JP2004226554A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】細線が鮮明で、欠陥がない画像を形成することができ、写真製版用途に適したハロゲン化銀写真感光材料を提供すること。
【解決手段】ハロゲン化銀乳剤層および/または他の親水性コロイド層に硬調化剤およびベンゾトリアゾール系化合物を含有し、かつ25℃相対湿度25%の雰囲気下における表面抵抗率が1012Ω以下の導電性ポリマー層を少なくとも1層有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【選択図】 なし
【解決手段】ハロゲン化銀乳剤層および/または他の親水性コロイド層に硬調化剤およびベンゾトリアゾール系化合物を含有し、かつ25℃相対湿度25%の雰囲気下における表面抵抗率が1012Ω以下の導電性ポリマー層を少なくとも1層有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料に関し、詳しくは帯電防止性に優れ、かつ写真製版用途に最適な画像を得ることが可能なハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クラフィックアーツの分野においては、網点画像による連続階調の画像の再生あるいは線画像の再生を良好ならしめるために、超硬調(特にγが10以上)の写真性を示す画像形成システムが必要とされている。そして、良好な保存安定性を有する処理液で現像し、超硬調な写真特性が得られる画像形成システムが要望されている。このような要望に応えるものとして、特定のアシルヒドラジン化合物を添加した表面潜像型ハロゲン化銀写真感光材料を、亜硫酸保恒剤を0.15mol/L以上含むpH11.0〜12.3の現像液で処理してγが10を超える超硬調のネガ画像を形成するシステムが提案されている(特許文献1〜7)。従来の超硬調画像形成システムでは塩化銀含有率の高い塩臭化銀しか使用できなかったのに対して、この画像形成システムでは沃臭化銀や沃塩臭化銀でも使用できるという特徴がある。また、従来のリス現像液が極微量の亜硫酸保恒剤しか含有できなかったのに対して、この画像形成システムでは多量の亜硫酸保恒剤を含有できるため、比較的保存安定性がよいという特徴もある。
【0003】
近年の写真製版分野においては、高精細化の要望が強く、特に、PCB(PrintedCircuit Board)、PWB(Printed Wiring Board)分野においては、基板配線の高密度化が要求されている。このためPCB、PWB用フォオトマスクの細線の高精細化が強く望まれており、ハロゲン化銀写真感光材料において、更なる高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な画像を形成することが強く要求されている。
高解像度で鮮明な画像を形成するためには、画像の欠陥を極力防止することが必要である。このため、ハロゲン化銀写真感光材料の画像の欠陥の原因になる静電気によるゴミの付着・スタチックマークの発生などを防止することが求められている。そのための帯電防止技術として、金属酸化物を導電性物質として用いる技術が提供されている(特許文献8〜11)。しかしながら、これらの帯電防止技術は、優れたものではあるが、高精細化に要求される鮮明な画像を形成するという点においては、不十分であり、更なる改良が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,166,742号明細書
【特許文献2】米国特許第4,168,977号明細書
【特許文献3】米国特許第4,221,857号明細書
【特許文献4】米国特許第4,224,401号明細書
【特許文献5】米国特許第4,243,739号明細書
【特許文献6】米国特許第4,272,606号明細書
【特許文献7】米国特許第4,311,781号明細書
【特許文献8】特開昭56−143431号公報
【特許文献9】特開平4−29134号公報
【特許文献10】特開平10−142738号公報
【特許文献11】特開平11−223901号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明が解決しようとする課題は、写真製版用途に最適な画像を得ることが可能な写真ハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。すなわち、細線が鮮明で、欠陥がない画像を形成することができ、近年の高精細化に十分に対応しうるハロゲン化銀写真感光材料を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層および保護層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層および/または他の親水性コロイド層に硬調化剤およびベンゾトリアゾール系化合物を含有し、かつ25℃相対湿度25%の雰囲気下における表面抵抗率が1012Ω以下の導電性ポリマー層を少なくとも1層有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料によれば課題を解決しうることを見出した。
【0007】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料では、該ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤の臭化銀含有率が40〜90mol%であり、かつ、該ハロゲン化銀乳剤層と支持体との間に親水性コロイド中間層を有することが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明のハロゲン化銀写真感光材料について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0009】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層および保護層を有する。また、本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、該ハロゲン化銀乳剤層および/または他の親水性コロイド層に硬調化剤およびベンゾトリアゾール系化合物を含有する。硬調化剤およびベンゾトリアゾール系化合物は、同一の層に含まれていてもよいし、別の層に個別に含まれていてもよい。さらに本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、25℃相対湿度25%の雰囲気下における表面抵抗率が1012Ω以下の導電性ポリマー層を少なくとも1層有する。
【0010】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤用のハロゲン化銀は、臭化銀を40〜90mol%含有し、特に臭化銀を40〜90mol%含有する塩臭化銀または沃塩臭化銀を用いることが好ましい。より好ましい臭化銀含有量は40〜75mol%である。ハロゲン化銀粒子の形状は、立方体、十四面体、八面体、不定型、板状いずれでもよいが、立方体が好ましい。ハロゲン化銀の平均粒子サイズは0.1μm〜0.7μmが好ましいが、より好ましくは0.1〜0.5μmである。また、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数は15%以下であることが好ましく、10%以下の粒子サイズ分布の狭いものがより好ましい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部あるいは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の塗布銀量は3.5g/m2以下であることが好ましく、2.0〜3.0g/m2であることがより好ましい。
【0011】
本発明に用いられる乳剤は、酸性法や中性法等のいずれの方法で調製したものでもよい。例えば、P.Glafkides著 Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Dufin著 Photographic Emulsion Chemistry (The Forcal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著 Making and Coating Photographic Emulsion(The Forcal Press刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを採用してもよい。粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。
【0012】
同時混合法の1つの形式としてハロゲン化銀が生成する液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることが好ましい。ハロゲン化銀溶剤としてより好ましいのは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号公報、同55−77737号公報に記載されている。好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンである。
ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり10−5〜10−2molが好ましい。
【0013】
コントロールド・ダブルジェット法およびハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法によれば、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易である。このため、これらの方法は本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤を調製するのに有用な手段である。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号公報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を超えない範囲において速く成長させることが好ましい。
【0014】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、VIII族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラストおよび低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物などを含有することが好ましい。また、高感度化のためには、K4[Fe(CN)6]やK4[Ru(CN)6]、K3[Cr(CN)6]のような六シアノ化金属錯体でドープするのが効果的である。
【0015】
本発明に用いられるロジウム化合物として、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト、アコ等を持つもの、例えば、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられる。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0016】
本発明に用いられるレニウム、ルテニウム、オスミニウムは特開昭63−2042号公報、特開平1−285941号公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML6〕n−
ここでMはRu、Re、またはOsを表し、Lは配位子、nは0、1、2、3または4を表す。この場合、対イオンは重要性を持たず、アンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる錯体の具体例を示すが、本発明で用いることができる錯体はこれらに限定されるものではない。
【0017】
〔ReCl6〕3− 〔ReBr6〕3−
〔ReCl5(NO)〕2− 〔Re(NS)Br5〕2−
〔Re(NO)(CN)5〕2− 〔Re(O)2(CN)4〕3−
〔RuCl6〕3− 〔RuCl4(H2O)2〕1−
〔RuCl5(NO)〕2− 〔RuBr5(NS)〕2−
〔Ru(CO)3Cl3〕2− 〔Ru(CO)Cl5〕2−
〔Ru(CO)Br5〕2− 〔OsCl6〕3−
〔OsCl5(NO)〕2− 〔Os(NO)(CN)5〕2−
〔Os(NS)Br5〕2− 〔Os(CN)6〕4−
〔Os(O)2(CN)4〕4−
【0018】
これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1mol当り1×10−9mol〜1×10−5molの範囲が好ましく、特に好ましくは1×10−8mol〜1×10−6molである。
本発明に用いられるイリジウム化合物としては、ヘキサクロロイリジウム、ヘキサブロモイリジウム、ヘキサアンミンイリジウム、ペンタクロロニトロシルイリジウム等が挙げられる。本発明に用いられる鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
【0019】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は化学増感されることが好ましい。化学増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、貴金属増感法などの知られている方法を用いることができ、単独または組み合わせて用いられる。
組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
【0020】
本発明に用いられる硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。チオ尿素化合物としては米国特許第4,810,626号明細書に記載の特定四置換チオ尿素化合物が特に好ましい。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲン化銀1mol当り10−7〜10−2molであり、より好ましくは10−5〜10−3molである。
【0021】
本発明に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号公報、同43−13489号公報、特開平4−109240号公報、同4−324855号公報等に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(VIII)および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0022】
本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−313284号公報に記載の方法で試験することができる。
具体的には、米国特許第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635(1980),ibid 1102(1979),ibid 645(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.)1,2191(1980)、S.パタイS.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Serenium and Tellunium Compounds),Vol 1(1986)、同Vol 2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(II)(III)(IV)で示される化合物が好ましい。
【0023】
本発明で用いられるセレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1mol当たり10−8〜10−2mol、好ましくは10−7〜10−3mol程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
本発明に用いられる貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられるが、特に金増感が好ましい。本発明に用いられる金増感剤としては具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金などが挙げられ、ハロゲン化銀1mol当たり10−7〜10−2mol程度を用いることができる。
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
【0024】
本発明においては、還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物などを用いることができる。
本発明のハロゲン化銀乳剤は、欧州特許公開EP第293,917A号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明に用いられるハロゲン化銀写真感光材料中のハロゲン化銀乳剤は、1種類〜3種類を併用することが好ましい。2種以上を併用する場合には、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、含有する金属錯体の量、種類が異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの、感度の異なるものを併用することが好ましい。中でも高コントラストを得るためには、特開平6−324426号公報に記載されているように、支持体に近いほど高感度な乳剤を塗布することが好ましい。
【0025】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層および/または他の親水性コロイド層に硬調化剤を含有する。硬調化剤の種類は特に制限されないが、下記一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体を少なくとも1種用いることが好ましい。
【0026】
一般式(D)
【化1】
【0027】
式中、R20は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表し、R10は水素原子またはブロック基を表し、G10は−CO−,−COCO−,−C(=S)−,−SO2−,−SO−,−PO(R30)−基(R30はR10に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R10と異なっていてもよい。),またはイミノメチレン基を表す。A10、A20はともに水素原子、あるいは一方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。
【0028】
一般式(D)において、R20で表される脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換の、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。
一般式(D)において、R20で表される芳香族基は単環もしくは縮合環のアリール基で、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。R20で表されるヘテロ環基としては、単環または縮合環の、飽和もしくは不飽和の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基で、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンズイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピペリジン環、トリアジン環等が挙げられる。
R20として好ましいものはアリール基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0029】
R20が示す基は置換されていてもよく、代表的な置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロロ原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、N−置換の含窒素ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イソチオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。
これら置換基は、これらの置換基でさらに置換されていてもよい。
【0030】
R20が有していてもよい置換基として好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基(活性メチレン基を含む)、アラルキル基、ヘテロ環基、置換アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その塩を含む)、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0031】
一般式(D)において、R10は水素原子またはブロック基を表すが、ブロック基とは具体的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基を表す。
【0032】
R10で表されるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基,2−カルボキシテトラフルオロエチル基,ピリジニオメチル基、ジフルオロメトキシメチル基、ジフルオロカルボキシメチル基、3−ヒドロキシプロピル基、メタンスルホンアミドメチル基、ベンゼンスルホンアミドメチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、フェニルスルホニルメチル基、o−ヒドロキシベンジル基などが挙げられる。アルケニル基として好ましくは炭素数1から10のアルケニル基であり、例えばビニル基、2,2−ジシアノビニル基、2−エトキシカルボニルビニル基、2−トリフルオロ−2−メトキシカルボニルビニル基等が挙げられる。アルキニル基として好ましくは炭素数1から10のアルキニル基であり、例えばエチニル基、2−メトキシカルボニルエチニル基等が挙げられる。アリール基としては単環もしくは縮合環のアリール基が好ましく、ベンゼン環を含むものが特に好ましい。例えばフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−メタンスルホンアミドフェニル基、2−カルバモイルフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基などが挙げられる。
【0033】
ヘテロ環基として好ましくは、少なくとも1つの窒素、酸素、および硫黄原子を含む5〜6員の、飽和もしくは不飽和の、単環もしくは縮合環のヘテロ環基で、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基であってもよく、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基(N−置換)、ピペラジノ基、イミダゾリル基、インダゾリル基(4−ニトロインダゾリル基等)、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリジニオ基(N−メチル−3−ピリジニオ基等)、キノリニオ基、キノリル基などがある。モルホリノ基、ピペリジノ基、ピリジル基、ピリジニオ基等が特に好ましい。
【0034】
アルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としてはフェノキシ基が好ましく、アミノ基としては無置換アミノ基、および炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基(4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む)が好ましい。アミノ基の例としては、2、2、6、6−テトラメチルピペリジン−4−イルアミノ基、プロピルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、アニリノ基,o−ヒドロキシアニリノ基、5−ベンゾトリアゾリルアミノ基、N−ベンジル−3−ピリジニオアミノ基等が挙げられる。ヒドラジノ基としては置換もしくは無置換のヒドラジノ基、または置換もしくは無置換のフェニルヒドラジノ基(4−ベンゼンスルホンアミドフェニルヒドラジノ基など)が特に好ましい。
【0035】
R10で表される基は置換されていてもよく、好ましい置換基としてはR20の置換基として例示したものがあてはまる。
【0036】
一般式(D)においてR10はG10−R10の部分を残余分子から分裂させ、−G10−R10部分の原子を含む環式構造を生成させる環化反応を生起するようなものであってもよく、その例としては、例えば特開昭63−29751号公報などに記載のものが挙げられる。
【0037】
一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよい。かかる吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,108号明細書、同4,459,347号明細書、特開昭59−195233号公報、同59−200231号公報、同59−201045号公報、同59−201046号公報、同59−201047号公報、同59−201048号公報、同59−201049号公報、特開昭61−170733号公報、同61−270744号公報、同62−948号公報、同63−234244号公報、同63−234245号公報、同63−234246号公報に記載された基が挙げられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平2−285344号公報に記載された基が挙げられる。
【0038】
一般式(D)のR10またはR20はその中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれているものでもよい。本発明においてバラスト基とは、6以上の炭素数を有する、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(またはアルキレン基)、アルコキシ基(またはアルキレンオキシ基)、アルキルアミノ基(またはアルキレンアミノ基)、アルキルチオ基、あるいはこれらを部分構造として有する基を表し、さらに好ましくは炭素数7以上で炭素数24以下の、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(またはアルキレン基)、アルコキシ基(またはアルキレンオキシ基)、アルキルアミノ基(またはアルキレンアミノ基)、アルキルチオ基、あるいはこれらを部分構造として有する基を表す。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号公報に記載のものが挙げられる。
【0039】
一般式(D)のR10またはR20は、置換基としてヒドラジノ基を複数個含んでいてもよく、この時一般式(D)で表される化合物は、ヒドラジノ基に関しての多量体を表し、具体的には例えば特開昭64−86134号公報、特開平4−16938号公報、特開平5−197091号公報、国際公開WO95ー32452号公報、同WO95−32453号公報、特開平9−179229号公報、特開平9−235264号公報、特開平9−235265号公報、特開平9−235266号公報、特開平9−235267号公報等に記載された化合物が挙げられる。
【0040】
一般式(D)のR10またはR20は、その中に、カチオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含む基、4級化されたリン原子を含む基、または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、あるいは解離性基(アルカリ性の現像液で解離しうる酸性度の低いプロトンを有する基もしくは部分構造、あるいはまたその塩を意味し、具体的には、例えばカルボキシ基/−COOH、スルホ基/−SO3H、ホスホン酸基/−PO3H、リン酸基/−OPO3H、ヒドロキシ基/−OH基、メルカプト基/−SH、−SO2NH2基、N−置換のスルホンアミド基/−SO2NH−基、−CONHSO2−基、−CONHSO2NH−基、−NHCONHSO2−基、−SO2NHSO2−基、−CONHCO−基、活性メチレン基、含窒素ヘテロ環基に内在する−NH−基、またはこれらの塩等)が含まれていてもよい。これらの基が含まれる例としては、例えば特開平7−234471号公報、特開平5−333466号公報、特開平6−19032号公報、特開平6−19031号公報、特開平5−45761号公報、米国特許4994365号明細書、米国特許4988604号明細書、特開平7−259240号公報、特開平7−5610号公報、特開平7−244348号公報、独特許4006032号、特開平11−7093号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0041】
一般式(D)においてA10、A20は水素原子、炭素数20以下のアルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくはフェニルスルホニル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたフェニルスルホニル基)、炭素数20以下のアシル基(好ましくはベンゾイル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたベンゾイル基、あるいは直鎖、分岐、または環状の置換もしくは無置換の脂肪族アシル基(ここに置換基としては、例えばハロゲン原子、エーテル基、スルホンアミド基、カルボンアミド基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等が挙げられる))である。A10、A20としては水素原子が最も好ましい。
【0042】
次に本発明において、特に好ましく用いられるヒドラジン誘導体について述べる。
R20は置換フェニル基が特に好ましく、置換基としてはスルホンアミド基、アシルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、チオウレイド基、イソチオウレイド基、スルファモイルアミノ基、N−アシルスルファモイルアミノ基等が特に好ましく、さらにスルホンアミド基、ウレイド基が好ましく、スルホンアミド基が最も好ましい。
一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体は、R20またはR10に、置換基として、直接または間接的に、バラスト基、ハロゲン化銀への吸着基、4級のアンモニオ基を含む基、4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基、エチレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、アルカリ性の現像処理液中で解離しうる解離性基、もしくは多量体を形成しうるヒドラジノ基(−NHNH−G10−R10で表される基)の少なくとも1つが置換されていることが特に好ましい。さらには、R20の置換基として、直接または間接的に、前述の何れか1つの基を有することが好ましく、最も好ましいのは、R20がベンゼンスルホンアミド基で置換されたフェニル基を表し、そのベンゼンスルホンアミド基のベンゼン環上の置換基として、直接または間接的に、前述の何れか1つの基を有する場合である。
【0043】
R10で表される基のうち好ましいものは、G10が−CO−基の場合には、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、置換アリール基(置換基としては電子吸引性基またはo−ヒドロキシメチル基が特に好ましい)であり、最も好ましくは水素原子またはアルキル基である。
G10が−COCO−基の場合にはアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基が好ましく、特に置換アミノ基、詳しくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基が好ましい。
またG10が−SO2−基の場合には、R10はアルキル基、アリール基または置換アミノ基が好ましい。
【0044】
一般式(D)においてG10は好ましくは−CO−基または−COCO−基であり、特に好ましくは−CO−基である。
【0045】
次に一般式(D)で示される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明で用いることができる一般式(D)で示される化合物は以下の化合物に限定されるものではない。
【0046】
【化2】
【0047】
【化3】
【0048】
【化4】
【0049】
【化5】
【0050】
【化6】
【0051】
【化7】
【0052】
【化8】
【0053】
【化9】
【0054】
【化10】
【0055】
【化11】
【0056】
【化12】
【0057】
本発明に用いられるヒドラジン誘導体としては、上記のものの他に、下記のヒドラジン誘導体も好ましく用いられる。本発明に用いられるヒドラジン誘導体はまた、下記の特許に記載された種々の方法により合成することができる。
【0058】
特公平6−77138号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物。特公平6−93082号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物。特開平6−230497号公報に記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、および39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6−7。特開平6−289520号公報に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−17)および2−1)。特開平6−313936号公報に記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物。特開平6−313951号公報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物。特開平7−5610号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I−1〜I−38。特開平7−77783号公報に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102。特開平7−104426号公報に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44。特開平9−22082号公報に記載のヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A),一般式(B),一般式(C),一般式(D),一般式(E),一般式(F)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物N−1〜N−30。特開平9−22082号公報に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物D−1〜D−55。この他、国際公開WO95−32452号公報、同WO95−32453号公報、特開平9−179229号公報、特開平9−235264号公報、特開平9−235265号公報、特開平9−235266号公報、特開平9−235267号公報、特開平9−319019号公報、特開平9−319020号公報、特開平10−130275号公報、特開平11−7093号公報、特開平6−332096号公報、特開平7−209789号公報、特開平8−6193号公報、特開平8−248549号公報、特開平8−248550号公報、特開平8−262609号公報、特開平8−314044号公報、特開平8−328184号公報、特開平9−80667号公報、特開平9−127632号公報、特開平9−146208号公報、特開平9−160156号公報、特開平10−161260号公報、特開平10−221800号公報、特開平10−213871号公報、特開平10−254082号公報、特開平10−254088号公報、特開平7−120864号公報、特開平7−244348号公報、特開平7−333773号公報、特開平8−36232号公報、特開平8−36233号公報、特開平8−36234号公報、特開平8−36235号公報、特開平8−272022号公報、特開平9−22083号公報、特開平9−22084号公報、特開平9−54381号公報、特開平10−175946号公報、記載のヒドラジン誘導体。
【0059】
本発明においてヒドラジン系硬調化剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0060】
本発明においてヒドラジン系硬調化剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層、あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。また、2種類以上のヒドラジン系硬調化剤を併用して使用することもできる。
本発明における硬調化剤の添加量はハロゲン化銀1molに対し1×10−5〜1×10−2molが好ましく、1×10−5〜5×10−3molがより好ましく、2×10−5〜5×10−3molが最も好ましい。
【0061】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料中には、造核促進剤としてアミン誘導体、オニウム塩、ジスルフィド誘導体またはヒドロキシメチル誘導体を内蔵することが好ましい。本発明に用いられる造核促進剤の例として、特開平7−77783号公報48頁2行〜37行に記載の化合物で、具体的には49頁〜58頁に記載の化合物A−1)〜A−73);特開平7−84331号公報に記載の(化21)、(化22)および(化23)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜8頁に記載の化合物;特開平7−104426号公報に記載の一般式〔Na〕および一般式〔Nb〕で表される化合物で、具体的には同公報16頁〜20頁に記載のNa−1〜Na−22の化合物およびNb−1〜Nb−12の化合物;特開平8−272023号公報に記載の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)および一般式(7)で表される化合物で、具体的には同明細書に記載の1−1〜1−19の化合物、2−1〜2−22の化合物、3−1〜3−36の化合物、4−1〜4−5の化合物、5−1〜5−41の化合物、6−1〜6−58の化合物、および7−1〜7−38の化合物;特開平9−297377号公報のp55,カラム108の8行〜p69,カラム136の44行までに記載の造核促進剤を挙げることができる。
【0062】
本発明に用いられる造核促進剤の具体例を以下に示す。但し、本発明で用いることができる造核促進剤は以下の化合物に限定されるものではない。
【0063】
【化13】
【0064】
【化14】
【0065】
本発明の造核促進剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、造核促進剤の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0066】
本発明の造核促進剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層、あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。
本発明の造核促進剤の添加量はハロゲン化銀1molに対し1×10−6〜2×10−2molが好ましく、1×10−5〜2×10−2molがより好ましく、2×10−5〜1×10−2molが最も好ましい。また、2種類以上の造核促進剤を併用して使用することもできる。
【0067】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤は、感光材料の用途にあわせて、増感色素によって比較的長波長の青色光、緑色光、赤色光または赤外光に分光増感されてもよい。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。
本発明に使用される有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item18341X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
特に各種スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
【0068】
例えば、A)アルゴンレーザー光源に対しては、特開昭60−162247号公報に記載の(I)−1から(I)−8の化合物、特開平2−48653号公報に記載のI−1からI−28の化合物、特開平4−330434号公報に記載のI−1からI−13の化合物、米国特許2,161,331号明細書に記載のExample1からExample14の化合物、西独特許936,071号明細書記載の1から7の化合物、B)ヘリウム−ネオンレーザーおよび赤色レーザーダイオード光源に対しては、特開昭54−18726号公報に記載のI−1からI−38の化合物、特開平6−75322号公報に記載のI−1からI−35の化合物および特開平7−287338号公報に記載のI−1からI−34の化合物、特許公報第2822138号に記載の2−1から2−14,3−(1)から3−(14),4−1から4−6の化合物、C)LED光源に対しては特公昭55−39818号公報に記載の色素1から20、特開昭62−284343号公報に記載のI−1からI−37の化合物および特開平7−287338号公報に記載のI−1からI−34の化合物、特許公報第2822138号に記載の2−1から2−14,3−(1)から3−(14),4−1から4−6の化合物、D)半導体レーザー光源に対しては特開昭59−191032号公報に記載のI−1からI−12の化合物、特開昭60−80841号公報に記載のI−1からI−22の化合物、特開平4−335342号公報に記載のI−1からI−29の化合物および特開昭59−192242号公報に記載のI−1からI−18の化合物、E)製版カメラのタングステンおよびキセノン光源に対しては特開昭55−45015号公報に記載の一般式〔I〕で表される(1)から(19)の化合物、特開平6−242547号公報に記載の4−Aから4−Sの化合物、5−Aから5−Qの化合物、6−Aから6−Tの化合物および特開平9−160185号公報に記載のI−1からI−97の化合物などが有利に選択されるが、本発明で用いることができる増感色素はこれらに限定されない。
【0069】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure)176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは前述の特公昭49−25500号公報、同43−4933号公報、特開昭59−19032号公報、同59−192242号公報等に記載されている。
【0070】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
また、米国特許第3,469,987号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、該溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号公報、同44−27555号公報、同57−22091号公報等に開示されているように、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号明細書、同第4,006,025号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53−102733号公報、同58−105141号公報に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51−74624号公報に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。
また、溶液に超音波を用いることもできる。
【0071】
本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766号明細書、同第3,628,960号明細書、同第4,183,756号明細書、同第4,225,666号明細書、特開昭58−184142号公報、同60−196749号公報等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号公報等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号明細書、特開昭58−7629号公報等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0072】
本発明の増感色素の添加量は、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズ、ハロゲン組成、化学増感の方法と程度、カブリ防止剤の種類等により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり、4×10−6〜8×10−3molで用いることができる。例えばハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀粒子の表面積1m2あたり、2×10−7〜3.5×10−6molの添加量が好ましく、6.5×10−7〜2.0×10−6molの添加量がより好ましい。
【0073】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層および/またはその他の親水性コロイド層や、支持体を挟んでハロゲン化銀乳剤層を有する側と反対側の親水性コロイド層中に、ベンゾトリアゾール系化合物を含有する。特にハロゲン化銀乳剤層を有する側の親水性コロイド層に含有させるのが好ましい。
【0074】
本発明に用いられるベンゾトリアゾール系化合物は、いかなる構造の物を用いてもよいが下記に示す構造の物が好ましい。
(1)5,6−ジメチルベンゾトリアゾール
(2)5−ブチルベンゾトリアゾール
(3)5−メチルベンゾトリアゾール
(4)5−クロロベンゾトリアゾール
(5)5−ブロモベンゾトリアゾール
(6)5,6−ジクロロベンゾトリアゾール
(7)4,6−ジクロロベンゾトリアゾール
(8)5−ニトロベンゾトリアゾール
(9)4−ニトロ−6−クロロベンゾトリアゾール
(10)4,5,6−トリクロロベンゾトリアゾール
(11)5−カルボキシベンゾトリアゾール
(12)5−スルホベンゾトリアゾール
(13)5−メトキシカルボニルベンゾトリアゾール
(14)5−アミノベンゾトリアゾール
(15)5−ブトキシベンゾトリアゾール
(16)5−ウレイドベンゾトリアゾール
(17)ベンゾトリアゾール
【0075】
本発明で用いるベンゾトリアゾール系化合物のうち特に好ましいものは、ベンゾトリアゾールまたは5−メチルベンゾトリアゾールである。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料におけるベンゾトリアゾール系化合物の添加量は、ハロゲン化銀1molに対して1×10−4〜1×10−1molが好ましく、1×10−3〜7×10−2molが特に好ましい。
【0076】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、25℃、相対湿度25%環境下での表面抵抗率が1×1012Ω以下の導電性を有するポリマー層(以下導電性ポリマー層と記す)を少なくとも1層有する。
導電性ポリマー層は、支持体の片面に形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。片面に形成される場合は、バック面に形成されていることが好ましい。また、導電性ポリマー層は、片面に2層以上形成されていても構わない。
導電性ポリマー層に用いる導電性ポリマーの種類は特に限定されず、アニオン性,カチオン性,両性およびノニオン性のいずれの導電性ポリマーでも良い。その中でも好ましいのは、アニオン性,カチオン性の導電性ポリマーである。アニオン性の導電性ポリマーとして好ましいのは、スルホン酸系,カルボン酸系のポリマーであり、カチオン性の導電性ポリマーとして好ましいのは、3級アミン系,4級アンモニウム系のポリマーまたはラテックスである。
【0077】
本発明で用いることができる導電性ポリマーの具体例として、例えば特公昭52−25251号公報,特開昭51−29923号公報,特公昭60−48024号公報記載のアニオン性ポリマーまたはラテックス、特公昭57−18176号公報,同57−56059号公報,同58−56856号公報,米国特許第4,118,231号明細書などに記載のカチオン性ポリマーまたはラテックスを挙げることができる。
【0078】
以下に、これらの導電性ポリマーの具体例を挙げるが、本発明で用いることができる導電性ポリマーはこれらに限定されるものではない。
【0079】
【化15】
【0080】
【化16】
【0081】
【化17】
【0082】
【化18】
【0083】
これら導電性ポリマーは単独でも使用することができるが、他のバインダーと併用して塗布されることが好ましい。さらにまた、これらのバインダーと共に硬化剤も併用することができる。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料における導電性ポリマーの含有量は、好ましくは0.005〜5g/m2であり、より好ましくは0.01〜3g/m2、さらに好ましくは0.02〜1g/m2である。
バインダーを併用する場合、導電性ポリマーとバインダーの重量比は99:1から10:90が好ましく、80:20から20:80がさらに好ましく、70:30から30:70が特に好ましい。
【0084】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の導電性ポリマー層中には、硬膜剤を含有することが好ましい。
このような硬膜剤としては、例えばホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド化合物、米国特許2,732,303号明細書、同3,288,775号明細書、英国特許974,723号明細書、同1,167,207号明細書等に記載されている反応性ハロゲンを有する化合物、ジアセチル、シクロペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、ジビニルスルホン、5−アセチル−1,3−ジアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、米国特許3,232,763号明細書、同3,635,718号明細書、英国特許994,809号明細書等に記載の反応性オレフィンを有する化合物、米国特許3,539,644号明細書、同3,642,486号明細書、特公昭49−13568号公報、同53−47271号公報、同56−48860号公報、特開昭53−57257号公報、同61−128240号公報、同62−4275号公報、同63−53541号公報、同63−264572号公報等に記載のビニルスルホン化合物、N−ヒドロキシメチルフタルイミド、米国特許2,732,316号明細書、同2,586,168号明細書等に記載のN−メチロール化合物、米国特許3,103,437号明細書等に記載のイソシアネート化合物、米国特許2,983,611号明細書、同3,107,280号明細書等に記載のアジリジン化合物、米国特許2,725,294号明細書、同2,725,295号明細書等に記載の酸誘導体類、米国特許3,100,704号等に記載のカルボジイミド系化合物、米国特許3,091,537号明細書等に記載のエポキシ系化合物、米国特許3,321,313号明細書、同3,543,292号明細書等に記載のイソオキサゾール系化合物、ムコクロロ酸のようなハロゲノカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサン、ジクロロジオキサン等のジオキサン誘導体等の有機硬膜剤およびクロムミョウバン、硫酸ジルコニウム、三塩化クロム等の無機硬膜剤である。またゼラチンに対して比較的硬膜作用が比較的速い硬膜剤としては、特開昭50−38540号公報に記載のジヒドロキノリン骨格を有する化合物、特開昭51−59625号公報、同62−262854号公報、同62−264044号公報、同63−184741号公報に記載のN−カルバモイルピリジニウム塩類、特公昭55−38655号公報に記載のアシルイミダゾール類、特公昭53−22089号公報に記載のN−アシルオキシイミダゾール類、特公昭53−22089号公報に記載のN−アシルオキシイミノ基を分子内に2個以上有する化合物、特開昭52−93470号公報に記載のN−スルホニルオキシイミド基を有する化合物、特開昭58−113929号公報に記載のリン−ハロゲン結合を有する化合物、特開昭60−225148号公報、同61−240236号公報、同63−41580号公報に記載のクロロホルムアミジニウム化合物等を挙げることができる。
これらの添加量は、バインダーに対し質量比で、0.001〜1であることが好ましい。
【0085】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いられるマット剤は、写真的諸特性に悪影響を及ぼさない固体粒子であれば、どのようなものでもよい。例えば、特開平10−268464号公報段落番号[0009]〜[0013]に記載のものが挙げられる。
有機重合体のマット剤の具体例としては、アルキルアクリレート、アルキルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、スチレン、またはこれらとアクリル酸、メタアクリル酸など親水性基を共重合したものなどの水不溶性または難溶性の合成ポリマー、無機のマット剤としては、酸化物(二酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)、アルカリ土類金属塩(硫酸バリウム、硫酸ストロンチウムなど)、画像を形成しないハロゲン化銀粒子などが挙げられる。マット剤の形状は、定形(例、球状)または不定形のいずれでも良い。
本発明で用いるマット剤の平均粒子サイズは2〜15μmであることが好ましく、3〜10μmであることがより好ましい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料におけるマット剤の添加量は、5〜400mg/m2であることが好ましく、10〜200mg/m2であることがより好ましい。
【0086】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層を有する面の表面粗さは、マット剤の平均粒子サイズおよび添加量を種々変化させることによってコントロールすることができる。マット剤を含有させる層は、ハロゲン化銀写真感光材料を構成するどの層でもよいが、ハロゲン化銀乳剤層を有する側は、ピンホールを防止するため支持体より遠い位置の層に含有することが好ましく、特に最外層が好ましい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の表面粗さは、乳剤層を有する面およびその反対面の最外層表面の少なくとも一方、好ましくは両方のベック平滑度が、4000秒以下であり、より好ましくは10秒〜4000秒である。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
【0087】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料におけるバック面と、ゴム硬度が80±10度のゴムシートの平滑面との静摩擦係数は、線速度600cm/minにおいて0.9以上であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましい。また、動摩擦係数は0.5以上であることが好ましく、さらに0.6〜0.9であることが好ましい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料におけるハロゲン化銀乳剤層を有する側の静摩擦係数は、0.5以上であることが好ましく、さらに0.6〜0.9であることが好ましい。
本発明における静摩擦係数(μs)は、JIS−K7125に記載の摩擦係数試験方法と同様の原理で測定し求めることができる。
【0088】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる支持体は、通常のハロゲン化銀写真感光材料に用いうる支持体の中から適宜選択することができる。例えばバライタ紙、ポリエチレン被覆紙、ポリプロピレン合成紙、セルロースアセテート、セルロースナイトレート、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、特開平7−234478号公報、および米国特許第5,558,979号明細書に記載のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる支持体、特開昭64−538号公報、米国特許第4,645,731号明細書、同4,933,267号明細書、同4,954,430号明細書に記載のポリエステルフィルムを塩化ビニリデン共重合体で被覆した支持体を挙げることができる。これらの支持体は、それぞれハロゲン化銀写真感光材料の使用目的に応じて適宜選択される。特に、ポリエチレンテレフタレートなどの透明支持体が好ましく用いられる。
【0089】
本発明では、ハロゲン化銀乳剤層およびその他の親水性コロイド層のバインダーとして、ゼラチンが好ましく用いられるが、特開平2−18542号公報第3頁右下1行目から20行目、特開平10−268464号公報段落番号[0025]記載のポリマーも好ましく用いることができる。
ハロゲン化銀乳剤層を有する側の全親水性コロイド層のバインダー塗布量は3.5g/m2以下であることが好ましく、2.0〜3.0g/m2であることがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層を有する側の全親水性コロイド層およびその反対側の面の全親水性コロイド層の全バインダー量は7.5g/m2以下であることが好ましく、7.0g/m2以下であることがより好ましく、2.0〜6.0g/m2であることがさらに好ましい。
【0090】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料では、非感光性親水性コロイド保護層の全層のバインダー量が1.5g/m2以下であることが好ましく、0.5〜1.0g/m2であることがより好ましい。ハロゲン化銀乳剤層とその上部の保護層全層とのバインダーの質量比は、0.8〜1.5であることが好ましい。
【0091】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層と支持体との間に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド中間層を有することが好ましい。
本発明における非感光性親水性コロイド中間層の親水性コロイドとしてはゼラチンを用いるのが好ましい。該非感光性親水性コロイド中間層には、さらにポリマーラテックスを添加することが好ましい。ポリマーラテックスとしては、平均粒子サイズが20nm〜200nmの水不溶性ポリマーの水分散物で、ポリマーのガラス転移温度(Tg)が40℃以下、好ましくは20℃〜−50℃であるものを用いることが望ましい。ポリマーラテックスの使用量はバインダーに対する乾燥質量比で0.01〜2.0であることが好ましく、0.3〜1.0であることがより好ましい。
【0092】
前記非感光性親水性コロイド中間層全層のバインダー量は1.0g/m2以下であることが好ましく、0.1〜0.8g/m2であることがより好ましい。
前記非感光性親水性コロイド中間層を支持体に塗布する際の塗布液のゼラチン濃度は0.05〜6.0質量%であることが好ましく、1.0〜5.0質量%であることがより好ましい。
【0093】
本発明において、圧力増減感改良等の目的で、特開平3−39948号公報第10頁右下11行目から同公報第12頁左下5行目に記載のポリヒドロキシベンゼン化合物を用いることが好ましい。具体的には、同公報に記載の化合物(III)−1〜25の化合物が挙げられる。
【0094】
本発明では、脆性、寸度安定性、圧力増減感等の改良の目的で、ハロゲン化銀乳剤層およびその他の非感光性親水性コロイド層にポリマーラテックスを添加することが好ましい。ポリマーラテックスとしては、米国特許第2,763,652号明細書、同2,852,382号明細書、特開昭64−538号公報、同62−115152号公報、特開平5−66512号公報、同5−80449号公報、特公昭60−15935号公報、特公平6−64058号公報、同5−45014号公報などに記載のアルキルアクリレート、アルキルメタクリレートなどの種々のモノマーから成るポリマーラテックス、特公昭45−5819号公報、同46−22507号公報、特開昭50−73625号公報、特開平7−152112号公報、特開平8−137060号公報などに記載の活性メチレン基を有するモノマーとアルキルアクリレートなどのモノマーと共重合したポリマーラテックスなどが挙げられる。特に好ましくは、特開平8−248548号公報、特開平8−208767号公報、特開平8−220669号公報などに記載のシェル部に活性メチレン基を含有するエチレン性不飽和モノマーから成る繰り返し単位を有するコア/シェル構造を有するポリマーラテックスである。これらのシェル部に活性メチレン基を有するコア/シェル構造のポリマーラテックスは、写真感光材料のウェット膜強度を低下せずに、脆性、寸度安定性、感光材料同士などの接着のし難さなどの特性が向上し、また、ラテックス自身の剪断安定性の向上が得られる。
ポリマーラテックスの使用量は、添加すべき層のバインダー(例えばゼラチン)に対して乾燥質量比で0.01〜4.0であることが好ましく、0.1〜2.0であることがより好ましい。
【0095】
本発明では、ハロゲン化銀写真感光材料の保存性、圧力増減感改良等の目的で塗膜のpHを低下させるために、特開平7−104413号公報第14頁左1行目から同頁右30行目に記載の酸性ポリマーラテックスを用いることが好ましい。具体的には同公報15頁に記載の化合物II−1)〜II−9)、特開平2−103536号公報第18頁右下6行目から同公報19頁左上1行目に記載の酸基を有する化合物を挙げることができる。
ハロゲン化銀乳剤層を有する側の塗布膜のpHは、4〜6が好ましい。
【0096】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層またはその他の親水性コロイド層には、塗布助剤、添加剤の分散・可溶化剤、滑性向上、接着防止性付与、帯電防止性付与および写真特性改良(例えば、現像促進、硬調化、増感、保存性)等の目的で、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば、特開平2−12236号公報第9頁右上7行目から同頁右下3行目に記載の界面活性剤、特開平2−103536号公報第18頁左下4行目から同頁左下7行目に記載のPEG系界面活性剤、具体的には、同公報に記載の化合物VI−1〜VI−15の化合物、特開平2−18542号公報第4頁右上2行目から第4頁右下下から3行目、特開平3−39948号公報第12頁左下6行目から同公報第13頁右下5行目に記載の含フッ素界面活性剤を挙げることができる。
【0097】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の耐傷性、圧力増減感特性等の改良の目的で、種々の滑り剤を用いることができる。例えば、特開平2−103536号公報第19頁左上15行目から同公報19頁右上15行目、特開平4−214551号公報段落番号[0006]〜[0031]に記載の滑剤を挙げることができる。
【0098】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の塗膜の可塑剤として、特開平2−103536号公報第19頁左上12行目から同公報19頁右上15行目に記載の化合物を含有することができる。
【0099】
本発明において、親水性バインダーの架橋剤として、特開平2−103536号公報第18頁右上5行目から同頁右上17行目、特開平5−297508号公報段落番号[0008]〜[0011]に記載の化合物を用いることができる。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の乳剤層および保護層を含めた親水性コロイド層の膨潤率は50〜200%の範囲が好ましく、より好ましくは70〜180%の範囲である。親水性コロイド層の膨潤率は、ハロゲン化銀写真感光材料における乳剤層および保護層を含めた親水性コロイド層の厚み(d0)を測定し、該ハロゲン化銀写真感光材料を25℃の蒸留水に1分間浸漬し、膨潤した厚み(Δd)を測定し、膨潤率(%)=Δd÷d0×100の計算式によって求める。
【0100】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の塗布後乾燥する際の乾燥、乾燥後にロール状に巻き取られるときの環境、加工、熱処理等は、特開平10−268464号公報段落番号[0026]〜[0032]に記載の方法で行うことが好ましい。
【0101】
塗布後の感光材料は、塗布から現像処理までの任意の時点で加熱熱処理をされることが好ましい。加熱処理は、塗布直後から引き続いて行ってもよいし、ある期間が経過してから行ってもよいが、短期間(例えば1日以内)で加熱処理に入ることが好ましい。加熱処理は主に現像処理に耐えうる膜強度にするための硬膜反応促進のためであり、加熱処理条件は、硬膜剤の種類やその添加量、膜pH、所要する膜強度等によって適宜決定しなければならないが、30〜60℃が好ましく、より好ましくは35℃〜50℃である。加熱処理の期間は30分〜10日間が好ましい。
【0102】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料においては、上記以外の各種添加剤を用いることに特に制限はない。例えば下記箇所に記載されたものを好ましく用いることができる。
すなわち、特開平1−118832号公報に記載の一般式(I)で表される実質的には可視域に吸収極大をたない化合物、具体的には、同公報に記載の化合物I−1〜I−26の化合物;特開平2−103536号公報第17頁右下19行目から同公報18頁右上4行目に記載のカブリ防止剤;特開平2ー103536号公報第18頁右下6行目から同公報19頁左上1行目に記載の酸基を有する化合物;特開平2−103536号公報第17頁右下1行目から同頁右上18行目に記載の水溶性染料;特開平7−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される固体分散染料、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)。特開平2−294638号公報および特開平5−11382号公報に記載の固体分散染料;特開平2−103536号公報第18頁左下4行目から同頁左下7行目に記載のPEG系界面活性剤;特開平5−274816号公報に記載の酸化されることにより現像抑制剤を放出しうるレドックス化合物、好ましくは同公報に記載の一般式(R−1),一般式(R−2),一般式(R−3)で表されるレドックス化合物、具体的には、同公報に記載の化合物R−1〜R−68の化合物等を挙げることができる。
【0103】
以下に本発明のハロゲン化銀写真感光材料を処理するための現像液、定着液などの処理剤および処理方法等について述べるが、言うまでもなく本発明は以下の記述および具体例に限定されるものではない。
【0104】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の現像処理には、公知の方法のいずれを用いることもできるし、現像処理液には公知のものを用いることができる。
【0105】
現像液(以下、現像開始液および現像補充液の双方をまとめて現像液という。)に用いる現像主薬には特別な制限はないが、ジヒドロキシベンゼン類や、ハイドロキノンモノスルホン酸塩を含むことが好ましく、単独使用でも併用でもよい。特に、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬およびこれと超加成性を示す補助現像主薬を含有することが好ましく、ジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類の組み合わせ、またはジヒドロキシベンゼン類とp−アミノフェノール類の組み合わせなどを挙げることができる。
本発明に用いる現像主薬において、ジヒドロキシベンゼン現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノンなどがあるが、特にハイドロキノンが好ましい。
【0106】
本発明に用いる1−フェニル−3−ピラゾリドンまたはその誘導体の現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4、4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンなどがある。
本発明に用いるp−アミノフェノール系現像主薬としてN−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシフェニル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、o−メトキシ−p−(N、N−ジメチルアミノ)フェノール、o−メトキシ−p−(N−メチルアミノ)フェノールなどがあるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノール、または特開平9−297377号公報および特開平9−297378号公報に記載のアミノフェノール類が好ましい。
【0107】
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は通常0.05mol/L〜0.8mol/Lの量で用いられるのが好ましい。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類の組み合わせを用いる場合には前者を0.05mol/L〜0.6mol/L、好ましくは0.10mol/L〜0.5mol/L、後者を0.06mol/L以下、好ましくは0.03mol/L〜0.003mol/Lの量で用いるのが好ましい。
【0108】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料を処理する際の現像液には、通常用いられる添加剤(たとえば現像主薬、アルカリ剤、pH緩衝剤、保恒剤、キレート剤等)を含有することができる。以下にこれらの具体例を示すが、本発明で用いる添加剤はこれらに限定されるものではない。
【0109】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ベンゾトリアゾール系化合物の存在下で現像処理することが好ましい。現像液に用いられるベンゾトリアゾール系化合物は、いかなる構造の物を用いてもよいが、前述の化合物例が好ましい。現像液に用いられるベンゾトリアゾール系化合物で特に好ましいものは、ベンゾトリアゾールまたは5−メチルベンゾトリアゾールである。ベンゾトリアゾール系化合物の現像液に添加する量は、7.5×10−5〜7.5×10−3mol/Lが好ましく、7.5×10−5〜5.0×10−3mol/Lが特に好ましい。また、ベンゾトリアゾール系化合物は2種以上併用して使用してもよいし、ハロゲン化銀写真感光材料と現像液添加を併用してもよい。
【0110】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料を現像処理する際の現像液に用いられる緩衝剤としては、炭酸塩、特開昭62−186259号公報に記載のほう酸、特開昭60−93433号公報に記載の糖類(たとえばサッカロース)、オキシム類(たとえばアセトオキシム)、フェノール類(たとえば5−スルホサリチル酸)、第3リン酸塩(たとえばナトリウム塩、カリウム塩)などが用いられ、好ましくは炭酸塩が用いられる。緩衝剤、特に炭酸塩の使用量は、好ましくは0.05mol/L以上、特に0.08〜1.0mol/Lである。
【0111】
本発明に用いられる保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどがある。亜硫酸塩は好ましくは0.2mol/L以上、特に0.3mol/L以上用いられるが、あまりに多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、上限は1.2mol/Lとするのが望ましい。特に好ましくは、0.35〜0.7mol/Lである。
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩と併用して前記のアスコルビン酸誘導体を少量使用してもよい。なかでも素材コストの点からエリソルビン酸ナトリウムを用いることが好ましい。添加量はジヒドロキシベンゼン系現像主薬に対して、モル比で0.03〜0.12の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.10の範囲である。保恒剤としてアスコルビン酸誘導体を使用する場合には現像液中にホウ素化合物を含まないことが好ましい。
【0112】
上記以外に用いられる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムのような現像抑制剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドのような有機溶剤、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、イミダゾールまたはその誘導体等の現像促進剤、ヘテロ環メルカプト化合物(たとえば3−(5−メルカプトテトラゾール−1−イル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールなど)、特開昭62−212651号公報に記載の化合物を物理現像ムラ防止剤として添加することもできる。
【0113】
また、メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤または黒ポツ(black pepper)防止剤として含んでもよい。
具体的には、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンゾイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンゾイミダゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、4−((2−メルカプト−1、3、4−チアジアゾール−2−イル)チオ)ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1、3、4−チアジアゾール−2−チオールなどを挙げることができる。これらの添加剤の量は、通常現像液1Lあたり0.01〜10mmolであり、より好ましくは0.1〜2mmolである。
【0114】
さらに本発明で用いる現像液中には各種の有機、無機のキレート剤を単独または併用で用いることができる。
無機キレート剤としてはたとえば、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどを用いることができる。
一方、有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸および有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
有機カルボン酸としてはたとえば、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グルコン酸、アジピン酸、ピメリン酸、アシエライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などを挙げることができる。
【0115】
アミノポリカルボン酸としてはたとえば、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミンモノヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテル四酢酸、1、2−ジアミノプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1、3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、その他特開昭52−25632号公報、同55−67747号公報、同57−102624号公報、および特公昭53−40900号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0116】
有機ホスホン酸としては、たとえば米国特許第3,214,454号明細書、同3,794,591号明細書および西独特許公開2,227,369号明細書等に記載のヒドロキシアルキリデン−ジホスホン酸やリサーチ・ディスクロージャー第181巻,Item 18170(1979年5月号)等に記載の化合物が挙げられる。
アミノホスホン酸としては、たとえばアミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられるが、その他上記リサーチ・ディスクロージャー18170、特開昭57−208554号公報、同54−61125号公報、同55−29883号公報、同56−97347号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0117】
有機ホスホノカルボン酸としては、たとえば特開昭52−102726号公報、同53−42730号公報、同54−121127号公報、同55−4024号公報、同55−4025号公報、同55−126241号公報、同55−65955号公報、同55−65956号公報および前述のリサーチ・ディスクロージャー18170等に記載の化合物を挙げることができる。
【0118】
これらのキレート剤の中で特にジエチレントリアミン類が好ましい。ジエチレントリアミン類の中でもジエチレントリアミン五酢酸およびその金属塩がより好ましい。
【0119】
これらの有機および/または無機のキレート剤は、前述のものに限定されるものではない。また、アルカリ金属塩やアンモニウム塩の形で使用してもよい。これらのキレート剤の添加量としては、現像液1Lあたり好ましくは、1×10−4〜1×10−1mol、より好ましくは1×10−3〜1×10−2molである。
【0120】
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、たとえば特開昭56−24347号公報、特公昭56−46585号公報、特公昭62−2849号公報、特開平4−362942号公報、特開平8−6215号公報に記載の化合物の他、メルカプト基を1つ以上有するトリアジン(たとえば特公平6−23830号公報、特開平3−282457号公報、特開平7−175178号公報に記載の化合物)、同ピリミジン(たとえば2−メルカプトピリミジン、2、6−ジメルカプトピリミジン、2、4−ジメルカプトピリミジン、5、6−ジアミノ−2、4−ジメルカプトピリミジン、2、4、6−トリメルカプトピリミジン、特開平9−274289号公報記載の化合物など)、同ピリジン(たとえば2−メルカプトピリジン、2、6−ジメルカプトピリジン、3、5−ジメルカプトピリジン、2、4、6−トリメルカプトピリジン、特開平7−248587号公報に記載の化合物など)、同ピラジン(たとえば2−メルカプトピラジン、2、6−ジメルカプトピラジン、2、3−ジメルカプトピラジン、2、3、5−トリメルカプトピラジンなど)、同ピリダジン(たとえば3−メルカプトピリダジン、3、4−ジメルカプトピリダジン、3、5−ジメルカプトピリダジン、3、4、6−トリメルカプトピリダジンなど)、特開平7−175177号公報に記載の化合物、米国特許5457011号明細書に記載のポリオキシアルキルホスホン酸エステルなどを用いることができる。これらの銀汚れ防止剤は単独または複数の併用で用いることができ、添加量は現像液1Lあたり0.05〜10mmolが好ましく、0.1〜5mmolがより好ましい。
また、溶解助剤として特開昭61−267759号公報記載の化合物を用いることができる。
さらに必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。
【0121】
現像液の好ましいpHは9.0〜11.0であり、特に好ましくは9.2〜11.0、さらに好ましくは9.5〜11.0の範囲である。pH調整に用いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩(たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)を用いることができる。
【0122】
使用される現像液1Lに0.1molの水酸化ナトリウムを加えたときのpH上昇が0.4以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.4〜1.0である。
【0123】
現像液のカチオンとしては、ナトリウムイオンに比べてカリウムイオンの方が現像抑制をせず、またフリンジと呼ばれる黒化部のまわりのギザギザが少ない。
さらに、濃縮液として保存する場合には一般にカリウム塩のほうが溶解度が高くて好ましい。しかしながら、定着液においてカリウムイオンは銀イオンと同程度に定着阻害をすることから、現像液のカリウムイオン濃度が高いと、感光材料により現像液が持ち込まれることにより定着液中のカリウムイオン濃度が高くなり、好ましくない。以上のことから現像液におけるカリウムイオンとナトリウムイオンのモル比率は20:80〜80:20の間であることが好ましい。カリウムイオンとナトリウムイオンの比率は、pH緩衝剤、pH調整剤、保恒剤、キレート剤などの対カチオンで、上記の範囲で任意に調整できる。
【0124】
ランニングテストのなかで、現像主薬の減少は写真性に大きく影響する。そこで、現像液の現像主薬の減少を調べる方法として、以下の方法を用いた。
現像槽部の処理液と空気の接触面積(cm2)を現像タンク液量(cm3)で割ったものを開口率と定義する。現用されている自動現像機の開口率は一般的に0.05〜1.5である。
現像液600mlを1Lのポリビンに入れて、上記開口率を0.11に調整し、温度25℃、湿度(株)の暗室で4日経時する。経時前後の現像主薬量を測定し、減少量を経時前の現像主薬量で割って100を掛けて%で表わす。減少率が50%より大きいとランニングテストでの写真性の変動が大きく、また5%以下でも写真性変動(特にDmax)が大きく使用するのが困難である。本発明の感光材料に用いる現像液の好ましい減少率は7〜50%で、より好ましくは8〜40%である。
【0125】
現像液の補充量は、感光材料1m2につき323ml以下であり、323〜30mlが好ましく、323〜120mlが最も好ましい。現像補充液は、現像開始液と同一の組成および/または濃度を有していてもよいし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していてもよい。
【0126】
本発明における定着処理剤の定着剤としては、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムアンモニウムが使用できる。定着剤の使用量は適宜かえることができるが、一般には約0.7〜約3.0mol/Lである。
【0127】
本発明における定着液は、硬膜剤として作用する水溶性アルミニウム塩、水溶性クロム塩を含んでもよく、水溶性アルミニウム塩が好ましい。それにはたとえば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明礬、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウムなどがある。これらは使用液におけるアルミニウムイオン濃度として、0.01〜0.15mol/Lで含まれることが好ましい。
なお、定着液を濃縮液または固形剤として保存する場合、硬膜剤などを別パートとした複数のパーツで構成してもよいし、すべての成分を含む一剤型の構成としてもよい。
【0128】
定着処理剤には所望により保恒剤(たとえば亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩などを0.015mol/L以上、好ましくは0.02mol/L〜0.3mol/L)、pH緩衝剤(たとえば酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸、コハク酸、アジピン酸などを0.1mol/L〜1mol/L、好ましくは0.2mol/L〜0.7mol/L)、アルミニウム安定化能や硬水軟化能のある化合物(たとえばグルコン酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、安息香酸、サリチル酸、タイロン、アスコルビン酸、グルタル酸、アスパラギン酸、グリシン、システイン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸やこれらの誘導体およびこれらの塩、糖類などを0.001mol/L〜0.5mol/L、好ましくは0.005mol/L〜0.3mol/L)を含むことができが、近年の環境保護の点からホウ素系化合物は含まない方がよい。
【0129】
このほか、特開昭62−78551号公報に記載の化合物、pH調整剤(たとえば水酸化ナトリウム、アンモニア、硫酸など)、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤等も含むことができる。界面活性剤としては、たとえば硫酸化物スルホン酸化物などのアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6840号公報記載の両性界面活性剤が挙げられ、公知の消泡剤を使用することもできる。湿潤剤としては、アルカノールアミン、アルキレングリコール等がある。
定着促進剤としては、特開平6−308681号公報に記載のアルキルおよびアリル置換されたチオスルホン酸およびその塩や、特公昭45−35754号公報、同58−122535号公報、同58−122536号公報記載のチオ尿素誘導体、分子内に3重結合を有するアルコール、米国特許4126459号明細書記載のチオエーテル化合物、特開昭64−4739号公報、特開平1−4739号公報、同1−159645号公報および同3−101728号公報に記載のメルカプト化合物、同4−170539号公報に記載のメソイオン化合物、チオシアン酸塩を含むことができる。
【0130】
本発明における定着液のpHは、4.0以上が好ましく、より好ましくは4.5〜6.0を有する。定着液は処理により現像液が混入してpHが上昇するが、この場合、硬膜定着液では6.0以下好ましくは5.7以下であり、無硬膜定着液においては7.0以下好ましくは6.7以下である。
【0131】
定着液の補充量は、感光材料1m2につき500ml以下であり、390ml以下が好ましく、320〜80mlがより好ましい。補充液は、開始液と同一の組成および/または濃度を有していてもよいし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していてもよい。
【0132】
定着液は電解銀回収などの公知の定着液再生方法により再生使用することができる。再生装置としては、たとえば富士フイルム社製FS−2000などがある。
また、活性炭などの吸着フィルターを使用して、色素などを除去することも好ましい。
【0133】
本発明における現像および定着処理剤が液剤の場合、たとえば特開昭61−73147号公報に記載されたような、酸素透過性の低い包材で保管する事が好ましい。さらにこれらの液が濃縮液の場合、所定の濃度になるように、濃縮液1部に対して水0.2〜3部の割合で希釈して使用される。
【0134】
本発明における現像処理剤および定着処理剤は固形にしても液剤同様の結果が得られるが、保存安定性等の観点からは、固形処理剤が好ましい。以下に固形処理剤に関する記述を行う。
本発明における固形剤は、公知の形態(粉状、粒状、顆粒状、塊状、錠剤、コンパクター、ブリケット、板状、棒状、ペースト状など)が使用できる。これらの固形剤は、接触して互いに反応する成分を分離するために、水溶性のコーティング剤やフィルムで被覆してもよいし、複数の層構成にして互いに反応する成分を分離してもよく、これらを併用してもよい。
【0135】
被覆剤、造粒助剤には公知のものが使用できるが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリスチレンスルホン酸、ビニル系化合物が好ましい。
この他、特開平5−45805号公報カラム2の48行〜カラム3の13行目が参考にできる。
【0136】
複数の層構成にする場合は、接触しても反応しない成分を互いに反応する成分の間にはさんだ構成にして錠剤やブリケット等に加工してもよいし、公知の形態の成分を同様の層構成にして包装してもよい。これらの方法は、たとえば特開昭61−259921号公報、同4−16841号公報、同4−78848号公報、同5−93991号公報等に示されている。
【0137】
固形処理剤の嵩密度は、0.5〜6.0g/cm3が好ましく、特に錠剤は1.0〜5.0g/cm3が好ましく、顆粒は0.5〜1.5g/cm3が好ましい。
【0138】
本発明における固形処理剤の製法は、公知のいずれの方法を用いることができる。たとえば、特開昭61−259921号公報、特開平4−15641号公報、特開平4−16841号公報、同4−32837号公報、同4−78848号公報、同5−93991号公報、特開平4−85533号公報、同4−85534号公報、同4−85535号公報、同5−134362号公報、同5−197070号公報、同5−204098号公報、同5−224361号公報、同6−138604号公報、同6−138605号公報、同8−286329号公報等を参考にすることができる。
【0139】
より具体的には転動造粒法、押し出し造粒法、圧縮造粒法、解砕造粒法、撹拌造粒法、スプレードライ法、溶解凝固法、ブリケッティング法、ローラーコンパクティング法等を用いることができる。
【0140】
本発明における固形剤は、表面状態(平滑、多孔質等)や部分的に厚みを変えたり、中空状のドーナツ型にしたりして溶解性を調節することもできる。さらに、複数の造粒物に異なった溶解性を与えたり、溶解性の異なる素材の溶解度を合わせたりするために、複数の形状をとることも可能である。また、表面と内部で組成の異なる多層の造粒物でもよい。
【0141】
固形剤の包材は、酸素および水分透過性の低い材質が好ましく、包材の形状は袋状、筒状、箱状などの公知のものが使用できる。また、特開平6−242585号公報〜同6−242588号公報、同6−247432号公報、同6−247448号公報、同6−301189号公報、同7−5664号公報、同7−5666号公報〜同7−5669号公報に開示されているような折り畳み可能な形状にすることも、廃包材の保管スペース削減のためには好ましい。これらの包材は、処理剤の取り出し口にスクリューキャップや、プルトップ、アルミシールをつけたり、包材をヒートシールしてもよいが、このほかの公知のものを使用してもよく、特に限定はしない。さらに環境保全上、廃包材をリサイクルまたはリユースすることが好ましい。
【0142】
本発明の固形処理剤の溶解および補充の方法としては特に限定はなく、公知の方法を使用することができる。これらの方法としてはたとえば、撹拌機能を有する溶解装置で一定量を溶解し補充する方法、特開平9−80718号公報に記載されているような溶解部分と完成液をストックする部分とを有する溶解装置で溶解し、ストック部から補充する方法、特開平5−119454号公報、同6−19102号公報、同7−261357号公報に記載されているような自動現像機の循環系に処理剤を投入して溶解・補充する方法、溶解槽を内蔵する自動現像機で感光材料の処理に応じて処理剤を投入し溶解する方法などがあるが、このほかの公知のいずれの方法を用いることもできる。また処理剤の投入は、人手で行ってもよいし、特開平9−138495号公報に記載されているような開封機構を有する溶解装置や自動現像機で自動開封、自動投入してもよく、作業環境の点からは後者が好ましい。具体的には取り出し口を突き破る方法、はがす方法、切り取る方法、押し切る方法や、特開平6−19102号公報、同6−95331号公報に記載の方法などがある。
【0143】
現像、定着処理が済んだ感光材料は、ついで水洗または安定化処理される(以下特に断らない限り、安定化処理を含めて水洗といい、これらに使用する液を、水または水洗水という)。水洗に使用される水は、水道水でもイオン交換水でも蒸留水でも安定化液でもよい。これらの補充量は、一般的には感光材料1m2あたり約17L〜約8Lであるが、それ以下の補充量で行うこともできる。特に3L以下の補充量(0も含む。すなわち、ため水水洗)では、節水処理が可能となるのみならず、自動現像機設置の配管を不要とすることもできる。水洗を低補充量で行う場合は、特開昭63−18350号公報、同62−287252号公報等に記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減や、水垢防止のために種々の酸化剤(たとえばオゾン、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、活性ハロゲン、二酸化塩素、炭酸ナトリウム過酸化水素塩など)添加やフィルター濾過を組み合わせてもよい。
【0144】
水洗の補充量を少なくする方法として、古くより多段向流方式(たとえば2段、3段等)が知られており、水洗補充量は感光材料1m2あたり200〜50mlが好ましい。この効果は、独立多段方式(向流にせず、多段の水洗槽に個別に新液を補充する方法)でも同様に得られる。
【0145】
さらに、本発明の方法で水洗工程に水垢防止手段を施してもよい。水垢防止手段としては公知のものを使用することができ、特に限定はしないが、防ばい剤(いわゆる水垢防止剤)を添加する方法、通電する方法、紫外線または赤外線や遠赤外線を照射する方法、磁場をかける方法、超音波処理する方法、熱をかける方法、未使用時にタンクを空にする方法などがある。これらの水垢防止手段は、感光材料の処理に応じてなされてもよいし、使用状況に関係なく一定間隔で行われてもよいし、夜間など処理の行われない期間のみ施してもよい。またあらかじめ水洗水に施しておいて、これを補充してもよい。さらには、一定期間ごとに異なる水垢防止手段を行うことも、耐性菌の発生を抑える上では好ましい。
【0146】
節水水垢防止装置としては、富士フイルム社製装置AC−1000と水垢防止剤として富士フイルム社製AB−5を用いてもよく特開平11−231485号公報の方法を用いてもよい。
防ばい剤としては特に限定はなく公知のものが使用できる。前述の酸化剤の他たとえばグルタルアルデヒド、アミノポリカルボン酸等のキレート剤、カチオン性界面活性剤、メルカプトピリジンオキシド(たとえば2−メルカプトピリジン−N−オキシドなど)などがあり、単独使用でも複数の併用でもよい。
通電する方法としては、特開平3−224685号公報、同3−224687号公報、同4−16280号公報、同4−18980号公報などに記載の方法が使用できる。
【0147】
このほか、水泡ムラ防止や汚れ転写防止のために、公知の水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。また、感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号公報に記載の色素吸着剤を水洗系に設置してもよい。
【0148】
水洗工程からのオーバーフロー液の一部または全部は、特開昭60−235133号公報に記載されているように、定着能を有する処理液に混合利用することもできる。また微生物処理(たとえば硫黄酸化菌、活性汚泥処理や微生物を活性炭やセラミック等の多孔質担体に担持させたフィルターによる処理等)や、通電や酸化剤による酸化処理をして、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、沃素消費量等を低減してから排水したり、銀と親和性のあるポリマーを用いたフィルターやトリメルカプトトリアジン等の難溶性銀錯体を形成する化合物を添加して銀を沈降させてフィルター濾過するなどし、排水中の銀濃度を低下させることも、自然環境保全の観点から好ましい。
【0149】
また、水洗処理に続いて安定化処理する場合もあり、その例として特開平2−201357号公報、同2−132435号公報、同1−102553号公報、特開昭46−44446号公報に記載の化合物を含有した浴を感光材料の最終浴として使用してもよい。この安定浴にも必要に応じてアンモニウム化合物、Bi,Al等の金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防ばい剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。
【0150】
水洗、安定化浴に添加する防ばい剤等の添加剤および安定化剤は、前述の現像、定着処理剤同様に固形剤とすることもできる。
【0151】
本発明に使用する現像液、定着液、水洗水、安定化液の廃液は焼却処分することが好ましい。また、これらの廃液はたとえば特公平7−83867号公報、米国特許第5,439,560号明細書等に記載されているような濃縮装置で濃縮液化または固化させてから処分することも可能である。
【0152】
処理剤の補充量を低減する場合には、処理槽の開口面積を小さくして液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。ローラー搬送型の自動現像機については米国特許第3,025,779号明細書、同3,545,971号明細書などに記載されており、本明細書においては単にローラー搬送型自動現像機として言及する。この自現機は現像、定着、水洗および乾燥の四工程からなっており、本発明の方法も、他の工程(たとえば停止工程)を除外しないが、この四工程を踏襲するのが最も好ましい。さらに、現像定着間および/または定着水洗間にリンス浴(洗浄槽)を設けてもよい。
【0153】
本発明の現像処理では、処理開始から乾燥後まで(dry to dry)で25〜160秒が好ましく、現像および定着時間が40秒以下、好ましくは6〜35秒、各液の温度は25〜50℃が好ましく、30〜40℃が好ましい。水洗の温度および時間は0〜50℃で40秒以下が好ましい。本発明の方法によれば、現像、定着および水洗された感光材料は水洗水を絞りきる、すなわちスクイズローラーを経て乾燥してもよい。乾燥は約40〜約100℃で行われ、乾燥時間は周囲の状態によって適宜かえられる。乾燥方法は公知のいずれの方法も用いることができ特に限定はないが、温風乾燥や、特開平4−15534号公報、同5−2256号公報、同5−289294号公報に開示されているようなヒートローラー乾燥、遠赤外線による乾燥などがあり、複数の方法を併用してもよい。
【0154】
本発明に用いられるイメージセッターとしては、富士写真フイルム(株)製のLuxl F9000やラックスセッターRC−5600V、大日本スクリーン(株)製のイメージセッターFT−R5055アグファゲバルト(株)製のセレクトセット5000、アバントラ25、もしくはアキュセット1000、サイテックス(株)製のドレブ450、もしくはドレブ800、ハイデル(株)製のライノ630、クエーサー、ハーキュレスエリート、もしくはシグナセッター、もしくはラクセルF−9000、またはプレプレス(株)製のパンサープロ62などがあげられる。
PCB、PWB分野のフォトマスク用プロッターとしては、大日本スクリーン製造(株)製のRG−7000、RG−7500、RG−4000、RG−4500、RG−8000、Orbotech(株)製LP−5008、LP−7008、Dynatron(株)製RP208NT、RP212NT、RP308NT、RP312NT、RP508NT、RP512NT、旭光学工業(株)製LPP3655、LPP3677、LPP3700、LPP3690 などがあげられる。
【0155】
【実施例】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0156】
<実施例1>
【0157】
3液に用いるヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005質量%、KClの20質量%水溶液)およびヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001質量%、NaClの20質量%水溶液)は、粉末をそれぞれKClの20質量%水溶液、NaClの20質量%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0158】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、粒子サイズが0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、粒子サイズを0.21μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
【0159】
【0160】
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、下記に示すアニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.2±0.2の範囲であった)。次に上澄み液を約3L除去した(第一水洗)。さらに3Lの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。その後、再度上澄み液を3L除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返して(第三水洗)水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン45gを加え、pH5.6、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え、55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。
最終的に臭化銀を40mol%、沃化銀を0.08mol%含む平均粒子サイズ0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.2x103kg/m3、粘度=50mPa・sとなった。
また、乳剤Aの3液および5液に含まれる塩化ナトリウムと臭化カリウムの量や、これらの液の調製温度を適宜変更することにより、ハロゲン組成が異なるハロゲン化銀を含む乳剤も調製した。具体的には、乳剤に含まれるハロゲン化銀を構成するハロゲンにしめるBrの割合が35mol%、55mol%、75mol%および90mol%の乳剤も調製した。
調製した乳剤は、以下に記載する試料番号1〜17のハロゲン化銀写真感光材料の調製に用いた。各試料の調製の際に用いた乳剤に含まれるハロゲン化銀を構成するハロゲンにしめるBrの割合は表1に示すとおりとした。
【0161】
【化19】
【0162】
[下引層と導電性層の形成]
ポリエチレンテレフタレート支持体(厚味100μm)の乳剤層を塗設する側の表面に8W/(m2・min)のコロナ放電処理を施し、その上に下記の下引層塗布液S1と下引層塗布液S2をそれぞれの乾燥膜厚が0.8μm、0.1μmになるように塗設した。さらに、バック層を塗設する側の表面に8W/(m2・min)のコロナ放電処理を施し、その上に下記の下引層塗布液B1と下記の導電性ポリマー層塗布液または比較導電性層塗布液を、それぞれの乾燥膜厚が0.8μm、0.8μmになるように塗設した後、複数のロール群からなるフィルム搬送装置を有する熱処理式オーブン中を搬送させながら熱処理を行った。この時オーブン内を4つのゾーンに分割し、第1ゾーンを前熱処理処ゾーンとし、後半の第2〜第4ゾーンを熱処理用の冷却ゾーンをとした。
【0163】
第1〜第4ゾーンの温度をそれぞれ140℃、100℃、90℃、80℃とし、さらに、第2〜第4の熱処理用の冷却ゾーンを通過する時間を120秒になるようにライン速度を調整した。
【0164】
【0165】
〈下引層塗布液S2〉
ゼラチン 10g
化合物▲1▼ 0.2g
化合物▲2▼ 0.2g
化合物▲3▼ 0.1g
シリカ粒子(平均粒子サイズ:3μm) 0.1g
水 全量が1000mlとなる量
【0166】
〈下引層塗布液B1〉
ブチルアクリレート40重量%,スチレン20重量%およびグリシジルアクリレート40重量%の共重合体ラテックス液
(固形分30%) 270g
化合物▲1▼ 0.6g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレン尿素) 0.8g
水 全量が1000mlとなる量
【0167】
〈導電性ポリマー層塗布液〉
導電性ポリマー(表1に示す種類) 60g
化合物▲4▼を成分とするラテックス液(固形分20%) 0.1g
硫酸アンモニウム 0.5g
硬化剤▲5▼ 12g
ポリエチレングリコール(重量平均分子量600) 6g
水 全量が1000mlとなる量
【0168】
〈比較導電性層塗布液〉
ゼラチン 10g
ブチルアクリレート40重量%、ブチレン20重量%およびグリシジルアクリレート40重量%の共重合ラテックス液
(固形分30%) 270g
化合物▲1▼ 0.6g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレン尿素) 0.8g
金属酸化物粒子の分散液 粒子200g相当量
水 全量が1000mlとなる量
【0169】
比較導電性層塗布液に用いた金属酸化物粒子の分散液は、以下の手順で調製した。
塩化第二スズ水和物230gと三酸化アンチモン23gをエタノール3000mlに溶解し均一溶液を得た。この溶液に1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を、前記溶液のpHが3になるまで滴下し、コロイド状酸化第二スズと酸化アンチモンの共沈殿を得た。得られた共沈殿を50℃に24時間放置し赤褐色のコロイド状沈殿を遠心分離により分離した。蒸留水にて沈殿を何度も水洗し、過剰イオンを除去した。過剰イオンを除去したコロイド状沈殿200gを水1500mlに再分散し、800℃に加熱した焼成濾に噴霧し、平均粒子サイズ0.2μmの粉末を得た。この粉末の結晶子サイズは41.5nm、体積固有抵抗1×102Ω・cmであった。この粉末400gと水600gの混合液をpH7.0に調整し、撹拌機およびサンドミルで金属酸化物粒子の分散液を調製した。
【0170】
【化20】
【0171】
【化21】
【0172】
[バック層、中間層、乳剤層および保護層の形成]
下引層および導電性ポリマー層(または比較導電性層)を形成した上記ポリエチレンテレフタレートフィルム支持体に、さらに層を形成した。すなわち、バック層を塗設する側の導電性ポリマー層の上に、下記のバック層塗布液を塗設し乾燥した後、さらに乳剤層を塗設する側の下引層S2の上に、下記の中間層第1層/乳剤層/保護層下層/保護層上層の構成となるように各塗布液を同時重層塗布し乾燥して試料を作製した。
【0173】
<乳剤層塗布液>
乳剤Aに、増感色素(SD−1)5mg/m2を加えて分光増感を施した。さらに、下記化合物を下記塗布量になる様に順次攪拌しながら添加し、良く混合した。
クエン酸を用いて塗布液のpHを5.7に調整した。ゼラチン濃度は3.1質量%、粘度は50±5mPa・sであった。このようにして調製した乳剤層塗布液を、支持体に形成した下引層S2上に、Ag2.9g/m2、ゼラチン1.25g/m2になるように塗布した。ハロゲン化銀以外の固形分は、2.1g/m2であった。
【0174】
<中間層塗布液>
ゼラチン 0.5g/m2
ベンゾトリアゾール化合物(表1に示す種類) 表1に示す量
ポリエチルアクリレートラテックス 0.15g/m2
化合物W 2mg/m2
酢酸 3mg/m2
化合物(Cpd−4) 100mg/m2
化合物(Cpd−5) 15mg/m2
防腐剤(プロキセル) 2mg/m2
ゼラチン濃度は1.8質量%、塗布液のpHは5.4±0.3、粘度は増粘剤Zを添加して40±5mPa・s(40℃)に調整した。
【0175】
<保護層下層塗布液>
ゼラチン 0.7g/m2
化合物(Cpd−6) 15mg/m2
1,5−ジヒドロキシ−2−ベンズアルドキシム 10mg/m2
ベンゾトリアゾール化合物(表1に示す種類) 表1に示す量
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
化合物(Cpd−7) 3mg/m2
防腐剤(プロキセル) 1.5mg/m2
ゼラチン濃度は7.5質量%、塗布液のpHは5.7±0.3、粘度は増粘剤Zを添加して40±5mPa・s(40℃)に調整した。
【0176】
<保護層上層塗布液>
ゼラチン 0.3g/m2
不定形シリカマット剤(平均粒子サイズ3.5μm) 25mg/m2
化合物(Cpd−8)(ゼラチン分散物) 20mg/m2
コロイダルシリカ(粒子サイズ10〜20μm) 30mg/m2
(日産化学製スノーテックスC)
化合物(Cpd−9) 20mg/m2
化合物(Cpd−11) 30mg/m2
防腐剤(プロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)) 1mg/m2
ゼラチン濃度は4.5質量%、塗布液のpHは6.5±0.3、粘度は増粘剤Zを添加して50±5mPa・s(40℃)に調整した。
【0177】
【0178】
【化22】
【0179】
【化23】
【0180】
【化24】
【0181】
[評価]
得られた試料について、下記の評価を行った。
【0182】
<画質の評価>
得られた試料を670nmにピークを持つ干渉フィルターと線幅30μmの細線を複数有する光学ウェッジを介して、発光時間10−6秒のキセノンフラッシュ光で露光し、自動現像機(富士写真フイルム(株)製、FG−710F)を用いて35℃にて現像時間30秒で処理した。なお、現像液および定着液は、下記処方の液を用いた。
線幅30μmを再現する露光量の細線を光学顕微鏡(倍率400倍)で観察し、線のエッジ部の鮮鋭度・スムーズ性を5段階で評価した。「5」が最良で、「1」が最悪とした。結果を表1に示す。
【0183】
<表面抵抗率の測定>
試料を25℃、相対湿度25%の条件下に12時間放置した後、電極間距離0.14cm、電極長さ10cmのステンレス製電極に挟み、エレクトロメーター(タケダ理研製、TR8651)を用いて電圧100Vで1分後の表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
【0184】
水酸化カリウムを加え、さらに水を加えて全量を1リットルとし、pHを10.7に合わせた。
【0185】
スタート液(母液)は上記の液と水を体積比1:3で混合して調整した(pHは10.4)。補充液は上記の液と水を体積比1:2で混合して調整した(pHは10.45)。
補充量は大全(50.8×61.0cm)1枚当たり100ml、または、1m2当たり323mlとした。
【0186】
[定着液処方] 濃縮液1Lあたりの処方
チオ硫酸アンモニウム 360g
エチレンジアミン・四酢酸・2Na・2水塩 0.09g
チオ硫酸ナトリウム・5水塩 33.0g
メタ亜硫酸ナトリウム 57.0g
水酸化ナトリウム 37.2g
酢酸(100%) 90.0g
酒石酸 8.7g
グルコン酸ナトリウム 5.1g
硫酸アルミニウム 25.2g
pH 4.85
使用にあたっては、上記濃縮液と水を体積比1:3で混合して希釈した。使用液のpHは4.8であった。
【0187】
【表1】
【0188】
表1から明らかな様に、本発明の試料を用いれば細線の鮮明な画像が得られることが確認された。
【0189】
<実施例2>
実施例1の現像液処方からジエチレングリコールを除いた処方を基に、下記積層の順序でポリエチレン容器に細密充填した固形現像剤と固形定着剤を調製した。これらの固形現像剤と固形定着剤を用いて実施例1の試料番号1〜3を処理したところ、実施例1と同様に細線の鮮明な画像が得られることが確認された。
【0190】
現像剤
第一層 ハイドロキノン
第二層 その他成分
第三層 KBr
第四層 Na2S2O5
第五層 炭酸カリウム
第六層 KOHペレット
この処方を溶解して3Lにして使用した。
【0191】
定着剤は、下記処方を現像剤と同じに充填したものを使用した。
【0192】
<実施例3>
実施例1の試料番号1の硬調化剤を、同量の化合物(Cpd−16)〜化合物(Cpd−19)にそれぞれ置き換えて、試料番号18〜21を実施例1と同様に作製した。得られた試料について、実施例1と同様に細線の画質の評価を行なった。その結果、実施例1と同様に良好な画像が得られることが確認された。
【0193】
【化25】
【0194】
【発明の効果】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料を用いれば、細線が鮮明で、欠陥がない画像を形成することができる。このため、本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、近年の高精細化に十分に対応することができ、写真製版用途に適している。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料に関し、詳しくは帯電防止性に優れ、かつ写真製版用途に最適な画像を得ることが可能なハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クラフィックアーツの分野においては、網点画像による連続階調の画像の再生あるいは線画像の再生を良好ならしめるために、超硬調(特にγが10以上)の写真性を示す画像形成システムが必要とされている。そして、良好な保存安定性を有する処理液で現像し、超硬調な写真特性が得られる画像形成システムが要望されている。このような要望に応えるものとして、特定のアシルヒドラジン化合物を添加した表面潜像型ハロゲン化銀写真感光材料を、亜硫酸保恒剤を0.15mol/L以上含むpH11.0〜12.3の現像液で処理してγが10を超える超硬調のネガ画像を形成するシステムが提案されている(特許文献1〜7)。従来の超硬調画像形成システムでは塩化銀含有率の高い塩臭化銀しか使用できなかったのに対して、この画像形成システムでは沃臭化銀や沃塩臭化銀でも使用できるという特徴がある。また、従来のリス現像液が極微量の亜硫酸保恒剤しか含有できなかったのに対して、この画像形成システムでは多量の亜硫酸保恒剤を含有できるため、比較的保存安定性がよいという特徴もある。
【0003】
近年の写真製版分野においては、高精細化の要望が強く、特に、PCB(PrintedCircuit Board)、PWB(Printed Wiring Board)分野においては、基板配線の高密度化が要求されている。このためPCB、PWB用フォオトマスクの細線の高精細化が強く望まれており、ハロゲン化銀写真感光材料において、更なる高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な画像を形成することが強く要求されている。
高解像度で鮮明な画像を形成するためには、画像の欠陥を極力防止することが必要である。このため、ハロゲン化銀写真感光材料の画像の欠陥の原因になる静電気によるゴミの付着・スタチックマークの発生などを防止することが求められている。そのための帯電防止技術として、金属酸化物を導電性物質として用いる技術が提供されている(特許文献8〜11)。しかしながら、これらの帯電防止技術は、優れたものではあるが、高精細化に要求される鮮明な画像を形成するという点においては、不十分であり、更なる改良が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,166,742号明細書
【特許文献2】米国特許第4,168,977号明細書
【特許文献3】米国特許第4,221,857号明細書
【特許文献4】米国特許第4,224,401号明細書
【特許文献5】米国特許第4,243,739号明細書
【特許文献6】米国特許第4,272,606号明細書
【特許文献7】米国特許第4,311,781号明細書
【特許文献8】特開昭56−143431号公報
【特許文献9】特開平4−29134号公報
【特許文献10】特開平10−142738号公報
【特許文献11】特開平11−223901号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明が解決しようとする課題は、写真製版用途に最適な画像を得ることが可能な写真ハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。すなわち、細線が鮮明で、欠陥がない画像を形成することができ、近年の高精細化に十分に対応しうるハロゲン化銀写真感光材料を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層および保護層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層および/または他の親水性コロイド層に硬調化剤およびベンゾトリアゾール系化合物を含有し、かつ25℃相対湿度25%の雰囲気下における表面抵抗率が1012Ω以下の導電性ポリマー層を少なくとも1層有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料によれば課題を解決しうることを見出した。
【0007】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料では、該ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤の臭化銀含有率が40〜90mol%であり、かつ、該ハロゲン化銀乳剤層と支持体との間に親水性コロイド中間層を有することが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明のハロゲン化銀写真感光材料について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0009】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層および保護層を有する。また、本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、該ハロゲン化銀乳剤層および/または他の親水性コロイド層に硬調化剤およびベンゾトリアゾール系化合物を含有する。硬調化剤およびベンゾトリアゾール系化合物は、同一の層に含まれていてもよいし、別の層に個別に含まれていてもよい。さらに本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、25℃相対湿度25%の雰囲気下における表面抵抗率が1012Ω以下の導電性ポリマー層を少なくとも1層有する。
【0010】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤用のハロゲン化銀は、臭化銀を40〜90mol%含有し、特に臭化銀を40〜90mol%含有する塩臭化銀または沃塩臭化銀を用いることが好ましい。より好ましい臭化銀含有量は40〜75mol%である。ハロゲン化銀粒子の形状は、立方体、十四面体、八面体、不定型、板状いずれでもよいが、立方体が好ましい。ハロゲン化銀の平均粒子サイズは0.1μm〜0.7μmが好ましいが、より好ましくは0.1〜0.5μmである。また、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数は15%以下であることが好ましく、10%以下の粒子サイズ分布の狭いものがより好ましい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部あるいは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の塗布銀量は3.5g/m2以下であることが好ましく、2.0〜3.0g/m2であることがより好ましい。
【0011】
本発明に用いられる乳剤は、酸性法や中性法等のいずれの方法で調製したものでもよい。例えば、P.Glafkides著 Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Dufin著 Photographic Emulsion Chemistry (The Forcal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著 Making and Coating Photographic Emulsion(The Forcal Press刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを採用してもよい。粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。
【0012】
同時混合法の1つの形式としてハロゲン化銀が生成する液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることが好ましい。ハロゲン化銀溶剤としてより好ましいのは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号公報、同55−77737号公報に記載されている。好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンである。
ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり10−5〜10−2molが好ましい。
【0013】
コントロールド・ダブルジェット法およびハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法によれば、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易である。このため、これらの方法は本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤を調製するのに有用な手段である。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号公報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を超えない範囲において速く成長させることが好ましい。
【0014】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、VIII族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラストおよび低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物などを含有することが好ましい。また、高感度化のためには、K4[Fe(CN)6]やK4[Ru(CN)6]、K3[Cr(CN)6]のような六シアノ化金属錯体でドープするのが効果的である。
【0015】
本発明に用いられるロジウム化合物として、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト、アコ等を持つもの、例えば、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられる。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0016】
本発明に用いられるレニウム、ルテニウム、オスミニウムは特開昭63−2042号公報、特開平1−285941号公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML6〕n−
ここでMはRu、Re、またはOsを表し、Lは配位子、nは0、1、2、3または4を表す。この場合、対イオンは重要性を持たず、アンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる錯体の具体例を示すが、本発明で用いることができる錯体はこれらに限定されるものではない。
【0017】
〔ReCl6〕3− 〔ReBr6〕3−
〔ReCl5(NO)〕2− 〔Re(NS)Br5〕2−
〔Re(NO)(CN)5〕2− 〔Re(O)2(CN)4〕3−
〔RuCl6〕3− 〔RuCl4(H2O)2〕1−
〔RuCl5(NO)〕2− 〔RuBr5(NS)〕2−
〔Ru(CO)3Cl3〕2− 〔Ru(CO)Cl5〕2−
〔Ru(CO)Br5〕2− 〔OsCl6〕3−
〔OsCl5(NO)〕2− 〔Os(NO)(CN)5〕2−
〔Os(NS)Br5〕2− 〔Os(CN)6〕4−
〔Os(O)2(CN)4〕4−
【0018】
これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1mol当り1×10−9mol〜1×10−5molの範囲が好ましく、特に好ましくは1×10−8mol〜1×10−6molである。
本発明に用いられるイリジウム化合物としては、ヘキサクロロイリジウム、ヘキサブロモイリジウム、ヘキサアンミンイリジウム、ペンタクロロニトロシルイリジウム等が挙げられる。本発明に用いられる鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
【0019】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は化学増感されることが好ましい。化学増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、貴金属増感法などの知られている方法を用いることができ、単独または組み合わせて用いられる。
組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
【0020】
本発明に用いられる硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。チオ尿素化合物としては米国特許第4,810,626号明細書に記載の特定四置換チオ尿素化合物が特に好ましい。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲン化銀1mol当り10−7〜10−2molであり、より好ましくは10−5〜10−3molである。
【0021】
本発明に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号公報、同43−13489号公報、特開平4−109240号公報、同4−324855号公報等に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(VIII)および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0022】
本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−313284号公報に記載の方法で試験することができる。
具体的には、米国特許第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635(1980),ibid 1102(1979),ibid 645(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.)1,2191(1980)、S.パタイS.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Serenium and Tellunium Compounds),Vol 1(1986)、同Vol 2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(II)(III)(IV)で示される化合物が好ましい。
【0023】
本発明で用いられるセレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1mol当たり10−8〜10−2mol、好ましくは10−7〜10−3mol程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
本発明に用いられる貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられるが、特に金増感が好ましい。本発明に用いられる金増感剤としては具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金などが挙げられ、ハロゲン化銀1mol当たり10−7〜10−2mol程度を用いることができる。
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
【0024】
本発明においては、還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物などを用いることができる。
本発明のハロゲン化銀乳剤は、欧州特許公開EP第293,917A号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明に用いられるハロゲン化銀写真感光材料中のハロゲン化銀乳剤は、1種類〜3種類を併用することが好ましい。2種以上を併用する場合には、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、含有する金属錯体の量、種類が異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの、感度の異なるものを併用することが好ましい。中でも高コントラストを得るためには、特開平6−324426号公報に記載されているように、支持体に近いほど高感度な乳剤を塗布することが好ましい。
【0025】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層および/または他の親水性コロイド層に硬調化剤を含有する。硬調化剤の種類は特に制限されないが、下記一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体を少なくとも1種用いることが好ましい。
【0026】
一般式(D)
【化1】
【0027】
式中、R20は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表し、R10は水素原子またはブロック基を表し、G10は−CO−,−COCO−,−C(=S)−,−SO2−,−SO−,−PO(R30)−基(R30はR10に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R10と異なっていてもよい。),またはイミノメチレン基を表す。A10、A20はともに水素原子、あるいは一方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。
【0028】
一般式(D)において、R20で表される脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換の、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。
一般式(D)において、R20で表される芳香族基は単環もしくは縮合環のアリール基で、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。R20で表されるヘテロ環基としては、単環または縮合環の、飽和もしくは不飽和の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基で、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンズイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピペリジン環、トリアジン環等が挙げられる。
R20として好ましいものはアリール基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0029】
R20が示す基は置換されていてもよく、代表的な置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロロ原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、N−置換の含窒素ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イソチオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。
これら置換基は、これらの置換基でさらに置換されていてもよい。
【0030】
R20が有していてもよい置換基として好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基(活性メチレン基を含む)、アラルキル基、ヘテロ環基、置換アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その塩を含む)、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0031】
一般式(D)において、R10は水素原子またはブロック基を表すが、ブロック基とは具体的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基を表す。
【0032】
R10で表されるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基,2−カルボキシテトラフルオロエチル基,ピリジニオメチル基、ジフルオロメトキシメチル基、ジフルオロカルボキシメチル基、3−ヒドロキシプロピル基、メタンスルホンアミドメチル基、ベンゼンスルホンアミドメチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、フェニルスルホニルメチル基、o−ヒドロキシベンジル基などが挙げられる。アルケニル基として好ましくは炭素数1から10のアルケニル基であり、例えばビニル基、2,2−ジシアノビニル基、2−エトキシカルボニルビニル基、2−トリフルオロ−2−メトキシカルボニルビニル基等が挙げられる。アルキニル基として好ましくは炭素数1から10のアルキニル基であり、例えばエチニル基、2−メトキシカルボニルエチニル基等が挙げられる。アリール基としては単環もしくは縮合環のアリール基が好ましく、ベンゼン環を含むものが特に好ましい。例えばフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−メタンスルホンアミドフェニル基、2−カルバモイルフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基などが挙げられる。
【0033】
ヘテロ環基として好ましくは、少なくとも1つの窒素、酸素、および硫黄原子を含む5〜6員の、飽和もしくは不飽和の、単環もしくは縮合環のヘテロ環基で、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基であってもよく、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基(N−置換)、ピペラジノ基、イミダゾリル基、インダゾリル基(4−ニトロインダゾリル基等)、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリジニオ基(N−メチル−3−ピリジニオ基等)、キノリニオ基、キノリル基などがある。モルホリノ基、ピペリジノ基、ピリジル基、ピリジニオ基等が特に好ましい。
【0034】
アルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としてはフェノキシ基が好ましく、アミノ基としては無置換アミノ基、および炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基(4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む)が好ましい。アミノ基の例としては、2、2、6、6−テトラメチルピペリジン−4−イルアミノ基、プロピルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、アニリノ基,o−ヒドロキシアニリノ基、5−ベンゾトリアゾリルアミノ基、N−ベンジル−3−ピリジニオアミノ基等が挙げられる。ヒドラジノ基としては置換もしくは無置換のヒドラジノ基、または置換もしくは無置換のフェニルヒドラジノ基(4−ベンゼンスルホンアミドフェニルヒドラジノ基など)が特に好ましい。
【0035】
R10で表される基は置換されていてもよく、好ましい置換基としてはR20の置換基として例示したものがあてはまる。
【0036】
一般式(D)においてR10はG10−R10の部分を残余分子から分裂させ、−G10−R10部分の原子を含む環式構造を生成させる環化反応を生起するようなものであってもよく、その例としては、例えば特開昭63−29751号公報などに記載のものが挙げられる。
【0037】
一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよい。かかる吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,108号明細書、同4,459,347号明細書、特開昭59−195233号公報、同59−200231号公報、同59−201045号公報、同59−201046号公報、同59−201047号公報、同59−201048号公報、同59−201049号公報、特開昭61−170733号公報、同61−270744号公報、同62−948号公報、同63−234244号公報、同63−234245号公報、同63−234246号公報に記載された基が挙げられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平2−285344号公報に記載された基が挙げられる。
【0038】
一般式(D)のR10またはR20はその中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれているものでもよい。本発明においてバラスト基とは、6以上の炭素数を有する、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(またはアルキレン基)、アルコキシ基(またはアルキレンオキシ基)、アルキルアミノ基(またはアルキレンアミノ基)、アルキルチオ基、あるいはこれらを部分構造として有する基を表し、さらに好ましくは炭素数7以上で炭素数24以下の、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(またはアルキレン基)、アルコキシ基(またはアルキレンオキシ基)、アルキルアミノ基(またはアルキレンアミノ基)、アルキルチオ基、あるいはこれらを部分構造として有する基を表す。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号公報に記載のものが挙げられる。
【0039】
一般式(D)のR10またはR20は、置換基としてヒドラジノ基を複数個含んでいてもよく、この時一般式(D)で表される化合物は、ヒドラジノ基に関しての多量体を表し、具体的には例えば特開昭64−86134号公報、特開平4−16938号公報、特開平5−197091号公報、国際公開WO95ー32452号公報、同WO95−32453号公報、特開平9−179229号公報、特開平9−235264号公報、特開平9−235265号公報、特開平9−235266号公報、特開平9−235267号公報等に記載された化合物が挙げられる。
【0040】
一般式(D)のR10またはR20は、その中に、カチオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含む基、4級化されたリン原子を含む基、または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、あるいは解離性基(アルカリ性の現像液で解離しうる酸性度の低いプロトンを有する基もしくは部分構造、あるいはまたその塩を意味し、具体的には、例えばカルボキシ基/−COOH、スルホ基/−SO3H、ホスホン酸基/−PO3H、リン酸基/−OPO3H、ヒドロキシ基/−OH基、メルカプト基/−SH、−SO2NH2基、N−置換のスルホンアミド基/−SO2NH−基、−CONHSO2−基、−CONHSO2NH−基、−NHCONHSO2−基、−SO2NHSO2−基、−CONHCO−基、活性メチレン基、含窒素ヘテロ環基に内在する−NH−基、またはこれらの塩等)が含まれていてもよい。これらの基が含まれる例としては、例えば特開平7−234471号公報、特開平5−333466号公報、特開平6−19032号公報、特開平6−19031号公報、特開平5−45761号公報、米国特許4994365号明細書、米国特許4988604号明細書、特開平7−259240号公報、特開平7−5610号公報、特開平7−244348号公報、独特許4006032号、特開平11−7093号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0041】
一般式(D)においてA10、A20は水素原子、炭素数20以下のアルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくはフェニルスルホニル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたフェニルスルホニル基)、炭素数20以下のアシル基(好ましくはベンゾイル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたベンゾイル基、あるいは直鎖、分岐、または環状の置換もしくは無置換の脂肪族アシル基(ここに置換基としては、例えばハロゲン原子、エーテル基、スルホンアミド基、カルボンアミド基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等が挙げられる))である。A10、A20としては水素原子が最も好ましい。
【0042】
次に本発明において、特に好ましく用いられるヒドラジン誘導体について述べる。
R20は置換フェニル基が特に好ましく、置換基としてはスルホンアミド基、アシルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、チオウレイド基、イソチオウレイド基、スルファモイルアミノ基、N−アシルスルファモイルアミノ基等が特に好ましく、さらにスルホンアミド基、ウレイド基が好ましく、スルホンアミド基が最も好ましい。
一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体は、R20またはR10に、置換基として、直接または間接的に、バラスト基、ハロゲン化銀への吸着基、4級のアンモニオ基を含む基、4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基、エチレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、アルカリ性の現像処理液中で解離しうる解離性基、もしくは多量体を形成しうるヒドラジノ基(−NHNH−G10−R10で表される基)の少なくとも1つが置換されていることが特に好ましい。さらには、R20の置換基として、直接または間接的に、前述の何れか1つの基を有することが好ましく、最も好ましいのは、R20がベンゼンスルホンアミド基で置換されたフェニル基を表し、そのベンゼンスルホンアミド基のベンゼン環上の置換基として、直接または間接的に、前述の何れか1つの基を有する場合である。
【0043】
R10で表される基のうち好ましいものは、G10が−CO−基の場合には、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、置換アリール基(置換基としては電子吸引性基またはo−ヒドロキシメチル基が特に好ましい)であり、最も好ましくは水素原子またはアルキル基である。
G10が−COCO−基の場合にはアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基が好ましく、特に置換アミノ基、詳しくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基が好ましい。
またG10が−SO2−基の場合には、R10はアルキル基、アリール基または置換アミノ基が好ましい。
【0044】
一般式(D)においてG10は好ましくは−CO−基または−COCO−基であり、特に好ましくは−CO−基である。
【0045】
次に一般式(D)で示される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明で用いることができる一般式(D)で示される化合物は以下の化合物に限定されるものではない。
【0046】
【化2】
【0047】
【化3】
【0048】
【化4】
【0049】
【化5】
【0050】
【化6】
【0051】
【化7】
【0052】
【化8】
【0053】
【化9】
【0054】
【化10】
【0055】
【化11】
【0056】
【化12】
【0057】
本発明に用いられるヒドラジン誘導体としては、上記のものの他に、下記のヒドラジン誘導体も好ましく用いられる。本発明に用いられるヒドラジン誘導体はまた、下記の特許に記載された種々の方法により合成することができる。
【0058】
特公平6−77138号に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物。特公平6−93082号に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物。特開平6−230497号公報に記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、および39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6−7。特開平6−289520号公報に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−17)および2−1)。特開平6−313936号公報に記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物。特開平6−313951号公報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物。特開平7−5610号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I−1〜I−38。特開平7−77783号公報に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102。特開平7−104426号公報に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44。特開平9−22082号公報に記載のヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A),一般式(B),一般式(C),一般式(D),一般式(E),一般式(F)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物N−1〜N−30。特開平9−22082号公報に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物D−1〜D−55。この他、国際公開WO95−32452号公報、同WO95−32453号公報、特開平9−179229号公報、特開平9−235264号公報、特開平9−235265号公報、特開平9−235266号公報、特開平9−235267号公報、特開平9−319019号公報、特開平9−319020号公報、特開平10−130275号公報、特開平11−7093号公報、特開平6−332096号公報、特開平7−209789号公報、特開平8−6193号公報、特開平8−248549号公報、特開平8−248550号公報、特開平8−262609号公報、特開平8−314044号公報、特開平8−328184号公報、特開平9−80667号公報、特開平9−127632号公報、特開平9−146208号公報、特開平9−160156号公報、特開平10−161260号公報、特開平10−221800号公報、特開平10−213871号公報、特開平10−254082号公報、特開平10−254088号公報、特開平7−120864号公報、特開平7−244348号公報、特開平7−333773号公報、特開平8−36232号公報、特開平8−36233号公報、特開平8−36234号公報、特開平8−36235号公報、特開平8−272022号公報、特開平9−22083号公報、特開平9−22084号公報、特開平9−54381号公報、特開平10−175946号公報、記載のヒドラジン誘導体。
【0059】
本発明においてヒドラジン系硬調化剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0060】
本発明においてヒドラジン系硬調化剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層、あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。また、2種類以上のヒドラジン系硬調化剤を併用して使用することもできる。
本発明における硬調化剤の添加量はハロゲン化銀1molに対し1×10−5〜1×10−2molが好ましく、1×10−5〜5×10−3molがより好ましく、2×10−5〜5×10−3molが最も好ましい。
【0061】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料中には、造核促進剤としてアミン誘導体、オニウム塩、ジスルフィド誘導体またはヒドロキシメチル誘導体を内蔵することが好ましい。本発明に用いられる造核促進剤の例として、特開平7−77783号公報48頁2行〜37行に記載の化合物で、具体的には49頁〜58頁に記載の化合物A−1)〜A−73);特開平7−84331号公報に記載の(化21)、(化22)および(化23)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜8頁に記載の化合物;特開平7−104426号公報に記載の一般式〔Na〕および一般式〔Nb〕で表される化合物で、具体的には同公報16頁〜20頁に記載のNa−1〜Na−22の化合物およびNb−1〜Nb−12の化合物;特開平8−272023号公報に記載の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)および一般式(7)で表される化合物で、具体的には同明細書に記載の1−1〜1−19の化合物、2−1〜2−22の化合物、3−1〜3−36の化合物、4−1〜4−5の化合物、5−1〜5−41の化合物、6−1〜6−58の化合物、および7−1〜7−38の化合物;特開平9−297377号公報のp55,カラム108の8行〜p69,カラム136の44行までに記載の造核促進剤を挙げることができる。
【0062】
本発明に用いられる造核促進剤の具体例を以下に示す。但し、本発明で用いることができる造核促進剤は以下の化合物に限定されるものではない。
【0063】
【化13】
【0064】
【化14】
【0065】
本発明の造核促進剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、造核促進剤の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0066】
本発明の造核促進剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層、あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。
本発明の造核促進剤の添加量はハロゲン化銀1molに対し1×10−6〜2×10−2molが好ましく、1×10−5〜2×10−2molがより好ましく、2×10−5〜1×10−2molが最も好ましい。また、2種類以上の造核促進剤を併用して使用することもできる。
【0067】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤は、感光材料の用途にあわせて、増感色素によって比較的長波長の青色光、緑色光、赤色光または赤外光に分光増感されてもよい。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。
本発明に使用される有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item18341X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
特に各種スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
【0068】
例えば、A)アルゴンレーザー光源に対しては、特開昭60−162247号公報に記載の(I)−1から(I)−8の化合物、特開平2−48653号公報に記載のI−1からI−28の化合物、特開平4−330434号公報に記載のI−1からI−13の化合物、米国特許2,161,331号明細書に記載のExample1からExample14の化合物、西独特許936,071号明細書記載の1から7の化合物、B)ヘリウム−ネオンレーザーおよび赤色レーザーダイオード光源に対しては、特開昭54−18726号公報に記載のI−1からI−38の化合物、特開平6−75322号公報に記載のI−1からI−35の化合物および特開平7−287338号公報に記載のI−1からI−34の化合物、特許公報第2822138号に記載の2−1から2−14,3−(1)から3−(14),4−1から4−6の化合物、C)LED光源に対しては特公昭55−39818号公報に記載の色素1から20、特開昭62−284343号公報に記載のI−1からI−37の化合物および特開平7−287338号公報に記載のI−1からI−34の化合物、特許公報第2822138号に記載の2−1から2−14,3−(1)から3−(14),4−1から4−6の化合物、D)半導体レーザー光源に対しては特開昭59−191032号公報に記載のI−1からI−12の化合物、特開昭60−80841号公報に記載のI−1からI−22の化合物、特開平4−335342号公報に記載のI−1からI−29の化合物および特開昭59−192242号公報に記載のI−1からI−18の化合物、E)製版カメラのタングステンおよびキセノン光源に対しては特開昭55−45015号公報に記載の一般式〔I〕で表される(1)から(19)の化合物、特開平6−242547号公報に記載の4−Aから4−Sの化合物、5−Aから5−Qの化合物、6−Aから6−Tの化合物および特開平9−160185号公報に記載のI−1からI−97の化合物などが有利に選択されるが、本発明で用いることができる増感色素はこれらに限定されない。
【0069】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure)176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは前述の特公昭49−25500号公報、同43−4933号公報、特開昭59−19032号公報、同59−192242号公報等に記載されている。
【0070】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
また、米国特許第3,469,987号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、該溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号公報、同44−27555号公報、同57−22091号公報等に開示されているように、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号明細書、同第4,006,025号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53−102733号公報、同58−105141号公報に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51−74624号公報に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。
また、溶液に超音波を用いることもできる。
【0071】
本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766号明細書、同第3,628,960号明細書、同第4,183,756号明細書、同第4,225,666号明細書、特開昭58−184142号公報、同60−196749号公報等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号公報等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号明細書、特開昭58−7629号公報等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0072】
本発明の増感色素の添加量は、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズ、ハロゲン組成、化学増感の方法と程度、カブリ防止剤の種類等により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり、4×10−6〜8×10−3molで用いることができる。例えばハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀粒子の表面積1m2あたり、2×10−7〜3.5×10−6molの添加量が好ましく、6.5×10−7〜2.0×10−6molの添加量がより好ましい。
【0073】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層および/またはその他の親水性コロイド層や、支持体を挟んでハロゲン化銀乳剤層を有する側と反対側の親水性コロイド層中に、ベンゾトリアゾール系化合物を含有する。特にハロゲン化銀乳剤層を有する側の親水性コロイド層に含有させるのが好ましい。
【0074】
本発明に用いられるベンゾトリアゾール系化合物は、いかなる構造の物を用いてもよいが下記に示す構造の物が好ましい。
(1)5,6−ジメチルベンゾトリアゾール
(2)5−ブチルベンゾトリアゾール
(3)5−メチルベンゾトリアゾール
(4)5−クロロベンゾトリアゾール
(5)5−ブロモベンゾトリアゾール
(6)5,6−ジクロロベンゾトリアゾール
(7)4,6−ジクロロベンゾトリアゾール
(8)5−ニトロベンゾトリアゾール
(9)4−ニトロ−6−クロロベンゾトリアゾール
(10)4,5,6−トリクロロベンゾトリアゾール
(11)5−カルボキシベンゾトリアゾール
(12)5−スルホベンゾトリアゾール
(13)5−メトキシカルボニルベンゾトリアゾール
(14)5−アミノベンゾトリアゾール
(15)5−ブトキシベンゾトリアゾール
(16)5−ウレイドベンゾトリアゾール
(17)ベンゾトリアゾール
【0075】
本発明で用いるベンゾトリアゾール系化合物のうち特に好ましいものは、ベンゾトリアゾールまたは5−メチルベンゾトリアゾールである。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料におけるベンゾトリアゾール系化合物の添加量は、ハロゲン化銀1molに対して1×10−4〜1×10−1molが好ましく、1×10−3〜7×10−2molが特に好ましい。
【0076】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、25℃、相対湿度25%環境下での表面抵抗率が1×1012Ω以下の導電性を有するポリマー層(以下導電性ポリマー層と記す)を少なくとも1層有する。
導電性ポリマー層は、支持体の片面に形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。片面に形成される場合は、バック面に形成されていることが好ましい。また、導電性ポリマー層は、片面に2層以上形成されていても構わない。
導電性ポリマー層に用いる導電性ポリマーの種類は特に限定されず、アニオン性,カチオン性,両性およびノニオン性のいずれの導電性ポリマーでも良い。その中でも好ましいのは、アニオン性,カチオン性の導電性ポリマーである。アニオン性の導電性ポリマーとして好ましいのは、スルホン酸系,カルボン酸系のポリマーであり、カチオン性の導電性ポリマーとして好ましいのは、3級アミン系,4級アンモニウム系のポリマーまたはラテックスである。
【0077】
本発明で用いることができる導電性ポリマーの具体例として、例えば特公昭52−25251号公報,特開昭51−29923号公報,特公昭60−48024号公報記載のアニオン性ポリマーまたはラテックス、特公昭57−18176号公報,同57−56059号公報,同58−56856号公報,米国特許第4,118,231号明細書などに記載のカチオン性ポリマーまたはラテックスを挙げることができる。
【0078】
以下に、これらの導電性ポリマーの具体例を挙げるが、本発明で用いることができる導電性ポリマーはこれらに限定されるものではない。
【0079】
【化15】
【0080】
【化16】
【0081】
【化17】
【0082】
【化18】
【0083】
これら導電性ポリマーは単独でも使用することができるが、他のバインダーと併用して塗布されることが好ましい。さらにまた、これらのバインダーと共に硬化剤も併用することができる。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料における導電性ポリマーの含有量は、好ましくは0.005〜5g/m2であり、より好ましくは0.01〜3g/m2、さらに好ましくは0.02〜1g/m2である。
バインダーを併用する場合、導電性ポリマーとバインダーの重量比は99:1から10:90が好ましく、80:20から20:80がさらに好ましく、70:30から30:70が特に好ましい。
【0084】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の導電性ポリマー層中には、硬膜剤を含有することが好ましい。
このような硬膜剤としては、例えばホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド化合物、米国特許2,732,303号明細書、同3,288,775号明細書、英国特許974,723号明細書、同1,167,207号明細書等に記載されている反応性ハロゲンを有する化合物、ジアセチル、シクロペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、ジビニルスルホン、5−アセチル−1,3−ジアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、米国特許3,232,763号明細書、同3,635,718号明細書、英国特許994,809号明細書等に記載の反応性オレフィンを有する化合物、米国特許3,539,644号明細書、同3,642,486号明細書、特公昭49−13568号公報、同53−47271号公報、同56−48860号公報、特開昭53−57257号公報、同61−128240号公報、同62−4275号公報、同63−53541号公報、同63−264572号公報等に記載のビニルスルホン化合物、N−ヒドロキシメチルフタルイミド、米国特許2,732,316号明細書、同2,586,168号明細書等に記載のN−メチロール化合物、米国特許3,103,437号明細書等に記載のイソシアネート化合物、米国特許2,983,611号明細書、同3,107,280号明細書等に記載のアジリジン化合物、米国特許2,725,294号明細書、同2,725,295号明細書等に記載の酸誘導体類、米国特許3,100,704号等に記載のカルボジイミド系化合物、米国特許3,091,537号明細書等に記載のエポキシ系化合物、米国特許3,321,313号明細書、同3,543,292号明細書等に記載のイソオキサゾール系化合物、ムコクロロ酸のようなハロゲノカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサン、ジクロロジオキサン等のジオキサン誘導体等の有機硬膜剤およびクロムミョウバン、硫酸ジルコニウム、三塩化クロム等の無機硬膜剤である。またゼラチンに対して比較的硬膜作用が比較的速い硬膜剤としては、特開昭50−38540号公報に記載のジヒドロキノリン骨格を有する化合物、特開昭51−59625号公報、同62−262854号公報、同62−264044号公報、同63−184741号公報に記載のN−カルバモイルピリジニウム塩類、特公昭55−38655号公報に記載のアシルイミダゾール類、特公昭53−22089号公報に記載のN−アシルオキシイミダゾール類、特公昭53−22089号公報に記載のN−アシルオキシイミノ基を分子内に2個以上有する化合物、特開昭52−93470号公報に記載のN−スルホニルオキシイミド基を有する化合物、特開昭58−113929号公報に記載のリン−ハロゲン結合を有する化合物、特開昭60−225148号公報、同61−240236号公報、同63−41580号公報に記載のクロロホルムアミジニウム化合物等を挙げることができる。
これらの添加量は、バインダーに対し質量比で、0.001〜1であることが好ましい。
【0085】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いられるマット剤は、写真的諸特性に悪影響を及ぼさない固体粒子であれば、どのようなものでもよい。例えば、特開平10−268464号公報段落番号[0009]〜[0013]に記載のものが挙げられる。
有機重合体のマット剤の具体例としては、アルキルアクリレート、アルキルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、スチレン、またはこれらとアクリル酸、メタアクリル酸など親水性基を共重合したものなどの水不溶性または難溶性の合成ポリマー、無機のマット剤としては、酸化物(二酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)、アルカリ土類金属塩(硫酸バリウム、硫酸ストロンチウムなど)、画像を形成しないハロゲン化銀粒子などが挙げられる。マット剤の形状は、定形(例、球状)または不定形のいずれでも良い。
本発明で用いるマット剤の平均粒子サイズは2〜15μmであることが好ましく、3〜10μmであることがより好ましい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料におけるマット剤の添加量は、5〜400mg/m2であることが好ましく、10〜200mg/m2であることがより好ましい。
【0086】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層を有する面の表面粗さは、マット剤の平均粒子サイズおよび添加量を種々変化させることによってコントロールすることができる。マット剤を含有させる層は、ハロゲン化銀写真感光材料を構成するどの層でもよいが、ハロゲン化銀乳剤層を有する側は、ピンホールを防止するため支持体より遠い位置の層に含有することが好ましく、特に最外層が好ましい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の表面粗さは、乳剤層を有する面およびその反対面の最外層表面の少なくとも一方、好ましくは両方のベック平滑度が、4000秒以下であり、より好ましくは10秒〜4000秒である。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
【0087】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料におけるバック面と、ゴム硬度が80±10度のゴムシートの平滑面との静摩擦係数は、線速度600cm/minにおいて0.9以上であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましい。また、動摩擦係数は0.5以上であることが好ましく、さらに0.6〜0.9であることが好ましい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料におけるハロゲン化銀乳剤層を有する側の静摩擦係数は、0.5以上であることが好ましく、さらに0.6〜0.9であることが好ましい。
本発明における静摩擦係数(μs)は、JIS−K7125に記載の摩擦係数試験方法と同様の原理で測定し求めることができる。
【0088】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる支持体は、通常のハロゲン化銀写真感光材料に用いうる支持体の中から適宜選択することができる。例えばバライタ紙、ポリエチレン被覆紙、ポリプロピレン合成紙、セルロースアセテート、セルロースナイトレート、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、特開平7−234478号公報、および米国特許第5,558,979号明細書に記載のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる支持体、特開昭64−538号公報、米国特許第4,645,731号明細書、同4,933,267号明細書、同4,954,430号明細書に記載のポリエステルフィルムを塩化ビニリデン共重合体で被覆した支持体を挙げることができる。これらの支持体は、それぞれハロゲン化銀写真感光材料の使用目的に応じて適宜選択される。特に、ポリエチレンテレフタレートなどの透明支持体が好ましく用いられる。
【0089】
本発明では、ハロゲン化銀乳剤層およびその他の親水性コロイド層のバインダーとして、ゼラチンが好ましく用いられるが、特開平2−18542号公報第3頁右下1行目から20行目、特開平10−268464号公報段落番号[0025]記載のポリマーも好ましく用いることができる。
ハロゲン化銀乳剤層を有する側の全親水性コロイド層のバインダー塗布量は3.5g/m2以下であることが好ましく、2.0〜3.0g/m2であることがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層を有する側の全親水性コロイド層およびその反対側の面の全親水性コロイド層の全バインダー量は7.5g/m2以下であることが好ましく、7.0g/m2以下であることがより好ましく、2.0〜6.0g/m2であることがさらに好ましい。
【0090】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料では、非感光性親水性コロイド保護層の全層のバインダー量が1.5g/m2以下であることが好ましく、0.5〜1.0g/m2であることがより好ましい。ハロゲン化銀乳剤層とその上部の保護層全層とのバインダーの質量比は、0.8〜1.5であることが好ましい。
【0091】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層と支持体との間に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド中間層を有することが好ましい。
本発明における非感光性親水性コロイド中間層の親水性コロイドとしてはゼラチンを用いるのが好ましい。該非感光性親水性コロイド中間層には、さらにポリマーラテックスを添加することが好ましい。ポリマーラテックスとしては、平均粒子サイズが20nm〜200nmの水不溶性ポリマーの水分散物で、ポリマーのガラス転移温度(Tg)が40℃以下、好ましくは20℃〜−50℃であるものを用いることが望ましい。ポリマーラテックスの使用量はバインダーに対する乾燥質量比で0.01〜2.0であることが好ましく、0.3〜1.0であることがより好ましい。
【0092】
前記非感光性親水性コロイド中間層全層のバインダー量は1.0g/m2以下であることが好ましく、0.1〜0.8g/m2であることがより好ましい。
前記非感光性親水性コロイド中間層を支持体に塗布する際の塗布液のゼラチン濃度は0.05〜6.0質量%であることが好ましく、1.0〜5.0質量%であることがより好ましい。
【0093】
本発明において、圧力増減感改良等の目的で、特開平3−39948号公報第10頁右下11行目から同公報第12頁左下5行目に記載のポリヒドロキシベンゼン化合物を用いることが好ましい。具体的には、同公報に記載の化合物(III)−1〜25の化合物が挙げられる。
【0094】
本発明では、脆性、寸度安定性、圧力増減感等の改良の目的で、ハロゲン化銀乳剤層およびその他の非感光性親水性コロイド層にポリマーラテックスを添加することが好ましい。ポリマーラテックスとしては、米国特許第2,763,652号明細書、同2,852,382号明細書、特開昭64−538号公報、同62−115152号公報、特開平5−66512号公報、同5−80449号公報、特公昭60−15935号公報、特公平6−64058号公報、同5−45014号公報などに記載のアルキルアクリレート、アルキルメタクリレートなどの種々のモノマーから成るポリマーラテックス、特公昭45−5819号公報、同46−22507号公報、特開昭50−73625号公報、特開平7−152112号公報、特開平8−137060号公報などに記載の活性メチレン基を有するモノマーとアルキルアクリレートなどのモノマーと共重合したポリマーラテックスなどが挙げられる。特に好ましくは、特開平8−248548号公報、特開平8−208767号公報、特開平8−220669号公報などに記載のシェル部に活性メチレン基を含有するエチレン性不飽和モノマーから成る繰り返し単位を有するコア/シェル構造を有するポリマーラテックスである。これらのシェル部に活性メチレン基を有するコア/シェル構造のポリマーラテックスは、写真感光材料のウェット膜強度を低下せずに、脆性、寸度安定性、感光材料同士などの接着のし難さなどの特性が向上し、また、ラテックス自身の剪断安定性の向上が得られる。
ポリマーラテックスの使用量は、添加すべき層のバインダー(例えばゼラチン)に対して乾燥質量比で0.01〜4.0であることが好ましく、0.1〜2.0であることがより好ましい。
【0095】
本発明では、ハロゲン化銀写真感光材料の保存性、圧力増減感改良等の目的で塗膜のpHを低下させるために、特開平7−104413号公報第14頁左1行目から同頁右30行目に記載の酸性ポリマーラテックスを用いることが好ましい。具体的には同公報15頁に記載の化合物II−1)〜II−9)、特開平2−103536号公報第18頁右下6行目から同公報19頁左上1行目に記載の酸基を有する化合物を挙げることができる。
ハロゲン化銀乳剤層を有する側の塗布膜のpHは、4〜6が好ましい。
【0096】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層またはその他の親水性コロイド層には、塗布助剤、添加剤の分散・可溶化剤、滑性向上、接着防止性付与、帯電防止性付与および写真特性改良(例えば、現像促進、硬調化、増感、保存性)等の目的で、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば、特開平2−12236号公報第9頁右上7行目から同頁右下3行目に記載の界面活性剤、特開平2−103536号公報第18頁左下4行目から同頁左下7行目に記載のPEG系界面活性剤、具体的には、同公報に記載の化合物VI−1〜VI−15の化合物、特開平2−18542号公報第4頁右上2行目から第4頁右下下から3行目、特開平3−39948号公報第12頁左下6行目から同公報第13頁右下5行目に記載の含フッ素界面活性剤を挙げることができる。
【0097】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の耐傷性、圧力増減感特性等の改良の目的で、種々の滑り剤を用いることができる。例えば、特開平2−103536号公報第19頁左上15行目から同公報19頁右上15行目、特開平4−214551号公報段落番号[0006]〜[0031]に記載の滑剤を挙げることができる。
【0098】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の塗膜の可塑剤として、特開平2−103536号公報第19頁左上12行目から同公報19頁右上15行目に記載の化合物を含有することができる。
【0099】
本発明において、親水性バインダーの架橋剤として、特開平2−103536号公報第18頁右上5行目から同頁右上17行目、特開平5−297508号公報段落番号[0008]〜[0011]に記載の化合物を用いることができる。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の乳剤層および保護層を含めた親水性コロイド層の膨潤率は50〜200%の範囲が好ましく、より好ましくは70〜180%の範囲である。親水性コロイド層の膨潤率は、ハロゲン化銀写真感光材料における乳剤層および保護層を含めた親水性コロイド層の厚み(d0)を測定し、該ハロゲン化銀写真感光材料を25℃の蒸留水に1分間浸漬し、膨潤した厚み(Δd)を測定し、膨潤率(%)=Δd÷d0×100の計算式によって求める。
【0100】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の塗布後乾燥する際の乾燥、乾燥後にロール状に巻き取られるときの環境、加工、熱処理等は、特開平10−268464号公報段落番号[0026]〜[0032]に記載の方法で行うことが好ましい。
【0101】
塗布後の感光材料は、塗布から現像処理までの任意の時点で加熱熱処理をされることが好ましい。加熱処理は、塗布直後から引き続いて行ってもよいし、ある期間が経過してから行ってもよいが、短期間(例えば1日以内)で加熱処理に入ることが好ましい。加熱処理は主に現像処理に耐えうる膜強度にするための硬膜反応促進のためであり、加熱処理条件は、硬膜剤の種類やその添加量、膜pH、所要する膜強度等によって適宜決定しなければならないが、30〜60℃が好ましく、より好ましくは35℃〜50℃である。加熱処理の期間は30分〜10日間が好ましい。
【0102】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料においては、上記以外の各種添加剤を用いることに特に制限はない。例えば下記箇所に記載されたものを好ましく用いることができる。
すなわち、特開平1−118832号公報に記載の一般式(I)で表される実質的には可視域に吸収極大をたない化合物、具体的には、同公報に記載の化合物I−1〜I−26の化合物;特開平2−103536号公報第17頁右下19行目から同公報18頁右上4行目に記載のカブリ防止剤;特開平2ー103536号公報第18頁右下6行目から同公報19頁左上1行目に記載の酸基を有する化合物;特開平2−103536号公報第17頁右下1行目から同頁右上18行目に記載の水溶性染料;特開平7−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される固体分散染料、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)。特開平2−294638号公報および特開平5−11382号公報に記載の固体分散染料;特開平2−103536号公報第18頁左下4行目から同頁左下7行目に記載のPEG系界面活性剤;特開平5−274816号公報に記載の酸化されることにより現像抑制剤を放出しうるレドックス化合物、好ましくは同公報に記載の一般式(R−1),一般式(R−2),一般式(R−3)で表されるレドックス化合物、具体的には、同公報に記載の化合物R−1〜R−68の化合物等を挙げることができる。
【0103】
以下に本発明のハロゲン化銀写真感光材料を処理するための現像液、定着液などの処理剤および処理方法等について述べるが、言うまでもなく本発明は以下の記述および具体例に限定されるものではない。
【0104】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の現像処理には、公知の方法のいずれを用いることもできるし、現像処理液には公知のものを用いることができる。
【0105】
現像液(以下、現像開始液および現像補充液の双方をまとめて現像液という。)に用いる現像主薬には特別な制限はないが、ジヒドロキシベンゼン類や、ハイドロキノンモノスルホン酸塩を含むことが好ましく、単独使用でも併用でもよい。特に、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬およびこれと超加成性を示す補助現像主薬を含有することが好ましく、ジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類の組み合わせ、またはジヒドロキシベンゼン類とp−アミノフェノール類の組み合わせなどを挙げることができる。
本発明に用いる現像主薬において、ジヒドロキシベンゼン現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノンなどがあるが、特にハイドロキノンが好ましい。
【0106】
本発明に用いる1−フェニル−3−ピラゾリドンまたはその誘導体の現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4、4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンなどがある。
本発明に用いるp−アミノフェノール系現像主薬としてN−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシフェニル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、o−メトキシ−p−(N、N−ジメチルアミノ)フェノール、o−メトキシ−p−(N−メチルアミノ)フェノールなどがあるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノール、または特開平9−297377号公報および特開平9−297378号公報に記載のアミノフェノール類が好ましい。
【0107】
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は通常0.05mol/L〜0.8mol/Lの量で用いられるのが好ましい。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類の組み合わせを用いる場合には前者を0.05mol/L〜0.6mol/L、好ましくは0.10mol/L〜0.5mol/L、後者を0.06mol/L以下、好ましくは0.03mol/L〜0.003mol/Lの量で用いるのが好ましい。
【0108】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料を処理する際の現像液には、通常用いられる添加剤(たとえば現像主薬、アルカリ剤、pH緩衝剤、保恒剤、キレート剤等)を含有することができる。以下にこれらの具体例を示すが、本発明で用いる添加剤はこれらに限定されるものではない。
【0109】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ベンゾトリアゾール系化合物の存在下で現像処理することが好ましい。現像液に用いられるベンゾトリアゾール系化合物は、いかなる構造の物を用いてもよいが、前述の化合物例が好ましい。現像液に用いられるベンゾトリアゾール系化合物で特に好ましいものは、ベンゾトリアゾールまたは5−メチルベンゾトリアゾールである。ベンゾトリアゾール系化合物の現像液に添加する量は、7.5×10−5〜7.5×10−3mol/Lが好ましく、7.5×10−5〜5.0×10−3mol/Lが特に好ましい。また、ベンゾトリアゾール系化合物は2種以上併用して使用してもよいし、ハロゲン化銀写真感光材料と現像液添加を併用してもよい。
【0110】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料を現像処理する際の現像液に用いられる緩衝剤としては、炭酸塩、特開昭62−186259号公報に記載のほう酸、特開昭60−93433号公報に記載の糖類(たとえばサッカロース)、オキシム類(たとえばアセトオキシム)、フェノール類(たとえば5−スルホサリチル酸)、第3リン酸塩(たとえばナトリウム塩、カリウム塩)などが用いられ、好ましくは炭酸塩が用いられる。緩衝剤、特に炭酸塩の使用量は、好ましくは0.05mol/L以上、特に0.08〜1.0mol/Lである。
【0111】
本発明に用いられる保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどがある。亜硫酸塩は好ましくは0.2mol/L以上、特に0.3mol/L以上用いられるが、あまりに多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、上限は1.2mol/Lとするのが望ましい。特に好ましくは、0.35〜0.7mol/Lである。
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩と併用して前記のアスコルビン酸誘導体を少量使用してもよい。なかでも素材コストの点からエリソルビン酸ナトリウムを用いることが好ましい。添加量はジヒドロキシベンゼン系現像主薬に対して、モル比で0.03〜0.12の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.10の範囲である。保恒剤としてアスコルビン酸誘導体を使用する場合には現像液中にホウ素化合物を含まないことが好ましい。
【0112】
上記以外に用いられる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムのような現像抑制剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドのような有機溶剤、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、イミダゾールまたはその誘導体等の現像促進剤、ヘテロ環メルカプト化合物(たとえば3−(5−メルカプトテトラゾール−1−イル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールなど)、特開昭62−212651号公報に記載の化合物を物理現像ムラ防止剤として添加することもできる。
【0113】
また、メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤または黒ポツ(black pepper)防止剤として含んでもよい。
具体的には、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンゾイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンゾイミダゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、4−((2−メルカプト−1、3、4−チアジアゾール−2−イル)チオ)ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1、3、4−チアジアゾール−2−チオールなどを挙げることができる。これらの添加剤の量は、通常現像液1Lあたり0.01〜10mmolであり、より好ましくは0.1〜2mmolである。
【0114】
さらに本発明で用いる現像液中には各種の有機、無機のキレート剤を単独または併用で用いることができる。
無機キレート剤としてはたとえば、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどを用いることができる。
一方、有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸および有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
有機カルボン酸としてはたとえば、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グルコン酸、アジピン酸、ピメリン酸、アシエライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などを挙げることができる。
【0115】
アミノポリカルボン酸としてはたとえば、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミンモノヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテル四酢酸、1、2−ジアミノプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1、3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、その他特開昭52−25632号公報、同55−67747号公報、同57−102624号公報、および特公昭53−40900号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0116】
有機ホスホン酸としては、たとえば米国特許第3,214,454号明細書、同3,794,591号明細書および西独特許公開2,227,369号明細書等に記載のヒドロキシアルキリデン−ジホスホン酸やリサーチ・ディスクロージャー第181巻,Item 18170(1979年5月号)等に記載の化合物が挙げられる。
アミノホスホン酸としては、たとえばアミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられるが、その他上記リサーチ・ディスクロージャー18170、特開昭57−208554号公報、同54−61125号公報、同55−29883号公報、同56−97347号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0117】
有機ホスホノカルボン酸としては、たとえば特開昭52−102726号公報、同53−42730号公報、同54−121127号公報、同55−4024号公報、同55−4025号公報、同55−126241号公報、同55−65955号公報、同55−65956号公報および前述のリサーチ・ディスクロージャー18170等に記載の化合物を挙げることができる。
【0118】
これらのキレート剤の中で特にジエチレントリアミン類が好ましい。ジエチレントリアミン類の中でもジエチレントリアミン五酢酸およびその金属塩がより好ましい。
【0119】
これらの有機および/または無機のキレート剤は、前述のものに限定されるものではない。また、アルカリ金属塩やアンモニウム塩の形で使用してもよい。これらのキレート剤の添加量としては、現像液1Lあたり好ましくは、1×10−4〜1×10−1mol、より好ましくは1×10−3〜1×10−2molである。
【0120】
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、たとえば特開昭56−24347号公報、特公昭56−46585号公報、特公昭62−2849号公報、特開平4−362942号公報、特開平8−6215号公報に記載の化合物の他、メルカプト基を1つ以上有するトリアジン(たとえば特公平6−23830号公報、特開平3−282457号公報、特開平7−175178号公報に記載の化合物)、同ピリミジン(たとえば2−メルカプトピリミジン、2、6−ジメルカプトピリミジン、2、4−ジメルカプトピリミジン、5、6−ジアミノ−2、4−ジメルカプトピリミジン、2、4、6−トリメルカプトピリミジン、特開平9−274289号公報記載の化合物など)、同ピリジン(たとえば2−メルカプトピリジン、2、6−ジメルカプトピリジン、3、5−ジメルカプトピリジン、2、4、6−トリメルカプトピリジン、特開平7−248587号公報に記載の化合物など)、同ピラジン(たとえば2−メルカプトピラジン、2、6−ジメルカプトピラジン、2、3−ジメルカプトピラジン、2、3、5−トリメルカプトピラジンなど)、同ピリダジン(たとえば3−メルカプトピリダジン、3、4−ジメルカプトピリダジン、3、5−ジメルカプトピリダジン、3、4、6−トリメルカプトピリダジンなど)、特開平7−175177号公報に記載の化合物、米国特許5457011号明細書に記載のポリオキシアルキルホスホン酸エステルなどを用いることができる。これらの銀汚れ防止剤は単独または複数の併用で用いることができ、添加量は現像液1Lあたり0.05〜10mmolが好ましく、0.1〜5mmolがより好ましい。
また、溶解助剤として特開昭61−267759号公報記載の化合物を用いることができる。
さらに必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。
【0121】
現像液の好ましいpHは9.0〜11.0であり、特に好ましくは9.2〜11.0、さらに好ましくは9.5〜11.0の範囲である。pH調整に用いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩(たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)を用いることができる。
【0122】
使用される現像液1Lに0.1molの水酸化ナトリウムを加えたときのpH上昇が0.4以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.4〜1.0である。
【0123】
現像液のカチオンとしては、ナトリウムイオンに比べてカリウムイオンの方が現像抑制をせず、またフリンジと呼ばれる黒化部のまわりのギザギザが少ない。
さらに、濃縮液として保存する場合には一般にカリウム塩のほうが溶解度が高くて好ましい。しかしながら、定着液においてカリウムイオンは銀イオンと同程度に定着阻害をすることから、現像液のカリウムイオン濃度が高いと、感光材料により現像液が持ち込まれることにより定着液中のカリウムイオン濃度が高くなり、好ましくない。以上のことから現像液におけるカリウムイオンとナトリウムイオンのモル比率は20:80〜80:20の間であることが好ましい。カリウムイオンとナトリウムイオンの比率は、pH緩衝剤、pH調整剤、保恒剤、キレート剤などの対カチオンで、上記の範囲で任意に調整できる。
【0124】
ランニングテストのなかで、現像主薬の減少は写真性に大きく影響する。そこで、現像液の現像主薬の減少を調べる方法として、以下の方法を用いた。
現像槽部の処理液と空気の接触面積(cm2)を現像タンク液量(cm3)で割ったものを開口率と定義する。現用されている自動現像機の開口率は一般的に0.05〜1.5である。
現像液600mlを1Lのポリビンに入れて、上記開口率を0.11に調整し、温度25℃、湿度(株)の暗室で4日経時する。経時前後の現像主薬量を測定し、減少量を経時前の現像主薬量で割って100を掛けて%で表わす。減少率が50%より大きいとランニングテストでの写真性の変動が大きく、また5%以下でも写真性変動(特にDmax)が大きく使用するのが困難である。本発明の感光材料に用いる現像液の好ましい減少率は7〜50%で、より好ましくは8〜40%である。
【0125】
現像液の補充量は、感光材料1m2につき323ml以下であり、323〜30mlが好ましく、323〜120mlが最も好ましい。現像補充液は、現像開始液と同一の組成および/または濃度を有していてもよいし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していてもよい。
【0126】
本発明における定着処理剤の定着剤としては、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムアンモニウムが使用できる。定着剤の使用量は適宜かえることができるが、一般には約0.7〜約3.0mol/Lである。
【0127】
本発明における定着液は、硬膜剤として作用する水溶性アルミニウム塩、水溶性クロム塩を含んでもよく、水溶性アルミニウム塩が好ましい。それにはたとえば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明礬、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウムなどがある。これらは使用液におけるアルミニウムイオン濃度として、0.01〜0.15mol/Lで含まれることが好ましい。
なお、定着液を濃縮液または固形剤として保存する場合、硬膜剤などを別パートとした複数のパーツで構成してもよいし、すべての成分を含む一剤型の構成としてもよい。
【0128】
定着処理剤には所望により保恒剤(たとえば亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩などを0.015mol/L以上、好ましくは0.02mol/L〜0.3mol/L)、pH緩衝剤(たとえば酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸、コハク酸、アジピン酸などを0.1mol/L〜1mol/L、好ましくは0.2mol/L〜0.7mol/L)、アルミニウム安定化能や硬水軟化能のある化合物(たとえばグルコン酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、安息香酸、サリチル酸、タイロン、アスコルビン酸、グルタル酸、アスパラギン酸、グリシン、システイン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸やこれらの誘導体およびこれらの塩、糖類などを0.001mol/L〜0.5mol/L、好ましくは0.005mol/L〜0.3mol/L)を含むことができが、近年の環境保護の点からホウ素系化合物は含まない方がよい。
【0129】
このほか、特開昭62−78551号公報に記載の化合物、pH調整剤(たとえば水酸化ナトリウム、アンモニア、硫酸など)、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤等も含むことができる。界面活性剤としては、たとえば硫酸化物スルホン酸化物などのアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6840号公報記載の両性界面活性剤が挙げられ、公知の消泡剤を使用することもできる。湿潤剤としては、アルカノールアミン、アルキレングリコール等がある。
定着促進剤としては、特開平6−308681号公報に記載のアルキルおよびアリル置換されたチオスルホン酸およびその塩や、特公昭45−35754号公報、同58−122535号公報、同58−122536号公報記載のチオ尿素誘導体、分子内に3重結合を有するアルコール、米国特許4126459号明細書記載のチオエーテル化合物、特開昭64−4739号公報、特開平1−4739号公報、同1−159645号公報および同3−101728号公報に記載のメルカプト化合物、同4−170539号公報に記載のメソイオン化合物、チオシアン酸塩を含むことができる。
【0130】
本発明における定着液のpHは、4.0以上が好ましく、より好ましくは4.5〜6.0を有する。定着液は処理により現像液が混入してpHが上昇するが、この場合、硬膜定着液では6.0以下好ましくは5.7以下であり、無硬膜定着液においては7.0以下好ましくは6.7以下である。
【0131】
定着液の補充量は、感光材料1m2につき500ml以下であり、390ml以下が好ましく、320〜80mlがより好ましい。補充液は、開始液と同一の組成および/または濃度を有していてもよいし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していてもよい。
【0132】
定着液は電解銀回収などの公知の定着液再生方法により再生使用することができる。再生装置としては、たとえば富士フイルム社製FS−2000などがある。
また、活性炭などの吸着フィルターを使用して、色素などを除去することも好ましい。
【0133】
本発明における現像および定着処理剤が液剤の場合、たとえば特開昭61−73147号公報に記載されたような、酸素透過性の低い包材で保管する事が好ましい。さらにこれらの液が濃縮液の場合、所定の濃度になるように、濃縮液1部に対して水0.2〜3部の割合で希釈して使用される。
【0134】
本発明における現像処理剤および定着処理剤は固形にしても液剤同様の結果が得られるが、保存安定性等の観点からは、固形処理剤が好ましい。以下に固形処理剤に関する記述を行う。
本発明における固形剤は、公知の形態(粉状、粒状、顆粒状、塊状、錠剤、コンパクター、ブリケット、板状、棒状、ペースト状など)が使用できる。これらの固形剤は、接触して互いに反応する成分を分離するために、水溶性のコーティング剤やフィルムで被覆してもよいし、複数の層構成にして互いに反応する成分を分離してもよく、これらを併用してもよい。
【0135】
被覆剤、造粒助剤には公知のものが使用できるが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリスチレンスルホン酸、ビニル系化合物が好ましい。
この他、特開平5−45805号公報カラム2の48行〜カラム3の13行目が参考にできる。
【0136】
複数の層構成にする場合は、接触しても反応しない成分を互いに反応する成分の間にはさんだ構成にして錠剤やブリケット等に加工してもよいし、公知の形態の成分を同様の層構成にして包装してもよい。これらの方法は、たとえば特開昭61−259921号公報、同4−16841号公報、同4−78848号公報、同5−93991号公報等に示されている。
【0137】
固形処理剤の嵩密度は、0.5〜6.0g/cm3が好ましく、特に錠剤は1.0〜5.0g/cm3が好ましく、顆粒は0.5〜1.5g/cm3が好ましい。
【0138】
本発明における固形処理剤の製法は、公知のいずれの方法を用いることができる。たとえば、特開昭61−259921号公報、特開平4−15641号公報、特開平4−16841号公報、同4−32837号公報、同4−78848号公報、同5−93991号公報、特開平4−85533号公報、同4−85534号公報、同4−85535号公報、同5−134362号公報、同5−197070号公報、同5−204098号公報、同5−224361号公報、同6−138604号公報、同6−138605号公報、同8−286329号公報等を参考にすることができる。
【0139】
より具体的には転動造粒法、押し出し造粒法、圧縮造粒法、解砕造粒法、撹拌造粒法、スプレードライ法、溶解凝固法、ブリケッティング法、ローラーコンパクティング法等を用いることができる。
【0140】
本発明における固形剤は、表面状態(平滑、多孔質等)や部分的に厚みを変えたり、中空状のドーナツ型にしたりして溶解性を調節することもできる。さらに、複数の造粒物に異なった溶解性を与えたり、溶解性の異なる素材の溶解度を合わせたりするために、複数の形状をとることも可能である。また、表面と内部で組成の異なる多層の造粒物でもよい。
【0141】
固形剤の包材は、酸素および水分透過性の低い材質が好ましく、包材の形状は袋状、筒状、箱状などの公知のものが使用できる。また、特開平6−242585号公報〜同6−242588号公報、同6−247432号公報、同6−247448号公報、同6−301189号公報、同7−5664号公報、同7−5666号公報〜同7−5669号公報に開示されているような折り畳み可能な形状にすることも、廃包材の保管スペース削減のためには好ましい。これらの包材は、処理剤の取り出し口にスクリューキャップや、プルトップ、アルミシールをつけたり、包材をヒートシールしてもよいが、このほかの公知のものを使用してもよく、特に限定はしない。さらに環境保全上、廃包材をリサイクルまたはリユースすることが好ましい。
【0142】
本発明の固形処理剤の溶解および補充の方法としては特に限定はなく、公知の方法を使用することができる。これらの方法としてはたとえば、撹拌機能を有する溶解装置で一定量を溶解し補充する方法、特開平9−80718号公報に記載されているような溶解部分と完成液をストックする部分とを有する溶解装置で溶解し、ストック部から補充する方法、特開平5−119454号公報、同6−19102号公報、同7−261357号公報に記載されているような自動現像機の循環系に処理剤を投入して溶解・補充する方法、溶解槽を内蔵する自動現像機で感光材料の処理に応じて処理剤を投入し溶解する方法などがあるが、このほかの公知のいずれの方法を用いることもできる。また処理剤の投入は、人手で行ってもよいし、特開平9−138495号公報に記載されているような開封機構を有する溶解装置や自動現像機で自動開封、自動投入してもよく、作業環境の点からは後者が好ましい。具体的には取り出し口を突き破る方法、はがす方法、切り取る方法、押し切る方法や、特開平6−19102号公報、同6−95331号公報に記載の方法などがある。
【0143】
現像、定着処理が済んだ感光材料は、ついで水洗または安定化処理される(以下特に断らない限り、安定化処理を含めて水洗といい、これらに使用する液を、水または水洗水という)。水洗に使用される水は、水道水でもイオン交換水でも蒸留水でも安定化液でもよい。これらの補充量は、一般的には感光材料1m2あたり約17L〜約8Lであるが、それ以下の補充量で行うこともできる。特に3L以下の補充量(0も含む。すなわち、ため水水洗)では、節水処理が可能となるのみならず、自動現像機設置の配管を不要とすることもできる。水洗を低補充量で行う場合は、特開昭63−18350号公報、同62−287252号公報等に記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減や、水垢防止のために種々の酸化剤(たとえばオゾン、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、活性ハロゲン、二酸化塩素、炭酸ナトリウム過酸化水素塩など)添加やフィルター濾過を組み合わせてもよい。
【0144】
水洗の補充量を少なくする方法として、古くより多段向流方式(たとえば2段、3段等)が知られており、水洗補充量は感光材料1m2あたり200〜50mlが好ましい。この効果は、独立多段方式(向流にせず、多段の水洗槽に個別に新液を補充する方法)でも同様に得られる。
【0145】
さらに、本発明の方法で水洗工程に水垢防止手段を施してもよい。水垢防止手段としては公知のものを使用することができ、特に限定はしないが、防ばい剤(いわゆる水垢防止剤)を添加する方法、通電する方法、紫外線または赤外線や遠赤外線を照射する方法、磁場をかける方法、超音波処理する方法、熱をかける方法、未使用時にタンクを空にする方法などがある。これらの水垢防止手段は、感光材料の処理に応じてなされてもよいし、使用状況に関係なく一定間隔で行われてもよいし、夜間など処理の行われない期間のみ施してもよい。またあらかじめ水洗水に施しておいて、これを補充してもよい。さらには、一定期間ごとに異なる水垢防止手段を行うことも、耐性菌の発生を抑える上では好ましい。
【0146】
節水水垢防止装置としては、富士フイルム社製装置AC−1000と水垢防止剤として富士フイルム社製AB−5を用いてもよく特開平11−231485号公報の方法を用いてもよい。
防ばい剤としては特に限定はなく公知のものが使用できる。前述の酸化剤の他たとえばグルタルアルデヒド、アミノポリカルボン酸等のキレート剤、カチオン性界面活性剤、メルカプトピリジンオキシド(たとえば2−メルカプトピリジン−N−オキシドなど)などがあり、単独使用でも複数の併用でもよい。
通電する方法としては、特開平3−224685号公報、同3−224687号公報、同4−16280号公報、同4−18980号公報などに記載の方法が使用できる。
【0147】
このほか、水泡ムラ防止や汚れ転写防止のために、公知の水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。また、感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号公報に記載の色素吸着剤を水洗系に設置してもよい。
【0148】
水洗工程からのオーバーフロー液の一部または全部は、特開昭60−235133号公報に記載されているように、定着能を有する処理液に混合利用することもできる。また微生物処理(たとえば硫黄酸化菌、活性汚泥処理や微生物を活性炭やセラミック等の多孔質担体に担持させたフィルターによる処理等)や、通電や酸化剤による酸化処理をして、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、沃素消費量等を低減してから排水したり、銀と親和性のあるポリマーを用いたフィルターやトリメルカプトトリアジン等の難溶性銀錯体を形成する化合物を添加して銀を沈降させてフィルター濾過するなどし、排水中の銀濃度を低下させることも、自然環境保全の観点から好ましい。
【0149】
また、水洗処理に続いて安定化処理する場合もあり、その例として特開平2−201357号公報、同2−132435号公報、同1−102553号公報、特開昭46−44446号公報に記載の化合物を含有した浴を感光材料の最終浴として使用してもよい。この安定浴にも必要に応じてアンモニウム化合物、Bi,Al等の金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防ばい剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。
【0150】
水洗、安定化浴に添加する防ばい剤等の添加剤および安定化剤は、前述の現像、定着処理剤同様に固形剤とすることもできる。
【0151】
本発明に使用する現像液、定着液、水洗水、安定化液の廃液は焼却処分することが好ましい。また、これらの廃液はたとえば特公平7−83867号公報、米国特許第5,439,560号明細書等に記載されているような濃縮装置で濃縮液化または固化させてから処分することも可能である。
【0152】
処理剤の補充量を低減する場合には、処理槽の開口面積を小さくして液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。ローラー搬送型の自動現像機については米国特許第3,025,779号明細書、同3,545,971号明細書などに記載されており、本明細書においては単にローラー搬送型自動現像機として言及する。この自現機は現像、定着、水洗および乾燥の四工程からなっており、本発明の方法も、他の工程(たとえば停止工程)を除外しないが、この四工程を踏襲するのが最も好ましい。さらに、現像定着間および/または定着水洗間にリンス浴(洗浄槽)を設けてもよい。
【0153】
本発明の現像処理では、処理開始から乾燥後まで(dry to dry)で25〜160秒が好ましく、現像および定着時間が40秒以下、好ましくは6〜35秒、各液の温度は25〜50℃が好ましく、30〜40℃が好ましい。水洗の温度および時間は0〜50℃で40秒以下が好ましい。本発明の方法によれば、現像、定着および水洗された感光材料は水洗水を絞りきる、すなわちスクイズローラーを経て乾燥してもよい。乾燥は約40〜約100℃で行われ、乾燥時間は周囲の状態によって適宜かえられる。乾燥方法は公知のいずれの方法も用いることができ特に限定はないが、温風乾燥や、特開平4−15534号公報、同5−2256号公報、同5−289294号公報に開示されているようなヒートローラー乾燥、遠赤外線による乾燥などがあり、複数の方法を併用してもよい。
【0154】
本発明に用いられるイメージセッターとしては、富士写真フイルム(株)製のLuxl F9000やラックスセッターRC−5600V、大日本スクリーン(株)製のイメージセッターFT−R5055アグファゲバルト(株)製のセレクトセット5000、アバントラ25、もしくはアキュセット1000、サイテックス(株)製のドレブ450、もしくはドレブ800、ハイデル(株)製のライノ630、クエーサー、ハーキュレスエリート、もしくはシグナセッター、もしくはラクセルF−9000、またはプレプレス(株)製のパンサープロ62などがあげられる。
PCB、PWB分野のフォトマスク用プロッターとしては、大日本スクリーン製造(株)製のRG−7000、RG−7500、RG−4000、RG−4500、RG−8000、Orbotech(株)製LP−5008、LP−7008、Dynatron(株)製RP208NT、RP212NT、RP308NT、RP312NT、RP508NT、RP512NT、旭光学工業(株)製LPP3655、LPP3677、LPP3700、LPP3690 などがあげられる。
【0155】
【実施例】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0156】
<実施例1>
【0157】
3液に用いるヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005質量%、KClの20質量%水溶液)およびヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001質量%、NaClの20質量%水溶液)は、粉末をそれぞれKClの20質量%水溶液、NaClの20質量%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0158】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、粒子サイズが0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、粒子サイズを0.21μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
【0159】
【0160】
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、下記に示すアニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.2±0.2の範囲であった)。次に上澄み液を約3L除去した(第一水洗)。さらに3Lの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。その後、再度上澄み液を3L除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返して(第三水洗)水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン45gを加え、pH5.6、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え、55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。
最終的に臭化銀を40mol%、沃化銀を0.08mol%含む平均粒子サイズ0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.2x103kg/m3、粘度=50mPa・sとなった。
また、乳剤Aの3液および5液に含まれる塩化ナトリウムと臭化カリウムの量や、これらの液の調製温度を適宜変更することにより、ハロゲン組成が異なるハロゲン化銀を含む乳剤も調製した。具体的には、乳剤に含まれるハロゲン化銀を構成するハロゲンにしめるBrの割合が35mol%、55mol%、75mol%および90mol%の乳剤も調製した。
調製した乳剤は、以下に記載する試料番号1〜17のハロゲン化銀写真感光材料の調製に用いた。各試料の調製の際に用いた乳剤に含まれるハロゲン化銀を構成するハロゲンにしめるBrの割合は表1に示すとおりとした。
【0161】
【化19】
【0162】
[下引層と導電性層の形成]
ポリエチレンテレフタレート支持体(厚味100μm)の乳剤層を塗設する側の表面に8W/(m2・min)のコロナ放電処理を施し、その上に下記の下引層塗布液S1と下引層塗布液S2をそれぞれの乾燥膜厚が0.8μm、0.1μmになるように塗設した。さらに、バック層を塗設する側の表面に8W/(m2・min)のコロナ放電処理を施し、その上に下記の下引層塗布液B1と下記の導電性ポリマー層塗布液または比較導電性層塗布液を、それぞれの乾燥膜厚が0.8μm、0.8μmになるように塗設した後、複数のロール群からなるフィルム搬送装置を有する熱処理式オーブン中を搬送させながら熱処理を行った。この時オーブン内を4つのゾーンに分割し、第1ゾーンを前熱処理処ゾーンとし、後半の第2〜第4ゾーンを熱処理用の冷却ゾーンをとした。
【0163】
第1〜第4ゾーンの温度をそれぞれ140℃、100℃、90℃、80℃とし、さらに、第2〜第4の熱処理用の冷却ゾーンを通過する時間を120秒になるようにライン速度を調整した。
【0164】
【0165】
〈下引層塗布液S2〉
ゼラチン 10g
化合物▲1▼ 0.2g
化合物▲2▼ 0.2g
化合物▲3▼ 0.1g
シリカ粒子(平均粒子サイズ:3μm) 0.1g
水 全量が1000mlとなる量
【0166】
〈下引層塗布液B1〉
ブチルアクリレート40重量%,スチレン20重量%およびグリシジルアクリレート40重量%の共重合体ラテックス液
(固形分30%) 270g
化合物▲1▼ 0.6g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレン尿素) 0.8g
水 全量が1000mlとなる量
【0167】
〈導電性ポリマー層塗布液〉
導電性ポリマー(表1に示す種類) 60g
化合物▲4▼を成分とするラテックス液(固形分20%) 0.1g
硫酸アンモニウム 0.5g
硬化剤▲5▼ 12g
ポリエチレングリコール(重量平均分子量600) 6g
水 全量が1000mlとなる量
【0168】
〈比較導電性層塗布液〉
ゼラチン 10g
ブチルアクリレート40重量%、ブチレン20重量%およびグリシジルアクリレート40重量%の共重合ラテックス液
(固形分30%) 270g
化合物▲1▼ 0.6g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレン尿素) 0.8g
金属酸化物粒子の分散液 粒子200g相当量
水 全量が1000mlとなる量
【0169】
比較導電性層塗布液に用いた金属酸化物粒子の分散液は、以下の手順で調製した。
塩化第二スズ水和物230gと三酸化アンチモン23gをエタノール3000mlに溶解し均一溶液を得た。この溶液に1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を、前記溶液のpHが3になるまで滴下し、コロイド状酸化第二スズと酸化アンチモンの共沈殿を得た。得られた共沈殿を50℃に24時間放置し赤褐色のコロイド状沈殿を遠心分離により分離した。蒸留水にて沈殿を何度も水洗し、過剰イオンを除去した。過剰イオンを除去したコロイド状沈殿200gを水1500mlに再分散し、800℃に加熱した焼成濾に噴霧し、平均粒子サイズ0.2μmの粉末を得た。この粉末の結晶子サイズは41.5nm、体積固有抵抗1×102Ω・cmであった。この粉末400gと水600gの混合液をpH7.0に調整し、撹拌機およびサンドミルで金属酸化物粒子の分散液を調製した。
【0170】
【化20】
【0171】
【化21】
【0172】
[バック層、中間層、乳剤層および保護層の形成]
下引層および導電性ポリマー層(または比較導電性層)を形成した上記ポリエチレンテレフタレートフィルム支持体に、さらに層を形成した。すなわち、バック層を塗設する側の導電性ポリマー層の上に、下記のバック層塗布液を塗設し乾燥した後、さらに乳剤層を塗設する側の下引層S2の上に、下記の中間層第1層/乳剤層/保護層下層/保護層上層の構成となるように各塗布液を同時重層塗布し乾燥して試料を作製した。
【0173】
<乳剤層塗布液>
乳剤Aに、増感色素(SD−1)5mg/m2を加えて分光増感を施した。さらに、下記化合物を下記塗布量になる様に順次攪拌しながら添加し、良く混合した。
クエン酸を用いて塗布液のpHを5.7に調整した。ゼラチン濃度は3.1質量%、粘度は50±5mPa・sであった。このようにして調製した乳剤層塗布液を、支持体に形成した下引層S2上に、Ag2.9g/m2、ゼラチン1.25g/m2になるように塗布した。ハロゲン化銀以外の固形分は、2.1g/m2であった。
【0174】
<中間層塗布液>
ゼラチン 0.5g/m2
ベンゾトリアゾール化合物(表1に示す種類) 表1に示す量
ポリエチルアクリレートラテックス 0.15g/m2
化合物W 2mg/m2
酢酸 3mg/m2
化合物(Cpd−4) 100mg/m2
化合物(Cpd−5) 15mg/m2
防腐剤(プロキセル) 2mg/m2
ゼラチン濃度は1.8質量%、塗布液のpHは5.4±0.3、粘度は増粘剤Zを添加して40±5mPa・s(40℃)に調整した。
【0175】
<保護層下層塗布液>
ゼラチン 0.7g/m2
化合物(Cpd−6) 15mg/m2
1,5−ジヒドロキシ−2−ベンズアルドキシム 10mg/m2
ベンゾトリアゾール化合物(表1に示す種類) 表1に示す量
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
化合物(Cpd−7) 3mg/m2
防腐剤(プロキセル) 1.5mg/m2
ゼラチン濃度は7.5質量%、塗布液のpHは5.7±0.3、粘度は増粘剤Zを添加して40±5mPa・s(40℃)に調整した。
【0176】
<保護層上層塗布液>
ゼラチン 0.3g/m2
不定形シリカマット剤(平均粒子サイズ3.5μm) 25mg/m2
化合物(Cpd−8)(ゼラチン分散物) 20mg/m2
コロイダルシリカ(粒子サイズ10〜20μm) 30mg/m2
(日産化学製スノーテックスC)
化合物(Cpd−9) 20mg/m2
化合物(Cpd−11) 30mg/m2
防腐剤(プロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)) 1mg/m2
ゼラチン濃度は4.5質量%、塗布液のpHは6.5±0.3、粘度は増粘剤Zを添加して50±5mPa・s(40℃)に調整した。
【0177】
【0178】
【化22】
【0179】
【化23】
【0180】
【化24】
【0181】
[評価]
得られた試料について、下記の評価を行った。
【0182】
<画質の評価>
得られた試料を670nmにピークを持つ干渉フィルターと線幅30μmの細線を複数有する光学ウェッジを介して、発光時間10−6秒のキセノンフラッシュ光で露光し、自動現像機(富士写真フイルム(株)製、FG−710F)を用いて35℃にて現像時間30秒で処理した。なお、現像液および定着液は、下記処方の液を用いた。
線幅30μmを再現する露光量の細線を光学顕微鏡(倍率400倍)で観察し、線のエッジ部の鮮鋭度・スムーズ性を5段階で評価した。「5」が最良で、「1」が最悪とした。結果を表1に示す。
【0183】
<表面抵抗率の測定>
試料を25℃、相対湿度25%の条件下に12時間放置した後、電極間距離0.14cm、電極長さ10cmのステンレス製電極に挟み、エレクトロメーター(タケダ理研製、TR8651)を用いて電圧100Vで1分後の表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
【0184】
水酸化カリウムを加え、さらに水を加えて全量を1リットルとし、pHを10.7に合わせた。
【0185】
スタート液(母液)は上記の液と水を体積比1:3で混合して調整した(pHは10.4)。補充液は上記の液と水を体積比1:2で混合して調整した(pHは10.45)。
補充量は大全(50.8×61.0cm)1枚当たり100ml、または、1m2当たり323mlとした。
【0186】
[定着液処方] 濃縮液1Lあたりの処方
チオ硫酸アンモニウム 360g
エチレンジアミン・四酢酸・2Na・2水塩 0.09g
チオ硫酸ナトリウム・5水塩 33.0g
メタ亜硫酸ナトリウム 57.0g
水酸化ナトリウム 37.2g
酢酸(100%) 90.0g
酒石酸 8.7g
グルコン酸ナトリウム 5.1g
硫酸アルミニウム 25.2g
pH 4.85
使用にあたっては、上記濃縮液と水を体積比1:3で混合して希釈した。使用液のpHは4.8であった。
【0187】
【表1】
【0188】
表1から明らかな様に、本発明の試料を用いれば細線の鮮明な画像が得られることが確認された。
【0189】
<実施例2>
実施例1の現像液処方からジエチレングリコールを除いた処方を基に、下記積層の順序でポリエチレン容器に細密充填した固形現像剤と固形定着剤を調製した。これらの固形現像剤と固形定着剤を用いて実施例1の試料番号1〜3を処理したところ、実施例1と同様に細線の鮮明な画像が得られることが確認された。
【0190】
現像剤
第一層 ハイドロキノン
第二層 その他成分
第三層 KBr
第四層 Na2S2O5
第五層 炭酸カリウム
第六層 KOHペレット
この処方を溶解して3Lにして使用した。
【0191】
定着剤は、下記処方を現像剤と同じに充填したものを使用した。
【0192】
<実施例3>
実施例1の試料番号1の硬調化剤を、同量の化合物(Cpd−16)〜化合物(Cpd−19)にそれぞれ置き換えて、試料番号18〜21を実施例1と同様に作製した。得られた試料について、実施例1と同様に細線の画質の評価を行なった。その結果、実施例1と同様に良好な画像が得られることが確認された。
【0193】
【化25】
【0194】
【発明の効果】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料を用いれば、細線が鮮明で、欠陥がない画像を形成することができる。このため、本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、近年の高精細化に十分に対応することができ、写真製版用途に適している。
Claims (3)
- 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層および保護層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層および/または他の親水性コロイド層に硬調化剤およびベンゾトリアゾール系化合物を含有し、かつ25℃相対湿度25%の雰囲気下における表面抵抗率が1012Ω以下の導電性ポリマー層を少なくとも1層有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
- 前記ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤の臭化銀含有率が40〜90mol%であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 該ハロゲン化銀乳剤層と支持体との間に親水性コロイド中間層を有することを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
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JP2012004042A (ja) * | 2010-06-18 | 2012-01-05 | Fujifilm Corp | 透明導電性フイルム及び透明導電性フイルムの製造方法 |
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2003
- 2003-01-21 JP JP2003012566A patent/JP2004226554A/ja active Pending
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