JP2004031761A - 磁性粉末及びその表面処理方法 - Google Patents

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Takahiro Tomimoto
冨本 高弘
Kazuo Fujime
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Abstract

【課題】耐酸化性及び高磁気特性を有する磁性粉末及び該磁性粉末を用いたボンド磁石の提供を図ることを目的とする。
【解決手段】平均粒径が10μm以下のSmFe17窒化物系磁性粉末1であって、前記磁性粉末1には、酸素が0.3〜1.3重量%含有されており、前記磁性粉末1の表面内部には、酸素を含有する被膜が形成されていることを特徴とする磁性粉末1を提供する。該磁性粉末1と樹脂とから構成されるボンド磁石を提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気特性の優れた磁性粉末及びそれを用いたボンド磁石に関する。このボンド磁石は、コンピューターのハードディスク、レーザープリンター、モーター、MRI(磁気共鳴診断装置)、自動車関連部品等に用いることができる。特に、高温、多湿環境下で使用されるモーター等に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
磁石は、一般家庭の各種電気製品から大型コンピューターの周辺機器まで幅広い分野で使用されている重要な電気、電子材料の一つである。近年の電気製品の小型化、高効率化の要求に伴い、磁石も高性能化が求められている。磁石は、成分元素等により、大きくMK鋼、KS鋼、フェライト磁石、希土類磁石等に分別することができる。このうち希土類磁石が、磁石の最大エネルギー積、残留磁束密度、保磁力等の磁気特性の観点から最も優れている。
【0003】
希土類磁石の粉末を樹脂やゴムと混合して成形したボンド磁石は、成形のままで寸法精度が高く、薄肉品や複雑な形状のものが製造できるなど優れた特徴を持っている。その一方、希土類磁石を構成する元素が非常に活性であるため、腐食されやすいという問題がある。例えば、鉄、クロム、コバルト、ネオジム、プラセオジム、マンガンなどの希土類磁石中に含有される金属元素は、空気中で酸化されやすく腐食されやすい。腐食されることにより磁石の磁気特性の劣化が生じる。このため、希土類磁石の酸化を防止するため表面処理を行わなければならない。
【0004】
希土類磁石の表面処理方法として、磁石表面に蒸着やスパッタリングによる金属メッキやエポキシ樹脂によるコーティング等が施されていた。また、磁石表面に酸化膜を形成させる前記と異なる表面処理方法が施されていた。さらに、Zn、Si等の表面を改質する方法も施されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、蒸着やスパッタリングによる金属メッキやエポキシ樹脂によるコーティング等の表面処理方法は、耐酸化性を向上させる一方で、保護膜が厚い、磁石との密着性が悪い、吸水性がある、高価な装置を必要とするなどの問題点を有していた。耐酸化性を向上させるため、数10μm以上の保護膜にするため、磁性粉末の体積分率を低下させてしまい、結果として磁気特性の低下につながっている。また、製造工程において磁性粉末の粉末同士の凝集も多く起きることから、異方性磁石としての高い磁気特性が得られていない。
【0006】
酸化膜を形成させる表面処理方法では、酸化膜が均一の厚さに形成し難く、酸化膜が形成されていない部分が依然と残ってしまうという問題がある。この酸化膜が形成されていない部分が一部分でも残っていると、該部分から酸化が生じ磁性粉末の内部が酸化されてしまい、磁気特性を十分に発揮することができない。
【0007】
また、Zn、Si等の表面改質方法では、表面処理工程が増えるばかりでなく、処理濃度、処理条件等が限定されてしまい取り扱いにくいものである。また、この場合、磁性粉末を磁性粉末と異なる元素で覆うことになるので、磁気特性の劣化が生じやすくなっている。
【0008】
以上のことから、磁性粉末の表面処理を施すことにより、上記問題点を解決し、耐酸化性及び高磁気特性を有する磁性粉末及び該磁性粉末を用いたボンド磁石の提供を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、本発明は、平均粒径が10μm以下の磁性粉末であって、前記磁性粉末には、酸素が0.3〜1.3重量%含有されており、前記磁性粉末の表面内部には、酸素を含有する被膜が形成されていることを特徴とする磁性粉末に関する。
【0010】
平均粒径が10μm以下の磁性粉末は、平均粒径が30μm以上の磁性粉末と比較して、高磁気特性を有する磁性粉末である。その一方、平均粒径が10μm以下の磁性粉末は、平均粒径が30μm以上の磁性粉末と比較して、磁性粉末の比表面積が大きいため、酸化されやすく、磁気特性が劣化しやすい。そのため、磁性粉末の表面を被覆し耐酸化性を向上させることが重要である。ここで磁性粉末の表面内部に不動態となる内部被膜を形成することにより、磁性粉末の劣化を防止し、耐酸化性及び磁気特性の向上を図っている。磁性粉末の表面内部に酸素を含有する被膜を形成することにより、該被膜が不動態となり、磁性粉末内部の酸化を防止することができる。このため、磁性粉末の表面内部に酸素を含有する被膜を形成することが好ましく、0.3〜1.3重量%の酸素すべてが磁性粉末の表面内部に含有されていることが好ましい。ただし、該被膜形成工程において磁性粉末内部も酸化されることも考えられるため、0.3〜1.3重量%の酸素の一部が磁性粉末の内部に含有されている磁性粉末であっても良い。酸素含有量を0.3〜1.3重量%に限定したのは、酸素含有量がこの範囲より大きいと、磁性粉末の被膜が厚くなり磁性粉末の内部が酸化されにくくなり、磁性粉末の耐酸化性の向上を図れる一方、磁性粉末の被膜が厚くなると磁性粉末の磁気特性が該被膜により遮られ磁気特性の低下を招く。また、これらの処理時に個々の磁性粉末同士の凝集が起こりやすくなる。逆に、酸素含有量が上記範囲より小さいと、高磁気特性を有する一方、酸化防止が十分に図れず、耐酸化性が発揮しない。このことから、耐酸化性及び高磁気特性の両特性並びに凝集防止の効果を十分に発揮する範囲の酸素含有量に限定したものである。なお、磁性粉末の平均粒径はフィッシャーサブシーブサイザーを用いた空気透過法により測定する。
【0011】
前記磁性粉末の表面外部には、酸素を含有する被膜が形成されていることが好ましい。前記磁性粉末の表面内部には、酸素を含有する被膜が形成されているが、該被膜が均一に形成されていない場合は、被膜が均一に形成されていない部分から酸化が進み、磁性粉末の内部まで酸化されるおそれがある。そのため、磁性粉末の内部酸化が生じないようにするため、該磁性粉末の表面外部に酸素を含有する被膜を形成したものである。これにより、磁性粉末の表面内部及び表面外部に被膜が形成することにより、磁性粉末の内部を保護することができる。
