JP2003217859A - Elパネル - Google Patents

Elパネル

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JP2003217859A
JP2003217859A JP2002011732A JP2002011732A JP2003217859A JP 2003217859 A JP2003217859 A JP 2003217859A JP 2002011732 A JP2002011732 A JP 2002011732A JP 2002011732 A JP2002011732 A JP 2002011732A JP 2003217859 A JP2003217859 A JP 2003217859A
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Japan
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thin film
color
phosphor thin
green
phosphor
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JP2002011732A
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English (en)
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Yoshihiko Yano
義彦 矢野
Jun Hirabayashi
潤 平林
Katsuto Nagano
克人 長野
Mutsuko Nakano
睦子 中野
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 RGBの蛍光体フィルタを必要としない、色
純度の良好な、特にフルカラーEL用のRGBの駆動に
適した蛍光体薄膜を有するELパネルを提供する。 【解決手段】 緑原色と、青原色を発光する2種類のE
L蛍光体薄膜により3原色表示を行うカラーELパネル
であって、前記2種類のEL蛍光体薄膜が酸素を含有し
ていてもよいアルカリ土類硫化物またはアルカリ土類酸
化物であり、前記緑原色または青原色のEL蛍光体薄膜
と色変換層を組み合わせて赤色発光部が形成されている
構成のELパネルとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機ELパネルに
関し、特にRGB3色を有するフルカラーの発光層を有
するELパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、小型または、大型軽量のフラット
パネルディスプレイとして、薄膜EL素子が盛んに研究
されている。黄橙色発光のマンガン添加硫化亜鉛からな
る蛍光体薄膜を用いたモノクロ薄膜ELディスプレイは
図3に示すような薄膜の絶縁層2,4を用いた2重絶縁
型構造で既に実用化されている。図3において、基板1
上には所定パターンの下部電極5が形成されていて、こ
の下部電極5が形成されている基板1上に第1の絶縁層
2が形成されている。また、この第1の絶縁層2上に
は、発光層3、第2の絶縁層4が順次形成されるととも
に、第2の絶縁層4上に前記下部電極5とマトリクス回
路を構成するように上部電極6が所定パターンで形成さ
れている。
【0003】さらに、ディスプレイとしてパソコン用、
TV用、その他表示用に対応するためにはカラー化が必
要不可欠である。硫化物蛍光体薄膜を用いた薄膜ELデ
ィスプレイは、信頼性、耐環境性に優れているが、現在
のところ、赤色、緑色、青色の3原色に発光するEL用
蛍光体の特性が十分でないため、カラー用には不適当と
されている。青色発光蛍光体は、母体材料としてSr
S、発光中心としてCeを用いたSrS:CeやZn
S:Tm、赤色発光蛍光体としてはZnS:Sm、Ca
S:Eu、緑色発光蛍光体としてはZnS:Tb、Ca
S:Ceなどが候補であり研究が続けられている。
【0004】これらの赤色、緑色、青色の3原色に発光
する蛍光体薄膜は発光輝度、効率、色純度に問題があ
り、現在、カラーELパネルの実用化には至っていな
い。特に、青色は、SrS:Ceを用いて、比較的高輝
度が得られてはいるが、フルカラーディスプレー用の青
色としては、輝度が不足し、色度も緑側にシフトしてい
るため、さらによい青色発光層の開発が望まれている。
【0005】これらの課題を解決するため、特開平7−
122364号公報、特開平8−134440号公報、
信学技報EID98−113、19−24ページ、およ
びJpn.J.Appl.Phys.Vol.38、(1999) pp. L1291-1292に
述べられているように、SrGa24 :Ce、CaG
24 :Ceや、BaAl24 :Eu等のチオガレー
トまたはチオアルミネート系の青色蛍光体が開発されて
いる。これら、チオガレート系蛍光体では、色純度の点
では問題ないが、輝度が低く、特に多元組成であるた
め、組成の均一な薄膜を得難い。組成制御性の悪さによ
る結晶性の悪さ、イオウ抜けによる欠陥の発生、不純物
の混入などによって、高品質の薄膜が得られず、そのた
め輝度が上がらないと考えられている。特に、チオアル
ミネートは組成制御性に困難を極める。
【0006】上記した青、緑、赤、のEL蛍光体薄膜の
ELスペクトルは、すべてブロードであり、フルカラー
ELパネルに用いる場合には、パネルとして必要な、R
GBをフィルタを用いて、EL蛍光体薄膜のELスペク
トルから切り出さなければならない。フィルターを用い
ると製造工程が複雑になるばかりか、最も問題なのは、
