JP2004031548A - 磁気検出素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】間隔A内に第2フリー磁性層51が埋められており、前記素子中央部Dのフリー磁性層70の膜厚t1が、素子両側端部Cの膜厚t2よりも厚く形成されている。これにより前記フリー磁性層70の素子両側端部の内側端部から発生する静磁界を減少させることができる。しかも前記フリー磁性層70の素子中央部では膜厚が厚くされたことによって前記静磁界による磁束が前記素子中央部で広がり、前記素子中央部での磁束密度をより効果的に小さくできるため、前記素子中央部での再生感度を向上させることができ、再生出力の向上を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は主に、ハードディスク装置や磁気センサなどに用いられる磁気検出素子に係り、特にエクスチェンジバイアス方式において、狭トラック化においても再生出力の向上を図るとともにサイドリーディングの発生等を抑制し再生特性の向上を図ることが可能な磁気検出素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図21は、従来の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0003】
符号1は第1反強磁性層1であり、前記第1反強磁性層1の上に固定磁性層2、非磁性材料層3及びフリー磁性層4、強磁性層6からなる多層膜5が形成されている。この従来例では前記フリー磁性層4のトラック幅方向における素子両側端部C上に前記強磁性層6が形成されている。
【0004】
前記強磁性層6上には第2反強磁性層8及び電極層9が積層形成されている。図21に示すように前記第2反強磁性層8のトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法でトラック幅Twが規制される。
【0005】
この従来例では、トラック幅方向における素子両側端部Cでは、フリー磁性層4上に強磁性層6が積層されているので、この2層を合わせた膜厚がtTとなり、素子中央部Dでは、前記フリー磁性層4のみの膜厚tFとなっている。すなわち素子両側端部Cでの膜厚tTが素子中央部Dの膜厚tFよりも厚く形成されている。
【0006】
そして前記素子両側端部Cでは、前記強磁性層6と前記第2反強磁性層8との間で生じる交換結合磁界によって前記強磁性層6が図示X方向に磁化固定されると、前記強磁性層6との間で交換相互作用が働いて前記フリー磁性層4の両側端部Cが図示X方向に磁化固定され、一方、前記素子中央部Dでのフリー磁性層4は、外部磁界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁区化される。
【0007】
図22は図21とは別の磁気検出素子の構造を示す部分断面図である。図22に示す磁気検出素子では、前記フリー磁性層4の素子両側端部C上に強磁性層6が設けられていない。図22に示すように、前記フリー磁性層4の素子中央部Dでの膜厚tFと素子両側端部Cでの膜厚tTとは均一な膜厚で形成される。
【0008】
図22では、前記素子両側端部Cでのフリー磁性層4は前記第2反強磁性層8との間で生じる交換結合磁界によって図示X方向に磁化固定され、一方、前記素子中央部Dでのフリー磁性層4は、外部磁界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁区化される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図21及び図22に示す従来例の磁気検出素子の構造では、今後の高記録密度化のための狭トラック化に適切に対応可能な磁気検出素子を製造することができなかった。
【0010】
まず図21に示す磁気検出素子では、前記フリー磁性層4の素子両側端部C上に形成された強磁性層6の内側端面から、前記フリー磁性層4の素子中央部Dにかけて余分な静磁界E(矢印で示す)が発生し、これが前記フリー磁性層4の素子中央部Dの外部磁界に対する感度を低下させる要因となった。感度が低下するのは、余分な静磁界が前記素子中央部Dに流れ込むことで、特に素子中央部Dの前記素子両側端部Cとの境界付近で磁束密度が増大し、磁化が外部磁界に対し感度良く反転しにくくなる、いわゆる不感領域が形成されるためである。
【0011】
このため前記トラック幅Twが狭くなると、前記フリー磁性層4の素子中央部Dで外部磁界に対し磁化が反転し難い不感領域の割合が大きくなるため、前記フリー磁性層4の感度が低下し、よって再生出力が低下するといった問題が発生した。
【0012】
一方、図22に示す磁気検出素子では、前記フリー磁性層4の素子両側端部C上に強磁性層6が形成されていないので、図21で説明した余分な静磁界の流入は軽減されるが、前記フリー磁性層4の素子中央部Dには、第2反強磁性層8とフリー磁性層4の素子両側端部C間で発生する交換結合磁界に起因したフリー磁性層4内部で生じる交換相互作用によるバイアス磁界の他に、依然として前記フリー磁性層4の素子両側端部C内部で発生する静磁界が流入するため、前記フリー磁性層4の素子中央部Dでの磁束密度を効果的に小さくできず、特にトラック幅Twが狭くなると、前記フリー磁性層4の素子中央部Dにおける感度は低下しやすく、よって再生出力の低下が懸念された。
【0013】
フリー磁性層4の素子中央部Dでの感度を上げる一つの方法としては、前記フリー磁性層4の単位面積当たりの磁気モーメント(飽和磁化Ms×膜厚t)を小さくすればよく、前記単位面積当たりの磁気モーメントを小さくするために、前記フリー磁性層4の膜厚を薄くすることが考えられる。しかし前記フリー磁性層4の膜厚を薄くすると、飽和磁化Ms×フリー磁性層の体積が減少するため、熱による前記フリー磁性層4内部での強磁性共鳴が問題となり、これがノイズを発生させる原因となり、いわゆる熱揺らぎの問題が深刻化する。また再生波形の安定性にも欠ける。
【0014】
一方、フリー磁性層4の膜厚を厚くしていけば、上記した熱揺らぎに起因して発生するノイズ等の問題は緩和されるものの、前記フリー磁性層4の素子両側端部Cと第2反強磁性層8間で生じる交換結合磁界が小さくなるため、前記フリー磁性層4の素子両側端部Cの磁化が適切に図示X方向に固定されず、このため前記素子両側端部Cの磁化も外部磁界に対し反転しやすくなることによる、サイドリーディングの問題が発生する。
【0015】
このように、図21及び図22に示す形状ではいずれも狭トラック化が進むにつれて、フリー磁性層4の素子中央部Dでの感度を向上させ再生出力の向上を図ることが困難となり、またフリー磁性層4の膜厚等によって熱揺らぎに起因したノイズの発生やサイドリーディングの発生など再生特性の劣化が懸念された。
【0016】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、エクスチェンジバイアス方式において、狭トラック化においても再生出力の向上を図るとともにサイドリーディングの発生等を抑制し再生特性の向上を図ることが可能な磁気検出素子及びその製造方法に関する。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気検出素子は、下から第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁性層の順に積層された多層膜を有し、
前記フリー磁性層の上側には素子中央部にトラック幅方向に所定の間隔を開けた第2反強磁性層が形成され、
前記間隔内には、さらに第2フリー磁性層が埋められ、この第1フリー磁性層と第2フリー磁性層とを有してフリー磁性層が構成され、トラック幅方向における素子中央部の前記フリー磁性層の膜厚が、トラック幅方向における素子両側端部の前記フリー磁性層の膜厚よりも厚く形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
上記したように本発明では、前記第2反強磁性層のトラック幅方向の素子中央部に形成された前記間隔内に、さらに第2フリー磁性層が埋められており、前記素子中央部の前記フリー磁性層の膜厚が、前記フリー磁性層の素子両側端部の膜厚よりも厚く形成されている点に特徴がある。
【0019】
前記フリー磁性層の素子両側端部が前記フリー磁性層の素子中央部の膜厚よりも薄く形成されると、前記フリー磁性層の素子両側端部の内部で発生する静磁界そのものが減少するから、素子中央部への静磁界の影響は軽減される。しかも前記フリー磁性層の素子中央部では膜厚が厚くされたことによって前記静磁界の影響が前記素子中央部で拡散し、すなわち前記素子中央部での磁束密度はより効果的に小さくなるため、前記フリー磁性層の素子中央部での再生感度を向上させることができ、再生出力の向上を図ることができる。また素子中央部の膜厚が厚くされたことで、熱揺らぎの問題を適切に緩和でき従来に比べてノイズの発生を適切に抑制できる磁気検出素子を製造することができる。
【0020】
また、前記フリー磁性層の素子両側端部では素子中央部よりも膜厚が薄いことから、前記素子両側端部と前記第2反強磁性層との間で交換結合磁界を所定の大きさで発生させ、前記フリー磁性層の素子両側端部の磁化を適切にトラック幅方向に固定でき、サイドリーディングの発生を抑制できる。
【0021】
本発明では、[(前記フリー磁性層の素子両側端部での膜厚から前記フリー磁性層の素子中央部の膜厚を引いた値)/前記フリー磁性層の素子中央部の膜厚]×100(%)は、−80%以上で0%より小さいことが好ましい。後述する実験結果によれば、これにより図21のようにフリー磁性層4の素子両側端部Cに強磁性層6が形成されることによって前記素子両側端部Cが盛り上がっている形状、および図22のように前記強磁性層6が形成されていないが、フリー磁性層4がトラック幅方向に均一な膜厚で形成されている形状に比べて再生出力を効果的に向上させることができることがわかった。
【0022】
また本発明では、前記フリー磁性層の素子両側端部での膜厚は10Å以上で50Å以下であることが好ましい。また本発明では、前記フリー磁性層の素子中央部での膜厚は30Å以上で70Å以下であることが好ましい。上記したようにフリー磁性層の素子中央部及び素子両側端部の膜厚を適切に調整することで、より効果的に再生感度に優れ、またサイドリーディングの発生等を抑制できる再生特性に優れた磁気検出素子を製造することが可能である。
【0023】
また本発明では、前記間隔内に埋められて形成された第2フリー磁性層は、前記多層膜を構成する第1フリー磁性層とは別工程で形成されたものであることが好ましい。
【0024】
また本発明では、前記フリー磁性層の素子両側端部と前記第2反強磁性層間にはトラック幅方向の素子中央部に所定の間隔を開けた第3反強磁性層が形成されることが好ましい。
【0025】
あるいは本発明では、少なくとも前記フリー磁性層の素子両側端部と前記第2反強磁性層間には強磁性層が設けられ、この強磁性層も合わせて前記フリー磁性層の素子両側端部を構成することが好ましい。
【0026】
上記した2つの実施形態は、いずれもフリー磁性層の素子両側端部がエッチングなどで削られることがなく、前記素子両側端部と第2反強磁性層間で所定の大きさの交換結合磁界を生じさせ、サイドリーディングの発生をより適切に抑制できる磁気検出素子を製造することが可能である。
【0027】
また本発明では、前記第2反強磁性層のトラック幅方向における内側端面、あるいは第2反強磁性層と第3反強磁性層のトラック幅方向における内側端面は、下方から上方に向うにしたがって前記間隔が徐々に広がる傾斜面あるいは湾曲面で形成されることが好ましい。
【0028】
