JP2004022882A - ビーム描画装置、ビーム描画システム及びビーム描画方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境温度の変動や外部磁束密度の変動のような描画位置精度に影響を与える環境変動が生じてもかかる変動の影響を排除しビーム描画位置精度を維持できるビーム描画装置、ビーム描画システム及びビーム描画方法を提供する。
【解決手段】このビーム描画装置90は、基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と、照射手段からのビームによる基材に対する描画位置を制御する描画制御手段と、環境温度を測定する温度測定手段10と、を備え、描画制御手段は温度測定手段からフィードバックされた温度測定結果に基づいて前記描画位置を補正する。
【選択図】 図7
【解決手段】このビーム描画装置90は、基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と、照射手段からのビームによる基材に対する描画位置を制御する描画制御手段と、環境温度を測定する温度測定手段10と、を備え、描画制御手段は温度測定手段からフィードバックされた温度測定結果に基づいて前記描画位置を補正する。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ビームやレーザビーム等により基材に描画を行うビーム描画装置、ビーム描画システム及びビーム描画方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子ビームやレーザビームを用いるビーム描画装置は、基材に微細構造を形成し、例えば光学素子に微細な回折輪帯パターンを形成することができる(例えば、本出願人による特願2001−357578参照)。かかるビーム描画装置では、装置の環境温度の変動によりビームによる描画位置が変動してしまい、例えば、基材上で、160nm/℃程度の位置変動が生じてしまう。
【0003】
また、ビーム描画装置では、装置の外部(送電線や他装置の電源等)で発生する磁界による磁束密度が大きくなると、描画位置に影響を与えて描画位置が変動し、例えば、100nm/1.2μT程度の位置変動が生じてしまう。
【0004】
以上のように、環境温度の変動や外部磁束密度の変動に起因して、ビームによる描画時に描画位置が変動してしまい、描画位置精度が低下してしまうことがある。環境温度の変動に対しては、装置を設置した部屋内の温度を空調設備で一定にすることが考えられるが、環境温度の厳密な制御は困難であり、設備等のコストがかかり、問題が多く、また、室内ではある程度の温度変動は不可避的に起きてしまう。また、外部磁束密度の変動に対しては、装置内の要所にシールド等を設けることで対処可能であるが、かかる対策では一定の限界がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、環境温度の変動や外部磁束密度の変動のような描画位置精度に影響を与える環境変動が生じてもかかる変動の影響を排除しビームによる描画位置精度を維持できるビーム描画装置、ビーム描画システム及びビーム描画方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による第1のビーム描画装置は、基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と、前記照射手段からのビームによる前記基材に対する描画位置を制御する描画制御手段と、環境温度を測定する温度測定手段と、を備え、前記描画制御手段は前記温度測定手段からフィードバックされた温度測定結果に基づいて前記描画位置を補正することを特徴とする。
【0007】
このビーム描画装置によれば、環境温度に変動が生じても、その環境温度を測定し、その測定結果により描画位置を補正できるので、描画位置の精度を保つことができる。
【0008】
上記ビーム描画装置では、前記環境温度と前記描画位置との関係情報を記録した記録部を備え、前記関係情報から前記温度測定結果に基づいて得られる前記描画位置のずれ量を前記描画位置の補正量とするように構成できる。環境温度と描画位置との関係情報を予め得て、記録部が記録しておき、測定した温度に対応する描画位置から得たずれ量分を補正することで、描画位置を精度よく補正できる。
【0009】
また、前記記録部は前記環境温度の変動量と前記描画位置のずれ量との関係に基づいて作成した補正テーブルを有し、前記補正テーブルから前記描画位置のずれ量を得るように構成できる。
【0010】
また、前記温度測定手段は装置内に配置された温度センサを有することにより、描画位置の精度に影響を与える装置内部の温度を測定することで、より精度よく温度変動による描画位置の補正を行うことができる。なお、温度センサで装置外部の環境温度を測定するようにしてもよい。
【0011】
本発明による第1のビーム描画システムは、基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と前記照射手段からのビームによる前記基材に対する描画位置を制御する描画制御手段とを備えるビーム描画装置と、環境温度を測定する温度測定装置と、前記温度測定装置の温度測定結果に基づいて前記描画位置を補正するための補正情報を得る演算装置と、をネットワークを介して接続し、前記ビーム描画装置は前記ネットワークを介して受信した前記補正情報に基づいて前記描画位置を補正することを特徴とする。
【0012】
このビーム描画システムによれば、環境温度に変動が生じても、その環境温度を測定し、その測定結果により描画位置を補正できるので、描画位置の精度を保つことができる。また、温度測定装置と演算装置をビーム描画装置の外部に設け、ネットワークで互いに接続するので、ビーム描画装置は内部に温度測定装置と演算装置を設けなくてすむので、コンパクトに構成できる。また、複数のビーム描画装置をネットワークを介して接続できるので、温度測定装置と演算装置を共用でき、コスト的に有利である。
【0013】
上記ビーム描画システムでは、前記演算装置は、前記温度と前記描画位置との関係情報を記録した記録部を有し、前記温度測定装置から受信した前記温度測定結果に基づいて前記関係情報から得られた前記描画位置のずれ量を前記補正情報として前記ビーム描画装置に送信するように構成できる。環境温度と描画位置との関係情報を予め得て、演算装置で記録部が記録しておき、測定した温度に対応する描画位置から得たずれ量分を補正することで、描画位置を精度よく補正できる。
【0014】
また、前記温度の変動量と前記描画位置のずれ量との関係に基づいて作成した補正テーブルを有するデータベースが前記ネットワークに更に接続されており、前記演算装置は、前記温度測定装置から受信した前記温度測定結果に基づいて前記補正テーブルから得られた前記描画位置のずれ量を前記補正情報として前記ビーム描画装置に送信するように構成してもよい。複数のビーム描画装置をネットワークを介して接続した場合には、このデータベースを共用できる。
【0015】
また、前記温度測定装置は、前記ビーム描画装置内に配置された温度センサを有し、前記温度センサの温度検知信号を前記ネットワークを介して受信するように構成できる。これにより、描画位置の精度により影響を与えるビーム描画装置内部でその温度を測定することで、より精度よく温度変動による描画位置の補正を行うことができる。また、複数のビーム描画装置をネットワークを介して接続した場合には、温度センサを各ビーム描画装置に配置し、ネットワークを介して温度測定装置が各温度検知信号を受信するようにできる。なお、温度測定装置が1つの温度センサを有し、環境温度をビーム描画装置の外部で測定するようにしてもよい。
【0016】
本発明による第1のビーム描画方法は、基材に対しビームを照射することで描画を行うビーム描画方法において、前記描画を行う環境の温度を測定する温度測定ステップと、前記基材における描画位置を前記温度測定結果に基づいて補正するステップと、前記補正された描画位置で描画処理を実行するステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
このビーム描画方法によれば、環境温度に変動が生じても、その環境温度を測定し、その測定結果により描画位置を補正できるので、描画位置の精度を保つことができる。
【0018】
本発明による第2のビーム描画装置は、基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と、前記照射手段からのビームによる前記基材に対する描画位置を制御する描画制御手段と、磁束密度を測定する磁束密度測定手段と、を備え、前記描画制御手段は前記磁束密度測定手段からフィードバックされた磁束密度測定結果に基づいて前記描画位置を補正することを特徴とする。
【0019】
このビーム描画装置によれば、外部磁界により磁束密度に変動が生じても、その磁束密度を測定し、その測定結果により描画位置を補正できるので、描画位置の精度を保つことができる。
【0020】
上記ビーム描画装置では、前記磁束密度と前記描画位置との関係情報を記録した記録部を備え、前記関係情報から前記磁束密度測定結果に基づいて得られる前記描画位置のずれ量を前記描画位置の補正量とするように構成できる。磁束密度と描画位置との関係情報を予め得て、記録部が記録しておき、測定した磁束密度に対応する描画位置から得たずれ量分を補正することで、描画位置を精度よく補正できる。
【0021】
また、前記記録部は前記磁束密度の変動量と前記描画位置のずれ量との関係に基づいて作成した補正テーブルを有し、前記補正テーブルから前記描画位置のずれ量を得るようにできる。
【0022】
また、前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記照射手段による描画を中断することにより、上述のような描画位置の補正で対処できない程度に磁束密度が大きくなった場合に描画位置の精度低下を未然に防止できる。
【0023】
本発明による第3のビーム描画装置は、基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と、磁束密度を測定する磁束密度測定手段と、を備え、前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記照射手段による描画を中断することを特徴とする。
【0024】
このビーム描画装置によれば、外部磁界による磁束密度が大きくなった場合に描画位置の精度低下を未然に防止できるので、描画位置の精度を保つことができる。
【0025】
上記第2及び第3のビーム描画装置では、前記磁束密度測定手段は装置内に配置された磁界センサを有することにより、描画位置の精度により影響を与えるビーム描画装置内部でその外部磁界の磁束密度を測定することで、より精度よく磁束密度変動による描画位置の補正を行うことができる。なお、磁界センサで外部磁界による磁束密度を装置外部で測定するようにしてもよい。
【0026】
本発明による第2のビーム描画システムは、基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と前記照射手段からのビームによる前記基材に対する描画位置を制御する描画制御手段とを備えるビーム描画装置と、磁束密度を測定する磁束密度測定装置と、前記磁束密度測定装置の磁束密度測定結果に基づいて前記描画位置を補正するための補正情報を得る演算装置と、をネットワークを介して接続し、前記ビーム描画装置は前記ネットワークを介して受信した前記補正情報に基づいて前記描画位置を補正することを特徴とする。
【0027】
このビーム描画システムによれば、外部磁界により磁束密度に変動が生じても、その磁束密度を測定し、その測定結果により描画位置を補正できるので、描画位置の精度を保つことができる。また、磁束密度測定装置と演算装置をビーム描画装置の外部に設け、ネットワークで互いに接続するので、ビーム描画装置は内部に磁束密度測定装置と演算装置を設けなくてすむので、コンパクトに構成できる。また、複数のビーム描画装置をネットワークを介して接続できるので、磁束密度測定装置と演算装置を共用でき、コスト的に有利である。
【0028】
上記ビーム描画システムでは、前記演算装置は前記磁束密度と前記描画位置との関係情報を記録した記録部を有し、前記磁束密度測定装置から受信した前記磁束密度測定結果に基づいて前記関係情報から得られた前記描画位置のずれ量を前記補正情報として前記ビーム描画装置に送信するように構成できる。磁束密度と描画位置との関係情報を予め得て、記録部が記録しておき、測定した磁束密度に対応する描画位置から得たずれ量分を補正することで、描画位置を精度よく補正できる。
【0029】
また、前記磁束密度の変動量と前記描画位置のずれ量との関係に基づいて作成した補正テーブルを有するデータベースが前記ネットワークに更に接続されており、前記演算装置は、前記磁束密度測定装置から受信した前記磁束密度測定結果に基づいて前記補正テーブルから得られた前記描画位置のずれ量を前記補正情報として前記ビーム描画装置に送信するように構成してもよい。複数のビーム描画装置をネットワークを介して接続した場合には、このデータベースを共用できる。
【0030】
また、上記ビーム描画システムでは、前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記照射手段による描画を中断することにより、上述のような描画位置の補正で対処できない程度に磁束密度が大きくなった場合に描画位置の精度低下を未然に防止できる。
【0031】
本発明による第3のビーム描画システムは、基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段を備えるビーム描画装置と、磁束密度を測定する磁束密度測定装置と、をネットワークを介して接続し、前記ビーム描画装置は前記ネットワークを介して受信した前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記照射手段による描画を中断することを特徴とする。
【0032】
このビーム描画システムによれば、外部磁界により磁束密度が大きくなった場合に描画位置の精度低下を未然に防止できるので、描画位置の精度を保つことができる。また、磁束密度測定装置をビーム描画装置の外部に設け、ネットワークで互いに接続するので、ビーム描画装置は内部に磁束密度測定装置を設けなくてすむので、コンパクトに構成できる。また、複数のビーム描画装置をネットワークを介して接続できるので、磁束密度測定装置を共用でき、コスト的に有利である。
