JP2004029297A - 負帯電用電子写真感光体を用いた電子写真装置 - Google Patents

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小澤 智仁
Shigenori Ueda
植田 重教
Makoto Aoki
青木 誠
Hitoshi Murayama
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Abstract

【課題】残留電位、光メモリ及び画像流れが改良された、良好な画像品質が得られる負帯電用電子写真感光体を用いた電子写真装置を提供する。
【解決手段】電子写真装置において、負帯電用電子写真感光体の上部阻止層の層厚d(μm)及び暗導電率σ(S/cm)と、該感光体上に像露光が照射され、その照射部分が現像器の中心まで移動するのにかかる時間t(sec)の関係を、0.01≦d≦2.0かつ1.4×10−15≦σ×t/d≦1.4×10−11とする。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、電子写真装置に関し、さらに詳述すればこの電子写真装置に用いる導電性支持体の表面上に少なくとも光導電層、上部阻止層を順次積層させた負帯電用電子写真感光体と、帯電工程と像露光工程と現像工程とを少なくとも有する負帯電用電子写真において残留電位の低減、光メモリ防止及び画像流れの低減が可能な電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真分野において、電子写真感光体における光受容層を形成する光導電材料としては、高感度で、SN比[光電流(Ip)/暗電流(Id)]が高く、照射する光のスペクトル特性に適合した吸収スペクトルを有すること、光応答性が早く、所望の暗抵抗値を有すること、使用時において人体に対して無害であること等の特性が要求される。特に、事務機としてオフィスで使用される電子写真装置内に組み込まれる電子写真感光体の場合には、上記の使用時における無公害性は重要な点である。
【0003】
上記の点に優れた性質を示す光導電材料にアモルファスシリコン(以下「a−Si」と表記する)があり、電子写真感光体の光受容部材として注目されている。
【0004】
このような光受容部材は、一般的には、導電性支持体を50〜350℃に加熱し、この支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法により、a−Siからなる光導電層を形成する。なかでもプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適なものとして実用に付されている。
【0005】
例えば、特開昭57−115556号公報には、a−Si堆積膜で構成された光導電層を有する光導電部材の、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気的、光学的、光導電的特性及び耐湿性等の使用環境特性、さらには経時安定性について改善を図るため、シリコン原子を母体としたアモルファス材料で構成された光導電層上に、シリコン原子及び炭素原子を含む非光導電性のアモルファス材料で構成された表面障壁層を設ける技術が記載されている。更に、特開昭60−67951号公報には、a−Si、炭素、酸素及び弗素を含有してなる透光絶縁性オーバーコート層を積層する感光体についての技術が記載され、特開昭62−168161号公報には、表面層として、シリコン原子と炭素原子と41〜70原子%の水素原子を構成要素として含む非晶質材料を用いる技術が記載されている。
【0006】
そして、特開平6−242623号公報には負帯電用電子写真用感光体の光導電層と表面層の間に非晶質珪素を主体とし、かつ50ppm未満のホウ素を含有するか、または伝導性を支配する元素を含まないエレクトロン捕獲層を設けて優れた電子写真特性が得られる技術が開示されており、特開平6−273954号公報には負帯電用a−Si感光体において0.15〜10μmで不純物元素として窒素を含む下部阻止層を、導電性支持体と光導電層の間に設けることで長寿命、高信頼性の電子写真感光体を得る技術が開示されている。
【0007】
a−Si系感光体を用いた電子写真装置は、これまでに多数報告されている。図2は、a−Si系感光体を用いた電子写真装置の一従来例における要部を示す概略構成図である。
【0008】
この電子写真装置では、a−Si系感光体2001を一様に帯電させる帯電器2002、静電潜像を形成するために画像情報に応じた像露光2003を発する画像情報付与手段(不図示)、前記静電潜像を現像して顕像化するための現像器2004、前記顕像を転写材に転移させるための転写帯電器2005、前記転写材をa−Si系感光体2001から分離させるための分離帯電器2006、クリーニング装置2007および除電光2008を発する除電光源(不図示)が、a−Si系感光体2001の表面に近接して図示X方向(ドラムの周回方向)に所定の間隔をもって順に設けられている。
【0009】
特に、除電光2008は、光メモリ(残像現象)消去,帯電能確保および電位シフト低減の点から、除電光の波長および光量を厳密にコントロールできるLEDアレイを用い、帯電器2002とクリーニング装置2007との間に一般的に設けられている。
【0010】
負帯電用電子写真感光体上に静電潜像を形成する具体的なプロセスについて説明する。帯電器により感光体表面に帯電した負の電荷は上部阻止層がp型半導体であるために、上部阻止層を通過できず表面に存在する。次に、像露光により静電潜像を形成する個所に光を照射し、この光が光導電層で吸収されて光キャリアを発生する。帯電により感光体に支持体と表面の間には電位差が生じるため、光により生成したキャリアのうち、正のキャリアは表面側へ負のキャリアは支持体側へ移動する。正のキャリアは上部阻止層を通過し、この層の表面側に存在する帯電電荷と結合し、消滅する。このようなプロセスを経て静電潜像が感光体表面に形成される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した電子写真装置では、光メモリを低減することは可能となるが、除電光源から発する除電光2008の波長を長くすることでa−Si系感光体2001の深さ方向(層厚方向)の深い位置で光キャリアが発生する確率を増加させ、また、除電光2008の光量を大きくし過ぎることでa−Si系感光体2001中で光キャリアが過剰に発生することから、光キャリアの残存率が増加する。その結果、a−Si系感光体2001内部に潜在する過多となった光キャリアと帯電電荷が結合する前に、帯電工程に突入し、帯電能を著しく低下させるという問題がある。すなわち、帯電工程が帯電電荷と光キャリアの結合過程から表面電位の低下過程というステップを踏むため、帯電工程直前のa−Si系感光体2001内の光キャリア量が、その後の表面電位の高低(すなわち、帯電能)に大きく影響する場合がある。
【0012】
また、a−Si系感光体2001は多くのダングリングボンド(未結合手)を有しており、これが局在準位となって光キャリアの一部を捕捉してその走行性を低下させる、あるいは、帯電電荷と光生成キャリアの結合確率を低下させる。したがって、画像形成プロセスにおいて、像露光2003によって生成された光キャリアの一部は、像露光照射がなされた工程中に局在準位にトラップされ、次工程の帯電時にa−Si系感光体2001に電界がかかると局在準位から開放され表面電荷と結合するため、露光部と非露光部とでa−Si系感光体2001の表面電位に差が生じ、これが最終的に光メモリに起因する画像ムラとなって現れるという問題もある。
【0013】
また、静電潜像形成に重要な役割を果たす上部阻止層の層厚を厚くしすぎると、正のキャリアが上部阻止層を通過しづらくなるため上部阻止層に起因した残留電位が発生し、薄くしすぎると感光体表面に帯電した負の電荷を阻止できなくなり帯電能の低下を引き起こす場合がある。また、上部阻止層の層厚を適正な厚さに制御しても、暗導電率が高すぎると正のキャリアが通過しづらくなるため上部阻止層に起因する残留電位が発生し、低すぎると感光体表面に帯電した負の電荷を阻止できなくなり帯電能の低下を引き起こす場合がある。
【0014】
更に、静電潜像は、負帯電用電子写真感光体表面に負の電荷を帯電させた後、像露光を照射することによって、光により生じるキャリアが感光体表面の電荷と結合することで形成されるが、この静電潜像形成までにかかる時間が像露光照射部が現像器にまで到着する時間よりも速い場合、静電潜像部の界面がぼやけてしまうために、静電現像を現像する際に画像流れが生じる。また、像露光照射部が現像器にまで到着する時間よりも遅い場合、像露光により生成したキャリアが静電潜像を形成する前に像露光照射部が現像器に到着するため、残留電位が生じる場合がある。更に、残存したキャリアの中で局在準位にトラップされたキャリアが次工程の帯電時に帯電電荷と結合するため、露光部と非露光部とで表面電位に差が生じ、光メモリが生じる場合もある。以上、光メモリ及び画像流れを低減させるためには、静電潜像が形成されてから現像されるまでの時間が重要である。そのためには、ドラム径、ドラムの回転数及び像露光、現像器の配置を上部阻止層の特性に応じて適正な関係に調整する必要がある。
【0015】
以上述べたように、画像形成プロセスの条件及びユニットを変えることでも光メモリを低減させることは可能であるが、それに伴い欠点を有する場合もある。しかし、感光体上に静電潜像を形成する際に、帯電電荷と像露光により生成した光キャリアを概ね結合させることで残留電位及び光メモリが低減でき、更に形成された静電潜像が現像されるまで維持することで画像流れが低減できる。そのためには、感光体の特性、プロセス条件及び各ユニットの配置を適正に組み合わせる必要があり、それによって、従来の電子写真装置以上の画質を得ることが可能となる。
【0016】
従って、本発明の課題は、残留電位、光メモリ及び画像流れが改良された、良好な画像品質が得られる負帯電用電子写真感光体を用いた電子写真装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、電子写真装置に搭載される負帯電用電子写真感光体の上部阻止層の層厚d(μm)及び暗導電率σ(S/cm)と、負帯電用電子写真感光体上に像露光が照射され、その照射部分が現像器の中心まで移動するのにかかる時間t(sec)から求めたσ×t/dの値を、層厚dとともに適正な範囲に調整することにより、達成される。
【0018】
上部阻止層は、感光体内に帯電電荷の注入を阻止し、かつ正のキャリアが適度に移動しやすいという特性が必要である。帯電電荷の注入を阻止するためには上部阻止層をp型化すること、つまり上部阻止層の正のキャリアに対する導電率をあげることが重要であり、また、正のキャリアの移動距離をある程度短くするつまり上部阻止層の層厚をある程度薄くすることが重要である。
【0019】
上部阻止層の層厚が薄く、しかも正のキャリアに対する導電率が高い負帯電用電子写真感光体を、像露光照射部が現像器に到達するのに必要な時間が長い電子写真装置に搭載した場合、像露光により生成した正のキャリアが上部阻止層を通過して感光体表面上に静電潜像を形成するが、現像器に到達するまでの時間が長いために周囲の帯電電荷の影響をうけて静電潜像が崩れてしまう。逆に、上部阻止層の層が厚く、しかも正のキャリアに対する導電率が低い負帯電用電子写真感光体を像露光照射部が現像器に到達するのに必要な時間が短い電子写真装置に搭載した場合、像露光により生成した正のキャリアが上部阻止層を通過して静電潜像を形成する前に現像器まできてしまうため、残留電位が生じる。
【0020】
以上のことより、像露光照射部が現像器まで到達するまでの時間及び上部阻止層の層厚、導電率の関係を適正な範囲に調整することで、従来の電子写真装置よりも残留電位、光メモリ及び画像流れを抑えることができ、従来よりも良好な画像を形成することが可能となる。
【0021】
そこで、本発明のa−Si系負帯電用電子写真感光体を用いた電子写真装置は、導電性支持体表面上に少なくとも光導電層、上部阻止層を順次積層させたa−Si系負帯電用電子写真感光体に画像情報に応じて像露光を照射して静電潜像を形成したのち、該静電潜像を現像して前記画像情報を記録するa−Si系負帯電用電子写真感光体において、該負帯電用電子写真感光体の該上部阻止層の層厚d(μm)が0.01〜2.0μmの範囲であり、且つ該負帯電用電子写真感光体上に像露光が照射され、その照射部分が現像器の中心まで移動するためにかかる時間t(sec)、該上部阻止層の暗導電率をσ(S/cm)とし、これらから求めたσ×t/dの値を1.4×10−15〜1.4×10−11の範囲にすることで、従来の電子写真装置よりも残留電位、光メモリ及び画像流れを抑えることができ、従来よりも良好な画像を形成することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って、本発明に用いる負帯電用電子写真感光体及び本発明の電子写真装置の好適な実施形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明において用いる負帯電用電子写真感光体の層構成の例を説明するための模式的構成図である。
【0024】
