JP2004004564A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】搬送性が良好で、写真製版用途に最適な画像を得ることができるハロゲン化銀写真感光材料を提供すること。
【解決手段】支持体上の一方の面に、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層およびその上部に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有し、その反対側のバック面に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該バック面とゴム硬度が80±10度のゴムシートの平滑面との線速度が600cm/minにおける静摩擦係数が0.9以上であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上の一方の面に、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層およびその上部に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有し、その反対側のバック面に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該バック面とゴム硬度が80±10度のゴムシートの平滑面との線速度が600cm/minにおける静摩擦係数が0.9以上であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料に関し、特に写真製版用に用いられるイメージセッター用ハロゲン化銀写真感光材料に関する。さらに詳しくは、自動搬送システム装置を用いて露光、現像処理する際に、擦り傷などの面状欠陥を生じることなくスムーズに自動搬送し、写真製版用途に最適な画像を得ることが可能なハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クラフィックアーツの分野においては網点画像による連続階調の画像の再生あるいは線画像の再生を良好ならしめるために、超硬調(特にγが10以上)の写真性を示す画像形成システムが必要とされている。
良好な保存安定性を有する処理液で現像し、超硬調な写真特性が得られる画像形成システムが要望されているが、そのような要望に応えるものとして、米国特許第4,166,742号明細書、同第4,168,977号明細書、同第4,221,857号明細書、同第4,224,401号明細書、同第4,243,739号明細書、同第4,272,606号明細書、同第4,311,781号明細書にみられるように特定のアシルヒドラジン化合物を添加した表面潜像型ハロゲン化銀写真感光材料を、亜硫酸保恒剤を0.15mol/L以上含むpH11.0〜12.3の現像液で処理してγが10を超える超硬調のネガ画像を形成するシステムが提案された。この新しい画像形成システムには、従来の超硬調画像形成システムでは塩化銀含有率の高い塩臭化銀しか使用できなかったのに対して、沃臭化銀や沃塩臭化銀でも使用できるという特徴がある。また、従来のリス現像液が極微量の亜硫酸保恒剤しか含有できなかったのに対して、多量の亜硫酸保恒剤を含有できるため、比較的保存安定性がよいという特徴もある。
【0003】
一方で、写真製版用のハロゲン化銀写真感光材料は、イメージセッターと呼ばれるレーザー出力装置と自動現像機を連結して自動搬送装置を用いて処理されることが多くなって来ている。
このような自動搬送系で写真感光材料を搬送する場合、送り長が短くなったり、蛇行やジャミングを生じたりするなどの搬送不良が屡々起きる。特に、複数のサイズの写真感光材料を兼用できる自動搬送系装置においては、すべてのサイズをスムーズに搬送するためには、装置および写真感光材料の両面から最適化を計らなければならない。
【0004】
搬送性を改良する技術として、従来から感光材料の滑り摩擦抵抗を減少させる方法として、米国特許第3,042,522号明細書、良化する方法、例えば米国特許第3,042,522号明細書、米国特許第1,466,304号明細書、英国特許第1,143,118号明細書、特開平10−48775号公報、特開2000−352788号公報、特開2000−267225号公報、特開2001−83659号公報、特開2001−22023号公報、特開2001−2204号公報等に、また、支持体のバック層に大粒子マット剤を含有させる方法として、特開昭60−188942号公報、特開昭60−188945号公報、特開平1−37710号公報、特開平4−127142号公報等が開示されている。
【0005】
しかしながら、写真感光材料の滑り性を良化する方法は、感光材料と搬送用ローラーとのグリップ力を下げてスリップ現象を引き起こし易く、感光材料の送り長が短くなったり、擦り傷が多発したりするという問題があった。
また、バック層に大粒子マット剤を含有させる方法は、シート状の写真感光材料を多数積み重ねた場合の2枚重ねの搬送を防止する技術であり、シート状形態の感光材料とロール形態の感光材料とでは、その搬送機構が異なり、その改良技術を単に適用するだけでは解決できなかった。さらに近年、写真感光材料の高感化に伴い、ロール状に巻き取られる際の圧力によってハロゲン化銀に歪応力が掛かり、黒点状のカブリが発生し易いなどの問題があった。これらの問題を解決するため、搬送性と黒点状のカブリが両立する新たな改良技術の開発が強く望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明が解決しようとする課題は、イメージセッターと呼ばれるレーザー出力装置と自動現像機を連結した自動搬送システム装置を用いて露光、現像処理したときに、送り長が短くなったり、蛇行やジャミングしたりするなどの搬送不良を生じることなく、スムーズに自動搬送し、写真製版用途に最適な画像を得ることができるハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、支持体上の一方の面に、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層およびその上部に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有し、その反対側のバック面に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該バック面とゴム硬度が80±10度のゴムシートの平滑面との静摩擦係数が、線速度が600cm/minにおいて、0.9以上であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料によって達成された。
【0008】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、バック面の表面に存在する1μm以上の山数に対する2μm〜5μmの山数の割合が30%以上であり、かつ、前記バック面の表面に存在する1μm以上の山数に対する5.1μm以上の山数の割合が2%以下であることが好ましい。
また、ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀に占める臭化銀の割合が40〜90mol%であることが好ましい。
さらに、親水性コロイド層中に少なくとも一種のヒドラジン誘導体を含有することが好ましい。
また、本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、塗布銀量が3.5g/m2以下であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明のハロゲン化銀写真感光材料について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0010】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、支持体上の一方の面に、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層およびその上部に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有し、その反対側のバック面に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有する。
本発明の特徴は、該バック面とゴム硬度(JIS K 6301 スプリング式硬さ試験機)が80±10度のゴムシートの平滑面との線速度が600cm/minにおける静摩擦係数が、0.9以上である。このような特徴を有するハロゲン化銀写真感光材料を用いれば、自動搬送システム装置を用いて露光、現像したときに、擦り傷などの面状欠陥を生ずることなくスムーズに自動搬送し、写真製版用途に最適な画像を得ることができる。
【0011】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料におけるバック面とゴム硬度が80±10度のゴムシートの平滑面との静摩擦係数は、線速度が600cm/minにおいて、0.9以上、好ましくは1.0〜2.0である。また、動摩擦係数は、0.5以上が好ましく、さらに0.6〜0.9が好ましい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料におけるハロゲン化銀乳剤層を有する側の静摩擦係数は、0.5以上が好ましく、さらに0.6〜0.9が好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層を有する側の動摩擦係数は0.3以上が好ましく、さらに0.4〜0.8が好ましい。
本発明における静摩擦係数(μs)は、JIS−K7125に記載の摩擦係数試験方法と同様の原理で測定し求めることができる。具体的には、25℃、相対湿度55±5%の条件下で30分以上放置した後、ハロゲン化銀感光材料のバック面の上に、ゴム硬度80度のゴムシートを乗せて、一定荷重(接触力:Ft、単位:g)を加え、ハロゲン化銀写真感光材料を線速度が600cm/minのスピードで滑らせ、そのときの始動時の静摩擦抵抗力(Fs、単位:gf)を測定し、下記の式(1)から求めることができる。
式(1) μs=Fs/Ft
【0012】
本発明におけるバック面の静摩擦係数は、ハロゲン化銀写真感光材料のバック面の表面性状を適宜調節することによって好ましい範囲にすることができる。例えば、バック面の表面に存在する1μm以上の山数に対する2μm〜5μmの山数の割合が30%以上であり、かつ、前記バック面の表面に存在する1μm以上の山数に対する5.1μm以上の山数の割合が2%以下であるように表面性状を調節する方法を好ましく採用することができる。
本発明における山数とは、ハロゲン化銀写真感光材料の最表面を基準にした高さの一定測定長さ当りの個数を意味する。
本発明におけるハロゲン化銀写真感光材料の最表面の凹凸は、日本工業規格JIS B 0601に記載の定義に基づいた表面粗さ計にて求めることができる。
【0013】
本発明におけるハロゲン化銀写真感光材料のバック面を前記の表面性状にするために、粒子サイズ4μm〜15μmの有機重合体および/または無機の微粉末粒子(以下、マット剤と記す)を好ましく用いることができる。マット剤の形状は、定形(例、球状)または不定形のいずれでも良いが、好ましくは球状である。
本発明に用いられるマット剤は、写真的諸特性に悪影響を及ぼさない固体粒子であれば、どのようなものでもよい。具体的には、特開平10−268464号公報段落番号[0009]〜[0013]に記載のものが挙げられる。
好ましいマット剤の具体例は、有機重合体のマット剤としては、アルキルアクリレート、アルキルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、スチレン、またはこれらとアクリル酸、メタアクリル酸など親水性基を共重合したものなどの水不溶性または難溶性の合成ポリマー、無機のマット剤としては、酸化物(二酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)、アルカリ土類金属塩(硫酸バリウム、硫酸ストロンチウムなど)、画像を形成しないハロゲン化銀粒子などが挙げられる。
本発明において好ましいマット剤の平均粒子サイズは、2〜15μmであり、特に3〜10μmの範囲である。本発明において好ましいマット剤の添加量は、5〜400mg/m2、特に10〜200mg/m2の範囲である。
【0014】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層を有する面の表面粗さは、マット剤の平均粒子サイズおよび添加量を種々変化させることによってコントロールすることができる。マット剤を含有させる層は、感光材料を構成するどの層でもよいが、ピンホールを防止するため支持体より遠い位置の層に含有することが好ましく、特に最外層が好ましい。
本発明の感光材料の表面粗さは、乳剤層を有する面およびその反対面の最外層表面の少なくとも一方、好ましくは両方のベック平滑度が、4000秒以下であり、より好ましくは10秒〜4000秒である。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
【0015】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤用のハロゲン化銀は、臭化銀を40〜90mol%含有することが好ましく、特に臭化銀を40〜90mol%含有する塩臭化銀または沃塩臭化銀を用いることが好ましい。より好ましい臭化銀含有量は40〜75mol%である。ハロゲン化銀粒子の形状は、立方体、十四面体、八面体、不定型、板状いずれでもよいが、立方体が好ましい。ハロゲン化銀の平均粒子サイズは0.1μm〜0.7μmが好ましいが、より好ましくは0.1〜0.5μmである。また、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数は15%以下であることが好ましく、10%以下の粒子サイズ分布の狭いものがより好ましい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部あるいは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
【0016】
本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著 Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Dufin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Forcal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著 Making and Coating Photographic Emulsion(The Forcal Press刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。
すなわち、酸性法、中性法等のいずれでもよく、また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを用いてもよい。粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。
【0017】
同時混合法の1つの形式としてハロゲン化銀が生成する液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることが好ましい。ハロゲン化銀溶剤としてより好ましいのは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号公報、同55−77737号公報に記載されている。好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンである。ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり10−5〜10−2molが好ましい。
【0018】
コントロールド・ダブルジェット法およびハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤を作るのに有用な手段である。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号公報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を超えない範囲において速く成長させることが好ましい。
【0019】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、VIII族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラストおよび低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物などを含有することが好ましい。また、高感度化のためには、K4[Fe(CN)6]やK4[Ru(CN)6]、K3[Cr(CN)6]のような六シアノ化金属錯体でドープするのが効果的である。
【0020】
本発明に用いられるロジウム化合物として、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト、アコ等を持つもの、例えば、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられる。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0021】
本発明に用いられるレニウム、ルテニウム、オスミニウムは特開昭63−2042号公報、特開平1−285941号公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML6〕n−
ここでMはRu、Re、またはOsを表し、Lは配位子、nは0、1、2、3または4を表す。この場合、対イオンは重要性を持たず、アンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる錯体の具体例を示すが、本発明で用いることができる錯体はこれらに限定されるものではない。
【0022】
〔ReCl6〕3− 〔ReBr6〕3−
〔ReCl5(NO)〕2− 〔Re(NS)Br5〕2−
〔Re(NO)(CN)5〕2− 〔Re(O)2(CN)4〕3−
〔RuCl6〕3− 〔RuCl4(H2O)2〕1−
〔RuCl5(NO)〕2− 〔RuBr5(NS)〕2−
〔Ru(CO)3Cl3〕2− 〔Ru(CO)Cl5〕2−
〔Ru(CO)Br5〕2− 〔OsCl6〕3−
〔OsCl5(NO)〕2− 〔Os(NO)(CN)5〕2−
〔Os(NS)Br5〕2− 〔Os(CN)6〕4−
〔Os(O)2(CN)4〕4−
【0023】
これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1mol当り1×10−9mol〜1×10−5molの範囲が好ましく、特に好ましくは1×10−8mol〜1×10−6molである。
本発明に用いられるイリジウム化合物としては、ヘキサクロロイリジウム、ヘキサブロモイリジウム、ヘキサアンミンイリジウム、ペンタクロロニトロシルイリジウム等が挙げられる。本発明に用いられる鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
【0024】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は化学増感されることが好ましい。化学増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、貴金属増感法などの知られている方法を用いることができ、単独または組み合わせて用いられる。
組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
【0025】
本発明に用いられる硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。チオ尿素化合物としては米国特許第4,810,626号明細書に記載の特定四置換チオ尿素化合物が特に好ましい。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲン化銀1mol当り10−7〜10−2molであり、より好ましくは10−5〜10−3molである。
【0026】
本発明に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号公報、同43−13489号公報、特開平4−109240号公報、同4−324855号公報等に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(VIII)および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0027】
本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−313284号公報に記載の方法で試験することができる。
具体的には、米国特許第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635(1980),ibid 1102(1979),ibid 645(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.)1,2191(1980)、S.パタイS.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Serenium and Tellunium Compounds),Vol 1(1986)、同Vol 2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(II)(III)(IV)で示される化合物が好ましい。
【0028】
本発明で用いられるセレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1mol当たり10−8〜10−2mol、好ましくは10−7〜10−3mol程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
本発明に用いられる貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられるが、特に金増感が好ましい。本発明に用いられる金増感剤としては具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金などが挙げられ、ハロゲン化銀1mol当たり10−7〜10−2mol程度を用いることができる。
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
【0029】
本発明においては、還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物などを用いることができる。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤は、欧州特許公開EP293,917A号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明に用いられるハロゲン化銀写真感光材料中のハロゲン化銀乳剤は、1種類〜3種類を併用することが好ましい。2種以上を併用する場合には、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、含有する金属錯体の量、種類が異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの、感度の異なるものを併用することが好ましい。中でも高コントラストを得るためには、特開平6−324426号公報に記載されているように、支持体に近いほど高感度な乳剤を塗布することが好ましい。
【0030】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤は、感光材料の用途にあわせて、増感色素によって比較的長波長の青色光、緑色光、赤色光または赤外光に分光増感されてもよい。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。
本発明に使用される有用な増感色素は、例えばResearch Disclosure Item17643 IV−A項(1978年12月p.23)、同Item 18341X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
特に各種スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
【0031】
例えば、A)アルゴンレーザー光源に対しては、特開昭60−162247号公報に記載の(I)−1から(I)−8の化合物、特開平2−48653号公報に記載のI−1からI−28の化合物、特開平4−330434号公報に記載のI−1からI−13の化合物、米国特許第2,161,331号明細書に記載のExample1〜14の化合物、西独特許936,071号明細書記載の1〜7の化合物、B)ヘリウム−ネオンレーザーおよび赤色レーザーダイオード光源に対しては、特開昭54−18726号公報に記載のI−1からI−38の化合物、特開平6−75322号公報に記載のI−1からI−35の化合物および特開平7−287338号公報に記載のI−1からI−34の化合物、特許公報第2822138号に記載の2−1から2−14,3−(1)から3−(14),4−1から4−6の化合物、C)LED光源に対しては特公昭55−39818号公報に記載の色素1〜20、特開昭62−284343号公報に記載のI−1からI−37の化合物および特開平7−287338号公報に記載のI−1からI−34の化合物、特許公報第2822138号に記載の2−1から2−14,3−(1)から3−(14),4−1から4−6の化合物、D)半導体レーザー光源に対しては特開昭59−191032号公報に記載のI−1からI−12の化合物、特開昭60−80841号公報に記載のI−1からI−22の化合物、特開平4−335342号公報に記載のI−1からI−29の化合物および特開昭59−192242号公報に記載のI−1からI−18の化合物、E)製版カメラのタングステンおよびキセノン光源に対しては特開昭55−45015号公報に記載の一般式〔I〕で表される(1)から(19)の化合物、特開平6−242547号公報に記載の4−Aから4−Sの化合物、5−Aから5−Qの化合物、6−Aから6−Tの化合物および特開平9−160185号公報に記載のI−1からI−97の化合物などが有利に選択されるが、本発明で用いることができる増感色素はこれらに限定されない。
【0032】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure)176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは前述の特公昭49−25500号公報、同43−4933号公報、特開昭59−19032号公報、同59−192242号公報等に記載されている。
【0033】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
また、米国特許第3,469,987号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、該溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号公報、同44−27555号公報、同57−22091号公報等に開示されているように、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号明細書、同第4,006,025号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53−102733号公報、同58−105141号公報に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51−74624号公報に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。
また、溶液に超音波を用いることもできる。
【0034】
