JP3921372B2 - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀写真感光材料、特に写真製版工程に用いられるハロゲン化銀感光材料に適した超硬調ネガ型写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グラフィックアーツ分野の写真製版工程では、連続調の写真画像を、画像の濃淡を網点面積の大小によって表現するいわゆる網点画像に変換して、これに文字や線画を撮影した画像と組み合わせて印刷原版を作る方法が行われている。このような用途に用いられるハロゲン化銀感光材料には、文字、線画、網点画像の再現性を良好にするために、画像部と非画像部を明瞭に区別しうる超硬調な写真特性を有することが求められてきた。
【0003】
このような要望に応えるシステムとして、塩臭化銀からなるハロゲン化銀感光材料を、亜硫酸イオンの有効濃度をきわめて低くしたハイドロキノン現像液で処理することにより、高コントラストを有する画像を形成する、いわゆるリス現像方式が知られている。しかし、この方式では現像液中の亜硫酸イオン濃度が低いため、現像液が空気酸化に対してきわめて不安定であり、液活性を安定に保つために現像液を多量に補充しなければならなかった。
【0004】
リス現像方式の画像形成の不安定性を解消し、良好な保存安定性を有する現像液で処理することによって超硬調な写真特性を得る画像形成システムとして、例えば、米国特許第4,166,742号明細書、同第4,168,977号明細書、同第4,221,857号明細書、同第4,224,401号明細書、同第4,243,739号明細書、同第4,269,922号明細書、同第4,272,606号明細書、同第4,311,781号明細書、同第4,332,878号明細書、同第4,618,574号明細書、同第4,634,661号明細書、同第4,681,836号明細書、同第5,650,746号明細書等が挙げられる。これらは、ヒドラジン誘導体を添加した表面潜像型のハロゲン化銀写真感光材料を、亜硫酸保恒剤を0.15mol/L以上含むpH11.0〜12.3のハイドロキノン/メトールあるいはハイドロキノン/フェニドンを現像主薬とする現像液で処理し、ガンマーが10を超える超硬調のネガ画像を形成するシステムである。この方法によれば超硬調で高感度の写真特性が得られ、現像液中に高濃度の亜硫酸塩を添加することができるので、現像液の空気酸化に対する安定性は従来のリス現像液に比べて飛躍的に向上する。
【0005】
ヒドラジン誘導体により十分に超硬調な画像を形成させるためには、pHが11以上、通常は11.5以上の現像液で処理することが必要であった。高濃度の亜硫酸保恒剤によって現像液の安定性を高めることを可能にしたとはいえ、超硬調な写真画像を得るためには上述のようなpH値の高い現像液を用いることが必要であり、保恒剤があっても現像液は空気酸化されやすく不安定なため、さらなる安定性の向上を求めてより低いpHで超硬調画像を実現する工夫が試みられてきた。
【0006】
例えば、米国特許第4,269,929号明細書(特開昭61−267759号公報)、米国特許第4,737,452号明細書(特開昭60−179734号公報)、米国特許第5,104,769号明細書、同第4,798,780号明細書、特開平1−179939号公報、同1−179940号公報、米国特許第4,998,604号明細書、同第4,994,365号明細書、特開平8−272023号公報には、pH11.0未満の現像液を用いて超硬調な画像を得るために、高活性なヒドラジン誘導体および造核促進剤を用いる方法が開示されている。
このような画像形成システムに用いられるハロゲン化銀写真感光材料は高活性な化合物を内蔵するため、保存中に感度が変動する、カブリが上昇する等の保存安定性の問題を抱えている。原因の多くは乳剤感度が高いことに起因しており、保存安定性の優れた高感化技術の開発が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来技術の問題点を考慮して、本発明は、高感度で保存安定性が高く、硬調なハロゲン化銀写真感光材料を提供することを目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、特定の硫化金コロイドを含み、特定のガンマーを有するハロゲン化銀写真感光材料によれば上記目的を達成しうることを見出し、本発明を提供するに至った。
すなわち本発明は、支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、硫化金粒子の金原子とS原子との原子数比(Au原子数/S原子数)が2/1.1〜2/2である硫化金コロイドを少なくとも1種含有し、対数露光量(x軸)と光学濃度(y軸)の単位長の等しい直交座標軸上に示される特性曲線において、光学濃度0.3〜3.0におけるガンマーが5.0以上である特性曲線を有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料を提供する。
【0009】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いる前記硫化金粒子は平均粒子サイズが、球相当径で5nm以下であることが好ましい。
【0010】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料はヒドラジン化合物を含有することが好ましい。また、乳剤層側の膜面pHは6.0以下であることが好ましく、4.5〜6.0であることがより好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明のハロゲン化銀写真感光材料について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を意味する。
【0012】
本発明でいう「ガンマー」は、光学濃度(y軸)と常用対数露光量(x軸)で表される単位長の等しい直交座標軸上に示される特性曲線において、光学濃度0.3と3.0との2点で直線を引いたときの勾配である。即ち、直線とx軸のなす角度をとするとtanで示される。
本発明では、特性曲線を得るために、現像液(富士写真フイルム(株)製、ND−1)と定着液(富士写真フイルム(株)製、NF−1)を用いて、ハロゲン化銀写真感光材料を35℃30秒の現像条件で自動現像機(富士写真フイルム(株)製、FG−680AG)により処理する。
【0013】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、ガンマーが5.0以上、好ましくは5.0〜100、より好ましくは5.0〜35である特性曲線を有する。
本発明で規定している特性曲線を有するハロゲン化銀写真感光材料を得る方法は多岐にわたるが、例えば、高コントラストを実現できる重金属(例えばVIII族に属する金属)を含むハロゲン化銀乳剤を用いることによりハロゲン化銀写真感光材料のガンマーを調整することができる。特に、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物などを含有するハロゲン化銀乳剤を用いることが好ましい。また、乳剤層を含む側に造核剤としてヒドラジン誘導体、あるいはアミン化合物、ホスホニウム化合物等の化合物を少なくとも1種含有させることも好ましい。
【0014】
次に本発明で用いる硫化金コロイドについて詳しく説明する。
本発明において用いられる硫化金コロイドは、硫化金粒子の金原子とS原子との組成比が原子数比(Au/S原子数比)で表した場合に2/1.1〜2/2である硫黄過剰な硫化金粒子のコロイド状分散物である。好ましくは、原子数比が2/1.1〜2/1.6である。
従来、硫化金は、Au/S原子数比が2/1であるAu2Sの化学式で表される化合物として知られており、ソリッド ステート イオニクス(SolId State IonIcs)第79巻、60〜66頁、1995年刊、Compt. Rend. Hebt. Seances Acad. ScI. Sect. B第263巻、1328頁、1966年刊には、その構造に関する知見が記載されている。
【0015】
これら一般に知られている硫化金に対し、本発明で用いる硫化金は、2つの特徴を有する。
本発明で用いる硫化金の第1の特徴は、コロイド状の分散物であることである。コロイド状に分散された硫化金は、前記の従来の技術欄に記載した様に、米国特許第2,642,361号明細書やリサーチ・ディスクロージャー(Research DIsclosure, 37154,1995年)等に記載されている。その組成は米国特許第2,642,361号明細書にはAu2Sと記載され、リサーチ・ディスクロージャー(Research DIsclosure,37154,1995年)には明示されていない。
本発明で用いる硫化金の第2の特徴は、組成がAu2Sではなく、Au21.1〜Au22であることにある。好ましくは、Au21.1〜Au21.6である。組成が、Au2Sではなく、Au21.1〜Au22である硫化金を用いることにより、高感度、硬調で、露光時の湿度条件の違いによる感度変動が小さく、耐湿潤磨耗性に優れ、高照度での相反則特性に優れたハロゲン化銀乳剤、およびハロゲン化銀カラー写真感光材料を得ることができる点で好ましい。
【0016】
本発明で用いられる硫化金コロイド粒子の金原子とS原子との組成比は、通常の分析方法を利用して確認できる。すなわち、ICP発光分析法を用いて、Au原子の量とS原子の量を求めることができる。ゼラチン等の分散媒には硫黄が存在する場合があるが、用いたゼラチンの硫黄量を別途定量しておくことで、硫化金コロイドゼラチン分散物中の硫化金粒子の硫黄量を求めることができる。また、硫化金コロイド粒子中のサルファイドイオンの定量は、ICP法以外に、ヨードメトリーにて行うこともできる。なお、この以上の測定は、硫化金粒子ではない、液相に溶解している金を含むイオン種、および硫黄を含むイオン種の影響を除くためには、脱塩した後に行うことが必要である。脱塩方法としては、透析や限外ろ過などの一般的な脱塩方法が利用できる。
【0017】
硫化金コロイドは分散状態の安定化等のために、ゼラチン(酵素分解などで低分子量になったものも含む)の水溶液に分散させることが好ましい。この様な分散媒として他に、ポリペプチド、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインなどのタンパク質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類などのセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体などの糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールの単一或いは共重合体など種々の合成親水性高分子物質を用いることができる。
ゼラチン等の分散媒の濃度は、目的に応じ如何様にも設定可能であるが、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.2〜5質量%が最も好ましい。
硫化金のゼラチン分散物の形態は、ゾル状であってもゲル状であってもよい。
【0018】
硫化金コロイド分散物の金濃度は、硫化金コロイドおよびそれを用いた乳剤の製造適性上の要請から設定される。好ましい濃度は、金原子の濃度として、0.1〜100mmol/kgであり、より好ましくは、0.5〜50mmol/kgである。
【0019】
コロイド状硫化金としてさまざまなサイズのものを利用できるが、好ましく用いられる硫化金コロイドの平均粒子サイズは、感度、階調、高照度相反則特性、露光時の温湿度環境に対するタフネス等の点で、球相当径0.5〜10nmが好ましく、より好ましくは、0.5〜5nmであり、最も好ましくは、0.5〜3nmである。硫化金粒子のサイズは、電子顕微鏡を用いて測定することができる。
【0020】
コロイド状硫化金粒子の粒子サイズ分布は、多分散であるよりも単分散であることが好ましく、粒子サイズ分布の標準偏差を平均粒子サイズで除した変動係数が小さいことが好ましく、具体的には50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、15%以下が特に好ましい。
【0021】
次に本発明で用いられる硫化金コロイドの製造方法について述べる。
硫化金コロイドの製造は、金(I)化合物と硫黄化合物とを混合し、反応させることによってなされる。金(I)化合物は、KAu(CN)2や、Na3Au(S232、などの金(I)化合物をそのまま用いることができるが、金(III)化合物(例えば、塩化金酸、ナトリウム テトラクロロオーレート、ナトリウム テトラブロモオーレート、ポタシウム テトラクロロオーレート、ポタシウム テトラブロモオーレート、アンモニウム テトラクロロオーレート、アンモニウム テトラブロモオーレート、塩化第二金、臭化第二金、沃化第二金、沃化第二金カリウム、ゴールド(III)ヒドロキシド)を還元して金(I)化合物に変換して利用することもできる。その中でよく知られている方法は、KSCNなどのチオシアナートイオンを用いて金(I)を調製する方法である。
【0022】
一方の硫黄化合物としては、硫化ナトリウムや水硫化ナトリウムや硫化水素といったサルファイドイオンを持つ化合物が好ましく用いられる。その他にも、従来硫黄増感剤として知られている硫黄化合物を利用でき、P. GrafkIdes 著、ChImIeet PhysIque PhotographIque (Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research DIsclosure誌307巻、307150号などに記載されている不安定硫黄化合物を用いることができる。具体的には、チオ硫酸塩(例えばハイポなど)、チオ尿素類(例えばチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、N−エチル−N'−(4−メチル−2−チアゾリル)チオ尿素、N−カルボキシメチルトリメチルチオ尿素、N,N'−ジカルボキシメチルチオ尿素、N−アセチルトリメチルチオ尿素など)、チオアミド類(例えばチオアセトアミドなど)、ローダニン類(例えばジエチルローダニン、5−ベンジリデン−N−エチルローダニンなど)、ホスフィンスルフィド類(例えばトリメチルホスフィンスルフィドなど)、チオヒダントイン類、4−オキソ−オキサゾリジン−2−チオン類、ジスルフィド類またはポリスルフィド類(例えばジモルホリンジスルフィド、シスチン、ヘキサチオカン−チオンなど)、メルカプト化合物(例えばシステイン、チオグルコースなど)、ポリチオン酸塩、元素状硫黄、および活性ゼラチンなどが挙げられる。
【0023】
反応は、適切な溶媒中で行われる。原材料の溶解性を保つために水が適しているが、アルコール類等の極性溶媒等を利用することも可能である。また反応温度は幅広く設定可能であるが、0〜100℃が好ましく、0〜80℃がより好ましい。
【0024】
本発明の硫黄過剰な硫化金を調製するために重要な条件の一つとして、反応液中に存在する金(I)化合物の濃度と硫黄化合物の濃度比が挙げられる。硫黄化合物を金(I)化合物の0.55〜1.5倍mol使用することが好ましく、0.6〜1.2倍mol用いることがより好ましい。
【0025】
本発明で用いられる硫化金コロイドの具体的な調製方法については、後述する製造例の記載を参考にすることができる。
【0026】
本発明に使用する硫化金の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るが、ハロゲン化銀1molあたり5×10-6〜1×10-3molが好ましく、1×10-5〜5×10-4molがより好ましい。
【0027】
本発明において硫化金コロイドは、粒子形成直後から、化学増感終了直前までのどの段階にも添加することができる。好ましい添加時期は、脱塩後から化学増感工程の間である。
【0028】
本発明においては、硫化金コロイド増感法をさらに他の増感法、例えば硫黄増感、セレン増感、テルル増感、還元増感あるいは、他の金増感法や金化合物以外を用いた貴金属増感等と組み合わせてもよい。
本発明では、硫化金コロイド増感と硫黄増感を併用することが好ましい。
【0029】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、造核剤としてヒドラジン化合物を含有することが好ましい。特に、下記一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体を少なくとも1種含有することが好ましい。
一般式(D)
【化1】
Figure 0003921372
【0030】
式中、R20は脂肪族基、芳香族基、またはヘテロ環基を表し、R10は水素原子またはブロック基を表し、G10は−CO−、−COCO−、−C(=S)−、−SO2−、−SO−、−PO(R30)−基(R30はR10に定義した基と同じ範囲内より選ばれ、R10と異なっていてもよい。)、またはイミノメチレン基を表す。A10、A20はともに水素原子、あるいは一方が水素原子で他方が置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、または置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。
【0031】
一般式(D)において、R20で表される脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換の、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。
一般式(D)において、R20で表される芳香族基は単環もしくは縮合環のアリール基で、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。R20で表されるヘテロ環基としては、単環または縮合環の、飽和もしくは不飽和の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基で、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンズイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピペリジン環、トリアジン環等が挙げられる。
20として好ましいものはアリール基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0032】
20が示す基は置換されていてもよく、代表的な置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロロ原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、N−置換の含窒素ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イソチオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。
