JP2004031101A - 発光素子及び発光パネル - Google Patents

発光素子及び発光パネル Download PDF

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JP2004031101A JP2002185209A JP2002185209A JP2004031101A JP 2004031101 A JP2004031101 A JP 2004031101A JP 2002185209 A JP2002185209 A JP 2002185209A JP 2002185209 A JP2002185209 A JP 2002185209A JP 2004031101 A JP2004031101 A JP 2004031101A
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森 匡見
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Abstract

【課題】本発明は発光素子の発光寿命を改善した新規な封止構造を有する発光素子及び発光パネルを提供することを目的とする。
【解決手段】発光構造体を形成した基板と発光構造体を封止する封止部材とこれら基板及び封止部材を接合する接合部材とを有する発光素子であって、発光構造体からの発光をに受光できる位置に光触媒を設けてなる発光素子。また、前記基板又は封止部材の少なくとも何れかに光反射膜を設けることにより、効果的に光触媒に発光を照射することができる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、EL、LED、FED、VFD又はPDP等の発光素子の構造に関し、特に発光素子が長期にわたり安定な発光特性が維持され、長寿命の発光素子及び発光パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のITの発達により、さまざまな場所から発信され又格納されている多種多様の電子情報を表示する機会が増えており、表示装置が果たしている役割が大きくなっている。このような状況で表示装置の高性能、軽量・小型化のニーズが高く、携帯電話等用の小型のものから、大画面テレビ等用の大型のものまで、幅広いフラットパネルディスプレイの開発が進んでいる。
【0003】
これらの表示装置に用いられるものとして、エレクトロルミネセント(EL)パネル、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、蛍光表示管(VFD)、プラズマ表示パネル(PDP)等が挙げられる。特にEL発光素子は高輝度、低消費電力、薄型・軽量化の利点から将来有望な発光素子のひとつとして期待されている。
【0004】
これら表示装置はさまざまな環境で使用されており、大気中の水分等が素子に影響を及ぼし発光輝度を低下させ寿命を低くすることが知られている。このような中で、EL発光素子に限らず発光素子は発光寿命を十分に確保する必要があり、発光素子を有する表示装置は、大気中の水分等から素子を保護するために種々の封止構造を施して発光素子と水分等の接触を極力遮断するための構造等が提案されている。
【0005】
例えば、EL発光素子の場合、図11及び図12に示すように、EL発光層20を形成した基板10と封止部材30を接合部材40により、内部が真空又は不活性ガス等で充填しつつ封止し、更に水分等の吸着剤70を備えている。なお、図11は発光層の発光を封止部材側から取り出す基本構造のものであり、封止部材30はガラス等の透明又は半透明の材料で構成されるものである。また、図12は発光層の発光を基板側から取り出す基本構造のものであり、基板10がガラス等の透明又は半透明の材料で構成されるものである。
【0006】
また、有機ELの封止構造として、特開平7−169567号公報には、有機EL素子の積層構造体の外側に酸化バリア層および酸素吸収層からなる二重層を1組以上設けた封止方法が開示されている。また、特開平5−89959号公報には、有機EL素子の積層構造体の外表面に電気絶縁性無機化合物からなる保護層を設けた後、この保護層の外側に電気絶縁性ガラス、電気絶縁性高分子化合物および電気絶縁性気密流体からなるシールド層を設ける封止構造が開示されている。また、特開平5−182759号公報には、耐湿性を有する光硬化性樹脂を介して透水性の小さい基板を固着させる封止技術等が開示されている。
【0007】
また、無機EL素子の封止構造として、特開平6−325868号公報には、封止基板として有機樹脂と金属の積層複合材料からなる基板を用いる封止構造が開示されている。また、特開平10−134959号公報には、弗素化合物絶縁油パーフロオロトリアルキルアミンで薄膜ELパネル内全体を満たす封止構造が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記封止構造等によっても樹脂等の接合部分から完全に水分の侵入を防ぐことは困難であり、僅かに浸入した水分が発光素子の寿命に影響を及ぼしていたため、画期的な発光素子の封止構造が望まれていた。
【0009】
そこで、本発明は発光素子の発光寿命を改善した新規な封止構造を有する発光素子及び発光パネルを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、(1)〜(11)の手段によって達成される。
【0011】
(1) 発光構造体を形成した基板と発光構造体を封止する封止部材とこれら基板及び封止部材を接合する接合部材とを有する発光素子であって、発光構造体からの発光を受光できる位置に光触媒を設けてなる発光素子。