【0033】
本発明による第2のビーム描画方法は、基材に対しビームを照射することで描画を行うビーム描画方法において、磁束密度を測定する磁束密度測定ステップと、前記基材における描画位置を前記磁束密度測定結果に基づいて補正するステップと、前記補正された描画位置で描画処理を実行するステップと、を含むことを特徴とする。
【0034】
このビーム描画方法によれば、外部磁界により磁束密度に変動が生じても、その磁束密度を測定し、その測定結果により補正した描画位置で描画を行うことができるので、描画位置の精度を保つことができる。
【0035】
この場合、前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記描画処理を中断することにより、上述のような描画位置の補正で対処できない程度に磁束密度が大きくなった場合に描画位置の精度低下を未然に防止できる。
【0036】
本発明による第3のビーム描画方法は、基材に対しビームを照射することで描画を行うビーム描画方法において、磁束密度を測定する磁束密度測定ステップと、前記ビームにより描画処理を実行するステップと、を含み、前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記描画処理を中断することを特徴とする。
【0037】
このビーム描画方法によれば、外部磁界により磁束密度が大きくなった場合に描画位置の精度低下を未然に防止できるので、描画位置の精度を保つことができる。
【0038】
また、上述の第1及び第2のビーム描画装置では、前記照射手段は前記ビームを集束して前記基材に照射し、前記描画制御手段は、前記ビームを偏向させることで前記描画位置を変更する偏向手段を有し、前記偏向手段により前記ビームを前記描画位置の補正を行うように偏向させるように構成できる。
【0039】
また、上述の第1及び第2のビーム描画システムでは、前記ビーム描画装置における前記照射手段は前記ビームを集束して前記基材に照射し、前記描画制御手段は、前記ビームを偏向させることで前記描画位置を変更する偏向手段を有し、前記偏向手段により前記ビームを前記描画位置の補正を行うように偏向させるように構成できる。
【0040】
また、上述の第2及び第3のビーム描画システムでは、前記磁束密度測定装置は、前記ビーム描画装置内に配置された磁界センサを有し、前記磁界センサの検知信号を前記ネットワークを介して受信するように構成できる。これにより、描画位置の精度により影響を与えるビーム描画装置内部でその外部磁界の磁束密度を測定することで、より精度よく磁束密度変動による描画位置の補正を行うことができる。また、複数のビーム描画装置をネットワークを介して接続した場合には、磁界センサを各ビーム描画装置に配置し、ネットワークを介して磁束密度測定装置が各検知信号を受信するようにできる。なお、磁束密度測定装置が1つの磁界センサを有し、外部磁界による磁束密度をビーム描画装置の外部で測定するようにしてもよい。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による第1及び第2の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0042】
〈第1の実施の形態〉
【0043】
図1は本発明の実施の形態による電子ビーム描画装置の全体構成を概略的に示す説明図であり、図2は図1の電子ビーム描画装置に含まれる測定装置の要部を示す図である。
【0044】
最初に、測定装置について説明する。図1の電子ビーム描画装置90は、基材21の表面の基準点及び基材の3次元形状を測定するための測定手段である測定装置80を備える。測定装置80は、3次元的に変化する形状を有する基材に、電子ビーム描画を行う際に、基材の3次元形状を測定できる。この測定装置は、3次元電子ビーム描画を行う一連の工程にて利用されるが、図1では電子ビーム描画装置と一体的に構成しているが、独立して単独で形成してもよい。ここで、基材21は、図13に示すように、一面が曲面形状を有する曲面部2aと、曲面部2aの周囲に形成された周囲面部である平坦部2bと、裏面側の底部2cとを有する。
【0045】
測定装置80は、図2に示すように、基材21に対してレーザ光を照射することで基材21を測定する第1のレーザ光照射部82と、第1のレーザ光照射部82にて発光されたレーザ光(第1の照射光)が基材21で反射しその反射光を受光する第1の受光部84と、第1のレーザ光照射部82とは異なる照射角度から照射を行う第2のレーザ光照射部86と、第2のレーザ光照射部86にて発光されたレーザ光(第2の照射光)が基材21を透過しその透過光を受光する第2の受光部88と、を含む。ここで、「透過」とは基材の一部をレーザ光等の一部が通過する状態を指し、「透過光」とは後述するようにレーザ光等の光の一部が散乱した残りの光を指すものとする。
【0046】
第1のレーザ光照射部82により電子ビームと交差する方向から基材21に対して第1の光ビームS1を照射し、平坦部2b上で反射する第1の光ビームS1の受光によって第1の光強度分布が検出される。この際に、図2に示すように、第1の光ビームS1は、基材21の底部2cにて反射されるため、第1の強度分布に基づいて基材21の平坦部2b上の平面位置が測定算出できる。
【0047】
また、第2のレーザ光照射部86によって、第1の光ビームS1と異なる電子ビームとほぼ直交する方向、即ち基材21の水平方向から基材21に対して第2の光ビームS2を照射し、基材21を透過する第2の光ビームS2が第2の受光部88に含まれるピンホール89を介して受光されて第2の光強度分布が検出される。
【0048】
この場合、図3(A)〜(C)に示すように、第2の光ビームS2が曲面部2a上を透過するので、第2の強度分布に基づいて基材21の平坦部2bより突出する曲面部2a上の高さ位置を測定算出できる。
【0049】
具体的には、第2の光ビームS2がXY基準座標系における曲面部2a上のある位置(x、y)の特定の高さを透過すると、この位置(x、y)において、図3(A)〜(C)に示すように、第2の光ビームS2が曲面部2aの曲面にて当たることにより散乱光SS1、SS2が生じ、この散乱光分の光強度が弱まる。このため、第2の受光部88にて検出された第2の光強度分布に基づいて高さ位置が測定算出される。
【0050】
この算出の際には、第2の受光部88の信号出力Opは、図6に示す特性図のような、信号出力Opと基材の高さとの相関関係を有するので、第2の受光部88での信号出力Opに基づき、基材の高さ位置を算出することができる。そして、この基材の高さ位置を、例えば描画位置として、電子ビームの焦点位置の調整が行われ描画が行われることとなる。従って、後述のように、測定装置80において精度良い高さ検出を行うことは、曲面部2aを有する基材21に対して電子ビームにより描画パターンを描画する際の描画精度をも向上させることにもなる。
【0051】
次に、電子ビーム描画装置全体について説明する。図1に示すように、電子ビーム描画装置90は、大電流で高解像度の電子線プローブを形成して高速に描画対象の基材21上を走査するものであり、高解像度の電子線プローブを形成し、電子ビームを生成してターゲットに対してビーム照射を行う電子ビーム生成手段である電子銃121と、この電子銃121からの電子ビームを通過させるスリット141と、スリット141を通過する電子ビームの基材21に対する焦点位置を制御するための電子レンズ161と、電子ビームが出射される経路上に配設され開口により電子ビームを所望の形状とするためのアパーチャー181と、電子ビームを偏向させることでターゲットである基材21上の走査位置等を制御する偏向器200と、偏向を補正する補正用コイル221と、を含む。なお、これらの各部は、鏡筒101内に配設されて電子ビーム出射時には真空状態に維持される。
【0052】
さらに、電子ビーム描画装置90は、描画対象となる基材21を載置するための載置台であるXYZステージ30と、このXYZステージ30上の載置位置に基材21を搬送するための搬送手段であるローダ40と、XYZステージ30を駆動するための駆動手段であるステージ駆動手段50と、ローダを駆動するためのローダ駆動装置60と、鏡筒101内及びXYZステージ30を含む筐体210内を真空となるように排気を行う真空排気装置70と、これらの制御を司る制御手段である制御回路100と、を含む。測定装置80は、XYZステージ30上の基材21の表面の基準点及び上述のように基材の3次元形状を測定する。
【0053】
電子レンズ161は、高さ方向に沿って複数箇所に離間して設置される各コイル170a、170b、170cの各々の電流値によって電子的なレンズが複数生成されることで各々制御され、電子ビームの焦点位置が制御される。
【0054】
ステージ駆動手段50は、XYZステージ30をX方向に駆動するX方向駆動機構52と、XYZステージ30をY方向に駆動するY方向駆動機構54と、XYZステージ30をZ方向に駆動するZ方向駆動機構56と、XYZステージ30をθ方向に駆動するθ方向駆動機構58と、を含む。これによって、XYZステージ30を3次元的に動作させたり、アライメントを行うことができる。
【0055】
制御回路100は、電子銃121に電源を供給するための電子銃電源部102と、この電子銃電源部102での電流、電圧などを調整制御する電子銃制御部104と、電子レンズ161(複数の各電子的なレンズを各々)を動作させるためのレンズ電源部106と、このレンズ電源部106での各電子レンズに対応する各電流を調整制御するレンズ制御部108と、を含む。
【0056】
さらに、制御回路100は、補正用コイル221を制御するためのコイル制御部110と、偏向器200にて成形方向の偏向を行う成形偏向部112aと、偏向器200にて副走査方向の偏向を行うための副偏向部112bと、偏向器200にて主走査方向の偏向を行うための主偏向部112cと、成形偏向部112aを制御するためにデジタル信号をアナログ信号に変換制御する高速D/A変換器114aと、副偏向部112bを制御するためにデジタル信号をアナログ信号に変換制御する高速D/A変換器114bと、主偏向部112cを制御するためにデジタル信号をアナログ信号に変換制御する高精度D/A変換器114cと、を含む。
【0057】
さらに、制御回路100は、偏向器200における位置誤差を補正する、乃ち、位置誤差補正信号などを各高速D/A変換器114a、114b、及び高精度D/A変換器114cに対して供給して位置誤差補正を促すあるいはコイル制御部110に対してその信号を供給することで補正用コイル221にて位置誤差補正を行う位置誤差補正回路116と、これら位置誤差補正回路116並びに各高速D/A変換器114a、114b及び高精度D/A変換器114cを制御して電子ビームの電界を制御することで描画位置を制御する描画制御手段である描画位置制御回路118と、描画パターンなどを基材21に対して生成するためのパターン発生回路120と、を含む。
【0058】
さらに、制御回路100は、レーザ制御系を含み、このレーザ制御系は、第1のレーザ光照射部82及び第1の受光部84の制御を行う第1のレーザ駆動制御回路130と、第2のレーザ光照射部86及び第2の受光部88の制御を行う第2のレーザ駆動制御回路132と、を有する。これらの制御回路130,132には、図示しないが、レーザ照射光の出力(レーザの光強度)を調整制御するための各種制御回路が含まれている。
【0059】
また、制御回路100は、第1の受光部84での受光結果に基づき、測定結果を算出するための第1の測定算出部140と、第2の受光部88での受光結果に基づき、測定結果を算出するための第2の測定算出部142と、を含む。
【0060】
さらに、制御回路100は、ステージ駆動手段50を制御するためのステージ制御回路150と、ローダ駆動装置60を制御するローダ制御回路152と、上述の第1、第2のレーザ駆動回路130、132・第1、第2のレーザ出力制御回路134、136・第1、第2の測定算出部140、142・ステージ制御回路150・ローダ制御回路152を制御する機構制御回路154と、真空排気装置70の真空排気を制御する真空排気制御回路156と、測定情報を入力するための測定情報入力部158と、入力された情報や他の複数の情報を記憶するための記憶手段であるメモリ160と、各種制御を行うための制御プログラムを記憶したプログラムメモリ162と、これらの各部の制御を司る例えばCPUなどにて形成された制御部170と、を含む。
【0061】
上述のような構成を有する電子ビーム描画装置90において、ローダ40によって搬送された基材21がXYZステージ30上に載置されると、真空排気装置70によって鏡筒101及び筐体210内の空気やダストなどを排気したした後、電子銃121から電子ビームが照射される。
【0062】
電子銃121から照射された電子ビームは、電子レンズ161を介して偏向器200により偏向され、偏向された電子ビームB(以下、この電子レンズ161を通過後の偏向制御された電子ビームに関してのみ「電子ビームB」と符号を付与することがある)は、XYZステージ30上の基材21の表面、例えば曲面部(曲面)2a上の描画位置に対して照射されることで描画が行われる。
【0063】
この際に、測定装置80によって、基材21上の描画位置(描画位置のうち少なくとも高さ位置)、もしくは後述するような基準点の位置が測定され、制御回路100は、その測定結果に基づき、電子レンズ161のコイル170a、170b、170cなどに流れる各電流値などを調整制御して、電子ビームBの焦点深度の位置、すなわち焦点位置を制御し、その焦点位置が描画位置となるように移動制御される。
【0064】
あるいは、測定結果に基づき、制御回路100は、ステージ駆動手段50を制御することにより、電子ビームBの焦点位置が描画位置となるようにXYZステージ30を移動させる。
【0065】
また、電子ビームの制御、XYZステージ30の制御のいずれか一方の制御によって行っても、双方を利用して行ってもよい。
【0066】
さらに、電子ビーム描画装置90に測定装置80を搭載する場合に、第2のレーザ光照射部86と第2の受光部88との離間距離を、載置台たるXYZステージ30のXY平面方向(載置面方向)での移動ストローク以上にした状態で配設されている。このような構成とすることにより、筐体210の一部を穿設することにより、測定装置80を搭載でき、特に、筐体210を大幅に改造することを要しない。
【0067】
次に、電子ビーム描画装置90における、描画を行う場合の原理の概要について、説明する。
