JP2004029820A - 電子光導電性物品の製造方法及び電子光導電性物品 - Google Patents

電子光導電性物品の製造方法及び電子光導電性物品 Download PDF

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Abstract

【課題】電荷発生物質と、電子輸送物質及び正孔輸送物質よりなる群から選択された少なくとも一つの輸送物質との錯体を含む電子光導電性物品の製造方法を提供する。
【解決手段】電荷発生物質と、電子輸送物質及び正孔輸送物質よりなる群から選択された少なくとも一つの輸送物質との錯体を含む電子光導電性物品は、電荷発生物質、少なくとも一つの輸送物質及び有機結合剤を溶媒と混合して電荷発生物質と少なくとも一つの輸送物質との錯体を含むコーティング分散液を製造する段階と、コーティング分散液を導電性基板上にコーティングして電子光導電性物品上に電荷輸送層を形成する段階により製造される。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真用感光体にかかり、より詳細には電子写真媒体の形成時に有用な電荷発生物質の錯体、特に有機電荷発生物質とa)電荷輸送物質またはb)電子移動物質との錯体及び望ましくは新しい結晶型のチタンフタロシアニンの錯体に関する。
【0002】
【従来の技術】
可視光線に対する光感度を有している電子写真感光体は、複写機、プリンタ等に広く利用されてきた。上記電子写真感光体を構成する物質として元の主成分としてセレン、亜鉛酸化物、カドミウム硫化物及び他の無機光導電性物質を含む感光層(導電性支持体の上部に形成される)を含む電子写真感光体が、一般的に無機感光体として広く利用されてきた。
【0003】
【特許文献1】
特開昭50−10496号公報
【特許文献2】
特開昭43−16198号公報
【特許文献3】
特開昭47−37543号公報
【特許文献4】
特開昭55−22834号公報
【特許文献5】
特開昭54−79632号公報
【特許文献6】
特開昭56−116040号公報
【特許文献7】
特開昭61−239248号公報
【特許文献8】
米国特許第4,898,799号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような無機感光体では複写機などのような電子写真感光体で要求される光感度、熱的安定性、水又は湿気に対する安定性、耐久性及び他の特性がいつも満足できるほど十分ではないという問題がある。例えば、セレンは熱によって結晶化されるか、または指紋によって汚染され、これにより光導電体の望ましい特性が容易に低下する。カドミウム硫化物を使用する電子写真感光体は水に対する安定性及び耐久性が不良であり、亜鉛酸化物を利用する電子写真感光体は耐久性、特に湿度及び物理的応力面で問題がある。またセレン及びカドミウム硫化物を使用する電子写真感光体はこれらの製造及び取扱い面では不利な側面もある。
【0005】
かかる無機光導電性物質の問題点を改善するために、無機光導電性物質に代って有機光導電性物質が電子写真感光体の感光層に利用されてきた。例えば特許文献1には、ポリ−N−ビニルカルバゾールと2,4,7−トリニトロフルオレノンとを含む感光層を使用する有機感光体が開示されている。しかし、この感光体は感度及び耐久性が十分でない。したがって、機能分離型2層感光層を具備した電子写真感光体が開発されたが、これらの感光層は電荷発生層と電荷輸送層とが独立的に形成されるとともに、電荷発生層は電荷発生物質を含み、電荷輸送層は電荷輸送物質を含む。これにより、いろいろな物質が電荷発生機能と電荷輸送機能とを独立的に行うことができる。したがって、機能のうち一つを有する広範囲な物質の中から、最適な物質を選択することができる。したがって、電荷発生層と電荷輸送層とが独立的に形成される機能分離型の電子写真感光体であれば、感度及び耐久性に優れた有機感光体が得られると考えられる。
【0006】
このような機能分離型の電子写真感光体においては、キャリア発生層に有用な多くのキャリア発生物質が提案されている。無機物質を利用するキャリア発生物質の例として、例えば特許文献2に開示された無定形セレンがある。無定形セレンを含むキャリア発生層は有機キャリア発生物質を含有するキャリア輸送層と共に使われる。しかし、無定形セレンを含有するキャリア発生層は熱による結晶化問題のために上述したような特性が劣化する結果を招く。キャリア発生物質として有機物質を使用する例には、有機染料または顔料がある。例えば、ビス−アゾ化合物を含有する感光層を具備した感光体が例えば特許文献3〜6に既に開示されている。
【0007】
しかし、たとえこのようなビス−アゾ化合物が短波長及び中波長範囲で感度が比較的優秀であったとしても、長波長範囲では感度が低いという問題がある。したがって、上記のようなビス−アゾ化合物は半導体レーザービームソースを使用して高い信頼性を要求するレーザープリンタでは使用し難いという問題がある。
【0008】
現在半導体レーザーとして広く使われているガリウムアルミニウム砒素(Ga/Al/As)タイプ発光要素は振動波長が750nm以上である。このように長波長光から高感度の電子写真感光体を得るために多くの研究が行なわれてきた。例えば、このような方法は可視光範囲で高感度のSe、CdSなどのような感光性物質に感光剤を付加して長波長側での感度特性を向上させるための方法である。しかし、上記のようにSe及びCdSは温度、湿度に対する環境抵抗性がまだ十分でない。また上記のように数多くの有機タイプ光導電物質が知られているが、これらの感度は一般的に700nm未満の可視光領域に制限され、ただ少数の物質だけが長波長側で十分な感度特性を有するにすぎない。
【0009】
例えば、電荷発生物質のうちフタロシアニンタイプ化合物が長波長領域で光感度を有することが知られている。例えば特許文献7に記述されているα型のチタニルフタロシアニンは、CuK−αソース(波長1.541Å)から発生したX線に露出された場合、ブラッグ2θ角が7.5,12.3,16.3,25.3及び28.7°の地点でピークを示す。しかし、反復的な使用後、感度は低くて電気的ポテンシャル安定性が低下して反転現象を利用した電子写真工程中に写真フォグ現象が発生しやすく、また帯電パワーが小さくて十分な画像密度を得難いという問題がある。
【0010】
また例えば特許文献8にはチタニルフタロシアニンを含む感光体が開示されている。このチタニルフタロシアニンはCuK−α特性X線(波長1.541Å)でブラッグ2θ角の少なくとも9.5±0.2°、9.7±0.2°、11.7±0.2°、15.0±0.2°、23.5±0.2°、24.1±0.2°及び27.3±0.2°で主要ピークを示す。チタニルフタロシアニンは、例えばα−クロロナフタレン溶媒と混合されたチタンテトラクロライドとフタロジニトリルとを反応させて製造される。こうして得られたジクロロチタンフタロシアニン(TiClPc)を加水分解してα型チタニルフタロシアニンを得る。この工程は2−エトキシエタノール、ジグライム、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ピリジン、モルホリン及び電子ドナーである他の溶媒を利用して実施される。
【0011】
このように、感光体の大部分の特性は電荷発生物質と電子移動物質または電荷移動物質の臨時的な結合によって変わる。これによって単一生産物、多くの同じ生産物及び同じ生産物の製造中に変動がおきる。このような特性のばらつきは、画像形成の不一致の原因となる。
【0012】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、中間波長領域の光、特に半導体レーザー及びLEDに対して最適の感光波長領域を有する電子写真媒体の形成時に有用な電荷発生物質の錯体、特に有機電荷発生物質とa)電荷輸送物質またはb)電子移動物質との錯体及び望ましくは新しい結晶型のチタンフタロシアニンの錯体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、電荷発生物質と、電子輸送物質及び正孔輸送物質よりなる群から選択された少なくとも一つの輸送物質との錯体を含む電子光導電性物品の製造方法であって、前記電荷発生物質、前記少なくとも一つの輸送物質及び有機結合剤を溶媒と混合して電荷発生物質と少なくとも一つの輸送物質との錯体を含むコーティング分散液を製造する段階と、前記コーティング分散液を導電性基板上にコーティングして電子光導電性物品上に電荷輸送層を形成する段階とを含むことを特徴とする電子光導電性物品の製造方法が提供される。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、電荷発生物質と、電子輸送物質及び正孔輸送物質よりなる群から選択された少なくとも一つの輸送物質の錯体を含む電子光導電性物品の製造方法であって、前記電荷発生物質、前記少なくとも一つの輸送物質及び有機結合剤を溶媒と混合する段階と、前記電荷発生物質、前記少なくとも一つの輸送物質及び前記有機結合剤を共に同時分散して前記電荷発生物質及び前記少なくとも一つの輸送物質の錯体を含むコーティング分散液を形成する段階と、前記コーティング分散液を導電性基板上にコーティングして前記電子光導電性物品上に電荷輸送層を形成する段階とを含むことを特徴とする電子光導電性物品の製造方法が提供される。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、電荷発生物質と電子輸送物質及び正孔輸送物質よりなる群から選択された少なくとも一つの輸送物質の錯体を含む有機電子光導電層の少なくとも一表面上に導電性基板を含む電子光導電性物品であって、前記錯体が結合剤に分散されることを特徴とする電子光導電性物品が提供される。
【0016】
このような本発明によれば、感光体などの電子写真画像形成層に機能性物質として含まれる優れた特性を有する錯体を提供することができる。電荷発生物質(CGM)は(a)電子輸送物質(ETM)及び(b)電荷輸送物質(CTM)のうち一つと錯体を形成する。一般的に電子写真要素のこのような成分物質を含有する機能層をコーティングする前にこのような成分物質の錯体を形成して活性物質(例:CGM/ETMまたはCGM/CTM)のより均一な結合が得られ、より密接に結合され、かつより優秀な速度を有する製品が得られる。
【0017】
本発明において、チタンフタロシアニン、銅フタロシアニン、オキシチタンフタロシアニン(チタニルフタロシアニンとも称し、電荷発生化合物として作用するあらゆる結晶相または結晶相の混合物を含む)及びヒドロキシガリウムフタロシアニンのような当該技術分野で公知のあらゆる金属フタロシアニンが有用であり、あらゆる結晶相を有するチタニルフタロシアニンが有用である。特に、本発明にかかる結晶相を有するチタニルフタロシアニンがさらに望ましい。本発明にかかる結晶相のチタニルフタロシアニンをS相と称する。
【0018】
本発明にかかる結晶相のチタニルフタロシアニンは、例えば格子配列の内部ブレンドを含む結晶相(S相と称する)であって、これは色々な結晶型のチタニルフタロシアニン(望ましくは、出発物質としてγ型を利用する)を処理して得ることができる。上記S相は実に新しい相(単結晶が示すスペクトル放出及び吸収特性を有する)であって、色々な相を有する別個粒子の混合物ではなく(例えばβ相とγ相とを有する粒子の組合わせ物)、S相の原子及び分子が新しくてかつ連続的に不均一な格子構造を形成する内部格子分布を有している。上記X線スペクトルには回折ピークブレンドが現れ、以前にはいろいろな結晶形態のチタニルフタロシアニンのうち一括的に単に独特に現れるピークを示しているが、上記X線スペクトルは現在単結晶形態でのみ提供される。
【0019】