【0012】
前記磁性粉末の表面外部には、前記磁性粉末の酸化物を含有する被膜が形成されていることが好ましい。磁性粉末と磁性粉末の表面外部の被膜との組成が異なることにより磁気特性の低下を招いたり、磁気特性の内部を浸食したりすること等の問題が考えられるため、磁気特性と同一組成の酸化物を含有する被膜を形成することにより、上記問題の解決を図ったものである。
【0013】
本発明は、平均粒径が10μm以下の磁性粉末であって、前記磁性粉末の表面外部には、前記磁性粉末の酸化物を含有する被膜が形成されていることを特徴とする磁性粉末に関する。上述の磁性粉末は、該磁性粉末の表面内部に被膜を形成するものであるが、本発明に係る磁性粉末は、該磁性粉末の表面内部に被膜を形成するものでなく、表面外部に被膜を形成するものである。これにより酸化された部分の磁気特性の低下を考慮することなく、耐酸化性の向上を図れるためである。一方、この磁性粉末の表面外部に形成する被膜は該磁性粉末の酸化物を用いる。これにより磁性粉末を浸食することがない。被膜は、磁性粉末の酸化物を含有する被膜であるため、被膜と磁性粉末とのなじみがよく、磁性粉末の磁気特性の低下を招くことはない。酸化被膜形成において、磁性粉末同士がくっつきやすくなることから、磁性粉末の外部表面に酸化被膜を設けることができる。
【0014】
本発明は、磁性粉末の表面処理方法であって、前記磁性粉末を振動させながら熱処理を行う熱処理工程を有することを特徴とする磁性粉末の表面処理方法に関する。磁気特性を有するように調整、製造された磁性粉末は、耐酸化性及び劣化防止を図るため表面処理が行われる。図4(a)は、従来の磁性粉末の表面処理を行う熱処理装置の概略断面図を示す。図4(b)は、従来の磁性粉末の表面処理方法により得られた磁性粉末の概略断面図を示す。図1(a)は、本発明に係る磁性粉末の表面処理を行う熱処理装置の概略断面図を示す。図1(b)は、本発明に係る磁性粉末の表面処理方法により得られた磁性粉末の概略断面図を示す。これらの図を参考に説明する。図4は、棚段式焼成装置の一部の概略を示したものである。図4(a)に示すように、平板状プレートに置かれた磁性粉末に、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガスを上方から噴射する。これにより磁性粉末の表面に酸化膜が形成される。しかし、該表面処理方法では、平板状プレートに置かれた磁性粉末の上部のみが酸化され、平板状プレートと接する側の磁性粉末は、酸化されていないか酸化が不十分な状態となっていた。また、平板状プレートの中央部と外周部とでは、混合ガスの噴射効率が異なるため、焼きむらが生じていた。また、平板状プレートの中央部と外周部とでは、中央部が高温になり、外周部では低温になり、熱処理に係る温度分布が異なっている。図4(b)に示すように、個々の磁性粉末を観察してみると、混合ガスが噴射された側のみ酸化膜が形成され、混合ガスが噴射されていない側は酸化膜が形成されない。そこで、本発明は、図1(a)に示すように、磁性粉末を振動させることにより、磁性粉末の攪拌が行われ、均一に酸化膜が形成することができる。また、図1(b)に示すように、個々の磁性粉末を観察してみると、磁性粉末を振動させることにより磁性粉末を回転させ、磁性粉末の表面全体が混合ガスと接触させることにより均一に酸化膜を形成することができる。
【0015】
前記熱処理工程は、酸素濃度が0.1〜15%を含有する不活性ガス雰囲気中、70〜160℃で熱処理が行われることが好ましい。この条件下で熱処理することにより磁性粉末の表面内部に被膜を形成することができる。酸素濃度が高いと酸化膜の形成が急速に行われ所望の酸化膜が形成されない。また酸素濃度が高いと場合により発火する事態も生じうる。一方、酸素濃度が低いと、十分な酸化膜が形成することができない。60℃以下で熱処理を行うと酸化膜形成が十分に行われないからである。一方、170℃以上の場合、粒子同士の凝集が発生し、磁気特性の低下を生じる。また、必要以上に酸化が行われるため、磁気特性を発揮する磁性粉末部分が少なくなり、磁気特性の低下を生じる。さらに、従来は250℃前後で焼成を行っていたため高温の処理装置が必要であったが、本発明では、150℃以下の温度で熱処理を行うことができるため、比較的低温の処理装置ですみ、設備費、燃料費等の低廉を図ることができる。このことから上記条件内で熱処理を行うことが好ましい。
【0016】
前記熱処理工程は、熱処理後排出される酸素濃度を測定する酸素排出濃度測定工程を有し、前記酸素排出濃度測定工程により得られる測定結果により熱処理を制御することを特徴とする磁性粉末の表面処理方法であることが好ましい。従来は、磁性粉末の酸化が十分に行われているか否かを計測することなく、所定時間窒素ガスと酸素ガスを流すことにより酸化膜の形成を行っていた。この表面処理方法では、酸化膜が形成されていない、または酸化膜の形成が不十分であることも生じる。また、十分な酸化膜を形成するため酸素供給時間を増加させる場合は、処理工程時間、酸素ガス等の浪費を生じている。従って、本表面処理方法では、所定濃度の酸素含有の不活性ガスを供給し、磁性粉末の熱処理を行い、該熱処理後排出される酸素濃度を測定し、その測定結果により熱処理を制御することにより、磁性粉末の酸化が終了した時点で熱処理を完了することができるため、処理工程時間、酸素含有の不活性ガスの浪費を抑えることができる。本表面処理方法の原理について説明すると、磁性粉末の熱処理を行っている最中は、酸化膜形成に酸素を要するため、排出される酸素含有量は、供給時のときよりも低い。一方、磁性粉末の熱処理が行われ酸化膜が形成された後では、酸化膜形成に酸素を要しないため、排出される酸素含有量は、供給時のときと同濃度である。このことから、熱処理後排出される酸素濃度を測定することにより、磁性粉末の酸化が終了したか否かを認知することが可能となる。これにより処理能力の最適化を図ることができる。
【0017】
前記熱処理工程は、熱処理工程に供給される酸素濃度を測定する酸素供給濃度測定工程と、熱処理後排出される酸素濃度を測定する酸素排出濃度測定工程と、前記酸素供給濃度測定工程により得られる測定結果と前記酸素排出濃度測定工程により得られる測定結果との差を計測する計測工程と、前記計測工程により得られる計測結果により熱処理を制御することを特徴とする磁性粉末の表面処理方法であることが好ましい。この表面処理方法は、酸素含有の不活性ガスを予め定めた所定濃度のものを使用しない場合であっても、磁性粉末の酸化の終了を認知することができる。まず第1に、通常、酸素ボンベと不活性ガスボンベとを用いるため、いずれか一方の供給量が変化すると、酸素濃度が変化する。これにより、常に所定濃度の酸素含有の不活性ガスが供給されない事態が生じる。この場合であっても、酸素供給濃度を測定することにより常に所定濃度の酸素含有の不活性ガスを供給することができる。第2に、酸素排出濃度測定工程を有することにより、上述と同様、磁性粉末の酸化が終了したか否かを認知することができる。第3に、酸素供給濃度測定工程と、酸素排出濃度測定工程と、前記酸素供給濃度測定工程により得られる測定結果と前記酸素排出濃度測定工程により得られる測定結果との差を計測する計測工程とを有することにより、熱処理の前後の酸素供給量を計測することができ、この計測工程により得られる計測結果により磁性粉末の酸化が終了したか否かを認知し、磁性粉末の熱処理を制御することことが可能となる。これにより処理能力の最適化を図ることができる。