【0068】
先ず、基材21は、図4(A)(B)に示すように、例えば樹脂等による光学素子例えば光レンズ等にて形成されることが好ましく、断面略平板状の平坦部2bと、この平坦部2bより突出形成された曲面をなす曲面部2aと、を含む。この曲面部2aの曲面は、球面に限らず、非球面などの他のあらゆる高さ方向に変化を有する自由曲面であってよい。
【0069】
このような基材21において、予め基材21をXYZステージ30上に載置する前に、基材21上の複数例えば3個の基準点P00、P01、P02を決定してこの位置を測定しておく(第1の測定)。これによって、例えば、基準点P00とP01によりX軸、基準点P00とP02によりY軸が定義され、3次元座標系における第1の基準座標系が算出される。ここで、第1の基準座標系における高さ位置をHo(x、y)(第1の高さ位置)とする。これによって、基材21の厚み分布の算出を行うことができる。
【0070】
一方、基材21をXYZステージ30上に載置した後も、同様の処理を行う。すなわち、図4(A)に示すように、基材21上の複数例えば3個の基準点P10、P11、P12を決定してこの位置を測定しておく(第2の測定)。これによって、例えば、基準点P10とP11によりX軸、基準点P10とP12によりY軸が定義され、3次元座標系における第2の基準座標系が算出される。
【0071】
さらに、これらの基準点P00、P01、P02、P10、P11、P12により第1の基準座標系を第2の基準座標系に変換するための座標変換行列などを算出して、この座標変換行列を利用して、第2の基準座標系におけるHo(x、y)に対応する高さ位置Hp(x、y)(第2の高さ位置)を算出して、この位置を最適フォーカス位置、すなわち描画位置として電子ビームの焦点位置が合わされるべき位置とすることとなる。これにより、上述の基材21の厚み分布の補正を行うことができる。
【0072】
なお、上述の第2の測定は、電子ビーム描画装置90の測定装置80を用いて測定することができる。そして、第1の測定は、予め別の場所において他の測定装置を用いて測定しておく必要がある。このような、基材21をXYZステージ30上に載置する前に予め基準点を測定するための測定装置としては、上述の測定装置80と全く同様の構成の測定装置(第2の測定手段)を採用することができる。
【0073】
この場合、測定装置からの測定結果は、例えば図1に示す測定情報入力部158にて入力されたり、制御回路100と接続される不図示のネットワークを介してデータ転送されて、メモリ160などに格納されることとなる。もちろん、この測定装置が不要となる場合も考えられる。
【0074】
上記のようにして、描画位置が算出されて、電子ビームの焦点位置が制御されて描画が行われることとなる。
【0075】
具体的には、図4(C)に示すように、電子ビームの焦点深度FZ(ビームウエストBW)の焦点位置を、3次元基準座標系における単位空間の1フィールド(m=1)内の描画位置に調整制御する(この制御は、上述したように、電子レンズ161による電流値の調整もしくはXYZステージ30の駆動制御のいずれか一方又は双方によって行われる。)。なお、本例においては、1フィールドの高さ分を焦点深度FZより長くなるように、フィールドを設定してあるがこれに限定されるものではない。ここで、焦点深度FZとは、図5に示すように、電子レンズ161を介して照射される電子ビームBにおいて、ビームウエストBWが有効な範囲の高さを示す。なお、電子ビームBの場合、図5に示すように、電子レンズ161の幅D、電子レンズ161よりビームウエスト(ビーム径の最も細い所)BWまでの深さfとすると、D/fは、0.01程度であり、例えば50nm程度の解像度を有し、焦点深度は例えば数十μ程度ある。
【0076】
そして、図4(C)に示すように、例えば1フィールド内をY方向にシフトしつつ順次X方向に走査することにより、1フィールド内の描画が行われることとなる。さらに、1フィールド内において、描画されていない領域があれば、その領域についても、上述の焦点位置の制御を行いつつZ方向に移動し、同様の走査による描画処理を行うこととなる。
【0077】
次に、1フィールド内の描画が行われた後、他のフィールド、例えばm=2のフィールド、m=3のフィールドにおいても、上述同様に、測定や描画位置の算出を行いつつ描画処理がリアルタイムで行われることとなる。このようにして、描画されるべき描画領域について全ての描画が終了すると、基材21の表面における描画処理が終了することとなる。
【0078】
なお、本例では、この描画領域を被描画層とし、この被描画層における曲面部2aの表面の曲面に該当する部分を被描画面としている。
【0079】
さらに、上述のような各種演算処理、測定処理、制御処理などの処理を行う処理プログラムは、プログラムメモリ162に予め制御プログラムとして格納されることとなる。
【0080】
なお、電子ビーム描画装置90のメモリ160には、不図示の形状記憶テーブルを有し、この形状記憶テーブルには、例えば基材21の曲面部2aに回折格子を傾けて各ピッチ毎に形成する際の走査位置に対するドーズ量分布を予め定義したドーズ分布の特性などに関するドーズ分布情報、その他の情報が格納されている。
【0081】
また、プログラムメモリ162には、これらの処理を行う処理プログラム、ドーズ分布情報などの情報をもとに、曲面部2a上の所定の傾斜角度におけるドーズ分布特性など演算により算出するためのドーズ分布演算プログラム、その他の処理プログラムなどを有している。
【0082】
このため、制御部170は、測定装置80にて測定された描画位置に基づき、電子レンズの電流値を調整して電子ビームの焦点位置を描画位置に応じて可変制御するとともに、焦点位置における焦点深度内について、ドーズ分布の特性に基づいて、そのドーズ量を算出しつつ基材の描画を行うように制御する。
【0083】
あるいは、制御部170は、測定装置80にて測定された描画位置に基づき、駆動手段によりXYZステージ30を昇降させて、電子銃121にて照射された電子ビームの焦点位置を描画位置に応じて可変制御するとともに、焦点位置における焦点深度内について、メモリ160のドーズ分布の特性に基づいて、そのドーズ量を算出しつつ基材の描画を行うように制御する。
【0084】
上述の図1に温度測定装置を加えた電子ビーム描画装置を第1の実施の形態として図1,図7、図8及び図9を参照して説明する。図7は第1の実施の形態の電子ビーム描画装置を概略的に示す図であり、図8は図7の温度測定装置のブロック図であり、図9は第1の実施の形態の電子ビーム描画装置における温度変動の際の描画位置の補正のステップを示すフローチャートである。
【0085】
図7のように、電子ビーム描画装置90は装置の環境温度を測定する温度測定装置10を備える。温度測定装置10は、図8のように、温度センサ11と、温度センサ11からの温度検知信号を電気的に増幅し出力する増幅部12とを備える。温度センサ11としては、各種の測温抵抗体や水晶温度センサ等を用いることができるが、これらに限定されない。
【0086】
図1の電子ビーム描画装置90の描画位置制御回路118は、図7の温度測定装置10からの温度検知信号が図1の測定情報入力部158を介してフィードバックされ入力し、この測定温度に基づいて描画位置の補正量を演算する演算部を含む。この演算部は、温度と描画位置との関係情報をメモリに記録し、その関係情報から測定温度に基づいて得られた描画位置のずれ量をキャンセルするような補正量を演算する。この演算された描画位置の補正量に応じて描画位置制御回路118は電子ビームの電界を制御することで電子ビーム描画とリアルタイムで描画位置を環境温度の変動分を補正した位置に制御するようになっている。
【0087】
また、温度と描画位置との関係情報は、演算部のメモリにおいて例えば数式として記憶させることができる。また、後述の図11のように、温度測定値と描画位置(実位置と描画位置のずれ量による補正値)との関係をテーブルにした補正テーブルを予め作成しておき、この補正テーブルにより温度測定結果に基づいて描画位置の補正量を求めるようにしてもよい。
【0088】
次に、図7の電子ビーム描画装置における測定した環境温度が変動したときの動作について図9を参照して説明する。
【0089】
図1の電子ビーム描画装置において上述のように電子ビーム描画を開始し(S01)、図7,図8の温度測定装置10が環境温度を測定し、その増幅部12から出力した温度検知信号が図1の描画位置制御回路118にフィードバックされ入力する(S02)。
【0090】
そして、上述の温度測定中に温度変動が生じると(S03)、描画位置制御回路118の演算部は測定温度に基づいて描画位置の補正量を算出し、描画位置を補正し(S04)、その補正した描画位置で電子ビーム描画処理を行う(S05)。このような電子ビーム描画処理を基材21の全域について完了するまで行い(S06)、電子ビーム描画を終了する。なお、ステップS03における温度変動判断の最小変動値ΔT(温度補正を行う最小の変動温度)は予め所定値に設定できる。ΔTは、例えば、1℃当たり160nm程度の位置変動が生じるので、0.01℃に設定できる。
【0091】
以上のように、本実施の形態による電子ビーム描画装置によれば、環境温度に変動が生じても、その環境温度を測定し、その測定結果により描画位置を補正できるので、描画位置の精度を一定に保つことができる。
【0092】
なお、温度測定装置10の温度センサ11を電子ビーム描画装置の外部の温度を測定するように配置してよいが、図1のように装置内部の鏡筒101の近傍位置11aに配置してもよく、これにより、描画位置の精度に影響を与える装置内部の温度を測定することで、より精度よく温度変動による描画位置の補正を行うことができる。
【0093】
次に、図10及び図11により第1の実施の形態の変形例である電子ビーム描画システムについて説明する。図10は本例の電子ビーム描画システムの概略的構成を示す図であり、図11は図10のデータベース内の補正テーブルの構成を示す図である。
【0094】
図10の電子ビーム描画システムは、図1の電子ビーム描画装置90と、温度測定装置10と、演算装置15と、データベースサーバ16と、をネットワーク18を介して接続して構成している。電子ビーム描画装置90は測定情報入力部158を介してネットワーク18と接続される。
【0095】
温度測定装置10は図8と同様の構成であり、温度センサ11は電子ビーム描画装置90の外部温度を測定するように配置してよいが、上述のように図1の電子ビーム描画装置90内部の鏡筒101の近傍位置11aに配置してもよく、この場合、温度センサ11と温度測定装置10とをネットワーク18によるオンラインで接続するようにできる。
【0096】
また、演算装置15は温度測定装置10からの温度検知信号に基づいて描画位置の補正量を演算する。データベースサーバ16は、図11のように、温度測定値と描画位置(実位置と描画位置のずれ量による補正値)との関係を予めテーブルにした補正テーブル19を記録している。即ち、実際の電子ビーム描画に先立ってテスト電子ビーム描画を実行し、測定した温度と描画指示位置との情報をデータベースサーバ16に蓄積する。次に、実際に描画された描画位置情報をデータベースサーバ16に登録し、温度による描画位置のずれ量の情報を蓄積し、この描画位置のずれ量の情報に基づいて描画位置の補正量を算出し、補正テーブル19を作成する。
【0097】
演算装置15はデータベースサーバ16の補正テーブル19から温度測定結果に基づいて描画位置の補正量を求め、その補正量を図1の電子ビーム描画装置90の描画位置制御部118にその測定情報入力部158を介して送信するようになっている。
【0098】
上述のような図10の電子ビーム描画システムによれば、図9と同様の動作を実行し、環境温度に変動が生じても、その環境温度を温度測定装置10で測定し、その測定結果に基づいて演算装置15で描画位置の補正量を求め、電子ビーム描画装置90に送ることで、描画位置を補正できるので、描画位置の精度を一定に保つことができる。
【0099】
また、図1の電子ビーム描画装置90は、温度測定装置10と、演算装置15と、データベースサーバ16と、をネットワーク18を介して接続し、温度測定装置10や演算装置15やデータベースサーバ16を内部に備える必要がないので、装置の構成が複雑化することがない。
【0100】
また、図10のように、図1と同様の別の電子ビーム描画装置を90’をネットワーク18と接続し、この電子ビーム描画装置90’において同様に温度測定装置10と、演算装置15と、データベースサーバ16とを用いて、同様の温度補正を行うことができる。
【0101】
なお、図10の電子ビーム描画システムにおいて、演算装置15が温度と描画位置との関係情報を例えば数式として記憶するメモリを備えるようにしてもよく、この場合、データベースサーバ16の接続を省略してもよい。また、演算装置15がメモリに補正テーブル19を記憶するようにしてもよい。
【0102】
〈第2の実施の形態〉
【0103】
上述の図1に磁束密度測定装置を加えた電子ビーム描画装置を第2の実施の形態として図1、図12及び図13を参照して説明する。図12は第2の実施の形態の電子ビーム描画装置を概略的に示す図であり、図13は図12の磁束密度測定装置のブロック図である。
【0104】
図12のように、電子ビーム描画装置90は装置の外部磁束密度を測定する磁束密度測定装置20を備える。磁束密度測定装置20は、図13のように、外部磁界を電気信号に変換する磁界センサ27と、磁界センサ27からの磁束密度検知信号を電気的に増幅し出力する増幅部22とを備える。磁束密度の検出能としては、例えば磁束密度の交流変動の実効値で1.2μT(テスラ)当たり100nm程度の位置変動が生じるので、0.1μT程度が必要である。磁界センサ27としては、ホール素子等の各種の磁気センサを用いることができるが、これに限定されない。
【0105】
図1の電子ビーム描画装置90の描画位置制御回路118は、図12の磁束密度測定装置20からの磁束密度検知信号が図1の測定情報入力部158を介してフィードバックし入力し、この測定された磁束密度に基づいて描画位置の補正量を演算する演算部を含む。この演算部は、磁束密度と描画位置との関係情報をメモリに記録し、その関係情報から測定磁束密度に基づいて得られた描画位置のずれ量をキャンセルするような補正量を演算する。この演算された描画位置の補正量に応じて描画位置制御回路118は電子ビームの電界を制御することで電子ビーム描画とリアルタイムで描画位置を磁束密度の変動分を補正した位置に制御するようになっている。
