本発明は帯電部材、プロセスカートリッジ、及びそれを用いた画像形成装置に関する。詳しくは、本発明は電圧を印加して被帯電体である電子写真感光体表面を所定の電位に帯電処理するための帯電部材、それを用いたプロセスカートリッジ、画像形成装置に関する。
電子写真装置における帯電部材と被帯電体との帯電現象は、接触又は近接部分に狭い空間を形成し、パッシェンの法則で解釈できる放電可能領域、例えば数10μmの空隙で放電を形成することにより帯電する方法があげられる(例えば特許文献1参照)。
従来の接触帯電装置において被帯電体である感光体表面を均一に帯電させる方式として、帯電部材に交流電圧(AC)と直流電圧(DC)を同時に印加する方式がある。この方式では、交流の電圧源を使用する分、帯電部材に直流電圧のみを印加するDC帯電方式に比較して、画像形成装置のコストが高くなってしまう。
そこで、DC帯電方式についての提案がなされている(例えば特許文献2参照)。DC帯電方式は、AC+DC帯電方式に比較して一般的にコストが低いが問題点もある。つまり、AC+DC帯電のようにAC電流の均し効果が無いため、帯電ローラ自身の電気抵抗の不均一性が画像に出やすく、AC+DC帯電方式に比較して被帯電体の均一な帯電が困難である。
帯電の均一性に対して、帯電部材の物性として余裕幅が少ないと思われるDC帯電方式に対して、昨今の電子写真装置は高速化と共に高耐久化が急速に進展しており、帯電部材におけるいっそうの性能の向上が急務になっている。
感光体表面を均一に帯電するための接触帯電装置では、鉄やSUS(ステンレススチール)等の導電性基体上にゴムや樹脂からなる抵抗層を設けた構成を有する帯電部材が一般的に使用されている。抵抗層には、導電性カーボンブラックや金属紛等の導電材料が添加され導電性が付与されると共に、感光体との当接部(ニップ)を確保するため、また長期使用に伴いトナー、紙紛等が付着することによる帯電不良の発生を抑制するため、適度な弾性を保持させる。抵抗層に弾性を持たせるためには、一般にオイルや可塑剤等の軟化剤を添加するが、これらの軟化剤は一般に移行性があることから感光体を汚染する場合があり、必要に応じて、汚染防止と帯電部材の弾性維持を両立する抵抗層を表面に施す必要がある。
帯電部材の電気特性として、一般に体積抵抗が高すぎると感光体の帯電ムラや帯電不良による異常画像が発生する。一方抵抗層に導電材料を大量に添加することで帯電部材の抵抗値を下げ過ぎると帯電不良による異常画像は抑制できるが、感光体表面に製造上又は取り扱い上等の原因でピンホールが生じた場合、そのピンホール部に対応する画像上に反転現像時の菱形状の異常画像(以下、リーク画像と略す)が発生する。また導電材料を多量に添加すると帯電部材の硬度が上昇するため、感光体との当接が弱まる場合や、長期使用に伴ってトナーや紙紛等が帯電部材に付着して帯電不良を招くなど、帯電部材の抵抗層、特に表面抵抗層の抵抗値及び硬度には適正な領域が存在する。
表面抵抗層の抵抗値は、導電材料の電気特性および樹脂等のバインダー中での分散特性により大きく左右される。そのため導電性カーボンブラックや導電性酸化チタン等の金属酸化物といった、従来広く使用されている導電材料の他に、樹脂中での分散性向上を目的に、ポリエチレン樹脂やアクリル樹脂といったカーボンブラックに比べて大きい粒径を有する有機高分子粒子にカーボンブラックを付着させた導電粒子を添加する技術(例えば特許文献3参照)や、無機酸化物粒子の表面を電子導電性を有する表面層で被覆した導電粒子を添加する技術(例えば特許文献4参照)が開示されている。
特開昭57−178257号公報
特開平05−341627号公報
特開2003−162106号公報
特開2004−126064号公報
例えば特許文献3では、ポリエチレン樹脂やアクリル樹脂といったカーボンブラックに比べて大きい粒径を有する有機高分子粒子にカーボンブラックが付着した導電性複合粒子を添加しているが、このようにカーボンブラックを巨大な粒子に担持させることでカーボンブラック自体の凝集を抑制することができるとされている。また母粒子が数珠状に接触してネットワークを形成し、導電層中にカーボンブラックが偏在した状態となり、少量添加で容易に抵抗層の低抵抗化が可能であるとされている。
しかしながら、このような導電性複合粒子を帯電部材の表面抵抗層に使用した場合、抵抗層の内部ではネットワークのような電気抵抗の非常に低い導通部が形成されるため、帯電部材全体を所望の抵抗値に制御したとしても、感光体の欠陥によりリークが発生しやすいという問題があった。また巨大な導電性複合粒子を少量使用して導電性を発現させているため、導電性複合粒子のネットワークによる導電性を有する部分と導電性複合粒子の存在しない絶縁性の部分では、導電性の偏りが大きいため抵抗ムラが大きくなる。特に直流電圧のみを印加して感光体を帯電する場合は顕著で、帯電ムラにより斑点状の画像不良が発生しやすいという問題があった。
また一方、微小な導電導電性複合粒子を使用する方法として、例えば特許文献4では、平均長軸径が0.005μm以上で0.1μm未満の無機酸化物微粒子、またはアスペクト比が2〜300の無機酸化物微粒子などの表面を電子導電性の表面層で被覆した導電性複合粒子を添加することが開示されている。このような導電性複合粒子を帯電部材の表面抵抗層に使用した場合、導電性を得るためには多量の導電性複合粒子を添加する必要がある。しかしながら導電性複合粒子を多量に添加すると、抵抗層の硬度が増加するだけでなく、表面抵抗層の脆化が起こり表面抵抗層に微小なひび割れが発生することがあった。ひび割れが発生することで、被帯電体との接触が不均一となり、使用初期でも帯電不良による画像欠陥が発生する場合や、ひび割れにトナーや紙紛等が帯電部材表面に付着しやすくなり、長期使用において感光ドラムとの接触が不均一になり帯電不良が発生する問題や、通紙方向にスジ状の画像欠陥が発生するといった問題があった。また微粒子を均一に分散させることは技術的に困難であり、分散不良による帯電ムラが発生し、特に低温低湿度の使用環境において直流電圧のみを印加して感光体を帯電する場合に帯電ムラによる画像不良が発生するという問題があった。
