JP2007080904A - 磁気抵抗効果素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】素子の小型化を図ることが可能でありながら、ピンド層の磁化をより安定的に固定することができる磁気抵抗効果素子等を提供する。
【解決手段】磁気抵抗効果素子51は、フリー層63、ピンド層59およびそれらの間に配置された非磁性層61を備える。ピンド層は、ハイト方向において非磁性層よりも延長し非磁性層が積層されていない延長部59bを有する。延長部の上には強磁性層73が設けられており、その上には反強磁性層75が設けられている。ピンド層は、上部強磁性膜65、下部強磁性膜67及び非磁性金属膜69を含むシンセティック構造であり、延長部における強磁性層及び上部強磁性膜の磁気膜厚をMs3t3とし、下部強磁性膜の磁気膜厚をMs2t2としたとき、2・Ms2t2>Ms3t3>1/2・Ms2t2の関係を満たす。
【選択図】 図4
【解決手段】磁気抵抗効果素子51は、フリー層63、ピンド層59およびそれらの間に配置された非磁性層61を備える。ピンド層は、ハイト方向において非磁性層よりも延長し非磁性層が積層されていない延長部59bを有する。延長部の上には強磁性層73が設けられており、その上には反強磁性層75が設けられている。ピンド層は、上部強磁性膜65、下部強磁性膜67及び非磁性金属膜69を含むシンセティック構造であり、延長部における強磁性層及び上部強磁性膜の磁気膜厚をMs3t3とし、下部強磁性膜の磁気膜厚をMs2t2としたとき、2・Ms2t2>Ms3t3>1/2・Ms2t2の関係を満たす。
【選択図】 図4
Description
本発明は、磁気抵抗効果素子及びその製造方法に関するものである。
磁気抵抗効果素子においては、非磁性層の上下に強磁性金属からなるフリー層及びピンド層が設けられている。ピンド層における非磁性層と逆側の面には反強磁性層が設けられている。フリー層の磁化方向は、記録媒体などから提供される外部磁界の方向に容易に向くようになっている。また、ピンド層の磁化方向は、反強磁性層との交換結合によって一方向に固定されている。そして、磁気抵抗効果素子を磁気ヘッドとして用いた場合の出力特性は、フリー層及びピンド層の磁化方向のなす角度によって定まる。
ピンド層と反強磁性層との交換結合力や交換結合の安定性は、ヘッドの特性や信頼性に大きな影響を及ぼすことから、できるだけ大きな交換結合力を獲得することが好ましい。かかる観点から、ピンド層を、大きく見て強磁性膜、非磁性金属膜及び強磁性膜からなる三層構造とする、いわゆるシンセティックピンド(synthetic pinned)構造がある。このシンセティックピンド構造では、二つの強磁性膜間に強い交換結合を与え、反強磁性層からの交換結合力を実効的に増大させる効果がある。
ところで、年々、素子のサイズは、薄層化、狭幅化など小型化が望まれている。狭幅化を進め、例えばリードトラック幅を0.05nmまで狭小化したとすると、反強磁性層を構成するIrMnなどの粒子は幅方向には僅かに2〜3個分程度しか収まらない状況となる。すなわち、より少ない粒子数によって反強磁性層全体の磁化方向が決定されるため、反強磁性層を構成する一つの粒子が反強磁性層全体の磁化方向を決定する割合は相対的に増大する。よって、反強磁性層を構成する粒子単位の磁化方向のバラツキによって、反強磁性層全体の磁化方向のバラツキ、ひいては磁気抵抗効果素子全体の特性のバラツキが生じやすくなる傾向にある。
一方、素子全体の薄層化に関しては、フリー層、非磁性層及びピンド層の三層の何れか一層でも大幅に薄層化すると素子の特性に悪影響を与えるおそれが考えられる。そこで、ピンド層をハイト方向に延長することでその形状異方性を利用してピンド層の磁化方向を固定し、反強磁性層については当該三層が重なる領域から除外することで素子全体を薄層化する手法が存在している(特許文献1参照)。
特開2005−44489号公報
