JP3724335B2 - 液晶プロジェクタ装置及びコントラストの改善方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶プロジェクタ装置に関し、特に、視野角依存特性によるコントラストやユニフォーミティの低下の防止を図ったものに関する。
【0002】
【従来の技術】
画像をスクリーンに拡大投影することにより大画面を実現するプロジェクタ装置が、屋内外用の画像表示装置として普及している。このプロジェクタ装置は、CRTの蛍光面からの出射光をスクリーンに投射するもの(CRTプロジェクタ装置)と、光源からの出射光を空間光変調素子で変調してスクリーンに投射するものとに大別されるが、後者では、液晶パネルを空間光変調素子として用いるもの(液晶プロジェクタ装置)が主流になっている。
【0003】
図13は、従来の液晶プロジェクタ装置の光学系(RGBの各色に対応して3枚の透過型液晶パネルを用いた3板透過式液晶プロジェクタ装置の光学系)の構成例を示す。
【0004】
光源11は、ランプ(例えばキセノンランプ)12と、ランプ12から放射された光(白色の非偏光)を反射して一定の広がり角の光束とするリフレクタ13とを含んでいる。光源11からの出射光は、マイクロレンズアレイ14,15及び偏光変換素子16を順に通過する。
を通過する。
【0005】
マイクロレンズアレイ14,15は、それぞれマイクロレンズ(例えば直径1〜5mm程度のレンズ)14a,15aを複数個アレイ状に配列したものである。レンズ14aの形状は、レンズ14aからの光が後述の透過型液晶パネル42のパネル面上に集光されるようにするために、この透過型液晶パネル28,29,30のパネル面と相似形の長方形になっている。
【0006】
マイクロレンズアレイ15は、レンズ14aの略焦点位置に配置されている。各レンズ15aは、レンズ14aと一対一に対応しており、対応するレンズ14aからの光をできるだけ多く入射できるような形状になっている。
【0007】
このマイクロレンズアレイ14,15は、光源11からの出射光を液晶パネルのパネル面に均一に入射させることにより、スクリーンに表示される画像のユニフォーミティ(画面全体で同じ明るさや色の画像を表示する際の明るさや色の均一性)を高める役割を果たす。
【0008】
偏光変換素子16は、入射した非偏光の大部分を直線偏光(例えばP偏光)に変換して出射するものである。この偏光変換素子16は、光源11からの出射光の利用効率を高める役割を果たすとともに、白表示時の液晶パネルからの出射光量を増加させることにより、スクリーンに表示される画像のコントラストを高める役割を果たす。
【0009】
偏光変換素子16から出射したP偏光は、レンズ17で集光されてダイクロイックミラー18に入射する。ダイクロイックミラー18は、RGBの各色の光のうち、例えば赤色光を透過して緑色光及び青色光を反射するものである。ダイクロイックミラー18を透過した赤色のP偏光は、ミラー19で反射され、レンズ20で集光されて液晶モジュール28に入射する。
【0010】
ダイクロイックミラー18で反射された緑色及び青色のP偏光は、ダイクロイックミラー21に入射する。ダイクロイックミラー21は、例えば青色光を透過して緑色光を反射するものである。ダイクロイックミラー21で反射された緑色のP偏光は、レンズ22で集光されて液晶モジュール29に入射する。
【0011】
ダイクロイックミラー21を透過した青色のP偏光は、レンズ23,ミラー24,レンズ25,ミラー26,レンズ27で集光と反射とを繰り返して液晶モジュール30に入射する。
【0012】
液晶モジュール28,29,30は、互いに同じ構成をしている。図14は、これらの液晶モジュール28,29,30の光学系の構成例を示す。透過型液晶パネル42の入射側に偏光板(偏光子)41が配置されるとともに、この液晶パネル42の出射側に偏光板(検光子)47が配置されている。偏光板41は、P偏光を透過させるように偏光軸(光の透過軸)の向きを決定されている。したがって、液晶モジュール28,29,30に入射した赤色,緑色,青色のP偏光は、それぞれそのまま偏光板41を透過して液晶パネル42に入射する。
【0013】
液晶パネル42は、TN(ツイステッドネマティック)液晶パネルであり、液晶分子を通過する光の合成電場ベクトルの軌跡を、液晶分子への印加電圧のレベルに応じて変化させる。液晶モジュール28,29,30の液晶パネル42の各画素の液晶分子には、それぞれ赤色,緑色,青色の映像信号のレベルに応じて、ノーマリーホワイトモードで電圧が印加される。液晶パネル42の駆動方式としては、例えばアクティブマトリックス駆動方式が採用されている。
【0014】
液晶パネル42の入射側の基板43には、画素に1対1に対応して、マイクロレンズ44が設けられている。マイクロレンズ44は、対応する画素への入射光を、画素の有効表示面積部分(電極やスイッチング素子等が存在しておらず、光を透過させることのできる部分)に集光するためのものである。このマイクロレンズ44は、液晶パネル42の開口率を実質的に高める役割を果たすとともに、白表示時の液晶パネル42からの出射光量を増加させることにより、画像のコントラストを高める役割を果たす。
【0015】
液晶パネル42の液晶層45を通過してその出射側の基板46から出射した光は、偏光板47に入射する。偏光板47は、偏光軸の向きが偏光板41と直交しており、したがってS偏光を透過させる。
【0016】
液晶モジュール28,29,30の偏光板47をそれぞれ透過した赤色,緑色,青色のS偏光は、図13に示すように、ダイクロイックプリズム31に三方から入射する。ダイクロイックプリズム31は、液晶モジュール29からの緑色光を透過するとともに液晶モジュール28からの赤色光をこの緑色光と同じ方向に反射するフィルター膜31aと、液晶モジュール29からの緑色光を透過するとともに液晶モジュール30からの青色光をこの緑色光と同じ方向に反射するフィルター膜31bとを有している。赤色,緑色,青色のS偏光は、このダイクロイックプリズム31で1本の光束に合成される。
【0017】
ダイクロイックプリズム31から出射したS偏光は、投射光学系32を経てスクリーン(図示略)に投射される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
図13及び図14に示したように、従来の液晶プロジェクタ装置では、光源11からの出射光を液晶モジュール28,29,30に導く照明光学系にマイクロレンズアレイ14,15を設けることによってユニフォーミティを高める工夫や、この照明光学系に偏光変換素子16を設けることによってコントラストを高める工夫や、液晶モジュール28,29,30の液晶パネル42の入射側の基板43にマイクロレンズ44を設けることによってコントラストを高める工夫がなされていた。
【0019】
ところで、TN液晶パネルやSTN(スーパーツイステッドネマティック)液晶パネルには、パネル面に対して斜めから入射した光の合成電場ベクトルの軌跡を初期の通りに(印加電圧のレベルの通りに)変化させることができないという性質がある。このことを、視野角依存特性と呼ぶ。
【0020】
この視野角依存特性は、図15に示すような、液晶パネルの入射側の基板51,出射側の基板52(図2では基板43,46に該当)のそれぞれの配向膜のラビング方向51a,52aに対する液晶分子53の傾き角(プレチルト角)p1,p2を原因としている。パネル面に対して斜めから入射した光は、このプレチルト角の存在により、液晶分子を通過する際に、パネル面に平行な面内で異常光と常光との位相ずれが生じるとともに、パネル面に垂直な面内でも異常光と常光との位相ずれが生じる。その結果、その合成電場ベクトルの軌跡を初期の通りに変化させることができなくなる。
【0021】
TN液晶パネルやSTN液晶パネルを用いた液晶ディスプレイでは、この視野角依存特性により、ノーマリーホワイトモードの場合でも、液晶パネルのうち黒を表示すべき画素(液晶分子が基板に対して垂直に並ぶように電圧を印加した画素)に斜めから入射した直線偏光(例えばP偏光)が楕円偏光になって出射し、この楕円偏光のうちのS偏光成分が検光子を透過して画面に表示される(すなわち黒色の浮きが発生する)ので、コントラストが低下することがある。
【0022】