輝度の低下である。フィルターを用いてRGBを取り出
すと、青、緑、赤のEL蛍光体薄膜の輝度は、10〜5
0%のロスがでるため、輝度が低下し、実用にならな
い。
【0007】また、フルカラー用RGBフィルターは、通
常、RGB用の蛍光体が形成された蛍光体基板とは別に、
ガラス基板上にRGBフィルターをピクセルごとにパター
ン形成し、蛍光体基板とガラス基板とを位置あわせをし
て、フルカラーパネルとする。しかしながら、この方法
は、微細加工した基板を二枚必要とし、製造工程が複雑
でかつ高価なものとなり、実用にならない。
【0008】上記に示した問題を解決するために、いわ
ゆるガラス基板上にパターニングされたRGBのフィルタ
を用いなくとも、色純度の良好でかつ高輝度の赤、緑、
青発光を得るパネルが求められていた。
【0009】さらに、従来のEL蛍光体薄膜は、成膜温
度が比較的高温のものが多く、このような蛍光体を全て
フォトリソプロセスによりパターニングして3原色を得
ようとすると、極めて困難な作業を伴い、現実的でな
い。また、特に高輝度で、高い色純度を有するものは、
成膜温度が高く、これらを全てフォトリソプロセスでパ
ターニングし、高輝度、高精細のフルカラーディスプレ
イを得ることは、現在知られている材料系では極めて困
難であるといえる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、RG
Bにパターニングされたフィルタ基板を必要としない、
色純度の良好な、特にフルカラーEL用に適した蛍光体
薄膜を有するELパネルを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
〜(6)のいずれかの本発明の構成により達成される。 (1) 緑原色と、青原色を発光する2種類のEL蛍光
体薄膜により3原色表示を行うカラーELパネルであっ
て、前記2種類のEL蛍光体薄膜が酸素を含有していて
もよいアルカリ土類硫化物またはアルカリ土類酸化物で
あり、前記緑原色または青原色のEL蛍光体薄膜と色変
換層を組み合わせて赤色発光部が形成されているELパ
ネル。 (2) 色純度座標CIE(x、y)において、x<
0.3、y>0.6である緑原色と、x<0.2、y<
0.2である青原色を発光する上記(1)のELパネ
ル。 (3) 前記2種類のEL蛍光体薄膜は、下記組成式で
表される上記(1)〜(3)のいずれかのELパネル。 Axyzw :R [但し、AはMg、Ca、Sr、Baおよび希土類元素
から選ばれた少なくとも一つの元素、Bは、Al、Ga
およびInから選ばれた少なくとも一つの元素を表し、
x=0〜5、y=0〜15、z=0〜30、w=0〜3
0である。Rは発光中心となる希土類元素を表す。] (4) 前記緑原色を発光するEL蛍光体薄膜の母体材
料がストロンチウムチオガレードであり、青原色を発光
するEL蛍光体薄膜の母体材料がバリウムチオアルミネ
ートであり、共に発光中心となる希土類元素がEuであ
る上記(1)または(2)のELパネル。 (5) 前記緑原色EL蛍光体薄膜のEL発光時の光取
り出し面に色変換膜を有する上記(1)〜(4)のいず
れかのELパネル。 (6) 前記緑色または青色を発光するEL蛍光体薄膜
が酸素を含有したオキシ硫化物であって、前記オキシ硫
化物中の酸素元素とイオウ元素とのモル比率を、O/
(S+O)と表したときに、 O/(S+O)=0.01〜0.85 である上記(1)〜(5)のいずれかのELパネル。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
詳細に説明する。
【0013】本発明のELパネルは、緑原色、青原色を
発光する2種類のEL蛍光体薄膜を用いて、RGB三色を
取り出すカラーパネルである。
【0014】本発明に用いる2種類の、緑、青のEL蛍
光体薄膜は、アルカリ土類硫化物、アルカリ土類酸化
物、アルカリ土類チオアルミネート、アルカリ土類アル
ミネート、アルカリ土類チオガレード、アルカリ土類ガ
レード、アルカリ土類インデート、アルカリ土類チオイ
ンデートのいずれかの母体材料が好ましく、発光中心と
しては、少なくともEuを添加したものが好ましい。
【0015】このような緑色、青色蛍光体薄膜は、後述
するように、フィルタを用いなくとも色純度の良好でか
つ高輝度に発光する緑、青の蛍光体薄膜材料である。
【0016】ここで、緑色、青色の発光とは、色純度座
標CIE(x、y)において、少なくとも、x<0.
3、y>0.6であるものを緑原色、少なくともx<
0.2、y<0.2であるものを青原色の発光とする。
【0017】赤色用の発光部には、前記青原色蛍光体、
または緑色原色蛍光体を用い、好ましくは緑原色蛍光体
を用いる。青または緑原色蛍光体は、短波長で量子効率
が高い。この青または緑原色蛍光体から、赤色を得るた
めに、蛍光体発光側に色変換をするための、色変換薄膜
層を設ける。色変換薄膜層は、赤色が必要な領域のみに
設け、その他の緑原色、青原色は蛍光体の発光色をその
まま用いる。
【0018】色変換薄膜層は、青または緑色の光を有機
蛍光色素を分散した媒体膜に吸収させ、より長波長の蛍
光に変換する機能を有する層を用いる。この色変換薄膜
層は、例えば、Proc. 15th Int. Display Research Con
ference, 269頁, 1995年において記載されている、青色
発光素子からの青色光を励起光源として、赤色蛍光色素
を樹脂に分散させた蛍光変換層等で用いられているよう
なの公知の材料を用いればよい。
【0019】色変換薄膜層は、従来のLCDのように、
ガラス基板上に赤変換薄膜層をピクセルごとにパターン
形成し、蛍光体基板とガラス基板とを位置あわせをして
