し、判定を行った。図5(a)は図4に示したB領域の結果を、図5(b)は図4に示したC領域の結果をそれぞれ示している。図5のグラフにおいて、○印はボタ落ちの発生がなく、×印はボタ落ちが発生した。図5のグラフに示すように、各種ブレードにおいて○印を結んだ線(以下、境界線と呼ぶ)よりも上側であればボタ落ちの発生はなかったが、境界線よりも下側ではボタ落ちが発生した。尚、比較のためにH=0.05、L=1.5の結果も図5(a)に示す。
ボタ落ちは、供給ローラ43によるトナー供給能力が現像ブレード44の規制力を上回ったことに起因する問題である。そのため、ボタ落ちは現像ブレード44の現像ローラ42に対する圧接圧Xに依存し、圧接圧Xが低いとボタ落ちが発生し、高いとボタ落ちが発生しない。よって、ボタ落ちを回避するための境界線は、図5のグラフに示すように左肩上がりの境界線である。また、凸部の高さが0.05から0.1mmに高くなると、境界線は下側にシフトする。これは、凸部よりも現像ローラ42の回転方向の上流側における現像ローラ42との間の空間が大きくなるため、この空間によりトナーを溜めることができるからである。さらに、対向部の長さLが0.15から1.0mmに長くなると、境界線は上側にシフトする。これは、供給ローラから供給されるトナーを現像ブレードの対向部により取り込みやすくなるためである。
上述したように、ボタ落ちは現像ブレード44の現像ローラ42に対する圧接圧Xに依存する。よって、図5(a)に示した結果から、B領域の実施例3においては、少なくともH=0.05、L=1.0の現像ブレード44における境界線よりも上側では、全ての現像ブレード44においてボタ落ちは発生しない。実験結果からこの現像ブレード44の境界線は、
Δ=−5*X−125
で示すことができる。
従って、実施例3の現像ブレード44の形状範囲(0.05≦H<0.1、0.15≦L≦1.0)、ブレード圧範囲(15≦X≦60)において、少なくとも
Δ≧−5*X−125
の関係を満足することができれば、ボタ落ちの発生を回避することができる。
また、図5(b)に示した結果から、C領域の実施例3においては、少なくともH=0.1、L=1.0の現像ブレード44における境界線よりも上側では、全ての現像ブレード44においてボタ落ちは発生しない。実験結果からこの現像ブレード44の境界線は、Δ=−5*X−175
で示すことができる。
従って、実施例4の現像ブレード44の形状範囲(0.1≦H≦0.3、0.15≦L≦1.0)、ブレード圧範囲(15≦X≦60)において、少なくとも
Δ≧−5*X−175
の関係を満足することができれば、ボタ落ちの発生を回避することができる。
以上説明したように、ボタ落ちは、供給ローラによるトナー供給能力が現像ブレードの規制力を上回ったことに起因する問題であるため、現像バイアスと供給バイアスの電位差Δと現像ブレードの圧接圧Xとを調整することで回避することができる。
4…現像ユニット(現像装置)、40…現像容器(枠体)、42…現像ローラ、43…トナー供給ローラ(供給部材)、44…現像ブレード(規制部材)、44B1…凸部、44B2…対向部、50…現像ローラバイアス電源(現像ローラバイアス印加手段)、60…供給ローラバイアス電源(供給ローラバイアス印加手段)

Claims (9)

  1. 画像形成装置に用いられる現像装置であって、
    現像剤を収容する枠体と、
    前記枠体の開口部に回転可能に設けられ、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体に当接するとともに、回転する前記現像剤担持体に対して当接部において同じ方向に移動するように回転可能に設けられ、前記現像剤担持体へ供給する供給部材と、
    前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制すべく前記現像剤担持体に接触するブレード状の規制部材であって、一端が前記枠体に固定され、前記現像剤担持体の回転方向とは逆方向に延び、自由端である他端が前記現像剤担持体に接触する規制部材と、
    前記現像剤担持体に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、
    前記供給部材に供給バイアスを印加する供給バイアス印加手段と、
    を備え、
    前記規制部材は、前記現像剤担持体との対向部において、前記現像剤担持体へ向かって突出する凸部が前記他端の先端から距離を空けて設けられており、
    前記供給バイアスから前記現像バイアスを引いたときの前記現像バイアスと前記現像バイアスとの電位差をΔ(V)とし、
    前記規制部材の前記現像剤担持体に対する圧接圧をX(gf/cm)とし、
    前記現像剤担持体の回転軸に垂直な断面を見たときの、前記対向部の前記凸部よりも前記他端の先端側において前記現像剤担持体と対向する対向面からの前記凸部の高さをH(mm)とし、前記対向面の前記現像剤担持体の回転方向における長さをL(mm)とした場合に、
    0.05≦H≦0.1
    0.15≦L≦1.0
    15≦X≦60
    であり、少なくとも
    Δ≧−5*X−125
    の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
  2. 画像形成装置に用いられる現像装置であって、
    現像剤を収容する枠体と、
    前記枠体の開口部に回転可能に設けられ、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体に当接するとともに、回転する前記現像剤担持体に対して当接部において同じ方向に移動するように回転可能に設けられ、前記現像剤担持体へ供給する供給部材と、
    前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制すべく前記現像剤担持体に接触するブレード状の規制部材であって、一端が前記枠体に固定され、前記現像剤担持体の回転方向とは逆方向に延び、自由端である他端が前記現像剤担持体に接触する規制部材と、
    前記現像剤担持体に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、
    前記供給部材に供給バイアスを印加する供給バイアス印加手段と、
    を備え、
    前記規制部材は、前記現像剤担持体との対向部において、前記現像剤担持体へ向かって突出する凸部が前記他端の先端から距離を空けて設けられており、
    前記供給バイアスから前記現像バイアスを引いたときの前記現像バイアスと前記現像バイアスとの電位差をΔ(V)とした場合に、少なくとも
    Δ≧−200
    の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
  3. 画像形成装置に用いられる現像装置であって、
    現像剤を収容する枠体と、
    前記枠体の開口部に回転可能に設けられ、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体に当接するとともに、回転する前記現像剤担持体に対して当接部において同じ方向に移動するように回転可能に設けられ、前記現像剤担持体へ供給する供給部材と、
    前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制すべく前記現像剤担持体に接触するブレード状の規制部材であって、一端が前記枠体に固定され、前記現像剤担持体の回転方向とは逆方向に延び、自由端である他端が前記現像剤担持体に接触する規制部材と、
    前記現像剤担持体に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、
    前記供給部材に供給バイアスを印加する供給バイアス印加手段と、
    を備え、
    前記規制部材は、前記現像剤担持体との対向部において、前記現像剤担持体へ向かって突出する凸部が前記他端の先端から距離を空けて設けられており、
    前記供給バイアスから前記現像バイアスを引いたときの前記現像バイアスと前記現像バイアスとの電位差をΔ(V)とし、
    前記規制部材の前記現像剤担持体に対する圧接圧をX(gf/cm)とし、
    前記現像剤担持体の回転軸に垂直な断面を見たときの、前記対向部の前記凸部よりも前記他端の先端側において前記現像剤担持体と対向する対向面からの前記凸部の高さをH(mm)とし、前記対向面の前記現像剤担持体の回転方向における長さをL(mm)とした場合に、
    0.1≦H≦0.3
    0.15≦L≦1.0
    15≦X≦60
    であり、少なくとも
    Δ≧−5*X−175
    の関係を満たすことを特徴とする現像装置。
  4. 前記規制部材の前記凸部が前記現像剤担持体に当接する位置は、前記現像剤担持体の回転中心よりも下方、かつ水平方向において前記現像剤担持体の回転中心と前記供給部材の回転中心との間に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置。
  5. 前記規制部材は、弾性を有する支持部材と、前記支持部材の表面に設けられ前記現像剤担持体と接触する樹脂層と、を有し、
    前記凸部は、前記樹脂層の一部として一体的に成形されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置。
  6. 現像剤は、非磁性一成分トナーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像装置。
  7. 画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置と、
    前記現像装置によって現像される潜像が形成される像担持体と、
    を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  8. 記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置と、
    前記現像装置によって現像される潜像が形成される像担持体と、
    を備え、
    前記潜像が現像されて前記像担持体に形成された現像剤像が記録材に転写されることを
    特徴とする画像形成装置。
  9. 前記像担持体の上方に配置され、前記像担持体に形成された現像剤像が転写されるとともに、転写された現像剤像が記録材に転写される中間転写体をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
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