【0106】
また、磁束密度と描画位置との関係情報は、演算部のメモリにおいて例えば数式として記憶させることができる。また、後述の図17のように、磁束密度の測定値と描画位置(実位置と描画位置のずれ量による補正値)との関係をテーブルにした補正テーブルを予め作成しておき、この補正テーブルにより磁束密度測定結果に基づいて描画位置の補正量を求めるようにしてもよい。
【0107】
また、図1の電子ビーム描画装置90の制御回路100では、図12の磁束密度測定装置20からの磁束密度検知信号による外部磁束密度が所定値以上になると、その描画位置の補正もできないものとして、電子ビーム描画処理を停止するように制御するようになっている。
【0108】
次に、図12の電子ビーム描画装置において測定した外部磁束密度が変動したときの動作について図14を参照して説明する。図14は第2の実施の形態の電子ビーム描画装置における外部磁束密度変動の際の描画位置の補正のステップを示すフローチャートである。
【0109】
図1の電子ビーム描画装置において上述のように電子ビーム描画を開始し(S11)、図12,図13の磁束密度測定装置20が近くの送電線や別の装置の電源等から発生する外部磁束密度を測定し、その増幅部22から出力した磁束密度検知信号が図1の描画位置制御回路118にフィードバックされ入力する(S12)。
【0110】
そして、上述の磁束密度測定中に磁束密度変動が生じると、描画位置制御回路118の演算部が測定磁束密度に基づいて描画位置の補正量を算出し、描画位置を補正し(S13)、その補正した描画位置で電子ビーム描画処理を行う(S14)。このような電子ビーム描画処理を基材21の全域について完了するまで行い(S15)、電子ビーム描画を終了する。
【0111】
以上のように、本実施の形態による電子ビーム描画装置によれば、外部磁束密度に変動が生じても、その磁束密度を測定し、その測定結果により描画位置を補正できるので、描画位置の精度を一定に保つことができる。
【0112】
次に、外部磁束密度が所定値よりも大きくなった場合の制御について図15により説明する。図15は第2の実施の形態の電子ビーム描画装置における外部磁束密度変動が大きい場合の制御のステップを示すフローチャートである。
【0113】
図1の電子ビーム描画装置において電子ビーム描画を開始し(S21)、図12,図13の磁束密度測定装置20が外部の磁束密度を測定し、その増幅部22から出力した磁束密度検知信号が図1の描画位置制御回路118にフィードバックし入力する(S22)。
【0114】
そして、上述の測定中に磁束密度変動が生じ、測定された磁束密度が所定の規定値以下の場合には(S23)、電子ビーム描画処理を行う(S24)。また、測定された磁束密度が所定の規定値以上になると(S23)、図1の電子ビーム描画装置90の制御回路100は電子銃制御部104等を制御し電子ビーム描画を停止し、電子ビーム描画処理を中断する(S25)。
【0115】
この電子ビーム描画処理の中断の間にも磁束密度測定装置20は外部磁束密度を測定し、測定された磁束密度が所定の規定値以下となると、電子ビーム描画処理を再開する。このような電子ビーム描画処理を基材21の全域について完了するまで行い(S26)、電子ビーム描画を終了する。
【0116】
以上のように、図15のような電子ビーム描画装置の制御によれば、外部磁束密度が大きくなって描画位置の補正でも対処できない場合に描画位置の精度低下を未然に防止できるので、描画位置の精度を保つことができる。
【0117】
次に、図16及び図17により第2の実施の形態の変形例である電子ビーム描画システムについて説明する。図16は本例の電子ビーム描画システムの概略的構成を示す図であり、図17は図16のデータベース内の補正テーブルの構成を示す図である。
【0118】
図16の電子ビーム描画システムは、図1の電子ビーム描画装置90と、磁束密度測定装置20と、演算装置25と、データベースサーバ26と、をネットワーク18を介して接続して構成している。電子ビーム描画装置90は測定情報入力部158を介してネットワーク18と接続される。磁束密度測定装置20は図13と同様の構成であり、磁界センサ27は電子ビーム描画装置90の外部磁束密度を測定するように配置される。
【0119】
また、演算装置25は磁束密度測定装置20からの磁束密度検知信号に基づいて描画位置の補正量を演算する。データベースサーバ26は、図17のように、磁束密度測定値と描画位置(実位置と描画位置のずれ量による補正値)との関係を予めテーブルにした補正テーブル29を記録している。即ち、実際の電子ビーム描画に先立ってテスト電子ビーム描画を実行し、測定した外部磁束密度と描画指示位置との情報をデータベースサーバ26に蓄積する。次に、実際に描画された描画位置情報をデータベースサーバ26に登録し、外部磁束密度による描画位置のずれ量の情報を蓄積し、この描画位置のずれ量の情報に基づいて描画位置の補正量を算出し、補正テーブル29を作成する。
【0120】
演算装置25はデータベースサーバ26の補正テーブル29から磁束密度測定結果に基づいて描画位置の補正量を求め、その補正量を図1の電子ビーム描画装置90の描画位置制御部118にその測定情報入力部158を介して送信するようになっている。
【0121】
上述のような図16の電子ビーム描画システムによれば、図14,図15と同様の動作を実行し、外部磁束密度に変動が生じても、その外部磁束密度を磁束密度測定装置20で測定し、その測定結果に基づいて演算装置25で描画位置の補正量を求め、電子ビーム描画装置90に送ることで、描画位置を補正できるので、描画位置の精度を一定に保つことができる。また、外部磁束密度が描画位置の補正でも対処できないほどに大きくなり所定値以上となった場合に、電子ビーム描画処理を外部磁束密度が所定値以下になるまで中断するので、描画位置の精度低下を未然に防止でき、描画位置の精度を保つことができる。
【0122】
また、図1の電子ビーム描画装置90は、磁束密度測定装置20と、演算装置25と、データベースサーバ26と、をネットワーク18を介して接続し、磁束密度測定装置20や演算装置25やデータベースサーバ26を内部に備える必要がないので、装置の構成が複雑化することがない。
【0123】
また、図16のように、図1と同様の別の電子ビーム描画装置を90’をネットワーク18と接続し、この電子ビーム描画装置90’において同様に磁束密度測定装置20と、演算装置25と、データベースサーバ26とを用いて、同様の磁束密度の補正を行い、また、電子ビーム描画の中断制御を行うことができる。
【0124】
なお、図16の電子ビーム描画システムにおいて、演算装置25が温度と描画位置との関係情報を例えば数式として記憶するメモリを備えるようにしてもよく、この場合、データベースサーバ26の接続を省略してもよい。また、演算装置25がメモリに補正テーブル29を記憶するようにしてもよい。
【0125】
以上のように本発明を実施の形態により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、電子ビームにより基材に対する描画処理を行うようにしたが、本発明は、これに限定されず、レーザビームを用いるようにしてもよい。
【0126】
また、本実施の形態の電子ビーム描画により、基材を例えば光学素子に対応させ、その光学面にブレーズ状の輪帯回折構造等の微細構造を環境温度の変動の影響及び外部磁束密度の変動の影響の排除することで精度よく形成することができる。
【0127】
また、図1の電子ビーム描画装置が図7、図8の温度測定装置10及び図12,図13の磁束密度測定装置20の両方を備え、環境温度変動による補正制御及び外部磁束密度変動による補正制御・中断制御の両方を行うようにしてもよいことは勿論である。また、図10の電子ビーム描画システムにおいて、図16のように磁束密度測定装置29,演算装置25及びデータベースサーバ26を接続し、環境温度変動による補正制御及び外部磁束密度変動による補正制御・中断制御の両方を行うようにしてもよい。この場合、演算装置15と25を同じ演算装置から構成し、データベースサーバ16と26を同じサーバから構成できる。
【0128】
【発明の効果】
本発明によれば、環境温度の変動や外部磁束密度の変動のような描画位置精度に影響を与える環境変動が生じてもかかる変動の影響を排除しビームによる描画位置精度を維持できるビーム描画装置、ビーム描画システム及びビーム描画方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による電子ビーム描画装置の全体の概略構成を示す説明図である。
【図2】図1の電子ビーム描画装置に含まれる測定装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】図3(A)〜(C)は、図2の測定装置による基材の面高さの測定について説明するための説明図である。
【図4】図4(A)(B)は、図1の電子ビーム描画装置にて描画される基材を示す説明図であり、同図(C)は、描画原理を説明するための説明図である。
【図5】図1の電子ビーム描画装置におけるビームウエストを説明するための説明図である。
【図6】図1,図2の測定装置の信号出力と基材の高さとの関係を示す特性図である。
【図7】第1の実施の形態の電子ビーム描画装置を概略的に示す図である。
【図8】図7の温度測定装置のブロック図である。
【図9】第1の実施の形態の電子ビーム描画装置における温度変動の際の描画位置の補正のステップを示すフローチャートである。
【図10】第1の実施の形態の変形例の電子ビーム描画システムの概略的構成を示す図である。
【図11】図10のデータベース内の補正テーブルの構成を示す図である。
【図12】第2の実施の形態の電子ビーム描画装置を概略的に示す図である。
【図13】図12の磁束密度測定装置のブロック図である。
【図14】第2の実施の形態の電子ビーム描画装置における外部磁束密度変動の際の描画位置の補正のステップを示すフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態の電子ビーム描画装置における外部磁束密度変動が大きい場合の制御のステップを示すフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態の変形例である電子ビーム描画システムの概略的構成を示す図である。
【図17】図16のデータベース内の補正テーブルの構成を示す図である。
【符号の説明】
90、90’ 電子ビーム描画装置
118 描画位置制御回路
100 制御回路
10 温度測定装置
11 温度センサ
15 演算装置
16 データベースサーバ
18 ネットワーク
19 補正テーブル
20 磁束密度測定装置
27 磁界センサ
25 演算装置
26 データベースサーバ
29 補正テーブル
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ビームやレーザビーム等により基材に描画を行うビーム描画装置、ビーム描画システム及びビーム描画方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子ビームやレーザビームを用いるビーム描画装置は、基材に微細構造を形成し、例えば光学素子に微細な回折輪帯パターンを形成することができる(例えば、本出願人による特願2001−357578参照)。かかるビーム描画装置では、装置の環境温度の変動によりビームによる描画位置が変動してしまい、例えば、基材上で、160nm/℃程度の位置変動が生じてしまう。
【0003】
また、ビーム描画装置では、装置の外部(送電線や他装置の電源等)で発生する磁界による磁束密度が大きくなると、描画位置に影響を与えて描画位置が変動し、例えば、100nm/1.2μT程度の位置変動が生じてしまう。
【0004】
以上のように、環境温度の変動や外部磁束密度の変動に起因して、ビームによる描画時に描画位置が変動してしまい、描画位置精度が低下してしまうことがある。環境温度の変動に対しては、装置を設置した部屋内の温度を空調設備で一定にすることが考えられるが、環境温度の厳密な制御は困難であり、設備等のコストがかかり、問題が多く、また、室内ではある程度の温度変動は不可避的に起きてしまう。また、外部磁束密度の変動に対しては、装置内の要所にシールド等を設けることで対処可能であるが、かかる対策では一定の限界がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、環境温度の変動や外部磁束密度の変動のような描画位置精度に影響を与える環境変動が生じてもかかる変動の影響を排除しビームによる描画位置精度を維持できるビーム描画装置、ビーム描画システム及びビーム描画方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による第1のビーム描画装置は、基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と、前記照射手段からのビームによる前記基材に対する描画位置を制御する描画制御手段と、環境温度を測定する温度測定手段と、を備え、前記描画制御手段は前記温度測定手段からフィードバックされた温度測定結果に基づいて前記描画位置を補正することを特徴とする。
【0007】
このビーム描画装置によれば、環境温度に変動が生じても、その環境温度を測定し、その測定結果により描画位置を補正できるので、描画位置の精度を保つことができる。
【0008】
上記ビーム描画装置では、前記環境温度と前記描画位置との関係情報を記録した記録部を備え、前記関係情報から前記温度測定結果に基づいて得られる前記描画位置のずれ量を前記描画位置の補正量とするように構成できる。環境温度と描画位置との関係情報を予め得て、記録部が記録しておき、測定した温度に対応する描画位置から得たずれ量分を補正することで、描画位置を精度よく補正できる。
【0009】
また、前記記録部は前記環境温度の変動量と前記描画位置のずれ量との関係に基づいて作成した補正テーブルを有し、前記補正テーブルから前記描画位置のずれ量を得るように構成できる。
【0010】
また、前記温度測定手段は装置内に配置された温度センサを有することにより、描画位置の精度に影響を与える装置内部の温度を測定することで、より精度よく温度変動による描画位置の補正を行うことができる。なお、温度センサで装置外部の環境温度を測定するようにしてもよい。
【0011】