以上述べたように、従来技術では抵抗層の抵抗値を半導電領域に達成できても、ひび割れによる帯電ムラの発生を抑制し、さらに長期使用においても帯電不良のない良好な帯電状態を得る方法は達成されていない。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、電子写真装置の高速化、高耐久化に対して、ひび割れによる表面欠陥が無く、温度や湿度といった使用環境によらず帯電ムラによる斑点状の異常画像の発生が無く、また長期使用においても安定した帯電性能を有する帯電部材を提供するものである。
本発明は、母粒子の表面を導電材で被覆した導電性複合粒子を含有する表面抵抗層を備えた帯電部材において、該導電性複合粒子の比表面積が80m2/g以上、300m2/g以下であり、かつ該導電性複合粒子のDBP吸油量が50cm3/100g以上、250cm3/100g以下であることを特徴とする。
本発明者らは、感光ドラムと接触する帯電部材の表面の抵抗層に含有する、母粒子の表面を導電材で被覆した導電性複合粒子の物性について、帯電ムラや帯電部材表面のひび割れについて詳細に検討した。その結果、母粒子の表面を導電材で被覆した導電性複合粒子において、特定の物性を有する導電性複合粒子、すなわち比表面積が80m2以上、300m2以下であり、かつそのDBP吸油量が50cm3/100g以上、250cm3/100g以下である導電性複合粒子を表面抵抗層に含有させることで、表面抵抗層の抵抗値の制御だけでなく、ひび割れといった表面欠陥を無くすことにより良好な画像が得られることが分かった。
母粒子の表面が導電材で被覆された導電性複合粒子は、抵抗層材料への分散性は良好であるが、カーボンブラックなど公知の導電材と比較的して紛体抵抗が高いことから、帯電部材を所望の抵抗値に低抵抗化するためには、比較的多くの導電性粒子を添加することになり、ひび割れの発生を促進しやすいことがわかった。
母粒子の表面が導電材で被覆された導電性複合粒子において、その表面性状は樹脂マトリックス中での導電性粒子の分散性と共に、樹脂マトリックスとの凝集性にも大きく作用する。そこで導電性複合粒子の比表面積を300m2以下、そのDBP吸油量を250cm3/100gとすることで、樹脂マトリックスと導電性複合粒子との凝集を抑制し結晶化を抑制するため、表面抵抗層の収縮を抑制してひび割れの発生を防ぎ、また製造工程での加熱により弾性層が膨張した場合でも追従性が低下せずにひび割れの発生を防ぐことができる。また導電性複合粒子同士の凝集を抑制して、帯電ムラを抑制すると共に、抵抗層に収縮が発生しても導電性複合粒子の凝集部に発生するひび割れを防ぐ。これにより長期使用においてトナーや紙紛等の付着を抑制し、帯電不良を抑制できる。
また、比表面積を80m2以上、DBP吸油量を50cm3/100g以上とすることで、帯電部材を低抵抗化する目的においても、導電性複合粒子の導電性が著しく低下することがないため添加量を抑制することができるから、抵抗層では結晶化を抑制し、表面抵抗層の収縮や弾性層の膨張に対する追従性の低下を抑制してひび割れの発生を防ぐことができる。これにより長期使用においてトナーや紙紛等の付着を抑制し、帯電不良を抑制できる。
また、本発明は、上記導電材が0.8%以上5%以下の揮発分を有するカーボンブラックから製造されることを特徴とする。
母粒子とカーボンブラックとの接着に際しては、必要に応じて母粒子表面をオルガノシランやポリシロキサン等での表面処理を施す。そこで、揮発分が0.8%以上5%以下のカーボンブラックを使用することで、カーボンブラックには官能基とくに酸性の反応性官能基が数多く存在することになるから、メカノケミカル効果を利用して母粒子表面にカーボンブラックを被覆する場合、母粒子表面または表面処理剤との接着強度を高めることができる。またカーボンブラックに対するメカノケミカル効果も官能基の増加で現われやすくなり、使用するカーボンブラックの揮発分を上記範囲で選定することで、得られる導電性複合粒子の比表面積および吸油量を制御することが容易になる。また0.8%以上5%以下の揮発分を有することで表面の官能基により樹脂中への分散を向上できるため、導電性複合粒子の凝集を抑制すると共に、ひび割れの発生をいっそう抑制できる。
また、本発明においては、母粒子の表面を導電材で被覆した導電性複合粒子を含有する抵抗層の平均厚みが7μm以上30μm以下であることを特徴とする。
抵抗層の厚みを7μm以上とすることで、母粒子の表面を導電材で被覆した導電性複合粒子を含有する抵抗層に結晶化により膜強度が低下してもひび割れを抑制できると共に、弾性抵抗層の上に被覆する表面抵抗層の場合には、弾性抵抗層表面がポーラスでも表面抵抗層の膜厚を均一に作製できるため、塗膜の収縮に対してひび割れをさらに抑制し、また導電性のムラを抑制できる。一方、膜厚を30μm以下とすることで、帯電部材の硬度増加を抑制すると共に、表面抵抗層を塗工により製造した場合に塗料中の溶媒の揮発に伴う塗膜中の材料の流動を抑制してひび割れの発生を更に抑制できるため、トナーや紙紛等の付着をより一層抑制できる。
さらにまた、本発明は、帯電部材表面のマイクロ硬度が60°以下であることを特徴とする。帯電部材表面のマイクロ硬度を60°以下にすることで、抵抗層の柔軟性を確保できるため、ひび割れを抑制できると共に、帯電部材が被帯電体と長期にわたり当接を繰り返す間に、トナーや紙紛等が帯電部材表面に固着しひび割れを助長することを抑制できる。
また、本発明のプロセスカートリッジは、像担持体上に形成された静電潜像にトナーを転移させて可視化してトナー像を形成し、該トナー像を被転写部材に転写することにより画像を形成する画像形成装置から着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、該像担持体と、該像担持体上に形成された静電潜像にトナーを転移させて可視化しトナー像を形成させる現像手段と、該被転写部材に該トナー像が転写された後に該像担持体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段と、から選ばれる1つ又は2つ以上が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電部材と一体に支持されることを特徴とする。
