JP2004022150A - 磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
磁気ヘッドおよびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004022150A JP2004022150A JP2002180019A JP2002180019A JP2004022150A JP 2004022150 A JP2004022150 A JP 2004022150A JP 2002180019 A JP2002180019 A JP 2002180019A JP 2002180019 A JP2002180019 A JP 2002180019A JP 2004022150 A JP2004022150 A JP 2004022150A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic
- magnetic head
- wire
- winding
- corners
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Magnetic Heads (AREA)
Abstract
【課題】線材の破損に起因したリーク不良が防止され、生産性及び信頼性に優れた磁気ヘッド及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る磁気ヘッドは、少なくとも一方が巻き線溝を有する一対の磁気コア半体11a,11bが磁気ギャップを介して突き合わされてなり、上記磁気ギャップは、所定のアジマス角を有するとともに、上記巻き線溝の少なくとも鋭角の角部16a,16bが研磨処理されていることを特徴とする。また、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法は、少なくとも一方に巻き線溝が形成された一対の磁気コア半体11a,11bを磁気ギャップ介して突き合わせて接合した後、磁気ギャップが所定のアジマス角を有するように切断し、さらに上記巻き線溝の少なくとも鋭角の角部16a,16bに対して研磨処理を施すことを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明に係る磁気ヘッドは、少なくとも一方が巻き線溝を有する一対の磁気コア半体11a,11bが磁気ギャップを介して突き合わされてなり、上記磁気ギャップは、所定のアジマス角を有するとともに、上記巻き線溝の少なくとも鋭角の角部16a,16bが研磨処理されていることを特徴とする。また、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法は、少なくとも一方に巻き線溝が形成された一対の磁気コア半体11a,11bを磁気ギャップ介して突き合わせて接合した後、磁気ギャップが所定のアジマス角を有するように切断し、さらに上記巻き線溝の少なくとも鋭角の角部16a,16bに対して研磨処理を施すことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体に対して音声信号や映像信号、あるいはデータ信号等の情報信号を記録再生する磁気ヘッド及びその製造方法に関するものであり、特にコイルが巻回される巻き線溝を有する一対の磁気コア半体同士を突き合わせてなる磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁気テープ等を磁気記録媒体として用いているビデオテープレコーダ(VTR)、デジタルオーディオテープレコーダ(DAT)、あるいはデジタルデータ記録再生装置等は、磁気テープ等の記録トラック上に情報信号を磁気信号として書き込み、あるいは記録トラック上に記録されている情報信号を磁気信号として読み込む磁気ヘッドを備えている。
【0003】
この磁気ヘッドは、磁気コアとこの磁気コアに巻回された線材等の部材により構成されており、磁気コアには微小間隙である磁気ギャップが形成されている。そして、記録時には該線材に電流を流して磁気記録媒体に書き込みを行い、再生時には磁気記録媒体からの読み込まれた磁束パターンを、線材を通して増幅アンプへ電気信号として送る。
【0004】
図18は、従来の磁気ヘッドの一例を示す斜視図、図19は、その摺動面の拡大平面図である。この磁気ヘッド200は、ギャップ材を介して互いに突き合わされ、ガラス融着等により接合一体化された2つの磁気コア半体201a、201bで構成されている。各磁気コア半体201a、201bの接合面間の高抗磁力磁気記録媒体が摺動する摺動面200A寄りには、磁気記録媒体に対して情報信号を記録再生するための磁束を発生する磁気ギャップgが形成されている。
【0005】
そして、磁気ギャップgの両端部では、トラック幅方向に円弧状に形成されたトラック幅規制溝202a、202bによりトラック幅Twが規制されている。また、各磁気コア半体201a、201bの接合面近傍には、磁気ギャップgのデプスを規制すると共に線材を通すための巻き線溝203a、203bが形成されており、各接合面と対向する側面には、線材を案内するための巻き線ガイド溝204a、204bが形成されている。
【0006】
また、現在、このような磁気ヘッドを用いた磁気記録再生においては、磁気記録媒体面積の有効活用として記録再生時のガードバンドをなくしたベタ記録が主流となり、一つの磁気記録パターンに対して大きな角度を付与することで高周波におけるクロストークを軽減するアジマス記録方式が用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなアジマス記録方式の用いる磁気ヘッドにおいては、ヘッドチップを作製した後、自動巻き線機等によって例えば銅線に有機系の絶縁膜を被覆した線材をヘッドチップに巻回する。巻き線を行う際は、巻き線溝に効率良く巻き線を行うためにヘッド上部方向に整列巻きを行う。ここで、巻き線溝を通った線材を巻き線ガイド溝に這わせる際、巻き線位置を修正するために巻き線溝の縁に線材が擦りつけられてしまう。
【0008】
このとき、ヘッドチップの巻き線溝の縁が鋭いエッジ部とされていると、線材の絶縁膜が巻き線溝の縁により破損し、線材におけるリーク不良の原因となってしまう。また、破損が激しい場合には線材の芯線までも破損、切断され、断線不良が発生する場合もある。そして、アジマス記録方式の場合、磁気ヘッドの巻き線溝の縁の一方は鋭く尖った鋭角とされているため、通常の磁気ヘッドよりも線材がより破損しやすいという問題がある。
【0009】
また、近年、映像の高画質化等を目的として、あるいは記憶容量の大容量化を目的として、情報信号の波長をより短くしてより多くの情報信号が記録再生可能な高密度磁気記録方法が採られている。このため、磁気記録媒体の磁性層に用いられる磁性粉として強磁性金属粉末をベースフィルム上に塗布したメタルテープや、強磁性金属材料をベースフィルム上に直接蒸着した蒸着テープ等の高抗磁力磁気記録媒体が使用されている。
【0010】
そして、このような高抗磁力磁気記録媒体に対して情報信号を良好に記録再生するために、高透磁率かつ高飽和磁束密度を持つ金属系磁性材料、例えば鉄系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−コバルト系合金等で成る磁気コアを有する積層型磁気ヘッド、あるいは例えばMnZnフェライトで成る磁気コアを有するフェライト磁気ヘッド、あるいは例えばMnZnフェライトで成る磁気コアを有し、高透磁率かつ高飽和磁束密度を持つ金属系磁性膜を磁気ギャップに配したMIG(メタルインギャップ)型磁気ヘッド等が使用されている。
【0011】
しかしながら、このような磁気ヘッドでは、加工したフェライトコア自体よりもさらに鋭い金属系磁性膜により線材が破損し易くなっている。
【0012】
また、一方で、磁気記録及び再生の効率をさらに向上させるべく磁気ヘッドの回路上で磁束が流れる長さを極力短くすることでロスを減少させた磁気ヘッドが検討されている。このような磁気ヘッドでは、巻き線を施す穴面積が非常に小さくなるため、線材の巻き線数を減少させないために線材の外径を小さくしなければならず、線材の芯線はより細く、また、絶縁膜はより薄くする傾向にある。このため、線材はさらに破損しやすくなる傾向にある。
【0013】
したがって、本発明は上述した従来の実情に鑑みて創案されたものであり、線材の破損に起因したリーク不良や断線不良が防止され、生産性及び信頼性に優れた磁気ヘッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成する本発明に係る磁気ヘッドは、少なくとも一方が巻き線溝を有する一対の磁気コア半体が磁気ギャップを介して突き合わされてなり、磁気ギャップは、所定のアジマス角を有するとともに巻き線溝の少なくとも鋭角の角部が研磨処理されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、以上の目的を達成する本発明に係る磁気ヘッドの製造方法は、少なくとも一方に巻き線溝が形成された一対の磁気コア半体を磁気ギャップ介して突き合わせて接合した後、磁気ギャップが所定のアジマス角を有するように切断し、さらに上記巻き線溝の少なくとも鋭角の角部に対して研磨処理を施すことを特徴とするものである。
【0016】
以上のように構成された本発明に係る磁気ヘッドにおいては、巻き線溝の少なくとも鋭角の角部が研磨処理されているため、磁気ヘッドに巻回された線材が巻き線溝の鋭角の角部によって破損することが防止されている。すなわち、本発明に係る磁気ヘッド及び磁気ヘッドの製造方法では、少なくとも所定の角度のアジマス角を設けることによって形成される巻き線溝の鋭角の角部が研磨処理され、該角部の鋭く尖った鋭角部分が除去され、なだらかな形状とされる。
【0017】
これにより、磁気ヘッドの製造時に磁気コア半体の周りに線材を巻回する際、線材位置を修正するために線材が巻き線溝の縁に擦りつけられても、線材を被覆している絶縁膜や線材の芯線が巻き線溝の角部により破損することを防止することができる。そして、線材の絶縁膜が該角部により破損することを大幅に減少させることができるため、従来の磁気ヘッドにおいて生じていた線材の絶縁膜の破損に起因したリーク不良の発生を大幅に低減させることができる。また、該角部による線材の芯線の破損も防止することができるため、断線不良の発生を大幅に低減させることができ、従来の磁気ヘッドにおいて生じていた問題を解消することができる。