本発明に用いる増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766号明細書、同第3,628,960号明細書、同第4,183,756号明細書、同第4,225,666号明細書、特開昭58−184142号公報、同60−196749号公報等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号公報等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号明細書、特開昭58−7629号公報等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0035】
本発明における増感色素の添加量は、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズ、ハロゲン組成、化学増感の方法と程度、カブリ防止剤の種類等により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり、4×10−6〜8×10−3molで用いることができる。例えばハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀粒子の表面積1m2あたり、2×10−7〜3.5×10−6molの添加量が好ましく、6.5×10−7〜2.0×10−6molの添加量がより好ましい。
【0036】
本発明に用いられる支持体は、例えばバライタ紙、ポリエチレン被覆紙、ポリプロピレン合成紙、ガラス板、セルロースアセテート、セルロースナイトレート、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、特開平7−234478号公報、および米国特許第5,558,979号明細書に記載のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる支持体、特開昭64−538号公報、米国特許第4,645,731号明細書、同4,933,267号明細書、同4,954,430号明細書に記載のポリエステルフィルムを塩化ビニリデン共重合体で被覆した支持体を挙げることができる。これらの支持体は、それぞれハロゲン化銀写真感光材料の使用目的に応じて適宜選択される。
【0037】
本発明では、ハロゲン化銀乳剤層およびその他の親水性コロイド層のバインダーとして、好ましくはゼラチンが用いられるが、特開平10−268464号公報段落番号[0025]記載のポリマーも用いることができる。バインダーの塗布量は、ハロゲン化銀乳剤層を有する側の全親水性コロイド層のバインダー量が3g/m2以下で、好ましくは1.0〜3.0g/m2である。かつ、ハロゲン化銀乳剤層を有する側の全親水性コロイド層およびその反対側の面の全親水性コロイド層の全バインダー量が7.0g/m2以下であり、好ましくは2.0〜7.0g/m2である。
【0038】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の塗布乾燥時におけるマット剤の沈み込み、或いは、自動搬送・露光・現像時等の取り扱いにおける圧力増減感、カールバランス、耐傷性向上、耐接着性向上等の目的で、コロイド状無機粒子をハロゲン化銀乳剤層、中間層、保護層、バック層、バック保護層等に用いることができる。好ましいコロイド状無機粒子としては、特開平10−268464号公報段落番号[0008]および[0014]記載の細長い形状のシリカ粒子、コロイド状シリカ、日産化学工業(株)製のパールスライク(パールネックレス状)コロイダルシリカ:「Snowtex−PS」などが挙げられる。
【0039】
本発明に用いられるコロイド状無機粒子の使用量は、添加すべき層のバインダー(例、ゼラチン)に対して、乾燥重量比で0.01〜2.0であることが好ましく、0.1〜0.6であることがより好ましい。
【0040】
本発明において、圧力増減感改良等の目的で、特開平3−39948号公報第10頁右下11行目から同公報第12頁左下5行目に記載のポリヒドロキシベンゼン化合物を用いることが好ましい。具体的には、同公報に記載の化合物(III)−1〜25の化合物が挙げられる。
【0041】
本発明において、脆性、寸度安定性、圧力増減感等の改良の目的で、ポリマーラテックスを用いることができる。ポリマーラテックスとしては、米国特許第2,763,652号明細書、同2,852,382号明細書、特開昭64−538号公報、同62−115152号公報、特開平5−66512号公報、同5−80449号公報、特公昭60−15935号公報、特公平6−64058号公報、同5−45014号公報などに記載のアルキルアクリレート、アルキルメタクリレートなどの種々のモノマーから成るポリマーラテックス、特公昭45−5819号公報、同46−22507号公報、特開昭50−73625号公報、特開平7−152112号公報、特開平8−137060号公報などに記載の活性メチレン基を有するモノマーとアルキルアクリレートなどのモノマーと共重合したポリマーラテックスなどが挙げられる。特に好ましくは、特開平8−248548号公報、特開平8−208767号公報、特開平8−220669号公報などに記載のシェル部に活性メチレン基を含有するエチレン性不飽和モノマーから成る繰り返し単位を有するコア/シェル構造を有するポリマーラテックスである。これらのシェル部に活性メチレン基を有するコア/シェル構造のポリマーラテックスは、写真感光材料のウェット膜強度を低下せずに、脆性、寸度安定性、感光材料同士などの接着のし難さなどの特性が向上し、また、ラテックス自身の剪断安定性の向上が得られる。
ポリマーラテックスの使用量は、添加すべき層のバインダー(例:ゼラチン)に対して乾燥質量比で0.01〜4.0であることが好ましく、0.1〜2.0であることがより好ましい。
【0042】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の保存性、圧力増減感改良等の目的で塗膜のpHを低下させるために、特開平7−104413号公報第14頁左1行目から同頁右30行目に記載の酸性ポリマーラテックスを用いることが好ましい。具体的には同公報15頁に記載の化合物II−1)〜II−9)、特開平2−103536号公報第18頁右下6行目から同公報19頁左上1行目に記載の酸基を有する化合物を挙げることができる。
ハロゲン化銀乳剤層を有する側の塗布膜のpHは、6〜4が好ましい。
【0043】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の構成層の少なくとも一層が表面抵抗率が25℃相対湿度25%の雰囲気下で1012Ω以下の導電性層を有することができる。
本発明に用いられる導電性物質としては、特開平2−18542号公報第2頁左下13行目から同公報第3頁右上7行目に記載の導電性物質、具体的には、同公報第2頁右下2行目から同頁右下10行目に記載の金属酸化物、および同公報に記載の化合物P−1〜P−7の導電性高分子化合物、米国特許第5,575,957号明細書、特開平10−142738号公報段落番号[0034]〜[0043]、特開平11−223901号公報段落番号[0013]〜[0019]に記載の針状の金属酸化物等が用いることができる。
【0044】
本発明において、前記導電性物質のほかに、特開平2−18542号公報第4頁右上2行目から第4頁右下下から3行目、特開平3−39948号公報第12頁左下6行目から同公報第13頁右下5行目に記載の含フッ素界面活性剤を併用することによって、さらに良好な帯電防止性を得ることができる。
【0045】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層またはその他の親水性コロイド層には、塗布助剤、添加剤の分散・可溶化剤、滑性向上、接着防止および写真特性改良(例えば、現像促進、硬調化、増感、保存性)等の目的で、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば、特開平2−12236号公報第9頁右上7行目から同頁右下3行目に記載の界面活性剤、特開平2−103536号公報第18頁左下4行目から同頁左下7行目に記載のPEG系界面活性剤、具体的には、同公報に記載の化合物VI−1〜VI−15の化合物、特開平2−18542号公報第4頁右上2行目から第4頁右下下から3行目、特開平3−39948号公報第12頁左下6行目から同公報第13頁右下5行目に記載の含フッ素界面活性剤を挙げることができる。
【0046】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の耐傷性、圧力増減感特性等の改良の目的で、種々の滑り剤を用いることができる。例えば、特開平2−103536号公報第19頁左上15行目から同公報19頁右上15行目、特開平4−214551号公報段落番号[0006]〜[0031]に記載の滑剤を挙げることができる。
【0047】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の塗膜の可塑剤として、特開平2−103536号公報第19頁左上12行目から同公報19頁右上15行目に記載の化合物を含有することができる。
【0048】
本発明において、親水性バインダーの架橋剤として、特開平2−103536号公報第18頁右上5行目から同頁右上17行目、特開平5−297508号公報段落番号[0008]〜[0011]に記載の化合物を用いることができる。本発明のハロゲン化銀写真感光材料の乳剤層および保護層を含めた親水性コロイド層の膨潤率は50〜200%の範囲が好ましく、より好ましくは70〜180%の範囲である。親水性コロイド層の膨潤率は、ハロゲン化銀写真感光材料における乳剤層および保護層を含めた親水性コロイド層の厚み(d0)を測定し、該ハロゲン化銀写真感光材料を25℃の蒸留水に1分間浸漬し、膨潤した厚み(△d)を測定し、膨潤率(%)=△d÷d0×100の計算式によって求める。
【0049】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の塗布後乾燥する際の乾燥、乾燥後にロール状に巻き取られるときの環境、加工、熱処理等は、特開平10−268464号公報段落番号[0026]〜[0032]に記載の方法で行うことが好ましい。
【0050】
本発明において、塗布後の感光材料に、塗布から現像処理までの任意の時点で加熱熱処理をされることが好ましい。加熱処理は、塗布直後から引き続いて行ってもよいし、ある期間が経過してから行ってもよいが、短期間、例えば1日以内で加熱処理に入ることが好ましい。加熱処理は主に現像処理に耐えうる膜強度にするための硬膜反応促進のためであり、加熱処理条件は、硬膜剤の種類やその添加量、膜pH、所要する膜強度等によって適宜決定しなければならないが、30〜60℃が好ましく、より好ましくは35℃〜50℃である。加熱処理の期間は30分〜10日間が好ましい。
【0051】
本発明においては、造核剤として、一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体を少なくとも1種含有することが好ましい。
【0052】
一般式(D)
【化1】
【0053】
式中、R20は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表し、R10は水素原子またはブロック基を表し、G10は−CO−,−COCO−,−C(=S)−,−SO2−,−SO−,−PO(R30)−基(R30はR10に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R10と異なっていてもよい。),またはイミノメチレン基を表す。A10、A20はともに水素原子、あるいは一方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。
【0054】
一般式(D)において、R20で表される脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換の、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。
一般式(D)において、R20で表される芳香族基は単環もしくは縮合環のアリール基で、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。R20で表されるヘテロ環基としては、単環または縮合環の、飽和もしくは不飽和の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基で、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンズイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピペリジン環、トリアジン環等が挙げられる。
R20として好ましいものはアリール基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0055】
R20が示す基は置換されていてもよく、代表的な置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロロ原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、N−置換の含窒素ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イソチオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。
これら置換基は、これらの置換基でさらに置換されていてもよい。
【0056】
R20が有していてもよい置換基として好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基(活性メチレン基を含む)、アラルキル基、ヘテロ環基、置換アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その塩を含む)、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0057】
一般式(D)において、R10は水素原子またはブロック基を表すが、ブロック基とは具体的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基を表す。
【0058】
R10で表されるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基,2−カルボキシテトラフルオロエチル基,ピリジニオメチル基、ジフルオロメトキシメチル基、ジフルオロカルボキシメチル基、3−ヒドロキシプロピル基、メタンスルホンアミドメチル基、ベンゼンスルホンアミドメチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、フェニルスルホニルメチル基、o−ヒドロキシベンジル基などが挙げられる。アルケニル基として好ましくは炭素数1から10のアルケニル基であり、例えばビニル基、2,2−ジシアノビニル基、2−エトキシカルボニルビニル基、2−トリフルオロ−2−メトキシカルボニルビニル基等が挙げられる。アルキニル基として好ましくは炭素数1から10のアルキニル基であり、例えばエチニル基、2−メトキシカルボニルエチニル基等が挙げられる。アリール基としては単環もしくは縮合環のアリール基が好ましく、ベンゼン環を含むものが特に好ましい。例えばフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−メタンスルホンアミドフェニル基、2−カルバモイルフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基などが挙げられる。
【0059】
ヘテロ環基として好ましくは、少なくとも1つの窒素、酸素、および硫黄原子を含む5〜6員の、飽和もしくは不飽和の、単環もしくは縮合環のヘテロ環基で、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基であってもよく、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基(N−置換)、ピペラジノ基、イミダゾリル基、インダゾリル基(4−ニトロインダゾリル基等)、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリジニオ基(N−メチル−3−ピリジニオ基等)、キノリニオ基、キノリル基などがある。モルホリノ基、ピペリジノ基、ピリジル基、ピリジニオ基等が特に好ましい。
【0060】
アルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としてはフェノキシ基が好ましく、アミノ基としては無置換アミノ基、および炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基(4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む)が好ましい。アミノ基の例としては、2、2、6、6−テトラメチルピペリジン−4−イルアミノ基、プロピルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、アニリノ基,o−ヒドロキシアニリノ基、5−ベンゾトリアゾリルアミノ基、N−ベンジル−3−ピリジニオアミノ基等が挙げられる。ヒドラジノ基としては置換もしくは無置換のヒドラジノ基、または置換もしくは無置換のフェニルヒドラジノ基(4−ベンゼンスルホンアミドフェニルヒドラジノ基など)が特に好ましい。
【0061】
R10で表される基は置換されていてもよく、好ましい置換基としてはR20の置換基として例示したものがあてはまる。
【0062】
一般式(D)においてR10はG10−R10の部分を残余分子から分裂させ、−G10−R10部分の原子を含む環式構造を生成させる環化反応を生起するようなものであってもよく、その例としては、例えば特開昭63−29751号公報などに記載のものが挙げられる。
【0063】
一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよい。かかる吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,108号明細書、同4,459,347号明細書、特開昭59−195233号公報、同59−200231号公報、同59−201045号公報、同59−201046号公報、同59−201047号公報、同59−201048号公報、同59−201049号公報、特開昭61−170733号公報、同61−270744号公報、同62−948号公報、同63−234244号公報、同63−234245号公報、同63−234246号公報に記載された基が挙げられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平2−285344号公報に記載された基が挙げられる。
【0064】
一般式(D)のR10またはR20はその中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれているものでもよい。本発明においてバラスト基とは、6以上の炭素数を有する、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(またはアルキレン基)、アルコキシ基(またはアルキレンオキシ基)、アルキルアミノ基(またはアルキレンアミノ基)、アルキルチオ基、あるいはこれらを部分構造として有する基を表し、さらに好ましくは炭素数7以上で炭素数24以下の、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(またはアルキレン基)、アルコキシ基(またはアルキレンオキシ基)、アルキルアミノ基(またはアルキレンアミノ基)、アルキルチオ基、あるいはこれらを部分構造として有する基を表す。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号公報に記載のものが挙げられる。
【0065】
一般式(D)のR10またはR20は、置換基としてヒドラジノ基を複数個含んでいてもよく、この時一般式(D)で表される化合物は、ヒドラジノ基に関しての多量体を表し、具体的には例えば特開昭64−86134号公報、特開平4−16938号公報、特開平5−197091号公報、国際公開WO95ー32452号公報、同WO95−32453号公報、特開平9−179229号公報、特開平9−235264号公報、特開平9−235265号公報、特開平9−235266号公報、特開平9−235267号公報等に記載された化合物が挙げられる。
【0066】
一般式(D)のR10またはR20は、その中に、カチオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含む基、4級化されたリン原子を含む基、または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、あるいは解離性基(アルカリ性の現像液で解離しうる酸性度の低いプロトンを有する基もしくは部分構造、あるいはまたその塩を意味し、具体的には、例えばカルボキシ基/−COOH、スルホ基/−SO3H、ホスホン酸基/−PO3H、リン酸基/−OPO3H、ヒドロキシ基/−OH基、メルカプト基/−SH、−SO2NH2基、N−置換のスルホンアミド基/−SO2NH−基、−CONHSO2−基、−CONHSO2NH−基、−NHCONHSO2−基、−SO2NHSO2−基、−CONHCO−基、活性メチレン基、含窒素ヘテロ環基に内在する−NH−基、またはこれらの塩等)が含まれていてもよい。これらの基が含まれる例としては、例えば特開平7−234471号公報、特開平5−333466号公報、特開平6−19032号公報、特開平6−19031号公報、特開平5−45761号公報、米国特許第4,994,365号明細書、米国特許第4,988,604号明細書、特開平7−259240号公報、特開平7−5610号公報、特開平7−244348号公報、独特許第4006032号明細書、特開平11−7093号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0067】
一般式(D)においてA10、A20は水素原子、炭素数20以下のアルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくはフェニルスルホニル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたフェニルスルホニル基)、炭素数20以下のアシル基(好ましくはベンゾイル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたベンゾイル基、あるいは直鎖、分岐、または環状の置換もしくは無置換の脂肪族アシル基(ここに置換基としては、例えばハロゲン原子、エーテル基、スルホンアミド基、カルボンアミド基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等が挙げられる))である。A10、A20としては水素原子が最も好ましい。
【0068】
次に本発明において、特に好ましく用いられるヒドラジン誘導体について述べる。
R20は置換フェニル基が特に好ましく、置換基としてはスルホンアミド基、アシルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、チオウレイド基、イソチオウレイド基、スルファモイルアミノ基、N−アシルスルファモイルアミノ基等が特に好ましく、さらにスルホンアミド基、ウレイド基が好ましく、スルホンアミド基が最も好ましい。
一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体は、R20またはR10に、置換基として、直接または間接的に、バラスト基、ハロゲン化銀への吸着基、4級のアンモニオ基を含む基、4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基、エチレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、アルカリ性の現像処理液中で解離しうる解離性基、もしくは多量体を形成しうるヒドラジノ基(−NHNH−G10−R10で表される基)の少なくとも1つが置換されていることが特に好ましい。さらには、R20の置換基として、直接または間接的に、前述の何れか1つの基を有することが好ましく、最も好ましいのは、R20がベンゼンスルホンアミド基で置換されたフェニル基を表し、そのベンゼンスルホンアミド基のベンゼン環上の置換基として、直接または間接的に、前述の何れか1つの基を有する場合である。
【0069】
R10で表される基のうち好ましいものは、G10が−CO−基の場合には、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、置換アリール基(置換基としては電子吸引性基またはo−ヒドロキシメチル基が特に好ましい)であり、最も好ましくは水素原子またはアルキル基である。
G10が−COCO−基の場合にはアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基が好ましく、特に置換アミノ基、詳しくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基が好ましい。
またG10が−SO2−基の場合には、R10はアルキル基、アリール基または置換アミノ基が好ましい。
【0070】
一般式(D)においてG10は好ましくは−CO−基または−COCO−基であり、特に好ましくは−CO−基である。
【0071】
次に一般式(D)で示される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明で用いることができる一般式(D)で示される化合物は以下の化合物に限定されるものではない。
【0072】
【化2】
【0073】
【化3】
【0074】
【化4】
【0075】
【化5】
【0076】
【化6】
【0077】
【化7】
【0078】
【化8】
【0079】
【化9】
【0080】
【化10】
【0081】
【化11】
【0082】
【化12】
【0083】
本発明では、上記以外のヒドラジン誘導体も種々用いることができる。例えば、特公平6−77138号公報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物;特公平6−93082号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物;特開平6−230497号公報に記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、および39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6−7;特開平6−289520号公報に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−17)および2−1);特開平6−313936号公報に記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物;特開平6−313951号公報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物;特開平7−5610号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I−1〜I−38;特開平7−77783号公報に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102;特開平7−104426号公報に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44;特開平9−22082号公報に記載のヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A),一般式(B),一般式(C),一般式(D),一般式(E),一般式(F)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物N−1〜N−30;特開平9−22082号公報に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物D−1〜D−55;この他、国際公開WO95−32452号公報、同WO95−32453号公報、特開平9−179229号公報、特開平9−235264号公報、特開平9−235265号公報、特開平9−235266号公報、特開平9−235267号公報、特開平9−319019号公報、特開平9−319020号公報、特開平10−130275号公報、特開平11−7093号公報、特開平6−332096号公報、特開平7−209789号公報、特開平8−6193号公報、特開平8−248549号公報、特開平8−248550号公報、特開平8−262609号公報、特開平8−314044号公報、特開平8−328184号公報、特開平9−80667号公報、特開平9−127632号公報、特開平9−146208号公報、特開平9−160156号公報、特開平10−161260号公報、特開平10−221800号公報、特開平10−213871号公報、特開平10−254082号公報、特開平10−254088号公報、特開平7−120864号公報、特開平7−244348号公報、特開平7−333773号公報、特開平8−36232号公報、特開平8−36233号公報、特開平8−36234号公報、特開平8−36235号公報、特開平8−272022号公報、特開平9−22083号公報、特開平9−22084号公報、特開平9−54381号公報、特開平10−175946号公報、記載のヒドラジン誘導体などを用いることができる。