また本発明における磁気検出素子の製造方法は、以下の工程を有することを特徴とするものである。
(a)下から第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層及び第1フリー磁性層の順に積層された多層膜を形成する工程と、
(b)前記第1フリー磁性層の上側に素子中央部のトラック幅方向に所定の間隔を開けた第2反強磁性層を形成する工程と、
(c)前記間隔内にさらに第2フリー中央磁性層を埋め、前記第1フリー磁性層と第2フリー磁性層とを有するフリー磁性層を構成し、トラック幅方向における素子中央部の前記フリー磁性層の膜厚を、トラック幅方向における素子両側端部の前記フリー磁性層の膜厚よりも厚く形成する工程。
【0029】
上記した製造方法によれば、容易に且つ確実に前記第2反強磁性層の素子中央に所定の間隔を空けて形成された前記第2反強磁性層の前記間隔内に第2フリー磁性層を埋めることができ、トラック幅方向における素子中央部の前記フリー磁性層の膜厚を、トラック幅方向における素子両側端部の前記フリー磁性層の膜厚よりも厚く形成することが可能である。
【0030】
また本発明では、前記(c)工程に代えて以下の工程を有することが好ましい。
(d)少なくとも前記間隔内から前記第2反強磁性層のトラック幅方向の内側端面上に第2フリー磁性層を延出形成した後、前記内側端面に延出形成された第2フリー磁性層を削って、前記間隔内に前記第2フリー磁性層を残す工程。
【0031】
またこのとき、前記(d)工程で、前記間隔内に形成された前記第2フリー磁性層の膜厚を、前記第2反強磁性層の前記内側端面に延出形成された前記第2フリー磁性層の膜厚よりも厚く形成することが好ましい。
【0032】
上記した(d)工程によれば、フォトリソグラフィー技術を用いなくても、適切に前記間隔内にフリー磁性層を埋めることができ、容易に且つ精度良くトラック幅方向における素子中央部の前記フリー磁性層の膜厚を、トラック幅方向における素子両側端部の前記フリー磁性層の膜厚よりも厚く形成することが可能である。
【0033】
また本発明では、前記(a)工程及び(b)工程に代えて以下の工程を有することが好ましい。
(e)下から第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層、第1フリー磁性層、第3反強磁性層及び非磁性層の順に積層された多層膜を形成する工程と、
(f)前記非磁性層を削った後、その上に第2反強磁性層を形成する工程と、
(g)前記第2反強磁性層及び第3反強磁性層の素子中央部を膜厚方向に削って前記素子中央部に所定の間隔を開け、このとき前記間隔内から前記第1フリー磁性層の素子中央部を露出させる工程。
【0034】
あるいは本発明では、前記(a)工程及び(b)工程に代えて以下の工程を有することが好ましい。
(h)下から第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層及び第1フリー磁性層及び非磁性層の順に積層された多層膜を形成する工程と、
(f)前記非磁性層を削った後、その上に前記第1フリー磁性層とともにフリー磁性層を構成する強磁性層、および第2反強磁性層を形成する工程と、
(j)前記第2反強磁性層の素子中央部を膜厚方向に削って前記素子中央部に所定の間隔を開け、このとき前記間隔内から前記強磁性層の素子中央部を露出させる工程。
【0035】
上記した(e)工程ないし(g)工程、あるいは(h)工程ないし(j)工程による磁気検出素子の製造方法を用いれば、前記素子両側端部上をエッチングなどで削ることがなく、よって前記素子両側端部に、前記エッチング等のダメージが残らない。従って前記第3反強磁性層の素子両側端部とフリー磁性層の素子両側端部間、あるいは強磁性層の素子両側端部と第2反強磁性層間で適切な大きさの交換結合磁界を生じさせることができ、前記フリー磁性層の素子両側端部を適切にトラック幅方向に固定でき、サイドリーディングの発生を従来よりも抑制することが可能な磁気検出素子を製造することができる。
【0036】
また前記(e)工程あるいは(h)工程での前記非磁性層を、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rh、Cr、Cuのいずれか1種または2種以上で形成することが好ましい。このとき前記非磁性層を3Å以上で10Å以下で形成することが好ましい。前記非磁性層は、その下の層を大気暴露による酸化から保護する酸化防止層としての役割を有しているが、前記非磁性層をRuなどで形成することで、前記非磁性層の膜厚を10Å以下の薄い膜厚でも適切に酸化防止層として機能させることができ、また前記非磁性層の膜厚を10Å以下の薄い膜厚で形成できることで、前記非磁性層をイオンミリングで除去する工程において、低エネルギーのイオンミリングを使用でき、前記非磁性層の下に形成された層に対する前記イオンミリングの影響を小さくすることが可能である。
【0037】
【発明の実施の形態】
図1は本発明における第1実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。図1に示される磁気検出素子は、記録媒体に記録された記録信号を再生するためのMRヘッドである。なおこのMRヘッド上に記録用のインダクティブヘッドが積層されていてもよい。記録媒体との対向面は、例えば磁気検出素子を構成する薄膜の膜面に垂直で且つ磁気検出素子のフリー磁性層の外部磁界(記録信号磁界)が印加されていないときの磁化方向と平行な平面である。図1では、記録媒体との対向面はX−Z平面に平行な平面である。
【0038】
なお、磁気検出素子が浮上式の磁気ヘッドに用いられる場合、記録媒体との対向面とは、いわゆるABS面のことである。
【0039】
また磁気検出素子は、例えばアルミナ−チタンカーバイト(Al2O3−TiC)で形成されたスライダのトレーリング端面上に形成される。スライダは、記録媒体との対向面と逆面側で、ステンレス材などによる弾性変形可能な支持部材と接合され、磁気ヘッド装置が構成される。
【0040】
なお、トラック幅方向とは、外部磁界によって磁化方向が変動する領域の幅方向のことであり、例えば、フリー磁性層の外部磁界が印加されていないときの磁化方向、すなわち図示X方向である。トラック幅方向のフリー磁性層の幅寸法が磁気検出素子のトラック幅Twを規定する。
【0041】
なお、記録媒体は磁気検出素子の記録媒体との対向面に対向しており、図示Z方向に移動する。この記録媒体からの洩れ磁界方向は図示Y方向である。
【0042】
図1に示す符号20は基板であり、基板20上にシードレイヤ21、第1反強磁性層22、固定磁性層23、非磁性材料層27、第1フリー磁性層28が形成され、この実施形態において前記シードレイヤ21から第1フリー磁性層28までの各層を多層膜31と呼ぶ。
【0043】
前記シードレイヤ21は、NiFe合金、NiFeCr合金あるいはCrなどで形成される。シードレイヤ21は、例えば(Ni0.8Fe0.2)60at%Cr40at%の膜厚60Åで形成される。
【0044】
前記第1反強磁性層22は、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成される。
【0045】
第1反強磁性層22として、これらの合金を使用し、これを熱処理することにより、大きな交換結合磁界を発生する第1反強磁性層22及び固定磁性層23の交換結合膜を得ることができる。特に、PtMn合金であれば、48kA/m以上、例えば64kA/mを越える交換結合磁界を有し、交換結合磁界を失うブロッキング温度が380℃と極めて高い優れた第1反強磁性層22及び固定磁性層23の交換結合膜を得ることができる。
【0046】
これらの合金は、成膜直後の状態では、不規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理によってCuAuI型の規則型の面心正方構造(fct)に構造変態する。第1反強磁性層22の膜厚は、80〜300Åである。
【0047】
図1に示す固定磁性層23は人工フェリ構造である。前記固定磁性層23は磁性層24、26とその間に介在する非磁性中間層25の3層構造である。
【0048】
前記磁性層24、26は、例えばNiFe合金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金などの磁性材料で形成される。磁性層24と磁性層26は、同一の材料で形成されることが好ましい。
【0049】
また、非磁性中間層25は、非磁性材料により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形成されている。特にRuによって形成されることが好ましい。
【0050】
前記磁性層24、26は、それぞれ10〜70Å程度で形成される。また非磁性中間層25の膜厚は3Å〜10Å程度で形成で形成される。
【0051】
なお固定磁性層23は上記したいずれかの磁性材料を使用した1層構造あるいは上記したいずれかの磁性材料からなる層とCo層などの拡散防止層の2層構造で形成されていても良い。
【0052】
前記非磁性材料層27は、固定磁性層23と第1フリー磁性層28との磁気的な結合を防止し、またセンス電流が主に流れる層であり、Cu,Cr,Au,Agなど導電性を有する非磁性材料により形成されることが好ましい。特にCuによって形成されることが好ましい。前記非磁性材料層27は例えば18〜30Å程度の膜厚で形成される。
【0053】
図1に示す実施形態では第1フリー磁性層28は2層構造である。符号29の層は、CoやCoFeなどからなる拡散防止層である。この拡散防止層29は第1フリー磁性層28と非磁性材料層27の相互拡散を防止する。そして、この拡散防止層29の上にNiFe合金などで形成された磁性材料層30が形成されている。第1フリー磁性層28は、10〜50Å程度で形成される。
【0054】
図1に示す実施形態では、前記第1フリー磁性層28のトラック幅方向(図示X方向)における素子両側端部C上に第3反強磁性層41、第2反強磁性層42及び電極層50が積層形成されている。
【0055】
前記第3反強磁性層41及び第2反強磁性層42は、第1反強磁性層22と同様にPtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成される。
【0056】
前記第3反強磁性層41の膜厚は20Å以上で50Å以下の膜厚で形成され、前記第2反強磁性層42の膜厚と第3反強磁性層41の膜厚との総合膜厚が80Å以上で300Å以下となるように、前記第2反強磁性層42の膜厚が調整される。
【0057】
前記電極層50は、例えば、Au、W、Cr、Ru、Rh、Taなどで形成される。前記電極層50の膜厚は300Å〜1000Åである。
【0058】
図1に示す実施形態では、前記第1フリー磁性層28上に設けられた第3反強磁性層41、第2反強磁性層42及び電極層50が、トラック幅方向(図示X方向)の素子中央部Dに所定の間隔Aを開けて形成され、前記第3反強磁性層41、第2反強磁性層42及び電極層50のトラック幅方向(図示X方向)における内側端面41a、42a、50aは、下方から上方に向う(図示Z方向)にしたがって徐々に前記間隔Aの幅がトラック幅方向に広がる傾斜面あるいは湾曲面で形成される。
【0059】
そして図1に示す実施形態では、前記間隔A内にはさらに第2フリー磁性層51が埋められて形成されており、この埋められた第2フリー磁性層51は素子中央部Dに位置し、前記多層膜31を構成する第1フリー磁性層28の素子中央部D上に強磁性的に接合している。この実施形態では、前記第1フリー磁性層28と第2フリー磁性層51とを合わせて、「フリー磁性層70」が構成されている。
