JP2004029251A - 反射型液晶素子を用いた投影装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反射型液晶素子A6で画像データに応じて変調された光は、偏光手段A4とクロスニコルの関係に配置される検光手段A7に入射して検光される。表示する画像データにより反射型液晶素子A6の液晶層が駆動されてオンとされたときには、検光手段A7は入射光を透過し、液晶層が駆動されずオフのときには、検光手段A7は入射光を吸収し、通過させない。位相差板A5は、一軸異方性があり、その光学軸が膜面に対して斜め方向に傾斜しており、また、その光学軸は、位相差板A5に隣接する偏光手段A4の透過軸と直交するように設定されている。これにより、PBSを用いることなく、明るい光学系を、安価に実現できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は反射型液晶表示素子を用いた投影装置に係り、特に色分離/色合成手段及び反射型液晶パネル等を用いて大画像表示を行う投影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各画素に反射電極を設け画素の開口率を向上させた反射型液晶パネルの研究が進み、この反射型液晶パネルを用いて投写型液晶プロジェクタに適用されるようになってきている。この反射型液晶パネルは、従来の透過型液晶パネルに比較して開口率が高くできるため、小型化/高効率の投影装置(プロジェクタ)を実現することができる。
【0003】
図24は、従来の反射型液晶素子を用いた投影装置の一例の構成図を示す。同図に示すように、投影装置である反射型プロジェクタ装置10は、大略すると光源11、偏光ビームスプリッタ(PBS)12、ダイクロイックプリズム14、反射型液晶パネル16R、16G、16B(Rは赤色、Gは緑色、Bは青色を示す)、及び投写レンズ17等により構成されている。
【0004】
上記構成において、光源11から出射した光束は、偏光ビームスプリッタ(偏光分離プリズム)12により直線偏光が抽出されると共に進行方向を90°曲げられ、ダイクロイックプリズム14に入射する。また、ダイクロイックプリズム14に入射した光は、赤色、緑色、青色(RGB)の各原色光にそれぞれ分離され出射し、各原色光に対応した各反射型液晶パネル16R、16G、16Bで反射された後、同じ光路を通って偏光分離プリズム12に再入射する。
【0005】
この際、各反射型液晶パネル16R、16G、16Bで画像変調された光のうち、液晶がオン状態の領域では偏光方向を90°回転されて反射するため、このオン状態領域に対応する反射光は偏光分離プリズム12を透過し、投写レンズ17からスクリーン(図示せず)に向け投写されて画像を形成する。
【0006】
しかるに、上記した従来の反射型プロジェクタ装置10では、高価な光学部品である偏光分離プリズム12を用いていたため、反射型プロジェクタ装置10のコストが上昇してしまうという問題がある。また、偏光分離プリズム12が偏光を分けるのに際して、光源11の光の広がり(例えば±12度の広がり)に対して良好に偏光を分けるのが難しいという問題点もある。
【0007】
これを解決する目的で、PBSを使わない光を斜めから入射させるようにした、反射型液晶素子を用いた投影装置が提案されている(特開2000−199883)。図25はこの提案になる投影装置の構成図を示す。同図において、投影装置である従来の反射型プロジェクタ装置20では、光源21から出射した光は、リフレクタ22により略平行光として反射されると共に、直接に第1の偏光板23に入射し、ここで直線偏光(S偏光あるいはP偏光)にされた後、色分離/色合成手段(ダイクロイックプリズム又はダイクロイックミラー)に入射する。色分離/色合成手段(ここではダイクロイックプリズム24)は、白色光をRGBの三原色光に分離し、反射型液晶パネル26G、26B、26Rに入射する。
【0008】
ここで、反射型液晶パネル26G、26B、26Rとして垂直配向型の液晶パネルを用いた場合、反射型液晶パネルに電圧が印加されておらず液晶分子が垂直に配向している状態においては、入射光の偏光状態は不変のまま反射型液晶パネル26G、26B、26Rで反射される。この場合、反射された光はダイクロイックプリズム24を再度通過した後、第1の偏光板23に対してクロスニコルの関係で投写レンズ27の手前に設置された第2の偏光板25で吸収されるため、投写レンズ27には投写されない。すなわち、黒表示を実現することになる。
【0009】
一方、反射型液晶パネル26G、26B、26Rに電圧が印加されて液晶分子が水平に倒れた状態においては、入射光の偏光状態は変化し、入射光は反射型液晶パネル26G、26B、26Rで反射される。この場合、反射された光はダイクロイックプリズム24を再度通過した後、第2の偏光板25を通過して投写レンズ27を介して投写される。すなわち白表示を実現することになる。
【0010】
色分離/色合成手段であるダイクロイックプリズム24は、光源21からの入射光をRGBの三原色に色分離して各々をそれぞれ反射型液晶パネル26G、26B、26Rに入射させる機能を有すると共に、反射型液晶パネル26G、26B、26Rから反射された光を色合成する機能を有する。入射する光の主軸は、反射型液晶パネル26G、26B、26Rの反射面に対してS波又はP波の状態で入射することが必須である。
【0011】
すなわち、これ以外の状態で光が入射した場合には、ダイクロイックプリズム24の反射特性の違いから、反射型液晶パネル26G、26B、26Rで反射してダイクロイックプリズムを2回通過した光の偏光状態は直線偏光ではなくなってしまい、良好な黒表示を得ることはできなくなってしまう。
【0012】
また、液晶分子の配向は、略垂直配向になり得ることが必須である。この投影装置においては、S波(P波)で入射した光は垂直配向した反射型液晶パネル26G、26B、26Rに入射した場合にその偏光状態は変化しない。すなわち、入射する直線偏光の偏光方向が垂直配向した液晶分子の光学軸に垂直又は平行になっているため、偏光状態が乱されるようなことは生じず、そのまま第2の偏光板25に達し、これに吸収されて黒表示が実現される。
【0013】
また、光学系カラー化の例として図26の様な投影装置が従来より知られている。同図(A)は反射型プロジェクタ装置30の平面図、同図(B)は反射型プロジェクタ装置30の側面図である。この従来の投影装置である反射型プロジェクタ装置30は、照射光を生成する光源21と、照明光を略平行光として反射するリフレクタ22と、照射光に所定の偏光特性(例えば、S偏光)を付与する偏光板31と、偏光により反射特性が異なる特性をもつダイクロイッククロスプリズム32と、ダイクロイッククロスプリズム32に入射する光を生成する色生成機能を有する偏光制御素子33と、ダイクロイッククロスプリズム32の近傍に配置される反射型表示素子34R,34G,34Bとから構成されている(光源21、リフレクタ22、偏光板31、偏光制御素子33は、照明系35を構成する)。また、反射型プロジェクタ装置30は投影レンズ36を有する。
【0014】
この反射型プロジェクタ装置30では、光源21から出た光が偏光板31によって直線偏光にされた後、色分解・合成系を通るため、ここで発生する複屈折により、出力にムラが出て、なおかつ得られるコントラストも低い。また、反射型表示素子34R,34G,34Bに用いられる液晶素子は、液晶分子の配向方向がほぼ垂直であることが要求され、この場合に電界を掛けた際に液晶分子の傾斜方向が狂いディスクリネーションの発生が激しく、微細な映像を出すとノイズが目立つ欠点があった。また、ダイクロイッククロスプリズム32と反射型表示素子34R,34G,34Bの影響により、干渉縞が、投射された像に現れるという欠点がある。
【0015】
また、同じく、高価なPBSを使わず、低コストでコントラスト比の良好な投影装置を実現することを目的として、特開2001−51270号公報記載の図27に示す投射装置40が提案されている。図27において、光源41から出射した略平行光L1は、集光レンズ42により集光光L2となり、偏光板43および多層複屈折素子44を通過し、表示素子45に斜め方向から入射する。
【0016】
