JP2004020083A - マイクロ燃焼加熱器 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型の燃焼加熱器を提供する。
【解決手段】燃焼室8に到る燃料と空気の混合ガスの流路10と、燃焼室から流出する燃焼ガスの流路11とを伝熱壁1を挟んで形成し、これらの流路10、11を燃焼室8を中心にして渦巻き状に配置してなり、少なくとも予混合ガスの流路10の幅は消炎距離以下であるマイクロ燃焼器12の一方の側面が加熱面13aになっている。半導体の加熱に使用される小型の電熱器の代用として使用することができる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は直径が1〜数cmの小型の燃焼加熱器に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体の製造などで、ガラス管の中に置かれた被加熱物を加熱する際に、ガラス管を囲んで多数の小型の加熱器を適宜の形のパネル状に形成するとともに、それらの加熱器の発熱量を個々に調整して、被加熱物の温度分布を調節することが行われる。燃焼による小型の加熱器は安定した燃焼を得ることが困難であり、半導体製造に使われる小型の加熱器には電熱器が使用される。
【0003】
一方、小型の燃焼器として、いわゆる、スイスロール型燃焼器が提案されており、以下、説明する。図5(A)は一次元カウンタフローの燃焼・熱交換器である。図において、1は伝熱壁、2は保温壁である。伝熱壁1は伝熱性のよい壁であり、保温壁2の伝熱性は伝熱壁1よりも悪いものであり、同じ材質である場合には、伝熱壁1は薄く、保温壁2は厚く作られている。
【0004】
3は燃料ガスと空気を予め混合させた予混合ガスの流れ方向を示す矢印であり、4は燃焼ガスの流れ方向を示す矢印である。6は予混合ガスの入口、7は燃焼ガスの出口である。予混合ガスの流れと燃焼ガスの流れは伝熱壁1を挟んで対向流となっており、予混合ガスは伝熱壁1を介して燃焼ガスにより加熱された後、燃焼室8で燃焼して火炎9が発生する。
【0005】
10は予混合ガスの流路、11は燃焼ガスの流路である。予混合ガスの流路10の幅は消炎距離以下になっていて、燃焼ガスにより高温に加熱されていても燃焼室8内の火炎9が流路10内を逆流することはない。なお、燃焼器の始動のため、燃焼室8には点火栓が設けてある。
【0006】
以下、消炎距離について簡単に説明する。一般に燃焼は空気中の酸素と燃料が反応して燃焼ガスになる発熱反応であるが、燃料がガス体だと酸素と反応して火炎になる。火炎は高温でラジカルとなった酸素ガスと燃料ガスが急激に反応して起こる現象であり、連鎖反応を起して急速に伝播する。しかし、ラジカルは固体壁に当たると失活するので、火炎は狭い固体壁の隙間を通ることができない。火炎の通れない限界の隙間の距離を消炎距離といい、予混合ガスの種類によって決まる燃焼速度に関係する距離である。図6は予混合ガスの燃焼速度と消炎径(円形流路の場合)との関係を示す表である。流路の形状が円形でない場合には、次のような相当径を求めればよい。
【0007】
相当径=細隙の断面積×4/細隙の周辺長の和
【0008】
図5(B)は上記一次元の燃焼器の流路を燃焼室8を中心に渦巻き状に配置した二次元の燃焼器で、スイスロール型燃焼器5と呼ばれものの断面図である。
【0009】
スイスロール型燃焼器5は、再生熱交換器であり、小型であっても熱損失が少なく、予混合ガスは燃焼前に予熱されるので、安定した燃焼が得られ、理論混合比(当量比)の1/3程度の稀薄予混合ガスでも燃焼が可能である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、現在使われている半導体加熱用の小型の加熱器は電熱器であるが、高価なエネルギーである電気エネルギーを熱エネルギーに変換して使用するので、経済的ではない。
【0011】
また、スイスロール型燃焼器5は燃焼器であって、加熱面を有し被加熱物を加熱面からの輻射熱で加熱することについては、何ら考えられていない。