【0018】
本発明は、上述の磁性粉末の表面処理方法により製造された磁性粉末に関する。上述の磁性粉末の表面処理方法により製造された磁性粉末は、均一に酸化膜が形成されており耐酸化性の向上、高磁気特性の発揮を図ることができる。
【0019】
前記磁性粉末は、球状若しくは卵形状であることが好ましい。磁性粉末の表面が滑らかであることが好ましく、卵形状、特に球状が好ましい。磁性粉末の表面が滑らかにすることによって、酸化膜を均一の厚さで形成し、耐酸化性の向上を図ることができる。また、磁性粉末の磁性粉末を球状にすることにより、同体積における表面積を最小限にすることができ、磁気特性の向上を図ることができる。さらに、上述の磁性粉末を振動させながら熱処理を行う熱処理工程では、磁性粉末を振動させることにより、球状の磁性粉末が回転し、磁性粉末の表面の酸化が均一に行われ、均一の厚さの酸化膜が形成される。特に、磁性粉末の原料を粉砕して10μm以下にする磁性粉末の製造方法では、磁性粉末を球状にすることができない。従って、球状に成形されていない磁性粉末を、上述の酸素濃度0.1〜15%の不活性ガス雰囲気中で熱処理を行っても、均一の厚さの酸化膜を形成することができない。
【0020】
前記磁性粉末は、比表面積が5m/g以下であることが好ましい。比表面積とは、単位重量あたりの面積をいう。そのため、球状の場合が比表面積は最も小さく、粒子の歪みが大きいほど比表面積は大きくなる。従来磁性粉末は10m/g以上のものが多く、その比表面積は、歪みが大きく、磁性粉末の表面があれている。そのため凝集が起こりやすく、また均一な酸化膜を形成することができない。それに対して、本発明に係る磁性粉末は5m/g以下と小さい。このように比表面積を小さくすることにより、酸化膜を均一に形成することが容易になる。特に比表面積が2m/g以下であることが好ましい。この程度の比表面積になるほぼ磁性粉末の粒系が均一となり酸化膜も均一に形成することができるからである。但し、磁性粉末すべてが球状、比表面積が5m/g以下であることが好ましいが、成形が十分に行われず、均一の大きさに成形することが困難な場合も生じるため、一部に比表面積が5m/g以上のものが含まれていてもよい。
【0021】
表面処理された前記磁性粉末は、保磁力が8kOe以上、磁化が120emu/g以上であることが好ましい。従来の製法で表面処理された磁性粉末は保磁力及び磁化が低く、製品として十分な磁気特性を有するものではなかった。このことから本発明に係る磁性粉末は、製品としての十分な磁気特性を有する磁性粉末を提供する。
【0022】
前記磁性粉末は、希土類系の磁性粉末であることが好ましい。磁性粉末には、希土類系の他に、フェライト系のものがあるが、高磁気特性を示すからである。
【0023】
前記磁性粉末は、R17窒化物系磁性粉末(RはSmを必須とする少なくとも1種以上の希土類元素、MはFeを必須とする少なくとも1種以上の金属元素。)であることが好ましい。磁性粉末のなかでも、特に高磁気特性を有するからである。また、R17窒化物系磁性粉末は、酸化されやすく空気中で放置しておくことができないため、酸化膜を形成し劣化防止を図ることができる。
【0024】
本発明は、前記磁性粉末を含有することを特徴とするボンド磁石に関する。該ボンド磁石は、極めて高い磁気特性を有する。また、個々の磁性粉末が高い磁気特性を有し、耐酸化性を有するため、耐候性に優れたボンド磁石を提供することができる。ボンド磁石は、上述した磁性粉末をプラスチック又はゴム等と混合し成形したものである。
【0025】
本発明は、磁性粉末の熱処理装置であって、磁性粉末の熱処理後、排出される酸素濃度を測定する酸素排出濃度測定手段と、前記酸素排出濃度測定手段により得られる測定結果により熱処理を制御する熱処理制御手段と、を備えていることを特徴とする磁性粉末の熱処理装置に関する。本発明に係る熱処理装置は、所定濃度の酸素含有の不活性ガスを供給し、磁性粉末の熱処理を行い、該熱処理後排出される酸素濃度を測定し、その測定結果により熱処理を制御することにより、磁性粉末の酸化が終了した時点で熱処理を完了することができるため、処理工程時間、酸素含有の不活性ガスの浪費を抑えることができる。本熱処理装置の原理について説明すると、磁性粉末の熱処理を行っている最中は、酸化膜形成に酸素を要するため、排出される酸素含有量は、供給時のときよりも低い。一方、磁性粉末の熱処理が行われ酸化膜が形成された後では、酸化膜形成に酸素を要しないため、排出される酸素含有量は、供給時のときと同濃度である。このことから、熱処理後排出される酸素濃度を測定することにより、磁性粉末の酸化が終了したか否かを認知することが可能となる。これにより処理能力の最適化を図ることができる。
【0026】
本発明は、磁性粉末の熱処理装置であって、磁性粉末の熱処理に供給される酸素濃度を測定する酸素供給濃度測定手段と、磁性粉末の熱処理後、排出される酸素濃度を測定する酸素排出濃度測定手段と、前記酸素供給濃度測定手段により得られる測定結果と前記酸素排出濃度測定手段により得られる測定結果との差を計測する計測手段と、前記計測手段により得られる計測結果により熱処理を制御する制御手段と、を備えていることを特徴とする磁性粉末の熱処理装置に関する。この熱処理装置は、酸素含有の不活性ガスを予め定めた所定濃度のものを使用しない場合であっても、磁性粉末の酸化の終了を認知することができる。まず第1に、通常、酸素ボンベと不活性ガスボンベとを用いるため、いずれか一方の供給量が変化すると、酸素濃度が変化する。これにより、常に所定濃度の酸素含有の不活性ガスが供給されない事態が生じる。この場合であっても、酸素供給濃度を測定することにより常に所定濃度の酸素含有の不活性ガスを供給することができる。第2に、酸素排出濃度測定工程を有することにより、上述と同様、磁性粉末の酸化が終了したか否かを認知することができる。第3に、酸素供給濃度測定工程と、酸素排出濃度測定工程と、前記酸素供給濃度測定工程により得られる測定結果と前記酸素排出濃度測定工程により得られる測定結果との差を計測する計測工程とを有することにより、熱処理の前後の酸素供給量を計測することができ、この計測工程により得られる計測結果により磁性粉末の酸化が終了したか否かを認知し、磁性粉末の熱処理を制御することことが可能となる。これにより処理能力の最適化を図ることができる。
【0027】