これら置換基は、これらの置換基でさらに置換されていてもよい。
【0033】
20が有していてもよい置換基として好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基(活性メチレン基を含む)、アラルキル基、ヘテロ環基、置換アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、チオウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基(その塩を含む)、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、スルホ基(その塩を含む)、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0034】
一般式(D)において、R10は水素原子またはブロック基を表すが、ブロック基とは具体的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヒドラジノ基を表す。
【0035】
10で表されるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、2−カルボキシテトラフルオロエチル基、ピリジニオメチル基、ジフルオロメトキシメチル基、ジフルオロカルボキシメチル基、3−ヒドロキシプロピル基、メタンスルホンアミドメチル基、ベンゼンスルホンアミドメチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、フェニルスルホニルメチル基、o−ヒドロキシベンジル基などが挙げられる。アルケニル基として好ましくは炭素数1〜10のアルケニル基であり、例えばビニル基、2,2−ジシアノビニル基、2−エトキシカルボニルビニル基、2−トリフルオロ−2−メトキシカルボニルビニル基等が挙げられる。アルキニル基として好ましくは炭素数1〜10のアルキニル基であり、例えばエチニル基、2−メトキシカルボニルエチニル基等が挙げられる。アリール基としては単環もしくは縮合環のアリール基が好ましく、ベンゼン環を含むものが特に好ましい。例えばフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−メタンスルホンアミドフェニル基、2−カルバモイルフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基などが挙げられる。
【0036】
ヘテロ環基として好ましくは、少なくとも1つの窒素、酸素、および硫黄原子を含む5〜6員の、飽和もしくは不飽和の、単環もしくは縮合環のヘテロ環基で、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基であってもよく、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基(N−置換)、ピペラジノ基、イミダゾリル基、インダゾリル基(4−ニトロインダゾリル基等)、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリジニオ基(N−メチル−3−ピリジニオ基等)、キノリニオ基、キノリル基などがある。モルホリノ基、ピペリジノ基、ピリジル基、ピリジニオ基等が特に好ましい。
【0037】
アルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としてはフェノキシ基が好ましく、アミノ基としては無置換アミノ基、および炭素数1〜10のアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基(4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む)が好ましい。アミノ基の例としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルアミノ基、プロピルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、アニリノ基、o−ヒドロキシアニリノ基、5−ベンゾトリアゾリルアミノ基、N−ベンジル−3−ピリジニオアミノ基等が挙げられる。ヒドラジノ基としては置換もしくは無置換のヒドラジノ基、または置換もしくは無置換のフェニルヒドラジノ基(4−ベンゼンスルホンアミドフェニルヒドラジノ基など)が特に好ましい。
【0038】
10で表される基は置換されていてもよく、好ましい置換基としてはR20の置換基として例示したものがあてはまる。
【0039】
一般式(D)においてR10はG10−R10の部分を残余分子から分裂させ、−G10−R10部分の原子を含む環式構造を生成させる環化反応を生起するようなものであってもよく、その例としては、例えば特開昭63−29751号公報などに記載のものが挙げられる。
【0040】
一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体は、ハロゲン化銀に対して吸着する吸着性の基が組み込まれていてもよい。かかる吸着基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾール基などの米国特許第4,385,108号明細書、同第4,459,347号明細書、特開昭59−195233号公報、同59−200231号公報、同59−201045号公報、同59−201046号公報、同59−201047号公報、同59−201048号公報、同59−201049号公報、特開昭61−170733号公報、同61−270744号公報、同62−948号公報、同63−234244号公報、同63−234245号公報、同63−234246号公報に記載された基があげられる。またこれらハロゲン化銀への吸着基は、プレカーサー化されていてもよい。その様なプレカーサーとしては、特開平2−285344号公報に記載された基が挙げられる。
【0041】
一般式(D)のR10またはR20はその中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマーが組み込まれているものでもよい。本発明においてバラスト基とは、6以上の炭素数を有する、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(またはアルキレン基)、アルコキシ基(またはアルキレンオキシ基)、アルキルアミノ基(またはアルキレンアミノ基)、アルキルチオ基、あるいはこれらを部分構造として有する基を表し、さらに好ましくは炭素数7〜24の、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(またはアルキレン基)、アルコキシ基(またはアルキレンオキシ基)、アルキルアミノ基(またはアルキレンアミノ基)、アルキルチオ基、あるいはこれらを部分構造として有する基を表す。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号公報に記載のものが挙げられる。
【0042】
一般式(D)のR10またはR20は、置換基としてヒドラジノ基を複数個含んでいてもよく、この時一般式(D)で表される化合物は、ヒドラジノ基に関しての多量体を表し、具体的には例えば特開昭64−86134号公報、特開平4−16938号公報、特開平5−197091号公報、WO95−32452号、国際公開WO95−32453号公報、特開平9−179229号公報、特開平9−235264号公報、特開平9−235265号公報、特開平9−235266号公報、特開平9−235267号公報等に記載された化合物が挙げられる。
【0043】
一般式(D)のR10またはR20は、その中に、カチオン性基(具体的には、4級のアンモニオ基を含む基、4級化されたリン原子を含む基、または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、あるいは解離性基(アルカリ性の現像液で解離しうる酸性度の低いプロトンを有する基もしくは部分構造、あるいはまたその塩を意味し、具体的には、例えばカルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホン酸基(−PO3H)、リン酸基(−OPO3H)、ヒドロキシ基(−OH基)、メルカプト基(−SH)、−SO2NH2基、N−置換のスルホンアミド基(−SO2NH−基、−CONHSO2−基、−CONHSO2NH−基、−NHCONHSO2−基、−SO2NHSO2−基)、−CONHCO−基、活性メチレン基、含窒素ヘテロ環基に内在する−NH−基、またはこれらの塩等)が含まれていてもよい。これらの基が含まれる例としては、例えば特開平7−234471号公報、特開平5−333466号公報、特開平6−19032号公報、特開平6−19031号公報、特開平5−45761号公報、米国特許第4,994,365号明細書、米国特許第4,988,604号明細書、特開平7−259240号公報、特開平7−5610号公報、特開平7−244348号公報、独特許4006032号明細書、特開平11−7093号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0044】
一般式(D)においてA10、A20は水素原子、炭素数20以下のアルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくはフェニルスルホニル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたフェニルスルホニル基)、炭素数20以下のアシル基(好ましくはベンゾイル基、またはハメットの置換基定数の和が−0.5以上となるように置換されたベンゾイル基、あるいは直鎖、分岐、または環状の置換もしくは無置換の脂肪族アシル基(ここに置換基としては、例えばハロゲン原子、エーテル基、スルホンアミド基、カルボンアミド基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等が挙げられる))である。A10、A20としては水素原子が最も好ましい。
【0045】
次に、本発明において特に好ましく用いられるヒドラジン誘導体について述べる。
20は置換フェニル基が特に好ましく、置換基としてはスルホンアミド基、アシルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、チオウレイド基、イソチオウレイド基、スルファモイルアミノ基、N−アシルスルファモイルアミノ基等が特に好ましく、さらにスルホンアミド基、ウレイド基が好ましく、スルホンアミド基が最も好ましい。
一般式(D)で表されるヒドラジン誘導体は、R20またはR10に、置換基として、直接または間接的に、バラスト基、ハロゲン化銀への吸着基、4級のアンモニオ基を含む基、4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基、エチレンオキシ基の繰り返し単位を含む基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、アルカリ性の現像処理液中で解離しうる解離性基、もしくは多量体を形成しうるヒドラジノ基(−NHNH−G10−R10で表される基)の少なくとも1つが置換されていることが特に好ましい。さらには、R20の置換基として、直接または間接的に、前述の何れか1つの基を有することが好ましく、最も好ましいのは、R20がベンゼンスルホンアミド基で置換されたフェニル基を表し、そのベンゼンスルホンアミド基のベンゼン環上の置換基として、直接または間接的に、前述の何れか1つの基を有する場合である。
【0046】
10で表される基のうち好ましいものは、G10が−CO−基の場合には、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、置換アリール基(置換基としては電子吸引性基またはo−ヒドロキシメチル基が特に好ましい)であり、最も好ましくは水素原子またはアルキル基である。
10が−COCO−基の場合にはアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基が好ましく、特に置換アミノ基、詳しくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環アミノ基が好ましい。
またG10が−SO2−基の場合には、R10はアルキル基、アリール基または置換アミノ基が好ましい。
【0047】
一般式(D)においてG10は好ましくは−CO−基または−COCO−基であり、特に好ましくは−CO−基である。
【0048】
次に一般式(D)で示される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明で用いることができる化合物は、以下の具体例に限定されるものではない。
【0049】
【化2】
Figure 0003921372
【0050】
【化3】
Figure 0003921372
【0051】
【化4】
Figure 0003921372
【0052】
【化5】
Figure 0003921372
【0053】
【化6】
Figure 0003921372
【0054】
【化7】
Figure 0003921372
【0055】
【化8】
Figure 0003921372
【0056】
【化9】
Figure 0003921372
【0057】
【化10】
Figure 0003921372
【0058】
【化11】
Figure 0003921372
【0059】
【化12】
Figure 0003921372
【0060】
【化13】
Figure 0003921372
【0061】
【化14】
Figure 0003921372
【0062】
【化15】
Figure 0003921372
【0063】
【化16】
Figure 0003921372
【0064】
【化17】
Figure 0003921372
【0065】
【化18】
Figure 0003921372
【0066】
【化19】
Figure 0003921372
【0067】
【化20】
Figure 0003921372
【0068】
【化21】
Figure 0003921372
【0069】
【化22】
Figure 0003921372
【0070】
【化23】
Figure 0003921372
【0071】
【化24】
Figure 0003921372
【0072】
【化25】
Figure 0003921372
【0073】
【化26】
Figure 0003921372
【0074】
【化27】
Figure 0003921372
【0075】
【化28】
Figure 0003921372
【0076】
【化29】
Figure 0003921372
【0077】
【化30】
Figure 0003921372
【0078】
本発明に用いられるヒドラジン誘導体としては、上記のものの他に、下記のヒドラジン誘導体も好ましく用いられる。本発明に用いられるヒドラジン誘導体はまた、下記の公報に記載された種々の方法により合成することができる。
【0079】
特公平6−77138号公報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化合物;特公平6−93082号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1〜38の化合物;特開平6−230497号公報に記載の一般式(4)、一般式(5)および一般式(6)で表される化合物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4−1〜化合物4−10、28頁〜36頁に記載の化合物5−1〜5−42、および39頁、40頁に記載の化合物6−1〜化合物6−7;特開平6−289520号公報に記載の一般式(1)および一般式(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁に記載の化合物1−1)〜1−17)および2−1);特開平6−313936号公報に記載の(化2)および(化3)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物;特開平6−313951号公報に記載の(化1)で表される化合物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物;特開平7−5610号公報に記載の一般式(I)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I−1〜I−38;特開平7−77783号公報に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II−1〜II−102;特開平7−104426号公報に記載の一般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44;特開平9−22082号公報に記載の、ヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A)、一般式(B)、一般式(C)、一般式(D)、一般式(E)、一般式(F)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物N−1〜N−30;特開平9−22082号公報に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の化合物D−1〜D−55を挙げることができる。この他、国際公開WO95−32452号公報、国際公開WO95−32453号公報、特開平9−179229号公報、特開平9−235264号公報、特開平9−235265号公報、特開平9−235266号公報、特開平9−235267号公報、特開平9−319019号公報、特開平9−319020号公報、特開平10−130275号公報、特開平11−7093号公報、特開平6−332096号公報、特開平7−209789号公報、特開平8−6193号公報、特開平8−248549号公報、特開平8−248550号公報、特開平8−262609号公報、特開平8−314044号公報、特開平8−328184号公報、特開平9−80667号公報、特開平9−127632号公報、特開平9−146208号公報、特開平9−160156号公報、特開平10−161260号公報、特開平10−221800号公報、特開平10−213871号公報、特開平10−254082号公報、特開平10−254088号公報、特開平7−120864号公報、特開平7−244348号公報、特開平7−333773号公報、特開平8−36232号公報、特開平8−36233号公報、特開平8−36234号公報、特開平8−36235号公報、特開平8−272022号公報、特開平9−22083号公報、特開平9−22084号公報、特開平9−54381号公報、特開平10−175946号公報記載のヒドラジン誘導体も挙げることができる。