図1(a)に示す負帯電用電子写真感光体1000は、支持体1001の上に、光受容層1002が設けられている。この光受容層1002はシリコン原子を母材とし光導電性を有する光導電層1003と、シリコン原子と炭素原子を母材とする上部阻止層1004から構成されている。
【0025】
図1(b)は、本発明における負帯電用電子写真感光体の他の層構成を説明するための模式的構成図であり、支持体1001の上に光導電層1003、上部阻止層1004及びシリコン原子と炭素原子又は炭素原子を母材とする表面層1005から構成される光受容層1002が設けられている。
【0026】
図1(c)は、本発明における負帯電用電子写真感光体の他の層構成を説明するための模式的構成図であり、支持体1001の上に、シリコン原子を母材とする下部阻止層1006、光導電層1003、上部阻止層1004及び表面層1005から構成されている光受容層1002が設けられている。
【0027】
更に、図1(d)は、本発明における負帯電用電子写真感光体の他の層構成を説明するための模式的構成図であり、支持体1001の上に、下部阻止層1006、光導電層1003、上部阻止層1004、シリコン原子と炭素原子を母材とする表面層1005及び炭素原子を母材とする第二表面層1007から構成されている光受容層1002が設けられている。
【0028】
<支持体>
本発明において使用される導電性支持体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、電気絶縁性材料であるポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等を用い、これらの電気絶縁性支持体の少なくとも光受容層を形成する側の表面を導電処理することによっても導電性支持体として用いることができる。
【0029】
本発明において使用される支持体1001の形状は、平滑表面あるいは微少な凹凸表面を有する円筒状または無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの負帯電用電子写真感光体1000を形成し得るように適宜決定する。負帯電用電子写真感光体1000としての可撓性が要求される場合には、支持体1001としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体1001は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から10μm以上が好ましい。
【0030】
<光導電層>
本発明において、その目的を効果的に達成するために支持体1001上に形成され、光受容層1002の一部を構成する光導電層1003は真空堆積膜形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件を設定して作製することができる。具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作製される電子写真感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、所望の特性を有する電子写真感光体を製造するに当たっての条件の制御が比較的容易であることからグロー放電法、特にVHF帯及びRF帯の電源周波数を用いた高周波グロー放電法が好適である。
【0031】
本発明において光導電層1003中に水素原子(H)及び/又はハロゲン原子(X)が含有されることが、シリコン原子(Si)の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性及び電荷保持特性を向上することが可能となるから、好ましい。これら特性向上の観点から、この水素原子とハロゲン原子の量の和が、シリコン原子と水素原子とハロゲン原子の量の和に対して10〜40原子%であることが望ましい。
【0032】
グロー放電法によって、水素原子および/またはハロゲン原子を含むシリコンを母材とする非晶質材料(以下場合により「a−Si:H,X」と称す。)よりなる光導電層1003を形成するには、基本的にはシリコン原子を供給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子を供給し得るH供給用の原料ガス及び/又はハロゲン原子を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部が減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置されてある所定の支持体1001上にa−Si:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0033】
本発明において使用されるSi供給用ガスとなり得る物質としては、SiH、Si、Si、Si10等のガス状態、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作製時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH、Siが好ましいものとして挙げられる。
【0034】
そして、形成される光導電層1003中に水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御がいっそう容易になるように、これらのガスに更にH及び/又はHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガスを所望量混合して層形成することも好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0035】
また本発明において使用されるハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F)、BrF、ClF、ClF、BrF、BrF、IF、IF等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF、Si等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0036】
本発明においては、光導電層1003に導電性を制御する原子を導入する事ができる。前記導電性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表第13族に属する原子(以後「第13族原子」と略記する)、n型伝導特性を与える周期律表第15族に属する原子(以後「第15族原子」と略記する)を用いることができる。光導電層1003において第13族原子及び第15族原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されても良いし、光導電層の層厚方向に変化するような不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0037】
さらに本発明においては、光導電層1003に炭素原子及び/又は酸素原子及び/又は窒素原子を含有させることも有効である。炭素原子及び/又は酸素原子及び/又は窒素原子の含有量はシリコン原子、炭素原子、酸素原子及び窒素原子の和に対して好ましくは1×10‐〜10原子%、より好ましくは1×10−4〜8原子%、最適には1×10−3〜5原子%が望ましい。光導電層1003において炭素原子及び/又は酸素原子及び/又は窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されても良いし、光導電層の層厚方向に不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0038】
本発明において、光導電層1003の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは10〜50μm、より好ましくは15〜45μm、最適には20〜40μmとされるのが望ましい。層厚が10μmより薄くなると、帯電能や感度等の電子写真特性が実用上不充分となる傾向があるという点で不利であり、50μmより厚くなると、光導電層の作製時間が長くなって製造コストが高くなる傾向があるという点で不利である。
【0039】
所望の膜特性を有する光導電層1003を形成するには、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体温度を適宜設定すればよい。
【0040】
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択され、好ましくは1×10−2〜1×10Pa、より好ましくは5×10−2〜5×10Pa、最適には1×10−1〜1×10Paとすることが望ましい。
【0041】
放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲を選択することが望ましい。
【0042】
さらに、支持体1001の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択され、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃とされる。
【0043】
本発明においては、光導電層を形成するための支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する電子写真感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0044】
<上部阻止層>
本発明においては、上述のようにして支持体1001上に形成された光導電層1003の表面側に上部阻止層1004を形成する。この上部阻止層1004は帯電電荷を阻止する阻止能力を向上させ、かつ露光によって生じた光生成キャリアが光導電層から感光体表面側へ移動する過程において、上部阻止層でのキャリアの走行性を高めることから、負帯電電子写真感光体特性において本発明の目的を達成するために設けられる。
【0045】
本発明において用いる上部阻止層1004の材質としてはシリコン原子と炭素原子を母材とする非晶質材料(以下場合により「a−SiC」と表記する)を主成分としたものであることが好ましい。そして、上部阻止層1004はシリコン原子と炭素原子の和に対する炭素原子の含有量の比(C/(Si+C))は、0.05〜0.60の範囲が好ましい。シリコン原子と炭素原子の和に対する炭素原子の含有量の比が0.05より低い場合には、上部阻止層の膜質が光導電層に近づくため上部阻止層中で光を吸収し、光キャリアを生成してしまうため感度の低下及び帯電能の低下を引き起こす場合がある。また、光の照射により経時的に特性低下を生じる恐れもある。逆に、0.6より高い場合には、光生成キャリアに対する抵抗が高くなるため上部阻止層1004に起因する残留電位が生じる恐れがある。
【0046】
上部阻止層1004における炭素原子の分布は、上部阻止層内に万遍なく均一に含有されても良いし、層厚方向に増加する領域をもつような分布であっても良い。
【0047】
上部阻止層1004には導電性を制御する原子を含有させることができる。特に本発明においては、上部阻止層1004に、第13族原子を含有させることが好ましいが、シリコン原子と炭素原子の和に対する第13族原子の含有量は、本発明の負帯電電子写真感光体における層構成の中で上部阻止層1004が最大の含有量であり、その際、第13族原子の分布は、上部阻止層1004の層厚方向において一定でも良いし、層厚方向に変化していても良い。
【0048】
上部阻止層1004における第13族原子の含有量は、電荷注入の阻止能力や画像品質から総合的に判断して決定すればよい。シリコン原子と炭素原子の和に対する導電性を制御する第13族原子の含有量としては、100〜30000原子ppm、好ましくは200〜20000原子ppm、より好ましくは300〜10000原子ppmである。第13族原子の含有量が100原子ppmより少ない場合には、表面からの電荷注入を阻止する能力を向上させるには至らない。また、30000原子ppmより多い場合には、電荷注入を阻止する能力は向上するが上部阻止層1004の正のキャリアに対する抵抗が下がるために、画像流れを起こしやすくなる。
【0049】
第13族原子は、p型伝導特性を与える不純物である。具体的には、第13族原子としては、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等がある。特にB、Al、Gaが好適である。
【0050】
第13族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第13族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、上部阻止層1004を形成するための他のガスとともに導入してやればよい。第13族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが望ましい。そのような第13族原子導入用の原料物質としては、具体的には、硼素原子導入用として、B、B10、B、B11、B10、B12、B14等の水素化硼素、BF、BCl、BBr等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl、GaCl、Ga(CH、InCl、TlCl等も用いることができる。