もよい。この場合従来LCDなどではRGBのパターニ
ングが必要であったが、本発明の場合、R(赤)のみ色
変換薄膜をパターニングすればよい。
【0020】しかしながら、本発明の効果を最も効果的
に得るには、蛍光体基板とガラス基板とを位置あわせす
るのではなく、青または緑色EL蛍光体薄膜のEL発光時
の光取り出し面、すなわち蛍光体基板に直接色変換膜を
形成することが好ましい。図1に最も好ましい構成を示
す。本構成で、3r、3g、3bは、それぞれ赤用、緑
用、青用の蛍光体を表し、R用蛍光体(つまり青または
緑色EL蛍光体薄膜)3r上の上部電極6上に色変換薄
膜層7が形成されている。
【0021】色変換薄膜層は、上記EL蛍光体からの発
光を吸収して、波長変換できる蛍光色素を含有するもの
であることが好ましい。この場合、特に緑色から赤色へ
の変換が高い変換効率が得られ易い。
【0022】ここで、蛍光色素としては市販のレーザー
色素等が好ましいが、固体状態(樹脂中での分散状態を
含む)で強い蛍光性を有するものであれば、特に制限は
ない。
【0023】蛍光顔料および/または蛍光色素を2種類
以上含有するものであってよい。
【0024】蛍光顔料としては、アゾ系、フタロシアニ
ン系、アントラキノン系、キナクリドン系、イソインド
リノン系、チオインジゴ系、ペリレン系、ジオキサジン
系等が挙げられ、これらの中から選択すればよいが、特
にアゾ系、イソインドリノン系、あるいはBASF社の
ルモゲンカラー(Lumogen Color )が好ましい。
【0025】蛍光色素としては、具体的にはレーザー用
色素などが適しており、ローダミンB、ローダミン6G
等のキサンテン系色素、4−ジシアノメチレン−2−メ
チル−6−(p−ジメチルアミノスチルリン)−4H−
ピラン(DCM)等のシアニン系色素、1−エチル−2
−(4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブ
タジエニル)ピリジウム−パーコラレイト(ピリジン
1)等のピリジン系色素、オキサジン系色素、クリセン
系色素、チオフラビン系色素、ペリレン系色素、ピレン
系色素、アントラセン系色素、アクリドン系色素、アク
リジン系色素、フルオレン系色素、ターフェニル系色
素、エテン系色素、ブタジエン系色素、ヘキサトリエン
系色素、オキサゾール系色素、クマリン系色素、スチル
ベン系色素、ジ−およびトリフェニルメタン系色素、チ
アゾール系色素、チアジン系色素、ナフタルイミド系色
素、アントラキノン系色素等が挙げられ、中でもローダ
ミンB、ローダミン6G等のキサンテン系色素、クマリ
ン系やナフタルイミド系色素が適している。
【0026】特に、青色から緑色の領域の光を吸収し
て、赤色領域の蛍光を発する有機蛍光色素として、例え
ばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ロ
ーダミン101、ローダミン110、スルホローダミ
ン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2
などのローダミン系色素、1−エチル−2−〔4−(p
−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル〕
ピリジニウム−パークロレート(ピリジン1)などのピ
リジン系色素、シアニン系色素、あるいはオキサジン系
色素などが好ましい。
【0027】この色変換薄膜層は、上述に例示するよう
な蛍光色素を蒸着あるいはスパッタリング法で製膜され
た膜、適当な樹脂を媒体としてその中に分散させた膜等
いずれの形態であってもよい。膜厚はEL蛍光体からの光
を充分に吸収し、蛍光を発生する機能を妨げるものでな
ければ制限はなく、通常蛍光色素により若干異なるが1
0nm〜100μm程度が適当である。
【0028】ここで適当な樹脂を結着性樹脂としてその
中に分散させた膜の場合、蛍光色素の分散濃度は、蛍光
の濃度消光を起こすことがなく、かつ励起光を充分に吸
収できる範囲であればよい。
【0029】樹脂に分散させた膜の場合、Rピクセルと
G、Bピクセルに生じた段差を樹脂等で覆って平坦化
し、視認性を改善することもある。
【0030】また、色変換によって生じるエネルギーロ
スや蛍光色素を分散させた樹脂による光の吸収によって
生じる輝度の低下は発光面積で調整することもできる。
【0031】さらに、上記色変換薄膜層とフィルター層
とを組み合わせて、赤色の色純度を調整してもよい。フ
ィルター層には公知のフィルター材料を用いればよい。
【0032】緑原色、青原色のEL蛍光体薄膜に用いる
アルカリ土類チオアルミネート、アルカリ土類アルミネ
ート、アルカリ土類チオガレード、アルカリ土類ガレー
ド、アルカリ土類インデート、アルカリ土類チオインデ
ートなどは、アルカリ土類をA、Al、GaまたはIn
をB、イオウまたは酸素をCとすると、A528 、A
427 、A225 、AB24 、AB47 、A4
1425 、AB813 、AB1219 などがあり、基本材
料としてはこれらの単体または2種以上を混合してもよ
いし、明確な結晶構造を有しない非晶質状態となっても
よい。
【0033】アルカリ土類元素は、Be,Mg,Ca,
Sr,BaおよびRaのいずれかであるが、これらのな
かでもMg,Ca,SrおよびBaが好ましく、特にB
aおよびSrが好ましい。
【0034】また、このアルカリ土類元素と組み合わせ
る元素はAl、GaまたはInであり、これらの元素の
組み合わせは任意である。
【0035】EL蛍光体薄膜は、イオウと酸素を含有
し、 組成式 Axyzw :R [但し、AはMg、Ca、Sr、Baおよび希土類元素
から選ばれた少なくとも一つの元素、BはAl、Gaお
