JP4106553B2 - マイクロコンバスタ - Google Patents
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Description
当該マイクロコンバスタは、直径が数cm程度の小型の燃焼加熱器であり、通常では火炎が伝ぱできない消炎距離よりも小さい隙間の中で燃焼させるものである。消炎距離程度の隙間たるマイクロチャネル内で燃焼を行わせる前に燃焼用空気や燃料と空気との予混合ガスを十分に予熱して燃焼を可能ならしめている。マイクロコンバスタには、燃焼の分類によって予混合燃焼方式によるものと、拡散燃焼方式によるものとが存在する。
ここで、上記拡散燃焼方式では、反応物質を予め混合する必要がないことを鑑み、一様な断面積を持つマイクロチャネル内の燃焼において、燃焼室に燃料を直接に供給するマイクロコンバスタのモデルが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
Weinberg,F.J、他3名,「On thermoelectric power conversion from heat re-circulating combustion systems」,第29回国際燃焼シンポジウム講演論文集,2002
ここで、上述の非特許文献1に記載された拡散燃焼方式を利用したマイクロコンバスタでは、空気は燃焼ガスの熱を用いて予熱することが可能である。しかしながら、上述の非特許文献1に記載されたマイクロコンバスタでは、燃料は燃焼室に直接に供給されている。すなわち、燃焼室には低温の燃料がそのまま供給されており、この燃料が空気と混合する際に混合気の温度は低下し、燃焼させても火炎の安定性が悪くなるとの問題がある。
また、このマイクロコンバスタでは、被加熱物の更なる加熱を図るべく、高負荷運転を実現することが要求されている。この場合には、燃焼室に供給される燃料ガスや空気の流速をより高めれば燃焼室で多くの燃料を燃やすことができ、マイクロチャネル内の燃焼の高負荷運転を達成できるとも考えられる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、マイクロチャネル内の拡散燃焼において、火炎の安定化を図ることができ、さらに上述の目的に加えて高負荷運転を行わせることができるマイクロコンバスタを提供することを目的とする。
さらに、請求項3記載の発明では、燃料供給部は、燃料予熱室の燃料を燃焼用酸化ガス流路に供給させる燃焼用酸化ガス流路供給孔をさらに有することを特徴としている。
また、請求項2記載の発明によれば、燃料予熱室の燃料導入口から外周壁に沿わせるように燃料を供給すると、燃料予熱室に渦流が形成され、伝熱板における熱伝達率が改善されて燃焼部の熱を伝熱板を介して極めて効率良く回収することができ、その分だけ燃料を高温に予熱させることができる。
図1乃至図3は、本実施形態のマイクロコンバスタ1を示す。当該マイクロコンバスタ1は、直径が数cm程度の円柱形をなす燃焼器本体(燃焼部)2の内部にマイクロチャネルが形成された、いわゆるスイスロール型の燃焼器である。当該スイスロール型とは、空気流路6と燃焼ガス流路8とが燃焼室4を中心にして渦巻き状に配置される形状を意味する。そして、当該マイクロコンバスタ1は、燃焼器本体2と、該燃焼器本体2の上面側に伝熱板12を介して並設される燃料供給部3とから構成される。
空気流路6は、燃焼器本体2の外周側から燃焼室4に向けて空気を送るための通路であり、上述した両側の伝熱壁10、伝熱板12、及び加熱板14とで区画されて渦巻き状に形成され、燃焼器本体2の外壁には、空気を導入するための空気導入口20が設けられている。なお、この空気の流速は、燃焼室4において拡散火炎の吹き飛び現象が生じない速度に設定されている。拡散燃焼方式でも燃焼伝ぱ速度の限界があるからである。
しかも、本発明においては、燃焼ガスKは、この所定の熱量を伝熱板12を介して燃料供給部3にも与えており、燃料予熱室5に貯留された燃料は、この熱を回収して加熱され、燃焼室供給孔11を介して燃焼室4に供給されるとともに、空気流路供給孔13を介して空気流路6に供給される。
次に本実施形態のマイクロコンバスタ1による作用をより具体的に説明する。