本発明による第1のビーム描画システムは、基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と前記照射手段からのビームによる前記基材に対する描画位置を制御する描画制御手段とを備えるビーム描画装置と、環境温度を測定する温度測定装置と、前記温度測定装置の温度測定結果に基づいて前記描画位置を補正するための補正情報を得る演算装置と、をネットワークを介して接続し、前記ビーム描画装置は前記ネットワークを介して受信した前記補正情報に基づいて前記描画位置を補正することを特徴とする。
【0012】
このビーム描画システムによれば、環境温度に変動が生じても、その環境温度を測定し、その測定結果により描画位置を補正できるので、描画位置の精度を保つことができる。また、温度測定装置と演算装置をビーム描画装置の外部に設け、ネットワークで互いに接続するので、ビーム描画装置は内部に温度測定装置と演算装置を設けなくてすむので、コンパクトに構成できる。また、複数のビーム描画装置をネットワークを介して接続できるので、温度測定装置と演算装置を共用でき、コスト的に有利である。
【0013】
上記ビーム描画システムでは、前記演算装置は、前記温度と前記描画位置との関係情報を記録した記録部を有し、前記温度測定装置から受信した前記温度測定結果に基づいて前記関係情報から得られた前記描画位置のずれ量を前記補正情報として前記ビーム描画装置に送信するように構成できる。環境温度と描画位置との関係情報を予め得て、演算装置で記録部が記録しておき、測定した温度に対応する描画位置から得たずれ量分を補正することで、描画位置を精度よく補正できる。
【0014】
また、前記温度の変動量と前記描画位置のずれ量との関係に基づいて作成した補正テーブルを有するデータベースが前記ネットワークに更に接続されており、前記演算装置は、前記温度測定装置から受信した前記温度測定結果に基づいて前記補正テーブルから得られた前記描画位置のずれ量を前記補正情報として前記ビーム描画装置に送信するように構成してもよい。複数のビーム描画装置をネットワークを介して接続した場合には、このデータベースを共用できる。
【0015】
また、前記温度測定装置は、前記ビーム描画装置内に配置された温度センサを有し、前記温度センサの温度検知信号を前記ネットワークを介して受信するように構成できる。これにより、描画位置の精度により影響を与えるビーム描画装置内部でその温度を測定することで、より精度よく温度変動による描画位置の補正を行うことができる。また、複数のビーム描画装置をネットワークを介して接続した場合には、温度センサを各ビーム描画装置に配置し、ネットワークを介して温度測定装置が各温度検知信号を受信するようにできる。なお、温度測定装置が1つの温度センサを有し、環境温度をビーム描画装置の外部で測定するようにしてもよい。
【0016】
本発明による第1のビーム描画方法は、基材に対しビームを照射することで描画を行うビーム描画方法において、前記描画を行う環境の温度を測定する温度測定ステップと、前記基材における描画位置を前記温度測定結果に基づいて補正するステップと、前記補正された描画位置で描画処理を実行するステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
このビーム描画方法によれば、環境温度に変動が生じても、その環境温度を測定し、その測定結果により描画位置を補正できるので、描画位置の精度を保つことができる。
【0018】
本発明による第2のビーム描画装置は、基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と、前記照射手段からのビームによる前記基材に対する描画位置を制御する描画制御手段と、磁束密度を測定する磁束密度測定手段と、を備え、前記描画制御手段は前記磁束密度測定手段からフィードバックされた磁束密度測定結果に基づいて前記描画位置を補正することを特徴とする。
【0019】
このビーム描画装置によれば、外部磁界により磁束密度に変動が生じても、その磁束密度を測定し、その測定結果により描画位置を補正できるので、描画位置の精度を保つことができる。
【0020】
上記ビーム描画装置では、前記磁束密度と前記描画位置との関係情報を記録した記録部を備え、前記関係情報から前記磁束密度測定結果に基づいて得られる前記描画位置のずれ量を前記描画位置の補正量とするように構成できる。磁束密度と描画位置との関係情報を予め得て、記録部が記録しておき、測定した磁束密度に対応する描画位置から得たずれ量分を補正することで、描画位置を精度よく補正できる。
【0021】
また、前記記録部は前記磁束密度の変動量と前記描画位置のずれ量との関係に基づいて作成した補正テーブルを有し、前記補正テーブルから前記描画位置のずれ量を得るようにできる。
【0022】
また、前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記照射手段による描画を中断することにより、上述のような描画位置の補正で対処できない程度に磁束密度が大きくなった場合に描画位置の精度低下を未然に防止できる。
【0023】
本発明による第3のビーム描画装置は、基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と、磁束密度を測定する磁束密度測定手段と、を備え、前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記照射手段による描画を中断することを特徴とする。
【0024】
このビーム描画装置によれば、外部磁界による磁束密度が大きくなった場合に描画位置の精度低下を未然に防止できるので、描画位置の精度を保つことができる。
【0025】
上記第2及び第3のビーム描画装置では、前記磁束密度測定手段は装置内に配置された磁界センサを有することにより、描画位置の精度により影響を与えるビーム描画装置内部でその外部磁界の磁束密度を測定することで、より精度よく磁束密度変動による描画位置の補正を行うことができる。なお、磁界センサで外部磁界による磁束密度を装置外部で測定するようにしてもよい。
【0026】
本発明による第2のビーム描画システムは、基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と前記照射手段からのビームによる前記基材に対する描画位置を制御する描画制御手段とを備えるビーム描画装置と、磁束密度を測定する磁束密度測定装置と、前記磁束密度測定装置の磁束密度測定結果に基づいて前記描画位置を補正するための補正情報を得る演算装置と、をネットワークを介して接続し、前記ビーム描画装置は前記ネットワークを介して受信した前記補正情報に基づいて前記描画位置を補正することを特徴とする。
【0027】
このビーム描画システムによれば、外部磁界により磁束密度に変動が生じても、その磁束密度を測定し、その測定結果により描画位置を補正できるので、描画位置の精度を保つことができる。また、磁束密度測定装置と演算装置をビーム描画装置の外部に設け、ネットワークで互いに接続するので、ビーム描画装置は内部に磁束密度測定装置と演算装置を設けなくてすむので、コンパクトに構成できる。また、複数のビーム描画装置をネットワークを介して接続できるので、磁束密度測定装置と演算装置を共用でき、コスト的に有利である。
【0028】
上記ビーム描画システムでは、前記演算装置は前記磁束密度と前記描画位置との関係情報を記録した記録部を有し、前記磁束密度測定装置から受信した前記磁束密度測定結果に基づいて前記関係情報から得られた前記描画位置のずれ量を前記補正情報として前記ビーム描画装置に送信するように構成できる。磁束密度と描画位置との関係情報を予め得て、記録部が記録しておき、測定した磁束密度に対応する描画位置から得たずれ量分を補正することで、描画位置を精度よく補正できる。
【0029】
また、前記磁束密度の変動量と前記描画位置のずれ量との関係に基づいて作成した補正テーブルを有するデータベースが前記ネットワークに更に接続されており、前記演算装置は、前記磁束密度測定装置から受信した前記磁束密度測定結果に基づいて前記補正テーブルから得られた前記描画位置のずれ量を前記補正情報として前記ビーム描画装置に送信するように構成してもよい。複数のビーム描画装置をネットワークを介して接続した場合には、このデータベースを共用できる。
【0030】
また、上記ビーム描画システムでは、前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記照射手段による描画を中断することにより、上述のような描画位置の補正で対処できない程度に磁束密度が大きくなった場合に描画位置の精度低下を未然に防止できる。
【0031】
本発明による第3のビーム描画システムは、基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段を備えるビーム描画装置と、磁束密度を測定する磁束密度測定装置と、をネットワークを介して接続し、前記ビーム描画装置は前記ネットワークを介して受信した前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記照射手段による描画を中断することを特徴とする。
【0032】
このビーム描画システムによれば、外部磁界により磁束密度が大きくなった場合に描画位置の精度低下を未然に防止できるので、描画位置の精度を保つことができる。また、磁束密度測定装置をビーム描画装置の外部に設け、ネットワークで互いに接続するので、ビーム描画装置は内部に磁束密度測定装置を設けなくてすむので、コンパクトに構成できる。また、複数のビーム描画装置をネットワークを介して接続できるので、磁束密度測定装置を共用でき、コスト的に有利である。
【0033】
本発明による第2のビーム描画方法は、基材に対しビームを照射することで描画を行うビーム描画方法において、磁束密度を測定する磁束密度測定ステップと、前記基材における描画位置を前記磁束密度測定結果に基づいて補正するステップと、前記補正された描画位置で描画処理を実行するステップと、を含むことを特徴とする。
【0034】
このビーム描画方法によれば、外部磁界により磁束密度に変動が生じても、その磁束密度を測定し、その測定結果により補正した描画位置で描画を行うことができるので、描画位置の精度を保つことができる。
【0035】
この場合、前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記描画処理を中断することにより、上述のような描画位置の補正で対処できない程度に磁束密度が大きくなった場合に描画位置の精度低下を未然に防止できる。
【0036】
本発明による第3のビーム描画方法は、基材に対しビームを照射することで描画を行うビーム描画方法において、磁束密度を測定する磁束密度測定ステップと、前記ビームにより描画処理を実行するステップと、を含み、前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記描画処理を中断することを特徴とする。
【0037】
このビーム描画方法によれば、外部磁界により磁束密度が大きくなった場合に描画位置の精度低下を未然に防止できるので、描画位置の精度を保つことができる。
【0038】
また、上述の第1及び第2のビーム描画装置では、前記照射手段は前記ビームを集束して前記基材に照射し、前記描画制御手段は、前記ビームを偏向させることで前記描画位置を変更する偏向手段を有し、前記偏向手段により前記ビームを前記描画位置の補正を行うように偏向させるように構成できる。
【0039】
また、上述の第1及び第2のビーム描画システムでは、前記ビーム描画装置における前記照射手段は前記ビームを集束して前記基材に照射し、前記描画制御手段は、前記ビームを偏向させることで前記描画位置を変更する偏向手段を有し、前記偏向手段により前記ビームを前記描画位置の補正を行うように偏向させるように構成できる。
【0040】
また、上述の第2及び第3のビーム描画システムでは、前記磁束密度測定装置は、前記ビーム描画装置内に配置された磁界センサを有し、前記磁界センサの検知信号を前記ネットワークを介して受信するように構成できる。これにより、描画位置の精度により影響を与えるビーム描画装置内部でその外部磁界の磁束密度を測定することで、より精度よく磁束密度変動による描画位置の補正を行うことができる。また、複数のビーム描画装置をネットワークを介して接続した場合には、磁界センサを各ビーム描画装置に配置し、ネットワークを介して磁束密度測定装置が各検知信号を受信するようにできる。なお、磁束密度測定装置が1つの磁界センサを有し、外部磁界による磁束密度をビーム描画装置の外部で測定するようにしてもよい。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による第1及び第2の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0042】
〈第1の実施の形態〉
【0043】
図1は本発明の実施の形態による電子ビーム描画装置の全体構成を概略的に示す説明図であり、図2は図1の電子ビーム描画装置に含まれる測定装置の要部を示す図である。
【0044】
最初に、測定装置について説明する。図1の電子ビーム描画装置90は、基材21の表面の基準点及び基材の3次元形状を測定するための測定手段である測定装置80を備える。測定装置80は、3次元的に変化する形状を有する基材に、電子ビーム描画を行う際に、基材の3次元形状を測定できる。この測定装置は、3次元電子ビーム描画を行う一連の工程にて利用されるが、図1では電子ビーム描画装置と一体的に構成しているが、独立して単独で形成してもよい。ここで、基材21は、図13に示すように、一面が曲面形状を有する曲面部2aと、曲面部2aの周囲に形成された周囲面部である平坦部2bと、裏面側の底部2cとを有する。
【0045】
測定装置80は、図2に示すように、基材21に対してレーザ光を照射することで基材21を測定する第1のレーザ光照射部82と、第1のレーザ光照射部82にて発光されたレーザ光(第1の照射光)が基材21で反射しその反射光を受光する第1の受光部84と、第1のレーザ光照射部82とは異なる照射角度から照射を行う第2のレーザ光照射部86と、第2のレーザ光照射部86にて発光されたレーザ光(第2の照射光)が基材21を透過しその透過光を受光する第2の受光部88と、を含む。ここで、「透過」とは基材の一部をレーザ光等の一部が通過する状態を指し、「透過光」とは後述するようにレーザ光等の光の一部が散乱した残りの光を指すものとする。
【0046】
