JP2004019836A - 油圧式無段変速機及び動力伝達装置 - Google Patents

油圧式無段変速機及び動力伝達装置 Download PDF

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Hidekazu Nibu
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Abstract

【課題】第1及び第2油圧装置の各斜板を支持するスラスト・ラジアル兼用軸受の予圧付与を簡易に行うことができる油圧式無段変速機及び動力伝達装置を提供する。
【解決手段】油圧式無段変速機はプランジャ43とクレイドル45を有する第1油圧装置100と、プランジャ58と第1ヨーク部材23Aを有する第2油圧装置200を備える。プランジャ43、58がコイルスプリング43b、コイルスプリング58bによりクレイドル45、第1ヨーク部材23A(斜板)側へ付勢されるようにする。クレイドル45を入力軸21を支持する円錐コロ軸受39(第1スラスト・ラジアル兼用軸受)の外輪39aにて支持する。第1ヨーク部材23Aを入力軸21を支持する円錐コロ軸受31の外輪31aにて支持する。円錐コロ軸受39、31の内輪39b、31bを入力軸21の軸方向に固定する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業機械や車両等、各種の産業分野で広く利用可能な油圧式無段変速機及び動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、第1油圧装置と第2油圧装置とを組み合わせて、第1油圧装置と第2油圧装置に共通のシリンダブロックが回転する油圧式無段変速機が公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この様な装置においては、第1油圧装置の斜板及び第2油圧装置の斜板は、それぞれスラスト・ラジアル兼用軸受を介して、ケース等に支持されている。
【0004】
前記スラスト・ラジアル兼用軸受を好適に機能させるためには、所定の予圧を付与する必要がある。この予圧の付与は、従来は、シム調整によって行っている。しかし、このシム調整は、シムの枚数の増減で行うため、その調整作業が煩雑になる問題があった。
【0005】
本発明の目的は、第1及び第2油圧装置の各斜板を支持するスラスト・ラジアル兼用軸受の予圧付与を簡易に行うことができる油圧式無段変速機及び動力伝達装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1プランジャと第1プランジャが当接する斜板を有する第1油圧装置と、第2プランジャと第2プランジャが当接する斜板を有する第2油圧装置から成り、双方のプランジャを収納するプランジャ孔が共通のシリンダブロックに形成され、双方のプランジャ孔を結ぶ油圧閉回路がシリンダブロックに形成され、該回路内の作動油の流れ方向を切替える分配弁を収納する分配弁孔がシリンダブロックに形成され、シリンダブロックを貫通する軸を有し、当該軸とシリンダブロックが同期回転し、前記双方のプランジャ孔が各々前記軸と平行に形成され、前記第2油圧装置の斜板が前記軸の軸芯周りに回転自在に支持された油圧式無段変速機において、双方のプランジャが各々のプランジャ孔内に設けられたバネによって斜板側へ付勢され、第1油圧装置の斜板が前記軸を支持する第1スラスト・ラジアル兼用軸受の外輪にて支持され、第2油圧装置の斜板が前記軸を支持する第2スラスト・ラジアル兼用軸受の外輪にて支持され、第1及び第2スラスト・ラジアル兼用軸受の内輪が前記軸の軸方向に固定された油圧式無段変速機を要旨とするものである。
【0007】
請求項2の発明は請求項1において、第1スラスト・ラジアル兼用軸受の内輪側面に平行で且つ微小距離だけ離間した面を有する部材と、第2スラスト・ラジアル兼用軸受の内輪側面に平行で且つ微小距離だけ離間した面を有する部材を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1において、前記分配弁孔が前記軸と平行で且つプランジャ孔よりも軸側に形成され、前記プランジャ孔と分配弁孔を結ぶ油路が径方向に形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1において、前記分配弁孔が前記軸と平行で且つシリンダブロックを貫通して形成されたことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1において、前記油圧閉回路上で且つプランジャ孔よりも軸側に形成され、軸方向に並設された高圧油室と低圧油室を有し、前記シリンダブロックが前記軸とスプライン嵌合され、前記低圧油室が前記軸に形成されたスプライン部と連通することを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1において、第2油圧装置の斜板の外周面が、同斜板の斜板面に垂直な線を第1加工中心軸として切削され、回転中心軸である前記軸の中心線を加工中心軸として切削され、さらに、回転中心軸である前記軸の中心線に平行で、前記斜板面と反斜板面側の面の軸方向距離が狭まる側にオフセットした線を第2加工中心軸として切削されて形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1から6いずれか記載の油圧式無断速機と、前記軸への動力を伝達又は断切のいずれかを行う手段と、第2油圧装置の斜板の回転力を伝達し且つ第2油圧装置の斜板と同方向又は逆方向いずれかの回転を与える手段から成る動力伝達装置を要旨とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を作業機として作業用車両の走行用に使用される油圧式無段変速機(以下、無段変速機20という)と、同無段変速機20を含む動力伝達装置400に具体化した実施の形態を、図1〜図14に従って説明する。