【0060】
前記第2フリー磁性層51は第1フリー磁性層28と同じように、例えばNiFe合金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金などの磁性材料で形成される。
【0061】
また前記第2フリー磁性層51と同じ材質の強磁性層52が前記電極層50上にも形成される。
【0062】
図1に示す磁気検出素子の特徴的部分について説明する。まず前記第2フリー磁性層51が前記間隔A内に埋められて形成されたことで、フリー磁性層70の膜厚は、素子中央部Dでは、前記第1フリー磁性層28と第2フリー磁性層51の膜厚を合わせた膜厚t1となる。一方、前記フリー磁性層70の素子両側端部Cでは膜厚は第1フリー磁性層28のみのt2であり、前記素子中央部Dの膜厚t1の方が前記素子両側端部Cの膜厚t2よりも大きくなっている。
【0063】
このように図1に示す実施形態では、前記素子中央部Dの膜厚t1を前記素子両側端部Cの膜厚t2よりも厚くしているから、図21で説明したような、素子両側端部Cから前記素子中央部Dに矢印方向に飛ぶ余分な静磁界の発生を効果的に抑制できる。特にフリー磁性層4の膜厚が素子中央部Dでも素子両側端部Cでも均一とされた図22に示す従来例よりも確実に前記余分な静磁界の発生を抑制できる。
【0064】
また図1に示す実施形態では、前記素子両側端部Cの膜厚t2を前記素子中央部Dの膜厚t1よりも薄くすることで、前記素子両側端部Cの内側端部から発生する静磁界そのものを減少させることができ、前記素子中央部Dでの前記静磁界の影響を小さくできる。加えて、前記素子中央部Dの膜厚t1を厚くしたことで、前記静磁界による磁束が前記素子中央部Dでより広がるから、すなわち前記素子中央部Dでの磁束密度をより効果的に小さくすることができるから、前記素子中央部Dでのフリー磁性層70の外部磁界に対する再生感度を図21や図22に示す従来例に比べて向上させることができ、よって今後の高記録密度化によって狭トラック化が促進されても図1に示す実施形態であれば再生出力の向上を図ることができる。
【0065】
また前記素子中央部Dでのフリー磁性層70の膜厚t1が厚く形成されたことで、前記素子中央部Dでの飽和磁化Ms×体積も大きくできるから、熱揺らぎを抑制できよってこの熱揺らぎに起因するノイズの発生を抑制できる。
【0066】
さらに図1に示す実施形態では、前記素子両側端部Cの膜厚t2を薄くできるから、前記第3反強磁性層41とフリー磁性層70の素子両側端部C間で発生する交換結合磁界を所定の大きさに強めることができる。前記交換結合磁界の大きさと、前記フリー磁性層70の素子両側端部Cの膜厚t2との間には反比例の関係があるからである。
【0067】
よって図1に示す実施形態では、前記素子両側端部Cでのフリー磁性層70の磁化をしっかりと固定することができ、サイドリーディングの発生を適切に抑制できる。
【0068】
このように図1に示す実施形態では、素子中央部Dでのフリー磁性層70の感度を向上させることができ再生出力の向上を図ることができるとともに、サイドリーディングの発生等を抑制することもでき、今後の高記録密度化に伴う狭トラック化に適切に対応可能な磁気検出素子を製造することが可能になっている。
【0069】
図1に示す実施形態では、[(前記フリー磁性層70の素子両側端部Cでの膜厚t2から前記フリー磁性層70の素子中央部Dの膜厚t1を引いた値)/前記フリー磁性層70の素子中央部Dの膜厚t1]×100(%)は、−80%以上で0%より小さいことが好ましい。
【0070】
後述する実験によれば、前記フリー磁性層70の素子中央部Dと素子両側端部Cとが同じ膜厚で形成された場合、および素子両側端部Cの方が素子中央部Dよりも厚い膜厚で形成された場合に比べて再生出力の向上を図ることができる。
【0071】
また[(前記フリー磁性層70の素子両側端部Cでの膜厚t2から前記フリー磁性層70の素子中央部Dの膜厚t1を引いた値)/前記フリー磁性層70の素子中央部Dの膜厚t1]×100(%)の下限を「−80%」としたのは、−80%未満となると再生波形の歪や不安定性(いわゆるInstability)が発する確率が増加するからである。
【0072】
次に、前記フリー磁性層70の素子両側端部Cでの膜厚t2は10Å以上で50Å以下であることが好ましい。前記フリー磁性層70の素子両側端部Cでの膜厚t2を10Å以上としたのは、これ以上膜厚t2が小さいと逆に第3反強磁性層41との間で発生する交換結合磁界が低下してしまうためである。また前記素子両側端部Cでの膜厚t2を50Å以下としたのは充分な交換結合磁界を確保するためである。なお前記フリー磁性層70の素子両側端部Cと第3反強磁性層41間で発生する交換結合磁界は、48(kA/m)以上であることが好ましい。
【0073】
次に、前記フリー磁性層70の素子中央部Dでの膜厚t1は30Å以上で70Å以下であることが好ましい。前記フリー磁性層70の素子中央部Dでの膜厚t1を30Å以上としたのは、この程度の膜厚がないと、前記素子中央部Dでの磁束密度を効果的に小さくできず、再生感度の向上を図ることができないからである。また熱揺らぎに起因するノイズの発生も深刻化する。また前記素子中央部Dの膜厚t1を70Å以下としたのは、前記素子中央部Dが厚すぎると単位面積当たりの合成磁気モーメント(飽和磁化Ms×膜厚)が大きくなることで、前記素子中央部Dでの再生感度が低下するためである。
【0074】
ところで図1に示す実施形態では、前記素子中央部Dでは、前記多層膜31を構成する第1フリー磁性層28の表面28aが露出し、この表面28aは若干削り込まれている。そして前記第1フリー磁性層28の表面28a上から前記間隔A内の第3反強磁性層41の内側端面41a上にかけて前記第2フリー磁性層51が埋め込まれている。なお前記第1フリー磁性層28の表面28aは削り込まれていなくてもよい(かかる場合、前記表面28aは点線で示す位置となる)。このとき前記多層膜31を構成する第1フリー磁性層28は、素子両側端部Cから素子中央部Dにかけて均一な膜厚となっている。
【0075】
図1に示す実施形態では、前記第2フリー磁性層51と前記多層膜31を構成する第1フリー磁性層28は別の工程で形成されたものである。図1に示す実施形態では、前記第2フリー磁性層51を前記間隔A内に埋め込むという極めて簡単な方法によって、前記第2フリー磁性層51を第1フリー磁性層28の素子中央部D上に強磁性的に接合させ、前記フリー磁性層70の素子中央部Dの膜厚t1を厚くしている。しかも前記フリー磁性層70の素子両側端部Cは、後述する製造方法によればイオンミリングの影響を受けないか、あるいは影響を受けてもその影響は極めて小さい。すなわち図1に示す実施形態では、前記イオンミリングによって前記素子両側端部Cが削られるということがなく、すなわち、前記素子両側端部Cの表面が前記イオンミリングによるダメージを受けることがなく、前記フリー磁性層70の素子両側端部Cと第3反強磁性層41間の界面状態を正常に保ち、前記フリー磁性層70の素子両側端部Cと第3反強磁性層41間で所定の大きさの交換結合磁界を生じさせることができ、前記フリー磁性層70の素子両側端部Cをしっかりと磁化固定することができる。
【0076】
次に前記第2フリー磁性層51の形成位置であるが、図1に示す実施形態では、前記第2フリー磁性層51のトラック幅方向(図示X方向)における両側端面51a、51aが前記第3反強磁性層41の内側端面41a上を完全に覆っているが、前記第2フリー磁性層51の両側端面51aが前記第3反強磁性層41の内側端面41a上の一部のみを覆っている形態であってもかまわないし、前記第2反強磁性層42の内側端面42a上にまで延びて形成されていてもよい。
【0077】
ただし以下の点を考慮する必要がある。まず上記したフリー磁性層70の素子中央部Dの膜厚t1が、上記した適性数値範囲内になるように、前記第2フリー磁性層51の膜厚を調整すれば、前記第2フリー磁性層51の上面51bがどの位置に形成されてもかまわない。次に、第2フリー磁性層51の上面51bから前記第2反強磁性層42の内側端面42aにかけて、あまり長く前記第2フリー磁性層51の両側端面51aが延出形成されると、この延出形成された第2フリー磁性層51の両側端部での磁化変動がサイドリーディングを発生させるため好ましくない。図1に示す実施形態では、第3反強磁性層41の下面のトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法でトラック幅Twが規制されるが、前記延出形成された第2フリー磁性層51の両側端部は、このトラック幅Twからはみ出すため、サイドリーディングを引き起こす。
【0078】
なお前記トラック幅Twは0.1μmから0.2μm程度で形成されることが好ましい。前記トラック幅Twがこれ以上広すぎると、前記フリー磁性層70の素子中央部Dでの交換相互作用によるバイアス磁界の弱まりにより、再生波形の不安定性を引き起こすからである。また前記トラック幅Twが狭すぎても、前記フリー磁性層70の素子中央部Dの感度が低下し再生出力の低下に繋がり好ましくない。
【0079】
なお前記第1フリー磁性層28と第2フリー磁性層51を図面上、別々に表したが、実物を透過電子顕微鏡(TEM)写真などで見ると、前記第1フリー磁性層28と前記第2フリー磁性層51は一体のフリー磁性層70として見えると思われる。しかし、図1に示す実施形態のように第3反強磁性層41及び第2反強磁性層42のトラック幅方向(図示X方向)における内側端面41a、42aが下方から上方(図示Z方向)にかけて前記間隔Aが広がる傾斜面あるいは湾曲面として形成され、しかも前記間隔A内に少なくとも前記第3反強磁性層41の内側端面41aに沿ってフリー磁性層70の素子中央部Dが盛り上がって形成されている場合には、第1フリー磁性層28と第2フリー磁性層51とを別々に形成した後述する本発明の製造方法を利用したものと推定することができる。
【0080】
また図1に示す実施形態では、前記フリー磁性層70の両側端部Cと第2反強磁性層42間に第3反強磁性層41が形成されているが、前記第3反強磁性層41を設けることで、その下に形成されたフリー磁性層70の素子両側端部Cを大気暴露による酸化やイオンミリングから適切に保護することができる。また前記第3反強磁性層41は成膜時に20Åから50Åの薄い膜厚で形成されるが、これによってフリー磁性層70の磁化制御を適切に行うことができる。製造方法は後で詳述する。なお前記第3反強磁性層41と第2反強磁性層42との界面は、はっきりと見て取ることは困難で、透過電子顕微鏡(TEM)写真などで見ると前記第2反強磁性層42と第3反強磁性層41は一体の反強磁性層として見えるものと考えられる。
【0081】
また前記第3反強磁性層41の表面も大気暴露による酸化から適切に保護することが好ましく、そのため磁気検出素子の製造工程中に前記第3反強磁性層41の上にRuなどで形成された非磁性層53を形成する。この非磁性層53は製造工程中に削られて除去されるので、図1に示す実施形態では、第2反強磁性層42と第3反強磁性層41間に前記非磁性層53が残されていないが、前記非磁性層53は一部残されていてもよく、図1ではそれを一点鎖線で示している。残された前記非磁性層53の膜厚は3Å以下である。また前記非磁性層53の材質は、例えば、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rh、Crのいずれか1種または2種以上からなる貴金属等で形成することが好ましい。また完全に非磁性層53が削り取られても、第2反強磁性層42や第3反強磁性層41に非磁性層53の元素が拡散している場合があり、これは例えばSIMS分析装置などで調べることができる。
【0082】
図2は本発明における第2実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0083】
図2に示す実施形態は図1と異なり、まず第1フリー磁性層28上に強磁性層54が形成されている。前記強磁性層54は前記第1フリー磁性層28上の全面に形成されており、前記間隔A内の素子中央部Dからは前記強磁性層54の表面54aが露出している。なお前記表面54aは、その素子両側端部Cの表面よりも削られて素子中央部Dでの膜厚が薄くなっているが、前記表面54aは一点鎖線で示すように削られていなくてもよく、かかる場合、前記強磁性層54は素子中央部Dから素子両側端部Cにかけて均一の膜厚で形成される。
【0084】
また図2に示す実施形態では、図1のように第2反強磁性層42と第1フリー磁性層28の素子両側端部C間に第3反強磁性層41は形成されていない。上記したこのような構造上の違いは後述する製造方法の違いによるものである。
【0085】
図2に示す実施形態では図1に示す実施形態と同様に、前記第2反強磁性層42の内側端面42a間に形成された間隔A内に第2フリー磁性層51が形成され、この第2フリー磁性層51は前記強磁性層54の素子中央部D上に強磁性的に接合している。
【0086】
図2に示す実施形態では、多層膜55を構成する第1フリー磁性層28及び強磁性層54と、前記第2フリー磁性層51とのすべてでフリー磁性層71と構成している。そのためフリー磁性層71の膜厚は、素子中央部Dでは、前記第1フリー磁性層28、強磁性層54及び第2フリー磁性層51の膜厚を合わせた膜厚t3となる。一方、前記フリー磁性層71の素子両側端部Cでは、第1フリー磁性層28及び強磁性層54の膜厚を合わせた膜厚t4となる。図2に示すように前記素子中央部Dの膜厚t3の方が前記素子両側端部Cの膜厚t4よりも大きくなっている。
【0087】
このように図2に示す実施形態では、フリー磁性層71の前記素子中央部Dの膜厚t3を前記素子両側端部Cの膜厚t4よりも厚くしているから、前記素子両側端部Cの内側端部から発生する静磁界そのものを減少させることができる。しかも前記素子中央部Dの膜厚t3が厚くなったことで、前記静磁界による磁束が前記素子中央部Dで広がり、すなわち前記素子中央部Dでの磁束密度をより効果的に小さくすることができるから、前記素子中央部Dでの前記フリー磁性層71の外部磁界に対する感度を図21や図22に示す従来例に比べて向上させることができ、よって今後の高記録密度化によって狭トラック化が促進されても図2に示す実施形態であれば再生出力の向上を図ることができる。
【0088】
また前記素子中央部Dでのフリー磁性層71の膜厚t3が厚く形成されたことで、前記素子中央部Dでの飽和磁化Ms×体積も大きくできるから、熱揺らぎを抑制できよってこの熱揺らぎに起因するノイズの発生を抑制できる。
【0089】
さらに図2に示す実施形態では、フリー磁性層71の前記素子両側端部Cの膜厚t4を薄くできるから、前記第2反強磁性層42と強磁性層54の素子両側端部C間で発生する交換結合磁界を所定の大きさに強めることができる。そして強磁性層54と第1フリー磁性層28間で働く交換相互作用によって前記第1フリー磁性層28の磁化は図示X方向に固定される。
【0090】
このように前記第2反強磁性層42と強磁性層54の素子両側端部C間で交換結合磁界を強く発生させることができるから、前記素子両側端部Cでの前記フリー磁性層71の磁化をしっかりと固定することができ、サイドリーディングの発生を適切に抑制できる。
【0091】
以上のように図2に示す実施形態では、素子中央部Dでのフリー磁性層71の感度を向上させることができ再生出力の向上を図ることができるとともに、サイドリーディングの発生を抑制することもでき、今後の高記録密度化に伴う狭トラック化に適切に対応可能な磁気検出素子を製造することが可能になっている。
【0092】
また図2に示す実施形態では、[(前記フリー磁性層71の素子両側端部Cでの膜厚t4から前記フリー磁性層71の素子中央部Dの膜厚t3を引いた値)/前記フリー磁性層71の素子中央部Dの膜厚t3]×100(%)は、−80%以上で0%より小さいことが好ましい。理由は図1で説明した通りである。
【0093】
次に、前記フリー磁性層71の素子両側端部Cでの膜厚t4は10Å以上で50Å以下であることが好ましい。また前記フリー磁性層71の素子中央部Dでの膜厚t3は30Å以上で70Å以下であることが好ましい。理由は図1で説明した通りである。
【0094】
また図2に示す実施形態では図1で説明した非磁性層53が、点線で示すように、強磁性層54と第1フリー磁性層28間に形成されていてもよい。前記非磁性層53は図1で説明した通りRuなどで形成される。前記非磁性層53の膜厚によるが、前記非磁性層53を強磁性層54と第1フリー磁性層28間に残すと、前記強磁性層54と第1フリー磁性層28が人工フェリ構造となる。かかる場合、前記強磁性層54と第1フリー磁性層28間にはRKKY相互作用による交換結合が生じ、前記強磁性層54と第1フリー磁性層28の磁化方向は反平行になる。前記第2フリー磁性層51の磁化方向は前記強磁性層54と同じ方向である。人工フェリ構造にするとフリー磁性層71の単位面積当たりの合成磁気モーメント(飽和磁化Ms×膜厚)を小さくできるので、前記フリー磁性層71の再生感度をより効果的に向上させることができる。
【0095】
また前記非磁性層53の膜厚が5Å以下程度の薄い膜厚で残される場合は、前記強磁性層54と第1フリー磁性層28の磁化は平行になるように強磁性結合する。
【0096】
図1及び図2に示す実施形態はともに電極層50がトラック幅方向に一対形成され、センス電流が多層膜31、55内の各層を膜面と平行な方向に流れるCIP(Current In the Plane)型と呼ばれる構造であるが、電極層が多層膜31、51の上下に形成され、センス電流が前記多層膜31、55を膜厚方向に流れるCPP(Current Perpendicular to the Plane)型でも本実施形態を利用できる。ただし係る場合、図1及び図2に示す電極層50が形成されている部分は絶縁層が形成される。また第2反強磁性層42の内側端面42a上にも絶縁層が形成されていると分流ロスを抑制できてより好ましい。
【0097】
図1に示す磁気検出素子の製造方法を、図3ないし図7に示す製造工程図を用いて以下に説明する。各図は製造工程中の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0098】
まず図3工程では、基板20上に、シードレイヤ21、第1反強磁性層22、固定磁性層23、非磁性材料層27、第1フリー磁性層28、第3反強磁性層41、および非磁性層53を連続成膜する。成膜にはスパッタや蒸着法が使用される。図3に示す固定磁性層23は、例えばCoFe合金などで形成された磁性層24と磁性層26と、両磁性層24、26間に介在するRuなどの非磁性の中間層25との積層フェリ構造である。第1フリー磁性層28は、CoFe合金などの拡散防止層29とNiFe合金などの磁性材料層30との積層構造である。
【0099】
シードレイヤ21はCrまたはNiFeCrで形成し、非磁性材料層27はCuで形成している。
【0100】
本発明では第1反強磁性層22及び及び第3反強磁性層41を、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成することが好ましい。
【0101】
また前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。特に規定しない限り、〜で示す数値範囲の上限と下限は以下、以上を意味する。
【0102】
また、Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。さらに、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’が0.2〜10at%の範囲であることが好ましい。ただし、X’がPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である場合には、X’は0.2〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0103】
また本発明では第1反強磁性層22の膜厚を80Å以上で300Å以下で形成することが好ましい。この程度の厚い膜厚で第1反強磁性層22を形成することにより磁場中アニールで、第1反強磁性層22と固定磁性層23間に大きな交換結合磁界を発生させることができる。具体的には、48kA/m以上、例えば64kA/mを越える交換結合磁界を発生させることができる。
【0104】
また本発明では第3反強磁性層41の膜厚を20Å以上で50Å以下で形成することが好ましく、より好ましくは30Å以上で40Å以下で形成する。
【0105】
本発明では、このように第3反強磁性層41を薄い膜厚で形成することに特徴点がある。
【0106】
上記のように第3反強磁性層41を50Å以下の薄い膜厚で形成することにより、第3反強磁性層41は反強磁性の性質を有さなくなり、磁場中アニールを施しても、第3反強磁性層41が規則化変態しにくく第3反強磁性層41と第1フリー磁性層28間に交換結合磁界が発生せずあるいは発生してもその値は小さく、第1フリー磁性層28の磁化が、固定磁性層23と同じように強固に固定されることがない。
【0107】
また第3反強磁性層41が20Å以上、好ましくは30Å以上で形成されるとしたのは、この程度の膜厚がないと、後工程で第3反強磁性層41の素子両側端部C上に第2反強磁性層42を形成しても、第3反強磁性層41の素子両側端部Cが反強磁性の性質を帯び難く、前記第3反強磁性層41と第1フリー磁性層28の素子両側端部C間に適切な大きさの交換結合磁界が発生しないからである。
【0108】
また図3工程のように前記第3反強磁性層41上に非磁性層53を形成することで、図3に示す多層膜56が大気暴露されても第3反強磁性層41が酸化されるのを適切に防止できる。
【0109】
ここで非磁性層53は大気暴露によって酸化されにくい緻密な層である必要がある。また熱拡散などにより非磁性層53が第3反強磁性層41内部に侵入しても反強磁性層としての性質を劣化させない材質である必要がある。
【0110】
本発明では非磁性層53を貴金属で形成する。具体的には、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rhのいずれか1種または2種以上からなる貴金属で形成することが好ましい。
【0111】
Ruなどの貴金属からなる非磁性層53は大気暴露によって酸化されにくい緻密な層である。したがって非磁性層53の膜厚を薄くしても第3反強磁性層41が大気暴露によって酸化されるのを適切に防止できる。
【0112】
本発明では非磁性層53を3Å以上で10Å以下で形成することが好ましい。この程度の薄い膜厚の非磁性層53によっても第3反強磁性層41が大気暴露によって酸化されるのを防止することが可能である。
【0113】
本発明では上記のように非磁性層53をRuなどの貴金属で形成し、しかも非磁性層53を3Å〜10Å程度の薄い膜厚で形成している。このように薄い膜厚で非磁性層53を形成したことによって次工程のイオンミリング制御を適切に且つ容易に行うことができるのである。
【0114】
図3に示すように基板20上に非磁性層53までの各層を積層した後、第1の磁場中アニールを施す。トラック幅Tw(図示X方向)と直交する方向である第1の磁界(図示Y方向)を印加しつつ、第1の熱処理温度で熱処理し、第1の反強磁性層22と固定磁性層23を構成する磁性層24との間に交換結合磁界を発生させて、磁性層24の磁化を図示Y方向に固定する。もう一方の磁性層26の磁化は、磁性層24との間で働くRKKY相互作用による交換結合によって図示Y方向とは逆方向に固定される。なお例えば第1の熱処理温度を270℃とし、磁界の大きさを800(kA/m)とする。
【0115】
また上記したように、この第1の磁場中アニールによって第3反強磁性層41は膜厚が薄いため規則化変態しにくく、第3反強磁性層41と第1フリー磁性層28を構成する磁性材料層30との間には交換結合磁界は発生しない。前記第3反強磁性層41は50Å以下の薄い膜厚で形成されており、反強磁性としての性質を有していないからである。
【0116】
また上記した第1の磁場中アニールによって、非磁性層53を構成するRuなどの貴金属元素が、第3反強磁性層41内部に拡散するものと考えられる。従って熱処理後における第3反強磁性層41の構成元素は、反強磁性層を構成する元素と貴金属元素とから構成されると考えられる。また前記第3反強磁性層41内部に拡散した貴金属元素は、前記第3反強磁性層41の下面側よりも前記第3反強磁性層41の表面側の方が多く、拡散した貴金属元素の組成比は、前記第3反強磁性層41の表面から下面に向うに従って徐々に減るものと考えられる。このような組成変調は、SIMS分析装置などで確認することが可能である。
【0117】
また、非磁性層53を形成するための貴金属元素は、前記第3反強磁性層41の材料と混合したときに、この混合物が反強磁性を示すので、第1の磁場中アニールで、前記貴金属元素が第3反強磁性層41の内部に拡散しても、前記第3反強磁性層41の反強磁性が劣化することをなくすことができる。
【0118】
次に図3工程で非磁性層53の表面全体をイオンミリングし、前記非磁性層53を除去する。
【0119】
図3に示すイオンミリング工程では、低エネルギーのイオンミリングを使用できる。その理由は、成膜段階で非磁性層53が3Å〜10Å程度の非常に薄い膜厚で形成されているからである。このため本発明では、低エネルギーのイオンミリングによって非磁性層53が除去され、前記第3反強磁性層41の最表面でミリングを止めやすく、従来に比べてミリング制御を向上させることができるのである。ここで低エネルギーのイオンミリングとは、ビーム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオンビームを用いたイオンミリングであると定義される。例えば、100V〜500Vのビーム電圧が用いられる。本実施の形態では、200Vの低ビーム電圧のアルゴン(Ar)イオンビームを用いている。
【0120】
なお前記非磁性層53を一部残すこともできる。かかる場合、前記非磁性層53の膜厚を3Å以下にする。そうしないと、後述する工程で前記第3反強磁性層41と第2反強磁性層42とが一体の反強磁性層として反強磁性を帯びず、前記第3反強磁性層41と第1フリー磁性層28の素子両側端部C間で適度な大きさの交換結合磁界が生じないからである。
【0121】
次に図4に示す工程では、前記第3反強磁性層41上に(前記非磁性層53が一部残されているときは、前記非磁性層53上に)第2反強磁性層42を成膜し、さらに連続して第2反強磁性層42の上に電極層50を形成する。
【0122】
なお、第2反強磁性層42を前記第3反強磁性層41と同じ材質で形成することが好ましい。
【0123】
また図4に示す工程では、第2反強磁性層42と第3反強磁性層41とを足した総合膜厚が80Å以上で300Å以下の厚い膜厚となるように、第2反強磁性層42の膜厚を調整することが好ましい。
【0124】
前記第3反強磁性層41の膜厚と第2反強磁性層42の膜厚とを足した総合膜厚が80Å以上で300Å以下程度の厚い膜厚で形成されると、単独では反強磁性の性質を有さなかった前記第3反強磁性層41が反強磁性の性質を帯びるからである。
【0125】
図4に示す工程では、前記電極層50にはトラック幅方向(図示X方向)に所定の間隔T5が開けられている。図4に示すような電極層50の形成は、例えば前記第2反強磁性層42の前記間隔T5上にレジスト層あるいはメタルマスク層(図示しない)を形成し、前記レジスト層あるいはメタルマスク層に覆われていない前記第2反強磁性層42上に電極層50を形成した後、前記レジスト層を除去するか、前記第2反強磁性層42上の全面に電極層50を形成した後、前記電極層50の上に間隔T5を開けたレジスト層(図示しない)を立て、前記レジスト層に覆われていない電極層50の図面中央部をエッチングで除去した後、前記レジスト層を除去する(ただしこのレジスト層は前記第2反強磁性層42及び第3反強磁性層41に図1に示す間隔Aを形成するまで前記電極層50上に残しておいてもよい)。
【0126】
図4に示す工程では、前記レジスト層あるいはメタルマスク層がマスク層としての役割を有しているから、前記レジスト層あるいはメタルマスク層に覆われていない電極層50の図面中央部をエッチングで除去するとき、前記レジスト層あるいはメタルマスク層のエッチングレートが、前記電極層50のエッチングレートよりも遅くなければならない。例えばエッチングガスとしては、ArとCF4との混合ガスやArとC3F8との混合ガスなどが使用されるので、これらエッチングガスに対するエッチングレートを考慮して前記メタルマスク層、レジスト層の材質を選択することが必要である。
【0127】
エッチングガスとして例えばAr+C3F8を使用したとき、前記電極層50としてα−TaやAuを用い、前記メタルマスク層としてCr等を用いれば、前記メタルマスク層のエッチングレートを、前記電極層50のエッチングレートよりも遅くすることができる。
【0128】
なお図4に示すように、前記電極層50のトラック幅方向(図示X方向)における内側端面50aは下方から上方(図示Z方向)に向うにしたがって、前記電極層50間の間隔50cが徐々に広がる傾斜面あるいは湾曲面として形成される。
【0129】
次に図5に示す工程では、前記電極層50の間隔50cから露出する前記第2反強磁性層42及び第3反強磁性層41の素子中央部をRIEやイオンミリングによって削りこむ。イオンミリングの方向は図5の矢印で示すように基板20表面に対し垂直方向あるいはそれに近い方向とすることが好ましい。
【0130】
図5のように、前記第2反強磁性層42及び第3反強磁性層41を削り込むことで、前記第2反強磁性層42及び第3反強磁性層41のトラック幅方向(図示X方向)の中央部に間隔Aが形成され、さらに前記第2反強磁性層42及び第3反強磁性層41の内側端面42a、41aは、下方から上方(図示Z方向)に向けて前記間隔Aが徐々に広がる傾斜面あるいは湾曲面として形成される。なお前記電極層50、第2反強磁性層42及び第3反強磁性層41の内側端面50a、42a、41aは連続面として形成される。
【0131】
図5工程で、どの層まで上記したイオンミリングで行うかであるが、少なくとも前記間隔Aから第1フリー磁性層28表面が露出していなければならない。そうでないと、後述する前記間隔A内に埋められる第2フリー磁性層51と前記第1フリー磁性層28間に反強磁性層が介在し、前記第2フリー磁性層51と第1フリー磁性層28とを一体のフリー磁性層70として機能させることができないからである。
【0132】
図5のように、間隔A内で露出した第1フリー磁性層28の表面28aを若干削ってもよいし、点線で示すように前記表面28aが露出した瞬間にイオンミリングを止め、素子中央部Dでの第1フリー磁性層28の膜厚と素子両側端部Cでの第1フリー磁性層28の膜厚とが均一な膜厚となるようにしてもよい。なお前記第1フリー磁性層28をあまり削り込まない方が、前記第1フリー磁性層28へのイオンミリングのダメージを減らすことができるので好ましい。なお「素子両側端部C」とは、図5工程の時点で第3反強磁性層41のトラック幅方向における下面の幅寸法の領域を指し、「素子中央部D」とは、図4工程の時点で第3反強磁性層41のトラック幅方向における下面間の間隔の領域を指す。そしてトラック幅Twは、前記第3反強磁性層41のトラック幅方向における下面間の間隔であり、図5では「素子中央部D」のトラック幅方向における幅寸法と一致している。
【0133】
図6に示す工程では、前記電極層50の上面50bから、前記電極層50、第2反強磁性層42及び第3反強磁性層41の内側端面50a、42a、41aさらには前記間隔A内で表面28aが露出した第1フリー磁性層28の素子中央部D上にかけて、第2フリー磁性層57をスパッタ形成する。前記スパッタ法には、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、あるいはコリメーションスパッタ法のいずれか1種以上が使える。
【0134】
図6に示す工程では前記スパッタ成膜時におけるスパッタ方向Jを基板20表面に対する垂直方向(図示Z方向)と平行な方向か、あるいはそれに近い方向とする。できる限りスパッタ方向を基板20表面に対して立てることにより、図6に示すように、前記間隔A内の第1フリー磁性層28の素子中央部D上に第2フリー磁性層57aが厚く形成され、それに対し、前記内側端面50a、42a、41a上に前記第2フリー磁性層57bが薄く形成される。なお、前記間隔A内の第1フリー磁性層28の素子中央部D上に形成された第2フリー磁性層57aは、前記第1フリー磁性層28と強磁性的に接合される。
【0135】
図6に示す時点で磁気検出素子の成膜工程を終了し、後述する第2の磁場中アニールで、第1フリー磁性層28の素子両側端部Cと第3反強磁性層41の素子両側端部C間に交換結合磁界を発生させて、前記第1フリー磁性層28及び第2フリー磁性層57の磁化制御を行ってもよい。しかし、図6のような実施形態であると、素子中央部Dの第1フリー磁性層28上に形成された膜厚の厚い第2フリー磁性層57aからトラック幅方向(図示X方向)に延出して前記内側端面50a、42a上にかけて形成された第2フリー磁性層57bの部分や電極層50の上面50bに形成された第2フリー磁性層57cの部分が、外部磁界に対し磁化変動すると、それが伝播して素子中央部D上の第2フリー磁性層57a及び第1フリー磁性層28の磁化を変動させることになり、いわゆるサイドリーディングが発生しやすい。
【0136】
そこで次に第2反強磁性層42及び電極層50の内側端面42a、50a上に形成された膜厚の薄い第2フリー磁性層57bを除去する工程を施す。図6に示すように基板20表面と垂直方向(図示Z方向と平行な方向)に対し角度θ1のイオンミリング方向Kで、前記電極層50、第2反強磁性層42の内側端面50a、42a上に形成された第2フリー磁性層57bを削って除去する。前記角度θ1は30°以上で80°以下であることが好ましい。一方、上記のイオンミリングで前記第1フリー磁性層28の素子中央部D上に形成された膜厚の厚い第2フリー磁性層57aも若干削れるものの、前記第2フリー磁性層57aは、前記内側端面42a、50a上に形成された第2フリー磁性層57bよりも厚い膜厚を有し、しかもイオンミリングのミリング方向Kは、前記第2フリー磁性層57aから見ると斜め方向になるため、前記第2フリー磁性層57aは、前記内側端面42a、50a上に形成された第2フリー磁性層57b比べて削られ難く、よって前記イオンミリングによって前記内側端面42a、50a上に形成された第2フリー磁性層57bのみ適切に除去することができる。なお前記イオンミリングには低エネルギーのイオンミリングを使用することができる。削り取る第2フリー磁性層57bの膜厚は非常に薄いからである。ここで低エネルギーのイオンミリングとは、ビーム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオンビームを用いたイオンミリングであると定義される。例えば、100V〜500Vのビーム電圧が用いられる。本実施の形態では、200Vの低ビーム電圧のアルゴン(Ar)イオンビームを用いている。
【0137】
前記イオンミリング後の状態が図7である。図7に示すように前記間隔A内であって前記第1フリー磁性層28の素子中央部D上には、第2フリー磁性層57が残され、また前記電極層50の上面50bにも一部、第2フリー磁性層57と同じ材質の強磁性層52が残される。前記第2フリー磁性層57は、前記第1フリー磁性層28の表面28aと強磁性的に接合しており、前記第2フリー磁性層57も感磁部のフリー磁性層70として機能する。図7に示す状態で、第1フリー磁性層28と第2フリー磁性層57とを合わせて「フリー磁性層70」と呼ぶ。
【0138】
そして第2の磁場中アニールを施す。このときの磁場方向は、トラック幅方向(図示X方向)である。なおこの第2の磁場中アニールは、第2の印加磁界を、第1反強磁性層22の交換異方性磁界よりも小さく、しかも熱処理温度を、第1反強磁性層22のブロッキング温度よりも低くする。また印加磁界の大きさを、第1フリー磁性層28の保磁力より大きく、前記磁性層24と磁性層26の間のスピンフロップ磁界より小さくすることが好ましい。これによって第1反強磁性層22の交換異方性磁界の方向をハイト方向(図示Y方向)に向けたまま、第3反強磁性層41の交換異方性磁界をトラック幅方向(図示X方向)に向けることができる。なお第2の熱処理温度は例えば250℃であり、磁界の大きさは8〜30(kA/m)、例えば24(kA/m)である。
【0139】
前記第3反強磁性層41の素子両側端部Cは、その上に形成された第2反強磁性層42との間で発生する反強磁性的な相互作用によって反強磁性の性質を帯びているから、この第2の磁場中アニールによって、第3反強磁性層41の両側端部Cは規則化変態し、第3反強磁性層41の両側端部Cとフリー磁性層70の両側端部Cとの間に大きな交換結合磁界が発生する。これによってフリー磁性層70の素子両側端部Cの磁化は、トラック幅方向(図示X方向)に固定される。
【0140】
一方、フリー磁性層70の素子中央部D上には反強磁性層が無いから、上記の第2の磁場中アニールによっても、フリー磁性層70の素子中央部D上は前記素子両側端部Cと同様にトラック幅方向に強固に固定されるといったことがない。前記フリー磁性層70の素子中央部Dの磁化は外部磁界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁区化された状態である。
【0141】
図3ないし図7で示す製造工程によれば、簡単な方法で、前記フリー磁性層70の素子両側端部Cを薄く形成すると同時に、前記フリー磁性層70の素子中央部Dを厚く形成できる。上記した製造方法では、前記間隔A内に第2フリー磁性層51を埋めて形成する際、レジストなどを用いた場合によるアライメントが必要なく、容易に且つ精度良く、前記間隔Aに所定形状の第2フリー磁性層51を形成することができる。
【0142】
また前記第1フリー磁性層28表面は図3工程でイオンミリングの影響を受けることがなく、受けてもその影響は極めて小さい。それは膜厚の薄い非磁性層53を用い、低エネルギーのイオンミリングで前記非磁性層53を除去できるからである。よって前記第1フリー磁性層28の素子両側端部Cはイオンミリングで荒らされておらず、前記素子両側端部Cと第3反強磁性層41の間で所定の大きさの交換結合磁界を発生させることができ、前記フリー磁性層70の素子両側端部Cを適切に磁化固定でき、サイドリーディングの発生を抑制することができる磁気検出素子を製造することが可能である。
【0143】
図8ないし図12は、図2に示す磁気検出素子の製造方法を示す一工程図である。各図は製造工程中の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0144】
まず図8工程では、基板20上に、シードレイヤ21、第1反強磁性層22、固定磁性層23、非磁性材料層27、第1フリー磁性層28及び非磁性層53を連続成膜する。成膜にはスパッタや蒸着法が使用される。各層の材質等については図3で説明したのでそちらを参照されたい。
【0145】
図8に示すように基板20上に非磁性層53までの各層を積層した後、第1の磁場中アニールを施す。トラック幅Tw(図示X方向)と直交する方向である第1の磁界(図示Y方向)を印加しつつ、第1の熱処理温度で熱処理し、第1の反強磁性層22と固定磁性層23を構成する磁性層24との間に交換結合磁界を発生させて、磁性層24の磁化を図示Y方向に固定する。もう一方の磁性層26の磁化は、磁性層24との間で働くRKKY相互作用による交換結合によって図示Y方向とは逆方向に固定される。なお例えば第1の熱処理温度を270℃とし、磁界の大きさを800(kA/m)とする。
【0146】
次に図8工程で非磁性層53の表面全体をイオンミリングし、前記非磁性層53を除去する。
【0147】
図8に示すイオンミリング工程では、低エネルギーのイオンミリングを使用できる。その理由は、成膜段階で非磁性層53が3Å〜10Å程度の非常に薄い膜厚で形成されているからである。このため本発明では、低エネルギーのイオンミリングによって非磁性層53が除去され、前記第1フリー磁性層28の最表面でミリングを止めやすく、従来に比べてミリング制御を向上させることができるのである。
【0148】
なお前記非磁性層53を一部残すこともできる。このとき前記非磁性層53の表面は酸化されているので、前記非磁性層53表面の酸化層をイオンミリングで取り除く。
【0149】
次に図9に示す工程では、前記第1フリー磁性層28上に(前記非磁性層53が一部残されているときは、前記非磁性層53上に)強磁性層54及び第2反強磁性層42を成膜し、さらに連続して第2反強磁性層42の上に電極層50を形成する。なお前記強磁性層54は、前記第1フリー磁性層28とともに「フリー磁性層71」を構成する。
【0150】
また図9に示す工程では、第2反強磁性層42の膜厚を80Å以上で300Å以下の厚い膜厚で形成することが好ましい。
【0151】
図9に示す工程では、前記電極層50にはトラック幅方向(図示X方向)に所定の間隔T6が開けられている。図9に示すような電極層50の形成は図4で説明した通りであるのでそちらを参照されたい。また前記電極層50をエッチングで形成するときのレジスト層あるいはメタルマスク層と電極層50のエッチングレートの関係についても図4で説明したのでそちらを参照されたい。
【0152】
図10に示す工程では、前記電極層50の間隔50cから露出する前記第2反強磁性層42の素子中央部をRIEやイオンミリングによって削りこむ。イオンミリングの方向は図10の矢印で示すように基板20表面に対し垂直方向あるいはそれに近い方向とすることが好ましい。
【0153】
図10のように、前記第2反強磁性層42を削り込むことで、前記第2反強磁性層42のトラック幅方向(図示X方向)の中央部に間隔Aが形成され、さらに前記第2反強磁性層42の内側端面42aは、下方から上方(図示Z方向)に向けて前記間隔Aが徐々に広がる傾斜面あるいは湾曲面として形成される。なお前記電極層50及び第2反強磁性層42の内側端面50a、42aは連続面として形成される。
【0154】
図10工程で、どの層まで上記したイオンミリングを行うかであるが、少なくとも前記間隔Aから強磁性層54の表面54aが露出していなければならない。なお図10のように、間隔A内で露出した強磁性層54の表面54aを若干削ってもよいし、点線で示すように前記表面54aが露出した瞬間にイオンミリングを止め、素子中央部Dでの強磁性層54と第1フリー磁性層28とを足した膜厚と素子両側端部Cでの強磁性層54と第1フリー磁性層28とを足した膜厚とが均一な膜厚となるようにしてもよい。なお前記強磁性層54をあまり削り込まない方がイオンミリングによるダメージを減らすことができるので好ましい。なお「素子両側端部C」とは、図10工程の時点で第2反強磁性層42のトラック幅方向における下面の幅寸法の領域を指し、「素子中央部D」とは、図10工程の時点で第2反強磁性層42のトラック幅方向における下面間の間隔の領域を指す。そしてトラック幅Twは、前記第2反強磁性層42のトラック幅方向における下面間の間隔であり、図11では「素子中央部D」のトラック幅方向における幅寸法と一致している。
【0155】
図11に示す工程では、前記電極層50の上面50bから、前記電極層50及び第2反強磁性層42の内側端面50a、42aさらには前記間隔A内で表面54aが露出した強磁性層54の素子中央部D上にかけて、第2フリー磁性層57をスパッタ形成する。前記スパッタ法には、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、あるいはコリメーションスパッタ法のいずれか1種以上が使える。
【0156】
図7に示す工程では前記スパッタ成膜時におけるスパッタ方向Jを基板20表面に対する垂直方向(図示Z方向)と平行な方向か、あるいはそれに近い方向とする。できる限り基板20表面に対しスパッタ方向を立てることにより、図11に示すように、前記間隔A内の強磁性層54の素子中央部D上に第2フリー磁性層57aが厚く形成され、それに対し、前記内側端面50a、42a上に前記第2フリー磁性層57bが薄く形成される。なお、前記間隔A内の強磁性層54の素子中央部D上に形成された第2フリー磁性層57aは、前記強磁性層54と強磁性的に接合される。この時点で、磁気検出素子の成膜を止め、第2の磁場中アニールを施してもよいが、以下の工程を施す方が好ましい。
【0157】
すなわち電極層50及び第2反強磁性層42の内側端面50a,42a上に形成された第2フリー磁性層57bを除去する工程を施す。図11に示すように基板20表面と垂直方向(図示Z方向と平行な方向)に対し角度θ1のイオンミリング方向Kで、前記電極層50、第2反強磁性層42の内側端面50a、42a上に形成された第2フリー磁性層57bを削って除去する。前記角度θ1を30°以上で80°以下に設定することが好ましい。一方、前記強磁性層54の素子中央部D上に形成された膜厚の厚い第2フリー磁性層57aも若干削れるものの、前記第2フリー磁性層57aは、前記内側端面42a、50a上に形成された第2フリー磁性層57bよりも厚い膜厚を有し、しかもイオンミリングのミリング方向Kは、前記第2フリー磁性層57aから見ると斜め方向になるため、前記第2フリー磁性層57aは、前記内側端面42a、50a上に形成された第2フリー磁性層57b比べて削られ難く、よって前記イオンミリングによって前記内側端面42a、50a上に形成された第2フリー磁性層57bのみ適切に除去することができる。なお前記イオンミリングには低エネルギーのイオンミリングを使用することができる。削り取る第2フリー磁性層57bの膜厚は非常に薄いからである。ここで低エネルギーのイオンミリングとは、ビーム電圧(加速電圧)が1000V未満のイオンビームを用いたイオンミリングであると定義される。例えば、100V〜500Vのビーム電圧が用いられる。本実施の形態では、200Vの低ビーム電圧のアルゴン(Ar)イオンビームを用いている。
【0158】
前記イオンミリング後の状態が図12である。図12に示すように前記間隔A内であって前記強磁性層54の素子中央部D上に第2フリー磁性層51が残され、また前記電極層50の上面50bにも一部、前記第2フリー磁性層51と同じ材質の強磁性層52が残される。前記第2フリー磁性層51は、前記強磁性層54の表面54aと強磁性的に接合しており、前記第2フリー磁性層51も感磁部のフリー磁性層71として機能する。図12に示す状態では、第1フリー磁性層28、強磁性層54及び第2フリー磁性層51を合わせて「フリー磁性層71」と呼ぶ。
【0159】
そして第2の磁場中アニールを施す。このときの磁場方向は、トラック幅方向(図示X方向)である。なおこの第2の磁場中アニールは、第2の印加磁界を、第1反強磁性層22の交換異方性磁界よりも小さく、しかも熱処理温度を、第1反強磁性層22のブロッキング温度よりも低くする。また印加磁界の大きさを、第1フリー磁性層28及び強磁性層54の保磁力より大きく、前記磁性層24と磁性層26の間のスピンフロップ磁界より小さくすることが好ましい。
【0160】
これによって第1反強磁性層22の交換異方性磁界の方向をハイト方向(図示Y方向)に向けたまま、第2反強磁性層42の交換異方性磁界をトラック幅方向(図示X方向)に向けることができる。なお第2の熱処理温度は例えば250℃であり、磁界の大きさは8〜30(kA/m)、例えば24(kA/m)である。
【0161】
前記第2反強磁性層42は、この第2の磁場中アニールによって、規則化変態し、第2反強磁性層41と強磁性層54の両側端部Cとの間に大きな交換結合磁界が発生し、強磁性層54の磁化は図示X方向に固定される。また第1フリー磁性層28の素子両側端部Cの磁化は、前記強磁性層54との間で生じる交換相互作用によって図示X方向に固定される。
【0162】
一方、前記フリー磁性層71の素子中央部D上には反強磁性層が無いから、上記の第2の磁場中アニールによっても、フリー磁性層71の素子中央部D上は前記素子両側端部Cと同様にトラック幅方向に強固に固定されるといったことがない。前記フリー磁性層71の素子中央部Dの磁化は外部磁界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁区化された状態である。
【0163】
なお第1フリー磁性層28と強磁性層54との間に例えば8Å程度の非磁性層53が残されている場合、前記第1フリー磁性層28と強磁性層54は人工フェリ構造となる。この人工フェリ構造では前記第1フリー磁性層28と強磁性層54間にRKKY相互作用による交換結合磁界が発生し、磁化が反平行にされる。なお第2フリー磁性層51の磁化は強磁性層54と同じ方向に向けられる。人工フェリ構造では、フリー磁性層71の単位面積当たりの合成磁気モーメント(飽和磁化×膜厚)が小さくなるから、再生感度をより適切に向上させることができる。
【0164】
図13ないし図16は上記した図8ないし図10に示した工程とは別の工程によって電極層50までを形成する製造方法である。
【0165】
図13に示す工程は、図8工程と同様に、基板20上に、シードレイヤ21、第1反強磁性層22、固定磁性層23、非磁性材料層27、第1フリー磁性層28及び非磁性層53を連続成膜する。そして上記した第1の磁場中アニールを施す。
【0166】
次に図14工程では、非磁性層53の上面にレジスト層を形成し、このレジスト層を露光現像することによって図14に示す形状のレジスト層60を非磁性層53上に残す。レジスト層60は例えばリフトオフ用のアンダーカット形状を有するレジスト層である。
【0167】
次にレジスト層60に覆われていない非磁性層53の両側端部53aを、図14に示す矢印H方向からのイオンミリングで削って除去する(図14に示す点線部分の非磁性層53が除去される)。
【0168】
図14に示すイオンミリング工程では、低エネルギーのイオンミリングを使用できる。その理由は、図3や図8工程で既に説明した通りである。このように低エネルギーのイオンミリングによって非磁性層53を削ることができるから、リング止め位置のマージンを狭くすることが可能になる。特に、非磁性層53をイオンミリングで除去した瞬間にミリングを止めることも可能になる。従って、第1フリー磁性層28はイオンミリングによって大きなダメージを受けなくなる。
【0169】
このため、次工程で、第1フリー磁性層28上に積層される強磁性層54の膜厚を薄くしても、第1フリー磁性層28と強磁性層54との間の磁気的な結合(強磁性的な交換相互作用)を強くできる。
【0170】
なお、図14工程時に、前記第1フリー磁性層28の素子両側端部C上に非磁性層53の両側端部53aが一部残されてもよい。少なくとも前記非磁性層53の両側端部53aの表面は酸化されているので削り取る。
【0171】
次に図15工程を施す。図15工程では、前記第1フリー磁性層28の素子両側端部C上に強磁性層54、第2反強磁性層42及び電極層50を真空中で連続成膜する。成膜にはスパッタや蒸着法を使用できる。成膜された第2反強磁性層42の内側端部42a及び電極層50の内側端部50aは、下方から上方に向うにしたがって(図示Z方向)、徐々に第2反強磁性層42間の間隔Aがトラック幅方向(図示X方向)に広がる傾斜面あるいは湾曲面で形成される。
【0172】
またこの実施形態では強磁性層54の下面間の間隔でトラック幅Twが規定される。
【0173】
図15に示すように電極層50まで積層形成した後、強磁性層54を構成する元素からなる強磁性材料の膜54b、第2反強磁性層42を構成する元素からなる反強磁性材料の膜42b及び電極層50を構成する元素からなる電極材料の膜50cが付着したレジスト層60を有機溶剤などを用いたリフトオフで除去する。
【0174】
その後、図16工程に示すように、前記第2反強磁性層42間のトラック幅方向における間隔A内から露出する非磁性層53の表面を削り、第1フリー磁性層28の表面28aを露出させる。その後、図11及び図12と同様の工程を施して、前記素子中央部Dに露出したフリー磁性層28上に第2フリー磁性層51を形成する。このとき、素子中央部Dでの前記第2フリー磁性層51と第1フリー磁性層28との膜厚を合わせた総合膜厚が、素子両側端部Cでの前記第2フリー磁性層51と強磁性層54と第1フリー磁性層28の膜厚を合わせた総合膜厚よりも厚くなるように、前記第2フリー磁性層51を形成しなければならない。従って、図16に示すように前記第2フリー磁性層51の上面51bは、前記強磁性層54の上面よりも高い位置に形成されなければならない。そして上記した第2の磁場中アニールを施す。
【0175】
上記の第2の磁場中アニールによって、第2反強磁性層42は適切に規則化変態し、第2反強磁性層42と強磁性層54との間に適切な大きさの交換結合磁界が発生する。さらに、強磁性層54と第1フリー磁性層28の素子両側端部Cとの間に、交換相互作用に基づく強磁性結合が発生し、これによって第1フリー磁性層28の両側端部Cの磁化は、トラック幅方向(図示X方向)に固定される。
【0176】
なお、素子中央部Dの第1フリー磁性層28及び第2フリー磁性層51の磁化は外部磁界に対し磁化反転できる程度に弱く単磁区化された状態である。なお前記強磁性層54と第1フリー磁性層28の素子両側端部C間に8Å程度の非磁性層53の両側端部53aが残っている場合は、前記第1フリー磁性層28の素子両側端部Cと強磁性層54は人工フェリ構造となり、磁化が互いに反平行にされる。
【0177】
図17ないし図19は、図3ないし図5とは別の工程で電極層50までを形成する製造方法を示す一工程図である。
【0178】
図17に示す工程は、図3工程と同様に、基板20上に、シードレイヤ21、第1反強磁性層22、固定磁性層23、非磁性材料層27、第1フリー磁性層28、第3反強磁性層41及び非磁性層53を連続成膜した後、第1の磁場中アニールを施し、その後、前記非磁性層53の上面にレジスト層を形成し、このレジスト層を露光現像することによって図17に示す形状のレジスト層61を非磁性層53上に残す。レジスト層61は例えばリフトオフ用のアンダーカット形状を有するレジスト層である。前記第1の磁場中アニールでは、前記第3反強磁性層41の膜厚は20Å以上で50Å以下の薄い膜厚で形成されているので、前記第3反強磁性層41は規則化せず、よって前記第1フリー磁性層28との間で交換結合磁界は発生しないか、あるいは発生してもその磁界は非常に弱く、この第1の磁場中アニールで前記第1フリー磁性層28の磁化が固定されてしまうということはない。
【0179】
次にレジスト層61に覆われていない非磁性層53の両側端部53aを、図17に示す矢印H方向からのイオンミリングで削って除去する(図17に示す点線部分の非磁性層53が除去される)。
【0180】
図17に示すイオンミリング工程では、低エネルギーのイオンミリングによって非磁性層53を削ることができるから、リング止め位置のマージンを狭くすることが可能になる。特に、非磁性層53をイオンミリングで除去した瞬間にミリングを止めることも可能になる。従って、第3反強磁性層41はイオンミリングによって大きなダメージを受けなくなる。
【0181】
なお、図17工程時に、前記第3反強磁性層41の素子両側端部C上に非磁性層53の両側端部53aが一部残されてもよい。少なくとも前記非磁性層53の両側端部53aの表面は酸化されているので削り取る。このとき前記非磁性層53の両側端部53aの膜厚を3Å以下で残す。
【0182】
次に図18工程を施す。図18工程では、前記第3反強磁性層の素子両側端部C上に第2反強磁性層42及び電極層50を真空中で連続成膜する。成膜にはスパッタや蒸着法を使用できる。成膜された第2反強磁性層42の内側端部42a及び電極層50の内側端部50aは、下方から上方に向うにしたがって(図示Z方向)、徐々に第2反強磁性層42間の間隔Aがトラック幅方向(図示X方向)広がる傾斜面あるいは湾曲面で形成される。
【0183】
またこの実施形態では前記第2反強磁性層42の下面間のトラック幅方向における間隔でトラック幅Twが規定される。
【0184】
図18に示すように電極層50まで積層形成した後、前記第2反強磁性層42を構成する元素からなる反強磁性材料の膜42b及び電極層50を構成する元素からなる電極材料の膜50cが付着したレジスト層61を有機溶剤などを用いたリフトオフで除去する。
【0185】
次に図19に示すように、前記第2反強磁性層42間の間隔A内から露出する非磁性層53(図18を参照)をすべて除去し、さらに前記非磁性層53を除去したことで現れる第3反強磁性層41もすべて除去して第1フリー磁性層28の表面28aを素子中央部Dから露出させる。図19に示すように、前記第3反強磁性層41、第2反強磁性層42及び電極層50のトラック幅方向における内側端面41a、42a、50aは連続面として形成される。
【0186】
その後、図6及び図7工程と同じ工程を施し、前記素子中央部Dの第1フリー磁性層28上に第2フリー磁性層51を形成する。
【0187】
上記したいずれの製造方法においてもフリー磁性層70、71の素子中央部Dの膜厚を、素子両側端部Cの膜厚に比べて容易に且つ確実に厚く形成することができる。
【0188】
しかも素子中央部Dに第2フリー磁性層51を形成する工程において、フォトリソグラフィー技術を用いなくても、前記第2フリー磁性層51を形成できるから、アライメントが必要なく、精度良く且つ容易に所定形状の前記第2フリー磁性層51を形成することができる。
【0189】
さらにフリー磁性層70、71の素子両側端部Cは、イオンミリングの影響を受けることがなく、また受けてもその影響は非常に小さいので、前記第2反強磁性層42あるいは第3反強磁性層41との間で発生する交換結合磁界をより適切に大きくでき、前記フリー磁性層70、71の素子両側端部Cをしっかりと固定でき、サイドリーディングの発生を適切に抑制することが可能な磁気検出素子を製造することができる。
【0190】
なお本発明における磁気検出素子は、ハードディスク装置に搭載される薄膜磁気ヘッドにのみ使用可能なものではなく、テープ用磁気ヘッドや磁気センサなどにも使用可能なものである。
【0191】
以上本発明をその好ましい実施例に関して述べたが、本発明の範囲から逸脱しない範囲で様々な変更を加えることができる。