前記磁性粉末の熱処理装置には、磁性粉末を振動させる振動手段を備えていることが好ましい。熱処理工程において、磁性粉末を振動させ熱処理を行うことにより均一の厚さの酸化膜を形成することができる。また、熱処理工程に送られてきた磁性粉末の全てに酸化膜が形成しているかを認知することができる。従って、熱処理工程に送られてきた磁性粉末は、全て酸化膜が形成されており、該酸化膜は均一の厚さに形成されている磁性粉末を提供することができる。
【0028】
以上のことから、本発明に係る磁性粉末及び磁性粉末の表面処理方法等は、耐酸化性を図り、耐熱性、耐薬品性、耐水性等の磁気特性に優れた磁性粉末を提供することができるという極めて優れた技術的意義を有する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る磁性粉末、ボンド磁石及びそれらの製造方法を、実施の形態及び実施例を用いて説明する。だたし、本発明は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
【0030】
本発明に係る磁性粉末は、希土類系の磁性粉末であることが好ましいが、フェライト系の磁性粉末等も使用することができる。例えば、ネオジム・鉄・ボロン磁性粉末(NdFe14B)、鉄・クロム・コバルト磁性粉末(Fe−Cr−Co)、プラセオジム磁性粉末(Pr−Fe−B−Cu)、サマリウム・コバルト磁性粉末(SmCo、SmCo17)等を使用することができる。
【0031】
希土類系の磁性粉末は、R17窒化物系磁性粉末(RはSmを必須とする少なくとも1種以上の希土類元素、MはFeを必須とする少なくとも1種以上の金属元素。)であることことが好ましい。例えば、Sm−Fe−N系であることが好ましい。Smを含有することで磁気異方性、飽和磁化が大きくなり、永久磁石材料として優れた磁気特性が得られる。但し、Smの一部をY、La、Ce、Pr、Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho,Er、Tm、Yb、Luの少なくとも1種以上で置換してもよい。また、Feの一部を、Co、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Ga、Alの少なくとも1種以上で置換してもよい。
【0032】
希土類金属の含有量は3〜30原子%が好ましい。3原子%未満ではα−Fe相が生成し、特に保磁力が低下する。30原子%よりも多い場合、希土類金属が析出し、残留磁化が低下してしまう。またNの含有量は5〜15原子%が好ましい。5原子%未満ではほとんど保磁力が発現せず、また15原子%よりも多いと希土類金属、鉄自体の窒化物からなる不純相が生成し、磁気特性が顕著に低下してしまう。
【0033】
平均粒径が10μm以下の磁性粉末は、以下の製造方法で製造することができる。希土類系の磁性粉末の製造方法を示すが、これに限定されるものではない。(原料混合物の調整)
希土類系酸化物を含有する原料粉末を用いる。還元剤として金属カルシウムを添加して原料混合物とする。
【0034】
(還元拡散)
前記原料混合物を不活性ガス雰囲気中にて焼成して還元拡散し、原料混合物中の希土類系酸化物などを還元する。
【0035】
(窒化)
引き続き炉内を真空引きした後に、窒素ガスを含有した雰囲気中にて焼成することにより窒化処理を行い、窒化物ブロックとする。
【0036】
(水洗)
前記窒化物ブロックを水洗し、カルシウムを主成分とする副生成物を除去する。
【0037】
上記製造方法により製造された磁性粉末を用いる。上記製造方法により製造された磁性粉末は、粒度が均一で、比表面積が1〜2m/g、ほぼ球状である。また、該磁性粉末は、保磁力、角形比に優れ、耐熱性に優れている。
【0038】
表面処理方法で使用される不活性ガスは、一般的な不活性ガスを使用することができ、例えば、アルゴン、窒素、アンモニア、水素等である。
【0039】
上記工程により表面処理を行った磁性粉末を、ボンド磁石に成形する。磁性粉末と樹脂とを混練し、コンパウンド(樹脂組成物)とする。この混練物中には、添加剤、例えば、滑剤、酸化防止剤などを混入することもできる。磁性粉末と樹脂との配合比率は、体積比で磁性粉末:樹脂=2〜8:8〜2である。好ましくは、磁性粉末:樹脂=4:6である。この配合比率は適宜変更することができる。樹脂の他、合成ゴムなども使用できる。樹脂は、ナイロン、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、PPS等の樹脂を使用できる。
【0040】
混練後、射出成形を行い、目的とするボンド磁石とする。磁性粉末は、磁気異方性を有しており、磁場成形し、着磁することで優れた磁気特性が得られる。射出成形の他、押出形成、圧縮成型、圧延成形等も使用できる。
【0041】
図1(a)は、本発明に係る磁性粉末の表面処理を行う熱処理装置20の概略断面図を示す。熱処理装置20は、本体3と、振動部10と、から構成されている。本体3の内部上面には、磁性粉末1の熱処理を行うヒーター部4を備える。本体3には、磁性粉末1を載置する平板状プレート5と、本体3内部に混合気体2aを供給する混合気体供給口6と、本体3内部から混合気体2bを排出する混合気体排出口8と、を備える。該混合気体供給口6には、本体3内部への混合気体2aの供給量を測定する酸素供給濃度測定部7を備えており、混合気体排出口8には、本体3からの混合気体2bの排出量を測定する酸素排出濃度測定部9を備えている。混合気体排出口8には、圧力計11を備えている。該平板状プレート5を振動させるモーター部(図示しない)を備えている振動部10は、該平板状プレート5に連結されている。
【0042】
本体3の内部には、ヒーター部4を備える。ヒーター部4は、本体3内部のほぼ全面に設けることが好ましい。これにより、磁性粉末に対して均一に酸化膜を形成することができるからである。ヒーター部4は、磁性粉末1の表面近傍が70〜150℃前後になるまで、昇温を行うため、約300℃まで加熱可能なものが好ましく、熱処理温度の微調節が可能なものが好ましい。異なる実施の形態として、ヒーター部4は、本体3内部の上面のみ、底面のみ、上面と底面のみ、上面と側面のみ、底面と側面のみ等に設けられていてもよい。このように本体3内部の一部にヒーター部4を設ける場合、磁性粉末1が載置されている平板状プレート5と、ヒーター部4との間隔が近いほど、ヒーター部4の熱量が少なくてすみ、磁性粉末1の表面処理も確実に行われる。その反面、ヒーター部4の熱がほぼ直接、磁性粉末1に影響を及ぼすため、焼きむらが生じやすい。一方、平板状プレート5とヒーター部4との間隔が遠いほど、ヒーター部4からの熱が磁性粉末1に均等に熱伝達し、ほぼ均一に磁性粉末1の表面処理が行える。その反面、ヒーター部4の熱量を多く要し、不経済である。そのため、平板状プレート5とヒーター部4との間に適度な間隔を設けていることが好ましい。
【0043】