【0012】
本発明は従来技術のかかる問題点に鑑み案出されたもので、小型でありながら安定した燃焼が得られるスイスロール型加熱器を利用し、その一方の側面に加熱面を形成したマイクロ燃焼加熱器を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のマイクロ燃焼加熱器は、燃焼室に到る燃料と空気の予混合ガスの流路と、燃焼室から流出する燃焼ガスの流路とを伝熱壁を挟んで形成し、これらの流路を燃焼室を中心にして渦巻き状に配置してなり、少なくとも予混合ガスの流路の幅は消炎距離以下であるマイクロ燃焼器の一方の側面が加熱面になっている。
【0014】
加熱器の形状は、円形でもよいし4角形など多角形であってもよい。
【0015】
次に本発明の作用を説明する。マイクロ燃焼器は燃焼室を中心に配置し、伝熱壁を挟んで燃焼室に到る予混合ガスの流路と、燃焼室からの燃焼ガスの流路とを渦巻き状に配置したので、予混合ガスの流れと燃焼ガスの流れは対向流であり、それらの間で十分な熱交換が行われる。したがって、燃焼室に入る予混合ガスは十分に予熱されていて、安定した燃焼が可能であるとともに、燃焼ガスが排出されるときには十分に温度が低下しているので、燃焼ガスの排出にともなう熱損失も少ない。予混合ガスの流路の幅は消炎距離以下になっているので、火炎が予混合ガス流路を逆流することはなく、安全性が高い。
【0016】
マイクロ燃焼器の一方の側面が加熱面となっていて加熱器を構成しているので、小型でありながら、熱効率がよく、安定していて電熱器の代替えとして使用することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本発明のマイクロ燃焼加熱器の図面であり、(A)は平断面図、(B)は中心線で切断した側断面図である。なお、これらの図面において、従来技術の説明に使用した図5と共通する部分には同一の符号を付しており、重複した説明は省略する。
【0018】
図において、1は伝熱壁、2は保温壁である。図に示すように、燃焼室8に到る空気と燃焼ガスの予混合ガスの流路10と、燃焼室8から流出する燃焼ガスの流路11とが伝熱壁1を挟んで形成されている。これらの流路10、11は燃焼室8を中心に渦巻き状に配置されている。なお、図では略円形として示されているが、正方形などであってもよい。予混合ガスの流路10の幅は、消炎距離以下になっている。燃焼室8とこれらの流路10、11によってマイクロ燃焼器12が構成される。なお、マイクロ燃焼器12は直径が1〜5cmの円形または1〜5cm角の正方形であるのが好ましい。
【0019】
マイクロ燃焼器12の上面に加熱板13が取り付けられ、下面に断熱板15が取り付けられている。加熱板13と、伝熱壁1および保温壁2の上端との間は、ニッケルろうなどの耐熱性のろう材でろう付けする。しかし、加熱板13と、伝熱壁1および保温壁2の上端との間は高い気密性は要求されないので、ろう材の耐熱性が及ばないような高温で使用する場合は、外周のみ耐熱合金で溶接し、内部は単に当接させるだけでもよい。
【0020】
マイクロ燃焼器12や加熱板13などには、SUS316やSUS310などの耐熱性のステンレス鋼やインコネルなどの耐熱合金が使用される。また、マイクロ燃焼器12は小型なので、むくの材料に流路10、11を削り出すようにして製作するのが好ましい。材質がステンレス鋼である場合には、伝熱壁1の厚さは0.3mm程度とし、保温壁2の厚さは1mm程度とするのが好ましい。
【0021】
図1(B)において、13aは加熱板13上面の加熱面であり、加熱面13aから放出される輻射熱により被加熱物を加熱する。16は加熱面13aの温度分布を示す曲線である。なお、図示していないが、燃焼室8には始動のための点火栓が設けられている。
【0022】