よびInから選ばれた少なくとも一つの元素を表す。R
は発光中心となる元素を表し、Euを必ず含む。]で表
されるものが好ましい。
【0036】上記式において、x,y,z,wは、それ
ぞれ元素A,B,O,Sのモル比を表す。
【0037】x,y,zは、好ましくは x=0〜5 y=0〜15 z=0〜30 w=0〜30、 より好ましくは x=1〜5 y=1〜15 z=3〜30 w=3〜30 である。
【0038】含有される酸素は、アルカリ土類硫化物母
体材料に、母体材料のイオウに対する原子比で、O/
(S+O)と表したとき、0.01〜0.85,特に
0.05〜0.5の範囲内で添加することが好ましい。
すなわち、上式では、z/(z+w)の値が0.01〜
0.85、好ましくは0.05〜0.5、より好ましく
は0.1〜0.4、特に0.2〜0.3であることが好
ましい。
【0039】蛍光体薄膜の組成は、蛍光X線分析(XR
F)、X線光電子分析(XPS)等により確認すること
ができる。
【0040】酸素は、蛍光体薄膜EL発光輝度を飛躍的
に高める効果がある。発光素子は発光時間の経過と共に
輝度が劣化する寿命が存在する。酸素を添加することに
より、寿命特性を向上させ、輝度劣化を防止することが
できる。硫化物に酸素が添加されると、この母体材料の
成膜時または、成膜後のアニール等の後処理時に結晶化
が促進され、添加された希土類が化合物結晶場内で有効
な遷移を有し、高輝度で安定な発光が得られるものと考
えられる。また、母材自体も純粋な硫化物に比べ、空気
中で安定になる。これは、膜中の硫化物成分を安定な酸
化物成分が大気から保護するためと考えられる。
【0041】EL蛍光体薄膜は、上記材料の他、酸化物
であってもよい。酸化物は、発光寿命、耐環境性に優れ
る。
【0042】このような酸化物は、 組成式 Axyz :R [但し、AはMg、Ca、Sr、Baおよび希土類元素
から選ばれた少なくとも一つの元素、BはAl、Gaお
よびInから選ばれた少なくとも一つの元素を表す。R
は発光中心となる元素を表し、Euを必ず含む。]で表
されるものが好ましい。
【0043】上記式において、x,y,zは、それぞれ
元素A,B,Oのモル比を表す。
【0044】x,y,zは、好ましくは x=0〜5 y=0〜15 z=0〜30、 より好ましくは x=1〜5 y=1〜15 z=3〜30 である。
【0045】以上述べたような蛍光体薄膜のなかで、特
に、青用の蛍光体薄膜は、BaxAlyzw :Euで
あることが好ましい。
【0046】また、w=0の酸化物も好ましい。このな
かでは、CaxAlyz :Euが特に好ましい。
【0047】緑色としては、SrxGayzw :Eu
であることが特に好ましい。
【0048】また、w=0の酸化物も好ましい。このな
かでは、SrxAlyz :Euが特に好ましい。
【0049】蛍光体薄膜の膜厚としては、特に制限され
るものではないが、厚すぎると駆動電圧が上昇し、薄す
ぎると発光効率が低下する。具体的には、蛍光材料にも
よるが、好ましくは100〜2000nm、特に150〜
700nm程度である。
【0050】発光中心として含有されるEu元素の添加
量は、アルカリ土類原子に対して0.1〜10原子%添
加することが好ましい。本発明では、発光中心として添
加される元素Eu単独の他、二種類以上の元素を添加し
てもよい。たとえば、Euを発光中心とした場合、さら
にCuやCeなどの添加により、応答性、発光輝度を向
上が可能になる。
【0051】さらに緑原色、青原色の蛍光体薄膜は、Z
nS薄膜/蛍光体薄膜/ZnS薄膜の構造であることが好
ましい。蛍光体薄膜が薄い範囲で、ZnS薄膜でサンド
イッチすることにより、蛍光体薄膜の電荷の注入特性、
耐電圧特性が向上し、高輝度に発光するEL素子とな
る。ZnS薄膜の膜厚は、30nm〜400nm、好ましく
は、100nm〜300nmがよい。
【0052】また、緑原色、青原色の蛍光体薄膜は、Z
nS薄膜/蛍光体薄膜/ZnS薄膜/蛍光体薄膜/Zn
S薄膜と、ZnS薄膜と蛍光体薄膜を交互に積層し、最
外層をZnS薄膜とするか、さらにZnS薄膜/蛍光体
薄膜/ZnS薄膜/・・繰り返し・・/蛍光体薄膜/Z
nS薄膜のように多層にしてもよい。
【0053】このような蛍光体薄膜を得るには、例え
ば、以下の蒸着法によることが好ましい。
【0054】緑原色、青原色の蛍光体薄膜は、たとえ
ば、Euを添加したアルカリ土類硫化物を作製し、真空
槽内でこの蒸発源をEB蒸着させ、これを単独か、同時
にチオアルミネート、チオガレード、チオインデートを
抵抗加熱蒸着することにより、Eu添加アルカリ土類硫
化物、アルカリ土類チオガレード、アルカリ土類チオア
ルミネート、アルカリ土類チオインデート等を形成す
る。これらの組成は、各々の源のパワーを調整する。こ
のとき、蒸着中にH2Sガスを導入してもよい。
【0055】添加するEuは、金属、フッ化物、酸化物
または硫化物の形で原料に添加する。添加量は、原料と
形成される薄膜で異なるので、適当な添加量となるよう
に原料の組成を調整する。
【0056】蒸着中の基板温度は、室温〜600℃、好
ましくは、300℃〜500℃とすればよい。基板温度
が高すぎると、母体材料の薄膜表面の凹凸が激しくな
り、薄膜中にピンホールが発生し、EL素子に電流リー
クの問題が発生してくる。また、薄膜が褐色に色づいた
りもする。このため、上述の温度範囲が好ましい。ま
た、成膜後にアニール処理を行うことが好ましい。アニ
ール温度は、好ましくは600℃〜1000℃、特に6
00℃〜800℃である。
【0057】形成された蛍光薄膜は、高結晶性の薄膜で
あることが好ましい。結晶性の評価は、例えばX線回折
により行うことができる。結晶性を上げるためには、で
