JP2004022486A - 加熱体、加熱装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱体が暴走し異常発熱したときの急激な温度上昇に対して温度ヒューズ等のサーマルプロテクタがこれに追従できず動作が遅れて、加熱体が異常発熱し、その熱ストレスにより加熱体に割れを生じるという課題があった。
【解決手段】被加熱材の移動方向と略直交する方向を長手とするセラミック基板と、このセラミック基板の一面側に長手方向に沿って形成した通電発熱体と、前記セラミック基板の通電発熱体形成面を保護する表面保護層と、前記セラミック基板の他面側に設けた温度検出素子とを有する加熱体において、前記セラミック基板を繊維強化されたセラミック複合材料で構成したものである。
【選択図】 図1
【解決手段】被加熱材の移動方向と略直交する方向を長手とするセラミック基板と、このセラミック基板の一面側に長手方向に沿って形成した通電発熱体と、前記セラミック基板の通電発熱体形成面を保護する表面保護層と、前記セラミック基板の他面側に設けた温度検出素子とを有する加熱体において、前記セラミック基板を繊維強化されたセラミック複合材料で構成したものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック基板の一面側に通電発熱体を形成して該通電発熱体を表面保護層で保護し、前記セラミック基板の他面側に温度検出素子を設けた加熱体、この加熱体を熱源として設けた加熱装置および該加熱装置を適用した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、複写機・プリンタ・ファクシミリ等の画像形成装置において、被加熱材としての被記録材(エレクトロファックスシート・静電記録シート・転写材シート・印刷紙など)上に形成した未定着トナー画像を該被記録材上に加熱溶融させて定着固定する加熱定着装置の加熱方式としては、所定の温度に維持された加熱ローラと、弾性層を有して前記加熱ローラに圧接する加圧ローラによって被記録材を挟持搬送しつつ加熱する熱ローラ方式が多用されている。またフラッシュ加熱方式、オープン加熱方式、熱板加熱方式など種々の方式・構成のものが知られており、また実用されている。
【0003】
最近では、フィルム加熱方式の加熱装置が提案され、実用化されている(特開昭63−313182号公報・特開平1−263679号公報・特開平2−157878号公報・特開平4−44075〜44083号公報・特開平4−204980〜204984号公報等)。
【0004】
この加熱装置は、被記録材を加熱体に耐熱フィルムを介して密着させ、加熱体と耐熱フィルムとを相対移動させて該加熱体の熱を耐熱フィルムを介して被記録材へ与える方式・構成のものであり、電子写真複写機・プリンタ・ファクシミリ等の画像形成装置における加熱定着装置(像加熱装置、熱定着器)、即ち電子写真・静電記録・磁気記録等の適宜の画像形成プロセス手段により加熱溶融性の樹脂等よりなるトナーを用いて被記録材の面に直接方式もしくは間接(転写)方式で形成した目的の画像情報に対応した未定着トナー画像を該被記録材面に永久固着画像として加熱定着処理する手段として活用できる。
【0005】
また、例えば、画像担持した被記録材を加熱して表面性(艶など)を改質する装置、仮定着処理する装置など、その他、被加熱体を加熱処理する手段として広く使用できる。
【0006】
このようなフィルム加熱方式の加熱装置は、昇温の速い低熱容量の加熱体や薄膜のフィルムを用いることができるため、省電力化やウェイトタイムの短縮化(クイックスタート性)が可能となる、画像形成装置等の本機の機内昇温を低めることができる等の利点を有し、効果的なものである。
【0007】
加熱体としては、耐熱性・絶縁性のセラミック基板と、このセラミック基板に印刷・焼成を経て形成された通電発熱体(厚膜抵抗体)を基本構成とし、この通電発熱体に電力を供給して発熱させる低熱容量・高速昇温の所謂セラミックヒータが用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
通常、各種の加熱装置には温度コントロール部に異常が生じて加熱体が異常発熱(加熱体の暴走)したときの発煙・発火を防止するための安全機構として、加熱体に近接もしくは接触させて温度ヒューズ・サーモスイッチ等のサーマルプロテクタを配設し、加熱体が暴走して異常発熱したとき、その異常発熱でサーマルプロテクタが定格温度以上になると該サーマルプロテクタの作動により加熱体への電力供給を緊急遮断するものである。
【0009】
しかしながら、フィルム加熱方式の加熱装置においては、加熱体が暴走し異常発熱したときの急激な温度上昇に対して温度ヒューズ等のサーマルプロテクタがこれに追従できず動作が遅れて、加熱体が異常発熱し、その熱ストレスにより加熱体に割れを生じ、加熱体だけではなく、耐熱フィルム、加圧ローラ等を破損する事があった。
【0010】
また、加熱体の割れが、加熱体の通電発熱体を配設した発熱面側とは反対側の面に配設したサーミスタ等の温度制御用素子(加熱体温度検出素子)のある部分で生じると、通電発熱体を流れるACバイアスがサーミスタ端子より本体の低圧2次回路内にリークし、本体制御部をも破損するという課題があった。
【0011】
本発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、熱ストレスによる割れを防止した加熱体、この加熱体を用いて安全性、信頼性を高めた加熱装置および加熱定着装置として該加熱装置を適用し、高品質の画像形成を行なう安全性、信頼性の高い画像形成装置を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を有することを特徴とする加熱体、加熱装置および画像形成装置である。
【0013】
(1)被加熱材の移動方向と略直交する方向を長手とするセラミック基板と、このセラミック基板の一面側に長手方向に沿って形成した通電発熱体と、前記セラミック基板の通電発熱体形成面を保護する表面保護層と、前記セラミック基板の他面側に設けた温度検出素子とを有する加熱体において、前記セラミック基板を繊維強化されたセラミック複合材料で構成したことを特徴とする加熱体。
【0014】
(2)繊維基材は、SiC繊維、チラノ繊維、SiCウィスカー、Si3 N4 ウィスカーから選択されることを特徴とする請求項1に記載の加熱体。