本発明に用いられるヒドラジン誘導体はまた、これらの特許に記載された種々の方法により、合成することができる。
【0084】
本発明においてヒドラジン系造核剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0085】
本発明においてヒドラジン系造核剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層、あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。また、2種類以上のヒドラジン系造核剤を併用して使用することもできる。
本発明において造核剤添加量はハロゲン化銀1molに対し1×10−5〜1×10−2molが好ましく、1×10−5〜5×10−3molがより好ましく、2×10−5〜5×10−3molが最も好ましい。
【0086】
本発明においては、感光材料中に造核促進剤としてアミン誘導体、オニウム塩、ジスルフィド誘導体またはヒドロキシメチル誘導体を内蔵することが好ましい。本発明に用いられる造核促進剤の例として、特開平7−77783号公報48頁2行〜37行に記載の化合物で、具体的には49頁〜58頁に記載の化合物A−1)〜A−73);特開平7−84331号公報に記載の(化21)、(化22)および(化23)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜8頁に記載の化合物;特開平7−104426号公報に記載の一般式〔Na〕および一般式〔Nb〕で表される化合物で、具体的には同公報16頁〜20頁に記載のNa−1〜Na−22の化合物およびNb−1〜Nb−12の化合物;特開平8−272023号公報に記載の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)および一般式(7)で表される化合物で、具体的には同明細書に記載の1−1〜1−19の化合物、2−1〜2−22の化合物、3−1〜3−36の化合物、4−1〜4−5の化合物、5−1〜5−41の化合物、6−1〜6−58の化合物、および7−1〜7−38の化合物;特開平9−297377号公報のp55,カラム108の8行〜p69,カラム136の44行までに記載の造核促進剤を挙げることができる。
【0087】
本発明に用いられる造核促進剤の具体例を以下に示す。但し、本発明で用いることができる造核促進剤は以下の化合物に限定されるものではない。
【0088】
【化13】
【0089】
【化14】
【0090】
造核促進剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、造核促進剤の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0091】
本発明において造核促進剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層、あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。
造核促進剤の添加量はハロゲン化銀1molに対し1×10−6〜2×10−2molが好ましく、1×10−5〜2×10−2molがより好ましく、2×10−5〜1×10−2molが最も好ましい。また、2種類以上の造核促進剤を併用して使用することもできる。
【0092】
本発明の感光材料に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限はなく、例えば下記箇所に記載されたものを好ましく用いることができる。
すなわち、特開平3−39948号公報第10頁右下11行目から同公報第12頁左下5行目に記載のポリヒドロキシベンゼン化合物、具体的には、同公報に記載の化合物(III)−1〜25の化合物;特開平1−118832号公報に記載の一般式(I)で表される実質的には可視域に吸収極大をたない化合物、具体的には、同公報に記載の化合物I−1〜I−26の化合物;特開平2−103536号公報第17頁右下19行目から同公報18頁右上4行目に記載のカブリ防止剤;特開平2−103536号公報第18頁左下12行目から同頁左下20行目に記載のポリマーラテックス;特開平9−179228号公報に記載の一般式(I)で表される活性メチレン基を有するポリマーラテックスで、具体的には同明細書に記載の化合物I−1〜I−16;特開平9−179228号公報に記載のコア/シェル構造を有するポリマーラテックスで、具体的には同明細書に記載の化合物P−1〜P−55;特開平7−104413号公報第14頁左1行目から同頁右30行目に記載の酸性ポリマーラテックスで、具体的には同公報15頁に記載の化合物II−1)〜II−9);特開平2−103536号公報第19頁左上15行目から同公報19頁右上15行目に記載のマット剤、滑り剤、可塑剤;特開平2−103536号公報第18頁右上5行目から同頁右上17行目に記載の硬膜剤;特開平2ー103536号公報第18頁右下6行目から同公報19頁左上1行目に記載の酸基を有する化合物;特開平2−18542号公報第2頁左下13行目から同公報第3頁右上7行目に記載の導電性物質、具体的には、同公報第2頁右下2行目から同頁右下10行目に記載の金属酸化物、および同公報に記載の化合物P−1〜P−7の導電性高分子化合物;特開平2−103536号公報第17頁右下1行目から同頁右上18行目に記載の水溶性染料;特開平7−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される固体分散染料、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)。特開平2−294638号公報および特開平5−11382号公報に記載の固体分散染料;特開平2−12236号公報第9頁右上7行目から同頁右下3行目に記載の界面活性剤.特開平2−103536号公報第18頁左下4行目から同頁左下7行目に記載のPEG系界面活性剤;特開平3−39948号公報第12頁左下6行目から同公報第13頁右下5行目に記載の含フッ素界面活性剤、具体的には、同公報に記載の化合物I−1〜I−15の化合物;特開平5−274816号公報に記載の酸化されることにより現像抑制剤を放出しうるレドックス化合物、好ましくは同公報に記載の一般式(R−1),一般式(R−2),一般式(R−3)で表されるレドックス化合物、具体的には、同公報に記載の化合物R−1〜R−68の化合物;特開平2−18542号公報第3頁右下1行目から20行目に記載のバインダーを挙げることができる。
【0093】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ベンゾトリアゾール系化合物の存在下で現像処理することが好ましい。ベンゾトリアゾール系化合物は感光材料中に添加してもよいし現像液中に添加してもよい。感光材料中に添加する場合は、ハロゲン化銀乳剤層側や支持体を挟んでハロゲン化銀乳剤層との反対側に添加してもよい。好ましくはハロゲン化銀乳剤層側がよい。
【0094】
本発明に用いられるベンゾトリアゾール系化合物の構造は特に制限されない。好ましいのは以下の化合物である。
(1)5,6−ジメチルベンゾトリアゾール
(2)5−ブチルベンゾトリアゾール
(3)5−メチルベンゾトリアゾール
(4)5−クロロベンゾトリアゾール
(5)5−ブロモベンゾトリアゾール
(6)5,6−ジクロロベンゾトリアゾール
(7)4,6−ジクロロベンゾトリアゾール
(8)5−ニトロベンゾトリアゾール
(9)4−ニトロ−6−クロロベンゾトリアゾール
(10)4,5,6−トリクロロベンゾトリアゾール
(11)5−カルボキシベンゾトリアゾール
(12)5−スルホベンゾトリアゾール
(13)5−メトキシカルボニルベンゾトリアゾール
(14)5−アミノベンゾトリアゾール
(15)5−ブトキシベンゾトリアゾール
(16)5−ウレイドベンゾトリアゾール
(17)ベンゾトリアゾール
【0095】
本発明において特に好ましく用いられるベンゾトリアゾール系化合物は、ベンゾトリアゾールまたは5−メチルベンゾトリアゾールである。
本発明におけるベンゾトリアゾール系化合物の添加量は、ハロゲン化銀写真感光材料の場合ハロゲン化銀1molに対して1×10−4〜1×10−1molが好ましく、1×10−3〜7×10−2molが特に好ましい。
現像液に添加する場合は、7.5×10−5〜7.5×10−3mol/Lが好ましく、7.5×10−5〜5.0×10−3mol/Lが特に好ましい。
また、ベンゾトリアゾール系化合物は2種以上併用して使用してもよいし、ハロゲン化銀写真感光材料と現像液添加を併用してもよい。
【0096】
以下に本発明における現像液、定着液などの処理剤および処理方法等について述べるが、言うまでもなく本発明は以下の記述および具体例に限定されるものではない。
【0097】
本発明における現像処理には、公知の方法のいずれを用いることもできるし、現像処理液には公知のものを用いることができる。
【0098】
本発明に使用する現像液(以下、現像開始液および現像補充液の双方をまとめて現像液という。)に用いる現像主薬には特別な制限はないが、ジヒドロキシベンゼン類や、ハイドロキノンモノスルホン酸塩を含むことが好ましく、単独使用でも併用でもよい。特に、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬およびこれと超加成性を示す補助現像主薬を含有することが好ましく、ジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類の組み合わせ、またはジヒドロキシベンゼン類とp−アミノフェノール類の組み合わせなどを挙げることができる。
本発明に用いる現像主薬において、ジヒドロキシベンゼン現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノンなどがあるが、特にハイドロキノンが好ましい。
【0099】
本発明に用いる1−フェニル−3−ピラゾリドンまたはその誘導体の現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4、4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンなどがある。
本発明に用いるp−アミノフェノール系現像主薬としてN−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシフェニル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、o−メトキシ−p−(N、N−ジメチルアミノ)フェノール、o−メトキシ−p−(N−メチルアミノ)フェノールなどがあるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノール、または特開平9−297377号公報および特開平9−297378号公報に記載のアミノフェノール類が好ましい。
【0100】
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は通常0.05mol/L〜0.8mol/Lの量で用いられるのが好ましい。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類の組み合わせを用いる場合には前者を0.05mol/L〜0.6mol/L、好ましくは0.10mol/L〜0.5mol/L、後者を0.06mol/L以下、好ましくは0.03mol/L〜0.003mol/Lの量で用いるのが好ましい。
【0101】
本発明で感光材料を処理する際の現像液には、通常用いられる添加剤(たとえば現像主薬、アルカリ剤、pH緩衝剤、保恒剤、キレート剤等)を含有することができる。以下にこれらの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明で感光材料を現像処理する際の現像液に用いられる緩衝剤としては、炭酸塩、特開昭62−186259号公報に記載のほう酸、特開昭60−93433号公報に記載の糖類(たとえばサッカロース)、オキシム類(たとえばアセトオキシム)、フェノール類(たとえば5−スルホサリチル酸)、第3リン酸塩(たとえばナトリウム塩、カリウム塩)などが用いられ、好ましくは炭酸塩が用いられる。緩衝剤、特に炭酸塩の使用量は、好ましくは0.05mol/L以上、特に0.08〜1.0mol/Lである。
【0102】
本発明に用いられる保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどがある。亜硫酸塩は好ましくは0.2mol/L以上、特に0.3mol/L以上用いられるが、あまりに多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、上限は1.2mol/Lとするのが望ましい。特に好ましくは、0.35〜0.7mol/Lである。
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩と併用して前記のアスコルビン酸誘導体を少量使用してもよい。なかでも素材コストの点からエリソルビン酸ナトリウムを用いることが好ましい。添加量はジヒドロキシベンゼン系現像主薬に対して、モル比で0.03〜0.12の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.10の範囲である。保恒剤としてアスコルビン酸誘導体を使用する場合には現像液中にホウ素化合物を含まないことが好ましい。
【0103】
上記以外に用いられる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムのような現像抑制剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドのような有機溶剤、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、イミダゾールまたはその誘導体等の現像促進剤、ヘテロ環メルカプト化合物(たとえば3−(5−メルカプトテトラゾール−1−イル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールなど)、特開昭62−212651号公報に記載の化合物を物理現像ムラ防止剤として添加することもできる。
また、メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤または黒ポツ(black pepper)防止剤として含んでもよい。具体的には、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンゾイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンゾイミダゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、4−((2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ)ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールなどを挙げることができる。これらの添加剤の量は、通常現像液1Lあたり0.01〜10mmolであり、より好ましくは0.1〜2mmolである。
【0104】
さらに現像液中には各種の有機、無機のキレート剤を単独または併用で用いることができる。
無機キレート剤としてはたとえば、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどを用いることができる。
一方、有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸および有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
有機カルボン酸としてはたとえば、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グルコン酸、アジピン酸、ピメリン酸、アシエライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などを挙げることができる。
【0105】
アミノポリカルボン酸としてはたとえば、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミンモノヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテル四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、その他特開昭52−25632号公報、同55−67747号公報、同57−102624号公報、および特公昭53−40900号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0106】
有機ホスホン酸としては、たとえば米国特許第3,214,454号明細書、同3,794,591号明細書および西独特許公開2,227,369号明細書等に記載のヒドロキシアルキリデン−ジホスホン酸やリサーチ・ディスクロージャー第181巻,Item 18170(1979年5月号)等に記載の化合物が挙げられる。
アミノホスホン酸としては、たとえばアミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられるが、その他上記リサーチ・ディスクロージャー18170、特開昭57−208554号公報、同54−61125号公報、同55−29883号公報、同56−97347号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0107】
有機ホスホノカルボン酸としては、たとえば特開昭52−102726号公報、同53−42730号公報、同54−121127号公報、同55−4024号公報、同55−4025号公報、同55−126241号公報、同55−65955号公報、同55−65956号公報および前述のリサーチ・ディスクロージャー18170等に記載の化合物を挙げることができる。
【0108】
これらのキレート剤の中で特にジエチレントリアミン類が好ましい。ジエチレントリアミン類の中でもジエチレントリアミン五酢酸およびその金属塩がより好ましい。
【0109】
これらの有機および/または無機のキレート剤は、前述のものに限定されるものではない。また、アルカリ金属塩やアンモニウム塩の形で使用してもよい。これらのキレート剤の添加量としては、現像液1Lあたり好ましくは、1×10−4〜1×10−1mol、より好ましくは1×10−3〜1×10−2molである。
【0110】
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、たとえば特開昭56−24347号公報、特公昭56−46585号公報、特公昭62−2849号公報、特開平4−362942号公報、特開平8−6215号公報に記載の化合物の他、メルカプト基を1つ以上有するトリアジン(たとえば特公平6−23830号公報、特開平3−282457号公報、特開平7−175178号公報に記載の化合物)、同ピリミジン(たとえば2−メルカプトピリミジン、2、6−ジメルカプトピリミジン、2、4−ジメルカプトピリミジン、5、6−ジアミノ−2、4−ジメルカプトピリミジン、2、4、6−トリメルカプトピリミジン、特開平9−274289号公報記載の化合物など)、同ピリジン(たとえば2−メルカプトピリジン、2、6−ジメルカプトピリジン、3、5−ジメルカプトピリジン、2、4、6−トリメルカプトピリジン、特開平7−248587号公報に記載の化合物など)、同ピラジン(たとえば2−メルカプトピラジン、2、6−ジメルカプトピラジン、2、3−ジメルカプトピラジン、2、3、5−トリメルカプトピラジンなど)、同ピリダジン(たとえば3−メルカプトピリダジン、3、4−ジメルカプトピリダジン、3、5−ジメルカプトピリダジン、3、4、6−トリメルカプトピリダジンなど)、特開平7−175177号公報に記載の化合物、米国特許第5,457,011号明細書に記載のポリオキシアルキルホスホン酸エステルなどを用いることができる。これらの銀汚れ防止剤は単独または複数の併用で用いることができ、添加量は現像液1Lあたり0.05〜10mmolが好ましく、0.1〜5mmolがより好ましい。
また、溶解助剤として特開昭61−267759号公報記載の化合物を用いることができる。
さらに必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。
【0111】
現像液の好ましいpHは9.0〜11.0であり、特に好ましくは9.2〜11.0、さらに好ましくは9.5〜11.0の範囲である。pH調整に用いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩(たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)を用いることができる。
【0112】
使用される現像液1Lに0.1molの水酸化ナトリウムを加えたときのpH上昇が0.4以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.4〜1.0である。
【0113】
現像液のカチオンとしては、ナトリウムイオンに比べてカリウムイオンの方が現像抑制をせず、またフリンジと呼ばれる黒化部のまわりのギザギザが少ない。
さらに、濃縮液として保存する場合には一般にカリウム塩のほうが溶解度が高く好ましい。しかしながら、定着液においてはカリウムイオンは銀イオンと同程度に定着阻害をすることから、現像液のカリウムイオン濃度が高いと、感光材料により現像液が持ち込まれることにより定着液中のカリウムイオン濃度が高くなり、好ましくない。以上のことから現像液におけるカリウムイオンとナトリウムイオンのモル比率は20:80〜80:20の間であることが好ましい。カリウムイオンとナトリウムイオンの比率は、pH緩衝剤、pH調整剤、保恒剤、キレート剤などの対カチオンで、上記の範囲で任意に調整できる。
【0114】
ランニングテストのなかで、現像主薬の減少は写真性に大きく影響する。そこで、現像液の現像主薬の減少を調べる方法として、以下の方法を用いた。
現像槽部の処理液と空気の接触面積(cm2)を現像タンク液量(cm3)で割ったものを開口率と定義する。現用されている自動現像機の開口率は一般的に0.05〜1.5である。
現像液600mlを1Lのポリビンに入れて、上記開口率を0.11に調整し、温度25℃、湿度50%の暗室で4日経時する。経時前後の現像主薬量を測定し、減少量を経時前の現像主薬量で割って100を掛けて%で表わす。減少率が50%より大きいとランニングテストでの写真性の変動が大きく、また5%以下でも写真性変動(特にDmax)が大きく使用するのが困難である。本発明の感光材料に用いる現像液の好ましい減少率は7〜50%で、より好ましくは8〜40%である。
【0115】
現像液の補充量は、感光材料1m2につき323ml以下であり、323〜30mlが好ましく、323〜120mlが最も好ましい。現像補充液は、現像開始液と同一の組成および/または濃度を有していてもよいし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していてもよい。
【0116】
本発明における定着処理剤の定着剤としては、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムアンモニウムが使用できる。定着剤の使用量は適宜かえることができるが、一般には約0.7〜約3.0mol/Lである。
【0117】
本発明における定着液は、硬膜剤として作用する水溶性アルミニウム塩、水溶性クロム塩を含んでもよく、水溶性アルミニウム塩が好ましい。それにはたとえば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明礬、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウムなどがある。これらは使用液におけるアルミニウムイオン濃度として、0.01〜0.15mol/Lで含まれることが好ましい。
なお、定着液を濃縮液または固形剤として保存する場合、硬膜剤などを別パートとした複数のパーツで構成してもよいし、すべての成分を含む一剤型の構成としてもよい。
【0118】
定着処理剤には所望により保恒剤(たとえば亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩などを0.015mol/L以上、好ましくは0.02mol/L〜0.3mol/L)、pH緩衝剤(たとえば酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸、コハク酸、アジピン酸などを0.1mol/L〜1mol/L、好ましくは0.2mol/L〜0.7mol/L)、アルミニウム安定化能や硬水軟化能のある化合物(たとえばグルコン酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、安息香酸、サリチル酸、タイロン、アスコルビン酸、グルタル酸、アスパラギン酸、グリシン、システイン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸やこれらの誘導体およびこれらの塩、糖類などを0.001mol/L〜0.5mol/L、好ましくは0.005mol/L〜0.3mol/L)を含むことができが、近年の環境保護の点からホウ素系化合物は含まない方がよい。
【0119】
このほか、特開昭62−78551号公報に記載の化合物、pH調整剤(たとえば水酸化ナトリウム、アンモニア、硫酸など)、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤等も含むことができる。界面活性剤としては、たとえば硫酸化物スルホン酸化物などのアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6840号公報記載の両性界面活性剤が挙げられ、公知の消泡剤を使用することもできる。湿潤剤としては、アルカノールアミン、アルキレングリコール等がある。
定着促進剤としては、特開平6−308681号公報に記載のアルキルおよびアリル置換されたチオスルホン酸およびその塩や、特公昭45−35754号公報、同58−122535号公報、同58−122536号公報記載のチオ尿素誘導体、分子内に3重結合を有するアルコール、米国特許第4,126,459号明細書記載のチオエーテル化合物、特開昭64−4739号公報、特開平1−4739号公報、同1−159645号公報および同3−101728号公報に記載のメルカプト化合物、同4−170539号公報に記載のメソイオン化合物、チオシアン酸塩を含むことができる。
【0120】
本発明における定着液のpHは、4.0以上が好ましく、より好ましくは4.5〜6.0を有する。定着液は処理により現像液が混入してpHが上昇するが、この場合、硬膜定着液では6.0以下好ましくは5.7以下であり、無硬膜定着液においては7.0以下好ましくは6.7以下である。
【0121】
定着液の補充量は、感光材料1m2につき500ml以下であり、390ml以下が好ましく、320〜80mlがより好ましい。補充液は、開始液と同一の組成および/または濃度を有していてもよいし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していてもよい。
【0122】
定着液は電解銀回収などの公知の定着液再生方法により再生使用することができる。再生装置としては、たとえば富士フイルム社製FS−2000などがある。
また、活性炭などの吸着フィルターを使用して、色素などを除去することも好ましい。
【0123】
本発明における現像および定着処理剤が液剤の場合、たとえば特開昭61−73147号公報に記載されたような、酸素透過性の低い包材で保管することが好ましい。さらにこれらの液が濃縮液の場合、所定の濃度になるように、濃縮液1部に対して水0.2〜3部の割合で希釈して使用される。
【0124】
本発明における現像処理剤および定着処理剤は固形にしても液剤同様の結果が得られるが、保存安定性等の観点からは、固形処理剤が好ましい。以下に固形処理剤に関する記述を行う。
本発明における固形剤は、公知の形態(粉状、粒状、顆粒状、塊状、錠剤、コンパクター、ブリケット、板状、棒状、ペースト状など)が使用できる。これらの固形剤は、接触して互いに反応する成分を分離するために、水溶性のコーティング剤やフィルムで被覆してもよいし、複数の層構成にして互いに反応する成分を分離してもよく、これらを併用してもよい。
【0125】
被覆剤、造粒助剤には公知のものが使用できるが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリスチレンスルホン酸、ビニル系化合物が好ましい。この他、特開平5−45805号公報カラム2の48行〜カラム3の13行目が参考にできる。
【0126】
複数の層構成にする場合は、接触しても反応しない成分を互いに反応する成分の間にはさんだ構成にして錠剤やブリケット等に加工してもよいし、公知の形態の成分を同様の層構成にして包装してもよい。これらの方法は、たとえば特開昭61−259921号公報、同4−16841号公報、同4−78848号公報、同5−93991号公報等に示されている。
【0127】
固形処理剤の嵩密度は、0.5〜6.0g/cm3が好ましく、特に錠剤は1.0〜5.0g/cm3が好ましく、顆粒は0.5〜1.5g/cm3が好ましい。
【0128】
本発明における固形処理剤の製法は、公知のいずれの方法を用いることができる。たとえば、特開昭61−259921号公報、特開平4−15641号公報、特開平4−16841号公報、同4−32837号公報、同4−78848号公報、同5−93991号公報、特開平4−85533号公報、同4−85534号公報、同4−85535号公報、同5−134362号公報、同5−197070号公報、同5−204098号公報、同5−224361号公報、同6−138604号公報、同6−138605号公報、同8−286329号公報等を参考にすることができる。
【0129】
より具体的には転動造粒法、押し出し造粒法、圧縮造粒法、解砕造粒法、撹拌造粒法、スプレードライ法、溶解凝固法、ブリケッティング法、ローラーコンパクティング法等を用いることができる。
【0130】
本発明における固形剤は、表面状態(平滑、多孔質等)や部分的に厚みを変えたり、中空状のドーナツ型にしたりして溶解性を調節することもできる。さらに、複数の造粒物に異なった溶解性を与えたり、溶解性の異なる素材の溶解度を合わせるために、複数の形状をとることも可能である。また、表面と内部で組成の異なる多層の造粒物でもよい。
【0131】
固形剤の包材は、酸素および水分透過性の低い材質が好ましく、包材の形状は袋状、筒状、箱状などの公知のものが使用できる。また、特開平6−242585号公報〜同6−242588号公報、同6−247432号公報、同6−247448号公報、同6−301189号公報、同7−5664号公報、同7−5666号公報〜同7−5669号公報に開示されているような折り畳み可能な形状にすることも、廃包材の保管スペース削減のためには好ましい。これらの包材は、処理剤の取り出し口にスクリューキャップや、プルトップ、アルミシールをつけたり、包材をヒートシールしてもよいが、このほかの公知のものを使用してもよく、特に限定はしない。さらに環境保全上、廃包材をリサイクルまたはリユースすることが好ましい。
【0132】
本発明における固形処理剤の溶解および補充の方法としては特に限定はなく、公知の方法を使用することができる。これらの方法としてはたとえば、撹拌機能を有する溶解装置で一定量を溶解し補充する方法、特開平9−80718号公報に記載されているような溶解部分と完成液をストックする部分とを有する溶解装置で溶解し、ストック部から補充する方法、特開平5−119454号公報、同6−19102号公報、同7−261357号公報に記載されているような自動現像機の循環系に処理剤を投入して溶解・補充する方法、溶解槽を内蔵する自動現像機で感光材料の処理に応じて処理剤を投入し溶解する方法などがあるが、このほかの公知のいずれの方法を用いることもできる。また処理剤の投入は、人手で行ってもよいし、特開平9−138495号公報に記載されているような開封機構を有する溶解装置や自動現像機で自動開封、自動投入してもよく、作業環境の点からは後者が好ましい。具体的には取り出し口を突き破る方法、はがす方法、切り取る方法、押し切る方法や、特開平6−19102号公報、同6−95331号公報に記載の方法などがある。
【0133】
現像、定着処理が済んだ感光材料は、ついで水洗または安定化処理される(以下特に断らない限り、安定化処理を含めて水洗といい、これらに使用する液を、水または水洗水という)。水洗に使用される水は、水道水でもイオン交換水でも蒸留水でも安定化液でもよい。これらの補充量は、一般的には感光材料1m2あたり約17L〜約8Lであるが、それ以下の補充量で行うこともできる。特に3L以下の補充量(0も含む。すなわち、ため水水洗)では、節水処理が可能となるのみならず、自動現像機設置の配管を不要とすることもできる。水洗を低補充量で行う場合は、特開昭63−18350号公報、同62−287252号公報等に記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減や、水垢防止のために種々の酸化剤(たとえばオゾン、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、活性ハロゲン、二酸化塩素、炭酸ナトリウム過酸化水素塩など)添加やフィルター濾過を組み合わせてもよい。
【0134】
水洗の補充量を少なくする方法として、古くより多段向流方式(たとえば2段、3段等)が知られており、水洗補充量は感光材料1m2あたり200〜50mlが好ましい。この効果は、独立多段方式(向流にせず、多段の水洗槽に個別に新液を補充する方法)でも同様に得られる。
【0135】
さらに、水洗工程に水垢防止手段を施してもよい。水垢防止手段としては公知のものを使用することができ、特に限定はしないが、防ばい剤(いわゆる水垢防止剤)を添加する方法、通電する方法、紫外線または赤外線や遠赤外線を照射する方法、磁場をかける方法、超音波処理する方法、熱をかける方法、未使用時にタンクを空にする方法などがある。これらの水垢防止手段は、感光材料の処理に応じてなされてもよいし、使用状況に関係なく一定間隔で行われてもよいし、夜間など処理の行われない期間のみ施してもよい。またあらかじめ水洗水に施しておいて、これを補充してもよい。さらには、一定期間ごとに異なる水垢防止手段を行うことも、耐性菌の発生を抑える上では好ましい。
【0136】
節水水垢防止装置としては、富士フイルム社製装置AC−1000と水垢防止剤として富士フイルム社製AB−5を用いてもよく特開平11−231485号公報の方法を用いてもよい。
防ばい剤としては特に限定はなく公知のものが使用できる。前述の酸化剤の他たとえばグルタルアルデヒド、アミノポリカルボン酸等のキレート剤、カチオン性界面活性剤、メルカプトピリジンオキシド(たとえば2−メルカプトピリジン−N−オキシドなど)などがあり、単独使用でも複数の併用でもよい。
通電する方法としては、特開平3−224685号公報、同3−224687号公報、同4−16280号公報、同4−18980号公報などに記載の方法が使用できる。
【0137】
このほか、水泡ムラ防止や汚れ転写防止のために、公知の水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。また、感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号公報に記載の色素吸着剤を水洗系に設置してもよい。
【0138】
水洗工程からのオーバーフロー液の一部または全部は、特開昭60−235133号公報に記載されているように、定着能を有する処理液に混合利用することもできる。また微生物処理(たとえば硫黄酸化菌、活性汚泥処理や微生物を活性炭やセラミック等の多孔質担体に担持させたフィルターによる処理等)や、通電や酸化剤による酸化処理をして、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、沃素消費量等を低減してから排水したり、銀と親和性のあるポリマーを用いたフィルターやトリメルカプトトリアジン等の難溶性銀錯体を形成する化合物を添加して銀を沈降させてフィルター濾過するなどし、排水中の銀濃度を低下させることも、自然環境保全の観点から好ましい。
【0139】
また、水洗処理に続いて安定化処理する場合もあり、その例として特開平2−201357号公報、同2−132435号公報、同1−102553号公報、特開昭46−44446号公報に記載の化合物を含有した浴を感光材料の最終浴として使用してもよい。この安定浴にも必要に応じてアンモニウム化合物、BI,Al等の金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防ばい剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。
【0140】
水洗、安定化浴に添加する防ばい剤等の添加剤および安定化剤は、前述の現像、定着処理剤同様に固形剤とすることもできる。
【0141】
本発明に使用する現像液、定着液、水洗水、安定化液の廃液は焼却処分することが好ましい。また、これらの廃液はたとえば特公平7−83867号公報、米国特許第5,439,560号明細書等に記載されているような濃縮装置で濃縮液化または固化させてから処分することも可能である。
【0142】
処理剤の補充量を低減する場合には、処理槽の開口面積を小さくして液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。ローラー搬送型の自動現像機については米国特許第3,025,779号明細書、同3,545,971号明細書などに記載されており、本明細書においては単にローラー搬送型自動現像機として言及する。この自現機は現像、定着、水洗および乾燥の四工程からなっており、本発明においても、他の工程(たとえば停止工程)を除外しないが、この四工程を踏襲するのが最も好ましい。さらに、現像定着間および/または定着水洗間にリンス浴(洗浄槽)を設けてもよい。
【0143】
本発明における現像処理では、処理開始から乾燥後まで(dry to dry)で25〜160秒が好ましく、現像および定着時間が40秒以下、好ましくは6〜35秒、各液の温度は25〜50℃が好ましく、30〜40℃が好ましい。水洗の温度および時間は0〜50℃で40秒以下が好ましい。現像、定着および水洗された感光材料は水洗水を絞りきる、すなわちスクイズローラーを経て乾燥してもよい。乾燥は約40〜約100℃で行われ、乾燥時間は周囲の状態によって適宜変更することができる。乾燥方法は公知のいずれの方法も用いることができ特に限定はないが、温風乾燥や、特開平4−15534号公報、同5−2256号公報、同5−289294号公報に開示されているようなヒートローラー乾燥、遠赤外線による乾燥などがあり、複数の方法を併用してもよい。
【0144】
本発明に用いられるイメージセッターとしては、富士写真フイルム(株)製のLuxl F9000やラックスセッターRC−5600V、大日本スクリーン(株)製のイメージセッターFT−R5055アグファゲバルト(株)製のセレクトセット5000、アバントラ25、もしくはアキュセット1000、サイテックス(株)製のドレブ450、もしくはドレブ800、ハイデル(株)製のライノ630、クエーサー、ハーキュレスエリート、もしくはシグナセッター、もしくはラクセルF−9000、またはプレプレス(株)製のパンサープロ62などが挙げられる。
【0145】
【実施例】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0146】
<実施例1>
[乳剤Aの調製]
1液
水 750ml
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
2液
水 300ml
硝酸銀 150g
3液
水 300ml
塩化ナトリウム 33g
臭化カリウム 43g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム 5ml
(20質量%KCl水溶液中の濃度0.005質量%)
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム 7ml
(20質量%NaCl水溶液中の濃度0.001質量%)
【0147】
3液に用いるヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(20質量%KCl水溶液中の濃度0.005質量%)およびヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(20質量%NaCl水溶液中の濃度0.001質量%)は、粉末をそれぞれ20質量KCl%水溶液、20質量%NaCl水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0148】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
4液
水 100ml
硝酸銀 50g
5液
水 100ml
塩化ナトリウム 11g
臭化カリウム 15g
黄血塩 50mg
【0149】
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、下記に示すアニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.2±0.2の範囲であった)。次に上澄み液を約3L除去した(第一水洗)。さらに3Lの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3L除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返し(第三水洗)て水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン45gを加え、pH5.6、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。
最終的に臭化銀を40mol%、沃化銀を0.08mol%含む平均粒子サイズ0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.2x103kg/m3、粘度=50mPa・sとなった。
なお、ハロゲン化銀乳剤のハロゲン組成の調整は乳剤Aの3液、および5液の塩化ナトリウム、臭化カリウムの添加量、調整温度を変更することにより行った。
【0150】
【化15】
【0151】
[塗布試料の作製]
下記に示す両面が塩化ビニリデンを含む防湿層下塗りからなるポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、UL層/乳剤層/保護層下層/保護層上層の構成となるように塗布して試料を作製した。
以下に各層の調製方法、塗布量および塗布方法を示す。
【0152】
<乳剤層>
乳剤Aに、増感色素(SD−1)5.7×10−4mol/molAgを加えて分光増感を施した。さらにKBr3.4×10−4mol/molAg、化合物(Cpd−1)2.0×10−4mol/molAg、化合物(Cpd−2)2.0×10−4mol/molAg、化合物(Cpd−3)8.0×10−4mol/molAgを加え、良く混合した。次いで4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10−4mol/molAg、ハイドロキノン1.2×10−2mol/molAg、クエン酸3.0×10−4mol/molAg、ヒドラジン系造核剤(Cpd−4)を1.5×10−4mol/molAg、造核促進剤(Cpd−5)を6.0×10−4mol/molAg、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩を90mg/m2、ゼラチンに対して15質量%の粒子サイズ10nmのコロイダルシリカ、ポリマーラテックス(aqL−6)を100mg/m2、ポリエチルアクリレートラテックスを150mg/m2、メチルアクリレートと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩と2−アセトキシエチルメタクリレートのラテックス共重合体(質量比88:5:7)を150mg/m2、コアシェル型ラテックス(コア:スチレン/ブタジエン共重合体(質量比37/63)、シェル:スチレン/2−アセトキシエチルアクリレート(質量比84/16)、コア/シェル比=50/50)を150mg/m2、ゼラチンに対し4質量%の化合物(Cpd−7)を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。このようにして調製した乳剤層塗布液を下記支持体上にAg2.9g/m2、ゼラチン1.5g/m2になるように塗布した。
【0153】
<保護層上層>
ゼラチン 0.3g/m2
平均粒子サイズ3.5μmの不定形シリカマット剤 25mg/m2
化合物(Cpd−8)(ゼラチン分散物) 20mg/m2
粒子サイズ10〜20μmのコロイダルシリカ 30mg/m2
(日産化学製スノーテックスC)
化合物(Cpd−9) 50mg/m2
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2
化合物(Cpd−10) 20mg/m2
化合物(Cpd−11) 20mg/m2
防腐剤(プロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)) 1mg/m2
【0154】
<保護層下層>
ゼラチン 0.5g/m2
化合物(Cpd−12) 15mg/m2
1,5−ジヒドロキシ−2−ベンズアルドキシム 10mg/m2
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
化合物(Cpd−13) 3mg/m2
防腐剤(プロキセル) 1.5mg/m2
【0155】
<UL層>
ゼラチン 0.5g/m2
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
化合物(Cpd−7) 40mg/m2
化合物(Cpd−14) 10mg/m2
防腐剤(プロキセル) 1.5mg/m2
【0156】
尚、各層の塗布液は、下記構造を有する増粘剤Zを加え、粘度調整した。
【0157】
【化16】
【0158】
【化17】
【0159】
なお、本発明で使用したサンプルは下記組成のバック層および導電層を有する。
【0160】
<バック層>
ゼラチン 3.3g/m2
化合物(Cpd−15) 40mg/m2
化合物(Cpd−16) 20mg/m2
化合物(Cpd−17) 90mg/m2
化合物(Cpd−18) 40mg/m2
化合物(Cpd−19) 26mg/m2
化合物(Cpd−22) 5mg/m2
1,3−ジビニルスルホニル−2−プロパノール 60mg/m2
流動パラフィン 78mg/m2
化合物(Cpd−7) 120mg/m2
硝酸カルシウム 20mg/m2
防腐剤(プロキセル) 12mg/m2
さらに、平均粒子サイズ6.5μmと3.5μmのポリメチルメタクリレート微粒子を、表1の凸数になる様に、質量比100/0〜0/100の範囲で適宜混合して添加した。塗布量の目安は、10〜100mg/m2である。
【0161】
<導電層>
ゼラチン 0.1g/m2
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2
SnO2/Sb 200mg/m2
(9/1重量比、平均粒子サイズ0.25μm)
防腐剤(プロキセル) 0.3mg/m2
【0162】
【化18】
【0163】
<支持体>
二軸延伸したポリエチレンテレフタレート支持体(厚み100μm)の両面の下記組成の下塗層第1層および第2層を塗布した。
【0164】
<下塗層1層>
コア−シェル型塩化ビニリデン共重合体▲1▼ 15g
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 0.25g
ポリスチレン微粒子(平均粒子サイズ3μm) 0.05g
化合物(Cpd−20) 0.20g
粒子サイズ70〜100μmのコロイダルシリカ 0.12g
(スノーテックスZL:日産化学(株)製)
水 全体量が100gとなる量
さらに、10重量%のKOHを加え、pH=6に調整した塗布液を乾燥温度180℃2分間で、乾燥膜厚が0.9μmになる様に塗布した。
【0165】
<下塗層第2層>
ゼラチン 1g
メチルセルロース 0.05g
化合物(Cpd−21) 0.02g
C12H25O(CH2 CH2 O)10H 0.03g
プロキセル 3.5×10−3g
酢酸 0.2g
水 全体量が100gとなる量
この塗布液を乾燥温度170℃で2分間乾燥した後の乾燥膜厚が0.1μmになる様に塗布した。
【0166】
【化19】
【0167】
<塗布方法>
上記下塗層を施した支持体上に、まず乳剤面側として支持体に近い側よりUL層、乳剤層、保護層下層、保護層上層の順に4層を、35℃に保ちながらスライドビードコーター方式により硬膜剤液を加えながら同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた後、乳剤面とは反対側に支持体に近い側より、導電層、バック層の順に、カーテンコーター方式により硬膜剤液を加えながら同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた。各々のセットゾーンを通過した時点では、塗布液は充分なセット性を示した。引き続き乾燥ゾーンにて両面を同時に下記乾燥条件にて乾燥した。なお、バック面側を塗布した後、巻き取りまではローラー、その他には一切無接触の状態で搬送した。この時の塗布速度は200m/minであった。
【0168】
<乾燥条件>
セット後、水/ゼラチンの重量比が800%となるまで30℃の乾燥風で乾燥し、800〜200%を35℃相対湿度30%の乾燥風で乾燥させ、そのまま風を当て、表面温度34℃となった時点(乾燥終了と見なす)より30秒後に、48℃相対湿度2%の空気で1分間乾燥した。この時、乾燥時間は乾燥開始〜水/ゼラチン比800%までが50秒、800〜200%までが35秒、200%〜乾燥終了までが5秒であった。
【0169】
この感光材料を25℃相対湿度55%で巻き取り、35℃相対湿度30%において72時間熱処理を行なった。次いで25℃相対湿度55%で、幅768mm×長さ61mに裁断し、ロール形態にして、試料を作製した。
ロール包装体内の湿度は、相対湿度45%であった。また、得られた試料の乳剤層側の膜面pHは5.5〜5.8,バック側の膜面pHは6.0〜6.5であった。
【0170】
次に現像液処方と定着液処方について述べる。
現像液(A)処方
水 600ml
水酸化カリウム 97.23g
ジエチレントリアミン−五酢酸 6.0g
炭酸カリウム 48.0g
メタ重亜硫酸ナトリウム 121.2g
臭化カリウム 9.0g
ハイドロキノン 66.0g
4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1−
フェニル−3−ピラゾリドン 1.8g
4−(N―カルボキシメチル−N−メチルアミノ−
2,6−ジメルカプトピリミジン 0.46g
2−(N―カルボキシメチル−N−メチルアミノ−
4,6−ジメルカプトピリミジン 0.15g
エリソルビン酸ナトリウム 9.0g
5−メチルベンゾトリアゾール 0.12g
ジエチレングリコール 40.02g
【0171】
水酸化カリウムを加えて、水を加えて1Lとし、pHを10.68に合わせた。使用にあたっては、上記濃縮液1部に対して水2部の割合で希釈し使用液のpHは10.45であった。
【0172】
定着液(B)処方:濃縮液1Lあたりの処方
チオ硫酸アンモニウム 360g
エチレンジアミン・四酢酸・2Na・2水塩 0.09g
チオ硫酸ナトリウム・5水塩 33.0g
メタ亜硫酸ナトリウム 57.0g
水酸化ナトリウム 37.2g
酢酸(100%) 90.0g
酒石酸 8.7g
グルコン酸ナトリウム 5.1g
硫酸アルミニウム 25.2g
pH 4.85
使用にあたっては、上記濃縮液1部に対して水2部の割合で希釈した。使用液のpHは4.8であった。
【0173】
[摩擦係数の測定]
試料を25℃、相対湿度55±5%の条件下に、30分放置後、表面性測定機(新東科学(株)製、HEIDONトライボギアTYPE:14DR)を用いて、試料台にハロゲン化銀感光材料を乗せ、その上に、ゴム硬度80度のシリコーンゴムシートを乗せて、200g/cm2の荷重を加え、感光材料を600cm/minのスピードで移動し、そのときの静摩擦抵抗力(Fs)を測定し、前述の式(1)から静摩擦係数(μS)を求めた。また、同時に動摩擦抵抗力(Fk)を測定し、下記式(2)により動摩擦係数(μK)を求めた。
式(2) μk=Fk(gf)/Ft(gf)
【0174】
[搬送性の評価]
露光〜現像処理が自動搬送システムである下記の画像形成装置を用いて、768mm幅の感光材料を用いて、送り長が980mmで、標準現像処理条件で画像形成処理を行い、感光材料の送り長の不良の発生率の評価を行なった。
露光装置:イメージセッター Luxel F−9000 (富士写真フイルム(株)製)
現像処理装置:AP−1250X (富士写真フイルム(株)製)
なお、自動現像機の水洗工程において、水垢防止節水装置として富士写真フイルム社製AC−1000を用い、薬剤として富士写真フイルム社製AB−5を組み合わせて使用した。補充量は、大全サイズ(61.0cm×50.8cm)1枚当たり1Lで行った。
【0175】
[黒点状カブリの評価]
25℃、相対湿度50±5%の環境下に、試料を1時間放置した後、試料のハロゲン化乳剤層を有する面とバック層を有する面を接触させ、200kg/cm2×2分間の荷重をかけて、上記現像液(A)、定着液(B)を用いて、35℃30秒の現像条件で、現像処理を行い、黒点状のカブリの発生頻度を評価した。評価は5段階で行い、「5」が最良で「1」が最悪とした。「4」以上が、実用的に問題ないレベルである。
【0176】
【表1】
【0177】
表1より本発明の試料は、送り長不良の発生がなく、かつ黒点状カブリの発生がなく良好であることがわかる。
【0178】
<実施例2>
実施例1の試料番号8〜10について、現像剤は実施例1のジエチレングリコールを除いた処方を基に、下記積層の順序でポリエチレン容器に細密充填した固形現像剤と固形定着剤を用いて行ったところ、実施例1と同様に送り長不良の発生がなく、かつ黒点状カブリの発生がなく良好であることが確認された。
【0179】
現像剤
第一層 ハイドロキノン
第二層 その他成分
第三層 KBr
第四層 Na2S2O5
第五層 炭酸カリウム
第六層 KOHペレット
この処方を溶解して3Lにして使用した。
【0180】
定着剤は、下記処方を現像剤と同じに充填したものを使用した。
【0181】
<実施例3>
実施例1の試料番号8〜10のヒドラジン系造核剤(Cpd−4)を、化合物H−1、または化合物H−2に換えた以外は、実施例と同様に試料を作成し、実施例1同様に評価した結果、実施例1と同様に送り長不良の発生がなく、かつ黒点状カブリの発生がなく良好であった。
【0182】
【化20】
【0183】
<実施例4>
富士写真フイルム(株)製のイメージセッターLuxel F−9000を使用するかわりに、富士写真フイルム(株)製のラックスセッターRC−5600V、大日本スクリーン(株)製のイメージセッターFT−R5055、アグファゲバルト(株)製のセレクトセット5000、アバントラ25、もしくはアキュセット1000、サイテックス(株)製のドレブ450、もしくはドレブ800、ハイデル(株)製のライノ630、クエーサー、ハーキュレスエリート、もしくはシグナセッター、もしくはラクセルF−9000、またはプレプレス(株)製のパンサープロ62のいずれか1機種を用いて実施例1の試料番号1〜17を同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に本発明の条件を満たすハロゲン化銀写真感光材料は送り長不良の発生がなく良好であることが確認された。
【0184】
【発明の効果】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、自動搬送システム装置を用いて露光、現像処理したときに、擦り傷などの面状欠陥を生じることなくスムーズに自動搬送される。また、本発明のハロゲン化銀写真感光材料を用いれば、写真製版用途に最適な画像を得ることできる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料に関し、特に写真製版用に用いられるイメージセッター用ハロゲン化銀写真感光材料に関する。さらに詳しくは、自動搬送システム装置を用いて露光、現像処理する際に、擦り傷などの面状欠陥を生じることなくスムーズに自動搬送し、写真製版用途に最適な画像を得ることが可能なハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クラフィックアーツの分野においては網点画像による連続階調の画像の再生あるいは線画像の再生を良好ならしめるために、超硬調(特にγが10以上)の写真性を示す画像形成システムが必要とされている。