次に本実施形態の作用を説明する。マイクロ燃焼器12は燃焼室8を中心に配置し、燃焼室8に到る予混合ガスの流路10と、燃焼室8からの燃焼ガスの流路11とを伝熱壁1を挟んで渦巻き状に配置したので、予混合ガスの流れと燃焼ガスの流れは対向流であり、それらの間で十分な熱交換が行なわれる。したがって、燃焼室8に入る予混合ガスは十分に予熱されていて、安定した燃焼が可能であるとともに、燃焼ガスが排出されるときには十分に温度が低下しているので、燃焼ガスの排出に伴なう熱損失も少ない。予混合ガスの流路10の幅は消炎距離以下になっているので、火炎が予混合ガス流路10を逆流することはなく、安全性が高い。
【0023】
マイクロ燃焼器12の一方の側面が加熱面13aとなっていて加熱器14を構成しているので、小型でありながら、熱効率がよく、安定していて電熱器の代替えとして使用することができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明のマイクロ燃焼加熱器の実験を行なったので概略説明する。図2は実験に使用したマイクロ燃焼加熱器の平断面図である。使用したマイクロ燃焼加熱器の形状は、直径が50mm、流路は幅4mm、深さ6mm、壁厚は1mmであった。予混合ガスはメタンと空気との混合ガスで、当量比は0.6であった。
【0025】
図3は実験結果を示すグラフで、縦軸に熱流束(W)、横軸に温度(℃)をとっている。それぞれの線の意味は次の通りである。点線にX印を付けたものは燃焼により発生する熱量である。実線に□印を付けたものは輻射熱の熱量で、有効利用できる熱である。一点鎖線に■印を付けたものは加熱面13aにおける自然対流により、空気中に放出される伝熱損失である。鎖線に○印を付けたものは燃焼ガスの排気として外部に流出する熱損失である。
【0026】
図4は有効利用可能な熱と熱損失との割合を示すグラフであり、縦軸に全体に対する割合、横軸に温度(℃)をとっている。各線の意味は図3と同じである。
【0027】
これらのグラフからわかるように、加熱面13aの温度が700℃以上では燃焼により発生する熱量の65%が輻射熱として被加熱物の加熱のために有効利用できることがわかる。
【0028】
本発明は以上述べた実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のマイクロ燃焼加熱器は、燃焼室を中心にして予混合ガスの流路と燃焼ガスの流路を渦巻き状に配置し、それらの間で熱交換を行わせるようにしたので、小型でありながら熱効率や燃焼安定性がよい。また、マイクロ燃焼器の一方の側面に加熱面を形成したので、加熱面から放射される輻射熱により被加熱物を有効に加熱できるとともに、被加熱物の温度分布をこまかく調節することができるなどの優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロ燃焼加熱器の図面であり、(A)平断面図、(B)は中心線で切断した側断面図である。
【図2】実証テストに使用したマイクロ燃焼加熱器の平断面図である。
【図3】実験結果を示すグラフで、熱流束と温度との関係を示している。
【図4】実験結果を示すグラフで、有効熱量と損失熱量の割合と温度との関係を示している。
【図5】スイスロール型燃焼器の説明図である
【図6】予混合ガスの燃焼速度と消炎径との関係を示す表である。
【符号の説明】
1  伝熱壁
8  燃焼室
9  火炎
10  予混合ガスの流路
11  燃焼ガスの流路
13  加熱板
13a 加熱面

Claims (3)

  1. 燃焼室に到る燃料と空気の予混合ガスの流路と、燃焼室から流出する燃焼ガスの流路とを伝熱壁を挟んで形成し、これらの流路を燃焼室を中心にして渦巻き状に配置してなり、少なくとも予混合ガスの流路の幅は消炎距離以下であるマイクロ燃焼器の一方の側面が加熱面になっていることを特徴とするマイクロ燃焼加熱器。
  2. 加熱器の形状はほぼ円形である請求項1記載のマイクロ燃焼加熱器。
  3. 加熱器の形状は多角形である請求項1記載のマイクロ燃焼加熱器。
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