図16は、液晶パネルへの光の入射角とコントラストの低下の度合いとの関係を例示したものである。液晶パネルのパネル面に平行な面内での入射方向φにかかわらず、入射角θが大きくなるほどコントラストCRが低くなっている。
【0023】
また、プレチルト角による位相ずれの度合いは、液晶パネルのセルギャップ長(液晶分子を挟む2枚の基板の間隔)に応じて変化する。したがって、液晶パネルの部位によってセルギャップ長にむらがある場合には、画面全体で同じ明るさの画像を表示すべき際(全ての画素に同じレベルの電圧を印加した際)にも、この視野角依存特性により、液晶パネルに斜めから入射して液晶パネルから出射した光の検光子での透過率が液晶パネルの部位によって相違してしまうので、画像の明るさにむらが生じる(すなわちユニフォーミティが低下する)ことがある。
【0024】
このように、液晶パネルを用いた画像表示装置では、プレチルト角の存在を原因とする視野角依存特性によってコントラストやユニフォーミティが低下することがある。しかし、直視型液晶ディスプレイではこの視野角依存特性を考慮した設計が行われていたのに対し、投射型の液晶ディスプレイである液晶プロジェクタ装置では、視野角依存特性を考慮してコントラストやユニフォーミティを改善する工夫はなされていなかった。
【0025】
直視型液晶ディスプレイで視野角依存特性が考慮された理由は、光源からの出射光の広がり角が大きいので液晶パネルに斜めから入射する光の量が多く、且つ画面を斜めから見ることが多いのでこのように斜めから入射して液晶パネルから出射された光が目に届いてしまうことにある。
【0026】
これに対し、液晶プロジェクタ装置で視野角依存特性が考慮されなかった理由は、以前はは光源からほぼ平行な光束を出射するとともにこの出射光をほぼ平行なまま照明光学系を経て液晶パネルに入射していたので、パネル面に対して垂直な方向から入射する直線偏光だけを考慮すればよかったことにある。
【0027】
しかし、最近は、液晶プロジェクタ装置でも、より明るい画像を表示することを目的として、光源からの出射光の広がり角を大きくしたり照明光学系のFナンバを小さくしたりすることにより液晶パネルへの光の入射角の範囲を広げる傾向にある。
【0028】
図13及び図14に示した液晶プロジェクタ装置でも、照明光学系のFナンバを小さくすることにより、液晶モジュール28,29,30の液晶パネル42への光の入射角の範囲が例えば±10〜15゜程度になっている。したがって、黒を表示すべき画素に斜めから入射したP偏光が楕円偏光になってこの画素から出射し、この楕円偏光のうちのS偏光成分が偏光板47を透過してスクリーンに投射されるので、コントラストが低下してしまう。
【0029】
また、個々の液晶モジュール28,29,30の液晶パネル42で部位によってセルギャップ長にむらがある場合や、液晶モジュール28,29,30相互で液晶パネル42のセルギャップ長に差異がある場合には、画面全体で同じ明るさや色の画像を表示すべき際にも、スクリーンに表示される画像の明るさや色にむらが生じてしまう(ユニフォーミティが低下してしまう)。
【0030】
したがって、最近では、液晶プロジェクタ装置でも、視野角依存特性によるコントラストやユニフォーミティの低下を防止することが必要となってきている。
【0031】
しかし、液晶プロジェクタ装置では、液晶パネルへの光の入射角の範囲が±10〜15゜程度にまでなっているとはいえ、直視型液晶ディスプレイと比較するとその入射角の範囲はかなり狭い。そのため、従来直視型液晶ディスプレイで視野角依存特性を考慮して行われていた設計手法をそのまま液晶プロジェクタ装置に採用しても、コントラストやユニフォーミティの低下を防止することはできない。
【0032】
本発明は、上述の点に鑑み、TN液晶パネルやSTN液晶パネルを用いた液晶プロジェクタ装置(特に、図13及び図14に例示したように、開口率を高めるためのマイクロレンズを液晶パネルに設けた透過式液晶プロジェクタ装置)にふさわしい手法で、視野角依存特性によるコントラストやユニフォーミティの低下を抑制することを課題としてなされたものである。
【0033】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本出願人は、入射光を画素の有効表示面積部分に集光させるマイクロレンズが設けられており、液晶分子を通過する光の合成電場ベクトルの軌跡を液晶分子への印加電圧に応じて変化させる透過型液晶パネルと、光源からの光のうち一つの振動方向の直線偏光を透過型液晶パネルに入射させる偏光子と、透過型液晶パネルからの出射光のうち一つの振動方向の直線偏光を投射光学系に入射させる検光子とを有する液晶プロジェクタ装置において、透過型液晶パネルと検光子との間に、フィルム面に平行な面内でのみ複屈折性を有する位相差フィルムを、その遅相軸と進相軸とのいずれか一方を検光子の偏光軸と直交させ、且つ、検光子の偏光軸に平行な軸を回転中心として透過型液晶パネルのパネル面に対して傾けて配置したものを提案する。
また、こうした液晶プロジェクタ装置において、透過型液晶パネルと検光子との間に、この位相差フィルムを、その遅相軸と進相軸とのいずれか一方を偏光子の偏光軸と直交させ、且つ、偏光子の偏光軸に平行な軸を回転中心として透過型液晶パネルのパネル面に対して傾けて配置したものを提案する。
【0034】
この液晶プロジェクタ装置では、透過型液晶パネルと検光子との間(すなわち透過型液晶パネルの出射側)に、フィルム面に平行な面内でのみ複屈折性を有する位相差フィルム(一般に「一軸延伸位相差フィルム」と呼ばれるもの)が、その遅相軸と進相軸とのいずれか一方を検光子(または偏光子)の偏光軸と直交させ、且つ、検光子(または偏光子)の偏光軸に平行な軸を回転中心として透過型液晶パネルのパネル面に対して傾けて配置されている。このように傾けた一軸延伸位相差フィルムの複屈折性により、透過型液晶パネルに斜めから入射した光が液晶分子を通過した際のプレチルト角による位相ずれ(パネル面に平行な面内及びパネル面に垂直な面内での異常光と常光との位相ずれ)が補償される。また、ノーマリーホワイトモードの場合には、液晶パネルの入射側のプレチルト角による位相ずれと、液晶パネルの出射側のプレチルト角による位相ずれとを、互いに独立して補償することができる。
【0035】
透過型液晶パネルのうち黒を表示すべき画素に斜めから入射して透過型液晶パネルから出射した光は、このようにプレチルト角による位相ずれが補償されることにより、検光子を透過する直線偏光成分が減少するので、検光子での透過率が低下する。これにより、黒を表示すべき画素からスクリーンに投射される光量が減少する(黒色の浮きが抑制される)ので、視野角依存特性によるコントラストの低下が抑制される。
【0036】
また、個々の液晶パネルで部位によってセルギャップ長にむらがある場合(部位によってプレチルト角による位相ずれの度合いが異なる場合)や複数の液晶パネル相互でセルギャップ長に差異がある場合(プレチルト角による位相ずれの度合いに差異がある場合)にも、このようにプレチルト角による位相ずれが補償されることにより、視野角依存特性によるユニフォーミティの低下が抑制される。
【0037】
しかも、仮にこうした光学素子を偏光子と透過型液晶パネルとの間(すなわち透過型液晶パネルの入射側)に配置した場合には、この光学素子を経て透過型液晶パネルに入射した光がマイクロレンズで集光されて液晶分子に入射するので、この光学素子への光の入射角と液晶分子への実際の光の入射角とが相違してしまう。プレチルト角による位相ずれの度合いは、液晶分子への実際の光の入射角によって決まる。その結果、入射側にこの光学素子を配置した場合には、プレチルト角による位相ずれを液晶分子への実際の光の入射角に応じて最適に補償することが困難になる。
【0038】
これに対し、この液晶プロジェクタ装置のように透過型液晶パネルの出射側にこの光学素子を配置した場合には、液晶分子への実際の光の入射角と透過型液晶パネルからの光の出射角とが等しいので、この光学素子への光の入射角と液晶分子への実際の光の入射角とが等しくなる。したがって、プレチルト角による位相ずれを液晶分子への実際の光の入射角に応じて最適に補償することが容易になる。
【0039】