【0012】
(2) 前記基板又は封止部材の少なくとも一方の少なくとも一部が、透明又は半透明の部材からなる(1)に記載の発光素子。
【0013】
(3) 前記光触媒が少なくとも接合部材の外側面に設けてなる(1)又は(2)の何れかに記載の発光素子。
【0014】
(4) 前記光触媒は接合部材と基板又は封止部材との接合面の少なくとも一方に設けてなる(1)〜(3)の何れかに記載の発光素子。
【0015】
(5) 前記光触媒が接合部材の一部として設けてなる(1)〜(4)の何れかに記載の発光素子。
【0016】
(6) 前記光触媒が少なくとも発光構造体表面に設けてなる(1)〜(5)の何れかに記載の発光素子。
【0017】
(7) 前記光触媒が封止部材又は基板の少なくとも内面の一部に設けてなる(1)〜(6)の何れかに記載の発光素子。
【0018】
(8) 前記基板又は封止部材の少なくとも何れかに光反射膜を設けてなる(1)〜(7)の何れかに記載の発光素子。
【0019】
(9) 前記光触媒が遷移金属酸化物、遷移金属若しくは金属酸化物を含むナイトライド又は遷移金属を含むオキシナイトライドの少なくとも1種を有する(1)〜(8)の何れかに記載の発光素子。
【0020】
(10) 発光構造体をフィルムラッピングした発光素子であって、発光構造体とフィルムとの間に光触媒を設けてなる発光素子。
【0021】
(11) (1)〜(10)の何れかに記載された発光素子を備えた発光パネル。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
【0023】
図1〜4は、発光を基板と反対側から取り出す素子構成のものであり、図5〜7は発光を基板側から取り出す素子構成のものである。
【0024】
図1に本発明に係る発光素子の例を示す。
【0025】
発光を基板と反対側から取り出す素子構成の場合は、基板11上に発光構造体21を形成し、透明又は半透明の封止部材31を接合部材41により、発光構造体21を封止する。このような素子構造は、無機EL素子、有機EL素子、PDP、FED、VFD、LED等に用いられる。
【0026】
そして、発光構造体21から発光する光を受光できる位置、具体的には、少なくとも接合部材41を覆うようにその外側面に光触媒511を設ける。好ましくは、封止部材31の側面の一部又は全部にも光触媒を設ける。これにより、透明又は半透明の封止部材31を介して、発光を直接的に光触媒に照射することができる。この場合、封止部材31の側面を粗面化することが好ましい。粗面化することにより発光が散乱して効率よく光触媒に照射することができる。
【0027】
また、透明又は半透明の封止部材の端部表面に光反射膜611を設ける。これにより、発光した光が光反射膜により反射して照射、すなわち、間接的に照射することができ、直接的に照射される発光だけでなく間接的に照射される発光も加わり、発光構造体からの発光を効率よく光触媒に照射させることができる。また、光反射膜は照射効率を上げるために端部表面に設けた光反射膜611の対向面に第2の光反射膜612を設けても良い。特に表示エリアを遮断しないように封止部材の外周表裏面に設けるのが好ましい。
【0028】
水分等が封止内部に侵入しやすい部分である封止部材の外側面付近に光触媒を設けることにより、封止外部で分解することができ効果的に水分等の侵入を防ぐことができる。
【0029】
また、図2に示すように、接合部材41と基板11又は封止部材31の接合面の何れかに又は双方に光触媒512を設けても良い。浸入する水分の大部分は接合部分からと考えられるからである。このような構成により、直接的に発光を照射できるが、透明又は半透明の封止部材31の端部表面に光反射膜611を設けても良い。間接的に照射される発光も加わり、発光構造体からの発光を効率よく光触媒に照射させることができる。
【0030】
更に、図3に示すように、接合部材の一部を光触媒として用いても良い。すなわち、基板11と封止部材31の接合部分の内側を接合部材41で、外側を光触媒513で構成しても良い。外側に設けることにより水分が封止内部に浸入する前に効果的に分解することができる。
【0031】
この場合、同図に示すように基板11を透明又は半透明の部材とし、更に基板11に側壁111を設け、側壁の端面と封止部材31の端部内面とで接合することが好ましい。そして、透明又は半透明の封止部材の端部表面に光反射膜611を設けてもよい。また、基板の端部表面や側面(図示しない)に第2の光反射膜613を設けても良い。基板11と発光構造体21との接合面と、基板11と光触媒513との接合面とを異なる面上にすることにより、発光を直接的に照射することができ、更に、光反射膜611、613による間接的な反射光も加わり水分解反応が促進される。
【0032】
また、図4に示すように、接合部材31に側壁311を設けて、接合部材31の側壁端部内面と基板11の端面とを接合し、基板11を透明又は半透明の部材としても良い。このように構成しても、発光が直接的に光触媒514に照射される。
【0033】
また、図示しないが、封止内部、具体的には少なくとも透明又は半透明の封止部材内面、接合部材の内側面又は基板内面のいずれかに光触媒を設けても良い。この場合は、直接的に発光を照射することができるため、光反射膜を設ける必要はない。但し、封止部材内面に設ける場合には表示光を遮断しないようにする必要があるために、外周部付近に設けることが好ましい。
【0034】