表示素子45では、入射光が画像情報に応じて偏光方向を変調され、反射される。反射された光は、再度多層複屈折素子44および偏光板43を透過し、レンズ46を透過してスクリーン(図示せず)に到達し、画像が映し出される。
【0017】
この投影装置では、多層複屈折素子44の内、表示素子45に最も近い複屈折素子の進相軸と液晶の配向方向を合わせているので、斜めからの光に対する複屈折補償のための複屈折素子が不要となる技術が開示されている。この投影装置では、具体的にカラー画像の作成方法は示されていないが、色分解系を通った光が、偏光・検光手段を通り色合成系に入る構造と思われる。この点では、前述の従来の反射型プロジェクタ装置30と異なり、色分解合成系での複屈折の影響が無い光学系である。しかるに、この従来の投影装置40では、次の様な問題点がある。
【0018】
光を偏光または検光する手段が同一であるため、表示素子45の反射面からの影響が避けられず、投影画面上に、干渉縞が出てしまう。また、多層複屈折素子44は、広帯域の光波長において、厳密にλ/4波長の位相差を発生することが要求され、多層複屈折素子44を構成する複屈折素子のいずれかの特性が狂えば、その条件からずれてくるため、プロジェクタなどの光が照射され、光が強くなると急激に特性が悪くなる。特に、近年、素子の小型化が進み、光源41の利用効率が上がると、照射面での照度が高くなっており、この方法は上記の問題が顕著である。
【0019】
図27に示した特開2001−51270号公報記載の従来装置では、複屈折素子(位相差板)が、λ/4波長板であるが、それ以外の斜めに光学軸を持った複屈折光学材料を用いる投影表示装置も従来より提案されている(特開平9−197397号公報、特開2000−321576号公報)。
【0020】
また、位相差板を光学系の中に入れて、視野角特性等を改善する試みは数多くなされている。例えば、上記の特開平9−197397号公報記載の従来の投影装置では、傾斜した軸を持った位相差板を使用している。これは、反射型液晶パネルを用いたものではなく、透過型液晶パネルを用いたものであるが、液晶セルの両側に偏光手段と、検光手段を持った液晶パネルにおいて、法線より傾いた光学補償シートを挿入する。この従来装置では、正面から見た場合のコントラストを低下させることなく、左右、上下等の傾斜方向から見た場合のコントラストを改善することができることが開示されている。
【0021】
しかるに、この従来装置では、コントラストが100程度と低く、プロジェクタで要求される少なくとも500:1以上のコントラストのことを論議していない。また、液晶パネルが透過タイプであるので、液晶セルには、1回しか光が透過せず、液晶層を2回透過する際の特性のずれや、基板反射の影響などが、全く考慮されていない。
【0022】
また、特開2000−321576号公報には、ネマティック液晶を使った反射型アクティブマトリックス素子で、傾斜した位相差板を重ねた表示装置が開示されている。反射型液晶素子を使うため、高輝度で明るい表示ができ、また、高精細な画像を表示できる。このため、先に述べた特開平9−197397号公報記載の従来装置よりも進んでいる。しかるに、素子に入る光は、同じ位相差板を透過するため、得られるコントラストは、10以下で、とても、プロジェクタ素子に使えるレベルでは無い。
【0023】
また、従来、色分解合成系の手前で光路を分ける構成の光学系が文献(Journal of the SID 9/3,2001 p213; Matthew Bone,Front−projection optical designfor reflective LCoS technology)に提案されている。この光学系によれば、ランプから出た光は、色分解光学系によりRGBに分解された後、ポラライザーで偏光が整えられた後、反射型液晶素子に入射し反射された光は色合成の前で検光されるため、300〜500:1のコントラストを取ることができるといわれている。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記文献記載の光学系では、コントラストが高くなる垂直配向反射型液晶素子を使うと、思った程、コントラストが上がらず、また、投射画面上でコントラストの場所による差が大きいという問題がある。
【0025】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、投影装置として必要な高いコントラスト(500:1以上)が得られる反射型液晶素子を用いた投影装置を提供することを目的とする。
【0026】
また、本発明の他の目的は、PBSを使わない構成で、しかも干渉縞や左右ムラが殆ど生じない反射型液晶素子を用いた投影装置を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、光源より出射された光を色分解手段により色分解して得た3原色光を、偏光手段を透過させて、透明基板と反射基板の間に液晶層を挟持してなる反射型液晶素子に入射し、反射型液晶素子で画像データに応じて変調された反射型液晶素子からの反射光を、偏光手段とクロスニコルの関係に配置される検光手段により検光し、その検光手段により検光された光を投影レンズにより拡大投影する斜め投射光学系の、反射型液晶素子を用いた投影装置であって、偏光手段と反射型液晶素子との間、又は反射型液晶素子と検光手段との間に、一軸異方性があり、その光学軸が膜面に対して斜め方向に傾斜した位相差板が挿入され、位相差板の光学軸は、位相差板に隣接する偏光手段又は検光手段の透過軸と直交するように設定されている構成としたものである。
【0028】
この発明では、一軸異方性があり、その光学軸が膜面に対して斜め方向に傾斜した位相差板を、偏光手段と反射型液晶素子との間、又は反射型液晶素子と検光手段との間に挿入し、かつ、その位相差板の光学軸は、位相差板に隣接する偏光手段又は前記検光手段の透過軸と直交するように設定することにより、反射型液晶素子により反射され、検光手段により吸収される反射光の黒レベルを低下させることができる。また、偏光ビームスプリッタ(PBS)を用いることなく、偏光手段と検光手段により所定のP偏光又はS偏光だけを検光することができる。
【0029】
ここで、上記の反射型液晶素子は誘電異方性が負のネマティック液晶をほぼプレチルトの角度80度〜89度とし、かつ、入射偏光に対して方位角(45+90×n)度{ただし、nは整数の角度}に設定され、位相差板の光学軸は、入射するP偏光の振動面に平行に設定される。
【0030】
また、上記の偏光手段はS偏光を通過させる特性に設定され、位相差板は偏光手段と反射型液晶素子との間に設けられ、反射型液晶素子は誘電異方性が負のネマティック液晶をほぼプレチルトの角度80度〜89度とし、かつ、入射偏光に対して方位角(45+90×n)度{ただし、nは整数の角度}に設定され、位相差板の光学軸は、入射するS偏光の振動面に垂直な面に平行に設定される。
【0031】
また、上記の位相差板は、ディスコティック液晶を基本とする負の一軸異方性を有し、膜の上下でディスコティック液晶の傾きがほぼ同じで、そのプレチルト角が40度〜80度である構成としてもよいし、ディスコティック液晶を基本とする負の一軸異方性を有し、膜の上下でディスコティック液晶の傾きが変化しているときは、ディスコティック液晶の傾きが大きい方を、近接する偏光手段又は検光手段側に対向配置するようにしてもよい。
【0032】
また、本発明は、上記の位相差板を、近接する偏光手段又は検光手段と一体的に固定された構成とすることにより、余分な表面反射を無くし、透過率を上げることができる。
【0033】
また、本発明は、上記の位相差板を、表面に反射防止層が形成されたガラス板の裏面に接着されている構成とする。これにより、余分な界面反射を低減することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。図1(A)は本発明になる反射型液晶素子を用いた投影装置の第1の実施の形態のブロック図、図1(B)は本発明になる反射型液晶素子を用いた投影装置の第2の実施の形態のブロック図を示す。図1(A)において、光源A1より出射された光は、レンズ群A2を透過し、RGBの3原色光に色分解する色分解光学系A3を通して色分解された後、偏光手段A4及び位相差板A5をそれぞれ透過して、透明基板とアクティブマトリックス反射基板の間に液晶層を挟持してなる反射型液晶素子A6に入射する。