本発明にかかる感光体などの電子光導電性物品は、例えばCuK−α特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ2θ角の主ピークが少なくても9.5±0.2°、11.7±0.2°、15.0±0.2°、23.5±0.2°、24.1±0.2°、26.4±0.2°及び27.3±0.2°で現れる望ましいチタニルフタロシアニン化合物を含むチタニルフタロシアニン錯体を含んでもよい。また、主ピークに近接するか、または同等な付加的なピークはブラッグ2θ角の少なくとも15.0、15.3及び16.0±0.2°で現れる。他の特徴も存在するが、S型の特定識別子としてβ型ピークが21.0±0.2°で、そしてショルダが23−23.5±0.2°で必ず存在する必要はない。望ましい電荷発生物質として、例えば特許文献8に記述されたチタニルフタロシアニンと、α相、β相及びγ相チタニルフタロシアニン結晶は、本発明の錯体の形成時に利用してもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
電荷発生物質(特にチタニルフタロシアニン結晶)と、電子輸送物質または電荷輸送物質(また正孔輸送物質という)とを利用して形成された錯体は電子写真要素、特に有機光導電体物質の製造に有用である。上記錯体は配位結合を形成する2つの化合物(チタン原子またはチタンイオンであるか、またはそうでない)を利用して形成された錯体である。
【0022】
上記錯体がそれぞれのグループ間に形成される限り、分子(一方には電荷発生化合物及び他方には電子輸送物質または正孔輸送物質)が限定されるか、またはリガンドまたはキレートとして作用することは重要でない。また錯体形成用の様々な化合物からのあらゆる物質が錯体として存在する必要はない。いくつかの物質は、一つ以上の物質が過量に存在するために、準備過程中に化合物間に不完全な錯化またはコーティング、貯蔵または利用中に錯体が形成された化合物の分離(例えば本発明の電子光導電層及び組成物の製造、転換、貯蔵または利用の各段階中に発生する熱、湿度または他の不利な条件下での化合物の仕上げ結果)によって別個の化合物状態に存在する。
【0023】
少なくとも単層の電子写真要素内で錯体を形成する物質の両グループからキレート化した及びキレート化していない化合物の分布は反応条件及び物質によって変わる。モル比を基準として、最小値濃度を有する成分の少なくとも10%、望ましくは少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、最小値濃度を有する物質の大部分、少なくとも55%、少なくとも65%または少なくとも75%は錯体として存在しなければならない。例えば、1対1リガンドが化学量論的にキレートされると仮定する場合、電荷発生物質3.0モル、電子輸送物質または正孔輸送物質1.0モルが存在する場合、ETMまたはHTMの少なくとも10%(0.10モル)はCGMとの錯体として提供される。一つ以上の成分が微粒子形態に存在する場合、錯化度を決定するのに色々な方法論が必要である。例えば、チタニルフタロシアニンは結晶粒子として存在するので錯化度をモルにて表示し難い。
【0024】
したがって、錯化度は結晶表面での利用可能な錯化位置%で表示されねばならず、これは統計分析によって計算できる。特定結晶相及び大きさの表面上で発生する最大錯化量は通常的な平衡物理化学分析により分かる。また、非晶質化合物の最大数またはモル/表面積を測定できる。それから、結晶表面で発生する錯化量は最大理論的に利用可能な錯化含量/前記結晶相の重量及び結晶大きさ側面で考慮する必要がある。モル%と類似して最大理論的錯化%が最大理論的表面積を基準として10%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも65%、少なくとも75%であり、錯体として存在しなければならない。
【0025】
電荷発生物質と正孔輸送物質または電子輸送物質間の錯体を形成する正確なメカニズムは物質、粒子サイズ、結合剤及び溶媒によって変化するが、いずれによっても錯体は形成される。いかなる環境下でもCTMは高分子結合剤によって安定化して分子的に分散されたガラスであるが、実際的にCGM顔料のように真の意味で事実上粒子ではなく、溶解された錯体が形成される。CGMが分子ガラスである場合、粒子サイズは変化し、理論的な側面で分子ガラスがまだまだ粒子としては見なされていない。
【0026】
他の環境で電荷輸送物質は、ほとんど均一な大きさを有する粒子状態であるため(例えば粒子数の少なくとも95%での±40%のシグマ、望ましくは粒子数の少なくとも95%での±25%のシグマ)、錯化度はまたこのような色々な環境で粒子数の少なくとも95%での±40%のシグマ範囲内で、望ましくは、粒子数の少なくとも95%での±25%のシグマ範囲内で粒子数の少なくとも25%が錯化されると記述される。これと類似して、粒子数の少なくとも30%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%または少なくとも90%はこのシグマ分布範囲で錯化されねばならない。たとえスケールの小末端範囲から外れたいくつかの粒子が他の粒子のように錯化されたとしてもこれらを分析し難いためにこのような決定により上記範囲が選択される。
【0027】
次に、本発明で使用されるチタニルフタロシアニンについて説明する。本発明では、例えばチタニルフタロシアニンをキャリア発生物質として機能分離型電子写真感光体に使用する。このチタニルフタロシアニンはキャリア輸送物質と共に感光体を構成する。本発明にかかるチタニルフタロシアニンは上述した従来の結晶型のチタニルフタロシアニンとは相違する。
【0028】
このような相違点を説明するため、本発明による結晶型のチタニルフタロシアニンは主ピークが独特に組合わせられているX線回折(XRD;X−rayDiffraction)スペクトルを示す。このようなピークは明確にCuK−α特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ2θ角のバックグラウンドノイズから起因したものであって、これらピークはブラッグ2θ角の少なくとも9.5±0.2°、9.7±0.2°、11.7±0.2°、13.5±0.2°、21±0.2°、23.5±0.2°、24.1±0.2°、26.4±0.2°及び27.3±0.2°で現れる。また、主ピークに近接するか、あるいは同等な付加ピークは上記のように15.0°、15.3°及び16.0±0.2°で現れる。文献上に既述された結晶型のチタニルフタロシアニンはいろいろな格子構造の内部、連続/不均一ブレンドを含むのに対し、本発明のチタニルフタロシアニンは上述した従来の結晶構造とは明確に異なる結晶構造を有する。
【0029】
また、本発明はCuK−α特性X線(波長1.541Å)でブラッグ2θ角の主要ピークが少なくても9.5±0.2°、9.7±0.2°、11.7±0.2°、13.5±0.2°、24.1±0.2°、26.4±0.2°、及び27.3±0.2°で現れるチタニルフタロシアニンを含有する感光体に関する。また主ピークに近接するか、あるいは同等な付加的なピークはブラッグ2θ角の少なくとも15.0、15.3及び16.0±0.2°で現れる。それ以外にいろいろな特徴が存在するが、S型の特定識別子として21.0±0.2°でβ型ピークが、23〜23.5±0.2°でショルダが必ず存在する必要はない。
【0030】
本発明のチタニルフタロシアニン(“S型“と称する)は上記のように従来の単結晶の結晶構造では見られなかった独特なスペクトルを示す。なお、X線スペクトルは後述する条件下で測定される(以下、同様)。
X線チューブバルブ:Cu
電圧:40.0KV
電流:100.0mA
出発角:6.00deg
停止角:35.00deg
ステップ角:0.020deg
測定時間:0.50sec
【0031】
従来から、ミリング条件、溶媒、温度、添加剤及びミリングタイプにおいては、ミリングして得られる結晶相または結晶型構造に予測できない影響を及ぼすという事実は認識されていた。しかしながら、変数の新しい組合わせを実質的に使用していかなる結晶型(及びXRDパターン)が得られるかについては予測する基準がなかった。あらゆる一連の特定変数によってチタニルフタロシアニンの数多くの結晶型のうちいかなる特定結晶型が形成されるかについて予測できる根拠がなかく、実際に試みられたこともなかった。
【0032】
例えば上記特許文献8によれば、単一の新規ピークの存否は、いろいろな格子構造及び結晶型が生成物で存在するということを立証する明白な証拠であるという事実が確立された。単一主ピークの差(存否によって)は別個の全体格子構造の決定的な証拠である。用語“主ピーク“は主観的な用語ではないが、当該技術分野で物質を区別するために利用されて曖昧でないという前提下でその用語を多少主観的に使用してきた。上記用語は一定のX線強度、しかし角は変化する条件下でXRDテストから得られた絶対強度及び相対強度の側面で考慮されるべきである。例えばあらゆるピークのピーク強度が200cps以上であるか、あるいは250cps以上である場合、主ピークは少なくとも50cps、少なくとも70、あるいは少なくとも100cpsの強度を有するべきである。これは、データ図面内でいろいろなピークを比較することによって把握される。例えば、7.5°でのデータ構造を主ピークと称するには不十分であり、11.8及び24.2°での構造を主ピークと称するべきであり、26.4、21.0、15.5及び9.5での構造を主ピークと称するべきである。
【0033】
β型、γ型及びS型TiOPcのデータが添付されている。本発明者らはS型TiOPc結晶はβ型またはγ型の結晶とは相異なると見なす。S型結晶は個別的なβ結晶と個別的なγ結晶相との混合物ではない。しかし、S型結晶はβ及びγ特性を示し、以前に認識された単一結晶型のピークが現れずに、各結晶形態が有している主ピークの集合状態を示す。したがって、S型のX線ピークはγ及びβピークと類似した位置で複合的な状態に現れる。しかし、S型はまた総称的な結晶型である。S型は数多くの種を含み、これら各々は転換度及び方向によってβ及びγ特性(性質、スペクトル、結晶格子構造)が特異に混合されている。
【0034】
S型がβ及びγスペクトル特性を有する理由は、後述する実施例に説明及び提供される工程により説明できる。γ型はTiOPcの安定した結晶型ではない。したがって他の結晶型に転換されることができ、一実施例で多様に定義された条件下でミリングされる間にS型に容易に転換される。ところで、S型もβ型に比べて安定した形態ではない。したがって、適切な条件下でβ型に転換できる。本発明者らによれば、相転換工程はγ、S、β順に実施される(γ>S>β)。γ型結晶での原子配列は特定(γ)パターンを有しているのに対し、β結晶での原子配列は別個の特定(β)パターンを有している。γ型結晶がS型に転換され始めればγパターンの一部がβパターンになる。同一結晶でγ及びβパターンが共存する。γパターンの100%がβパターンに変化する場合にのみ、β型結晶が形成される。
【0035】
転換が100%以下である場合にS型が得られる。このような変化は結晶格子内で起き、粒子間総転換を示すことではない。格子は結晶構造がβ型またはγ型でもない中間S型段階を経て転換される。
【0036】
本発明にかかるチタン(チタニル)オキシフタロシアニン(TiOPc)のスペクトル特性を図面によりグラフで示す。なお、これらの図面及び実施例で使われたチタンオキシフタロシアニンはロット番号は異なるが、いずれもγ型であって化学的組成が同一であり、実質的に同じ結晶構造を有する。本発明の図面において特性の変化は当該技術分野で周知のようにロット変化によってよく伴われる変動事項である。
【0037】
図1は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)3つの試料、すなわちγ型結晶(供給器から得られるγ−7)、β型結晶(供給器から得られるβ−11)及びS型(後述の実施例2のようにMEKでγ型をミリングして得られる)のXRD分析スペクトルを示す。
【0038】
図2は、いろいろな溶媒、結合剤及びミリング法を利用してミリングされたγ型TiOPcの3つの試料のXRDスペクトルを示すものである。後述する実施例1〜3によって得た電荷発生物質(CGM;ChargeGenerating Materials)ミルベースでの結晶形態は各々γ型、S型及びβ型である。すなわち、実施例1〜3のTiOPcは表6から分かるように各々β型、S型及びγ型である。
【0039】
表6は実施例1〜3のX線ピークを示すものであり、各ピークの面積が現れている。表7は、図1及び表1(すなわち、実施例1〜3)に示したTiOPcの3つのCGMミルベースを利用して得られた単層OPC(有機光導電体)の静電気的特性を示すものである。後述する実施例2の性能はS型能力面でβ型及びγ型に比べてさらに優秀であってさらに高い電荷を保持しており、低いレベルに放電される。