きるだけ基板温度を高温にする。また、薄膜形成後の真
空中、N2 中、Ar中、大気中、S蒸気中、H2S中等
でのアニールも効果的である。
【0058】発光層の膜厚としては、特に制限されるも
のではないが、厚すぎると駆動電圧が上昇し、薄すぎる
と発光効率が低下する。具体的には、蛍光材料にもよる
が、好ましくは100〜2000nm、特に150〜70
0nm程度である。
【0059】蒸着時の圧力は好ましくは1.33×10
-4 〜1.33×10-1 Pa(1×10-6 〜1×10-3
Torr)である。またH2Sなどのガスを導入する際、圧
力を調整して6.65×10-3 〜6.65×10-2 Pa
(5×10-5 〜5×10-4Torr)とするとよい。圧力
がこれより高くなると、Eガンの動作が不安定となり、
組成制御が極めて困難になってくる。ガスの導入量とし
ては、真空系の能力にもよるが5〜200SCCM、特に1
0〜30SCCMが好ましい。
【0060】また、必要により蒸着時に基板を移動、ま
たは回転させてもよい。基板を移動、回転させることに
より、膜組成が均一となり、膜厚分布のバラツキが少な
くなる。
【0061】基板を回転させる場合、基板の回転数とし
ては、好ましくは10回/min 以上、より好ましくは1
0〜50回/min 、特に10〜30回/min 程度であ
る。基板の回転数が速すぎると、真空チャンバーへの導
入時にシール性などの問題が発生しやすくなる。また、
遅すぎると槽内の膜厚方向に組成ムラが生じ、作製した
発光層の特性が低下してくる。基板を回転させる回転手
段としては、モータ、油圧回転機構等の動力源と、ギ
ア、ベルト、プーリー等を組み合わせた動力伝達機構・
減速機構等を用いた公知の回転機構により構成すること
ができる。
【0062】蒸発源や基板を加熱する加熱手段は所定の
熱容量、反応性等を備えたものであればよく、例えばタ
ンタル線ヒータ、シースヒータ、カーボンヒータ等が挙
げられる。加熱手段による加熱温度は、好ましくは10
0〜1400℃程度、温度制御の精度は、1000℃で
±1℃、好ましくは±0.5℃程度である。
【0063】本発明の発光層を形成するための装置の構
成例の一つを図2に示す。ここでは、Euを添加したア
ルカリ土類硫化物と、チオアルミネート、チオガレー
ド、チオインデートのいずれかを蒸発源とし、H2Sを
導入しつつ、Eu添加アルカリ土類硫化物、アルカリ土
類チオガレード、アルカリ土類チオアルミネート、アル
カリ土類チオインデート等を作製する方法を例にとる。
図において、真空層11内には、発光層が形成される基
板12と、抵抗加熱蒸発源であるK−セル14,EB蒸
発源15が配置されている。
【0064】チオアルミネート、チオガレード、チオイ
ンデートのいずれかの蒸発手段となる抵抗加熱蒸発源
(K−セル)14には、チオアルミネート、チオガレー
ド、チオインデートのいずれか14aが収納されてい
る。このK−セル14は、図示しない加熱手段により加
熱され、所望の蒸発速度で材料を蒸発させるようになっ
ている。
【0065】一方、アルカリ土類硫化物の蒸発手段であ
るEB(エレクトロンビーム)蒸発源15は、発光中心
の添加されたアルカリ土類硫化物15aが納められる”
るつぼ”50と、電子放出用のフィラメント51aを内
蔵した電子銃51とを有する。電子銃51内には、ビー
ムをコントロールする機構が内蔵されている。この電子
銃51には、交流電源52およびバイアス電源53が接
続されている。電子銃51からは電子ビームがコントロ
ールされ、あらかじめ設定したパワーで、アルカリ土類
硫化物15aを所定の蒸発速度で蒸発させることができ
る。図においては、K−セルとEガンで蒸発源を制御し
ているが、一つのEガンで多元同時蒸着を行うことも可
能である。その場合の蒸着方法は、多元パルス蒸着法と
いわれる。
【0066】なお、図示例では、説明を容易にするため
に各蒸発源14,15の配置が基板に対して偏在してい
るようにもみえるが、実際には組成および膜厚が均一と
なるような位置に配置される。
【0067】真空槽11は、排気ポート11aを有し、
この排気ポートからの排気により、真空槽11内を所定
の真空度にできるようになっている。また、この真空槽
11は、硫化水素などのガスを導入する原料ガス導入ポ
ート11bを有している。
【0068】基板12は基板ホルダー12aに固定さ
れ、この基板ホルダー12aの固定軸12bは図示しな
い回転軸固定手段により、真空槽11内の真空度を維持
しつつ、外部から回転自在に固定されている。そして、
図示しない回転手段により、必要に応じて所定の回転数
で回転可能なようになっている。また、基板ホルダー1
2aには、ヒーター線などにより構成される加熱手段1
3が密着・固定されていて、基板を所望の温度に加熱、
保持できるようになっている。
【0069】このような装置を用い、K−セル14、E
B蒸発源15から蒸発させたチオアルミネート、チオガ
レード、チオインデートのいずれかの蒸気と、アルカリ
土類硫化物蒸気とを基板12上に堆積結合させ、Eu添
加アルカリ土類硫化物、アルカリ土類チオガレード、ア
ルカリ土類チオアルミネート、アルカリ土類チオインデ
ート等の蛍光層が形成される。そのとき、必要により基
板12を回転させることにより、堆積される発光層の組
成と膜厚分布をより均一なものとすることができる。
【0070】上記蛍光薄膜の発光層3を用いて無機EL
素子を得るには、例えば、図1に示すような構造とすれ
ばよい。
【0071】図1は、本発明の発光層を用いた無機EL
素子の構造を示す一部断面斜視図である。図1におい
て、基板1上には所定パターンの下部電極5が形成され
ていて、この下部電極5上に厚膜の第1の絶縁層(厚膜