【0015】
(3)平板状のセラミック複合材料を基板とし、その厚みが500μm以下であることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の加熱体。
【0016】
(4)加熱体と、前記加熱体に対向して配置される回転加圧体と、前記加熱体を内包するように該加熱体と加圧体との間に挟持された回転定着フィルムを有し、加熱体と加圧体との定着フィルム挟持部で定着フィルムと加圧体との間に被加熱材を挟持搬送させて加熱処理を行なうフィルム加熱方式の加熱装置において、前記加熱体として請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の加熱体を用いたことを特徴とする加熱装置。
【0017】
(5)被記録材上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、その未定着トナー画像を前記被記録材上に加熱溶融させて定着固定する加熱定着手段とを有する画像形成装置において、前記加熱定着手段として請求項4記載の加熱装置を適用したことを特徴とする画像形成装置。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面について説明する。
【0019】
〈実施例1〉
(1)加熱体の構成(図1、図4、図5)
図1は本発明の加熱体の一部切欠き平面(表面側)模型図、図2はその加熱体の拡大横断面模型図、図3は加熱体の背面(裏面側)模型図である。本実施例の加熱体2は、
a.フィルム1の移動方向に略直交する方向を長手とする、繊維強化されたAl2 O3(アルミナ),AlN,SiC等の電気絶縁性・耐熱性・低熱容量の例えば厚さ1.0mm、幅10mm、長手方向長さ340mmのセラミック基板3、
b.このセラミック基板3の一方面側(表面側)に基板長手に沿って、例えば厚さ10μm、幅1.0mmに形成した発熱源としての銀パラジウム(Ag/Pd),RuO2 ,Ta2 N等の通電発熱体4、
c.通電発熱体4への給電電極5・6およびその端末部5a,6a
d.セラミック基板3の通電発熱体形成面を被覆させた表面保護層としての例えば厚さ10μmのガラス等の電気絶縁性オーバーコート層7、
e.セラミック基板3の他方面側(背面側)にそれぞれ接触させて設けたサーミスタ等の温度検出素子8、及び安全対策用温度検出素子(サーマルプロテクタ)としての温度ヒューズ9
等により構成されている。
【0020】
本実施例では、上記セラミック基板3として、Al2 O3 粉末(平均粒径0.2μm )と、SiCウイスカー(短軸長0.5〜1.0μm 、アスペクト比50、長さ20〜100μm )とを溶媒として水を用いてナイロンボ−ルにて充分に混合しスラリーを作製した。
【0021】
次にこのスラリーを粘度0.2〜4.0ポイズ以下の濃度に調整し、入口温度200℃、出口温度120℃及びアトマイザ−回転数10000rpmにてスプレ−ドライを行い平均粒径80μm の造粒粉体を作製した。
【0022】
その後、この原料をカーボン型に充填し、プレス成形し得られた成形体を350kg/cm2 の加圧下で1650〜2000℃でホットプレス焼成し、相対密度99%以上の焼結体を作製した。
【0023】
加熱体2のオーバーコート層7側がフィルム接触摺動面側であり、この面側を外部露呈させて加熱体2を断熱性のヒーターホルダ13(後記図4)を介して不図示の支持部に固定支持させてある。
【0024】
セラミック基板3に繊維強化されたセラミック複合材料を使用することで、セラミック基板3の強度が上がり、加熱体2が暴走して異常発熱したときの急激な温度上昇に対して、温度ヒューズ9の昇温が該温度ヒューズの熱容量が大きいことで追従できず、動作が遅れてもセラミック基板3が割れる事を防止する。その結果、加熱体2だけではなく、後記の耐熱フィルム1、加圧ローラ10等の破損を防止することができる。
【0025】
更には加熱体2が割れることで、通電発熱体4を流れるACバイアスがサーミスタ端子より本体の低圧2次回路内にリークし、本体制御部を破損することも防止できることにより、安全性・信頼性を向上させることが可能となる。
【0026】
〈実施例2〉
本実施例は、セラミック基板3がSiC繊維を用いたSiC繊維強化/SiCセラミック複合材料で構成されている。強化繊維であるSiC繊維に、ポリカルボシラン、ポリビニルシラン、およびSiC微粉末を混合したものを有機溶剤に溶かしたケイ素系高分子スラリーを含浸する。溶媒を充分に乾燥させた後、真空中で融点以上に加熱して高分子を溶融状態とする事で各繊維の隙間までスラリーを完全に含浸し、プレスすることで平板状に成形する。
【0027】
これを電子線照射装置を用いて室温、ヘリウム中で2MeVの電子線を所定の線量まで照射することにより、含浸したケイ素系高分子を架橋して不融化する。その後、アルゴン雰囲気下で1300℃まで焼成することにより、ケイ素系高分子がセラミック化しSiC/SiC複合材が完成する。本実施例においては40vol%の繊維含有率のSiC複合材を作成した。
【0028】
これにより高い靭性のセラミック基板3が得られる。また、たとえセラミック基板3が割れたとしても、繊維強化したセラミック複合材料で構成されたセラミック基板3の場合、割れた部位で完全には分離しにくい。SiC繊維のような絶縁性の繊維で構成した場合、セラミック基板3が割れても、割れたところで分離しなければセラミック基板3の表裏で絶縁が保たれ、通電発熱体4を流れるACバイアスがサーミスタ端子より本体の低圧2次回路内にリークし、本体制御部を破損することも防止できる。
【0029】
絶縁性の高い繊維基材である、SiC繊維、チラノ繊維、SiCウィスカー、Si3 N4 ウィスカーから、機材との相性、コスト等を考慮して選択することで、製造も容易で、安価で、かつ安全性、信頼性の高いセラミック基板3を供給することが可能となる。
【0030】
〈実施例3〉
本実施例においては、セラミック基板3の厚みが500μm以下、例えば、厚さ400μm、幅5mm、長手方向長さ340mmのセラミック基板3であることを特徴としている。セラミック基板3は、省電力化やウェイトタイムの短縮化(クイックスタート性)のため低熱容量であることが望ましい。しかしながら、従来のセラミック基板3で厚みを薄くすると靭性が低くなり、温度制御の異常時だけでなく、0℃環境等の極低温からの急速な温度立ち上げや、非常に厚い紙を通紙したとき、転写紙の重送がおこったときなどに、セラミック基板3が割れてしまうという問題が発生することがあった。そのため、従来のセラミック基板を使用した場合、基板割れ、熱容量の関係からセラミック基板の厚みは600〜1200μmにしていた。