さらに本発明の画像形成装置は、像担持体と、該像担持体を所定の電位に帯電させる帯電手段と、該像担持体の帯電面に静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体上に形成された静電潜像にトナーを転移させて可視化しトナー像を形成させる現像手段と、該トナー像を被転写部材に転写させる転写手段と、を有する画像形成装置において、該帯電手段は請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電部材であり、該帯電部材に直流電圧のみを印加して該像担持体を帯電させることを特徴とする。
本発明によれば、帯電ムラの発生が無く、長期使用においてもトナーや紙紛等の付着が無く、抵抗上昇が無く、安定した帯電特性を達成する帯電部材を提供できる。
本発明の帯電部材について、実施の形態を詳細に述べる。
本発明の帯電部材は図2に示すようにローラ形状であり、導電性支持体2aと、弾性層として、その外周に一体に形成された弾性層2bと該弾性層の外周に形成された抵抗層2cから構成されている。弾性層は複数の抵抗層より構成されていても良いが、本実施例では、単層の弾性層上に抵抗層2Cを被覆した構成とした。
本発明に用いられる導電性支持体2aは、鉄、銅、ステンレススチール、アルミニウム及びニッケル等の金属材料の丸棒を用いることができる。更に、これらの金属表面に防錆や耐傷性付与を目的としてメッキ処理を施しても構わないが、導電性を損なわないことが必要である。
帯電ローラ2において、弾性層2bは、被帯電体としての電子写真感光体に対する給電や電子写真感光体に対する良好な均一密着性を確保するために、適当な導電性と弾性を持たせてある。また、帯電ローラ2と電子写真感光体1の均一性密着性を確保するために弾性層2bを研磨によって中央部を一番太く、両端部に行くほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状に形成することが好ましい。一般に使用されている帯電ローラ2が、支持体2aの両端部に所定の押圧力を与えて電子写真感光体1と当接されているので、中央部の押圧力が小さく、両端部ほど大きくなっているために、帯電ローラ2の真直度が十分であれば問題ないが、十分でない場合には中央部と両端部に対応する画像に濃度ムラが生じてしまう場合がある。クラウン形状は、これを防止するために形成する。
弾性層2bは、ゴム等の弾性材料中にカーボンブラック、グラファイト及び導電性金属酸化物等の電子伝導機構を有する導電剤、及びアルカリ金属塩や四級アンモニウム塩等のイオン伝導機構を有する導電剤を適宜添加することにより1010Ωcm未満に調整されるのがよい。また、カーボンブラックからなる導電材料がコートされた前記導電粒子を用いてもよい。弾性層2bの具体的弾性材料としては、例えば、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコンーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)及びクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、更にはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂及びシリコーン樹脂等も挙げられる。
被帯電体の帯電処理を行う帯電部材においては、帯電均一性を達成するために、特に中抵抗の極性ゴム(例えば、エピクロルヒドリンゴム、NBR、CR及びウレタンゴム等)やポリウレタン樹脂を弾性材料として用いるのが好ましい。これらの極性ゴムやポリウレタン樹脂は、ゴムや樹脂中の水分や不純物がキャリアとなり、僅かではあるが導電性をもつと考えられ、これらの導電機構はイオン伝導であると考えられる。但し、これらの極性ゴムやポリウレタン樹脂に導電剤を全く添加しないで弾性層を作製し、得られた帯電部材は低温低湿環境(L/L)において、抵抗値が高くなり1010Ωcm以上となってしまうものもあるため帯電部材に高電圧を印加しなければならなくなる。
そこで、L/L環境で帯電部材の抵抗値が1010Ωcm未満になるように、前述した電子導電機構を有する導電剤やイオン導電機構を有する導電剤を適宜添加して調整するのが好ましい。しかしながら、イオン導電機構を有する導電剤は抵抗値を低くする効果が小さく、特にL/L環境でその効果が小さい。そのため、イオン導電機構を有する導電剤の添加と併せて電子導電機構を有する導電剤を補助的に添加して抵抗調整を行ってもよい。
また、弾性層2bには、必要に応じて加硫剤が配合される。加硫剤としては、使用するゴムの種類により、硫黄系加硫剤、有機過酸化物、キノイド系加硫剤、樹脂架橋剤、金属酸化物架橋剤、アミン架橋剤、トリアジン系架橋剤、マレイミド系架橋剤、など公知の加硫剤を適宜使用できる。
基層抵抗層には、この他に、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤等を添加してもよい。
基層抵抗層の製造方法は、公知の方法が使用でき弾性体素材を押出成形し、これを加熱して加硫硬化して芯金を圧入した後、所望の形状に研磨する方法、所定形状を有する金型内に弾性体素材を注入するインジェクションやトランスファー等が挙げられる。
表面抵抗層に使用する結着樹脂の材料は、基層抵抗層の染み出し防止やトナー等の付着性防止の観点から架橋性の樹脂が好ましく、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、RB(ブタジエン樹脂)、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレンエラストマー)等のポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル系樹脂、スチレン・酢酸ビニル共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体等の高分子材料を用いることができる。抵抗層を形成するために、これらの材料1種を用いても、2種以上を併用してもよい。また、表面抵抗層に、架橋剤を配合する場合、架橋剤としてはイソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、アミン系架橋剤など通常使われている架橋剤が使用できる。本発明では、抵抗層の成形性および柔軟性の観点からアクリル樹脂を使用し硬化剤としてイソシアネート系架橋剤を使用した。