【0040】
図3は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)4つの試料のXRDスペクトルを示す図であり、これらのうち2つの試料はエージング処理されたものである。
【0041】
図4は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDスペクトルを示す図面であり、これらのうち3つの試料はPCZ結合剤(ポリカーボネートZ)及びキシレンと共にパスモードで4回通過してミリング処理され、ミリング後にいろいろな溶媒を付加したものである。
【0042】
図5は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)4つの試料のXRDスペクトルを示す図面であり、これらのうち2つの試料はMEK溶媒下でBX−5(ポリビニルブチラル)でミリングされた後、ミリングされた2つの試料のうち一つの試料ミルベースにTHFを付加したものである。
【0043】
図7は、ニートβ−11及びγ型のチタニルフタロシアニン(TiOPc)各々2セットのXRDデータを示す図面であり、これら2セットは各々110℃で1時間エージング処理した場合とエージング処理していない場合に関するものである。
【0044】
図8は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDスペクトルを示す図面であり、これらのうち3つの試料はPCZ及びいろいろな溶媒と共にパスモードで数回通過してミリングされたが、そのデータは後述の表5に示す通りである。
【0045】
図9は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)4つの試料のXRDスペクトルを示す図面であり、これらのうち2つの試料はPCZ及びいろいろな溶媒と共にミリングされ、いろいろな条件下でエージング処理されたが、そのデータは表5に示す通りである。
【0046】
図10は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDスペクトルを示す図面であり、これらのうち3つの試料はPCZ及びp−キシレンと共にパスモードでミリングされ、かつ1時間エージング処理されたが、そのデータは表5に示す通りである。
【0047】
図11は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDスペクトルを示す図面であり、これらのうち3つの試料はPCZ及びp−キシレンと共にパスモードで8回通過させることによってミリングされ、ミリングされた3つの試料のうち2つの試料はエージング処理されたが、そのデータは表5に示す通りである。
【0048】
図12は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)4つの試料のXRDスペクトルを示す図面であり、これらのうち2つの試料はPCZ及びジオキサンと共にパスモードでミリングされたが、そのデータは表5に示す通りである。
【0049】
図13は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDスペクトルを示す図面であり、これらのうち3つの試料はPCZ及びジオキサンと共にパスモードで6回通過してミリングされ、ミリングされた3つの試料のうち2つの試料はエージング処理(20Hr@50C及び1Hr@110C)されたが、そのデータは表5に示す通りである。
【0050】
図14は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDスペクトルを示す図面であり、これらのうち3つの試料はPCZ及びテトラヒドロフランと共にミリングされ、ミリングされた3つの試料のうち1つの試料はエージング処理されたが、そのデータは表4及び表5に示す通りである。
【0051】
図15は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDスペクトルを示す図面であり、これらのうち3つの試料はPCZ及び相異なる溶媒と共にそれぞれ時間長さを異ならせてミリングされたが、そのデータは表4に示す通りである(なお、β及びγ型に対する曲線は表示されない)。
【0052】
図16は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)6つの試料のXRDスペクトルを示す図面であり、これらのうち4つの試料はPCZ及びp−キシレンと共にそれぞれ時間長さを異ならせてリサイクルモードでミリングされたが、そのデータは表4に示す通りである。
【0053】
図17は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)6つの試料のXRDスペクトルを示す図面であり、これらのうち4つの試料はPCZ及びp−キシレンと共にそれぞれ時間長さを異ならせてリサイクルモードでミリングされ、ミリング処理された4つの試料のうち1つの試料は2〜3週間エージング処理されたが、そのデータは表4に示す通りである。
【0054】
図19は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)6つの試料のXRDパターンを示す図面であり、これらのうち4つの試料はPCZ及びp−キシレンと共にリサイクルモードで時間長さを異ならせてミリングされたが、そのデータは表4に示す通りである。
【0055】
図20は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)8つの試料のXRDパターンを示す図面であり、これらのうち7つの試料はPCZ及びトルエンと共にリサイクルモードで各々時間長さを異ならせてミリングされたものである。
【0056】
図21は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)6つの試料のXRDパターンを示す図面であり、これらのうち4つの試料はBX−5及びメチルエチルケトンと共にリサイクルモードで各々時間長さを異ならせてミリングされたものである。
【0057】
図22は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)7つの試料のXRDパターンを示す図面であり、これらのうち5つの試料はBX−5及びメチルエチルケトンと共にリサイクルモードで各々時間長さを異ならせてミリングされたが、そのデータは表3に示す通りである。
【0058】
図23は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)6つの試料のXRDパターンを示す図面であり、これらのうち4つの試料はBX−5及びメチルエチルケトンと共にリサイクルモードで各々時間長さを異ならせてミリングされたものである。
【0059】
図24は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)4つの試料のXRDパターンを示す図面であり、これらのうち2つの試料はBX−5及びメチルエチルケトンと共にリサイクルモードで各々時間長さを異ならせてミリングされたが、そのデータは表4に示す通りである。
【0060】
図25は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDパターンを示す図面であり、これらのうち4つの試料はBX−5及びメチルエチルケトンと共にリサイクルモードで各々時間長さを異ならせてミリングされたが、そのデータは表4に示す通りである。
【0061】
図26は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)2つの試料のXRDパターンを示す図面であり、これらのうち1つの試料はBX−1及びメチルエチルケトンと共にリサイクルモードで各々時間長さを異ならせてミリングされたが、そのデータは表4に示す通りである。
【0062】
図27は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)4つの試料のXRDパターンを示す図面であり、これらのうち2つの試料はPCZ及びジオキサンと共にRTで各々時間長さを異ならせてミリングされたが、そのデータは表4に示す通りである。
【0063】
図28は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)4つの試料のXRDパターンを示す図面であり、これらのうち2つの試料はBX−5及びテトラヒドロフランと共に各々時間長さを異ならせてミリングされたものである。
【0064】
図29は、チタニルフタロシアニン(TiOPc)6つの試料のXRDパターンを示す図面であり、これらのうち5つの試料はBX−1(ポリビニルブチラル)及びエタノールと共に各々時間長さを異ならせてミリングされたものである。
【0065】
なお、図32は、比較のために、市販用TiOPcの4つの結晶型(無定形、β−9型、β−11型及びγ型)の可視光線スペクトルを示す図である。
【0066】
図30は、本願発明にかかるミリング工程で得たβ型、γ型及びS型チタニルフタロシアニン結晶の可視光線スペクトルを示す。XRDスペクトルと同じく可視光線スペクトルは相当な差を示す。β型はS型及びγ型に比べて850nm以上での吸収率が大きい。内包されたあらゆるベースライン差を補正した後にもS型はγ型及びβ型に比べて790〜800nmでの吸収率がはるかに小さい。3つの結晶型の化学組成が実質的に同一であるという見地から見る時、可視光線スペクトルが相異なって得られるということはこれら3つの結晶型間の結晶構造及び格子構造が相異なるという事実をまた証明する。
【0067】
上述した乾燥条件下で得たチタニルフタロシアニンを使用することが望ましいが、濡れたペーストの形態で使用することもある。攪拌及びミリング用分散媒質には、ガラスビード、スチールビード、アルミナ、ビード、プリントストーンなどのような分散またはエマルジョン化顔料として一般的に使われるものであればいずれも使用可能である。但し、分散媒質が必ずしも必要であるわけではない。
【0068】
また摩擦粉砕用補助剤としては、食塩、重炭酸ナトリウム、グラウバー塩(Glauber’s salt)などのように顔料の摩擦粉砕用補助剤として使われるものを使用できる。しかし、摩擦粉砕用補助剤が必ずしも必要なわけではない。
【0069】
攪拌、ミリングまたは粉砕ミリング過程で溶媒が必要な場合、溶媒には攪拌またはミリングされる温度で液化されるものが使われる。例えば上記特許文献8によれば、アルコール系溶媒(グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール)またはポリエチレングリコール系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル及びそれ以外のセルローズ系溶媒、ケトン系溶媒、エステルケトン系溶媒などの溶媒1種以上を選択することが望ましいと記載されている。
【0070】
この点、本発明の実施例においては、メチルエチルケトンでのミリング(THFはミリングされた場合にβ型を形成するが、エチルアセテートミルベースでのCGMにTHFを付加すればS型を形成する)によりS型が形成できるのに対し、他の溶媒を使用した場合には特定遷移が調節できる、十分に安定した条件下でテストされなかった。結晶転換工程に有用な代表的な装備には、ホモミキサー、分散器、アジテータ、攪拌器、ニーダ(kneader)、バンバリミキサー(Banburymixer)、ボールミル、サンドミル、摩耗粉砕器、音波混合器のような一般的な攪拌装置がある。結晶転換工程の温度範囲は30〜180℃、望ましくは40〜130℃である。一般的な結晶転換工程と同じく、結晶胚芽を使用することも効果的である。
【0071】
本発明では、上記チタニルフタロシアニンと共に他のキャリア発生物質を使用する。チタニルフタロシアニンと共に使われるキャリア発生物質には、例えばα型、β型、γ型、x型、τ型、τ’型、h型、h’型チタニルまたは非金属オキシフタロシアニンを挙げられる。前記物質以外に、オキシフタロシアニン顔料、アゾ顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、多環式キノン顔料、四角酸メチン顔料、メロシアニン顔料、シアニン顔料などを使用できる。