【0051】
また、第13族原子導入用の原料物質を、必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0052】
また、本発明において上部阻止層1004中に水素原子及び/又はハロゲン原子が含有されることが好ましい。これはシリコン原子などの構成原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性の向上が可能であるからである。水素含有量は、構成原子の総量に対して好ましくは30〜70原子%、より好ましくは35〜65原子%、最適には40〜60原子%である。また、ハロゲン原子の含有量として、好ましくは0.01〜15原子%、より好ましくは0.1〜10原子%、最適には0.5〜5原子%である。この上部阻止層1004中の水素含有量は、原料ガスの流量(流量比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0053】
本発明の目的を効果的に達成するために、上部阻止層1004は真空堆積膜形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件を設定して作製することができる。具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作製される電子写真用電子写真感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、電子写真感光体の生産性から光導電層と同等の堆積法によることが好ましい。
【0054】
上部阻止層の形成において使用されるシリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、SiH、Si、Si、Si10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられる。特に、層作製時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点で、SiH、Siが好ましい。また、これらのSi供給用の原料ガスを、必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0055】
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH、C、C、C、C10等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられる。特に、層作製時の取り扱い易さ、供給効率の良さ等の点で、CH、C、Cが好ましい。また、これらのC供給用の原料ガスを、必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0056】
また、形成される上部阻止層1004中に導入される水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるように図るために、これらのガスに更に水素ガスまたは水素原子を含む珪素化合物のガスを所望量混合して層形成することも好ましい。各ガスは単独種のみでなく、所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0057】
ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なものとして、例えばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が、好ましいものとして挙げられる。さらには、シリコン原子とハロゲン原子とを混要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げられる。
【0058】
好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には、弗素ガス(F)、BrF、ClF、ClF、BrF、BrF、IF、IF等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、例えばSiF、Si等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0059】
上部阻止層1004を形成するには、支持体1001の温度、反応容器内のガス圧、放電パワーを所望にしたがって、適宜設定すれば良い。
【0060】
支持体1001の上部阻止層形成時の温度(Ts)は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃とするのが望ましい。
【0061】
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは1×10−2〜2×10Pa、より好ましくは5×10−2〜5×10Pa、最適には1×10−1〜2×10Paとする。
【0062】
本発明において、上部阻止層1004を形成するための支持体温度、ガス圧、放電パワーの望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、それら条件は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する電子写真感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0063】
<表面層>
本発明においては、支持体1001上に形成された光導電層1003と上部阻止層1004の上に、シリコン原子と炭素原子を含有する非晶質材料(以下「a−SiC」と表記する)及び/又は炭素原子からなる非晶質材料(以下「a−C」と表記する)で一層もしくは二層により構成される表面層1005を必要に応じて設けた方がいっそう効果的である。この表面層1005は、主に連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設けられる。
【0064】
本発明において用いる表面層1005の材質としては、a−SiCを主成分として構成する場合のシリコン原子と炭素原子の和に対する炭素原子の含有量の比は、0.5以上が好ましい。
【0065】
本発明において表面層を形成するには、前述の光導電層及び上部阻止層を形成する方法と同様の真空堆積法が採用されることが好ましい。
【0066】
また、本発明において表面層1005中に水素原子及び/又はハロゲン原子が含有されることが好ましい。これはシリコン原子などの構成原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性の向上が可能であるからである。水素含有量は、構成原子の総量に対して好ましくは30〜70原子%、より好ましくは35〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。また、弗素原子の含有量として、好ましくは0.01〜15原子%、より好ましくは0.1〜10原子%、最適には0.5〜5原子%とされるのが望ましい。表面層1005中の弗素含有量は、水素含有量と同様に原料ガスの流量(流量比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0067】
表面層の形成において使用されるシリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、SiH、Si、Si、Si10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられる。特に、層作製時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点で、SiH、Siが好ましい。また、これらのSi供給用の原料ガスを、必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0068】
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH、C、C、C、C10等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられる。特に、層作製時の取り扱い易さ、供給効率の良さ等の点で、CH、C、Cが好ましい。また、これらのC供給用の原料ガスを、必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0069】
また、形成される表面層1005中に導入される水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるように、これらのガスに更に水素ガスまたは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成することが好ましい。各ガスは単独種のみでなく、所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0070】
ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なものとして、例えばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が、好ましいものとして挙げられる。さらには、シリコン原子とハロゲン原子とを混要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げられる。
【0071】
好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には、弗素ガス(F)、BrF、ClF、ClF、BrF、BrF、IF、IF等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、例えばSiF、Si等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0072】
表面層1005中に含有される水素原子及び/又はハロゲン原子の量を制御するには、例えば、支持体1001の温度、水素原子及び/又はハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0073】
本発明においては、表面層1005に伝導性を制御する原子を導入することができ、さらに分布させても良い。前記伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える第13族原子を用いることができる。
【0074】
第13族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。表面層1005に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましくは1×10−2〜1×10原子ppm、より好ましくは5×10−2〜8×10原子ppm、最適には1×10−1〜6×10原子ppmとされるのが望ましい。
【0075】
表面層1005の層厚は、好ましくは0.01〜3μm、より好ましくは0.05〜2μm、最適には0.1〜1μmである。層厚が0.01μmよりも薄いと、電子写真感光体を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまうという問題が生じ易く、3μmを超えると、残留電位の増加等、電子写真特性の低下がみられる場合がある。
【0076】
また、図1(d)のように表面層1005と第二表面層1007が積層している場合には、表面層1005と第二表面層1007の層厚の和が、好ましくは0.01〜3μm、より好ましくは0.05〜2μm、最適には0.1〜1μmであればよい。
【0077】
本発明の目的を達成し得る特性を有する表面層1005を形成するには、支持体1001の温度、反応容器内のガス圧、放電パワーを所望にしたがって、適宜設定すればよい。
【0078】
支持体1001の表面層形成時の温度(Ts)は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃とするのが望ましい。
【0079】
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは1×10−2〜1×10Pa、好ましくは5×10−2〜5×10Pa、最適には1×10−1〜1×10Paとするのが好ましい。
【0080】
本発明において、表面層1005を形成するための支持体温度、ガス圧、放電パワーの望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、それら条件は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する電子写真感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0081】
<下部阻止層>