【0018】
したがって、本発明に係る磁気ヘッド及び磁気ヘッドの製造方法によれば、磁気ヘッドの製造歩留まりを大幅に向上させることができ、また、信頼性の高い磁気ヘッドを実現することが可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0020】
図1は、本発明を適用して構成したMIG型磁気ヘッド10(以下、単に磁気ヘッド10と呼ぶ。)の一構成例を示す斜視図である。また、図2は、図1中のA−A’断面を示す横断面図である。この磁気ヘッド10は、磁気ギャップgが形成されている摺動面10cを有する磁気コアからなり、摺動面10c上を摺動するテープ状磁気記録媒体に対してアジマス記録方式で情報信号を記録再生する磁気ヘッドである。このような磁気ヘッド10は、ギャップ材を介して互いに突き合わされ、ガラス融着あるいは貴金属同士の熱拡散による低温熱拡散接合等により接合一体化された2つの磁気コア半体11a、11bで構成されている。そして、各磁気コア半体11a、11bの接合面間の高抗磁力磁気記録媒体が摺動する摺動面10c寄りには、高抗磁力磁気記録媒体に対して情報信号を記録再生するための磁束を発生する磁気ギャップgが形成されている。
【0021】
また、磁気ヘッド10には、媒体摺動面10cの両側部に、それぞれ当たり幅規制溝10dが形成されている。磁気ヘッド10は、当たり幅規制溝10dが形成されていることにより、テープ状磁気記録媒体との当接状態が調整される。
【0022】
各磁気コア半体11a、11bは、例えばMn−Zn系フェライトやNi−Zn系フェライト等の酸化物軟磁性材から成り、各磁気コア半体11a、11bの接合面には、磁気ギャップgのトラック幅を規制するトラック幅規制溝12a、12bが、磁気ギャップgの両端縁近傍部からそれぞれトラック幅方向に亘って三角状に形成され、各磁気コア半体11a、11bの接合面及びトラック幅規制溝12a、12bの内面には、高磁束密度高透磁率材料からなる強磁性高透磁率金属膜13a、13bが成膜されている。
【0023】
そして、強磁性高透磁率金属膜13aと13bとの間にはギャップ材となる非磁性膜が成膜され、磁気ギャップgが形成されている。非磁性膜の材料としては、SiO2、Ta2O5等の酸化物、Si3N4等の窒化物、Cr、Al、Si、Pt、Au等の金属又はそれらの合金を用いることが好ましい。また、非磁性膜は、例えばCr/Au膜などのように、これらの金属材料よりなる金属膜を組み合わせた積層膜としてもよい。
【0024】
さらに、各磁気コア半体11a、11bの接合面には、磁気ギャップgのデプスを規制すると共に線材を通すための巻き線溝14a、14bが形成されており、各磁気コア半体11a、11bの接合面と反対側の側面には、線材を案内するための巻き線ガイド溝15a、15bが、側面形状を略矩形状として形成されている。なお、巻き線溝14a、14bは、一方の磁気コア半体のみに形成されていても良い。
【0025】
ここで、強磁性高透磁率金属膜13a、13bは、高透磁率かつ高飽和磁束密度を持つ金属系磁性材料、例えば鉄系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−コバルト系合金等の金属材料からなり、各磁気コア半体11a、11bの接合面及び巻き線溝14a、14b内を含む全面に成膜されている。強磁性高透磁率金属膜13a、13bは結晶質、非晶質であるかを問わず従来公知の物がいずれも使用できる。具体的には、強磁性高透磁率金属膜13a、13bを形成する材料としては、例えば、Fe−Al−Si合金、Fe−Ni−Al−Si合金、Fe−Ga−Si合金、Fe−Al−Ge合金、又はこれらの合金に8原子%以下程度の不純物を添加した結晶質材料を用いることができる。添加する不純物としては、例えば、Co、Ti、Cr、Nb、Mo、Ta、Ru、Au、Pd、N、C、Oから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
【0026】
また、強磁性高透磁率金属膜13a、13bを形成する具体的な材料としては、例えば、Coを主材料として、Zr、Ta、Ti、Hf、Mo、Nb、Au、Pd、Ruから選ばれる少なくとも1種を添加して構成されたアモルファス材料を用いることができる。また、Co及びFeを主材料として、Ni、Zr、Ta、Ti、Hf、Mo、Nb、Si、Al、B、Ga、Ge、Cu、Sn、Ru、Bから選ばれる少なくとも1種と、N、C、Oから選ばれる少なくとも1種とを添加して構成された微結晶材料を用いることができる。
【0027】
さらに、強磁性高透磁率金属膜13a、13bは、ヘッド効率を向上させる目的で、絶縁体膜を介して成膜されても良い。この縁体膜としては、例えばSiO2 、AlO3 、SiN4 等の酸化物や窒化物等の電気的絶縁材が挙げられる。強磁性高透磁率金属膜13a、13bの成膜方法としては、膜厚制御性に優れる装置によるスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム法等に代表される真空薄膜形成技術を採用することができる。なお、強磁性高透磁率金属膜13a、13bは、巻き線溝14a、14b内の少なくとも一部の面に成膜されていても良い。
【0028】
そして、磁気ヘッド10においては、巻き線溝14a,14bの縁の角部のうち、少なくとも鋭角の角部、正確には本来は鋭角である角部に研磨処理が施されることにより鋭く尖った鋭角部分が除去され、図2に示すようになだらかな形状を有する鈍角の角部16a,16bとされている。
【0029】
図3及び図4に従来のアジマス記録方式の磁気ヘッド101を示す。なお、図4は、図3中のB−B’断面を示す横断面図である。このような従来のアジマス記録方式の磁気ヘッド101では、図4に示すように各磁気コア半体111a、111bにおいて、巻き線溝114a,114bの縁の一方の角部が鋭角に鋭く尖っている。そして、巻き線溝114a,114bに這わせるようにして磁気コア半体111a、111bの周りにそれぞれ例えば銅芯を有機系絶縁膜で被覆した線材117a,117bが図5に示すように巻回されるわけであるが、巻き線を行う際は巻き線溝114a,114bに効率良く巻き線を行うためにヘッド上部方向に整列巻きを行う。そして、巻き線溝114a,114bを通った線材117a,117bを巻き線ガイド溝115a,115bに這わせる際、線材位置を修正するために巻き線溝114a,114bの縁に線材117a,117bが擦りつけられてしまう。
【0030】
ここで、従来の磁気ヘッド101では、磁気コア半体111a,111bの巻き線溝114a,114bの縁の鋭角の角部116a,116bが鋭く尖った状態とされているため、線材117a,117bは、その周りを被覆している絶縁膜が巻き線溝114a,114bの鋭角の角部116a,116bにより破損してしまう。そして、線材117a,117bが破損した場合、破損部から電流のリークが生じ、リーク不良となってしまう。また、場合によっては絶縁膜だけではなく、線材117a,117bの芯線まで破損してしまい、破損がひどい場合には線材が切断され、断線不良が生じてしまう。
【0031】
このようなリーク不良の発生率は、アジマス角が大きくなるに従って、すなわち鋭角の角部の角度が小さくなるに従って顕著となり、また、磁気ヘッド101のように強磁性高透磁率金属膜113a,113bを配して磁気コア半体を構成する場合には、強磁性高透磁率金属膜が刃物のように鋭く、より線材を破損しやすくなる。また、強磁性高透磁率金属膜の材料の選択によってもさらに線材117a,117bを破損しやすくなり、該角部116a,116bにおいて線材117a,117bが損傷し、リーク不良および断線不良が頻発してしまう。したがって、従来の磁気ヘッド101においては、製造途中における線材117a,117bの破損により製品化できないものが発生して製品歩留まりが著しく低下してしまい、また、磁気ヘッドの信頼性においても問題が生じる場合がある。
【0032】
また、最近では、磁気記録及び再生の効率をさらに向上させるべく磁気ヘッドの回路上で磁束が流れる長さを極力短くすることでロスを減少させた磁気ヘッドが検討されているが、このような磁気ヘッドでは、巻き線を施す穴面積が非常に小さくなるため、線材の巻き線数を減少させないために線材の外径を小さくしなければならず、線材の芯線はより細く、また、絶縁膜はより薄くする傾向にある。このため、巻き線溝114a,114bの縁の鋭角の角部116a,116bが鋭く尖った状態にあると、線材はさらに破損しやすくなる。
【0033】
しかしながら、本発明を適用した磁気ヘッド10においては、図2に示すように鋭角の角部を構成する高透磁率金属薄膜13a、13bが研磨処理され、さらに磁気コア半体の母材である酸化物軟磁性材も研磨処理されうことにより鋭く尖った鋭角部分が除去され、該角部が鈍角を有するなだらかな形状とされている。そして、この状態で図6に示すように磁気コア半体11a,11bの周りに線材17a,17bが巻回される。
【0034】
これにより、磁気ヘッド10においては、磁気コア半体11a、11bの周りに線材17a,17bを巻回する際、線材位置を修正するために巻き線溝14a,14bの縁に線材17a,17bが擦りつけられても、角部16a,16bにより線材17a、17bが破損することを防止することができる。すなわち、線材17a,17bの絶縁膜が角部16a,16bにより破損することを大幅に減少させることができるため、上述したような従来の磁気ヘッドにおいて生じていた線材の絶縁膜の破損に起因したリーク不良の発生を大幅に低減させることができる。また、当然、角部16a,16bによる線材の芯線の破損も防止することができるため、断線不良の発生を大幅に低減させることができ、従来の磁気ヘッドにおいて生じていた問題が解消される。
【0035】
そして、巻き線溝14a,14bには、例えば直径が0.048mm(芯線の直径0.03mm、絶縁膜厚み0.009mm)の線材や、細いものでは直径が0.028mm(芯線の直径0.02mm、絶縁膜厚み0.004mm)の線材などが例えば26〜28ターン巻回されるが、このような非常に細く、しかも絶縁膜厚みの薄い線材を巻回した場合においても、リーク不良や断線不良を発生させることなく、良好な状態で線材を整然と巻回することができる。その結果、磁気ヘッド10では、このような構成を有することによりリーク不良の発生を1%以下程度の極めて低い発生率に抑制することが可能である。