【0072】
本発明の感光体において分離型感光体が使われる場合、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾロン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、ポリ−n−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセンなどがキャリア輸送物質として利用される。
【0073】
感光体において、あるキャリア発生物質に効果的なキャリア輸送物質が他のキャリア発生物質にも効果的であるとは限らない。また、あるキャリア輸送物質に効果的なキャリア発生物質が他のキャリア輸送物質にいつも効果的であるとは限らない。従って、上記物質を電子写真感光体に利用するためにはキャリア発生物質とキャリア輸送物質間の正確な組合わせが必要である。もしキャリア発生物質とキャリア輸送物質とが不適切に組合わせられれば電子写真感光体の感度が低下し、特に低電界で放電効率が不十分であって残留電位が高まる。例えば電子写真感光体を複写機に使用する場合、感光体が反復的に使われる場合には、電荷が蓄積されてトナーが画像以外の領域につき、複写物のベースが汚染され、きれいに複写された画像が損傷されるおそれもある。
【0074】
上記電子輸送物質としては、ブロモアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロキサントン、2,6,8−トリニトロ−インデノ4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、(2,3−ジフェニル−1−インデニリデン)マロニトリル、4H−チオピラン−1,1−ジオキシド及び4−ジシアノメチレン−2,6−ジフェニル−4H−チオピラン−1,1−ジオキシド、4−ジシアノメチレン−2,6−ジ−m−トリル−4H−チオピラン−1,1−ジオキシドのような誘導体、4H−1,1−ジオキソ−2−(p−イソプロピルフェニル)−6−フェニル−4−(ジシアノメチリデン)チオピラン及び4H−1,1−ジオキソ−2−(p−イソプロピルフェニル)−6−(2−チエニル)−4−(ジシアノメチリデン)チオピランのような非対称置換された2,6,−ジアリル−4H−チオピラン−1,1−ジオキシド、ホスファ−2,5−シクロヘキサジエン誘導体、(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロニトリル、(4−フェネトキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロニトリル、(4−カルビトキシ−9−フルオレニリデン)マロニトリル及びジエチル(4−n−ブトキシカルボニル−2,7−ジニトロ−9−フルオレニリデン)−マロネートのような(アルコキシカルボニル−9−フルオレニリデン)マロニトリル誘導体、11,11,12,12−テトラシアノ−2−アルキルアントラキノジメタン及び11,11−ジシアノ−12,12−ビス(エトキシカルボニル)アントラキノジメタンのようなアントラキノジメタン誘導体、1−クロロ−10−[ビス(エトキシカルボニル)メチレン]アントロン、1,8−ジクロロ−10−[ビス(エトキシカルボニル)メチレン]アントロン、1,8−ジヒドロキシ−10−[ビス(エトキシカルボニル)メチレン]アントロン及び1−シアノ−10−[ビス(エトキシカルボニル)メチレン]アントロンのようなアントロン誘導体、7−ニトロ−2−アザ−9−フルオレニリデン−マロニトリル、ジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、キニン誘導体、テトラシアノエチレンシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、スクシン酸無水物、マレイン酸無水物、ジブロモマレイン酸無水物、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、N,N−ジアルキルアニリン誘導体、ジフェニルアミン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、テトラシアノキノンジメタン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,7−トリニトロ−9−ジシアノメチレンフルオレノン、2,4,5,6−テトラニトロキサントン誘導体及び2,4,8−トリニトロキサントン誘導体が挙げられるが、必ずしも公知の電子輸送物質にのみに制限されるものではない。
【0075】
上述したように、キャリア発生物質とキャリア輸送物質とを適切に組合わせることは重要である。しかしながら、このような組合わせの選択時に適用すべき特定の一般的な(絶対的な)規則はない。特定キャリア発生物質に適したあらゆるキャリア輸送物質を探すことはむずかしい。さらに、本発明の電荷輸送物質は環境側面で安全でかつ有利であり、化学的に安定している。
【0076】
このように本発明の感光体は、長波長光に対して高感度であり、反復的に使われる場合にも電気ポテンシャル安定性が優秀であり、帯電性及び反対方式の現像工程でもコア最適状態を示す。
【0077】
上記感光体を含む感光層において、粒子キャリア発生物質とキャリア輸送物質とは結合剤物質(すなわち、顔料の形態に層に分散されている)によって結合される。このような場合、上記層の耐印刷性、耐久性及び他の特性は改善され、メモリ現象は減少して電流電位が安定される。
【0078】
本発明の感光体において感光層は導電性支持体上にキャリア発生物質を結合剤に分散させた層を形成することによって構成される。またはいわゆる分離機能形または分散型感光層はキャリア発生物質とキャリア輸送物質とを結合して得られる。
【0079】
ここで、本発明にかかる電子光導電性物品例えば感光体などの電子写真感光部材の積層構造の代表例を、図6(a)及び図6(b)に示す。図6(a)に示すように、感光層1は単層構造であり、電荷発生物質2と電荷輸送物質(図示せず)とを共に含む。感光層1は導電性支持体2の上部に配置される。図6(b)に示すように、感光層1は電荷発生物質2を含む電荷発生層4と、電荷発生層4の上部に形成されて電荷輸送物質(図示せず)を含む電荷輸送層5とを含み、電荷発生層4は導電性支持体3の上部に形成される。電荷発生層4と電荷輸送層5とは逆順に配置されることもある。電子写真感光メンバーの製造時、導電性支持体3は導電性を有する物質よりなる。導電性を有する物質の例としては、例えばアルミニウム、ステンレススチールのような金属、導電層を有する金属、プラスチックまたはペーパーが挙げられる。
【0080】
上記導電性支持体3と感光層1との間には、中間層としてバリヤー機能および接着機能を有するプライマー層またはアンダーコーティング層が形成される。
【0081】
上記アンダーコーティング層としては、例えばビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルローズ、メチルセルローズ、カゼイン、ポリアミド、膠またはゼラチンのような物質が挙げられる。上記物質は適切な溶媒に溶解されて導電性支持体3の上部にコーティングされてプライマー層を形成する。なお、このプライマー層の厚さは0.2〜3.0ミクロンである。
【0082】
図6(a)に示すような単層構造を有する感光層は、本発明で使われるチタンオキシフタロシアニンを含む電荷発生物質及び電荷輸送物質を結合剤樹脂を含む適切な溶液と混合して、前記コーティング液を加えてこれを乾燥させて形成される。
【0083】
また、図6(b)に示すような積層構造を有する感光層のうち電荷発生層は、本発明で使用するチタンオキシフタロシアニン結晶を含む電荷発生物質を結合剤樹脂を含む適切な溶液に分散して、このコーティング液を塗布及び乾燥させて形成される。溶液に結合剤樹脂を使用しなくてもよい。電荷発生層はまた蒸着によって形成される。結合剤樹脂としては例えばポリエステル、アクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラル、ポリスチレン、ビニルアセテート樹脂、ポリスルホン、ポリアリレートまたはビニリデンクロライド−アクリロニトリルコポリマーが挙げられる。
【0084】
上記電荷輸送層としては、電荷輸送物質と結合剤樹脂とを適切な溶媒に溶解し、これにより得られたコーティング液を塗布してこれを乾燥させて形成される。電荷輸送物質の例にはトリアリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物またはトリアリルメタン化合物が挙げられる。結合剤樹脂としては、既に詳述した樹脂等が使われる。感光層を形成する方法としては、例えば浸漬法、スプレーコーティング法、スピンナコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、バーコーティング法またはビームコーティング法が挙げられる。
【0085】
感光層の形成時、感光層が単層構造である場合には、電荷発生物質と電荷輸送物質とは各々感光層内で1〜20wt.%及び10〜80wt.%、特に2〜10wt.%及び30〜70wt.%で各々含まれていることが望ましい。また、上記感光層が積層構造を有する場合には、電荷発生物質は電荷発生層で5〜80wt.%、特に50〜70wt.%で含まれることが望ましく、電荷輸送物質は電荷輸送層で30〜80wt.%、特に40〜60wt.%で含まれることが望ましい。
【0086】
なお、単層構造を有する感光層の厚さは5〜40ミクロン、より望ましくは10〜30ミクロンであることが望ましい。また、感光層が積層構造を有する場合、電荷発生層の厚さは望ましくは0.01〜10ミクロン、より望ましくは0.05〜5ミクロンであり、電荷輸送層の厚さは5〜40ミクロン、より望ましくは10−30ミクロンである。外部の衝撃から感光層を保護するために保護薄膜を感光層上にさらに形成する。
【0087】
電荷発生物質としてチタンオキシフタロシアニン結晶が利用される場合には、チタンオキシフタロシアニンは公知の電荷発生物質と望ましい範囲内で混合される。なお,本発明の電子写真感光部材はレーザービームプリンタ、発光ダイオード(LED)プリンタ及び陰極線管(CRT)だけでなく電子写真複写機、ファクシミリ、及び電子写真の他の適用分野に利用可能である。
【0088】
次に、本発明の電子写真感光部材を転写型電子写真装置に適用した場合について説明する。図18は、転写型電子写真装置の構成を概略的に示すものである。
【0089】
図18に示すように、画像輸送部材としての感光ドラム(すなわち、感光部材)21は軸21aを中心に感光ドラム21の内部に図示された矢印方向に所定の周辺速度で回転する。感光ドラム21の表面は帯電器22によって均一に帯電されて所定の正電位または負電位値を有する。感光ドラム21は画像露光装置(図示せず)により光−画像L(スリット露光またはレーザービームスキャニング露光により)に露光処理され、ここで露光画像に対応する静電潜像は感光ドラム21の表面に連続的に形成される。静電潜像は現像手段24によって現像処理されてトナー画像を形成する。上記トナー画像は感光ドラム21と転写帯電器25との間に位置し、転写帯電器25によって感光ドラム21と同じ回転速度で動く供給部(図示せず)から提供される転写物質Pに連続的に転写される。その表面にトナー画像を有している電子物質Pは感光ドラム21から分離されて定着装置28に移動し、画像定着を実施して電子物質Pが複写物として電子写真装置の外部に印刷される。転写後、感光ドラム21の表面に残留するトナー粒子は洗浄器26によって除去されて表面がきれいになり、感光ドラム21の表面に残留する電荷は予備露光手段27によって除電されて後続サイクルに使われる。感光ドラム21を帯電するための帯電器22として、コロナ帯電器が一般的に広く利用される。転写帯電器25としても、このようなコロナ帯電器が一般的に広く利用される。図18の参照番号23は感光ドラムの回転方向を示す。
【0090】