本発明の電子写真感光体においては、支持体1001と光導電層1003との間に、支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある下部阻止層1006を設けるのがいっそう効果的である。すなわち、キャリアに対する抵抗を高くすることにより支持体側より光導電層1003に電荷が注入されるのを阻止する機能を有する層もしくは下部阻止層1006は光受容層1003が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有する層である。
【0082】
まず、下部阻止層1006をキャリアに対して高抵抗にするためには、下部阻止層1006に炭素原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも一種を含有させることが好ましい。これらの原子は、光導電層に比べ比較的多く含有させる。
【0083】
本発明における下部阻止層1006の全層領域に含有される炭素原子、窒素原子、酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成されるように適宜決定されるが、一種の場合はその量として、2種以上の場合はその総和量として、好ましくは1×10−3〜30原子%、より好適には5×10−3〜20原子%、最適には1×10−2〜10原子%とされるのが望ましい。
【0084】
一方、下部阻止層1006に極性依存性を付与するためには、下部阻止層にn型の伝導特性を与える原子を含有させることが好ましい。このn型の伝導特性を与える原子は、光導電層に比べ比較的多く含有させる。
【0085】
下部阻止層1006に含有されるn型の伝導特性を与える原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、第15族原子を用いることができる。
【0086】
第15族原子としては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適である。
【0087】
本発明において下部阻止層1006中に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、本発明の目的が効果的に達成できるように所望にしたがって適宜決定されるが、好ましくは10〜1×10原子ppm、より好適には50〜5×10原子ppm、最適には1×10〜3×10原子ppmとされるのが望ましい。
【0088】
また、本発明における下部阻止層1006に含有される水素原子及び/又はハロゲン原子は層内に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。下部阻止層中の水素原子またはハロゲン原子あるいは水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適には1〜50原子%、より好適には5〜40原子%、最適には10〜30原子%とするのが望ましい。
【0089】
本発明において、下部阻止層1006の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされるのが望ましい。層厚が0.1μmより薄くなると、支持体1001からの電荷の注入阻止能が不充分になって充分な帯電能が得られなくなり、5μmより厚くしても電子写真特性の向上は期待できず、作製時間の延長による製造コストの増加を招くだけである。
【0090】
本発明において下部阻止層1006を形成するには、前述の光導電層1003を形成する方法と同様の真空堆積法が採用される。
【0091】
反応容器内のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは1×10−2〜1×10Pa、好ましくは5×10−2〜5×10Pa、最適には1×10−1〜1×10Paとするのが好ましい。
【0092】
さらに、支持体1001の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜330℃、最適には200〜300℃とするのが望ましい。
【0093】
本発明においては、下部阻止層1006を形成するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、これらの層作製ファクターは独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する表面層を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて各層作製ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
【0094】
また、本発明の電子写真感光体においては、支持体と光導電層1003あるいは下部阻止層1006との間の更なる密着性の向上を図る目的で、例えば、Si、SiO、SiO、あるいはシリコン原子を母体とし、水素原子及び/又はハロゲン原子と、炭素原子及び/又は酸素原子及び/又は窒素原子とを含む非晶質材料等で構成される密着層を設けても良い。更に、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層を設けても良い。
【0095】
以下、本発明の電子写真感光体の製造方法について図面を参照して説明する。
【0096】
図3は高周波プラズマCVD法による電子写真感光体の製造装置の一例を示す模式的な構成図である。
【0097】
本形態のプラズマ処理装置は円筒状基体に堆積膜を形成する装置であり、図3の装置を大別すると、堆積装置3100、原料ガス供給装置(図示せず)、反応容器3111内を減圧にするための排気装置(図示せず)から構成されている。図3の装置では、反応容器3111の下面には排気管3112が形成され、排気管3112の他端は不図示の排気装置に接続されている。円筒状支持体3113は回転軸3121によって保持され、発熱体3120によって加熱されるようになっている。モータ3123を駆動すると、減速ギア3122を介して回転軸3121が回転し、円筒状支持体3113がその中心軸のまわりを回転するようになっている。
【0098】
不図示の原料ガス供給装置は、反応容器内3111内にガスが供給できれば良いため、ガス供給装置の構成は一般的もので構わない。
【0099】
高周波電力は、例えば周波数の異なる2つの高周波電源3116、3117からマッチングボックス3115内においてそれぞれの整合回路を経て合成され、電極3114より反応容器3111内に供給される。図3は異なる周波数の高周波電力を出力可能な2つの電源を用いているが、本発明においては高周波電力が供給可能であればよいため、高周波電源の数および周波数等の制限はない。
【0100】
電極3114の形状としては、特に制限はないが、真空処理特性の均一化効果をより顕著に得るためには、図3に示したような棒状であることが好ましい。
【0101】
図4は、上記した構成を有する電子写真用感光体を用いた電子写真装置の一例を説明するための模式的構成図である。なお、この図4に例示する装置構成は、導電性支持体が円筒状基体である電子写真用感光体を用いる場合に好適なものである。
【0102】
図4に示す電子写真装置の要部構成おいて、電子写真感光体4001として、上記した構成で、下記特性を有する電子写真用感光体が用いられる。帯電器4002は、電子写真感光体4001の表面に静電潜像形成のための帯電を行う。図4に示す装置構成例では、帯電器4002としてコロナ帯電器を用いる例が示されているが、接触帯電器を用いることもできる。現像器4004は、静電潜像の形成された電子写真感光体4001の表面に現像剤(トナー)4004aを供給し、静電潜像をトナー像とする。転写帯電器4006は、電子写真感光体4001表面のトナー像を転写材4013に転写させる。図4に示す装置構成例では、転写帯電器4006にコロナ帯電器を用いる例を示しているが、ローラー電極を用いることもできる。クリーナー4011は、前記の転写材へのトナー像を転写した後、なお、電子写真感光体4001の表面に残留している現像剤(トナー)の除去、あるいは、逆に転写材4013などから遊離・剥離した残存物(繊維屑など)の除去を行って、電子写真感光体4001表面の浄化を図る。図4に示す例では、クリーナー4011は、弾性ローラー4009とクリーニングブレード4010とを組み合わせて、表面の均一浄化をより有効に行う構成とされている。
【0103】
なお、図4に示す構成例では、弾性ローラー4009とクリーニングブレード4010とを組み合わせているが、残留する現像剤(トナー)や転写材4013に由来する付着物の量などに応じて、いずれか一方のみを用いる構成とすることもできる。あるいは、残留する現像剤(トナー)の除去・回収機構を現像器4004に付設するなどして、電子写真感光体4001表面浄化の機能を他の部材に分散させて、クリーナー4011を省く構成に装置設計を行うことも可能である。
【0104】
除電光4012は、前回の複写工程で残留している電子写真感光体4001表面の帯電電位を一旦除電し、帯電器4002により次回の複写工程のための帯電電位を一定・均一にさせる。帯電器4002に用いる帯電器の種類によっては、例えば、接触帯電器などを用いて、次回の複写工程のための帯電電位が一定・均一になるならば、除電光4012などの除電手段を省く構成に設計することも可能である。転写材4013は紙等の媒体が利用され、転写材の送りローラー4005により、転写帯電器4006上において、電子写真感光体4001表面と接する配置へ供給・搬入される。像露光4003の光源は、アナログ方式で利用されるハロゲン光源、あるいは、デジタル方式などに利用される単一波長または波長分布の狭いレーザー、LED光源などが、画像形成方式に応じてそれぞれ用いられる。
【0105】
例えば、図4に示すような構成を持つ電子写真装置を用い、画像形成は、例えば、次に述べる一連の工程により行なわれる。まず、所定の速度で矢印の方向(X方向)へ回転されている電子写真感光体4001に対して、帯電器4002を用いて電子写真感光体4001の表面を一様に帯電させる。次に、帯電された電子写真感光体4001の表面に、像露光による目的とする画像の露光を行い、この画像に対応する静電潜像を電子写真感光体4001の表面に形成する。そして、電子写真感光体4001表面の静電潜像の形成された部分が現像器4004の設置部を通過する際に、現像器4004によってトナー(現像剤)4004aが電子写真感光体4001の表面に供給される。この静電潜像はトナー4004aによる画像として顕像化(現像)され、更に、このトナー画像は電子写真感光体4001の回転とともに転写帯電器4006の設置部に到達する。ここで、送りローラー4005によって送られてくる転写材4013表面と接し、裏面側に配置されている転写帯電器4006により転写がなされる。転写材4013にトナー像が転写された後、分離帯電器4007により転写材4013は電子写真感光体4001と分離される。
【0106】
本発明の電子写真装置は、図4に示される構成に限定されるものではない。例えば、前記円筒状基体としては、画像形成工程において、相対的に周回運動をし、画像形成の一連の工程間を感光体表面が実質的に循環し、反複して利用される形態を満たすものであれば良い。
【0107】
本発明の電子写真装置において、上部阻止層1004の暗導電率σ(S/cm)、層厚d(μm)、電子写真感光体4001上に像露光4003が照射された部分が現像器4004の中心に達するまでの時間t(sec)から求めたσ×t/dの値を1.4×10−15〜1.4×10−11にすることにより良好な画像を形成することが可能となる。σ×t/dの値が1.4×10−15よりも低い場合、像露光照射部が現像器4004まで移動する間に、像露光4003により生成した光キャリアが静電潜像を形成できず上部阻止層中に残存してしまうため、残留電位及び光メモリを生じる場合がある。また、1.4×10−11よりも高い場合、静電潜像を形成してから現像するまでに時間を要するため、帯電電荷の影響により静電潜像界面が崩れてしまうことで画像流れを生じる場合がある。
【0108】
上部阻止層1004の層厚は、表面からの電荷注入の阻止能力を十分発揮し、かつ画像品質に影響を与えない層厚になるように設計する必要がある。そのため、上部阻止層1004の層厚は、0.01〜2μm、好ましくは0.05〜1.5μm、最適には0.1〜0.8μmである。層厚が0.01μmよりも薄いと、表面からの電荷注入の阻止能力が低下するため帯電能の低下が生じる傾向があるという点で不利であり、2μmを超えると、上部阻止層内でホールの移動に時間を要するため残留電位の増加等の特性低下を生じる場合があるという点で不利である。
【0109】
また、電子写真感光体4001上に像露光4003が照射された部分が現像器4004の中心に達するまでの時間tは、上記により決定されるが、好ましくは0.01〜0.2sec、より好ましくは0.012〜0.16sec、最適には0.015〜0.13secの範囲になるように調整することが好適である。電子写真感光体4001上に像露光4003が照射された部分が現像器4004の中心に達するまでの時間tが0.01secよりも短い場合は、静電潜像を形成するために像露光4003が電子写真感光体4001上に照射されても、像露光照射時間が短すぎるため鮮明な静電潜像を形成できず、結果的に良好な画像が得られない場合がある。また、0.2secよりも長い場合は、電子写真感光体4001上に静電潜像が形成されてから時間が長いため、静電潜像の界面が崩れてしまい、画像流れを生じる場合がある。