【0035】
この反射型液晶素子A6で画像データに応じて変調された光は、偏光手段A4とクロスニコルの関係に配置される検光手段A7に入射して検光される。ここで、表示する画像データにより反射型液晶素子A6の液晶層が駆動されてオンとされたときには、検光手段A7は入射光を透過し、液晶層が駆動されずオフのときには、検光手段A7は入射光を吸収し、通過させない。検光手段A7を通過した光は、色合成光学系A8で色合成された後、投影レンズA9により図示しないスクリーンに拡大投影される。
【0036】
なお、色分解光学系の後に偏光手段A4を持ち、色合成光学系A8の前に検光手段A7をもつことが必須である。光学系の設計の関係から、主なる偏光調整機能を色分解光学系A3の前に設置してもよいが、色分解光学系A3の後に必ず、色分解光学系A3で劣化した直線偏光の状態を良好とする偏光手段A4が必要である。
【0037】
上記の斜め投射光学系(オフアクシス(off−axis))において、偏光手段A4と反射型液晶素子A6との間に設けられた位相差板A5は、一軸異方性があり、その光学軸が膜面に対して斜め方向に傾斜しており、また、その光学軸は、位相差板A5に隣接する偏光手段A4の透過軸と直交するように設定されている。これにより、PBSを用いることなく、明るい光学系を、安価に実現できる。
【0038】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図1(B)のブロック図と共に説明する。図1(B)中、図1(A)と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。この第2の実施の形態では、上記の斜め投射光学系(オフアクシス(off−axis))において、反射型液晶素子A6と検光手段A7との間に、一軸異方性があり、その光学軸が膜面に対して斜め方向に傾斜しており、また、その光学軸は、検光手段A7の透過軸と直交するようにされた位相差板B1を挿入した点に特徴がある。これにより、PBSを用いることなく、明るい光学系を、安価に実現できる。
【0039】
【実施例】
次に、本発明の各実施例について説明する。図2(A)、(B)は本発明になる反射型液晶素子を用いた投影装置の第1の実施の形態に係る第1及び第2実施例の黒表示時及び白表示時の構成図を示す。図2(A)、(B)において、本発明の第1実施例の反射型液晶素子を用いた投影装置50は、反射型液晶素子51への入射光光路上に入射光から直線偏光を取り出す第1の偏光板52aと、軸方向が傾斜した構造を持つ位相差板53が設けられ、また、反射型液晶素子51からの反射光光路上には、第2の偏光板(検光子)52bが設けられている。
【0040】
反射型液晶素子51は、対向配置された透明基板54と反射基板55とを有し、その間に液晶層56が挟持された構成を持つ。なお、図示しないが、透明基板54の対向表面には、共通電極である透明電極が形成されており、反射基板55の対向表面には、画素毎に形成されたMOSトランジスタ、又はTFT等の駆動回路と、反射電極とが複数マトリクス状に形成されている。画素サイズとしては、例えば10μm×10μm角程度微細な画素が形成されている。
【0041】
液晶層56を構成する液晶分子としては、垂直配向型の負の誘電異方性を有するネマティック液晶がある。液晶層56に接する透明基板54および反射基板55の表面には液晶分子に配向を付与するため、例えばラビング処理されたポリイミド膜からなる配向膜(図示せず)が形成されており、初期状態の液晶分子に例えば約80〜89度のチルト角および偏光板の偏光軸に対し約45度の面方位角を付与している。
【0042】
また、図2(A)は各画素電極に電界をかけない状態(初期状態)で黒を表示するノーマリブラック(NB)モードを示しており、液晶層56がオフであり、同図(B)は白を表示するモードで、液晶層56がオンに駆動されたときの状態を示す。
【0043】
次に、本実施例の動作について説明する。図2(A)、(B)において、図示しない光源から出射された光はまず、第1の偏光板52aにより、P偏光のみが取り出され、この後、軸方向が傾斜した位相差板53によって変調された後、反射型液晶素子51に入射される。軸方向が傾斜した位相差板53の光軸は、入射するP偏光が振動する面内に揃えられる。傾斜した軸を持った位相差板53は、例えば、特開平9−197397号公報や特開2000−321576号公報で開示された、ディスコティック液晶を基板上に、配列したもの等が用いられる。
【0044】
反射型液晶素子51に入射した光は、液晶層56を通過し反射基板55上の反射電極により反射され、さらに液晶層56及び透明基板54を通過して出射されて第2の偏光板(検光子)52bに入射する。
【0045】
ここで、各画素電極に電界をかけず液晶層56がオフのときには、入射光の偏光状態は不変のまま反射基板56で反射される。この場合、反射された光は投影レンズ57の手前に設置された第2の偏光板(検光子)52bで吸収されるため、図2(A)に示すように投影レンズ57には入射されない。すなわち、黒表示を実現する。他方、各画素電極に電界をかけて液晶層56をオンに駆動したときには、反射型液晶素子51の入射光の偏光状態は回転されて反射基板56で反射される。この場合、反射された光は図2(B)に示すように、第2の偏光板(検光子)52bを通過して投影レンズ57を経て図示せぬスクリーン上に拡大投影される。
【0046】
ここで、液晶層56のプレチルト角が85度の場合の例について説明する。傾斜した軸を持った位相差板53の特性としては、例えば、基板側の角度4度、表面側の角度80度のものが用いられる。この傾斜した軸を持った位相差板53のみを、クロスニコル状態に置かれた光学系に挿入して測定した透過率の変化を図3に示す。同図中、縦軸は透過率、横軸は極角を示す。同図に示すように、極角が−60度付近で透過率が最大、極角が35度付近で透過率が最小の特性である。
【0047】
この位相差板53を使った実際のシステム系において、シミュレーションで得られた視野角特性は、図4に示すように、方位角90度で極角15〜20度付近の黒レベルが小さくなっていることが分かる。
【0048】
液晶層56への光の入射角を、約12度、投影レンズのF値は2.4(この場合のレンズ取り込み角は約12度であるため、視野角で極角0〜24度、方位角258〜272度の範囲の光が取り込まれることとなる。)で、スクリーンに投影した時のコントラストは、約650:1で、左右のコントラスト傾斜(左右ムラ)も無く均一な表示ができた。また、表面や界面内部反射に伴う干渉現象も観察されなかった。
【0049】
次に、本発明の第2実施例について説明する。本実施例の構成は図2に示した第1実施例と同様であるが、傾斜した軸を持った位相差板53として、例えば、基板側の角度10度、表面側の角度70度のものを用いた点に特徴がある。本実施例の視野角特性は、図5に示すように、方位角90度方向で極角10度付近(図5中、点線の円は極角20度単位の円で、最小径の円が極角20度を示す:以下同様)の黒レベルの方位角方向の視野角が広がっていることが分かる。同様に、スクリーン上に投影した時のコントラストは、約600:1で左右のコントラスト傾斜も無く均一であった。また、表面や界面内部反射に伴う干渉現象も観察されなかった。
【0050】
軸方向が傾斜した位相差板53が挿入されていない場合を第1の比較例とし、その第1の比較例と本実施例との違いについて説明する。なお、この第1の比較例の構成は、位相差板53が無いことを除き、その他の構成は図2の構成と同一である。この第1の比較例では、実際に投影された画面では、左右方向黒レベルの傾斜現象が見られた。コントラストの高い所で、700:1であるが、コントラストの低い所は300:1であった。また、表面や界面内部反射に伴う干渉現象も観察されなかった。
【0051】
この第1の比較例の視野角特性は図6で示される。図6の視野角特性は、液晶に電圧がかかっていない黒表示の場合に、液晶のプレチルト角があると、コントラストの取れる位置が中心部にあることを示しており、偏光方向と、それに直交する方向でコントラストが高いが、偏光方向と特に45度となす、斜め方向からの光の入射角度では、急激に光が漏れて来て、黒レベルが上昇し、かつ、コントラストが低下してしまう。