次に、本出願人は、入射光を画素の有効表示面積部分に集光させるマイクロレンズが設けられており、液晶分子を通過する光の合成電場ベクトルの軌跡を液晶分子への印加電圧に応じて変化させる透過型液晶パネルと、光源からの光のうち一つの振動方向の直線偏光を透過型液晶パネルに入射させる偏光子と、透過型液晶パネルからの出射光のうち一つの振動方向の直線偏光を投射光学系に入射させる検光子とを有する液晶プロジェクタ装置において、透過型液晶パネルと検光子との間に、フィルム面に平行な面内でのみ複屈折性を有する第1の位相差フィルムを、その遅相軸と進相軸とのいずれか一方を検光子の偏光軸と直交させ、且つ、検光子の偏光軸に平行な軸を回転中心として透過型液晶パネルのパネル面に対して傾けて配置したときの傾き角のうち、前記液晶パネルのうち黒を表示すべき画素からの出射光の前記検光子での透過率が極小または一定以下になる傾き角をαとして、フィルム面に平行な面内,垂直な面内でそれぞれ複屈折性を有し、フィルム面に平行な面内,垂直な面内でのリターデーションの大きさが、それぞれ前述の傾き角αの第1の位相差フィルムのパネル面に平行な面内,垂直な面内でのリターデーションの大きさに略等しい第2の位相差フィルムを、透過型液晶パネルのパネル面に対して平行に配置したものを提案する。
また、こうした液晶プロジェクタ装置において、透過型液晶パネルと検光子との間に、こうした第1の位相差フィルムを、その遅相軸と進相軸とのいずれか一方を偏光子の偏光軸と直交させ、且つ、偏光子の偏光軸に平行な軸を回転中心として透過型液晶パネルのパネル面に対して傾けて配置したときの傾き角のうち、前記液晶パネルのうち黒を表示すべき画素からの出射光の前記検光子での透過率が極小または一定以下になる傾き角をαとして、フィルム面に平行な面内,垂直な面内でそれぞれ複屈折性を有し、フィルム面に平行な面内,垂直な面内でのリターデーションの大きさが、それぞれ前述の傾き角αの第1の位相差フィルムのパネル面に平行な面内,垂直な面内でのリターデーションの大きさに略等しい第2の位相差フィルムを、透過型液晶パネルのパネル面に対して平行に配置したものを提案する。
【0040】
この液晶プロジェクタ装置は、前述のように一軸延伸位相差フィルムを傾けて配置する代わりに、フィルム面に平行な面内及びフィルム面に垂直な面内でそれぞれ複屈折性を有する位相差フィルム(一般に「特殊二軸延伸位相差フィルム」や「視野角拡大フィルム」と呼ばれるもの)であって、液晶パネルのうち黒を表示すべき画素からの出射光の検光子での透過率が極小または一定以下になるように傾けた一軸延伸位相差フィルムと等価なリターデーションを有するものを、透過型液晶パネルと検光子の間にパネル面に平行に配置したものである。これにより、透過型液晶パネルに斜めから入射した光が液晶分子を通過した際のプレチルト角による位相ずれが補償されるとともに、透過型液晶パネルと検光子との間の距離の増大を最小限に抑えることができるので、液晶プロジェクタ装置の光学系の小型化にも寄与することができる。
【0044】
次に本出願人は、入射光を画素の有効表示面積部分に集光させるマイクロレンズが設けられており、液晶分子を通過する光の合成電場ベクトルの軌跡を液晶分子への印加電圧に応じて変化させる透過型液晶パネルと、光源からの光のうち一つの振動方向の直線偏光を透過型液晶パネルに入射させる偏光子と、透過型液晶パネルからの出射光のうち一つの振動方向の直線偏光を投射光学系に入射させる検光子とを有する液晶プロジェクタ装置のコントラストの改善方法において、透過型液晶パネルと検光子との間に、フィルム面に平行な面内でのみ複屈折性を有する第1の位相差フィルムを、透過型液晶パネルのパネル面に対して傾けて配置する第1ステップと、この第1の位相差フィルムの傾き角を変化させながら、透過型液晶パネルのうち黒を表示すべき画素からの出射光の検光子での透過率を調べ、この透過率の大きさに応じてこの傾き角を決定する第2ステップと、第2ステップで決定した傾き角における、パネル面に平行な面内,パネル面に垂直な面内でのこの第1の位相差フィルムのリターデーションの大きさを求める第3ステップと、フィルム面に平行な面内,フィルム面に垂直な面内でそれぞれ複屈折性を有し、フィルム面に平行な面内,該フィルム面に垂直な面内でのリターデーションの大きさがそれぞれ第3ステップで求めたパネル面に平行な面内,パネル面に垂直な面内でのリターデーションの大きさに略等しい第2の位相差フィルムを、第1の位相差フィルムに代えて、透過型液晶パネルと検光子との間に、パネル面に対して平行に配置する第4ステップとを有するものを提案する。
【0045】
このコントラストの改善方法では、透過型液晶パネルと検光子との間に、フィルム面に平行な面内でのみ複屈折性を有する第1の位相差フィルム(一軸延伸位相差フィルム)を、透過型液晶パネルのパネル面に対して傾けて配置し、この一軸延伸位相差フィルムの傾き角を変化させながら、透過型液晶パネルのうち黒を表示すべき画素からの出射光の検光子での透過率を調べ、この透過率の大きさに応じて一軸延伸位相差フィルムの傾き角を決定する。
【0046】
これにより、黒を表示すべき画素からの出射光の検光子での透過率が低下するように(すなわちプレチルト角による位相ずれが補償されるように)一軸延伸位相差フィルムの傾き角を決定することができる。
【0047】
しかも、偏光子と透過型液晶パネルとの間(すなわち透過型液晶パネルの出射側)に一軸延伸位相差フィルムを配置することにより、一軸延伸位相差フィルムへの光の入射角と液晶分子への実際の光の入射角とが等しくなる。したがって、プレチルト角による位相ずれが液晶分子への実際の光の入射角に応じて最適に補償されるような傾き角を決定することが容易である。
【0048】
続いて、このコントラストの改善方法では、決定した傾き角における、パネル面に平行な面内,パネル面に垂直な面内での一軸延伸位相差フィルムのリターデーションの大きさを求める。そして、フィルム面に平行な面内,フィルム面に垂直な面内でそれぞれ複屈折性を有し、フィルム面に平行な面内,フィルム面に垂直な面内でのリターデーションの大きさがそれぞれこの求めたパネル面に平行な面内,パネル面に垂直な面内でのリターデーションの大きさに略等しい第2の位相差フィルム(視野角拡大フィルム)を、一軸延伸位相差フィルムに代えて、透過型液晶パネルと検光子との間に、パネル面に対して平行に配置する。
【0049】
このような視野角拡大フィルムを配置した液晶プロジェクタ装置で画像を表示すれば、黒を表示すべき画素からスクリーンに投射される光量が減少するので、視野角依存特性によるコントラストの低下が抑制されて、コントラストが改善される。
【0050】
また、個々の液晶パネルで部位によってセルギャップ長にむらがある場合や複数の液晶パネル相互でセルギャップ長に差異がある場合にも、このようにプレチルト角による位相ずれが補償されることにより、視野角依存特性によるユニフォーミティの低下が抑制されて、ユニフォーミティが改善される。
【0051】
しかも、視野角拡大フィルムをパネル面に対して平行に配置することにより、透過型液晶パネルと検光子との間の距離の増大を最小限に抑えることができるので、液晶プロジェクタ装置の光学系の小型化にも寄与することができるようになる。
【0052】
さらに、この方法は、開口率を高めるためのマイクロレンズを液晶パネルに設けていない透過式液晶プロジェクタ装置にそのまま適用しても、やはり視野角依存特性によるコントラストやユニフォーミティの低下を抑制することができる。したがって、マイクロレンズを液晶パネルに設けた透過式液晶プロジェクタ装置とマイクロレンズを液晶パネルに設けていない透過式液晶プロジェクタ装置とで、コントラストやユニフォーミティの改善方法を共通化することもできる。
【0053】
なお、このコントラストの改善方法でも、偏光子と検光子とが互いに直交する振動方向の直線偏光を透過させる場合(ノーマリーホワイトモードの場合)には、一例として、第1ステップで、一軸延伸位相差フィルムの遅相軸と進相軸とのいずれか一方を偏光子(または検光子)の偏光軸と直交させるとともに、偏光子(または検光子)の偏光軸に平行な軸を回転中心として一軸延伸位相差フィルムを傾けることが好適である。
【0054】
それにより、やはり、入射側(または出射側)のプレチルト角による位相ずれを、出射側(または入射側)のプレチルト角による位相ずれとは独立して補償することができるようになる。
【0055】