上記のように反強磁性層を当該三層が重なる領域から除外した場合には素子の薄層化は実施し易くなる。しかしながらピンド層の磁化方向の固定は、ピンド層の形状異方性を利用するだけでは十分であるといえず、ピンド層の近傍にある磁区制御膜の影響によって、ピンド層の磁化が安定的に固定されない懸念がある。
また、これに対処すべく反強磁性層を、薄層化を阻害しない領域に新たに設けることも考えられるが、その場合には磁化固定効果の実効性を得るために検討が必要である。特に、シンセティックピンド構造においては構成層の層間バランスが重要である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、素子の小型化を図ることが可能でありながら、ピンド層の磁化をより安定的に固定することができる磁気抵抗効果素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る磁気抵抗効果素子は、フリー層、ピンド層およびそれらの間に配置された非磁性層を備え、前記ピンド層は、ハイト方向において前記非磁性層よりも延長し該非磁性層が積層されていない延長部を有し、前記延長部の上には、強磁性層が設けられており、前記強磁性層の上には、反強磁性層が設けられている。
好適には、前記ピンド層は、シンセティックピンド層であり、上部強磁性膜及び下部強磁性膜とそれらの間に設けられた非磁性金属膜とを少なくとも含み、前記延長部における前記強磁性層及び前記上部強磁性膜の磁気膜厚をMs3t3とし、前記下部強磁性膜の磁気膜厚をMs2t2としたとき、
2・Ms2t2>Ms3t3>1/2・Ms2t2
の関係を満たす。
2・Ms2t2>Ms3t3>1/2・Ms2t2
の関係を満たす。
同課題を解決するため、本発明は、磁気ヘッド装置及び磁気記録再生装置も提供する。
本発明の磁気ヘッド装置は、本発明の磁気抵抗効果素子を読み取り素子として含む。
本発明の磁気記録再生装置は、本発明の磁気ヘッド装置と、磁気記録媒体とを含む。
さらに、本発明は、磁気抵抗効果素子の製造方法も提供する。
本発明に係る磁気抵抗効果素子の製造方法は、フリー層、ピンド層およびそれらの間に配置された非磁性層を備える磁気抵抗効果素子の製造方法であって、前記ピンド層を設け、その上に前記非磁性層を積層し、さらにその上にフリー層を積層し、その後、前記ピンド層におけるハイト方向奥側に前記非磁性層よりも延長し該非磁性層が積層されていない延長部が生じるよう、前記非磁性層及び前記フリー層のハイト方向奥側部分をエッチングし、前記ピンド層の延長部の上に、強磁性層を積層し、前記強磁性層の上に、反強磁性層を積層する。
その場合、好適には、前記ピンド層は、シンセティックピンド層であり、上部強磁性膜及び下部強磁性膜とそれらの間に設けられた非磁性金属膜とを少なくとも含み、前記延長部における前記強磁性層及び前記上部強磁性膜の磁気膜厚をMs3t3とし、前記下部強磁性膜の磁気膜厚をMs2t2としたとき、
2・Ms2t2>Ms3t3>1/2・Ms2t2
の関係を満たすような厚さで、前記強磁性層を成膜する。
2・Ms2t2>Ms3t3>1/2・Ms2t2
の関係を満たすような厚さで、前記強磁性層を成膜する。
上述した本発明によれば、反強磁性層を、ピンド層、非磁性層、フリー層の三層が積層される領域から除外すると共に、そのような構成であってもピンド層の磁化をより安定的に固定することを可能としたことで、素子の小型化及びピンド層の磁化の安定的固定化を可能とした。
なお、本発明の他の特徴及びそれによる作用効果は、添付図面を参照し、実施の形態によって更に詳しく説明する。
以下、この発明に係る磁気抵抗効果素子、並びにそれを用いた磁気ヘッド装置及び磁気記録再生装置の実施の形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
図1は、磁気記録再生装置の平面図である。図示された磁気記録再生装置1は、磁気ヘッド装置3と、磁気ディスク5とを含む。磁気ヘッド装置3は少なくとも、ヘッド支持装置7と、位置決め装置9と、磁気ヘッド11とを有する。ヘッド支持装置7の一端は、位置決め装置9に接続されている。磁気ヘッド11は、ヘッド支持装置7の他端に支持されて、磁気ディスク5の磁気記録面と対向するように配置される。