【0031】
しかしながら、本実施例のように繊維強化型のセラミック複合材を使用することで、加熱体が割れにくくなるため、加熱体基板を500μm以下まで、薄くすることが可能となり、その結果として、昇温の速い低熱容量の加熱体の製造が可能となり、更なる省電力化やウェイトタイムの短縮化(クイックスタート性)が可能となった。また、このことから、より高速の装置への対応も可能となった。
【0032】
(2)像加熱装置50
図4は本発明加熱体2を用いた像加熱装置50の概略構成を示す側面模型図である。本例の像加熱装置50はフィルム加熱方式の加熱装置である。図4において、1はエンドレスベルト状の耐熱性フィルム(定着フィルム)であり、互いに略並行に配設した駆動ローラ11と、テンションローラを兼ねる従動ローラ12と、加熱体(ヒータ)2の3部材間に懸回張設させてある。
【0033】
耐熱性フィルム1は熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、耐熱性フィルム1の膜厚は総厚100μm以下、好ましくは40μm以下20μm以上の耐熱性・離型性・強度・耐久性等のあるPTFE,PFAの単層フィルム、あるいはポリイミド,ポリアミドイミド,PEEK,PES,PPS等のフィルムの表面にPTFE,PFA,FEP等を離型層としてコーティングした複合層フィルム等である。
【0034】
13は加熱体2を断熱支持させたヒータホルダ、10は加熱体2との間に耐熱性フィルム1を挟んで該耐熱性フィルムを加熱体2の面に総圧4〜15kgで圧接するシリコンゴム等の離型性のよいゴム弾性層を有する加圧ローラである。
【0035】
耐熱性フィルム1は駆動ローラ11の回転により、少なくとも画像定着実行時は矢示の時計方向に加熱体2面に密着して該加熱体面を摺動しながら所定の周速度、即ち不図示の画像形成部(A)側から搬送されてくる未定着トナー画像Tを担持した被記録材Pの搬送速度と略同じ周速度でシワなく回転駆動される。
【0036】
加熱体2は後述するように電力供給により発熱する発熱源としての通電発熱体(通電発熱体)4を含み、この通電発熱体4の発熱により昇温する。通電発熱体4に対する電力供給により加熱体2が加熱され、また耐熱性フィルム1が回転駆動されている状態において、加熱体2と加圧ローラ10との圧接部N(定着ニップ部)の、耐熱性フィルム1と加圧ローラ10との間に記録材Pが導入されることで、該被記録材Pが耐熱性フィルム1に密着して該耐熱性フィルムと一緒の重なり状態で圧接部Nを通過する。
【0037】
この圧接部通過過程で加熱体2から耐熱性フィルム1を介して被記録材Pに熱エネルギーが付与されて、被記録材P上の未定着トナー画像Tが加熱溶融定着される。被記録材Pは圧接部N通過後耐熱性フィルム1から分離して排出される。加熱体2は通電発熱体4の給電電極5・6間に交流電源20より電圧印加され、該通電発熱体4が発熱することで昇温する。5a・6aは電極5・6の端末部である。
【0038】
ここで加熱体2への電力供給を図1、図3について説明する。
【0039】
a)正常時の温調制御
加熱体2の温度は基板背面の温度検出素子8で検出され、その検出情報が通電制御回路15へフィードバックされて交流電源20から通電発熱体4への通電が制御されることで、定着実行時に温度検出素子8で検出される加熱体2の温度が所定の温度(定着温度)になるように温調制御される。
【0040】
加熱体2の温調制御は通電発熱体4に対する印加電圧または電流をコントロールするか、通電時間をコントロールする方法が採られている。通電時間をコントロールする方法には、電源波形の半波ごとに、通電する、通電しない、を制御するゼロクロス波数制御、電源波形の半波ごとに通電する位相角を制御する位相制御がある。
【0041】
即ち、温度検出素子(サーミスタ)8の出力をA/D交換しCPUに取り込み、その情報をもとにトライアックにより通電発熱体4に通電するAC電圧を位相制御あるいは波数制御等のパルス幅変調をかけ、温度検出素子8による加熱体の検知温度が一定となるように通電発熱体4への通電を制御している。
【0042】
b)加熱体暴走時
温度ヒューズ9は通電発熱体4に対する通電路に直列に接続して加熱体2のセラミック基板3の背面に近接または接触させて配設してあり、通電発熱体4の通電制御が不能の事態を生じて加熱体2が異常昇温(加熱体暴走)すると、この温度ヒューズ9が作動して通電発熱体4への通電回路が解放され、通電発熱体4に対する通電がオフされる。
【0043】
(3)画像形成装置
図5は本発明の加熱装置を加熱定着装置として適用した画像形成装置の一例の概略構成を示したもので、本例の画像形成装置は原稿台往復動型・回転ドラム型・転写式・プロセスカートリッジ着脱方式の電子写真複写装置である。
【0044】
図5において、100は装置機筺、101はその装置機筺100の上面板102上に配設したガラス板等の透明板部材よりなる往復動型の原稿載置台であり、機筺上面板101上を図面上右方a、左方a´に夫々所定の速度で往復移動駆動される。
【0045】
Gは原稿であり、複写すべき画像面側を下向きにして原稿載置台101の上面に所定の載置基準に従って載置し、その上に原稿圧着板103をかぶせて押え込むことによりセットされる。
【0046】
104は機筺上面板102面に原稿載置台101の往復移動方向とは直角の方向(紙面に垂直の方向)を長手として開口された原稿照明部としてのスリット開口部である。
【0047】
原稿載置台101上に載置セットした原稿Gの下向き画像面は、原稿載置台101の右方aへの往動移動過程で右辺側から左辺側にかけて順次にスリット開口部104の位置を通過していき、その通過過程でランプ105の光Lをスリット開口部104、透明な原稿載置台101を通して受けて照明走査され、その照明走査光の原稿面反射光が像素子アレイ106によって感光ドラム107面に結像露光される。
【0048】
感光ドラム107は例えば酸化亜鉛感光層・有機半導体感光層等の感光層が被覆処理され、中心支軸108を中心に所定の周速度で矢示bの時計方向に回転駆動され、その回転過程で帯電器109により正極性又は負極性の一様な帯電処理を受け、その一様帯電面に前記の原稿画像の結像露光(スリット露光)を受けることにより、感光ドラム107面には結像露光した原稿画像に対応した静電潜像が順次に形成される。
【0049】
この静電潜像は現像器110により加熱で軟化溶融する樹脂等より成るトナーにて順次に顕像化され、この顕像化されたトナー画像が転写部としての転写放電器111の配設部位へ移行する。
【0050】
Sは被記録材としての転写材シートPを積載収納したカセットであり、このカセット内のシートが給送ローラ112の回転により1枚宛繰出し給送され、次いでレジストローラ113により、感光ドラム107上のトナー画像形成部の先端が転写放電器111の部位に到達したとき転写材シートPの先端も転写放電器111と感光ドラム107との間位置に丁度到達して両者一致するようにタイミングどりされて同期給送される。そして、その給送シートの面に対して転写放電器111により感光ドラム107側のトナー画像が順次に転写される。
【0051】
転写部でトナー画像転写を受けたシートは、不図示の分離手段で感光ドラム107面から順次に分離され、搬送装置114によって像加熱装置(加熱定着装置)50に導かれて担持している未定着トナー画像の加熱定着を受け、画像形成物(コピー)として排出ローラ116を通って排紙トレイ117上に排出される。
【0052】
画像転写後の感光ドラム107の面は、クリーニング装置118により転写残りトナー等の付着汚染物の除去を受けて繰り返して画像形成に使用される。PCは装置本体100内のカートリッジ着脱部120に着脱されるプロセスカートリッジであり、本例の場合は、像担持体としての感光ドラム107、帯電器109、現像器110、クリーニング装置118の4つのプロセス機器を包含させて一括して装置本体100に対して着脱交換自在としてある。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、被加熱材の移動方向に略直交する方向を長手とするセラミック基板と、このセラミック基板の一面側に長手方向に沿って形成した通電発熱体と、前記セラミック基板の通電発熱体形成面を保護する表面保護層と、前記セラミック基板の他面側に設けた温度検出素子とを有する加熱体において、前記セラミック基板を繊維強化されたセラミック複合材料で構成したので、加熱体の熱ストレスによる割れを防止することができるという効果がある。
【0054】
また、本発明によれば、繊維基材は、SiC繊維、チラノ繊維、SiCウィスカー、Si3 N4 ウィスカーから選択されるように構成したので、高い絶縁性を保ち、製造も容易で、強度も充分なセラミック複合材料によって、たとえセラミック基板が割れたときでも、高い安全性を保持することが可能となるという効果がある。
【0055】
また、本発明によれば、平板状のセラミック複合材料を基板とし、その厚みが500μm以下であるように構成したので、セラミック基板を薄くすることができ、昇温の速い低熱容量の加熱体の製造が可能となり、更なる省電力化やウェイトタイムの短縮化(クイックスタート性)が可能となる。また、このことから、より高速の装置への対応も可能になるという効果がある。
【0056】
また、本発明によれば、加熱体と、前記加熱体に対向して配置される回転加圧体と、前記加熱体を内包するように該加熱体と加圧体との間に挟持された回転定着フィルムを有し、加熱体と加圧体との定着フィルム挟持部で定着フィルムと加圧体との間に被加熱材を挟持搬送させて加熱処理を行なうフィルム加熱方式の加熱装置において、前記加熱体として請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の加熱体を用いて構成したので、加熱体の温度制御が不能となって加熱体が暴走した場合においても、加熱体の割れが発生しないため、加熱体の強度が飛躍的に増し、加熱体だけではなく、耐熱フィルム、加圧ローラ等のを破損を防止することができる。また加熱体の割れ方によっては通電路を確実に断裂遮断できないケースがあり、そこで火花放電が発生することでおこる発煙、発火を防止することができる。更には加熱体が割れることで、通電発熱体を流れるACバイアスがサーミスタ端子より本体の低圧2次回路内にリークし、本体制御部をも破損ることも防止できることにより、安全性・信頼性を向上させることが可能となるという効果がある。
【0057】
また、本発明によれば、被記録材上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、その未定着トナー画像を前記被記録材上に加熱溶融させて定着固定する加熱定着手段とを有する画像形成装置において、前記加熱定着手段として請求項4記載の加熱装置を適用するように構成したので、画像形成装置等の安全性・信頼性を向上させることができ、常に高品質の画像形成を行なうことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加熱体の一部切欠き平面(表面側)模型図
【図2】加熱体の拡大横断面模型図
【図3】加熱体の背面(裏面側)模型図
【図4】本発明の加熱体を適用し加熱定着装置を構成した像加熱装置の概略構成を示す側面模型図
【図5】本発明の加熱装置を適用した画像形成装置の一例の概略構成図
【符号の説明】
1 耐熱性フイルム
2 加熱体
3 セラミック基板
4 誘電発熱体
5、6 給電電極
7 電気絶縁性オーバーコート層
8 温度検出素子
9 温度ヒューズ
10 加圧ローラ
11 駆動ローラ
12 従動ローラ
13 ヒータホルダ
15 通電制御回路
50 像加熱装置(加熱装置、加熱定着装置)
107 感光ドラム(画像形成手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック基板の一面側に通電発熱体を形成して該通電発熱体を表面保護層で保護し、前記セラミック基板の他面側に温度検出素子を設けた加熱体、この加熱体を熱源として設けた加熱装置および該加熱装置を適用した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、複写機・プリンタ・ファクシミリ等の画像形成装置において、被加熱材としての被記録材(エレクトロファックスシート・静電記録シート・転写材シート・印刷紙など)上に形成した未定着トナー画像を該被記録材上に加熱溶融させて定着固定する加熱定着装置の加熱方式としては、所定の温度に維持された加熱ローラと、弾性層を有して前記加熱ローラに圧接する加圧ローラによって被記録材を挟持搬送しつつ加熱する熱ローラ方式が多用されている。またフラッシュ加熱方式、オープン加熱方式、熱板加熱方式など種々の方式・構成のものが知られており、また実用されている。
【0003】
最近では、フィルム加熱方式の加熱装置が提案され、実用化されている(特開昭63−313182号公報・特開平1−263679号公報・特開平2−157878号公報・特開平4−44075〜44083号公報・特開平4−204980〜204984号公報等)。
【0004】
この加熱装置は、被記録材を加熱体に耐熱フィルムを介して密着させ、加熱体と耐熱フィルムとを相対移動させて該加熱体の熱を耐熱フィルムを介して被記録材へ与える方式・構成のものであり、電子写真複写機・プリンタ・ファクシミリ等の画像形成装置における加熱定着装置(像加熱装置、熱定着器)、即ち電子写真・静電記録・磁気記録等の適宜の画像形成プロセス手段により加熱溶融性の樹脂等よりなるトナーを用いて被記録材の面に直接方式もしくは間接(転写)方式で形成した目的の画像情報に対応した未定着トナー画像を該被記録材面に永久固着画像として加熱定着処理する手段として活用できる。
【0005】
また、例えば、画像担持した被記録材を加熱して表面性(艶など)を改質する装置、仮定着処理する装置など、その他、被加熱体を加熱処理する手段として広く使用できる。
【0006】
このようなフィルム加熱方式の加熱装置は、昇温の速い低熱容量の加熱体や薄膜のフィルムを用いることができるため、省電力化やウェイトタイムの短縮化(クイックスタート性)が可能となる、画像形成装置等の本機の機内昇温を低めることができる等の利点を有し、効果的なものである。
【0007】
加熱体としては、耐熱性・絶縁性のセラミック基板と、このセラミック基板に印刷・焼成を経て形成された通電発熱体(厚膜抵抗体)を基本構成とし、この通電発熱体に電力を供給して発熱させる低熱容量・高速昇温の所謂セラミックヒータが用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
通常、各種の加熱装置には温度コントロール部に異常が生じて加熱体が異常発熱(加熱体の暴走)したときの発煙・発火を防止するための安全機構として、加熱体に近接もしくは接触させて温度ヒューズ・サーモスイッチ等のサーマルプロテクタを配設し、加熱体が暴走して異常発熱したとき、その異常発熱でサーマルプロテクタが定格温度以上になると該サーマルプロテクタの作動により加熱体への電力供給を緊急遮断するものである。
【0009】
しかしながら、フィルム加熱方式の加熱装置においては、加熱体が暴走し異常発熱したときの急激な温度上昇に対して温度ヒューズ等のサーマルプロテクタがこれに追従できず動作が遅れて、加熱体が異常発熱し、その熱ストレスにより加熱体に割れを生じ、加熱体だけではなく、耐熱フィルム、加圧ローラ等を破損する事があった。
【0010】
また、加熱体の割れが、加熱体の通電発熱体を配設した発熱面側とは反対側の面に配設したサーミスタ等の温度制御用素子(加熱体温度検出素子)のある部分で生じると、通電発熱体を流れるACバイアスがサーミスタ端子より本体の低圧2次回路内にリークし、本体制御部をも破損するという課題があった。
【0011】
本発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、熱ストレスによる割れを防止した加熱体、この加熱体を用いて安全性、信頼性を高めた加熱装置および加熱定着装置として該加熱装置を適用し、高品質の画像形成を行なう安全性、信頼性の高い画像形成装置を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を有することを特徴とする加熱体、加熱装置および画像形成装置である。
【0013】
(1)被加熱材の移動方向と略直交する方向を長手とするセラミック基板と、このセラミック基板の一面側に長手方向に沿って形成した通電発熱体と、前記セラミック基板の通電発熱体形成面を保護する表面保護層と、前記セラミック基板の他面側に設けた温度検出素子とを有する加熱体において、前記セラミック基板を繊維強化されたセラミック複合材料で構成したことを特徴とする加熱体。
【0014】
(2)繊維基材は、SiC繊維、チラノ繊維、SiCウィスカー、Si3 N4 ウィスカーから選択されることを特徴とする請求項1に記載の加熱体。
【0015】
(3)平板状のセラミック複合材料を基板とし、その厚みが500μm以下であることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の加熱体。
【0016】
(4)加熱体と、前記加熱体に対向して配置される回転加圧体と、前記加熱体を内包するように該加熱体と加圧体との間に挟持された回転定着フィルムを有し、加熱体と加圧体との定着フィルム挟持部で定着フィルムと加圧体との間に被加熱材を挟持搬送させて加熱処理を行なうフィルム加熱方式の加熱装置において、前記加熱体として請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の加熱体を用いたことを特徴とする加熱装置。
【0017】
(5)被記録材上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、その未定着トナー画像を前記被記録材上に加熱溶融させて定着固定する加熱定着手段とを有する画像形成装置において、前記加熱定着手段として請求項4記載の加熱装置を適用したことを特徴とする画像形成装置。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面について説明する。
【0019】
〈実施例1〉
(1)加熱体の構成(図1、図4、図5)
図1は本発明の加熱体の一部切欠き平面(表面側)模型図、図2はその加熱体の拡大横断面模型図、図3は加熱体の背面(裏面側)模型図である。本実施例の加熱体2は、
a.フィルム1の移動方向に略直交する方向を長手とする、繊維強化されたAl2 O3(アルミナ),AlN,SiC等の電気絶縁性・耐熱性・低熱容量の例えば厚さ1.0mm、幅10mm、長手方向長さ340mmのセラミック基板3、
b.このセラミック基板3の一方面側(表面側)に基板長手に沿って、例えば厚さ10μm、幅1.0mmに形成した発熱源としての銀パラジウム(Ag/Pd),RuO2 ,Ta2 N等の通電発熱体4、
c.通電発熱体4への給電電極5・6およびその端末部5a,6a
d.セラミック基板3の通電発熱体形成面を被覆させた表面保護層としての例えば厚さ10μmのガラス等の電気絶縁性オーバーコート層7、
e.セラミック基板3の他方面側(背面側)にそれぞれ接触させて設けたサーミスタ等の温度検出素子8、及び安全対策用温度検出素子(サーマルプロテクタ)としての温度ヒューズ9
等により構成されている。
【0020】
本実施例では、上記セラミック基板3として、Al2 O3 粉末(平均粒径0.2μm )と、SiCウイスカー(短軸長0.5〜1.0μm 、アスペクト比50、長さ20〜100μm )とを溶媒として水を用いてナイロンボ−ルにて充分に混合しスラリーを作製した。
【0021】
次にこのスラリーを粘度0.2〜4.0ポイズ以下の濃度に調整し、入口温度200℃、出口温度120℃及びアトマイザ−回転数10000rpmにてスプレ−ドライを行い平均粒径80μm の造粒粉体を作製した。
【0022】
その後、この原料をカーボン型に充填し、プレス成形し得られた成形体を350kg/cm2 の加圧下で1650〜2000℃でホットプレス焼成し、相対密度99%以上の焼結体を作製した。
【0023】
加熱体2のオーバーコート層7側がフィルム接触摺動面側であり、この面側を外部露呈させて加熱体2を断熱性のヒーターホルダ13(後記図4)を介して不図示の支持部に固定支持させてある。
【0024】
セラミック基板3に繊維強化されたセラミック複合材料を使用することで、セラミック基板3の強度が上がり、加熱体2が暴走して異常発熱したときの急激な温度上昇に対して、温度ヒューズ9の昇温が該温度ヒューズの熱容量が大きいことで追従できず、動作が遅れてもセラミック基板3が割れる事を防止する。その結果、加熱体2だけではなく、後記の耐熱フィルム1、加圧ローラ10等の破損を防止することができる。
【0025】
更には加熱体2が割れることで、通電発熱体4を流れるACバイアスがサーミスタ端子より本体の低圧2次回路内にリークし、本体制御部を破損することも防止できることにより、安全性・信頼性を向上させることが可能となる。
【0026】
〈実施例2〉
本実施例は、セラミック基板3がSiC繊維を用いたSiC繊維強化/SiCセラミック複合材料で構成されている。強化繊維であるSiC繊維に、ポリカルボシラン、ポリビニルシラン、およびSiC微粉末を混合したものを有機溶剤に溶かしたケイ素系高分子スラリーを含浸する。溶媒を充分に乾燥させた後、真空中で融点以上に加熱して高分子を溶融状態とする事で各繊維の隙間までスラリーを完全に含浸し、プレスすることで平板状に成形する。
【0027】
これを電子線照射装置を用いて室温、ヘリウム中で2MeVの電子線を所定の線量まで照射することにより、含浸したケイ素系高分子を架橋して不融化する。その後、アルゴン雰囲気下で1300℃まで焼成することにより、ケイ素系高分子がセラミック化しSiC/SiC複合材が完成する。本実施例においては40vol%の繊維含有率のSiC複合材を作成した。
【0028】
これにより高い靭性のセラミック基板3が得られる。また、たとえセラミック基板3が割れたとしても、繊維強化したセラミック複合材料で構成されたセラミック基板3の場合、割れた部位で完全には分離しにくい。SiC繊維のような絶縁性の繊維で構成した場合、セラミック基板3が割れても、割れたところで分離しなければセラミック基板3の表裏で絶縁が保たれ、通電発熱体4を流れるACバイアスがサーミスタ端子より本体の低圧2次回路内にリークし、本体制御部を破損することも防止できる。
【0029】
絶縁性の高い繊維基材である、SiC繊維、チラノ繊維、SiCウィスカー、Si3 N4 ウィスカーから、機材との相性、コスト等を考慮して選択することで、製造も容易で、安価で、かつ安全性、信頼性の高いセラミック基板3を供給することが可能となる。
【0030】
〈実施例3〉
本実施例においては、セラミック基板3の厚みが500μm以下、例えば、厚さ400μm、幅5mm、長手方向長さ340mmのセラミック基板3であることを特徴としている。セラミック基板3は、省電力化やウェイトタイムの短縮化(クイックスタート性)のため低熱容量であることが望ましい。しかしながら、従来のセラミック基板3で厚みを薄くすると靭性が低くなり、温度制御の異常時だけでなく、0℃環境等の極低温からの急速な温度立ち上げや、非常に厚い紙を通紙したとき、転写紙の重送がおこったときなどに、セラミック基板3が割れてしまうという問題が発生することがあった。そのため、従来のセラミック基板を使用した場合、基板割れ、熱容量の関係からセラミック基板の厚みは600〜1200μmにしていた。
【0031】
しかしながら、本実施例のように繊維強化型のセラミック複合材を使用することで、加熱体が割れにくくなるため、加熱体基板を500μm以下まで、薄くすることが可能となり、その結果として、昇温の速い低熱容量の加熱体の製造が可能となり、更なる省電力化やウェイトタイムの短縮化(クイックスタート性)が可能となった。また、このことから、より高速の装置への対応も可能となった。
【0032】
(2)像加熱装置50
図4は本発明加熱体2を用いた像加熱装置50の概略構成を示す側面模型図である。本例の像加熱装置50はフィルム加熱方式の加熱装置である。図4において、1はエンドレスベルト状の耐熱性フィルム(定着フィルム)であり、互いに略並行に配設した駆動ローラ11と、テンションローラを兼ねる従動ローラ12と、加熱体(ヒータ)2の3部材間に懸回張設させてある。
【0033】
耐熱性フィルム1は熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、耐熱性フィルム1の膜厚は総厚100μm以下、好ましくは40μm以下20μm以上の耐熱性・離型性・強度・耐久性等のあるPTFE,PFAの単層フィルム、あるいはポリイミド,ポリアミドイミド,PEEK,PES,PPS等のフィルムの表面にPTFE,PFA,FEP等を離型層としてコーティングした複合層フィルム等である。
【0034】
13は加熱体2を断熱支持させたヒータホルダ、10は加熱体2との間に耐熱性フィルム1を挟んで該耐熱性フィルムを加熱体2の面に総圧4〜15kgで圧接するシリコンゴム等の離型性のよいゴム弾性層を有する加圧ローラである。
【0035】
耐熱性フィルム1は駆動ローラ11の回転により、少なくとも画像定着実行時は矢示の時計方向に加熱体2面に密着して該加熱体面を摺動しながら所定の周速度、即ち不図示の画像形成部(A)側から搬送されてくる未定着トナー画像Tを担持した被記録材Pの搬送速度と略同じ周速度でシワなく回転駆動される。
【0036】
加熱体2は後述するように電力供給により発熱する発熱源としての通電発熱体(通電発熱体)4を含み、この通電発熱体4の発熱により昇温する。通電発熱体4に対する電力供給により加熱体2が加熱され、また耐熱性フィルム1が回転駆動されている状態において、加熱体2と加圧ローラ10との圧接部N(定着ニップ部)の、耐熱性フィルム1と加圧ローラ10との間に記録材Pが導入されることで、該被記録材Pが耐熱性フィルム1に密着して該耐熱性フィルムと一緒の重なり状態で圧接部Nを通過する。
【0037】
この圧接部通過過程で加熱体2から耐熱性フィルム1を介して被記録材Pに熱エネルギーが付与されて、被記録材P上の未定着トナー画像Tが加熱溶融定着される。被記録材Pは圧接部N通過後耐熱性フィルム1から分離して排出される。加熱体2は通電発熱体4の給電電極5・6間に交流電源20より電圧印加され、該通電発熱体4が発熱することで昇温する。5a・6aは電極5・6の端末部である。
【0038】
ここで加熱体2への電力供給を図1、図3について説明する。
【0039】
a)正常時の温調制御
加熱体2の温度は基板背面の温度検出素子8で検出され、その検出情報が通電制御回路15へフィードバックされて交流電源20から通電発熱体4への通電が制御されることで、定着実行時に温度検出素子8で検出される加熱体2の温度が所定の温度(定着温度)になるように温調制御される。
【0040】
加熱体2の温調制御は通電発熱体4に対する印加電圧または電流をコントロールするか、通電時間をコントロールする方法が採られている。通電時間をコントロールする方法には、電源波形の半波ごとに、通電する、通電しない、を制御するゼロクロス波数制御、電源波形の半波ごとに通電する位相角を制御する位相制御がある。
【0041】
即ち、温度検出素子(サーミスタ)8の出力をA/D交換しCPUに取り込み、その情報をもとにトライアックにより通電発熱体4に通電するAC電圧を位相制御あるいは波数制御等のパルス幅変調をかけ、温度検出素子8による加熱体の検知温度が一定となるように通電発熱体4への通電を制御している。
【0042】
b)加熱体暴走時
温度ヒューズ9は通電発熱体4に対する通電路に直列に接続して加熱体2のセラミック基板3の背面に近接または接触させて配設してあり、通電発熱体4の通電制御が不能の事態を生じて加熱体2が異常昇温(加熱体暴走)すると、この温度ヒューズ9が作動して通電発熱体4への通電回路が解放され、通電発熱体4に対する通電がオフされる。
【0043】
(3)画像形成装置
図5は本発明の加熱装置を加熱定着装置として適用した画像形成装置の一例の概略構成を示したもので、本例の画像形成装置は原稿台往復動型・回転ドラム型・転写式・プロセスカートリッジ着脱方式の電子写真複写装置である。
【0044】
図5において、100は装置機筺、101はその装置機筺100の上面板102上に配設したガラス板等の透明板部材よりなる往復動型の原稿載置台であり、機筺上面板101上を図面上右方a、左方a´に夫々所定の速度で往復移動駆動される。
【0045】
Gは原稿であり、複写すべき画像面側を下向きにして原稿載置台101の上面に所定の載置基準に従って載置し、その上に原稿圧着板103をかぶせて押え込むことによりセットされる。
【0046】
104は機筺上面板102面に原稿載置台101の往復移動方向とは直角の方向(紙面に垂直の方向)を長手として開口された原稿照明部としてのスリット開口部である。
【0047】
原稿載置台101上に載置セットした原稿Gの下向き画像面は、原稿載置台101の右方aへの往動移動過程で右辺側から左辺側にかけて順次にスリット開口部104の位置を通過していき、その通過過程でランプ105の光Lをスリット開口部104、透明な原稿載置台101を通して受けて照明走査され、その照明走査光の原稿面反射光が像素子アレイ106によって感光ドラム107面に結像露光される。
【0048】
感光ドラム107は例えば酸化亜鉛感光層・有機半導体感光層等の感光層が被覆処理され、中心支軸108を中心に所定の周速度で矢示bの時計方向に回転駆動され、その回転過程で帯電器109により正極性又は負極性の一様な帯電処理を受け、その一様帯電面に前記の原稿画像の結像露光(スリット露光)を受けることにより、感光ドラム107面には結像露光した原稿画像に対応した静電潜像が順次に形成される。
【0049】
この静電潜像は現像器110により加熱で軟化溶融する樹脂等より成るトナーにて順次に顕像化され、この顕像化されたトナー画像が転写部としての転写放電器111の配設部位へ移行する。
【0050】
Sは被記録材としての転写材シートPを積載収納したカセットであり、このカセット内のシートが給送ローラ112の回転により1枚宛繰出し給送され、次いでレジストローラ113により、感光ドラム107上のトナー画像形成部の先端が転写放電器111の部位に到達したとき転写材シートPの先端も転写放電器111と感光ドラム107との間位置に丁度到達して両者一致するようにタイミングどりされて同期給送される。そして、その給送シートの面に対して転写放電器111により感光ドラム107側のトナー画像が順次に転写される。
【0051】
転写部でトナー画像転写を受けたシートは、不図示の分離手段で感光ドラム107面から順次に分離され、搬送装置114によって像加熱装置(加熱定着装置)50に導かれて担持している未定着トナー画像の加熱定着を受け、画像形成物(コピー)として排出ローラ116を通って排紙トレイ117上に排出される。
【0052】
画像転写後の感光ドラム107の面は、クリーニング装置118により転写残りトナー等の付着汚染物の除去を受けて繰り返して画像形成に使用される。PCは装置本体100内のカートリッジ着脱部120に着脱されるプロセスカートリッジであり、本例の場合は、像担持体としての感光ドラム107、帯電器109、現像器110、クリーニング装置118の4つのプロセス機器を包含させて一括して装置本体100に対して着脱交換自在としてある。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、被加熱材の移動方向に略直交する方向を長手とするセラミック基板と、このセラミック基板の一面側に長手方向に沿って形成した通電発熱体と、前記セラミック基板の通電発熱体形成面を保護する表面保護層と、前記セラミック基板の他面側に設けた温度検出素子とを有する加熱体において、前記セラミック基板を繊維強化されたセラミック複合材料で構成したので、加熱体の熱ストレスによる割れを防止することができるという効果がある。