【0080】
本発明においてヒドラジン系造核剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散して用いることもできる。
【0081】
本発明においてヒドラジン系造核剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側であればどの層に添加してもよい。例えば、ハロゲン化銀乳剤層、あるいは他の親水性コロイド層に添加することができるが、ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。また、2種類以上のヒドラジン系造核剤を併用して使用することもできる。
本発明における造核剤の添加量は、ハロゲン化銀1molに対し110-5〜110-2molが好ましく、110-5〜510-3molがより好ましく、210-5〜510-3molが最も好ましい。
【0082】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料中には、造核促進剤を内蔵することができる。
本発明に用いられる造核促進剤としては、アミン誘導体、オニウム塩、ジスルフィド誘導体またはヒドロキシメチル誘導体などが挙げられる。具体的には、特開平7−77783号公報48頁2行〜37行に記載の化合物で、具体的には49頁〜58頁に記載の化合物A−1)〜A−73);特開平7−84331号公報に記載の(化21)、(化22)および(化23)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜8頁に記載の化合物;特開平7−104426号公報に記載の一般式〔Na〕および一般式〔Nb〕で表される化合物で、具体的には同公報16頁〜20頁に記載のNa−1〜Na−22の化合物およびNb−1〜Nb−12の化合物;特開平8−272023号公報に記載の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)および一般式(7)で表される化合物で、具体的には同公報に記載の1−1〜1−19の化合物、2−1〜2−22の化合物、3−1〜3−36の化合物、4−1〜4−5の化合物、5−1〜5−41の化合物、6−1〜6−58の化合物、および7−1〜7−38の化合物;特開平9−297377号公報のp55、カラム108の8行〜p69、カラム136の44行までに記載の造核促進剤を挙げることができる。
【0083】
本発明に用いられる造核促進剤としては、下記の一般式(a)〜一般式(f)で表される4級塩化合物が好ましく、特に一般式(b)で表される化合物が最も好ましい。
【0084】
【化31】
Figure 0003921372
【0085】
【化32】
Figure 0003921372
【0086】
一般式(a)においてQ1は窒素原子またはリン原子を表し、R100、R110、R120はそれぞれ脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表し、これらは互いに結合して環状構造を形成してもよい。MはMに含まれる炭素原子でQ1と結合するm10価の有機基を表し、ここにm10は1〜4の整数を表す。
一般式(b)、一般式(c)、または一般式(d)において、A1、A2、A3、A4、A5はそれぞれ、4級化された窒素原子を含む不飽和ヘテロ環を完成させるための有機残基を表し、L10およびL20は2価の連結基を表し、R111、R222、R333は置換基を表す。
一般式(a)、一般式(b)、一般式(c)、または一般式(d)で表される4級塩化合物は、分子内にエチレンオキシ基またはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を、計20個以上有しているが、これは複数箇所にまたがって有していてもよい。
【0087】
一般式(e)においてQ2は窒素原子またはリン原子を表す。R200、R210、R220は一般式(a)のR100、R110、R120と同義の基を表す。
一般式(f)においてA6は一般式(b)におけるA1またはA2と同義の基を表す。但しA6が形成する含窒素不飽和ヘテロ環は置換基を有してもよいが、置換基上に1級の水酸基を有することはない。一般式(e)および一般式(f)においてL30はアルキレン基を表し、Yは−C(=O)−または−SO2−を表し、L40は少なくとも1つの親水性基を含有する2価の連結基を表す。
一般式(a)〜一般式(f)においてXn-は、n価の対アニオンを表し、nは1〜3の整数を表す。但し、分子内に別にアニオン基を有し、(Q1+、(Q2+またはN+と分子内塩を形成する場合、Xn-は必要ない。
【0088】
一般式(a)においてR100、R110、R120で表される脂肪族基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などの直鎖または分枝状のアルキル基;置換もしくは無置換のベンジル基などのアラルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;アリル基、ビニル基、5−ヘキセニル基などのアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などのシクロアルケニル基;フェニルエチニル基等のアルキニル基が挙げられる。芳香族基としてはフェニル基、ナフチル基、フエナントリル基などのアリール基が、またヘテロ環基としては、ピリジル基、キノリル基、フリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリル基、ピリミジル基、ピロリジル基などが挙げられる。
【0089】
これらの基上に置換した置換基の例としては、R100、R110、R120で表される基の他に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、(アルキルもしくはアリール)アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、(アルキルまたはアリール)チオ基、カルボンアミド基、カルバモイル基、ウレイド基、チオウレイド基、スルホニルウレイド基、スルホンアミド基、スルファモイル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、カルボキシル基(カルボキシラートを含む)、スルホ基(スルホナートを含む)、シアノ基、オキシカルボニル基、アシル基、ヘテロ環基(4級化された窒素原子を含むヘテロ環基を含む)等が挙げられる。これら置換基はこれら置換基でさらに置換されていてもよい。
一般式(a)のR100、R110、R120で表される基は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
【0090】
一般式(a)のMで表される基の例としては、m10が1を表す時、R100、R110、R120と同義の基が挙げられる。m10が2以上の整数を表す時、MはMに含まれる炭素原子でQ1と結合するm10価の連結基を表し、具体的には、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、さらにはこれらの基と−CO−基、−O−基、−N(RN)−基、−S−基、−SO−基、−SO2−、−P=O−基を組みあわせて形成されるm10価の連結基を表す(RNは水素原子またはR100、R110、R120と同義の基を表し、分子内に複数のRNが存在する時、これらは同じであっても異なっていてもよく、さらには互いに結合していてもよい)。Mは任意の置換基を有していてもよく、その置換基としては、R100、R110、R120で表される基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
【0091】
一般式(a)においてR100、R110、R120は、好ましくは炭素数20以下の基であり、Q1がリン原子を表す時、炭素数15以下のアリール基が特に好ましく、Q1が窒素原子を表す時、炭素数15以下のアルキル基、アラルキル基、アリール基が特に好ましい。m10は1または2が好ましく、m10が1を表す時、Mは好ましくは炭素数20以下の基であり、総炭素数15以下のアルキル基、アラルキル基、またはアリール基が特に好ましい。m10が2を表す時、Mで表される2価の有機基は、好ましくはアルキレン基、アリーレン基、さらにはこれらの基と−CO−基、−O−基、−N(RN)−基、−S−基、−SO2−基を組みあわせて形成される2価の基である。m10が2を表す時、MはMに含まれる炭素原子でQ1と結合する総炭素数20以下の2価の基であることが好ましい。なおM、あるいはR100、R110、R120が、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を複数個含む場合、以上述べた総炭素数の好ましい範囲は、その限りではない。またm10が2以上の整数を表す時、分子内にR100、R110、R120はそれぞれ複数存在するが、その複数のR100、R110、R120はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0092】
一般式(a)で表される4級塩化合物は、分子内にエチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を計20個以上有するが、これは1箇所に置換されていても、あるいは複数箇所にまたがって置換されていてもよい。m10が2以上の整数を表す時、Mで表される連結基に、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を計20個以上有していることがより好ましい。
【0093】
一般式(b)、一般式(c)または一般式(d)において、A1、A2、A3、A4、A5は4級化された窒素原子を含む、置換もしくは無置換の不飽和ヘテロ環を完成させるための有機残基を表し、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子および水素原子を含んでもよく、さらにベンゼン環が縮環してもかまわない。
1、A2、A3、A4、A5が形成する不飽和ヘテロ環の例としては、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリミジン環、ピラゾール環などを挙げることができる。特に好ましくは、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環である。
1、A2、A3、A4、A5が4級化された窒素原子と共に形成する不飽和ヘテロ環は、置換基を有していてもよい。この場合の置換基の例としては、一般式(a)のR100、R110、R120で表される基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。置換基として好ましくは、ハロゲン原子(特にクロロ原子)、炭素数20以下のアリール基(特にフェニル基が好ましい)、アルキル基、アルキニル基、カルバモイル基、(アルキルもしくはアリール)アミノ基、(アルキルもしくはアリール)オキシカルボニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、(アルキルもしくはアリール)チオ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、スルホ基(スルホナートを含む)、カルボキシル基(カルボキシラートを含む)、シアノ基、等が挙げられる。特に好ましくは、フェニル基、アルキルアミノ基、カルボンアミド基、クロロ原子、アルキルチオ基等であり、最も好ましくはフェニル基である。
【0094】
10、L20で表される2価の連結基は、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、2価のヘテロ環基、−SO2−、−SO−、−O−、−S−、−N(RN’)−、−C(=O)−、−PO−を単独または組合せて構成されるものが好ましい。ただしRN’はアルキル基、アラルキル基、アリール基、水素原子を表す。L10、L20で表される2価の連結基は任意の置換基を有していてもよい。置換基の例としては、一般式(a)のR100、R110、R120で表される基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。L10、L20の特に好ましい例として、アルキレン、アリーレン、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO2−、−N(RN’)−を単独または組合せて構成されるものを挙げることができる。
【0095】
111、R222、R333は炭素数1〜20のアルキル基またはアラルキル基が好ましく、各々同じでも異なっていてもよい。R111、R222、R333は置換基を有していてもよく、置換基としては、一般式(a)のR100、R110、R120で表される基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。特に好ましくは、R111、R222、R333は各々炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基である。その好ましい置換基の例としては、カルバモイル基、オキシカルボニル基、アシル基、アリール基、スルホ基(スルホナートを含む)、カルボキシル基(カルボキシラートを含む)、ヒドロキシ基、(アルキルまたはアリール)アミノ基、アルコキシ基を挙げることができる。
但しR111、R222、R333にエチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を複数個含む場合、以上のR111、R222、R333について述べた炭素数の好ましい範囲は、その限りではない。
【0096】
一般式(b)または一般式(c)で表される4級塩化合物は、分子内にエチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を計20個以上有するが、これは1箇所に置換されていても、あるいは複数箇所に置換されていてもよく、A1、A2、A3、A4、R111、R222、L10、L20のいずれに置換されていてもよいが、好ましくは、L10またはL20で表される連結基に、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を計20個以上有していることが好ましい。
【0097】
一般式(d)で表される4級塩化合物は、分子内にエチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を計20個以上有するが、これは1箇所に置換されていても、あるいは複数箇所に置換されていてもよく、A5またはR333の何れに置換されていてもよいが、好ましくは、R333で表される基に、エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を計20個以上有していることが好ましい。
【0098】
一般式(a)、一般式(b)、一般式(c)、および一般式(d)で表される4級塩化合物は、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とを、同時に繰り返し含んでいてもよい。またエチレンオキシ基またはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を複数個含む場合に、繰り返し個数は、厳密に1つの値を取っていても、あるいは平均値として与えられてもよく、後者の場合、4級塩化合物としては、ある程度の分子量分布を持つ、混合物となる。
本発明においてはエチレンオキシ基の繰り返し単位を計20個以上有する場合がより好ましく、さらに計20個〜計67個有する場合が好ましい。
【0099】
一般式(e)においてQ2、R200、R210、R220は、それぞれ一般式(a)におけるQ1、R100、R110、R120と同義の基を表し、その好ましい範囲もまた同じである。
一般式(f)においてA6は、一般式(b)におけるA1またはA2と同義の基を表し、その好ましい範囲もまた同じである。但し、一般式(f)のA6が4級化された窒素原子と共に形成する含窒素不飽和ヘテロ環は、置換基を有していてもよいが、1級の水酸基を含む置換基を有することはない。
【0100】
一般式(e)および一般式(f)においてL30はアルキレン基を表す。アルキレン基としては、直鎖、分岐、あるいは環状の、置換もしくは無置換のアルキレン基で、炭素数1〜20のものが好ましい。またエチレン基に代表される飽和のもののみならず、−CH264CH2−や−CH2CH=CHCH2−に代表される不飽和の基が含まれているものでもよい。またL30が置換基を有する時、その置換基としては一般式(a)のR100、R110、R120で表される基が有していてもよい置換基の例が挙げられる。
30としては炭素数が1〜10の、直鎖または分岐の飽和の基が好ましい。さらに好ましくは、置換もしくは無置換の、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基で、特に好ましくは置換もしくは無置換の、メチレン基またはエチレン基で、最も好ましくは置換もしくは無置換のメチレン基である。
【0101】
一般式(e)および一般式(f)においてL40は、少なくとも1つの親水性基を有する2価の連結基を表す。ここに親水性基とは−SO2−、−SO−、−O−、−P(=O)=、−C(=O)−、−CONH−、−SO2NH−、−NHSO2NH−、−NHCONH−、アミノ基、グアジニノ基、アンモニオ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基の各基、あるいはこれらの基の組み合わせからなる基を表す。これらの親水性基とアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、へテロ環基を適宜組み合わせてL40が構成される。
40を構成するアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、へテロ環基等の基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、一般式(a)のR100、R110、R120で表される基が有していてもよい置換基の例と同じものが挙げられる。
