JP2004029486A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬調で保存安定性の良いハロゲン化銀写真感光材料を提供する。
【解決手段】支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤中に下記一般式Aで表されるイリジウム化合物を含有し、対数露光量(X軸)と光学濃度(Y軸)の単位長の等しい直交座標軸上に示される特性曲線において、光学濃度が3.0以上で、光学濃度0.3〜3.0におけるガンマーが4.0以上である特性曲線を有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
一般式A
[IrXnL(6−n)]m
(式中,Xはハロゲンイオンまたは擬ハロゲンイオンまたは擬ハロゲンイオン以外の水を除く任意の配位子、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。)
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤中に下記一般式Aで表されるイリジウム化合物を含有し、対数露光量(X軸)と光学濃度(Y軸)の単位長の等しい直交座標軸上に示される特性曲線において、光学濃度が3.0以上で、光学濃度0.3〜3.0におけるガンマーが4.0以上である特性曲線を有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
一般式A
[IrXnL(6−n)]m
(式中,Xはハロゲンイオンまたは擬ハロゲンイオンまたは擬ハロゲンイオン以外の水を除く任意の配位子、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀写真感光材料、特に写真製版工程に用いられるハロゲン化銀感光材料に適した超硬調ネガ型写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グラフィックアーツ分野の写真製版工程では、連続調の写真画像を、画像の濃淡を網点面積の大小によって表現するいわゆる網点画像に変換して、これに文字や線画を撮影した画像と組み合わせて印刷原版を作る方法が行われている。このような用途に用いられるハロゲン化銀感光材料には、文字、線画、網点画像の再現性を良好にするために、画像部と非画像部を明瞭に区別しうる超硬調な写真特性を有することが求められてきた。
【0003】
このような要望に応えるシステムとして、塩臭化銀からなるハロゲン化銀感光材料を、亜硫酸イオンの有効濃度をきわめて低くしたハイドロキノン現像液で処理することにより、高コントラストを有する画像を形成する、いわゆるリス現像方式が知られている。しかし、この方式では現像液中の亜硫酸イオン濃度が低いため、現像液が空気酸化に対してきわめて不安定であり、液活性を安定に保つために現像液を多量に補充しなければならなかった。
【0004】
リス現像方式の画像形成の不安定性を解消し、良好な保存安定性を有する現像液で処理することによって超硬調な写真特性を得る画像形成システムとして、例えば、米国特許第4,166,742号明細書、同第4,168,977号明細書、同第4,221,857号明細書、同第4,224,401号明細書、同第4,243,739号明細書、同第4,269,922号明細書、同第4,272,606号明細書、同第4,311,781号明細書、同第4,332,878号明細書、同第4,618,574号明細書、同第4,634,661号明細書、同第4,681,836号明細書、同第5,650,746号明細書等が挙げられる。これらは、ヒドラジン誘導体を添加した表面潜像型のハロゲン化銀写真感光材料を、亜硫酸保恒剤を0.15mol/L以上含むpH11.0〜12.3のハイドロキノン/メトールあるいはハイドロキノン/フェニドンを現像主薬とする現像液で処理し、ガンマーが10を超える超硬調のネガ画像を形成するシステムである。この方法によれば超硬調で高感度の写真特性が得られ、現像液中に高濃度の亜硫酸塩を添加することができるので、現像液の空気酸化に対する安定性は従来のリス現像液に比べて飛躍的に向上する。
【0005】
ヒドラジン誘導体により十分に超硬調な画像を形成させるためには、pHが11以上、通常は11.5以上の現像液で処理することが必要であった。高濃度の亜硫酸保恒剤によって現像液の安定性を高めることを可能にしたとはいえ、超硬調な写真画像を得るためには上述のようなpH値の高い現像液を用いることが必要であり、保恒剤があっても現像液は空気酸化されやすく不安定なため、さらなる安定性の向上を求めてより低いpHで超硬調画像を実現する工夫が試みられてきた。
【0006】
例えば、米国特許第4,269,929号明細書(特開昭61−267759号公報)、米国特許第4,737,452号明細書(特開昭60−179734号公報)、米国特許第5,104,769号明細書、同第4,798,780号明細書、特開平1−179939号公報、同1−179940号公報、米国特許第4,998,604号明細書、同第4,994,365号明細書、特開平8−272023号公報には、pH11.0未満の現像液を用いて超硬調な画像を得るために、高活性なヒドラジン誘導体および造核促進剤を用いる方法が開示されている。
このような画像形成システムに用いられるハロゲン化銀写真感光材料は高活性な化合物を内蔵するため、保存中に感度が変動したり、カブリが上昇したりする等の保存安定性の問題を抱えている。これらの問題の多くは乳剤感度が高いことに起因しており、保存安定性の優れた高感化技術の開発が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来技術の問題点を考慮して、本発明は、硬調であり、かつ、保存安定性の良いハロゲン化銀写真感光材料を提供することを目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、下記の構成を有する本発明によって上記目的を達成しうることを見出した。
(1)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤中に下記一般式Aで表されるイリジウム化合物を含有し、対数露光量(x軸)と光学濃度(y軸)の単位長の等しい直交座標軸上に示される特性曲線において、光学濃度が3.0以上で、光学濃度0.3〜3.0におけるガンマーが4.0以上である特性曲線を有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【化6】
一般式A
[IrXnL(6−n)]m
(式中、Xはハロゲンイオンまたは擬ハロゲンイオン、Lはハロゲンイオンまたは擬ハロゲンイオン以外の水を除く任意の配位子、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。)
【0009】
(2)ハロゲン化銀乳剤中に含有されるイリジウム化合物として、下記一般式Bで表されるイリジウム化合物を含有することを特徴とする(1)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【化7】
一般式B
[IrYnLI (6−n)]m
(式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIは水をのぞく無機配位子、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。)
【0010】
(3)ハロゲン化銀乳剤中に含有されるイリジウム化合物として、下記一般式Cで表されるイリジウム化合物を含有することを特徴とする(1)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【化8】
一般式C
[IrYnLII (6−n)]m
(式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIIは任意の有機配位子、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。)
【0011】
(4)ハロゲン化銀乳剤中に含有されるイリジウム化合物として、下記一般式Dで表されるイリジウム化合物を含有することを特徴とする(1)、(3)のいずれか1つに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【化9】
一般式D
[IrYnLIII (6−n)]m
(式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIIIは5員環化合物であり、環骨格中に少なくとも1の窒素原子と少なくとも1つの硫黄原子を含有し、環骨格中の炭素原子上に任意の置換基を持つ有機化合物、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。)
【0012】
(5)ハロゲン化銀乳剤中に含有されるイリジウム化合物として、下記一般式Eで表されるイリジウム化合物を含有することを特徴とする(1)、(3),(4)のいずれか1つに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【化10】
一般式E
[IrYnLIV (6−n)]m
(式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIVは5員環化合物であり、環骨格中に少なくとも2つの窒素原子と1つの硫黄原子を含有する有機化合物、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。)
【0013】
(6)ハロゲン化銀写真感光材料に含まれるハロゲン化銀が塩臭化銀または沃塩臭化銀であり、該ハロゲン化銀を構成するハロゲンの30mol%〜80mol%が塩素原子であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(7)ハロゲン化銀写真感光材料の光学濃度0.3〜3.0におけるガンマーが5.0以上である特性曲線を有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1つに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(8)ハロゲン化銀写真感光材料がヒドラジン化合物を含有することを特徴とする請求項(1)〜(7)のいずれか1つに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明のハロゲン化銀写真感光材料について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0015】
本発明でいう「ガンマー」は、光学濃度(y軸)と常用対数露光量(x軸)で表される単位長の等しい直交座標軸上に示される特性曲線において、光学濃度0.3と3.0との2点で直線を引いたときの勾配である。即ち、直線とx軸のなす角度をθとするとtanθで示される。
本発明では、特性曲線を得るために、現像液(富士写真フイルム(株)製、ND−1)と定着液(富士写真フイルム(株)製、NF−1)を用いて、ハロゲン化銀写真感光材料を35℃30秒の現像条件で自動現像機(富士写真フイルム(株)製、FG−680AG)により処理する。
【0016】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ガンマーが4.0以上、好ましくは4.0〜100、より好ましくは5.0〜30である特性曲線を有する。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、光学濃度3.0以上であり、好ましくは3.0〜6.0、より好ましくは3.5〜6.0である特性曲線を有する。
本発明で規定している特性曲線を有するハロゲン化銀写真感光材料を得る方法は多岐にわたるが、例えば、高コントラストを実現できる重金属(例えばVIII族に属する金属)を含むハロゲン化銀乳剤を用いることによりハロゲン化銀写真感光材料のガンマーを調整することができる。特に、ロジウム化合物、ルテニウム化合物などを含有するハロゲン化銀乳剤を用いることが好ましい。また、乳剤層を含む側に造核剤としてヒドラジン誘導体、あるいはアミン化合物、ホスホニウム化合物等の化合物を少なくとも1種含有させることも好ましい。
【0017】
本発明のハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子は下記一般式Aで表されるイリジウム化合物を含有する。
【0018】
【化11】
一般式A
[IrXnL(6−n)]m
式中、Xはハロゲンイオンまたは擬ハロゲンイオン、Lはハロゲンイオンまたは擬ハロゲンイオン以外の水を除く任意の配位子、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。
【0019】
Xとして好ましくはフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シアン化物イオン、イソシアン酸イオン、チオシアン酸イオン、水酸化物イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、または、アジ化物イオンであり、中でも塩化物イオン、および臭化物イオンであることが特に好ましい。Lは、無機化合物であっても有機化合物であってもよく、電荷を持っていても無電荷であってもよいが、無電荷の無機化合物または有機化合物であることが好ましい。本発明のイリジウム化合物としてより好ましくは下記一般式Bで表される化合物である。
【0020】
【化12】
一般式B
[IrYnLI (6−n)]m
式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIは水をのぞく無機配位子、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。ここでいう無機配位子とは、炭素以外の元素からなる配位子と炭素を含む簡単な配位子を意味する。炭素を含む簡単な配位子には、炭素の酸化物や金属の炭酸塩などのC−H結合を有しない炭素含有配位子が含まれる。好ましい無機配位子として、アンモニア、ホスフィン、カルボニル、イソシアネートを挙げることができる。
【0021】
また、本発明のイリジウム化合物としては下記一般式Cで表される化合物であることも好ましい。
【0022】
【化13】
一般式C
[IrYnLII (6−n)]m
式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIIは任意の有機化合物、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。
【0023】
本発明における有機化合物とは「鎖式または環式の炭化水素を母体構造とするか、またはその母体構造の一部の炭素または水素原子が他の原子または原子団によって置き換えられた化合物」を指す。但し、シアン化物イオンは、通常、無機化合物に分類されるので本発明における有機化合物には含めない。中心金属であるイリジウムに配位する有機化合物としては複素環化合物が好ましい。より好ましくは5員環化合物を配位子とする錯体であり、5員環化合物の中でも少なくとも1つの窒素原子と少なくとも1つの硫黄原子を5員環骨格の中に含有する化合物であることがさらに好ましい。これらのイリジウム化合物の中でも下記一般式Dで表される化合物であることがより好ましい。
【0024】
【化14】
一般式D
[IrYnLIII (6−n)]m
式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIIIは5員環化合物であり、環骨格中に少なくとも1の窒素原子と少なくとも1つの硫黄原子を含有し、環骨格中の炭素原子上に任意の置換基を持つ有機化合物、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。
【0025】
LIII中の置換基としては、n−プロピル基より小さな体積を持つ置換基であることが好ましい。さらに、本発明において最も好ましいイリジウム化合物は下記一般式Eで表される化合物である。
【0026】
【化15】
一般式E
[IrYnLIV (6−n)]m
式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIVは5員環化合物であり、環骨格中に少なくとも2つの窒素原子と1つの硫黄原子を含有する有機化合物、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。
【0027】
一般式E中のLIVとして好ましくはチアジアゾールを骨格とする化合物であり、化合物中の炭素原子には水素以外の置換基が結合することも好ましい。置換基として好ましくはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、メトキシカルボキシル基、アシル基、アセチル基、クロロホルミル基、メルカプト基、メチルチオ基、チオホルミル基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルファモイル基、メチルアミノ基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソシアナト基、ヒドロキシアミノ基、ヒドロキシイミノ基、カルバモイル基、ニトロソ基、ニトロ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、または、アジド基であり、より好ましくは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、クロロホルミル基、スルフィノ基、スルホ基、スルファモイル基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソシアナト基、ヒドロキシイミノ基、ニトロソ基、ニトロ基、または、アジド基である。中でも塩素原子、臭素原子、クロロホルミル基、イソシアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソシアナト基が特に好ましい。nとして好ましくは4または5、mとして好ましくは−2または−1である。
【0028】
以下に好ましい錯体の具体例を挙げるが、本発明で用いることができるイリジウム化合物はこれらに限定されるものではない。
【0029】
I−5. [IrCl5(OH)]3−
I−6. [IrCl4(OH)2]2−
I−7. [IrCl5(OH)] 2−
I−8. [IrCl4(OH)2]2−
I−9. [IrCl5(O)]4−
I−10. [IrCl4(O)2]5−
I−11. [IrCl5(O)]3−
I−12. [IrCl4(O)2]4−
I−17. [IrBr5(OH)]3−
I−18. [IrBr4(OH)2]2−
I−19. [IrBr5(OH)] 2−
I−20. [IrBr4(OH)2]2−
I−21. [IrBr5(O)]4−
I−22. [IrBr4(O)2]5−
I−23. [IrBr5(O)]3−
I−24. [IrBr4(O)2]4−
I−25. [IrCl5(OCN)]3−
I−26. [IrBr5(OCN)]3−
I−27. [IrCl5(thiazole)]2−
I−28. [IrCl4(thiazole)2]−
I−29. [IrCl3(thiazole)3]0
I−30. [IrBr5(thiazole)]2−
I−31. [IrBr4(thiazole)2]−
I−32. [IrBr3(thiazole)3]0
I−33. [IrCl5(5−methylthiazole)]2−
I−34. [IrCl4(5−methylthiazole)2]−
I−35. [IrBr5(5−methylthiazole)]2−
I−36. [IrBr4(5−methylthiazole)2]−
I−37. [IrCl5(5−chlorothiadizole)]2−
I−38. [IrCl4(5−chlorothiadizole)2]−
I−39. [IrBr5(5−chlorothiadizole)]2−
I−40. [IrBr4(5−chlorothiadizole)2]−
I−41. [IrCl5(2−chloro−5−fluorothiadizole)]2−
I−42. [IrCl4(2−chloro−5−fluorothiadizole)2]−
I−43. [IrBr5(2−chloro−5−fluorothiadizole)]2−
I−44. [IrBr4(2−chloro−5−fluorothiadizole)2]−
I−45. [IrCl5(2−bromo−5−chlorothiadizole)]2−
I−46. [IrCl4(2−bromo−5−chlorothiadizole)2]−
I−47. [IrBr5(2−bromo−5−chlorothiadizole)]2−
I−48. [IrBr4(2−bromo−5−chlorothiadizole)2]−
【0030】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ハロゲン化銀乳剤中にイリジウム化合物を、ハロゲン化銀1molあたり1x10−9mol〜1x10−5mol含有することが好ましく、1x10−8mol〜1x10−6mol含有することがより好ましい。
【0031】
ハロゲン化銀乳剤中にイリジウム化合物を含有させる方法は特に制限されない。イリジウム化合物は、通常は水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、イリジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性イリジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめイリジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0032】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤用のハロゲン化銀には、特に制限はない。塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀を用いることができる。中でも、塩臭化銀、沃塩臭化銀であって、これらを構成するハロゲン原子の30mol%〜80mol%が塩素原子であるものを好ましく用いることができる。ハロゲン化銀粒子の形状は、立方体、十四面体、八面体、不定型、板状いずれでもよいが、立方体が好ましい。ハロゲン化銀の平均粒子サイズは0.05μm〜0.7μmが好ましいが、より好ましくは0.05〜0.5μmである。また、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数は15%以下であることが好ましく、10%以下の粒子サイズ分布の狭いものがより好ましい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部あるいは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
【0033】
本発明に用いられる写真乳剤は、P. Glafkides 著 Chimie et Physique Photographique (Paul Montel社刊、1967年)、G. F. Dufin著 Photographic Emulsion Chemistry (The Forcal Press刊、1966年)、V. L. Zelikman et al著 Making and Coating Photographic Emulsion (The Forcal Press刊、1964年) などに記載された方法を用いて調製することができる。
すなわち、酸性法、中性法等のいずれでもよく、また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを用いてもよい。粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。
【0034】
同時混合法の1つの形式としてハロゲン化銀が生成する液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることが好ましい。ハロゲン化銀溶剤としてより好ましいのは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号公報、同55−77737号公報に記載されている。好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンである。ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり10−5〜10−2molが好ましい。
【0035】
コントロールド・ダブルジェット法およびハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤を作るのに有用な手段である。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号公報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を超えない範囲において早く成長させることが好ましい。
【0036】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、VIII族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラストおよび低カブリを達成するために、ロジウム化合物、ルテニウム化合物などを含有することが好ましい。また、高感度化のためには、K4[Fe(CN)6]やK4[Ru(CN)6]、K3[Cr(CN)6]のような六シアノ化金属錯体でドープすることが好ましい。
【0037】
本発明に用いられるロジウム化合物として、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト、アコ等を持つもの、例えば、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられる。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0038】
本発明に用いられるレニウム、ルテニウム、オスミニウムは特開昭63−2042号公報、特開平1−285941号公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML6〕n−
ここでMはRu、Re、またはOsを表し、Lは配位子、nは0、1、2、3または4を表す。この場合、対イオンは重要性を持たず、アンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる錯体の具体例を示すが、本発明で用いることができる錯体はこれらに限定されるものではない。
【0039】
〔ReCl6〕3− 〔ReBr6〕3−
〔ReCl5(NO)〕2− 〔Re(NS)Br5〕2−
〔Re(NO)(CN)5〕2− 〔Re(O)2(CN)4〕3−
〔RuCl6〕3− 〔RuCl4(H2O)2〕1−
〔RuCl5(NO)〕2− 〔RuBr5(NS)〕2−
〔Ru(CO)3Cl3〕2− 〔Ru(CO)Cl5〕2−
〔Ru(CO)Br5〕2− 〔OsCl6〕3−
〔OsCl5(NO)〕2− 〔Os(NO)(CN)5〕2−
〔Os(NS)Br5〕2− 〔Os(CN)6〕4−
〔Os(O)2(CN)4〕4−
【0040】
これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1mol当り 1×10−9mol〜1×10−5molの範囲が好ましく、特に好ましくは1×10−8mol〜1×10−6molである。
本発明に用いられる鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
【0041】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は化学増感されることが好ましい。化学増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、貴金属増感法などの知られている方法を用いることができ、単独または組み合わせて用いられる。組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
【0042】
本発明に用いられる硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。チオ尿素化合物としては米国特許第4,810,626号明細書に記載の特定四置換チオ尿素化合物が特に好ましい。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲン化銀1mol当り10−7〜10−2molであり、より好ましくは10−5〜10−3molである。
【0043】
本発明に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号公報、同43−13489号公報、特開平4−109240号公報、同4−324855号公報等に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(VIII) および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0044】
本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−313284号公報に記載の方法で試験することができる。
具体的には、米国特許第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635(1980),ibid 1102(1979),ibid 645(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.) 1,2191(1980)、S.パタイ(S.Patai) 編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Serenium and Tellunium Compounds),Vol 1(1986)、同 Vol 2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(II)(III)(IV) で示される化合物が好ましい。
【0045】
本発明で用いられるセレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1mol当たり10−8〜10−2mol、好ましくは10−7〜10−3mol程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
本発明に用いられる貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられるが、特に金増感が好ましい。本発明に用いられる金増感剤としては具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金などが挙げられ、ハロゲン化銀1mol当たり10−7〜10−2mol程度を用いることができる。
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