誘電体層)2aが形成され、必要により平坦化、絶縁性
の担保などの目的からゾルゲル、MOD等の溶液塗布焼
成法により形成された誘電体層2bが形成されている。
また、この第1の絶縁層2aおよび誘電体層2b上に
は、R、G、Bの発光層3(3r、3g、3b)、第2
の絶縁層(薄膜誘電体層)4が順次形成されるととも
に、第2の絶縁層4上に前記下部電極5とマトリクス回
路を構成するように上部電極6が所定パターンで形成さ
れている。マトリックス電極の交点では、赤、緑、青の
蛍光体薄膜3r、3g、3bが塗り分けられている。
【0072】そして、赤色蛍光体層3rに対応する上部
電極6上には、色変換層7が形成されている。
【0073】交流電源10は、下部電極5と上部電極間
6に接続され、図示しない駆動回路により、任意の電極
が選択されることにより、特定の画素、つまり発光層3
が選択され、電圧が印加されて発光する。
【0074】基板1、電極5,6、厚膜絶縁層2、薄膜
絶縁層4のそれぞれの間には、密着を上げるための層、
応力を緩和するための層、反応を防止するバリア層、な
ど中間層を設けてもよい。また厚膜表面は研磨したり、
平坦化層を用いるなどして平坦性を向上させてもよい。
【0075】ここで、特に厚膜絶縁層と薄膜絶縁層の間
にバリア層としてBaTiO3 薄膜層を設けることが好
ましい。
【0076】基板として用いる材料は、厚膜形成温度、
およびEL蛍光層の形成温度、EL素子のアニール温度
に耐えうる耐熱温度ないし融点が600℃以上、好まし
くは700℃以上、特に800℃以上の基板を用い、そ
の上に形成される発光層等の機能性薄膜によりEL素子
が形成でき、所定の強度を維持できるものであれば特に
限定されるものではない。具体的には、ガラス基板やア
ルミナ(Al23 )、フォルステライト(2MgO・
SiO2 )、ステアタイト(MgO・SiO2)、ムラ
イト(3Al23 ・2SiO2 )、ベリリア(Be
O)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(S
iN)、炭化シリコン(SiC+BeO)等のセラミッ
ク基板、結晶化ガラスなど耐熱性ガラス基板を挙げるこ
とができる。これらのなかでも特にアルミナ基板、結晶
化ガラスが好ましく、熱伝導性が必要な場合にはベリリ
ア、窒化アルミニウム、炭化シリコン等が好ましい。
【0077】また、このほかに、石英、熱酸化シリコン
ウエハー等、チタン、ステンレス、インコネル、鉄系な
どの金属基板を用いることもできる。金属等の導電性基
板を用いる場合には、基板上に内部に電極を有した厚膜
を形成した構造が好ましい。
【0078】誘電体厚膜材料(第1の絶縁層)として
は、公知の誘電体厚膜材料を用いることができる。さら
に比較的誘電率の大きな材料が好ましい。
【0079】例えばチタン酸鉛系、ニオブ酸鉛系、チタ
ン酸バリウム系等の材料を用いることができる。
【0080】誘電体厚膜の抵抗率としては、108 Ω・
cm以上、特に1010 〜1018 Ω・cm程度である。また
比較的高い誘電率を有する物質であることが好ましく、
その誘電率εとしては、好ましくはε=100〜100
00程度である。膜厚としては、5〜50μm が好まし
く、10〜30μm が特に好ましい。
【0081】絶縁層厚膜の形成方法は、特に限定され
ず、10〜50μm 厚の膜が比較的容易に得られる方法
が良いが、ゾルゲル法、印刷焼成法などが好ましい。
【0082】印刷焼成法による場合には、材料の粒度を
適当に揃え、バインダーと混合し、適当な粘度のペース
トとする。このペーストを基板上にスクリーン印刷法に
より形成し、乾燥させる。このグリーンシートを適当な
温度で焼成し、厚膜を得る。
【0083】薄膜絶縁層(第2の絶縁層)の構成材料と
しては、例えば酸化シリコン(SiO2 )、窒化シリコ
ン(SiN)、酸化タンタル(Ta25 )、チタン酸
ストロンチウム(SrTiO3 )、酸化イットリウム
(Y23 )、チタン酸バリウム(BaTiO3 )、チ
タン酸鉛(PbTiO3 )、PZT、ジルコニア(Zr
2 )、シリコンオキシナイトライド(SiON)、ア
ルミナ(Al23 )、ニオブ酸鉛、PMN−PT系材
料等およびこれらの多層または混合薄膜を挙げることが
でき、これらの材料で絶縁層を形成する方法としては、
蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、印刷焼成
法など既存の方法を用いればよい。この場合の絶縁層の
膜厚としては、好ましくは50〜1000nm、特に10
0〜500nm程度である。
【0084】電極(下部電極)は、少なくとも基板側ま
たは第1の誘電体内に形成される。厚膜形成時、さらに
発光層と共に熱処理の高温下にさらされる電極層は、主
成分としてパラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウ
ム、ルテニウム、白金、タンタル、ニッケル、クロム、
チタン等の1種または2種以上の通常用いられている金
属電極を用いればよい。
【0085】また、上部電極となる他の電極層は、通
常、発光を基板と反対側から取り出すため、所定の発光
波長域で透光性を有する透明な電極が好ましい。透明電
極は、基板および絶縁層が透光性を有するものであれ
ば、発光光を基板側から取り出すことが可能なため下部
電極に用いてもよい。この場合、ZnO、ITOなどの
透明電極を用いることが特に好ましい。ITOは、通常
In23 とSnOとを化学量論組成で含有するが、O
量は多少これから偏倚していてもよい。In23に対す
るSnO2 の混合比は、1〜20質量%、さらには5〜
12質量%が好ましい。また、IZOでのIn23