さらに、一軸延伸位相差フィルムの遅相軸と進相軸とのいずれか一方を偏光子の偏光軸と直交させた場合と、一軸延伸位相差フィルムの遅相軸と進相軸とのいずれか一方を検光子の偏光軸と直交させた場合とのそれぞれについて、第2〜第4ステップを実行するようにしてもよい。それにより、入射側のプレチルト角による位相ずれと出射側のプレチルト角による位相ずれとを、互いに独立して両方とも補償することができるので、コントラストやユニフォーミティの改善効果を一層高めることができるようになる。
【0056】
また、このコントラストの改善方法において、第4ステップで視野角拡大フィルムを配置した後、フィルム面に平行な面内での視野角拡大フィルムの回転角度位置を微調整する第5ステップをさらに設けることが好適である。
【0057】
このように視野角拡大フィルムの回転角度位置を微調整することにより、パネル面に垂直な面内での複屈折性の大きさを微調整することができる。したがって、視野角拡大フィルムを配置した後でも、この複屈折性の大きさを微調整することによってコントラストやユニフォーミティを改善できるようになる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。
図1は、本発明を適用した3板透過式液晶プロジェクタ装置の光学系の構成例を示す。この光学系のうち液晶モジュール1,2,3以外の部分は、図13に示した3板透過式液晶プロジェクタ装置におけると構成が共通しているので図13と同一の符号を付している。
【0059】
液晶モジュール1,2,3は、互いに同じ構成をしている。図2はこれらの液晶モジュール1,2,3の光学系の構成例を示しており、図14と構成が共通する部分は図14と同一の符号を付している。本発明の特徴として、液晶モジュール1,2,3では、液晶パネル42と偏光板(検光子)47との間(すなわち液晶パネル42の出射側)に、視野角拡大フィルム4が、液晶パネル42のパネル面に対して平行に配置されている。
【0060】
視野角拡大フィルム4は、フィルム面に平行な面内及びフィルム面に垂直な面内でそれぞれ複屈折性を有している。視野角拡大フィルム4は、この複屈折性により、液晶パネル42に斜めから入射した光が液晶分子を通過した際のプレチルト角による位相ずれ(パネル面に平行な面内及びパネル面に垂直な面内での異常光と常光との位相ずれ)を補償する役割を持っている。
【0061】
液晶パネル42のうち黒を表示すべき画素に斜めから入射して液晶パネル42から出射した光は、このようにプレチルト角による位相ずれが補償されることにより、それぞれ偏光板47を透過する直線偏光成分が減少するので、偏光板47での透過率が低下する。これにより、黒を表示すべき画素からスクリーンに投射される光量が減少する(黒色の浮きが抑制される)ので、視野角依存特性によるコントラストの低下が抑制されて、コントラストが改善されるようになっている。
【0062】
また、個々の液晶モジュール1,2,3の液晶パネル42で部位によってセルギャップ長にむらがある場合(部位によってプレチルト角による位相ずれの度合いが異なる場合)や液晶モジュール1,2,3相互で液晶パネル42のセルギャップ長に差異がある場合(プレチルト角による位相ずれの度合いに差異がある場合)にも、このようにプレチルト角による位相ずれが補償されることにより、視野角依存特性によるユニフォーミティの低下が抑制されて、ユニフォーミティが改善されるようになっている。
【0063】
視野角拡大フィルム4としてどのような大きさのリターデーションを有するものを用いるかは、次のような方法で決定されている。
【0064】
最初に、図3に示すように、液晶パネル42と偏光板47との間に、一軸延伸位相差フィルム(フィルム面に平行な面内でのみ複屈折性を有する位相差フィルムであり、以下単に位相差フィルムとも呼ぶ)5を、その遅相軸5aを偏光板47の偏光軸47aと直交させるとともに、偏光軸47aと平行な軸(y軸)を回転中心として液晶パネル42のパネル面に平行な面(xy平面)に対して角度αだけ傾けて配置する。
【0065】
なお、図3では、液晶パネル42として、入射側の基板43と、基板43上の配向膜のラビング方向43aと、出射側の基板46と、基板46上の配向膜のラビング方向46aと、液晶層45中の液晶分子のうち基板43及び46に隣接した部分の液晶分子48とを描いている。基板43のマイクロレンズ44(図2)は図示を省略している。
【0066】
図4は、図3のように位相差フィルム5を傾けた状態において、液晶パネル42からの出射光のうち、液晶パネル42のパネル面に直交し且つ偏光板47の偏光軸47aと平行な面内(zy平面内)を通過する光La,Lb,Lcが、位相差フィルム5を透過する様子を示している。
【0067】
光Laは、液晶パネル42のパネル面に直交する方向(z軸の方向)に出射した光である。すなわち、光Laは、パネル面に直交する方向から液晶パネル42に入射したP偏光が、液晶パネル42から出射したものである。したがって、液晶分子を通過した際にプレチルト角による位相ずれを生じていない。
【0068】
他方、光Lbは、光Laに対して、偏光軸47aと平行な面内で角度βだけ斜め右方向に出射した光である。すなわち、光Lbは、zy平面内において斜め右方向から液晶パネル42に入射したP偏光が、液晶パネル42から出射したものである。この偏光軸47aの方向は、図3に示すように、液晶パネル42の出射側の基板46の配向膜のラビング方向46aと一致している。したがって、光Lbは、液晶分子を通過した際に、出射側のプレチルト角(基板46の配向膜のラビング方向46aに対する液晶分子48の傾き角)を原因として、xy平面内及びzy平面内で異常光と常光との位相ずれを生じたことにより、合成電場ベクトルの軌跡が変化して楕円偏光になっている。
【0069】
また、光Lcは、偏光軸47aと平行な面内で角度βだけ斜め左方向に出射した光である。すなわち、光Lcは、zy平面内において斜め左方向から液晶パネル42に入射したP偏光が、液晶パネル42から出射したものである。したがって、光Lcは、液晶分子を通過した際に、出射側のプレチルト角を原因としてxy平面内及びzy平面内で異常光と常光との位相ずれ(光Lbとは逆向きの位相ずれ)を生じたことにより、合成電場ベクトルの軌跡が変化して楕円偏光(光Lbとは逆回りの楕円偏光)になっている。
【0070】
図5は、位相差フィルム5を光La,Lb,Lcの出射側(偏光板47の側)から見た図である。このうち、図5Aでは、図4の光Laが届く方向から位相差フィルム5を見ている。この方向から見た場合には、位相差フィルム5の遅相軸5aは、偏光軸47aの方向と直交している。したがって、光Laは、位相差フィルム5を透過する際に合成電場ベクトルの軌跡が変化することはなく、P偏光のまま偏光板47に入射する。
【0071】
他方、図5Bでは、図4の光Lbが届く方向から位相差フィルム5を見ている。この方向から見た場合には、位相差フィルム5の遅相軸5aは、偏光軸47aの方向と直交する方向に対して角度γだけ右方向に傾いている。したがって、光Lbは、位相差フィルム5を透過する際に、xy平面内,zy平面内での位相差フィルム5のリターデーションに応じて、xy平面内,zy平面内でそれぞれ異常光と常光との位相ずれを生じる。
【0072】
また、図5Cは、図4の光Lcが届く方向から位相差フィルム5を見た図である。この方向から見た場合には、位相差フィルム5の遅相軸5aは、偏光軸47aの方向と直交する方向に対して角度γだけ左方向に傾いている。したがって、光Lcは、位相差フィルム5を透過する際に、xy平面内,zy平面内での位相差フィルム5のリターデーションに応じて、xy平面内,zy平面内でそれぞれ異常光と常光との位相ずれ(光Lbとは逆向きの位相ずれ)を生じる。
【0073】
このように、光LbとLcとは、位相差フィルム5を透過する際に、xy平面内及びzy平面内で互いに逆向きの位相ずれを生じる。したがって、液晶パネル42の液晶分子を通過した際の出射側のプレチルト角による光Lb,Lcのxy平面内及びzy平面内での位相ずれを、それぞれ位相差フィルム5を透過する際の位相ずれによって補償する(位相ずれを小さくする)ことが可能である。
【0074】
そして、xy平面内,zy平面内での位相差フィルム5のリターデーションの大きさは、位相差フィルム5の傾き角αに応じて変化する。すなわち、出射側のプレチルト角による位相ずれが補償される度合いは、この傾き角αに応じて変化する。