第1のレーザ光照射部82により電子ビームと交差する方向から基材21に対して第1の光ビームS1を照射し、平坦部2b上で反射する第1の光ビームS1の受光によって第1の光強度分布が検出される。この際に、図2に示すように、第1の光ビームS1は、基材21の底部2cにて反射されるため、第1の強度分布に基づいて基材21の平坦部2b上の平面位置が測定算出できる。
【0047】
また、第2のレーザ光照射部86によって、第1の光ビームS1と異なる電子ビームとほぼ直交する方向、即ち基材21の水平方向から基材21に対して第2の光ビームS2を照射し、基材21を透過する第2の光ビームS2が第2の受光部88に含まれるピンホール89を介して受光されて第2の光強度分布が検出される。
【0048】
この場合、図3(A)〜(C)に示すように、第2の光ビームS2が曲面部2a上を透過するので、第2の強度分布に基づいて基材21の平坦部2bより突出する曲面部2a上の高さ位置を測定算出できる。
【0049】
具体的には、第2の光ビームS2がXY基準座標系における曲面部2a上のある位置(x、y)の特定の高さを透過すると、この位置(x、y)において、図3(A)〜(C)に示すように、第2の光ビームS2が曲面部2aの曲面にて当たることにより散乱光SS1、SS2が生じ、この散乱光分の光強度が弱まる。このため、第2の受光部88にて検出された第2の光強度分布に基づいて高さ位置が測定算出される。
【0050】
この算出の際には、第2の受光部88の信号出力Opは、図6に示す特性図のような、信号出力Opと基材の高さとの相関関係を有するので、第2の受光部88での信号出力Opに基づき、基材の高さ位置を算出することができる。そして、この基材の高さ位置を、例えば描画位置として、電子ビームの焦点位置の調整が行われ描画が行われることとなる。従って、後述のように、測定装置80において精度良い高さ検出を行うことは、曲面部2aを有する基材21に対して電子ビームにより描画パターンを描画する際の描画精度をも向上させることにもなる。
【0051】
次に、電子ビーム描画装置全体について説明する。図1に示すように、電子ビーム描画装置90は、大電流で高解像度の電子線プローブを形成して高速に描画対象の基材21上を走査するものであり、高解像度の電子線プローブを形成し、電子ビームを生成してターゲットに対してビーム照射を行う電子ビーム生成手段である電子銃121と、この電子銃121からの電子ビームを通過させるスリット141と、スリット141を通過する電子ビームの基材21に対する焦点位置を制御するための電子レンズ161と、電子ビームが出射される経路上に配設され開口により電子ビームを所望の形状とするためのアパーチャー181と、電子ビームを偏向させることでターゲットである基材21上の走査位置等を制御する偏向器200と、偏向を補正する補正用コイル221と、を含む。なお、これらの各部は、鏡筒101内に配設されて電子ビーム出射時には真空状態に維持される。
【0052】
さらに、電子ビーム描画装置90は、描画対象となる基材21を載置するための載置台であるXYZステージ30と、このXYZステージ30上の載置位置に基材21を搬送するための搬送手段であるローダ40と、XYZステージ30を駆動するための駆動手段であるステージ駆動手段50と、ローダを駆動するためのローダ駆動装置60と、鏡筒101内及びXYZステージ30を含む筐体210内を真空となるように排気を行う真空排気装置70と、これらの制御を司る制御手段である制御回路100と、を含む。測定装置80は、XYZステージ30上の基材21の表面の基準点及び上述のように基材の3次元形状を測定する。
【0053】
電子レンズ161は、高さ方向に沿って複数箇所に離間して設置される各コイル170a、170b、170cの各々の電流値によって電子的なレンズが複数生成されることで各々制御され、電子ビームの焦点位置が制御される。
【0054】
ステージ駆動手段50は、XYZステージ30をX方向に駆動するX方向駆動機構52と、XYZステージ30をY方向に駆動するY方向駆動機構54と、XYZステージ30をZ方向に駆動するZ方向駆動機構56と、XYZステージ30をθ方向に駆動するθ方向駆動機構58と、を含む。これによって、XYZステージ30を3次元的に動作させたり、アライメントを行うことができる。
【0055】
制御回路100は、電子銃121に電源を供給するための電子銃電源部102と、この電子銃電源部102での電流、電圧などを調整制御する電子銃制御部104と、電子レンズ161(複数の各電子的なレンズを各々)を動作させるためのレンズ電源部106と、このレンズ電源部106での各電子レンズに対応する各電流を調整制御するレンズ制御部108と、を含む。
【0056】
さらに、制御回路100は、補正用コイル221を制御するためのコイル制御部110と、偏向器200にて成形方向の偏向を行う成形偏向部112aと、偏向器200にて副走査方向の偏向を行うための副偏向部112bと、偏向器200にて主走査方向の偏向を行うための主偏向部112cと、成形偏向部112aを制御するためにデジタル信号をアナログ信号に変換制御する高速D/A変換器114aと、副偏向部112bを制御するためにデジタル信号をアナログ信号に変換制御する高速D/A変換器114bと、主偏向部112cを制御するためにデジタル信号をアナログ信号に変換制御する高精度D/A変換器114cと、を含む。
【0057】
さらに、制御回路100は、偏向器200における位置誤差を補正する、乃ち、位置誤差補正信号などを各高速D/A変換器114a、114b、及び高精度D/A変換器114cに対して供給して位置誤差補正を促すあるいはコイル制御部110に対してその信号を供給することで補正用コイル221にて位置誤差補正を行う位置誤差補正回路116と、これら位置誤差補正回路116並びに各高速D/A変換器114a、114b及び高精度D/A変換器114cを制御して電子ビームの電界を制御することで描画位置を制御する描画制御手段である描画位置制御回路118と、描画パターンなどを基材21に対して生成するためのパターン発生回路120と、を含む。
【0058】
さらに、制御回路100は、レーザ制御系を含み、このレーザ制御系は、第1のレーザ光照射部82及び第1の受光部84の制御を行う第1のレーザ駆動制御回路130と、第2のレーザ光照射部86及び第2の受光部88の制御を行う第2のレーザ駆動制御回路132と、を有する。これらの制御回路130,132には、図示しないが、レーザ照射光の出力(レーザの光強度)を調整制御するための各種制御回路が含まれている。
【0059】
また、制御回路100は、第1の受光部84での受光結果に基づき、測定結果を算出するための第1の測定算出部140と、第2の受光部88での受光結果に基づき、測定結果を算出するための第2の測定算出部142と、を含む。
【0060】
さらに、制御回路100は、ステージ駆動手段50を制御するためのステージ制御回路150と、ローダ駆動装置60を制御するローダ制御回路152と、上述の第1、第2のレーザ駆動回路130、132・第1、第2のレーザ出力制御回路134、136・第1、第2の測定算出部140、142・ステージ制御回路150・ローダ制御回路152を制御する機構制御回路154と、真空排気装置70の真空排気を制御する真空排気制御回路156と、測定情報を入力するための測定情報入力部158と、入力された情報や他の複数の情報を記憶するための記憶手段であるメモリ160と、各種制御を行うための制御プログラムを記憶したプログラムメモリ162と、これらの各部の制御を司る例えばCPUなどにて形成された制御部170と、を含む。
【0061】
上述のような構成を有する電子ビーム描画装置90において、ローダ40によって搬送された基材21がXYZステージ30上に載置されると、真空排気装置70によって鏡筒101及び筐体210内の空気やダストなどを排気したした後、電子銃121から電子ビームが照射される。
【0062】
電子銃121から照射された電子ビームは、電子レンズ161を介して偏向器200により偏向され、偏向された電子ビームB(以下、この電子レンズ161を通過後の偏向制御された電子ビームに関してのみ「電子ビームB」と符号を付与することがある)は、XYZステージ30上の基材21の表面、例えば曲面部(曲面)2a上の描画位置に対して照射されることで描画が行われる。
【0063】
この際に、測定装置80によって、基材21上の描画位置(描画位置のうち少なくとも高さ位置)、もしくは後述するような基準点の位置が測定され、制御回路100は、その測定結果に基づき、電子レンズ161のコイル170a、170b、170cなどに流れる各電流値などを調整制御して、電子ビームBの焦点深度の位置、すなわち焦点位置を制御し、その焦点位置が描画位置となるように移動制御される。
【0064】
あるいは、測定結果に基づき、制御回路100は、ステージ駆動手段50を制御することにより、電子ビームBの焦点位置が描画位置となるようにXYZステージ30を移動させる。
【0065】
また、電子ビームの制御、XYZステージ30の制御のいずれか一方の制御によって行っても、双方を利用して行ってもよい。
【0066】
さらに、電子ビーム描画装置90に測定装置80を搭載する場合に、第2のレーザ光照射部86と第2の受光部88との離間距離を、載置台たるXYZステージ30のXY平面方向(載置面方向)での移動ストローク以上にした状態で配設されている。このような構成とすることにより、筐体210の一部を穿設することにより、測定装置80を搭載でき、特に、筐体210を大幅に改造することを要しない。
【0067】
次に、電子ビーム描画装置90における、描画を行う場合の原理の概要について、説明する。
【0068】
先ず、基材21は、図4(A)(B)に示すように、例えば樹脂等による光学素子例えば光レンズ等にて形成されることが好ましく、断面略平板状の平坦部2bと、この平坦部2bより突出形成された曲面をなす曲面部2aと、を含む。この曲面部2aの曲面は、球面に限らず、非球面などの他のあらゆる高さ方向に変化を有する自由曲面であってよい。
【0069】
このような基材21において、予め基材21をXYZステージ30上に載置する前に、基材21上の複数例えば3個の基準点P00、P01、P02を決定してこの位置を測定しておく(第1の測定)。これによって、例えば、基準点P00とP01によりX軸、基準点P00とP02によりY軸が定義され、3次元座標系における第1の基準座標系が算出される。ここで、第1の基準座標系における高さ位置をHo(x、y)(第1の高さ位置)とする。これによって、基材21の厚み分布の算出を行うことができる。
【0070】
一方、基材21をXYZステージ30上に載置した後も、同様の処理を行う。すなわち、図4(A)に示すように、基材21上の複数例えば3個の基準点P10、P11、P12を決定してこの位置を測定しておく(第2の測定)。これによって、例えば、基準点P10とP11によりX軸、基準点P10とP12によりY軸が定義され、3次元座標系における第2の基準座標系が算出される。
【0071】
さらに、これらの基準点P00、P01、P02、P10、P11、P12により第1の基準座標系を第2の基準座標系に変換するための座標変換行列などを算出して、この座標変換行列を利用して、第2の基準座標系におけるHo(x、y)に対応する高さ位置Hp(x、y)(第2の高さ位置)を算出して、この位置を最適フォーカス位置、すなわち描画位置として電子ビームの焦点位置が合わされるべき位置とすることとなる。これにより、上述の基材21の厚み分布の補正を行うことができる。
【0072】
なお、上述の第2の測定は、電子ビーム描画装置90の測定装置80を用いて測定することができる。そして、第1の測定は、予め別の場所において他の測定装置を用いて測定しておく必要がある。このような、基材21をXYZステージ30上に載置する前に予め基準点を測定するための測定装置としては、上述の測定装置80と全く同様の構成の測定装置(第2の測定手段)を採用することができる。
【0073】
この場合、測定装置からの測定結果は、例えば図1に示す測定情報入力部158にて入力されたり、制御回路100と接続される不図示のネットワークを介してデータ転送されて、メモリ160などに格納されることとなる。もちろん、この測定装置が不要となる場合も考えられる。
【0074】
上記のようにして、描画位置が算出されて、電子ビームの焦点位置が制御されて描画が行われることとなる。
【0075】
具体的には、図4(C)に示すように、電子ビームの焦点深度FZ(ビームウエストBW)の焦点位置を、3次元基準座標系における単位空間の1フィールド(m=1)内の描画位置に調整制御する(この制御は、上述したように、電子レンズ161による電流値の調整もしくはXYZステージ30の駆動制御のいずれか一方又は双方によって行われる。)。なお、本例においては、1フィールドの高さ分を焦点深度FZより長くなるように、フィールドを設定してあるがこれに限定されるものではない。ここで、焦点深度FZとは、図5に示すように、電子レンズ161を介して照射される電子ビームBにおいて、ビームウエストBWが有効な範囲の高さを示す。なお、電子ビームBの場合、図5に示すように、電子レンズ161の幅D、電子レンズ161よりビームウエスト(ビーム径の最も細い所)BWまでの深さfとすると、D/fは、0.01程度であり、例えば50nm程度の解像度を有し、焦点深度は例えば数十μ程度ある。
【0076】
そして、図4(C)に示すように、例えば1フィールド内をY方向にシフトしつつ順次X方向に走査することにより、1フィールド内の描画が行われることとなる。さらに、1フィールド内において、描画されていない領域があれば、その領域についても、上述の焦点位置の制御を行いつつZ方向に移動し、同様の走査による描画処理を行うこととなる。
【0077】
次に、1フィールド内の描画が行われた後、他のフィールド、例えばm=2のフィールド、m=3のフィールドにおいても、上述同様に、測定や描画位置の算出を行いつつ描画処理がリアルタイムで行われることとなる。このようにして、描画されるべき描画領域について全ての描画が終了すると、基材21の表面における描画処理が終了することとなる。
【0078】
なお、本例では、この描画領域を被描画層とし、この被描画層における曲面部2aの表面の曲面に該当する部分を被描画面としている。
【0079】
さらに、上述のような各種演算処理、測定処理、制御処理などの処理を行う処理プログラムは、プログラムメモリ162に予め制御プログラムとして格納されることとなる。
【0080】
なお、電子ビーム描画装置90のメモリ160には、不図示の形状記憶テーブルを有し、この形状記憶テーブルには、例えば基材21の曲面部2aに回折格子を傾けて各ピッチ毎に形成する際の走査位置に対するドーズ量分布を予め定義したドーズ分布の特性などに関するドーズ分布情報、その他の情報が格納されている。
【0081】
また、プログラムメモリ162には、これらの処理を行う処理プログラム、ドーズ分布情報などの情報をもとに、曲面部2a上の所定の傾斜角度におけるドーズ分布特性など演算により算出するためのドーズ分布演算プログラム、その他の処理プログラムなどを有している。
【0082】
このため、制御部170は、測定装置80にて測定された描画位置に基づき、電子レンズの電流値を調整して電子ビームの焦点位置を描画位置に応じて可変制御するとともに、焦点位置における焦点深度内について、ドーズ分布の特性に基づいて、そのドーズ量を算出しつつ基材の描画を行うように制御する。
【0083】
あるいは、制御部170は、測定装置80にて測定された描画位置に基づき、駆動手段によりXYZステージ30を昇降させて、電子銃121にて照射された電子ビームの焦点位置を描画位置に応じて可変制御するとともに、焦点位置における焦点深度内について、メモリ160のドーズ分布の特性に基づいて、そのドーズ量を算出しつつ基材の描画を行うように制御する。
【0084】
上述の図1に温度測定装置を加えた電子ビーム描画装置を第1の実施の形態として図1,図7、図8及び図9を参照して説明する。図7は第1の実施の形態の電子ビーム描画装置を概略的に示す図であり、図8は図7の温度測定装置のブロック図であり、図9は第1の実施の形態の電子ビーム描画装置における温度変動の際の描画位置の補正のステップを示すフローチャートである。
【0085】
図7のように、電子ビーム描画装置90は装置の環境温度を測定する温度測定装置10を備える。温度測定装置10は、図8のように、温度センサ11と、温度センサ11からの温度検知信号を電気的に増幅し出力する増幅部12とを備える。温度センサ11としては、各種の測温抵抗体や水晶温度センサ等を用いることができるが、これらに限定されない。
【0086】
図1の電子ビーム描画装置90の描画位置制御回路118は、図7の温度測定装置10からの温度検知信号が図1の測定情報入力部158を介してフィードバックされ入力し、この測定温度に基づいて描画位置の補正量を演算する演算部を含む。この演算部は、温度と描画位置との関係情報をメモリに記録し、その関係情報から測定温度に基づいて得られた描画位置のずれ量をキャンセルするような補正量を演算する。この演算された描画位置の補正量に応じて描画位置制御回路118は電子ビームの電界を制御することで電子ビーム描画とリアルタイムで描画位置を環境温度の変動分を補正した位置に制御するようになっている。
【0087】
また、温度と描画位置との関係情報は、演算部のメモリにおいて例えば数式として記憶させることができる。また、後述の図11のように、温度測定値と描画位置(実位置と描画位置のずれ量による補正値)との関係をテーブルにした補正テーブルを予め作成しておき、この補正テーブルにより温度測定結果に基づいて描画位置の補正量を求めるようにしてもよい。
【0088】
次に、図7の電子ビーム描画装置における測定した環境温度が変動したときの動作について図9を参照して説明する。
【0089】
図1の電子ビーム描画装置において上述のように電子ビーム描画を開始し(S01)、図7,図8の温度測定装置10が環境温度を測定し、その増幅部12から出力した温度検知信号が図1の描画位置制御回路118にフィードバックされ入力する(S02)。
【0090】
そして、上述の温度測定中に温度変動が生じると(S03)、描画位置制御回路118の演算部は測定温度に基づいて描画位置の補正量を算出し、描画位置を補正し(S04)、その補正した描画位置で電子ビーム描画処理を行う(S05)。このような電子ビーム描画処理を基材21の全域について完了するまで行い(S06)、電子ビーム描画を終了する。なお、ステップS03における温度変動判断の最小変動値ΔT(温度補正を行う最小の変動温度)は予め所定値に設定できる。ΔTは、例えば、1℃当たり160nm程度の位置変動が生じるので、0.01℃に設定できる。
【0091】
以上のように、本実施の形態による電子ビーム描画装置によれば、環境温度に変動が生じても、その環境温度を測定し、その測定結果により描画位置を補正できるので、描画位置の精度を一定に保つことができる。
【0092】
なお、温度測定装置10の温度センサ11を電子ビーム描画装置の外部の温度を測定するように配置してよいが、図1のように装置内部の鏡筒101の近傍位置11aに配置してもよく、これにより、描画位置の精度に影響を与える装置内部の温度を測定することで、より精度よく温度変動による描画位置の補正を行うことができる。
【0093】
次に、図10及び図11により第1の実施の形態の変形例である電子ビーム描画システムについて説明する。図10は本例の電子ビーム描画システムの概略的構成を示す図であり、図11は図10のデータベース内の補正テーブルの構成を示す図である。
【0094】
図10の電子ビーム描画システムは、図1の電子ビーム描画装置90と、温度測定装置10と、演算装置15と、データベースサーバ16と、をネットワーク18を介して接続して構成している。電子ビーム描画装置90は測定情報入力部158を介してネットワーク18と接続される。
【0095】
温度測定装置10は図8と同様の構成であり、温度センサ11は電子ビーム描画装置90の外部温度を測定するように配置してよいが、上述のように図1の電子ビーム描画装置90内部の鏡筒101の近傍位置11aに配置してもよく、この場合、温度センサ11と温度測定装置10とをネットワーク18によるオンラインで接続するようにできる。
【0096】
また、演算装置15は温度測定装置10からの温度検知信号に基づいて描画位置の補正量を演算する。データベースサーバ16は、図11のように、温度測定値と描画位置(実位置と描画位置のずれ量による補正値)との関係を予めテーブルにした補正テーブル19を記録している。即ち、実際の電子ビーム描画に先立ってテスト電子ビーム描画を実行し、測定した温度と描画指示位置との情報をデータベースサーバ16に蓄積する。次に、実際に描画された描画位置情報をデータベースサーバ16に登録し、温度による描画位置のずれ量の情報を蓄積し、この描画位置のずれ量の情報に基づいて描画位置の補正量を算出し、補正テーブル19を作成する。
【0097】
演算装置15はデータベースサーバ16の補正テーブル19から温度測定結果に基づいて描画位置の補正量を求め、その補正量を図1の電子ビーム描画装置90の描画位置制御部118にその測定情報入力部158を介して送信するようになっている。
【0098】
上述のような図10の電子ビーム描画システムによれば、図9と同様の動作を実行し、環境温度に変動が生じても、その環境温度を温度測定装置10で測定し、その測定結果に基づいて演算装置15で描画位置の補正量を求め、電子ビーム描画装置90に送ることで、描画位置を補正できるので、描画位置の精度を一定に保つことができる。
【0099】
また、図1の電子ビーム描画装置90は、温度測定装置10と、演算装置15と、データベースサーバ16と、をネットワーク18を介して接続し、温度測定装置10や演算装置15やデータベースサーバ16を内部に備える必要がないので、装置の構成が複雑化することがない。
【0100】
また、図10のように、図1と同様の別の電子ビーム描画装置を90’をネットワーク18と接続し、この電子ビーム描画装置90’において同様に温度測定装置10と、演算装置15と、データベースサーバ16とを用いて、同様の温度補正を行うことができる。
【0101】
なお、図10の電子ビーム描画システムにおいて、演算装置15が温度と描画位置との関係情報を例えば数式として記憶するメモリを備えるようにしてもよく、この場合、データベースサーバ16の接続を省略してもよい。また、演算装置15がメモリに補正テーブル19を記憶するようにしてもよい。
【0102】
〈第2の実施の形態〉
【0103】
上述の図1に磁束密度測定装置を加えた電子ビーム描画装置を第2の実施の形態として図1、図12及び図13を参照して説明する。図12は第2の実施の形態の電子ビーム描画装置を概略的に示す図であり、図13は図12の磁束密度測定装置のブロック図である。
【0104】
図12のように、電子ビーム描画装置90は装置の外部磁束密度を測定する磁束密度測定装置20を備える。磁束密度測定装置20は、図13のように、外部磁界を電気信号に変換する磁界センサ27と、磁界センサ27からの磁束密度検知信号を電気的に増幅し出力する増幅部22とを備える。磁束密度の検出能としては、例えば磁束密度の交流変動の実効値で1.2μT(テスラ)当たり100nm程度の位置変動が生じるので、0.1μT程度が必要である。磁界センサ27としては、ホール素子等の各種の磁気センサを用いることができるが、これに限定されない。
【0105】
図1の電子ビーム描画装置90の描画位置制御回路118は、図12の磁束密度測定装置20からの磁束密度検知信号が図1の測定情報入力部158を介してフィードバックし入力し、この測定された磁束密度に基づいて描画位置の補正量を演算する演算部を含む。この演算部は、磁束密度と描画位置との関係情報をメモリに記録し、その関係情報から測定磁束密度に基づいて得られた描画位置のずれ量をキャンセルするような補正量を演算する。この演算された描画位置の補正量に応じて描画位置制御回路118は電子ビームの電界を制御することで電子ビーム描画とリアルタイムで描画位置を磁束密度の変動分を補正した位置に制御するようになっている。
【0106】
また、磁束密度と描画位置との関係情報は、演算部のメモリにおいて例えば数式として記憶させることができる。また、後述の図17のように、磁束密度の測定値と描画位置(実位置と描画位置のずれ量による補正値)との関係をテーブルにした補正テーブルを予め作成しておき、この補正テーブルにより磁束密度測定結果に基づいて描画位置の補正量を求めるようにしてもよい。
【0107】
また、図1の電子ビーム描画装置90の制御回路100では、図12の磁束密度測定装置20からの磁束密度検知信号による外部磁束密度が所定値以上になると、その描画位置の補正もできないものとして、電子ビーム描画処理を停止するように制御するようになっている。
【0108】
次に、図12の電子ビーム描画装置において測定した外部磁束密度が変動したときの動作について図14を参照して説明する。図14は第2の実施の形態の電子ビーム描画装置における外部磁束密度変動の際の描画位置の補正のステップを示すフローチャートである。
【0109】
図1の電子ビーム描画装置において上述のように電子ビーム描画を開始し(S11)、図12,図13の磁束密度測定装置20が近くの送電線や別の装置の電源等から発生する外部磁束密度を測定し、その増幅部22から出力した磁束密度検知信号が図1の描画位置制御回路118にフィードバックされ入力する(S12)。
【0110】
そして、上述の磁束密度測定中に磁束密度変動が生じると、描画位置制御回路118の演算部が測定磁束密度に基づいて描画位置の補正量を算出し、描画位置を補正し(S13)、その補正した描画位置で電子ビーム描画処理を行う(S14)。このような電子ビーム描画処理を基材21の全域について完了するまで行い(S15)、電子ビーム描画を終了する。
【0111】
以上のように、本実施の形態による電子ビーム描画装置によれば、外部磁束密度に変動が生じても、その磁束密度を測定し、その測定結果により描画位置を補正できるので、描画位置の精度を一定に保つことができる。
【0112】
次に、外部磁束密度が所定値よりも大きくなった場合の制御について図15により説明する。図15は第2の実施の形態の電子ビーム描画装置における外部磁束密度変動が大きい場合の制御のステップを示すフローチャートである。
【0113】
図1の電子ビーム描画装置において電子ビーム描画を開始し(S21)、図12,図13の磁束密度測定装置20が外部の磁束密度を測定し、その増幅部22から出力した磁束密度検知信号が図1の描画位置制御回路118にフィードバックし入力する(S22)。
【0114】
そして、上述の測定中に磁束密度変動が生じ、測定された磁束密度が所定の規定値以下の場合には(S23)、電子ビーム描画処理を行う(S24)。また、測定された磁束密度が所定の規定値以上になると(S23)、図1の電子ビーム描画装置90の制御回路100は電子銃制御部104等を制御し電子ビーム描画を停止し、電子ビーム描画処理を中断する(S25)。
【0115】
この電子ビーム描画処理の中断の間にも磁束密度測定装置20は外部磁束密度を測定し、測定された磁束密度が所定の規定値以下となると、電子ビーム描画処理を再開する。このような電子ビーム描画処理を基材21の全域について完了するまで行い(S26)、電子ビーム描画を終了する。
【0116】
以上のように、図15のような電子ビーム描画装置の制御によれば、外部磁束密度が大きくなって描画位置の補正でも対処できない場合に描画位置の精度低下を未然に防止できるので、描画位置の精度を保つことができる。
【0117】
次に、図16及び図17により第2の実施の形態の変形例である電子ビーム描画システムについて説明する。図16は本例の電子ビーム描画システムの概略的構成を示す図であり、図17は図16のデータベース内の補正テーブルの構成を示す図である。
【0118】
図16の電子ビーム描画システムは、図1の電子ビーム描画装置90と、磁束密度測定装置20と、演算装置25と、データベースサーバ26と、をネットワーク18を介して接続して構成している。電子ビーム描画装置90は測定情報入力部158を介してネットワーク18と接続される。磁束密度測定装置20は図13と同様の構成であり、磁界センサ27は電子ビーム描画装置90の外部磁束密度を測定するように配置される。
【0119】
また、演算装置25は磁束密度測定装置20からの磁束密度検知信号に基づいて描画位置の補正量を演算する。データベースサーバ26は、図17のように、磁束密度測定値と描画位置(実位置と描画位置のずれ量による補正値)との関係を予めテーブルにした補正テーブル29を記録している。即ち、実際の電子ビーム描画に先立ってテスト電子ビーム描画を実行し、測定した外部磁束密度と描画指示位置との情報をデータベースサーバ26に蓄積する。次に、実際に描画された描画位置情報をデータベースサーバ26に登録し、外部磁束密度による描画位置のずれ量の情報を蓄積し、この描画位置のずれ量の情報に基づいて描画位置の補正量を算出し、補正テーブル29を作成する。
【0120】
演算装置25はデータベースサーバ26の補正テーブル29から磁束密度測定結果に基づいて描画位置の補正量を求め、その補正量を図1の電子ビーム描画装置90の描画位置制御部118にその測定情報入力部158を介して送信するようになっている。
【0121】
上述のような図16の電子ビーム描画システムによれば、図14,図15と同様の動作を実行し、外部磁束密度に変動が生じても、その外部磁束密度を磁束密度測定装置20で測定し、その測定結果に基づいて演算装置25で描画位置の補正量を求め、電子ビーム描画装置90に送ることで、描画位置を補正できるので、描画位置の精度を一定に保つことができる。また、外部磁束密度が描画位置の補正でも対処できないほどに大きくなり所定値以上となった場合に、電子ビーム描画処理を外部磁束密度が所定値以下になるまで中断するので、描画位置の精度低下を未然に防止でき、描画位置の精度を保つことができる。
【0122】
また、図1の電子ビーム描画装置90は、磁束密度測定装置20と、演算装置25と、データベースサーバ26と、をネットワーク18を介して接続し、磁束密度測定装置20や演算装置25やデータベースサーバ26を内部に備える必要がないので、装置の構成が複雑化することがない。
【0123】
また、図16のように、図1と同様の別の電子ビーム描画装置を90’をネットワーク18と接続し、この電子ビーム描画装置90’において同様に磁束密度測定装置20と、演算装置25と、データベースサーバ26とを用いて、同様の磁束密度の補正を行い、また、電子ビーム描画の中断制御を行うことができる。
【0124】
なお、図16の電子ビーム描画システムにおいて、演算装置25が温度と描画位置との関係情報を例えば数式として記憶するメモリを備えるようにしてもよく、この場合、データベースサーバ26の接続を省略してもよい。また、演算装置25がメモリに補正テーブル29を記憶するようにしてもよい。
【0125】
以上のように本発明を実施の形態により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、電子ビームにより基材に対する描画処理を行うようにしたが、本発明は、これに限定されず、レーザビームを用いるようにしてもよい。
【0126】
また、本実施の形態の電子ビーム描画により、基材を例えば光学素子に対応させ、その光学面にブレーズ状の輪帯回折構造等の微細構造を環境温度の変動の影響及び外部磁束密度の変動の影響の排除することで精度よく形成することができる。
【0127】
また、図1の電子ビーム描画装置が図7、図8の温度測定装置10及び図12,図13の磁束密度測定装置20の両方を備え、環境温度変動による補正制御及び外部磁束密度変動による補正制御・中断制御の両方を行うようにしてもよいことは勿論である。また、図10の電子ビーム描画システムにおいて、図16のように磁束密度測定装置29,演算装置25及びデータベースサーバ26を接続し、環境温度変動による補正制御及び外部磁束密度変動による補正制御・中断制御の両方を行うようにしてもよい。この場合、演算装置15と25を同じ演算装置から構成し、データベースサーバ16と26を同じサーバから構成できる。
【0128】
【発明の効果】
本発明によれば、環境温度の変動や外部磁束密度の変動のような描画位置精度に影響を与える環境変動が生じてもかかる変動の影響を排除しビームによる描画位置精度を維持できるビーム描画装置、ビーム描画システム及びビーム描画方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による電子ビーム描画装置の全体の概略構成を示す説明図である。
【図2】図1の電子ビーム描画装置に含まれる測定装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】図3(A)〜(C)は、図2の測定装置による基材の面高さの測定について説明するための説明図である。
【図4】図4(A)(B)は、図1の電子ビーム描画装置にて描画される基材を示す説明図であり、同図(C)は、描画原理を説明するための説明図である。
【図5】図1の電子ビーム描画装置におけるビームウエストを説明するための説明図である。
【図6】図1,図2の測定装置の信号出力と基材の高さとの関係を示す特性図である。
【図7】第1の実施の形態の電子ビーム描画装置を概略的に示す図である。
【図8】図7の温度測定装置のブロック図である。
【図9】第1の実施の形態の電子ビーム描画装置における温度変動の際の描画位置の補正のステップを示すフローチャートである。
【図10】第1の実施の形態の変形例の電子ビーム描画システムの概略的構成を示す図である。
【図11】図10のデータベース内の補正テーブルの構成を示す図である。
【図12】第2の実施の形態の電子ビーム描画装置を概略的に示す図である。
【図13】図12の磁束密度測定装置のブロック図である。
【図14】第2の実施の形態の電子ビーム描画装置における外部磁束密度変動の際の描画位置の補正のステップを示すフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態の電子ビーム描画装置における外部磁束密度変動が大きい場合の制御のステップを示すフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態の変形例である電子ビーム描画システムの概略的構成を示す図である。
【図17】図16のデータベース内の補正テーブルの構成を示す図である。
【符号の説明】
90、90’ 電子ビーム描画装置
118 描画位置制御回路
100 制御回路
10 温度測定装置
11 温度センサ
15 演算装置
16 データベースサーバ
18 ネットワーク
19 補正テーブル
20 磁束密度測定装置
27 磁界センサ
25 演算装置
26 データベースサーバ
29 補正テーブル
Claims (26)
- 基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と、前記照射手段からのビームによる前記基材に対する描画位置を制御する描画制御手段と、
環境温度を測定する温度測定手段と、を備え、
前記描画制御手段は前記温度測定手段からフィードバックされた温度測定結果に基づいて前記描画位置を補正することを特徴とするビーム描画装置。 - 前記環境温度と前記描画位置との関係情報を記録した記録部を備え、前記関係情報から前記温度測定結果に基づいて得られる前記描画位置のずれ量を前記描画位置の補正量とすることを特徴とする請求項1に記載のビーム描画装置。
- 前記記録部は前記環境温度の変動量と前記描画位置のずれ量との関係に基づいて作成した補正テーブルを有し、前記補正テーブルから前記描画位置のずれ量を得ることを特徴とする請求項2に記載のビーム描画装置。
- 前記温度測定手段は装置内に配置された温度センサを有することを特徴とする請求項1,2または3に記載のビーム描画装置。
- 基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と前記照射手段からのビームによる前記基材に対する描画位置を制御する描画制御手段とを備えるビーム描画装置と、
環境温度を測定する温度測定装置と、
前記温度測定装置の温度測定結果に基づいて前記描画位置を補正するための補正情報を得る演算装置と、をネットワークを介して接続し、
前記ビーム描画装置は前記ネットワークを介して受信した前記補正情報に基づいて前記描画位置を補正することを特徴とするビーム描画システム。 - 前記演算装置は、前記温度と前記描画位置との関係情報を記録した記録部を有し、前記温度測定装置から受信した前記温度測定結果に基づいて前記関係情報から得られた前記描画位置のずれ量を前記補正情報として前記ビーム描画装置に送信することを特徴とする請求項5に記載のビーム描画システム。
- 前記温度の変動量と前記描画位置のずれ量との関係に基づいて作成した補正テーブルを有するデータベースが前記ネットワークに更に接続されており、前記演算装置は、前記温度測定装置から受信した前記温度測定結果に基づいて前記補正テーブルから得られた前記描画位置のずれ量を前記補正情報として前記ビーム描画装置に送信することを特徴とする請求項5に記載のビーム描画システム。
- 前記温度測定装置は、前記ビーム描画装置内に配置された温度センサを有し、前記温度センサの温度検知信号を前記ネットワークを介して受信することを特徴とする請求項5,6または7に記載のビーム描画システム。
- 基材に対しビームを照射することで描画を行うビーム描画方法において、
前記描画を行う環境の温度を測定する温度測定ステップと、
前記基材における描画位置を前記温度測定結果に基づいて補正するステップと、
前記補正された描画位置で描画処理を実行するステップと、を含むことを特徴とするビーム描画方法。 - 基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と、
前記照射手段からのビームによる前記基材に対する描画位置を制御する描画制御手段と、
磁束密度を測定する磁束密度測定手段と、を備え、
前記描画制御手段は前記磁束密度測定手段からフィードバックされた磁束密度測定結果に基づいて前記描画位置を補正することを特徴とするビーム描画装置。 - 前記磁束密度と前記描画位置との関係情報を記録した記録部を備え、前記関係情報から前記磁束密度測定結果に基づいて得られる前記描画位置のずれ量を前記描画位置の補正量とすることを特徴とする請求項10に記載のビーム描画装置。
- 前記記録部は前記磁束密度の変動量と前記描画位置のずれ量との関係に基づいて作成した補正テーブルを有し、前記補正テーブルから前記描画位置のずれ量を得ることを特徴とする請求項11に記載のビーム描画装置。
- 前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記照射手段による描画を中断することを特徴とする請求項10,11または12に記載のビーム描画装置。
- 基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と、
磁束密度を測定する磁束密度測定手段と、を備え、
前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記照射手段による描画を中断することを特徴とするビーム描画装置。 - 前記磁束密度測定手段は装置内に配置された磁界センサを有することを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載のビーム描画装置。
- 基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段と前記照射手段からのビームによる前記基材に対する描画位置を制御する描画制御手段とを備えるビーム描画装置と、
磁束密度を測定する磁束密度測定装置と、
前記磁束密度測定装置の磁束密度測定結果に基づいて前記描画位置を補正するための補正情報を得る演算装置と、をネットワークを介して接続し、
前記ビーム描画装置は前記ネットワークを介して受信した前記補正情報に基づいて前記描画位置を補正することを特徴とするビーム描画システム。 - 前記演算装置は前記磁束密度と前記描画位置との関係情報を記録した記録部を有し、前記磁束密度測定装置から受信した前記磁束密度測定結果に基づいて前記関係情報から得られた前記描画位置のずれ量を前記補正情報として前記ビーム描画装置に送信することを特徴とする請求項16に記載のビーム描画システム。
- 前記磁束密度の変動量と前記描画位置のずれ量との関係に基づいて作成した補正テーブルを有するデータベースが前記ネットワークに更に接続されており、前記演算装置は、前記磁束密度測定装置から受信した前記磁束密度測定結果に基づいて前記補正テーブルから得られた前記描画位置のずれ量を前記補正情報として前記ビーム描画装置に送信することを特徴とする請求項16に記載のビーム描画システム。
- 前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記照射手段による描画を中断することを特徴とする請求項16,17または18に記載のビーム描画システム。
- 基材に対し描画を行うためにビームを照射する照射手段を備えるビーム描画装置と、
磁束密度を測定する磁束密度測定装置と、をネットワークを介して接続し、
前記ビーム描画装置は前記ネットワークを介して受信した前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記照射手段による描画を中断することを特徴とするビーム描画システム。 - 基材に対しビームを照射することで描画を行うビーム描画方法において、
磁束密度を測定する磁束密度測定ステップと、
前記基材における描画位置を前記磁束密度測定結果に基づいて補正するステップと、
前記補正された描画位置で描画処理を実行するステップと、を含むことを特徴とするビーム描画方法。 - 前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記描画処理を中断することを特徴とする請求項21に記載のビーム描画方法。
- 基材に対しビームを照射することで描画を行うビーム描画方法において、
磁束密度を測定する磁束密度測定ステップと、
前記ビームにより描画処理を実行するステップと、を含み、
前記測定された磁束密度が所定値を越えたときに前記描画処理を中断することを特徴とするビーム描画方法。 - 前記照射手段は前記ビームを集束して前記基材に照射し、前記描画制御手段は、前記ビームを偏向させることで前記描画位置を変更する偏向手段を有し、前記偏向手段により前記ビームを前記描画位置の補正を行うように偏向させることを特徴とする請求項1乃至4及び請求項10乃至13のいずれか1項に記載のビーム描画装置。
- 前記ビーム描画装置における前記照射手段は前記ビームを集束して前記基材に照射し、
前記描画制御手段は、前記ビームを偏向させることで前記描画位置を変更する偏向手段を有し、前記偏向手段により前記ビームを前記描画位置の補正を行うように偏向させることを特徴とする請求項5乃至8及び請求項16乃至19のいずれか1項に記載のビーム描画システム。 - 前記磁束密度測定装置は、前記ビーム描画装置内に配置された磁界センサを有し、前記磁界センサの検知信号を前記ネットワークを介して受信することを特徴とする請求項16乃至20のいずれか1項に記載のビーム描画システム。
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2002
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