【0036】
したがって、磁気ヘッド10では、巻き線溝14a,14bの鋭角の角部に研磨処理が施され、該角部が鈍角を有するなだらかな形状とされているため、線材17a、17bの破損を防止することができる。その結果、リーク不良や断線不良の発生が大幅に低減され、高品質で信頼性に優れた磁気ヘッドが実現されている。また、リーク不良や断線不良の発生が大幅に低減されるため、製造歩留まりを大幅に向上させることができ、生産性に優れた磁気ヘッドが実現されている。
【0037】
ここで、該角部の形状は特に限定されるものではなく、角部16a,16bの形状は曲面でも良く、また、一部に平面を有するような形状とされても良い。すなわち、上述したように線材位置を修正するために巻き線溝14a,14bの縁に線材17a,17bが擦りつけられた際に、線材17a,17bの絶縁膜が該角部により破損することがない程度の形状とされればよく、角部16a,16bの角度も特に限定されるものではない。しかしながら、より確実に線材17a、17bの破損を防止するためには、該角部の角度は大きいことが好ましく、鈍角とされることが好ましい。
【0038】
また、上記においては、巻き線溝14a,14bの縁の鋭角の角部のみが研磨処理され、該角部がなだらかな形状とされている場合について説明しているが、巻き線溝14a,14bの縁の他方の角部、すなわち鈍角の角部も同様に研磨処理が施され、さらになだらかな形状とされても良い。巻き線溝14a,14bの縁の他方の角部、すなわち鈍角の角部にも研磨処理が施され、さらになだらかな形状とされることにより、線材の破損防止の効果をより高めることができ、より効果的に上述したリーク不良や断線不良の発生を防止することができる。
【0039】
次に、以上のように構成された磁気ヘッド10の製造方法について図7〜図13を参照しながら説明する。
【0040】
先ず、例えばMn−Zn系フェライトの酸化物軟磁性材からなり、略直方体形状を呈する磁気コア半体11a、11bとなる2つの磁気コア半体ブロック11を、研削水を用いた砥石加工により作製する。続いて、図7に示すように各磁気コア半体ブロック11の長手方向に磁気ギャップgのギャップデプスを規制し、線材を巻回するための巻き線溝14a、14bとなる溝14を研削水を用いた砥石加工によりそれぞれ形成する。
【0041】
次に、各磁気コア半体ブロック11の短手方向にトラック幅規制溝12a、12bとなる溝12を研削水を用いた砥石加工により形成する。そして、各磁気コア半体ブロック11の溝形成面を研磨加工により表面粗度が例えば20Å〜100Å程度になるように鏡面研磨した後、図8に示すように鉄系合金の強磁性高透磁率金属膜13a、13bをスパッタリング法により成膜する。その後、ギャップ材としてSiO2を成膜する。なお、強磁性高透磁率金属膜13a、13bの成膜方法としては、スパッタリング法に限られることはなく、膜厚制御性に優れる真空蒸着法、イオンプレーティング法、クラスタ・イオンビーム法等に代表される真空薄膜形成技術を採用することができる。
【0042】
次に、図9に示すように各磁気コア半体ブロック11を互いに突き合わせ、ガラス18を用いたガラス融着により接合一体化して磁気コアブロック1とする。これにより、磁気ギャップgが形成される。
【0043】
次に、磁気コアブロック1の磁気ギャップgの形成面を円筒研削加工により所定のデプス深さまで曲率を持たせてラッピングして摺動面10cとし、摺動面10cが所定の当たり幅C−Dを有するように幅加工を施して当たり幅規制溝10dを形成する。なお、摺動面形成のラッピングは、ヘッドチップ完成時に行っても良い。
【0044】
そして、磁気コアブロック1の長手方向に巻き線ガイド溝15a、15bとなる溝15を、研削水を用いた砥石加工によりそれぞれ形成する。その後、図10に示すように所定のチップ厚、チップ長となるように、磁気コアブロック1の短手方向から所定のアジマス角だけ傾けて磁気ヘッド10となるヘッドチップ10’を切り出す。
【0045】
次に、図11に示すように切り出したヘッドチップ10’の巻き線溝14a,14bにより形成される穴に例えばダイヤモンド砥石を電着等により固着させたワイヤ21を挿通する。そして、この状態で超音波洗浄を行うとワイヤ21が巻き線溝14内で細かく振動する。このとき、ワイヤ21には研磨材が固着されているため、巻き線溝14内の角部の研磨処理が行われる。これにより、少なくとも巻き線溝14の鋭角の角部、すなわち従来の磁気ヘッドにおける鋭角の角部116a,116bに研磨処理を施すことができ、鋭く尖った鋭角部分を除去して該角部をなだらかな形状とすることができる。また、同時に超音波洗浄によりヘッドチップの洗浄が行われ、図1及び図2に示すような磁気ヘッド10が完成する。
【0046】
これにより、図12および図13に示すように磁気ヘッド10の巻き線溝14の周囲にリーク不良や断線不良の発生させることなく線材17a,bを巻回することが可能であり、高品質で信頼性に優れた磁気ヘッドを効率良く製造することができる。
【0047】
ここで、ワイヤ21の直径は特に限定されるものではなく、巻き線溝14a,14bにより形成される穴にスムーズに挿通でき、確実に研磨処理が行える程度の大きさであればよい。したがって、巻き線溝14a,14bにより形成される穴の大きさにより適宜選択すれば良く、例えば0.15mm〜0.2mmとすることができる。
【0048】
また、ワイヤに固着する研磨材としては、特に限定されず、磁気コア半体ブロック11や強磁性高透磁率金属膜13a、13bの材質や硬度により選択することができ、例えばダイヤモンド砥石などを用いることができる。また、研磨材の大きさも特に限定されず、例えば10μm〜15μm程度のものを用いることができる。
【0049】
なお、研磨処理時間も特に限定されるものではなく、磁気コア半体ブロック11や強磁性高透磁率金属膜13a、13bの材質や硬度、超音波の強度などの諸条件によって、確実に研磨処理が施せる時間に適宜設定すれば良い。
【0050】
また、上記の操作においては、巻き線溝14a,14bの縁の鋭角の角部だけでなく、巻き線溝14a,14bの縁の他方の角部、すなわち鈍角の角部も多少の研磨処理が施され、該角部がなだらかな形状とされる。そして、本発明においては、巻き線溝14a,14bの縁の他方の角部、すなわち鈍角の角部がなだらかな形状となることにより、線材の破損防止の効果をより高めることができ、より効果的に本発明の効果を得ることができる。したがって、本発明においては、巻き線溝14a,14bの縁の鋭角の角部だけでなく、巻き線溝14a,14bの縁の他方の角部、すなわち鈍角の角部においても積極的に研磨処理を施すことが好ましい。
【0051】
また、上記においては、研磨処理と超音波洗浄とを同時に行う場合について説明しているが、研磨処理と超音波洗浄とは必ずしも同一工程で行う必要はなく、研磨処理と超音波洗浄とを別工程としても構わない。
【0052】
ところで、本発明は上述した構成に限定されるものではなく、ヘッドチップ形成後に巻き線溝に線材を巻回する磁気ヘッド全般に適用可能である。以下に、本発明を適用して構成した磁気ヘッドの他の例について説明する。
【0053】
図14は、本発明を適用して構成した磁気ヘッド20の他の構成例を示す斜視図である。この磁気ヘッド20は、磁気ギャップgが形成されている摺動面20cを有する磁気コアからなり、摺動面20c上を摺動するテープ状磁気記録媒体に対してアジマス記録方式で情報信号を記録再生する磁気ヘッドである。
【0054】
磁気ヘッド20は、図14に示すように、一対の磁気コア半体21a,21bが突き合わされて接合一体化されてなり、その一側面が、磁気記録媒体が摺動する摺動面20cとされている。この摺動面20cは、所定の曲率で形成されている。一対の磁気コア半体21a,21bは、それぞれ、非磁性材料を主成分とする一対のベース材22によって、磁気コアを構成する金属磁性膜23を挟み込んでなる構成とされている。
【0055】
また、磁気ヘッド20は、一対の磁気コア半体21a,21bの突き合わせ面に、磁気ギャップを構成する非磁性膜24が形成されている。さらに、一対の磁気コア半体21a,21bの突き合わせ面には、磁気ギャップのデプスを規制するとともに、線材(図示せず。)を巻回するための巻線溝25a,25bが形成されている。巻線溝25a,25bには、摺動面20c側の端部に、一対の磁気コア半体21a,21bの接合強度を向上する目的で、低融点ガラス26が充填されている。
【0056】
また、一対の磁気コア半体21a,21bには、それぞれ摺動面20cの端部となる一側に、所定の幅及び深さで巻き線ガイド溝27a,27bが形成されている。巻き線ガイド溝27a,27bは、磁気ヘッド20に巻回される線材のガイドとしての機能を有している。
【0057】
また、磁気ヘッド20には、摺動面20cの両側部に、それぞれ当たり幅規制溝20dが形成されている。磁気ヘッド20は、当たり幅規制溝20dが形成されていることにより、磁気記録媒体との当接状態が調整されている。
【0058】
ベース材22は、その材料を特に限定されるものではないが、Ca,Ti,Niを主成分とするセラミックス材料により形成することができる。これにより、ヘッド効率及び耐摩耗性を向上することができる。具体的には、例えば、CaO:15〜45mol%、TiO2:40〜80mol%、NiO:5〜30mol%なる組成を有するセラミックス材料により形成することができる。これにより、ベース材22は、金属磁性膜23と略同等の熱膨張係数を有するとともに、磁気記録媒体に対する摩耗量と偏摩耗量とのバランスに優れたものとなる。
【0059】
金属磁性膜23は、複数の金属磁性層が、絶縁層を介して積層されてなる。これにより、磁気ヘッド20は、金属磁性膜23、すなわち磁気コアでの渦電流損失を低減することができ、高周波帯域での高出力化を実現することができる。
【0060】
金属磁性層を形成する材料としては、例えば、Fe−Al−Si合金、Fe−Ni−Al−Si合金、Fe−Ga−Si合金、Fe−Al−Ge合金、又はこれらの合金に8原子%以下程度の不純物を添加した結晶質材料を用いることができる。添加する不純物としては、例えば、Co、Ti、Cr、Nb、Mo、Ta、Ru、Au、Pd、N、C、Oから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