40において親水性基はL40を分断する形態で存在していても、L40上の置換基の一部として存在していてもよいが、L40を分断する形態で存在していることがより好ましい。例えば−C(=O)−、−SO2−、−SO−、−O−、−P(=O)=、−CONH−、−SO2NH−、−NHSO2NH−、−NHCONH−、カチオン性基(具体的には窒素またはリンの4級塩構造、あるいは4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環)、アミノ基、グアジニノ基の各基、あるいはこれらの基の組み合わせからなる2価の基が、L40を分断する形態で存在している場合である。
【0102】
40が有する親水性基として好ましい例の1つは、エーテル結合とアルキレン基を組み合わせた、エチレンオキシ基やプロピレンオキシ基の繰り返し単位を複数個有する基である。その重合度もしくは平均重合度は、2〜67個が好ましい。
40が有する親水性基としてはまた、−SO2−、−SO−、−O−、−P(=O)=、−C(=O)−、−CONH−、−SO2NH−、−NHSO2NH−、−NHCONH−、アミノ基、グアジニノ基、アンモニオ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基等の基を組み合わせた結果として、あるいはまたはL40の有する置換基として、解離性基を含む場合も好ましい。ここで解離性基とは、アルカリ性の現像液で解離しうる酸性度の低いプロトンを有する基もしくは部分構造、あるいはまたその塩を意味し、具体的には、例えばカルボキシ基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホン酸基(−PO3H)、リン酸基(−OPO3H)、ヒドロキシ基(−OH基)、メルカプト基(−SH)、−SO2NH2基、N−置換のスルホンアミド基(−SO2NH−基、−CONHSO2−基、−SO2NHSO2−基)、−CONHCO−基、活性メチレン基、含窒素ヘテロ環基に内在する−NH−基、またはこれらの塩のことである。
【0103】
40は好ましくはアルキレン基またはアリーレン基と、−C(=O)−、−SO2−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−NHSO2NH−、−NHCONH−、およびアミノ基を適宜組み合わせたものが用いられる。より好ましくは炭素数2〜5のアルキレン基と−C(=O)−、−SO2−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−NHSO2NH−、−NHCONH−を適宜組み合わせたものが用いられる。
Yは−C(=O)−または−SO2−を表す。好ましくは−C(=O)−が用いられる。
【0104】
一般式(a)〜一般式(f)においてXn-で表される対アニオンの例としては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなどのハロゲンイオン、アセテートイオン、オキサレートイオン、フマレートイオン、ベンゾエートイオンなどのカルボキシレートイオン、p−トルエンスルホネート、メタンスルホネート、ブタンスルホネート、ベンゼンスルホネートなどのスルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。
n-で表される対アニオンとしては、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオンが好ましく、nは1または2が好ましい。Xn-としては、クロロイオンまたはブロモイオンが特に好ましく、クロロイオンが最も好ましい。
ただし、分子内に別にアニオン基を有し、(Q1+、(Q2+またはN+と分子内塩を形成する場合、Xn-は必要ない。
【0105】
本発明で用いる4級塩化合物としては、一般式(b)、一般式(c)、一般式(f)で表される4級塩化合物がより好ましく、中でも一般式(b)および一般式(f)で表される4級塩化合物が特に好ましい。さらに一般式(b)においては、L10で表される連結基にエチレンオキシ基の繰り返し単位を20個以上有する場合が好ましく、さらに20個〜67個有する場合が特に好ましい。また一般式(f)においては、A6が形成する不飽和へテロ環化合物が4−フェニルピリジン、イソキノリン、キノリンを表す時が特に好ましい。
【0106】
次に一般式(a)〜一般式(f)で表される4級塩化合物の具体例を示す。以下において、Phはフェニル基を表す。ただし本発明は以下の化合物例によって限定されるものではない。
【0107】
【化33】
Figure 0003921372
【0108】
【化34】
Figure 0003921372
【0109】
【化35】
Figure 0003921372
【0110】
【化36】
Figure 0003921372
【0111】
【化37】
Figure 0003921372
【0112】
【化38】
Figure 0003921372
【0113】
【化39】
Figure 0003921372
【0114】
【化40】
Figure 0003921372
【0115】
一般式(a)〜一般式(f)で表される4級塩化合物は、公知の方法により容易に合成することができる。
【0116】
本発明に使用できる造核促進剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
【0117】
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、造核促進剤の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0118】
本発明に使用できる造核促進剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側のハロゲン化銀乳剤を含まない親水性コロイド層からなる非感光層に添加することが好ましく、特に該ハロゲン化銀乳剤層と支持体の間の親水性コロイド層からなる非感光層に添加することが好ましい。
本発明の造核促進剤の添加量はハロゲン化銀1molに対し110-6〜210-2molが好ましく、110-5〜210-2molがより好ましく、210-5〜110-2molが最も好ましい。また、2種類以上の造核促進剤を併用して使用することもできる。
【0119】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤用のハロゲン化銀には、特に制限はない。塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀を用いることができるが、塩化銀50mol%以上を含有する塩臭化銀、沃塩臭化銀を用いることが好ましい。ハロゲン化銀粒子の形状は、立方体、十四面体、八面体、不定型、板状いずれでもよいが、立方体が好ましい。ハロゲン化銀の平均粒径は0.1m〜0.7mが好ましいが、より好ましくは0.1〜0.5mである。また、{(粒径の標準偏差)/(平均粒径)}100で表される変動係数は15%以下であることが好ましく、10%以下の粒径分布の狭いものがより好ましい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部あるいは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
【0120】
本発明に用いられる写真乳剤は、 P. GlafkIdes 著 ChImIe et PhysIque PhotographIque (Paul Montel社刊、1967年)、G. F. DufIn 著 PhotographIc EmulsIon ChemIstry (The Forcal Press刊、1966年)、V. L. ZelIkman et al著 MakIng and CoatIng PhotographIc EmulsIon (The Forcal Press刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。
すなわち、酸性法、中性法等のいずれでもよく、また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを用いてもよい。粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。
【0121】
同時混合法の1つの形式としてハロゲン化銀が生成する液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることが好ましい。ハロゲン化銀溶剤としてより好ましいのは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号公報、同55−77737号公報に記載されている。好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンである。ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり10-5〜10-2molが好ましい。
【0122】
コントロールド・ダブルジェット法およびハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤を作るのに有用な手段である。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号公報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を超えない範囲において早く成長させることが好ましい。
【0123】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、VIII族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラストおよび低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物などを含有することが好ましい。また、高感度化のためには、K4[Fe(CN)6]やK4[Ru(CN)6]、K3[Cr(CN)6]のような六シアノ化金属錯体でドープするのが効果的である。
【0124】
本発明に用いられるロジウム化合物として、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト、アコ等を持つもの、例えば、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられる。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0125】
本発明に用いられるレニウム、ルテニウム、オスミニウムは特開昭63−2042号公報、特開平1−285941号公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML6n-
ここでMはRu、Re、またはOsを表し、Lは配位子、nは0、1、2、3または4を表す。この場合、対イオンは重要性を持たず、アンモニウムもしくはアルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる錯体の具体例を示すが、本発明で用いることができる錯体はこれらに限定されるものではない。
【0126】
〔ReCl63- 〔ReBr63-
〔ReCl5(NO)〕2- 〔Re(NS)Br52-
〔Re(NO)(CN)52- 〔Re(O)2(CN)43-
〔RuCl63- 〔RuCl4(H2O)21-
〔RuCl5(NO)〕2- 〔RuBr5(NS)〕2-
〔Ru(CO)3Cl32- 〔Ru(CO)Cl52-
〔Ru(CO)Br52- 〔OsCl63-
〔OsCl5(NO)〕2- 〔Os(NO)(CN)52-
〔Os(NS)Br52- 〔Os(CN)64-
〔Os(O)2(CN)44-
【0127】
これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1mol当り 110-9mol〜110-5molの範囲が好ましく、特に好ましくは110-8mol〜110-6molである。
本発明に用いられるイリジウム化合物としては、ヘキサクロロイリジウム、ヘキサブロモイリジウム、ヘキサアンミンイリジウム、ペンタクロロニトロシルイリジウム等が挙げられる。本発明に用いられる鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
【0128】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は化学増感されることが好ましい。化学増感の方法としては、上記有機メルカプト金(I)錯体を用いる方法以外に、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、貴金属増感法などの知られている方法を用いることができ、単独または組み合わせて用いられる。組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
【0129】
本発明に用いられる硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40?以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。チオ尿素化合物としては米国特許第4,810,626号明細書に記載の特定四置換チオ尿素化合物が特に好ましい。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲン化銀1mol当り10-7〜10-2molであり、より好ましくは10-5〜10-3molである。
【0130】
本発明に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号公報、同43−13489号公報、特開平4−109240号公報、同4−324855号公報等に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(VIII)および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0131】
本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−313284号公報に記載の方法で試験することができる。
具体的には、米国特許第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635(1980),IbId 1102(1979),IbId 645(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.PerkIn.Trans.)1,2191(1980)、S.パタイ(S.PataI)編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The ChemIstry of OrganIc SerenIum and TellunIum Compounds),Vol1(1986)、同Vol2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(II)(III)(IV)で示される化合物が好ましい。
【0132】
本発明で用いられるセレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1mol当たり10-8〜10-2mol、好ましくは10-7〜10-3mol程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
本発明に用いられる貴金属増感剤としては、上記の材料以外に、金、白金、パラジウム、イリジウム等によるものが挙げられる。本発明に用いられる金増感剤としては、上記の材料以外に、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネートなどが挙げられ、ハロゲン化銀1mol当たり10-7〜10-2mol程度を用いることができる。
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
【0133】
本発明においては、還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物などを用いることができる。
本発明のハロゲン化銀乳剤は、欧州特許公開EP第293,917号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明に用いられるハロゲン化銀写真感光材料中のハロゲン化銀乳剤は、1種だけでもよいし、2種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの、感度の異なるもの)併用してもよい。中でも高コントラストを得るためには、特開平6−324426号公報に記載されているように、支持体に近いほど高感度な乳剤を塗布することが好ましい。
【0134】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤は、増感色素によって比較的長波長の青色光、緑色光、赤色光または赤外光に分光増感されてもよい。さらに、特開昭55−45015号公報に記載の一般式〔I〕の化合物、および、特開平9−160185号公報に記載の一般式〔I〕の化合物が好ましく、特に、特開平9−160185号公報に記載の一般式〔I〕の化合物が好ましい。具体的には、特開昭55−45015号公報に記載の(1)〜(19)の化合物、特開平9−160185号公報に記載のI−1〜I−40の化合物およびI−56〜I−85の化合物などを挙げることができる。
【0135】
その他の増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。
本発明に使用されるその他の有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item18341X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
特に各種スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素も有利に選択することができる。
【0136】
例えば、A)アルゴンレーザー光源に対しては、特開昭60−162247号公報に記載の(I)−1〜(I)−8の化合物、特開平2−48653号公報に記載のI−1〜I−28の化合物、特開平4−330434号公報に記載のI−1〜I−13の化合物、米国特許2,161,331号明細書に記載のExample1〜14の化合物、西独特許936,071号明細書記載の1〜7の化合物、B)ヘリウム−ネオンレーザー光源に対しては、特開昭54−18726号公報に記載のI−1〜I−38の化合物、特開平6−75322号公報に記載のI−1〜I−35の化合物および特開平7−287338号公報に記載のI−1〜I−34の化合物、C)LED光源に対しては特公昭55−39818号公報に記載の色素1〜20、特開昭62−284343号公報に記載のI−1〜I−37の化合物および特開平7−287338号公報に記載のI−1〜I−34の化合物、D)半導体レーザー光源に対しては特開昭59−191032号公報に記載のI−1〜I−12の化合物、特開昭60−80841号公報に記載のI−1〜I−22の化合物、特開平4−335342号公報に記載のI−1〜I−29の化合物および特開昭59−192242号公報に記載のI−1〜I−18の化合物、E)製版カメラのタングステンおよびキセノン光源に対しては、上記記載の化合物の他に特開平9−160185号公報に記載のI−41〜I−55の化合物およびI−86〜I−97の化合物および特開平6−242547号公報に記載の4−A〜4−Sの化合物、5−A〜5−Qの化合物、6−A〜6−Tの化合物なども有利に選択することができる。
【0137】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャ(Research DIsclosure)176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは前述の特公昭49−25500号公報、同43−4933号公報、特開昭59−19032号公報、同59−192242号公報等に記載されている。
【0138】
本発明に用いられる増感色素は2種以上を併用してもよい。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
また、米国特許第3,469,987号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、該溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号公報、同44−27555号公報、同57−22091号公報等に開示されているように、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号明細書、同第4,006,025号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53−102733号公報、同58−105141号公報に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51−74624号公報に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。また、溶液に超音波を用いることもできる。
【0139】
本発明に用いる増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766号明細書、同第3,628,960号明細書、同第4,183,756号明細書、同第4,225,666号明細書、特開昭58−184142号公報、同60−196749号公報等に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/および脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号公報等に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号明細書、特開昭58−7629号公報等に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0140】
本発明において増感色素の添加量は、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズ、ハロゲン組成、化学増感の方法と程度、カブリ防止剤の種類等により異なるが、ハロゲン化銀1molあたり、410-6〜8×10-3molで用いることができる。例えばハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3mの場合には、ハロゲン化銀粒子の表面積1m2あたり、210-7〜3.510-6molの添加量が好ましく、6.510-7〜2.010-6molの添加量がより好ましい。
【0141】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限はなく、例えば、特開平3−39948号公報第10頁右下11行目〜同公報第12頁左下5行目に記載のポリヒドロキシベンゼン化合物(具体的には、同公報に記載の化合物(III)−1〜25の化合物);特開平1−118832号公報に記載の一般式(I)で表される実質的には可視域に吸収極大を持たない化合物(具体的には、同公報に記載の化合物I−1〜I−26の化合物);特開平2−103536号公報第17頁右下19行目〜同公報18頁右上4行目に記載のカブリ防止剤;特開平2−103536号公報第18頁左下12行目〜同頁左下20行目に記載のポリマーラテックス;特開平9−179228号に記載の一般式(I)で表される活性メチレン基を有するポリマーラテックス(具体的には同公報に記載の化合物I−1〜I−16);特開平9−179228号公報に記載のコア/シェル構造を有するポリマーラテックス(具体的には同公報に記載の化合物P−1〜P−55);特開平7−104413号公報第14頁左1行目〜同頁右30行目に記載の酸性ポリマーラテックス(具体的には同公報15頁に記載の化合物II−1)〜II−9));特開平2−103536号公報第19頁左上15行目〜同公報19頁右上15行目に記載のマット剤、滑り剤、可塑剤;特開平2−103536号公報第18頁右上5行目〜同頁右上17行目に記載の硬膜剤;特開平2−103536号公報第18頁右下6行目〜同公報19頁左上1行目に記載の酸基を有する化合物;特開平2−18542号公報第2頁左下13行目〜同公報第3頁右上7行目に記載の導電性物質(具体的には、同公報第2頁右下2行目〜同頁右下10行目に記載の金属酸化物、および同公報に記載の化合物P−1〜P−7の導電性高分子化合物);特開平2−103536号公報第17頁右下1行目〜同頁右上18行目に記載の水溶性染料;特開平9−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される固体分散染料(具体的には同公報記載の化合物F1〜F34、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)、特開平2−294638号公報および特開平5−11382号公報に記載の固体分散染料);特開平5ー274816号公報に記載の酸化されることにより現像抑制剤を放出しうるレドックス化合物、好ましくは同公報に記載の一般式(R−1)、一般式(R−2)、一般式(R−3)で表されるレドックス化合物(具体的には、同公報に記載の化合物R−1〜R−68の化合物);特開平2−18542号公報第3頁右下1行目〜20行目に記載のバインダーを挙げることができる。
【0142】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の乳剤層および保護層を含めた親水性コロイド層の膨潤率は80〜150%の範囲が好ましく、より好ましくは90〜140%の範囲である。親水性コロイド層の膨潤率は、ハロゲン化銀写真感光材料における乳剤層および保護層を含めた親水性コロイド層の厚み(d0)を測定し,該ハロゲン化銀写真感光材料を25℃の蒸留水に1分間浸漬し、膨潤した厚み(d)を測定し、膨潤率(%)=(dd0)100の計算式によって求める。
【0143】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料のハロゲン化銀乳剤層が塗布されている側の膜面pHは6.0以下であることが好ましく、4.5〜7.5であることがより好ましく、4.8〜6.0であることがさらに好ましい。4.5未満であると乳剤層の硬膜進行が遅くなる傾向がある。
【0144】
本発明の実施に際して用いうる支持体としては、例えばバライタ紙、ポリエチレン被覆紙、ポリプロピレン合成紙、ガラス板、セルロースアセテート、セルロースナイトレート、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムを挙げることができる。これらの支持体は、それぞれハロゲン化銀写真感光材料の使用目的に応じて適宜選択される。
また、特開平7−234478号公報、および米国特許第5,558,979号明細書に記載のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる支持体も好ましく用いられる。
【0145】
以下に本発明における現像液、定着液などの処理剤および処理方法等について述べるが、言うまでもなく本発明は以下の記述および具体例に限定されるものではない。
【0146】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の現像処理には、公知の方法のいずれを用いることもできる。また、現像処理液としては公知のものを用いることができる。
【0147】
本発明に使用する現像液(以下、現像開始液および現像補充液の双方をまとめて現像液という。)に用いる現像主薬には特別な制限はないが、ジヒドロキシベンゼン類や、アスコルビン酸誘導体、ハイドロキノンモノスルホン酸塩を含むことが好ましく、単独使用でも併用でもよい。特に、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬およびこれと超加成性を示す補助現像主薬を含有することが好ましく、ジヒドロキシベンゼン類やアスコルビン酸誘導体と1−フェニル−3−ピラゾリドン類の組み合わせ、またはジヒドロキシベンゼン類やアスコルビン酸誘導体とp−アミノフェノール類の組み合わせなどを挙げることができる。
本発明に用いる現像主薬において、ジヒドロキシベンゼン現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノンなどがあるが、特にハイドロキノンが好ましい。またアスコルビン酸誘導体現像主薬としては、アスコルビン酸およびイソアスコルビン酸とそれらの塩があるが、特にエリソルビン酸ナトリウムが素材コストの点から好ましい。
【0148】
本発明に用いる1−フェニル−3−ピラゾリドンまたはその誘導体の現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4、4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンなどがある。
本発明に用いるp−アミノフェノール系現像主薬としてN−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシフェニル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、o−メトキシ−p−(N、N−ジメチルアミノ)フェノール、o−メトキシ−p−(N−メチルアミノ)フェノールなどがあるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノール、または特開平9−297377号公報および特開平9−297378号公報に記載のアミノフェノール類が好ましい。
【0149】
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は通常0.05mol/L〜0.8mol/Lの量で用いられるのが好ましい。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類の組み合わせを用いる場合には前者を0.05mol/L〜0.6mol/L、好ましくは0.10mol/L〜0.5mol/L、後者を0.06mol/L以下、好ましくは0.03mol/L〜0.003mol/Lの量で用いるのが好ましい。
【0150】
アスコルビン酸誘導体現像主薬は、通常0.01mol/L〜0.5mol/Lの量で用いられるのが好ましく、0.05mol/L〜0.3mol/Lがより好ましい。またアスコルビン酸誘導体と1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類の組み合わせを用いる場合にはアスコルビン酸誘導体を0.01mol/L〜0.5mol/L、1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類を0.005mol/L〜0.2mol/Lの量で用いるのが好ましい。
【0151】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料を処理する際の現像液には、通常用いられる添加剤(例えば現像主薬、アルカリ剤、pH緩衝剤、保恒剤、キレート剤等)を含有させることができる。以下にこれらの具体例を示すが、本発明で用いることができるものはこれらに限定されるものではない。
現像処理する際の現像液に用いられる緩衝剤としては、炭酸塩、特開昭62−186259号公報に記載のほう酸、特開昭60−93433号公報に記載の糖類(例えばサッカロース)、オキシム類(例えばアセトオキシム)、フェノール類(例えば5−スルホサリチル酸)、第3リン酸塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩)などが用いられ、好ましくは炭酸塩、ほう酸が用いられる。緩衝剤、特に炭酸塩の使用量は、好ましくは0.05mol/L以上、特に0.08〜1.0mol/Lである。
【0152】
本発明においては、現像開始液および現像補充液の双方が、該液1Lに0.1molの水酸化ナトリウムを加えたときのpH上昇が0.5以下であることが好ましい。使用する現像開始液ないし現像補充液がこの性質を有することを確かめる方法としては、試験する現像開始液ないし現像補充液のpHを10.5に合わせ、ついでこの液1Lに水酸化ナトリウムを0.1mol添加し、この時の液のpH値を測定し、pH値の上昇が0.5以下であれば上記に規定した性質を有すると判定する。本発明では特に、上記試験を行った時のpH値の上昇が0.4以下である現像開始液および現像補充液を用いることが好ましい。
【0153】
本発明に用いられる保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどがある。亜硫酸塩は好ましくは0.2mol/L以上、特に0.3mol/L以上用いられるが、あまりに多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、上限は1.2mol/Lとするのが望ましい。特に好ましくは、0.35〜0.7mol/Lである。
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩と併用して前記のアスコルビン酸誘導体を少量使用してもよい。なかでも素材コストの点からエリソルビン酸ナトリウムを用いることが好ましい。添加量はジヒドロキシベンゼン系現像主薬に対して、モル比で0.03〜0.12の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.10の範囲である。保恒剤としてアスコルビン酸誘導体を使用する場合には現像液中にホウ素化合物を含まないことが好ましい。
【0154】
上記以外に用いられる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムのような現像抑制剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドのような有機溶剤、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、イミダゾールまたはその誘導体等の現像促進剤、ヘテロ環メルカプト化合物(例えば3−(5−メルカプトテトラゾール−1−イル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールなど)、特開昭62−212651号公報に記載の化合物を物理現像ムラ防止剤として添加することもできる。
また、メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤または黒ポツ(black pepper)防止剤として含んでもよい。具体的には、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンゾイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンゾイミダゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、4−((2−メルカプト−1、3、4−チアジアゾール−2−イル)チオ)ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1、3、4−チアジアゾール−2−チオール、メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。これらの添加剤の量は、通常現像液1Lあたり0.01〜10mmolであり、より好ましくは0.1〜2mmolである。
【0155】
さらに本発明で用いられる現像液中には各種の有機、無機のキレート剤を単独または併用で用いることができる。
無機キレート剤としては例えば、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどを用いることができる。
一方、有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸および有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
有機カルボン酸としては例えば、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グルコン酸、アジピン酸、ピメリン酸、アシエライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などを挙げることができる。
【0156】
アミノポリカルボン酸としては例えば、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミンモノヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテル四酢酸、1、2−ジアミノプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1、3−ジアミノ-2−プロパノール四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、その他特開昭52−25632号公報、同55−67747号公報、同57−102624号公報、および特公昭53−40900号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0157】