更に、封止内部に光触媒を設ける場合、封止内部に吸着剤を設けることが好ましい。水を分解することにより発生する酸素ガスもまた、水分ほどでないにしても発光構造体の発光寿命に影響を及ぼす可能性があり、分解した酸素ガスを捕捉し、封止内部をクリーンな状態に保つことができるからである。吸着剤は光触媒とは別の箇所に設けても良く、また、光触媒と混合して用いても良い。
【0035】
次に発光を基板側から取り出す素子構成のものについて説明する。
【0036】
図5に本発明に係る発光素子の他の例を示す。
【0037】
発光を基板側から取り出す素子構成の場合は、透明又は半透明の基板12上に発光構造体22を形成し、封止部材32を接合部材42により、発光構造体22を封止する。このような基本構造は、無機EL素子、有機EL素子、PDP、FED、LED等に用いられる。
【0038】
そして、発光構造体から発光する光を受光できる位置、具体的には、少なくとも封止部材42を覆うようにその外側面に光触媒521を設ける。好ましくは、封止部材31の側面の一部又は全部にも光触媒を設ける。また、発光素子からの発光を効率よく光触媒に照射させるために、透明又は半透明の基板12の端部表面に光反射膜621を設ける。これにより、光反射膜621を介して、発光を直接的に光触媒に照射することができる。
【0039】
光反射膜は照射効率を上げるために端部表面に設けた光反射膜621の対向面に第2の光反射膜622を設けても良い。
【0040】
なお、TFT等を用いたアクティブ駆動発光素子の場合、TFT等を形成した基板から発光を取り出す際に開口率が低くなり本発明の効果も十分に発揮できない可能性があるために、図1に示すように発光を基板と反対方向の封止部材から取り出すような素子構成が好ましい。
【0041】
また、発光を基板側から取り出す素子構成のものも、封止内部に光触媒を設けても良い。発光を基板と反対側から取り出す素子構成のものに比べて光触媒の設置位置の自由度が高くなり、発光の受光効率が高くなる。
【0042】
例えば、図6に示すように、発光構造体22の表面に光触媒522を設けても良い。このように設ける場合は、発光取り出し電極と反対の電極も透明又は半透明の電極にする必要がある。
【0043】
また、発光を効率よく光触媒に照射するために、透明又は半透明の基板の端部表面に光反射膜621を設けることが好ましい。図6に示す構成にすることにより、光触媒が受光する発光は、(1)直接的に照射されるルート、(2)光反射膜で反射し更に封止部材で乱反射し間接的に照射されるルート、(3)光触媒層で透過(光触媒で100%吸収されるわけではなく、約半分は透過する)した光が更に封止部材で反射して間接的に照射されるルート等が考えられ、高効率で発光を受光できる。
【0044】
更に、封止内部に光触媒を設ける場合、発光を基板と反対側から取り出す素子構成のものと同様に、封止内部に吸着剤7を設けることが好ましい。水を分解するすることにより発生する酸素ガスもまた、水分ほどでないにしても発光構造体の発光寿命に影響を及ぼす可能性があり、分解した酸素ガスを捕捉し、封止内部をクリーンな状態に保つことができるからである。吸着剤は光触媒とは別の箇所に設ける場合でなく、光触媒と混合して用いても良い。
【0045】
また、図7に示すように、封止部材32の内面及び基板12の内面に光触媒523を設けても良い。少なくとも光触媒を設けないものに比べて十分な効果が得られる。
【0046】
なお、図示しないが、発光を基板側から取り出す素子構成のものも、図3、4と同様に光触媒を接合部材の一部とすることができ、更に、基板又は接合部材に透明又は半透明の側壁を設けても良い。
【0047】
また、図8に示すように、発光構造体23をフィルム8によりラッピングした発光素子の場合であっても、発光構造体23とフィルム8の間に光触媒53を設けても良い。なお、発光構造体の電極は発光を透過できる程度の透明性が必要である。
【0048】
以上、光触媒を設ける位置等についての代表例を説明したが、上記例に限らず、組み合わせによるものでも良い。例えば、封止外部と内部の双方に光触媒を設けても良い。発光が照射できる位置に設置してあれば問題なく本発明の効果を発揮することができる。
【0049】
本発明に係る光触媒は、水を分解する機能を有していれば、特に限定されるものではないが、遷移金属を含む酸化物、遷移金属を含むナイトライド又は遷移金属を含むオキシナイトライドの少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0050】
従来より光触媒にはTiO、SrTiO、ZrO、BaTi、NaTaO等が知られているが、これらは何れも紫外光励起であり、本発明に係る発光構造体からの発光は可視領域の光を多く含むため、効率よく水分解反応を引き起こすことができない。よって、本発明に用いる光触媒では、可視光励起により水分解可能な光触媒を用いることが好ましい。
【0051】
具体的には、主に青色成分(波長400〜500nm)の発光を含む場合には、Ta、TaON、LaTiON、YVO、BiMo12、NaInS、AgInZn、AgNbO、KSrTa15、TiNF、TiON、TaZr1−x1+x1−x、MnFe、TiO−WO、SrTiO−WO等を用いることが好ましい。
【0052】
また、主に緑色成分(波長500〜600nm)の発光を含む場合には、Ta、LaTiON等を用いることが好ましい。
【0053】
また、主に赤色成分(波長600〜800nm)の発光を含む場合には、LaTiON等を用いることが好ましい。
【0054】
また、白色発光(一般には、青:緑:赤=1:6:3程度の発光強度比の発光)あるいはRGBの2種以上の発光色を含む場合には、光エネルギーが大きい青色成分あるいは白色中の成分割合が高い緑色成分を利用して光触媒を活性化することが好ましい。