【0110】
更に、良好な画像を出力するためには像露光4003の波長を700nm以下にすることが好ましい。像露光4003の波長を短くすることで、電子写真感光体4001上に照射される像露光4003のスポット径を小さくすることができるため、より鮮明な静電潜像を形成することが可能となる。
【0111】
また、上部阻止層1004の正のキャリアに対する暗導電率σ(S/cm)は、3.1×10−15〜1.8×10−11S/cmに調整することが良好である。上部阻止層1004の正のキャリアに対する暗導電率σが3.1×10−15S/cmよりも低い場合、正のキャリアが上部阻止層1004を通過できず、そのため、残留電位の増加及び光メモリを生じる場合がある。また、1.8×10−11S/cmより高い場合、静電潜像が形成されてから現像器に移動するまでに静電潜像界面が崩れ、そのため、画像流れを生じる場合がある。
【0112】
【実施例】
以下、比較例及び実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
【0113】
<実施例1>
(サンプル作製方法)
図3に示す堆積装置3100の円筒状支持体3113設置場所に、図5に示すように巾10mm、長さ38mm、厚み1mmのガラス基板5001(コーニング社製、#7059)を保持したサンプルホルダー5002を設置し、下記表1に示す条件でa−SiC:B,H膜を1μm堆積させてサンプルを作製した。但し、サンプルの作製条件における各ガス種の流量は一定とした。また、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzである高周波電力を出力可能な電源を用い、シリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、CHを用いた。
【0114】
【表1】
Figure 2004029297
【0115】
表1の条件により作製したサンプルの中央部に電極5003を蒸着し暗箱中にセットした後、電極間に10Vの電圧を印加したときの暗導電率σを測定した。その結果、表1の条件により作製したa−SiC:B,H膜の暗導電率σは2.4×10−14S/cmであった。
【0116】
(感光体作製方法)
図3に示す装置を用い直径30mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、下記表2に示す条件で、下部阻止層、光導電層、上部阻止層、表面層の順に成膜を行い、電子写真感光体を作製した。このとき、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzである高周波電力を出力可能な電源を用いた。また、電子写真感光体作製時に用いる各ガス種は各層内で一定の流量とし、シリコン原子、第13族原子、第15族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、PH、CHを用いた。但し、上部阻止層の作製条件はサンプル作製条件と同じとし、層厚が表2となるように調整した。
【0117】
【表2】
Figure 2004029297
【0118】
(電子写真装置の設定)
上記の条件により作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(評価用に改造したキヤノン製GP405)にセットして電位特性の評価を行った。その際、プロセススピードを下記表3の条件を用いた。但し、プロセススピードを変化させても、各プロセス条件において帯電器により現像器位置での表面電位が−400Vになるように調整し、また、除電光、像露光の光量が同様となるように調整した。
【0119】
【表3】
Figure 2004029297
【0120】
各電位特性の評価方法を下記に示す。
【0121】
(残留電位の評価)
残留電位の評価は、前露光量(波長660nmのLED)を4lux・secに調整し、更に電子写真装置の現像器位置にセットした表面電位計(TREK社Model 344)の電位センサーにより表面電位が−400Vになるように帯電器の電流値を調整した。その後、0.8〜1.2μJ/sec程度の像露光(波長655nmの半導体レーザー)光量を当てて表面電位を落としきり、その値が光量に対して十分飽和している時の表面電位を残留電位とした。従って、像露光によって十分飽和した時の表面電位が低いほど、残留電位が良好であることを示す。
【0122】
(画像流れの評価)
画像流れの評価は、図6に示した黒色部と白色部が一定の幅aで並んだテストチャートを用意し、線幅aを狭めていった時に複写画像上において再現し、解像しうる最小の線幅aにより行った。即ち、線幅aを狭めていった時に、ある線幅a以下になると画像上の隣り合う黒色部の輪郭の画像流れによる微少なボケが重なり合い、事実上解像不可となってしまう。その時の線幅aを画像流れの程度を表す指標とした。従って、線幅aが狭いほど、画像流れが良好であることを示す。
【0123】
(光メモリの評価)
光メモリの評価は、現像器位置における暗部電位が−400Vとなるように帯電器の帯電電流を調整し、十分電位を安定させた後、一回転目の暗部電位を測定し、二回転目は像露光の光量をコントラストが350Vとなる光量を与えた。そして、三回転目は再び一回転目と帯電電流を同じにして暗部電位を測定した。これにより得られた一回転目の暗部電位の平均から三回転目の暗部電位の平均を引いた値を光メモリ電位とした。従って、光メモリ電位が低いほど光メモリが良好であることを示す。
【0124】
なお、以上の評価は作製直後(反応容器から取り出して室内光に照射されている時間が15分以内)に行った。
【0125】
<比較例1>
(電子写真装置の設定)
プロセススピードを下記表4の条件にした以外は実施例1と同様の条件を用い、各プロセススピードについて実施例1と同様に、残留電位、光メモリ、画像流れを評価した。
【0126】
【表4】
Figure 2004029297
【0127】
実施例1と比較例1の相対評価
実施例1及び比較例1の各条件によって得られた残留電位、光メモリ及び画像流れについて、下記に示す相対評価を行い、これらの結果を表5に示した。
【0128】
[残留電位、光メモリ、画像流れ]
◎:実施例1及び比較例1の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を1Eの条件で評価して得られた測定値と比較して20%以上の特性向上。
○:実施例1及び比較例1の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を1Eの条件で評価して得られた測定値と比較して10〜20%の特性向上。
△:実施例1及び比較例1の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を1Eの条件で評価して得られた測定値と比較して同等の特性。
×:実施例1及び比較例1の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を1Eの条件で評価して得られた測定値と比較して特性低下。
【0129】
【表5】
Figure 2004029297
【0130】
実施例1及び比較例1の結果、上記表5より1Aから1Eの条件でのσ×t/dの値は、1.1×10−15〜2.2×10−15の範囲であった。残留電位及び光メモリはプロセススピードが遅くなると良好となったが、画像流れは全ての条件でほぼ同等の値であった。これらの結果より、1Aから1Cの条件では好ましい負帯電用電子写真感光体特性が得られた。
【0131】
以上の結果より、表2の条件で作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置に組み込んで表3及び表4の各条件によって評価したところ、σ×t/dの値を1.4×10−15以上にすることによって優れた負帯電用電子写真感光体特性が得られることが分かった。
【0132】
さらに、実施例1の1Aから1Cの条件で、表2の条件により作製した電子写真感光体を組み込んだ電子写真装置を用いて文字原稿を複写したところ、黒濃度が高く鮮明な画像が得られた。そして、写真原稿の複写においても、原稿に忠実で鮮明な画像を得ることができた。
【0133】
<実施例2>
(サンプル作製方法)
実施例1と同様に、図3に示す堆積装置3100の円筒状支持体3113設置場所に、図5に示すようにガラス基板5001を保持したサンプルホルダー5002を設置し、ガラス基板上に下記表6に示す条件でa−SiC:B,H膜を1μm堆積させてサンプルを作製した。サンプルの作製条件における各ガス種の流量は一定とした。また、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzである高周波電力を出力可能な電源を用い、シリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、CHを用いた。
【0134】
【表6】
Figure 2004029297
【0135】
ガラス基板上に上記の条件で作製したサンプルを、実施例1と同様に暗導電率σを測定したところ、暗導電率σは1.1×10−11S/cmであった。
【0136】
(感光体作製方法)
図3に示す装置を用い直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、下記表7に示す条件で、下部阻止層、光導電層、上部阻止層、表面層の順に成膜を行い、電子写真感光体を作製した。但し、上部阻止層の条件は表6と同じとした。このとき、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzである高周波電力を出力可能な電源を用いた。また、電子写真感光体作製時に用いる各ガス種は各層内で一定の流量とし、シリコン原子、第13族原子、第15族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、PH、CHを用いた。但し、上部阻止層の作製条件はサンプル作製条件と同じとし、層厚が表7となるように調整した。
【0137】
【表7】
Figure 2004029297
【0138】
(電子写真装置の設定)
上記の条件により作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(評価用に改造したキヤノン製GP605)にセットして電位特性の評価を行った。その際、プロセススピードを下記表8の条件を用いて電位特性の評価を行った。但し、プロセススピードを変化させても、各プロセス条件において帯電器により現像器位置での表面電位が−400Vになるように調整し、また、除電光、像露光の光量が同様となるように調整した。
【0139】
【表8】
Figure 2004029297
【0140】
作製した電子写真感光体を上記電子写真装置にセットし、各々のプロセススピードについて実施例1と同様に、残留電位、光メモリ、画像流れを評価した。
【0141】
<比較例2>
(電子写真装置の設定)
プロセススピードを下記表9の条件にした以外は実施例2と同様の条件を用い、各プロセススピードについて実施例2と同様に、残留電位、光メモリ、画像流れを評価した。
【0142】
【表9】
Figure 2004029297
【0143】
実施例2と比較例2の相対評価
実施例2及び比較例2の各条件によって得られた残留電位、光メモリ及び画像流れについて、下記に示す相対評価を行い、結果を表10に示した。
【0144】
[残留電位、光メモリ、画像流れ]
◎:実施例2及び比較例2の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を2Eの条件で評価して得られた測定値と比較して20%以上の特性向上。
○:実施例2及び比較例2の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を2Eの条件で評価して得られた測定値と比較して10〜20%の特性向上。
△:実施例2及び比較例2の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を2Eの条件で評価して得られた測定値と比較して同等の特性。
×:実施例2及び比較例2の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を2Eの条件で評価して得られた測定値と比較して特性低下。
【0145】
【表10】
Figure 2004029297
【0146】
実施例2及び比較例2の結果、上記表10より2Aから2Eの条件でのσ×t/dの値は、1.0×10−11〜1.8×10−11の範囲であった。画像流れはプロセススピードが速くなると良好となったが、残留電位及び光メモリは全ての条件でほぼ同等の値であった。これらの結果より、2Aから2Cの条件では好ましい負帯電用電子写真感光体特性が得られた。
【0147】
以上の結果より、表7の条件で作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置に組み込んで表8及び表9の各条件によって評価したところ、σ×t/dの値を1.4×10−11以下にすることによって優れた負帯電用電子写真感光体特性が得られることが分かった。
【0148】