【0046】
本発明においては、還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物などを用いることができる。
本発明のハロゲン化銀乳剤は、欧州特許公開EP第293,917号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明に用いられるハロゲン化銀写真感光材料中のハロゲン化銀乳剤は、1種だけでもよいし、2種以上併用する場合には、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの、感度の異なるものを併用することが好ましい。中でも高コントラストを得るためには、特開平6−324426号公報に記載されているように、支持体に近いほど高感度な乳剤を塗布することが好ましい。
【0047】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、造核剤としてヒドラジン化合物を含有することが好ましい。特に、下記一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体を少なくとも1種含有することが好ましい。
【0048】
一般式(D)
【化16】
【0049】
式中、R20は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表し、R10は水素原子またはブロック基を表し、G10は−CO−,−COCO−,−C(=S)−,−SO2−,−SO−,−PO(R30)−基(R30はR10に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R10と異なっていてもよい。),またはイミノメチレン基を表す。A10、A20はともに水素原子、あるいは一方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。
【0050】
一般式(D)において、R20で表される脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換の、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。
一般式(D)において、R20で表される芳香族基は単環もしくは縮合環のアリール基で、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。R20で表されるヘテロ環基としては、単環または縮合環の、飽和もしくは不飽和の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基で、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンズイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピペリジン環、トリアジン環等が挙げられる。
R20として好ましいものはアリール基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0051】
R20が示す基は置換されていてもよく、代表的な置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロロ原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、N−置換の含窒素ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イソチオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。
これら置換基は、これらの置換基でさらに置換されていてもよい。
【0052】
R20が有していてもよい置換基として好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基(活性メチレン基を含む)、アラルキル基、ヘテロ環基、置換アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その塩を含む)、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0053】
一般式(D)において、R10は水素原子またはブロック基を表すが、ブロック基とは具体的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基を表す。
【0054】
R10で表されるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基,2−カルボキシテトラフルオロエチル基,ピリジニオメチル基、ジフルオロメトキシメチル基、ジフルオロカルボキシメチル基、3−ヒドロキシプロピル基、メタンスルホンアミドメチル基、ベンゼンスルホンアミドメチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、フェニルスルホニルメチル基、o−ヒドロキシベンジル基などが挙げられる。アルケニル基として好ましくは炭素数1から10のアルケニル基であり、例えばビニル基、2,2−ジシアノビニル基、2−エトキシカルボニルビニル基、2−トリフルオロ−2−メトキシカルボニルビニル基等が挙げられる。アルキニル基として好ましくは炭素数1から10のアルキニル基であり、例えばエチニル基、2−メトキシカルボニルエチニル基等が挙げられる。アリール基としては単環もしくは縮合環のアリール基が好ましく、ベンゼン環を含むものが特に好ましい。例えばフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−メタンスルホンアミドフェニル基、2−カルバモイルフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基などが挙げられる。ヘテロ環基として好ましくは、少なくとも1つの窒素、酸素、および硫黄原子を含む5〜6員の、飽和もしくは不飽和の、単環もしくは縮合環のヘテロ環基で、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基であってもよく、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基(N−置換)、ピペラジノ基、イミダゾリル基、インダゾリル基(4−ニトロインダゾリル基等)、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリジニオ基(N−メチル−3−ピリジニオ基等)、キノリニオ基、キノリル基などがある。モルホリノ基、ピペリジノ基、ピリジル基、ピリジニオ基等が特に好ましい。
【0055】
アルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としてはフェノキシ基が好ましく、アミノ基としては無置換アミノ基、および炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基(4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む)が好ましい。アミノ基の例としては、2、2、6、6−テトラメチルピペリジン−4−イルアミノ基、プロピルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、アニリノ基,o−ヒドロキシアニリノ基、5−ベンゾトリアゾリルアミノ基、N−ベンジル−3−ピリジニオアミノ基等が挙げられる。ヒドラジノ基としては置換もしくは無置換のヒドラジノ基、または置換もしくは無置換のフェニルヒドラジノ基(4−ベンゼンスルホンアミドフェニルヒドラジノ基など)が特に好ましい。
【0056】
R10で表される基は置換されていても良く、好ましい置換基としてはR20の置換基として例示したものがあてはまる。
【0057】
一般式(D)においてR10はG10−R10の部分を残余分子から分裂させ、−G10−R10部分の原子を含む環式構造を生成させる環化反応を生起するようなものであってもよく、その例としては、例えば特開昭63−29751号公報などに記載のものが挙げられる。
【0058】
一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよい。かかる吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,108号明細書、同4,459,347号明細書、特開昭59−195233号公報、同59−200231号公報、同59−201045号公報、同59−201046号公報、同59−201047号公報、同59−201048号公報、同59−201049号公報、特開昭61−170733号公報、同61−270744号公報、同62−948号公報、同63−234244号公報、同63−234245号公報、同63−234246号公報に記載された基があげられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平2−285344号公報に記載された基が挙げられる。
【0059】
一般式(D)のR10またはR20はその中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれているものでもよい。本発明においてバラスト基とは、6以上の炭素数を有する、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(またはアルキレン基)、アルコキシ基(またはアルキレンオキシ基)、アルキルアミノ基(またはアルキレンアミノ基)、アルキルチオ基、あるいはこれらを部分構造として有する基を表し、さらに好ましくは炭素数7以上で炭素数24以下の、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(またはアルキレン基)、アルコキシ基(またはアルキレンオキシ基)、アルキルアミノ基(またはアルキレンアミノ基)、アルキルチオ基、あるいはこれらを部分構造として有する基を表す。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号公報に記載のものが挙げられる。
【0060】
一般式(D)のR10またはR20は、置換基としてヒドラジノ基を複数個含んでいてもよく、この時一般式(D)で表される化合物は、ヒドラジノ基に関しての多量体を表し、具体的には例えば特開昭64−86134号公報、特開平4−16938号公報、特開平5−197091号公報、国際公開WO95/32452号公報、国際公開WO95/32453号公報、特開平9−179229号公報、特開平9−235264号公報、特開平9−235265号公報、特開平9−235266号公報、特開平9−235267号公報等に記載された化合物が挙げられる。
【0061】
一般式(D)のR10またはR20は、その中に、カチオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含む基、4級化されたリン原子を含む基、または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、あるいは解離性基(アルカリ性の現像液で解離しうる酸性度の低いプロトンを有する基もしくは部分構造、あるいはまたその塩を意味し、具体的には、例えばカルボキシ基/−COOH、スルホ基/−SO3H、ホスホン酸基/−PO3H、リン酸基/−OPO3H、ヒドロキシ基/−OH基、メルカプト基/−SH、−SO2NH2基、N−置換のスルホンアミド基/−SO2NH−基、−CONHSO2−基、−CONHSO2NH−基、−NHCONHSO2−基、−SO2NHSO2−基、−CONHCO−基、活性メチレン基、含窒素ヘテロ環基に内在する−NH−基、またはこれらの塩等)が含まれていてもよい。これらの基が含まれる例としては、例えば特開平7−234471号公報、特開平5−333466号公報、特開平6−19032号公報、特開平6−19031号公報、特開平5−45761号公報、米国特許4994365号明細書、米国特許4988604号明細書、特開平7−259240号公報、特開平7−5610号公報、特開平7−244348号公報、独特許4006032号明細書、特開平11−7093号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0062】
一般式(D)においてA10、A20は水素原子、炭素数20以下のアルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくはフェニルスルホニル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたフェニルスルホニル基)、炭素数20以下のアシル基(好ましくはベンゾイル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたベンゾイル基、あるいは直鎖、分岐、または環状の置換もしくは無置換の脂肪族アシル基(ここに置換基としては、例えばハロゲン原子、エーテル基、スルホンアミド基、カルボンアミド基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等が挙げられる))である。A10、A20としては水素原子が最も好ましい。
【0063】
次に本発明において、特に好ましいヒドラジン誘導体について述べる。
R20は置換フェニル基が特に好ましく、置換基としてはアルキル基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)オキシ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、チオウレイド基、イソチオウレイド基、スルファモイルアミノ基、N−アシルスルファモイルアミノ基等が好ましく、アルキル基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)オキシ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基がさらに好ましく、アルキル基、スルホンアミド基が最も好ましい。
【0064】
一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体は、R20またはR10に、置換基として、直接または間接的に、バラスト基、ハロゲン化銀への吸着基、4級のアンモニオ基を含む基、4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基、エチレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、アルカリ性の現像処理液中で解離しうる解離性基、もしくは多量体を形成しうるヒドラジノ基(−NHNH−G10−R10で表される基)の少なくとも1つが置換されていることが特に好ましい。さらには、R20の置換基として、直接または間接的に、前述の何れか1つの基を有することが好ましく、最も好ましいのは、R20がアルキル基またはベンゼンスルホンアミド基で置換されたフェニル基を表し、そのベンゼンスルホンアミド基のベンゼン環上の置換基またはアルキル基上の置換基として、直接または間接的に、前述の何れか1つの基を有する場合である。
【0065】
R10で表される基のうち好ましいものは、G10が−CO−基の場合には、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、置換アリール基(置換基としては電子吸引性基またはo−ヒドロキシメチル基が特に好ましい)であり、最も好ましくは水素原子またはアルキル基である。
G10が−COCO−基の場合にはアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基が好ましく、特に置換アミノ基、詳しくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基が好ましい。
またG10が−SO2−基の場合には、R10はアルキル基、アリール基または置換アミノ基が好ましい。
【0066】
一般式(D)においてG10は好ましくは−CO−基または−COCO−基であり、特に好ましくは−CO−基である。
【0067】
次に一般式(D)で示される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明で用いることができる化合物は以下の化合物に限定されるものではない。
【0068】
【化17】
【0069】
【化18】
【0070】
【化19】
【0071】
【化20】
【0072】
【化21】
【0073】
【化22】
【0074】
【化23】
【0075】
【化24】
【0076】
【化25】
【0077】
【化26】
【0078】
【化27】
【0079】
本発明に用いられるヒドラジン誘導体としては、上記のものの他に、下記のヒドラジン誘導体も好ましく用いられる。本発明に用いられるヒドラジン誘導体はまた、下記の特許に記載された種々の方法により、合成することができる。
【0080】
特公平6−77138号公報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物。特公平6−93082号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物。特開平6−230497号公報に記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、および39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6−7。特開平6−289520号公報に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−17)および2−1)。特開平6−313936号公報に記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物。特開平6−313951号公報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物。特開平7−5610号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I−1〜I−38。特開平7−77783号公報に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102。特開平7−104426号公報に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44。特開平9−22082号公報に記載の,ヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A),一般式(B),一般式(C),一般式(D),一般式(E),一般式(F)で表される化合物で,具体的には同公報に記載の化合物N−1〜N−30。特開平9−22082号公報に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物D−1〜D−55。特開平10−232456号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物N−I〜N−XVIII、特開平11−190887号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物N−I〜N−XI、特開2001−109094号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物II〜X。この他、国際公開WO95/32452号公報、国際公開WO95/32453号公報、特開平9−179229号公報、特開平9−235264号公報、特開平9−235265号公報、特開平9−235266号公報、特開平9−235267号公報、特開平9−319019号公報、特開平9−319020号公報、特開平10−130275号公報、特開平11−7093号公報、特開平6−332096号公報、特開平7−209789号公報、特開平8−6193号公報、特開平8−248549号公報、特開平8−248550号公報、特開平8−262609号公報、特開平8−314044号公報、特開平8−328184号公報、特開平9−80667号公報、特開平9−127632号公報、特開平9−146208号公報、特開平9−160156号公報、特開平10−161260号公報、特開平10−221800号公報、特開平10−213871号公報、特開平10−254082号公報、特開平10−254088号公報、特開平7−120864号公報、特開平7−244348号公報、特開平7−333773号公報、特開平8−36232号公報、特開平8−36233号公報、特開平8−36234号公報、特開平8−36235号公報、特開平8−272022号公報、特開平9−22083号公報、特開平9−22084号公報、特開平9−54381号公報、特開平10−175946号公報、記載のヒドラジン誘導体。
【0081】
本発明においてヒドラジン系造核剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0082】
本発明においてヒドラジン系造核剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層、あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。また、2種類以上のヒドラジン系造核剤を併用して使用することもできる。
本発明において造核剤添加量はハロゲン化銀1モルに対し1×10−5〜1×10−2モルが好ましく、1×10−5〜5×10−3モルがより好ましく、2×10−5〜5×10−3モルが最も好ましい。
【0083】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料中には、造核促進剤を内蔵することができる。
本発明に用いられる造核促進剤としては、アミン誘導体、オニウム塩、ジスルフィド誘導体またはヒドロキシメチル誘導体などが挙げられる。具体的には、特開平7−77783号公報48頁2行〜37行に記載の化合物で、具体的には49頁〜58頁に記載の化合物A−1)〜A−73);特開平7−84331号公報に記載の(化21)、(化22)および(化23)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜8頁に記載の化合物;特開平7−104426号公報に記載の一般式〔Na〕および一般式〔Nb〕で表される化合物で、具体的には同公報16頁〜20頁に記載のNa−1〜Na−22の化合物およびNb−1〜Nb−12の化合物;特開平8−272023号公報に記載の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)および一般式(7)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の1−1〜1−19の化合物、2−1〜2−22の化合物、3−1〜3−36の化合物、4−1〜4−5の化合物、5−1〜5−41の化合物、6−1〜6−58の化合物、および7−1〜7−38の化合物;特開平9−297377号公報のp55、カラム108の8行〜p69、カラム136の44行までに記載の造核促進剤を挙げることができる。
【0084】
本発明においては、感光材料中に造核促進剤を内蔵することが好ましい。本発明に用いられる造核促進剤としては、アミン誘導体、オニウム塩、ジスルフィド誘導体またはヒドロキシメチル誘導体などが挙げられる。以下にその例を列挙する。特開平7−77783号公報48頁2行〜37行に記載の化合物で、具体的には49頁〜58頁に記載の化合物A−1)〜A−73)。特開平7−84331号公報に記載の(化21)、(化22)および(化23)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜8頁に記載の化合物。特開平7−104426号公報に記載の一般式〔Na〕および一般式〔Nb〕で表される化合物で、具体的には同公報16頁〜20頁に記載のNa−1〜Na−22の化合物およびNb−1〜Nb−12の化合物。特開平8−272023号公報に記載の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)および一般式(7)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の1−1〜1−19の化合物、2−1〜2−22の化合物、3−1〜3−36の化合物、4−1〜4−5の化合物、5−1〜5−41の化合物、6−1〜6−58の化合物、および7−1〜7−38の化合物。特開平9−297377号のp55,カラム108の8行〜p69,カラム136の44行までに記載の造核促進剤。
【0085】
本発明に用いられる造核促進剤としては、特開2000−105438号公報に記載の一般式(A−1)、一般式(A−2)、一般式(A−3)、および一般式(A−4)で表されるオニウム塩化合物が最も好ましく、具体的には同公報に記載のA−1〜A−42の化合物、B−1〜B−28の化合物、C−1〜C−14の化合物である。
【0086】
本発明に使用できる造核促進剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
【0087】
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、造核促進剤の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0088】
本発明に使用できる造核促進剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側のハロゲン化銀乳剤を含まない親水性コロイド層からなる非感光層に添加することが好ましく、特に該ハロゲン化銀乳剤層と支持体の間の親水性コロイド層からなる非感光層に添加することが好ましい。
本発明の造核促進剤の添加量はハロゲン化銀1molに対し1×10−6〜2×10−2molが好ましく、1×10−5〜2×10−2molがより好ましく、2×10−5〜1×10−2molが最も好ましい。また、2種類以上の造核促進剤を併用して使用することもできる。
【0089】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤は、増感色素によって比較的長波長の青色光、緑色光、赤色光または赤外光に分光増感されてもよい。さらに、特開昭55−45015号公報に記載の一般式〔I〕の化合物、および、特開平9−160185号公報に記載の一般式〔I〕の化合物が好ましく、特に、特開平9−160185号公報に記載の一般式〔I〕の化合物が好ましい。具体的には、特開昭55−45015号公報に記載の(1)〜(19)の化合物、特開平9−160185号公報に記載のI−1からI−40の化合物およびI−56からI−85の化合物などを挙げることができる。
【0090】
その他の増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。
本発明に使用されるその他の有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item18341X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
特に各種スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素も有利に選択することができる。
【0091】
例えば、A)アルゴンレーザー光源に対しては、特開昭60−162247号公報に記載の(I)−1から(I)−8の化合物、特開平2−48653号公報に記載のI−1からI−28の化合物、特開平4−330434号公報に記載のI−1からI−13の化合物、米国特許2,161,331号明細書に記載のExample1〜14の化合物、西独特許936,071号明細書記載の1〜7の化合物、B)ヘリウム−ネオンレーザー光源に対しては、特開昭54−18726号公報に記載のI−1からI−38の化合物、特開平6−75322号公報に記載のI−1からI−35の化合物および特開平7−287338号公報に記載のI−1からI−34の化合物、C)LED光源に対しては特公昭55−39818号公報に記載の色素1〜20、特開昭62−284343号公報に記載のI−1からI−37の化合物および特開平7−287338号公報に記載のI−1からI−34の化合物、D)半導体レーザー光源に対しては特開昭59−191032号公報に記載のI−1からI−12の化合物、特開昭60−80841号公報に記載のI−1からI−22の化合物、特開平4−335342号公報に記載のI−1からI−29の化合物および特開昭59−192242号公報に記載のI−1からI−18の化合物、E)製版カメラのタングステンおよびキセノン光源に対しては、上記記載の化合物の他に特開平9−160185号公報に記載のI−41からI−55の化合物およびI−86からI−97の化合物および特開平6−242547号公報に記載の4−Aから4−Sの化合物、5−Aから5−Qの化合物、6−Aから6−Tの化合物なども有利に選択することができる。
【0092】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure)176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは前述の特公昭49−25500号公報、同43−4933号公報、特開昭59−19032号公報、同59−192242号公報等に記載されている。
【0093】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
また、米国特許第3,469,987号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、該溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号公報、同44−27555号公報、同57−22091号公報等に開示されているように、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号明細書、同第4,006,025号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53−102733号公報、同58−105141号公報に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51−74624号公報に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。また、溶液に超音波を用いることもできる。
【0094】
本発明に用いる増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766号明細書、同第3,628,960号明細書、同第4,183,756号明細書、同第4,225,666号明細書、特開昭58−184142号公報、同60−196749号公報等に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号公報等に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号明細書、特開昭58−7629号公報等に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0095】