また、帯電部材の表面粗さを調節するために、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の粒子を混合することができる。先に述べたように、帯電部材表面の十点平均表面粗さが2μm以上15μm以下が好ましい。
高分子原料に対する分散手段としては、ロールニーダー、バンバリーミキサー、ボールミル、サンドグラインダー、ペイントシェーカー等を適宜利用すればよい。
表面抵抗層8の体積抵抗値は、被帯電体への過剰電流を防止する点で1×104Ω・cm以上が好ましく、また、被帯電体表面を帯電させるためには1×1013Ω・cm以下が好ましい。表面抵抗層の厚さは特に限定されないが通常1μmから50μm程度である。
表面抵抗層の被覆方法は、押出し機等を使用してチューブ状に押出すと共に基材上に被覆させる方法によっても製造されるが、好ましくは、スプレー、ディッピング、ロールコータ、コイルコータ、カーテンフローコータ、電着塗装、静電塗装、紛体塗装とうの塗工により、液状塗料や紛体塗料を適宜使用して被覆層を設けることが基材との接着性、帯電部材の形状の安定性、基材との接着性などから好ましく、特に帯電部材がロール状の場合にはリング塗工が基材の膨潤がなく、軸方向における被覆層の厚み制御が容易で形状精度に優れることから好ましい。
使用する材料としては、母粒子の比表面積として5m2/g以上500m2/g以下が好ましい。5m2/g以上にすることで、製造条件を調節しても本発明に使用する比表面積およびDBP吸油量を有する導電性複合粒子が容易に製造できると共に、得られる導電性粒子が粗大となることを抑制して、帯電部材の表面粗さを抑制するので好ましい。500m2/g以下にすることで、製造条件を調節しても本発明に使用する比表面積およびDBP吸油量を有する導電性複合粒子が容易に製造できると共に、母粒子の凝集が起こりやすく母粒子表面に均一に導電材を被覆することが困難になる。
吸油量として10cm3/100g以上300cm3/100g以下が好ましい。10cm3/100g以上とすることで、製造条件を調節しても本発明に使用する比表面積およびDBP吸油量を有する導電性複合粒子が容易に製造できると共に、得られる導電性粒子が粗大となることを抑制して、帯電部材の表面粗さを抑制するので好ましい。300cm3/100g以下とすることで、製造条件を調節しても本発明に使用する比表面積およびDBP吸油量を有する導電性複合粒子が容易に製造できると共に、母粒子が嵩高くなり母粒子表面に均一に導電材を被覆することが困難になる。
母粒子は導電性の低いものが良く、好ましくはその体積抵抗が105Ω・cm以上である。小粒径が得られやすい無機化合物が好ましく、シリカ、酸化チタン等の酸化物、複酸化物等や窒化物、炭化物、セラミックなどを用いることができる。なかでもコア粒子としてシリカは、比重が軽く塗料に混合した際に沈降等の弊害が無い点で好ましい。このような粒子をコアに用いることにより導電粒子の抵抗を容易に調節できる。導電粒子の体積抵抗は100Ω・cmから105Ω・cmの範囲にあることが好ましい。
母粒子に対する導電材の被覆量は、得られる導電性複合粒子の比表面積および吸油量から適宜設定するが、母粒子に対して導電材の質量は5%以上1000%以下が好ましい。5%質量部以下では、得られる導電性複合粒子の導電性が低いため、帯電部材の抵抗を低抵抗化するためには導電性複合粒子を多量に添加する必要があり、ひび割れ発生の原因となる。一方1000%より多いと、導電性複合粒子の紛体抵抗は使用する導電材とほぼ同等となるため、導電性のムラが発生しやすく、帯電不良の原因となる。
母粒子表面を被覆する導電材としては、カーボンブラック、グラファイトや酸化亜鉛、酸化スズ等の公知の導電材量が使用できる。なかでも被覆される導電材をカーボンブラックとすることが好ましく、表面が有機膜で覆われていることから導電粒子表面の疎水性が高いため、帯電部材の各環境下における吸水による抵抗変動を抑制するためである。使用するカーボンブラックとしては、先に述べたように導電性複合粒子の比表面積および吸油量を制御すると共に、帯電部材の表面抵抗層への分散性の観点から、0.5%以上5%以下の揮発分を有するカーボンブラックが特に好ましく、揮発分以外は特に制限されない。
本発明に使用する、母粒子の表面を導電材で被覆した導電性粒子の作製方法として、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機等を用いることができるが、処理温度を容易に制御できるためブレード型混練機が好ましい。導電性粒子の比表面積、DBP吸油量を制御するためには、混練条件として処理時間、処理温度を適宜設定する。処理時間は、50分間から100分間の範囲が好ましい。処理温度は高温で処理すると母粒子表面に密に導電材が被覆され比表面積及びDBP吸油量を低下でき、逆に低温では比表面積及びDBP吸油量が増加する。すなわち、処理温度を制御することは重要であり、材料の融点以下で設定し、導電性粒子の表面性状により30℃から100℃の範囲で調節する。本実施例では、導電性複合粒子として、カーボンブラックで被覆したシリカを、カーボンブラックとシリカをブレード型混練機にて粉体にせん断を加えることにより作製したものである。シリカは表面にシランカップリグ剤を糊剤として被覆したものを用いた。
導電粒子のコート層厚さは、前記製造条件においてシリカ等のコア粒子に対するカーボンブラック等の導電材料の添加量により制御することができる。