平板状プレート5は、磁性粉末1が平板状プレート5からこぼれ落ちない程度の側壁を設けていることが好ましい。若しくはプレート5は、湾曲になっており、プレート5の中央部が平板状になっているものでもよい。焼きむらを抑えるため、平板状プレート5は、上方から見てほぼ円形のものが好ましいが、平板状プレート5は、矩形のものでもよい。該平板状プレート5内で、磁性粉末1を流動することにより均一な酸化膜を形成することができる。
【0044】
磁性粉末1の平板状プレート5への供給は、連続式のものが好ましい。連続式にすることにより、本体3内部を所定温度に保持することが可能であり、ヒーター部4に要する熱量を有効に利用することができるため、経済的である。連続式とするため、本体3には、磁性粉末供給口(図示しない)と、磁性粉末排出口(図示しない)とを設けることが必要である。例えば、平板状プレート5の上方に磁性粉末供給口を設け、平板状プレート5における該磁性粉末供給口から離れた位置に磁性粉末排出口を設ける等である。
【0045】
混合気体供給口6は、少なくとも1以上有していればよく、必ずしも複数有していなくても良い。但し、複数することにより、平板状プレート5上に載置された磁性粉末1の隅々まで混合気体2aが供給されるため、磁性粉末1が均一に表面を処理することができる。混合気体2aは、混合気体供給口6から供給され、磁性粉末1の表面を酸化した後、混合気体排出口8から排出される。従って、酸素濃度が減少していない混合気体2aは、磁性粉末1を酸化し、酸素濃度が減少する。この酸素濃度が減少した混合気体2bは、混合気体排出口8から排出されるため、酸素濃度が減少していない混合気体2aと、酸素濃度が減少した混合気体2bとが混じり合わない方が、酸素供給効率が良い。従って、混合気体2aの流束を制御する方向に、混合気体供給口6を設けるとよい。例えば、図に示すように混合気体供給口6を、混合気体排出口8方向に斜めに向けるなどである。
【0046】
酸素供給濃度測定部7は、酸素と窒素を混合した混合気体2aを用いるため、混合気体2a中の酸素供給濃度を測定するものである。したがって、酸素を一定量で流している場合でも、酸素ボンベ内の酸素量が少なくなると、混合気体2aに含まれる酸素供給濃度も減少してくるため、常に酸素供給濃度を一定に保持する必要があるからである。酸素供給濃度測定部7は、公知の酸素濃度測定装置を使用することができる。例えば、ジルコニア式酸素濃度測定装置を酸素供給濃度測定部7に使用することができる。本体3内部に供給、排出される酸素濃度は、数千ppm濃度であるため、感度の高い酸素濃度測定装置であることが好ましい。
【0047】
混合気体排出口8は、磁性粉末1の熱処理が行われ酸素濃度が減少した混合気体2bを本体3から排出するものである。混合気体排出口8は、少なくとも1以上有していればよく、複数有していなくてもよい。該混合気体排出口8には、本体3内部の圧力を計測する圧力計11を備えることが好ましい。圧力計11により本体3内部の圧力を制御し、酸素供給量等を調節することができるからである。
【0048】
酸素排出濃度測定部9は、磁性粉末1の熱処理が行われた後の混合気体2b中に含まれる酸素濃度を測定するものである。この酸素排出濃度を測定することにより減少した酸素濃度を知ることができる。これにより前記酸素供給濃度測定部7で酸素供給濃度を測定した測定値と、酸素排出濃度測定部9で酸素排出濃度を測定した測定値との差を計測することより、磁性粉末1の熱処理が行われているか否かを知ることができる。つまり、測定値の差が大きいと、磁性粉末1の酸化に要する熱処理により酸素が使われており、一方、測定値の差が小さいと、磁性粉末1の熱処理がほぼ終了し、酸素が使われなくなっていることになる。例えば、前記酸素供給濃度測定部7で酸素供給濃度を測定した測定値と、酸素排出濃度測定部9で酸素排出濃度を測定した測定値との差が、500ppm以下になった状態が数分間若しくは数十分間続いたときに、本体3への酸素供給を停止するように酸素供給濃度測定部7に命令を出す制御手段がある。
【0049】
混合気体2aは、酸素と不活性ガスとからなる。混合気体2bも、酸素と不活性ガスとからなるが、磁性粉末1の熱処理後のものであるため、混合気体2aと比較して酸素濃度が減少している場合もある。
【0050】
振動部10は、振動モーター(図示しない)を備えており、振動部10に連結された平板状プレート5は、振動モーターにより振動される。振動モーターは、1個である必要はなく、複数個あってもよい。振動モーターが1個であると、平板状プレートは、主に縦方向、若しくは横方向の1方向のみしか振動させることができないが、振動モーターが2個あると、平板状プレート5を縦、横、斜めと、3次元的に振動させることが可能となる。平板状プレート5の振動数は、特に限定されないが、60〜2000回/毎分、程度の振動数が好ましい。特に150〜300回/毎分、程度が好ましい。
【0051】
上記と異なる熱処理装置を示す。図2(a)は、振動式混合の熱処理装置の概略断面図を示す。図2(b)は、振動式混合の熱処理装置のA−A断面図を示す。図1と同構成のところは、同符号を用いる。
【0052】
振動式混合の熱処理装置30は、2台の振動モーター(図示しない)を本体側面に取り付け、斜め上方の半楕円状の振動を発生させる方式を有する。振動は、熱処理装置本体の底部から加えられ、本体内部の磁性粉末は、円周方向に旋回しながら半径方向に上下流動し、熱処理と同時に磁性粉末の混合も併せて行っている。(b)の流動過程12は、磁性粉末1の流動過程の概略を示す。
【0053】
本体3の内部は、お椀型になっており、底部の中央がやや突出したものになっている。2台の振動モーターで本体3の磁性粉末1を流動させる。磁性粉末1は、磁性粉末供給口(図示しない)から供給され、熱処理後、磁性粉末排出口(図示しない)から排出される。ヒーター部4は、本体3の内部壁面に備える。本体3内部壁面全面を加熱することにより、磁性粉末1に均一な酸化膜を形成することができるからである。但し、ヒーター部4は、本体3のほぼ中央に載置していてもよく、本体3の内部上面のみ、底面のみ、底面と側面等に設けてもよい。ヒーター部4を本体3のほぼ中央に載置した場合、磁性粉末1は、円周方向に旋回しながら上下流動しており、本体3の外壁面の方が、本体3の内部底面中央部よりも高くなるため、ヒーター部4と磁性粉末1との距離が等しくなることが好ましい。そのため、ヒーター部4を、お椀型にし、お椀型の凸部は、本体3の底面方向を向いていることが好ましい。混合気体2aは、混合気体供給口6から供給され、熱処理後の混合気体2bは、混合気体排出口8から排出される。
【0054】
図3(a)は、ダブルコーンタイプの熱処理装置の概略断面図を示す。図3(b)は、ダブルコーンタイプの熱処理装置のB−B断面図を示す。
【0055】
本体3の内部は、円筒状若しくは樽型になっており、円筒状若しくは樽型の上底及び下底の中央に位置する回転軸13を軸に、円運動する。円運動させながら、本体3内部の磁性粉末1を流動させる。磁性粉末1は、磁性粉末供給口(図示しない)から供給され、熱処理後、磁性粉末排出口(図示しない)から排出される。ヒーター部4は、本体3のほぼ中央に載置している。磁性粉末1は、本体の内壁面に沿って流動している。混合気体2aは、混合気体供給口から供給され、熱処理後の混合気体2bは、混合気体排出口から排出される。(b)の流動過程14は、磁性粉末1の流動過程の概略を示す。ダブルコーンタイプの熱処理装置40の本体3の回転数は、特に限定されないが1〜30回/毎分、程度が好ましく、特に3〜10回/毎分が好ましい。
【0056】
そのほか、攪拌機にて、磁性粉末1を攪拌する方法も使用することができる。
【0057】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
(原料混合物の調製)
Fe粉末(平均粒子径0.8μm)1.5kgとSm粉末(平均粒子径1.2μm)0.5kgとをモル比がSm:Fe=2.3:17となるように、ボールミルにより混合した。
(水素還元)
上記工程で得られた原料混合粉末を炉内に水素ガスを通気しながら600℃で20時間焼成し、Feの一部を還元した。この還元後の原料混合粉末中における酸化物に含有される酸素量の2倍当量に相当する粒状金属カルシウムを、該還元後の原料混合粉末中に加え、混合し、軟鋼製のるつぼに充填した。これにより得られた水素還元粉末の酸素濃度は、6.5%であった。
(還元拡散及び窒化)
上記で得られた水素還元後の粉末1kgに、金属カルシウム340kgを加えて、混合する。これを鋼製のるつぼに入れて、15個用意する。このるつぼを加熱容器にセットする。これをArガス雰囲気中にて1100℃で焼成し、次に炉内を徐冷する。その後、炉内に窒素ガスを導入し、窒素雰囲気中にて焼成した。(水洗)
得られた反応後の粉末は、多孔質状の窒化物ブロックであり、これを純水に投入し、撹拌、静止後、上澄みを排水した。次に希酢酸水溶液を投入、撹拌、静止後、上澄みを排水した。この操作を数回繰り返す。そして、スラリーを固液分離し、80℃で真空乾燥して、Sm−Fe−N系磁性粉末を得た。
【0058】
(測定)
このようにして得られた合金粉末の平均粒径(D)は、約3.0μmで、残留磁化125emu/g、保磁力13.1kOe、酸素濃度0.22重量%であった。平均粒径は、F.S.S.S.(フィッシャーサブシーブサイザー)を用いた空気透過法により測定した。残留磁化及び保磁力は、振動試料型磁束計にて測定した。また、酸素濃度は、堀場製作所の酸素窒素分析装置にて測定した。
【0059】
(熱処理工程)
上記測定後、得られた磁性粉末1を10kg、熱処理装置20の本体3内(内容量100L)に投入する。該熱処理装置20は、図1の上記本発明の実施の形態で示すものを使用した。この熱処理装置20は、平板状プレート5の上に載置された磁性粉末1を、振動部10のモーターを作動させ、振動部10に連結された平板状プレート5を振動させながら熱処理を行うものである。
【0060】
本体3内部に、10L/minの窒素を混合気体供給口6から供給する。混合気体供給口6に備える酸素供給濃度測定部7により、混合気体2aの酸素濃度を測定する。最初は、窒素のみを流すため、酸素供給濃度測定部7の酸素濃度の測定値は0ppmである。熱処理装置20の本体3内部の圧力を20〜50mmHOに保持する。約30分間、窒素を供給して、本体3内部の酸素を除去した。このとき平板状プレート5に載置された磁性粉末1は、振動部10により振動されており、磁性粉末1における粉末間の酸素も除去されている。本体3内部にも、酸素濃度を測定する酸素濃度測定部(図示しない)を設けている。
【0061】
次に、本体3内部に酸素及び窒素の混合気体2aを供給し、磁性粉末1の熱処理を行った。酸素濃度1.0%(酸素0.1L、窒素9.9L)の混合気体2aを約60分間流し続ける。本体3内部の酸素濃度は、1.0〜1.04%であった。
【0062】
次に、ヒーター部4を作動させる。これにより磁性粉末1を振動しながら表面処理を行った。ヒーター部4は、120℃に温度設定し、40分かけて徐々に昇温を行った。
表1に、所定時間後の酸素供給濃度測定値と酸素排出濃度測定値を示す。
【0063】
【表1】
Figure 2004031761
【0064】
本体3内部の温度が120℃になった直後を基準に、酸素濃度を測定し始める。本体3内部の温度が120℃になった直後における磁性粉末1の酸素排出濃度の測定値は、3500ppmであった。このとき磁性粉末1の実温度が119℃になっていた。酸素供給濃度の測定値が10000ppm(1.0%)であり、酸素供給濃度と酸素排出濃度との測定値の差が6500ppmである。この6500ppmの酸素量は、磁性粉末1の酸化による表面処理に使われている。
【0065】
磁性粉末1の実温度119℃(本体3内部の温度は120℃)で保持を開始して90分までは3300〜3500ppmであった。この間、6500〜6700ppmの酸素が磁性粉末1の酸化による表面処理に使われている。
【0066】
表面処理開始100分後に、酸素排出濃度測定部9における酸素濃度が上昇を始め、120及び130分で酸素濃度の変化が無くなってきており、酸素供給濃度(10000ppm)と酸素排出濃度(9800ppm)との酸素濃度の差がほとんど無くなっていた。このことから、磁性粉末1の酸化処理がほぼ終了したと思われる。酸素供給濃度測定部7における測定値と、酸素排出濃度測定部9における測定値との差が、300ppm以下になった状態が15分間続くと、温度保持を停止するようにヒーター部4に命令を送るようにする。また、混合気体2aの酸素供給を停止して窒素のみを流し続けるように、酸素供給源に命令を送る。これにより磁性粉末1の表面処理の終了を適切に観測することができ、ヒーター部4の熱量発生の低減、酸素供給量の低減等を図ることができる。この制御システムにより、ヒーター部4の電源をオフにし、約30分かけて本体3内部の温度を室温まで冷却を行う。30分冷却後、磁性粉末1の実温度が41℃であった。この表面処理された磁性粉末1を本体3内部から取り出した。
【0067】
この結果、表面処理が行われた磁性粉末1は、金属光沢のある赤褐色の粉末であった。また、表面処理後の磁性粉末1の磁気特性を測定した。表面処理後の磁性粉末1は、残留磁化124emu/g、保磁力が13kOe、磁性粉末1の酸素濃度は0.82重量%であった。また、F.S.S.S.を用いて、表面処理後の磁性粉末1の粒径を測定した。その結果、磁性粉末1の平均粒径が2〜3μm、ほぼ球状であることが観測された。
【0068】
これにより、表面処理後の磁性粉末1は、残留磁化、保磁力が高い。また、磁性粉末1の表面内部若しくは表面外部には、酸化被膜が形成されていることから、耐環境性に優れている。さらに、磁性粉末1の粒径が均一であるため、ボンド磁石成形時の樹脂とのなじみがよい。
【0069】
上記工程により表面処理を行った磁性粉末1を、ボンド磁石に成形する。磁性粉末1と樹脂とを混練し、コンパウンド(樹脂組成物)とする。この混練物中には、添加剤、例えば、滑剤、酸化防止剤などを混入することもできる。磁性粉末1と樹脂との配合比率は、体積比で磁性粉末1:樹脂=4:6である。この配合比率は適宜変更することができる。樹脂は、ポリプロピレンを使用する。
【0070】
混練後、射出成形を行い、目的とするボンド磁石とした。
<試験方法>
以下、磁性粉末の試験方法を試験1乃至6に示す。
【0071】
(試験1)
試験1は、耐熱性の試験を行った。耐熱性試験は、試験片を試験する環境に一定時間暴露し、その前後の外観(特にさび、酸化物の発生)、質量などの変化を評価し、その変化が規定以内であるかを判定する。試験方法は、「ボンド磁石試験方法ガイドブック(JIS規格)」と同様な試験方法を用いる。以下、試験2も同試験方法同様な試験方法を使用する。
【0072】
上記製造方法により得られた磁性粉末を60℃、90%RHの恒温槽内で100時間放置し、試験前後の磁気特性等を測定する。この温度条件は、自動車のエンジンルームに相当する。これにより自動車のエンジンルームに相当する温度条件下での、磁性粉末の磁気特性の劣化を知ることができる。
【0073】
(試験2)
試験2は、耐熱性の試験を行った。試験2は、試験1と同様の原理による。
【0074】
試験2では、磁性粉末を150℃、100時間放置し、試験前後の磁気特性を測定する。これにより試験1よりさらに厳しい条件下での、磁性粉末の磁気特性の劣化を知ることができる。
【0075】
(試験3)
試験3は、耐水性の試験を行った。耐水性、耐薬品性の試験は、磁性粉末を試験する液体に一定時間暴露し、その前後の外観、質量、磁気特性などの変化を評価し、その変化が規定以内であるかを判定する。試験方法は、「ボンド磁石試験方法ガイドブック(JIS規格)」と同様な試験方法を用いる。以下、試験4乃至6も「ボンド磁石試験方法ガイドブック(JIS規格)」と同様な試験方法を使用する。
【0076】
上記方法により得られた磁性粉末を、25℃、純水100%中、300時間放置し、試験前後の磁気特性等を測定する。これにより水中での、磁性粉末の磁気特性の劣化を知ることができる。
【0077】
(試験4)
試験4は、耐水性の試験を行った。試験4は、試験3と同様の原理による。
【0078】
試験4では、磁性粉末を、25℃、塩水10%中、300時間放置し、試験前後の磁気特性等を測定する。これにより塩水中での、磁性粉末の磁気特性の劣化を知ることができる。
【0079】
(試験5)
試験5は、耐薬品性の試験を行った。試験5は、試験3と同様の原理による。
【0080】
試験5では、磁性粉末を、25℃、塩酸10%中、300時間放置し、試験前後の磁気特性等を測定する。これにより酸性溶液中での、磁性粉末の磁気特性の劣化を知ることができる。
【0081】
(試験6)
試験6は、耐薬品性の試験を行った。試験6は、試験3と同様の原理による。
【0082】
試験6では、磁性粉末を、25℃、アンモニア水10%中、300時間放置し、試験前後の磁気特性等を測定する。これによりアルカリ性溶液中での、磁性粉末の磁気特性の劣化を知ることができる。
【0083】
(実施例2乃至7)
実施例2乃至7は、処理温度条件を変える以外は、実施例1と同様な方法で磁性粉末の表面処理を行った。実施例2乃至7におけるヒーター部4の設定温度を、それぞれ60℃、100℃、120℃、150℃、170℃、200℃にし、40分かけて徐々に昇温を行った。磁性粉末の実温度は、本体3内部の温度とほぼ同温度である。実施例2乃至7において、本体3内部が、ヒーター部4の設定温度になった直後を、処理開始時間0分として、酸素濃度の測定を行った。実施例2乃至7は、酸素供給濃度測定部と酸素排出濃度測定部との差による混合気体供給量の制御を行わず、処理開始時間130分まで混合気体を流し続けた。この結果、表面処理が行われた磁性粉末の磁化、保磁力、酸素含有量を測定した結果を表2に示す。また、実施例2乃至7を試験1乃至6で試験した試験結果を表3に示す。
【0084】
【表2】
Figure 2004031761
【0085】
【表3】
Figure 2004031761
【0086】
表2及び表3に示すように、処理温度が60℃の実施例2では、磁気特性の劣化が生じている。また、処理温度が170℃以上の実施例6及び7でも、磁気特性の劣化を生じていた。これは、磁性粉末に含有されている酸素濃度が不足し酸化被膜の形成が不十分であるか、酸素濃度が高すぎて、磁気特性の磁気特性の劣化が生じているためであると考えられる。
【0087】
(実施例8乃至12)
実施例8乃至12は、混合気体の酸素供給量の条件を変える以外は、実施例1と同様な方法で磁性粉末の表面処理を行った。実施例8乃至12における混合気体の酸素供給量を、それぞれ0.1%、0.5%、5%、10%、20%にし、40分かけて徐々に昇温を行った。ヒーター部4の設定温度は、120℃に設定した。磁性粉末の実温度は、本体3内部の温度とほぼ同温度である。実施例8乃至12において、本体3内部が、ヒーター部4の設定温度になった直後を、処理開始時間0分として、酸素濃度の測定を行った。実施例8乃至12は、酸素供給濃度測定部と酸素排出濃度測定部との差による混合気体供給量の制御を行わず、処理開始時間130分まで混合気体を流し続けた。この結果、表面処理が行われた磁性粉末の磁化、保磁力、酸素含有量を測定した結果を4に示す。また、実施例8乃至12を試験1乃至6で試験した試験結果を表5に示す。
【0088】
【表4】
Figure 2004031761
【0089】
【表5】
Figure 2004031761
【0090】
表4及び表5に示すように、混合気体の酸素供給量が20%以上の実施例12では、磁気特性の劣化を生じている。これは、酸素濃度が高すぎて、磁気特性の磁気特性の劣化が生じているためであると考えられる。また、混合気体の酸素供給量が0.1%未満では、磁気特性の劣化が生じている。これは、磁性粉末に含有されている酸素濃度が不足し酸化被膜の形成が不十分であると考えられる。
【0091】
(実施例13乃至17)
実施例13乃至17は、熱処理装置を変える以外は、実施例1と同様な方法で磁性粉末の表面処理を行った。実施例13は、図2に示す振動式混合の熱処理装置30を用いる。実施例14は、図3に示すダブルコーンタイプの熱処理装置40を用いる。実施例15及び16は、焼成炉を用いる。図4に示す焼成炉は、磁性粉末が動かない状態で、熱処理を行うことをいう。実施例17は、磁性粉末1の表面処理を行っていない。実施例13乃至17におけるヒーター部4の設定温度は、120℃で40分かけて徐々に昇温を行った。磁性粉末の実温度は、本体3内部の温度とほぼ同温度である。実施例13乃至17において、本体3内部が、ヒーター部4の設定温度になった直後を、処理開始時間0分として、酸素濃度の測定を行った。実施例2乃至7は、酸素供給濃度測定部と酸素排出濃度測定部との差による混合気体供給量の制御を行わず、処理開始時間130分まで混合気体を流し続けた。この結果、表面処理が行われた磁性粉末の磁化、保磁力、酸素含有量を測定した結果を表6に示す。また、実施例13乃至17を試験1乃至6で試験した試験結果を表7に示す。
【0092】
【表6】
Figure 2004031761
【0093】
【表7】
Figure 2004031761
【0094】
表6及び表7に示すように、磁性粉末の表面処理を行っていない実施例17では、磁気特性の劣化が生じている。焼成炉を用いて熱処理を行った実施例15及び16では、磁性粉末に均一の酸化被膜が形成されておらず、磁性粉末に劣化が生じる部分と、劣化が少ない部分とが散見させる。しかし、熱処理を行った磁性粉末全体では、磁気特性の劣化が生じている。振動式混合の熱処理装置30を用いた実施例13及びダブルコーンタイプの熱処理装置40を用いた実施例14では、磁気特性の劣化が生じず、良好な磁気特性を有している。また、耐薬品性、耐水性、耐熱性等が良く、優れた磁気特性を有している。
【0095】
【発明の効果】
本発明に係る磁性粉末及びその表面処理方法は、該磁性粉末の表面内部に酸化被膜が形成された磁性粉末、若しくは、該磁性粉末の表面外部に酸化被膜が形成された磁性粉末の提供を図り、優れた耐酸化性を発揮する。また、前記磁性粉末を含有するボンド磁石成形体は、耐熱性、耐薬品性、耐水性等の磁気特性に優れた磁性粉末を提供することができる。このように、本発明は極めて優れた技術的意義を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明に係る磁性粉末の表面処理を行う熱処理装置の概略断面図を示す。(b)は、本発明に係る磁性粉末の表面処理方法により得られた磁性粉末の概略断面図を示す。
【図2】(a)は、振動式混合の熱処理装置の概略断面図を示す。(b)は、振動式混合の熱処理装置のA−A断面図を示す。
【図3】(a)は、ダブルコーンタイプの熱処理装置の概略断面図を示す。(b)は、ダブルコーンタイプの熱処理装置のB−B断面図を示す。
【図4】(a)は、従来の磁性粉末の表面処理を行う熱処理装置の概略断面図を示す。(b)は、従来の磁性粉末の表面処理方法により得られた磁性粉末の概略断面図を示す。
【符号の説明】
1   磁性粉末
1a  磁性粉末
1b  酸化被膜
2、2a、2b 混合気体
3   本体
4   ヒーター部
5   プレート
6   混合気体供給口
7   酸素供給濃度測定部
8   混合気体排出口
9   酸素排出濃度測定部
10  振動部
11  圧力計
12  流動過程
13  回転軸
14  流動過程
20  熱処理装置
30  熱処理装置
40  熱処理装置
100 熱処理装置
101 磁性粉末
101a 磁性粉末
101b 酸化被膜
102a、102b 混合気体
103 本体
104 ヒーター部
105 プレート
106 混合気体供給口
107 混合気体排出口

Claims (18)

  1. 平均粒径が10μm以下の磁性粉末であって、
    前記磁性粉末には、酸素が0.3〜1.3重量%含有されており、前記磁性粉末の表面内部には、酸素を含有する被膜が形成されていることを特徴とする磁性粉末。
  2. 前記磁性粉末の表面外部には、酸素を含有する被膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁性粉末。
  3. 前記磁性粉末の表面外部には、前記磁性粉末の酸化物を含有する被膜が形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の磁性粉末。
  4. 平均粒径が10μm以下の磁性粉末であって、
    前記磁性粉末の表面外部には、前記磁性粉末の酸化物を含有する被膜が形成されていることを特徴とする磁性粉末。
  5. 磁性粉末の表面処理方法であって、
    前記磁性粉末を振動させながら熱処理を行う熱処理工程を有することを特徴とする磁性粉末の表面処理方法。
  6. 前記熱処理工程は、酸素濃度が0.1〜15%を含有する不活性ガス雰囲気中、70〜160℃で熱処理が行われることを特徴とする請求項5に記載の磁性粉末の表面処理方法。
  7. 前記熱処理工程は、
    熱処理後排出される酸素濃度を測定する酸素排出濃度測定工程を有し、前記酸素排出濃度測定工程により得られる測定結果により熱処理を制御することを特徴とする請求項5又は6のいずれかに記載の磁性粉末の表面処理方法。
  8. 前記熱処理工程は、
    熱処理工程に供給される酸素濃度を測定する酸素供給濃度測定工程と、
    熱処理後排出される酸素濃度を測定する酸素排出濃度測定工程と、
    前記酸素供給濃度測定工程により得られる測定結果と前記酸素排出濃度測定工程により得られる測定結果との差を計測する計測工程と、
    前記計測工程により得られる計測結果により熱処理を制御することを特徴とする請求項5又は6のいずれかに記載の磁性粉末の表面処理方法。
  9. 請求項5乃至8の少なくともいずれか一項に記載の磁性粉末の表面処理方法により製造された磁性粉末。
  10. 前記磁性粉末は、球状若しくは卵形状であることを特徴とする請求項1乃至4及び9の少なくともいずれか一項に記載の磁性粉末。
  11. 前記磁性粉末は、比表面積が5m/g以下であることを特徴とする請求項1乃至4及び9、10の少なくともいずれか一項に記載の磁性粉末。
  12. 表面処理された前記磁性粉末は、保磁力が8kOe以上、磁化が120emu/g以上であることを特徴とする請求項1乃至4及び9乃至11の少なくともいずれか一項に記載の磁性粉末。
  13. 前記磁性粉末は、希土類系の磁性粉末であることを特徴とする請求項1乃至4、9乃至12の少なくともいずれか一項に記載の磁性粉末。
  14. 前記磁性粉末は、R17窒化物系磁性粉末(RはSmを必須とする少なくとも1種以上の希土類元素、MはFeを必須とする少なくとも1種以上の金属元素。)であることを特徴とする請求項1乃至4及び9乃至13の少なくともいずれか一項に記載の磁性粉末。
  15. 請求項1乃至4及び9乃至14の少なくともいずれか一項に記載の磁性粉末を含有することを特徴とするボンド磁石。
  16. 磁性粉末の熱処理装置であって、
    磁性粉末の熱処理後、排出される酸素濃度を測定する酸素排出濃度測定手段と、前記酸素排出濃度測定手段により得られる測定結果により熱処理を制御する熱処理制御手段と、
    を備えていることを特徴とする磁性粉末の熱処理装置。
  17. 磁性粉末の熱処理装置であって、
    磁性粉末の熱処理に供給される酸素濃度を測定する酸素供給濃度測定手段と、
    磁性粉末の熱処理後、排出される酸素濃度を測定する酸素排出濃度測定手段と、前記酸素供給濃度測定手段により得られる測定結果と前記酸素排出濃度測定手段により得られる測定結果との差を計測する計測手段と、
    前記計測手段により得られる計測結果により熱処理を制御する制御手段と、
    を備えていることを特徴とする磁性粉末の熱処理装置。
  18. 前記磁性粉末の熱処理装置には、磁性粉末を振動させる振動手段を備えていることを特徴とする請求項16又は17のいずれかに記載の磁性粉末の熱処理装置。
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