JP2004024104A - プロポリス抽出物、その製造方法、それを含有する血圧降下剤、食品製剤及びプロポリス組成物 - Google Patents

プロポリス抽出物、その製造方法、それを含有する血圧降下剤、食品製剤及びプロポリス組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】高血圧症に対して優れた血圧降下作用を発揮するプロポリス抽出物を提供する。プロポリス抽出物を容易に製造する製造方法を提供する。プロポリス抽出物を含有する優れた血圧降下剤及び食品製剤を提供する。プロポリスのエタノール抽出物を含有するプロポリス組成物を提供する。
【解決手段】プロポリス抽出物は、有機酸類の含有量が3重量%以上、糖類及びペプチド又はタンパク質の含有量がいずれも5重量%以上のものである。プロポリス抽出物の製造方法は、1〜10℃においてプロポリス原料に水を混合し、水で抽出される抽出物をダイヤイオン等の分離用担体又は樹脂に供し、水又は低級アルコール水溶液で溶出させるものである。血圧降下剤及び食品製剤は、プロポリス抽出物からなり、プロポリス組成物は、プロポリス抽出物とプロポリスのエタノール抽出物とからなるものである。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高血圧症の発症及び進展を抑制するために有効な成分を含有するプロポリス抽出物、その製造方法、それを含有する血圧降下剤、食品製剤及びプロポリス組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高血圧症及びその前段階の症状を呈する人が増加している。高血圧症は、体液量の増加、血管の抵抗性の低下、アンジオテンシンII等の血圧上昇因子の増加、一酸化窒素等の血圧低下因子の減少等により引き起こされる。このうち、アンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害するカプトプリル、エナラプリル等は医薬品として高血圧症の治療に使用されている。また、天然に存在するACE阻害物質には、VYペプチドを含有するイワシペプチド、鰹節ペプチドや乳酸菌の産生するペプチド等があり、これらは特定保健用食品の有効成分として使用されている。
【0003】
一方、ホスホジエステラーゼ(PDE)は、血管平滑筋細胞内で環状アデノシンモノリン酸(cAMP)を分解し、5−アデノシンモノリン酸(AMP)を生成する酵素である。血圧を降下させる作用を持つ一酸化窒素は血管平滑筋細胞に作用して、細胞内cAMPを増加させ、平滑筋細胞を弛緩させることにより、血圧を降下させる。しかし、PDEが働き、cAMPが分解されると、血圧降下は維持されない。PDEを阻害すれば、cAMPの分解が抑えられ、血圧が降下する。PDEを阻害する物質に、パパベリンがあり、これは血圧を降下させる医薬品として利用されている。
【0004】
ところで、高血圧症に対する医薬品又は食品製剤の試験を行う場合には、自然発症高血圧(SHR)ラットが汎用される。このSHRラットはヒトにおける本態性高血圧症のモデルであり、週齢の増加とともに、血圧が上昇する特徴を有している。また、SHRラットを用いた試験実績は非常に豊富である。
【0005】
さらに、プロポリスは、ミツバチの巣から採取される樹脂状の物質である。近年、プロポリスの水抽出物には抗炎症作用を始め、アレルギーや糖尿病に対する効果が認められている(特開2001−218563号及び特開平11−290005号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の製法により得られたプロポリスの水抽出物は、高血圧症に対する血圧降下作用は、微弱であるか、又は認められないという問題点があった。そこで、有効成分を多量に含有し、優れた血圧降下作用を呈するプロポリス抽出物及びその製造方法が望まれていた。
【0007】
この発明は上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、有効成分を多量に含有する優れた血圧降下作用を発揮することができるプロポリス抽出物を提供することにある。また、前記プロポリス抽出物を容易に製造する製造方法を提供することにある。さらに、優れた血圧降下作用を発揮することができる血圧降下剤及び食品製剤を提供することにある。加えて、プロポリス抽出物を安定に維持することができるプロポリス組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のプロポリス抽出物は、有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質から選択される少なくとも一種を含有し、有機酸類の含有量が3重量%以上、糖類及びペプチド又はタンパク質の含有量がいずれも5重量%以上のものである。
【0009】