良好な保存安定性を有する処理液で現像し、超硬調な写真特性が得られる画像形成システムが要望されているが、そのような要望に応えるものとして、米国特許第4,166,742号明細書、同第4,168,977号明細書、同第4,221,857号明細書、同第4,224,401号明細書、同第4,243,739号明細書、同第4,272,606号明細書、同第4,311,781号明細書にみられるように特定のアシルヒドラジン化合物を添加した表面潜像型ハロゲン化銀写真感光材料を、亜硫酸保恒剤を0.15mol/L以上含むpH11.0〜12.3の現像液で処理してγが10を超える超硬調のネガ画像を形成するシステムが提案された。この新しい画像形成システムには、従来の超硬調画像形成システムでは塩化銀含有率の高い塩臭化銀しか使用できなかったのに対して、沃臭化銀や沃塩臭化銀でも使用できるという特徴がある。また、従来のリス現像液が極微量の亜硫酸保恒剤しか含有できなかったのに対して、多量の亜硫酸保恒剤を含有できるため、比較的保存安定性がよいという特徴もある。
【0003】
一方で、写真製版用のハロゲン化銀写真感光材料は、イメージセッターと呼ばれるレーザー出力装置と自動現像機を連結して自動搬送装置を用いて処理されることが多くなって来ている。
このような自動搬送系で写真感光材料を搬送する場合、送り長が短くなったり、蛇行やジャミングを生じたりするなどの搬送不良が屡々起きる。特に、複数のサイズの写真感光材料を兼用できる自動搬送系装置においては、すべてのサイズをスムーズに搬送するためには、装置および写真感光材料の両面から最適化を計らなければならない。
【0004】
搬送性を改良する技術として、従来から感光材料の滑り摩擦抵抗を減少させる方法として、米国特許第3,042,522号明細書、良化する方法、例えば米国特許第3,042,522号明細書、米国特許第1,466,304号明細書、英国特許第1,143,118号明細書、特開平10−48775号公報、特開2000−352788号公報、特開2000−267225号公報、特開2001−83659号公報、特開2001−22023号公報、特開2001−2204号公報等に、また、支持体のバック層に大粒子マット剤を含有させる方法として、特開昭60−188942号公報、特開昭60−188945号公報、特開平1−37710号公報、特開平4−127142号公報等が開示されている。
【0005】
しかしながら、写真感光材料の滑り性を良化する方法は、感光材料と搬送用ローラーとのグリップ力を下げてスリップ現象を引き起こし易く、感光材料の送り長が短くなったり、擦り傷が多発したりするという問題があった。
また、バック層に大粒子マット剤を含有させる方法は、シート状の写真感光材料を多数積み重ねた場合の2枚重ねの搬送を防止する技術であり、シート状形態の感光材料とロール形態の感光材料とでは、その搬送機構が異なり、その改良技術を単に適用するだけでは解決できなかった。さらに近年、写真感光材料の高感化に伴い、ロール状に巻き取られる際の圧力によってハロゲン化銀に歪応力が掛かり、黒点状のカブリが発生し易いなどの問題があった。これらの問題を解決するため、搬送性と黒点状のカブリが両立する新たな改良技術の開発が強く望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明が解決しようとする課題は、イメージセッターと呼ばれるレーザー出力装置と自動現像機を連結した自動搬送システム装置を用いて露光、現像処理したときに、送り長が短くなったり、蛇行やジャミングしたりするなどの搬送不良を生じることなく、スムーズに自動搬送し、写真製版用途に最適な画像を得ることができるハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、支持体上の一方の面に、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層およびその上部に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有し、その反対側のバック面に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該バック面とゴム硬度が80±10度のゴムシートの平滑面との静摩擦係数が、線速度が600cm/minにおいて、0.9以上であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料によって達成された。
【0008】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、バック面の表面に存在する1μm以上の山数に対する2μm〜5μmの山数の割合が30%以上であり、かつ、前記バック面の表面に存在する1μm以上の山数に対する5.1μm以上の山数の割合が2%以下であることが好ましい。
また、ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀に占める臭化銀の割合が40〜90mol%であることが好ましい。
さらに、親水性コロイド層中に少なくとも一種のヒドラジン誘導体を含有することが好ましい。
また、本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、塗布銀量が3.5g/m2以下であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明のハロゲン化銀写真感光材料について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0010】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、支持体上の一方の面に、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層およびその上部に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有し、その反対側のバック面に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有する。
本発明の特徴は、該バック面とゴム硬度(JIS K 6301 スプリング式硬さ試験機)が80±10度のゴムシートの平滑面との線速度が600cm/minにおける静摩擦係数が、0.9以上である。このような特徴を有するハロゲン化銀写真感光材料を用いれば、自動搬送システム装置を用いて露光、現像したときに、擦り傷などの面状欠陥を生ずることなくスムーズに自動搬送し、写真製版用途に最適な画像を得ることができる。
【0011】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料におけるバック面とゴム硬度が80±10度のゴムシートの平滑面との静摩擦係数は、線速度が600cm/minにおいて、0.9以上、好ましくは1.0〜2.0である。また、動摩擦係数は、0.5以上が好ましく、さらに0.6〜0.9が好ましい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料におけるハロゲン化銀乳剤層を有する側の静摩擦係数は、0.5以上が好ましく、さらに0.6〜0.9が好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層を有する側の動摩擦係数は0.3以上が好ましく、さらに0.4〜0.8が好ましい。
本発明における静摩擦係数(μs)は、JIS−K7125に記載の摩擦係数試験方法と同様の原理で測定し求めることができる。具体的には、25℃、相対湿度55±5%の条件下で30分以上放置した後、ハロゲン化銀感光材料のバック面の上に、ゴム硬度80度のゴムシートを乗せて、一定荷重(接触力:Ft、単位:g)を加え、ハロゲン化銀写真感光材料を線速度が600cm/minのスピードで滑らせ、そのときの始動時の静摩擦抵抗力(Fs、単位:gf)を測定し、下記の式(1)から求めることができる。
式(1) μs=Fs/Ft
【0012】
本発明におけるバック面の静摩擦係数は、ハロゲン化銀写真感光材料のバック面の表面性状を適宜調節することによって好ましい範囲にすることができる。例えば、バック面の表面に存在する1μm以上の山数に対する2μm〜5μmの山数の割合が30%以上であり、かつ、前記バック面の表面に存在する1μm以上の山数に対する5.1μm以上の山数の割合が2%以下であるように表面性状を調節する方法を好ましく採用することができる。
本発明における山数とは、ハロゲン化銀写真感光材料の最表面を基準にした高さの一定測定長さ当りの個数を意味する。
本発明におけるハロゲン化銀写真感光材料の最表面の凹凸は、日本工業規格JIS B 0601に記載の定義に基づいた表面粗さ計にて求めることができる。
【0013】
本発明におけるハロゲン化銀写真感光材料のバック面を前記の表面性状にするために、粒子サイズ4μm〜15μmの有機重合体および/または無機の微粉末粒子(以下、マット剤と記す)を好ましく用いることができる。マット剤の形状は、定形(例、球状)または不定形のいずれでも良いが、好ましくは球状である。
本発明に用いられるマット剤は、写真的諸特性に悪影響を及ぼさない固体粒子であれば、どのようなものでもよい。具体的には、特開平10−268464号公報段落番号[0009]〜[0013]に記載のものが挙げられる。
好ましいマット剤の具体例は、有機重合体のマット剤としては、アルキルアクリレート、アルキルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、スチレン、またはこれらとアクリル酸、メタアクリル酸など親水性基を共重合したものなどの水不溶性または難溶性の合成ポリマー、無機のマット剤としては、酸化物(二酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)、アルカリ土類金属塩(硫酸バリウム、硫酸ストロンチウムなど)、画像を形成しないハロゲン化銀粒子などが挙げられる。
本発明において好ましいマット剤の平均粒子サイズは、2〜15μmであり、特に3〜10μmの範囲である。本発明において好ましいマット剤の添加量は、5〜400mg/m2、特に10〜200mg/m2の範囲である。
【0014】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層を有する面の表面粗さは、マット剤の平均粒子サイズおよび添加量を種々変化させることによってコントロールすることができる。マット剤を含有させる層は、感光材料を構成するどの層でもよいが、ピンホールを防止するため支持体より遠い位置の層に含有することが好ましく、特に最外層が好ましい。
本発明の感光材料の表面粗さは、乳剤層を有する面およびその反対面の最外層表面の少なくとも一方、好ましくは両方のベック平滑度が、4000秒以下であり、より好ましくは10秒〜4000秒である。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
【0015】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤用のハロゲン化銀は、臭化銀を40〜90mol%含有することが好ましく、特に臭化銀を40〜90mol%含有する塩臭化銀または沃塩臭化銀を用いることが好ましい。より好ましい臭化銀含有量は40〜75mol%である。ハロゲン化銀粒子の形状は、立方体、十四面体、八面体、不定型、板状いずれでもよいが、立方体が好ましい。ハロゲン化銀の平均粒子サイズは0.1μm〜0.7μmが好ましいが、より好ましくは0.1〜0.5μmである。また、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数は15%以下であることが好ましく、10%以下の粒子サイズ分布の狭いものがより好ましい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部あるいは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
【0016】
本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著 Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Dufin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Forcal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著 Making and Coating Photographic Emulsion(The Forcal Press刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。
すなわち、酸性法、中性法等のいずれでもよく、また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを用いてもよい。粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。
【0017】
同時混合法の1つの形式としてハロゲン化銀が生成する液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることが好ましい。ハロゲン化銀溶剤としてより好ましいのは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号公報、同55−77737号公報に記載されている。好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンである。ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり10−5〜10−2molが好ましい。
【0018】
コントロールド・ダブルジェット法およびハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤を作るのに有用な手段である。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号公報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を超えない範囲において速く成長させることが好ましい。
【0019】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、VIII族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラストおよび低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物などを含有することが好ましい。また、高感度化のためには、K4[Fe(CN)6]やK4[Ru(CN)6]、K3[Cr(CN)6]のような六シアノ化金属錯体でドープするのが効果的である。
【0020】
本発明に用いられるロジウム化合物として、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト、アコ等を持つもの、例えば、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられる。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0021】
本発明に用いられるレニウム、ルテニウム、オスミニウムは特開昭63−2042号公報、特開平1−285941号公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML6〕n−
ここでMはRu、Re、またはOsを表し、Lは配位子、nは0、1、2、3または4を表す。この場合、対イオンは重要性を持たず、アンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる錯体の具体例を示すが、本発明で用いることができる錯体はこれらに限定されるものではない。
【0022】
〔ReCl6〕3− 〔ReBr6〕3−
〔ReCl5(NO)〕2− 〔Re(NS)Br5〕2−
〔Re(NO)(CN)5〕2− 〔Re(O)2(CN)4〕3−
〔RuCl6〕3− 〔RuCl4(H2O)2〕1−
〔RuCl5(NO)〕2− 〔RuBr5(NS)〕2−
〔Ru(CO)3Cl3〕2− 〔Ru(CO)Cl5〕2−
〔Ru(CO)Br5〕2− 〔OsCl6〕3−
〔OsCl5(NO)〕2− 〔Os(NO)(CN)5〕2−
〔Os(NS)Br5〕2− 〔Os(CN)6〕4−
〔Os(O)2(CN)4〕4−
【0023】
これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1mol当り1×10−9mol〜1×10−5molの範囲が好ましく、特に好ましくは1×10−8mol〜1×10−6molである。
本発明に用いられるイリジウム化合物としては、ヘキサクロロイリジウム、ヘキサブロモイリジウム、ヘキサアンミンイリジウム、ペンタクロロニトロシルイリジウム等が挙げられる。本発明に用いられる鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
【0024】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は化学増感されることが好ましい。化学増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、貴金属増感法などの知られている方法を用いることができ、単独または組み合わせて用いられる。
組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
【0025】
本発明に用いられる硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。チオ尿素化合物としては米国特許第4,810,626号明細書に記載の特定四置換チオ尿素化合物が特に好ましい。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲン化銀1mol当り10−7〜10−2molであり、より好ましくは10−5〜10−3molである。
【0026】
本発明に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号公報、同43−13489号公報、特開平4−109240号公報、同4−324855号公報等に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(VIII)および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0027】
本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−313284号公報に記載の方法で試験することができる。
具体的には、米国特許第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635(1980),ibid 1102(1979),ibid 645(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.)1,2191(1980)、S.パタイS.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Serenium and Tellunium Compounds),Vol 1(1986)、同Vol 2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(II)(III)(IV)で示される化合物が好ましい。
【0028】
本発明で用いられるセレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1mol当たり10−8〜10−2mol、好ましくは10−7〜10−3mol程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
本発明に用いられる貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられるが、特に金増感が好ましい。本発明に用いられる金増感剤としては具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金などが挙げられ、ハロゲン化銀1mol当たり10−7〜10−2mol程度を用いることができる。
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
【0029】
本発明においては、還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物などを用いることができる。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤は、欧州特許公開EP293,917A号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明に用いられるハロゲン化銀写真感光材料中のハロゲン化銀乳剤は、1種類〜3種類を併用することが好ましい。2種以上を併用する場合には、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、含有する金属錯体の量、種類が異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの、感度の異なるものを併用することが好ましい。中でも高コントラストを得るためには、特開平6−324426号公報に記載されているように、支持体に近いほど高感度な乳剤を塗布することが好ましい。
【0030】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤は、感光材料の用途にあわせて、増感色素によって比較的長波長の青色光、緑色光、赤色光または赤外光に分光増感されてもよい。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。
本発明に使用される有用な増感色素は、例えばResearch Disclosure Item17643 IV−A項(1978年12月p.23)、同Item 18341X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
特に各種スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
【0031】
例えば、A)アルゴンレーザー光源に対しては、特開昭60−162247号公報に記載の(I)−1から(I)−8の化合物、特開平2−48653号公報に記載のI−1からI−28の化合物、特開平4−330434号公報に記載のI−1からI−13の化合物、米国特許第2,161,331号明細書に記載のExample1〜14の化合物、西独特許936,071号明細書記載の1〜7の化合物、B)ヘリウム−ネオンレーザーおよび赤色レーザーダイオード光源に対しては、特開昭54−18726号公報に記載のI−1からI−38の化合物、特開平6−75322号公報に記載のI−1からI−35の化合物および特開平7−287338号公報に記載のI−1からI−34の化合物、特許公報第2822138号に記載の2−1から2−14,3−(1)から3−(14),4−1から4−6の化合物、C)LED光源に対しては特公昭55−39818号公報に記載の色素1〜20、特開昭62−284343号公報に記載のI−1からI−37の化合物および特開平7−287338号公報に記載のI−1からI−34の化合物、特許公報第2822138号に記載の2−1から2−14,3−(1)から3−(14),4−1から4−6の化合物、D)半導体レーザー光源に対しては特開昭59−191032号公報に記載のI−1からI−12の化合物、特開昭60−80841号公報に記載のI−1からI−22の化合物、特開平4−335342号公報に記載のI−1からI−29の化合物および特開昭59−192242号公報に記載のI−1からI−18の化合物、E)製版カメラのタングステンおよびキセノン光源に対しては特開昭55−45015号公報に記載の一般式〔I〕で表される(1)から(19)の化合物、特開平6−242547号公報に記載の4−Aから4−Sの化合物、5−Aから5−Qの化合物、6−Aから6−Tの化合物および特開平9−160185号公報に記載のI−1からI−97の化合物などが有利に選択されるが、本発明で用いることができる増感色素はこれらに限定されない。
【0032】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure)176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは前述の特公昭49−25500号公報、同43−4933号公報、特開昭59−19032号公報、同59−192242号公報等に記載されている。
【0033】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
また、米国特許第3,469,987号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、該溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号公報、同44−27555号公報、同57−22091号公報等に開示されているように、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号明細書、同第4,006,025号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53−102733号公報、同58−105141号公報に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51−74624号公報に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。
また、溶液に超音波を用いることもできる。
【0034】
本発明に用いる増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766号明細書、同第3,628,960号明細書、同第4,183,756号明細書、同第4,225,666号明細書、特開昭58−184142号公報、同60−196749号公報等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号公報等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号明細書、特開昭58−7629号公報等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0035】
本発明における増感色素の添加量は、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズ、ハロゲン組成、化学増感の方法と程度、カブリ防止剤の種類等により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり、4×10−6〜8×10−3molで用いることができる。例えばハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀粒子の表面積1m2あたり、2×10−7〜3.5×10−6molの添加量が好ましく、6.5×10−7〜2.0×10−6molの添加量がより好ましい。
【0036】
本発明に用いられる支持体は、例えばバライタ紙、ポリエチレン被覆紙、ポリプロピレン合成紙、ガラス板、セルロースアセテート、セルロースナイトレート、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、特開平7−234478号公報、および米国特許第5,558,979号明細書に記載のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる支持体、特開昭64−538号公報、米国特許第4,645,731号明細書、同4,933,267号明細書、同4,954,430号明細書に記載のポリエステルフィルムを塩化ビニリデン共重合体で被覆した支持体を挙げることができる。これらの支持体は、それぞれハロゲン化銀写真感光材料の使用目的に応じて適宜選択される。
【0037】
本発明では、ハロゲン化銀乳剤層およびその他の親水性コロイド層のバインダーとして、好ましくはゼラチンが用いられるが、特開平10−268464号公報段落番号[0025]記載のポリマーも用いることができる。バインダーの塗布量は、ハロゲン化銀乳剤層を有する側の全親水性コロイド層のバインダー量が3g/m2以下で、好ましくは1.0〜3.0g/m2である。かつ、ハロゲン化銀乳剤層を有する側の全親水性コロイド層およびその反対側の面の全親水性コロイド層の全バインダー量が7.0g/m2以下であり、好ましくは2.0〜7.0g/m2である。
【0038】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の塗布乾燥時におけるマット剤の沈み込み、或いは、自動搬送・露光・現像時等の取り扱いにおける圧力増減感、カールバランス、耐傷性向上、耐接着性向上等の目的で、コロイド状無機粒子をハロゲン化銀乳剤層、中間層、保護層、バック層、バック保護層等に用いることができる。好ましいコロイド状無機粒子としては、特開平10−268464号公報段落番号[0008]および[0014]記載の細長い形状のシリカ粒子、コロイド状シリカ、日産化学工業(株)製のパールスライク(パールネックレス状)コロイダルシリカ:「Snowtex−PS」などが挙げられる。
【0039】
本発明に用いられるコロイド状無機粒子の使用量は、添加すべき層のバインダー(例、ゼラチン)に対して、乾燥重量比で0.01〜2.0であることが好ましく、0.1〜0.6であることがより好ましい。
【0040】
本発明において、圧力増減感改良等の目的で、特開平3−39948号公報第10頁右下11行目から同公報第12頁左下5行目に記載のポリヒドロキシベンゼン化合物を用いることが好ましい。具体的には、同公報に記載の化合物(III)−1〜25の化合物が挙げられる。
【0041】
本発明において、脆性、寸度安定性、圧力増減感等の改良の目的で、ポリマーラテックスを用いることができる。ポリマーラテックスとしては、米国特許第2,763,652号明細書、同2,852,382号明細書、特開昭64−538号公報、同62−115152号公報、特開平5−66512号公報、同5−80449号公報、特公昭60−15935号公報、特公平6−64058号公報、同5−45014号公報などに記載のアルキルアクリレート、アルキルメタクリレートなどの種々のモノマーから成るポリマーラテックス、特公昭45−5819号公報、同46−22507号公報、特開昭50−73625号公報、特開平7−152112号公報、特開平8−137060号公報などに記載の活性メチレン基を有するモノマーとアルキルアクリレートなどのモノマーと共重合したポリマーラテックスなどが挙げられる。特に好ましくは、特開平8−248548号公報、特開平8−208767号公報、特開平8−220669号公報などに記載のシェル部に活性メチレン基を含有するエチレン性不飽和モノマーから成る繰り返し単位を有するコア/シェル構造を有するポリマーラテックスである。これらのシェル部に活性メチレン基を有するコア/シェル構造のポリマーラテックスは、写真感光材料のウェット膜強度を低下せずに、脆性、寸度安定性、感光材料同士などの接着のし難さなどの特性が向上し、また、ラテックス自身の剪断安定性の向上が得られる。
ポリマーラテックスの使用量は、添加すべき層のバインダー(例:ゼラチン)に対して乾燥質量比で0.01〜4.0であることが好ましく、0.1〜2.0であることがより好ましい。
【0042】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の保存性、圧力増減感改良等の目的で塗膜のpHを低下させるために、特開平7−104413号公報第14頁左1行目から同頁右30行目に記載の酸性ポリマーラテックスを用いることが好ましい。具体的には同公報15頁に記載の化合物II−1)〜II−9)、特開平2−103536号公報第18頁右下6行目から同公報19頁左上1行目に記載の酸基を有する化合物を挙げることができる。
ハロゲン化銀乳剤層を有する側の塗布膜のpHは、6〜4が好ましい。
【0043】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の構成層の少なくとも一層が表面抵抗率が25℃相対湿度25%の雰囲気下で1012Ω以下の導電性層を有することができる。
本発明に用いられる導電性物質としては、特開平2−18542号公報第2頁左下13行目から同公報第3頁右上7行目に記載の導電性物質、具体的には、同公報第2頁右下2行目から同頁右下10行目に記載の金属酸化物、および同公報に記載の化合物P−1〜P−7の導電性高分子化合物、米国特許第5,575,957号明細書、特開平10−142738号公報段落番号[0034]〜[0043]、特開平11−223901号公報段落番号[0013]〜[0019]に記載の針状の金属酸化物等が用いることができる。
【0044】
本発明において、前記導電性物質のほかに、特開平2−18542号公報第4頁右上2行目から第4頁右下下から3行目、特開平3−39948号公報第12頁左下6行目から同公報第13頁右下5行目に記載の含フッ素界面活性剤を併用することによって、さらに良好な帯電防止性を得ることができる。
【0045】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層またはその他の親水性コロイド層には、塗布助剤、添加剤の分散・可溶化剤、滑性向上、接着防止および写真特性改良(例えば、現像促進、硬調化、増感、保存性)等の目的で、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば、特開平2−12236号公報第9頁右上7行目から同頁右下3行目に記載の界面活性剤、特開平2−103536号公報第18頁左下4行目から同頁左下7行目に記載のPEG系界面活性剤、具体的には、同公報に記載の化合物VI−1〜VI−15の化合物、特開平2−18542号公報第4頁右上2行目から第4頁右下下から3行目、特開平3−39948号公報第12頁左下6行目から同公報第13頁右下5行目に記載の含フッ素界面活性剤を挙げることができる。
【0046】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の耐傷性、圧力増減感特性等の改良の目的で、種々の滑り剤を用いることができる。例えば、特開平2−103536号公報第19頁左上15行目から同公報19頁右上15行目、特開平4−214551号公報段落番号[0006]〜[0031]に記載の滑剤を挙げることができる。
【0047】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の塗膜の可塑剤として、特開平2−103536号公報第19頁左上12行目から同公報19頁右上15行目に記載の化合物を含有することができる。
【0048】
本発明において、親水性バインダーの架橋剤として、特開平2−103536号公報第18頁右上5行目から同頁右上17行目、特開平5−297508号公報段落番号[0008]〜[0011]に記載の化合物を用いることができる。本発明のハロゲン化銀写真感光材料の乳剤層および保護層を含めた親水性コロイド層の膨潤率は50〜200%の範囲が好ましく、より好ましくは70〜180%の範囲である。親水性コロイド層の膨潤率は、ハロゲン化銀写真感光材料における乳剤層および保護層を含めた親水性コロイド層の厚み(d0)を測定し、該ハロゲン化銀写真感光材料を25℃の蒸留水に1分間浸漬し、膨潤した厚み(△d)を測定し、膨潤率(%)=△d÷d0×100の計算式によって求める。
【0049】
本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料の塗布後乾燥する際の乾燥、乾燥後にロール状に巻き取られるときの環境、加工、熱処理等は、特開平10−268464号公報段落番号[0026]〜[0032]に記載の方法で行うことが好ましい。
【0050】
本発明において、塗布後の感光材料に、塗布から現像処理までの任意の時点で加熱熱処理をされることが好ましい。加熱処理は、塗布直後から引き続いて行ってもよいし、ある期間が経過してから行ってもよいが、短期間、例えば1日以内で加熱処理に入ることが好ましい。加熱処理は主に現像処理に耐えうる膜強度にするための硬膜反応促進のためであり、加熱処理条件は、硬膜剤の種類やその添加量、膜pH、所要する膜強度等によって適宜決定しなければならないが、30〜60℃が好ましく、より好ましくは35℃〜50℃である。加熱処理の期間は30分〜10日間が好ましい。
【0051】
本発明においては、造核剤として、一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体を少なくとも1種含有することが好ましい。
【0052】
一般式(D)
【化1】
【0053】
式中、R20は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表し、R10は水素原子またはブロック基を表し、G10は−CO−,−COCO−,−C(=S)−,−SO2−,−SO−,−PO(R30)−基(R30はR10に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R10と異なっていてもよい。),またはイミノメチレン基を表す。A10、A20はともに水素原子、あるいは一方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。
【0054】
一般式(D)において、R20で表される脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換の、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。
一般式(D)において、R20で表される芳香族基は単環もしくは縮合環のアリール基で、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。R20で表されるヘテロ環基としては、単環または縮合環の、飽和もしくは不飽和の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基で、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンズイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピペリジン環、トリアジン環等が挙げられる。
R20として好ましいものはアリール基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0055】
R20が示す基は置換されていてもよく、代表的な置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロロ原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、N−置換の含窒素ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イソチオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。
これら置換基は、これらの置換基でさらに置換されていてもよい。
【0056】
R20が有していてもよい置換基として好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基(活性メチレン基を含む)、アラルキル基、ヘテロ環基、置換アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その塩を含む)、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0057】
一般式(D)において、R10は水素原子またはブロック基を表すが、ブロック基とは具体的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基を表す。
【0058】
R10で表されるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基,2−カルボキシテトラフルオロエチル基,ピリジニオメチル基、ジフルオロメトキシメチル基、ジフルオロカルボキシメチル基、3−ヒドロキシプロピル基、メタンスルホンアミドメチル基、ベンゼンスルホンアミドメチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、フェニルスルホニルメチル基、o−ヒドロキシベンジル基などが挙げられる。アルケニル基として好ましくは炭素数1から10のアルケニル基であり、例えばビニル基、2,2−ジシアノビニル基、2−エトキシカルボニルビニル基、2−トリフルオロ−2−メトキシカルボニルビニル基等が挙げられる。アルキニル基として好ましくは炭素数1から10のアルキニル基であり、例えばエチニル基、2−メトキシカルボニルエチニル基等が挙げられる。アリール基としては単環もしくは縮合環のアリール基が好ましく、ベンゼン環を含むものが特に好ましい。例えばフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−メタンスルホンアミドフェニル基、2−カルバモイルフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基などが挙げられる。
【0059】
ヘテロ環基として好ましくは、少なくとも1つの窒素、酸素、および硫黄原子を含む5〜6員の、飽和もしくは不飽和の、単環もしくは縮合環のヘテロ環基で、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基であってもよく、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基(N−置換)、ピペラジノ基、イミダゾリル基、インダゾリル基(4−ニトロインダゾリル基等)、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリジニオ基(N−メチル−3−ピリジニオ基等)、キノリニオ基、キノリル基などがある。モルホリノ基、ピペリジノ基、ピリジル基、ピリジニオ基等が特に好ましい。
【0060】
アルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としてはフェノキシ基が好ましく、アミノ基としては無置換アミノ基、および炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基(4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む)が好ましい。アミノ基の例としては、2、2、6、6−テトラメチルピペリジン−4−イルアミノ基、プロピルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、アニリノ基,o−ヒドロキシアニリノ基、5−ベンゾトリアゾリルアミノ基、N−ベンジル−3−ピリジニオアミノ基等が挙げられる。ヒドラジノ基としては置換もしくは無置換のヒドラジノ基、または置換もしくは無置換のフェニルヒドラジノ基(4−ベンゼンスルホンアミドフェニルヒドラジノ基など)が特に好ましい。
【0061】
R10で表される基は置換されていてもよく、好ましい置換基としてはR20の置換基として例示したものがあてはまる。
【0062】
一般式(D)においてR10はG10−R10の部分を残余分子から分裂させ、−G10−R10部分の原子を含む環式構造を生成させる環化反応を生起するようなものであってもよく、その例としては、例えば特開昭63−29751号公報などに記載のものが挙げられる。
【0063】
一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよい。かかる吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,108号明細書、同4,459,347号明細書、特開昭59−195233号公報、同59−200231号公報、同59−201045号公報、同59−201046号公報、同59−201047号公報、同59−201048号公報、同59−201049号公報、特開昭61−170733号公報、同61−270744号公報、同62−948号公報、同63−234244号公報、同63−234245号公報、同63−234246号公報に記載された基が挙げられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平2−285344号公報に記載された基が挙げられる。
【0064】
一般式(D)のR10またはR20はその中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれているものでもよい。本発明においてバラスト基とは、6以上の炭素数を有する、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(またはアルキレン基)、アルコキシ基(またはアルキレンオキシ基)、アルキルアミノ基(またはアルキレンアミノ基)、アルキルチオ基、あるいはこれらを部分構造として有する基を表し、さらに好ましくは炭素数7以上で炭素数24以下の、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(またはアルキレン基)、アルコキシ基(またはアルキレンオキシ基)、アルキルアミノ基(またはアルキレンアミノ基)、アルキルチオ基、あるいはこれらを部分構造として有する基を表す。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号公報に記載のものが挙げられる。
【0065】
一般式(D)のR10またはR20は、置換基としてヒドラジノ基を複数個含んでいてもよく、この時一般式(D)で表される化合物は、ヒドラジノ基に関しての多量体を表し、具体的には例えば特開昭64−86134号公報、特開平4−16938号公報、特開平5−197091号公報、国際公開WO95ー32452号公報、同WO95−32453号公報、特開平9−179229号公報、特開平9−235264号公報、特開平9−235265号公報、特開平9−235266号公報、特開平9−235267号公報等に記載された化合物が挙げられる。
【0066】
一般式(D)のR10またはR20は、その中に、カチオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含む基、4級化されたリン原子を含む基、または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、あるいは解離性基(アルカリ性の現像液で解離しうる酸性度の低いプロトンを有する基もしくは部分構造、あるいはまたその塩を意味し、具体的には、例えばカルボキシ基/−COOH、スルホ基/−SO3H、ホスホン酸基/−PO3H、リン酸基/−OPO3H、ヒドロキシ基/−OH基、メルカプト基/−SH、−SO2NH2基、N−置換のスルホンアミド基/−SO2NH−基、−CONHSO2−基、−CONHSO2NH−基、−NHCONHSO2−基、−SO2NHSO2−基、−CONHCO−基、活性メチレン基、含窒素ヘテロ環基に内在する−NH−基、またはこれらの塩等)が含まれていてもよい。これらの基が含まれる例としては、例えば特開平7−234471号公報、特開平5−333466号公報、特開平6−19032号公報、特開平6−19031号公報、特開平5−45761号公報、米国特許第4,994,365号明細書、米国特許第4,988,604号明細書、特開平7−259240号公報、特開平7−5610号公報、特開平7−244348号公報、独特許第4006032号明細書、特開平11−7093号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0067】
一般式(D)においてA10、A20は水素原子、炭素数20以下のアルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくはフェニルスルホニル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたフェニルスルホニル基)、炭素数20以下のアシル基(好ましくはベンゾイル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたベンゾイル基、あるいは直鎖、分岐、または環状の置換もしくは無置換の脂肪族アシル基(ここに置換基としては、例えばハロゲン原子、エーテル基、スルホンアミド基、カルボンアミド基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等が挙げられる))である。A10、A20としては水素原子が最も好ましい。
【0068】
次に本発明において、特に好ましく用いられるヒドラジン誘導体について述べる。
R20は置換フェニル基が特に好ましく、置換基としてはスルホンアミド基、アシルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、チオウレイド基、イソチオウレイド基、スルファモイルアミノ基、N−アシルスルファモイルアミノ基等が特に好ましく、さらにスルホンアミド基、ウレイド基が好ましく、スルホンアミド基が最も好ましい。
一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体は、R20またはR10に、置換基として、直接または間接的に、バラスト基、ハロゲン化銀への吸着基、4級のアンモニオ基を含む基、4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基、エチレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、アルカリ性の現像処理液中で解離しうる解離性基、もしくは多量体を形成しうるヒドラジノ基(−NHNH−G10−R10で表される基)の少なくとも1つが置換されていることが特に好ましい。さらには、R20の置換基として、直接または間接的に、前述の何れか1つの基を有することが好ましく、最も好ましいのは、R20がベンゼンスルホンアミド基で置換されたフェニル基を表し、そのベンゼンスルホンアミド基のベンゼン環上の置換基として、直接または間接的に、前述の何れか1つの基を有する場合である。
【0069】
R10で表される基のうち好ましいものは、G10が−CO−基の場合には、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、置換アリール基(置換基としては電子吸引性基またはo−ヒドロキシメチル基が特に好ましい)であり、最も好ましくは水素原子またはアルキル基である。
G10が−COCO−基の場合にはアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基が好ましく、特に置換アミノ基、詳しくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基が好ましい。
またG10が−SO2−基の場合には、R10はアルキル基、アリール基または置換アミノ基が好ましい。
【0070】
一般式(D)においてG10は好ましくは−CO−基または−COCO−基であり、特に好ましくは−CO−基である。
【0071】
次に一般式(D)で示される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明で用いることができる一般式(D)で示される化合物は以下の化合物に限定されるものではない。
【0072】
【化2】
【0073】
【化3】
【0074】
【化4】
【0075】
【化5】
【0076】
【化6】
【0077】
【化7】
【0078】
【化8】
【0079】
【化9】
【0080】
【化10】
【0081】
【化11】
【0082】
【化12】
【0083】
本発明では、上記以外のヒドラジン誘導体も種々用いることができる。例えば、特公平6−77138号公報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物;特公平6−93082号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物;特開平6−230497号公報に記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、および39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6−7;特開平6−289520号公報に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−17)および2−1);特開平6−313936号公報に記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物;特開平6−313951号公報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物;特開平7−5610号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I−1〜I−38;特開平7−77783号公報に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102;特開平7−104426号公報に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44;特開平9−22082号公報に記載のヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A),一般式(B),一般式(C),一般式(D),一般式(E),一般式(F)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物N−1〜N−30;特開平9−22082号公報に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物D−1〜D−55;この他、国際公開WO95−32452号公報、同WO95−32453号公報、特開平9−179229号公報、特開平9−235264号公報、特開平9−235265号公報、特開平9−235266号公報、特開平9−235267号公報、特開平9−319019号公報、特開平9−319020号公報、特開平10−130275号公報、特開平11−7093号公報、特開平6−332096号公報、特開平7−209789号公報、特開平8−6193号公報、特開平8−248549号公報、特開平8−248550号公報、特開平8−262609号公報、特開平8−314044号公報、特開平8−328184号公報、特開平9−80667号公報、特開平9−127632号公報、特開平9−146208号公報、特開平9−160156号公報、特開平10−161260号公報、特開平10−221800号公報、特開平10−213871号公報、特開平10−254082号公報、特開平10−254088号公報、特開平7−120864号公報、特開平7−244348号公報、特開平7−333773号公報、特開平8−36232号公報、特開平8−36233号公報、特開平8−36234号公報、特開平8−36235号公報、特開平8−272022号公報、特開平9−22083号公報、特開平9−22084号公報、特開平9−54381号公報、特開平10−175946号公報、記載のヒドラジン誘導体などを用いることができる。
本発明に用いられるヒドラジン誘導体はまた、これらの特許に記載された種々の方法により、合成することができる。
【0084】
本発明においてヒドラジン系造核剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0085】
本発明においてヒドラジン系造核剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層、あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。また、2種類以上のヒドラジン系造核剤を併用して使用することもできる。
本発明において造核剤添加量はハロゲン化銀1molに対し1×10−5〜1×10−2molが好ましく、1×10−5〜5×10−3molがより好ましく、2×10−5〜5×10−3molが最も好ましい。
【0086】
本発明においては、感光材料中に造核促進剤としてアミン誘導体、オニウム塩、ジスルフィド誘導体またはヒドロキシメチル誘導体を内蔵することが好ましい。本発明に用いられる造核促進剤の例として、特開平7−77783号公報48頁2行〜37行に記載の化合物で、具体的には49頁〜58頁に記載の化合物A−1)〜A−73);特開平7−84331号公報に記載の(化21)、(化22)および(化23)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜8頁に記載の化合物;特開平7−104426号公報に記載の一般式〔Na〕および一般式〔Nb〕で表される化合物で、具体的には同公報16頁〜20頁に記載のNa−1〜Na−22の化合物およびNb−1〜Nb−12の化合物;特開平8−272023号公報に記載の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)および一般式(7)で表される化合物で、具体的には同明細書に記載の1−1〜1−19の化合物、2−1〜2−22の化合物、3−1〜3−36の化合物、4−1〜4−5の化合物、5−1〜5−41の化合物、6−1〜6−58の化合物、および7−1〜7−38の化合物;特開平9−297377号公報のp55,カラム108の8行〜p69,カラム136の44行までに記載の造核促進剤を挙げることができる。
【0087】
本発明に用いられる造核促進剤の具体例を以下に示す。但し、本発明で用いることができる造核促進剤は以下の化合物に限定されるものではない。
【0088】
【化13】
【0089】
【化14】
【0090】
造核促進剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、造核促進剤の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0091】
本発明において造核促進剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層、あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。
造核促進剤の添加量はハロゲン化銀1molに対し1×10−6〜2×10−2molが好ましく、1×10−5〜2×10−2molがより好ましく、2×10−5〜1×10−2molが最も好ましい。また、2種類以上の造核促進剤を併用して使用することもできる。
【0092】
本発明の感光材料に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限はなく、例えば下記箇所に記載されたものを好ましく用いることができる。
すなわち、特開平3−39948号公報第10頁右下11行目から同公報第12頁左下5行目に記載のポリヒドロキシベンゼン化合物、具体的には、同公報に記載の化合物(III)−1〜25の化合物;特開平1−118832号公報に記載の一般式(I)で表される実質的には可視域に吸収極大をたない化合物、具体的には、同公報に記載の化合物I−1〜I−26の化合物;特開平2−103536号公報第17頁右下19行目から同公報18頁右上4行目に記載のカブリ防止剤;特開平2−103536号公報第18頁左下12行目から同頁左下20行目に記載のポリマーラテックス;特開平9−179228号公報に記載の一般式(I)で表される活性メチレン基を有するポリマーラテックスで、具体的には同明細書に記載の化合物I−1〜I−16;特開平9−179228号公報に記載のコア/シェル構造を有するポリマーラテックスで、具体的には同明細書に記載の化合物P−1〜P−55;特開平7−104413号公報第14頁左1行目から同頁右30行目に記載の酸性ポリマーラテックスで、具体的には同公報15頁に記載の化合物II−1)〜II−9);特開平2−103536号公報第19頁左上15行目から同公報19頁右上15行目に記載のマット剤、滑り剤、可塑剤;特開平2−103536号公報第18頁右上5行目から同頁右上17行目に記載の硬膜剤;特開平2ー103536号公報第18頁右下6行目から同公報19頁左上1行目に記載の酸基を有する化合物;特開平2−18542号公報第2頁左下13行目から同公報第3頁右上7行目に記載の導電性物質、具体的には、同公報第2頁右下2行目から同頁右下10行目に記載の金属酸化物、および同公報に記載の化合物P−1〜P−7の導電性高分子化合物;特開平2−103536号公報第17頁右下1行目から同頁右上18行目に記載の水溶性染料;特開平7−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される固体分散染料、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)。特開平2−294638号公報および特開平5−11382号公報に記載の固体分散染料;特開平2−12236号公報第9頁右上7行目から同頁右下3行目に記載の界面活性剤.特開平2−103536号公報第18頁左下4行目から同頁左下7行目に記載のPEG系界面活性剤;特開平3−39948号公報第12頁左下6行目から同公報第13頁右下5行目に記載の含フッ素界面活性剤、具体的には、同公報に記載の化合物I−1〜I−15の化合物;特開平5−274816号公報に記載の酸化されることにより現像抑制剤を放出しうるレドックス化合物、好ましくは同公報に記載の一般式(R−1),一般式(R−2),一般式(R−3)で表されるレドックス化合物、具体的には、同公報に記載の化合物R−1〜R−68の化合物;特開平2−18542号公報第3頁右下1行目から20行目に記載のバインダーを挙げることができる。
【0093】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ベンゾトリアゾール系化合物の存在下で現像処理することが好ましい。ベンゾトリアゾール系化合物は感光材料中に添加してもよいし現像液中に添加してもよい。感光材料中に添加する場合は、ハロゲン化銀乳剤層側や支持体を挟んでハロゲン化銀乳剤層との反対側に添加してもよい。好ましくはハロゲン化銀乳剤層側がよい。
【0094】
本発明に用いられるベンゾトリアゾール系化合物の構造は特に制限されない。好ましいのは以下の化合物である。
(1)5,6−ジメチルベンゾトリアゾール
(2)5−ブチルベンゾトリアゾール
(3)5−メチルベンゾトリアゾール
(4)5−クロロベンゾトリアゾール
(5)5−ブロモベンゾトリアゾール
(6)5,6−ジクロロベンゾトリアゾール
(7)4,6−ジクロロベンゾトリアゾール
(8)5−ニトロベンゾトリアゾール
(9)4−ニトロ−6−クロロベンゾトリアゾール
(10)4,5,6−トリクロロベンゾトリアゾール
(11)5−カルボキシベンゾトリアゾール
(12)5−スルホベンゾトリアゾール
(13)5−メトキシカルボニルベンゾトリアゾール
(14)5−アミノベンゾトリアゾール
(15)5−ブトキシベンゾトリアゾール
(16)5−ウレイドベンゾトリアゾール
(17)ベンゾトリアゾール
【0095】
本発明において特に好ましく用いられるベンゾトリアゾール系化合物は、ベンゾトリアゾールまたは5−メチルベンゾトリアゾールである。
本発明におけるベンゾトリアゾール系化合物の添加量は、ハロゲン化銀写真感光材料の場合ハロゲン化銀1molに対して1×10−4〜1×10−1molが好ましく、1×10−3〜7×10−2molが特に好ましい。
現像液に添加する場合は、7.5×10−5〜7.5×10−3mol/Lが好ましく、7.5×10−5〜5.0×10−3mol/Lが特に好ましい。
また、ベンゾトリアゾール系化合物は2種以上併用して使用してもよいし、ハロゲン化銀写真感光材料と現像液添加を併用してもよい。
【0096】
以下に本発明における現像液、定着液などの処理剤および処理方法等について述べるが、言うまでもなく本発明は以下の記述および具体例に限定されるものではない。
【0097】
本発明における現像処理には、公知の方法のいずれを用いることもできるし、現像処理液には公知のものを用いることができる。
【0098】
本発明に使用する現像液(以下、現像開始液および現像補充液の双方をまとめて現像液という。)に用いる現像主薬には特別な制限はないが、ジヒドロキシベンゼン類や、ハイドロキノンモノスルホン酸塩を含むことが好ましく、単独使用でも併用でもよい。特に、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬およびこれと超加成性を示す補助現像主薬を含有することが好ましく、ジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類の組み合わせ、またはジヒドロキシベンゼン類とp−アミノフェノール類の組み合わせなどを挙げることができる。
本発明に用いる現像主薬において、ジヒドロキシベンゼン現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノンなどがあるが、特にハイドロキノンが好ましい。
【0099】
本発明に用いる1−フェニル−3−ピラゾリドンまたはその誘導体の現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4、4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンなどがある。
本発明に用いるp−アミノフェノール系現像主薬としてN−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシフェニル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、o−メトキシ−p−(N、N−ジメチルアミノ)フェノール、o−メトキシ−p−(N−メチルアミノ)フェノールなどがあるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノール、または特開平9−297377号公報および特開平9−297378号公報に記載のアミノフェノール類が好ましい。
【0100】
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は通常0.05mol/L〜0.8mol/Lの量で用いられるのが好ましい。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類の組み合わせを用いる場合には前者を0.05mol/L〜0.6mol/L、好ましくは0.10mol/L〜0.5mol/L、後者を0.06mol/L以下、好ましくは0.03mol/L〜0.003mol/Lの量で用いるのが好ましい。
【0101】
本発明で感光材料を処理する際の現像液には、通常用いられる添加剤(たとえば現像主薬、アルカリ剤、pH緩衝剤、保恒剤、キレート剤等)を含有することができる。以下にこれらの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明で感光材料を現像処理する際の現像液に用いられる緩衝剤としては、炭酸塩、特開昭62−186259号公報に記載のほう酸、特開昭60−93433号公報に記載の糖類(たとえばサッカロース)、オキシム類(たとえばアセトオキシム)、フェノール類(たとえば5−スルホサリチル酸)、第3リン酸塩(たとえばナトリウム塩、カリウム塩)などが用いられ、好ましくは炭酸塩が用いられる。緩衝剤、特に炭酸塩の使用量は、好ましくは0.05mol/L以上、特に0.08〜1.0mol/Lである。
【0102】
本発明に用いられる保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどがある。亜硫酸塩は好ましくは0.2mol/L以上、特に0.3mol/L以上用いられるが、あまりに多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、上限は1.2mol/Lとするのが望ましい。特に好ましくは、0.35〜0.7mol/Lである。
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩と併用して前記のアスコルビン酸誘導体を少量使用してもよい。なかでも素材コストの点からエリソルビン酸ナトリウムを用いることが好ましい。添加量はジヒドロキシベンゼン系現像主薬に対して、モル比で0.03〜0.12の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.10の範囲である。保恒剤としてアスコルビン酸誘導体を使用する場合には現像液中にホウ素化合物を含まないことが好ましい。
【0103】
上記以外に用いられる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムのような現像抑制剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドのような有機溶剤、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、イミダゾールまたはその誘導体等の現像促進剤、ヘテロ環メルカプト化合物(たとえば3−(5−メルカプトテトラゾール−1−イル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールなど)、特開昭62−212651号公報に記載の化合物を物理現像ムラ防止剤として添加することもできる。
また、メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤または黒ポツ(black pepper)防止剤として含んでもよい。具体的には、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンゾイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンゾイミダゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、4−((2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ)ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールなどを挙げることができる。これらの添加剤の量は、通常現像液1Lあたり0.01〜10mmolであり、より好ましくは0.1〜2mmolである。
【0104】
さらに現像液中には各種の有機、無機のキレート剤を単独または併用で用いることができる。
無機キレート剤としてはたとえば、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどを用いることができる。
一方、有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸および有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
有機カルボン酸としてはたとえば、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グルコン酸、アジピン酸、ピメリン酸、アシエライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などを挙げることができる。
【0105】
アミノポリカルボン酸としてはたとえば、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミンモノヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテル四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、その他特開昭52−25632号公報、同55−67747号公報、同57−102624号公報、および特公昭53−40900号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0106】
有機ホスホン酸としては、たとえば米国特許第3,214,454号明細書、同3,794,591号明細書および西独特許公開2,227,369号明細書等に記載のヒドロキシアルキリデン−ジホスホン酸やリサーチ・ディスクロージャー第181巻,Item 18170(1979年5月号)等に記載の化合物が挙げられる。
アミノホスホン酸としては、たとえばアミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられるが、その他上記リサーチ・ディスクロージャー18170、特開昭57−208554号公報、同54−61125号公報、同55−29883号公報、同56−97347号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0107】
有機ホスホノカルボン酸としては、たとえば特開昭52−102726号公報、同53−42730号公報、同54−121127号公報、同55−4024号公報、同55−4025号公報、同55−126241号公報、同55−65955号公報、同55−65956号公報および前述のリサーチ・ディスクロージャー18170等に記載の化合物を挙げることができる。
【0108】
これらのキレート剤の中で特にジエチレントリアミン類が好ましい。ジエチレントリアミン類の中でもジエチレントリアミン五酢酸およびその金属塩がより好ましい。
【0109】
これらの有機および/または無機のキレート剤は、前述のものに限定されるものではない。また、アルカリ金属塩やアンモニウム塩の形で使用してもよい。これらのキレート剤の添加量としては、現像液1Lあたり好ましくは、1×10−4〜1×10−1mol、より好ましくは1×10−3〜1×10−2molである。
【0110】
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、たとえば特開昭56−24347号公報、特公昭56−46585号公報、特公昭62−2849号公報、特開平4−362942号公報、特開平8−6215号公報に記載の化合物の他、メルカプト基を1つ以上有するトリアジン(たとえば特公平6−23830号公報、特開平3−282457号公報、特開平7−175178号公報に記載の化合物)、同ピリミジン(たとえば2−メルカプトピリミジン、2、6−ジメルカプトピリミジン、2、4−ジメルカプトピリミジン、5、6−ジアミノ−2、4−ジメルカプトピリミジン、2、4、6−トリメルカプトピリミジン、特開平9−274289号公報記載の化合物など)、同ピリジン(たとえば2−メルカプトピリジン、2、6−ジメルカプトピリジン、3、5−ジメルカプトピリジン、2、4、6−トリメルカプトピリジン、特開平7−248587号公報に記載の化合物など)、同ピラジン(たとえば2−メルカプトピラジン、2、6−ジメルカプトピラジン、2、3−ジメルカプトピラジン、2、3、5−トリメルカプトピラジンなど)、同ピリダジン(たとえば3−メルカプトピリダジン、3、4−ジメルカプトピリダジン、3、5−ジメルカプトピリダジン、3、4、6−トリメルカプトピリダジンなど)、特開平7−175177号公報に記載の化合物、米国特許第5,457,011号明細書に記載のポリオキシアルキルホスホン酸エステルなどを用いることができる。これらの銀汚れ防止剤は単独または複数の併用で用いることができ、添加量は現像液1Lあたり0.05〜10mmolが好ましく、0.1〜5mmolがより好ましい。
また、溶解助剤として特開昭61−267759号公報記載の化合物を用いることができる。
さらに必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。
【0111】
現像液の好ましいpHは9.0〜11.0であり、特に好ましくは9.2〜11.0、さらに好ましくは9.5〜11.0の範囲である。pH調整に用いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩(たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)を用いることができる。
【0112】
使用される現像液1Lに0.1molの水酸化ナトリウムを加えたときのpH上昇が0.4以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.4〜1.0である。
【0113】
現像液のカチオンとしては、ナトリウムイオンに比べてカリウムイオンの方が現像抑制をせず、またフリンジと呼ばれる黒化部のまわりのギザギザが少ない。
さらに、濃縮液として保存する場合には一般にカリウム塩のほうが溶解度が高く好ましい。しかしながら、定着液においてはカリウムイオンは銀イオンと同程度に定着阻害をすることから、現像液のカリウムイオン濃度が高いと、感光材料により現像液が持ち込まれることにより定着液中のカリウムイオン濃度が高くなり、好ましくない。以上のことから現像液におけるカリウムイオンとナトリウムイオンのモル比率は20:80〜80:20の間であることが好ましい。カリウムイオンとナトリウムイオンの比率は、pH緩衝剤、pH調整剤、保恒剤、キレート剤などの対カチオンで、上記の範囲で任意に調整できる。
【0114】
ランニングテストのなかで、現像主薬の減少は写真性に大きく影響する。そこで、現像液の現像主薬の減少を調べる方法として、以下の方法を用いた。
現像槽部の処理液と空気の接触面積(cm2)を現像タンク液量(cm3)で割ったものを開口率と定義する。現用されている自動現像機の開口率は一般的に0.05〜1.5である。
現像液600mlを1Lのポリビンに入れて、上記開口率を0.11に調整し、温度25℃、湿度50%の暗室で4日経時する。経時前後の現像主薬量を測定し、減少量を経時前の現像主薬量で割って100を掛けて%で表わす。減少率が50%より大きいとランニングテストでの写真性の変動が大きく、また5%以下でも写真性変動(特にDmax)が大きく使用するのが困難である。本発明の感光材料に用いる現像液の好ましい減少率は7〜50%で、より好ましくは8〜40%である。
【0115】
現像液の補充量は、感光材料1m2につき323ml以下であり、323〜30mlが好ましく、323〜120mlが最も好ましい。現像補充液は、現像開始液と同一の組成および/または濃度を有していてもよいし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していてもよい。
【0116】
本発明における定着処理剤の定着剤としては、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムアンモニウムが使用できる。定着剤の使用量は適宜かえることができるが、一般には約0.7〜約3.0mol/Lである。
【0117】
本発明における定着液は、硬膜剤として作用する水溶性アルミニウム塩、水溶性クロム塩を含んでもよく、水溶性アルミニウム塩が好ましい。それにはたとえば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明礬、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウムなどがある。これらは使用液におけるアルミニウムイオン濃度として、0.01〜0.15mol/Lで含まれることが好ましい。
なお、定着液を濃縮液または固形剤として保存する場合、硬膜剤などを別パートとした複数のパーツで構成してもよいし、すべての成分を含む一剤型の構成としてもよい。
【0118】
定着処理剤には所望により保恒剤(たとえば亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩などを0.015mol/L以上、好ましくは0.02mol/L〜0.3mol/L)、pH緩衝剤(たとえば酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸、コハク酸、アジピン酸などを0.1mol/L〜1mol/L、好ましくは0.2mol/L〜0.7mol/L)、アルミニウム安定化能や硬水軟化能のある化合物(たとえばグルコン酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、安息香酸、サリチル酸、タイロン、アスコルビン酸、グルタル酸、アスパラギン酸、グリシン、システイン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸やこれらの誘導体およびこれらの塩、糖類などを0.001mol/L〜0.5mol/L、好ましくは0.005mol/L〜0.3mol/L)を含むことができが、近年の環境保護の点からホウ素系化合物は含まない方がよい。
【0119】
このほか、特開昭62−78551号公報に記載の化合物、pH調整剤(たとえば水酸化ナトリウム、アンモニア、硫酸など)、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤等も含むことができる。界面活性剤としては、たとえば硫酸化物スルホン酸化物などのアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6840号公報記載の両性界面活性剤が挙げられ、公知の消泡剤を使用することもできる。湿潤剤としては、アルカノールアミン、アルキレングリコール等がある。
定着促進剤としては、特開平6−308681号公報に記載のアルキルおよびアリル置換されたチオスルホン酸およびその塩や、特公昭45−35754号公報、同58−122535号公報、同58−122536号公報記載のチオ尿素誘導体、分子内に3重結合を有するアルコール、米国特許第4,126,459号明細書記載のチオエーテル化合物、特開昭64−4739号公報、特開平1−4739号公報、同1−159645号公報および同3−101728号公報に記載のメルカプト化合物、同4−170539号公報に記載のメソイオン化合物、チオシアン酸塩を含むことができる。
【0120】
本発明における定着液のpHは、4.0以上が好ましく、より好ましくは4.5〜6.0を有する。定着液は処理により現像液が混入してpHが上昇するが、この場合、硬膜定着液では6.0以下好ましくは5.7以下であり、無硬膜定着液においては7.0以下好ましくは6.7以下である。
【0121】
定着液の補充量は、感光材料1m2につき500ml以下であり、390ml以下が好ましく、320〜80mlがより好ましい。補充液は、開始液と同一の組成および/または濃度を有していてもよいし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していてもよい。
【0122】
定着液は電解銀回収などの公知の定着液再生方法により再生使用することができる。再生装置としては、たとえば富士フイルム社製FS−2000などがある。
また、活性炭などの吸着フィルターを使用して、色素などを除去することも好ましい。
【0123】
本発明における現像および定着処理剤が液剤の場合、たとえば特開昭61−73147号公報に記載されたような、酸素透過性の低い包材で保管することが好ましい。さらにこれらの液が濃縮液の場合、所定の濃度になるように、濃縮液1部に対して水0.2〜3部の割合で希釈して使用される。
【0124】
本発明における現像処理剤および定着処理剤は固形にしても液剤同様の結果が得られるが、保存安定性等の観点からは、固形処理剤が好ましい。以下に固形処理剤に関する記述を行う。
本発明における固形剤は、公知の形態(粉状、粒状、顆粒状、塊状、錠剤、コンパクター、ブリケット、板状、棒状、ペースト状など)が使用できる。これらの固形剤は、接触して互いに反応する成分を分離するために、水溶性のコーティング剤やフィルムで被覆してもよいし、複数の層構成にして互いに反応する成分を分離してもよく、これらを併用してもよい。
【0125】
被覆剤、造粒助剤には公知のものが使用できるが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリスチレンスルホン酸、ビニル系化合物が好ましい。この他、特開平5−45805号公報カラム2の48行〜カラム3の13行目が参考にできる。
【0126】
複数の層構成にする場合は、接触しても反応しない成分を互いに反応する成分の間にはさんだ構成にして錠剤やブリケット等に加工してもよいし、公知の形態の成分を同様の層構成にして包装してもよい。これらの方法は、たとえば特開昭61−259921号公報、同4−16841号公報、同4−78848号公報、同5−93991号公報等に示されている。
【0127】
固形処理剤の嵩密度は、0.5〜6.0g/cm3が好ましく、特に錠剤は1.0〜5.0g/cm3が好ましく、顆粒は0.5〜1.5g/cm3が好ましい。
【0128】