【0013】
(動力伝達装置400)
図1に示すように無段変速機20は、作業用車両のパワーユニットのケース26内に収納されている。無段変速機20は、第1油圧装置100と、同第1油圧装置100との間に油圧閉回路C(図11及び図12参照)を形成する第2油圧装置200とから構成されている。
【0014】
図5は無段変速機20を含む動力伝達装置400を示す概念図である。無段変速機20の入力軸21はエンジン22のクランク軸にクラッチ機構300を介して連結され、出力側である後記するヨーク23には、ギヤシフト装置150(CST)が接続されている。前記クラッチ機構300は例えば図示しない足踏みのクラッチペダルに連動して断接するようになっている。
【0015】
ギヤシフト装置150は、同図に示すように図示しない終減速装置に駆動トルクを伝達する出力軸155に連結された前進クラッチ152、及び後進クラッチ153を備え、下記の歯車列を添えている。
【0016】
前進クラッチ152の駆動側クラッチプレートは、出力ギヤ24に噛合されたギヤ151を備えている。そして、シフトレバー146(図13参照)の操作により、前進クラッチ152が連結されると、ヨーク23、出力ギヤ24、ギヤ151、前進クラッチ152、出力軸155を介して、図示しない終減速装置に駆動トルクを伝達する。
【0017】
又、出力ギヤ24には、アイドラギヤ156、アイドラギヤ156と共通軸を有するアイドラギヤ157及び中間ギヤ159を介して後進クラッチ153の駆動側クラッチプレートに連結されたギヤ160からなる歯車列が連結されている。そして、シフトレバー146の後進側操作により、後進クラッチ153が連結されると、前記歯車列、出力軸155を介して、図示しない終減速装置に駆動トルクを伝達する。
【0018】
なお、本実施形態では、前記エンジン22が原動機、クラッチ機構300が断接手段、ギヤシフト装置150が正逆回転切替装置にそれぞれ相当する。
すなわち、クラッチ機構300が、「軸への動力を伝達又は断切のいずれかを行う手段」に相当する。又、ギヤシフト装置150が「第2油圧装置の斜板の回転力を伝達し且つ第2油圧装置の斜板と同方向又は逆方向いずれかの回転を与える手段」に相当する。
【0019】
(無段変速機20)
無段変速機20のケース26は、互いに対向する一対の支持側壁26a,26bを備えている。両支持側壁26a,26bには、取付孔27a,27bが貫通され、取付孔27a,27bには、側壁部材28、29がケース26外部から嵌合されている。そして、側壁部材28,29は、支持側壁26a,26bに対してボルトで締付け固定されている。
【0020】
無段変速機20の入力軸21は、その入力端側が、ケース26の側壁部材28に対して軸受部32を介して回転自在に支持されている。又、ケース26の側壁部材29には、出力回転部としてのヨーク23が、軸受部33を介して回動自在に支持されている。そして、入力軸21の出力端側は、ヨーク23と同軸上に位置するように、ヨーク23に対して軸受部10を介して回動自在に貫通されて支持されている。
【0021】
図2に示すように、側壁部材28は、その内側面中央から内方(図1において、左方)へ突出部28cが形成されている。又、側壁部材28は、突出部28c先端部、反シリンダブロック側側面において、一対の軸受収納孔34,35が同軸上に配置されるように並設されている。軸受収納孔35は、軸受収納孔34よりも内径が大きく形成されている。軸受収納孔34,35間には、軸受収納孔34よりも若干縮径した貫通孔36が軸受収納孔34、35と同軸となるように形成されている。軸受収納孔34にはラジアル軸受としてのニードルベアリング38が配置されている。又、軸受収納孔35には、スラスト・ラジアル兼用軸受としての円錐コロ軸受39が嵌合固定されている。
【0022】
そして、入力軸21の入力端側はニードルベアリング38及び円錐コロ軸受39を介して、側壁部材28に対して支持されている。又、軸受収納孔35の開口は、側壁部材28にボルト15aにて締付け固定されたカバー15にて覆われている。図2に示すようにカバー15の貫通孔15bにはシール部材25を介して入力軸21が貫通されている。
【0023】
側壁部材28は、ニードルベアリング38及び円錐コロ軸受39のハウジングであって、単一部材に相当する。
図2に示すように、円錐コロ軸受39の外輪39aは、軸受収納孔35の奥側の段部底面及び内周面に当接されている。
【0024】
そして、カバー15の貫通孔15b内において、入力軸21の入力端側外周にはナット40が螺合され、同ナット40は円錐コロ軸受39の内輪39bに当接されている。
【0025】
なお、入力軸21の入力端側において、円錐コロ軸受39の内輪39bに隣接するように拡径部21aが形成され、内輪39bの移動を規制する。