例えば2層組成の感光層を形成しようとする時、キャリア発生層2は次のような方法によって形成される。
(a)キャリア発生物質を適切な溶媒に溶解するか、またはここに結合剤を付加及び混合して溶液を得、この溶液をコーティングする方法を利用するか、または
(b)キャリア発生物質を適切な装置、条件及び/または溶媒(分散媒を選択的に使用する)を利用して微細粒子に粉砕し、必要な場合には結合剤を付加し、これを混合及び分散して分散溶液を得、これをコーティングする方法を利用する。
【0091】
上記方法を利用する時、超音波を利用して粒子を分散させれば均一な分散が可能である。コーティング時にキャリア発生層を形成するための溶媒または分散媒の具体例としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチルアセテート、ブチルアセテート、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
【0092】
キャリア発生層またはキャリア輸送層形成時に結合剤が利用される場合、上記結合剤が特別に制限されないが、特に高誘電率の疎水性絶縁フィルムを形成できる高分子量ポリマーであることが望ましい。
【0093】
上記ポリマーの具体例としては、(a)ポリカーボネート(特にポリカーボネートZ樹脂)、(b)ポリエステル、(c)メタクリル樹脂、(d)アクリル樹脂、(e)ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラルのようなポリビニル樹脂、(f)ポリスチレン、(g)スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルターポリマー、(h)ビニリデンクロライド−アクリロニトリルコポリマー、(i)ビニルクロライド−ビニルアセテートコポリマー、(j)ビニルクロライド−ビニルアセテート−マレイン酸無水物コポリマー、(k)シリコン樹脂、(l)シリコン−アルキド樹脂、(m)フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、(n)スチレン−アルキド樹脂、及び(o)ポリ−N−ビニルカルバゾールのうち選択された1種以上をあげられる。前記ホモポリマー及びコポリマー(少なくとも2種以上のコモノマー成分を含む)、グラフトコポリマー、ブロックコポリマーなどが挙げられる。
【0094】
上記結合剤の含量は窮極的な用途により可変的であるが、例えば本発明の電荷発生物質の含量に比例して10〜600重量%、望ましくは50〜400重量%であり、キャリア輸送物質の含量は電荷発生物質の重量に対して10〜500重量%であることが望ましい。前記の方法により形成された電荷発生層の厚さは0.01〜20μmであることが望ましく、より望ましくは0.05〜5μmであり、電荷輸送層の厚さは2〜100μmであることが望ましく、より望ましくは3〜30μmである。
【0095】
前記キャリア発生物質を分散して感光層を形成する場合、前記キャリア発生物質は平均直径またはほとんどの粒子サイズが10μm以下、8μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下または2μm以下であり、望ましくは1μm以下、0.8μm以下または0.5μm以下(望ましくは約0.3μm以下である)の平均粒子サイズを有することが望ましい。もし平均粒子サイズがあまり大きければ、粒子は層内で満足できるほどに均一に分散されず、いくつかの粒子は表面から突出して表面が平坦でない。ある場合には、突出した粒子から放電がおきるか、あるいはそれにトナー粒子がついてトナーコーティング現象を引き起こす。
【0096】
また、上記感光層が反復的に使われる場合、感度を改善して残留電位または疲労を減らすために電子受容物質1種以上を含有できる。本発明で使われる電子受容物質としては、例えばスクシン酸無水物、マレイン酸無水物、ジブロモスクシン酸無水物、フタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、テトラブロモフタル酸無水物、3−ニトロフタル酸無水物、4−ニトロフタル酸無水物、ピロメリト酸無水物、メリト酸無水物、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、1,3,5−トリニトロベンゼン、パラニトロニトリル、ピクリルクロライド、キノンクロリミド、クロラニル、ブルマニル、ジクロロジシアノパラベンゾキノン、アントラキノン、ジニトロアントラキノン、9−フルオレニリデンマロニトリル、ポリニトロ−9−フルオレニリデンマロニトリル、ピクリン酸、o−ニトロベンゾ酸、p−ニトロベンゾ酸、3,5−ジニトロベンゾ酸、ペンタフルオロベンゾ酸、5−ジニトロサリチル酸、フタル酸、メリト酸及びその他の電子親和力が高い化合物が挙げられる。上記電子受容物質の比率はキャリア発生物質に対して体積比で100:0.01−200、望ましくは100:0.1−100である。
【0097】
感光層が形成される支持体の具体例としては、金属板、金属ドラム、導電性高分子、インジウム酸化物または他の導電性化合物、またはアルミニウム、パラジウム、金より構成された導電性薄膜をファブリック、ペーパー、プラスチックフィルム、複合物、金属、セラミックなどのような非制限的な物質よりなるフィルム、シート、ドラムなどのようなベース上にコーティング、蒸発またはラミネーティングして得たものが挙げられる。接着層またはバリヤー層の役割をする中間層としては、上記結合剤樹脂として使われる高分子量ポリマー、ポリビニルアルコール、エチルセルローズ、カルボキシメチルセルローズ、それ以外の有機高分子量物質またはアルミニウム酸化物より構成された層が使われる。
【0098】
本発明の感光層は上述した方法によって得られる。本発明で使われたチタニルフタロシアニンの感光波長領域での最大値が817nm±0.5nmに存在し、チタニルフタロシアニンは非常に安定した結晶形態を有して、他の結晶形態にほとんど転換されないために半導体レーザー感光体として最適の特性を有している。このような特性は電子写真感光体の製造及び適用時に非常に有利である。
【0099】
本発明では2タイプのミリングが使われる。また他のタイプのミリングも使われうる。これら2タイプのミリングは各々“リサイクルモードミリング“及び“パスモードミリング“である。リサイクルモードミリングは、顔料化した分散液(一般的にポリマーと顔料とを含むミルベース)を容器(元の容器)に位置させて、ミリングチャンバの活性ミリング領域を連続的に通過させるか、または処理して(例えばポンピング)ミリングチャンバ(例えば水平サンドミルのミリングチャンバ)から抜け出した後、処理されたミルベースを元の容器に搬送する顔料分散工程及び/または粒子サイズを縮める工程を示す。望ましくは、元の容器での分散液は、例えば軸方向ミキサーのような混合器を利用して攪拌されてミリング工程を通じてミルベースの均一性を確保する。なお、リサイクルモードミリングにおいて、ミルベースでのあらゆる液体要素が同じ滞留時間の間に同じ剪断環境中に露出されていることが必ず必要というわけではなく、より均一な分散液を得ようとすることが目的である。
【0100】
パスモードミリングとは、顔料化した分散液(ミルベース)が第1容器に位置して、ミリングチャンバ(例:水平サンドミルのミリングチャンバ)の活性ミリング領域を通過して(例:ポンピング)第2容器に収集される顔料分散工程及び/または粒子サイズを縮める工程をいう。パスモードミリングによって前記ミルベースでのあらゆる液体要素は活性ミリング領域で実質的に同じ滞留時間の間に実質的に同じ剪断環境に露出される。実質的にミリングベースの大部分が第1容器からミリングチャンバを通過して第2容器に収集される時にミリングパスが完結される。後続のミリングパスは以前のミリングパス過程が完結された後、収集されたミルベースが第2容器から第1容器に移動することに影響される。望ましくは、第1ミリング容器での分散液は、例えば軸方向ミキサーを利用して攪拌され、より望ましくは前記分散液は第1及び第2容器で攪拌される。
【0101】
本発明で、中間波長領域の光、特に半導体レーザー及びLEDに対して最適の感光波長領域を有する感光体は本発明の元のチタニルフタロシアニンを利用して得ることができる。本発明のチタニルフタロシアニンは溶媒、熱及び機械的変形力に対する結晶安定性が優秀であり、感光体としての感度、帯電能力及び電気的ポテンシャル安定性が優秀である。
【0102】
以下、本発明を下記実施例をあげて説明するが、本発明が下記実施例に限定されることではない。
【0103】
【実施例1】
新しい結晶型TiOPcの形成及び検出)
単層OPCに利用される新しい結晶型(すなわち、S型)のTiOPcの開発及び特性調査は上述した通りである。S型はβ型TiOPcのXRDスペクトルで見られる主要な非γピークが現れずに26.4であらゆる主要なγ−ピークと主要な非γピークとを示すXRD特性を有すると定義される。このような事実から結晶格子はγ形態で示される格子での原子/分子の分布だけでなくγ型とは一致しない付加的な格子構造配列を示しているが、まだβ型と一致するあらゆる付加的な格子構造(XRDの全部ではない)を含んでいることではない。
【0104】
下記表1及び表3には、TiOPc粉末(すなわち、γ型及びβ型TiOPc)と、γ型TiOPcといろいろなミリング条件及び処理下でいろいろな溶媒及び結合剤とを利用して製造されたCGMミルベースのXRDでのピーク領域の結果を示す。
【0105】
表1におけるγ型TiOPcは、H.W.SandsCorporation(Jupiter,FL)から購入したものであって、表3のあらゆるCGMミリング時に利用されている。
【0106】
表1のβ−9及びβ−11は、感度S(780nm)が各々35m/J及び93m/JであるSyntec(Wolfen,Germany,10/10.1,10/10.4)から購入した2種の相異なるタイプのβ型TiOPcである。またTiOPc粉末の付加的なXRDデータ及び議論と熱処理過程は上述した通りである。
【0107】
上記S型TiOPcを得る方法としては例えば次の3つがある。先ず、S型TiOPcを得る第1の方法は、特定ミリング条件下で選択された溶媒下で高分子結合子をミリングする方法である。表3の実施例の最初の2セットから分かるように、S型TiOPcは2.3:1重量比のγ型TiOPcとポリビニルブチラル樹脂(BX−5,積水化学社製)とをメチルエチルケトン(MEK)下で1−ミクロンYTZ(イットリア安定化されたジルコニア)ビード(Morimura Bros.,Inc.,Fort Lee,New Jersey)を有する水平サンドミルを利用してミリングして得ることができる。試料の結晶形態がγ型からS型結晶に転換されることはCGMミルベースで固体の含量によって変わるが、固体の含量が13%である場合に6時間ミリングした後、そして固体含量が20%である場合に1ないし6時間未満の範囲でミリングした後、試料のXRDによって試料の結晶形態がγ型からS型結晶に転換される事実が確認された。
【0108】
S型TiOPcのCGMミルベースを冷蔵庫に保管して/保管するかあるいはジオキサンまたはTHFをCGMベースに付加してもS型TiOPcの結晶形態は変化しない。XRDテストのためにCGMミルベースに付加する溶媒の含量は単層OPCコーティング溶液で使用する含量と同一である。また、このような試料に対するXRD結果は表3に示す。
【0109】
表3に記載された他のミリング条件(すなわち、リサイクルモードまたはパスモードによって色々な溶媒及び高分子結合剤を利用する条件)を利用すれば、γ型またはβ型TiOPcのCGMミルベースを得ることができた。
【0110】
次に、S型TiOPcを得る第2の方法は、γ型TiOPcのCGMミルベースにいろいろな溶媒を付加する方法である。下記表3の3番目セットの実施例から分かるように、S型TiOPcはまた11%エチルアセテートでBX−5と8時間ミリングして得られたγ型TiOPcのCGMミルベースにTHFを付加して得ることができる。
【0111】
γ型TiOPcのCGMミルベースにTHFを付加すればいつもTiOPcの結晶型がγ型からS型に変化することではない。前記のように、XRDテストのためにCGMミルベースに付加された溶媒の含量は単層OPCコーティング溶液で使われた含量と同一である。