【0055】
具体的には、Ta、TaON、LaTiON、YVO、BiMo12、NaInS、AgInZn、AgNbO、KSrTa15、TiNF、TiON、TaZr1−x1+x1−x、MnFe、TiO−WO、SrTiO−WO等を用いることが好ましい。
【0056】
上記光触媒の他に、酸素吸着材料を混合して使用しても良い。酸素吸着材料としては、メタキシリレンジアミン(MXD)とアジピン酸との重縮合によるポリアミド(MXD6)や鉄粉などを用いることができ、MXD6が好ましい。
【0057】
光触媒の形成方法は、所望の位置に設けることができれば限定されるものではない。例えば、上記光触媒粉末とバインダーとを混合したペーストを所望の位置に塗布し乾燥することにより形成することができる。
【0058】
形成する光触媒の厚さは、0.1〜500μmが好ましい。
【0059】
光反射膜は、光触媒に効果的に発光を導くために設けられる。よって、発光が直接照射できる位置に光触媒を設ける場合は必ずしも必要ないが、光触媒を封止外部に設ける場合には、光反射膜を設けることが好ましい。
【0060】
光反射膜は、発光を効率よく反射できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、金属光沢を有しているものがよく、その例としてMg、Al、Si、遷移金属又はそれらを含む合金を利用することができるが、特に安価で安定な金属としてAl、Si、Ni、Ti、Cr、W、Mo、Ta、Ag等を用いることが好ましい。また、光反射膜は、一般的な薄膜プロセスにより形成することができる。具体的には、スパッタ法、蒸着法を用いることができる。反射膜の膜厚は、発光を反射できれば特に限定されるものではないが、0.1〜5μm程度が好ましい。
【0061】
本発明に係る発光素子は、無機EL素子、有機EL素子、PDP、FED、VFD、LED等に使用することができる。これらの発光素子の構造は一般的なものであれば特に限定されるものではない。
【0062】
発光素子が無機EL素子の場合、その構造は特に限定するものでもなく周知の構造のものを用いることができる。例えば、基板上に下部電極/絶縁層(誘電体層)/発光層/絶縁層(誘電体層)/上部電極を順次形成する。更に、透明又は半透明の封止部材を接合部材で封止する。
【0063】
基板として用いる材料は、誘電体層形成温度、およびEL蛍光層の形成温度、EL素子のアニール温度に耐えうる耐熱温度の基板を用い、その上に形成されるEL素子が形成でき、所定の強度を維持できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、アルミナ(Al)、フォルステライト(2MgO・SiO)、ステアタイト(MgO・SiO)、ムライト(3Al・2SiO)、ベリリア(BeO)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)、炭化シリコン(SiC+BeO)等のセラミック基板、結晶化ガラスなど耐熱性ガラス基板を挙げることができる。これらの耐熱温度はいずれも1000℃程度以上である。これらのなかでも特にアルミナ基板、結晶化ガラスが好ましく、熱伝導性が必要な場合にはベリリア、窒化アルミニウム、炭化シリコン等が好ましい。
【0064】
また、このほかに、石英、熱酸化シリコンウエハー等、チタン、ステンレス、インコネル、鉄系などの金属基板を用いることもできる。金属等の導電性基板を用いる場合には、基板上に内部に電極を有した誘電体膜を形成した構造が好ましい。
【0065】
発光を基板側から取り出す場合は、透明又は半透明の部材を用いる。例えば、石英、樹脂、ガラス(無アルカリガラス、耐熱性ガラス、青板ガラス)等を用いることができる。基板にカラーフィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いて発光色をコントロールしてもよい。
【0066】
下部電極層は、少なくとも基板側または下部誘電体層内部に形成される。誘電体層形成時、さらに発光層と共に熱処理の高温下にさらされる場合、電極層は主成分としてパラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ルテニウム、白金、タンタル、ニッケル、クロム、チタン等の通常用いられている金属電極を用いればよい。発光を基板側から取り出す場合は、所定の発光波長域で透光性を有する透明な電極が好ましい。この場合、ZnO、ITO、SnO、Inなどの透明電極を用いることが特に好ましい。
【0067】
また、上部電極層も下部電極層と同様な材料を用いることができる。発光を基板と反対側から取り出す場合も同様に、ZnO、ITO、SnO、Inなどの所定の発光波長域で透光性を有する透明な電極が好ましい。
【0068】
これらの材料で電極層を形成する方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、印刷焼成法など既存の方法を用いればよい。
【0069】
電極層の膜厚としては、形成する材料にもよるが、好ましくは50〜2000nm、特に100〜1000nm程度である。
【0070】
無機EL素子の発光層に用いられる材料としては、赤色発光を得る材料として、CaS:Eu、Ga:Eu、Y:Eu、Ga:Cr、(Y,Gd)BO:Eu等、緑色発光を得る材料として、ZnS:TbOF、ZnS:Tb、SrGa:Eu、ZnSiO:Mn、BaAl1219:Mn、ZnMgS:Mn、ZnSi0.5Ge0.5:Mn等、青色発光を得るための材料として、SrS:Ce、SrCa:Ce、SrGa:Ce、BaAl:Eu、BaMgAl1423:Eu、SrS:Cu等を挙げることができる。また、白色発光を得るものとして、SrS:Ce/ZnS:Mn、ZnMgS:Mn/BaAl:Eu等が挙げられる。