本発明における固形処理剤の製法は、公知のいずれの方法を用いることができる。たとえば、特開昭61−259921号公報、特開平4−15641号公報、特開平4−16841号公報、同4−32837号公報、同4−78848号公報、同5−93991号公報、特開平4−85533号公報、同4−85534号公報、同4−85535号公報、同5−134362号公報、同5−197070号公報、同5−204098号公報、同5−224361号公報、同6−138604号公報、同6−138605号公報、同8−286329号公報等を参考にすることができる。
【0129】
より具体的には転動造粒法、押し出し造粒法、圧縮造粒法、解砕造粒法、撹拌造粒法、スプレードライ法、溶解凝固法、ブリケッティング法、ローラーコンパクティング法等を用いることができる。
【0130】
本発明における固形剤は、表面状態(平滑、多孔質等)や部分的に厚みを変えたり、中空状のドーナツ型にしたりして溶解性を調節することもできる。さらに、複数の造粒物に異なった溶解性を与えたり、溶解性の異なる素材の溶解度を合わせるために、複数の形状をとることも可能である。また、表面と内部で組成の異なる多層の造粒物でもよい。
【0131】
固形剤の包材は、酸素および水分透過性の低い材質が好ましく、包材の形状は袋状、筒状、箱状などの公知のものが使用できる。また、特開平6−242585号公報〜同6−242588号公報、同6−247432号公報、同6−247448号公報、同6−301189号公報、同7−5664号公報、同7−5666号公報〜同7−5669号公報に開示されているような折り畳み可能な形状にすることも、廃包材の保管スペース削減のためには好ましい。これらの包材は、処理剤の取り出し口にスクリューキャップや、プルトップ、アルミシールをつけたり、包材をヒートシールしてもよいが、このほかの公知のものを使用してもよく、特に限定はしない。さらに環境保全上、廃包材をリサイクルまたはリユースすることが好ましい。
【0132】
本発明における固形処理剤の溶解および補充の方法としては特に限定はなく、公知の方法を使用することができる。これらの方法としてはたとえば、撹拌機能を有する溶解装置で一定量を溶解し補充する方法、特開平9−80718号公報に記載されているような溶解部分と完成液をストックする部分とを有する溶解装置で溶解し、ストック部から補充する方法、特開平5−119454号公報、同6−19102号公報、同7−261357号公報に記載されているような自動現像機の循環系に処理剤を投入して溶解・補充する方法、溶解槽を内蔵する自動現像機で感光材料の処理に応じて処理剤を投入し溶解する方法などがあるが、このほかの公知のいずれの方法を用いることもできる。また処理剤の投入は、人手で行ってもよいし、特開平9−138495号公報に記載されているような開封機構を有する溶解装置や自動現像機で自動開封、自動投入してもよく、作業環境の点からは後者が好ましい。具体的には取り出し口を突き破る方法、はがす方法、切り取る方法、押し切る方法や、特開平6−19102号公報、同6−95331号公報に記載の方法などがある。
【0133】
現像、定着処理が済んだ感光材料は、ついで水洗または安定化処理される(以下特に断らない限り、安定化処理を含めて水洗といい、これらに使用する液を、水または水洗水という)。水洗に使用される水は、水道水でもイオン交換水でも蒸留水でも安定化液でもよい。これらの補充量は、一般的には感光材料1m2あたり約17L〜約8Lであるが、それ以下の補充量で行うこともできる。特に3L以下の補充量(0も含む。すなわち、ため水水洗)では、節水処理が可能となるのみならず、自動現像機設置の配管を不要とすることもできる。水洗を低補充量で行う場合は、特開昭63−18350号公報、同62−287252号公報等に記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減や、水垢防止のために種々の酸化剤(たとえばオゾン、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、活性ハロゲン、二酸化塩素、炭酸ナトリウム過酸化水素塩など)添加やフィルター濾過を組み合わせてもよい。
【0134】
水洗の補充量を少なくする方法として、古くより多段向流方式(たとえば2段、3段等)が知られており、水洗補充量は感光材料1m2あたり200〜50mlが好ましい。この効果は、独立多段方式(向流にせず、多段の水洗槽に個別に新液を補充する方法)でも同様に得られる。
【0135】
さらに、水洗工程に水垢防止手段を施してもよい。水垢防止手段としては公知のものを使用することができ、特に限定はしないが、防ばい剤(いわゆる水垢防止剤)を添加する方法、通電する方法、紫外線または赤外線や遠赤外線を照射する方法、磁場をかける方法、超音波処理する方法、熱をかける方法、未使用時にタンクを空にする方法などがある。これらの水垢防止手段は、感光材料の処理に応じてなされてもよいし、使用状況に関係なく一定間隔で行われてもよいし、夜間など処理の行われない期間のみ施してもよい。またあらかじめ水洗水に施しておいて、これを補充してもよい。さらには、一定期間ごとに異なる水垢防止手段を行うことも、耐性菌の発生を抑える上では好ましい。
【0136】
節水水垢防止装置としては、富士フイルム社製装置AC−1000と水垢防止剤として富士フイルム社製AB−5を用いてもよく特開平11−231485号公報の方法を用いてもよい。
防ばい剤としては特に限定はなく公知のものが使用できる。前述の酸化剤の他たとえばグルタルアルデヒド、アミノポリカルボン酸等のキレート剤、カチオン性界面活性剤、メルカプトピリジンオキシド(たとえば2−メルカプトピリジン−N−オキシドなど)などがあり、単独使用でも複数の併用でもよい。
通電する方法としては、特開平3−224685号公報、同3−224687号公報、同4−16280号公報、同4−18980号公報などに記載の方法が使用できる。
【0137】
このほか、水泡ムラ防止や汚れ転写防止のために、公知の水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。また、感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号公報に記載の色素吸着剤を水洗系に設置してもよい。
【0138】
水洗工程からのオーバーフロー液の一部または全部は、特開昭60−235133号公報に記載されているように、定着能を有する処理液に混合利用することもできる。また微生物処理(たとえば硫黄酸化菌、活性汚泥処理や微生物を活性炭やセラミック等の多孔質担体に担持させたフィルターによる処理等)や、通電や酸化剤による酸化処理をして、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、沃素消費量等を低減してから排水したり、銀と親和性のあるポリマーを用いたフィルターやトリメルカプトトリアジン等の難溶性銀錯体を形成する化合物を添加して銀を沈降させてフィルター濾過するなどし、排水中の銀濃度を低下させることも、自然環境保全の観点から好ましい。
【0139】
また、水洗処理に続いて安定化処理する場合もあり、その例として特開平2−201357号公報、同2−132435号公報、同1−102553号公報、特開昭46−44446号公報に記載の化合物を含有した浴を感光材料の最終浴として使用してもよい。この安定浴にも必要に応じてアンモニウム化合物、BI,Al等の金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防ばい剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。
【0140】
水洗、安定化浴に添加する防ばい剤等の添加剤および安定化剤は、前述の現像、定着処理剤同様に固形剤とすることもできる。
【0141】
本発明に使用する現像液、定着液、水洗水、安定化液の廃液は焼却処分することが好ましい。また、これらの廃液はたとえば特公平7−83867号公報、米国特許第5,439,560号明細書等に記載されているような濃縮装置で濃縮液化または固化させてから処分することも可能である。
【0142】
処理剤の補充量を低減する場合には、処理槽の開口面積を小さくして液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。ローラー搬送型の自動現像機については米国特許第3,025,779号明細書、同3,545,971号明細書などに記載されており、本明細書においては単にローラー搬送型自動現像機として言及する。この自現機は現像、定着、水洗および乾燥の四工程からなっており、本発明においても、他の工程(たとえば停止工程)を除外しないが、この四工程を踏襲するのが最も好ましい。さらに、現像定着間および/または定着水洗間にリンス浴(洗浄槽)を設けてもよい。
【0143】
本発明における現像処理では、処理開始から乾燥後まで(dry to dry)で25〜160秒が好ましく、現像および定着時間が40秒以下、好ましくは6〜35秒、各液の温度は25〜50℃が好ましく、30〜40℃が好ましい。水洗の温度および時間は0〜50℃で40秒以下が好ましい。現像、定着および水洗された感光材料は水洗水を絞りきる、すなわちスクイズローラーを経て乾燥してもよい。乾燥は約40〜約100℃で行われ、乾燥時間は周囲の状態によって適宜変更することができる。乾燥方法は公知のいずれの方法も用いることができ特に限定はないが、温風乾燥や、特開平4−15534号公報、同5−2256号公報、同5−289294号公報に開示されているようなヒートローラー乾燥、遠赤外線による乾燥などがあり、複数の方法を併用してもよい。
【0144】
本発明に用いられるイメージセッターとしては、富士写真フイルム(株)製のLuxl F9000やラックスセッターRC−5600V、大日本スクリーン(株)製のイメージセッターFT−R5055アグファゲバルト(株)製のセレクトセット5000、アバントラ25、もしくはアキュセット1000、サイテックス(株)製のドレブ450、もしくはドレブ800、ハイデル(株)製のライノ630、クエーサー、ハーキュレスエリート、もしくはシグナセッター、もしくはラクセルF−9000、またはプレプレス(株)製のパンサープロ62などが挙げられる。
【0145】
【実施例】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0146】
<実施例1>
[乳剤Aの調製]
1液
水 750ml
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
2液
水 300ml
硝酸銀 150g
3液
水 300ml
塩化ナトリウム 33g
臭化カリウム 43g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム 5ml
(20質量%KCl水溶液中の濃度0.005質量%)
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム 7ml
(20質量%NaCl水溶液中の濃度0.001質量%)
【0147】
3液に用いるヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(20質量%KCl水溶液中の濃度0.005質量%)およびヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(20質量%NaCl水溶液中の濃度0.001質量%)は、粉末をそれぞれ20質量KCl%水溶液、20質量%NaCl水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0148】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
4液
水 100ml
硝酸銀 50g
5液
水 100ml
塩化ナトリウム 11g
臭化カリウム 15g
黄血塩 50mg
【0149】
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、下記に示すアニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.2±0.2の範囲であった)。次に上澄み液を約3L除去した(第一水洗)。さらに3Lの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3L除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返し(第三水洗)て水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン45gを加え、pH5.6、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。
最終的に臭化銀を40mol%、沃化銀を0.08mol%含む平均粒子サイズ0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.2x103kg/m3、粘度=50mPa・sとなった。
なお、ハロゲン化銀乳剤のハロゲン組成の調整は乳剤Aの3液、および5液の塩化ナトリウム、臭化カリウムの添加量、調整温度を変更することにより行った。
【0150】
【化15】
【0151】
[塗布試料の作製]
下記に示す両面が塩化ビニリデンを含む防湿層下塗りからなるポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、UL層/乳剤層/保護層下層/保護層上層の構成となるように塗布して試料を作製した。
以下に各層の調製方法、塗布量および塗布方法を示す。
【0152】
<乳剤層>
乳剤Aに、増感色素(SD−1)5.7×10−4mol/molAgを加えて分光増感を施した。さらにKBr3.4×10−4mol/molAg、化合物(Cpd−1)2.0×10−4mol/molAg、化合物(Cpd−2)2.0×10−4mol/molAg、化合物(Cpd−3)8.0×10−4mol/molAgを加え、良く混合した。次いで4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10−4mol/molAg、ハイドロキノン1.2×10−2mol/molAg、クエン酸3.0×10−4mol/molAg、ヒドラジン系造核剤(Cpd−4)を1.5×10−4mol/molAg、造核促進剤(Cpd−5)を6.0×10−4mol/molAg、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩を90mg/m2、ゼラチンに対して15質量%の粒子サイズ10nmのコロイダルシリカ、ポリマーラテックス(aqL−6)を100mg/m2、ポリエチルアクリレートラテックスを150mg/m2、メチルアクリレートと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩と2−アセトキシエチルメタクリレートのラテックス共重合体(質量比88:5:7)を150mg/m2、コアシェル型ラテックス(コア:スチレン/ブタジエン共重合体(質量比37/63)、シェル:スチレン/2−アセトキシエチルアクリレート(質量比84/16)、コア/シェル比=50/50)を150mg/m2、ゼラチンに対し4質量%の化合物(Cpd−7)を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。このようにして調製した乳剤層塗布液を下記支持体上にAg2.9g/m2、ゼラチン1.5g/m2になるように塗布した。
【0153】
<保護層上層>
ゼラチン 0.3g/m2
平均粒子サイズ3.5μmの不定形シリカマット剤 25mg/m2
化合物(Cpd−8)(ゼラチン分散物) 20mg/m2
粒子サイズ10〜20μmのコロイダルシリカ 30mg/m2
(日産化学製スノーテックスC)
化合物(Cpd−9) 50mg/m2
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2
化合物(Cpd−10) 20mg/m2
化合物(Cpd−11) 20mg/m2
防腐剤(プロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)) 1mg/m2
【0154】
<保護層下層>
ゼラチン 0.5g/m2
化合物(Cpd−12) 15mg/m2
1,5−ジヒドロキシ−2−ベンズアルドキシム 10mg/m2
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
化合物(Cpd−13) 3mg/m2
防腐剤(プロキセル) 1.5mg/m2
【0155】
<UL層>
ゼラチン 0.5g/m2
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
化合物(Cpd−7) 40mg/m2
化合物(Cpd−14) 10mg/m2
防腐剤(プロキセル) 1.5mg/m2
【0156】
尚、各層の塗布液は、下記構造を有する増粘剤Zを加え、粘度調整した。
【0157】
【化16】
【0158】
【化17】
【0159】
なお、本発明で使用したサンプルは下記組成のバック層および導電層を有する。
【0160】
<バック層>
ゼラチン 3.3g/m2
化合物(Cpd−15) 40mg/m2
化合物(Cpd−16) 20mg/m2
化合物(Cpd−17) 90mg/m2
化合物(Cpd−18) 40mg/m2
化合物(Cpd−19) 26mg/m2
化合物(Cpd−22) 5mg/m2
1,3−ジビニルスルホニル−2−プロパノール 60mg/m2
流動パラフィン 78mg/m2
化合物(Cpd−7) 120mg/m2
硝酸カルシウム 20mg/m2
防腐剤(プロキセル) 12mg/m2
さらに、平均粒子サイズ6.5μmと3.5μmのポリメチルメタクリレート微粒子を、表1の凸数になる様に、質量比100/0〜0/100の範囲で適宜混合して添加した。塗布量の目安は、10〜100mg/m2である。
【0161】
<導電層>
ゼラチン 0.1g/m2
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2
SnO2/Sb 200mg/m2
(9/1重量比、平均粒子サイズ0.25μm)
防腐剤(プロキセル) 0.3mg/m2
【0162】
【化18】
【0163】
<支持体>
二軸延伸したポリエチレンテレフタレート支持体(厚み100μm)の両面の下記組成の下塗層第1層および第2層を塗布した。
【0164】
<下塗層1層>
コア−シェル型塩化ビニリデン共重合体▲1▼ 15g
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 0.25g
ポリスチレン微粒子(平均粒子サイズ3μm) 0.05g
化合物(Cpd−20) 0.20g
粒子サイズ70〜100μmのコロイダルシリカ 0.12g
(スノーテックスZL:日産化学(株)製)
水 全体量が100gとなる量
さらに、10重量%のKOHを加え、pH=6に調整した塗布液を乾燥温度180℃2分間で、乾燥膜厚が0.9μmになる様に塗布した。
【0165】
<下塗層第2層>
ゼラチン 1g
メチルセルロース 0.05g
化合物(Cpd−21) 0.02g
C12H25O(CH2 CH2 O)10H 0.03g
プロキセル 3.5×10−3g
酢酸 0.2g
水 全体量が100gとなる量
この塗布液を乾燥温度170℃で2分間乾燥した後の乾燥膜厚が0.1μmになる様に塗布した。
【0166】
【化19】
【0167】
<塗布方法>
上記下塗層を施した支持体上に、まず乳剤面側として支持体に近い側よりUL層、乳剤層、保護層下層、保護層上層の順に4層を、35℃に保ちながらスライドビードコーター方式により硬膜剤液を加えながら同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた後、乳剤面とは反対側に支持体に近い側より、導電層、バック層の順に、カーテンコーター方式により硬膜剤液を加えながら同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた。各々のセットゾーンを通過した時点では、塗布液は充分なセット性を示した。引き続き乾燥ゾーンにて両面を同時に下記乾燥条件にて乾燥した。なお、バック面側を塗布した後、巻き取りまではローラー、その他には一切無接触の状態で搬送した。この時の塗布速度は200m/minであった。
【0168】
<乾燥条件>
セット後、水/ゼラチンの重量比が800%となるまで30℃の乾燥風で乾燥し、800〜200%を35℃相対湿度30%の乾燥風で乾燥させ、そのまま風を当て、表面温度34℃となった時点(乾燥終了と見なす)より30秒後に、48℃相対湿度2%の空気で1分間乾燥した。この時、乾燥時間は乾燥開始〜水/ゼラチン比800%までが50秒、800〜200%までが35秒、200%〜乾燥終了までが5秒であった。
【0169】
この感光材料を25℃相対湿度55%で巻き取り、35℃相対湿度30%において72時間熱処理を行なった。次いで25℃相対湿度55%で、幅768mm×長さ61mに裁断し、ロール形態にして、試料を作製した。
ロール包装体内の湿度は、相対湿度45%であった。また、得られた試料の乳剤層側の膜面pHは5.5〜5.8,バック側の膜面pHは6.0〜6.5であった。
【0170】
次に現像液処方と定着液処方について述べる。
現像液(A)処方
水 600ml
水酸化カリウム 97.23g
ジエチレントリアミン−五酢酸 6.0g
炭酸カリウム 48.0g
メタ重亜硫酸ナトリウム 121.2g
臭化カリウム 9.0g
ハイドロキノン 66.0g
4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1−
フェニル−3−ピラゾリドン 1.8g
4−(N―カルボキシメチル−N−メチルアミノ−
2,6−ジメルカプトピリミジン 0.46g
2−(N―カルボキシメチル−N−メチルアミノ−
4,6−ジメルカプトピリミジン 0.15g
エリソルビン酸ナトリウム 9.0g
5−メチルベンゾトリアゾール 0.12g
ジエチレングリコール 40.02g
【0171】
水酸化カリウムを加えて、水を加えて1Lとし、pHを10.68に合わせた。使用にあたっては、上記濃縮液1部に対して水2部の割合で希釈し使用液のpHは10.45であった。
【0172】
定着液(B)処方:濃縮液1Lあたりの処方
チオ硫酸アンモニウム 360g
エチレンジアミン・四酢酸・2Na・2水塩 0.09g
チオ硫酸ナトリウム・5水塩 33.0g
メタ亜硫酸ナトリウム 57.0g
水酸化ナトリウム 37.2g
酢酸(100%) 90.0g
酒石酸 8.7g
グルコン酸ナトリウム 5.1g
硫酸アルミニウム 25.2g
pH 4.85
使用にあたっては、上記濃縮液1部に対して水2部の割合で希釈した。使用液のpHは4.8であった。
【0173】
[摩擦係数の測定]
試料を25℃、相対湿度55±5%の条件下に、30分放置後、表面性測定機(新東科学(株)製、HEIDONトライボギアTYPE:14DR)を用いて、試料台にハロゲン化銀感光材料を乗せ、その上に、ゴム硬度80度のシリコーンゴムシートを乗せて、200g/cm2の荷重を加え、感光材料を600cm/minのスピードで移動し、そのときの静摩擦抵抗力(Fs)を測定し、前述の式(1)から静摩擦係数(μS)を求めた。また、同時に動摩擦抵抗力(Fk)を測定し、下記式(2)により動摩擦係数(μK)を求めた。
式(2) μk=Fk(gf)/Ft(gf)
【0174】
[搬送性の評価]
露光〜現像処理が自動搬送システムである下記の画像形成装置を用いて、768mm幅の感光材料を用いて、送り長が980mmで、標準現像処理条件で画像形成処理を行い、感光材料の送り長の不良の発生率の評価を行なった。
露光装置:イメージセッター Luxel F−9000 (富士写真フイルム(株)製)
現像処理装置:AP−1250X (富士写真フイルム(株)製)
なお、自動現像機の水洗工程において、水垢防止節水装置として富士写真フイルム社製AC−1000を用い、薬剤として富士写真フイルム社製AB−5を組み合わせて使用した。補充量は、大全サイズ(61.0cm×50.8cm)1枚当たり1Lで行った。
【0175】
[黒点状カブリの評価]
25℃、相対湿度50±5%の環境下に、試料を1時間放置した後、試料のハロゲン化乳剤層を有する面とバック層を有する面を接触させ、200kg/cm2×2分間の荷重をかけて、上記現像液(A)、定着液(B)を用いて、35℃30秒の現像条件で、現像処理を行い、黒点状のカブリの発生頻度を評価した。評価は5段階で行い、「5」が最良で「1」が最悪とした。「4」以上が、実用的に問題ないレベルである。
【0176】
【表1】
【0177】
表1より本発明の試料は、送り長不良の発生がなく、かつ黒点状カブリの発生がなく良好であることがわかる。
【0178】
<実施例2>
実施例1の試料番号8〜10について、現像剤は実施例1のジエチレングリコールを除いた処方を基に、下記積層の順序でポリエチレン容器に細密充填した固形現像剤と固形定着剤を用いて行ったところ、実施例1と同様に送り長不良の発生がなく、かつ黒点状カブリの発生がなく良好であることが確認された。
【0179】
現像剤
第一層 ハイドロキノン
第二層 その他成分
第三層 KBr
第四層 Na2S2O5
第五層 炭酸カリウム
第六層 KOHペレット
この処方を溶解して3Lにして使用した。
【0180】
定着剤は、下記処方を現像剤と同じに充填したものを使用した。
【0181】
<実施例3>
実施例1の試料番号8〜10のヒドラジン系造核剤(Cpd−4)を、化合物H−1、または化合物H−2に換えた以外は、実施例と同様に試料を作成し、実施例1同様に評価した結果、実施例1と同様に送り長不良の発生がなく、かつ黒点状カブリの発生がなく良好であった。
【0182】
【化20】
【0183】
<実施例4>
富士写真フイルム(株)製のイメージセッターLuxel F−9000を使用するかわりに、富士写真フイルム(株)製のラックスセッターRC−5600V、大日本スクリーン(株)製のイメージセッターFT−R5055、アグファゲバルト(株)製のセレクトセット5000、アバントラ25、もしくはアキュセット1000、サイテックス(株)製のドレブ450、もしくはドレブ800、ハイデル(株)製のライノ630、クエーサー、ハーキュレスエリート、もしくはシグナセッター、もしくはラクセルF−9000、またはプレプレス(株)製のパンサープロ62のいずれか1機種を用いて実施例1の試料番号1〜17を同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に本発明の条件を満たすハロゲン化銀写真感光材料は送り長不良の発生がなく良好であることが確認された。
【0184】
【発明の効果】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、自動搬送システム装置を用いて露光、現像処理したときに、擦り傷などの面状欠陥を生じることなくスムーズに自動搬送される。また、本発明のハロゲン化銀写真感光材料を用いれば、写真製版用途に最適な画像を得ることできる。
Claims (5)
- 支持体上の一方の面に、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層およびその上部に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有し、その反対側のバック面に少なくとも1層の非感光性親水性コロイド層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該バック面とゴム硬度が80±10度のゴムシートの平滑面との線速度が600cm/minにおける静摩擦係数が0.9以上であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
- 前記バック面の表面に存在する1μm以上の山数に対する2μm〜5μmの山数の割合が30%以上であり、かつ、前記バック面の表面に存在する1μm以上の山数に対する5.1μm以上の山数の割合が2%以下であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 前記ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀に占める臭化銀の割合が40〜90mol%であることを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 前記親水性コロイド層中に少なくとも一種のヒドラジン誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 前記ハロゲン化銀写真感光材料の塗布銀量が3.5g/m2以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
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