カーボンブラックを被覆した粒子の粒径は10nm〜500nmの範囲が好ましい。導電粒子が500nmより大きいと、樹脂層中での絶縁性部位と導電性部位のムラが大きくなるために帯電均一性が悪化する。また、帯電部材の最外層とした場合には、部材の表面粗さが大きくなるために、トナーなどの汚染物の付着が悪化するために帯電不良が発生する場合がある。10nmより小さいと、樹脂中に分散したとき粘度が高くなり、安定して製造することが困難である。
カーボンブラックを被覆した粒子の体積抵抗は100Ω・cmから105Ω・cmの範囲にあることが好ましい。導電粒子の体積抵抗が100Ω・cmより低いと、耐リーク性が悪化するため、好ましくない。これは汎用的に使用するカーボンブラックの体積抵抗とほぼ同じ領域であり、樹脂層の抵抗を安定させるのが困難となるからである。また、105Ω・cmよりも高い場合には、帯電部材として所望の抵抗を得るには大量の導電粒子が必要となるため、樹脂層の強度が下がるため好ましくない。
比表面積はBET法に従い、比表面積測定装置「ジェミニ2375 Ver.5.0」(島津製作所社製)を用いて資料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いてBET比表面積(cm2/g)を算出した。
DBP吸油量の測定はASTM法D2414−79に準拠して行う。即ち、アブソープトメーターのコックを操作し、自動ビュレット系統に気泡が残らない様に完全にDBP(ジブチルフタレイト)を満たし、装置の各諸元を次の条件にする。
(1)スプリング張力 2.68kg/cm
(2)ローター回転数 125rpm
(3)トルク用リミットスイッチの目盛 5
(4)ダンパーバルブ 0.150
(5)DBPの滴下速度 4ml/min.
の滴下速度を実測により調整した後、アブソープトメーター混合室に一定量の乾燥試料を入れ、ビュレットカウンターを0点に合せ、スイッチを自動にして滴下を開始する。トルクが設定点(この場合5)になるとリミットスイッチが作動して滴下が自動的に停止し、その時のビュレットカウンターの目盛(V)を読み、次式(1)によって吸油量を算出する。
OA=V/Wx100 (1)
OA:吸油量(ml/100g)
V :終点(リミットスイッチ作動点)までに用いたDBPの使用量(ml)
W :乾燥試料の重さ(g)
紛体抵抗の測定方法は、Loresta−GP MCP−T600(三菱化学株式会社製)を用いて測定した抵抗より算出した。印加圧力は10MPaとした。
表面抵抗層の平均膜厚は、帯電部材から5箇所サンプリングを行い、電子顕微鏡により測定した。
マイクロ硬度の測定は、マイクロ硬度計MD−1型(高分子計器株式会社製)を用い、23℃/55%環境においてピークホールドモードで測定した。
本発明の画像形成装置について、実施の形態を詳細に述べる。
図1は本発明に従う電子写真装置の概略構成図である。本例の電子写真装置は、転写式電子写真利用の反転現像方式、接触現像方式の装置である。
像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体4は、矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
電子写真感光体の帯電手段としての帯電ローラ2(導電性ローラ)は、電子写真感光体4に所定の押圧力で接触させてあり、本例では帯電ローラを駆動し、電子写真感光体4と等速回転する。この帯電ローラ2に対して帯電バイアス印加電源S1から所定の直流電圧(この場合−1300Vとした)のみが印加されることで回転電子写真感光体4の面が所定の極性電位(暗部電位−700Vとした)に一様に接触帯電方式・DC帯電方式で帯電処理される。
10は露光手段であり、例えばレーザービームスキャナーである。感光体4の帯電処理面に該露光手段10により目的の画像情報に対応した露光Lがなされることにより、電子写真感光体帯電面の露光明部の電位(明部電位−120Vとした)が選択的に低下(減衰)して静電潜像が形成される。
反転現像手段11は、電子写真感光体面の静電潜像の露光明部に、電子写真感光体の帯電極性と同極性に帯電(現像バイアス−350V)しているトナー(ネガトナー)を選択的に付着させて静電潜像をトナー画像として可視化する。
転写手段としての転写ローラ12は、電子写真感光体4に所定の押圧力で接触させて転写ニップ部を形成させてあり、電子写真感光体の回転と順方向に電子写真感光体の回転周速度とほぼ同じ周速度で回転する。また、転写バイアス印加電源S2からトナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加される。転写ニップ部に対して不図示の給紙機構部から転写材Pが所定の制御タイミングで給紙され、その給紙された転写材Pの裏面が転写電圧を印加した転写ローラ12によりトナーの帯電極性とは逆極性に帯電されることにより、転写ニップ部において電子写真感光体1面側のトナー画像が転写材Pの表面側に静電転写される。
転写ニップ部でトナー画像の転写を受けた転写材は、回転電子写真感光体面から分離されて、不図示のトナー画像定着手段へ導入されてトナー画像の定着処理を受けて画像形成物として出力される。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合は、この画像形成物が不図示の再循環搬送機構に導入されて転写ニップ部へ再導入される。
本電子写真装置は、転写されず電子写真感光体上に残存したトナーを回収するクリーナー装置13を有する。
転写バイアスにより生じた電子写真感光体上の電荷を除電するための前露光手段としての光照射部材7は、前記転写工程後かつ帯電工程前の領域に照射されるように配置される。前記光照射部材からの除電光に際しては、現像工程後かつ転写工程前の領域に照射されるように前記光照射部材が配置されてもよい。また、前記光照射部材からの除電光に際しては、クリーニング工程後かつ帯電工程前の領域に照射されるように前記光照射部材が配置されてもよい。前記光照射部材からの除電光に際しては前記カートリッジに設けることも可能であり、更に、前記電子写真装置本体に設けることも可能である。
本発明の帯電方法について説明する。
本発明は、また、本発明の帯電部材に直流電圧を印加することにより、被帯電体を帯電させる帯電方法を提供する。
本発明のプロセスカートリッジについて説明する。