【0061】
また、金属磁性層を形成する材料としては、例えば、Coを主材料として、Zr、Ta、Ti、Hf、Mo、Nb、Au、Pd、Ruから選ばれる少なくとも1種を添加して構成されたアモルファス材料を用いることができる。また、Co及びFeを主材料として、Ni、Zr、Ta、Ti、Hf、Mo、Nb、Si、Al、B、Ga、Ge、Cu、Sn、Ru、Bから選ばれる少なくとも1種と、N、C、Oから選ばれる少なくとも1種とを添加して構成された微結晶材料を用いることができる。
【0062】
絶縁層を形成する材料としては、電気絶縁性を示す材料であれば特に限定されるものではないが、例えば、SiO2、Al2O3、Si3N4などのような酸化物や窒化物を用いることができる。
【0063】
そして、磁気ヘッド20においても、巻き線溝25a,25bの縁の角部のうち、少なくとも鋭角の角部、正確には本来は鋭角である角部に研磨処理が施され、鋭く尖った鋭角部分が除去され、図15に示すように該角部がなだらかな形状を有する角部33a,33bとされている。なお、図15は、図14中のE−E’断面を示す横断面図である。そして、この状態で磁気コア半体21a,21bの周りに線材が巻回される。
【0064】
これにより、磁気ヘッド20においては、磁気コア半体21a,21bの周りに線材を巻回する際、線材位置を修正するために巻き線溝25a,25bの縁に線材が擦りつけられても、角部33a,33bにより線材が破損することを防止することができる。そして、線材の絶縁膜が角部33a,33bにより破損することを大幅に減少させることができるため、従来の磁気ヘッドにおいて生じていた線材の絶縁膜の破損に起因したリーク不良の発生を大幅に低減させることができる。また、当然、角部33a,33bによる線材の芯線の破損も防止することができるため、断線不良の発生を大幅に低減させることができ、従来の磁気ヘッドにおいて生じていた問題が解消される。
【0065】
その結果、非常に細く、しかも絶縁膜厚みの薄い線材を巻回した場合においても、リーク不良や断線不良を発生させることなく、良好な状態で線材を整然と巻回することが可能であり、リーク不良および断線不良の発生を1%以下程度の極めて低い発生率に抑制することが可能である。
【0066】
したがって、磁気ヘッド20においては、巻き線溝25a,25bの鋭角の角部に研磨処理が施され、該角部がなだらかな形状とされているため、線材の破損を防止することができる。その結果、リーク不良や断線不良の発生が大幅に低減され、高品質で信頼性に優れた磁気ヘッドが実現されている。また、リーク不良や断線不良の発生が大幅に低減されるため、製造歩留まりを大幅に向上させることができ、生産性に優れた磁気ヘッドが実現されている。
【0067】
つぎに、本発明を適用して構成した磁気ヘッドのさらに他の構成例を図16に示す。図16に示す磁気ヘッドは40、前述の磁気ヘッド10の変形例であり、磁気ヘッド10の構成において、磁気コア半体11aと磁気コア半体11bとの対向面の全面ではなく、一部に強磁性高透磁率金属膜41a,41bを形成したものである。すなわち、磁気ヘッド40は、図16に示すように磁気コア半体11a、11bには、その巻き線溝14a,14bのフロント斜面部に強磁性高透磁率金属膜41a,41bを形成した構成とされている。なお、磁気ヘッド40が磁気ヘッド10と異なる点は、上述した強磁性高透磁率金属膜41a,41bのみであるため、磁気ヘッド10と同様の部分については同じ符号を付すことで詳細な説明は省略する。
【0068】
そして、この磁気ヘッド40においても、巻き線溝14a,14bの縁の角部のうち、少なくとも鋭角の角部、正確には本来は鋭角である角部に研磨処理が施され、鋭く尖った鋭角部分が除去され、図17に示すように該角部がなだらかな形状を有する角部42a,42bとされている。なお、図17は、図16中のF−F’断面を示す横断面図である。そして、この状態で磁気コア半体11a,11bの周りに線材が巻回される。
【0069】
これにより、磁気ヘッド40においては、磁気コア半体11a,11bの周りに線材を巻回する際、線材位置を修正するために巻き線溝14a,14bの縁に線材が擦りつけられても、角部42a,42bにより線材が破損することを防止することができる。そして、線材の絶縁膜が角部42a,42bにより破損することを大幅に減少させることができるため、従来の磁気ヘッドにおいて生じていた線材の絶縁膜の破損に起因したリーク不良の発生を大幅に低減させることができる。また、当然、角部42a,42bによる線材の芯線の破損も防止することができるため、断線不良の発生を大幅に低減させることができ、従来の磁気ヘッドにおいて生じていた問題が解消される。
【0070】
その結果、非常に細く、しかも絶縁膜厚みの薄い線材を巻回した場合においても、リーク不良や断線不良を発生させることなく、良好な状態で線材を整然と巻回することが可能であり、リーク不良の発生を1%以下程度の極めて低い発生率に抑制することが可能である。
【0071】
したがって、磁気ヘッド40においても、巻き線溝14a,14bの鋭角の角部に研磨処理が施され、該角部がなだらかな形状とされているため、上述した磁気ヘッド10や磁気ヘッド20と同様に線材の破損を防止することができる。その結果、リーク不良や断線不良の発生が大幅に低減され、高品質で信頼性に優れた磁気ヘッドが実現されている。また、リーク不良や断線不良の発生が大幅に低減されるため、製造歩留まりを大幅に向上させることができ、生産性に優れた磁気ヘッドが実現されている。
【0072】
【発明の効果】
本発明に係る磁気ヘッドは、少なくとも一方が巻き線溝を有する一対の磁気コア半体が磁気ギャップを介して突き合わされてなり、上記磁気ギャップは、所定のアジマス角を有するとともに、上記巻き線溝の少なくとも鋭角の角部が研磨処理されてなるものである。
【0073】
また、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法は、少なくとも一方に巻き線溝が形成された一対の磁気コア半体を磁気ギャップ介して突き合わせて接合した後、磁気ギャップが所定のアジマス角を有するように切断し、さらに上記巻き線溝の少なくとも鋭角の角部に対して研磨処理を施すものである。
【0074】
以上のような本発明に係る磁気ヘッド及び磁気ヘッドの製造方法では、巻き線溝の少なくとも鋭角の角部が研磨処理されるため、磁気ヘッドに巻回された線材が巻き線溝の鋭角の角部によって破損することを防止することができる。これにより、磁気ヘッドにおける線材の破損に起因したリーク不良や断線不良の発生を防止することができる。
【0075】
したがって、本発明に係る磁気ヘッド及び磁気ヘッドの製造方法によれば、高品質で信頼性が高く、生産性に優れた磁気ヘッドを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用して形成した磁気ヘッドの一構成例を示す斜視図である。
【図2】図1中のA−A’断面を示す横断面図である。
【図3】従来の磁気ヘッドの一構成例を示す斜視図である。
【図4】図3中のB−B’断面を示す横断面図である。
【図5】従来の磁気ヘッドに線材を巻回した状態を示す横断面図である。
【図6】本発明を適用して形成した磁気ヘッドに線材を巻回した状態を示す横断面図である。
【図7】各磁気コア半体ブロックの長手方向に、巻き線溝となる溝を砥石加工により形成した状態を示す斜視図である。
【図8】強磁性高透磁率金属膜をスパッタリング法により成膜した状態を示す斜視図である。
【図9】各磁気コア半体ブロックを互いに突き合わせ、ガラス融着により接合一体化して磁気コアブロックとした状態を示す斜視図である。
【図10】磁気コアブロックの短手方向から所定のアジマス角だけ傾けて磁気ヘッドとなるヘッドチップを切り出した状態を示す斜視図である。
【図11】切り出したヘッドチップの巻き線溝により形成される穴にワイヤを挿通した状態を示す斜視図である。
【図12】本発明を適用して形成した磁気ヘッドに線材を巻回した状態を示す斜視図である。
【図13】本発明を適用して形成した磁気ヘッドに線材を巻回した状態を示す横断面図である。
【図14】本発明を適用して形成した磁気ヘッドの他の構成例を示す斜視図である。
【図15】図14中のE−E’断面を示す横断面図である。
【図16】本発明を適用して形成した磁気ヘッドの一構成例を示す斜視図である。
【図17】図16中のF−F’断面を示す横断面図である。
【図18】従来の磁気ヘッドの一構成例を示す斜視図である。
【図19】従来の磁気ヘッドの一構成例を示す平面図である。
【符号の説明】
10 磁気ヘッド
11a,11b 磁気コア半体
12a,12b トラック幅制御溝
13a、13b 強磁性高透磁率金属膜
14a,14 巻き線溝
15 巻き線ガイド溝
16 角部
17 線材
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体に対して音声信号や映像信号、あるいはデータ信号等の情報信号を記録再生する磁気ヘッド及びその製造方法に関するものであり、特にコイルが巻回される巻き線溝を有する一対の磁気コア半体同士を突き合わせてなる磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁気テープ等を磁気記録媒体として用いているビデオテープレコーダ(VTR)、デジタルオーディオテープレコーダ(DAT)、あるいはデジタルデータ記録再生装置等は、磁気テープ等の記録トラック上に情報信号を磁気信号として書き込み、あるいは記録トラック上に記録されている情報信号を磁気信号として読み込む磁気ヘッドを備えている。
【0003】
この磁気ヘッドは、磁気コアとこの磁気コアに巻回された線材等の部材により構成されており、磁気コアには微小間隙である磁気ギャップが形成されている。そして、記録時には該線材に電流を流して磁気記録媒体に書き込みを行い、再生時には磁気記録媒体からの読み込まれた磁束パターンを、線材を通して増幅アンプへ電気信号として送る。
【0004】