このように構成された磁気記録再生装置1においては、磁気ディスク5が図示しない駆動装置により矢印A1の方向に回転駆動されると、磁気ヘッド11が、微小浮上量で、磁気ディスク5の面から浮上する。磁気ヘッド11は、位置決め装置9の駆動によってヘッド支持装置7を介して磁気ディスク5の径方向b1またはb2に移動される。そして、磁気ディスク5上の所定のトラック位置において磁気情報の書き込み、読み取りを行う。
図2に、磁気ヘッド11における媒体対向面側の端部断面を示す。磁気ヘッド11は、書き込み素子21と、読み取り素子である磁気抵抗効果素子51とを備えている。
書き込み素子21には、ギャップ膜25が設けられている。ギャップ膜25の上下には、上磁極膜27及び下磁極膜29が延在している。上磁極膜27と下磁極膜29は、媒体対向面と逆側において、結合部31によって磁路が形成されるように結合されている。上磁極膜27と下磁極膜29との間には、コイル33が形成されている。コイル33は、結合部31を軸に周回するように配置されている。
読み取り素子である磁気抵抗効果素子51は、非磁性膜35を挟んで書き込み素子21の下方に配置されている。
なお、磁気記録再生装置や磁気ヘッドの構成に関してはあくまでも例示であり、適宜改変することが可能である。
図3及び図4に、本実施の形態に係る磁気抵抗効果素子の正面及び側面を模式的に示す。磁気抵抗効果素子51は、本実施の形態では、CPP(current perpendicular to plane)型GMR素子として構成されている。
磁気抵抗効果素子51は、上部磁気シールド層53及び下部磁気シールド層55の間に、磁気抵抗効果膜57を備えている。磁気抵抗効果膜57は、その順に積層される、ピンド層59、非磁性層61及びフリー層63を有している。
ピンド層59は、シンセティックピンド層であり、少なくとも、上部強磁性膜65と、下部強磁性膜67と、上部強磁性膜65及び下部強磁性膜67の間に設けられた非磁性金属膜69とを有している。
ピンド層59の磁化方向は一方向に固定されており、これに対し、フリー層63の磁化方向は、外部から印加される磁界に応答して自由に動くことができる。磁気抵抗効果膜57においては、ピンド層59の上部強磁性膜65の磁化方向と、フリー層63の磁化方向とが同方向であるときには抵抗値が最小になり、逆方向であるときには抵抗値が最大になる。したがって、この抵抗変化特性を利用して、外部磁界を検出する。
図3に示されるように、磁気抵抗効果膜57の左右両側には、絶縁層70を介して磁区制御膜71が設けられている。なお、本明細書及び特許請求の範囲に記載される方向は次のように定めている。図2及び図4の紙面左右方向をハイト方向すなわち前後方向としており、そのうちABS面を前方(手前側)、ABS面から離隔する方向を後方(奥側)として説明する。また、図2及び図4の紙面表裏方向を左右方向(幅方向)として説明する。さらに、図面において、保護膜や下地膜などは周知態様で設けられていてもよいが、図示は省略されている。
左右一対の磁区制御膜71は、硬磁性膜を用いており、本実施の形態では、具体的にはCoPt、CoPtCr等を用いることができる。なお、これに限定されず、磁区制御膜としては、反強磁性膜、あるいは、軟磁性膜及び反強磁性膜の積層膜、を用いることもできる。
図4に示されるように、フリー層63、非磁性層61及びピンド層59の一部におけるハイト方向の奥側には、強磁性層73、反強磁性層75及び絶縁層77が設けられている。
より詳細に説明すると、まず、ピンド層59は、積層部59aと延長部59bとを有している。積層部59aは、ピンド層59のハイト方向の手前側の部分であり、非磁性層61やフリー層63が上下方向に積層されている部分である。延長部59bは、ハイト方向の奥側の部分であって、非磁性層61やフリー層63が積層されてなく少なくとも非磁性層61の後端よりも更に後方に延長した部分である。そして、ピンド層59の延長部59bの上方に、まず、強磁性層73が積層されており、さらに、強磁性層73の上方に反強磁性層75が積層され、反強磁性層75の上方に絶縁層77が積層されている。