又、図1、図2に示すようにカバー15の貫通孔15bにおいて、ナット40を収納配置している部位の内径は、円錐コロ軸受39の内輪39bの最大外径(カバー15側の外径)よりも小さくされている。さらに、カバー15の内輪39b側側面は、相対する内輪39bの側面と平行になるように形成されるとともに、内輪39bに対して近接配置され、互いに当接可能な大きさにされている。
【0026】
本実施形態では、カバー15の内輪39b側側面と内輪39bとの離間距離は、微小距離とされている。この微小の離間距離により、シリンダブロック42が後述するクレイドル45、クレイドルホルダ91、側壁部材28を介して円錐コロ軸受39の外輪39aを押圧した際に、内輪39bがカバー15に最初に当接する距離とされている。この当接により、円錐コロ軸受39の外輪39aと内輪39b間の最大隙間を制限できるようにされている。
【0027】
円錐コロ軸受39及びニードルベアリング38により、軸受部32が構成されている。ニードルベアリング38はラジアル軸受に相当する。
軸受収納孔34の開口部には、軸受収納孔34よりも拡径された軸受取付段部34a(図2参照)が形成され、同軸受取付段部34aにはラジアルベアリング16が取付けされている。
【0028】
前記ラジアルベアリング16は外輪16aと内輪16bとを備えており、同外輪16aは軸受取付段部34aの拡径した段部底面及び周面に当接固定されている。図2に示すように、ラジアルベアリング16はその軸心が後記するシリンダブロック42の軸心Oに対して一定角度傾斜した状態に配置されており、その内輪16bは後記する第1切替弁66を所定タイミングで軸心O方向(以下、軸方向ということもある。)に摺動させるためのカムとされている。内輪16bの出力側側面はカム面17となっている。
【0029】
なお、シリンダブロック42の軸心Oは、シリンダブロック42と入力軸21と組み付けられた際には、入力軸21の軸心(中心線)と一致する。
(第1油圧装置100)
第1油圧装置100は、入力軸21と、シリンダブロック42、プランジャ43、及び前記プランジャ43に対して当接する斜板面44を含むクレイドル45とを備えている。プランジャ43は第1プランジャに相当する。
【0030】
側壁部材28の内側面には、略板状のクレイドルホルダ91がボルト92にて締め付け固定されている。クレイドルホルダ91には、側壁部材28側側面及びシリンダブロック42側側面を貫通する貫通孔91bが形成されている。貫通孔91bには前記側壁部材28の突出部28cが嵌合されている。クレイドル45の中央部には貫通孔45aが形成され、突出部28cが貫通されている。
【0031】
クレイドルホルダ91のシリンダブロック42側側面において、貫通孔91bの周縁部分には、支持面91cが断面円弧状に凹設されている。支持面91cには、ハーフベアリング91dを介してクレイドル45が傾動自在に支持されている。詳しく述べると、図2に示すように、前記クレイドル45はシリンダブロック42の軸心Oと直交するトラニオン軸線TRを中心として傾動自在である。すなわち、クレイドル45は、斜板面44を含む仮想平面が、軸心Oと直交する位置を直立位置とする。そして、この直立位置を基準にして、クレイドル45は図2において反時計回り方向に所定角度傾いた位置(第1の位置)と、直立位置を基準にして時計回り方向に所定角度傾いた位置(第2の位置)の間を傾動可能にされている。
【0032】
本実施形態では、斜板面44が直立位置に位置したときを基準に、この図2において、時計回り方向を正とし、反時計回り方向を負という。
そして、本実施形態では図14の出力回転数 Nout=Ninを境に、Nout>Ninの時に負側に傾動し、Nout<Ninの時に、正側に傾動する。なお、出力回転数とは、ヨーク23の回転数である。
【0033】
なお、図2に示された斜板面44は、クレイドル45が第1の位置に位置したときの負の最大傾動角度位置で傾動した状態を示している。又、クレイドル45が第2の位置に位置したときは、斜板面44については正の最大傾動角度位置という。
【0034】
クレイドル45は、第1油圧装置100(可変容量形油圧装置)の斜板に相当する。
シリンダブロック42は、入力軸21に対してスプライン嵌合により一体に連結されており、その入力端側の端部が入力軸21の係止フランジ46に係止されている。すなわち、入力軸21の周面には、軸心Oに平行でかつ入力軸21の周方向に並んだ複数のキー溝によりスプライン部21cが形成されている。同スプライン部21cに対してシリンダブロック42の内周面に形成された複数の溝が嵌合されている。
【0035】
前記シリンダブロック42は、略円筒状に形成され、軸長方向に位置する両端外周面は、中央部外周面よりも縮径されている。
図4に示すように、シリンダブロック42には、その回転中心(軸心O)の回りに複数の第1プランジャ孔47が環状に配列され、軸心Oと平行に延設されている。同第1プランジャ孔47は、シリンダブロック42の中央部の段部面においてクレイドル45側に開口が形成されている。
【0036】
各第1プランジャ孔47には、プランジャ43が摺動自在に配置されている。プランジャ43は略筒状に形成され、筒内はバネ収納孔43aが形成されている。バネ収納孔43aの内端側は係止段部43cが形成されている。バネ収納孔43a内には、係止段部43cに係止するバネ係止部材43d及びバネとしてのコイルスプリング43bが収納されている。コイルスプリング43bは第1プランジャ孔47の底部に当接されて、バネ係止部材43dを介してプランジャ43をクレイドル45側に付勢している。