請求項2に記載の製造方法は、1〜10℃においてプロポリス原料に水を混合し、水で抽出される抽出物を分離用担体又は樹脂に供し、水又は低級アルコールを含有する水溶液で溶出させ、有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質から選択される少なくとも一種を抽出することを特徴とするプロポリス抽出物の製造方法である。
【0010】
請求項3に記載の血圧降下剤は、請求項1に記載のプロポリス抽出物を有効成分として含有するものである。
請求項4に記載の食品製剤は、請求項1に記載のプロポリス抽出物を有効成分として含有するものである。
【0011】
請求項5に記載のプロポリス組成物は、請求項1に記載のプロポリス抽出物の1重量部に対しプロポリスのエタノール抽出液を0.01〜0.05重量部含有するみのである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
まず、本実施形態のプロポリス抽出物は、有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質から選択される少なくとも一種を含有し、有機酸類の含有量が3重量%以上、糖類及びペプチド又はタンパク質の含有量がいずれも5重量%以上のものである。
【0013】
前記プロポリス抽出物の有機酸類は、プロポリス中に含まれるp−クマル酸、安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、カフェ酸、フェルラ酸、シナピン酸等である。これらの有機酸類はPDEの活性近傍にあるcAMPのリン酸認識部位を修飾することにより、PDE阻害作用を示し、血圧を降下させる。
【0014】
前記プロポリス抽出物の糖類は、プロポリス中に含まれる5−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、クロロゲン酸等の前記の有機酸と糖からなる配糖体、フラボノイド類やテルペン類等と結合した配糖体、並びに糖タンパク質等である。これらの糖類は、PDE活性を阻害し、血圧を降下させる。すなわち、PDEには基質であるcAMPのリボース部位を認識する糖認識部位が存在しており、これらの糖類は、この糖認識部位を修飾することにより、PDE活性を阻害する。さらに、前記の有機酸類と糖類の配糖体が共存することは、PDEのリン酸認識部位及び糖認識部位を同時に阻害することから、より好ましい。
【0015】
前記プロポリス抽出物のペプチド又はタンパク質は、プロポリス中に含まれるペプチド又はタンパク質及びフラボノイド類や糖類等と結合した結合体である。これらのペプチド又はタンパク質は、ACEのアンジオテンシンI認識部位に作用し、ACE活性を阻害する。
【0016】
本実施形態のプロポリス抽出物はペプチド又はタンパク質によるACE阻害作用並びに有機酸類及び糖類によるPDE阻害作用に基づき、血圧を降下させる。さらに、有機酸類と糖類とペプチド又はタンパク質の3者が、結合した結合物は、ACE及びPDEを同時に阻害することから、より好ましい。
【0017】
プロポリス抽出物中の有機酸類の含有量は3重量%以上である。さらに、この含有量は、4重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。この含有量が3重量%を下回る場合、PDE活性が阻害されず、血圧降下作用が発揮されない。
【0018】
プロポリス抽出物中の糖類の含有量は5重量%以上である。さらに、この含有量は7重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。この糖類の含有量が5重量%を下回る場合、PDE活性が阻害されず、血圧降下作用が発揮されない。
【0019】
プロポリス抽出物中のペプチド又はタンパク質の含有量は、5重量%以上である。さらに、この含有量は7重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。この含有量が5重量%を下回る場合、ACE活性が阻害されず、血圧降下作用が発揮されない。
【0020】
これらの有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質はそれぞれ単独又は共存のいずれでも良い。有機酸類と糖類のPDE認識部位が異なり、相乗的なPDE阻害作用を発揮することができるため、両者の共存は好ましい。有機酸類には、タンパク質又はペプチドの構造を安定化させる作用があるため、有機酸類とタンパク質又はペプチドの共存は、より好ましい。
【0021】
プロポリス抽出物中に有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質が共存することは最も好ましい。3種類の物質の作用機序が異なることから、相乗的な血圧降下作用が得られる。結果としてACE阻害作用及びPDE阻害作用という異なる機序に基づき、腎性高血圧症、肺性高血圧症、本態性高血圧症、動脈硬化性高血圧症、血栓性高血圧症等の発症の原因が異なる高血圧症に対して血圧降下作用が得られる。
【0022】
次に、前記プロポリス抽出物の製造方法について説明する。本実施形態のプロポリス抽出物の製造方法は、1〜10℃においてプロポリス原料に水を混合し、水で抽出される抽出物を分離用担体又は樹脂に供し、水又は低級アルコールを含有する水溶液で溶出させ、有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質から選択される少なくとも一種を抽出する方法である。
【0023】
まず、この製造方法において、温度は1〜10℃とする。この温度は、2〜9℃が好ましく、4〜8℃がより好ましい。これは有効成分として有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質を含有し、高い温度により失活又は変性するためである。この温度が1℃を下回る場合には、抽出物が氷結することから、目的とする抽出が行なえない。また、この温度が10℃を上回る場合、有効成分の安定性が保たれず、失活する場合があり、目的とする血圧降下作用が得られないおそれがある。この温度を保つために、冷却水を使用することが好ましく、保冷庫又は冷蔵庫内で製造を行なうことがより好ましい。
【0024】
用いられるプロポリス原料は、プロポリス原塊及びその粉砕物等である。さらに、そのプロポリス原塊から親水性有機溶媒(エタノール、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等)又はその他の抽出溶媒や抽出方法(超臨界抽出等)により抽出される成分を取り除いた後の残渣が用いられる場合がある。なお、前記プロポリス原塊としては、ブラジル等の南米諸国、中国や日本等のアジア諸国、米国、ヨーロッパ諸国、アフリカ諸国等のいずれの産地のものも使用可能であるが、取り扱いの点からブラジル産を使用するのが好ましい。
【0025】
混合される水は、水道水、ミネラルウォーター、深層海水、蒸留水、又はイオン交換水である。水の混合により抽出されるプロポリスの抽出物は、最も簡便には、前記プロポリス原料を水に浸漬させてその原料中の水に可溶な成分を抽出した後、プロポリス原料中の水に不溶な成分を取り除いた後、濃縮・乾燥することによって製造される。
【0026】
前記の抽出物は分離用担体又は樹脂により分離され、分取される。分離用担体又は樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、セルロースやアガロース等の多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が挙げられる。0.1〜300μmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
【0027】
例えば、逆相担体又は樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、逆相担体又は樹脂と物質との間で疎水結合が形成されるため、疎水性の高い物質の分離に利用される。イオン交換担体又は樹脂は、XAD−2又はXAD−4(ロームアンドハース社製)等のように、イオン性の物質の分離に適している。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。
【0028】
アフィニティ担体又は樹脂としては、ACE又はACE活性中心ペプチド及びPDE又はPDE活性中心ペプチドから選択される少なくとも一種を結合させたものである。ACE又はACE活性中心ペプチドを結合させた場合には、ACE阻害作用を示す物質を収率良く分離するアフィニティ担体又は樹脂が得られる。同様に、PDE又はPDE活性中心ペプチドを結合させた場合には、PDE阻害作用を示す物質を収率良く分離するアフィニティ担体又は樹脂が得られる。両者をともに結合させたものは、両阻害物質を同時に分離できることから好ましい。
【0029】
分配性担体又は樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、その物質の単離に利用される。分子篩用担体又は樹脂は、セファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)等のように、物質の分子の大きさに依存して分離するものである。ダイヤイオン(三菱化学(株)社製)等の吸着性担体又は樹脂は、物質の吸着性を利用して分離するものである。
【0030】
これらのうち、医薬品製剤及び食品製剤の製造に用いられる担体又は樹脂が好ましい。有機酸類、糖質及びタンパク質の分離に適していることから、吸着性担体又は樹脂、分配性担体又は樹脂、分子篩用担体又は樹脂及びイオン交換担体又は樹脂が好ましい。さらに、プロポリス中に存在する脂質や脂肪酸等の不純物の除去に適している点から、吸着性担体又は樹脂及び分子篩用担体又は樹脂はより好ましい。
【0031】
分離用溶媒として有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体又は樹脂が用いられる。これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン及びXAD−2又はXAD−4、分子篩用担体としてセファデックスLH−20、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。これらのうち、ダイヤイオン及びセファデックスLH−20はさらに好ましい。
【0032】
得られた抽出物は、分離前に分離用担体又は樹脂を膨潤化させるための溶媒に溶解される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜50倍量が好ましく、3〜20倍量がより好ましい。この溶媒量が抽出物の重量に対して1倍量を下回る場合、目的とする分離を十分に行なうことができない。一方、溶媒量が抽出物の重量に対して50倍を上回る場合、溶出される量が多くなり、濃縮の操作が煩雑になる。
【0033】
分離の温度は、1〜10℃である。分離の温度が1℃を下回る場合、氷結により目的とする分離が行なわれない。また、分離の温度が10℃を上回る場合、有効成分の安定性が低下する。
【0034】
分離用溶媒としては、水、又は、低級アルコールを含有する水溶液である。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。また、分離用溶媒として水に対する低級アルコールの混合比率としては、50容量%以下が好ましく、25容量%以下がより好ましい。さらに、分離用溶媒として水を用いることは一層好ましい。
【0035】
分離の方法は、自然落下、ペリスタポンプ又は吸引などによる人工的な方法が用いられる。成分の検出には、目視による色の判定、吸光度計による吸光度の測定、紫外線ランプを用いた蛍光の観察等が用いられる。
【0036】
以上の分離操作に、低速クロマトグラムシステム、高速クロマトグラムシステム、精製用クロマトグラムシステム、膜分離クロマトグラムシステム等のシステム化された装置を用いることが好ましい。
【0037】
加えて、同一あるいは異なる分離用担体又は樹脂を用い、かつ、同一又は異なる分離用溶媒を用い、分離操作を繰返し行なうことが好ましい。以上の操作により、目的とするプロポリス抽出物が液体として得られる。
【0038】
さらに、製剤化を容易にする目的で、得られたプロポリス抽出物を乾燥することが好ましい。乾燥温度を低温に保ち、有効成分の安定性を維持する点から、凍結真空乾燥機による乾燥等が最も好ましい。この方法により、プロポリス抽出物の粉末が得られる。得られたプロポリス組成物は、分解や変性を防ぐため、低温で保管される。
【0039】
次に、前記のプロポリス抽出物を有効成分として含有する血圧降下剤について説明する。この発明のプロポリス抽出物を有効成分とする血圧降下剤においては、医薬品製剤の製造に関わる常法に従って医薬品又は医薬部外品として利用される。医薬品として経口剤又は非経口剤として利用され、医薬部外品としては、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤等に配合されて利用される。
【0040】
経口剤としては、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。前記錠剤及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いることができる。前記錠剤は、シェラック又は砂糖で被覆することもできる。また、カプセル剤の場合には、上記の材料にさらに油脂等の液体担体を含有させることができる。シロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、防腐剤、色素香味剤等を含有させることができる。
【0041】
非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、水剤等の外用剤の他に、注射剤が挙げられる。注射剤には、液剤がある。その他、凍結乾燥剤があり、これは使用時に蒸留水又は生理食塩液等に無菌的に溶解し、等張液として用いられる。
【0042】
これらの血圧降下剤中における前記の有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質の含有量としては、0.1〜20重量%が好ましく、1〜15重量%がより好ましく、5〜10重量%がさらに好ましい。この含有量が0.1重量%未満の場合には、含有量が少なすぎることから作用を十分に発揮することができない。また、20重量%を越える場合には、血圧降下剤の安定性に寄与している成分の含有量が相対的に低下する。
【0043】
これらの血圧降下剤は、他の血圧降下剤と併用することができる。例えば、利尿作用を有するサイアザイト系及びループ系利尿剤、サルブタモール等のβ受容体遮断薬やクロニジン等の中枢性α受容体刺激剤、並びにベラパミルやシルニジピン等のカルシウム遮断薬と前記の血圧降下剤とを併用することは、作用機序が異なり、相乗的な血圧降下作用が得られる点から、好ましい。
【0044】
次に、前記のプロポリス抽出物を有効成分として含有する食品製剤について説明する。この食品製剤は、前記の有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質から選択される少なくとも一種を含有するものである。その場合、種々の食品素材又は飲料品素材に添加することによって、例えば、粉末状、錠剤状、液状(ドリンク剤等)、カプセル状等の形状の食品製剤とすることができる。また、基材、賦形剤、添加剤、副素材、増量剤等を適宜添加してもよい。
【0045】
この食品製剤は、1日数回に分けて経口摂取される。1日の摂取量は0.1〜5gが好ましく、0.3〜3gがより好ましく、0.5〜1gがさらに好ましい。1日の摂取量が、0.1gを下回る場合、十分な効果が発揮されないおそれがある。1日の摂取量が、5gを越える場合、コストが高くなるおそれがある。上記の他に、飴、せんべい、クッキー等の形態で使用することができる。
【0046】
また、食品製剤を、血圧が高めの人に対する特定保健用食品として用いることができる。この場合、有効成分は有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質から選択される少なくとも一種である。さらに、杜仲茶抽出物等の自律神経系に作用する特定保健用食品、ラクトペプチドやサーデンペプチド等のACE阻害作用を示すペプチドを有効成分とする特定保健用食品等と併用することができる。
【0047】
次に、前記のプロポリス抽出物の1重量部に対し、後述するプロポリスのエタノール抽出液を0.01〜0.05重量部含有するプロポリス組成物について説明する。
【0048】
まず、このプロポリス組成物は、前記のプロポリス抽出物とプロポリスのエタノール抽出液とからなり、それぞれの含有量は、プロポリス抽出物の1重量部に対してプロポリスのエタノール抽出液が0.01〜0.05重量部である。
【0049】
前述したプロポリスのエタノール抽出液とは、プロポリスよりエタノールを抽出用溶媒として抽出されたものである。このプロポリスのエタノール抽出液にはフラボノイド等の抗酸化物質が含まれ、強い抗酸化作用を有する。該抽出液をプロポリス抽出物に添加することにより、有効成分である有機酸類、糖類又はペプチド若しくはタンパク質から選択される少なくとも一種は安定に維持される。
【0050】
プロポリス抽出物の1重量部に対してプロポリスのエタノール抽出液が0.01重量部を下回る場合、プロポリスのエタノール抽出液による抗酸化作用が発揮されず、有機酸類、糖類又はペプチド若しくはタンパク質は不安定となり、血圧降下作用が持続されない。また、プロポリス抽出物の1重量部に対してプロポリスのエタノール抽出液が0.05重量部を上回る場合、プロポリスのエタノール抽出液中のエタノールにより、プロポリス抽出物のペプチド又はタンパク質は変性し、有効性を失う。
【0051】
得られたプロポリス組成物は、常法に従って、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに血圧降下剤等の医薬品製剤及び食品製剤に利用することができる。食品製剤としては、種々の食品素材又は飲料品素材に添加することによって、粉末状、錠剤状、液状(ドリンク剤等)、カプセル状等の形状の食品製剤として使用される。また、基材、賦形剤、添加剤、副素材、増量剤等を適宜添加しても良い。さらに、これらは健康食品や特定保健用食品として利用される。製剤中における前記プロポリス組成物の含量としては0.01〜20重量%が好ましく、0.05〜15重量%がより好ましく、0.1〜10重量%がさらに好ましい。0.01重量%未満の場合には摂取量が増加するために摂取が困難になる。また、20重量%を越える場合には製剤の安定性が低下する傾向にある。
【0052】
次に、詳述した本実施形態によって発揮される効果について説明する。
・ 本実施形態のプロポリス抽出物によれば、有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質から選択される少なくとも一種を含有する。さらに、有機酸類の含有量が3重量%以上、ペプチド又はタンパク質の含有量がいずれも5重量%以上であり、優れた血圧降下作用を発揮することができる。
・ 本実施形態のプロポリス抽出物の製造方法によれば、1〜10℃でプロポリス原料に水を混合し、水で抽出される抽出物を分離用担体又は樹脂に供し、水又は低級アルコールを含有する水溶液で溶出させることにより、プロポリス抽出物を製造することができる。
・ 本実施形態の血圧降下剤によれば、プロポリス抽出物を有効成分として含有し、優れた血圧降下作用を発揮することができる。
・ 本実施形態の食品製剤によれば、プロポリス抽出物を有効成分として含有し、優れた血圧降下作用を発揮することができる。
・ 本実施形態のプロポリス組成物によれば、プロポリスのエタノール抽出液によりプロポリス抽出物は安定に維持され、優れた血圧降下作用を発揮することができる。
・ 本実施形態のプロポリス抽出物によれば、高血圧症の発症原因に適合し、種々の高血圧症を治療する効果が発揮される。さらに、体質に合わせて高血圧症の進展を抑制又は発症を予防する効果が発揮される。
【0053】
【実施例】
以下、前記実施形態を具体化した実施例及び比較例について説明する。   (比較例1)
ブラジル産プロポリス原塊300gを粉砕し、8℃の冷蔵庫内で水3リットルを添加して5℃にて4時間撹拌した後、珪藻土濾過により水に溶解されなかった残渣を取り除くことによって濾液(プロポリスの水抽出液)2.5リットルを得た。得られたプロポリスの水抽出物を凍結真空乾燥機により乾燥することにより乾燥させ、粉末状のプロポリスの水抽出物30.5gを得た。
【0054】
(実施例1)
8℃の冷蔵庫内においてダイヤイオン500gに水1リットルを添加し、膨潤させた。これをガラス製カラムに詰め込み、水を流して洗浄した。比較例1で得られたプロポリスの水抽出物の粉末10gを水100mlに溶解し、これを前記カラムに添加した。このカラムに水1リットルを流し、分離される画分を分取した(水画分、検体1)。次いで、25容量%エタノール水溶液1リットルを流し、得られた画分を分取した(25%エタノール画分、検体2)。さらに、50容量%エタノール水溶液1リットルを流し、分離される画分を分取した(50%エタノール画分、検体3)。それぞれの画分を凍結真空乾燥機により、乾燥させ、粉末とした。検体1、検体2及び検体3の採取量は、それぞれ、1.2g、1.4g及び2.3gであった。
【0055】
(比較例2)
8℃の冷蔵庫内においてダイヤイオン500gに水1リットルを添加し、膨潤させた。これをガラス製カラムに詰め込み、水を流して洗浄した。比較例1で得られたプロポリスの水抽出物の粉末10gを水100mlに溶解し、これを前記カラムに添加した。このカラムに100容量%エタノール1リットルを流し、分離される画分を分取した。この画分を凍結真空乾燥機により、乾燥させ、1.9gの粉末を得た。
【0056】
(比較例3)
20℃にてブラジル産プロポリス原塊500gを粉砕し、100容量%エタノール1.5リットルを添加して6時間撹拌した後、珪藻土濾過により水に溶解されなかった残渣を取り除くことによってプロポリスのエタノール抽出液1.4リットル(固形分18.9重量%)を得た。
【0057】
(実施例2)
実施例1で得られた検体1のプロポリス抽出物1gに、比較例2で得られたプロポリスのエタノール抽出液0.01gを添加し、混合機により混合してプロポリス組成物0.9gを得た。
【0058】
(実施例3)
実施例1で得られた検体1のプロポリス抽出物1gに、比較例2で得られたプロポリスのエタノール抽出液0.05gを添加し、混合機により混合してプロポリス組成物0.9gを得た。
【0059】
(比較例4)
実施例1で得られた検体1のプロポリス抽出物1gに、比較例2で得られたプロポリスのエタノール抽出液0.005gを添加し、混合機により混合してプロポリス組成物0.9gを得た。
【0060】
(比較例5)
実施例1で得られた検体1のプロポリス抽出物1gに、比較例2で得られたプロポリスのエタノール抽出液0.1gを添加し、混合機により混合してプロポリス組成物1gを得た。
【0061】
以下に、ACE活性阻害実験について説明する。
(試験例1)
ACE阻害活性測定実験は、Food Sci Technol.Int.Tokyo, 3(4)、339−343(1997)の方法に準じた。すなわち、ウシの肺をアセトン中で沈殿後、乾燥した粉末(シグマ社製)1ユニットに塩化ナトリウムを含有するホウ酸緩衝液8.33mlを添加して0.12ユニット/mlのACE酵素溶液を調製した。試験管に蒸留水又は試料溶液0.05mlを添加し、これに5.83mMのBz−Gly−His−Leuを含有する基質溶液0.15mlを加えた。37℃で5分間反応後、ACE酵素溶液又はブランクとして1N塩酸溶液を0.05mlを添加し、さらに、37℃で30分間反応させた。これに1N塩酸溶液0.25mlを添加後、酢酸エチル1.5mlを加えて攪拌した。この溶液を遠心分離し、酢酸エチル溶液1mlを分離した。酢酸エチル溶液を真空乾燥機にて40℃で蒸発乾燥させた。これに蒸留水2.5mlを添加し、15分間放置後、228nmの吸光度を測定した。なお、陽性対照物質としてVYペプチドを用いた。
【0062】
阻害率(%)は次式により算出した。
阻害率=(1−(E−E)/(E−E))× 100%
C : 試料溶液の代わりとした蒸留水の228nmの吸光度
S : 試料溶液を含む時の228nmの吸光度
b : ブランクとしてACEの代わりに塩酸を加えた時の228nmの吸光度
なお、阻害率50%のときの試料濃度をIC50とした。
【0063】
【表1】
Figure 2004024104
表1に示すように、実施例1の検体1〜3、実施例2及び実施例3のIC50値が低いことから、ACE阻害作用を有することが示唆された。特に、実施例1の検体1のACE阻害活性は著しかった。これに対し、比較例1〜3のACE阻害活性は、軽度であった。
【0064】
以下に、PDE阻害活性実験について説明する。
(試験例2)
ウシの心臓100gをアセトン中で沈殿後、乾燥した粉末(シグマ社製)を5mlのトリス緩衝液(pH7)に溶解し、10000gで、30分間の遠心分離処理後の上清液を上記緩衝液で3倍に希釈してPDE酵素液とした。測定法はマラカイトグリーン法に準じた。即ち、100mMトリス緩衝液(300mM塩化ナトリウムを含む)pH7に、PDE酵素溶液を添加し、30℃で、30分間反応した。これに基質として5mMcAMPを0.1ml添加した。試料溶液を添加後、30℃で1時間反応させた。これを冷却し、マラカイトグリーン液(モリブデン酸アンモニウム、クエン酸緩衝液含有)0.1mlを添加した。攪拌後、測定波長630nmにおける吸光度を比色定量する。この方法により、各検体の50%PDE阻害濃度(IC50)を求めた。なお、陽性対照物質としてパパベリンを用いた。
【0065】
【表2】
Figure 2004024104
表2に示すように、実施例1の検体1〜3、実施例2及び実施例3のIC50値が低く、PDE阻害作用を有することが示唆された。特に、実施例1の検体1の阻害活性が著しかった。これに対し、比較例1〜3のPDE阻害活性は、軽度であった。
【0066】
以下に、SHRを用いた血圧測定実験について説明する。
(試験例3)
SHRラットを用いた実験では、14日間反復経口投与により、収縮期血圧の変化を調べた。すなわち、16から20週齢のSHRラットを1週間の予備飼育後、健康状態に異常の認められない動物を試験に用いた。溶媒対照として蒸留水を用い、陽性対照物質としてVYペプチドを用いた。試料の投与量は10mg/10ml/kg体重/日とし、1日あたり午前と午後に分けてラット用経口ゾンデを用いて経口投与した。投与14日目の動物について収縮期血圧をソフトロンBP−80により非観血的に測定した。各群の動物数を3例とした。得られた結果を平均値及び標準偏差で示し、溶媒対照群に対するt検定により有意差を調べた。なお、危険率5%未満の場合を有意差あり(*印)と判定した。
【0067】
【表3】
Figure 2004024104
表3に示すように、実施例1検体1〜3、実施例2及び実施例3を投与された動物の収縮期血圧は、溶媒対照群に比して有意に血圧が降下していた。特に、実施例2及び実施例3による血圧降下作用は著しかった。また、VYペプチドについても血圧の降下が認められた。これに対し、比較例1〜5に血圧降下作用は、認められなかった。
【0068】
以下に、高速液体クロマトグラフ装置を用いた有機酸類の分析について説明する。
(試験例4)
各試料の0.1%固形分をカプセルパックAG120((株)資生堂製)を分析カラムとして装着した高速液体クロマトグラフ装置(島津製作所製)に供した。メタノール:水:酢酸の比率が30:70:1よりなる混合溶液を移動相として、流速0.8ml/分、温度40℃で分析した。得られた分画の275nmの吸光度を測定した。桂皮酸、p−クマル酸、カフェ酸及びフェルラ酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸(シグマ社製)及び有機酸類と糖とからなる配糖体(シグマ社製)のピーク面積を求め、それぞれを合計して有機酸類の含有量(重量%)とした。なお。有機酸類と糖とからなる配糖体としては、5−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及びクロロゲン酸であった。
【0069】
以下に、オルシノール硫酸法による糖類含量の測定について説明する。
(試験例5)
試験管に試料溶液1mlを採取し、10mg/mlオルシノール含有硫酸液2mlを静かに添加した。混和後、20℃で5分間放置した。660nmの吸光度を測定した。同時に、10〜300mg/mlのグルコース溶液を標準溶液として測定した。重量当たりの糖類含量(重量%)として算出した。
【0070】
以下に、NCアナライザーによるペプチド又はタンパク質含量の測定について説明する。
(試験例6)
NCアナライザー(島津製作所製)に、試料溶液を添加し、高速液体クロマト法により窒素量を定量した。求めた窒素量に6.25を乗じてペプチド又はタンパク質量とした。重量当たりのペプチド又はタンパク質含量(重量%)として算出した。
【0071】
【表4】
Figure 2004024104
表4に示すように、血圧降下作用の認められた実施例1の検体1〜3は、有機酸類を3重量%以上、糖類及びペプチド又はタンパク質をいずれも5重量%以上含有していた。また、実施例1の検体1は、有機酸類を5重量%以上、糖類を10重量%以上及びペプチド又はタンパク質を7重量%以上含有していた。これに対し、比較例1〜3では、有機酸類が3重量%未満、糖類及びペプチド又はタンパク質がいずれも5重量%未満であった。
【0072】
(試験例7)
有効成分の安定性を調べる目的で、保存試験を実施した。40℃の恒温槽に試料溶液を静置し、7日間保存した。保存7日後に、試料溶液中の有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質含量を前記の方法により測定した。保存前の値を100%としてそれぞれの成分の残存率(%)を求めた。
【0073】
【表5】
Figure 2004024104
表5に示すように、実施例2及び実施例3は、有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質の残存率がいずれも95%以上であった。一方、実施例1の検体1及び検体2並びに比較例4は、有機酸類の残存率が75%以下、糖類の残存率が70%以下、ペプチド又はタンパク質の残存率が60%以下であった。プロポリスのエタノール抽出液は有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質を安定に維持した。
【0074】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記記載のプロポリス抽出物にクリシン、ケルセチン、アピゲニン等のフラボノイド類を添加しても良い。フラボノイド類は、その抗酸化作用により、プロポリス抽出物を安定に維持することができる。
・ 前記記載のプロポリス抽出物にcAMP及びアデノシントリリン酸(ATP)を添加しても良い。ATPはアデニレートシクラーゼの基質となり、cAMPを増加させることにより、血圧降下作用を増強する。
・ 前記記載のプロポリス抽出物をタンパク質分解酵素又はペプチド分解酵素で分解しても良い。タンパク質を低分子化し、さらに、ペプチドに分解することにより、消化管からの吸収を良くし、即効的な血圧降下作用を発揮する。
・ 前記記載のプロポリス抽出物の製造方法において糖分解酵素又はタンパク質分解酵素若しくはペプチド分解酵素を添加しても良い。原料中に存在する配糖体及び糖タンパク質を分解することにより、収率を増加させる。
【0075】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 請求項1に記載のプロポリス抽出物をタンパク質分解酵素又はペプチド分解酵素により分解して得られるプロポリス抽出物の分解物。このように構成した場合、吸収されやすい即効的な血圧降下作用を発揮することができる。
・ プロポリス原料は糖分解酵素又はタンパク質分解酵素若しくはペプチド分解酵素で分解したものとする請求項2に記載のプロポリス抽出物の製造方法。このように構成した場合、収率良くプロポリス抽出物を製造することができる。
・ 分離用担体又は樹脂は、ACE若しくはACE活性中心ペプチド及びPDE若しくはPDE活性中心ペプチドから選択される少なくとも一種を結合させたアフィニティ担体又は樹脂である請求項2に記載のプロポリス抽出物の製造方法。このように構成した場合、収率良くプロポリス抽出物を製造することができる。
【0076】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載のプロポリス抽出物によれば、ACE阻害作用及びPDE阻害作用に基づき、優れた血圧降下作用を発揮することができる。
【0077】
請求項2に記載の製造方法によれば、優れた血圧降下作用を有するプロポリス抽出物を容易に製造することができる。
請求項3に記載の血圧降下剤によれば、ACE阻害作用及びPDE阻害作用に基づき、高血圧症に対して優れた血圧降下作用を発揮することができる。
【0078】
請求項4に記載の食品製剤によれば、ACE阻害作用及びPDE阻害作用に基づき、血圧が高めの人に対して優れた血圧降下作用を発揮することができる。
請求項5に記載のプロポリス組成物によれば、有効成分を安定に維持し、優れた血圧降下作用を発揮することができる。

Claims (5)

  1. 有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質から選択される少なくとも一種を含有し、有機酸類の含有量が3重量%以上、糖類及びペプチド又はタンパク質の含有量がいずれも5重量%以上であるプロポリス抽出物。
  2. 1〜10℃においてプロポリス原料に水を混合し、水で抽出される抽出物を分離用担体又は樹脂に供し、水又は低級アルコールを含有する水溶液で溶出させ、有機酸類、糖類及びペプチド又はタンパク質から選択される少なくとも一種を抽出することを特徴とするプロポリス抽出物の製造方法。
  3. 請求項1に記載のプロポリス抽出物を有効成分として含有する血圧降下剤。
  4. 請求項1に記載のプロポリス抽出物を有効成分として含有する食品製剤。
  5. 請求項1に記載のプロポリス抽出物の1重量部に対しプロポリスのエタノール抽出液を0.01〜0.05重量部含有するプロポリス組成物。
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