積層部59a及び延長部59bの上面は、上部強磁性膜65の上面によって形成されている。上部強磁性膜65において積層部59aを構成する部分と、延長部59bを構成する部分とでは、膜厚が異なっている。すなわち、積層部59aを構成する部分の膜厚の方が、延長部59bを構成する部分の膜厚よりも大きくなっており、それに起因し、積層部59aの上面の方が延長部59bの上面よりも高い位置にある。
また、膜厚に関しては、本発明では次のような関係が満たされている。すなわち、
2・Ms2t2>Ms3t3>1/2・Ms2t2
という関係が成り立っている。
2・Ms2t2>Ms3t3>1/2・Ms2t2
という関係が成り立っている。
上記関係式において、Ms2t2は、ピンド層59における下部強磁性膜67の磁気膜厚であり、Ms2は下部強磁性膜67の飽和磁化、t2は下部強磁性膜67の寸法上の膜厚である。Ms3t3は、延長部59bにおける上部強磁性膜65と、強磁性層73との磁気膜厚である。Ms3は延長部59bにおける上部強磁性膜65と強磁性層73との飽和磁化であり、t3は図4に示されているように延長部59bにおける上部強磁性膜65の膜厚t1と、強磁性層73の膜厚t3’との合計膜厚である。
さらに、上記のようにハイト方向に積層部59a及び延長部59bが並んで形成されるピンド層59は、幅方向寸法よりもハイト方向寸法の方が大きくなるように形成されている。かかる関係により、ピンド層59は、形状異方性を利用した磁化方向の固定効果を得ている。
また、構成材料の例について説明すると、まず、下部強磁性膜67は、Fe(70)Cr(30)あるいはCo(X)Fe(100-X)[Xは70〜90]等から構成されている。なお、括弧内は構成比率を示す。非磁性金属膜69はRu、Ir、Rh等から構成されている。上部強磁性膜65は、Co(30)Fe(70)や、Co2MnSi、Co2MnAlなどのホイスラー合金から構成されている。強磁性層73は、Co(X)Fe(100-X)[Xは70〜90]等から構成されている。反強磁性層75は、IrMnあるいはNiO等から構成されている。絶縁層77はアルミナ等から構成されている。非磁性層61はCuから構成され、フリー層63はNi(80)Fe(20)、Co(X)Fe(100-X)[Xは30〜90]や、Co2MnSi、Co2MnAlなどのホイスラー合金から構成されている。
次に、上述した構成を有する磁気抵抗効果素子51の製造方法について説明する。磁気抵抗効果素子51は、磁気ヘッド11において読み取り素子として構成されており、説明を省略する部分については磁気ヘッドの周知の製造態様として実施されているものとする。図5の(a)に示されるように、下部磁気シールド層55を成膜したところで、次に、下部磁気シールド層55の上方に、下部メタルギャップ、下部強磁性膜67、非磁性金属膜69及び上部強磁性膜65を主要構成要素として含むシンセティック構造のピンド層59を形成する。さらに、ピンド層59の上に非磁性層61を形成し、その上にフリー層63を形成する。
次に、ピンド層59におけるハイト方向奥側に、非磁性層61の後端よりも延長し少なくとも非磁性層61が積層されていない延長部59bが生じるように、フリー層63及び非磁性層61をエッチングする。具体的には、フリー層63の上方にマスク材を設けミリングなどのドライエッチングを施す。それによって、図5の(b)に示されるように、磁気抵抗効果膜57のハイト方向奥側に凹部79を形成する。ミリングの深さはピンド層59における上部強磁性膜65に達する程度で行い、すなわち、凹部79の底面は上部強磁性膜65によって画定される。
次に、ミリングが実施された図5の(b)の状態から、凹部79内の上部強磁性膜65の上方に強磁性層73を成膜する。強磁性層73の膜厚t3’は、磁気膜厚の関係式を満たすように制御されることは上述したとおりである。さらに、連続して強磁性層73の上方に反強磁性層75を成膜し、その上に凹部79を埋めるように絶縁層77を形成する。そして、フリー層63及び絶縁層77の上方に上部メタルギャップ及び上部磁気シールド層53を成膜して、図4に示した積層構成を得る。
以上のような磁気抵抗効果素子51によれば次のような作用が得られる。磁気抵抗効果素子51においては、下部磁気シールド層55とピンド層59との間、換言するならば、フリー層63、非磁性層61、ピンド層59の三層が重なる領域には、反強磁性層が設けられていない。よって、磁気抵抗効果膜57ひいては磁気抵抗効果素子51全体を薄層化することができる。
また、フリー層、非磁性層、ピンド層の三層が重なる領域に反強磁性層を備える磁気抵抗効果膜において、リードトラック幅を狭小化していくと、前述したように、反強磁性層全体の磁化方向のバラツキに起因した磁気抵抗効果素子全体の特性のバラツキが懸念されるところであるが、本発明の磁気抵抗効果素子51であれば、反強磁性層が当該三層の重なる領域自体に既に設けられていないため、このような磁化方向のバラツキの問題が全く生じる余地がない。
一方、反強磁性層を当該三層の重なる領域から除外したことに伴い、ピンド層59の磁化方向の固定は次のようにして実現されている。ピンド層59は、トラック幅決定加工であるトリミングを行われた後において、幅方向寸法よりもハイト方向寸法の方が大きくなるように形成されている。これにより、まず、形状異方性を利用した磁化方向の固定効果を得ている。加えて、ピンド層59の延長部59b上方には反強磁性層75が設けられており、かかる反強磁性層75の作用による磁化方向の固定効果も獲得している。このようにして、反強磁性層が当該三層の重なる領域から除外されていても、ピンド層59における十分な磁化方向の固定効果が確保されている。
また、反強磁性層をピンド層の上面に直接成膜しようとした場合には、ピンド層59の上面はミリングを受けた面であるため、反強磁性層がピンド層59と好適に磁気交換結合しない虞がある。しかしながら、本発明では、反強磁性層75はピンド層59の上面に直接成膜されるのではなく、強磁性層73を介してピンド層59の上方に積層されている。反強磁性層75と強磁性層73との界面においては、両層が連続して成膜された場合に原子レベルでの良好な界面状態を実現できることから好適な磁気交換結合が得られる。またその一方で、強磁性層73は、ミリングを受けたピンド層59の上面に成膜した場合であってもピンド層59と磁気的に結合することができる。よって、ミリングにより生じたピンド層上面の上方に反強磁性層75を配置しておりながらも、反強磁性層75によるピンド層59の磁化方向の固定効果を確保することができる。
このように、磁気抵抗効果素子51によれば、反強磁性層をピンド層、非磁性層、フリー層の三層が積層される領域から除外すると共に、そのような構成であってもピンド層の磁化をより安定的に固定することを可能としたことで、素子の小型化及びピンド層の磁化の安定的固定化を両立できるようにした。
また、ピンド層がシンセティック構造である場合には、各層の磁気膜厚の層間バランスが問題となるところ、本実施の形態では、前述したように、少なくとも
2・Ms2t2>Ms3t3>1/2・Ms2t2
という関係が成立するように、下部強磁性膜67、上部強磁性膜65及び強磁性層73を形成する。これは、磁気膜厚Ms3t3が1/2・Ms2t2以下の場合や、磁気膜厚Ms3t3が2・Ms2t2以上の場合には、共に、磁気抵抗効果膜57の左右両側にある磁区制御膜71の磁界の影響を受けて、ピンド層59の磁化方向が傾いてしまう虞があるからである。
2・Ms2t2>Ms3t3>1/2・Ms2t2
という関係が成立するように、下部強磁性膜67、上部強磁性膜65及び強磁性層73を形成する。これは、磁気膜厚Ms3t3が1/2・Ms2t2以下の場合や、磁気膜厚Ms3t3が2・Ms2t2以上の場合には、共に、磁気抵抗効果膜57の左右両側にある磁区制御膜71の磁界の影響を受けて、ピンド層59の磁化方向が傾いてしまう虞があるからである。