【0112】
次に、S型TiOPcを得る第3の方法は、γ型TiOPcのCGMミルベースをエージングする方法である。表3の最後の3セットの実施例から分かるように、S型TiOPcは例えば次に示す方法(a)、(b)によって得られる。
【0113】
(a)ジオキサンでのポリカーボネートZ200(MitsubishiEngineering−Plastics Corporation製)をリサイクルモードを使用して1時間ミリングするか、またはパスモードを使用して6次パスの間にミリングして得たγ型TiOPcのCGMミルベースを1週間(またはそれ以下、XRDデータは無効)冷蔵庫でエージングする方法
(b)キシレン22%でのポリカーボネートZ200をパスモードを使用して4次パスの間にミリングして得たCGMミルベースを室温で3週間(またはそれ以下、XRDデータは無効)エージングする方法
ジオキサンでのポリカーボネートZ200を利用して6次パスの間にミリングして得たCGMミルベースを冷蔵庫でエージングして得たS型TiOPcは、冷蔵庫で一ケ月間保存した後にもXRDで付加的なγピークを示さないほどに安定している。S型TiOPcはポリカーボネートZ200を1時間ミリングして得たCGMミルベースを冷蔵庫でエージング処理して得るが、前記ポリカーボネートZ200は冷蔵庫で3週間エージングした後10.6で付加的な非γピークが観察されなかった。
【0114】
γ型TiOPcのCGMミルベースを加熱する場合、特定CGMミルベースに対する加熱時間及び温度によってTiOPcの結晶構造を変化させることもあり、変化させないこともある。このような製造過程に関する結果及びデータは表5に示す通りである。
【0115】
【表1】
Figure 2004029820
【0116】
ここで、3つの相異なるミリング条件下でγ型TiOPcをミリングして得たCGM試料の可視光線吸収スペクトルを図30に示す。図30に示す可視光線スペクトルにおいて、a)ニートγ型TiOPcと類似したXRDスペクトルを有するミリングされた試料は“γ型“と表示し、b)ニートβ型TiOPcと類似したXRDスペクトルを有するミリングされた試料は“β型“と表示し、c)いかなるニートTiOPcとも異なるXRDスペクトルを有するミリングされた試料は“S型“と表示した。なお、図30に示すγ型、β型、S型のそれぞれの最大ピーク位置を表2に示す。
【0117】
【表2】
Figure 2004029820
【0118】
【表3】
Figure 2004029820
Figure 2004029820
【0119】
上記表3は、CGMミルベースのXRDでのピーク面積を示ししており、ミリング用溶媒には、MEK、エチルアセテート(EA)、1,4−ジオキサン(Dx)またはキシレン(Xy)を使用した。これら溶媒はSigma−Aldrich Chemical社(in Milwaukee,WI)から商業的に入手できる。
【0120】
またミリング時に使われた高分子結合剤はポリビニルブチラル(BX−5,積水化学社製)、またはポリカーボネート−Z200(MitsubishiEngineering−Plastics Corporation,White Plains,NY)である。
【0121】
また、各CGMミルベースにおいて顔料と結合剤との比率は結合剤カラムに現れている。
【0122】
リサイクルモードによってミリングされたCGMでのTiOPc)
γ型TiOPcはCGM(H.W.Sands,Jupiter,FLから購入)をリサイクルモードによってミリングして得た。前記CGMはいろいろな高分子結合剤(すなわち、PC−Z、BX−1またはBX−5)をいろいろなTiOPc/結合剤比率及び色々な溶媒(すなわち、1,4−ジオキサン、p−キシレン、THF、MEK及びエチルアセテート)を利用してミリングした。表4にはいろいろなCGMミルベースをリサイクルモードによってミリングした場合において、走査角度が7.4、10.6、11.8、20.9、26.4及び27.4である場合のXRDからのピーク面積と共に色々なCGMミルベースに関するデータが表示されている。
【0123】
表1に示したように、γ型TiOPcは7.4、11.8及び27.4でのピークが観察された一方、図2のγ型TiOPcに関するデータでは10.6、20.9及び26.4でのピークは観察されなかったが、図2のβ型TiOPcに関するデータでは観察された。27.4でのピークはγ型TiOPcとβ型TiOPcとでいずれも観察されるオーバーラップピークであった。
【0124】
【表4】
Figure 2004029820
Figure 2004029820
【0125】
表4は、リサイクルモードによってミリングされたCGMを示しており、ミリング用溶媒には、MEK、EA、1,4−DxまたはXyを使用した。これら溶媒はAldrich Chemical社(in Milwaukee,WI)から購入した。
【0126】
また、ミリング用高分子結合剤としては、ポリビニルブチラル(BX−1、BX−5,積水化学社製)、またはポリカーボネート−Z200(Mitsubishi Engineering−Plastics Corporation,White Plains,NY)を使用した。
【0127】
また、各CGMミルベースにおいて顔料と結合剤との比率は結合剤カラムに現れている。また、“エージングまたは処理“カラムにおいて、a)“−RT“または“−RF“は室温または冷蔵庫でエージングされることを示す。b)“D“前の数字はテストする前にCGMミルベースがエージングされた日数を示す。
【0128】
また、“ピーク比率“カラムにおいて、Nt/Gtは(10.6+20.9+26.4)での非γピークの全体的なピーク面積と(7.4+11.8)でのγピークの全体的なピーク面積との比率を示す。N26/Gtは26.4での非γピークのピーク面積と(7.4+11.8)でのγピークのピーク面積との比率を示す。N26/P27は26.4での非γピークのピーク面積と27.4でのオーバーラップピークのピーク面積との比率を示す。
【0129】
また、ピーク面積数値が50以下である場合、ピーク強度はバックグラウンドのノイズに関するものである。
【0130】
表4の結果に関する説明)
表4によれば、先ず、リサイクルモードによってMEKでのBX−5を4時間以下にミリングするか、またはエチルアセテートでのBX−1とBX−5のうち一つを8時間以下にミリングして得たCGM試料だけでなくジオキサンでのPC−Zを1時間以下にミリングして得たCGM試料では純粋γピークが観察され、このような事実から前記試料でTiOPcが純粋なγ型結晶状態に存在することが分かる。
【0131】
また、THFでのPC−Zを2時間以下にミリングするか、ジオキサンでのPC−Zを1時間以上ミリングするか、またはp−キシレンでのPC−Zを2時間以上ミリングして得られたミリングされたCGM試料ではγピークと非γピークとがいずれも観察され、このような事実からγ型TiOPcの結晶構造が純粋な単結晶から非γ型に変化するということがわかり、前記非γ型は新しい結晶形態であり/あるか、単一格子内での色々な結晶型(γ、β及びまたは新しい結晶格子形態)の混合物と見られ、色々な結晶形態を有する独特の結晶粒子ではない多様な格子構造を有する単結晶である。
【0132】
また、表4に現れるあらゆる非γピークはTHFでのPC−Zを3時間以上ミリングして得たミリングされたCGM試料で観察された。あらゆるγ試料が完全に消えるということはあらゆるγTiOPcの結晶構造がβTiOPcに転換するということを示す。
【0133】
さらに、γTiOPcをMEKでBX−5と共にミリングする場合、6時間ミリングして得たミリングされた試料はただ一つの非γピークを示した。ミリング時間を6ないし8時間に延ばせば、26.4でのピークが増加して(ピーク面積の割合から分かる)、他の非γピークはない状態に残っている。これは単結晶形態(S型)がβ及びγピークを有することによって、形成された新しい結晶形態はγ型でもβ型結晶でもないということを示す。
【0134】
また、TiOPcがγ型結晶に存在するCGMミルベース(すなわち、エチルアセテートでのポリビニルブチラルBX−5をミリングして得たCGM)にTHFを付加すれば26.4で一つの非γピークが現れ、これより、TiOPcをMEKでBX−5と共に6時間以上ミリングした場合に前記で議論した新しい結晶が形成されたということが分かった。
【0135】
しかし、TiOPcがγ型結晶状態に存在するCGMミルベース(すなわち、エチルアセテートでのBX−5と共に8時間ミリングされたCGM)にジオキサンまたはp−キシレンを付加すれば非γピークは形成されず、このような事実からγTiOPcの結晶構造が変化しないことが分かる。
【0136】
また、p−キシレンでのPC−Z(ポリカーボネートZ)で3.5時間ミリングした後、CGMを室温でエージングすれば非γピークが大きくなる。12日間テストされる間、データは日順に最初から最後まで表示し、全体的な非γピークとγ−ピーク(すなわち、Nt’/Gt)とのピーク面積比率が1.10から2.95に増加することが観察された。
【0137】
さらに、MEKでのBX−5を8時間ミリングした後、CGMを室温でエージング処理すれば付加的な非γピークが現れるが、これは26.4での一つの非γピークに関する新しい結晶型は室温で前記CGMミルベースで安定していないことを示す。
【0138】
パス−モードによってミリングされたCGMでのTiOPc)
γTiOPcはパス−モードによってCGM(H.W.Sands,Jupiter,FLから購入)をミリングして得た。前記TiOPcは色々なTiOPc/結合剤の割合でいろいろな高分子結合剤(すなわち、PC−ZまたはBX−5)及び色々な溶媒(すなわち、1,4−ジオキサン、p−キシレン、THF及びMEK)と共にミリングした。表5には走査角度が7.4、10.6、11.8、20.9、26.4及び27.4である場合のXRDからのピーク面積を含んで色々なCGMミルベースに関するデータが表示されている。
【0139】
このピークに関する詳細な説明は、リサイクルモードによってミリングされたCGMでのTiOPcについて上述したものと似ている。
【0140】
【表5】
Figure 2004029820
【0141】
表5において、ミリング用溶媒には、MEK、EA、1,4−DxまたはXyを使用した。これら溶媒はAldrichChemical社(in Milwaukee,WI)から購入した。
【0142】
また、ミリング用高分子結合剤としては、ポリビニルブチラル(BX−1またはBX−5,積水化学社製)、またはPCZ(ポリカーボネートZ)、例えば、ポリカーボネート−Z200(MitsubishiEngineering−Plastics Corporation,White Plains,NY)を使用した。
【0143】
また、各CGMミルベースにおいて顔料と結合剤との比率は結合剤カラムに現れている。また、“エージングまたは処理“カラムにおいて、“−RT“または“−RF“は室温または冷蔵庫でエージングされることを示しており、“D“前の数字はテストする前にCGMミルベースがエージングされた日数を示す。
【0144】
また、“ピーク比率“カラムにおいて、Nt/Gtは(10.6+20.9+26.4)での非γピークの全体的なピーク面積と(7.4+11.8)でのγピークの全体的なピーク面積との比率を示す。N26/Gtは26.4での非γピークのピーク面積と(7.4+11.8)でのγピークのピーク面積との比率であり、N26/P27は26.4での非γピークのピーク面積と27.4でのオーバーラップピークのピーク面積との比率である。
【0145】
また、ピーク面積数値が50以下である場合、ピーク強度はバックグラウンドのノイズに関するものである。
【0146】
表5の結果に関する説明)
表5によれば、先ず、パスモードによってMEKでのBX−5をミリングするだけでなくジオキサンまたはp−キシレンでPC−Zをミリングして得たCGM試料では純粋γピークが観察され、これよりTiOPcがこのような試料で純粋なγ型結晶状態に存在することが分かる。
【0147】
また、THFでのPC−Zと共に1次パスしてミリングされた後には単にγピークだけ現れるが、8次パス後にはγピークと非γピークいずれも現れた(2ないし7次パス範囲でテストされた試料はなかった点に注意)。このような事実から、8次パスミリングした後にはγ型TiOPcの結晶構造が純粋なγ型から非γ型に変換することが分かり、前記非γ型は新しい結晶型及び/または相異なる結晶型(ca.γ、β及び/または新しい結晶格子形態)の混合物の結果であると見られ、γ及びβ構造を有する別個の結晶ではなく各結晶内に複合格子構造をまた有していることが分かった。
【0148】
さらに、ジオキサンでのPC−Zと共に8次パスしてミリングされたγ型CGM試料を室温で一週間エージングすれば他の非γピークが観察されるが、これはγTiOPcの構造が純粋なγ型から非γ型に変化され、前記非γ型は新しい結晶型及び/または相異なる結晶型(ca.γ、β及び/または新しい結晶格子形態)の混合物の結果と見られ、γ及びβ構造を有する独立された結晶ではなく各結晶内に複合格子構造をまた有することが分かった。
【0149】
また、ジオキサンでのPC−Zと共に8次パスしてミリングされたγ型CGM試料を50℃で20時間加熱すれば他の非γピークが現れ、γピークは消え、これによりγTiOPcの結晶構造が純粋なγ型から純粋なβ型に変換することを示す。
【0150】
また、ジオキサンでのPC−Zと共に8次パスしてミリングされたγ型CGM試料を110℃で1時間加熱すれば26.4で非常に小さな非γピークが現れ、これにより極少量の非γ型結晶と格子構造とが形成されることを示す。しかし、これはピークの大きさが小さくてバックグラウンドからのノイズでありうる。
【0151】
さらにまた、p−キシレンでのPC−Zと共に8次パスしてミリングされたγ型CGM試料の場合、50℃で20時間加熱するか、110℃で1時間加熱してもいかなる非γピークも現れない。また4次パスしてミリングした後の同じCGMシステムも室温で2週間エージングした後に何の変化もなかった。このような事実から、γ型TiOPcの結晶構造がパスモードでp−キシレンでのPC−Zと共にミリングされたCGMミルベースで非常に安定していることが分かる。
【0152】
最後に、γ型TiOPcをジオキサンまたはp−キシレンで分散し、これを50℃で20時間加熱する場合、非γピークが観察されず、これにより高分子結合剤のない状態で溶媒中のγTiOPcを加熱する場合、その結晶構造が変化しないことが分かった。
【0153】
(相異なる結晶形態のTiOPcを有する単層OPCの特性評価)
一般的に、γ型またはS型TiOPcを含有するコーティング膜は優秀な静電気的挙動(低い放電電圧及び優秀な静電気的感度)を示し、β型TiOPcのコーティング層は劣る静電気的特性(高い放電電圧及び不良な静電気的感度)を示す。表6はγ型TiOPcを各種溶媒の結合剤を利用していろいろなミリング法によりミリングして得られたCGMミルベースのXRDのピーク面積を示すものである。またこのようなCGMミルベースでのTiOPcの結晶形態は表6で確認できる。
【0154】
表7は、3つのCGMミルベースを利用して製造された単層OPCコーティング膜に関する静電気的結果を示す。
【0155】
【表6】
Figure 2004029820
【0156】
表6において、MB−Ex−1は8次パスでパスモードミリングを実施した後、12%MEKでTiOPcとBX−5とを2.3:1でミリングする。MB−Ex−2は8次パスでリサイクルモードミリングを8時間実施した後、13%MEKでTiOPcとBX−5とを2.3:1でミリングする。
【0157】
また、MB−Ex−3はリサイクルモードで8時間ミリングした後、15%THFでTiOPcとポリカーボネート−Z2000とをミリングする。BX−5はポリビニルブチラル樹脂(積水化学社製)である。
【0158】
また、ポリカーボネート−Z200DMSはMitsubishi Engineering−Plastics Corporation(White Plains,NY)から購入することができる。
【0159】
【表7】
Figure 2004029820
【0160】
表7は、単層OPCの100サイクル後の静電気的な特性結果を示しており、Ex−1,Ex−2及びEx−3はγ、S及びβ型TiOPcのCGMを利用して製造された単層OPCであった。3つの試料のコーティング組成はTiOPc/ETM−17/MPCT−10/結合剤が6.5/8.5/32/50よりなる。TiOPcはH.W.Sands社(Jupiter,FL)から購入できる。
【0161】
また、ETM−17は電子輸送物質であり、実験室で合成された。MPCT−10は電荷輸送物質であり、三菱製紙から購入することができる。コーティング膜で使われた結合剤はポリビニルブチラル樹脂(BX−1及びBX−5)であり、積水化学から購入することができる。
【0162】
ここで、長波長領域で測定された3つの相異なる単層感光体組成物の光感度を図31に示す。試料0520−1組成物は正孔輸送物質または電子輸送物質添加剤のない状態でTiOPc顔料を含有しており、試料0520−3組成物はETM−1720%が添加されたTiOPc顔料を含有しており、試料0520−5組成物はETM−1720%及びMPCT−1020%が添加されたTiOPc顔料を含有している。900nm領域で感度に微小な差があったことが観察された。このような差は輸送物質及びTiOPc間に形成された電荷輸送錯体から起因する。図31の挿入図は、電子輸送物質と正孔輸送物質とを付加すれば長波長領域で感度が若干増加することを示す。かかる輸送物質はこの領域で光を吸収せずに短波長領域で感光性を有する。感度の増加は電荷輸送錯体の形成から起因する。スペクトル感度差は少なく、測定誤差の近くである。
【0163】
なお、上記ETM−17は(4−n−ブトキシカルボニル−9−フルオレニル)マロニトリルは例えば米国特許第4,559,287号明細書に記述された方法によって製造される。また、MPCT−10は三菱製紙(カタログID:MPCT−10)から得た市販される電荷輸送物質である。
【0164】
図32は商業的に入手可能な無定形、β9、β11及びγ型のTiOPcの可視光線吸収スペクトルを示す。前記試料は顔料をポリカーボネート結合剤に分散して(ミリングはせず)これをきれいなポリエステルフィルム上部に薄膜形態にコーティングして製造した。なお、図31に示す無定形、β9、β11及びγ型のそれぞれの最大ピーク位置を表8に示す。
【0165】
【表8】
Figure 2004029820
【0166】
電荷輸送錯体の実施例−電荷発生物質と(a)電荷輸送物質または(b)電子輸送物質間の錯体)
二層有機光導電体物質は例えば次の方法によって製造される。すなわち、先ずチタニルフタロシアニン分散液をTiOPc(1.0g,Syntec(Berlin,Germany)から購入)、ポリビニルブチラル(0.50g、S−LecBTM,BX−1、積水化学から購入)、THF(20ml)及び界面活性剤(Igepal CA−720、Aldrich(Milwaukee,WI)から購入)をミリングして得る。
【0167】
次に、上記混合物をYTZセラミックボール(MorimuraBros.(USA)、Inc.,Torrance(CA)から購入)50gと共に60mlのガラス瓶に入れて、これを振動ミルで1時間攪拌して分散液を形成した。前記分散液をTHF20mlで希釈して、これを例えば米国特許第6,180,305号明細書に記載の方法によって製造される導電性アルミニウム層とメチルセルローズ及びメチルビニルエーテル/マレイン酸無水物を含む0.4μm厚さのバリヤ層とを有するポリエステルフィルム上部にコーティングした。80℃で2時間加熱した後、0.6−0.8μm厚さの電荷発生層(Charge Generating Layer;以下、CGL)が製造される。
【0168】
それから、電荷輸送物質MPCT−10(三菱社製)、ポリカーボネートZ型(PC−Z)1gをTHF30mlに溶解した。この溶液をCGL上にコーティングし、80℃で2時間乾燥させた後10mm厚さの電荷輸送層を形成して2層OPCを製造する。
【0169】
OPC試料を8.0kVDC電圧が提供されたスコロトロンで帯電した。グリッド電位は+1500Vであり、帯電時間は1秒であった。試料は振動電位計プローブ下に位置させ、電位は帯電後に測定した。電位計はC8−13メモリオシロスコープに連結され、電位減少信号が記録された。Uに帯電後に初期電位を測定した。その後、MDR−23回折格子分光器を利用して試料に840〜930nm領域での色々な波長の単色光を照射した。試料表面での光度は1.35×10−2W/mであった。照射時点で電位半減期t1/2を測定し、光感度Sは下記の▲1▼式によって計算した。
【0170】
S=1/t1/2・L    …▲1▼
【0171】
上記▲1▼式において、Lは入射光度である。それから光感度スペクトル依存度をプロッティングした。光感度は840nmで1に標準化した。
【0172】
【実施例2】
ミリングする前にETM−170.2gを分散液に付加したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して2層OPCを製造した。
【0173】
【実施例3】
ミリングする前にETM−17 0.2gとMPCT−100.2gとを分散液に付加したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して2層OPCを製造した。
【0174】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0175】
例えば、本発明にかかる電子光導電性物品は、プリンタ、複写機などのあらゆる電子記録工程または電子写真工程で適切に利用可能である。電子光導電性物品例えば光導電体は可視光線だけでなく、長波長光及び半導体レーザービームに対して感度が優れている。
【0176】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、中間波長領域の光、特に半導体レーザー及びLEDに対して最適の感光波長領域を有する感光体は本発明の元のチタニルフタロシアニンを利用して得ることができる。本発明のチタニルフタロシアニンは溶媒、熱及び機械的変形力に対する結晶安定性に優れており、感度、帯電能力及び電気的ポテンシャル安定性に優れた感光体などの電子光導電性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】チタニルフタロシアニン(TiOPc)3つの試料(γ−7(商業的に入手可能)、β−11(商業的に入手可能)及びMEKでミリングされた試料)のXRDスペクトルを示す図である。
【図2】いろいろなミリング法を利用して多様な結合剤及び溶媒と共にミリングされた3つのγ型チタニルフタロシアニンのXRDスペクトルを示す図である。
【図3】チタニルフタロシアニン(TiOPc)4つの試料のXRDスペクトルを示す図である。
【図4】チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDスペクトルを示す図である。
【図5】チタニルフタロシアニン(TiOPc)4つの試料のXRDスペクトルを示す図である。
【図6】電子写真構造部材の断面図であって、同図(a)は感光層が電荷発生物質2と電荷輸送物質とを含む単層構造の場合、同図(b)は感光層が電荷発生層と電荷輸送層との複数層構造の場合である。
【図7】ニートβ−11及びγ型のチタニルフタロシアニン(TiOPc)各々2セットのXRDデータを示す図である。
【図8】チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDスペクトルを示す図である。
【図9】チタニルフタロシアニン(TiOPc)4つの試料のXRDスペクトルを示す図である。
【図10】チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDスペクトルを示す図である。
【図11】チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDスペクトルを示す図である。
【図12】チタニルフタロシアニン(TiOPc)4つの試料のXRDスペクトルを示す図である。
【図13】チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDスペクトルを示す図である。