【0052】
また、光入射の方位角90度(斜め下から入射し反射した光を斜め上から観察した場合に相当)からの部分で見ると、極角が小さくなると(光を斜めに入射させていくと)方位角のずれに応じて得られる黒レベルが変わっていることが分かる。これは、投射した画面上で、左右方向に黒レベルの傾斜があることを意味し、左右でコントラストの傾斜を持つことになる。この現象は、色合成をした時に、3枚のパネルの特性が一致しないため、色むらとして観察され、非常に目立つこととなる。
【0053】
なお、図7は視野角特性の重要ポイントを示す。同図に示すように、通常(オンアクシス)は、光を垂直に入れて垂直に出すので、円の中央部分の特性が重要であるが、オフアクシスでは、斜めに光を入射するので、その部分の特性が重要となる。通常、入射する光は平行光が望ましいが、どうしても光を集めて照射するため、光は(逆)円錐状となって照射される。円錐の広がり角をコーンアングルといい、この角度の光の範囲の特性が重要となる。
【0054】
例えば、コーンアングル15度の光が、上記オンアクシスの場合は光の中心が極角0度(丁度中央)で、コーンアングルを含めると、極角15度(半径15)の円内が重要な部分になる。オフアクシスの場合に、例えば方位角270度の方向から、極角16度で(垂直から16度傾けて)光を入射させた場合を考えると、反射した光、つまり方位角90度、極角16度を中心とする図7に示す楕円内がその範囲になる。この観点で見ると、実施の形態では、その部分の黒が良好になっていることが分かる。
【0055】
このように、上記実施例によれば、PBSを使わないため明るく、安価な光学系が実現でき、また、素子に斜めに光を入れる必要があるが、その入射角度周囲のみの所で最適になる様に調整できるので、極めて高いコントラストが得られる。更に、上記実施例によれば、偏光板の条件が緩やかであり、偏光手段(第1の偏光板52a)と反射型液晶素子の表面や界面等からの反射に起因する検光手段(第2の偏光板52b)は、独立したクロスニコル関係にあるので、干渉縞が画面に投影されることは無い。また、色分解後に偏光手段と検光手段を持ち、検光した後色合成を行うため、色分解・合成系での複屈折による、偏光の純度低下の問題がなく、熱等に対して安定であるという特長がある。
【0056】
ところで、上記の第1及び第2実施例では、斜めに傾斜した一軸異方性を有する位相差板53を、入射P偏光の振動面と平行にしたため、位相差板53のリターデーション(屈折率差と膜厚の積)の範囲が狭く、また、得られる視野角の特性が狭い。そこで、以下説明する本発明の第3実施例では、入射する偏光をS偏光とし、斜めに傾斜した一軸異方性を有する位相差板を、入射S偏光の振動面と直交する面と平行とする。
【0057】
以下、図を参照して、本発明の第3実施例について説明する。図8(A)、(B)は本発明になる反射型液晶素子を用いた投影装置の第3実施例の黒表示時及び白表示時の構成図を示す。図8(A),(B)において、本発明の第3実施例に係る反射型液晶素子を用いた投影装置60は、反射型液晶素子61への入射光光路上に入射光から直線偏光を取り出す第1の偏光板62aと軸方向が傾斜した構造を持つ位相差板63とが設けられ、また、反射型液晶素子61からの反射光光路上には、第2の偏光板(検光子)62bが設けられている。
【0058】
反射型液晶素子61は、対向配置された透明基板64と反射基板65とを有し、その間に液晶層66が挟持された構成を持つ。なお、図示しないが、透明基板64の対向表面には、共通電極である透明電極が形成されており、反射基板65の対向表面には、画素毎に形成されたMOSトランジスタ、又はTFT等の駆動回路と、反射電極とが複数マトリクス状に形成されている。画素サイズとしては、例えば10μm×10μm角程度微細な画素が形成されている。
【0059】
液晶層66を構成する液晶分子としては、垂直配向型の負の誘電異方性を有するネマティック液晶が使用される。液晶層66に接する透明基板64および反射基板65の表面には液晶分子に配向を付与するため、例えば蒸着配向されたシリコン酸化物からなる配向膜(図示せず)が形成されており、初期状態の液晶分子に例えば約80〜89度のチルト角および偏光板の偏光軸に対し約45度の両方位角を付与している。図8(A)は、各画素電極に電界をかけない状態(初期状態)で黒を表示するノーマリブラック(NB)モードを示している。図8(B)は白を表示するモードを示している。
【0060】
次に、本実施例の動作について説明する。図8(A)、(B)において、図示しない光源から出射された光は、まず、図示しない色分解光学系により、RGBの三原色光に分解された後、第1の偏光板62aにより、S偏光のみが取り出され、この後、軸方向が傾斜した位相差板63によって変調された後、反射型液晶素子61に入射される。軸方向が傾斜した位相差板63の光軸は、入射するS偏光が振動する面内に揃えられる。傾斜した軸を持った位相差板63は、例えば、特開平9−197397号公報や特開2000−321576号公報で開示された、ディスコティック液晶を基板上に、配列したもの等が用いられる。この位相差板63の好ましい形態は次の通りである。
【0061】
(1)光学位相板が、透明支持体及びその上に設けられたディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方層からなる。
【0062】
(2)光学異方層のディスコティック構造単位の円盤面が、透明支持体面に対して傾いており、かつ、このディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化している。
【0063】
(3)光学補償シート全ての下記で表されるリターデーションの合計の絶対値Re1と、液晶層の下記で表されるリターデーションの絶対値Re2とが、下記の関係:
0.4×Re2≦Re1≦1.0×Re2 ▲1▼
[但し、上記光学補償シートのリターデーションは
{n1−(n2+n3)/2}×d ▲2▼
(上式中、n1、n2及びn3は、上記光学補償シートの3軸方向屈折率を表わし、それぞれこの順に小さい屈折率を有し、dは上記光学補償シートのnm換算の厚さを表わす)により定義され、そして上記液晶層のリターデーションは、
{m3−(m1+m2)/2}×d’ ▲3▼
(上式中、m1、m2及びm3は、上記液晶層の3軸方向屈折率を表わし、それぞれこの順に小さい屈折率を有し、d’は上記液晶層のnm換算の厚さを表わす)により定義される]を満足する。
【0064】
再び図8に戻って説明するに、反射型液晶素子61に入射した光は、液晶層66を通過し反射基板65上の反射電極により反射され、さらに液晶層66及び透明基板64を通過して出射されて第2の偏光板(検光子)62bに入射する。
【0065】
ここで、各画素電極に電界をかけず液晶層66がオフのときには、入射光の偏光状態は不変のまま反射基板66で反射される。この場合、反射された光は投影レンズ67の手前に設置された第2の偏光板(検光子)62bで吸収されるため、図8(A)に示すように投影レンズ67には入射されない。すなわち、黒表示を実現する。他方、各画素電極に電界をかけて液晶層66をオンに駆動したときには、反射型液晶素子61の入射光の偏光状態は回転されて反射基板66で反射される。この場合、反射された光は図8(B)に示すように、第2の偏光板(検光子)62bを通過して投影レンズ67を経て図示せぬスクリーン上に拡大投影される。
【0066】
ここで、液晶層66のプレチルト角85度の場合の例について説明する。傾斜した軸を持った位相差板63の特性としては、例えば、基板側の角度4度、表面側の角度80度、膜面方向のリターデーションが約107nmのものが用いられる。この傾斜した軸を待った位相差板のみの軸方向を含む面の角度に対する透過率の変化を図9に示す。同図中、縦軸は透過率、横軸は極角を示す。同図に示すように、極角が−55度付近で透過率が最大の特性である。S偏光は基板側より入射される。
【0067】