さらに、実施例2の2Aから2Cの条件で、表7の条件により作製した電子写真感光体を組み込んだ電子写真装置を用いて文字原稿を複写したところ、黒濃度が高く鮮明な画像が得られた。そして、写真原稿の複写においても、原稿に忠実で鮮明な画像を得ることができた。
【0149】
実施例1、比較例1、実施例2および比較例2より、負帯電用電子写真感光体上に像露光が照射され、その像露光照射部が現像器の中心まで到達するのにかかる時間tを変化させ、各条件での残留電位、光メモリ及び画像流れについて評価した。その結果、σ×t/dの値を1.4×10−15〜1.4×10−11の範囲にすることで、残留電位、光メモリ及び画像流れがともに良好な負帯電用電子写真感光体を用いた電子写真装置が得られることが分かった。
【0150】
<感光体作成例1>
(サンプル作製方法)
実施例1と同様に、図3に示す堆積装置3100の円筒状支持体3113設置場所に、図5に示すようにガラス基板5001を保持したサンプルホルダー5002を設置し、ガラス基板上に下記表11に示すa−SiC:B,H膜を1μm堆積させてサンプルを作製した。サンプルの作製条件における各ガス種の流量は一定とした。また、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzである高周波電力を出力可能な電源を用い、シリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、CHを用いた。
【0151】
【表11】
Figure 2004029297
【0152】
ガラス基板上に上記の条件で作製したサンプルを、実施例1と同様に暗導電率σを測定したところ、暗導電率σは1.8×10−14S/cmであった。
【0153】
(感光体作製方法)
図3に示す装置を用い直径30mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、下記表12に示す条件で、下部阻止層、光導電層、上部阻止層、表面層の順に成膜を行い電子写真感光体を作製した。このとき、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzの高周波電力を出力可能な電源を用いた。また、電子写真感光体作製時に用いる各ガス種は各層内で一定の流量とし、シリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、CHを用いた。但し、上部阻止層の作製条件はサンプル作製条件と同じとし、層厚が表13となるように調整した。
【0154】
【表12】
Figure 2004029297
【0155】
【表13】
Figure 2004029297
【0156】
<実施例3>
(電子写真装置の設定)
感光体作製例1の3Aから3Dの条件により作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(評価用に改造したキヤノン製GP405)にセットし、プロセススピード200mm/secの条件で光メモリ、画像流れ、コントラストを評価した。光メモリ、画像流れに関しては、実施例1と同様に評価した。
【0157】
(コントラストの評価)
コントラストの評価は、帯電能から残留電位を引いた値をコントラストとし、この差が大きいほどコントラストが良好とした。残留電位に関しては、実施例1と同様に求めた。なお、帯電能は、前露光量(波長660nmのLED)を4lux・secに調整し、帯電器の電流値−1000μAの条件にて電子写真装置の現像器位置にセットした表面電位計(TREK社Model 344)の電位センサーにより像露光(波長655nmの半導体レーザー)を照射しない状態での感光体の表面電位を測定し、これを帯電能とした。
【0158】
<比較例3>
(電子写真装置の評価)
感光体作製例1の3Eから3Fの条件により作製した負帯電用電子写真感光体を実施例3と同様に、光メモリ、画像流れ、コントラストを評価した。
【0159】
実施例3と比較例3の相対評価
実施例3及び比較例3の各条件によって得られた光メモリ、画像流れ、コントラストについて、下記に示す相対評価を行い、結果を表14に示した。
【0160】
[光メモリ、画像流れ、コントラスト]
◎:実施例3及び比較例3の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を3Fの条件で評価して得られた測定値と比較して20%以上の特性向上。
○:実施例3及び比較例3の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を3Fの条件で評価して得られた測定値と比較して10〜20%の特性向上。
△:実施例3及び比較例3の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を3Fの条件で評価して得られた測定値と比較して同等の特性。
×:実施例3及び比較例3の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を3Fの条件で評価して得られた測定値と比較して特性低下。
【0161】
【表14】
Figure 2004029297
【0162】
実施例3及び比較例3の結果、上記表14より3Aから3Fの条件でのσ×t/dの値は、8.2×10−16〜8.2×10−15の範囲であった。また、光メモリ及びコントラストは上部阻止層の層厚が薄くなると良好となったが、画像流れに関しては、全ての条件でほぼ同等の値であった。この結果より、3Aから3Dの条件で作製することにより負帯電用電子写真感光体として好ましい特性が得られた。
【0163】
以上の結果より、表12及び表13の各条件により作製した負帯電用電子写真感光体を組み込んだ電子写真感光体を上記条件により評価したところ、σ×t/dの値を1.4×10−15以上にすることで優れた負帯電用電子写真感光体特性が得られることが分かった。
【0164】
さらに、実施例3の3Aから3Dの条件で作製した電子写真感光体を組み込んだ電子写真装置を用いて文字原稿を複写したところ、黒濃度が高く鮮明な画像が得られた。そして、写真原稿の複写においても、原稿に忠実で鮮明な画像を得ることができた。
【0165】
<感光体作製例2>
(サンプル作製方法)
実施例1と同様に、図3に示す堆積装置3100の円筒状支持体3113設置場所に、図5に示すようにガラス基板5001を保持したサンプルホルダー5002を設置し、ガラス基板上に下記表15に示すa−SiC:B,H膜を1μm堆積させてサンプルを作製した。サンプルの作製条件における各ガス種の流量は一定とした。また、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzである高周波電力を出力可能な電源を用い、シリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、CHを用いた。
【0166】
【表15】
Figure 2004029297
【0167】
ガラス基板上に上記の条件で作製したサンプルを、実施例1と同様に暗導電率σを測定したところ、暗導電率σは8.9×10−12S/cmであった。
【0168】
(感光体作製方法)
図3に示す装置を用い直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、下記表16に示す条件で、下部阻止層、光導電層、上部阻止層、表面層の順に成膜を行い、電子写真感光体を作製した。このとき、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzの高周波電力を出力可能な電源を用いた。また、電子写真感光体作製時に用いる各ガス種は各層内で一定の流量とし、シリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、CHを用いた。但し、上部阻止層の作製条件はサンプル作製条件と同じとし、層厚が表17となるように調整した。
【0169】
【表16】
Figure 2004029297
【0170】
【表17】
Figure 2004029297
【0171】
<実施例4>
(電子写真装置の設定)
感光体製造例2の4Aから4Dの条件により作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(評価用に改造したキヤノン製GP605)にセットし、プロセススピード400mm/secの条件で実施例3と同様に光メモリ、画像流れ、コントラストを評価した。
【0172】
<比較例4>
(電子写真装置の設定)
感光体作製例2の4Eから4Fの条件により作製した負帯電用電子写真感光体を実施例4と同様に、光メモリ、画像流れ、コントラストを評価した。
【0173】
実施例4と比較例4の相対評価
実施例4及び比較例4の各条件によって得られた光メモリ、画像流れ、コントラストについて、下記に示す相対評価を行い、結果を表18に示した。
【0174】
[光メモリ、画像流れ、コントラスト]
◎:実施例4及び比較例4の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を4Fの条件で評価して得られた測定値と比較して20%以上の特性向上。
○:実施例4及び比較例4の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を4Fの条件で評価して得られた測定値と比較して10〜20%の特性向上。
△:実施例4及び比較例4の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を4Fの条件で評価して得られた測定値と比較して同等の特性。
×:実施例4及び比較例4の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を4Fの条件で評価して得られた測定値と比較して特性低下。
【0175】
【表18】
Figure 2004029297
【0176】
実施例4及び比較例4の結果、上記表18より4Aから4Fの条件でのσ×t/dの値は、3.7×10−12〜7.3×10−11の範囲であった。また、画像流れは上部阻止層の層厚が厚くなると良好となったが、光メモリ及びコントラストに関しては、全ての条件でほぼ同等の値であった。この結果より、4Aから4Dの条件で作製することにより負帯電用電子写真感光体として好ましい特性が得られた。
【0177】
以上の結果より、表16及び表17の各条件により作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置に組み込み上記条件により評価したところ、σ×t/dの値を1.4×10−11以下にすることで優れた負帯電用電子写真感光体特性が得られることが分かった。
【0178】
さらに、実施例4の4Aから4Dの条件で作製した電子写真感光体を組み込んだ電子写真装置を用いて文字原稿を複写したところ、黒濃度が高く鮮明な画像が得られた。そして、写真原稿の複写においても、原稿に忠実で鮮明な画像を得ることができた。
【0179】
実施例3、比較例3、実施例4および比較例4より、上部阻止層の層厚dを変化させ、各条件での残留電位、光メモリ及び画像流れについて評価したところ、σ×t/dの値を1.4×10−15〜1.4×10−11の範囲にすることで、残留電位、光メモリ及び画像流れがともに良好な負帯電用電子写真感光体を用いた電子写真装置が得られることが分かった。
【0180】
<感光体作製例3>
(サンプル作製方法)
実施例1と同様に、図3に示す堆積装置3100の円筒状支持体3113設置場所に、図5に示すようにガラス基板5001を保持したサンプルホルダー5002を設置し、ガラス基板上に下記表19に示す暗導電率σになるようにシリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種の流量を調節し、ガラス基板上に各a−SiC:B,H膜を1μm堆積させてサンプルを作製した。サンプルの作製条件における各ガス種の流量は一定とした。また、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzである高周波電力を出力可能な電源を用い、シリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、CHを用いた。
【0181】
【表19】
Figure 2004029297
【0182】
ガラス基板上に上記の条件で作製したサンプルを、実施例1と同様に暗導電率σを測定した。また、上部阻止層のSiHの流量は30〜10ml/min(normal)、Bの流量は67〜18270ppm(SiHに対して)、CHの流量は1〜15ml/min(normal)の範囲で作製した各サンプルのシリコン原子と炭素原子の和に対する炭素原子の含有量C/(Si+C)及びシリコン原子と炭素原子の和に対するホウ素原子の含有量B/(Si+C)を、二次イオン質量分析法(SIMS)(CAMECA社製、im−4f)で分析した。例えば、SiH及びCHの流量は14.5及び9.7ml/min(normal)、BはSiHに対して1220ppmのときの暗導電率σは、2×10−14S/cmであり、C/(Si+C)が0.4、B/(Si+C)が2000ppmであった。
【0183】
(感光体作製方法)