【0075】
そこで次に、位相差フィルム5の傾き角αを変化させながら、液晶パネル42のうち黒を表示すべき画素からの出射光の偏光板47での透過率を調べる。そして、この透過率が極小または一定以下になるように(すなわちプレチルト角による位相ずれが補償されるように)、位相差フィルム5の傾き角αを決定する。
【0076】
ここで、仮に位相差フィルム5を図2の偏光板41(偏光子)と液晶パネル42との間(すなわち液晶パネル42の入射側)に配置した場合には、位相差フィルム5を経て液晶パネル42に入射した光がマイクロレンズ44で集光されて液晶分子(液晶層45)に入射するので、図も表れているように位相差フィルム5への光の入射角と液晶分子への実際の光の入射角とが相違してしまう。プレチルト角による位相ずれの度合いは、液晶分子への実際の光の入射角によって決まる。その結果、入射側に位相差フィルム5を配置した場合には、プレチルト角による位相ずれが液晶分子への実際の光の入射角に応じて最適に補償されるような位相差フィルム5の傾き角αを決定することが困難になる。
【0077】
これに対し、液晶パネル42の出射側に位相差フィルム5を配置した場合には、液晶分子への実際の光の入射角と液晶パネル42からの光の出射角とが等しいので、位相差フィルム5への光の入射角と液晶分子への実際の光の入射角とが等しくなる。したがって、プレチルト角による位相ずれが液晶分子への実際の光の入射角に応じて最適に補償されるような位相差フィルム5の傾き角αを決定することが容易である。
【0078】
このようにして決定した傾き角αで位相差フィルム5を液晶パネル42と偏光板47との間に配置したままでも、出射側のプレチルト角による位相ずれが補償されるので、視野角依存特性によるコントラストやユニフォーミティの低下が抑制される。
【0079】
しかし、このように位相差フィルム5を傾けて配置したまま液晶プロジェクタ装置を製造すると、液晶パネル42と偏光板47の間の距離が長くなってしまうので、光学系の小型化という観点からは好ましくない。
【0080】
これに対し、傾き角αの位相差フィルム5と等価なリターデーションを有する視野角拡大フィルムを、液晶パネル42と偏光板47の間にパネル面に平行に配置すれば、液晶パネル42と偏光板47の間の距離の増大を最小限に抑えることができる。
【0081】
そこで次に、どのような大きさのリターデーションを有する視野角拡大フィルムが、傾き角αの位相差フィルム5と等価であるかを求める。
【0082】
図6に示すように、位相差フィルム5の遅相軸5aの屈折率をne,位相差フィルム5の進相軸の屈折率をno1,フィルム面に直交する方向での位相差フィルム5の屈折率をno2,位相差フィルム5の厚さをdとする。これらのne,no1,no2及びdの値は既知である。
【0083】
また、x,y,z軸方向での位相差フィルム5の屈折率をそれぞれnx,ny,nzとし、遅相軸5aに平行な方向の主軸をx0,進相軸に平行な方向の主軸をy0(この場合y軸と同じ方向になる),フィルム面に直交する方向の主軸をz0とする。
【0084】
液晶パネル42のxy面内,zy面内での位相差フィルム5のリターデーションRxy,Rzyは、このd,nx,ny,nz及び傾き角αを用いて、それぞれ次の(1),(2)式のように表される。
【数1】
【0085】
傾き角αの位相差フィルム5と等価なリターデーションを有する視野角拡大フィルムとは、フィルム面に平行な面内,フィルム面に垂直な面内でのリターデーションの大きさがそれぞれこのRxy,Rzyと等しい視野角拡大フィルムである。すなわち、図7に示すように、フィルム面に平行な面内の直交する2方向での屈折率がnx,nyであり、フィルム面に垂直な面内での屈折率がnzであり、厚さがd/cosαの視野角拡大フィルムである。
【0086】
ここで、y0軸とy軸とは同じ方向なので、屈折率nyの値はno1と等しい。したがって、残りの屈折率nx,nzの値を求めれば、どのような視野角拡大フィルムが等価であるかを求めることができる。このnx,nzの値は、次のようにして求められる。
【0087】
x0,y0及びz0の値とne,no1及びno2の値との間には、次の(3)式のような屈折率楕円体の関係式が成り立つ。
【数2】
【0088】
また、図6から明かなように、x0,y0及びz0の値とnx,ny,nzとの間には、次の(4)式及び(5)式が成り立つ。
【数3】
【0089】
この(4)式を(3)式に代入すると、次の(6)式のように、nxの値が求められる。また、(5)式を(3)式に代入すると、次の(7)式のように、nzの値が求められる。このようにして、どのような視野角拡大フィルムが等価であるかを求めることができる。
【数4】
【0090】
次に、このようにして求めたリターデーションを有する視野角拡大フィルムを用意する。そして、その視野角拡大フィルムを図2の視野角拡大フィルム4として用いる。
【0091】
図2の視野角拡大フィルム4は、以上のような方法により、どのような大きさのリターデーションを有するものを用いるかを決定して、各液晶モジール1,2,3の液晶パネル42と偏光板47との間にパネル面に平行に配置し、液晶パネル4及び偏光板47に対して固定したものである。
【0092】
なお、以上の方法のうち、位相差フィルム5の傾き角αを変化させながら偏光板47での透過率を調べる作業は、実際に液晶パネル42と偏光板47との間に位相差フィルム5を配置して行ってもよいが、シミュレーションによって行ってもよい。
【0093】
本出願人は、この作業を、シンテック株式会社製の液晶シミュレータ「LCDMASTER」を用いたシミュレーションによって行った。すなわち、セルギャップ長やTN液晶分子の誘電率,弾性定数,回転粘性,ヘリカルピッチ,プレチルト角といったパラメータを液晶パネル42に合わせて設定することにより、TN液晶パネルへの印加電圧のレベルとディレクタ(液晶分子の長軸方向の向き)の分布との関係を計算した。そして、このディレクタ分布に基づいて、印加電圧の黒表示時のレベルとしたときや中間レベルとしたときのTN液晶パネル全体の常光屈折率及び異常光屈折率を求めた。
【0094】
そして、このTN液晶パネルと位相差フィルム(1/4波長板または1/8波長板)と検光子とを図3の液晶パネル42と位相差フィルム5と偏光板47とのような配置で組み合わせた光学モデルにおいて、位相差フィルムの傾き角(図3のα)を変化させながら、TN液晶パネルへの光(波長550nm)の入射角とTN液晶パネルからの出射光の検光子での透過率との関係を4×4マトリクス法で求めた。この光学モデルでは、1/4波長板,1/8波長板の傾き角αの大きさにかかわらず(すなわち、光が1/4波長板,1/8波長板を通過する距離が1/4波長板,1/8波長板の厚さよりも長くても)、そのリターデーションをそれぞれλ/4,λ/8のままに設定した。
【0095】
図8は、TN液晶パネルから図4の光La,Lb,Lcのようにパネル面に直交し且つ検光子の偏光軸と平行な面内に出射した光について、位相差フィルムを1/4波長板とし且つ印加電圧を黒表示時のレベルとしてシミュレーションを行った結果を示している。
【0096】
なお、図8には、光源の広がり角,輝度中心,分散,減衰指数の値をパラメータとして設定することによって計算した入射光の強度と入射角との関係も併せて示している。この関係から、TN液晶パネルへの光の入射角の範囲が±14゜程度であることが表れている。
【0097】
図9は、図8のシミュレーション結果から計算した入射角±14゜の範囲でのコントラストの値と、コントラストの改善比(1/4波長板が存在しない光学モデルにおいて計算によって求めたコントラストの値2414に対する比率)とを、1/4波長板の傾き角毎に示している。位相差フィルムを1/4波長板とした場合には、傾き角20゜付近でコントラストが最も改善されることが表れている。
【0098】
また、図10は、やはりTN液晶パネルからパネル面に直交し且つ検光子の偏光軸と平行な面内に出射した光について、位相差フィルムを1/8波長板とし且つ印加電圧を黒表示時のレベルとしてシミュレーションを行い、そのシミュレーション結果から計算した入射角±14゜の範囲でのコントラストの値と、1/8波長板の傾き角との関係を示している(コントラストの値は、相対値なので図9の値とは直接対応していない)。位相差フィルムを1/8波長板とした場合には、傾き角42゜付近でコントラストが最も改善されることが表れている。