【0037】
プランジャ43の先端には、鋼球48が転動自在に嵌合されており、プランジャ43は鋼球48及び鋼球48を取着したシュー49を介して斜板面44に当接されている。
【0038】
そして、コイルスプリング43bの付勢力により、プランジャ43がクレイドル45の斜板面44に押しつけられるため、クレイドル45がクレイドルホルダ91、側壁部材28を介して円錐コロ軸受39の外輪39aを押しつける。このため、円錐コロ軸受39の外輪39aに軸方向(シリンダブロック42の軸心O方向)の力が常時働く。従って、円錐コロ軸受39に対して、シム調整による煩雑な作業を省いて、円錐コロ軸受39に予圧を付与している。
【0039】
傾斜状態の斜板面44はシリンダブロック42の回転に伴ってプランジャ43を往復作動させ、吸入、吐出行程の作用を付与する。
(第2油圧装置200)
第2油圧装置200は、シリンダブロック42に摺動自在に配置された複数のプランジャ58、及び前記プランジャ58に対して当接する回転斜面51をもつヨーク23とを備えている。プランジャ58は第2プランジャに相当する。
【0040】
図1,図3に示すように、側壁部材29の内側面側及び外側面側には、軸受収納孔52、及び軸受収納孔52よりも小径の貫通孔53が互いに同軸となるようにそれぞれ形成されている。そして、軸受収納孔52には玉軸受54が、貫通孔53には、軸受56が嵌合されている。
【0041】
ヨーク23は、第1ヨーク部材23Aと第2ヨーク部材23Bから構成されている。第1ヨーク部材23Aは略筒状に形成され、第2ヨーク部材23Bは、有底円筒状に形成されている。そして、第1ヨーク部材23Aの基端部に形成された連結フランジ37と、第2ヨーク部材23B先端部に形成された連結フランジ41とが当接した状態で、ボルト50にて互いに締付けられることにより、両ヨーク部材は一体に連結されている。
【0042】
第1ヨーク部材23Aは、第2油圧装置200の斜板に相当する。
又、第2ヨーク部材23Bは、すなわち、ヨーク23は、第2ヨーク部材23Bの長手方向の略中央外周及び出力端外周に玉軸受54及び軸受56がそれぞれ嵌合されることにより、ケース26に対して回動自在に支持されている。
【0043】
第2ヨーク部材23Bの出力端は、玉軸受54を嵌合した外周面よりも小径に形成されており、貫通孔53から外部に突出されている。第2ヨーク部材23Bの出力端には、出力ギヤ24が刻設されている。
【0044】
回転斜面51は、第1ヨーク部材23Aにおいて、シリンダブロック42側の端面に形成されており、軸心Oに対して一定角度傾斜している。回転斜面51は、斜板面に相当する。
【0045】
第1ヨーク部材23Aには、軸心Oを互いに同軸とするとともに、互いに連通した軸受孔30a、軸受収納孔30bとを備えている。軸受収納孔30bは、軸受孔30aよりも拡径されるとともに第1ヨーク部材23Aの基端面側に開口されている。
【0046】
一方、第2ヨーク部材23Bの軸長方向において、連結フランジ41の端面から略中央部までは、軸心Oを同軸とするように大径の軸受収納孔50a、中径の収納孔50b、小径の軸受収納孔50cが形成されている。軸受収納孔50aと軸受収納孔30bとは同径とされている。
【0047】
前記軸受収納孔30bには、スラスト・ラジアル兼用軸受としての円錐コロ軸受31が嵌合固定されている。すなわち、図3に示すように、円錐コロ軸受31の外輪31aは、軸受収納孔30bの奥側の段部底面及び内周面に当接されている。円錐コロ軸受31の内輪31bは入力軸21に嵌合されている。又、内輪31bとシリンダブロック42の回転斜面51側の端部間において、入力軸21には、スリーブ13が嵌合されている。
【0048】
そして、収納孔50b内において、入力軸21の出力端側外周にはナット14が螺合され、円錐コロ軸受31の内輪31bに当接されている。同ナット14の螺合により、内輪31bが押圧されて、スリーブ13を押圧し、スリーブ13は、シリンダブロック42の回転斜面51側の端面に当接されている。
【0049】
又、図1、図3に示すように収納孔50bの内径は円錐コロ軸受31の内輪31bの最大外径(側壁部材29側の外径)よりも小さくされている。さらに、第2ヨーク部材23Bの軸受収納孔50aと、収納孔50bの間に形成される係止段部50dは、その相対する内輪31bの側面と平行となるような面を有して形成されるとともに、内輪31bに対して近接配置され、互いに当接可能な大きさにされている。
【0050】
本実施形態では、係止段部50dと内輪31bとの離間距離は微小距離とされている。この微小の離間距離により、シリンダブロック42が第1ヨーク部材23Aを介して円錐コロ軸受31の外輪31aを押圧した際に、内輪31bが係止段部50dに最初に当接する距離とされている。この当接により、円錐コロ軸受31の外輪31aと内輪31b間の最大隙間を制限できるようにされている。
【0051】
スリーブ13と軸受孔30a間には、ニードルベアリング12が配置され、ニードルベアリング12と円錐コロ軸受31とにより、第1ヨーク部材23Aに入力軸21が回動自在に支持されている。又、入力軸21のナット14の螺合部よりも先端側である出力端は、第2ヨーク部材23Bの軸受収納孔50cに配置されたニードルベアリング11を介して第2ヨーク部材23Bに対して回動自在に支持されている。
【0052】
ニードルベアリング12、円錐コロ軸受31により、軸受部10が構成されている。ニードルベアリング12はラジアル軸受に相当する。