【0071】
通常、EL蛍光体薄膜は、母体材料に発光中心を添加する。発光中心は、既存の遷移金属、希土類を既存の量、添加すればよい。例えば、Ce,Euなどの希土類、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Bi、Ag、Pb、Tiなどを金属または硫化物の形で原料に添加する。添加量は、原料と形成される薄膜で異なるので、薄膜が既存の添加量となるように原料の組成を調整する。
【0072】
これらの材料でEL蛍光体薄膜を形成する方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、印刷焼成法など既存の方法を用いればよい。
【0073】
発光層の膜厚としては、特に制限されるものではないが、厚すぎると駆動電圧が上昇し、薄すぎると発光効率が低下する。具体的には、蛍光材料にもよるが、好ましくは100〜1000nm、特に150〜700nm程度である。
【0074】
高輝度の硫化物蛍光体薄膜を得るために、必要に応じて、形成しようとする組成の硫化物蛍光体を600℃以上の高い温度で形成したり、600℃以上の高い温度でアニールすることが好ましい。特に高輝度の青色蛍光体を得るためには、高温プロセスが有効である。
【0075】
EL素子は、上記電極層と蛍光薄膜(発光層)との間に、絶縁層を有する。絶縁層の構成材料としては、例えば酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化タンタル(Ta)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化イットリウム(Y)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)、PZT、ジルコニア(ZrO)、シリコンオキシナイトライド(SiON)、アルミナ(Al)、ニオブ酸鉛、PMN−PT系材料等およびこれらの多層または混合薄膜を挙げることができ、これらの材料で絶縁層を形成する方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、印刷焼成法など既存の方法を用いればよい。この場合の絶縁層の膜厚としては、好ましくは50〜1000nm、特に100〜500nm程度である。
【0076】
封止部材は、ガラス基板、カラーフィルター付きガラス、偏光板付きガラス、樹脂系部材、金属封止缶等を用いることができる。特に発光を基板と反対方向から取り出す素子構造の場合は、透明又は半透明の部材とすることが好ましい。具体的にはガラス基板、カラーフィルター付きガラス、偏光板付きガラス等を用いることができる。
【0077】
接合部材は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂等の材料があり、紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等の硬化方法を選択して用いることができる。
【0078】
次に、発光素子が有機EL素子の場合について説明する。
【0079】
発光素子が有機EL素子の場合は、その構造は特に限定するものでもなく周知の構造のものを用いることができる。例えば、基板上に下部電極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/上部電極を順次形成し、透明又は半透明の封止部材を接合部材で封止する。
【0080】
基板として用いる材料は、発光を基板側から取り出す場合、ガラス(無アルカリガラス)、石英又は樹脂等の透明ないし半透明材料を用いる。また、基板にカラーフィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いて発光色をコントロールしてもよい。カラーフィルター膜には、液晶ディスプレイ等で用いられているカラーフィルターを用いれば良いが、有機ELの発光する光に合わせてカラーフィルターの特性を調整し、取り出し効率・色純度・色バランスを最適化すればよい。
【0081】
また、発光を基板と反対側から取り出す場合は、基板は透明でも不透明であってもよく、不透明である場合にはセラミックス等を使用してもよい。
【0082】
上部及び下部電極は、発光を取り出す側の電極を所定の発光波長域で透過性を有する電極が好ましい。この場合、ZnO、ITO、SnO、Inなどの透明電極を用いることが特に好ましく、一般に陽極になり正孔注入側電極として機能する。一方、陰極側は、電子注入を効果的に行う低仕事関数の物質を用いることが好ましい。具体的には、K、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Zn、Zr、Cs、Er、Eu、Ga、Hf、Nd、Rb、Sc、Sm、Ta、Y、Yb等の金属元素単体、あるいは、BaO、BaS、CaO、HfC、LaB、MgO、MoC、NbC、PbS、SrO、TaC、ThC、ThO、ThS、TiC、TiN、UC、UN、UO、WC、Y、ZrC、ZrN、ZrO等の化合物を用いると良い。
【0083】
これらの材料で電極層を形成する方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、印刷焼成法など既存の方法を用いればよい。
【0084】
電極層の膜厚としては、形成する材料にもよるが、好ましくは50〜2000nm、特に100〜1000nm程度である。
【0085】
発光層の材料として使用可能な有機化合物としては、特に限定はないが、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム〔Alq3〕等の金属錯体色素が挙げられる。この他、これに加え、あるいは単体で、キナクリドン、クマリン、ルブレン、スチリル系色素、その他テトラフェニルブタジエン、アントラセン、ベリレン、コロネン、12−フタロベリノン誘導体等を用いることもできる。発光層は電子注入輸送層を兼ねたものであってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラト)アルミニウム等を使用することが好ましい。
【0086】
発光層は、蒸着等により形成することができる。また、発光層の厚さについては特に限定はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常5nm〜5μmの範囲が好ましい。
【0087】
正孔注入輸送層には、例えば、テトラアリールベンジシン化合物(テトラアリールジアミンないしテトラフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアジール誘導体、ポリチオフェン等である。これらの化合物は2種以上を併用してもよく、併用するときは別層にして積層したり、混合したりすればよい。
【0088】
正孔注入輸送層は、発光層等と同様に上記の化合物を蒸着すればよい。その厚さは特に限定されるものではないが、5〜500nmの範囲が好ましい。
【0089】
また、必要に応じて設けられる電子注入輸送層には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ベリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等を用いることができる。上述のように、電子注入輸送層は発光層を兼ね備えたものであってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラト)アルミニウム等を使用することが好ましい。電子注入輸送層の形成も発光層と同様に蒸着等によればよい。その厚さは特に限定されるものではないが、5〜500nmの範囲が好ましい。
【0090】
封止部材は、ガラス基板、カラーフィルター付きガラス、偏光板付きガラス、樹脂系部材、金属封止缶等を用いることができる。特に発光を基板と反対方向から取り出す素子構造の場合は、透明又は半透明の部材とすることが好ましい。具体的にはガラス基板、カラーフィルター付きガラス、偏光板付きガラス等を用いることができる。
【0091】
本発明に係る光触媒を備えた発光素子及び発光パネルは、上記のEL素子の他に、LED、FED、VFD、PDP等の発光素子についても好適に適用することができる。
【0092】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
無機EL発光素子を用いて図1に示す封止構造の発光素子を作製した。以下に図9を参照しつつ作製手順を説明する。
【0093】
基板11となる誘電体シートを作製し、この上にPdペースト及び誘電体ペーストをスクリーン印刷して下部電極211及び絶縁層212を形成し、乾燥させた後、このグリーンシートを大気中1200℃で15分焼成した。基板11及び絶縁層212となる誘電体材料は、ともにBaTiO−PbTiO系の材料(比誘電率2000)を用いた。
【0094】
そして、表面をCMP法で研磨し、更に平坦性を向上させるために、表面に厚さ400nmのBaTiO膜をスパッタリングにより形成した。その後、大気中700℃で20分アニールして、厚さ30μmの厚膜絶縁層付き基板を得た。
【0095】
そして、この厚膜絶縁層付き基板上に、下部薄膜絶縁層213(30nm)/蛍光体薄膜214(500nm)/上部薄膜絶縁層215(70nm)構造からなるEL蛍光体積層薄膜を形成した。なお、カッコ内の数値は厚さである。下部薄膜絶縁層213及び上部薄膜絶縁層215はAlペレットを用いた蒸着により、蛍光体積層薄膜214はZnS:Mnペレットを用いた蒸着によりそれぞれ作製した。蒸着は、標準的なEガンを備えた真空蒸着装置により、基板温度200℃で保持した前記厚膜絶縁層付き基板上に順次行った。上部薄膜絶縁層形成後、蒸着装置から取り出し、大気中550℃で20分間アニールすることにより、無機EL蛍光体積層薄膜を得た。
【0096】
このEL蛍光体積層薄膜上に、ITOターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタリング法により、基板温度200℃で膜厚200nmのITO透明電極216を形成し、無機EL蛍光体積層構造を完成した。
【0097】
次いで、この無機EL蛍光体積層構造に、本発明の図1に示した封止構造を施し、本発明に係る発光素子を完成させた。具体的な手順は以下に示す。
【0098】
封止部材31として厚さ1.1mm封止用ガラス板を用い、この封止用ガラス板の中央部分が隠れる様に設計された基板ホルダーに封止用ガラス板をセットし、スパッタ装置を用いて膜厚300nmとなるようにガラス基板の外周部分(10mm幅)に金属Alの光反射膜611、612を表裏面に形成した。
【0099】
次に、乾燥窒素をフローしたボックス内に前記無機EL蛍光体積層構造及びAl光反射膜を外周部分に形成した封止用ガラス板を移し、接合部材41として紫外線硬化系エポキシ樹脂接着剤で十分に接着して封止構造を形成した。
【0100】
得られた封止構造の素子に、図1に示すように、基板、樹脂製接着剤、ガラス封止板に接する部分に0.5μmの光触媒層を形成し光触媒を備えた無機EL素子(発光素子1)を得た。具体的には、ペースト状の光触媒を当該部分に均一に塗布し、湿度10%以下の乾燥雰囲気中、室温で十分に乾燥させた。光触媒材料は、Ta微粉末と有機溶剤からなるペースト状材料を使用した。
【0101】
また、上記手順で作製した光触媒を備えた無機EL素子(発光素子1)と同様の手順で比較例として図9に示した従来型素子構成で無機EL素子(発光素子2)も作製した。
【0102】
得られた発光素子1及び発光素子2それぞれの2つの電極間に1kHz、パルス幅50μsの電界を印加し、初期発光特性を評価すると共に、継続動作試験を行い両者の輝度劣化を比較した。
【0103】
これら発光素子は、発光層を同時に形成しているため初期発光輝度はほぼ同じ値を示し、初期発光面もダークスポット等の欠陥がない良好なものだった。
【0104】
継続動作試験の結果、実動作100時間経過時点で発光輝度、発光面の欠陥発生に有意差は認められなかったが、実動作500時間経過時点で相対輝度は78%(相対輝度=発光素子2輝度/発光素子1輝度×100%)となり、発光素子2は明らかにダークスポットの発生が目視で確認できた。
【0105】
更に動作試験を継続したところ、実動作1000時間経過時点で相対輝度59%となり、発光素子2はさらにダークスポットが成長している事が確認できた。
【0106】
発光素子1及び発光素子2の初期輝度からの半減寿命を算出すると、60Hz動作換算寿命でそれぞれ10万時間、3万時間程度になると予想される。本発明に係る光触媒を用いた発光素子1は、発光半減寿命が相対的に3倍以上になることが確認できた。
【0107】
この劣化防止効果は以下のような現象が起きていると推察される。
【0108】
一般的に、ELに限らず発光素子は大気中の水分が素子内部に浸入して発光輝度を劣化させる現象が存在する。従来型素子構造においてもある程度の時間は水分の浸入を防止できるが、大気中水分が樹脂接着等の接合界面に吸着し、時間をかけて封止構造内部に浸入することを十分に防ぐことはできない。
【0109】
本実施例では素子に吸着した水分が封止構造内部に到達するのに100時間程度かかると推測され、発光素子1と発光素子2とで実動作100時間経過までは特性の有意差が認められないのはそのためと考えられる。しかし、発光素子1は100時間経過以降は吸着した水分を随時分解することが可能なために顕著な劣化防止効果を発揮したものと考えられる。
【0110】
また、一度、水分が素子と接触すると急激に劣化が始まり、ダークスポットの成長を加速する。ダークスポットの発生は表示エリアが減少するため、急激に輝度特性を低下させることになる。本発明においては、ダークスポットの発生を極力押させることで半減寿命が格段に向上したと考えられる。
(実施例2)
実施例1は無機EL素子を用いて、基板と反対側から発光を取り出す素子構造の発光素子を作製し評価したが、実施例2では有機EL素子を用い、図5に示す基板側から発光を取り出す基本構造の発光素子を作製し評価した。以下に図10を参照しつつ作製手順を説明する。
【0111】
ガラス基板12上に透明電極221として厚さ200nmのITOをDCスパッタ法にて形成した後パターニングし、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げ乾燥した。この透明電極表面をUV/O洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーにて固定して、槽内を10−4Pa以下まで減圧した。
【0112】
次いで減圧状態を保ったまま、N,N−ジフェニル−m−トリル−4,4−ジアミン−1,1−ビフェニル(TPD)を蒸着速度0.2nm/secで55nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層222とした。
【0113】
さらに、減圧状態を保ったまま、Alq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム)を蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着して、電子注入輸送223・発光層224とした。
【0114】
次いで、真空蒸着装置からスパッタ装置に移し、DCスパッタ法にてAl(純度99.9%)をターゲットとして陰電極225を200nmの厚さに成膜した。このときのスパッタガスにはArを用い、ガス圧4.5Pa、ターゲットと基板間距離(Ts)は9.0cmとした。また、投入電力は100Wであった。
【0115】
最後にSiOを200nmの厚さにスパッタして保護層226として、有機EL素子を得た。
【0116】
この有機EL発光素子は、それぞれ2本ずつの平行ストライプ状陰電極と、8本の平行ストライプ状陽極を互いに直交させ、2×2mm縦横の素子単体(画素)を互いに2mmの間隔で配置し、8×2の16画素の素子としたものである。
【0117】
この有機EL素子に本発明の図5に示した封止構造を施し、本発明の劣化防止機能を備えた発光素子を完成させた。具体的な手順は以下に示す。
【0118】
乾燥窒素をフローしたボックス内に前記有機EL素子および厚さ0.5mmのアルミニウム金属封止缶を移し、接合部材42として紫外線硬化系エポキシ樹脂接着剤で十分に接着して封止構造を形成した。有機EL素子のガラス基板の外周部分には予め金属Al光反射膜を発光素子1と同様に形成した。
【0119】