対するZnOの混合比は、通常、12〜32質量%程度
である。
【0086】また、電極は、シリコンを有するものでも
良い。このシリコン電極層は、多結晶シリコン(p−S
i)であっても、アモルファス(a−Si)であっても
よく、必要により単結晶シリコンであってもよい。
【0087】電極は、主成分のシリコンに加え、導電性
を確保するため不純物をドーピングする。不純物として
用いられるドーパントは、所定の導電性を確保しうるも
のであればよく、シリコン半導体に用いられている通常
のドーパントを用いることができる。具体的には、B、
P、As、Sb、Al等が挙げられ、これらのなかで
も、特にB、P、As、SbおよびAlが好ましい。ド
ーパントの濃度としては0.001〜5原子%程度が好
ましい。
【0088】これらの材料で電極層を形成する方法とし
ては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、印
刷焼成法など既存の方法を用いればよいが、特に、基板
上に内部に電極を有した厚膜を形成した構造を作製する
場合、誘電体厚膜と同じ方法が好ましい。
【0089】電極層の好ましい抵抗率としては、発光層
に効率よく電界を付与するため、1Ω・cm以下、特に
0.003〜0.1Ω・cmである。電極層の膜厚として
は、形成する材料にもよるが、好ましくは50〜200
0nm、特に100〜1000nm程度である。
【0090】以上、本発明のELパネルについて説明し
たが、本発明のELパネルを用いると、他の形態の素
子、主にディスプレイ用のフルカラーパネル、マルチカ
ラーパネル、部分的に3色を表示するパーシャリーカラ
ーパネルに応用することができる。
【0091】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0092】〔実施例1〕本発明のELパネルを作製し
た。基板、厚膜絶縁層とも同じ材料であるBaTiO3
系の誘電体材料誘電率5000のものを用い、下部電極
としてPd電極を用いた。作製は、基板のシートを作製
し、この上に下部電極、厚膜絶縁層をスクリーン印刷し
てグリーンシートとし、同時に焼成した。表面は、研磨
し、30μm 厚の厚膜第一絶縁層付き基板を得た。さら
に、この上にバッファ層としてBaTiO3 膜をスパッ
タリングにより400nm形成し、700℃の空気中でア
ニールし、複合基板とした。
【0093】この複合基板上に、EL素子として安定に
発光させるため、緑原色、青原色の2種類の蛍光体薄膜
を、Al23 膜、50nm/ZnS膜、200nm/蛍光
体薄膜(発光層)、300nm/ZnS膜、200nm/A
23 膜、50nmの構造体として作製した。
【0094】各色の蛍光体薄膜を所定部に形成するた
め、フォトレジストのパターニング、エッジングを利用
し、青原色、緑原色、蛍光体の順にパターニング形成し
部分的にライン状に形成した。
【0095】赤用、緑用、青用の3種類の蛍光体薄膜に
は、赤色は緑色のSrGs24 系に色変換薄膜層を用
い、緑色はSrGs24 系、青色はBaAl24 系の
蛍光体薄膜を用い、緑、青色用の発光中心には、いずれ
もEuを用いた。
【0096】青色蛍光体薄膜の作製にあたっては、以下
のような操作により薄膜を形成した。成膜には図1に示
すような装置を用いた。ここでは、Eガン1台と、抵抗
加熱蒸発源(セル源)1台を用いた。
【0097】Euを5 mol%添加したBaS粉を入れた
EB源15、Al23 粉を入れた抵抗加熱蒸発源14
をH2Sガスを導入した真空槽11内に設け、それぞれ
の源より同時に蒸発させ、400℃に加熱し、回転させ
た基板上に薄膜を成膜した。各々の蒸発源の蒸発速度
は、基板上に成膜される膜の成膜速度で1 nm/sec に
なるように調節した。このときH2Sガスを20SCCM導
入し、薄膜を得た。得られた薄膜は、Al23 膜、5
0nm/ZnS膜、200nm/蛍光体薄膜、300nm/Z
nS膜、200nm/Al23 膜、50nmの構造にして
から、750℃の空気中で10分間アニールした。その
後、ライン状にパターニングした。
【0098】また、上記同様にSi基板上に蛍光体薄膜
を形成した。得られた蛍光体薄膜について、BaxAly
zw :Eu薄膜を蛍光X線分析により組成分析した
結果、原子比でBa:Al:O:S:Eu=8.91:
18.93:9.33:28.05:0.35であっ
た。
【0099】緑用蛍光体薄膜の作製にあたっては、以下
のような操作により薄膜を形成した。成膜には図1に示
すような装置を用いた。ここでは、Eガン1台と、抵抗
加熱蒸発源(セル源)1台を用いた。
【0100】Euを5 mol%添加したSrS粉を入れた
EB源15、Ga23 粉を入れた抵抗加熱蒸発源14
をH2Sガスを導入した真空槽11内に設け、それぞれ
の源より同時に蒸発させ、400℃に加熱し、回転させ
た基板上に薄膜を成膜した。各々の蒸発源の蒸発速度
は、基板上に成膜される膜の成膜速度で1 nm/sec に
なるように調節した。このときH2Sガスを20SCCM導
入し、薄膜を得た。得られた薄膜は、Al23 膜、5
0nm/ZnS膜、200nm/蛍光体薄膜、300nm/Z
nS膜、200nm/Al23 膜、50nmの構造にして
から、750℃の空気中で10分間アニールした。その
後、ライン状にパターニングした。
【0101】また、上記同様にSi基板上に蛍光体薄膜
を形成した。得られた蛍光体薄膜について、SrxGay
zw :Eu薄膜を蛍光X線分析により組成分析した
結果、原子比でSr:Ga:O:S:Eu=6.02:
19.00:11.63:48.99:0.34であっ
た。
【0102】得られた薄膜は、Al23 膜、50nm/
ZnS膜、200nm/蛍光体薄膜、300nm/ZnS