又、玉軸受54と軸受56とにより、軸受部33が構成されている。
【0053】
第1ヨーク部材23Aのシリンダブロック42側の開口部には、ラジアルベアリング18が配置されている。前記ラジアルベアリング18は外輪18aと内輪18bとを備えており、同外輪18aは開口部の段部底面及び内周面に当接固定されている。
【0054】
前記ラジアルベアリング18はその軸心がシリンダブロック42の軸心Oに対して一定角度傾斜した状態に配置されており、その内輪18bは後記する第2切替弁76を所定タイミングで軸心O方向に摺動させるためのカムとされている。前記内輪18bの入力側側面はカム面19となっている。
【0055】
(第1ヨーク部材23Aの製造方法)
ここで、第1ヨーク部材23Aの製造方法について説明する。
図7〜図10は第1ヨーク部材23Aの製造行程を示す説明図である。
【0056】
まず、円管状の素材WOを切断する。このとき、一端はその端面が軸心Mに対して垂直に切断し(図7(a)及び図7(b)参照)、他端側はその端面が軸心Mに対して所定角度傾むように切断する。なお、素材WOの軸心Mは、シリンダブロック42の軸心Oと一致する。続いて、前記他端面側は後述する第2切替弁76が当接するラジアルベアリング18用の加工代分Nを残して、斜面を切削加工にて形成する。この斜面は、回転斜面51となる。又、加工代分Nは、回転斜面51から垂直に突出した高さを有し、略円環状に形成されている。図7(a)において、ハッチング部分は、素材WOの切除部分を示している。
【0057】
次に、回転斜面51に垂直な線Pを第1加工中心軸、すなわち、回転軸として素材WOの外周面を切削加工する。なお、線Pは、軸心Mに対して交差して通過するとともに、素材WOの外周面の全部が切削加工できるように設定するものとする。このとき、回転斜面51側の外周面は、フランジ部Fを残すようにして切削加工する。又、このとき、第1ヨーク部材23Aの回転バランスを調整するために、軸方向寸法が大きい側(図8(a)、図8(b)おいては、下部側)を小さい側(図8(a)、図8(b)おいては、上部側)よりも多く切削する。
【0058】
次に、素材WOに対して回転中心軸であるシリンダブロック42の軸心O(中心線)を加工中心軸として、すなわち、素材WOの軸心Mを加工中心軸として、外周面を切削加工し、連結フランジ37のための外周面を含む周面SUを形成する(図9(a)及び図9(b)参照)。なお、シリンダブロック42の軸心Oは、入力軸21とシリンダブロック42に対して組み付けされた際には入力軸21の軸心(中心線)と一致する。
【0059】
続いて、素材WOに対して回転中心軸であるシリンダブロック42の軸心O(中心線)に平行で、すなわち、素材WOの軸心Mに平行で、かつ、回転斜面51(斜板面)と反斜板面側の面(後に連結フランジ37となる側の端面)の軸方向距離が狭まる側に所定量e分オフセットした線αを想定する。
【0060】
この線αを第2加工中心軸として、素材WOの外周面を切削加工して、連結フランジ37を形成する。
そして、切削加工により、軸受孔30a,軸受収納孔30bは、軸心Oを加工中心軸として形成し、又、ラジアルベアリング18用の開口部の段部をラジアルベアリング18の傾斜方向に応じて切削加工する。
【0061】
再び、無段変速機20の構成について説明する。
図4に示すように、前記シリンダブロック42の中央部には、その回転中心の回りに第1プランジャ孔47と同数の第2プランジャ孔57が環状に配列され、軸心Oと平行に延設されている。同第2プランジャ孔57のピッチ円は前記第1プランジャ孔47のピッチ円と同心及び同径とされている。又、各第2プランジャ孔57は互いに隣接する第1プランジャ孔47間に位置するように、図4に示すようにシリンダブロック42の周方向において、第1プランジャ孔47とは互いに1/2ピッチずつずらして配置されている。
【0062】
第2プランジャ孔57はシリンダブロック42の端面において、前記ヨーク23側に開口が形成されている。各第2プランジャ孔57には、プランジャ58が摺動自在に配置されている。プランジャ58は略筒状に形成され、筒内はバネ収納孔58aが形成されている。バネ収納孔58aの内端側は係止段部58cが形成されている。バネ収納孔58a内には、係止段部58cに係止するバネ係止部材58d及びバネとしてのコイルスプリング58bが収納されている。コイルスプリング58bは第2プランジャ孔57の底部に当接されて、バネ係止部材58dを介してプランジャ58を回転斜面51側に付勢している。
【0063】
プランジャ58の先端には、鋼球59が転動自在に嵌合されている。プランジャ58は鋼球59及び鋼球59を取着したシュー60を介して回転斜面51に当接されている。
【0064】
そして、コイルスプリング58bの付勢力により、プランジャ58が第1ヨーク部材23Aの回転斜面51に押しつけられるため、第1ヨーク部材23Aが円錐コロ軸受31の外輪31aを押しつける。このため、円錐コロ軸受31の外輪31aに軸方向(シリンダブロック42の軸心O方向)の力が常時働く。
【0065】
従って、円錐コロ軸受31に対して、シム調整による煩雑な作業を省いて、円錐コロ軸受31に予圧を付与している。
前記回転斜面51とシリンダブロック42との相対回転に伴ってプランジャ58が往復作動して吸入、吐出行程を繰り返す。
【0066】