得られた封止構造の素子に、図5に示すように、基板、樹脂製接着剤、ガラス封止板に接する部分に0.5μmの光触媒層521を形成し光触媒を備えた有機EL素子(発光素子3)を得た。具体的には、ペースト状の光触媒を当該部分に均一に塗布し、湿度10%以下の乾燥雰囲気中、室温で十分に乾燥させた。光触媒材料は、Ta微粉末と有機溶剤からなるペースト状材料を使用した。
【0120】
また、上記手順で作製した光触媒を備えた有機EL素子(発光素子3)と同様の手順で図10に示す光触媒を備えない従来型素子構成で有機EL素子(発光素子4)も作製した。
【0121】
得られた発光素子3及び発光素子4それぞれの2つの電極間に直流電流を印加し、10mA/cmの一定電流密度で初期発光特性を評価すると共に、継続動作試験を行い両者の輝度劣化を比較した。
【0122】
これら発光素子は、発光層を同時に形成しているため初期発光輝度はほぼ同じ値を示し、初期発光面もダークスポット等の欠陥がない良好なものだった。
【0123】
継続動作試験の結果、実動作100時間経過時点で発光輝度、発光面の欠陥発生に有意差は認められなかったが、実動作500時間経過時点で相対輝度は75%(相対輝度=発光素子4輝度/発光素子3輝度×100%)となり、発光素子4は明らかにダークスポットの発生が目視で確認できた。
【0124】
さらに動作試験を継続したところ、実動作1000時間経過時点で相対輝度50%となり、発光素子4はさらにダークスポットが成長している事が確認できた。
【0125】
発光素子3および発光素子4の初期輝度からの半減寿命を算出と、それぞれ1500時間、800時間程度になると予想される。本発明の劣化機能を備えるために光触媒を用いた発光素子3は、発光半減寿命が相対的に2倍程度になることが確認できた。
【0126】
【発明の効果】
本発明に係る光触媒を備えた発光素子及び発光パネルは、発光素子の発光輝度を経時的に劣化させる大気中の水分が、封止内部に浸入する前に又は浸入してから、光触媒により水分を分解することができるために、長期間にわたり発光素子の寿命劣化を防ぐ事が可能になる。
【0127】
また、光触媒の水分解反応に必要な光源を発光素子自体から供給できるために、外光から遮断された場所においても効果的に水分を分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る発光素子の素子構造の第一の形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る発光素子の素子構造の第二の形態を示す部分断面図である。
【図3】本発明に係る発光素子の素子構造の第三の形態を示す断面図である。
【図4】本発明に係る発光素子の素子構造の第四の形態を示す断面図である。
【図5】本発明に係る発光素子の素子構造の第五の形態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る発光素子の素子構造の第六の形態を示す断面図である。
【図7】本発明に係る発光素子の素子構造の第七の形態を示す断面図である。
【図8】本発明に係る発光素子の素子構造の第八の形態を示す断面図である。
【図9】本発明に係る発光素子の素子構造の第一実施例を示す断面図である。
【図10】本発明に係る発光素子の素子構造の第二実施例を示す断面図である。
【図11】従来の発光素子の素子構造の一例を示す断面図である。
【図12】従来の発光素子の素子構造の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
10、11、12 基板
20、21、22 発光構造体
30、31、32 封止部材
40、41、42 接合部材
511、512、513、514、521、522、523、53 光触媒
611、612、613、621、622、 光反射膜
7、70 吸着剤

Claims (11)

  1. 発光構造体を形成した基板と発光構造体を封止する封止部材とこれら基板及び封止部材を接合する接合部材とを有する発光素子であって、発光構造体からの発光を受光できる位置に光触媒を設けてなる発光素子。
  2. 前記基板又は封止部材の少なくとも一方の少なくとも一部が、透明又は半透明の部材からなる請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記光触媒が少なくとも接合部材の外側面に設けてなる請求項1又は2の何れかに記載の発光素子。
  4. 前記光触媒は接合部材と基板又は封止部材との接合面の少なくとも一方に設けてなる請求項1〜3の何れかに記載の発光素子。
  5. 前記光触媒が接合部材の一部として設けてなる請求項1〜4の何れかに記載の発光素子。
  6. 前記光触媒が少なくとも発光構造体表面に設けてなる請求項1〜5の何れかに記載の発光素子。
  7. 前記光触媒が封止部材又は基板の少なくとも内面の一部に設けてなる請求項1〜6の何れかに記載の発光素子。
  8. 前記基板又は封止部材の少なくとも何れかに光反射膜を設けてなる請求項1〜7の何れかに記載の発光素子。
  9. 前記光触媒が遷移金属を含む酸化物、遷移金属を含むナイトライド又は遷移金属を含むオキシナイトライドの少なくとも1種を有する請求項1〜8の何れかに記載の発光素子。
  10. 発光構造体をフィルムラッピングした発光素子であって、発光構造体とフィルムとの間に光触媒を設けてなる発光素子。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載された発光素子を備えた発光パネル。
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