図3に示す装置を用い直径30mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、下記表20に示す条件で、下部阻止層、光導電層、上部阻止層、表面層の順に成膜を行い、電子写真感光体を作製した。このとき、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzの高周波電力を出力可能な電源を用いた。また、電子写真感光体作製時に用いる各ガス種は各層内で一定の流量とし、シリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、CHを用いた。但し、上部阻止層の作製条件はサンプル作製条件と同じとし、暗導電率σが表21となるようにSiH、B、CHを調整した。
【0184】
【表20】
Figure 2004029297
【0185】
【表21】
Figure 2004029297
【0186】
<実施例5>
(電子写真装置の設定)
感光体作製例3に示す5Aから5Cの条件により作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(評価用に改造したキヤノン製GP405)にセットし、プロセススピード400mm/secの条件で実施例1と同様に残留電位、光メモリ、画像流れを評価した。
【0187】
<比較例5>
(電子写真装置の設定)
感光体作製例3に示す5Dから5Eの条件により作製した負帯電用電子写真感光体を実施例5と同様に、残留電位、光メモリ、画像流れを評価した。
【0188】
実施例5と比較例5の相対評価
実施例5及び比較例5の各条件によって得られた残留電位、光メモリ、画像流れについて、下記に示す相対評価を行い、結果を表22に示した。
【0189】
[残留電位、光メモリ、画像流れ]
◎:実施例5及び比較例5の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を5Eの条件で評価して得られた測定値と比較して20%以上の特性向上。
○:実施例5及び比較例5の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を5Eの条件で評価して得られた測定値と比較して10〜20%の特性向上。
△:実施例5及び比較例5の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を5Eの条件で評価して得られた測定値と比較して同等の特性。
×:実施例5及び比較例5の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を5Eの条件で評価して得られた測定値と比較して特性低下。
【0190】
【表22】
Figure 2004029297
【0191】
実施例5及び比較例5の結果、上記表22より5Aから5Eの条件でのσ×t/dの値は、4.6×10−16〜3.7×10−15の範囲であった。また、残留電位及び光メモリは上部阻止層の暗導電率が高くなると良好となったが、画像流れに関しては、全ての条件でほぼ同等の値であった。この結果より、5Aから5Cの条件で作製することにより負帯電用電子写真感光体として好ましい特性が得られた。
【0192】
以上の結果より、表20及び表21の各条件により作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置に組み込み、上記条件により評価したところ、σ×t/dの値を1.4×10−15以上にすることで優れた負帯電用電子写真感光体特性が得られることが分かった。
【0193】
さらに、実施例5の5Aから5Cの条件で作製した電子写真感光体を組み込んだ電子写真装置を用いて文字原稿を複写したところ、黒濃度が高く鮮明な画像が得られた。そして、写真原稿の複写においても、原稿に忠実で鮮明な画像を得ることができた。
【0194】
<感光体作製例4>
実施例1と同様に、図3に示す堆積装置3100の円筒状支持体3113設置場所に、図5に示すようにガラス基板5001を保持したサンプルホルダー5002を設置し、ガラス基板上に下記表23に示す暗導電率σになるようにシリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種の流量を調節し、ガラス基板上に各a−SiC:B,H膜を1μm堆積させてサンプルを作製した。サンプルの作製条件における各ガス種の流量は一定とした。また、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzである高周波電力を出力可能な電源を用い、シリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、CHを用いた。
【0195】
【表23】
Figure 2004029297
【0196】
ガラス基板上に上記の条件で作製したサンプルを、実施例1と同様に暗導電率σを測定した。また、上部阻止層のSiHの流量は30〜10ml/min(normal)、Bの流量は67〜18270ppm(SiHに対して)、CHの流量は1〜15ml/min(normal)の範囲で作製した各サンプルのシリコン原子と炭素原子の和に対する炭素原子の含有量C/(Si+C)及びシリコン原子と炭素原子の和に対するホウ素原子の含有量B/(Si+C)を、二次イオン質量分析法(SIMS)(CAMECA社製、im−4f)で分析した。例えば、SiH及びCHの流量は14.5及び9.7ml/min(normal)、BはSiHに対して5720ppmのときの暗導電率σは、4×10−12S/cmであり、C/(Si+C)が0.4、B/(Si+C)が9000ppmであった。
【0197】
(感光体作製方法)
図3に示す装置を用い直径30mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、下記表24に示す条件で、下部阻止層、光導電層、上部阻止層、表面層の順に成膜を行い、電子写真感光体を作製した。このとき、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzの高周波電力を出力可能な電源を用いた。また、電子写真感光体作製時に用いる各ガス種は各層内で一定の流量とし、シリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、CHを用いた。但し、上部阻止層の作製条件はサンプル作製条件と同じとし、暗導電率σが表25となるようにSiH、B、CHを調整した。
【0198】
【表24】
Figure 2004029297
【0199】
【表25】
Figure 2004029297
【0200】
<実施例6>
(電子写真装置の設定)
感光体作製例4に示す6Aから6Cの条件で作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(評価用に改造したキヤノン製GP605)にセットし、プロセススピード200mm/secの条件で実施例1と同様に、残留電位、光メモリ、画像流れを評価した。
【0201】
<比較例6>
(電子写真装置の設定)
感光体作製例4に示す6Dから6E条件で作製した負帯電用電子写真感光体を実施例6と同様に、残留電位、光メモリ、画像流れを評価した。
【0202】
実施例6と比較例6の相対評価
実施例6及び比較例6の各条件によって得られた残留電位、光メモリ、及び画像流れに関して、下記に示す相対評価を行い、結果を表26に示した。
【0203】
[残留電位、光メモリ、画像流れ]
◎:実施例6及び比較例6の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を6Eの条件で評価して得られた測定値と比較して20%以上の特性向上。
○:実施例6及び比較例6の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を6Eの条件で評価して得られた測定値と比較して10〜20%の特性向上。
△:実施例6及び比較例6の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を6Eの条件で評価して得られた測定値と比較して同等の特性。
×:実施例6及び比較例6の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を6Eの条件で評価して得られた測定値と比較して特性低下。
【0204】
【表26】
Figure 2004029297
【0205】
実施例6及び比較例6の結果、上記表26より6Aから6Eの条件でのσ×t/dの値は、3.3×10−12〜2.6×10−11の範囲であった。また、画像流れは上部阻止層の暗導電率が低くなると良好となったが、残留電位及び光メモリに関しては、全ての条件でほぼ同等の値であった。この結果より、6Aから6Cの条件で作製することにより負帯電用電子写真感光体として好ましい特性が得られた。
【0206】
以上の結果より、表24及び表25の各条件により作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置に組み込み上記条件により評価したところ、σ×t/dの値を1.4×10−11以下にすることで優れた負帯電用電子写真感光体特性が得られることが分かった。
【0207】
さらに、実施例6の6Aから6Cの条件で作製した電子写真感光体を組み込んだ電子写真装置を用いて文字原稿を複写したところ、黒濃度が高く鮮明な画像が得られた。そして、写真原稿の複写においても、原稿に忠実で鮮明な画像を得ることができた。
【0208】
実施例5、比較例5、実施例6および比較例6より、上部阻止層の暗導電率σを変化させ、各条件での残留電位、光メモリ及び画像流れについて評価したところ、σ×t/dの値を1.4×10−15〜1.4×10−11の範囲にすることで、残留電位、光メモリ及び画像流れがともに良好な負帯電用電子写真感光体を用いた電子写真装置が得られることが分かった。
【0209】
<感光体作製例5>
(サンプル作製方法)
実施例1と同様に、図3に示す堆積装置3100の円筒状支持体3113設置場所に、図5に示すようにガラス基板5001を保持したサンプルホルダー5002を設置し、ガラス基板上に下記表27に示すa−SiC:B,H膜を1μm堆積させてサンプルを作製した。サンプルの作製条件における各ガス種の流量は一定とした。また、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzである高周波電力を出力可能な電源を用い、シリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、CHを用いた。
【0210】
【表27】
Figure 2004029297
【0211】
ガラス基板上に上記の条件で作製したサンプルを、実施例1と同様に暗導電率σを測定したところ、暗導電率σは1.8×10−12S/cmであった。
【0212】
(感光体作製方法)
図3に示す装置を用い直径30mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、下記表28に示す条件で、下部阻止層、光導電層、上部阻止層、表面層の順に成膜を行い、電子写真感光体を作製した。このとき、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzの高周波電力を出力可能な電源を用いた。また、電子写真感光体作製時に用いる各ガス種は各層内で一定の流量とし、シリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、CHを用いた。但し、上部阻止層の作製条件はサンプル作製条件と同じとし、層厚が表29となるように調整した。
【0213】
【表28】
Figure 2004029297
【0214】
【表29】
Figure 2004029297
【0215】
<実施例7>
(電子写真装置の設定)
感光体作製例5に示す7Bから7Fの条件で作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(評価用に改造したキヤノン製GP405)にセットし、プロセススピード200mm/secの条件で実施例3と同様に、光メモリ、画像流れ、コントラストを評価した。
【0216】
<比較例7>
(電子写真装置の設定)
感光体作製例5に示す7A、7Gおよび7Hの条件で作製した負帯電用電子写真感光体を実施例7と同様に、光メモリ、画像流れ、コントラストを評価した。
【0217】
実施例7と比較例7の相対比較
実施例7及び比較例7の各条件によって得られた光メモリ、画像流れ及びコントラストに関して、下記に示す相対評価を行い、結果を表30に示した。
【0218】
[光メモリ、帯電能、コントラスト]
◎:実施例7及び比較例7の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を7Hの条件で評価して得られた測定値と比較して20%以上の特性向上。
○:実施例7及び比較例7の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を7Hの条件で評価して得られた測定値と比較して10〜20%の特性向上。
△:実施例7及び比較例7の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を7Hの条件で評価して得られた測定値と比較して同等の特性。
×:実施例7及び比較例7の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を7Hの条件で評価して得られた測定値と比較して特性低下。
【0219】
【表30】
Figure 2004029297
【0220】
実施例7及び比較例7の結果、上記表30より7Aから7Hの条件でのσ×t/dの値は、2.8×10−14〜1.7×10−11の範囲であった。また、光メモリは上部阻止層の層厚が薄くなると良好となったが、逆に画像流れは、上部阻止層の層厚が厚くなると良好となった。コントラストは、上部阻止層の層厚が7Bから7Fの条件で良好となり、その範囲外では悪化した。この結果より、7Bから7Fの条件で作製することにより負帯電用電子写真感光体として好ましい特性が得られ、特に、7Cから7Eの条件では最適な負帯電用電子写真感光体が得られた。
【0221】
以上の結果より、表28及び表29の各条件により作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置に組み込み、上記条件により評価したところ、全ての条件においてσ×t/dの値が1.4×10−15〜1.4×10−11の範囲内にあったものの上部阻止層の層厚によって特性が変化した。このことから、上部阻止層の層厚を0.01μm≦d≦2.0μmにすることで優れた負帯電用電子写真感光体特性が得られることが分かった。
【0222】
さらに、実施例7の7Bから7Fの条件で作製した電子写真感光体を組み込んだ電子写真装置を用いて文字原稿を複写したところ、黒濃度が高く鮮明な画像が得られた。そして、写真原稿の複写においても、原稿に忠実で鮮明な画像を得ることができた。
【0223】
<感光体作製例6>
(サンプル作製方法)
実施例1と同様に、図3に示す堆積装置3100の円筒状支持体3113設置場所に、図5に示すようにガラス基板5001を保持したサンプルホルダー5002を設置し、ガラス基板上に下記表31に示す条件でa−SiC:B,H膜を1μm堆積させてサンプルを作製した。サンプルの作製条件における各ガス種の流量は一定とした。また、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzである高周波電力を出力可能な電源を用い、シリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、CHを用いた。
【0224】
【表31】
Figure 2004029297
【0225】
ガラス基板上に上記の条件で作製したサンプルを、実施例1と同様に暗導電率σを測定した。但し、上部阻止層のSiHの流量は30から10ml/min(normal)、CHの流量は1から15ml/min(normal)の範囲で作製したサンプルのシリコン原子と炭素原子の和に対する炭素原子の含有量C/(Si+C)を二次イオン質量分析法(SIMS)で調べ、このC/(Si+C)の値が表31の値に合うように調整をした。その後、各サンプルの暗導電率σを実施例1と同様に測定した。その結果を表32に示す。但し、C/(Si+C)が0.4のときのSiH及びCHの流量は14.5及び9.7ml/min(normal)であった。
【0226】
【表32】
Figure 2004029297
【0227】
(感光体作製方法)
図3に示す装置を用い直径30mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、下記表33に示す条件で、下部阻止層、光導電層、上部阻止層、表面層の順に成膜を行い、電子写真感光体を作製した。このとき、高周波電源としては周波数が105MHz及び60MHzの高周波電力を出力可能な電源を用いた。また、電子写真感光体作製時に用いる各ガス種は各層内で一定の流量とし、シリコン原子、第13族原子、炭素原子を含有するガス種として、各々SiH、B、CHを用いた。但し、上部阻止層の作製条件はサンプル作製条件と同じとし、上部阻止層に含まれるシリコン原子及び炭素原子に含有量が表34となるように調整した。
【0228】
【表33】
Figure 2004029297
【0229】
【表34】
Figure 2004029297
【0230】
<実施例8>
(電子写真装置の設定)
感光体作製例6に示す8Aから8Gの条件で作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置(評価用に改造したキヤノン製GP405)にセットし、プロセススピード200mm/secの条件で、残留電位、光メモリ、画像流れ、光による特性劣化を評価した。残留電位、光メモリ、画像流れは、実施例1と同様に評価した。
【0231】
(光による特性劣化の評価)
光による特性劣化の評価方法は、電子写真装置の現像器位置にセットした表面電位計(TREK社Model 344)の電位センサーにより表面電位が−400V(暗電位)になるように帯電器の電流値を調整した後、像露光(波長655nmの半導体レーザー)を照射し、像露光光源の光量を調整して、表面電位が−50V(明電位)となるようにし、そのときの露光量を感度とした。さらに、作製した感光体を室内光に24時間曝した後、上記条件により感度を測定し、作製直後(反応容器から取り出して室内光に照射されている時間が15分以内)からの変化を「光による特性劣化」として評価した。この「光による特性劣化」とは、作製直後と室内光を24時間曝した後の感度の差を作製直後の感度でわった値とした。従って、作製直後と24時間後の感度の差が少ないほど、光による特性劣化が良好であることを示す。
【0232】
実施例8の相対評価
実施例8の各条件によって得られた残留電位、光メモリ、画像流れ及び光による特性劣化に関して、下記に示す相対評価を行い、結果を表35に示した。
【0233】
[残留電位、光メモリ、画像流れ、光による特性劣化]
◎:実施例8の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を8Aの条件で評価して得られた測定値と比較して20%以上の特性向上。
○:実施例8の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を8Aの条件で評価して得られた測定値と比較して10〜20%の特性向上。
△:実施例8の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を8Aの条件で評価して得られた測定値と比較して同等の特性。
×:実施例8の電子写真装置の各評価によって得られた測定値を8Aの条件で評価して得られた測定値と比較して特性低下。
【0234】
【表35】
Figure 2004029297
【0235】
実施例8の結果、上記表35より8Aから8Gの条件でのσ×t/dの値は、4.2×10−15〜3.4×10−12の範囲であった。また、コントラスト及び光による特性劣化は上部阻止層のシリコン原子と炭素原子の和に対する炭素原子の含有量が多くなると良好となったが、逆に光メモリは、少なくなると良好となった。画像流れに関しては、全ての条件でほぼ同等の値であった。この結果より、8Cから8Fの条件で作製することにより負帯電用電子写真感光体として好ましい特性が得られ、特に、8Dから8Fの条件では最適な負帯電用電子写真感光体が得られた。
【0236】
以上の結果より、表33及び表34の各条件により作製した負帯電用電子写真感光体を電子写真装置に組み込み、上記条件により評価したところ、σ×t/dの値は1.4×10−15〜1.4×10−11の範囲内にあり、全ての条件において良好な負帯電用電子写真感光体特性が得られたが、上部阻止層のシリコン原子と炭素原子の和に対する炭素原子の含有量を変化させることでこの特性に変化がみられた。このことから、σ×t/dの値を1.4×10−15〜1.4×10−11の範囲とし、更に上部阻止層のシリコン原子と炭素原子の和に対する炭素原子の含有量を0.05≦C/(Si+C)≦0.60にすることでより優れた負帯電用電子写真感光体特性が得られることが分かった。
【0237】
【発明の効果】
本発明により、上記上部阻止層の層厚d及び暗導電率σと負帯電用電子写真感光体上に像露光が照射され、その照射部分が現像器の中心まで移動するためにかかる時間tの関係を適正な範囲に調整することにより、これまでの負帯電用電子写真感光体を用いた電子写真装置に比べ、プロセス条件を緩和しつつ、残留電位、光メモリ及び画像流れを低減することができ、良好な画像を形成することが可能な電子写真装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の好適な実施態様例の層構成を説明するための模式的層構成図である。
【図2】a−Si系感光体を用いた電子写真装置の一従来例の要部を示す模式的な構成図である。
【図3】プラズマCVD法による電子写真感光体を製造する真空処理装置の第一の模式的な構成図の一例である。
【図4】本発明のa−Si系感光体を用いた電子写真装置の一実施例を示す模式的な構成図である。
【図5】プラズマCVD法による電子写真感光体を製造する真空処理装置の第二の模式的な構成図の一例である。
【図6】テストチャートの一例を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1000・・・・・・・・・・電子写真感光体
1001・・・・・・・・・・支持体
1002・・・・・・・・・・光受容層
1003・・・・・・・・・・光導電層
1004・・・・・・・・・・上部阻止層
1005・・・・・・・・・・表面層
1006・・・・・・・・・・下部阻止層
1007・・・・・・・・・・第二表面層
2001・・・・・・・・・・a−Si系感光体
2002・・・・・・・・・・帯電器
2003・・・・・・・・・・像露光
2004・・・・・・・・・・現像器
2005・・・・・・・・・・転写帯電器
2006・・・・・・・・・・分離帯電器
2007・・・・・・・・・・クリーニング装置
2008・・・・・・・・・・除電光
3100・・・・・・・・・・堆積装置
3111・・・・・・・・・・反応容器
3112・・・・・・・・・・排気管
3113・・・・・・・・・・円筒状支持体
3114・・・・・・・・・・電極
3115・・・・・・・・・・マッチングボックス
3116、3117・・・・・高周波電源
3118・・・・・・・・・・原料ガス導入管
3119・・・・・・・・・・放電空間
3120・・・・・・・・・・発熱体
3121・・・・・・・・・・回転軸
3122・・・・・・・・・・減速ギア
3123・・・・・・・・・・モータ
4001・・・・・・・・・・電子写真感光体
4002・・・・・・・・・・帯電器
4003・・・・・・・・・・像露光
4004・・・・・・・・・・現像器
4004a・・・・・・・・・現像剤(トナー)
4005・・・・・・・・・・送りローラー
4006・・・・・・・・・・転写帯電器
4007・・・・・・・・・・分離帯電器
4008・・・・・・・・・・搬送ベルト
4009・・・・・・・・・・弾性ローラー
4010・・・・・・・・・・クリーニングブレード
4011・・・・・・・・・・クリーナー
4012・・・・・・・・・・除電光
4013・・・・・・・・・・転写材
5001・・・・・・・・・・ガラス基板
5002・・・・・・・・・・サンプルホルダー
5003・・・・・・・・・・電極

Claims (5)

  1. 導電性支持体上に少なくとも光導電層、上部阻止層を順次積層させた負帯電用電子写真感光体と、帯電手段と像露光手段と現像手段とを少なくとも有する負帯電用電子写真装置であって、
    該負帯電用電子写真感光体の該上部阻止層の層厚をd(μm)、該負帯電用電子写真感光体上に像露光が照射された後該照射部分が現像器の中心まで移動するまでの時間をt(sec)、且つ該上部阻止層の暗導電率をσ(S/cm)とした時、t、σ及びdの関係が下記の条件を満たすことを特徴とする電子写真装置。
    0.01≦d≦2.0
    1.4×10−15≦σ×t/d≦1.4×10−11
  2. 負帯電用電子写真感光体の光導電層は少なくともシリコン原子を母材とする非晶質材料から構成され、上部阻止層は少なくともシリコン原子と炭素原子を母材とする非晶質材料で構成される請求項1に記載の電子写真装置。
  3. 負帯電用電子写真感光体の上部阻止層が、周期律表第13族に属する原子をシリコン原子と炭素原子の和に対して100原子ppm以上含有する請求項1又は2に記載の電子写真装置。
  4. 負帯電用電子写真感光体の上部阻止層が、周期律表第13族に属する原子をシリコン原子と炭素原子の和に対して30000原子ppm以下含有する請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真装置。
  5. 負帯電用電子写真感光体の上部阻止層に含有されるシリコン原子(Si)と炭素原子(C)の和に対する炭素原子(C)の含有量の比C/(Si+C)が、0.05〜0.60である請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真装置。
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