図18は、従来の磁気ヘッドの一例を示す斜視図、図19は、その摺動面の拡大平面図である。この磁気ヘッド200は、ギャップ材を介して互いに突き合わされ、ガラス融着等により接合一体化された2つの磁気コア半体201a、201bで構成されている。各磁気コア半体201a、201bの接合面間の高抗磁力磁気記録媒体が摺動する摺動面200A寄りには、磁気記録媒体に対して情報信号を記録再生するための磁束を発生する磁気ギャップgが形成されている。
【0005】
そして、磁気ギャップgの両端部では、トラック幅方向に円弧状に形成されたトラック幅規制溝202a、202bによりトラック幅Twが規制されている。また、各磁気コア半体201a、201bの接合面近傍には、磁気ギャップgのデプスを規制すると共に線材を通すための巻き線溝203a、203bが形成されており、各接合面と対向する側面には、線材を案内するための巻き線ガイド溝204a、204bが形成されている。
【0006】
また、現在、このような磁気ヘッドを用いた磁気記録再生においては、磁気記録媒体面積の有効活用として記録再生時のガードバンドをなくしたベタ記録が主流となり、一つの磁気記録パターンに対して大きな角度を付与することで高周波におけるクロストークを軽減するアジマス記録方式が用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなアジマス記録方式の用いる磁気ヘッドにおいては、ヘッドチップを作製した後、自動巻き線機等によって例えば銅線に有機系の絶縁膜を被覆した線材をヘッドチップに巻回する。巻き線を行う際は、巻き線溝に効率良く巻き線を行うためにヘッド上部方向に整列巻きを行う。ここで、巻き線溝を通った線材を巻き線ガイド溝に這わせる際、巻き線位置を修正するために巻き線溝の縁に線材が擦りつけられてしまう。
【0008】
このとき、ヘッドチップの巻き線溝の縁が鋭いエッジ部とされていると、線材の絶縁膜が巻き線溝の縁により破損し、線材におけるリーク不良の原因となってしまう。また、破損が激しい場合には線材の芯線までも破損、切断され、断線不良が発生する場合もある。そして、アジマス記録方式の場合、磁気ヘッドの巻き線溝の縁の一方は鋭く尖った鋭角とされているため、通常の磁気ヘッドよりも線材がより破損しやすいという問題がある。
【0009】
また、近年、映像の高画質化等を目的として、あるいは記憶容量の大容量化を目的として、情報信号の波長をより短くしてより多くの情報信号が記録再生可能な高密度磁気記録方法が採られている。このため、磁気記録媒体の磁性層に用いられる磁性粉として強磁性金属粉末をベースフィルム上に塗布したメタルテープや、強磁性金属材料をベースフィルム上に直接蒸着した蒸着テープ等の高抗磁力磁気記録媒体が使用されている。
【0010】
そして、このような高抗磁力磁気記録媒体に対して情報信号を良好に記録再生するために、高透磁率かつ高飽和磁束密度を持つ金属系磁性材料、例えば鉄系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−コバルト系合金等で成る磁気コアを有する積層型磁気ヘッド、あるいは例えばMnZnフェライトで成る磁気コアを有するフェライト磁気ヘッド、あるいは例えばMnZnフェライトで成る磁気コアを有し、高透磁率かつ高飽和磁束密度を持つ金属系磁性膜を磁気ギャップに配したMIG(メタルインギャップ)型磁気ヘッド等が使用されている。
【0011】
しかしながら、このような磁気ヘッドでは、加工したフェライトコア自体よりもさらに鋭い金属系磁性膜により線材が破損し易くなっている。
【0012】
また、一方で、磁気記録及び再生の効率をさらに向上させるべく磁気ヘッドの回路上で磁束が流れる長さを極力短くすることでロスを減少させた磁気ヘッドが検討されている。このような磁気ヘッドでは、巻き線を施す穴面積が非常に小さくなるため、線材の巻き線数を減少させないために線材の外径を小さくしなければならず、線材の芯線はより細く、また、絶縁膜はより薄くする傾向にある。このため、線材はさらに破損しやすくなる傾向にある。
【0013】
したがって、本発明は上述した従来の実情に鑑みて創案されたものであり、線材の破損に起因したリーク不良や断線不良が防止され、生産性及び信頼性に優れた磁気ヘッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成する本発明に係る磁気ヘッドは、少なくとも一方が巻き線溝を有する一対の磁気コア半体が磁気ギャップを介して突き合わされてなり、磁気ギャップは、所定のアジマス角を有するとともに巻き線溝の少なくとも鋭角の角部が研磨処理されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、以上の目的を達成する本発明に係る磁気ヘッドの製造方法は、少なくとも一方に巻き線溝が形成された一対の磁気コア半体を磁気ギャップ介して突き合わせて接合した後、磁気ギャップが所定のアジマス角を有するように切断し、さらに上記巻き線溝の少なくとも鋭角の角部に対して研磨処理を施すことを特徴とするものである。
【0016】
以上のように構成された本発明に係る磁気ヘッドにおいては、巻き線溝の少なくとも鋭角の角部が研磨処理されているため、磁気ヘッドに巻回された線材が巻き線溝の鋭角の角部によって破損することが防止されている。すなわち、本発明に係る磁気ヘッド及び磁気ヘッドの製造方法では、少なくとも所定の角度のアジマス角を設けることによって形成される巻き線溝の鋭角の角部が研磨処理され、該角部の鋭く尖った鋭角部分が除去され、なだらかな形状とされる。
【0017】
これにより、磁気ヘッドの製造時に磁気コア半体の周りに線材を巻回する際、線材位置を修正するために線材が巻き線溝の縁に擦りつけられても、線材を被覆している絶縁膜や線材の芯線が巻き線溝の角部により破損することを防止することができる。そして、線材の絶縁膜が該角部により破損することを大幅に減少させることができるため、従来の磁気ヘッドにおいて生じていた線材の絶縁膜の破損に起因したリーク不良の発生を大幅に低減させることができる。また、該角部による線材の芯線の破損も防止することができるため、断線不良の発生を大幅に低減させることができ、従来の磁気ヘッドにおいて生じていた問題を解消することができる。
【0018】
したがって、本発明に係る磁気ヘッド及び磁気ヘッドの製造方法によれば、磁気ヘッドの製造歩留まりを大幅に向上させることができ、また、信頼性の高い磁気ヘッドを実現することが可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0020】
図1は、本発明を適用して構成したMIG型磁気ヘッド10(以下、単に磁気ヘッド10と呼ぶ。)の一構成例を示す斜視図である。また、図2は、図1中のA−A’断面を示す横断面図である。この磁気ヘッド10は、磁気ギャップgが形成されている摺動面10cを有する磁気コアからなり、摺動面10c上を摺動するテープ状磁気記録媒体に対してアジマス記録方式で情報信号を記録再生する磁気ヘッドである。このような磁気ヘッド10は、ギャップ材を介して互いに突き合わされ、ガラス融着あるいは貴金属同士の熱拡散による低温熱拡散接合等により接合一体化された2つの磁気コア半体11a、11bで構成されている。そして、各磁気コア半体11a、11bの接合面間の高抗磁力磁気記録媒体が摺動する摺動面10c寄りには、高抗磁力磁気記録媒体に対して情報信号を記録再生するための磁束を発生する磁気ギャップgが形成されている。
【0021】
また、磁気ヘッド10には、媒体摺動面10cの両側部に、それぞれ当たり幅規制溝10dが形成されている。磁気ヘッド10は、当たり幅規制溝10dが形成されていることにより、テープ状磁気記録媒体との当接状態が調整される。
【0022】
各磁気コア半体11a、11bは、例えばMn−Zn系フェライトやNi−Zn系フェライト等の酸化物軟磁性材から成り、各磁気コア半体11a、11bの接合面には、磁気ギャップgのトラック幅を規制するトラック幅規制溝12a、12bが、磁気ギャップgの両端縁近傍部からそれぞれトラック幅方向に亘って三角状に形成され、各磁気コア半体11a、11bの接合面及びトラック幅規制溝12a、12bの内面には、高磁束密度高透磁率材料からなる強磁性高透磁率金属膜13a、13bが成膜されている。
【0023】
そして、強磁性高透磁率金属膜13aと13bとの間にはギャップ材となる非磁性膜が成膜され、磁気ギャップgが形成されている。非磁性膜の材料としては、SiO2、Ta2O5等の酸化物、Si3N4等の窒化物、Cr、Al、Si、Pt、Au等の金属又はそれらの合金を用いることが好ましい。また、非磁性膜は、例えばCr/Au膜などのように、これらの金属材料よりなる金属膜を組み合わせた積層膜としてもよい。
【0024】
さらに、各磁気コア半体11a、11bの接合面には、磁気ギャップgのデプスを規制すると共に線材を通すための巻き線溝14a、14bが形成されており、各磁気コア半体11a、11bの接合面と反対側の側面には、線材を案内するための巻き線ガイド溝15a、15bが、側面形状を略矩形状として形成されている。なお、巻き線溝14a、14bは、一方の磁気コア半体のみに形成されていても良い。
【0025】
ここで、強磁性高透磁率金属膜13a、13bは、高透磁率かつ高飽和磁束密度を持つ金属系磁性材料、例えば鉄系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−コバルト系合金等の金属材料からなり、各磁気コア半体11a、11bの接合面及び巻き線溝14a、14b内を含む全面に成膜されている。強磁性高透磁率金属膜13a、13bは結晶質、非晶質であるかを問わず従来公知の物がいずれも使用できる。具体的には、強磁性高透磁率金属膜13a、13bを形成する材料としては、例えば、Fe−Al−Si合金、Fe−Ni−Al−Si合金、Fe−Ga−Si合金、Fe−Al−Ge合金、又はこれらの合金に8原子%以下程度の不純物を添加した結晶質材料を用いることができる。添加する不純物としては、例えば、Co、Ti、Cr、Nb、Mo、Ta、Ru、Au、Pd、N、C、Oから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
【0026】
また、強磁性高透磁率金属膜13a、13bを形成する具体的な材料としては、例えば、Coを主材料として、Zr、Ta、Ti、Hf、Mo、Nb、Au、Pd、Ruから選ばれる少なくとも1種を添加して構成されたアモルファス材料を用いることができる。また、Co及びFeを主材料として、Ni、Zr、Ta、Ti、Hf、Mo、Nb、Si、Al、B、Ga、Ge、Cu、Sn、Ru、Bから選ばれる少なくとも1種と、N、C、Oから選ばれる少なくとも1種とを添加して構成された微結晶材料を用いることができる。