有機ホスホン酸としては、例えば米国特許第3,214,454号明細書、同第3,794,591号明細書および西独特許公開第2227369号公報等に記載のヒドロキシアルキリデン−ジホスホン酸やリサーチ・ディスクロージャー第181巻、Item 18170(1979年5月号)等に記載の化合物が挙げられる。
アミノホスホン酸としては、例えばアミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられるが、その他上記リサーチ・ディスクロージャー18170、特開昭57−208554号公報、同54−61125号公報、同55−29883号公報、同56−97347号公報等に記載の化合物も挙げることができる。
【0158】
有機ホスホノカルボン酸としては、例えば特開昭52−102726号公報、同53−42730号公報、同54−121127号公報、同55−4024号公報、同55−4025号公報、同55−126241号公報、同55−65955号公報、同55−65956号公報および前述のリサーチ・ディスクロージャー18170等に記載の化合物を挙げることができる。
【0159】
これらの有機および/または無機のキレート剤は、前述のものに限定されるものではない。また、アルカリ金属塩やアンモニウム塩の形で使用してもよい。これらのキレート剤の添加量としては、現像液1Lあたり好ましくは、1×10-4〜1×10-1mol、より好ましくは1×10-3〜1×10-2molである。
【0160】
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、例えば特開昭56−24347号公報、特公昭56−46585号公報、特公昭62−2849号公報、特開平4−362942号公報、特開平8−6215号公報に記載の化合物の他、メルカプト基を1つ以上有するトリアジン(例えば特公平6−23830号公報、特開平3−282457号公報、特開平7−175178号公報に記載の化合物)、メルカプト基を1つ以上有するピリミジン(例えば2−メルカプトピリミジン、2、6−ジメルカプトピリミジン、2、4−ジメルカプトピリミジン、5、6−ジアミノ−2、4−ジメルカプトピリミジン、2、4、6−トリメルカプトピリミジン、特開平9−274289号公報記載の化合物など)、メルカプト基を1つ以上有するピリジン(例えば2−メルカプトピリジン、2、6−ジメルカプトピリジン、3、5−ジメルカプトピリジン、2、4、6−トリメルカプトピリジン、特開平7−248587号公報に記載の化合物など)、メルカプト基を1つ以上有するピラジン(例えば2−メルカプトピラジン、2、6−ジメルカプトピラジン、2、3−ジメルカプトピラジン、2、3、5−トリメルカプトピラジンなど)、メルカプト基を1つ以上有するピリダジン(例えば3−メルカプトピリダジン、3、4−ジメルカプトピリダジン、3、5−ジメルカプトピリダジン、3、4、6−トリメルカプトピリダジンなど)、特開平7−175177号公報に記載の化合物、米国特許第5,457,011号明細書に記載のポリオキシアルキルホスホン酸エステルなどを用いることができる。これらの銀汚れ防止剤は単独または複数の併用で用いることができ、添加量は現像液1Lあたり0.05〜10mmolが好ましく、0.1〜5mmolがより好ましい。
また、溶解助剤として特開昭61−267759号公報記載の化合物を用いることができる。
さらに必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。
【0161】
現像液の好ましいpHは9.0〜12.0であり、特に好ましくは9.0〜11.0、さらに好ましくは9.5〜11.0の範囲である。pH調整に用いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)を用いることができる。
【0162】
現像液のカチオンとしては、ナトリウムイオンに比べてカリウムイオンの方が現像抑制をせず、またフリンジと呼ばれる黒化部のまわりのギザギザが少ない。さらに、濃縮液として保存する場合には一般にカリウム塩のほうが溶解度が高く好ましい。しかしながら、定着液においてはカリウムイオンは銀イオンと同程度に定着阻害をすることから、現像液のカリウムイオン濃度が高いと、ハロゲン化銀写真感光材料により現像液が持ち込まれることにより定着液中のカリウムイオン濃度が高くなり、好ましくない。以上のことから現像液におけるカリウムイオンとナトリウムイオンのモル比率は20:80〜80:20の間であることが好ましい。カリウムイオンとナトリウムイオンの比率は、pH緩衝剤、pH調整剤、保恒剤、キレート剤などの対カチオンで、上記の範囲で任意に調整できる。
【0163】
現像液の補充量は、ハロゲン化銀写真感光材料1m2につき390ml以下であり、30〜325mlが好ましく、120〜250mlが最も好ましい。現像補充液は、現像開始液と同一の組成および/または濃度を有していてもよいし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していてもよい。
【0164】
本発明における定着処理剤の定着剤としては、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムアンモニウムが使用できる。定着剤の使用量は適宜変えることができるが、一般には約0.7〜約3.0mol/Lである。
【0165】
本発明における定着液は、硬膜剤として作用する水溶性アルミニウム塩、水溶性クロム塩を含んでもよく、水溶性アルミニウム塩が好ましい。それには例えば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明礬、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウムなどがある。これらは使用液におけるアルミニウムイオン濃度として、0.01〜0.15mol/Lで含まれることが好ましい。
なお、定着液を濃縮液または固形剤として保存する場合、硬膜剤などを別パートとした複数のパーツで構成してもよいし、すべての成分を含む一剤型の構成としてもよい。
【0166】
定着処理剤には所望により保恒剤(例えば亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩などを0.015mol/L以上、好ましくは0.02mol/L〜0.3mol/L)、pH緩衝剤(例えば酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸、コハク酸、アジピン酸などを0.1mol/L〜1mol/L、好ましくは0.2mol/L〜0.7mol/L)、アルミニウム安定化能や硬水軟化能のある化合物(例えばグルコン酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、安息香酸、サリチル酸、タイロン、アスコルビン酸、グルタル酸、アスパラギン酸、グリシン、システイン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸やこれらの誘導体およびこれらの塩、糖類などを0.001mol/L〜0.5mol/L、好ましくは0.005mol/L〜0.3mol/L)を含むことができが、近年の環境保護の点からホウ素系化合物は含まない方がよい。
【0167】
このほか、特開昭62−78551号公報に記載の化合物、pH調整剤(例えば水酸化ナトリウム、アンモニア、硫酸など)、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤等も含むことができる。界面活性剤としては、例えば硫酸化物スルホン酸化物などのアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6840号公報記載の両性界面活性剤が挙げられ、公知の消泡剤を使用することもできる。湿潤剤としては、アルカノールアミン、アルキレングリコール等がある。定着促進剤としては、特開平6−308681号公報に記載のアルキルおよびアリル置換されたチオスルホン酸およびその塩や、特公昭45−35754号公報、同58−122535号公報、同58−122536号公報記載のチオ尿素誘導体、分子内に3重結合を有するアルコール、米国特許第4,126,459号明細書記載のチオエーテル化合物、特開昭64−4739号公報、特開平1−4739号公報、同1−159645号公報および同3−101728号公報に記載のメルカプト化合物、同4−170539号公報に記載のメソイオン化合物、チオシアン酸塩を含むことができる。
【0168】
本発明における定着液のpHは4.0以上であることが好ましく、4.5〜6.0であることがより好ましい。定着液のpHは処理により現像液が混入して上昇するが、この場合のpHは、硬膜定着液では6.0以下であることが好ましく、5.7以下であることがより好ましく、また、無硬膜定着液においては7.0以下であることが好ましく、6.7以下であることがより好ましい。
【0169】
定着液の補充量は、ハロゲン化銀写真感光材料1m2につき500ml以下であることが好ましく、390ml以下であることがより好ましく、320〜80mlであることが特に好ましい。補充液は、開始液と同一の組成および/または濃度を有していてもよいし、開始液と異なる組成および/または濃度を有していてもよい。
【0170】
定着液は電解銀回収などの公知の定着液再生方法により再生使用することができる。再生装置としては、例えば富士写真フイルム(株)製FS−2000などがある。
また、活性炭などの吸着フィルターを使用して、色素などを除去することも好ましい。
【0171】
本発明における現像および定着処理剤が液剤の場合、例えば特開昭61−73147号公報に記載されたような、酸素透過性の低い包材で保管することが好ましい。さらにこれらの液が濃縮液の場合、所定の濃度になるように、濃縮液1部に対して水0.2〜3部の割合で希釈して使用される。
【0172】
本発明における現像処理剤および定着処理剤は固形にしても液剤同様の結果が得られる。以下に固形処理剤について説明する。
本発明では、固形剤として、公知の形態(粉状、粒状、顆粒状、塊状、錠剤、コンパクター、ブリケット、板状、棒状、ペースト状など)を有するものが使用できる。これらの固形剤は、接触して互いに反応する成分を分離するために、水溶性のコーティング剤やフィルムで被覆してもよいし、複数の層構成にして互いに反応する成分を分離してもよく、これらを併用してもよい。
【0173】
被覆剤、造粒助剤としては公知のものが使用できるが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリスチレンスルホン酸、ビニル系化合物を用いることが好ましい。この他、特開平5−45805号公報カラム2の48行〜カラム3の13行目を参考にすることができる。
【0174】
複数の層構成にする場合は、接触しても反応しない成分を互いに反応する成分の間にはさんだ構成にして錠剤やブリケット等に加工してもよいし、公知の形態の成分を同様の層構成にして包装してもよい。これらの方法は、例えば特開昭61−259921号公報、同4−16841号公報、同4−78848号公報、同5−93991号公報等に示されている。
【0175】
固形処理剤の嵩密度は、0.5〜6.0g/cm3が好ましく、特に錠剤は1.0〜5.0g/cm3が好ましく、顆粒は0.5〜1.5g/cm3が好ましい。
【0176】
本発明における固形処理剤の製法は、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、特開昭61−259921号公報、特開平4−15641号公報、特開平4−16841号公報、同4−32837号公報、同4−78848号公報、同5−93991号公報、同4−85533号公報、同4−85534号公報、同4−85535号公報、同5−134362号公報、同5−197070号公報、同5−204098号公報、同5−224361号公報、同6−138604号公報、同6−138605号公報、同8−286329号公報等を参考にすることができる。
【0177】
より具体的には転動造粒法、押し出し造粒法、圧縮造粒法、解砕造粒法、撹拌造粒法、スプレードライ法、溶解凝固法、ブリケッティング法、ローラーコンパクティング法等を用いることができる。
【0178】
本発明における固形剤は、表面状態(平滑、多孔質等)や部分的に厚みを変えたり、中空状のドーナツ型にしたりして溶解性を調節することもできる。さらに、複数の造粒物に異なった溶解性を与えたり、溶解性の異なる素材の溶解度を合わせるために、複数の形状をとることも可能である。また、表面と内部で組成の異なる多層の造粒物でもよい。
【0179】
固形剤の包材は、酸素および水分透過性の低い材質が好ましく、包材の形状は袋状、筒状、箱状などの公知のものが使用できる。また、特開平6−242585号公報〜同6−242588号公報、同6−247432号公報、同6−247448号公報、同6−301189号公報、同7−5664号公報、同7−5666号公報〜同7−5669号公報に開示されているような折り畳み可能な形状にすることも、廃包材の保管スペース削減のためには好ましい。これらの包材は、処理剤の取り出し口にスクリューキャップや、プルトップ、アルミシールをつけたり、包材をヒートシールしてもよいが、このほかの公知のものを使用してもよく、特に限定はしない。さらに環境保全上、廃包材をリサイクルまたはリユースすることが好ましい。
【0180】
本発明の固形処理剤の溶解および補充の方法としては特に限定はなく、公知の方法を使用することができる。これらの方法としては例えば、撹拌機能を有する溶解装置で一定量を溶解し補充する方法、特開平9−80718号公報に記載されているような溶解部分と完成液をストックする部分とを有する溶解装置で溶解し、ストック部から補充する方法、特開平5−119454号公報、同6−19102号公報、同7−261357号公報に記載されているような自動現像機の循環系に処理剤を投入して溶解・補充する方法、溶解槽を内蔵する自動現像機でハロゲン化銀写真感光材料の処理に応じて処理剤を投入し溶解する方法などがあるが、このほかの公知のいずれの方法を用いることもできる。また処理剤の投入は、人手で行ってもよいし、特開平9−138495号公報に記載されているような開封機構を有する溶解装置や自動現像機で自動開封、自動投入してもよく、作業環境の点からは後者が好ましい。具体的には取り出し口を突き破る方法、はがす方法、切り取る方法、押し切る方法や、特開平6−19102号公報、同6−95331号公報に記載の方法などがある。
【0181】
現像、定着処理が済んだハロゲン化銀写真感光材料は、ついで水洗または安定化処理される(以下特に断らない限り、安定化処理を含めて水洗といい、これらに使用する液を、水または水洗水という)。水洗に使用される水は、水道水でもイオン交換水でも蒸留水でも安定化液でもよい。これらの補充量は、一般的にはハロゲン化銀写真感光材料1m2あたり約8L〜約17Lであるが、それ以下の補充量で行うこともできる。特に3L以下の補充量(0も含む。すなわち、ため水水洗)では、節水処理が可能となるのみならず、自動現像機設置の配管を不要とすることもできる。水洗を低補充量で行う場合は、特開昭63−18350号公報、同62−287252号公報等に記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減や、水垢防止のために種々の酸化剤(例えばオゾン、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、活性ハロゲン、二酸化塩素、炭酸ナトリウム過酸化水素塩など)添加やフィルター濾過を組み合わせてもよい。
【0182】
水洗の補充量を少なくする方法として、古くより多段向流方式(例えば2段、3段等)が知られており、水洗補充量はハロゲン化銀写真感光材料1m2あたり50〜200mlが好ましい。この効果は、独立多段方式(向流にせず、多段の水洗槽に個別に新液を補充する方法)でも同様に得られる。
【0183】
さらに、本発明の方法で水洗工程に水垢防止手段を施してもよい。水垢防止手段としては公知のものを使用することができ、特に限定はしないが、防ばい剤(いわゆる水垢防止剤)を添加する方法、通電する方法、紫外線または赤外線や遠赤外線を照射する方法、磁場をかける方法、超音波処理する方法、熱をかける方法、未使用時にタンクを空にする方法などがある。これらの水垢防止手段は、ハロゲン化銀写真感光材料の処理に応じてなされてもよいし、使用状況に関係なく一定間隔で行われてもよいし、夜間など処理の行われない期間のみ施してもよい。またあらかじめ水洗水に施しておいて、これを補充してもよい。さらには、一定期間ごとに異なる水垢防止手段を行うことも、耐性菌の発生を抑える上では好ましい。
節水水垢防止装置としては、富士フイルム社製装置AC−1000と水垢防止剤として富士フイルム社製AB−5を用いてもよく特開平11−231485号公報の方法を用いてもよい。
防ばい剤としては特に限定はなく公知のものが使用できる。前述の酸化剤の他例えばグルタルアルデヒド、アミノポリカルボン酸等のキレート剤、カチオン性界面活性剤、メルカプトピリジンオキシド(例えば2−メルカプトピリジン−N−オキシドなど)などがあり、単独使用でも複数の併用でもよい。
通電する方法としては、特開平3−224685号公報、同3−224687号公報、同4−16280号公報、同4−18980号公報などに記載の方法が使用できる。
【0184】
このほか、水泡ムラ防止や汚れ転写防止のために、公知の水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。また、ハロゲン化銀写真感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号公報に記載の色素吸着剤を水洗系に設置してもよい。
【0185】
水洗工程からのオーバーフロー液の一部または全部は、特開昭60−235133号公報に記載されているように、定着能を有する処理液に混合利用することもできる。また微生物処理(例えば硫黄酸化菌、活性汚泥処理や微生物を活性炭やセラミック等の多孔質担体に担持させたフィルターによる処理等)や、通電や酸化剤による酸化処理をして、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、沃素消費量等を低減してから排水したり、銀と親和性のあるポリマーを用いたフィルターやトリメルカプトトリアジン等の難溶性銀錯体を形成する化合物を添加して銀を沈降させてフィルター濾過するなどし、排水中の銀濃度を低下させることも、自然環境保全の観点から好ましい。
【0186】
また、水洗処理に続いて安定化処理する場合もあり、その例として特開平2−201357号公報、同2−132435号公報、同1−102553号公報、特開昭46−44446号公報に記載の化合物を含有した浴をハロゲン化銀写真感光材料の最終浴として使用してもよい。この安定浴にも必要に応じてアンモニウム化合物、BI、Al等の金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防ばい剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。