この位相差板63を使った実際のシステム系において、シミュレーションで得られた視野角特性は、図10に示すように、方位角90度で極角15〜20度付近の黒レベルが小さくなっていることが分かる。液晶層66への光の入射角は、約12度、投影レンズのF値は2.4(この場合のレンズ取り込み角は、約12度であるため、視野角で極角0〜24度、方位角78〜102度の範囲の光が取り込まれることとなる。)で、スクリーンに投影した時のコントラストは、約1000:1で、左右のコントラスト傾斜も無く均一な表示ができた。また、表面や界面内部反射に伴う干渉現象も観察されなかった。
【0068】
なお、負の誘電異方位をもつ液晶を垂直配向させた際の液晶のチルトの方向は、入射偏光に対して方位角(45+90×n);{nは整数の角度}に設定された場合が、液晶に電圧をかけた時の明るさが最も明るくなる。但し、45度と135度にとるよりも、225度、315度にとる方が、黒のレベルが下がるのでより好ましい。
【0069】
上記光学補償シートのリターデーションは、前記▲2▼式により定義され、そのリターデーションRe1は107nmである。そして、上記液晶層66のリターデーションは、前記▲3▼式により定義されるが、この場合は、Re2が267nmであった。Re1は、Re2の0.40倍であった。
【0070】
図11(A)〜(G)に、Re1/Re2=0.13〜0.8の場合の視野角特性図を示すが、この比の値は小さいと効果が無く、大きすぎると逆に悪くなるため、好ましくは、0.2〜0.5の範囲が望ましい。また、液晶のプレチルトを85度、液晶の方位角を45度としたとき、液晶層のリターデーションRe2は267nmである。負の光学一軸異方性を持つ位相板の構成及び、リターデーションRe1はこの条件での最適値は86nmである。光の入射は、P偏光である。
【0071】
次に、この第3実施例において、軸方向が傾斜した位相差板63が、挿入されていない場合を第2の比較例として示す。他の光学的配置は、前記第3実施例及び前記第1の比較例と同一である。実際に投影された画面では、左右方向黒レベルの傾斜現象が見られた。コントラストの高い所で、700:1であるが、コントラストの低い所は300:1であった。また、表面や界面内部反射に伴う干渉現象は観察されなかった。
【0072】
この第2の比較例の視野角特性は図12に示される。図12に示す視野角特性から分かるように、液晶に電圧がかかっていない黒表示の場合に、液晶のプレチルト角があると、コントラストのとれる位置が中心部にあり、偏光方向と、それに直交する方向で、コントラストが高いが、偏光方向と特に45度となす、斜め方向からの光の入射角度では、急激に光が漏れて来て黒レベルが上昇し、かつ、コントラストが低下してしまう。
【0073】
また、方位角90度(斜め下方位角270度から入射した場合に相当)の部分で見ると、極角が小さくなると(光を斜めに入射させていくと)、方位角のずれに応じて得られる黒レベルが変わっていることが分かる。これは、投射した画面上で、左右方向に黒レベルの傾斜があることを意味し、左右でコントラストの傾斜を持つことになる。この現象は、色合成をした時に、3枚のパネルの特性が一致しないため、色むらとして観察され、非常に目立つこととなる。
【0074】
これに対し、本実施例では、入射光にS偏光を用い、光学的に負の一軸異方性を持ち、それが斜めに傾斜した位相差板63を入射S偏光の振動方向と直交する面と平行とすることによって、図10の視野角特性に示したように、黒のレベルが下がり、かつ、コントラストが高くなり、コントラストがとれる角度範囲が広がる。
【0075】
次に、本発明の第4実施例について説明する。図13(A)、(B)は本発明になる反射型液晶素子を用いた投影装置の第2の実施の形態に係る第4実施例の黒表示時及び白表示時の構成図を示す。図13(A),(B)において、本発明の第4実施例の反射型液晶素子を用いた投影装置70は、反射型液晶素子71への入射光光路上に入射光から直線偏光を取り出す第1の偏光板72aが設けられ、また、反射型液晶素子61からの反射光光路上には、軸方向が傾斜した構造を持つ位相差板76と第2の偏光板(検光子)72bとが設けられている。
【0076】
反射型液晶素子71は、対向配置された透明基板74と反射基板75とを有し、その間に液晶層76が挟持された構成を持つ。なお、図示しないが、透明基板74の対向表面には、共通電極である透明電極が形成されており、反射基板75の対向表面には、画素毎に形成されたMOSトランジスタ、又はTFT等の駆動回路と、反射電極とが複数マトリクス状に形成されている。画素サイズとしては、例えば10μm×10μm角程度微細な画素が形成されている。
【0077】
液晶層76を構成する液晶分子としては、垂直配向型の負の誘電異方性を有するネマティック液晶が使用される。液晶層76に接する透明基板74および反射基板75の表面には液晶分子に配向を付与するため、例えば蒸着配向されたシリコン酸化物からなる配向膜(図示せず)が形成されており、初期状態の液晶分子に例えば約80〜89度のチルト角および偏光板の偏光軸に対し約45度の両方位角を付与している。図13(A)は、各画素電極に電界をかけない状態(初期状態)で黒を表示するノーマリブラック(NB)モードを示している。図13(B)は白を表示するモードを示している。
【0078】
次に、本実施例の動作について説明する。図13(A)、(B)において、図示しない光源から出射された光は、まず、図示しない色分解光学系により、RGBの三原色光に分解された後、第1の偏光板72aにより、P偏光のみが取り出され、反射型液晶素子71に入射される。反射型液晶素子71に入射した光は、液晶層76を通過し反射基板75上の反射電極により反射され、さらに液晶層76及び透明基板74を通過して出射された後、軸方向が傾斜した位相差板76によって変調される。軸方向が傾斜した位相差板76の光軸は、入射するP偏光が振動する面内に揃えられる。傾斜した軸を持った位相差板76は、例えば、特開平9−197397号公報や特開2000−321576号公報で開示された、ディスコティック液晶を基板上に、配列したもの等が用いられる。
【0079】
この位相差板76を通過したP偏光は第2の偏光板(検光子)72bに入射する。ここで、各画素電極に電界をかけず液晶層76がオフのときには、入射光の偏光状態は不変のまま反射基板76で反射される。この場合、反射された光は投影レンズ77の手前に設置された第2の偏光板(検光子)72bで吸収されるため、図13(A)に示すように投影レンズ77には入射されない。すなわち、黒表示を実現する。他方、各画素電極に電界をかけて液晶層76をオンに駆動したときには、反射型液晶素子71の入射光の偏光状態は回転されて反射基板76で反射される。この場合、反射された光は図13(B)に示すように、第2の偏光板(検光子)72bを通過して投影レンズ77を経て図示せぬスクリーン上に拡大投影される。
【0080】
ここで、液晶層76のプレチルト角85度の場合の例について説明する。傾斜した軸を持った位相差板76の特性としては、例えば、基板側の角度4度、表面側の角度80度、膜面方向のリターデーションが約142nm、方位角270度のものが用いられる。位相差板76への光は、チルト角が大きい側から入射される。
【0081】
図14(A)は本発明の第4実施例における位相差板76の光学軸Iと、反射型液晶素子71の液晶配向方向IIとの平面方向から見た関係を示し、同図(D)は第4実施例の構成と入射光の振動方向と液晶配向方向等を、反射型液晶素子71及び位相差板76等の断面方向から見た関係を示し、同図(B)は同図(D)中の位相差板の詳細構成を示す。図14(D)において、第1の偏光板72aに入射する光は、紙面と平行な振動面IIIで振動するP偏光が取り出され、液晶配向方向(液晶方位角45度)IIの反射型液晶素子71に入射する。
【0082】
この反射型液晶素子71で反射された光は、位相差板76に入射する。この位相差板76は、図14(B)に拡大図示するように、ディスコティック液晶のような円盤状の液晶分子で構成されている場合に、その液晶分子は78で示すように配置されており、また光学軸が矢印77で示す方向に配置されている。位相差板76を透過した偏光は、第2の偏光板72bにより紙面と垂直方向に振動するS偏光を透過する。
【0083】
この位相差板76を使った実際のシステム系において、シミュレーションで得られた視野角特性は、図14(C)に示すように、方位角90度で極角15〜20度付近の黒レベルが小さくなっていることが分かる。液晶層76への光の入射角は、約12度、投影レンズのF値は2.4(この場合のレンズ取り込み角は、約12度であるため、視野角で極角0〜24度、方位角78〜102度の範囲の光が取り込まれることとなる。)で、スクリーンに投影した時のコントラストは、約1000:1で、左右のコントラスト傾斜も無く均一な表示ができた。また、表面や界面内部反射に伴う干渉現象も観察されなかった。
【0084】
次に、本発明の第5実施例について説明する。図15(D)は本発明になる反射型液晶素子を用いた投影装置の第5実施例の要部構成図を示す。同図(D)中、図13及び図14(D)と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図15(D)に示す第5実施例は、前述した第4実施例と比較すると、軸が傾斜した位相差板81を液晶方位角45度の反射型液晶素子71からの反射光が第2の偏光板72bに至る光路上に設けられている点は同じであるが、位相差板81の光学軸が図15(A)にIで示され、かつ、その構造が同図(B)に82で示すように、光学軸が表面側から基板側方向に向いており、ディスクティック液晶のような円盤状の液晶分子83の並び方が異なる。
【0085】
ここで、液晶層76のプレチルト角85度の場合の例について説明する。傾斜した軸を持った位相差板81の特性としては、例えば、光出射側の角度80度、光入射側の角度4度、膜面方向のリターデーションが約107nmのものが用いられる。本実施例では、位相差板81への光はチルトが小さい側から入射される。
【0086】
この位相差板81を使った実際のシステム系において、シミュレーションで得られた視野角特性は、図15(C)に示すように、方位角90度で極角15〜20度付近のコントラストの向上が若干見られ、スクリーンに投影した時のコントラストは、約650:1であり、左右むらや干渉縞は見られなかった。
【0087】
次に、本発明の第6実施例について説明する。図16(C)は本発明になる反射型液晶素子を用いた投影装置の第6実施例の要部構成図を示す。同図(C)中、図8(A)、(B)と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図16(C)に示す第6実施例は、第2の実施の形態の実施例で、前述した第3実施例の第1の偏光板62aから反射型液晶素子61に至る反射型液晶素子61への入射光路上に設けられた位相差板63に代えて、反射型液晶素子61から第2の偏光板62bに至る反射型液晶素子61の反射光路上に位相差板86を設けた点に特徴がある。位相差板86以外の構成は第3実施例と同じである。すなわち、第1の偏光板62aは図16(C)に示すように振動方向が紙面に垂直な方向のS偏光のみを取り出し、第2の偏光板62bは図16(C)に示すように振動方向が紙面に平行な方向のP偏光のみを通過させる。
【0088】
反射型液晶素子61の液晶配向方向は、図16(A)にVで示される方位角225度であり、位相差板86の光軸は同図(A)にVIで示される。軸が傾斜した位相差板86は、光学軸が図16(C)に87で示すように表面側から基板側方向へ向いており、その特性としては、例えば、光出射側の角度4度、光入射側の角度80度、膜面方向のリターデーションが約107nmのものが用いられる。
【0089】
この位相差板86を使った実際のシステム系において、シミュレーションで得られた視野角特性は、図16(B)に示すように、方位角90度で極角15〜20度付近のコントラストの向上が全く見られず、スクリーンに投影した時のコントラストは、約20:1であった。ただし、左右むらや干渉縞は見られなかった。
【0090】
次に、本発明の第7実施例について説明する。図17(C)は本発明になる反射型液晶素子を用いた投影装置の第7実施例の要部構成図を示す。同図(C)中、図16(C)と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図17(C)に示す第7実施例は、前述した第6実施例と比較すると、軸が傾斜した位相差板91を液晶方位角225度の反射型液晶素子61からの反射光が第2の偏光板62bに至る光路上に設けられている点は同じであるが、位相差板91の光学軸が図17(A)にVIで示され、かつ、そのディスクティック液晶のような円盤状の液晶分子の並び方が異なる。
【0091】
ここで、軸が傾斜した位相差板91は、光学軸が図17(C)に92で示すように表面側から基板側方向へ向いており、また、その特性としては、例えば、光出射側の角度4度、光入射側の角度80度、膜面方向のリターデーションが約107nmのものが用いられる点は第6実施例の位相差板86と同じであるが、位相差板86の方位角が270度であるのに対し、この位相差板91の方位角は90度である点で相違する。
【0092】
この位相差板91を使った実際のシステム系において、シミュレーションで得られた視野角特性は、図17(B)に示すように、方位角90度で極角15〜20度付近のコントラストの向上が殆ど見られず、スクリーンに投影した時のコントラストは、約5:1であるが、左右むらや干渉縞は見られなかった。
【0093】
次に、本発明の第8実施例について説明する。図18(C)は本発明になる反射型液晶素子を用いた投影装置の第8実施例の要部構成図を示す。同図(C)中、図14(C)と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図18(C)に示す第8実施例は、第2の実施の形態に係る実施例で、図14に示した第4実施例における位相差板76の代わりに位相差板95を設けた点に特徴がある。この位相差板95は、光学軸が図18(C)に96で示すように、表面側(光入射側)から基板側(光出射側)に向いており、また、その特性としては、例えば、基板側(光出射側)の角度80度、表面側(光入射側)の角度4度、膜面方向のリターデーションが約107nmのものが用いられ、位相差板95への光は、位相差板76とは異なり、チルト角が小さい側から入射される。
【0094】
図18(A)は位相差板95の光学軸Iと、反射型液晶素子71の液晶配向方向IIとの関係を示す。この位相差板95を使った実際のシステム系において、シミュレーションで得られた視野角特性は、図18(B)に示すように、方位角90度で極角15〜20度付近のコントラストの向上が見られ、スクリーンに投影した時のコントラストは、約600:1であり、左右むらや干渉縞は見られなかった。
【0095】
次に、本発明の第9実施例について説明する。図19(C)は本発明になる反射型液晶素子を用いた投影装置の第9実施例の要部構成図を示す。同図(C)中、図18(C)と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図19(C)に示す第9実施例は、第2の実施の形態に係る実施例で、図18に示した第8実施例と比較すると、第8実施例で使用した反射型液晶素子71の代わりに反射型液晶素子61を用いる点に特徴があり、それ以外の構成は第8実施例と同一である。
【0096】
図19(A)はこの第9実施例の位相差板95の光学軸Iと、反射型液晶素子61の液晶配向方向VIとの関係を示す。この位相差板95を使った実際のシステム系において、シミュレーションで得られた視野角特性は、図19(B)に示すように、方位角90度で極角15〜20度付近のコントラストの向上が見られ、スクリーンに投影した時のコントラストは、第8実施例と同一の約600:1であり、左右むらや干渉縞は見られなかった。
【0097】
以上の第1乃至第9実施例と第2の比較例とを各特性及び得られた性能を、図20にまとめて示す。同図において、CRはコントラスト比(Contrast Ratio)、すなわち、白表示と黒表示の明るさの比率を示す。また、偏光板角度は、反射型液晶素子の入射平面をx軸とy軸の平面としたとき、水平方向のx軸を基準に反時計回りを正にとったときの角度で、入射光を直線偏光とした場合、その振動方向を含む面と、素子面のなす角を素子面上でx方向から数えた角度である。従って、方位角270度方向から(斜め下から)入射するP偏光の場合は、入射面と平行に光は振動するので、x軸とのなす角度、すなわち偏光面角度は90度となる。
【0098】
図21は軸が傾斜した位相差板と偏光板と入射光との各例を示す。図21(A)〜(E)において、位相差板101は、前述した第1〜第9実施例の位相差板53、63、76、81、87、91、95のいずれかを示し、膜面の厚さ方向でディスコティック液晶の分子が漸次傾斜した分子配列をとっていることを模式的に示す。