本実施形態では、第1油圧装置100の最大行程容積VPmaxは、第2油圧装置200の最大行程容積VMmaxと同じになるように設定されている。
(油圧閉回路C)
次に、前記第1油圧装置100と第2油圧装置200との間に形成されている油圧閉回路Cについて説明する。
【0067】
シリンダブロック42の内周面には、ともに環状の第1油室61及び第2油室62が互いにシリンダブロック42の軸方向に並んで並設されている。第1油室61は、高圧油室に相当し、第2油室62は、低圧油室に相当する。
第2油室62は、図1、図3に示すようにスプライン部21cと連通され、第2油室62内の作動油の一部が潤滑油として供給可能とされている。なお、スプライン部21cに供給された作動油はシリンダブロック42外部に漏出する。
【0068】
シリンダブロック42には第1油室61及び第2油室62を共に連通する第1弁孔63が、第1プランジャ孔47と同数個、シリンダブロック42の軸心Oと平行になるように貫通形成されている。
【0069】
又、シリンダブロック42には前記第1油室61及び第2油室62を共に連通する第2弁孔64が、第2プランジャ孔57と同数個、シリンダブロック42の軸心Oと平行になるように貫通形成されている。そして、前記第1弁孔63及び第2弁孔64はそれぞれ、シリンダブロック42の軸心Oの回りに環状に配置されている。
【0070】
第1弁孔63及び第2弁孔64は分配弁孔に相当する。
第1弁孔63のピッチ円は第2弁孔64のピッチ円と同心及び同径とされている。又、両弁孔は、第1プランジャ孔47、第2プランジャ孔57よりも内方に位置するように、すなわち、第1プランジャ孔47,第2プランジャ孔57よりも入力軸21側に位置するように第1プランジャ孔47、第2プランジャ孔57のピッチ円よりもそのピッチ円の径は小さくされている。又、図4に示すように各第1弁孔63は隣接する第2弁孔64間に位置するように、シリンダブロック42の周方向において、第2弁孔64とは互いに1/2ピッチずつずらして配置されている。
【0071】
そして、図1に示すように、無段変速機20を軸心O方向に沿って切断した場合、第1弁孔63と第2弁孔64は、軸心Oを挟んで相対して位置している。又、第1弁孔63と第1プランジャ孔47の各中心、及び第2弁孔64と第2プランジャ孔57の各中心は、図4に示すように軸心Oから径方向に放射状に延びる直線上に位置するように配置されている。
【0072】
図1に示すように、第1油路65は、第1プランジャ孔47の底部と、第1弁孔63の第1油室61及び第2油室62との間の部位間を連通するようにシリンダブロック42の径方向に沿って形成されている。
【0073】
各第1弁孔63には、第1油室61と第2油室62との間において、対応する第1プランジャ孔47に連通する第1油路65のポートUが形成されている。各第1弁孔63には、スプール型の第1切替弁66が摺動自在に配置されている。第1切替弁66が分配弁に相当する。この第1切替弁66は第1弁孔63内に配置されているため、シリンダブロック42に対して第1弁孔63と同様の配置構成とされている。従って、第1切替弁66はシリンダブロック42の軸心Oと平行に配置されている。
【0074】
第1弁孔63のヨーク23側の開口部には、シリンダブロック42にボルト63aにて締付け固定された蓋板63bが取付けられている。第1切替弁66と蓋板63b間にはコイルスプリング63cが内装されており、コイルスプリング63cにて第1切替弁66はラジアルベアリング16側へ付勢されている。 第1切替弁66はラジアルベアリング16の内輪16bと当接することにより、シリンダブロック42の軸方向に沿って往復動し、図6に示すような変位を実現する。
【0075】
内輪16bは、図6に示すように、第1切替弁66をポート閉鎖位置n0を中心としてポートUと第2油室62とを連通させる第1開口位置n1と、ポートUと第1油室61とを連通させる第2開口位置n2間を往復移動させる。そして、この内輪16bにより、第1油圧装置100にはシリンダブロック42の軸心Oの周りの回転向に対応して、0度〜180度の範囲で領域H、180度〜360(0)度の範囲で領域Iが付与されている。
【0076】
ここで、領域HとはポートUと第2油室62が連通する区間を全て含む領域のことであり、領域IとはポートUと第1油室61が連通する区間を全て含む領域のことである。
【0077】
前記斜板面44が直立位置から負の最大傾動角度位置へと変位した場合、図14において、このときの第1油圧装置100の行程容積VPは、0からVMmaxとなる。そして、それに応じて入力軸21の入力回転数がNinのとき出力回転数Nout (ヨーク23の回転数)はNinから2Ninの範囲の速度が得られるように本実施形態ではその第1油圧装置100側の作動油の吐出量が設定されている。
【0078】
なお、図14において、縦軸は第1油圧装置100又は第2油圧装置200の1回転当たり行程容積を示し、横軸はヨーク23(出力回転部)の出力回転数Nout を示している。同図において、実線は、第1油圧装置100の行程容積VPの変化を示し、一点鎖線は第2油圧装置200の行程容積VMの変化を示している。
【0079】
第1油圧装置100の行程容積とは、プランジャ43と第1プランジャ孔47で形成されるプランジャ空間がシリンダブロック42が1回転する間に、第1油室61及び第2油室62と授受する作動油量のことである。第2油圧装置200の行程容積とは、プランジャ58と第2プランジャ孔57で形成されるプランジャ空間がヨーク23(出力回転部)がシリンダブロック42に対して1回転する間に、第1油室61及び第2油室62と授受する作動油量のことである。
【0080】
また、本実施形態では、図1のように斜板面44が負側へ傾動した場合に、シリンダブロック42の軸心Oの周りの回転角0度〜180度の範囲で、作動油がポートUを介して第1プランジャ孔47へ吸入され、180度〜360(0)度の範囲で、作動油がポートUを介して第1プランジャ孔47から吐出される。そして、斜板面44が正側へ傾動した場合に、シリンダブロック42の軸心O周りの回転角0度〜180度の範囲で、作動油がポートUを介して第1プランジャ孔47から吐出され、180度〜360(0)度の範囲で、作動油がポートUを介して第1プランジャ孔47へ吸入される。吐出する油室及び吸入する油室は、シリンダブロック42の軸心O周りの回転角に対応した領域H,Iによって決まる。
【0081】
図1及び図3に示すように、第2油路75は、第2プランジャ孔57の底部と、第2弁孔64の第1油室61及び第2油室62との間の部位間を連通するようにシリンダブロック42の径方向に沿って形成されている。
【0082】
各第2弁孔64には、第1油室61と第2油室62との間において、対応する第2プランジャ孔57に連通する第2油路75のポートWが形成されている。
各第2弁孔64には、スプール型の第2切替弁76が前記プランジャ58に対して平行となるように摺動自在に配置されている。第2切替弁76が分配弁に相当する。この第2切替弁76は、第2弁孔64内に配置されているため、シリンダブロック42に対して第2弁孔64と同様の配置構成とされている。従って、第2切替弁76はシリンダブロック42の軸心Oと平行に配置されている。
【0083】
第2弁孔64の斜板面44側の開口部には、シリンダブロック42にボルト64aにて締付け固定された蓋板64bが取付けられている。第2切替弁76と蓋板64b間にはコイルスプリング64cが内装されており、コイルスプリング64cにて第2切替弁76はラジアルベアリング18側へ付勢されている。 第2切替弁76はラジアルベアリング18の内輪18bと当接することにより、シリンダブロック42の軸方向に沿って往復動し、図6に示すような変位を実現する。
【0084】
なお、図6において、内輪16bと、内輪18bとの相対位置は、両者が外輪16a,内輪18bに対して回転自在にされているため変化するが、説明の便宜上、1つにまとめて図示している。
【0085】
そして、ヨーク23のシリンダブロック42との相対回転に伴って、ラジアルベアリング18の内輪18bにより、第2油圧装置200にはヨーク23のシリンダブロック42に対する軸心O周りの相対回転角0度〜180度の範囲で領域J、180度〜360(0)度の範囲で領域Kが付与されている。
【0086】
ここで、領域JとはポートWと第1油室61が連通する区間を全て含む領域のことであり、領域KとはポートWと第2油室62が連通する区間を全て含む領域のことである。
【0087】
また、本実施形態では、図3のように斜板面44が負側へ傾動した場合に、ヨーク23(出力回転部)のシリンダブロック42に対する軸心O周りの相対回転角0度〜180度の範囲で、作動油がポートWを介して第2プランジャ孔57へ吸入される。又、180度〜360(0)度の範囲で、作動油がポートWを介して第2プランジャ孔57から吐出される。
【0088】
斜板面44が正側へ傾動した場合に、ヨーク23(出力回転部)のシリンダブロック42に対する軸心O周りの相対回転角0度〜180度の範囲で、作動油がポートWを介して第2プランジャ孔57から吐出され、180度〜360(0)度の範囲で作動油がポートWを介して第2プランジャ孔57へ吸入される。吐出する油室及び吸入する油室は、ヨーク23(出力回転部)のシリンダブロック42に対する軸心O周りの相対回転角に対応した領域J,Kによって決まる。
【0089】
前記第1プランジャ孔47、第2プランジャ孔57、第1油室61、第2油室62、第1弁孔63、第2弁孔64、第1油路65、第2油路75、ポートU及びポートWとにより、油圧閉回路Cが構成されている。
【0090】
図1,図3に示すように、前記油圧閉回路Cに作動油をチャージするために、入力軸21内には軸心Oに沿って軸孔99が穿設されている。軸孔99は側壁部材28の貫通孔36に対応する部位において、半径方向に導入油路99aを有している。同導入油路99aは入力軸21の外周面に形成された周溝21bに連通されている。側壁部材28には周溝21bに連通する油路28aが設けられている。
【0091】
前記油路28aは、クレイドルホルダ91に設けられた油路91a及び側壁部材28に設けられた油路28bに連通されている。前記油路28b,91a,油路28a内には図示しないチャージポンプから作動油が充填される。
【0092】
一方、入力軸21において、第1油室61及び第2油室62には、軸孔99に連通可能な弁体を開閉するチャージ弁90(逆止弁)がそれぞれ配置されている。同チャージ弁90の弁体は油圧閉回路C内の油圧が軸孔99内のチャージ圧に達するまで開口して、軸孔99内の作動油を油圧閉回路Cに供給する。又、チャージ弁90は作動油が軸孔99へ逆流することを防止する。
【0093】
(作用)
さて、上記のように構成された無段変速機20のクレイドル45の傾動に伴う作用を説明する。なお、エンジン22のクランク軸から入力軸21に付与される入力回転数Ninは説明の便宜上、一定のものとして説明する。