本発明において増感色素の添加量は、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズ、ハロゲン組成、化学増感の方法と程度、カブリ防止剤の種類等により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり、4×10−6〜8×10−3molで用いることができる。例えばハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀粒子の表面積1m2あたり、2×10−7〜3.5×10−6molの添加量が好ましく、6.5×10−7〜2.0×10−6molの添加量がより好ましい。
【0096】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限はなく、例えば、特開平3−39948号公報第10頁右下11行目〜同公報第12頁左下5行目に記載のポリヒドロキシベンゼン化合物(具体的には、同公報に記載の化合物(III)−1〜25の化合物);特開平1−118832号公報に記載の一般式(I)で表される実質的には可視域に吸収極大を持たない化合物(具体的には、同公報に記載の化合物I−1〜I−26の化合物);特開平2−103536号公報第17頁右下19行目〜同公報18頁右上4行目に記載のカブリ防止剤;特開平2−103536号公報第18頁左下12行目〜同頁左下20行目に記載のポリマーラテックス;特開平9−179228号公報に記載の一般式(I)で表される活性メチレン基を有するポリマーラテックス(具体的には同公報に記載の化合物I−1〜I−16);特開平9−179228号公報に記載のコア/シェル構造を有するポリマーラテックス(具体的には同公報に記載の化合物P−1〜P−55);特開平7−104413号公報第14頁左1行目〜同頁右30行目に記載の酸性ポリマーラテックス(具体的には同公報15頁に記載の化合物II−1)〜II−9));特開平2−103536号公報第19頁左上15行目〜同公報19頁右上15行目に記載のマット剤、滑り剤、可塑剤;特開平2−103536号公報第18頁右上5行目〜同頁右上17行目に記載の硬膜剤;特開平2−103536号公報第18頁右下6行目〜同公報19頁左上1行目に記載の酸基を有する化合物;特開平2−18542号公報第2頁左下13行目〜同公報第3頁右上7行目に記載の導電性物質(具体的には、同公報第2頁右下2行目〜同頁右下10行目に記載の金属酸化物、および同公報に記載の化合物P−1〜P−7の導電性高分子化合物);特開平2−103536号公報第17頁右下1行目〜同頁右上18行目に記載の水溶性染料;特開平9−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される固体分散染料(具体的には同公報記載の化合物F1〜F34、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)、特開平2−294638号公報および特開平5−11382号公報に記載の固体分散染料);特開平5ー274816号公報に記載の酸化されることにより現像抑制剤を放出しうるレドックス化合物、好ましくは同公報に記載の一般式(R−1)、一般式(R−2)、一般式(R−3)で表されるレドックス化合物(具体的には、同公報に記載の化合物R−1〜R−68の化合物);特開平2−18542号公報第3頁右下1行目〜20行目に記載のバインダーを挙げることができる。
【0097】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の乳剤層および保護層を含めた親水性コロイド層の膨潤率は80〜150%の範囲が好ましく、より好ましくは90〜140%の範囲である。親水性コロイド層の膨潤率は、ハロゲン化銀写真感光材料における乳剤層および保護層を含めた親水性コロイド層の厚み(d0)を測定し,該ハロゲン化銀写真感光材料を25℃の蒸留水に1分間浸漬し、膨潤した厚み(Δd)を測定し、膨潤率(%)=(Δd÷d0)×100の計算式によって求める。
【0098】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料のハロゲン化銀乳剤層が塗布されている側の膜面pHは6.0以下であることが好ましく、4.5〜7.5であることがより好ましく、4.8〜6.0であることがさらに好ましい。4.5未満であると乳剤層の硬膜進行が遅くなる傾向がある。
【0099】
本発明の実施に際して用いうる支持体としては、例えばバライタ紙、ポリエチレン被覆紙、ポリプロピレン合成紙、ガラス板、セルロースアセテート、セルロースナイトレート、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムを挙げることができる。これらの支持体は、それぞれハロゲン化銀写真感光材料の使用目的に応じて適宜選択される。
また、特開平7−234478号公報、および米国特許第5,558,979号明細書に記載のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる支持体も好ましく用いられる。
【0100】
以下に本発明における現像液、定着液などの処理剤および処理方法等について述べるが、言うまでもなく本発明は以下の記述および具体例に限定されるものではない。
【0101】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の現像処理には、公知の方法のいずれを用いることもできる。また、現像処理液としては公知のものを用いることができる。
【0102】
本発明に使用する現像液(以下、現像開始液および現像補充液の双方をまとめて現像液という。)に用いる現像主薬には特別な制限はないが、ジヒドロキシベンゼン類や、アスコルビン酸誘導体、ハイドロキノンモノスルホン酸塩を含むことが好ましく、単独使用でも併用でもよい。特に、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬およびこれと超加成性を示す補助現像主薬を含有することが好ましく、ジヒドロキシベンゼン類やアスコルビン酸誘導体と1−フェニル−3−ピラゾリドン類の組み合わせ、またはジヒドロキシベンゼン類やアスコルビン酸誘導体とp−アミノフェノール類の組み合わせなどを挙げることができる。
本発明に用いる現像主薬において、ジヒドロキシベンゼン現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノンなどがあるが、特にハイドロキノンが好ましい。またアスコルビン酸誘導体現像主薬としては、アスコルビン酸およびイソアスコルビン酸とそれらの塩があるが、特にエリソルビン酸ナトリウムが素材コストの点から好ましい。
【0103】
本発明に用いる1−フェニル−3−ピラゾリドンまたはその誘導体の現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4、4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンなどがある。
本発明に用いるp−アミノフェノール系現像主薬としてN−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシフェニル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、o−メトキシ−p−(N、N−ジメチルアミノ)フェノール、o−メトキシ−p−(N−メチルアミノ)フェノールなどがあるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノール、または特開平9−297377号公報および特開平9−297378号公報に記載のアミノフェノール類が好ましい。
【0104】
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は通常0.05mol/L〜0.8mol/Lの量で用いられるのが好ましい。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類の組み合わせを用いる場合には前者を0.05mol/L〜0.6mol/L、好ましくは0.10mol/L〜0.5mol/L、後者を0.06mol/L以下、好ましくは0.03mol/L〜0.003mol/Lの量で用いるのが好ましい。
【0105】
アスコルビン酸誘導体現像主薬は、通常0.01mol/L〜0.5mol/Lの量で用いられるのが好ましく、0.05mol/L〜0.3mol/Lがより好ましい。またアスコルビン酸誘導体と1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類の組み合わせを用いる場合にはアスコルビン酸誘導体を0.01mol/L〜0.5mol/L、1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類を0.005mol/L〜0.2mol/Lの量で用いるのが好ましい。
【0106】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料を処理する際の現像液には、通常用いられる添加剤(例えば現像主薬、アルカリ剤、pH緩衝剤、保恒剤、キレート剤等)を含有させることができる。以下にこれらの具体例を示すが、本発明で用いることができるものはこれらに限定されるものではない。
現像処理する際の現像液に用いられる緩衝剤としては、炭酸塩、特開昭62−186259号公報に記載のほう酸、特開昭60−93433号公報に記載の糖類(例えばサッカロース)、オキシム類(例えばアセトオキシム)、フェノール類(例えば5−スルホサリチル酸)、第3リン酸塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩)などが用いられ、好ましくは炭酸塩、ほう酸が用いられる。緩衝剤、特に炭酸塩の使用量は、好ましくは0.05mol/L以上、特に0.08〜1.0mol/Lである。
【0107】
本発明においては、現像開始液および現像補充液の双方が、該液1Lに0.1molの水酸化ナトリウムを加えたときのpH上昇が0.5以下であることが好ましい。使用する現像開始液ないし現像補充液がこの性質を有することを確かめる方法としては、試験する現像開始液ないし現像補充液のpHを10.5に合わせ、ついでこの液1Lに水酸化ナトリウムを0.1mol添加し、この時の液のpH値を測定し、pH値の上昇が0.5以下であれば上記に規定した性質を有すると判定する。本発明では特に、上記試験を行った時のpH値の上昇が0.4以下である現像開始液および現像補充液を用いることが好ましい。
【0108】
本発明に用いられる保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどがある。亜硫酸塩は好ましくは0.2mol/L以上、特に0.3mol/L以上用いられるが、あまりに多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、上限は1.2mol/Lとするのが望ましい。特に好ましくは、0.35〜0.7mol/Lである。
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩と併用して前記のアスコルビン酸誘導体を少量使用してもよい。なかでも素材コストの点からエリソルビン酸ナトリウムを用いることが好ましい。添加量はジヒドロキシベンゼン系現像主薬に対して、モル比で0.03〜0.12の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.10の範囲である。保恒剤としてアスコルビン酸誘導体を使用する場合には現像液中にホウ素化合物を含まないことが好ましい。
【0109】
上記以外に用いられる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムのような現像抑制剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドのような有機溶剤、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、イミダゾールまたはその誘導体等の現像促進剤、ヘテロ環メルカプト化合物(例えば3−(5−メルカプトテトラゾール−1−イル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールなど)、特開昭62−212651号公報に記載の化合物を物理現像ムラ防止剤として添加することもできる。
また、メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤または黒ポツ(black pepper)防止剤として含んでもよい。具体的には、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンゾイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンゾイミダゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、4−((2−メルカプト−1、3、4−チアジアゾール−2−イル)チオ)ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1、3、4−チアジアゾール−2−チオール、メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。これらの添加剤の量は、通常現像液1Lあたり0.01〜10mmolであり、より好ましくは0.1〜2mmolである。
【0110】
さらに本発明で用いられる現像液中には各種の有機、無機のキレート剤を単独または併用で用いることができる。
無機キレート剤としては例えば、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどを用いることができる。
一方、有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸および有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
有機カルボン酸としては例えば、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グルコン酸、アジピン酸、ピメリン酸、アシエライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などを挙げることができる。
【0111】
アミノポリカルボン酸としては例えば、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミンモノヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテル四酢酸、1、2−ジアミノプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1、3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、その他特開昭52−25632号公報、同55−67747号公報、同57−102624号公報、および特公昭53−40900号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0112】
有機ホスホン酸としては、例えば米国特許第3,214,454号明細書、同第3,794,591号明細書および西独特許公開第2227369号公報等に記載のヒドロキシアルキリデン−ジホスホン酸やリサーチ・ディスクロージャー第181巻、Item 18170(1979年5月号)等に記載の化合物が挙げられる。
アミノホスホン酸としては、例えばアミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられるが、その他上記リサーチ・ディスクロージャー18170、特開昭57−208554号公報、同54−61125号公報、同55−29883号公報、同56−97347号公報等に記載の化合物も挙げることができる。
【0113】
有機ホスホノカルボン酸としては、例えば特開昭52−102726号公報、同53−42730号公報、同54−121127号公報、同55−4024号公報、同55−4025号公報、同55−126241号公報、同55−65955号公報、同55−65956号公報および前述のリサーチ・ディスクロージャー18170等に記載の化合物を挙げることができる。
【0114】
これらの有機および/または無機のキレート剤は、前述のものに限定されるものではない。また、アルカリ金属塩やアンモニウム塩の形で使用してもよい。これらのキレート剤の添加量としては、現像液1Lあたり好ましくは、1×10−4〜1×10−1mol、より好ましくは1×10−3〜1×10−2molである。
【0115】
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、例えば特開昭56−24347号公報、特公昭56−46585号公報、特公昭62−2849号公報、特開平4−362942号公報、特開平8−6215号公報に記載の化合物の他、メルカプト基を1つ以上有するトリアジン(例えば特公平6−23830号公報、特開平3−282457号公報、特開平7−175178号公報に記載の化合物)、メルカプト基を1つ以上有するピリミジン(例えば2−メルカプトピリミジン、2、6−ジメルカプトピリミジン、2、4−ジメルカプトピリミジン、5、6−ジアミノ−2、4−ジメルカプトピリミジン、2、4、6−トリメルカプトピリミジン、特開平9−274289号公報記載の化合物など)、メルカプト基を1つ以上有するピリジン(例えば2−メルカプトピリジン、2、6−ジメルカプトピリジン、3、5−ジメルカプトピリジン、2、4、6−トリメルカプトピリジン、特開平7−248587号公報に記載の化合物など)、メルカプト基を1つ以上有するピラジン(例えば2−メルカプトピラジン、2、6−ジメルカプトピラジン、2、3−ジメルカプトピラジン、2、3、5−トリメルカプトピラジンなど)、メルカプト基を1つ以上有するピリダジン(例えば3−メルカプトピリダジン、3、4−ジメルカプトピリダジン、3、5−ジメルカプトピリダジン、3、4、6−トリメルカプトピリダジンなど)、特開平7−175177号公報に記載の化合物、米国特許第5,457,011号明細書に記載のポリオキシアルキルホスホン酸エステルなどを用いることができる。これらの銀汚れ防止剤は単独または複数の併用で用いることができ、添加量は現像液1Lあたり0.05〜10mmolが好ましく、0.1〜5mmolがより好ましい。
また、溶解助剤として特開昭61−267759号公報記載の化合物を用いることができる。
さらに必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。
【0116】
現像液の好ましいpHは9.0〜12.0であり、特に好ましくは9.0〜11.0、さらに好ましくは9.5〜11.0の範囲である。pH調整に用いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)を用いることができる。
【0117】
現像液のカチオンとしては、ナトリウムイオンに比べてカリウムイオンの方が現像抑制をせず、またフリンジと呼ばれる黒化部のまわりのギザギザが少ない。さらに、濃縮液として保存する場合には一般にカリウム塩のほうが溶解度が高く好ましい。しかしながら、定着液においてはカリウムイオンは銀イオンと同程度に定着阻害をすることから、現像液のカリウムイオン濃度が高いと、ハロゲン化銀写真感光材料により現像液が持ち込まれることにより定着液中のカリウムイオン濃度が高くなり、好ましくない。以上のことから現像液におけるカリウムイオンとナトリウムイオンのモル比率は20:80〜80:20の間であることが好ましい。カリウムイオンとナトリウムイオンの比率は、pH緩衝剤、pH調整剤、保恒剤、キレート剤などの対カチオンで、上記の範囲で任意に調整できる。
【0118】
現像液の補充量は、ハロゲン化銀写真感光材料1m2につき390ml以下であり、30〜325mlが好ましく、120〜250mlが最も好ましい。現像補充液は、現像開始液と同一の組成および/または濃度を有していてもよいし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していてもよい。
【0119】
本発明における定着処理剤の定着剤としては、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムアンモニウムが使用できる。定着剤の使用量は適宜変えることができるが、一般には約0.7〜約3.0mol/Lである。
【0120】
本発明における定着液は、硬膜剤として作用する水溶性アルミニウム塩、水溶性クロム塩を含んでもよく、水溶性アルミニウム塩が好ましい。それには例えば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明礬、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウムなどがある。これらは使用液におけるアルミニウムイオン濃度として、0.01〜0.15mol/Lで含まれることが好ましい。
なお、定着液を濃縮液または固形剤として保存する場合、硬膜剤などを別パートとした複数のパーツで構成してもよいし、すべての成分を含む一剤型の構成としてもよい。
【0121】
定着処理剤には所望により保恒剤(例えば亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩などを0.015mol/L以上、好ましくは0.02mol/L〜0.3mol/L)、pH緩衝剤(例えば酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸、コハク酸、アジピン酸などを0.1mol/L〜1mol/L、好ましくは0.2mol/L〜0.7mol/L)、アルミニウム安定化能や硬水軟化能のある化合物(例えばグルコン酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、安息香酸、サリチル酸、タイロン、アスコルビン酸、グルタル酸、アスパラギン酸、グリシン、システイン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸やこれらの誘導体およびこれらの塩、糖類などを0.001mol/L〜0.5mol/L、好ましくは0.005mol/L〜0.3mol/L)を含むことができが、近年の環境保護の点からホウ素系化合物は含まない方がよい。
【0122】
このほか、特開昭62−78551号公報に記載の化合物、pH調整剤(例えば水酸化ナトリウム、アンモニア、硫酸など)、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤等も含むことができる。界面活性剤としては、例えば硫酸化物スルホン酸化物などのアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6840号公報記載の両性界面活性剤が挙げられ、公知の消泡剤を使用することもできる。湿潤剤としては、アルカノールアミン、アルキレングリコール等がある。定着促進剤としては、特開平6−308681号公報に記載のアルキルおよびアリル置換されたチオスルホン酸およびその塩や、特公昭45−35754号公報、同58−122535号公報、同58−122536号公報記載のチオ尿素誘導体、分子内に3重結合を有するアルコール、米国特許第4,126,459号明細書記載のチオエーテル化合物、特開昭64−4739号公報、特開平1−4739号公報、同1−159645号公報および同3−101728号公報に記載のメルカプト化合物、同4−170539号公報に記載のメソイオン化合物、チオシアン酸塩を含むことができる。
【0123】
本発明における定着液のpHは4.0以上であることが好ましく、4.5〜6.0であることがより好ましい。定着液のpHは処理により現像液が混入して上昇するが、この場合のpHは、硬膜定着液では6.0以下であることが好ましく、5.7以下であることがより好ましく、また、無硬膜定着液においては7.0以下であることが好ましく、6.7以下であることがより好ましい。
【0124】
定着液の補充量は、ハロゲン化銀写真感光材料1m2につき500ml以下であることが好ましく、390ml以下であることがより好ましく、320〜80mlであることが特に好ましい。補充液は、開始液と同一の組成および/または濃度を有していてもよいし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していてもよい。
【0125】
定着液は電解銀回収などの公知の定着液再生方法により再生使用することができる。再生装置としては、例えば富士写真フイルム(株)製FS−2000などがある。
また、活性炭などの吸着フィルターを使用して、色素などを除去することも好ましい。
【0126】
本発明における現像および定着処理剤が液剤の場合、例えば特開昭61−73147号公報に記載されたような、酸素透過性の低い包材で保管することが好ましい。さらにこれらの液が濃縮液の場合、所定の濃度になるように、濃縮液1部に対して水0.2〜3部の割合で希釈して使用される。
【0127】
本発明における現像処理剤および定着処理剤は固形にしても液剤同様の結果が得られる。以下に固形処理剤について説明する。
本発明では、固形剤として、公知の形態(粉状、粒状、顆粒状、塊状、錠剤、コンパクター、ブリケット、板状、棒状、ペースト状など)を有するものが使用できる。これらの固形剤は、接触して互いに反応する成分を分離するために、水溶性のコーティング剤やフィルムで被覆してもよいし、複数の層構成にして互いに反応する成分を分離してもよく、これらを併用してもよい。
【0128】
被覆剤、造粒助剤としては公知のものが使用できるが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリスチレンスルホン酸、ビニル系化合物を用いることが好ましい。この他、特開平5−45805号公報カラム2の48行〜カラム3の13行目を参考にすることができる。
【0129】
複数の層構成にする場合は、接触しても反応しない成分を互いに反応する成分の間にはさんだ構成にして錠剤やブリケット等に加工してもよいし、公知の形態の成分を同様の層構成にして包装してもよい。これらの方法は、例えば特開昭61−259921号公報、同4−16841号公報、同4−78848号公報、同5−93991号公報等に示されている。
【0130】
固形処理剤の嵩密度は、0.5〜6.0g/cm3が好ましく、特に錠剤は1.0〜5.0g/cm3が好ましく、顆粒は0.5〜1.5g/cm3が好ましい。
【0131】
本発明における固形処理剤の製法は、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、特開昭61−259921号公報、特開平4−15641号公報、特開平4−16841号公報、同4−32837号公報、同4−78848号公報、同5−93991号公報、同4−85533号公報、同4−85534号公報、同4−85535号公報、同5−134362号公報、同5−197070号公報、同5−204098号公報、同5−224361号公報、同6−138604号公報、同6−138605号公報、同8−286329号公報等を参考にすることができる。
【0132】
より具体的には転動造粒法、押し出し造粒法、圧縮造粒法、解砕造粒法、撹拌造粒法、スプレードライ法、溶解凝固法、ブリケッティング法、ローラーコンパクティング法等を用いることができる。
【0133】
本発明における固形剤は、表面状態(平滑、多孔質等)や部分的に厚みを変えたり、中空状のドーナツ型にしたりして溶解性を調節することもできる。さらに、複数の造粒物に異なった溶解性を与えたり、溶解性の異なる素材の溶解度を合わせたりするために、複数の形状をとることも可能である。また、表面と内部で組成の異なる多層の造粒物でもよい。
【0134】
固形剤の包材は、酸素および水分透過性の低い材質が好ましく、包材の形状は袋状、筒状、箱状などの公知のものが使用できる。また、特開平6−242585号公報〜同6−242588号公報、同6−247432号公報、同6−247448号公報、同6−301189号公報、同7−5664号公報、同7−5666号公報〜同7−5669号公報に開示されているような折り畳み可能な形状にすることも、廃包材の保管スペース削減のためには好ましい。これらの包材は、処理剤の取り出し口にスクリューキャップや、プルトップ、アルミシールをつけたり、包材をヒートシールしてもよいが、このほかの公知のものを使用してもよく、特に限定はしない。さらに環境保全上、廃包材をリサイクルまたはリユースすることが好ましい。
【0135】
本発明の固形処理剤の溶解および補充の方法としては特に限定はなく、公知の方法を使用することができる。これらの方法としては例えば、撹拌機能を有する溶解装置で一定量を溶解し補充する方法、特開平9−80718号公報に記載されているような溶解部分と完成液をストックする部分とを有する溶解装置で溶解し、ストック部から補充する方法、特開平5−119454号公報、同6−19102号公報、同7−261357号公報に記載されているような自動現像機の循環系に処理剤を投入して溶解・補充する方法、溶解槽を内蔵する自動現像機でハロゲン化銀写真感光材料の処理に応じて処理剤を投入し溶解する方法などがあるが、このほかの公知のいずれの方法を用いることもできる。また処理剤の投入は、人手で行ってもよいし、特開平9−138495号公報に記載されているような開封機構を有する溶解装置や自動現像機で自動開封、自動投入してもよく、作業環境の点からは後者が好ましい。具体的には取り出し口を突き破る方法、はがす方法、切り取る方法、押し切る方法や、特開平6−19102号公報、同6−95331号公報に記載の方法などがある。
【0136】
現像、定着処理が済んだハロゲン化銀写真感光材料は、ついで水洗または安定化処理される(以下特に断らない限り、安定化処理を含めて水洗といい、これらに使用する液を、水または水洗水という)。水洗に使用される水は、水道水でもイオン交換水でも蒸留水でも安定化液でもよい。これらの補充量は、一般的にはハロゲン化銀写真感光材料1m2あたり約8L〜約17Lであるが、それ以下の補充量で行うこともできる。特に3L以下の補充量(0も含む。すなわち、ため水水洗)では、節水処理が可能となるのみならず、自動現像機設置の配管を不要とすることもできる。水洗を低補充量で行う場合は、特開昭63−18350号公報、同62−287252号公報等に記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減や、水垢防止のために種々の酸化剤(例えばオゾン、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、活性ハロゲン、二酸化塩素、炭酸ナトリウム過酸化水素塩など)添加やフィルター濾過を組み合わせてもよい。
【0137】
水洗の補充量を少なくする方法として、古くより多段向流方式(例えば2段、3段等)が知られており、水洗補充量はハロゲン化銀写真感光材料1m2あたり50〜200mlが好ましい。この効果は、独立多段方式(向流にせず、多段の水洗槽に個別に新液を補充する方法)でも同様に得られる。