本発明は、像担持体と、前記像担持体上に形成された静電潜像にトナーを転移させて可視化しトナー像を形成させる現像手段と、前記被転写部材にトナー像が転写された後に前記像担持体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段と、から選ばれる1つ又は2つ以上が、本発明の帯電部材と一体に支持され、画像形成装置から着脱可能に構成されているプロセスカートリッジである。
本発明のプロセスカートリッジは、例えば、感光体ドラム4や帯電ローラ2、現像器11、クリーニングブレード13等が一体に支持された、画像形成装置の本体と脱着可能な構成である。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。
下記の要領で本発明の帯電部材としての帯電ローラを作製した。
<弾性抵抗層の作製>
エピクロルヒドリンゴム(商品名:エピクロマーCG102、ダイソー(株)製)100質量部、充填剤としての炭酸カルシウム30質量部、カーボンブラック(商品名:シーストSO、東海カーボン製)5質量部、酸化亜鉛5質量部、ステアリン酸2質量部、可塑剤としてのDOP5質量部、4級アンモニウム塩2質量部、老化防止剤としての2−メルカプトベンズイミダゾール1質量部を60℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練し、原料コンパウンドを調整した。このコンパウンドに加硫促進剤としてのDM1質量部、加硫促進剤としてのTS1質量部、加硫剤としての硫黄1質量部を加えて更に15分間オープンロールで混練した。
得られたコンパウンドを、ゴム押し出し機を使用して、熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU−20)を塗布した直径6mm、長さ250mmの円柱形の導電性支持体(鋼製、表面はニッケルメッキ)の周囲にローラ状になるように成形し、電気オーブンの中で、160℃で2時間、加硫および接着剤の硬化を行った後、ゴム部分の両端部を突っ切り、ゴム部分を回転砥石で研磨し、端部直径12.00mm、中央部直径12.10mmのクラウン形状の弾性抵抗層を有する帯電ローラ素材を得た。
<導電性複合粒子の作製>
シリカ粉末(レオシールQS−10 株式会社トクヤマ製)100質量部に対して、ジメチルジメトキシシラン1質量部を、メカノマイクロス(株式会社奈良製作所製)をベッセル回転速度200rpm、ロータ回転速度2000rpmで稼動させながら投入し70℃を保ちながら15分間混練りした。次いで導電材としてカーボンブラック MA100(揮発分 1.5% 三菱化学株式会社製)を、シリカ粉末100質量部に対して、100質量部投入し、70℃を保ちながら100分間混練りした。得られた導電性複合粒子1は比表面積が140m2/g、DBP吸油量が90cm3/100gであった。
<表面層の作製>
ラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2009、ダイセル化学工業(株)製)200質量部を、500質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解した。このアクリルポリオール溶液200質量部に対して導電性複合粒子1を20質量部、アクリル粒子(MX300 綜研化学株式会社製)を70質量部加え、これに直径0.8mmのガラスビーズ200質量部を加えて、450mlのビンに入れてペイントシェーカーを使い12時間分散した。
この分散液370質量部にイソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体(IPDI)(商品名:「ベスタナートB1370」:デグサ・ヒュルス製)を10質量部混合し、ボールミルで1時間攪拌して表層塗料を得た。
前記表層塗料をディッピンク法により前記帯電ローラ素材の表面に塗工し、30分間風乾した後、160℃で120分間乾燥して、帯電部材1を得た。なお、帯電部材1のマイクロ硬度(JIS−A)は60度、表面抵抗層の膜厚は18μmであった。また、得られた帯電ローラの温度25℃湿度50%における電気抵抗は1×106Ωであった。
帯電部材の電気抵抗は図3に示すような方法で行った。図中、2は帯電部材、15はステンレス製の円筒電極、16は抵抗、17はレコーダーを示す。これらの間の押圧力は用いられる画像形成装置と同様にし、外部電源3から−200Vを印加した際の抵抗値を測定したものである。
<帯電ローラに直流電圧のみを印加した時の画像評価>
図1に示す電子写真方式のプリンターに上記で得られた帯電ローラを取り付けて、温度15℃/湿度10%RHの環境下において、初期及び印字率4%のA4画像連続15000枚の画像出しを行った後にハーフトーン画像をプリントし、帯電均一性を帯電ローラの抵抗値ムラに起因した画像濃度ムラ及び微小領域での画像不良(ポチやガサツキ)の発生について、目視にて画像評価を行った。また15000枚連続で画像を出力した後の耐久画像については、帯電部材表面の汚れに起因する、帯電部材の回転方向における縦スジ欠陥の発生についても評価した。但し、電子写真感光体の暗部電位Vdが画像出し耐久試験初期に、−600V付近となるように印字電圧(直流電圧のみ)を各環境で設定して画像出し耐久試験を行った。
表2中のAは得られた画像が非常に良好、Bは実使用上問題ないがハーフトーン画像にやや斑点状の濃度ムラあり、Cはハーフトーン画像に濃度ムラ、濃度のガサツキがあることを示す。
また、15000枚の画像出力した後の縦スジ状の異常画像について、発生が無いものを○、実使用上問題ないが軽微に縦スジが認められるものを△、縦スジが著しく発生しているものを×と表記した。
上記のようにして得られた帯電ローラを用いて、以下に示す方法で評価を行った。
前記プリンターに用いる感光体はアルミニウムシリンダーに膜厚18μmのOPC層をコートした反転現像方式の感光ドラムであり、最外層は変性ポリカーボネートをバインダー樹脂とする電荷輸送層である。
トナーは、ワックスを中心に荷電制御剤と色素等を含むスチレンとブチルアクリレートのランダムコポリマーを重合させ、更にポリエステル薄層を重合させシリカ微粒子等を外添した、ガラス転移点63℃、質量平均粒径6μmの重合トナーである。
<帯電ローラ表面のひび割れ評価>
帯電部材表面のひび割れ発生状況を、画像評価前と耐久光学式顕微鏡を用いて250倍で観察し、ひび割れ発生の無いものを○、ひび割れ発生が3箇所以下のものを○△、10箇所以下のものを△、10箇所以上のものを×と表2に表記した。
帯電部材1の評価結果を表2に示す。
帯電部材1は初期画像及び耐久後で帯電ムラのない良好な画像が得られ、また汚れに起因する画像欠陥も発生していなかった。また初期及び耐久後のひび割れの発生も無かった。
表面抵抗層用素材のラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2009、ダイセル化学工業(株)製)200質量部を、400質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解した以外は実施例1と同様に操作し、電気抵抗は2x10^7Ω、表面抵抗層の膜厚は30μm、マイクロ硬度70°の帯電部材2を作製した。帯電部材2の評価結果を表2に示す。
帯電部材2は、初期では、ひび割れ発生が無く、初期画像で帯電均一性の良好な画像が得られた。15000枚耐久後では、軽微なひび割れが確認されたが、画像に影響が無く、耐久後の画像評価では帯電均一性の良好な画像が得られ、また汚れに起因する画像欠陥も発生していなかった。
表面抵抗層用素材のラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2009、ダイセル化学工業(株)製)200質量部を、600質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解した以外は実施例1と同様に操作し、電気抵抗は3x10^5Ω、表面抵抗層の膜厚は7μm、マイクロ硬度55°の帯電部材3を作製した。帯電部材3の評価結果を表2に示す。
帯電部材3は、初期及び耐久後で、軽微なひび割れが確認されたが画像に影響は無く、初期及び15000枚耐久後の画像評価では帯電均一性の良好な画像が得られ、また汚れに起因する画像欠陥も発生していなかった。
シリカ粉末(レオシールQS−10 株式会社トクヤマ製)100質量部に対して、ジメチルジメトキシシラン1質量部を、メカノマイクロス(株式会社奈良製作所製)をベッセル回転速度200rpm、ロータ回転速度2000rpmで稼動させながら投入し70℃を保ちながら15分間混練りした。次いで導電材としてカーボンブラック ColorBlack S160(揮発分5% Degussa社製)をシリカ粉末に対して200質量部投入し、30℃を保ちながら30分間混練りし、導電性複合粒子2を作製した。得られた導電性複合粒子2は比表面積が168m2/g、DBP吸油量が220cm3/100gであった。
表面抵抗層用素材のラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2009、ダイセル化学工業(株)製)200質量部を、650質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、導電材料として導電性複合粒子2を10質量部使用した以外は実施例1と同様に操作し、電気抵抗は7×105Ω、表面抵抗層の膜厚は5μm、マイクロ硬度64°の帯電部材4を作製した。帯電部材4の評価結果を表2に示す。
帯電部材4は、初期および15000枚耐久後ではひび割れが少量確認された。そのため、初期の画像評価では帯電均一性の良好な画像が得られたが、トナーや紙紛等の付着により15000枚耐久後の画像評価では、実使用上問題ないが帯電均一性の軽微な不良が認められた。汚れに起因する画像欠陥は発生しなかった。
シリカ粉末(レオシールQS−10 株式会社トクヤマ製)100質量部に対して、ジメチルジメトキシシラン1質量部を、メカノマイクロス(株式会社奈良製作所製)をベッセル回転速度200rpm、ロータ回転速度2000rpmで稼動させながら投入し70℃を保ちながら15分間混練りした。次いで導電材としてカーボンブラック Printex L(揮発分0.8% Degussa社製)をシリカ粉末に対して50質量部投入し、100℃を保ちながら100分間混練りし、導電性複合粒子3を作製した。得られた導電性複合粒子3は比表面積が100m2/g、DBP吸油量が80cm3/100gであった。
表面抵抗層用素材のラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2009、ダイセル化学工業(株)製)200質量部を、670質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、導電材料として導電性複合粒子3を30質量部使用した以外は実施例1と同様に操作し、電気抵抗は2×106Ω、表面抵抗層の膜厚は5μm、マイクロ硬度61°の帯電部材5を作製した。帯電部材5の評価結果を表2に示す。
帯電部材5は、初期で軽微なひび割れが確認され、さらに15000枚耐久後ではひび割れが少量確認された。そのため、初期の画像評価では帯電均一性の良好な画像が得られたが、15000枚耐久後の画像評価では、実使用上問題ないが帯電均一性の軽微な不良が認められた。汚れに起因する画像欠陥は発生しなかった。
シリカ粉末(レオシールQS−40 株式会社トクヤマ製)100質量部に対して、ジメチルジメトキシシラン1質量部を、メカノマイクロス(株式会社奈良製作所製)をベッセル回転速度200rpm、ロータ回転速度2000rpmで稼動させながら投入し70℃を保ちながら15分間混練りした。次いで導電材としてカーボンブラック #2650(揮発分8% 三菱化学株式会社製)をシリカ粉末に対して50質量部投入し、70℃を保ちながら100分間混練りし、導電性複合粒子4を作製した。得られた導電性複合粒子4は比表面積が300m2/g、DBP吸油量が250cm3/100gであった。
表面抵抗層用素材のラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2009、ダイセル化学工業(株)製)200質量部を、670質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、導電材料として導電性複合粒子4を20質量部使用した以外は実施例1と同様に操作し、電気抵抗は1×106Ω、表面抵抗層の膜厚は6μm、マイクロ硬度68°の帯電部材6を作製した。帯電部材6の評価結果を表2に示す。
帯電部材6は、初期および15000枚耐久後ではひび割れが少量確認された。そのため、初期及び15000枚耐久後の画像評価では、実使用上問題ないが帯電不良による軽微な斑点が認められ、また汚れに起因する画像欠陥も実使用上問題ない程度に認められた。
シリカ粉末(レオシールQS−09 株式会社トクヤマ製)100質量部に対して、フェニルトリエトキシシラン1質量部を、メカノマイクロス(株式会社奈良製作所製)をベッセル回転速度200rpm、ロータ回転速度2000rpmで稼動させながら投入し100℃を保ちながら15分間混練りした。次いで導電材としてカーボンブラック #25(揮発分0.6% 三菱化学株式会社製)をシリカ粉末に対して250質量部投入し、100℃を保ちながら100分間混練りし、導電性複合粒子5を作製した。得られた導電性複合粒子5は比表面積が80m2/g、DBP吸油量が50cm3/100gであった。
表面抵抗層用素材のラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2009、ダイセル化学工業(株)製)200質量部を、670質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、導電材料として導電性複合粒子5を28質量部使用した以外は実施例1と同様に操作し、電気抵抗は3×106Ω、表面抵抗層の膜厚は6μm、マイクロ硬度61°の帯電部材7を作製した。帯電部材7の評価結果を表2に示す。
帯電部材7は、初期および15000枚耐久後ではひび割れが少量確認された。そのため、初期の画像評価では帯電均一性の良好な画像が得られたが、15000枚耐久後の画像評価では、実使用上問題ないが帯電均一性の軽微な不良が認められ、また汚れに起因する画像欠陥も実使用上問題ないが認められた。
[比較例1]
母粒子として酸化チタン粉末(MT600B テイカ株式会社製)100質量部に対して、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン1質量部を、メカノマイクロス(株式会社奈良製作所製)をベッセル回転速度200rpm、ロータ回転速度2000rpmで稼動させながら投入し100℃を保ちながら15分間混練りした。次いで導電材としてカーボンブラック #5(揮発分0.4% 三菱化学株式会社製)を酸化チタン粉末に対して300質量部投入し、100℃を保ちながら150分間混練りし、導電性複合粒子6を作製した。得られた導電性複合粒子6は比表面積が50m2/g、DBP吸油量が30cm3/100gであった。
表面抵抗層用素材のラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2009、ダイセル化学工業(株)製)200質量部を、670質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、導電材料として導電性複合粒子6を30質量部使用した以外は実施例1と同様に操作し、電気抵抗は2×106Ω、表面抵抗層の膜厚は5μm、マイクロ硬度64°の帯電部材8を作製した。帯電部材8の評価結果を表2に示す。
帯電部材8は、初期で少量のひび割れが確認され、さらに15000枚耐久後では著しくひび割れが発生していた。そのため、初期の画像評価では帯電均一性の良好な画像が得られたが、15000枚耐久後の画像評価では、帯電均一性の不良による画像ムラが確認され、汚れに起因する画像欠陥が発生し、実使用上問題があった。
[比較例2]
母粒子としてシリカ粉末(AEROSIL380 日本アエロジル株式会社製)100質量部に対して、メチルトリエトキシシラン1質量部を、メカノマイクロス(株式会社奈良製作所製)をベッセル回転速度200rpm、ロータ回転速度2000rpmで稼動させながら投入し50℃を保ちながら15分間混練りした。次いで導電材としてカーボンブラック ColorBlackFW200(揮発分20% Degussa社製)をシリカ粉末に対して300質量部投入し、50℃を保ちながら15分間混練りし、導電性複合粒子7を作製した。得られた導電性複合粒子7は比表面積が450m2/g、DBP吸油量が350cm3/100gであった。
表面抵抗層用素材のラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2009、ダイセル化学工業(株)製)200質量部を、700質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、導電材料として導電性複合粒子7を20質量部使用した以外は実施例1と同様に操作し、電気抵抗は2×105Ω、表面抵抗層の膜厚は10μm、マイクロ硬度68°の帯電部材9を作製した。帯電部材9の評価結果を表2に示す。
帯電部材9は、初期から著しくひび割れが確認され、さらに15000枚耐久後でも著しくひび割れが発生していた。そのため、初期の画像評価では帯電不良による画像欠陥が観測され、15000枚耐久後の画像評価では、帯電均一性の不良による画像ムラが確認され、汚れに起因する画像欠陥も実使用上問題がある。
本発明の帯電部材は表面欠陥がなく、帯電の均一性に優れているので、画像形成装置の分野での利用拡大が見込まれる。
本発明の帯電部材が適用される電子写真装置の構成図である。
本発明の導電性部材の概略断面図である。
帯電部材の電気抵抗の測定装置概略図である。
符号の説明
2 帯電ローラ
2a 導電性支持体
2b 弾性層
2c 表面抵抗層
3 電源
4 感光ドラム
11 現像器
12 定着ローラ
13 クリーニングブレード
14 転写材
15 ステンレス製の円筒電極
16 抵抗
17 レコーダー
S1 帯電バイアス印加電源
S2 転写バイアス印加電源