【0099】
また、図11は、やはりTN液晶パネルからパネル面に直交し且つ検光子の偏光軸と平行な面内に出射した光について、位相差フィルムを1/4波長板とし且つ印加電圧を50%のレベルとしてシミュレーションを行った結果を示している。印加電圧を50%のレベルとしたときの透過率に対する入射角の影響は、1/4波長板の傾き角をコントラストが最も改善される20゜(図9)にしたときのほうが、傾き角を0゜にした場合よりも少なくなっている。
【0100】
図示は省略するが、印加電圧を50%以外の中間レベルにしたときにも、図11に示したのと同様な結果が得られた。このように中間レベルでの透過率に対する入射角の影響が少なくなることは、個々の液晶パネルでセルギャップ長にむらがある場合や複数の液晶パネル相互でセルギャップ長に差異がある場合にも、視野角依存特性によるユニフォーミティの低下が抑制されることを表している。
【0101】
また、図12は、TN液晶パネルからパネル面に直交し且つ検光子の偏光軸と直交する面内(図4の光La,Lb,Lcが通過する面とは直交する面内)に出射した光について、位相差フィルムを1/4波長板とし且つ印加電圧を黒表示時の大きさとしてシミュレーションを行った結果を示している。この光の検光子での透過率は、1/4波長板の傾き角が変化しても変化しない。
【0102】
この光は、図3では、液晶パネル42のパネル面に直交し且つ偏光板(偏光子)41の偏光軸41aと平行な面内(zx平面内)を通過して液晶パネル42に入射したP偏光が、液晶パネル42から出射したものに相当する。この偏光軸41aの方向は、液晶パネル42の入射側の基板43上の配向膜のラビング方向43aと一致している。したがって、斜めから液晶パネル42に入射した場合には、液晶分子を通過した際に、入射側のプレチルト角(ラビング方向43aに対する液晶分子48の傾き角)を原因としてxy平面内及びzx平面内で異常光と常光との位相ずれを生じたことにより、合成電場ベクトルの軌跡が変化して楕円偏光になっている。
【0103】
このように検光子の偏光軸と直交する面内に出射した光の検光子での透過率が変化しないことは、出射側のプレチルト角による位相ずれを、入射側のプレチルト角による位相ずれには全く影響を与えずに独立して補償できることを表している。また、逆に位相差フィルムの遅相軸を検光子ではなく偏光子のほうの偏光軸と直交させた場合(図3では偏光板41の偏光軸41aと直交させた場合)には、入射側のプレチルト角による位相ずれのほうを、出射側のプレチルト角による位相ずれとは独立して補償できることを表している。
【0104】
ところで、以上の例におけるように傾き角αの位相差フィルム5と等価なリターデーションを有する視野角拡大フィルムを用意しようとしても、実際には、完全に等価ではなく僅かながらリターデーションの相違する視野角拡大フィルムしか入手または製造できないこともある。
【0105】
また、完全に等価な視野角拡大フィルムを用意できた場合でも、前述のようにシミュレーションによって作業を行った場合には、シミュレーション上の光学モデルと実際の液晶プロジェクタ装置の光学系との微妙な差異により、コントラストやユニフォーミティの改善効果がシミュレーション結果よりも僅かながら劣ってしまうこともある。
【0106】
そこで、各液晶モジュール1,2,3において液晶パネル42と偏光板47との間に視野角拡大フィルム4を配置した後、液晶パネル42及び偏光板47に対して視野角拡大フィルム4を固定する前に、この液晶プロジェクタ装置でスクリーンに画像を投射しながら、フィルム面に平行な面内での視野角拡大フィルム4の回転角度位置をそれぞれ微調整する(例えば1〜2゜程度の範囲で変化させる)ことが好適である。
【0107】
このように視野角拡大フィルム4の回転角度位置を微調整することにより、図4の光La,Lb,Lcが通過する面内での複屈折性の大きさを微調整することができるので、画像のコントラストやユニフォーミティを微調整することができる。
【0108】
そして、コントラストやユニフォーミティが最も向上するように回転角度位置を決定し、その回転角度位置で視野角拡大フィルム4を固定するようにすればよい。これにより、個々の液晶プロジェクタ装置毎に、画像のコントラストやユニフォーミティの改善効果を最も高めることができるようになる。
【0109】
また、以上の例では位相差フィルム5の遅相軸5aを偏光板47の偏光軸47aと直交させているが、遅相軸5aではなく位相差フィルム5の進相軸のほうを偏光軸47aと直交させるようにしてもよい。その場合にも、図4の光Lb,Lcはやはり位相差フィルム5を透過する際に互いに逆向きの位相ずれを生じる(遅相軸5aのほうを偏光軸47aと直交させた場合とはそれぞれ逆向きの位相ずれを生じる)ので、出射側のプレチルト角による位相ずれを補償することができる。
【0110】
また、以上の例では位相差フィルム5の遅相軸5aを偏光板47の偏光軸47aと直交させているが、位相差フィルム5の遅相軸5aまたは進相軸を、偏光板47ではなく偏光板41の偏光軸41aのほうと直交させるようにしてもよい。それにより、前述のように、入射側のプレチルト角による位相ずれのほうを補償できるようになる。
【0111】
もちろん、位相差フィルム5の遅相軸5aまたは進相軸を偏光軸47aと直交させた場合と位相差フィルム5の遅相軸5aまたは進相軸を偏光軸41aと直交させたとのそれぞれについて以上の方法を実行するようにしてもよい。それにより、入射側のプレチルト角による位相ずれと出射側のプレチルト角による位相ずれとを、互いに独立して両方とも補償することができるので、コントラストやユニフォーミティの改善効果を一層高めることができるようになる。
【0112】
また、以上の例では視野角拡大フィルム4を液晶パネル42と偏光板47との間に配置しているが、光学系の小型化をあまり考慮する必要がない場合には、位相差フィルム5のように傾き角αを決定した一軸延伸位相差フィルムを実際に液晶パネル42と偏光板47との間に配置したまま液晶プロジェクタ装置を製造するようにしてもよい。
【0113】
また、本発明は、開口率を高めるためのマイクロレンズを液晶パネルに設けたあらゆる透過式液晶プロジェクタ装置(図13及び図14に示した以外の構成を有する3板透過式液晶プロジェクタ装置や、単板透過式液晶プロジェクタ装置)に適用してよい。
【0114】
さらに、以上の方法は、開口率を高めるためのマイクロレンズを液晶パネルに設けていない透過式液晶プロジェクタ装置にそのまま適用しても、やはり視野角依存特性によるコントラストやユニフォーミティの低下を抑制することができる。そこで、コントラストやユニフォーミティの改善方法として、マイクロレンズを液晶パネルに設けた透過式液晶プロジェクタ装置とマイクロレンズを液晶パネルに設けていない透過式液晶プロジェクタ装置とでこの方法を共通化して実行するようにしてもよい。
【0115】
また、本発明は、以上の例に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、その他様々の構成をとりうることはもちろんである。
【0116】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る液晶プロジェクタ装置によれば、開口率を高めるためのマイクロレンズを液晶パネルに設けた透過式液晶プロジェクタ装置において、プレチルト角による位相ずれを、液晶分子への実際の光の入射角に応じて最適に補償することができるので、プレチルト角を原因とするコントラストやユニフォーミティの低下を抑制して、コントラストやユニフォーミティを改善することができるという効果が得られる。また、ノーマリーホワイトモードの場合に、液晶パネルの入射側のプレチルト角による位相ずれと、液晶パネルの出射側のプレチルト角による位相ずれとを、互いに独立して補償することができるという効果が得られる。
【0117】
また、このようにプレチルト角を原因とするコントラストやユニフォーミティの低下を抑制してコントラストやユニフォーミティを改善することができるとともに、液晶パネルと検光子との間の距離の増大を最小限に抑えることができるので、液晶プロジェクタ装置の光学系の小型化に寄与できるという効果も得られる。
【0120】
次に、本発明に係るコントラストの改善方法によれば、開口率を高めるためのマイクロレンズを液晶パネルに設けた透過式液晶プロジェクタ装置において、プレチルト角による位相ずれを液晶分子への実際の光の入射角に応じて最適に補償することができるので、プレチルト角を原因とするコントラストやユニフォーミティの低下を抑制してコントラストやユニフォーミティを改善することができるという効果が得られる。
【0121】
また、液晶パネルと検光子との間の距離の増大を最小限に抑えることができるので、液晶プロジェクタ装置の光学系の小型化に寄与できるという効果が得られる。
【0122】
さらに、マイクロレンズを液晶パネルに設けた透過式液晶プロジェクタ装置とマイクロレンズを液晶パネルに設けていない透過式液晶プロジェクタ装置とで、コントラストやユニフォーミティの改善方法を共通化できるという効果が得られる。
【0123】
また、ノーマリーホワイトモードの場合において、一軸延伸位相差フィルムを、その遅相軸と進相軸とのいずれか一方を偏光子(または検光子)の偏光軸と直交させるとともに、偏光子(または検光子)の偏光軸に平行な軸を回転中心として傾けるようにして配置した場合には、入射側(または出射側)のプレチルト角による位相ずれを、出射側(または入射側)のプレチルト角による位相ずれとは独立して補償することができるという効果も得られる。
【0124】
さらに、一軸延伸位相差フィルムの遅相軸と進相軸とのいずれか一方を偏光子の偏光軸と直交させた場合と、一軸延伸位相差フィルムの遅相軸と進相軸とのいずれか一方を検光子の偏光軸と直交させた場合とのそれぞれについて、第2〜第4ステップを実行するようにした場合には、入射側のプレチルト角による位相ずれと出射側のプレチルト角による位相ずれとを互いに独立して両方とも補償することができるので、コントラストやユニフォーミティを一層改善できるという効果も得られる。
【0125】
また、フィルム面に平行な面内での視野角拡大フィルムの回転角度位置を微調整するようにした場合には、視野角拡大フィルムを配置した後でもコントラストやユニフォーミティを改善できるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した3板透過式液晶プロジェクタ装置の光学系の構成例を示す図である。
【図2】図1の液晶モジュールの光学系の構成例を示す図である。
【図3】一軸延伸位相差フィルムの配置の様子を示す図である。
【図4】液晶パネルからの出射光が一軸延伸位相差フィルムを透過する様子を示す図である。
【図5】一軸延伸位相差フィルムを光の出射側から見た図である。
【図6】一軸延伸位相差フィルムの屈折率及び厚さを示した図である。
【図7】傾き角αの一軸延伸位相差フィルムと等価なリターデーションを有する視野角拡大フィルムを示した図である。
【図8】シミュレーション結果を示す図である。
【図9】図8のシミュレーション結果からのコントラストの改善比を示す図である。
【図10】シミュレーション結果からの傾き角とコントラストとの関係を示す図である。
【図11】シミュレーション結果を示す図である。
【図12】シミュレーション結果を示す図である。
【図13】従来の3板透過式液晶プロジェクタ装置の光学系の構成例を示す図である。
【図14】図13の液晶モジュールの光学系の構成例を示す図である。
【図15】液晶分子のプレチルト角を示す図である。
【図16】液晶パネルへの光の入射角とコントラストの低下の度合いとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1,2,3,28,29,30 液晶モジュール、 4 視野角拡大フィルム(特殊二軸延伸位相差フィルム)、 5 一軸延伸位相差フィルム、 5a 遅相軸、 11 光源、 12 ランプ、 13 リフレクタ、 14,15 マイクロレンズアレイ、 16 偏光変換素子、 17,20,22,23,25,27 レンズ、 18,21 ダイクロイックミラー、 19,24,26 ミラー、 31 ダイクロイックプリズム、 32 投射光学系、 41 偏光板(偏光子)、 41a,47a 偏光軸、 42 透過型液晶パネル、 43入射側の基板、 43a,46a 配向膜のラビング方向、 44 マイクロレンズ、 45 液晶層、 46 出射側の基板、 47 偏光板(検光子)、48 液晶分子
Claims (20)
- 入射光を画素の有効表示面積部分に集光させるマイクロレンズが設けられており、液晶分子を通過する光の合成電場ベクトルの軌跡を該液晶分子への印加電圧に応じて変化させる透過型液晶パネルと、
光源からの光のうち一つの振動方向の直線偏光を前記透過型液晶パネルに入射させる偏光子と、
前記透過型液晶パネルからの出射光のうち一つの振動方向の直線偏光を投射光学系に入射させる検光子とを有する液晶プロジェクタ装置において、
前記透過型液晶パネルと前記検光子との間に、フィルム面に平行な面内でのみ複屈折性を有する位相差フィルムを、該位相差フィルムの遅相軸と進相軸とのいずれか一方を前記検光子の偏光軸と直交させ、且つ、前記検光子の偏光軸に平行な軸を回転中心として前記透過型液晶パネルのパネル面に対して傾けて配置した
ことを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 請求項1に記載の液晶プロジェクタ装置において、
前記位相差フィルムの傾き角が、前記液晶パネルのうち黒を表示すべき画素からの出射光の前記検光子での透過率が極小または一定以下になる角度であることを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 請求項1に記載の液晶プロジェクタ装置において、
前記透過型液晶パネルは、TN(ツイステッドネマティック)液晶パネルまたはSTN(スーパーツイステッドネマティック)液晶パネルであることを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 請求項1に記載の液晶プロジェクタ装置において、
前記偏光子の偏光軸と前記検光子の偏光軸とが互いに直交していることを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 入射光を画素の有効表示面積部分に集光させるマイクロレンズが設けられており、液晶分子を通過する光の合成電場ベクトルの軌跡を該液晶分子への印加電圧に応じて変化させる透過型液晶パネルと、
光源からの光のうち一つの振動方向の直線偏光を前記透過型液晶パネルに入射させる偏光子と、
前記透過型液晶パネルからの出射光のうち一つの振動方向の直線偏光を投射光学系に入射させる検光子とを有する液晶プロジェクタ装置において、
前記透過型液晶パネルと前記検光子との間に、フィルム面に平行な面内でのみ複屈折性を有する位相差フィルムを、該位相差フィルムの遅相軸と進相軸とのいずれか一方を前記偏光子の偏光軸と直交させ、且つ、前記偏光子の偏光軸に平行な軸を回転中心として前記透過型液晶パネルのパネル面に対して傾けて配置した
ことを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 請求項5に記載の液晶プロジェクタ装置において、
前記位相差フィルムの傾き角が、前記液晶パネルのうち黒を表示すべき画素からの出射光の前記検光子での透過率が極小または一定以下になる角度であることを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 請求項5に記載の液晶プロジェクタ装置において、
前記透過型液晶パネルは、TN(ツイステッドネマティック)液晶パネルまたはSTN(スーパーツイステッドネマティック)液晶パネルであることを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 請求項5に記載の液晶プロジェクタ装置において、
前記偏光子の偏光軸と前記検光子の偏光軸とが互いに直交していることを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 入射光を画素の有効表示面積部分に集光させるマイクロレンズが設けられており、液晶分子を通過する光の合成電場ベクトルの軌跡を該液晶分子への印加電圧に応じて変化させる透過型液晶パネルと、