水洗、安定化浴に添加する防ばい剤等の添加剤および安定化剤は、前述の現像、定着処理剤同様に固形剤とすることもできる。
【0187】
本発明に使用する現像液、定着液、水洗水、安定化液の廃液は焼却処分することが好ましい。また、これらの廃液は例えば特公平7−83867号公報、米国特許第5,439,560明細書等に記載されているような濃縮装置で濃縮液化または固化させてから処分することも可能である。
【0188】
処理剤の補充量を低減する場合には、処理槽の開口面積を小さくして液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。ローラー搬送型の自動現像機については米国特許第3,025,779明細書、同第3,545,971明細書などに記載されており、本明細書においては単にローラー搬送型自動現像機として言及する。この自現機は現像、定着、水洗および乾燥の四工程からなっており、本発明の方法も、他の工程(例えば停止工程)を除外しないが、この四工程を踏襲するのが最も好ましい。さらに、現像定着間および/または定着水洗間にリンス浴、水洗槽や洗浄槽を設けてもよい。
【0189】
本発明の現像処理では、処理開始から乾燥後まで(dry to dry)で25〜160秒が好ましく、現像および定着時間が40秒以下、好ましくは6〜35秒、各液の温度は25〜50℃が好ましく、30〜40℃が好ましい。水洗の温度および時間は0〜50℃で40秒以下が好ましい。本発明の方法によれば、現像、定着および水洗されたハロゲン化銀写真感光材料は水洗水を絞りきる、すなわちスクイズローラーを経て乾燥してもよい。乾燥は約40〜約100℃で行われ、乾燥時間は周囲の状態によって適宜変えられる。乾燥方法は公知のいずれの方法も用いることができ特に限定はないが、温風乾燥や、特開平4−15534号公報、同5−2256号公報、同5−289294号公報に開示されているようなヒートローラー乾燥、遠赤外線による乾燥などがあり、複数の方法を併用してもよい。
【0190】
【実施例】
以下に製造例、実施例および比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0191】
<製造例1> 硫化金コロイドの調製方法
蒸留水300mlに塩化金酸四水和物2.93g(7.1mmol)を溶解し、炭酸カリウム1.77g(12.8mmol)を加えた。1mol/LのKSCN水溶液29.5gを蒸留水400mlに溶解した溶液に上記塩化金酸溶液をゆっくり添加し、その後30分間撹拌することで溶液Aを調製した。次に、硫化ナトリウム九水和物1.71g(7.1mmol)を蒸留水300mlに溶解することで溶液Bを調製した。最後に蒸留水1.1Lにゼラチン45gを加え、40℃に加熱溶解することで溶液Cを調製した。40℃に保温した溶液Cを攪拌機により撹拌しながら、溶液Aを加え、次いで溶液Bを添加した。添加終了後、さらに40℃で30分撹拌した後、蒸留水を加えて、総重量2.25kgとした。次いでダイアフィルトレーション(連続加水限外ろ過)により脱塩を行うことで硫黄過剰硫化金粒子のコロイド状ゼラチン分散物を得た。なお、これを硫化金コロイドLとし、実施例に用いた。
なお、上記硫化金コロイド粒子のAu/S原子数比をICP発光分析法およびヨードメトリーにより求めたところ、2/1.3であった。平均粒子サイズは2nmであった。粒子サイズ分布の変動係数は、30%以下であった。
【0192】
硫化金コロイドLと同様の方法で、硫化金コロイドM,N,O,P,Q、Rを調製した。各硫化金コロイドの調製においては、溶液A、溶液B,溶液Cの添加速度などの添加方法や、反応温度、攪拌条件、および、溶液Cに含まれる硫化ナトリウムの量などを変更した。
得られた硫化金コロイド粒子のAu/S原子数比は、硫化金コロイドM,N,O,P,Q,Rのそれぞれについて、2/1.3、2/1.3、2/1.3、2/1.3、2/1.4、2/1.5であった。平均粒子サイズは硫化金コロイドM,N,O,P,Q,Rのそれぞれについて、3nm、4nm、8nm、15nm以上、2nm、2nmであった。
【0193】
<実施例1>
本実施例において、本発明の条件を満たすハロゲン化銀写真感光材料(試料9〜11、18〜27)と比較例のハロゲン化銀写真感光材料(試料1〜8、12〜17)を製造して、評価した。まず、これらのハロゲン化銀写真感光材料を製造するために用いた乳剤と非感光性ハロゲン化銀粒子の製法を説明した後に、ハロゲン化銀写真感光材料の製法とその評価について記載する。
【0194】
《乳剤Aの調製》
1液
水 750ml
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
【0195】
2液
水 300ml
硝酸銀 150g
【0196】
3液
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
3IrCl6(0.005%、KClの20%水溶液) 表1に示す量
(NH43[RhCl5(H2O)]
(0.001%、NaClの20%水溶液) 表1に示す量
【0197】
3液に用いるK3IrCl6(0.005%)、(NH43[RhCl5(H2O)](0.001%)は、粉末をそれぞれKClの20%水溶液、NaClの20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0198】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.21μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.23μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
【0199】
4液
水 100ml
硝酸銀 50g
【0200】
5液
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
4[Fe(CN)6]・3H2O(黄血塩) 表1に示す量
【0201】
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、下記に示すアニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.2±0.2の範囲であった)。次に上澄み液を約3L除去した(第一水洗)。さらに3Lの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3L除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返し(第三水洗)て水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン45gを加え、pH5.6、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム5水和物15mgと塩化金酸(添加量は表1に記載)を加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン100mgと防腐剤(ICI(株)製、プロキセル)100mgを加えた。
最終的に臭化銀を30mol%、沃化銀を0.08mol%含む平均粒子サイズ0.24μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た(最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.2〜1.25x103kg/m3、粘度=50mPa・sとなった)。
【0202】
【化41】
Figure 0003921372
【0203】
《乳剤Bの調製》
1液
水 750ml
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 1g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
【0204】
2液
水 300ml
硝酸銀 150g
【0205】
3液
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
3IrCl6(0.005%、KClの20%水溶液) 表1に示す量
(NH43[RhCl5(H2O)]
(0.001%、NaClの20%水溶液) 表1に示す量
【0206】
3液に用いるK3IrCl6(0.005%)、(NH43[RhCl5(H2O)](0.001%)は、粉末をそれぞれKClの20%水溶液、NaClの20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0207】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.17μmの核粒子を形成した。その後、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン500mgを加え、続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.185μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
【0208】
4液
水 100ml
硝酸銀 50g
【0209】
5液
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
4[Fe(CN)6]・3H2O(黄血塩) 表1に示す量
【0210】
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、アニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.2±0.2の範囲であった)。次に上澄み液を約3L除去した(第一水洗)。さらに3Lの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3L除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返し(第三水洗)て水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン45gを加え、pH5.6、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、トリフェニルホスフィンセレニド2mg、塩化金酸(添加量は表1に記載)を加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤(ICI(株)製、プロキセル)100mgを加えた。
最終的に臭化銀を30mol%、沃化銀を0.08mol%含む平均粒子サイズ0.19μm、変動係数10%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た(最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.2x103kg/m3、粘度=50mPa・sとなった)。
【0211】
《乳剤C〜Hの調製》
乳剤Bに対し、ハロゲン組成、粒子サイズ、ドープする重金属の種類、添加量、硫化金コロイドの種類、添加量を表1に示す通り変更する以外は乳剤Bと同様に調製した。なお、ハロゲン組成の調整は3液、および5液の塩化ナトリウム、臭化カリウムの添加量を、粒子サイズの調整は1液の塩化ナトリウムの添加量、調整温度を変更することにより行った。
【0212】
《非感光性ハロゲン化銀粒子の調製−▲1▼》
1液
水 1L
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 3.0g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 8mg
【0213】
2液
水 400ml
硝酸銀 100g
【0214】
Figure 0003921372
【0215】
70℃、pH4.5に保たれた1液と2液と3液を攪拌しながら同時に15分間にわたって加え、核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を15分間にわたって加えた。さらにヨウ化カリウム0.15gを加え粒子形成を終了した。
【0216】
その後常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、アニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.2±0.2の範囲であった)。次に上澄み液を約3L除去した(第一水洗)。さらに3Lの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3L除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返し(第三水洗)て水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン45gを加え、pH5.7、pAgを7.5に調整し、防腐剤として、フェノキシエタノールを加え、最終的に平均塩化銀を30mol%、沃化銀を0.08mol%含む、平均粒子サイズ0.45μm、変動係数10%の未後熟ヨウ塩臭化銀立方体乳粒子の分散物▲1▼を得た(最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.3〜1.35x103kg/m3、粘度=50mPa・sとなった)。
【0217】
<非感光性ハロゲン化銀粒子の調製−▲2▼>
1液
水 1L
ゼラチン 20g
臭化カリウム 0.9g
クエン酸 0.2g
NH4NO3 20g
過酸化水素 3.5g
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 15mg
【0218】
2液
水 400ml
硝酸銀 200g
【0219】
Figure 0003921372
【0220】
60℃に保たれた1液を攪拌しながらNaOH(1mol/L)を40ml添加し、さらに硝酸銀水溶液を0.7g添加した。その後、2液と3液のそれぞれ1/2ずつをコントロールダブルジェット法にて、銀電位を+24mVに保ったまま20分かけて添加し、2分間の物理熟成後、2液と3液の残りの1/2を同様のコントロールダブルジェット法で20分かけて添加し、粒子形成を行った。
【0221】
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、アニオン性沈降剤−1を3g加え、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.1±0.2の範囲であった)。次に上澄み液を約3L除去した(第一水洗)。さらに3Lの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度上澄み液を3L除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返し(第三水洗)て水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤にゼラチン45gを加え、pH5.7、pAgを7.5に調整し、防腐剤として、フェノキシエタノールを加え、最終的に平均塩化銀を30mol%、沃化銀を0.08mol%含む、平均粒子サイズ0.8μm、変動係数10%の未後熟臭化銀十四面体乳粒粒子の分散物▲2▼を得た(最終的に乳剤として、pH=5.7、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.3x103kg/m3、粘度=30mPa・sとなった)。
【0222】
《非感光性ハロゲン化銀粒子の調製−▲3▼》
下記X−1〜X−4水溶液中にKBr1molあたり、1x10-5molに相当する量の(NH43[RhCl5(H2O)](0.001%、NaClの20%水溶液)を添加して粒子形成を行った。
【0223】
(添加1)
KBrを0.6g、平均分子量15000のゼラチンを1.1g含む水溶液1300mlを35℃に保ち、攪拌した。
これに、Ag−1水溶液(100ml中にAgNO3を4.9g含有する)24mlと、X−1水溶液(100ml中にKBrを4.1g含有する)24mlおよびG−1水溶液(100ml中に平均分子量15000のゼラチンを1.8g含有する)24mlをトリプルジェット法で、一定の流量で30秒間にわたって添加した。
【0224】
その後、KBr1.3gを添加し、温度を75℃に昇温した。昇温後12分間の熟成工程を経た後、G−2水溶液(100ml中にアルカリ処理オセインゼラチンの水溶液を50℃、pH9.0の条件で無水トリメリット酸を加えて反応させた後、残留トリメリット酸を除去して得られたゼラチンを12.7g含有する)300mlを添加し、ついで、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ジスルホン酸ジナトリウム1水和物を2.1g、二酸化チオ尿素を0.002gを1分間ずつ間隔をあけて順次添加した。
【0225】
(添加2)
次に、Ag−2水溶液(100ml中にAgNO3を22.1g含有する)157mlと、X−2水溶液(100ml中にKBrを15.5g含有する)をダブルジェット法で14分間にわたり添加した。この時、Ag−2水溶液の添加は最終流量が初期流量の3.4倍になるように流量加速を行い、X−2水溶液の添加は反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを8.3に保つように行った。
【0226】
(添加3)
次いで、Ag−3水溶液(100ml中にAgNO3を32.0g含有する)329mlと、X−3水溶液(100ml中にKBrを21.5g、KIを1.6g含有する)をダブルジェット法で27分間にわたり添加した。この時、Ag−3水溶液の添加は最終流量が初期流量の1.6倍になるように流量加速を行い、X−3水溶液の添加は反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを8.3に保つように行った。
【0227】
(添加4)
さらに、Ag−4水溶液(100ml中にAgNO3を32.0g含有する)156mlと、X−4水溶液(100ml中にKBrを22.4g含有する)をダブルジェット法で17分間にわたり添加した。この時、Ag−4水溶液の添加は一定の流量で行い、X−3水溶液の添加は反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを8.3に保つように行った。
【0228】