【0192】
なお、上述した実施例はあくまでも例示であり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0193】
【実施例】
図1と同様の磁気検出素子を製造し、[(前記フリー磁性層70の素子両側端部Cでの膜厚t2から前記フリー磁性層70の素子中央部Dの膜厚t1を引いた値)/前記フリー磁性層70の素子中央部Dの膜厚t1]×100(%)(なお以下では単に「比率」と称す)と再生出力との関係を調べた。
【0194】
実験に使用した磁気検出素子は、前記フリー磁性層70の素子中央部Dの膜厚t1が70Åであり、トラック幅Twは0.2μmであり、MRハイト長さ(図1に示す磁気検出素子の図示Y方向の長さ)は、0.15μmであった。また前記フリー磁性層70にはCoFe/NiFeを使用し、前記フリー磁性層70の単位面積当たりの磁気モーメントは、4.84(T・nm)であった。実験では、前記フリー磁性層70の素子両側端部Cの膜厚t2を変化させて、前記比率と再生出力との関係を調べた。
【0195】
図20に示すように、比率が正の値のとき、すなわち素子両側端部Cの膜厚t2が素子中央部Dの膜厚t1と同じかあるいはそれよりも大きいとき(従来例)、再生出力が小さく、前記比率を負の値にすると、すなわち素子両側端部Cの膜厚t2を素子中央部Dの膜厚t1よりも小さくすると(実施例)、再生出力が大きくなることがわかった。
【0196】
ただし前記比率が−80%よりも小さくなると再生波形の歪みやバルクハウゼンノイズなどの不安定性(いわゆるInstability)が発生する確率が増えるという問題があるので、前記比率の下限値を−80%とし、前記比率の好ましい範囲を−80%以上で0よりも小さい範囲内と設定した。
【0197】
【発明の効果】
以上詳細に説明した本発明では、第2反強磁性層のトラック幅方向の素子中央部に形成された前記間隔内に、さらに第2フリー磁性層が埋められており、前記素子中央部の前記フリー磁性層の膜厚が、前記フリー磁性層の素子両側端部の膜厚よりも厚く形成されている。
【0198】
前記フリー磁性層の素子両側端部が前記フリー磁性層の素子中央部の膜厚よりも薄く形成されると、前記フリー磁性層の素子両側端部の内側端部から発生する静磁界が減少するから、素子中央部への静磁界の影響は軽減される。しかも前記フリー磁性層の素子中央部では膜厚が厚くされたことによって前記静磁界による磁束が前記素子中央部で広がり、すなわち前記素子中央部での磁束密度をより効果的に小さくできるため、前記フリー磁性層の素子中央部での再生感度を向上させることができ、再生出力の向上を図ることができる。また素子中央部の膜厚が厚くされたことで、熱揺らぎの問題を適切に緩和でき従来に比べてノイズの発生を適切に抑制できる磁気検出素子を製造することができる。
【0199】
また、前記フリー磁性層の素子両側端部では素子中央部よりも膜厚が薄いことから、前記素子両側端部と前記第2反強磁性層との間で交換結合磁界を適度な大きさで発生させ、前記フリー磁性層の素子両側端部の磁化を適切にトラック幅方向に固定でき、サイドリーディングの発生を抑制できる。
【0200】
よって本発明では今後の高記録密度化に適切に対応すべく狭トラック化を促進させても、再生感度が良好で再生出力を向上させることができ、さらにサイドリーディングの発生等も少なく再生特性に優れた磁気検出素子を製造することができる。
【0201】
また本発明の磁気検出素子の製造方法では、素子中央部に第2フリー磁性層を形成する工程において、フォトリソグラフィー技術を用いなくても、前記第2フリー磁性層を形成できるから、アライメントが必要なく、精度良く且つ容易に前記第2フリー磁性層を形成することができる。
【0202】
さらにフリー磁性層の素子両側端部は、イオンミリングの影響を受けることがなく、また受けてもその影響は非常に小さいので、前記第2反強磁性層あるいは第3反強磁性層との間で発生する交換結合磁界をより適切に大きくでき、前記フリー磁性層の素子両側端部Cをしっかりと固定でき、サイドリーディングの発生を適切に抑制することが可能な磁気検出素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図2】本発明の第2実施形態の磁気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図3】図1に示す磁気検出素子の製造方法を示す一工程図、
【図4】図3の次に行なわれる一工程図、
【図5】図4の次に行なわれる一工程図、
【図6】図5の次に行なわれる一工程図、
【図7】図6の次に行なわれる一工程図、
【図8】図2に示す磁気検出素子の製造方法を示す一工程図、
【図9】図8の次に行なわれる一工程図、
【図10】図9の次に行なわれる一工程図、
【図11】図10の次に行なわれる一工程図、
【図12】図11の次に行なわれる一工程図、
【図13】図8ないし図10とは異なる製造方法で磁気検出素子を製造する際の一工程図、
【図14】図13の次に行なわれる一工程図、
【図15】図14の次に行なわれる一工程図、
【図16】図15の次に行なわれる一工程図、
【図17】図3ないし図5とは異なる製造方法で磁気検出素子を製造する際の一工程図、
【図18】図17の次に行なわれる一工程図、
【図19】図18の次に行なわれる一工程図、
【図20】[(フリー磁性層の素子両側端部の膜厚t2−フリー磁性層の素子中央部の膜厚t1)/フリー磁性層の素子中央部の膜厚t1]×100(%)と、再生出力との関係を示すグラフ、
【図21】従来の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図22】従来の別の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【符号の説明】
20 基板
22 第1反強磁性層
23 固定磁性層
27 非磁性材料層
28 第1フリー磁性層
41 第3反強磁性層
42 第2反強磁性層
50 電極層
51、57 第2フリー磁性層
53 非磁性層
54 強磁性層
60、61 レジスト層
70、71 フリー磁性層
C 素子両側端部
D 素子中央部
Claims (15)
- 下から第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層及び第1フリー磁性層の順に積層された多層膜を有し、
前記第1フリー磁性層の上側には素子中央部にトラック幅方向に所定の間隔を開けた第2反強磁性層が形成され、
前記間隔内には、さらに第2フリー磁性層が埋められ、この第1フリー磁性層と第2フリー磁性層とを有してフリー磁性層が構成され、トラック幅方向における素子中央部の前記フリー磁性層の膜厚が、トラック幅方向における素子両側端部の前記フリー磁性層の膜厚よりも厚く形成されていることを特徴とする磁気検出素子。 - [(前記フリー磁性層の素子両側端部での膜厚から前記フリー磁性層の素子中央部の膜厚を引いた値)/前記フリー磁性層の素子中央部の膜厚]×100(%)は、−80%以上で0%より小さい範囲内である請求項1記載の磁気検出素子。
- 前記フリー磁性層の素子両側端部での膜厚は10Å以上で50Å以下である請求項2記載の磁気検出素子。
- 前記フリー磁性層の素子中央部での膜厚は30Å以上で70Å以下である請求項2または3に記載の磁気検出素子。
- 前記間隔内に埋められて形成された第2フリー磁性層は、前記多層膜を構成する第1フリー磁性層とは別工程で形成されたものである請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気検出素子。
- 前記フリー磁性層の素子両側端部と前記第2反強磁性層間にはトラック幅方向の素子中央部に所定の間隔を開けた第3反強磁性層が形成される請求項1ないし5のいずれかに記載の磁気検出素子。
- 少なくとも前記フリー磁性層の素子両側端部と前記第2反強磁性層間には強磁性層が設けられ、この強磁性層も合わせて前記フリー磁性層の素子両側端部を構成する請求項1ないし5のいずれかに記載の磁気検出素子。
- 前記第2反強磁性層のトラック幅方向における内側端面、あるいは第2反強磁性層と第3反強磁性層のトラック幅方向における内側端面は、下方から上方に向うにしたがって前記間隔が徐々に広がる傾斜面あるいは湾曲面で形成される請求項1ないし7のいずれかに記載の磁気検出素子。
- 以下の工程を有することを特徴とする磁気検出素子の製造方法。
(a)下から第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層及び第1フリー磁性層の順に積層された多層膜を形成する工程と、
(b)前記第1フリー磁性層の上側に素子中央部のトラック幅方向に所定の間隔を開けた第2反強磁性層を形成する工程と、
(c)前記間隔内にさらに第2フリー磁性層を埋め、前記第1フリー磁性層と第2フリー磁性層とを有するフリー磁性層を構成し、トラック幅方向における素子中央部の前記フリー磁性層の膜厚を、トラック幅方向における素子両側端部の前記フリー磁性層の膜厚よりも厚く形成する工程。 - 前記(c)工程に代えて以下の工程を有する請求項9記載の磁気検出素子の製造方法。
(d)少なくとも前記間隔内から前記第2反強磁性層のトラック幅方向の内側端面上に第2フリー磁性層を延出形成した後、前記内側端面に延出形成された第2フリー層を削って、前記間隔内に前記第2フリー磁性層を残す工程。 - 前記(d)工程で、前記間隔内に形成された前記第2フリー磁性層の膜厚を、前記第2反強磁性層の前記内側端面に延出形成された前記第2フリー磁性層の膜厚よりも厚く形成する請求項10記載の磁気検出素子の製造方法。
- 前記(a)工程及び(b)工程に代えて以下の工程を有する請求項9ないし11のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
(e)下から第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層、第1フリー磁性層、第3反強磁性層及び非磁性層の順に積層された多層膜を形成する工程と、
(f)前記非磁性層を削った後、その上に第2反強磁性層を形成する工程と、
(g)前記第2反強磁性層及び第3反強磁性層の素子中央部を膜厚方向に削って前記素子中央部に所定の間隔を開け、このとき前記間隔内から前記第1フリー磁性層の素子中央部を露出させる工程。 - 前記(a)工程及び(b)工程に代えて以下の工程を有する請求項9ないし11のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
(h)下から第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層及び第1フリー磁性層及び非磁性層の順に積層された多層膜を形成する工程と、
(f)前記非磁性層を削った後、その上に前記第1フリー磁性層とともにフリー磁性層を構成する強磁性層、および第2反強磁性層を形成する工程と、
(j)前記第2反強磁性層の素子中央部を膜厚方向に削って前記素子中央部に所定の間隔を開け、このとき前記間隔内から前記強磁性層の素子中央部を露出させる工程。 - 前記(e)工程あるいは(h)工程での前記非磁性層を、Ru、Re、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Rh、Cr、Cuのいずれか1種または2種以上で形成する請求項12または13に記載の磁気検出素子の製造方法。
- 前記非磁性層を3Å以上で10Å以下で形成する請求項14記載の磁気検出素子の製造方法。
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