膜、200nm/Al23 膜、50nmの構造にしてか
ら、750℃の空気中で10分間アニールした。その
後、ライン状にパターニングした。
【0103】さらに、得られた構造体上にITO酸化物
ターゲットを用いRFマグネトロンスパッタリング法に
より、基板温度250℃で、膜厚200nmのITO透明
電極を形成した後、マトリックス構造にITO電極をパ
ターニングし、さらに、図3のように赤色への色変換層
をパターニング形成して、EL素子を完成した。
【0104】ここで、色変換層は、蛍光顔料 シンロイ
ヒ(株)のシンロイヒカラーFA45Jと蛍光染料 コ
ダック社のローダミンBを用いた。レジストとして、富
士ハントエレクトロニクステクノロジー(株)のネガ型
のアクリル系フォトレジストCTを用いた。上記蛍光染
料と共に有機溶媒(エタノール)に溶解した後、上記顔
料を加え、撹拌、分散した。
【0105】これをパターニング形成して、色変換薄膜
層とした。厚さは3μmであった。
【0106】得られたEL素子の各マトリックスの2つ
の電極間に240Hz、パルス幅50μSの電界を7種の
電圧で印加することにより各色を8ビット階調を付け
た。ELパネルは平均で20cd/m2 で512色を応答
性良く発光することができた。
【0107】〔実施例2〕実施例1において用いた色変
換膜代えて、シンロイヒカラーFA45Jの代わりに、
シンロイヒカラーFZ5005を用いたほかは、実施例
1と同様にして色変換薄膜層を形成したところ、ほぼ同
様な結果が得られた。
【0108】〔実施例3〕実施例1において用いた色変
換膜代えて、ローダミンBの代わりにローダミン6Gを
用いたほかは、実施例1と同様にして色変換薄膜層を形
成したところ、ほぼ同様な結果が得られた。
【0109】以上のように本発明のELパネルは、フィ
ルタ基板を用いなくとも、色純度の良好でかつ高輝度に
発光する緑原色、青原色が得られ、しかも簡単な構成で
赤色発光も得られる。また、カラーELパネルの各色の
輝度のバラツキが少なく、歩留まりを上げ、パネル製造
コストを低減することを可能とすることができ、実用的
価値が大きい。
【0110】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、RGBに
パターニングされたフィルタ基板を必要としない、色純
度の良好な、特にフルカラーEL用に適した蛍光体薄膜
を有するELパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のELパネルの基本構成例を示す概略断
面図である。
【図2】本発明の方法が適用可能な装置、または本発明
の製造装置の構成例を示す概略断面図である。
【図3】従来の無機EL素子の構成例を示す一部断面図
である。
【符号の説明】
1 基板 2 第1の絶縁層(厚膜誘電体層) 3 蛍光体薄膜(発光層) 4 第2の絶縁層(薄膜誘電体層) 5 下部電極 6 上部電極(透明電極) 11 真空槽 12 基板 13 加熱手段 14 抵抗加熱セル 15 EB蒸発源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長野 克人 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 中野 睦子 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB04 AB18 BB06 DA04 DB01 DC02 DC04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 緑原色と、青原色を発光する2種類のE
    L蛍光体薄膜により3原色表示を行うカラーELパネル
    であって、 前記2種類のEL蛍光体薄膜が酸素を含有していてもよ
    いアルカリ土類硫化物またはアルカリ土類酸化物であ
    り、 前記緑原色または青原色のEL蛍光体薄膜と色変換層を
    組み合わせて赤色発光部が形成されているELパネル。
  2. 【請求項2】 色純度座標CIE(x、y)において、 x<0.3、y>0.6である緑原色と、x<0.2、
    y<0.2である青原色を発光する請求項1のELパネ
    ル。
  3. 【請求項3】 前記2種類のEL蛍光体薄膜は、下記組
    成式で表される請求項1〜3のいずれかのELパネル。 Axyzw :R [但し、AはMg、Ca、Sr、Baおよび希土類元素
    から選ばれた少なくとも一つの元素、Bは、Al、Ga
    およびInから選ばれた少なくとも一つの元素を表し、
    x=0〜5、y=0〜15、z=0〜30、w=0〜3
    0である。Rは発光中心となる希土類元素を表す。]
  4. 【請求項4】 前記緑原色を発光するEL蛍光体薄膜の
    母体材料がストロンチウムチオガレードであり、 青原色を発光するEL蛍光体薄膜の母体材料がバリウム
    チオアルミネートであり、 共に発光中心となる希土類元素がEuである請求項1ま
    たは2のELパネル。
  5. 【請求項5】 前記緑原色EL蛍光体薄膜のEL発光時
    の光取り出し面に色変換膜を有する請求項1〜4のいず
    れかのELパネル。
  6. 【請求項6】 前記緑色または青色を発光するEL蛍光
    体薄膜が酸素を含有したオキシ硫化物であって、 前記オキシ硫化物中の酸素元素とイオウ元素とのモル比
    率を、O/(S+O)と表したときに、 O/(S+O)=0.01〜0.85 である請求項1〜5のいずれかのELパネル。
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