【0138】
さらに、本発明の方法で水洗工程に水垢防止手段を施してもよい。水垢防止手段としては公知のものを使用することができ、特に限定はしないが、防ばい剤(いわゆる水垢防止剤)を添加する方法、通電する方法、紫外線または赤外線や遠赤外線を照射する方法、磁場をかける方法、超音波処理する方法、熱をかける方法、未使用時にタンクを空にする方法などがある。これらの水垢防止手段は、ハロゲン化銀写真感光材料の処理に応じてなされてもよいし、使用状況に関係なく一定間隔で行われてもよいし、夜間など処理の行われない期間のみ施してもよい。またあらかじめ水洗水に施しておいて、これを補充してもよい。さらには、一定期間ごとに異なる水垢防止手段を行うことも、耐性菌の発生を抑える上では好ましい。
節水水垢防止装置としては、富士フイルム社製装置AC−1000と水垢防止剤として富士フイルム社製AB−5を用いてもよく特開平11−231485号公報の方法を用いてもよい。
防ばい剤としては特に限定はなく公知のものが使用できる。前述の酸化剤の他例えばグルタルアルデヒド、アミノポリカルボン酸等のキレート剤、カチオン性界面活性剤、メルカプトピリジンオキシド(例えば2−メルカプトピリジン−N−オキシドなど)などがあり、単独使用でも複数の併用でもよい。
通電する方法としては、特開平3−224685号公報、同3−224687号公報、同4−16280号公報、同4−18980号公報などに記載の方法が使用できる。
【0139】
このほか、水泡ムラ防止や汚れ転写防止のために、公知の水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。また、ハロゲン化銀写真感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号公報に記載の色素吸着剤を水洗系に設置してもよい。
【0140】
水洗工程からのオーバーフロー液の一部または全部は、特開昭60−235133号公報に記載されているように、定着能を有する処理液に混合利用することもできる。また微生物処理(例えば硫黄酸化菌、活性汚泥処理や微生物を活性炭やセラミック等の多孔質担体に担持させたフィルターによる処理等)や、通電や酸化剤による酸化処理をして、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、沃素消費量等を低減してから排水したり、銀と親和性のあるポリマーを用いたフィルターやトリメルカプトトリアジン等の難溶性銀錯体を形成する化合物を添加して銀を沈降させてフィルター濾過するなどし、排水中の銀濃度を低下させることも、自然環境保全の観点から好ましい。
【0141】
また、水洗処理に続いて安定化処理する場合もあり、その例として特開平2−201357号公報、同2−132435号公報、同1−102553号公報、特開昭46−44446号公報に記載の化合物を含有した浴をハロゲン化銀写真感光材料の最終浴として使用してもよい。この安定浴にも必要に応じてアンモニウム化合物、Bi、Al等の金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防ばい剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。
【0142】
水洗、安定化浴に添加する防ばい剤等の添加剤および安定化剤は、前述の現像、定着処理剤同様に固形剤とすることもできる。
【0143】
本発明に使用する現像液、定着液、水洗水、安定化液の廃液は焼却処分することが好ましい。また、これらの廃液は例えば特公平7−83867号公報、米国特許第5,439,560明細書等に記載されているような濃縮装置で濃縮液化または固化させてから処分することも可能である。
【0144】
処理剤の補充量を低減する場合には、処理槽の開口面積を小さくして液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。ローラー搬送型の自動現像機については米国特許第3,025,779明細書、同第3,545,971明細書などに記載されており、本明細書においては単にローラー搬送型自動現像機として言及する。この自現機は現像、定着、水洗および乾燥の四工程からなっており、本発明の方法も、他の工程(例えば停止工程)を除外しないが、この四工程を踏襲するのが最も好ましい。さらに、現像定着間および/または定着水洗間にリンス浴、水洗槽や洗浄槽を設けてもよい。
【0145】
本発明の現像処理では、処理開始から乾燥後まで(dry to dry)で25〜160秒が好ましく、現像および定着時間が40秒以下、好ましくは6〜35秒、各液の温度は25〜50℃が好ましく、30〜40℃が好ましい。水洗の温度および時間は0〜50℃で40秒以下が好ましい。本発明の方法によれば、現像、定着および水洗されたハロゲン化銀写真感光材料は水洗水を絞りきる、すなわちスクイズローラーを経て乾燥してもよい。乾燥は約40〜約100℃で行われ、乾燥時間は周囲の状態によって適宜変えられる。乾燥方法は公知のいずれの方法も用いることができ特に限定はないが、温風乾燥や、特開平4−15534号公報、同5−2256号公報、同5−289294号公報に開示されているようなヒートローラー乾燥、遠赤外線による乾燥などがあり、複数の方法を併用してもよい。
【0146】
【実施例】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0147】
<実施例1>
本実施例において、本発明の条件を満たすハロゲン化銀写真感光材料(試料2〜9、11)と比較例のハロゲン化銀写真感光材料(試料1および10)を作製して、評価した。まず、これらのハロゲン化銀写真感光材料を作製するために用いた乳剤と非感光性ハロゲン化銀粒子の調製を説明した後に、ハロゲン化銀写真感光材料の作製とその評価について記載する。
【0148】
《乳剤Aの調製》
1液
水 750ml
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
【0149】
2液
水 300ml
硝酸銀 150g
【0150】
3液
水 300ml
塩化ナトリウム 22g
臭化カリウム 58g
K3IrCl6(0.005%、KClの20%水溶液) 表1に示す量
(NH4)3[RhCl5(H2O)]
(0.001%、NaClの20%水溶液) 表1に示す量
【0151】
3液に用いるK3IrCl6(0.005%)、(NH4)3[RhCl5(H2O)](0.001%)は、粉末をそれぞれKClの20%水溶液、NaClの20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0152】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.21μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、粒子を0.23μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
【0153】
4液
水 100ml
硝酸銀 50g
【0154】
5液
水 100ml
塩化ナトリウム 8.6g
臭化カリウム 19.3g
K4[Fe(CN)6]・3H2O(黄血塩) 表1に示す量
【0155】
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、下記に示すアニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.2±0.2の範囲であった)。次に上澄み液を約3L除去した(第一水洗)。さらに3Lの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3L除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返して(第三水洗)水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン45gを加え、pH5.6、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム5水和物15mgと塩化金酸4mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン100mgと防腐剤(ICI(株)製、プロキセル)100mgを加えた。最終的に臭化銀を55mol%、沃化銀を0.08mol%含む平均粒子サイズ0.24μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た(最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.2〜1.25x103kg/m3、粘度=50mPa・sとなった)。
【0156】
【化28】
【0157】
《乳剤Bの調製》
1液
水 750ml
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 1g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
【0158】
2液
水 300ml
硝酸銀 150g
【0159】
3液
水 300ml
塩化ナトリウム 22g
臭化カリウム 58g
K3IrCl6(0.005%、KClの20%水溶液) 表1に示す量
(NH4)3[RhCl5(H2O)]
(0.001%、NaClの20%水溶液) 表1に示す量
【0160】
3液に用いるK3IrCl6(0.005%)、(NH4)3[RhCl5(H2O)](0.001%)は、粉末をそれぞれKClの20%水溶液、NaClの20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0161】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.17μmの核粒子を形成した。その後、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン500mgを加え、続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、粒子を0.185μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
【0162】
4液
水 100ml
硝酸銀 50g
【0163】
5液
水 100ml
塩化ナトリウム 8.6g
臭化カリウム 19.3g
K4[Fe(CN)6]・3H2O(黄血塩) 表1に示す量
【0164】
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、アニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.2±0.2の範囲であった)。次に上澄み液を約3L除去した(第一水洗)。さらに3Lの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3L除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返し(第三水洗)て水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン45gを加え、pH5.6、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、トリフェニルホスフィンセレニド2mg、塩化金酸4mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤(ICI(株)製、プロキセル)100mgを加えた。
最終的に臭化銀を55mol%、沃化銀を0.08mol%含む平均粒子サイズ0.19μm、変動係数10%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た(最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.2x103kg/m3、粘度=50mPa・sとなった)。
【0165】
《乳剤C〜Hの調製》
乳剤Aに対し、粒子サイズ、ドープする重金属の種類、添加量を表1に示す通り変更する以外は乳剤Aと同様に調整した。なお、ハロゲン組成の調整は、3液および5液に用いる塩化ナトリウムと臭化カリウムの添加量を変更することにより行い、粒子サイズの調整は1液の塩化ナトリウムの添加量と調整温度を変更することにより行った。
【0166】
《非感光性ハロゲン化銀粒子の調製》
1液
水 1L
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 3.0g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 8mg
【0167】
2液
水 400ml
硝酸銀 100g
【0168】
3液
水 400ml
塩化ナトリウム 13.5g
臭化カリウム 45.0g
(NH4)3[RhCl5(H2O)](0.001%、
NaClの20%水溶液) 5x10−5mol/Agmol
【0169】
70℃、pH4.5に保たれた1液と2液と3液を攪拌しながら同時に15分間にわたって加え、核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を15分間にわたって加えた。さらにヨウ化カリウム0.15gを加え粒子形成を終了した。
【0170】
その後常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、アニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.2±0.2の範囲であった)。次に上澄み液を約3L除去した(第一水洗)。さらに3Lの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3L除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返し(第三水洗)て水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン45gを加え、pH5.7、pAgを7.5に調整し、防腐剤として、フェノキシエタノールを加え、最終的に平均塩化銀を30mol%、沃化銀を0.08mol%含む、平均粒子サイズ0.45μm、変動係数10%の未後熟ヨウ塩臭化銀立方体乳粒子の分散物を得た(最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.3〜1.35x103kg/m3、粘度=50mPa・sとなった)。
【0171】
《塗布液の作製》
本実施例で調製するハロゲン化銀写真感光材料は、下記に示す両面が塩化ビニリデンを含む防湿層下塗りからなるポリエチレンテレフタレートフィルム支持体の一面に、UL層/乳剤層/保護層下層/保護層上層を形成し、その反対面に導電層/バック層を形成した構造を有する。
以下に各層を形成するために用いた塗布液の組成を示す。
【0172】
UL層塗布液
ゼラチン 0.5g/m2
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
化合物(Cpd−7) 40mg/m2
化合物(Cpd−14) 10mg/m2
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 1.5mg/m2
【0173】
乳剤層塗布液
乳剤(表2に示す種類) 表2に示す通り添加
増感色素(SD−1) 5.7×10−4mol/Agmol
KBr 3.4×10−4mol/Agmol
化合物(Cpd−1) 2.0×10−4mol/Agmol
化合物(Cpd−2) 2.0×10−4mol/Agmol
化合物(Cpd−3) 8.0×10−4mol/Agmol
4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン
1.2×10−4mol/Agmol
ハイドロキノン 1.2×10−2mol/Agmol
クエン酸 3.0×10−4mol/Agmol
ヒドラジン化合物(表2に示す化合物) 表2に示す添加量
造核促進剤(Cpd−5) 5.0×10−4mol/Agmol
5−メチルベンゾトリアゾール 27mg/m2
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−
1,3,5−トリアジンナトリウム塩 90mg/m2
水性ラテックス(Cpd−6) 100mg/m2
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
コロイダルシリカ(粒子サイズ10μm) ゼラチンに対して15質量%
化合物(Cpd−7) ゼラチンに対して4質量%
メチルアクリレートと2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩と
2−アセトキシエチルメタクリレートのラテックス共重合体
(重量比88:5:7) 150mg/m2
コアシェル型ラテックス
(コア:スチレン/ブタジエン共重合体(重量比37/63)、
シェル:スチレン/2−アセトキシエチルアクリレート
(重量比84/16)、コア/シェル比=50/50) 150mg/m2
クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。
【0174】
【化29】
【0175】
このようにして調製した乳剤層塗布液を下記支持体上に表2に示す銀量、ゼラチン量になるように塗布した。
【0176】
保護層下層塗布液
ゼラチン 0.5g/m2
非感光性ハロゲン化銀粒子 銀量として0.1g/m2
化合物(Cpd−12) 15mg/m2
1,5−ジヒドロキシ−2−ベンズアルドキシム 10mg/m2
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
化合物(Cpd−13) 3mg/m2
化合物(Cpd−20) 5mg/m2
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 1.5mg/m2
【0177】
保護層上層塗布液
ゼラチン 0.3g/m2
平均粒子サイズ3.5μmの不定形シリカマット剤 25mg/m2
化合物(Cpd−8)(ゼラチン分散物) 20mg/m2
粒子サイズ10〜20μmのコロイダルシリカ
(日産化学製、スノーテックスC) 30mg/m2
化合物(Cpd−9) 50mg/m2
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2
化合物(Cpd−10) 20mg/m2
化合物(Cpd−11) 20mg/m2
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 1mg/m2
なお、各層の塗布液には、下記増粘剤Zを加えて粘度調整した。
【0178】
【化30】
【0179】
バック層塗布液
ゼラチン 3.3g/m2
化合物(Cpd−15) 40mg/m2
化合物(Cpd−16) 20mg/m2
化合物(Cpd−17) 90mg/m2
化合物(Cpd−18) 40mg/m2
化合物(Cpd−19) 26mg/m2
1,3−ジビニルスルホニル−2−プロパノール 60mg/m2
ポリメチルメタクリレート微粒子
(平均粒子サイズ6.5μm) 30mg/m2
流動パラフィン 78mg/m2
化合物(Cpd−7) 120mg/m2
化合物(Cpd−20) 5mg/m2
コロイダルシリカ(粒子サイズ10μm) ゼラチンに対して15質量%
硝酸カルシウム 20mg/m2
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 12mg/m2
【0180】
導電層塗布液
ゼラチン 0.1g/m2
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2
SnO2/Sb(9/1重量比、
平均粒子サイズ0.25μm) 200mg/m2
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 0.3mg/m2
【0181】
【化31】
【0182】
《支持体》
二軸延伸したポリエチレンテレフタレート支持体(厚み100μm)の両面に下記組成の下塗層第1層塗布液および下塗層第2層塗布液を塗布した。
【0183】
下塗層1層塗布液
コア−シェル型塩化ビニリデン共重合体▲1▼ 15g
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 0.25g
ポリスチレン微粒子(平均粒子サイズ3μm) 0.05g
化合物(Cpd−21) 0.20g
コロイダルシリカ(日産化学(株)製、
スノーテックスZL、粒子サイズ70〜100μm) 0.12g
水 合計量が100gになる量
さらに、10質量%のKOHを加え、pH=6に調整した塗布液を乾燥温度180℃で2分間乾燥した後の乾燥膜厚が0.9μmになる様に塗布した。
【0184】
下塗層第2層塗布液
ゼラチン 1g
メチルセルロース 0.05g
化合物(Cpd−22) 0.02g
C12H25O(CH2CH2O)10H 0.03g
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 3.5×10−3g
酢酸 0.2g
水 合計量が100gになる量
この塗布液を乾燥温度170℃で2分間乾燥した後の乾燥膜厚が0.1μmになる様に塗布した。
【0185】
【化32】
【0186】
《支持体上への塗布方法》
上記下塗層を施した支持体上に、まず乳剤面側として支持体に近い側よりUL層、乳剤層、保護層下層、保護層上層の順に4層を、35℃に保ちながらスライドビードコーター方式により硬膜剤液を加えつつ同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた後、乳剤面とは反対側に支持体に近い側より、導電層、バック層の順に、カーテンコーター方式により硬膜剤液を加えながら同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた。各々のセットゾーンを通過した時点では、塗布液は充分なセット性を示した。引き続き乾燥ゾーンにて両面を同時に下記乾燥条件にて乾燥した。なお、バック面側を塗布した後、巻き取りまではローラー、その他には一切無接触の状態で搬送した。この時の塗布速度は200m/minであった。
【0187】
《乾燥条件》
セット後、水/ゼラチンの重量比が800%になるまで30℃の乾燥風で乾燥し、800%から200%になるまでを35℃相対湿度30%の乾燥風で乾燥させ、そのまま風を当て、表面温度34℃となった時点(乾燥終了と見なす)から30秒後に、48℃相対湿度2%の空気で1分間乾燥した。この時、乾燥時間は乾燥開始から水/ゼラチン比800%までが50秒、800%から200%までが35秒、200%から乾燥終了までが5秒であった。
【0188】
このハロゲン化銀写真感光材料を25℃相対湿度55%で巻き取り、次いで同環境下で裁断し、6時間調湿したバリアー袋に、25℃相対湿度50%で8時間調湿した後、25℃相対湿度50%で2時間調湿してある厚紙と共に密閉し、表2に示す試料1〜11を作製した。
バリアー袋内の湿度を測定したところ45%であった。また、得られた試料の乳剤層側の膜面pHは5.5〜5.8、バック側の膜面pHは6.0〜6.5であった。なお、乳剤層側およびバック層側の吸収スペクトルは図1に示す通りであった。
【0189】
≪露光および現像≫
得られた各試料を633nmにピークを有する干渉フィルターおよびステップウェッジを介して、発光時間10−6秒のキセノンフラッシュ光で露光した。
そして現像液(富士写真フイルム(株)製、ND−1)と定着液(富士写真フイルム(株)製、NF−1)を使用し、自動現像機(富士写真フイルム(株)製、FG−680AG)を用い、35℃30秒の現像条件で処理した。
【0190】
《評価》
各試料について、感度、階調(ガンマー)、実技濃度、保存安定性を以下の方法で測定した。
(感度)
感度は、カブリ+1.5の濃度を与える露光量の逆数で表し、試料1の値を100とする相対感度として示した。値が大きい方が高感度であることを意味する。
【0191】
(ガンマー)
光学濃度(y軸)と常用対数露光量(x軸)で表される単位長の等しい直交座標軸上に示される特性曲線を作製し、光学濃度0.3と3.0との2点を結ぶ直線を引いてその勾配をガンマーとした。
【0192】
(実技濃度)
イメージセッター(富士写真フイルム(株)製、RC5600V)を使用して175線/インチで光量を変えながらテストステップを出力し、前記の処理条件で現像処理を行い、中間網点が50%になるLV値で露光した際のDmax部を測定し、実技濃度とした。なお、網%および実技濃度は濃度計(Macbeth TD904)を用いて測定した。
【0193】
(ハロゲン化銀写真感光材料の保存安定性)
表2に示す通り作製された各試料を、保存性の強制テストとして45℃相対湿度75%の条件下で3日保管した後、センシトメトリーの評価を行い、感度S1.5(サーモ)を求めた。強制テストを施していない試料の感度(S1.5(Fr))との感度変動(ΔS1.5)を下式に基づいて計算しパーセンテージで示した。
【0194】
【数1】
【0195】
感度変動(ΔS1.5)の値は、感度が上昇した場合は正の値を、逆に感度が低下した場合は負の値となる。数値は小さい方が望ましく、絶対値として25%以内であることが実用上必要であり、10%以内であることがより好ましい。
【0196】
これらの評価結果を表2にまとめて示す。表2より、本発明の条件を満たす試料は、高照度での感度、実技濃度が高く、また保存性に優れていることがわかる。
【0197】
【表1】
【0198】
【表2】
【0199】
<実施例2>
実施例1における乳剤AおよびC〜Hの化学増感に使用されているチオ硫酸ナトリウムの代りに四置換チオ尿素化合物であるカルボキシメチルトリメチルチオ尿素化合物、または、ジカルボキシメチルジメチルチオ尿素化合物をチオ硫酸ナトリウムと等モル添加した以外は同様に試料を作製したところ、実施例1と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0200】
<実施例3>
実施例1、2と同様の実験を現像液(コダックポリクロームグラフィックス(株)製、RA2000)および定着液(コダックポリクロームグラフィックス(株)製、RA3000)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0201】
<実施例4>
実施例1、2と同様の実験を現像液(アグファゲバルト(株)製、G101C)および定着液(アグファゲバルト(株)製、G333)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0202】
<実施例5>
実施例1、2と同様の実験を固形現像液(コニカ(株)製、タイプ681)と定着液(コニカ(株)製、タイプ881)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0203】
<実施例6>
実施例1、2と同様の実験を固形現像液(富士写真フイルム(株)製、QR−D1 PD)と定着液(富士写真フイルム(株)製、UR−F1 PD)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0204】
<実施例7>
実施例1、2と同様の実験を現像液(富士写真フイルム(株)製、QR−D1)と定着液(富士写真フイルム(株)製、SR−F1)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0205】
<実施例8>
実施例1、2と同様の実験を固形現像液(コニカ(株)製、681Z)と定着液(コニカ(株)製、881Z)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0206】
<実施例9>
実施例1、2と同様の実験を固形現像液(コニカ(株)製、731G)と定着液(コニカ(株)製、921G)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0207】
<実施例10>
実施例1、2と同様の実験を現像液(富士ハント(株)製、NT−590)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0208】
<実施例11>
実施例1、2の富士写真フイルム(株)製現像液ND−1で、1日あたり20%黒化の富士写真フイルム(株)製スキャナフィルムHLを大全サイズ(50.8cm×61cm)あたり使用液を50ml補充しながら大全サイズを20枚処理し、これを1週間に6日稼動でランニングを15週間連続して行った。このようにして小量のフィルムを処理することによって亜硫酸濃度が3分の1に減少した現像液が得られた。
実施例1、2の富士写真フイルム(株)製現像液ND−1で、1日あたり80%黒化の富士写真フイルム(株)製スキャナフィルムHLを、大全サイズ(50.8cm×61cm)あたり使用液を50ml補充しながら大全サイズを300枚処理し、これを4日間連続して行った。このようにして大量のフィルムを処理することによってpHが10.2に低下し臭素イオン濃度が増加した現像液が得られた。
【0209】
上記のような疲労現像液、あるいは疲労途中段階の現像液を用いて実施例1、2と同様の実験を行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成のハロゲン化銀写真感光材料が良好な性能を示した。
【0210】
<実施例12>
実施例1〜11において現像温度38℃、定着温度37℃、現像時間20秒に設定して処理を行ったところ、実施例1〜11と同様の結果となり、本発明の効果は失われることはなかった。
【0211】
<実施例13>
実施例1〜12において自動現像機として富士写真フイルム(株)製FG−680ASを用い、ハロゲン化銀写真感光材料の搬送速度を線速1500mm/分に設定して同様の処理をしても、同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0212】
<実施例14>
富士写真フイルム(株)製のラックスセッターRC−5600Vを使用するかわりに、大日本スクリーン(株)製のイメージセッターFT−R5055、アグファゲバルト(株)製のセレクトセット5000、アバントラ25、もしくはアキュセット1000、サイテックス(株)製のドレブ450、もしくはドレブ800、ハイデル(株)製のライノ630、クエーサー、ハーキュレスエリート、もしくはシグナセッター、富士写真フイルム(株)製のラックスセッターラクセルF−9000、F−6000またはプレプレス(株)製のパンサープロ62のいずれか1機種を用いて同様の評価を行ったところ、本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0213】
【発明の効果】
本発明によれば、高照度での感度と実技濃度が高く、保存安定性に優れており、硬調なハロゲン化銀写真感光材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係るハロゲン化銀写真感光材料について、乳剤層側およびバック層側の吸収スペクトルを示したものである。