より好適には、Ms2t2=Ms3t3の条件を満たす態様である。この場合には、磁気制御膜から発生する磁界の影響が完全にキャンセルされるので、最も望ましい。
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。
例えば、凹部79を形成するためミリングによって現れたフリー層63や非磁性層61の後側面には、強磁性層73や反強磁性層75を成膜する前にTaOX層を成膜してもよい。それによれば、磁気抵抗効果膜57におけるGMR効果が向上する利点がある。
また、本発明の磁気抵抗効果素子は、GMR素子として実施することには限定されるものではない。よって例えばTMR素子として実施することも可能である。また、本発明は、薄膜を用いたセンサやメモリ、アクチュエータ、半導体デバイスなど、薄膜磁気ヘッド以外の製品として酸化物を含む積層構造体として構成されるものに広く適用することが可能である。
1 磁気記録再生装置
3 磁気ヘッド装置
51 磁気抵抗効果素子
59 ピンド層
59b 延長部
61 非磁性層
63 フリー層
65 上部強磁性膜
67 下部強磁性膜
69 非磁性金属膜
73 強磁性層
75 反強磁性層
3 磁気ヘッド装置
51 磁気抵抗効果素子
59 ピンド層
59b 延長部
61 非磁性層
63 フリー層
65 上部強磁性膜
67 下部強磁性膜
69 非磁性金属膜
73 強磁性層
75 反強磁性層
Claims (6)
- フリー層、ピンド層およびそれらの間に配置された非磁性層を備え、
前記ピンド層は、ハイト方向において前記非磁性層よりも延長し該非磁性層が積層されていない延長部を有し、
前記延長部の上には、強磁性層が設けられており、
前記強磁性層の上には、反強磁性層が設けられている、
磁気抵抗効果素子。 - 前記ピンド層は、シンセティックピンド層であり、上部強磁性膜及び下部強磁性膜とそれらの間に設けられた非磁性金属膜とを少なくとも含み、
前記延長部における前記強磁性層及び前記上部強磁性膜の磁気膜厚をMs3t3とし、前記下部強磁性膜の磁気膜厚をMs2t2としたとき、
2・Ms2t2>Ms3t3>1/2・Ms2t2
の関係を満たす、
請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。 - 請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果素子を読み取り素子として含む磁気ヘッド装置。
- 請求項3に記載の磁気ヘッド装置と、磁気記録媒体とを含む磁気記録再生装置。
- フリー層、ピンド層およびそれらの間に配置された非磁性層を備える磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
前記ピンド層を設け、その上に前記非磁性層を積層し、さらにその上にフリー層を積層し、
その後、前記ピンド層におけるハイト方向奥側に前記非磁性層よりも延長し該非磁性層が積層されていない延長部が生じるよう、前記非磁性層及び前記フリー層のハイト方向奥側部分をエッチングし、
前記ピンド層の延長部の上に、強磁性層を積層し、
前記強磁性層の上に、反強磁性層を積層する、
磁気抵抗効果素子の製造方法。 - 前記ピンド層は、シンセティックピンド層であり、上部強磁性膜及び下部強磁性膜とそれらの間に設けられた非磁性金属膜とを少なくとも含み、
前記延長部における前記強磁性層及び前記上部強磁性膜の磁気膜厚をMs3t3とし、前記下部強磁性膜の磁気膜厚をMs2t2としたとき、
2・Ms2t2>Ms3t3>1/2・Ms2t2
の関係を満たすような厚さで、前記強磁性層を成膜する、
請求項5に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
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