【0027】
さらに、強磁性高透磁率金属膜13a、13bは、ヘッド効率を向上させる目的で、絶縁体膜を介して成膜されても良い。この縁体膜としては、例えばSiO2 、AlO3 、SiN4 等の酸化物や窒化物等の電気的絶縁材が挙げられる。強磁性高透磁率金属膜13a、13bの成膜方法としては、膜厚制御性に優れる装置によるスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム法等に代表される真空薄膜形成技術を採用することができる。なお、強磁性高透磁率金属膜13a、13bは、巻き線溝14a、14b内の少なくとも一部の面に成膜されていても良い。
【0028】
そして、磁気ヘッド10においては、巻き線溝14a,14bの縁の角部のうち、少なくとも鋭角の角部、正確には本来は鋭角である角部に研磨処理が施されることにより鋭く尖った鋭角部分が除去され、図2に示すようになだらかな形状を有する鈍角の角部16a,16bとされている。
【0029】
図3及び図4に従来のアジマス記録方式の磁気ヘッド101を示す。なお、図4は、図3中のB−B’断面を示す横断面図である。このような従来のアジマス記録方式の磁気ヘッド101では、図4に示すように各磁気コア半体111a、111bにおいて、巻き線溝114a,114bの縁の一方の角部が鋭角に鋭く尖っている。そして、巻き線溝114a,114bに這わせるようにして磁気コア半体111a、111bの周りにそれぞれ例えば銅芯を有機系絶縁膜で被覆した線材117a,117bが図5に示すように巻回されるわけであるが、巻き線を行う際は巻き線溝114a,114bに効率良く巻き線を行うためにヘッド上部方向に整列巻きを行う。そして、巻き線溝114a,114bを通った線材117a,117bを巻き線ガイド溝115a,115bに這わせる際、線材位置を修正するために巻き線溝114a,114bの縁に線材117a,117bが擦りつけられてしまう。
【0030】
ここで、従来の磁気ヘッド101では、磁気コア半体111a,111bの巻き線溝114a,114bの縁の鋭角の角部116a,116bが鋭く尖った状態とされているため、線材117a,117bは、その周りを被覆している絶縁膜が巻き線溝114a,114bの鋭角の角部116a,116bにより破損してしまう。そして、線材117a,117bが破損した場合、破損部から電流のリークが生じ、リーク不良となってしまう。また、場合によっては絶縁膜だけではなく、線材117a,117bの芯線まで破損してしまい、破損がひどい場合には線材が切断され、断線不良が生じてしまう。
【0031】
このようなリーク不良の発生率は、アジマス角が大きくなるに従って、すなわち鋭角の角部の角度が小さくなるに従って顕著となり、また、磁気ヘッド101のように強磁性高透磁率金属膜113a,113bを配して磁気コア半体を構成する場合には、強磁性高透磁率金属膜が刃物のように鋭く、より線材を破損しやすくなる。また、強磁性高透磁率金属膜の材料の選択によってもさらに線材117a,117bを破損しやすくなり、該角部116a,116bにおいて線材117a,117bが損傷し、リーク不良および断線不良が頻発してしまう。したがって、従来の磁気ヘッド101においては、製造途中における線材117a,117bの破損により製品化できないものが発生して製品歩留まりが著しく低下してしまい、また、磁気ヘッドの信頼性においても問題が生じる場合がある。
【0032】
また、最近では、磁気記録及び再生の効率をさらに向上させるべく磁気ヘッドの回路上で磁束が流れる長さを極力短くすることでロスを減少させた磁気ヘッドが検討されているが、このような磁気ヘッドでは、巻き線を施す穴面積が非常に小さくなるため、線材の巻き線数を減少させないために線材の外径を小さくしなければならず、線材の芯線はより細く、また、絶縁膜はより薄くする傾向にある。このため、巻き線溝114a,114bの縁の鋭角の角部116a,116bが鋭く尖った状態にあると、線材はさらに破損しやすくなる。
【0033】
しかしながら、本発明を適用した磁気ヘッド10においては、図2に示すように鋭角の角部を構成する高透磁率金属薄膜13a、13bが研磨処理され、さらに磁気コア半体の母材である酸化物軟磁性材も研磨処理されうことにより鋭く尖った鋭角部分が除去され、該角部が鈍角を有するなだらかな形状とされている。そして、この状態で図6に示すように磁気コア半体11a,11bの周りに線材17a,17bが巻回される。
【0034】
これにより、磁気ヘッド10においては、磁気コア半体11a、11bの周りに線材17a,17bを巻回する際、線材位置を修正するために巻き線溝14a,14bの縁に線材17a,17bが擦りつけられても、角部16a,16bにより線材17a、17bが破損することを防止することができる。すなわち、線材17a,17bの絶縁膜が角部16a,16bにより破損することを大幅に減少させることができるため、上述したような従来の磁気ヘッドにおいて生じていた線材の絶縁膜の破損に起因したリーク不良の発生を大幅に低減させることができる。また、当然、角部16a,16bによる線材の芯線の破損も防止することができるため、断線不良の発生を大幅に低減させることができ、従来の磁気ヘッドにおいて生じていた問題が解消される。
【0035】
そして、巻き線溝14a,14bには、例えば直径が0.048mm(芯線の直径0.03mm、絶縁膜厚み0.009mm)の線材や、細いものでは直径が0.028mm(芯線の直径0.02mm、絶縁膜厚み0.004mm)の線材などが例えば26〜28ターン巻回されるが、このような非常に細く、しかも絶縁膜厚みの薄い線材を巻回した場合においても、リーク不良や断線不良を発生させることなく、良好な状態で線材を整然と巻回することができる。その結果、磁気ヘッド10では、このような構成を有することによりリーク不良の発生を1%以下程度の極めて低い発生率に抑制することが可能である。
【0036】
したがって、磁気ヘッド10では、巻き線溝14a,14bの鋭角の角部に研磨処理が施され、該角部が鈍角を有するなだらかな形状とされているため、線材17a、17bの破損を防止することができる。その結果、リーク不良や断線不良の発生が大幅に低減され、高品質で信頼性に優れた磁気ヘッドが実現されている。また、リーク不良や断線不良の発生が大幅に低減されるため、製造歩留まりを大幅に向上させることができ、生産性に優れた磁気ヘッドが実現されている。
【0037】
ここで、該角部の形状は特に限定されるものではなく、角部16a,16bの形状は曲面でも良く、また、一部に平面を有するような形状とされても良い。すなわち、上述したように線材位置を修正するために巻き線溝14a,14bの縁に線材17a,17bが擦りつけられた際に、線材17a,17bの絶縁膜が該角部により破損することがない程度の形状とされればよく、角部16a,16bの角度も特に限定されるものではない。しかしながら、より確実に線材17a、17bの破損を防止するためには、該角部の角度は大きいことが好ましく、鈍角とされることが好ましい。
【0038】
また、上記においては、巻き線溝14a,14bの縁の鋭角の角部のみが研磨処理され、該角部がなだらかな形状とされている場合について説明しているが、巻き線溝14a,14bの縁の他方の角部、すなわち鈍角の角部も同様に研磨処理が施され、さらになだらかな形状とされても良い。巻き線溝14a,14bの縁の他方の角部、すなわち鈍角の角部にも研磨処理が施され、さらになだらかな形状とされることにより、線材の破損防止の効果をより高めることができ、より効果的に上述したリーク不良や断線不良の発生を防止することができる。
【0039】
次に、以上のように構成された磁気ヘッド10の製造方法について図7〜図13を参照しながら説明する。
【0040】
先ず、例えばMn−Zn系フェライトの酸化物軟磁性材からなり、略直方体形状を呈する磁気コア半体11a、11bとなる2つの磁気コア半体ブロック11を、研削水を用いた砥石加工により作製する。続いて、図7に示すように各磁気コア半体ブロック11の長手方向に磁気ギャップgのギャップデプスを規制し、線材を巻回するための巻き線溝14a、14bとなる溝14を研削水を用いた砥石加工によりそれぞれ形成する。
【0041】
次に、各磁気コア半体ブロック11の短手方向にトラック幅規制溝12a、12bとなる溝12を研削水を用いた砥石加工により形成する。そして、各磁気コア半体ブロック11の溝形成面を研磨加工により表面粗度が例えば20Å〜100Å程度になるように鏡面研磨した後、図8に示すように鉄系合金の強磁性高透磁率金属膜13a、13bをスパッタリング法により成膜する。その後、ギャップ材としてSiO2を成膜する。なお、強磁性高透磁率金属膜13a、13bの成膜方法としては、スパッタリング法に限られることはなく、膜厚制御性に優れる真空蒸着法、イオンプレーティング法、クラスタ・イオンビーム法等に代表される真空薄膜形成技術を採用することができる。
【0042】
次に、図9に示すように各磁気コア半体ブロック11を互いに突き合わせ、ガラス18を用いたガラス融着により接合一体化して磁気コアブロック1とする。これにより、磁気ギャップgが形成される。
【0043】
次に、磁気コアブロック1の磁気ギャップgの形成面を円筒研削加工により所定のデプス深さまで曲率を持たせてラッピングして摺動面10cとし、摺動面10cが所定の当たり幅C−Dを有するように幅加工を施して当たり幅規制溝10dを形成する。なお、摺動面形成のラッピングは、ヘッドチップ完成時に行っても良い。
【0044】
そして、磁気コアブロック1の長手方向に巻き線ガイド溝15a、15bとなる溝15を、研削水を用いた砥石加工によりそれぞれ形成する。その後、図10に示すように所定のチップ厚、チップ長となるように、磁気コアブロック1の短手方向から所定のアジマス角だけ傾けて磁気ヘッド10となるヘッドチップ10’を切り出す。
【0045】