【図14】チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDスペクトルを示す図である。
【図15】チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDスペクトルを示す図である。
【図16】チタニルフタロシアニン(TiOPc)6つの試料のXRDスペクトルを示す図である。
【図17】チタニルフタロシアニン(TiOPc)6つの試料のXRDスペクトルを示す図である。
【図18】本発明の物質を利用している一般的な画像形成装置を概略的に示す図である。
【図19】チタニルフタロシアニン(TiOPc)6つの試料のXRDパターンを示す図である。
【図20】チタニルフタロシアニン(TiOPc)8つの試料のXRDパターンを示す図であり、これらのうち7つの試料はPCZ及びトルエンと共にリサイクルモードで各々時間長さを異ならせてミリングされたものである。
【図21】チタニルフタロシアニン(TiOPc)6つの試料のXRDパターンを示す図である。
【図22】チタニルフタロシアニン(TiOPc)7つの試料のXRDパターンを示す図である。
【図23】チタニルフタロシアニン(TiOPc)6つの試料のXRDパターンを示す図である。
【図24】チタニルフタロシアニン(TiOPc)4つの試料のXRDパターンを示す図面である。
【図25】チタニルフタロシアニン(TiOPc)5つの試料のXRDパターンを示す図面である。
【図26】チタニルフタロシアニン(TiOPc)2つの試料のXRDパターンを示す図面である。
【図27】チタニルフタロシアニン(TiOPc)4つの試料のXRDパターンを示す図面である。
【図28】チタニルフタロシアニン(TiOPc)4つの試料のXRDパターンを示す図面である。
【図29】チタニルフタロシアニン(TiOPc)6つの試料のXRDパターンを示す図面である。
【図30】適切な条件下でミリングして得られたチタニルフタロシアニン(TiOPc)、特にβ型、γ型及びS型TiOPcの可視光線スペクトルを示す図である。
【図31】CTM及び/またはETMを含む3つの相異なる単一層感光体用長波長領域でのスペクトル光感度を示す図であり、同図内には920−980nm領域での拡大図が挿入されている。
【図32】市販用チタニルフタロシアニン(TiOPc)の4つの結晶型(無定形、β−9型、β−11型及びγ型)の可視光線スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1 感光層
2 電荷発生物質
3 導電性支持体
4 電荷発生層
5 電荷輸送層
21 感光ドラム
22 帯電器
23 感光ドラムの回転方向
24 インクカートリッジ
25 転写帯電器
26 洗浄器
27 予備露光手段
28 定着装置

Claims (31)

  1. 電荷発生物質と、電子輸送物質及び正孔輸送物質よりなる群から選択された少なくとも一つの輸送物質との錯体を含む電子光導電性物品の製造方法であって、
    前記電荷発生物質、前記少なくとも一つの輸送物質及び有機結合剤を溶媒と混合して電荷発生物質と少なくとも一つの輸送物質との錯体を含むコーティング分散液を製造する段階と、
    前記コーティング分散液を導電性基板上にコーティングして電子光導電性物品上に電荷輸送層を形成する段階と、
    を含むことを特徴とする電子光導電性物品の製造方法。
  2. 前記少なくとも一つの輸送物質は、前記電子輸送物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  3. 前記少なくとも一つの輸送物質は、前記正孔輸送物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  4. 前記電荷発生物質は、前記少なくとも一つの輸送物質と錯化可能な最大表面錯化度を有し、前記最大表面錯化度の最大値の少なくとも25%が前記電子光導電性物品上の電荷輸送層で得られることを特徴とする請求項1に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  5. 前記電荷発生物質は、前記少なくとも一つの輸送物質と錯化可能な最大表面錯化度を有し、前記最大表面錯化度の最大値の少なくとも25%が前記電子光導電性物品上の電荷輸送層で得られることを特徴とする請求項2に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  6. 前記電荷発生物質は、前記少なくとも一つの輸送物質と錯化可能な最大表面錯化度を有し、前記最大表面錯化度の最大値の少なくとも25%が前記電子光導電性物品上の電荷輸送層で得られることを特徴とする請求項3に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  7. 電荷発生物質と、電子輸送物質及び正孔輸送物質よりなる群から選択された少なくとも一つの輸送物質の錯体を含む電子光導電性物品の製造方法であって、
    前記電荷発生物質、前記少なくとも一つの輸送物質及び有機結合剤を溶媒と混合する段階と、
    前記電荷発生物質、前記少なくとも一つの輸送物質及び前記有機結合剤を共に同時分散して前記電荷発生物質及び前記少なくとも一つの輸送物質の錯体を含むコーティング分散液を形成する段階と、
    前記コーティング分散液を導電性基板上にコーティングして前記電子光導電性物品上に電荷輸送層を形成する段階と、
    を含むことを特徴とする電子光導電性物品の製造方法。
  8. 前記少なくとも一つの輸送物質は、前記電子輸送物質を含むことを特徴とする請求項7に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  9. 前記少なくとも一つの輸送物質は、前記正孔輸送物質を含むことを特徴とする請求項7に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  10. 前記電荷発生物質は、少なくとも一つの輸送物質と錯化可能な最大表面錯化度を有し、前記最大表面錯化度の最大値の少なくとも25%が前記電子光導電性物品上の電荷輸送層で得られることを特徴とする請求項7に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  11. 前記電荷発生物質は、少なくとも一つの輸送物質と錯化可能な最大表面錯化度を有し、前記最大表面錯化度の最大値の少なくとも25%が前記電子光導電性物品上の電荷輸送層で得られることを特徴とする請求項8に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  12. 前記電荷発生物質は、少なくとも一つの輸送物質と錯化可能な最大表面錯化度を有し、前記最大表面錯化度の最大値の少なくとも25%が前記電子光導電性物品上の電荷輸送層で得られることを特徴とする請求項9に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  13. 前記導電性基板は、アルミニウムコーティングされたポリマーを含むことを特徴とする請求項5に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  14. 前記導電性基板は、アルミニウムコーティングされたポリマーを含むことを特徴とする請求項11に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  15. 前記導電性基板は、アルミニウムコーティングされたポリマーを含むことを特徴とする請求項12に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  16. 電荷発生物質と電子輸送物質及び正孔輸送物質よりなる群から選択された少なくとも一つの輸送物質の錯体を含む有機電子光導電層の少なくとも一表面上に導電性基板を含む電子光導電性物品であって、
    前記錯体が結合剤に分散されることを特徴とする電子光導電性物品。
  17. 前記少なくとも一つの輸送物質は、前記電子輸送物質を含むことを特徴とする請求項16に記載の電子光導電性物品。
  18. 前記少なくとも一つの輸送物質は、前記正孔輸送物質を含むことを特徴とする請求項16に記載の電子光導電性物品。
  19. 前記電荷発生物質は、結晶性チタニルフタロシアニン粒子を含むことを特徴とする請求項17に記載の電子光導電性物品。
  20. 前記電荷発生物質は、結晶性チタニルフタロシアニン粒子を含むことを特徴とする請求項18に記載の電子光導電性物品。
  21. 前記電荷発生物質を構成する粒子の粒子数のうち95%が平均粒子サイズの±40%範囲内にあるように、前記粒子が平均粒子サイズからシグマサイズの分布を有することを特徴とする請求項19に記載の電子光導電性物品。
  22. 前記電荷発生物質を構成する粒子の粒子数のうち95%が平均粒子サイズの±40%範囲内にあるように、前記粒子が平均粒子サイズからシグマサイズの分布を有することを特徴とする請求項20に記載の電子光導電性物品。
  23. 前記粒子の少なくとも25%は、前記錯体を含むことを特徴とする請求項21に記載の電子光導電性物品。
  24. 前記粒子の少なくとも25%は、前記錯体を含むことを特徴とする請求項22に記載の電子光導電性物品。
  25. 前記電荷発生化合物は、CuK−α特性X線波長1.541Åに対するブラッグ2θ角の主ピークが少なくても9.5±0.2°、11.7±0.2°、15.0±0.2°、23.5±0.2°、24.1±0.2°、26.4±0.2°及び27.3±0.2°で現れるチタニルフタロシアニン化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  26. 前記電荷発生化合物は、CuK−α特性X線波長1.541Åに対するブラッグ2θ角の主ピークが少なくても9.5±0.2°、11.7±0.2°、15.0±0.2°、23.5±0.2°、24.1±0.2°、26.4±0.2°及び27.3±0.2°で現れるチタニルフタロシアニン化合物を含むことを特徴とする請求項7に記載の電子光導電性物品の製造方法。
  27. 前記電荷発生化合物は、CuK−α特性X線波長1.541Åに対するブラッグ2θ角の主ピークが少なくても9.5±0.2°、11.7±0.2°、15.0±0.2°、23.5±0.2°、24.1±0.2°、26.4±0.2°及び27.3±0.2°で現れるチタニルフタロシアニン化合物を含むことを特徴とする請求項16に記載の電子光導電性物品。
  28. 前記電荷発生化合物は、CuK−α特性X線波長1.541Åに対するブラッグ2θ角の主ピークが少なくても9.5±0.2°、11.7±0.2°、15.0±0.2°、23.5±0.2°、24.1±0.2°、26.4±0.2°及び27.3±0.2°で現れるチタニルフタロシアニン化合物を含むことを特徴とする請求項21に記載の電子光導電性物品。
  29. 前記電荷発生化合物は、CuK−α特性X線波長1.541Åに対するブラッグ2θ角の主ピークが少なくても9.5±0.2°、11.7±0.2°、15.0±0.2°、23.5±0.2°、24.1±0.2°、26.4±0.2°及び27.3±0.2°で現れるチタニルフタロシアニン化合物を含むことを特徴とする請求項22に記載の電子光導電性物品。
  30. 前記電荷発生化合物は、CuK−α特性X線波長1.541Åに対するブラッグ2θ角の主ピークが少なくても9.5±0.2°、11.7±0.2°、15.0±0.2°、23.5±0.2°、24.1±0.2°、26.4±0.2°及び27.3±0.2°で現れるチタニルフタロシアニン化合物を含むことを特徴とする請求項23に記載の電子光導電性物品。
  31. 前記電荷発生化合物は、CuK−α特性X線波長1.541Åに対するブラッグ2θ角の主ピークが少なくても9.5±0.2°、11.7±0.2°、15.0±0.2°、23.5±0.2°、24.1±0.2°、26.4±0.2°及び27.3±0.2°で現れるチタニルフタロシアニン化合物を含むことを特徴とする請求項24に記載の電子光導電性物品。
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