図4(a)は、従来の如く燃料を燃焼室に直接に供給する場合を示した図である。この場合には、空気Aについては、燃焼ガスKの温度によって予熱することが可能であるが、燃料Fは、燃焼室に直接に供給され、燃焼室には低温の燃料が供給されている。つまり、燃焼時の燃料Fの温度と空気Aの温度との平均温度が低くなり、火炎の安定性が悪くなってしまう。なお、図4(a)における燃料Fも図示しない加熱装置によって所望の温度に加熱することはできるが、別途加熱装置が必要になる。
また、燃焼室4に燃料ガスKが供給される量の一部が空気流路供給孔13を介して供給されるので、その分、燃焼室供給孔11を介して燃焼室4に供給される燃料量が減り、燃焼室供給孔11からの燃料吹き出し速度を低下させることができるので、吹き飛び現象の防止にも役立ち、換言すれば高負荷燃焼を可能にする。
このように、本実施形態の拡散燃焼方式を用いたマイクロコンバスタ1では、燃焼器本体2に燃料供給部3をアダプタのように接続し、容積の大きな中空の燃料予熱室5を有する燃料供給部3内の燃料が、燃焼器本体2からの熱を回収するとともに、複数の供給孔11、13から燃焼器本体2側に流入する如く燃焼室4への燃料供給方法を改良している。よって、供給される空気の他、供給される燃料も十分に予熱され、燃焼安定性を損なうことなく、拡散燃焼方式を用いたマイクロコンバスタを確実に実現することができる。
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
例えば、上記実施形態では、燃焼室供給孔11及び空気流路供給孔13による複数の供給孔から燃焼器本体2側に燃料を供給しているが、必ずしもこの実施形態に限定されるものではなく、例えば、燃焼室供給孔11のみを介して燃焼室4に予熱された燃料を供給するものであっても良く、この場合にも、燃焼安定性の良い拡散燃焼方式を用いたマイクロコンバスタを実現することができる。
さらに、燃料もメタンに限定されるものではなく、エタン、プロパン等のメタン系列、その他炭化水素ガスの全般に亘って適用可能である。なお、拡散燃焼自体を鑑みれば、気体燃料のみならず、各種アルコールやブタン等の液体燃料も適用可能であり、燃料予熱室5においてガス化させれば良い。
さらに、上記実施形態では、空気流路6と燃焼ガス流路8とが燃焼室4を中心にして円を描く如くの渦巻き状に配置されているが、この配置の他、4角形や6角形の多角形を描く如くの渦巻き状に配置されていても良く、この場合にも、燃焼安定性を損なうことなく、拡散燃焼を実現することができる。また、このような形状のマイクロコンバスタは、多数個を稠密に配列させることができ、被加熱物の加熱をより正確に制御することができる。
2 燃焼器本体(燃焼部)
3 燃料供給部
3a 外周壁
4 燃焼室
5 燃料予熱室
6 空気流路(燃焼用酸化ガス流路)
7 燃料導入口
8 燃焼ガス流路
10 伝熱壁
11 燃焼室供給孔
12 伝熱板
13 空気流路供給孔(燃焼用酸化ガス流路供給孔)
Claims (3)
- 燃料と燃焼用酸化ガスを拡散により混合させてマイクロチャネル内での燃焼を行う燃焼室、前記燃焼用酸化ガスを前記燃焼室に導入させる燃焼用酸化ガス流路、燃焼ガスを前記燃焼室から排出させる燃焼ガス流路、及び前記燃焼用酸化ガス流路と前記燃焼ガス流路との間に形成され、前記燃焼ガスの熱を回収して前記燃焼用酸化ガスを予熱させる伝熱壁を有し、前記燃焼用酸化ガス流路と前記燃焼ガス流路とが前記燃焼室を中心にして渦巻き状に配置されて前記マイクロチャネルが形成される燃焼部と、
前記燃焼部と伝熱板を介して並設され、前記燃焼部の熱を回収して前記燃料を予熱させる燃料予熱室、及び該燃料予熱室の燃料を前記燃焼室に供給させる燃焼室供給孔を有する燃料供給部と、
を備えることを特徴とするマイクロコンバスタ。 - 前記燃料予熱室は、該燃料予熱室の外周に沿って設けられた外周壁と、燃料を該外周壁に沿わせるように前記燃料予熱室に導入させるための燃料導入口とを備えることを特徴とする請求項1記載のマイクロコンバスタ。
- 前記燃料供給部は、前記燃料予熱室の燃料を前記燃焼用酸化ガス流路に供給させる燃焼用酸化ガス流路供給孔をさらに有することを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロコンバスタ。
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