【符号の説明】
縦軸は吸光度(0.1間隔)を示し、横軸は350nm〜900nmまでの波長を示す。実線は乳剤層側の吸収スペクトルを示し、破線はバック層側の吸収スペクトルを示す。
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀写真感光材料、特に写真製版工程に用いられるハロゲン化銀感光材料に適した超硬調ネガ型写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グラフィックアーツ分野の写真製版工程では、連続調の写真画像を、画像の濃淡を網点面積の大小によって表現するいわゆる網点画像に変換して、これに文字や線画を撮影した画像と組み合わせて印刷原版を作る方法が行われている。このような用途に用いられるハロゲン化銀感光材料には、文字、線画、網点画像の再現性を良好にするために、画像部と非画像部を明瞭に区別しうる超硬調な写真特性を有することが求められてきた。
【0003】
このような要望に応えるシステムとして、塩臭化銀からなるハロゲン化銀感光材料を、亜硫酸イオンの有効濃度をきわめて低くしたハイドロキノン現像液で処理することにより、高コントラストを有する画像を形成する、いわゆるリス現像方式が知られている。しかし、この方式では現像液中の亜硫酸イオン濃度が低いため、現像液が空気酸化に対してきわめて不安定であり、液活性を安定に保つために現像液を多量に補充しなければならなかった。
【0004】
リス現像方式の画像形成の不安定性を解消し、良好な保存安定性を有する現像液で処理することによって超硬調な写真特性を得る画像形成システムとして、例えば、米国特許第4,166,742号明細書、同第4,168,977号明細書、同第4,221,857号明細書、同第4,224,401号明細書、同第4,243,739号明細書、同第4,269,922号明細書、同第4,272,606号明細書、同第4,311,781号明細書、同第4,332,878号明細書、同第4,618,574号明細書、同第4,634,661号明細書、同第4,681,836号明細書、同第5,650,746号明細書等が挙げられる。これらは、ヒドラジン誘導体を添加した表面潜像型のハロゲン化銀写真感光材料を、亜硫酸保恒剤を0.15mol/L以上含むpH11.0〜12.3のハイドロキノン/メトールあるいはハイドロキノン/フェニドンを現像主薬とする現像液で処理し、ガンマーが10を超える超硬調のネガ画像を形成するシステムである。この方法によれば超硬調で高感度の写真特性が得られ、現像液中に高濃度の亜硫酸塩を添加することができるので、現像液の空気酸化に対する安定性は従来のリス現像液に比べて飛躍的に向上する。
【0005】
ヒドラジン誘導体により十分に超硬調な画像を形成させるためには、pHが11以上、通常は11.5以上の現像液で処理することが必要であった。高濃度の亜硫酸保恒剤によって現像液の安定性を高めることを可能にしたとはいえ、超硬調な写真画像を得るためには上述のようなpH値の高い現像液を用いることが必要であり、保恒剤があっても現像液は空気酸化されやすく不安定なため、さらなる安定性の向上を求めてより低いpHで超硬調画像を実現する工夫が試みられてきた。
【0006】
例えば、米国特許第4,269,929号明細書(特開昭61−267759号公報)、米国特許第4,737,452号明細書(特開昭60−179734号公報)、米国特許第5,104,769号明細書、同第4,798,780号明細書、特開平1−179939号公報、同1−179940号公報、米国特許第4,998,604号明細書、同第4,994,365号明細書、特開平8−272023号公報には、pH11.0未満の現像液を用いて超硬調な画像を得るために、高活性なヒドラジン誘導体および造核促進剤を用いる方法が開示されている。
このような画像形成システムに用いられるハロゲン化銀写真感光材料は高活性な化合物を内蔵するため、保存中に感度が変動したり、カブリが上昇したりする等の保存安定性の問題を抱えている。これらの問題の多くは乳剤感度が高いことに起因しており、保存安定性の優れた高感化技術の開発が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来技術の問題点を考慮して、本発明は、硬調であり、かつ、保存安定性の良いハロゲン化銀写真感光材料を提供することを目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、下記の構成を有する本発明によって上記目的を達成しうることを見出した。
(1)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤中に下記一般式Aで表されるイリジウム化合物を含有し、対数露光量(x軸)と光学濃度(y軸)の単位長の等しい直交座標軸上に示される特性曲線において、光学濃度が3.0以上で、光学濃度0.3〜3.0におけるガンマーが4.0以上である特性曲線を有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【化6】
一般式A
[IrXnL(6−n)]m
(式中、Xはハロゲンイオンまたは擬ハロゲンイオン、Lはハロゲンイオンまたは擬ハロゲンイオン以外の水を除く任意の配位子、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。)
【0009】
(2)ハロゲン化銀乳剤中に含有されるイリジウム化合物として、下記一般式Bで表されるイリジウム化合物を含有することを特徴とする(1)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【化7】
一般式B
[IrYnLI (6−n)]m
(式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIは水をのぞく無機配位子、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。)
【0010】
(3)ハロゲン化銀乳剤中に含有されるイリジウム化合物として、下記一般式Cで表されるイリジウム化合物を含有することを特徴とする(1)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【化8】
一般式C
[IrYnLII (6−n)]m
(式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIIは任意の有機配位子、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。)
【0011】
(4)ハロゲン化銀乳剤中に含有されるイリジウム化合物として、下記一般式Dで表されるイリジウム化合物を含有することを特徴とする(1)、(3)のいずれか1つに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【化9】
一般式D
[IrYnLIII (6−n)]m
(式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIIIは5員環化合物であり、環骨格中に少なくとも1の窒素原子と少なくとも1つの硫黄原子を含有し、環骨格中の炭素原子上に任意の置換基を持つ有機化合物、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。)
【0012】
(5)ハロゲン化銀乳剤中に含有されるイリジウム化合物として、下記一般式Eで表されるイリジウム化合物を含有することを特徴とする(1)、(3),(4)のいずれか1つに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【化10】
一般式E
[IrYnLIV (6−n)]m
(式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIVは5員環化合物であり、環骨格中に少なくとも2つの窒素原子と1つの硫黄原子を含有する有機化合物、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。)
【0013】
(6)ハロゲン化銀写真感光材料に含まれるハロゲン化銀が塩臭化銀または沃塩臭化銀であり、該ハロゲン化銀を構成するハロゲンの30mol%〜80mol%が塩素原子であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(7)ハロゲン化銀写真感光材料の光学濃度0.3〜3.0におけるガンマーが5.0以上である特性曲線を有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1つに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(8)ハロゲン化銀写真感光材料がヒドラジン化合物を含有することを特徴とする請求項(1)〜(7)のいずれか1つに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明のハロゲン化銀写真感光材料について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0015】
本発明でいう「ガンマー」は、光学濃度(y軸)と常用対数露光量(x軸)で表される単位長の等しい直交座標軸上に示される特性曲線において、光学濃度0.3と3.0との2点で直線を引いたときの勾配である。即ち、直線とx軸のなす角度をθとするとtanθで示される。
本発明では、特性曲線を得るために、現像液(富士写真フイルム(株)製、ND−1)と定着液(富士写真フイルム(株)製、NF−1)を用いて、ハロゲン化銀写真感光材料を35℃30秒の現像条件で自動現像機(富士写真フイルム(株)製、FG−680AG)により処理する。
【0016】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ガンマーが4.0以上、好ましくは4.0〜100、より好ましくは5.0〜30である特性曲線を有する。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、光学濃度3.0以上であり、好ましくは3.0〜6.0、より好ましくは3.5〜6.0である特性曲線を有する。
本発明で規定している特性曲線を有するハロゲン化銀写真感光材料を得る方法は多岐にわたるが、例えば、高コントラストを実現できる重金属(例えばVIII族に属する金属)を含むハロゲン化銀乳剤を用いることによりハロゲン化銀写真感光材料のガンマーを調整することができる。特に、ロジウム化合物、ルテニウム化合物などを含有するハロゲン化銀乳剤を用いることが好ましい。また、乳剤層を含む側に造核剤としてヒドラジン誘導体、あるいはアミン化合物、ホスホニウム化合物等の化合物を少なくとも1種含有させることも好ましい。
【0017】
本発明のハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子は下記一般式Aで表されるイリジウム化合物を含有する。
【0018】
【化11】
一般式A
[IrXnL(6−n)]m
式中、Xはハロゲンイオンまたは擬ハロゲンイオン、Lはハロゲンイオンまたは擬ハロゲンイオン以外の水を除く任意の配位子、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。
【0019】
Xとして好ましくはフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シアン化物イオン、イソシアン酸イオン、チオシアン酸イオン、水酸化物イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、または、アジ化物イオンであり、中でも塩化物イオン、および臭化物イオンであることが特に好ましい。Lは、無機化合物であっても有機化合物であってもよく、電荷を持っていても無電荷であってもよいが、無電荷の無機化合物または有機化合物であることが好ましい。本発明のイリジウム化合物としてより好ましくは下記一般式Bで表される化合物である。
【0020】
【化12】
一般式B
[IrYnLI (6−n)]m
式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIは水をのぞく無機配位子、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。ここでいう無機配位子とは、炭素以外の元素からなる配位子と炭素を含む簡単な配位子を意味する。炭素を含む簡単な配位子には、炭素の酸化物や金属の炭酸塩などのC−H結合を有しない炭素含有配位子が含まれる。好ましい無機配位子として、アンモニア、ホスフィン、カルボニル、イソシアネートを挙げることができる。
【0021】
また、本発明のイリジウム化合物としては下記一般式Cで表される化合物であることも好ましい。
【0022】
【化13】
一般式C
[IrYnLII (6−n)]m
式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIIは任意の有機化合物、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。
【0023】
本発明における有機化合物とは「鎖式または環式の炭化水素を母体構造とするか、またはその母体構造の一部の炭素または水素原子が他の原子または原子団によって置き換えられた化合物」を指す。但し、シアン化物イオンは、通常、無機化合物に分類されるので本発明における有機化合物には含めない。中心金属であるイリジウムに配位する有機化合物としては複素環化合物が好ましい。より好ましくは5員環化合物を配位子とする錯体であり、5員環化合物の中でも少なくとも1つの窒素原子と少なくとも1つの硫黄原子を5員環骨格の中に含有する化合物であることがさらに好ましい。これらのイリジウム化合物の中でも下記一般式Dで表される化合物であることがより好ましい。
【0024】
【化14】
一般式D
[IrYnLIII (6−n)]m
式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIIIは5員環化合物であり、環骨格中に少なくとも1の窒素原子と少なくとも1つの硫黄原子を含有し、環骨格中の炭素原子上に任意の置換基を持つ有機化合物、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。
【0025】
LIII中の置換基としては、n−プロピル基より小さな体積を持つ置換基であることが好ましい。さらに、本発明において最も好ましいイリジウム化合物は下記一般式Eで表される化合物である。
【0026】
【化15】
一般式E
[IrYnLIV (6−n)]m
式中、Yは塩化物イオンまたは臭化物イオン、LIVは5員環化合物であり、環骨格中に少なくとも2つの窒素原子と1つの硫黄原子を含有する有機化合物、nは3、4または5、mは−5から+1までの整数を表す。
【0027】
一般式E中のLIVとして好ましくはチアジアゾールを骨格とする化合物であり、化合物中の炭素原子には水素以外の置換基が結合することも好ましい。置換基として好ましくはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、メトキシカルボキシル基、アシル基、アセチル基、クロロホルミル基、メルカプト基、メチルチオ基、チオホルミル基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルファモイル基、メチルアミノ基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソシアナト基、ヒドロキシアミノ基、ヒドロキシイミノ基、カルバモイル基、ニトロソ基、ニトロ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、または、アジド基であり、より好ましくは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、クロロホルミル基、スルフィノ基、スルホ基、スルファモイル基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソシアナト基、ヒドロキシイミノ基、ニトロソ基、ニトロ基、または、アジド基である。中でも塩素原子、臭素原子、クロロホルミル基、イソシアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソシアナト基が特に好ましい。nとして好ましくは4または5、mとして好ましくは−2または−1である。
【0028】
以下に好ましい錯体の具体例を挙げるが、本発明で用いることができるイリジウム化合物はこれらに限定されるものではない。
【0029】
I−5. [IrCl5(OH)]3−
I−6. [IrCl4(OH)2]2−
I−7. [IrCl5(OH)] 2−
I−8. [IrCl4(OH)2]2−
I−9. [IrCl5(O)]4−
I−10. [IrCl4(O)2]5−
I−11. [IrCl5(O)]3−
I−12. [IrCl4(O)2]4−
I−17. [IrBr5(OH)]3−
I−18. [IrBr4(OH)2]2−
I−19. [IrBr5(OH)] 2−
I−20. [IrBr4(OH)2]2−
I−21. [IrBr5(O)]4−
I−22. [IrBr4(O)2]5−
I−23. [IrBr5(O)]3−
I−24. [IrBr4(O)2]4−
I−25. [IrCl5(OCN)]3−
I−26. [IrBr5(OCN)]3−
I−27. [IrCl5(thiazole)]2−
I−28. [IrCl4(thiazole)2]−
I−29. [IrCl3(thiazole)3]0
I−30. [IrBr5(thiazole)]2−
I−31. [IrBr4(thiazole)2]−
I−32. [IrBr3(thiazole)3]0
I−33. [IrCl5(5−methylthiazole)]2−
I−34. [IrCl4(5−methylthiazole)2]−
I−35. [IrBr5(5−methylthiazole)]2−
I−36. [IrBr4(5−methylthiazole)2]−
I−37. [IrCl5(5−chlorothiadizole)]2−
I−38. [IrCl4(5−chlorothiadizole)2]−
I−39. [IrBr5(5−chlorothiadizole)]2−
I−40. [IrBr4(5−chlorothiadizole)2]−
I−41. [IrCl5(2−chloro−5−fluorothiadizole)]2−
I−42. [IrCl4(2−chloro−5−fluorothiadizole)2]−
I−43. [IrBr5(2−chloro−5−fluorothiadizole)]2−
I−44. [IrBr4(2−chloro−5−fluorothiadizole)2]−
I−45. [IrCl5(2−bromo−5−chlorothiadizole)]2−
I−46. [IrCl4(2−bromo−5−chlorothiadizole)2]−
I−47. [IrBr5(2−bromo−5−chlorothiadizole)]2−
I−48. [IrBr4(2−bromo−5−chlorothiadizole)2]−
【0030】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ハロゲン化銀乳剤中にイリジウム化合物を、ハロゲン化銀1molあたり1x10−9mol〜1x10−5mol含有することが好ましく、1x10−8mol〜1x10−6mol含有することがより好ましい。
【0031】
ハロゲン化銀乳剤中にイリジウム化合物を含有させる方法は特に制限されない。イリジウム化合物は、通常は水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、イリジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性イリジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめイリジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0032】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤用のハロゲン化銀には、特に制限はない。塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀を用いることができる。中でも、塩臭化銀、沃塩臭化銀であって、これらを構成するハロゲン原子の30mol%〜80mol%が塩素原子であるものを好ましく用いることができる。ハロゲン化銀粒子の形状は、立方体、十四面体、八面体、不定型、板状いずれでもよいが、立方体が好ましい。ハロゲン化銀の平均粒子サイズは0.05μm〜0.7μmが好ましいが、より好ましくは0.05〜0.5μmである。また、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数は15%以下であることが好ましく、10%以下の粒子サイズ分布の狭いものがより好ましい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部あるいは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
【0033】
本発明に用いられる写真乳剤は、P. Glafkides 著 Chimie et Physique Photographique (Paul Montel社刊、1967年)、G. F. Dufin著 Photographic Emulsion Chemistry (The Forcal Press刊、1966年)、V. L. Zelikman et al著 Making and Coating Photographic Emulsion (The Forcal Press刊、1964年) などに記載された方法を用いて調製することができる。
すなわち、酸性法、中性法等のいずれでもよく、また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを用いてもよい。粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。
【0034】
同時混合法の1つの形式としてハロゲン化銀が生成する液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることが好ましい。ハロゲン化銀溶剤としてより好ましいのは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号公報、同55−77737号公報に記載されている。好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンである。ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり10−5〜10−2molが好ましい。
【0035】
コントロールド・ダブルジェット法およびハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤を作るのに有用な手段である。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号公報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を超えない範囲において早く成長させることが好ましい。
【0036】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、VIII族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラストおよび低カブリを達成するために、ロジウム化合物、ルテニウム化合物などを含有することが好ましい。また、高感度化のためには、K4[Fe(CN)6]やK4[Ru(CN)6]、K3[Cr(CN)6]のような六シアノ化金属錯体でドープすることが好ましい。
【0037】
本発明に用いられるロジウム化合物として、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト、アコ等を持つもの、例えば、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられる。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0038】
本発明に用いられるレニウム、ルテニウム、オスミニウムは特開昭63−2042号公報、特開平1−285941号公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML6〕n−
ここでMはRu、Re、またはOsを表し、Lは配位子、nは0、1、2、3または4を表す。この場合、対イオンは重要性を持たず、アンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる錯体の具体例を示すが、本発明で用いることができる錯体はこれらに限定されるものではない。
【0039】
〔ReCl6〕3− 〔ReBr6〕3−
〔ReCl5(NO)〕2− 〔Re(NS)Br5〕2−
〔Re(NO)(CN)5〕2− 〔Re(O)2(CN)4〕3−
〔RuCl6〕3− 〔RuCl4(H2O)2〕1−
〔RuCl5(NO)〕2− 〔RuBr5(NS)〕2−
〔Ru(CO)3Cl3〕2− 〔Ru(CO)Cl5〕2−
〔Ru(CO)Br5〕2− 〔OsCl6〕3−
〔OsCl5(NO)〕2− 〔Os(NO)(CN)5〕2−
〔Os(NS)Br5〕2− 〔Os(CN)6〕4−
〔Os(O)2(CN)4〕4−
【0040】
これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1mol当り 1×10−9mol〜1×10−5molの範囲が好ましく、特に好ましくは1×10−8mol〜1×10−6molである。
本発明に用いられる鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
【0041】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は化学増感されることが好ましい。化学増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、貴金属増感法などの知られている方法を用いることができ、単独または組み合わせて用いられる。組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
【0042】
本発明に用いられる硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。チオ尿素化合物としては米国特許第4,810,626号明細書に記載の特定四置換チオ尿素化合物が特に好ましい。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲン化銀1mol当り10−7〜10−2molであり、より好ましくは10−5〜10−3molである。
【0043】
本発明に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号公報、同43−13489号公報、特開平4−109240号公報、同4−324855号公報等に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(VIII) および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0044】
本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−313284号公報に記載の方法で試験することができる。
具体的には、米国特許第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635(1980),ibid 1102(1979),ibid 645(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.) 1,2191(1980)、S.パタイ(S.Patai) 編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Serenium and Tellunium Compounds),Vol 1(1986)、同 Vol 2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(II)(III)(IV) で示される化合物が好ましい。
【0045】
本発明で用いられるセレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1mol当たり10−8〜10−2mol、好ましくは10−7〜10−3mol程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
本発明に用いられる貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられるが、特に金増感が好ましい。本発明に用いられる金増感剤としては具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金などが挙げられ、ハロゲン化銀1mol当たり10−7〜10−2mol程度を用いることができる。
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
【0046】
本発明においては、還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物などを用いることができる。
本発明のハロゲン化銀乳剤は、欧州特許公開EP第293,917号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明に用いられるハロゲン化銀写真感光材料中のハロゲン化銀乳剤は、1種だけでもよいし、2種以上併用する場合には、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの、感度の異なるものを併用することが好ましい。中でも高コントラストを得るためには、特開平6−324426号公報に記載されているように、支持体に近いほど高感度な乳剤を塗布することが好ましい。
【0047】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、造核剤としてヒドラジン化合物を含有することが好ましい。特に、下記一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体を少なくとも1種含有することが好ましい。
【0048】
一般式(D)
【化16】
【0049】
式中、R20は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表し、R10は水素原子またはブロック基を表し、G10は−CO−,−COCO−,−C(=S)−,−SO2−,−SO−,−PO(R30)−基(R30はR10に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R10と異なっていてもよい。),またはイミノメチレン基を表す。A10、A20はともに水素原子、あるいは一方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。
【0050】
一般式(D)において、R20で表される脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換の、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。
一般式(D)において、R20で表される芳香族基は単環もしくは縮合環のアリール基で、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。R20で表されるヘテロ環基としては、単環または縮合環の、飽和もしくは不飽和の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基で、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンズイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピペリジン環、トリアジン環等が挙げられる。
R20として好ましいものはアリール基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0051】
R20が示す基は置換されていてもよく、代表的な置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロロ原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、N−置換の含窒素ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イソチオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。
これら置換基は、これらの置換基でさらに置換されていてもよい。
【0052】
R20が有していてもよい置換基として好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基(活性メチレン基を含む)、アラルキル基、ヘテロ環基、置換アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その塩を含む)、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0053】
一般式(D)において、R10は水素原子またはブロック基を表すが、ブロック基とは具体的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基を表す。
【0054】
R10で表されるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基,2−カルボキシテトラフルオロエチル基,ピリジニオメチル基、ジフルオロメトキシメチル基、ジフルオロカルボキシメチル基、3−ヒドロキシプロピル基、メタンスルホンアミドメチル基、ベンゼンスルホンアミドメチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、フェニルスルホニルメチル基、o−ヒドロキシベンジル基などが挙げられる。アルケニル基として好ましくは炭素数1から10のアルケニル基であり、例えばビニル基、2,2−ジシアノビニル基、2−エトキシカルボニルビニル基、2−トリフルオロ−2−メトキシカルボニルビニル基等が挙げられる。アルキニル基として好ましくは炭素数1から10のアルキニル基であり、例えばエチニル基、2−メトキシカルボニルエチニル基等が挙げられる。アリール基としては単環もしくは縮合環のアリール基が好ましく、ベンゼン環を含むものが特に好ましい。例えばフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−メタンスルホンアミドフェニル基、2−カルバモイルフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基などが挙げられる。ヘテロ環基として好ましくは、少なくとも1つの窒素、酸素、および硫黄原子を含む5〜6員の、飽和もしくは不飽和の、単環もしくは縮合環のヘテロ環基で、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基であってもよく、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基(N−置換)、ピペラジノ基、イミダゾリル基、インダゾリル基(4−ニトロインダゾリル基等)、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリジニオ基(N−メチル−3−ピリジニオ基等)、キノリニオ基、キノリル基などがある。モルホリノ基、ピペリジノ基、ピリジル基、ピリジニオ基等が特に好ましい。
【0055】
アルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としてはフェノキシ基が好ましく、アミノ基としては無置換アミノ基、および炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基(4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む)が好ましい。アミノ基の例としては、2、2、6、6−テトラメチルピペリジン−4−イルアミノ基、プロピルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、アニリノ基,o−ヒドロキシアニリノ基、5−ベンゾトリアゾリルアミノ基、N−ベンジル−3−ピリジニオアミノ基等が挙げられる。ヒドラジノ基としては置換もしくは無置換のヒドラジノ基、または置換もしくは無置換のフェニルヒドラジノ基(4−ベンゼンスルホンアミドフェニルヒドラジノ基など)が特に好ましい。
【0056】
R10で表される基は置換されていても良く、好ましい置換基としてはR20の置換基として例示したものがあてはまる。
【0057】
一般式(D)においてR10はG10−R10の部分を残余分子から分裂させ、−G10−R10部分の原子を含む環式構造を生成させる環化反応を生起するようなものであってもよく、その例としては、例えば特開昭63−29751号公報などに記載のものが挙げられる。
【0058】
一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよい。かかる吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,108号明細書、同4,459,347号明細書、特開昭59−195233号公報、同59−200231号公報、同59−201045号公報、同59−201046号公報、同59−201047号公報、同59−201048号公報、同59−201049号公報、特開昭61−170733号公報、同61−270744号公報、同62−948号公報、同63−234244号公報、同63−234245号公報、同63−234246号公報に記載された基があげられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平2−285344号公報に記載された基が挙げられる。
【0059】
一般式(D)のR10またはR20はその中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれているものでもよい。本発明においてバラスト基とは、6以上の炭素数を有する、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(またはアルキレン基)、アルコキシ基(またはアルキレンオキシ基)、アルキルアミノ基(またはアルキレンアミノ基)、アルキルチオ基、あるいはこれらを部分構造として有する基を表し、さらに好ましくは炭素数7以上で炭素数24以下の、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(またはアルキレン基)、アルコキシ基(またはアルキレンオキシ基)、アルキルアミノ基(またはアルキレンアミノ基)、アルキルチオ基、あるいはこれらを部分構造として有する基を表す。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号公報に記載のものが挙げられる。
【0060】
一般式(D)のR10またはR20は、置換基としてヒドラジノ基を複数個含んでいてもよく、この時一般式(D)で表される化合物は、ヒドラジノ基に関しての多量体を表し、具体的には例えば特開昭64−86134号公報、特開平4−16938号公報、特開平5−197091号公報、国際公開WO95/32452号公報、国際公開WO95/32453号公報、特開平9−179229号公報、特開平9−235264号公報、特開平9−235265号公報、特開平9−235266号公報、特開平9−235267号公報等に記載された化合物が挙げられる。
【0061】
一般式(D)のR10またはR20は、その中に、カチオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含む基、4級化されたリン原子を含む基、または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、あるいは解離性基(アルカリ性の現像液で解離しうる酸性度の低いプロトンを有する基もしくは部分構造、あるいはまたその塩を意味し、具体的には、例えばカルボキシ基/−COOH、スルホ基/−SO3H、ホスホン酸基/−PO3H、リン酸基/−OPO3H、ヒドロキシ基/−OH基、メルカプト基/−SH、−SO2NH2基、N−置換のスルホンアミド基/−SO2NH−基、−CONHSO2−基、−CONHSO2NH−基、−NHCONHSO2−基、−SO2NHSO2−基、−CONHCO−基、活性メチレン基、含窒素ヘテロ環基に内在する−NH−基、またはこれらの塩等)が含まれていてもよい。これらの基が含まれる例としては、例えば特開平7−234471号公報、特開平5−333466号公報、特開平6−19032号公報、特開平6−19031号公報、特開平5−45761号公報、米国特許4994365号明細書、米国特許4988604号明細書、特開平7−259240号公報、特開平7−5610号公報、特開平7−244348号公報、独特許4006032号明細書、特開平11−7093号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0062】
一般式(D)においてA10、A20は水素原子、炭素数20以下のアルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくはフェニルスルホニル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたフェニルスルホニル基)、炭素数20以下のアシル基(好ましくはベンゾイル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたベンゾイル基、あるいは直鎖、分岐、または環状の置換もしくは無置換の脂肪族アシル基(ここに置換基としては、例えばハロゲン原子、エーテル基、スルホンアミド基、カルボンアミド基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等が挙げられる))である。A10、A20としては水素原子が最も好ましい。
【0063】
次に本発明において、特に好ましいヒドラジン誘導体について述べる。
R20は置換フェニル基が特に好ましく、置換基としてはアルキル基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)オキシ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、チオウレイド基、イソチオウレイド基、スルファモイルアミノ基、N−アシルスルファモイルアミノ基等が好ましく、アルキル基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)オキシ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基がさらに好ましく、アルキル基、スルホンアミド基が最も好ましい。
【0064】
一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体は、R20またはR10に、置換基として、直接または間接的に、バラスト基、ハロゲン化銀への吸着基、4級のアンモニオ基を含む基、4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基、エチレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、アルカリ性の現像処理液中で解離しうる解離性基、もしくは多量体を形成しうるヒドラジノ基(−NHNH−G10−R10で表される基)の少なくとも1つが置換されていることが特に好ましい。さらには、R20の置換基として、直接または間接的に、前述の何れか1つの基を有することが好ましく、最も好ましいのは、R20がアルキル基またはベンゼンスルホンアミド基で置換されたフェニル基を表し、そのベンゼンスルホンアミド基のベンゼン環上の置換基またはアルキル基上の置換基として、直接または間接的に、前述の何れか1つの基を有する場合である。
【0065】
R10で表される基のうち好ましいものは、G10が−CO−基の場合には、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、置換アリール基(置換基としては電子吸引性基またはo−ヒドロキシメチル基が特に好ましい)であり、最も好ましくは水素原子またはアルキル基である。
G10が−COCO−基の場合にはアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基が好ましく、特に置換アミノ基、詳しくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基が好ましい。
またG10が−SO2−基の場合には、R10はアルキル基、アリール基または置換アミノ基が好ましい。
【0066】
一般式(D)においてG10は好ましくは−CO−基または−COCO−基であり、特に好ましくは−CO−基である。
【0067】
次に一般式(D)で示される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明で用いることができる化合物は以下の化合物に限定されるものではない。
【0068】
【化17】
【0069】
【化18】
【0070】
【化19】
【0071】
【化20】
【0072】
【化21】
【0073】
【化22】
【0074】
【化23】
【0075】
【化24】
【0076】
【化25】
【0077】
【化26】
【0078】
【化27】
【0079】
本発明に用いられるヒドラジン誘導体としては、上記のものの他に、下記のヒドラジン誘導体も好ましく用いられる。本発明に用いられるヒドラジン誘導体はまた、下記の特許に記載された種々の方法により、合成することができる。
【0080】
特公平6−77138号公報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物。特公平6−93082号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物。特開平6−230497号公報に記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、および39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6−7。特開平6−289520号公報に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−17)および2−1)。特開平6−313936号公報に記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物。特開平6−313951号公報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物。特開平7−5610号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I−1〜I−38。特開平7−77783号公報に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102。特開平7−104426号公報に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44。特開平9−22082号公報に記載の,ヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A),一般式(B),一般式(C),一般式(D),一般式(E),一般式(F)で表される化合物で,具体的には同公報に記載の化合物N−1〜N−30。特開平9−22082号公報に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物D−1〜D−55。特開平10−232456号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物N−I〜N−XVIII、特開平11−190887号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物N−I〜N−XI、特開2001−109094号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物II〜X。この他、国際公開WO95/32452号公報、国際公開WO95/32453号公報、特開平9−179229号公報、特開平9−235264号公報、特開平9−235265号公報、特開平9−235266号公報、特開平9−235267号公報、特開平9−319019号公報、特開平9−319020号公報、特開平10−130275号公報、特開平11−7093号公報、特開平6−332096号公報、特開平7−209789号公報、特開平8−6193号公報、特開平8−248549号公報、特開平8−248550号公報、特開平8−262609号公報、特開平8−314044号公報、特開平8−328184号公報、特開平9−80667号公報、特開平9−127632号公報、特開平9−146208号公報、特開平9−160156号公報、特開平10−161260号公報、特開平10−221800号公報、特開平10−213871号公報、特開平10−254082号公報、特開平10−254088号公報、特開平7−120864号公報、特開平7−244348号公報、特開平7−333773号公報、特開平8−36232号公報、特開平8−36233号公報、特開平8−36234号公報、特開平8−36235号公報、特開平8−272022号公報、特開平9−22083号公報、特開平9−22084号公報、特開平9−54381号公報、特開平10−175946号公報、記載のヒドラジン誘導体。
【0081】
本発明においてヒドラジン系造核剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0082】
本発明においてヒドラジン系造核剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層、あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。また、2種類以上のヒドラジン系造核剤を併用して使用することもできる。
本発明において造核剤添加量はハロゲン化銀1モルに対し1×10−5〜1×10−2モルが好ましく、1×10−5〜5×10−3モルがより好ましく、2×10−5〜5×10−3モルが最も好ましい。
【0083】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料中には、造核促進剤を内蔵することができる。
本発明に用いられる造核促進剤としては、アミン誘導体、オニウム塩、ジスルフィド誘導体またはヒドロキシメチル誘導体などが挙げられる。具体的には、特開平7−77783号公報48頁2行〜37行に記載の化合物で、具体的には49頁〜58頁に記載の化合物A−1)〜A−73);特開平7−84331号公報に記載の(化21)、(化22)および(化23)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜8頁に記載の化合物;特開平7−104426号公報に記載の一般式〔Na〕および一般式〔Nb〕で表される化合物で、具体的には同公報16頁〜20頁に記載のNa−1〜Na−22の化合物およびNb−1〜Nb−12の化合物;特開平8−272023号公報に記載の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)および一般式(7)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の1−1〜1−19の化合物、2−1〜2−22の化合物、3−1〜3−36の化合物、4−1〜4−5の化合物、5−1〜5−41の化合物、6−1〜6−58の化合物、および7−1〜7−38の化合物;特開平9−297377号公報のp55、カラム108の8行〜p69、カラム136の44行までに記載の造核促進剤を挙げることができる。
【0084】
本発明においては、感光材料中に造核促進剤を内蔵することが好ましい。本発明に用いられる造核促進剤としては、アミン誘導体、オニウム塩、ジスルフィド誘導体またはヒドロキシメチル誘導体などが挙げられる。以下にその例を列挙する。特開平7−77783号公報48頁2行〜37行に記載の化合物で、具体的には49頁〜58頁に記載の化合物A−1)〜A−73)。特開平7−84331号公報に記載の(化21)、(化22)および(化23)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜8頁に記載の化合物。特開平7−104426号公報に記載の一般式〔Na〕および一般式〔Nb〕で表される化合物で、具体的には同公報16頁〜20頁に記載のNa−1〜Na−22の化合物およびNb−1〜Nb−12の化合物。特開平8−272023号公報に記載の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)および一般式(7)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の1−1〜1−19の化合物、2−1〜2−22の化合物、3−1〜3−36の化合物、4−1〜4−5の化合物、5−1〜5−41の化合物、6−1〜6−58の化合物、および7−1〜7−38の化合物。特開平9−297377号のp55,カラム108の8行〜p69,カラム136の44行までに記載の造核促進剤。
【0085】
本発明に用いられる造核促進剤としては、特開2000−105438号公報に記載の一般式(A−1)、一般式(A−2)、一般式(A−3)、および一般式(A−4)で表されるオニウム塩化合物が最も好ましく、具体的には同公報に記載のA−1〜A−42の化合物、B−1〜B−28の化合物、C−1〜C−14の化合物である。
【0086】
本発明に使用できる造核促進剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
【0087】
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、造核促進剤の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0088】
本発明に使用できる造核促進剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側のハロゲン化銀乳剤を含まない親水性コロイド層からなる非感光層に添加することが好ましく、特に該ハロゲン化銀乳剤層と支持体の間の親水性コロイド層からなる非感光層に添加することが好ましい。
本発明の造核促進剤の添加量はハロゲン化銀1molに対し1×10−6〜2×10−2molが好ましく、1×10−5〜2×10−2molがより好ましく、2×10−5〜1×10−2molが最も好ましい。また、2種類以上の造核促進剤を併用して使用することもできる。
【0089】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤は、増感色素によって比較的長波長の青色光、緑色光、赤色光または赤外光に分光増感されてもよい。さらに、特開昭55−45015号公報に記載の一般式〔I〕の化合物、および、特開平9−160185号公報に記載の一般式〔I〕の化合物が好ましく、特に、特開平9−160185号公報に記載の一般式〔I〕の化合物が好ましい。具体的には、特開昭55−45015号公報に記載の(1)〜(19)の化合物、特開平9−160185号公報に記載のI−1からI−40の化合物およびI−56からI−85の化合物などを挙げることができる。
【0090】
その他の増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。
本発明に使用されるその他の有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item18341X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
特に各種スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素も有利に選択することができる。
【0091】
例えば、A)アルゴンレーザー光源に対しては、特開昭60−162247号公報に記載の(I)−1から(I)−8の化合物、特開平2−48653号公報に記載のI−1からI−28の化合物、特開平4−330434号公報に記載のI−1からI−13の化合物、米国特許2,161,331号明細書に記載のExample1〜14の化合物、西独特許936,071号明細書記載の1〜7の化合物、B)ヘリウム−ネオンレーザー光源に対しては、特開昭54−18726号公報に記載のI−1からI−38の化合物、特開平6−75322号公報に記載のI−1からI−35の化合物および特開平7−287338号公報に記載のI−1からI−34の化合物、C)LED光源に対しては特公昭55−39818号公報に記載の色素1〜20、特開昭62−284343号公報に記載のI−1からI−37の化合物および特開平7−287338号公報に記載のI−1からI−34の化合物、D)半導体レーザー光源に対しては特開昭59−191032号公報に記載のI−1からI−12の化合物、特開昭60−80841号公報に記載のI−1からI−22の化合物、特開平4−335342号公報に記載のI−1からI−29の化合物および特開昭59−192242号公報に記載のI−1からI−18の化合物、E)製版カメラのタングステンおよびキセノン光源に対しては、上記記載の化合物の他に特開平9−160185号公報に記載のI−41からI−55の化合物およびI−86からI−97の化合物および特開平6−242547号公報に記載の4−Aから4−Sの化合物、5−Aから5−Qの化合物、6−Aから6−Tの化合物なども有利に選択することができる。
【0092】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure)176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは前述の特公昭49−25500号公報、同43−4933号公報、特開昭59−19032号公報、同59−192242号公報等に記載されている。
【0093】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
また、米国特許第3,469,987号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、該溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号公報、同44−27555号公報、同57−22091号公報等に開示されているように、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号明細書、同第4,006,025号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53−102733号公報、同58−105141号公報に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51−74624号公報に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。また、溶液に超音波を用いることもできる。
【0094】
本発明に用いる増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766号明細書、同第3,628,960号明細書、同第4,183,756号明細書、同第4,225,666号明細書、特開昭58−184142号公報、同60−196749号公報等に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号公報等に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号明細書、特開昭58−7629号公報等に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0095】
本発明において増感色素の添加量は、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズ、ハロゲン組成、化学増感の方法と程度、カブリ防止剤の種類等により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり、4×10−6〜8×10−3molで用いることができる。例えばハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀粒子の表面積1m2あたり、2×10−7〜3.5×10−6molの添加量が好ましく、6.5×10−7〜2.0×10−6molの添加量がより好ましい。
【0096】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限はなく、例えば、特開平3−39948号公報第10頁右下11行目〜同公報第12頁左下5行目に記載のポリヒドロキシベンゼン化合物(具体的には、同公報に記載の化合物(III)−1〜25の化合物);特開平1−118832号公報に記載の一般式(I)で表される実質的には可視域に吸収極大を持たない化合物(具体的には、同公報に記載の化合物I−1〜I−26の化合物);特開平2−103536号公報第17頁右下19行目〜同公報18頁右上4行目に記載のカブリ防止剤;特開平2−103536号公報第18頁左下12行目〜同頁左下20行目に記載のポリマーラテックス;特開平9−179228号公報に記載の一般式(I)で表される活性メチレン基を有するポリマーラテックス(具体的には同公報に記載の化合物I−1〜I−16);特開平9−179228号公報に記載のコア/シェル構造を有するポリマーラテックス(具体的には同公報に記載の化合物P−1〜P−55);特開平7−104413号公報第14頁左1行目〜同頁右30行目に記載の酸性ポリマーラテックス(具体的には同公報15頁に記載の化合物II−1)〜II−9));特開平2−103536号公報第19頁左上15行目〜同公報19頁右上15行目に記載のマット剤、滑り剤、可塑剤;特開平2−103536号公報第18頁右上5行目〜同頁右上17行目に記載の硬膜剤;特開平2−103536号公報第18頁右下6行目〜同公報19頁左上1行目に記載の酸基を有する化合物;特開平2−18542号公報第2頁左下13行目〜同公報第3頁右上7行目に記載の導電性物質(具体的には、同公報第2頁右下2行目〜同頁右下10行目に記載の金属酸化物、および同公報に記載の化合物P−1〜P−7の導電性高分子化合物);特開平2−103536号公報第17頁右下1行目〜同頁右上18行目に記載の水溶性染料;特開平9−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される固体分散染料(具体的には同公報記載の化合物F1〜F34、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)、特開平2−294638号公報および特開平5−11382号公報に記載の固体分散染料);特開平5ー274816号公報に記載の酸化されることにより現像抑制剤を放出しうるレドックス化合物、好ましくは同公報に記載の一般式(R−1)、一般式(R−2)、一般式(R−3)で表されるレドックス化合物(具体的には、同公報に記載の化合物R−1〜R−68の化合物);特開平2−18542号公報第3頁右下1行目〜20行目に記載のバインダーを挙げることができる。
【0097】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の乳剤層および保護層を含めた親水性コロイド層の膨潤率は80〜150%の範囲が好ましく、より好ましくは90〜140%の範囲である。親水性コロイド層の膨潤率は、ハロゲン化銀写真感光材料における乳剤層および保護層を含めた親水性コロイド層の厚み(d0)を測定し,該ハロゲン化銀写真感光材料を25℃の蒸留水に1分間浸漬し、膨潤した厚み(Δd)を測定し、膨潤率(%)=(Δd÷d0)×100の計算式によって求める。
【0098】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料のハロゲン化銀乳剤層が塗布されている側の膜面pHは6.0以下であることが好ましく、4.5〜7.5であることがより好ましく、4.8〜6.0であることがさらに好ましい。4.5未満であると乳剤層の硬膜進行が遅くなる傾向がある。
【0099】
本発明の実施に際して用いうる支持体としては、例えばバライタ紙、ポリエチレン被覆紙、ポリプロピレン合成紙、ガラス板、セルロースアセテート、セルロースナイトレート、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムを挙げることができる。これらの支持体は、それぞれハロゲン化銀写真感光材料の使用目的に応じて適宜選択される。
また、特開平7−234478号公報、および米国特許第5,558,979号明細書に記載のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる支持体も好ましく用いられる。
【0100】
以下に本発明における現像液、定着液などの処理剤および処理方法等について述べるが、言うまでもなく本発明は以下の記述および具体例に限定されるものではない。
【0101】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の現像処理には、公知の方法のいずれを用いることもできる。また、現像処理液としては公知のものを用いることができる。
【0102】
本発明に使用する現像液(以下、現像開始液および現像補充液の双方をまとめて現像液という。)に用いる現像主薬には特別な制限はないが、ジヒドロキシベンゼン類や、アスコルビン酸誘導体、ハイドロキノンモノスルホン酸塩を含むことが好ましく、単独使用でも併用でもよい。特に、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬およびこれと超加成性を示す補助現像主薬を含有することが好ましく、ジヒドロキシベンゼン類やアスコルビン酸誘導体と1−フェニル−3−ピラゾリドン類の組み合わせ、またはジヒドロキシベンゼン類やアスコルビン酸誘導体とp−アミノフェノール類の組み合わせなどを挙げることができる。
本発明に用いる現像主薬において、ジヒドロキシベンゼン現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノンなどがあるが、特にハイドロキノンが好ましい。またアスコルビン酸誘導体現像主薬としては、アスコルビン酸およびイソアスコルビン酸とそれらの塩があるが、特にエリソルビン酸ナトリウムが素材コストの点から好ましい。
【0103】
本発明に用いる1−フェニル−3−ピラゾリドンまたはその誘導体の現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4、4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンなどがある。
本発明に用いるp−アミノフェノール系現像主薬としてN−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシフェニル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、o−メトキシ−p−(N、N−ジメチルアミノ)フェノール、o−メトキシ−p−(N−メチルアミノ)フェノールなどがあるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノール、または特開平9−297377号公報および特開平9−297378号公報に記載のアミノフェノール類が好ましい。
【0104】
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は通常0.05mol/L〜0.8mol/Lの量で用いられるのが好ましい。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類の組み合わせを用いる場合には前者を0.05mol/L〜0.6mol/L、好ましくは0.10mol/L〜0.5mol/L、後者を0.06mol/L以下、好ましくは0.03mol/L〜0.003mol/Lの量で用いるのが好ましい。
【0105】
アスコルビン酸誘導体現像主薬は、通常0.01mol/L〜0.5mol/Lの量で用いられるのが好ましく、0.05mol/L〜0.3mol/Lがより好ましい。またアスコルビン酸誘導体と1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類の組み合わせを用いる場合にはアスコルビン酸誘導体を0.01mol/L〜0.5mol/L、1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類を0.005mol/L〜0.2mol/Lの量で用いるのが好ましい。
【0106】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料を処理する際の現像液には、通常用いられる添加剤(例えば現像主薬、アルカリ剤、pH緩衝剤、保恒剤、キレート剤等)を含有させることができる。以下にこれらの具体例を示すが、本発明で用いることができるものはこれらに限定されるものではない。
現像処理する際の現像液に用いられる緩衝剤としては、炭酸塩、特開昭62−186259号公報に記載のほう酸、特開昭60−93433号公報に記載の糖類(例えばサッカロース)、オキシム類(例えばアセトオキシム)、フェノール類(例えば5−スルホサリチル酸)、第3リン酸塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩)などが用いられ、好ましくは炭酸塩、ほう酸が用いられる。緩衝剤、特に炭酸塩の使用量は、好ましくは0.05mol/L以上、特に0.08〜1.0mol/Lである。
【0107】
本発明においては、現像開始液および現像補充液の双方が、該液1Lに0.1molの水酸化ナトリウムを加えたときのpH上昇が0.5以下であることが好ましい。使用する現像開始液ないし現像補充液がこの性質を有することを確かめる方法としては、試験する現像開始液ないし現像補充液のpHを10.5に合わせ、ついでこの液1Lに水酸化ナトリウムを0.1mol添加し、この時の液のpH値を測定し、pH値の上昇が0.5以下であれば上記に規定した性質を有すると判定する。本発明では特に、上記試験を行った時のpH値の上昇が0.4以下である現像開始液および現像補充液を用いることが好ましい。
【0108】
本発明に用いられる保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどがある。亜硫酸塩は好ましくは0.2mol/L以上、特に0.3mol/L以上用いられるが、あまりに多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、上限は1.2mol/Lとするのが望ましい。特に好ましくは、0.35〜0.7mol/Lである。
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩と併用して前記のアスコルビン酸誘導体を少量使用してもよい。なかでも素材コストの点からエリソルビン酸ナトリウムを用いることが好ましい。添加量はジヒドロキシベンゼン系現像主薬に対して、モル比で0.03〜0.12の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.10の範囲である。保恒剤としてアスコルビン酸誘導体を使用する場合には現像液中にホウ素化合物を含まないことが好ましい。
【0109】
上記以外に用いられる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムのような現像抑制剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドのような有機溶剤、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、イミダゾールまたはその誘導体等の現像促進剤、ヘテロ環メルカプト化合物(例えば3−(5−メルカプトテトラゾール−1−イル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールなど)、特開昭62−212651号公報に記載の化合物を物理現像ムラ防止剤として添加することもできる。
また、メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤または黒ポツ(black pepper)防止剤として含んでもよい。具体的には、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンゾイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンゾイミダゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、4−((2−メルカプト−1、3、4−チアジアゾール−2−イル)チオ)ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1、3、4−チアジアゾール−2−チオール、メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。これらの添加剤の量は、通常現像液1Lあたり0.01〜10mmolであり、より好ましくは0.1〜2mmolである。
【0110】
さらに本発明で用いられる現像液中には各種の有機、無機のキレート剤を単独または併用で用いることができる。
無機キレート剤としては例えば、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどを用いることができる。
一方、有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸および有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
有機カルボン酸としては例えば、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グルコン酸、アジピン酸、ピメリン酸、アシエライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などを挙げることができる。
【0111】
アミノポリカルボン酸としては例えば、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミンモノヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテル四酢酸、1、2−ジアミノプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1、3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、その他特開昭52−25632号公報、同55−67747号公報、同57−102624号公報、および特公昭53−40900号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0112】
有機ホスホン酸としては、例えば米国特許第3,214,454号明細書、同第3,794,591号明細書および西独特許公開第2227369号公報等に記載のヒドロキシアルキリデン−ジホスホン酸やリサーチ・ディスクロージャー第181巻、Item 18170(1979年5月号)等に記載の化合物が挙げられる。
アミノホスホン酸としては、例えばアミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられるが、その他上記リサーチ・ディスクロージャー18170、特開昭57−208554号公報、同54−61125号公報、同55−29883号公報、同56−97347号公報等に記載の化合物も挙げることができる。
【0113】
有機ホスホノカルボン酸としては、例えば特開昭52−102726号公報、同53−42730号公報、同54−121127号公報、同55−4024号公報、同55−4025号公報、同55−126241号公報、同55−65955号公報、同55−65956号公報および前述のリサーチ・ディスクロージャー18170等に記載の化合物を挙げることができる。
【0114】
これらの有機および/または無機のキレート剤は、前述のものに限定されるものではない。また、アルカリ金属塩やアンモニウム塩の形で使用してもよい。これらのキレート剤の添加量としては、現像液1Lあたり好ましくは、1×10−4〜1×10−1mol、より好ましくは1×10−3〜1×10−2molである。
【0115】
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、例えば特開昭56−24347号公報、特公昭56−46585号公報、特公昭62−2849号公報、特開平4−362942号公報、特開平8−6215号公報に記載の化合物の他、メルカプト基を1つ以上有するトリアジン(例えば特公平6−23830号公報、特開平3−282457号公報、特開平7−175178号公報に記載の化合物)、メルカプト基を1つ以上有するピリミジン(例えば2−メルカプトピリミジン、2、6−ジメルカプトピリミジン、2、4−ジメルカプトピリミジン、5、6−ジアミノ−2、4−ジメルカプトピリミジン、2、4、6−トリメルカプトピリミジン、特開平9−274289号公報記載の化合物など)、メルカプト基を1つ以上有するピリジン(例えば2−メルカプトピリジン、2、6−ジメルカプトピリジン、3、5−ジメルカプトピリジン、2、4、6−トリメルカプトピリジン、特開平7−248587号公報に記載の化合物など)、メルカプト基を1つ以上有するピラジン(例えば2−メルカプトピラジン、2、6−ジメルカプトピラジン、2、3−ジメルカプトピラジン、2、3、5−トリメルカプトピラジンなど)、メルカプト基を1つ以上有するピリダジン(例えば3−メルカプトピリダジン、3、4−ジメルカプトピリダジン、3、5−ジメルカプトピリダジン、3、4、6−トリメルカプトピリダジンなど)、特開平7−175177号公報に記載の化合物、米国特許第5,457,011号明細書に記載のポリオキシアルキルホスホン酸エステルなどを用いることができる。これらの銀汚れ防止剤は単独または複数の併用で用いることができ、添加量は現像液1Lあたり0.05〜10mmolが好ましく、0.1〜5mmolがより好ましい。
また、溶解助剤として特開昭61−267759号公報記載の化合物を用いることができる。
さらに必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。
【0116】
現像液の好ましいpHは9.0〜12.0であり、特に好ましくは9.0〜11.0、さらに好ましくは9.5〜11.0の範囲である。pH調整に用いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)を用いることができる。
【0117】
現像液のカチオンとしては、ナトリウムイオンに比べてカリウムイオンの方が現像抑制をせず、またフリンジと呼ばれる黒化部のまわりのギザギザが少ない。さらに、濃縮液として保存する場合には一般にカリウム塩のほうが溶解度が高く好ましい。しかしながら、定着液においてはカリウムイオンは銀イオンと同程度に定着阻害をすることから、現像液のカリウムイオン濃度が高いと、ハロゲン化銀写真感光材料により現像液が持ち込まれることにより定着液中のカリウムイオン濃度が高くなり、好ましくない。以上のことから現像液におけるカリウムイオンとナトリウムイオンのモル比率は20:80〜80:20の間であることが好ましい。カリウムイオンとナトリウムイオンの比率は、pH緩衝剤、pH調整剤、保恒剤、キレート剤などの対カチオンで、上記の範囲で任意に調整できる。
【0118】
現像液の補充量は、ハロゲン化銀写真感光材料1m2につき390ml以下であり、30〜325mlが好ましく、120〜250mlが最も好ましい。現像補充液は、現像開始液と同一の組成および/または濃度を有していてもよいし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していてもよい。
【0119】
本発明における定着処理剤の定着剤としては、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムアンモニウムが使用できる。定着剤の使用量は適宜変えることができるが、一般には約0.7〜約3.0mol/Lである。
【0120】
本発明における定着液は、硬膜剤として作用する水溶性アルミニウム塩、水溶性クロム塩を含んでもよく、水溶性アルミニウム塩が好ましい。それには例えば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明礬、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウムなどがある。これらは使用液におけるアルミニウムイオン濃度として、0.01〜0.15mol/Lで含まれることが好ましい。
なお、定着液を濃縮液または固形剤として保存する場合、硬膜剤などを別パートとした複数のパーツで構成してもよいし、すべての成分を含む一剤型の構成としてもよい。
【0121】
定着処理剤には所望により保恒剤(例えば亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩などを0.015mol/L以上、好ましくは0.02mol/L〜0.3mol/L)、pH緩衝剤(例えば酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸、コハク酸、アジピン酸などを0.1mol/L〜1mol/L、好ましくは0.2mol/L〜0.7mol/L)、アルミニウム安定化能や硬水軟化能のある化合物(例えばグルコン酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、安息香酸、サリチル酸、タイロン、アスコルビン酸、グルタル酸、アスパラギン酸、グリシン、システイン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸やこれらの誘導体およびこれらの塩、糖類などを0.001mol/L〜0.5mol/L、好ましくは0.005mol/L〜0.3mol/L)を含むことができが、近年の環境保護の点からホウ素系化合物は含まない方がよい。
【0122】
このほか、特開昭62−78551号公報に記載の化合物、pH調整剤(例えば水酸化ナトリウム、アンモニア、硫酸など)、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤等も含むことができる。界面活性剤としては、例えば硫酸化物スルホン酸化物などのアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6840号公報記載の両性界面活性剤が挙げられ、公知の消泡剤を使用することもできる。湿潤剤としては、アルカノールアミン、アルキレングリコール等がある。定着促進剤としては、特開平6−308681号公報に記載のアルキルおよびアリル置換されたチオスルホン酸およびその塩や、特公昭45−35754号公報、同58−122535号公報、同58−122536号公報記載のチオ尿素誘導体、分子内に3重結合を有するアルコール、米国特許第4,126,459号明細書記載のチオエーテル化合物、特開昭64−4739号公報、特開平1−4739号公報、同1−159645号公報および同3−101728号公報に記載のメルカプト化合物、同4−170539号公報に記載のメソイオン化合物、チオシアン酸塩を含むことができる。
【0123】
本発明における定着液のpHは4.0以上であることが好ましく、4.5〜6.0であることがより好ましい。定着液のpHは処理により現像液が混入して上昇するが、この場合のpHは、硬膜定着液では6.0以下であることが好ましく、5.7以下であることがより好ましく、また、無硬膜定着液においては7.0以下であることが好ましく、6.7以下であることがより好ましい。
【0124】
定着液の補充量は、ハロゲン化銀写真感光材料1m2につき500ml以下であることが好ましく、390ml以下であることがより好ましく、320〜80mlであることが特に好ましい。補充液は、開始液と同一の組成および/または濃度を有していてもよいし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していてもよい。
【0125】
定着液は電解銀回収などの公知の定着液再生方法により再生使用することができる。再生装置としては、例えば富士写真フイルム(株)製FS−2000などがある。
また、活性炭などの吸着フィルターを使用して、色素などを除去することも好ましい。
【0126】
本発明における現像および定着処理剤が液剤の場合、例えば特開昭61−73147号公報に記載されたような、酸素透過性の低い包材で保管することが好ましい。さらにこれらの液が濃縮液の場合、所定の濃度になるように、濃縮液1部に対して水0.2〜3部の割合で希釈して使用される。
【0127】
本発明における現像処理剤および定着処理剤は固形にしても液剤同様の結果が得られる。以下に固形処理剤について説明する。
本発明では、固形剤として、公知の形態(粉状、粒状、顆粒状、塊状、錠剤、コンパクター、ブリケット、板状、棒状、ペースト状など)を有するものが使用できる。これらの固形剤は、接触して互いに反応する成分を分離するために、水溶性のコーティング剤やフィルムで被覆してもよいし、複数の層構成にして互いに反応する成分を分離してもよく、これらを併用してもよい。
【0128】
被覆剤、造粒助剤としては公知のものが使用できるが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリスチレンスルホン酸、ビニル系化合物を用いることが好ましい。この他、特開平5−45805号公報カラム2の48行〜カラム3の13行目を参考にすることができる。
【0129】
複数の層構成にする場合は、接触しても反応しない成分を互いに反応する成分の間にはさんだ構成にして錠剤やブリケット等に加工してもよいし、公知の形態の成分を同様の層構成にして包装してもよい。これらの方法は、例えば特開昭61−259921号公報、同4−16841号公報、同4−78848号公報、同5−93991号公報等に示されている。
【0130】
固形処理剤の嵩密度は、0.5〜6.0g/cm3が好ましく、特に錠剤は1.0〜5.0g/cm3が好ましく、顆粒は0.5〜1.5g/cm3が好ましい。
【0131】
本発明における固形処理剤の製法は、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、特開昭61−259921号公報、特開平4−15641号公報、特開平4−16841号公報、同4−32837号公報、同4−78848号公報、同5−93991号公報、同4−85533号公報、同4−85534号公報、同4−85535号公報、同5−134362号公報、同5−197070号公報、同5−204098号公報、同5−224361号公報、同6−138604号公報、同6−138605号公報、同8−286329号公報等を参考にすることができる。
【0132】
より具体的には転動造粒法、押し出し造粒法、圧縮造粒法、解砕造粒法、撹拌造粒法、スプレードライ法、溶解凝固法、ブリケッティング法、ローラーコンパクティング法等を用いることができる。
【0133】
本発明における固形剤は、表面状態(平滑、多孔質等)や部分的に厚みを変えたり、中空状のドーナツ型にしたりして溶解性を調節することもできる。さらに、複数の造粒物に異なった溶解性を与えたり、溶解性の異なる素材の溶解度を合わせたりするために、複数の形状をとることも可能である。また、表面と内部で組成の異なる多層の造粒物でもよい。
【0134】
固形剤の包材は、酸素および水分透過性の低い材質が好ましく、包材の形状は袋状、筒状、箱状などの公知のものが使用できる。また、特開平6−242585号公報〜同6−242588号公報、同6−247432号公報、同6−247448号公報、同6−301189号公報、同7−5664号公報、同7−5666号公報〜同7−5669号公報に開示されているような折り畳み可能な形状にすることも、廃包材の保管スペース削減のためには好ましい。これらの包材は、処理剤の取り出し口にスクリューキャップや、プルトップ、アルミシールをつけたり、包材をヒートシールしてもよいが、このほかの公知のものを使用してもよく、特に限定はしない。さらに環境保全上、廃包材をリサイクルまたはリユースすることが好ましい。
【0135】
本発明の固形処理剤の溶解および補充の方法としては特に限定はなく、公知の方法を使用することができる。これらの方法としては例えば、撹拌機能を有する溶解装置で一定量を溶解し補充する方法、特開平9−80718号公報に記載されているような溶解部分と完成液をストックする部分とを有する溶解装置で溶解し、ストック部から補充する方法、特開平5−119454号公報、同6−19102号公報、同7−261357号公報に記載されているような自動現像機の循環系に処理剤を投入して溶解・補充する方法、溶解槽を内蔵する自動現像機でハロゲン化銀写真感光材料の処理に応じて処理剤を投入し溶解する方法などがあるが、このほかの公知のいずれの方法を用いることもできる。また処理剤の投入は、人手で行ってもよいし、特開平9−138495号公報に記載されているような開封機構を有する溶解装置や自動現像機で自動開封、自動投入してもよく、作業環境の点からは後者が好ましい。具体的には取り出し口を突き破る方法、はがす方法、切り取る方法、押し切る方法や、特開平6−19102号公報、同6−95331号公報に記載の方法などがある。
【0136】
現像、定着処理が済んだハロゲン化銀写真感光材料は、ついで水洗または安定化処理される(以下特に断らない限り、安定化処理を含めて水洗といい、これらに使用する液を、水または水洗水という)。水洗に使用される水は、水道水でもイオン交換水でも蒸留水でも安定化液でもよい。これらの補充量は、一般的にはハロゲン化銀写真感光材料1m2あたり約8L〜約17Lであるが、それ以下の補充量で行うこともできる。特に3L以下の補充量(0も含む。すなわち、ため水水洗)では、節水処理が可能となるのみならず、自動現像機設置の配管を不要とすることもできる。水洗を低補充量で行う場合は、特開昭63−18350号公報、同62−287252号公報等に記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減や、水垢防止のために種々の酸化剤(例えばオゾン、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、活性ハロゲン、二酸化塩素、炭酸ナトリウム過酸化水素塩など)添加やフィルター濾過を組み合わせてもよい。
【0137】
水洗の補充量を少なくする方法として、古くより多段向流方式(例えば2段、3段等)が知られており、水洗補充量はハロゲン化銀写真感光材料1m2あたり50〜200mlが好ましい。この効果は、独立多段方式(向流にせず、多段の水洗槽に個別に新液を補充する方法)でも同様に得られる。
【0138】
さらに、本発明の方法で水洗工程に水垢防止手段を施してもよい。水垢防止手段としては公知のものを使用することができ、特に限定はしないが、防ばい剤(いわゆる水垢防止剤)を添加する方法、通電する方法、紫外線または赤外線や遠赤外線を照射する方法、磁場をかける方法、超音波処理する方法、熱をかける方法、未使用時にタンクを空にする方法などがある。これらの水垢防止手段は、ハロゲン化銀写真感光材料の処理に応じてなされてもよいし、使用状況に関係なく一定間隔で行われてもよいし、夜間など処理の行われない期間のみ施してもよい。またあらかじめ水洗水に施しておいて、これを補充してもよい。さらには、一定期間ごとに異なる水垢防止手段を行うことも、耐性菌の発生を抑える上では好ましい。
節水水垢防止装置としては、富士フイルム社製装置AC−1000と水垢防止剤として富士フイルム社製AB−5を用いてもよく特開平11−231485号公報の方法を用いてもよい。
防ばい剤としては特に限定はなく公知のものが使用できる。前述の酸化剤の他例えばグルタルアルデヒド、アミノポリカルボン酸等のキレート剤、カチオン性界面活性剤、メルカプトピリジンオキシド(例えば2−メルカプトピリジン−N−オキシドなど)などがあり、単独使用でも複数の併用でもよい。
通電する方法としては、特開平3−224685号公報、同3−224687号公報、同4−16280号公報、同4−18980号公報などに記載の方法が使用できる。
【0139】
このほか、水泡ムラ防止や汚れ転写防止のために、公知の水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。また、ハロゲン化銀写真感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号公報に記載の色素吸着剤を水洗系に設置してもよい。
【0140】
水洗工程からのオーバーフロー液の一部または全部は、特開昭60−235133号公報に記載されているように、定着能を有する処理液に混合利用することもできる。また微生物処理(例えば硫黄酸化菌、活性汚泥処理や微生物を活性炭やセラミック等の多孔質担体に担持させたフィルターによる処理等)や、通電や酸化剤による酸化処理をして、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、沃素消費量等を低減してから排水したり、銀と親和性のあるポリマーを用いたフィルターやトリメルカプトトリアジン等の難溶性銀錯体を形成する化合物を添加して銀を沈降させてフィルター濾過するなどし、排水中の銀濃度を低下させることも、自然環境保全の観点から好ましい。
【0141】
また、水洗処理に続いて安定化処理する場合もあり、その例として特開平2−201357号公報、同2−132435号公報、同1−102553号公報、特開昭46−44446号公報に記載の化合物を含有した浴をハロゲン化銀写真感光材料の最終浴として使用してもよい。この安定浴にも必要に応じてアンモニウム化合物、Bi、Al等の金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防ばい剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。
【0142】
水洗、安定化浴に添加する防ばい剤等の添加剤および安定化剤は、前述の現像、定着処理剤同様に固形剤とすることもできる。
【0143】
本発明に使用する現像液、定着液、水洗水、安定化液の廃液は焼却処分することが好ましい。また、これらの廃液は例えば特公平7−83867号公報、米国特許第5,439,560明細書等に記載されているような濃縮装置で濃縮液化または固化させてから処分することも可能である。
【0144】
処理剤の補充量を低減する場合には、処理槽の開口面積を小さくして液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。ローラー搬送型の自動現像機については米国特許第3,025,779明細書、同第3,545,971明細書などに記載されており、本明細書においては単にローラー搬送型自動現像機として言及する。この自現機は現像、定着、水洗および乾燥の四工程からなっており、本発明の方法も、他の工程(例えば停止工程)を除外しないが、この四工程を踏襲するのが最も好ましい。さらに、現像定着間および/または定着水洗間にリンス浴、水洗槽や洗浄槽を設けてもよい。
【0145】
本発明の現像処理では、処理開始から乾燥後まで(dry to dry)で25〜160秒が好ましく、現像および定着時間が40秒以下、好ましくは6〜35秒、各液の温度は25〜50℃が好ましく、30〜40℃が好ましい。水洗の温度および時間は0〜50℃で40秒以下が好ましい。本発明の方法によれば、現像、定着および水洗されたハロゲン化銀写真感光材料は水洗水を絞りきる、すなわちスクイズローラーを経て乾燥してもよい。乾燥は約40〜約100℃で行われ、乾燥時間は周囲の状態によって適宜変えられる。乾燥方法は公知のいずれの方法も用いることができ特に限定はないが、温風乾燥や、特開平4−15534号公報、同5−2256号公報、同5−289294号公報に開示されているようなヒートローラー乾燥、遠赤外線による乾燥などがあり、複数の方法を併用してもよい。
【0146】
【実施例】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0147】
<実施例1>
本実施例において、本発明の条件を満たすハロゲン化銀写真感光材料(試料2〜9、11)と比較例のハロゲン化銀写真感光材料(試料1および10)を作製して、評価した。まず、これらのハロゲン化銀写真感光材料を作製するために用いた乳剤と非感光性ハロゲン化銀粒子の調製を説明した後に、ハロゲン化銀写真感光材料の作製とその評価について記載する。
【0148】
《乳剤Aの調製》
1液
水 750ml
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
【0149】
2液
水 300ml
硝酸銀 150g
【0150】
3液
水 300ml
塩化ナトリウム 22g
臭化カリウム 58g
K3IrCl6(0.005%、KClの20%水溶液) 表1に示す量
(NH4)3[RhCl5(H2O)]
(0.001%、NaClの20%水溶液) 表1に示す量
【0151】
3液に用いるK3IrCl6(0.005%)、(NH4)3[RhCl5(H2O)](0.001%)は、粉末をそれぞれKClの20%水溶液、NaClの20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0152】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.21μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、粒子を0.23μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
【0153】
4液
水 100ml
硝酸銀 50g
【0154】
5液
水 100ml
塩化ナトリウム 8.6g
臭化カリウム 19.3g
K4[Fe(CN)6]・3H2O(黄血塩) 表1に示す量
【0155】
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、下記に示すアニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.2±0.2の範囲であった)。次に上澄み液を約3L除去した(第一水洗)。さらに3Lの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3L除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返して(第三水洗)水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン45gを加え、pH5.6、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム5水和物15mgと塩化金酸4mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン100mgと防腐剤(ICI(株)製、プロキセル)100mgを加えた。最終的に臭化銀を55mol%、沃化銀を0.08mol%含む平均粒子サイズ0.24μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た(最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.2〜1.25x103kg/m3、粘度=50mPa・sとなった)。
【0156】
【化28】
【0157】
《乳剤Bの調製》
1液
水 750ml
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 1g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
【0158】
2液
水 300ml
硝酸銀 150g
【0159】
3液
水 300ml
塩化ナトリウム 22g
臭化カリウム 58g
K3IrCl6(0.005%、KClの20%水溶液) 表1に示す量
(NH4)3[RhCl5(H2O)]
(0.001%、NaClの20%水溶液) 表1に示す量
【0160】
3液に用いるK3IrCl6(0.005%)、(NH4)3[RhCl5(H2O)](0.001%)は、粉末をそれぞれKClの20%水溶液、NaClの20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0161】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.17μmの核粒子を形成した。その後、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン500mgを加え、続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、粒子を0.185μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
【0162】
4液
水 100ml
硝酸銀 50g
【0163】
5液
水 100ml
塩化ナトリウム 8.6g
臭化カリウム 19.3g
K4[Fe(CN)6]・3H2O(黄血塩) 表1に示す量
【0164】
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、アニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.2±0.2の範囲であった)。次に上澄み液を約3L除去した(第一水洗)。さらに3Lの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3L除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返し(第三水洗)て水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン45gを加え、pH5.6、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、トリフェニルホスフィンセレニド2mg、塩化金酸4mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤(ICI(株)製、プロキセル)100mgを加えた。
最終的に臭化銀を55mol%、沃化銀を0.08mol%含む平均粒子サイズ0.19μm、変動係数10%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た(最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.2x103kg/m3、粘度=50mPa・sとなった)。
【0165】
《乳剤C〜Hの調製》
乳剤Aに対し、粒子サイズ、ドープする重金属の種類、添加量を表1に示す通り変更する以外は乳剤Aと同様に調整した。なお、ハロゲン組成の調整は、3液および5液に用いる塩化ナトリウムと臭化カリウムの添加量を変更することにより行い、粒子サイズの調整は1液の塩化ナトリウムの添加量と調整温度を変更することにより行った。
【0166】
《非感光性ハロゲン化銀粒子の調製》
1液
水 1L
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 3.0g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 8mg
【0167】
2液
水 400ml
硝酸銀 100g
【0168】
3液
水 400ml
塩化ナトリウム 13.5g
臭化カリウム 45.0g
(NH4)3[RhCl5(H2O)](0.001%、
NaClの20%水溶液) 5x10−5mol/Agmol
【0169】
70℃、pH4.5に保たれた1液と2液と3液を攪拌しながら同時に15分間にわたって加え、核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を15分間にわたって加えた。さらにヨウ化カリウム0.15gを加え粒子形成を終了した。
【0170】
その後常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、アニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.2±0.2の範囲であった)。次に上澄み液を約3L除去した(第一水洗)。さらに3Lの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3L除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返し(第三水洗)て水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン45gを加え、pH5.7、pAgを7.5に調整し、防腐剤として、フェノキシエタノールを加え、最終的に平均塩化銀を30mol%、沃化銀を0.08mol%含む、平均粒子サイズ0.45μm、変動係数10%の未後熟ヨウ塩臭化銀立方体乳粒子の分散物を得た(最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.3〜1.35x103kg/m3、粘度=50mPa・sとなった)。
【0171】
《塗布液の作製》
本実施例で調製するハロゲン化銀写真感光材料は、下記に示す両面が塩化ビニリデンを含む防湿層下塗りからなるポリエチレンテレフタレートフィルム支持体の一面に、UL層/乳剤層/保護層下層/保護層上層を形成し、その反対面に導電層/バック層を形成した構造を有する。
以下に各層を形成するために用いた塗布液の組成を示す。
【0172】
UL層塗布液
ゼラチン 0.5g/m2
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
化合物(Cpd−7) 40mg/m2
化合物(Cpd−14) 10mg/m2
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 1.5mg/m2
【0173】
乳剤層塗布液
乳剤(表2に示す種類) 表2に示す通り添加
増感色素(SD−1) 5.7×10−4mol/Agmol
KBr 3.4×10−4mol/Agmol
化合物(Cpd−1) 2.0×10−4mol/Agmol
化合物(Cpd−2) 2.0×10−4mol/Agmol
化合物(Cpd−3) 8.0×10−4mol/Agmol
4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン
1.2×10−4mol/Agmol
ハイドロキノン 1.2×10−2mol/Agmol
クエン酸 3.0×10−4mol/Agmol
ヒドラジン化合物(表2に示す化合物) 表2に示す添加量
造核促進剤(Cpd−5) 5.0×10−4mol/Agmol
5−メチルベンゾトリアゾール 27mg/m2
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−
1,3,5−トリアジンナトリウム塩 90mg/m2
水性ラテックス(Cpd−6) 100mg/m2
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
コロイダルシリカ(粒子サイズ10μm) ゼラチンに対して15質量%
化合物(Cpd−7) ゼラチンに対して4質量%
メチルアクリレートと2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩と
2−アセトキシエチルメタクリレートのラテックス共重合体
(重量比88:5:7) 150mg/m2
コアシェル型ラテックス
(コア:スチレン/ブタジエン共重合体(重量比37/63)、
シェル:スチレン/2−アセトキシエチルアクリレート
(重量比84/16)、コア/シェル比=50/50) 150mg/m2
クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。
【0174】
【化29】
【0175】
このようにして調製した乳剤層塗布液を下記支持体上に表2に示す銀量、ゼラチン量になるように塗布した。
【0176】
保護層下層塗布液
ゼラチン 0.5g/m2
非感光性ハロゲン化銀粒子 銀量として0.1g/m2
化合物(Cpd−12) 15mg/m2
1,5−ジヒドロキシ−2−ベンズアルドキシム 10mg/m2
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
化合物(Cpd−13) 3mg/m2
化合物(Cpd−20) 5mg/m2
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 1.5mg/m2
【0177】
保護層上層塗布液
ゼラチン 0.3g/m2
平均粒子サイズ3.5μmの不定形シリカマット剤 25mg/m2
化合物(Cpd−8)(ゼラチン分散物) 20mg/m2
粒子サイズ10〜20μmのコロイダルシリカ
(日産化学製、スノーテックスC) 30mg/m2
化合物(Cpd−9) 50mg/m2
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2
化合物(Cpd−10) 20mg/m2
化合物(Cpd−11) 20mg/m2
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 1mg/m2
なお、各層の塗布液には、下記増粘剤Zを加えて粘度調整した。
【0178】
【化30】
【0179】
バック層塗布液
ゼラチン 3.3g/m2
化合物(Cpd−15) 40mg/m2
化合物(Cpd−16) 20mg/m2
化合物(Cpd−17) 90mg/m2
化合物(Cpd−18) 40mg/m2
化合物(Cpd−19) 26mg/m2
1,3−ジビニルスルホニル−2−プロパノール 60mg/m2
ポリメチルメタクリレート微粒子
(平均粒子サイズ6.5μm) 30mg/m2
流動パラフィン 78mg/m2
化合物(Cpd−7) 120mg/m2
化合物(Cpd−20) 5mg/m2
コロイダルシリカ(粒子サイズ10μm) ゼラチンに対して15質量%
硝酸カルシウム 20mg/m2
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 12mg/m2
【0180】
導電層塗布液
ゼラチン 0.1g/m2
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2
SnO2/Sb(9/1重量比、
平均粒子サイズ0.25μm) 200mg/m2
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 0.3mg/m2
【0181】
【化31】
【0182】
《支持体》
二軸延伸したポリエチレンテレフタレート支持体(厚み100μm)の両面に下記組成の下塗層第1層塗布液および下塗層第2層塗布液を塗布した。
【0183】
下塗層1層塗布液
コア−シェル型塩化ビニリデン共重合体▲1▼ 15g
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 0.25g
ポリスチレン微粒子(平均粒子サイズ3μm) 0.05g
化合物(Cpd−21) 0.20g
コロイダルシリカ(日産化学(株)製、
スノーテックスZL、粒子サイズ70〜100μm) 0.12g
水 合計量が100gになる量
さらに、10質量%のKOHを加え、pH=6に調整した塗布液を乾燥温度180℃で2分間乾燥した後の乾燥膜厚が0.9μmになる様に塗布した。
【0184】
下塗層第2層塗布液
ゼラチン 1g
メチルセルロース 0.05g
化合物(Cpd−22) 0.02g
C12H25O(CH2CH2O)10H 0.03g
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 3.5×10−3g
酢酸 0.2g
水 合計量が100gになる量
この塗布液を乾燥温度170℃で2分間乾燥した後の乾燥膜厚が0.1μmになる様に塗布した。
【0185】
【化32】
【0186】
《支持体上への塗布方法》
上記下塗層を施した支持体上に、まず乳剤面側として支持体に近い側よりUL層、乳剤層、保護層下層、保護層上層の順に4層を、35℃に保ちながらスライドビードコーター方式により硬膜剤液を加えつつ同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた後、乳剤面とは反対側に支持体に近い側より、導電層、バック層の順に、カーテンコーター方式により硬膜剤液を加えながら同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた。各々のセットゾーンを通過した時点では、塗布液は充分なセット性を示した。引き続き乾燥ゾーンにて両面を同時に下記乾燥条件にて乾燥した。なお、バック面側を塗布した後、巻き取りまではローラー、その他には一切無接触の状態で搬送した。この時の塗布速度は200m/minであった。
【0187】
《乾燥条件》
セット後、水/ゼラチンの重量比が800%になるまで30℃の乾燥風で乾燥し、800%から200%になるまでを35℃相対湿度30%の乾燥風で乾燥させ、そのまま風を当て、表面温度34℃となった時点(乾燥終了と見なす)から30秒後に、48℃相対湿度2%の空気で1分間乾燥した。この時、乾燥時間は乾燥開始から水/ゼラチン比800%までが50秒、800%から200%までが35秒、200%から乾燥終了までが5秒であった。
【0188】
このハロゲン化銀写真感光材料を25℃相対湿度55%で巻き取り、次いで同環境下で裁断し、6時間調湿したバリアー袋に、25℃相対湿度50%で8時間調湿した後、25℃相対湿度50%で2時間調湿してある厚紙と共に密閉し、表2に示す試料1〜11を作製した。
バリアー袋内の湿度を測定したところ45%であった。また、得られた試料の乳剤層側の膜面pHは5.5〜5.8、バック側の膜面pHは6.0〜6.5であった。なお、乳剤層側およびバック層側の吸収スペクトルは図1に示す通りであった。
【0189】
≪露光および現像≫
得られた各試料を633nmにピークを有する干渉フィルターおよびステップウェッジを介して、発光時間10−6秒のキセノンフラッシュ光で露光した。
そして現像液(富士写真フイルム(株)製、ND−1)と定着液(富士写真フイルム(株)製、NF−1)を使用し、自動現像機(富士写真フイルム(株)製、FG−680AG)を用い、35℃30秒の現像条件で処理した。
【0190】
《評価》
各試料について、感度、階調(ガンマー)、実技濃度、保存安定性を以下の方法で測定した。
(感度)
感度は、カブリ+1.5の濃度を与える露光量の逆数で表し、試料1の値を100とする相対感度として示した。値が大きい方が高感度であることを意味する。
【0191】
(ガンマー)
光学濃度(y軸)と常用対数露光量(x軸)で表される単位長の等しい直交座標軸上に示される特性曲線を作製し、光学濃度0.3と3.0との2点を結ぶ直線を引いてその勾配をガンマーとした。
【0192】
(実技濃度)
イメージセッター(富士写真フイルム(株)製、RC5600V)を使用して175線/インチで光量を変えながらテストステップを出力し、前記の処理条件で現像処理を行い、中間網点が50%になるLV値で露光した際のDmax部を測定し、実技濃度とした。なお、網%および実技濃度は濃度計(Macbeth TD904)を用いて測定した。
【0193】
(ハロゲン化銀写真感光材料の保存安定性)
表2に示す通り作製された各試料を、保存性の強制テストとして45℃相対湿度75%の条件下で3日保管した後、センシトメトリーの評価を行い、感度S1.5(サーモ)を求めた。強制テストを施していない試料の感度(S1.5(Fr))との感度変動(ΔS1.5)を下式に基づいて計算しパーセンテージで示した。
【0194】
【数1】
【0195】
感度変動(ΔS1.5)の値は、感度が上昇した場合は正の値を、逆に感度が低下した場合は負の値となる。数値は小さい方が望ましく、絶対値として25%以内であることが実用上必要であり、10%以内であることがより好ましい。
【0196】
これらの評価結果を表2にまとめて示す。表2より、本発明の条件を満たす試料は、高照度での感度、実技濃度が高く、また保存性に優れていることがわかる。
【0197】
【表1】
【0198】
【表2】
【0199】
<実施例2>
実施例1における乳剤AおよびC〜Hの化学増感に使用されているチオ硫酸ナトリウムの代りに四置換チオ尿素化合物であるカルボキシメチルトリメチルチオ尿素化合物、または、ジカルボキシメチルジメチルチオ尿素化合物をチオ硫酸ナトリウムと等モル添加した以外は同様に試料を作製したところ、実施例1と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0200】
<実施例3>
実施例1、2と同様の実験を現像液(コダックポリクロームグラフィックス(株)製、RA2000)および定着液(コダックポリクロームグラフィックス(株)製、RA3000)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0201】
<実施例4>
実施例1、2と同様の実験を現像液(アグファゲバルト(株)製、G101C)および定着液(アグファゲバルト(株)製、G333)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0202】
<実施例5>
実施例1、2と同様の実験を固形現像液(コニカ(株)製、タイプ681)と定着液(コニカ(株)製、タイプ881)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0203】
<実施例6>
実施例1、2と同様の実験を固形現像液(富士写真フイルム(株)製、QR−D1 PD)と定着液(富士写真フイルム(株)製、UR−F1 PD)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0204】
<実施例7>
実施例1、2と同様の実験を現像液(富士写真フイルム(株)製、QR−D1)と定着液(富士写真フイルム(株)製、SR−F1)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0205】
<実施例8>
実施例1、2と同様の実験を固形現像液(コニカ(株)製、681Z)と定着液(コニカ(株)製、881Z)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0206】
<実施例9>
実施例1、2と同様の実験を固形現像液(コニカ(株)製、731G)と定着液(コニカ(株)製、921G)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0207】
<実施例10>
実施例1、2と同様の実験を現像液(富士ハント(株)製、NT−590)を用いて行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0208】
<実施例11>
実施例1、2の富士写真フイルム(株)製現像液ND−1で、1日あたり20%黒化の富士写真フイルム(株)製スキャナフィルムHLを大全サイズ(50.8cm×61cm)あたり使用液を50ml補充しながら大全サイズを20枚処理し、これを1週間に6日稼動でランニングを15週間連続して行った。このようにして小量のフィルムを処理することによって亜硫酸濃度が3分の1に減少した現像液が得られた。
実施例1、2の富士写真フイルム(株)製現像液ND−1で、1日あたり80%黒化の富士写真フイルム(株)製スキャナフィルムHLを、大全サイズ(50.8cm×61cm)あたり使用液を50ml補充しながら大全サイズを300枚処理し、これを4日間連続して行った。このようにして大量のフィルムを処理することによってpHが10.2に低下し臭素イオン濃度が増加した現像液が得られた。
【0209】
上記のような疲労現像液、あるいは疲労途中段階の現像液を用いて実施例1、2と同様の実験を行ったところ、実施例1、2と同様に本発明の構成のハロゲン化銀写真感光材料が良好な性能を示した。
【0210】
<実施例12>
実施例1〜11において現像温度38℃、定着温度37℃、現像時間20秒に設定して処理を行ったところ、実施例1〜11と同様の結果となり、本発明の効果は失われることはなかった。
【0211】
<実施例13>
実施例1〜12において自動現像機として富士写真フイルム(株)製FG−680ASを用い、ハロゲン化銀写真感光材料の搬送速度を線速1500mm/分に設定して同様の処理をしても、同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0212】
<実施例14>
富士写真フイルム(株)製のラックスセッターRC−5600Vを使用するかわりに、大日本スクリーン(株)製のイメージセッターFT−R5055、アグファゲバルト(株)製のセレクトセット5000、アバントラ25、もしくはアキュセット1000、サイテックス(株)製のドレブ450、もしくはドレブ800、ハイデル(株)製のライノ630、クエーサー、ハーキュレスエリート、もしくはシグナセッター、富士写真フイルム(株)製のラックスセッターラクセルF−9000、F−6000またはプレプレス(株)製のパンサープロ62のいずれか1機種を用いて同様の評価を行ったところ、本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0213】
【発明の効果】
本発明によれば、高照度での感度と実技濃度が高く、保存安定性に優れており、硬調なハロゲン化銀写真感光材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係るハロゲン化銀写真感光材料について、乳剤層側およびバック層側の吸収スペクトルを示したものである。
【符号の説明】
縦軸は吸光度(0.1間隔)を示し、横軸は350nm〜900nmまでの波長を示す。実線は乳剤層側の吸収スペクトルを示し、破線はバック層側の吸収スペクトルを示す。
Claims (8)
- ハロゲン化銀写真感光材料に含まれるハロゲン化銀が塩臭化銀または沃塩臭化銀であり、該ハロゲン化銀を構成するハロゲンの30mol%〜80mol%が塩素原子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- ハロゲン化銀写真感光材料の光学濃度0.3〜3.0におけるガンマーが5.0以上である特性曲線を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- ハロゲン化銀写真感光材料がヒドラジン化合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
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JP2002187109A JP2004029486A (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | ハロゲン化銀写真感光材料 |
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-
2002
- 2002-06-27 JP JP2002187109A patent/JP2004029486A/ja active Pending
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