【0099】
すなわち、位相差板101(53、63、76、81、87、91、95)は、その光学軸が図21では紙面に平行であり、その膜面に対して光学軸が傾斜しているが、膜面からの厚さに応じて光学軸の傾斜角度が漸次変化している。なお、偏光板102、104、105、106は、前述した第1の偏光板62a又は第2の偏光板62b、72bに相当する。
【0100】
図21(A)は、位相差板101の光入射側又は光出射側に、S偏光を透過する特性の偏光板102が設けられ、かつ、光が103で示すように、位相差板101のディスコティック液晶分子を十分に横切るような角度で入射した例を示す。この第1の例は最も望ましいコントラスト比が得られる例で、前述した第3実施例及び第4実施例に相当する。また、このときの位相差板101の光学軸は紙面に平行であり、S偏光のみを透過させる特性の偏光板102の透過軸は紙面に垂直方向であり、両者は互いに直交する。
【0101】
図21(B)は、位相差板101の光入射側又は光出射側に、S偏光を透過する特性の偏光板104が設けられ、かつ、光が103で示すように、位相差板101のディスコティック液晶分子を十分に横切るような角度で入射した例を示す。ただし、この例は偏光板104が位相差板101のディスコティック液晶分子が表面に対してほぼ平行に配列されている側に配置されている点で、図21(A)に示した第1の例と異なる。この第2の例は、望ましいコントラスト比が得られる例で、前述した第5、第8、第9実施例に相当する。
【0102】
また、図21(C)は、位相差板101の光入射側又は光出射側に、P偏光を透過する特性の偏光板105が設けられ、かつ、光が103で示すように、位相差板101のディスコティック液晶分子を十分に横切るような角度で入射した例を示す。この第3の例は十分なコントラスト比が得られない望ましくない例で、前述した第6実施例に相当する。
【0103】
更に、図21(D)は、位相差板101の光入射側又は光出射側に、S偏光又はP偏光を透過する特性の偏光板106が設けられ、かつ、光が107で示すように、位相差板101のディスコティック液晶分子を十分に横切らないような角度で入射した例を示す。この第4の例は最もコントラスト比が得られない最も望ましくない例で、前述した第7実施例に相当する。
【0104】
図21(E)は位相差板101の光入射側にP偏光を透過する特性の偏光板102が設けられ、かつ、光が103で示すように位相差板101のディスコティック液晶分子を十分に横切るような角度で入射した例を示す。この第5の例は、好ましいコントラストが得られる例で、前述した第1、第2実施例に相当する。
【0105】
このように、上記の第3、第4、第5、第8及び第9実施例では、位相差板の入射光にS偏光を用い、光学的に負の一軸異方性を持ち、それが斜めに傾斜した位相差板101(63、76、81、95)を、入射S偏光の振動方向と直交する面と平行とすることによって、黒のレベルが下がり、かつ、コントラストが高くなり、コントラスト比が十分にとれる角度範囲を広げることができる。
【0106】
ところで、以上の実施例では、傾斜軸を持った位相差板の構成が光の入射側と出射側で傾き角が異なる場合についてのみ記述している。以下の第10〜第29実施例では位相差板の構成が光の入射側と出射側で同じ傾き角でも良好なことを示す。また、液晶のプレチルト角の制限も含めて、第10〜第29実施例をまとめると、図22に示すようになる。なお、図22には前述した第2の比較例と第3及び第4実施例についても、比較のため示してある。
【0107】
図22において、第10〜第12実施例では、光源より出射された光を、RGBの3原色光に色分解する色分解手段を通して色分解された光を、第1の偏光板を透過させて、透明基板とアクティブマトリックス基板(反射基板)の間に液晶層を挟持してなる反射型液晶素子に照射し、表示する画像データに応じてこの反射型液晶素子で変調された光を、第1の偏光板とクロスニコルの関係に配置される第2の偏光板により検光した光を、投影レンズにより拡大投影する斜め投射光学系(オフアクシス)を有する投影装置において、1軸異方性があり、その光学軸が斜め方向に傾斜した位相差板が、反射型液晶素子と第2の偏光板との間に挿入されており、反射型液晶素子の液晶層のプレチルト角85度、液晶方位角45度であり、反射型液晶素子にはP偏光が入射され、第2の偏光板はS偏光を透過させる構成である点で共通であるが、上記の傾斜した軸を持った位相差板の特性が、基板側(光出射側)の角度と、表面側(光入射側)の角度が同一であるが、実施の形態毎に異なる(50度、40度又は30度)。ただし、位相差板の方位角は270度である。
【0108】
また、第13、第14実施例は、位相差板の基板側(光出射側)の角度が10度又は70度で、表面側(光入射側)の角度が70度又は10度異なる点が第10〜第12実施例と異なる。これら第10〜第14実施例では、いずれも左右のコントラスト傾斜も無く、均一な表示ができ、干渉縞も観察されなかった。
【0109】
また、図22に示すように、第15〜第26実施例は、上記の斜め投射光学系(オフアクシス)を有する投影装置において、1軸異方性があり、その光学軸が斜め方向に傾斜した位相差板が、第1の偏光板と反射型液晶素子との間に挿入されており、反射型液晶素子の液晶層のプレチルト角85度、液晶方位角225度であり、反射型液晶素子にはS偏光が入射され、第2の偏光板はP偏光を透過させる構成である点で共通であるが、位相差板の入射側のプレチルト角、出射側のプレチルト角、リターデーションが異なる。
【0110】
すなわち、第15〜第18実施例では、位相差板の入射側プレチルト角と出射側プレチルト角が共に50度であるが、リターデーションが互いに異なる。また、第19〜第26実施例は、位相差板の入射側プレチルト角と出射側プレチルト角がそれぞれ同一であるが、10度ずつ80度まで実施の形態毎に異なる。更に、第27〜第29実施例では、位相差板の入射側プレチルト角と出射側プレチルト角がそれぞれ70度で同一であるが、反射型液晶素子の液晶層のプレチルト角が第27実施例では80度、第28実施例では83度、第29実施例では89度と異なる。
【0111】
これらの結果、反射型液晶素子の液晶層のプレチルト角が89度よりも大きいと、画素電極に電圧がかかった時に液晶分子の傾く方向がばらばらになり、画像欠陥がでやすく、また、反射型液晶素子の液晶層のプレチルト角が83度以下では、軸が傾斜した位相差板で補償しても、コントラストが取れなくなると共に、コントラストの左右むらが生じることが分かった。従って、反射型液晶素子の液晶層のプレチルト角は83度から89度であることが望ましい。
【0112】
次に、本発明の更に他の実施の形態について説明する。図23(A)、(B)及び(C)は、本発明の他の実施の形態の要部の正面図、縦断面図、側断面図を示す。同図(A)〜(C)において、位相差板111の一方の面は接着層112を介して偏光板115に接着され、位相差板111の他方の面は接着層114を介してガラス板115の裏面に接着されている。ガラス板115の表面には反射防止層116が形成されている。また、位相差板111は、ディスコティック液晶を基本とする負の一軸異方性を持ち、その光学軸は、図23(B)に模式的に示すように膜面に対して傾斜しており、かつ、紙面に平行方向にあるのに対し、偏光板113の透過軸は、図23(A)に示すように図中上下方向、すなわち、位相差板111の光学軸に対しては直交するようにされている。
【0113】
本実施例によれば、位相差板111が偏光板113と一体に構成されることとなるため、余分な表面反射が無くなり、透過率を上げられるという特長がある。なお、この場合、偏光板113と位相差板111の接合方向は、一義的に決められる。また、位相差板111の上下で、ディスコティック液晶のプレチルト角が異なっている場合は、プレチルト角の大きい方を偏光板113の方に向けて接着する。更に、偏光板113の吸収と位相差板111の光学軸は、同一面にあることが望ましい。
【0114】
また、図23に示すように、位相差板111が、表面が反射防止処理されたガラス板115と接着層114を介して接着されているため、余分な界面反射を低減することができ、この結果、明るい投影が可能となる。また、表面の凹凸による屈折による像のボケ、ひずみを抑えることができる。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、以下の種々の特長を有するものである。
【0116】
(1)一軸異方性があり、その光学軸が膜面に対して斜め方向に傾斜した位相差板を、偏光手段と反射型液晶素子との間、又は反射型液晶素子と検光手段との間に挿入し、かつ、その位相差板の光学軸は、位相差板に隣接する偏光手段又は前記検光手段の透過軸と直交するように設定することにより、黒レベルを低下させることができるようにしたため、コントラスト比の高い投影画像を得ることができ、また、コントラストが十分にとれる角度範囲を拡大できる。
【0117】
(2)偏光ビームスプリッタ(PBS)を用いることなく、偏光手段と検光手段により所定のP偏光又はS偏光だけを検光することができるため、PBSを有する光学系に比し、明るい光学系を安価に実現できる。
【0118】
(3)PBSを使わないため、反射型液晶素子に斜めに光を入れる必要があるが、その入射角度周囲のみの所で最適になる様に調整できるので、極めて高いコントラスト比が得られる。
【0119】
(4)偏光手段を構成する偏光板の条件が緩やかであるため、各種の偏光板を適用できる。
【0120】
(5)偏光手段と検光手段は、独立しており、かつ、クロスニコル関係にあるので、干渉縞が画面に投影されることは無い。また、色分解後に、偏光手段と検光手段を持ち、検光した後、色合成を行う装置のような、色分解・合成系での複屈折や偏光の純度低下の問題がなく、熱等に対して安定である。
【0121】
(6)位相差板を、近接する偏光手段又は検光手段と一体的に固定された構成とすることにより、余分な表面反射を無くし、透過率を上げることができる。
【0122】
(7)位相差板を、表面に反射防止層が形成されたガラス板の裏面に接着された構成とすることにより、余分な界面反射を低減することができるため、明るい投影ができ、また、表面の凹凸による屈折による像のボケ、歪みを抑える事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の実施の形態のブロック図である。
【図2】本発明の第1及び第2実施例の投影装置を示す構成図である。
【図3】図2に示した傾斜した軸を持った位相差板のみの軸方向を含む面の角度に対する透過率の変化を示した図である。
【図4】図2に示した投影装置のシミュレーションで得られた、視野角特性図である。
【図5】本発明の第2実施例の視野角特性図である。
【図6】軸方向が傾斜した位相差板が挿入されていない比較例の視野角特性図である。
【図7】視野角特性の重要ポイント説明図である。
【図8】本発明の第3の実施例の投影装置の構成図である。
【図9】図8における傾斜した軸を待った位相差板のみの軸方向を含む面の角度に対する透過率の変化を示した図である。
【図10】図8に示した投影装置のシミュレーションで得られた視野角特性図である。
【図11】Re1/Re2=0.13〜0.8の場合の視野角特性図である。
【図12】比較例の視野角特性図である。
【図13】本発明の投影装置の第4実施例の構成図である。
【図14】本発明の第4実施例における位相差板の光学軸と反射型液晶素子の液晶配向方向との関係、位相差板の詳細構成、視野角特性及び本発明の第4実施例の構成図である。
【図15】本発明の第5実施例における位相差板の光学軸と反射型液晶素子の液晶配向方向との関係、位相差板の詳細構成、視野角特性及び本発明の第5実施例の構成図である。
【図16】本発明の第6実施例における位相差板の光学軸と反射型液晶素子の液晶配向方向との関係、視野角特性及び本発明の第6実施例の構成図である。
【図17】本発明の第7実施例における位相差板の光学軸と反射型液晶素子の液晶配向方向との関係、視野角特性及び本発明の第7実施例の構成図である。
【図18】本発明の第8実施例における位相差板の光学軸と、反射型液晶素子の液晶配向方向との関係、視野角特性及び本発明の第8実施例の構成図である。
【図19】本発明の第9実施例における位相差板の光学軸と、反射型液晶素子の液晶配向方向との関係、視野角特性及び本発明の第9実施例の構成図である。
【図20】本発明の第1〜第9実施例をまとめた結果を示す図である。
【図21】位相差板と偏光板との各例のうち、望ましい例を示す図である。
【図22】本発明の第10〜第29実施例をまとめた結果を示す図である。
【図23】本発明の他の実施の形態の構成図である。
【図24】従来の投影装置の一例を示す構成図である。
【図25】従来の投影装置の他の例の構成図である。
【図26】光学系カラー化の従来の投影装置の構成図である。
【図27】従来の投影装置の更に他の例の構成図である。
【符号の説明】
A1 光源
A2 レンズ群
A3 色分解光学系
A4 偏光手段
A5、B1、53、63、76、81、86、91、95、101、111 位相差板
A6、51、61、71 反射型液晶素子
A7 検光手段
A8 色合成光学系
A9、57 投影レンズ
50、60、70 本発明の実施例に係る投影装置
52a、62a、72a 第1の偏光板
52b、62b、72b 第2の偏光板(検光子)
54、64、73 透明基板
55、65、74 反射基板(電極)
56、66、75 液晶層
112、114 接着層
113 偏光板
115 ガラス板
116 表面反射防止層
Claims (7)
- 光源より出射された光を色分解手段により色分解して得た3原色光を、偏光手段を透過させて、透明基板と反射基板の間に液晶層を挟持してなる反射型液晶素子に入射し、前記反射型液晶素子で画像データに応じて変調された該反射型液晶素子からの反射光を、前記偏光手段とクロスニコルの関係に配置される検光手段により検光し、その検光手段により検光された光を投影レンズにより拡大投影する斜め投射光学系の、反射型液晶素子を用いた投影装置であって、
前記偏光手段と前記反射型液晶素子との間、又は前記反射型液晶素子と前記検光手段との間に、一軸異方性があり、その光学軸が膜面に対して斜め方向に傾斜した位相差板が挿入され、該位相差板の光学軸は、該位相差板に隣接する前記偏光手段又は前記検光手段の透過軸と直交するように設定されていることを特徴とする反射型液晶素子を用いた投影装置。 - 前記反射型液晶素子は誘電異方性が負のネマティック液晶をほぼプレチルトの角度80度〜89度とし、かつ、入射偏光に対して方位角(45+90×n)度{ただし、nは整数の角度}に設定され、前記位相差板の光学軸は、入射するP偏光の振動面に平行に設定されたことを特徴とする請求項1記載の反射型液晶素子を用いた投影装置。
- 前記偏光手段はS偏光を通過させる特性に設定され、前記位相差板は前記偏光手段と前記反射型液晶素子との間に設けられ、前記反射型液晶素子は誘電異方性が負のネマティック液晶をほぼプレチルトの角度80度〜89度とし、かつ、入射偏光に対して方位角(45+90×n)度{ただし、nは整数の角度}に設定され、前記位相差板の光学軸は、入射するS偏光の振動面に垂直な面に平行に設定されたことを特徴とする請求項1記載の反射型液晶素子を用いた投影装置。
- 前記位相差板は、ディスコティック液晶を基本とする負の一軸異方性を有し、膜の上下で該ディスコティック液晶の傾きがほぼ同じで、そのプレチルト角が40度〜80度であることを特徴とする請求項1記載の反射型液晶素子を用いた投影装置。
- 前記位相差板は、ディスコティック液晶を基本とする負の一軸異方性を有し、膜の上下で該ディスコティック液晶の傾きが変化しているときは、該ディスコティック液晶の傾きが大きい方を、近接する前記偏光手段又は前記検光手段側に対向配置することを特徴とする請求項1記載の反射型液晶素子を用いた投影装置。
- 前記位相差板は、近接する前記偏光手段又は前記検光手段と一体的に固定されていることを特徴とする請求項1乃至5のうち、いずれか一項記載の反射型液晶素子を用いた投影装置。
- 前記位相差板は、表面に反射防止層が形成されたガラス板の裏面に接着されていることを特徴とする請求項1乃至6のうち、いずれか一項記載の反射型液晶素子を用いた投影装置。
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