次に、図11に示すように切り出したヘッドチップ10’の巻き線溝14a,14bにより形成される穴に例えばダイヤモンド砥石を電着等により固着させたワイヤ21を挿通する。そして、この状態で超音波洗浄を行うとワイヤ21が巻き線溝14内で細かく振動する。このとき、ワイヤ21には研磨材が固着されているため、巻き線溝14内の角部の研磨処理が行われる。これにより、少なくとも巻き線溝14の鋭角の角部、すなわち従来の磁気ヘッドにおける鋭角の角部116a,116bに研磨処理を施すことができ、鋭く尖った鋭角部分を除去して該角部をなだらかな形状とすることができる。また、同時に超音波洗浄によりヘッドチップの洗浄が行われ、図1及び図2に示すような磁気ヘッド10が完成する。
【0046】
これにより、図12および図13に示すように磁気ヘッド10の巻き線溝14の周囲にリーク不良や断線不良の発生させることなく線材17a,bを巻回することが可能であり、高品質で信頼性に優れた磁気ヘッドを効率良く製造することができる。
【0047】
ここで、ワイヤ21の直径は特に限定されるものではなく、巻き線溝14a,14bにより形成される穴にスムーズに挿通でき、確実に研磨処理が行える程度の大きさであればよい。したがって、巻き線溝14a,14bにより形成される穴の大きさにより適宜選択すれば良く、例えば0.15mm〜0.2mmとすることができる。
【0048】
また、ワイヤに固着する研磨材としては、特に限定されず、磁気コア半体ブロック11や強磁性高透磁率金属膜13a、13bの材質や硬度により選択することができ、例えばダイヤモンド砥石などを用いることができる。また、研磨材の大きさも特に限定されず、例えば10μm〜15μm程度のものを用いることができる。
【0049】
なお、研磨処理時間も特に限定されるものではなく、磁気コア半体ブロック11や強磁性高透磁率金属膜13a、13bの材質や硬度、超音波の強度などの諸条件によって、確実に研磨処理が施せる時間に適宜設定すれば良い。
【0050】
また、上記の操作においては、巻き線溝14a,14bの縁の鋭角の角部だけでなく、巻き線溝14a,14bの縁の他方の角部、すなわち鈍角の角部も多少の研磨処理が施され、該角部がなだらかな形状とされる。そして、本発明においては、巻き線溝14a,14bの縁の他方の角部、すなわち鈍角の角部がなだらかな形状となることにより、線材の破損防止の効果をより高めることができ、より効果的に本発明の効果を得ることができる。したがって、本発明においては、巻き線溝14a,14bの縁の鋭角の角部だけでなく、巻き線溝14a,14bの縁の他方の角部、すなわち鈍角の角部においても積極的に研磨処理を施すことが好ましい。
【0051】
また、上記においては、研磨処理と超音波洗浄とを同時に行う場合について説明しているが、研磨処理と超音波洗浄とは必ずしも同一工程で行う必要はなく、研磨処理と超音波洗浄とを別工程としても構わない。
【0052】
ところで、本発明は上述した構成に限定されるものではなく、ヘッドチップ形成後に巻き線溝に線材を巻回する磁気ヘッド全般に適用可能である。以下に、本発明を適用して構成した磁気ヘッドの他の例について説明する。
【0053】
図14は、本発明を適用して構成した磁気ヘッド20の他の構成例を示す斜視図である。この磁気ヘッド20は、磁気ギャップgが形成されている摺動面20cを有する磁気コアからなり、摺動面20c上を摺動するテープ状磁気記録媒体に対してアジマス記録方式で情報信号を記録再生する磁気ヘッドである。
【0054】
磁気ヘッド20は、図14に示すように、一対の磁気コア半体21a,21bが突き合わされて接合一体化されてなり、その一側面が、磁気記録媒体が摺動する摺動面20cとされている。この摺動面20cは、所定の曲率で形成されている。一対の磁気コア半体21a,21bは、それぞれ、非磁性材料を主成分とする一対のベース材22によって、磁気コアを構成する金属磁性膜23を挟み込んでなる構成とされている。
【0055】
また、磁気ヘッド20は、一対の磁気コア半体21a,21bの突き合わせ面に、磁気ギャップを構成する非磁性膜24が形成されている。さらに、一対の磁気コア半体21a,21bの突き合わせ面には、磁気ギャップのデプスを規制するとともに、線材(図示せず。)を巻回するための巻線溝25a,25bが形成されている。巻線溝25a,25bには、摺動面20c側の端部に、一対の磁気コア半体21a,21bの接合強度を向上する目的で、低融点ガラス26が充填されている。
【0056】
また、一対の磁気コア半体21a,21bには、それぞれ摺動面20cの端部となる一側に、所定の幅及び深さで巻き線ガイド溝27a,27bが形成されている。巻き線ガイド溝27a,27bは、磁気ヘッド20に巻回される線材のガイドとしての機能を有している。
【0057】
また、磁気ヘッド20には、摺動面20cの両側部に、それぞれ当たり幅規制溝20dが形成されている。磁気ヘッド20は、当たり幅規制溝20dが形成されていることにより、磁気記録媒体との当接状態が調整されている。
【0058】
ベース材22は、その材料を特に限定されるものではないが、Ca,Ti,Niを主成分とするセラミックス材料により形成することができる。これにより、ヘッド効率及び耐摩耗性を向上することができる。具体的には、例えば、CaO:15〜45mol%、TiO2:40〜80mol%、NiO:5〜30mol%なる組成を有するセラミックス材料により形成することができる。これにより、ベース材22は、金属磁性膜23と略同等の熱膨張係数を有するとともに、磁気記録媒体に対する摩耗量と偏摩耗量とのバランスに優れたものとなる。
【0059】
金属磁性膜23は、複数の金属磁性層が、絶縁層を介して積層されてなる。これにより、磁気ヘッド20は、金属磁性膜23、すなわち磁気コアでの渦電流損失を低減することができ、高周波帯域での高出力化を実現することができる。
【0060】
金属磁性層を形成する材料としては、例えば、Fe−Al−Si合金、Fe−Ni−Al−Si合金、Fe−Ga−Si合金、Fe−Al−Ge合金、又はこれらの合金に8原子%以下程度の不純物を添加した結晶質材料を用いることができる。添加する不純物としては、例えば、Co、Ti、Cr、Nb、Mo、Ta、Ru、Au、Pd、N、C、Oから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
【0061】
また、金属磁性層を形成する材料としては、例えば、Coを主材料として、Zr、Ta、Ti、Hf、Mo、Nb、Au、Pd、Ruから選ばれる少なくとも1種を添加して構成されたアモルファス材料を用いることができる。また、Co及びFeを主材料として、Ni、Zr、Ta、Ti、Hf、Mo、Nb、Si、Al、B、Ga、Ge、Cu、Sn、Ru、Bから選ばれる少なくとも1種と、N、C、Oから選ばれる少なくとも1種とを添加して構成された微結晶材料を用いることができる。
【0062】
絶縁層を形成する材料としては、電気絶縁性を示す材料であれば特に限定されるものではないが、例えば、SiO2、Al2O3、Si3N4などのような酸化物や窒化物を用いることができる。
【0063】
そして、磁気ヘッド20においても、巻き線溝25a,25bの縁の角部のうち、少なくとも鋭角の角部、正確には本来は鋭角である角部に研磨処理が施され、鋭く尖った鋭角部分が除去され、図15に示すように該角部がなだらかな形状を有する角部33a,33bとされている。なお、図15は、図14中のE−E’断面を示す横断面図である。そして、この状態で磁気コア半体21a,21bの周りに線材が巻回される。
【0064】
これにより、磁気ヘッド20においては、磁気コア半体21a,21bの周りに線材を巻回する際、線材位置を修正するために巻き線溝25a,25bの縁に線材が擦りつけられても、角部33a,33bにより線材が破損することを防止することができる。そして、線材の絶縁膜が角部33a,33bにより破損することを大幅に減少させることができるため、従来の磁気ヘッドにおいて生じていた線材の絶縁膜の破損に起因したリーク不良の発生を大幅に低減させることができる。また、当然、角部33a,33bによる線材の芯線の破損も防止することができるため、断線不良の発生を大幅に低減させることができ、従来の磁気ヘッドにおいて生じていた問題が解消される。
【0065】
その結果、非常に細く、しかも絶縁膜厚みの薄い線材を巻回した場合においても、リーク不良や断線不良を発生させることなく、良好な状態で線材を整然と巻回することが可能であり、リーク不良および断線不良の発生を1%以下程度の極めて低い発生率に抑制することが可能である。
【0066】
したがって、磁気ヘッド20においては、巻き線溝25a,25bの鋭角の角部に研磨処理が施され、該角部がなだらかな形状とされているため、線材の破損を防止することができる。その結果、リーク不良や断線不良の発生が大幅に低減され、高品質で信頼性に優れた磁気ヘッドが実現されている。また、リーク不良や断線不良の発生が大幅に低減されるため、製造歩留まりを大幅に向上させることができ、生産性に優れた磁気ヘッドが実現されている。
【0067】
つぎに、本発明を適用して構成した磁気ヘッドのさらに他の構成例を図16に示す。図16に示す磁気ヘッドは40、前述の磁気ヘッド10の変形例であり、磁気ヘッド10の構成において、磁気コア半体11aと磁気コア半体11bとの対向面の全面ではなく、一部に強磁性高透磁率金属膜41a,41bを形成したものである。すなわち、磁気ヘッド40は、図16に示すように磁気コア半体11a、11bには、その巻き線溝14a,14bのフロント斜面部に強磁性高透磁率金属膜41a,41bを形成した構成とされている。なお、磁気ヘッド40が磁気ヘッド10と異なる点は、上述した強磁性高透磁率金属膜41a,41bのみであるため、磁気ヘッド10と同様の部分については同じ符号を付すことで詳細な説明は省略する。
【0068】
そして、この磁気ヘッド40においても、巻き線溝14a,14bの縁の角部のうち、少なくとも鋭角の角部、正確には本来は鋭角である角部に研磨処理が施され、鋭く尖った鋭角部分が除去され、図17に示すように該角部がなだらかな形状を有する角部42a,42bとされている。なお、図17は、図16中のF−F’断面を示す横断面図である。そして、この状態で磁気コア半体11a,11bの周りに線材が巻回される。
【0069】