【0054】
また、本発明によれば、繊維基材は、SiC繊維、チラノ繊維、SiCウィスカー、Si3 N4 ウィスカーから選択されるように構成したので、高い絶縁性を保ち、製造も容易で、強度も充分なセラミック複合材料によって、たとえセラミック基板が割れたときでも、高い安全性を保持することが可能となるという効果がある。
【0055】
また、本発明によれば、平板状のセラミック複合材料を基板とし、その厚みが500μm以下であるように構成したので、セラミック基板を薄くすることができ、昇温の速い低熱容量の加熱体の製造が可能となり、更なる省電力化やウェイトタイムの短縮化(クイックスタート性)が可能となる。また、このことから、より高速の装置への対応も可能になるという効果がある。
【0056】
また、本発明によれば、加熱体と、前記加熱体に対向して配置される回転加圧体と、前記加熱体を内包するように該加熱体と加圧体との間に挟持された回転定着フィルムを有し、加熱体と加圧体との定着フィルム挟持部で定着フィルムと加圧体との間に被加熱材を挟持搬送させて加熱処理を行なうフィルム加熱方式の加熱装置において、前記加熱体として請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の加熱体を用いて構成したので、加熱体の温度制御が不能となって加熱体が暴走した場合においても、加熱体の割れが発生しないため、加熱体の強度が飛躍的に増し、加熱体だけではなく、耐熱フィルム、加圧ローラ等のを破損を防止することができる。また加熱体の割れ方によっては通電路を確実に断裂遮断できないケースがあり、そこで火花放電が発生することでおこる発煙、発火を防止することができる。更には加熱体が割れることで、通電発熱体を流れるACバイアスがサーミスタ端子より本体の低圧2次回路内にリークし、本体制御部をも破損ることも防止できることにより、安全性・信頼性を向上させることが可能となるという効果がある。
【0057】
また、本発明によれば、被記録材上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、その未定着トナー画像を前記被記録材上に加熱溶融させて定着固定する加熱定着手段とを有する画像形成装置において、前記加熱定着手段として請求項4記載の加熱装置を適用するように構成したので、画像形成装置等の安全性・信頼性を向上させることができ、常に高品質の画像形成を行なうことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加熱体の一部切欠き平面(表面側)模型図
【図2】加熱体の拡大横断面模型図
【図3】加熱体の背面(裏面側)模型図
【図4】本発明の加熱体を適用し加熱定着装置を構成した像加熱装置の概略構成を示す側面模型図
【図5】本発明の加熱装置を適用した画像形成装置の一例の概略構成図
【符号の説明】
1 耐熱性フイルム
2 加熱体
3 セラミック基板
4 誘電発熱体
5、6 給電電極
7 電気絶縁性オーバーコート層
8 温度検出素子
9 温度ヒューズ
10 加圧ローラ
11 駆動ローラ
12 従動ローラ
13 ヒータホルダ
15 通電制御回路
50 像加熱装置(加熱装置、加熱定着装置)
107 感光ドラム(画像形成手段)
Claims (5)
- 被加熱材の移動方向と略直交する方向を長手とするセラミック基板と、このセラミック基板の一面側に長手方向に沿って形成した通電発熱体と、前記セラミック基板の通電発熱体形成面を保護する表面保護層と、前記セラミック基板の他面側に設けた温度検出素子とを有する加熱体において、前記セラミック基板を繊維強化されたセラミック複合材料で構成したことを特徴とする加熱体。
- 繊維基材は、SiC繊維、チラノ繊維、SiCウィスカー、Si3 N4 ウィスカーから選択されることを特徴とする請求項1に記載の加熱体。
- 平板状のセラミック複合材料を基板とし、その厚みが500μm以下であることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の加熱体。
- 加熱体と、前記加熱体に対向して配置される回転加圧体と、前記加熱体を内包するように該加熱体と加圧体との間に挟持された回転定着フィルムを有し、加熱体と加圧体との定着フィルム挟持部で定着フィルムと加圧体との間に被加熱材を挟持搬送させて加熱処理を行なうフィルム加熱方式の加熱装置において、前記加熱体として請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の加熱体を用いたことを特徴とする加熱装置。
- 被記録材上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、その未定着トナー画像を前記被記録材上に加熱溶融させて定着固定する加熱定着手段とを有する画像形成装置において、前記加熱定着手段として請求項4記載の加熱装置を適用したことを特徴とする画像形成装置。
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JP2012088701A (ja) * | 2010-10-19 | 2012-05-10 | Xerox Corp | アルミナナノ繊維を加えたポリマーマトリックスで構成される光沢を変えることが可能なフューザーコーティング材料 |
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US10497631B2 (en) | 2015-08-03 | 2019-12-03 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Insulated DC-DC converter |
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- 2002-06-20 JP JP2002179643A patent/JP2004022486A/ja active Pending
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