その後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウムを0.0025g、G−3水溶液(100ml中にアルカリ処理オセインゼラチンを12.0含有する)125mlを、1分間ずつ間隔をあけて順次添加した。
【0229】
次いで、KBr43.7gを添加し、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.0にしてから、AgI微粒子(100g中に平均粒径0.047μmのAgI微粒子を13.0g含有する)73.9gを添加した。
【0230】
(添加5)
その2分後から、Ag−4水溶液249mlと、X−4水溶液をダブルジェット法で添加した。この時Ag−4水溶液は一定の流量で16分間にわたって添加し、X−4水溶液はpAgを9.10に保つように添加した。
【0231】
(添加6)
続いて10分間は、反応容器のバルク乳剤のpAgが7.5になるようにして添加を行った。
【0232】
その後、通常のフロキュレーション法により脱塩を行い、次いで、攪拌しながら水、NaOH、アルカリ処理オセインゼラチンを添加し、56℃でpH5.8、pAg8.9になるように調整した。
【0233】
得られた粒子は、円相当径1.0μm、粒子厚み0.10μm、AgI含有量の平均値が3.94mol%、平行な主平面が(111)面である平板状ハロゲン化銀粒子からなり、また全粒子の円相当径の変動係数は24%であった。
【0234】
《塗布液の作製》
本実施例で調製するハロゲン化銀写真感光材料は、下記に示す両面が塩化ビニリデンを含む防湿層下塗りからなるポリエチレンテレフタレートフィルム支持体の一面に、UL層/乳剤層/保護層下層/保護層上層を形成し、その反対面に導電層/バック層を形成した構造を有する。
以下に各層を形成するために用いた塗布液の組成を示す。
【0235】
UL層塗布液
ゼラチン 0.5g/m2
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
化合物(Cpd−7) 40mg/m2
化合物(Cpd−14) 10mg/m2
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 1.5mg/m2
【0236】
Figure 0003921372
このようにして調製した乳剤層塗布液を下記支持体上に表2に示す銀量、ゼラチン量になるように塗布した。
【0237】
保護層下層塗布液
ゼラチン 0.5g/m2
非感光性ハロゲン化銀粒子(表2の種類) 銀量として0.1g/m2
化合物(Cpd−12) 15mg/m2
1,5−ジヒドロキシ−2−ベンズアルドキシム 10mg/m2
ポリエチルアクリレートラテックス 150mg/m2
化合物(Cpd−13) 3mg/m2
化合物(Cpd−20) 5mg/m2
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 1.5mg/m2
【0238】
保護層上層塗布液
ゼラチン 0.3g/m2
平均3.5μmの不定形シリカマット剤 25mg/m2
化合物(Cpd−8)(ゼラチン分散物) 20mg/m2
粒径10〜20μmのコロイダルシリカ
(日産化学製、スノーテックスC) 30mg/m2
化合物(Cpd−9) 50mg/m2
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2
化合物(Cpd−10) 20mg/m2
化合物(Cpd−11) 20mg/m2
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 1mg/m2
なお、各層の塗布液には、下記増粘剤Zを加えて粘度調整した。
【0239】
【化42】
Figure 0003921372
【0240】
バック層塗布液
ゼラチン 3.3g/m2
化合物(Cpd−15) 40mg/m2
化合物(Cpd−16) 20mg/m2
化合物(Cpd−17) 90mg/m2
化合物(Cpd−18) 40mg/m2
化合物(Cpd−19) 26mg/m2
1,3−ジビニルスルホニル−2−プロパノール 60mg/m2
ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径6.5μm)30mg/m2
流動パラフィン 78mg/m2
化合物(Cpd−7) 120mg/m2
化合物(Cpd−20) 5mg/m2
コロイダルシリカ(粒径10μm) ゼラチンに対して15質量%
硝酸カルシウム 20mg/m2
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 12mg/m2
【0241】
Figure 0003921372
【0242】
【化43】
Figure 0003921372
【0243】
【化44】
Figure 0003921372
【0244】
【化45】
Figure 0003921372
【0245】
《支持体》
二軸延伸したポリエチレンテレフタレート支持体(厚み100m)の両面に下記組成の下塗層第1層塗布液および下塗層第2層塗布液を塗布した。
【0246】
下塗層1層塗布液
コア−シェル型塩化ビニリデン共重合体▲1▼ 15g
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 0.25g
ポリスチレン微粒子(平均粒径3μm) 0.05g
化合物(Cpd−21) 0.20g
コロイダルシリカ(日産化学(株)製、
スノーテックスZL、粒径70〜100μm) 0.12g
水 合計量が100gになる量
さらに、10質量%のKOHを加え、pH=6に調整した塗布液を乾燥温度180℃で2分間乾燥した後の乾燥膜厚が0.9μmになる様に塗布した。
【0247】
下塗層第2層塗布液
ゼラチン 1g
メチルセルロース 0.05g
化合物(Cpd−22) 0.02g
1225O(CH2CH2O)10H 0.03g
防腐剤(ICI(株)製、プロキセル) 3.5×10-3
酢酸 0.2g
水 合計量が100gになる量
この塗布液を乾燥温度170℃で2分間乾燥した後の乾燥膜厚が0.1μmになる様に塗布した。
【0248】
【化46】
Figure 0003921372
【0249】
《支持体上への塗布方法》
上記下塗層を施した支持体上に、まず乳剤面側として支持体に近い側よりUL層、乳剤層、保護層下層、保護層上層の順に4層を、35℃に保ちながらスライドビードコーター方式により硬膜剤液を加えつつ同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた後、乳剤面とは反対側に支持体に近い側より、導電層、バック層の順に、カーテンコーター方式により硬膜剤液を加えながら同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた。各々のセットゾーンを通過した時点では、塗布液は充分なセット性を示した。引き続き乾燥ゾーンにて両面を同時に下記乾燥条件にて乾燥した。なお、バック面側を塗布した後、巻き取りまではローラー、その他には一切無接触の状態で搬送した。この時の塗布速度は200m/mInであった。
【0250】
《乾燥条件》
セット後、水/ゼラチンの重量比が800%になるまで30℃の乾燥風で乾燥し、800%から200%になるまでを35℃相対湿度30%の乾燥風で乾燥させ、そのまま風を当て、表面温度34℃となった時点(乾燥終了と見なす)から30秒後に、48℃相対湿度2%の空気で1分間乾燥した。この時、乾燥時間は乾燥開始から水/ゼラチン比800%までが50秒、800%〜200%までが35秒、200%から乾燥終了までが5秒であった。
【0251】
このハロゲン化銀写真感光材料を25℃相対湿度55%で巻き取り、次いで同環境下で裁断し、6時間調湿したバリアー袋に、25℃相対湿度50%で8時間調湿した後、25℃相対湿度50%で2時間調湿してある厚紙と共に密閉し、表2に示す試料1〜26を作製した。
バリアー袋内の湿度を測定したところ45%であった。また、得られた試料の乳剤層側の膜面pHは5.5〜5.8、バック側の膜面pHは6.0〜6.5であった。なお、乳剤層側およびバック層側の吸収スペクトルは図1に示す通りであった。
【0252】
≪露光および現像≫
得られた各試料を667nmにピークを有する干渉フィルターおよびステップウェッジを介して、発光時間10-6秒のキセノンフラッシュ光で露光した。
そして現像液(富士写真フイルム(株)製、ND−1)と定着液(富士写真フイルム(株)製、NF−1)を使用し、自動現像機(富士写真フイルム(株)製、FG−680AG)を用い、35℃30秒の現像条件で処理した。
【0253】
《評価》
各試料について、感度、階調(ガンマー)、実技濃度、保存安定性を以下の方法で測定した。
(感度)
感度は、カブリ+1.5の濃度を与える露光量の逆数で表し、試料No.1の値を100とする相対感度として示した。値が大きい方が高感度であることを意味する。
【0254】
(ガンマー)
光学濃度(y軸)と常用対数露光量(x軸)で表される単位長の等しい直交座標軸上に示される特性曲線を作製し、光学濃度0.3と3.0との2点を結ぶ直線を引いてその勾配をガンマーとした。
【0255】
(実技濃度)
イメージセッター(富士写真フイルム(株)製、RC5600V)を使用して175線/インチで光量を変えながらテストステップを出力し、前記の処理条件で現像処理を行い、中間網点が50%になるLV値で露光した際のDmax部を測定し、実技濃度とした。なお、網%および実技濃度は濃度計(Macbeth TD904)を用いて測定した。
【0256】
(ハロゲン化銀写真感光材料の保存安定性)
表2に示す通り作製された各試料を、保存性の強制テストとして50℃相対湿度50%の条件下で5日保管した後、センシトメトリーの評価を行い、感度S1.5(サーモ)を求めた。強制テストを施していない試料の感度(S1.5(Fr))との感度変動(ΔS1.5)を下式に基づいて計算しパーセンテージで示した。
【0257】
【数1】
Figure 0003921372
感度変動(ΔS1.5)の値は、感度が上昇した場合は正の値を、逆に感度が低下した場合は負の値となる。数値は小さい方が望ましく、絶対値として25%以内であることが実用上必要であり、10%以内であることがより好ましい。
【0258】
これらの評価結果を表2にまとめて示す。表2より、本発明の条件を満たす試料は、感度、実技濃度が高く、また保存性に優れていることがわかる。
【0259】
【表1】
Figure 0003921372
【0260】
【表2】
Figure 0003921372
【0261】
<実施例2>
実施例1における乳剤Aの化学増感に使用されているチオ硫酸ナトリウムの代りに四置換チオ尿素化合物であるカルボキシメチルトリメチルチオ尿素化合物、または、ジカルボキシメチルジメチルチオ尿素化合物をチオ硫酸ナトリウムと等モル添加した以外は同様に試料を作製したところ、実施例1と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0262】
<実施例3>
実施例1と同様の実験を下記の現像液(A)および定着剤(B)を用いて行ったところ、実施例1と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0263】
Figure 0003921372
使用にあたっては、母液は上記濃縮液2部に対して水1部の割合で希釈し、母液のpHは10.65であった。補充液は上記濃縮液4部に対して水3部の割合で希釈し補充液のpHは10.62であった。
【0264】
定着液(B) [濃縮液1Lあたりの処方]
チオ硫酸アンモニウム 360g
エチレンジアミン・四酢酸・2Na・2水塩 0.09g
チオ硫酸ナトリウム・5水塩 33.0g
メタ亜硫酸ナトリウム 57.0g
水酸化ナトリウム 37.2g
酢酸(100%) 90.0g
酒石酸 8.7g
グルコン酸ナトリウム 5.1g
硫酸アルミニウム 25.2g
pH 4.85
使用にあたっては、上記濃縮液1部に対して水2部の割合で希釈した。使用液のpHは4.8であった。
【0265】
<実施例4>
実施例1と同様の実験を下記の固形現像液(C)および固形定着剤(D)を用いて行ったところ、実施例1と同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0266】
固形現像剤(C)
水酸化ナトリウム(ビーズ)99.5% 11.5g
亜硫酸カリウム(原末) 63.0g
亜硫酸ナトリウム(原末) 46.0g
炭酸カリウム 62.0g
ハイドロキノン(ブリケット) 40.0g
以下まとめてブリケット化した。
Figure 0003921372
【0267】
ここで、原料形態で原末は一般的な工業製品のままで使用し、アルカリ金属塩のビーズは市販品を用いた。
原料形態がブリケットであるものは、ブリケッティングマシンを用いて加圧圧縮して板状にしたものを破砕して用いた。少量成分に関しては、各成分をブレンドしてからブリケットにした。
以上の処理剤は、10L分を高密度ポリエチレン製の折り畳み可能な容器に充填し、取り出し口をアルミシールで封印した。溶解および補充には特開平9−80718号公報、特開平9−138495号公報に開示されている自動開封機構を有する溶解補充装置を使用した。
【0268】
固形定着剤(D)
A剤(固形)
チオ硫酸アンモニウム(コンパクト) 125.0g
無水チオ硫酸ナトリウム(原末) 19.0g
メタ重亜硫酸ナトリウム(原末) 18.0g
無水酢酸ナトリウム(原末) 42.0g
B剤(液体)
エチレンジアミン・四酢酸・2Na・2水塩 0.03g
酒石酸 2.9g
グルコン酸ナトリウム 1.7g
硫酸アルミニウム 8.4g
硫酸 2.1g
水に溶かして50mlとした。
A剤、B剤を水に溶かして1Lに調液したものを定着液(D)とした。
pHは4.8であった。
【0269】
チオ硫酸アンモニウム(コンパクト)はスプレードライ法により作製したフレーク品をローラーコンパクターで加圧圧縮し、不定形の4〜6mm程度のチップに破砕したものを用い、無水チオ硫酸ナトリウムとブレンドした。その他の原末は一般的な工業製品を使用した。
A剤、B剤とも10L分を高密度ポリエチレン製の折り畳み可能な容器に充填し、A剤の取り出し口はアルミシールで封印した。B剤容器の口部は、スクリューキャップで封をした。溶解および補充には特開平9−80718号公報、特開平9−138495号公報に開示されている、自動開封機構を有する溶解補充装置を使用した。
【0270】
<実施例5>
実施例1の現像液(A)の代わりに、下記現像液(E)を用いて実施例1と同様の実験を行ったところ、実施例1と同様に本発明の構成のハロゲン化銀写真感光材料が良好な性能を示した。
【0271】
Figure 0003921372
使用にあたっては、上記濃縮液1部に対して水2部の割合で希釈した。使用液のpHは10.5であった。
【0272】
<実施例6>
実施例1の現像液ND−1で、1日あたり20%黒化の富士写真フイルム(株)製スキャナフィルムHLを大全サイズ(50.8cm61cm)あたり使用液を50ml補充しながら大全サイズを20枚処理し、これを1週間に6日稼動でランニングを15週間連続して行った。このようにして小量のフィルムを処理することによって亜硫酸濃度が3分の1に減少した現像液が得られた。
実施例1の現像液ND−1で、1日あたり80%黒化の富士写真フイルム(株)製スキャナフィルムHLを、大全サイズ(50.8cm61cm)あたり使用液を50ml補充しながら大全サイズを300枚処理し、これを4日間連続して行った。このようにして大量のフィルムを処理することによってpHが10.2に低下し臭素イオン濃度が増加した現像液が得られた。
【0273】
上記のような疲労現像液、あるいは疲労途中段階の現像液を用いて実施例1と同様の実験を行ったところ、実施例1と同様に本発明の構成のハロゲン化銀写真感光材料が良好な性能を示した。
【0274】
<実施例7>
実施例1〜6において現像温度38℃、定着温度37℃、現像時間20秒に設定して処理を行ったところ、実施例1〜6と同様の結果となり、本発明の効果は失われることはなかった。
【0275】
<実施例8>
実施例1〜7において自現機として富士写真フイルム(株)製FG−680ASを用い、ハロゲン化銀写真感光材料の搬送速度を線速1500mm/分に設定して同様の処理をしても、同様に本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0276】
<実施例9>
富士写真フイルム(株)製のラックスセッターRC−5600Vを使用するかわりに、大日本スクリーン(株)製のイメージセッターFT−R5055、アグファゲバルト(株)製のセレクトセット5000、アバントラ25、もしくはアキュセット1000、サイテックス(株)製のドレブ450、もしくはドレブ800、ハイデル(株)製のライノ630、クエーサー、ハーキュレスエリート、もしくはシグナセッター、富士写真フイルム(株)製のラックスセッターラクセルF−9000、F−6000またはプレプレス(株)製のパンサープロ62のいずれか1機種を用いて同様の評価を行ったところ、本発明の構成の試料が良好な性能を示した。
【0277】
【発明の効果】
本発明によれば、高感度で保存安定性が高く、硬調なハロゲン化銀写真感光材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施態様に係るハロゲン化銀写真感光材料について、乳剤層側およびバック層側の吸収スペクトルを示したものである。
【符号の説明】
縦軸は吸光度(0.1間隔)を示し、横軸は350nm〜900nmまでの波長を示す。実線は乳剤層側の吸収スペクトルを示し、破線はバック層側の吸収スペクトルを示す。

Claims (4)

  1. 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、硫化金粒子の金原子とS原子との原子数比(Au原子数/S原子数)が2/1.1〜2/2である硫化金コロイドを少なくとも1種含有し、対数露光量(x軸)と光学濃度(y軸)の単位長の等しい直交座標軸上に示される特性曲線において、光学濃度0.3〜3.0におけるガンマーが5.0以上である特性曲線を有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  2. 前記硫化金粒子の平均粒子サイズが、球相当径で5nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  3. ハロゲン化銀写真感光材料がヒドラジン化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  4. ハロゲン化銀写真感光材料の乳剤層側の膜面pHが6.0以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
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