光源からの光のうち一つの振動方向の直線偏光を前記透過型液晶パネルに入射させる偏光子と、
前記透過型液晶パネルからの出射光のうち一つの振動方向の直線偏光を投射光学系に入射させる検光子とを有する液晶プロジェクタ装置において、
フィルム面に平行な面内でのみ複屈折性を有する第1の位相差フィルムを、該位相差フィルムの遅相軸と進相軸とのいずれか一方を前記検光子の偏光軸と直交させ、且つ、前記検光子の偏光軸に平行な軸を回転中心として前記透過型液晶パネルのパネル面に対して傾けて配置したときの傾き角のうち、前記液晶パネルのうち黒を表示すべき画素からの出射光の前記検光子での透過率が極小または一定以下になる傾き角をαとして、
フィルム面に平行な面内,該フィルム面に垂直な面内でそれぞれ複屈折性を有し、該フィルム面に平行な面内,該フィルム面に垂直な面内でのリターデーションの大きさが、それぞれ前記傾き角αの前記第1の位相差フィルムの前記パネル面に平行な面内,該パネル面に垂直な面内でのリターデーションの大きさに略等しい第2の位相差フィルムを、前記透過型液晶パネルのパネル面に対して平行に配置した
ことを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 請求項9に記載の液晶プロジェクタ装置において、
前記第1の位相差フィルムの厚さをdとし、前記検光子の偏光軸の方向をy軸方向とし、前記透過型液晶パネルのパネル面に平行な面内において前記y軸方向に直交する方向をx軸方向とし、前記透過型液晶パネルのパネル面に直交する方向をz軸方向とし、前記x軸方向,前記y軸方向,前記z軸方向での前記第1の位相差フィルムの屈折率をそれぞれnx,ny,nzとして、
前記第2の位相差フィルムは、フィルム面に平行な面内でのリターデーションの大きさRxyが、
Rxy=(nx−ny)d/cosα
であり、フィルム面に垂直な面内でのリターデーションの大きさRzyが、
Rzy=(nz−ny)d/cosα
であることを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 請求項9に記載の液晶プロジェクタ装置において、
前記透過型液晶パネルは、TN(ツイステッドネマティック)液晶パネルまたはSTN(スーパーツイステッドネマティック)液晶パネルであることを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 請求項9に記載の液晶プロジェクタ装置において、
前記偏光子の偏光軸と前記検光子の偏光軸とが互いに直交していることを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 入射光を画素の有効表示面積部分に集光させるマイクロレンズが設けられており、液晶分子を通過する光の合成電場ベクトルの軌跡を該液晶分子への印加電圧に応じて変化させる透過型液晶パネルと、
光源からの光のうち一つの振動方向の直線偏光を前記透過型液晶パネルに入射させる偏光子と、
前記透過型液晶パネルからの出射光のうち一つの振動方向の直線偏光を投射光学系に入射させる検光子とを有する液晶プロジェクタ装置において、
フィルム面に平行な面内でのみ複屈折性を有する第1の位相差フィルムを、該位相差フィルムの遅相軸と進相軸とのいずれか一方を前記偏光子の偏光軸と直交させ、且つ、前記偏光子の偏光軸に平行な軸を回転中心として前記透過型液晶パネルのパネル面に対して傾けて配置したときの傾き角のうち、前記液晶パネルのうち黒を表示すべき画素からの出射光の前記検光子での透過率が極小または一定以下になる傾き角をαとして、
フィルム面に平行な面内,該フィルム面に垂直な面内でそれぞれ複屈折性を有し、該フィルム面に平行な面内,該フィルム面に垂直な面内でのリターデーションの大きさが、それぞれ前記傾き角αの前記第1の位相差フィルムの前記パネル面に平行な面内,該パネル面に垂直な面内でのリターデーションの大きさに略等しい第2の位相差フィルムを、前記 透過型液晶パネルのパネル面に対して平行に配置した
ことを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 請求項13に記載の液晶プロジェクタ装置において、
前記第1の位相差フィルムの厚さをdとし、前記検光子の偏光軸の方向をy軸方向とし、前記透過型液晶パネルのパネル面に平行な面内において前記y軸方向に直交する方向をx軸方向とし、前記透過型液晶パネルのパネル面に直交する方向をz軸方向とし、前記x軸方向,前記y軸方向,前記z軸方向での前記第1の位相差フィルムの屈折率をそれぞれnx,ny,nzとして、
前記第2の位相差フィルムは、フィルム面に平行な面内でのリターデーションの大きさRxyが、
Rxy=(nx−ny)d/cosα
であり、フィルム面に垂直な面内でのリターデーションの大きさRzyが、
Rzy=(nz−ny)d/cosα
であることを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 請求項13に記載の液晶プロジェクタ装置において、
前記透過型液晶パネルは、TN(ツイステッドネマティック)液晶パネルまたはSTN(スーパーツイステッドネマティック)液晶パネルであることを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 請求項13に記載の液晶プロジェクタ装置において、
前記偏光子の偏光軸と前記検光子の偏光軸とが互いに直交していることを特徴とする液晶プロジェクタ装置。 - 入射光を画素の有効表示面積部分に集光させるマイクロレンズが設けられており、液晶分子を通過する光の合成電場ベクトルの軌跡を該液晶分子への印加電圧に応じて変化させる透過型液晶パネルと、
光源からの光のうち一つの振動方向の直線偏光を前記透過型液晶パネルに入射させる偏光子と、
前記透過型液晶パネルからの出射光のうち一つの振動方向の直線偏光を投射光学系に入射させる検光子とを有する液晶プロジェクタ装置のコントラストの改善方法において、
前記透過型液晶パネルと前記検光子との間に、フィルム面に平行な面内でのみ複屈折性を有する第1の位相差フィルムを、前記透過型液晶パネルのパネル面に対して傾けて配置する第1ステップと、
前記第1の位相差フィルムの傾き角を変化させながら、前記透過型液晶パネルのうち黒を表示すべき画素からの出射光の前記検光子での透過率を調べ、前記透過率の大きさに応じて前記傾き角を決定する第2ステップと、
前記第2ステップで決定した前記傾き角における、前記パネル面に平行な面内,該パネル面に垂直な面内での前記第1の位相差フィルムのリターデーションの大きさを求める第3ステップと、
フィルム面に平行な面内,該フィルム面に垂直な面内でそれぞれ複屈折性を有し、該フィルム面に平行な面内,該フィルム面に垂直な面内でのリターデーションの大きさがそれぞれ前記第3ステップで求めた前記パネル面に平行な面内,該パネル面に垂直な面内でのリターデーションの大きさに略等しい第2の位相差フィルムを、前記第1の位相差フィルムに代えて、前記透過型液晶パネルと前記検光子との間に、前記パネル面に対して平行に配置する第4ステップと
を有することを特徴とするコントラストの改善方法。 - 請求項17に記載のコントラストの改善方法において、
前記第1ステップで、前記第1の位相差フィルムの遅相軸と進相軸とのいずれか一方を前記偏光子の偏光軸と直交させるとともに、前記偏光子の偏光軸に平行な軸を回転中心として前記第1の位相差フィルムを傾けることを特徴とするコントラストの改善方法。 - 請求項17に記載のコントラストの改善方法において、
前記第1ステップで、前記第1の位相差フィルムの遅相軸と進相軸とのいずれか一方を前記検光子の偏光軸と直交させるとともに、前記検光子の偏光軸に平行な軸を回転中心として前記第1の位相差フィルムを傾けることを特徴とするコントラストの改善方法。 - 請求項17乃至19のいずれかに記載のコントラストの改善方法において、
フィルム面に平行な面内での前記第2の位相差フィルムの回転角度位置を微調整する第5ステップ
をさらに有することを特徴とするコントラストの改善方法。
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