これにより、磁気ヘッド40においては、磁気コア半体11a,11bの周りに線材を巻回する際、線材位置を修正するために巻き線溝14a,14bの縁に線材が擦りつけられても、角部42a,42bにより線材が破損することを防止することができる。そして、線材の絶縁膜が角部42a,42bにより破損することを大幅に減少させることができるため、従来の磁気ヘッドにおいて生じていた線材の絶縁膜の破損に起因したリーク不良の発生を大幅に低減させることができる。また、当然、角部42a,42bによる線材の芯線の破損も防止することができるため、断線不良の発生を大幅に低減させることができ、従来の磁気ヘッドにおいて生じていた問題が解消される。
【0070】
その結果、非常に細く、しかも絶縁膜厚みの薄い線材を巻回した場合においても、リーク不良や断線不良を発生させることなく、良好な状態で線材を整然と巻回することが可能であり、リーク不良の発生を1%以下程度の極めて低い発生率に抑制することが可能である。
【0071】
したがって、磁気ヘッド40においても、巻き線溝14a,14bの鋭角の角部に研磨処理が施され、該角部がなだらかな形状とされているため、上述した磁気ヘッド10や磁気ヘッド20と同様に線材の破損を防止することができる。その結果、リーク不良や断線不良の発生が大幅に低減され、高品質で信頼性に優れた磁気ヘッドが実現されている。また、リーク不良や断線不良の発生が大幅に低減されるため、製造歩留まりを大幅に向上させることができ、生産性に優れた磁気ヘッドが実現されている。
【0072】
【発明の効果】
本発明に係る磁気ヘッドは、少なくとも一方が巻き線溝を有する一対の磁気コア半体が磁気ギャップを介して突き合わされてなり、上記磁気ギャップは、所定のアジマス角を有するとともに、上記巻き線溝の少なくとも鋭角の角部が研磨処理されてなるものである。
【0073】
また、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法は、少なくとも一方に巻き線溝が形成された一対の磁気コア半体を磁気ギャップ介して突き合わせて接合した後、磁気ギャップが所定のアジマス角を有するように切断し、さらに上記巻き線溝の少なくとも鋭角の角部に対して研磨処理を施すものである。
【0074】
以上のような本発明に係る磁気ヘッド及び磁気ヘッドの製造方法では、巻き線溝の少なくとも鋭角の角部が研磨処理されるため、磁気ヘッドに巻回された線材が巻き線溝の鋭角の角部によって破損することを防止することができる。これにより、磁気ヘッドにおける線材の破損に起因したリーク不良や断線不良の発生を防止することができる。
【0075】
したがって、本発明に係る磁気ヘッド及び磁気ヘッドの製造方法によれば、高品質で信頼性が高く、生産性に優れた磁気ヘッドを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用して形成した磁気ヘッドの一構成例を示す斜視図である。
【図2】図1中のA−A’断面を示す横断面図である。
【図3】従来の磁気ヘッドの一構成例を示す斜視図である。
【図4】図3中のB−B’断面を示す横断面図である。
【図5】従来の磁気ヘッドに線材を巻回した状態を示す横断面図である。
【図6】本発明を適用して形成した磁気ヘッドに線材を巻回した状態を示す横断面図である。
【図7】各磁気コア半体ブロックの長手方向に、巻き線溝となる溝を砥石加工により形成した状態を示す斜視図である。
【図8】強磁性高透磁率金属膜をスパッタリング法により成膜した状態を示す斜視図である。
【図9】各磁気コア半体ブロックを互いに突き合わせ、ガラス融着により接合一体化して磁気コアブロックとした状態を示す斜視図である。
【図10】磁気コアブロックの短手方向から所定のアジマス角だけ傾けて磁気ヘッドとなるヘッドチップを切り出した状態を示す斜視図である。
【図11】切り出したヘッドチップの巻き線溝により形成される穴にワイヤを挿通した状態を示す斜視図である。
【図12】本発明を適用して形成した磁気ヘッドに線材を巻回した状態を示す斜視図である。
【図13】本発明を適用して形成した磁気ヘッドに線材を巻回した状態を示す横断面図である。
【図14】本発明を適用して形成した磁気ヘッドの他の構成例を示す斜視図である。
【図15】図14中のE−E’断面を示す横断面図である。
【図16】本発明を適用して形成した磁気ヘッドの一構成例を示す斜視図である。
【図17】図16中のF−F’断面を示す横断面図である。
【図18】従来の磁気ヘッドの一構成例を示す斜視図である。
【図19】従来の磁気ヘッドの一構成例を示す平面図である。
【符号の説明】
10 磁気ヘッド
11a,11b 磁気コア半体
12a,12b トラック幅制御溝
13a、13b 強磁性高透磁率金属膜
14a,14 巻き線溝
15 巻き線ガイド溝
16 角部
17 線材
Claims (8)
- 少なくとも一方が巻き線溝を有する一対の磁気コア半体が磁気ギャップを介して突き合わされてなり、
上記磁気ギャップは、所定のアジマス角を有するとともに、上記巻き線溝の少なくとも鋭角の角部が研磨処理されていること
を特徴とする磁気ヘッド。 - 上記一対の磁気コア半体は、それぞれ磁性基板上に該磁性基板よりも高磁束密度高透磁率材料からなる金属磁性膜が形成されてなり、該一対の磁気コアが上記金属磁性膜を対向させて上記磁気ギャップを介して突き合わされてなること
を特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。 - 上記磁性基板がフェライト基板であること
を特徴とする請求項2記載の磁気ヘッド。 - 少なくとも一方に巻き線溝が形成された一対の磁気コア半体を磁気ギャップ介して突き合わせて接合した後、磁気ギャップが所定のアジマス角を有するように切断し、さらに上記巻き線溝の少なくとも鋭角の角部に対して研磨処理を施すこと
を特徴とする磁気ヘッドの製造方法。 - 上記巻き線溝に研磨材が固着されたワイヤを挿通した状態で超音波振動を加えて上記研磨処理を施すこと
を特徴とする請求項4記載の磁気ヘッドの製造方法。 - 上記研磨材がダイヤモンド砥石であること
を特徴とする請求項5記載の磁気ヘッドの製造方法。 - 上記研磨処理と超音波洗浄とを同時に行うこと
を特徴とする請求項4記載の磁気ヘッドの製造方法。 - 少なくとも一方に巻き線溝が形成された一対の磁性基板上に該磁性基板よりも高磁束密度高透磁率材料からなる金属磁性膜を形成して上記一対の磁気コア半体を形成した後、該一対の磁気コア半体を上記磁気ギャップを介して突き合わせて接合すること
を特徴とする請求項4記載の磁気ヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002180019A JP2004022150A (ja) | 2002-06-20 | 2002-06-20 | 磁気ヘッドおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002180019A JP2004022150A (ja) | 2002-06-20 | 2002-06-20 | 磁気ヘッドおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004022150A true JP2004022150A (ja) | 2004-01-22 |
Family
ID=31177275
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002180019A Pending JP2004022150A (ja) | 2002-06-20 | 2002-06-20 | 磁気ヘッドおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004022150A (ja) |
-
2002
- 2002-06-20 JP JP2002180019A patent/JP2004022150A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2004022150A (ja) | 磁気ヘッドおよびその製造方法 | |
JP2002312907A (ja) | 磁気ヘッドおよびその製造方法 | |
JPH08329409A (ja) | 磁気ヘッド | |
JP2000020910A (ja) | 磁気ヘッド | |
JP2512976B2 (ja) | 磁気ヘッド | |
JP2001028105A (ja) | 磁気ヘッド | |
JPH0192908A (ja) | 磁気ヘッド | |
JP3873984B2 (ja) | 磁気ヘッド | |
JPH0371405A (ja) | 複合磁気ヘッド | |
JPH11213319A (ja) | 磁気ヘッドの製造方法 | |
JPH0580724B2 (ja) | ||
JPS6238514A (ja) | 磁気ヘツド | |
JPH11238207A (ja) | 磁気ヘッドの製造方法及び磁気ヘッド | |
JP2000011314A (ja) | 磁気ヘッド及びその製造方法 | |
JP2003045005A (ja) | 磁気ヘッド | |
JP2000123314A (ja) | 磁気ヘッド及びその製造方法 | |
JPH10241111A (ja) | 磁気ヘッド | |
JP2001052303A (ja) | 磁気ヘッド | |
JPH07220221A (ja) | 磁気ヘッド | |
JPH0354707A (ja) | 複合型磁気ヘッド | |
JP2001093109A (ja) | 磁気ヘッド及びその製造方法 | |
JPH01138602A (ja) | 磁気ヘッド | |
JPH05114113A (ja) | 磁気ヘツド及びその製造方法 | |
JPH08315318A (ja) | 積層型磁気ヘッド及びその製造方法 | |
JP2007184031A (ja) | 磁気ヘッド |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20050411 |
|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20050420 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20071127 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20080422 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |