JP2004037547A - 樹脂被覆写真用支持体 - Google Patents
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Abstract
【課題】写真乳剤層が設けられる側と反対側の紙基材面に印刷された金色の文字または画像が金色らしい高級感のある輝きを有する樹脂被覆写真用支持体を得ること及びその樹脂被覆写真用支持体を高速印刷しても安定して実現することである。
【解決手段】木材繊維を基材とする紙基材の両面をポリオレフィン樹脂で被覆してなる樹脂被覆写真用支持体において、写真乳剤層が設けられる側と反対側の紙基材面に印刷された金色の文字または画像が、雲母顔料並びに黄、朱及び紅の色味顔料若しくは染料を含むインキで印刷されてなる樹脂被覆写真用支持体。
特に、溶剤系の金色インキで印刷されることにより達成出来る。
【選択図】 なし
【解決手段】木材繊維を基材とする紙基材の両面をポリオレフィン樹脂で被覆してなる樹脂被覆写真用支持体において、写真乳剤層が設けられる側と反対側の紙基材面に印刷された金色の文字または画像が、雲母顔料並びに黄、朱及び紅の色味顔料若しくは染料を含むインキで印刷されてなる樹脂被覆写真用支持体。
特に、溶剤系の金色インキで印刷されることにより達成出来る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂被覆写真用支持体に関するものである。詳しくは、紙基材面に金色の文字または画像が印刷されている樹脂被覆写真用支持体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
写真印画紙は、支持体の上に、ハロゲン化銀乳剤層(写真乳剤層)、および保護ゼラチン層を設けて構成されるが、その支持体の基体として紙を使用する場合、この紙に耐水性を付与するため、支持体の両面をポリエチレン等のポリオレフィン樹脂を用いて被覆することが行われている。このようなポリエチレン樹脂被覆紙を支持体として用いた写真用印画紙において、その写真用乳剤層が塗設されている側の面は「表面」と呼ばれ、その反対側の面が「裏面」と呼ばれる。写真用印画紙の表面には画像が形成される。また、写真印画紙の裏面に、所望に応じて商品名、製造会社名、シンボルマーク等が印刷インキを用いて印刷される。特に、ポリオレフィン樹脂で被覆される前の紙裏面に黒色染料あるいは顔料を含む印刷インキを用い、グラビアあるいはフレキソ印刷機で印刷されることが多い。
【0003】
最近、ポリオレフィン樹脂で被覆される前の紙裏面に金色印刷インキを用い、印刷する用途が出てきた。高級感のある写真印画紙には、印画紙に合わせて、裏印刷も高級にと言うことで、商品名、製造会社名、シンボルマーク等に、従来よりも、もっと輝きまたは光沢のある金色が要求されるようになって来た。この要求には、従来の黄色顔料に基づいて開発された金色類似インキの使用では対応出来ない。写真印画紙の用途以外の場合の金色印刷に使用する印刷インキの顔料はブロンズ系又はアルミニウム−ブロンズ系顔料が一般的でる。しかしブロンズ着色剤中に含まれる銅成分が光学的に活性であるし、ポリオレフィン樹脂で被覆されていても、銅イオンが現像液中に流出するおそれがあることから、該顔料は写真用途では使用できない。
【0004】
一方、樹脂被覆写真用支持体の裏面印刷がラインの一部として、使用されており、塗工機の塗工速度が速くなって来るに伴い、印刷する速度も速くなって来ている。写真用途の紙基材は水に対し耐性がある(サイズ性が強い)為、水溶性の印刷インキを用いた場合、印刷インキの基材への転移が悪く、印刷カスレが発生し易い。また、高速になるに従って印刷部を乾燥するための乾燥ゾーンを、相当長くする必要があり、効率的でない。特開平11−2881号公報に、輝きまたは光沢のある金色印刷を背面に有するポリオレフィンコート写真用ベース紙が開示されている。特開平11−5934号公報に写真印画紙支持体の金色インクの組成物が開示されており、特開平5−61153号公報には写真印画紙用支持体の印刷着色顔料について開示されている。しかしこれらの公報には、金色らしさを出すために、色味顔料の特別な組み合わせの記載はない。そして特開平11−2881号及び特開平11−5934号公報は水溶性の金色印刷インキの組成物の開示であり、高速印刷の場合は、水溶性の印刷インキでは乾燥負荷が大きく、対応が出来ない問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、木材繊維を基材とする紙基材の両面をポリオレフィン樹脂で被覆する前に、写真乳剤層が設けられる側と反対側の紙基材面に印刷された金色の文字または画像が高級感のある輝きを有し、純金に近い色相を有する樹脂被覆写真用支持体であり、且つ、高速印刷により安定的に実現することのできる樹脂被覆写真用支持体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、以下の発明を見出した。即ち、請求項1の発明は、木材繊維を基質とする紙基材の両面をポリオレフィン樹脂で被覆してなる樹脂被覆写真用支持体において、写真乳剤層が設けられる側と反対側の紙基材面に印刷された金色の文字または画像が、雲母顔料並びに黄、朱及び紅の色味の顔料若しくは染料を含むインキで印刷されてなる樹脂被覆写真用支持体である。
【0007】
請求項2の発明は、金色の文字または画像が、溶剤系の金色インキで印刷されてなる請求項1に記載の樹脂被覆写真用支持体である。
【0008】
請求項3の発明は、インキの組成物に、接着剤としてウレタン樹脂を含む請求項1、または2に記載の樹脂被覆写真用支持体である。
【0009】
請求項4の発明は、金色の文字または画像が下記の装置で印刷された請求項1、2、または3記載の樹脂被覆写真用支持体である。
グラビアロール4、該グラビアロール4と対向して紙基材7を印圧する圧胴ロール5、並びにドクター2及び3を備えたインキ供給部1からなる印刷装置において、インキ供給部1をグラビアロール4に当接して密閉タイプとし、インキ供給部1内に供給されたインキ中をグラビアロール面が通過する時に、グラビアロール4の版面上のセルの中にインキが入り、次にドクター3で、版面上の余分なインキが掻き取られ、セルの凹部にのみインキが残り、次に、グラビアロール4と圧胴ロール5の間を紙基材7が印圧をかけられた状態で通過する時にインキが紙基材面に転移され印刷が行われ、印刷後のセル内部の残存インキが空気に短時間しか触れないようにセル内部の残存インキ中の溶剤の蒸発を抑えるべく、且つ/または、セル内部の乾燥した残存インキがインキ供給部1内のインキ中の溶剤により十分再溶解するように、該インキ供給部1がグラビアロール面の25%以上を覆うように当接するとともに、該当接開始部がグラビアロール4が印圧部から回転して直下に至るまでの間で当接するように設けられているグラビア印刷装置である。
【0010】
請求項5の発明は、金色の文字または画像が下記の装置で印刷された請求項1、2、または3記載の樹脂被覆写真用支持体である。
グラビアロール4、該グラビアロール4と対向して紙基材7を印圧する圧胴ロール5、並びにドクター2、3を備えたインキ供給部1からなる印刷装置において、グラビアロール4に密接されたインク供給部1内のインキ中にグラビアロール面が通過する時に、グラビアロール4の版面上のセルの中にインキが入り、次にドクター3でグラビア版面上の余分なインキが掻き取られ、セルの凹部のみインキが残り、次にグラビアロール4と圧胴ロール5の間を紙基材7が印圧をかけられた状態で通過する時にインキが基材面に転移され印刷が行われる印刷装置であって、連続運転中に印刷後のグラビアセル内部の残存インキが乾燥し、その結果セル内有効容積が減少する事による印刷カスレが生じないように、インキ中の溶剤成分を印刷直後の版面に塗工する装置9が設けられているグラビア印刷装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明を詳細に説明する。本発明の木材繊維を基質とする紙基材の両面をポリオレフィン樹脂で被覆する前に、写真乳剤層が設けられる側と反対側の紙基材面に印刷された金色の文字または画像のインキ組成物の内、色味成分として顔料としては、雲母顔料を必須成分とし、色味顔料または色味染料等から構成されている。雲母顔料は板様形状を有する雲母粒子であり、コア部は、金属酸化物層1層以上を有しており、このことが可視光において、選択的反射に基づいて、干渉光の効果を導く。写真印画紙用支持体に用いられる顔料としては、写真乳剤に対して悪い影響がないことが要求されることから、真鍮のような金属粒子にない写真安定性を有する雲母顔料が好ましい。雲母粒子をコートする金属酸化物としては酸化チタンもしくは酸化鉄、酸化マンガンを適宜選んで金色にふさわしい干渉光を得ることが出来る。中でも、二酸化チタンと酸化鉄の2層でコートされた雲母粒子が特に好ましい。この酸化チタンや酸化鉄でコートされた雲母粒子は真珠光沢顔料とも呼ばれ、干渉色を呈することで金色になることが知られている。雲母粒子の粒径は5〜80μmの板状粒子である。雲母粒子のインキに対する含有量はインキ全量に対し20〜40質量%含んでいるのが好ましい。22〜35質量%含んでいるのが更に好ましく、25〜30質量%含んでいると特に好ましい。20質量%未満であると、充分な金属光沢を得られない。40質量%を超えると、インキとして高速印刷に適さない。
【0012】
本発明に関する印刷インキは、色味顔料または色味染料を組み合わせて用いる。本発明者らは黄、朱、紅の色味顔料または染料が1つでも欠けると満足される光沢、純金らしい輝きが得られないことを見出した。好ましくは、黄顔料または黄染料はインキ全量に対し2〜5質量%、特に3〜4質量%、朱顔料または朱染料は0.1〜0.5質量%、特に0.2〜0.4質量%、紅顔料または紅染料は0.05〜0.3質量%、特に0.08〜0.1質量%用いると金色らしい高いさえ(鮮明性)が得られる。
【0013】
本発明に関する印刷インキは有機溶剤系の印刷インキが好ましく用いられる。その理由は、樹脂被覆写真用支持体を写真印画紙となした後、現像処理する際の現像液のしみ込みを防止するため紙基材を疎水性にしている。従って、水性インキで紙基材に印刷すると、紙基材に溶媒がしみ込まず、速乾性が得られず高速対応が難しいからである。印刷する速度は180m/min以上でその効果が現われ、本発明が好ましく印刷される速度として、300〜700m/minが好ましく、400〜600m/minで印刷するとその効果が現われる。印刷する速度がこの程度になると、水溶性の印刷インキでは、印刷部を乾燥するための乾燥ゾーンを溶剤系の印刷インキを用いた場合と比べて、相当長くする必要があり、また乾燥エネルギーも相当なものとなり効率的でない。
【0014】
本発明の印刷インキの溶剤としては、接着剤に対して良溶媒であれば制限はないが、有機溶剤が好ましい。好ましい有機溶剤としてはイソプロピルアルコールと酢酸エチルの混合液が挙げられる。溶剤はインキ全量に対し20〜45質量%が好ましく、30〜40質量%が更に好ましく、35〜38質量%が特に好ましい。特開平11−2881号公報に背面に金色印刷を有する写真用ベース紙が開示されているが、水系のインキを用いており、本発明の溶剤系の印刷インキとは異なる。
【0015】
本発明で用いる接着剤の適当な例としては、有機溶剤性接着剤であり、特に有機溶剤性接着剤のニトロセルロース、ポリオレフィンエマルジョンやニトロセルロースとポリオレフィンエマルジョンまたはポリウレタン、またはこれらの混合物を使用することが好ましく、特にポリウレタンが好ましい。接着剤の含有量はインキ全量に対し、30〜55質量%含むのが好ましい。32〜45質量%含むのが更に好ましく、34〜38質量%含むのが特に好ましい。30質量%未満であると、バインダーの効果がない。55質量%を超えるとインキの粘性、乾燥性により、高速安定性がない。インキの粘度はザンカップNo.3を使用して測定したインキ粘度が30秒位が良い。インキ粘度が低いと、適当な印刷濃度が得られない。高いとインキとして高速印刷に適さない。全体の固形分量としては、インキ全量に対し、55〜80質量%が好ましく、57〜65質量%が更に好ましく、59〜62質量%が特に好ましい。55質量%未満であると、インキとしは薄く、80質量%を超えると濃いことになる。
【0016】
本発明の金色印刷にはグラビア印刷が好ましく、特に図1に示す高速対応グラビア印刷装置を用いることが好ましい。同図に示すように、インキハネを無くす為にインキ供給部と版面でかこまれた中空内が密閉化されている。版面上の余分なインキが掻き取られた後印刷が行われ、紙に付着しない残存インキが一部セル内に残るが、インキ供給装置内のインキとグラビア版面との接触時間を長く取って、再溶解により残存インキが乾燥してグラビアロールの目を詰まらせない様にして、印刷カスレ対策を取り、安定した印刷ができる。また、エアードライヤー内の熱風がドライヤー入口のギャップからグラビアロールに向かって吹き出し、グラビアロール内の残存インキを乾燥固化しない様に遮蔽板を用いることができる。
【0017】
印刷カスレ対策として、図1と同様にエアードライヤー内の熱風がドライヤー入口のギャップからグラビアロールに向かって吹き出し、グラビアロール内の残存インキを乾燥固化しない様に遮蔽板を用いることが出来、また図2に示すように印刷後グラビアロールにインキ中の溶剤成分を塗工する装置を設けることにより残存インキの乾燥を防止することが出来る。また、雲母の沈殿により金色印刷の輝きに影響が出ない様インキの滞留防止に攪拌機等の滞留防止手段を設けることが好ましい。
【0018】
本発明で用いられる天然パルプを主成分とする紙基材としては、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素漂白等の通常の漂白処理、並びにアルカリ抽出もしくは、アルカリ処理、および必要に応じて過酸化水素、酸素などによる酸化漂白処理およびそれらの組み合わせ処理を施した針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプの木材パルプが用いられ、また、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプなどの各種のものを用いることができる。
【0019】
本発明で用いられる紙基材中には、紙料スラリー調整時に各種の添加剤を含有せしめることができる。
【0020】
写真印画紙は、現像時に現像液中を通過するため現像液のしみ込み防止が必要で、写真用支持体の紙基材は高いサイズ性を有する。そのために紙基材は疎水性化されている。紙基材面の耐ぬれ性は純水に対して接触角が90°以上を必要とする。このような高いサイズ性の紙基材面の裏印刷のインキとしては水性では紙基材にしみ込まないので速乾性の高い有機溶剤系インキが好ましい。
【0021】
高いサイズ性を有するサイズ剤として、脂肪酸金属塩又は脂肪酸、アルキルケテンダイマー乳化物あるいはエポキシ化高級脂肪酸アミド、アルケニルまたはアルキルコハク酸無水物乳化物、ロジン誘導体を含有せしめることができる。
【0022】
その他の添加剤としては、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、填料、定着剤、PH調節剤、着色顔料、蛍光増白剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0023】
また、本発明の実施に用いられる紙基材中あるいは紙基材上には、各種の水溶性ポリマー、ラテックス、帯電防止剤、PH調節剤その他添加剤から成る組成物をサイズプレスもしくはタブサイズプレスによって含有あるいは塗設せしめることができる。
【0024】
本発明における樹脂被覆写真用支持体の紙基材の写真乳剤層を設ける側の面は、熱可塑性樹脂で被覆される。望ましくはポリエチレン樹脂で被覆される。ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、及びこれらの混合物が用いられる。
【0025】
本発明における樹脂被覆写真用支持体の紙基材の写真乳剤層を設ける側の面を被覆するポリエチレン樹脂被覆層に二酸化チタン顔料、脂肪酸金属塩、酸化防止剤の他に各種の添加剤を含有せしめることが出来る。
【0026】
本発明における樹脂被覆写真用支持体の写真乳剤層を設ける側と反対の紙基材面は、フィルム形成能ある樹脂で被覆される。フィルム形成能ある樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましく、中でも溶融押出コーティング性の点から前記したポリオレフィン樹脂が更に好ましく、ポリエチレン樹脂が特に好ましい。また、電子線硬化樹脂で被覆してもよい。
【0027】
樹脂被覆写真用支持体の写真乳剤層を設ける側と反対の紙基材面の印刷部分とポリオレフィン樹脂との接着が弱いと、後工程において、問題となるが、本発明に関する印刷インキで印刷した印刷部分は樹脂層との接着は良好で後工程に何ら影響を及ぼさない。
【0028】
本発明における樹脂被覆写真用支持体の紙基材面に樹脂を被覆する方法としては走行する紙基材上に樹脂組成物を溶融押出機を用いて、そのスリットダイからフィルム上に流延して被覆する、いわゆる溶融押出コーティング法によって被覆するのが好ましい。その際、溶融フィルムの温度は270℃〜330℃であることが好ましい。紙基材上に熱可塑性樹脂層を設ける手段としては、逐次でも、共押出コーティングでも良い。
【0029】
樹脂組成物を紙基材にコーティングする前に、紙基材にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すのが好ましい。
【0030】
また、樹脂被覆写真用支持体の写真乳剤層を塗設する側の表樹脂層面は、光沢面、マット面あるいは絹目面等に加工することが出来、その反対側の裏樹脂層は通常無光沢面に加工するのが好ましい。
【0031】
本発明における樹脂被覆写真用支持体の写真乳剤層を設ける側のポリエチレン樹脂層面には、コロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが出来る。更に、活性化処理後、下引き層処理を施すことが出来る。
【0032】
本発明における樹脂被覆写真用支持体の裏樹脂層面上には、コロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施した後、帯電防止、筆記性付与等のために各種のバックコート層を塗設することができる。また、バックコート層には、無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダーラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤等を適宜組み合わせて含有せしめることができる。これらの組成物をグラビア塗工、ブレード塗工、エアーナイフ塗工、ファウンテン塗工及びそれらの塗工とメタバー塗工を組み合わせた塗工によって塗設せしめることができる。なおバックコート後も本発明に関する印刷インキで印刷した金色印刷はバックコート層を透過しても良好な金色の光沢と輝きを有する。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
【0034】
実施例1
広葉樹漂白クラフトパルプをフリーネス(CSF)が310m lになるように叩解後、パルプ100質量部に対して、カチオン化澱粉2.25質量部、アニオン化ポリアクリルアミド0.4質量部、アルキルケテンダイマー乳化物(ケテンダイマー分として)0.08質量部、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂0.27質量部及び適当量の蛍光増白剤、青色染料、赤色染料を添加して紙料スラリーを調製した。
【0035】
その後、紙料スラリーを200m/分で走行している長網抄紙機にのせ適切なタービユレンスを与えつつ紙匹を形成し、ウエットパートで15kg/cm〜100 kg/cm の範囲で線圧が調節された3段のウエットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続き乾燥パートで30kg/cm〜70kg/cm の範囲で線圧が調節された2段のマシンカレンダー処理を行った後、乾燥した。
【0036】
その後、乾燥の途中でカルボキシ変性ポリビニールアルコール4質量部、蛍光増白剤0.07質量部、青色染料0.002質量部、塩化ナトリウム4質量部及び水92質量部から成るサイズプレス液を35g/m2 サイズプレスし、最終的に得られる紙基材水分が絶乾水分で8質量%になるように乾燥し、線圧50kg/cmの条件でマシンカレンダー処理し坪量183g/m2 (174μm)、JISP8140で規定する面サイズ度であるコッブサイズ度が8g/m2(純水に対して接触角が90°以上)の樹脂被覆写真用支持体の紙基材を製造した。
【0037】
坪量183g/m2 の樹脂被覆写真用支持体の紙基材の写真乳剤層を塗設する側とは反対側の紙基材面(裏面)に図2に示すグラビア印刷機を用い金色印刷インキ組成物を400m/minの印刷速度で、印刷した。インキ組成はイソプロピルアルコール17.026質量%、酢酸エチル20.026質量%、ウレタン樹脂34.028質量%、黄味顔料2.341質量%、朱顔料0.225質量%、紅顔料0.163質量%、雲母顔料26.191質量%(東洋インキK.K.製)をdryで2.5g/m2付着させた。その後熱風ドライヤーにより乾燥した。
【0038】
次に写真乳剤層を塗設する側とは反対側の紙基材面(裏面)をコロナ放電処理した後、下層(紙基材に接着する層)が低密度ポリエチレン樹脂(密度0.922g/cm3 MFR=5.0g/10分)100質量部を樹脂温320℃で3μmの厚さに、上層が低密度ポリエチレン樹脂(密度0.922g/cm3 MFR=5g/10分)35質量部と高密度ポリエチレン樹脂(密度0.96g/cm3 MFR=20g/10分)65質量部から成るコンパウンド樹脂組成物を樹脂温320℃で24.5μmの厚さに、紙基材の走行速度400m/分で共押出コーティングした。
【0039】
引き続き、紙基材の写真乳剤層を塗設する側の紙基材面(表面)をコロナ放電処理した後、該表面に下層が低密度ポリエチレン樹脂(密度0.922g/cm3 MFR=5.0g/10分)100質量部を樹脂温度300°Cで、ポリエチレン樹脂の厚さが8μmの厚さとなるように、上層が低密度ポリエチレン樹脂(密度0.922g/cm3 MFR=5.0g/10分)85質量部とアナターゼ型酸化チタンを60%(質量%)含む低密度ポリエチレン ( 密度0.922g/cm3 MFR=5.0g/10分)15質量部から成るコンパウンド樹脂を樹脂温度300°Cで、ポリエチレン樹脂の厚さが20μmの厚さとなるように、紙基材の走行速度400m/分で共押出コーティングして、その後に低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3 MFR=8.0g/10分)78質量部とアナターゼ型酸化チタンを60%(質量%)含む低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3 MFR5.0g/10分 )22質量部から成るコンパウンド樹脂を樹脂温度290℃で、ポリエチレン樹脂の厚さが10μmの厚さとなるように、逐次押出コーティングをした。クーリングロールは鏡面ロールを用いた。
【0040】
実施例2
印刷工程で、図3に示す従来の開放されたインキ供給(インキパン)の印刷装置で印刷する以外は実施例1と同じように、樹脂被覆写真用支持体を製造した。
【0041】
実施例3
印刷工程で、印刷インキの組成物をイオン水55質量%、ウレタン樹脂15質量%、色味顔料2質量%、雲母顔料20質量%、混合物(36質量%のイソプロピルアルコール、24質量%のブタノール、40質量%の水)8質量%の水溶性の印刷インキを使用して、樹脂被覆写真用支持体の紙基材の裏面を印刷し、dryで2.5g/m2付着させた。その後熱風ドライヤーにより乾燥した以外は実施例1と同じである。
【0042】
実施例4
印刷インキの組成物をロジン系のフェノール樹脂20.5質量%、色味顔料3.2質量%、雲母顔料35.1質量%、乾性油(アマニ油)26.1質量%、パラフィン系の溶剤15.1質量%の油性の印刷インキを使用して、樹脂被覆写真用支持体の紙基材の裏面を別に設けたオフセット印刷機を用いて金色の印刷をし、その後熱風ドライヤーにより乾燥した。その後実施例1と同じように紙基材の両面を樹脂塗工した。
【0043】
実施例5
印刷工程で、図1に示すグラビア印刷機を用いる以外は実施例1と同じである。
【0044】
実施例6
実施例1と同様に紙基材面(表面)に樹脂を被覆した後に、ダイレクトグラビア塗工機を用いバックコート層を400m/minの塗工速度で、塗工した。バックコートの組成は顔料8.5質量%、表面活性剤0.1質量%、溶剤1.0質量%、水90.4質量%をdryで0.33g/m2付着させた。その後熱風ドライヤーにより乾燥した。
【0045】
実施例7
印刷工程で、接着剤であるウレタン樹脂をニトロセルロースとポリオレフィンエマルジョンの混合物に換えた以外は実施例1と同じである。
【0046】
比較例1
印刷工程で、色味顔料中に朱顔料を入れないで 、黄味顔料2.454質量%、紅顔料0.275質量%とした以外は実施例1と同じように、樹脂被覆写真用支持体を製造した。
【0047】
比較例2
印刷工程で、色味顔料中に紅顔料を入れないで 、黄味顔料2.423質量%、朱顔料0.306質量%とした以外は実施例1と同じように、樹脂被覆写真用支持体を製造した。
【0048】
比較例3
印刷工程で、インキ組成がイソプロピルアルコール21.2質量%、メチルエチルケトン22.3質量%、アクリル樹脂25.5質量%、黄味顔料2.41質量%、朱顔料0.35質量%、紅顔料0.12質量%、シリカ28.12質量%とした以外は実施例1と同じである。
【0049】
比較例4
印刷工程で、インキ組成がイソプロピルアルコール21.7質量%、エチルアルコール13.5質量%、酢酸エチル20.8質量%、ニトロセルロースとポリオレフィンエマルジョン8.2質量%、黄味顔料2.69質量%、朱顔料0.43質量%、紅顔料0.18質量%、真鍮粉末32.5質量%とした以外は実施例1と同じである。
【0050】
評価結果について説明する。
実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例4における紙基材に印刷された(金色印刷)樹脂被覆写真用支持体の金色の輝きと光沢について評価した。また、紙基材への印刷の操業性及び金色の輝きと光沢以外の印刷仕上がりについて評価した。評価結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
金色の光沢、輝き
樹脂被覆写真用支持体の裏面を目視にて評価した。評価結果から表1には○:金色の光沢、輝きが良好。×:金色の光沢、輝きが不良であることを示す。
操業性
インキハネ
紙基材への印刷時のインキハネを目視にて観察した。○:インキハネがなく良好。×:インキハネがあり不良であることを示す。
熱風乾燥状態
紙基材への印刷後、熱風乾燥後の乾燥の良否について、目視にて観察した。
○:インキ乾燥不良がなく良好。×:インキ乾燥不良があり不良であることを示す。
紙基材の仕上がり品質
金色の光沢、輝き以外の項目、特に印刷カスレについて、紙基材を目視にて評価した。○:印刷カスレがなく良好。×:印刷カスレがあり不良であることを示す。
【0053】
表1より明らかな如く、樹脂被覆写真用支持体の紙基材の裏面に金色の光沢、輝きを有する印刷をするには、雲母顔料に加え、色味顔料または染料の黄味、朱、紅の3種類の顔料または染料が必要で、また、色味顔料の内1つでも抜けると金色らしい印刷が得られないことがわかる。雲母顔料のかわりにシリカを加えた樹脂被覆写真用支持体では金色光沢は得られない。実施例1と実施例7の比較において、金色の光沢、輝き、操業性は同等であったが紙基材と印刷部との接着及び樹脂被覆層との接着性についてはウレタン樹脂を用いた金色印刷の方が優れていた。
【0054】
高速印刷の為には印刷インキは溶剤系が好ましく、水溶性インキを用いた場合には金色光沢、輝きは得られるが、乾燥不良が発生し、カスレ等の仕上がり品質に影響が生じる。また、高速対応のグラビア印刷機で印刷するのが好ましいことがわかる。そして、紙基材面(表面)に樹脂を被覆した後に、ダイレクトグラビア塗工機を用いバックコート層を塗設して、バックコート層を透過して発現する樹脂被覆写真用支持体も良好な金色の光沢と輝きを有した。
【0055】
【発明の効果】
木材繊維を基材とする紙基材の両面をポリオレフィン樹脂で被覆する前に、写真乳剤層が設けられる側と反対側の紙基材面に雲母顔料並びに黄、朱及び紅の色味の顔料若しくは染料を含むインキで印刷されることにより、金色の文字または画像が高級感のある輝きを有する樹脂被覆写真用支持体が得られる。また、特定のグラビア印刷により安定した高速印刷により金色印刷された樹脂被覆写真用支持体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高速印刷対応のグラビア印刷機の図(その1)
【図2】高速印刷対応のグラビア印刷機の図(その2)
【図3】高速対応が出来ていない従来のグラビア印刷機の図
【符号の説明】
1 インキ供給装置
2 シール専用のドクター
3 シール及びインキ掻き取り兼用ドクター
4 グラビアロール
5 圧胴ロール
6 バックアップロール
7 紙基材
8 空気抜き管
9 塗工装置
10 熱風遮蔽板
11 熱風乾燥機
12 シール
13 インキ液取出し口
14 インキ供給口
15 ファーニッシャーロール
16 インキパン
17 従来のグラビアロールのドクター
18 インキ液溜め
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂被覆写真用支持体に関するものである。詳しくは、紙基材面に金色の文字または画像が印刷されている樹脂被覆写真用支持体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
写真印画紙は、支持体の上に、ハロゲン化銀乳剤層(写真乳剤層)、および保護ゼラチン層を設けて構成されるが、その支持体の基体として紙を使用する場合、この紙に耐水性を付与するため、支持体の両面をポリエチレン等のポリオレフィン樹脂を用いて被覆することが行われている。このようなポリエチレン樹脂被覆紙を支持体として用いた写真用印画紙において、その写真用乳剤層が塗設されている側の面は「表面」と呼ばれ、その反対側の面が「裏面」と呼ばれる。写真用印画紙の表面には画像が形成される。また、写真印画紙の裏面に、所望に応じて商品名、製造会社名、シンボルマーク等が印刷インキを用いて印刷される。特に、ポリオレフィン樹脂で被覆される前の紙裏面に黒色染料あるいは顔料を含む印刷インキを用い、グラビアあるいはフレキソ印刷機で印刷されることが多い。
【0003】
最近、ポリオレフィン樹脂で被覆される前の紙裏面に金色印刷インキを用い、印刷する用途が出てきた。高級感のある写真印画紙には、印画紙に合わせて、裏印刷も高級にと言うことで、商品名、製造会社名、シンボルマーク等に、従来よりも、もっと輝きまたは光沢のある金色が要求されるようになって来た。この要求には、従来の黄色顔料に基づいて開発された金色類似インキの使用では対応出来ない。写真印画紙の用途以外の場合の金色印刷に使用する印刷インキの顔料はブロンズ系又はアルミニウム−ブロンズ系顔料が一般的でる。しかしブロンズ着色剤中に含まれる銅成分が光学的に活性であるし、ポリオレフィン樹脂で被覆されていても、銅イオンが現像液中に流出するおそれがあることから、該顔料は写真用途では使用できない。
【0004】
一方、樹脂被覆写真用支持体の裏面印刷がラインの一部として、使用されており、塗工機の塗工速度が速くなって来るに伴い、印刷する速度も速くなって来ている。写真用途の紙基材は水に対し耐性がある(サイズ性が強い)為、水溶性の印刷インキを用いた場合、印刷インキの基材への転移が悪く、印刷カスレが発生し易い。また、高速になるに従って印刷部を乾燥するための乾燥ゾーンを、相当長くする必要があり、効率的でない。特開平11−2881号公報に、輝きまたは光沢のある金色印刷を背面に有するポリオレフィンコート写真用ベース紙が開示されている。特開平11−5934号公報に写真印画紙支持体の金色インクの組成物が開示されており、特開平5−61153号公報には写真印画紙用支持体の印刷着色顔料について開示されている。しかしこれらの公報には、金色らしさを出すために、色味顔料の特別な組み合わせの記載はない。そして特開平11−2881号及び特開平11−5934号公報は水溶性の金色印刷インキの組成物の開示であり、高速印刷の場合は、水溶性の印刷インキでは乾燥負荷が大きく、対応が出来ない問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、木材繊維を基材とする紙基材の両面をポリオレフィン樹脂で被覆する前に、写真乳剤層が設けられる側と反対側の紙基材面に印刷された金色の文字または画像が高級感のある輝きを有し、純金に近い色相を有する樹脂被覆写真用支持体であり、且つ、高速印刷により安定的に実現することのできる樹脂被覆写真用支持体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、以下の発明を見出した。即ち、請求項1の発明は、木材繊維を基質とする紙基材の両面をポリオレフィン樹脂で被覆してなる樹脂被覆写真用支持体において、写真乳剤層が設けられる側と反対側の紙基材面に印刷された金色の文字または画像が、雲母顔料並びに黄、朱及び紅の色味の顔料若しくは染料を含むインキで印刷されてなる樹脂被覆写真用支持体である。
【0007】
請求項2の発明は、金色の文字または画像が、溶剤系の金色インキで印刷されてなる請求項1に記載の樹脂被覆写真用支持体である。
【0008】
請求項3の発明は、インキの組成物に、接着剤としてウレタン樹脂を含む請求項1、または2に記載の樹脂被覆写真用支持体である。
【0009】
請求項4の発明は、金色の文字または画像が下記の装置で印刷された請求項1、2、または3記載の樹脂被覆写真用支持体である。
グラビアロール4、該グラビアロール4と対向して紙基材7を印圧する圧胴ロール5、並びにドクター2及び3を備えたインキ供給部1からなる印刷装置において、インキ供給部1をグラビアロール4に当接して密閉タイプとし、インキ供給部1内に供給されたインキ中をグラビアロール面が通過する時に、グラビアロール4の版面上のセルの中にインキが入り、次にドクター3で、版面上の余分なインキが掻き取られ、セルの凹部にのみインキが残り、次に、グラビアロール4と圧胴ロール5の間を紙基材7が印圧をかけられた状態で通過する時にインキが紙基材面に転移され印刷が行われ、印刷後のセル内部の残存インキが空気に短時間しか触れないようにセル内部の残存インキ中の溶剤の蒸発を抑えるべく、且つ/または、セル内部の乾燥した残存インキがインキ供給部1内のインキ中の溶剤により十分再溶解するように、該インキ供給部1がグラビアロール面の25%以上を覆うように当接するとともに、該当接開始部がグラビアロール4が印圧部から回転して直下に至るまでの間で当接するように設けられているグラビア印刷装置である。
【0010】
請求項5の発明は、金色の文字または画像が下記の装置で印刷された請求項1、2、または3記載の樹脂被覆写真用支持体である。
グラビアロール4、該グラビアロール4と対向して紙基材7を印圧する圧胴ロール5、並びにドクター2、3を備えたインキ供給部1からなる印刷装置において、グラビアロール4に密接されたインク供給部1内のインキ中にグラビアロール面が通過する時に、グラビアロール4の版面上のセルの中にインキが入り、次にドクター3でグラビア版面上の余分なインキが掻き取られ、セルの凹部のみインキが残り、次にグラビアロール4と圧胴ロール5の間を紙基材7が印圧をかけられた状態で通過する時にインキが基材面に転移され印刷が行われる印刷装置であって、連続運転中に印刷後のグラビアセル内部の残存インキが乾燥し、その結果セル内有効容積が減少する事による印刷カスレが生じないように、インキ中の溶剤成分を印刷直後の版面に塗工する装置9が設けられているグラビア印刷装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明を詳細に説明する。本発明の木材繊維を基質とする紙基材の両面をポリオレフィン樹脂で被覆する前に、写真乳剤層が設けられる側と反対側の紙基材面に印刷された金色の文字または画像のインキ組成物の内、色味成分として顔料としては、雲母顔料を必須成分とし、色味顔料または色味染料等から構成されている。雲母顔料は板様形状を有する雲母粒子であり、コア部は、金属酸化物層1層以上を有しており、このことが可視光において、選択的反射に基づいて、干渉光の効果を導く。写真印画紙用支持体に用いられる顔料としては、写真乳剤に対して悪い影響がないことが要求されることから、真鍮のような金属粒子にない写真安定性を有する雲母顔料が好ましい。雲母粒子をコートする金属酸化物としては酸化チタンもしくは酸化鉄、酸化マンガンを適宜選んで金色にふさわしい干渉光を得ることが出来る。中でも、二酸化チタンと酸化鉄の2層でコートされた雲母粒子が特に好ましい。この酸化チタンや酸化鉄でコートされた雲母粒子は真珠光沢顔料とも呼ばれ、干渉色を呈することで金色になることが知られている。雲母粒子の粒径は5〜80μmの板状粒子である。雲母粒子のインキに対する含有量はインキ全量に対し20〜40質量%含んでいるのが好ましい。22〜35質量%含んでいるのが更に好ましく、25〜30質量%含んでいると特に好ましい。20質量%未満であると、充分な金属光沢を得られない。40質量%を超えると、インキとして高速印刷に適さない。
【0012】
本発明に関する印刷インキは、色味顔料または色味染料を組み合わせて用いる。本発明者らは黄、朱、紅の色味顔料または染料が1つでも欠けると満足される光沢、純金らしい輝きが得られないことを見出した。好ましくは、黄顔料または黄染料はインキ全量に対し2〜5質量%、特に3〜4質量%、朱顔料または朱染料は0.1〜0.5質量%、特に0.2〜0.4質量%、紅顔料または紅染料は0.05〜0.3質量%、特に0.08〜0.1質量%用いると金色らしい高いさえ(鮮明性)が得られる。
【0013】
本発明に関する印刷インキは有機溶剤系の印刷インキが好ましく用いられる。その理由は、樹脂被覆写真用支持体を写真印画紙となした後、現像処理する際の現像液のしみ込みを防止するため紙基材を疎水性にしている。従って、水性インキで紙基材に印刷すると、紙基材に溶媒がしみ込まず、速乾性が得られず高速対応が難しいからである。印刷する速度は180m/min以上でその効果が現われ、本発明が好ましく印刷される速度として、300〜700m/minが好ましく、400〜600m/minで印刷するとその効果が現われる。印刷する速度がこの程度になると、水溶性の印刷インキでは、印刷部を乾燥するための乾燥ゾーンを溶剤系の印刷インキを用いた場合と比べて、相当長くする必要があり、また乾燥エネルギーも相当なものとなり効率的でない。
【0014】
本発明の印刷インキの溶剤としては、接着剤に対して良溶媒であれば制限はないが、有機溶剤が好ましい。好ましい有機溶剤としてはイソプロピルアルコールと酢酸エチルの混合液が挙げられる。溶剤はインキ全量に対し20〜45質量%が好ましく、30〜40質量%が更に好ましく、35〜38質量%が特に好ましい。特開平11−2881号公報に背面に金色印刷を有する写真用ベース紙が開示されているが、水系のインキを用いており、本発明の溶剤系の印刷インキとは異なる。
【0015】
本発明で用いる接着剤の適当な例としては、有機溶剤性接着剤であり、特に有機溶剤性接着剤のニトロセルロース、ポリオレフィンエマルジョンやニトロセルロースとポリオレフィンエマルジョンまたはポリウレタン、またはこれらの混合物を使用することが好ましく、特にポリウレタンが好ましい。接着剤の含有量はインキ全量に対し、30〜55質量%含むのが好ましい。32〜45質量%含むのが更に好ましく、34〜38質量%含むのが特に好ましい。30質量%未満であると、バインダーの効果がない。55質量%を超えるとインキの粘性、乾燥性により、高速安定性がない。インキの粘度はザンカップNo.3を使用して測定したインキ粘度が30秒位が良い。インキ粘度が低いと、適当な印刷濃度が得られない。高いとインキとして高速印刷に適さない。全体の固形分量としては、インキ全量に対し、55〜80質量%が好ましく、57〜65質量%が更に好ましく、59〜62質量%が特に好ましい。55質量%未満であると、インキとしは薄く、80質量%を超えると濃いことになる。
【0016】
本発明の金色印刷にはグラビア印刷が好ましく、特に図1に示す高速対応グラビア印刷装置を用いることが好ましい。同図に示すように、インキハネを無くす為にインキ供給部と版面でかこまれた中空内が密閉化されている。版面上の余分なインキが掻き取られた後印刷が行われ、紙に付着しない残存インキが一部セル内に残るが、インキ供給装置内のインキとグラビア版面との接触時間を長く取って、再溶解により残存インキが乾燥してグラビアロールの目を詰まらせない様にして、印刷カスレ対策を取り、安定した印刷ができる。また、エアードライヤー内の熱風がドライヤー入口のギャップからグラビアロールに向かって吹き出し、グラビアロール内の残存インキを乾燥固化しない様に遮蔽板を用いることができる。
【0017】
印刷カスレ対策として、図1と同様にエアードライヤー内の熱風がドライヤー入口のギャップからグラビアロールに向かって吹き出し、グラビアロール内の残存インキを乾燥固化しない様に遮蔽板を用いることが出来、また図2に示すように印刷後グラビアロールにインキ中の溶剤成分を塗工する装置を設けることにより残存インキの乾燥を防止することが出来る。また、雲母の沈殿により金色印刷の輝きに影響が出ない様インキの滞留防止に攪拌機等の滞留防止手段を設けることが好ましい。
【0018】
本発明で用いられる天然パルプを主成分とする紙基材としては、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素漂白等の通常の漂白処理、並びにアルカリ抽出もしくは、アルカリ処理、および必要に応じて過酸化水素、酸素などによる酸化漂白処理およびそれらの組み合わせ処理を施した針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプの木材パルプが用いられ、また、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプなどの各種のものを用いることができる。
【0019】
本発明で用いられる紙基材中には、紙料スラリー調整時に各種の添加剤を含有せしめることができる。
【0020】
写真印画紙は、現像時に現像液中を通過するため現像液のしみ込み防止が必要で、写真用支持体の紙基材は高いサイズ性を有する。そのために紙基材は疎水性化されている。紙基材面の耐ぬれ性は純水に対して接触角が90°以上を必要とする。このような高いサイズ性の紙基材面の裏印刷のインキとしては水性では紙基材にしみ込まないので速乾性の高い有機溶剤系インキが好ましい。
【0021】
高いサイズ性を有するサイズ剤として、脂肪酸金属塩又は脂肪酸、アルキルケテンダイマー乳化物あるいはエポキシ化高級脂肪酸アミド、アルケニルまたはアルキルコハク酸無水物乳化物、ロジン誘導体を含有せしめることができる。
【0022】
その他の添加剤としては、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、填料、定着剤、PH調節剤、着色顔料、蛍光増白剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0023】
また、本発明の実施に用いられる紙基材中あるいは紙基材上には、各種の水溶性ポリマー、ラテックス、帯電防止剤、PH調節剤その他添加剤から成る組成物をサイズプレスもしくはタブサイズプレスによって含有あるいは塗設せしめることができる。
【0024】
本発明における樹脂被覆写真用支持体の紙基材の写真乳剤層を設ける側の面は、熱可塑性樹脂で被覆される。望ましくはポリエチレン樹脂で被覆される。ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、及びこれらの混合物が用いられる。
【0025】
本発明における樹脂被覆写真用支持体の紙基材の写真乳剤層を設ける側の面を被覆するポリエチレン樹脂被覆層に二酸化チタン顔料、脂肪酸金属塩、酸化防止剤の他に各種の添加剤を含有せしめることが出来る。
【0026】
本発明における樹脂被覆写真用支持体の写真乳剤層を設ける側と反対の紙基材面は、フィルム形成能ある樹脂で被覆される。フィルム形成能ある樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましく、中でも溶融押出コーティング性の点から前記したポリオレフィン樹脂が更に好ましく、ポリエチレン樹脂が特に好ましい。また、電子線硬化樹脂で被覆してもよい。
【0027】
樹脂被覆写真用支持体の写真乳剤層を設ける側と反対の紙基材面の印刷部分とポリオレフィン樹脂との接着が弱いと、後工程において、問題となるが、本発明に関する印刷インキで印刷した印刷部分は樹脂層との接着は良好で後工程に何ら影響を及ぼさない。
【0028】
本発明における樹脂被覆写真用支持体の紙基材面に樹脂を被覆する方法としては走行する紙基材上に樹脂組成物を溶融押出機を用いて、そのスリットダイからフィルム上に流延して被覆する、いわゆる溶融押出コーティング法によって被覆するのが好ましい。その際、溶融フィルムの温度は270℃〜330℃であることが好ましい。紙基材上に熱可塑性樹脂層を設ける手段としては、逐次でも、共押出コーティングでも良い。
【0029】
樹脂組成物を紙基材にコーティングする前に、紙基材にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すのが好ましい。
【0030】
また、樹脂被覆写真用支持体の写真乳剤層を塗設する側の表樹脂層面は、光沢面、マット面あるいは絹目面等に加工することが出来、その反対側の裏樹脂層は通常無光沢面に加工するのが好ましい。
【0031】
本発明における樹脂被覆写真用支持体の写真乳剤層を設ける側のポリエチレン樹脂層面には、コロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが出来る。更に、活性化処理後、下引き層処理を施すことが出来る。
【0032】
本発明における樹脂被覆写真用支持体の裏樹脂層面上には、コロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施した後、帯電防止、筆記性付与等のために各種のバックコート層を塗設することができる。また、バックコート層には、無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダーラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤等を適宜組み合わせて含有せしめることができる。これらの組成物をグラビア塗工、ブレード塗工、エアーナイフ塗工、ファウンテン塗工及びそれらの塗工とメタバー塗工を組み合わせた塗工によって塗設せしめることができる。なおバックコート後も本発明に関する印刷インキで印刷した金色印刷はバックコート層を透過しても良好な金色の光沢と輝きを有する。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
【0034】
実施例1
広葉樹漂白クラフトパルプをフリーネス(CSF)が310m lになるように叩解後、パルプ100質量部に対して、カチオン化澱粉2.25質量部、アニオン化ポリアクリルアミド0.4質量部、アルキルケテンダイマー乳化物(ケテンダイマー分として)0.08質量部、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂0.27質量部及び適当量の蛍光増白剤、青色染料、赤色染料を添加して紙料スラリーを調製した。
【0035】
その後、紙料スラリーを200m/分で走行している長網抄紙機にのせ適切なタービユレンスを与えつつ紙匹を形成し、ウエットパートで15kg/cm〜100 kg/cm の範囲で線圧が調節された3段のウエットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続き乾燥パートで30kg/cm〜70kg/cm の範囲で線圧が調節された2段のマシンカレンダー処理を行った後、乾燥した。
【0036】
その後、乾燥の途中でカルボキシ変性ポリビニールアルコール4質量部、蛍光増白剤0.07質量部、青色染料0.002質量部、塩化ナトリウム4質量部及び水92質量部から成るサイズプレス液を35g/m2 サイズプレスし、最終的に得られる紙基材水分が絶乾水分で8質量%になるように乾燥し、線圧50kg/cmの条件でマシンカレンダー処理し坪量183g/m2 (174μm)、JISP8140で規定する面サイズ度であるコッブサイズ度が8g/m2(純水に対して接触角が90°以上)の樹脂被覆写真用支持体の紙基材を製造した。
【0037】
坪量183g/m2 の樹脂被覆写真用支持体の紙基材の写真乳剤層を塗設する側とは反対側の紙基材面(裏面)に図2に示すグラビア印刷機を用い金色印刷インキ組成物を400m/minの印刷速度で、印刷した。インキ組成はイソプロピルアルコール17.026質量%、酢酸エチル20.026質量%、ウレタン樹脂34.028質量%、黄味顔料2.341質量%、朱顔料0.225質量%、紅顔料0.163質量%、雲母顔料26.191質量%(東洋インキK.K.製)をdryで2.5g/m2付着させた。その後熱風ドライヤーにより乾燥した。
【0038】
次に写真乳剤層を塗設する側とは反対側の紙基材面(裏面)をコロナ放電処理した後、下層(紙基材に接着する層)が低密度ポリエチレン樹脂(密度0.922g/cm3 MFR=5.0g/10分)100質量部を樹脂温320℃で3μmの厚さに、上層が低密度ポリエチレン樹脂(密度0.922g/cm3 MFR=5g/10分)35質量部と高密度ポリエチレン樹脂(密度0.96g/cm3 MFR=20g/10分)65質量部から成るコンパウンド樹脂組成物を樹脂温320℃で24.5μmの厚さに、紙基材の走行速度400m/分で共押出コーティングした。
【0039】
引き続き、紙基材の写真乳剤層を塗設する側の紙基材面(表面)をコロナ放電処理した後、該表面に下層が低密度ポリエチレン樹脂(密度0.922g/cm3 MFR=5.0g/10分)100質量部を樹脂温度300°Cで、ポリエチレン樹脂の厚さが8μmの厚さとなるように、上層が低密度ポリエチレン樹脂(密度0.922g/cm3 MFR=5.0g/10分)85質量部とアナターゼ型酸化チタンを60%(質量%)含む低密度ポリエチレン ( 密度0.922g/cm3 MFR=5.0g/10分)15質量部から成るコンパウンド樹脂を樹脂温度300°Cで、ポリエチレン樹脂の厚さが20μmの厚さとなるように、紙基材の走行速度400m/分で共押出コーティングして、その後に低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3 MFR=8.0g/10分)78質量部とアナターゼ型酸化チタンを60%(質量%)含む低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3 MFR5.0g/10分 )22質量部から成るコンパウンド樹脂を樹脂温度290℃で、ポリエチレン樹脂の厚さが10μmの厚さとなるように、逐次押出コーティングをした。クーリングロールは鏡面ロールを用いた。
【0040】
実施例2
印刷工程で、図3に示す従来の開放されたインキ供給(インキパン)の印刷装置で印刷する以外は実施例1と同じように、樹脂被覆写真用支持体を製造した。
【0041】
実施例3
印刷工程で、印刷インキの組成物をイオン水55質量%、ウレタン樹脂15質量%、色味顔料2質量%、雲母顔料20質量%、混合物(36質量%のイソプロピルアルコール、24質量%のブタノール、40質量%の水)8質量%の水溶性の印刷インキを使用して、樹脂被覆写真用支持体の紙基材の裏面を印刷し、dryで2.5g/m2付着させた。その後熱風ドライヤーにより乾燥した以外は実施例1と同じである。
【0042】
実施例4
印刷インキの組成物をロジン系のフェノール樹脂20.5質量%、色味顔料3.2質量%、雲母顔料35.1質量%、乾性油(アマニ油)26.1質量%、パラフィン系の溶剤15.1質量%の油性の印刷インキを使用して、樹脂被覆写真用支持体の紙基材の裏面を別に設けたオフセット印刷機を用いて金色の印刷をし、その後熱風ドライヤーにより乾燥した。その後実施例1と同じように紙基材の両面を樹脂塗工した。
【0043】
実施例5
印刷工程で、図1に示すグラビア印刷機を用いる以外は実施例1と同じである。
【0044】
実施例6
実施例1と同様に紙基材面(表面)に樹脂を被覆した後に、ダイレクトグラビア塗工機を用いバックコート層を400m/minの塗工速度で、塗工した。バックコートの組成は顔料8.5質量%、表面活性剤0.1質量%、溶剤1.0質量%、水90.4質量%をdryで0.33g/m2付着させた。その後熱風ドライヤーにより乾燥した。
【0045】
実施例7
印刷工程で、接着剤であるウレタン樹脂をニトロセルロースとポリオレフィンエマルジョンの混合物に換えた以外は実施例1と同じである。
【0046】
比較例1
印刷工程で、色味顔料中に朱顔料を入れないで 、黄味顔料2.454質量%、紅顔料0.275質量%とした以外は実施例1と同じように、樹脂被覆写真用支持体を製造した。
【0047】
比較例2
印刷工程で、色味顔料中に紅顔料を入れないで 、黄味顔料2.423質量%、朱顔料0.306質量%とした以外は実施例1と同じように、樹脂被覆写真用支持体を製造した。
【0048】
比較例3
印刷工程で、インキ組成がイソプロピルアルコール21.2質量%、メチルエチルケトン22.3質量%、アクリル樹脂25.5質量%、黄味顔料2.41質量%、朱顔料0.35質量%、紅顔料0.12質量%、シリカ28.12質量%とした以外は実施例1と同じである。
【0049】
比較例4
印刷工程で、インキ組成がイソプロピルアルコール21.7質量%、エチルアルコール13.5質量%、酢酸エチル20.8質量%、ニトロセルロースとポリオレフィンエマルジョン8.2質量%、黄味顔料2.69質量%、朱顔料0.43質量%、紅顔料0.18質量%、真鍮粉末32.5質量%とした以外は実施例1と同じである。
【0050】
評価結果について説明する。
実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例4における紙基材に印刷された(金色印刷)樹脂被覆写真用支持体の金色の輝きと光沢について評価した。また、紙基材への印刷の操業性及び金色の輝きと光沢以外の印刷仕上がりについて評価した。評価結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
金色の光沢、輝き
樹脂被覆写真用支持体の裏面を目視にて評価した。評価結果から表1には○:金色の光沢、輝きが良好。×:金色の光沢、輝きが不良であることを示す。
操業性
インキハネ
紙基材への印刷時のインキハネを目視にて観察した。○:インキハネがなく良好。×:インキハネがあり不良であることを示す。
熱風乾燥状態
紙基材への印刷後、熱風乾燥後の乾燥の良否について、目視にて観察した。
○:インキ乾燥不良がなく良好。×:インキ乾燥不良があり不良であることを示す。
紙基材の仕上がり品質
金色の光沢、輝き以外の項目、特に印刷カスレについて、紙基材を目視にて評価した。○:印刷カスレがなく良好。×:印刷カスレがあり不良であることを示す。
【0053】
表1より明らかな如く、樹脂被覆写真用支持体の紙基材の裏面に金色の光沢、輝きを有する印刷をするには、雲母顔料に加え、色味顔料または染料の黄味、朱、紅の3種類の顔料または染料が必要で、また、色味顔料の内1つでも抜けると金色らしい印刷が得られないことがわかる。雲母顔料のかわりにシリカを加えた樹脂被覆写真用支持体では金色光沢は得られない。実施例1と実施例7の比較において、金色の光沢、輝き、操業性は同等であったが紙基材と印刷部との接着及び樹脂被覆層との接着性についてはウレタン樹脂を用いた金色印刷の方が優れていた。
【0054】
高速印刷の為には印刷インキは溶剤系が好ましく、水溶性インキを用いた場合には金色光沢、輝きは得られるが、乾燥不良が発生し、カスレ等の仕上がり品質に影響が生じる。また、高速対応のグラビア印刷機で印刷するのが好ましいことがわかる。そして、紙基材面(表面)に樹脂を被覆した後に、ダイレクトグラビア塗工機を用いバックコート層を塗設して、バックコート層を透過して発現する樹脂被覆写真用支持体も良好な金色の光沢と輝きを有した。
【0055】
【発明の効果】
木材繊維を基材とする紙基材の両面をポリオレフィン樹脂で被覆する前に、写真乳剤層が設けられる側と反対側の紙基材面に雲母顔料並びに黄、朱及び紅の色味の顔料若しくは染料を含むインキで印刷されることにより、金色の文字または画像が高級感のある輝きを有する樹脂被覆写真用支持体が得られる。また、特定のグラビア印刷により安定した高速印刷により金色印刷された樹脂被覆写真用支持体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高速印刷対応のグラビア印刷機の図(その1)
【図2】高速印刷対応のグラビア印刷機の図(その2)
【図3】高速対応が出来ていない従来のグラビア印刷機の図
【符号の説明】
1 インキ供給装置
2 シール専用のドクター
3 シール及びインキ掻き取り兼用ドクター
4 グラビアロール
5 圧胴ロール
6 バックアップロール
7 紙基材
8 空気抜き管
9 塗工装置
10 熱風遮蔽板
11 熱風乾燥機
12 シール
13 インキ液取出し口
14 インキ供給口
15 ファーニッシャーロール
16 インキパン
17 従来のグラビアロールのドクター
18 インキ液溜め
Claims (5)
- 木材繊維を基質とする紙基材の両面をポリオレフィン樹脂で被覆してなる樹脂被覆写真用支持体において、写真乳剤層が設けられる側と反対側の紙基材面に印刷された金色の文字または画像が、雲母顔料並びに黄、朱及び紅の色味の顔料若しくは染料を含むインキで印刷されてなる樹脂被覆写真用支持体。
- 金色の文字または画像が、溶剤系のインキで印刷されてなる請求項1に記載の樹脂被覆写真用支持体。
- 金色の文字または画像のインキの組成物に、接着剤としてウレタン樹脂を含む請求項1または2記載の樹脂被覆写真用支持体。
- 金色の文字または画像が下記の装置で印刷された請求項1、2または3記載の樹脂被覆写真用支持体。
グラビアロール4、該グラビアロール4と対向して紙基材7を印圧する圧胴ロール5、並びにドクター2及び3を備えたインキ供給部1からなる印刷装置において、インキ供給部1をグラビアロール4に当接して密閉タイプとし、インキ供給部1内に供給されたインキ中をグラビアロール面が通過する時に、グラビアロール4の版面上のセルの中にインキが入り、次にドクター3で、版面上の余分なインキが掻き取られ、セルの凹部にのみインキが残り、次に、グラビアロール4と圧胴ロール5の間を紙基材7が印圧をかけられた状態で通過する時にインキが紙基材面に転移され印刷が行われ、印刷後のセル内部の残存インキが空気に短時間しか触れないようにセル内部の残存インキ中の溶剤の蒸発を抑えるべく、且つ/または、セル内部の乾燥した残存インキがインキ供給部1内のインキ中の溶剤により十分再溶解するように、該インキ供給部1がグラビアロール面の25%以上を覆うように当接するとともに、該当接開始部がグラビアロール4が印圧部から回転して直下に至るまでの間で当接するように設けられているグラビア印刷装置。 - 金色の文字または画像が下記の装置で印刷された請求項1、2、または3記載の樹脂被覆写真用支持体。
グラビアロール4、該グラビアロール4と対向して紙基材7を印圧する圧胴ロール5、並びにドクター2、3を備えたインキ供給部1からなる印刷装置において、グラビアロール4に密接されたインク供給部1内のインキ中にグラビアロール面が通過する時に、グラビアロール4の版面上のセルの中にインキが入り、次にドクター3でグラビア版面上の余分なインキが掻き取られ、セルの凹部のみインキが残り、次にグラビアロール4と圧胴ロール5の間を紙基材7が印圧をかけられた状態で通過する時にインキが基材面に転移され印刷が行われる印刷装置であって、連続運転中に印刷後のグラビアセル内部の残存インキが乾燥し、その結果セル内有効容積が減少する事による印刷カスレが生じないように、インキ中の溶剤成分を印刷直後の版面に塗工する装置9が設けられているグラビア印刷装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002190710A JP2004037547A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 樹脂被覆写真用支持体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002190710A JP2004037547A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 樹脂被覆写真用支持体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004037547A true JP2004037547A (ja) | 2004-02-05 |
Family
ID=31700561
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002190710A Pending JP2004037547A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 樹脂被覆写真用支持体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004037547A (ja) |
-
2002
- 2002-06-28 JP JP2002190710A patent/JP2004037547A/ja active Pending
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