【0094】
(出力回転数Nout がNinの場合)
図13に示すシフトレバー146を操作して、クレイドル45を介して斜板面44を直立位置に位置させる。
【0095】
この状態においては、エンジン22の駆動力により入力軸21を介してシリンダブロック42が正方向へNinで回転する。以後、Ninと逆向きに出力軸155が回転する時を正方向の回転という。
【0096】
斜板面44はシリンダブロック42の軸心Oに対して直立位置の中立状態にある。第1油圧装置100のプランジャ43は斜板面44によっては往復動されず、従って、この状態では油圧閉回路C内を作動油が循環しない。このため、第2油圧装置200側においては各プランジャ58の突出端がストローク運動ができない状態でシュー60を介して回転斜面51に当接係合するため、シリンダブロック42と回転斜面51とは直結状態となり、一体回転する。
【0097】
すなわち、この状態は、入力軸21とギヤ151とが直結状態となる。この回転斜面51に付与された正方向への回転は、ヨーク23、連結された前進クラッチ152、出力軸155を介して終減速装置へ伝達される。
【0098】
前記斜板面44が直立位置に位置している場合には、図14に示すように第1油圧装置100の行程容積VPは0となり、出力回転数Nout (ヨーク23の回転数)は入力回転数Ninとなる。
【0099】
(出力回転数Nout がNinと2Ninの間の場合)
シフトレバー146を操作して、クレイドル45を介して斜板面44を負側に傾動して所定の負の傾動角度位置と直立位置との間の領域に位置させる。この所定の負の傾動角度位置とは、第1油圧装置100の行程容積VPの絶対値が第2油圧装置200の行程容積VMの絶対値(=VMmax)と等しくなるまでの位置である。
【0100】
この場合、エンジン22の駆動力により入力軸21を介してシリンダブロック42がNinで回転する。すると、第1油圧装置100は、シリンダブロック42の軸心O周りの回転角0度〜180度の範囲で、作動油をポートUを介して第1プランジャ孔47へ吸入し、180度〜360(0)度の範囲で、作動油をポートUを介して第1プランジャ孔47から吐出する。吐出及び吸入する油室は、シリンダブロック42の軸心O周りの回転角に対応した領域H,Iによって決まる。
【0101】
尚、第1油圧装置が吐出,吸入する作動油量は、斜板面44の負側への傾動角が大きくなるにつれて、増加する。このとき、第2油圧装置200は、ヨーク23(出力回転部)のシリンダブロック42に対する軸心O周りの相対回転角0度〜180度の範囲で、作動油をポートWを介して第2プランジャ孔57へ吸入し、180度〜360(0)度の範囲で、作動油をポートWを介して第2プランジャ孔57から吐出する。吐出する油室及び吸入する油室は、ヨーク23(出力回転部)のシリンダブロック42に対する軸心O周りの相対回転角に対応した領域J,Kによって決まる。
【0102】
この結果、シリンダブロック42が入力軸21を介して駆動される入力回転数Ninと、プランジャ58の回転斜面51への突出押圧作用による正方向の回転数との合成(和)により、回転斜面51は回転される。この回転斜面51に付与される正方向の回転は、ヨーク23、連結された前進クラッチ152、出力軸155を介して終減速装置へ正方向の回転として伝達され、増速作用を行う。
【0103】
このとき、斜板面44が直立位置から所定の負の傾動角度位置側へと変位すると、図14において第1油圧装置100の行程容積VPは0からVMmaxへと増加し、それに応じて出力回転数Nout はNinから2Ninへと増速する。なお、出力回転数Nout がNinから2Ninに変化するときの第2油圧装置200の行程容積VMはVMmaxのままである。この状態の作動油の流れ及び回転の様子は、図12に示しており、このとき油圧閉回路Cでは、図に示す矢印で示すような作動油の流れとなっている。また、Nin,Nout に付された矢印は、該当する部材の回転方向を示している。
【0104】
(出力回転数Nout が0とNinの間の場合)
シフトレバー146を操作して、クレイドル45を介して斜板面44を正側に傾動して直立位置から正の傾動角度位置に位置させる。なお、正の傾動角度位置のうち、所定の正の傾動角度位置とは、第1油圧装置100の行程容積VPの絶対値が第2油圧装置200の行程容積VMの絶対値と等しくなるまでの位置である。
【0105】
この場合、斜板面44が正方向へ傾動するため、エンジン22の駆動力により入力軸21を介してシリンダブロック42が回転する。すると、第1油圧装置100は、シリンダブロック42の軸心O周りの回転角0度〜180度の範囲で、作動油を、ポートUを介して第1プランジャ孔47から吐出する。又、180度〜360(0)度の範囲で、作動油を、ポートUを介して第1プランジャ孔47へ吸入する。吐出する油室及び吸入する油室は、シリンダブロック42の軸心O周りの回転角に対応した領域H,Iによって決まる。なお、第1油圧装置100が吐出,吸入する作動油量は、斜板面44の正側への傾動角が大きくなるにつれて、増加する。
【0106】
このとき、第2油圧装置200は、ヨーク23(出力回転部)のシリンダブロック42に対する軸心O周りの相対回転角0度〜180度の範囲で、作動油をポートWを介して第2プランジャ孔57から吐出する。又、180度〜360(0)度の範囲で、作動油をポートWを介して第2プランジャ孔57へ吸入する。吐出する油室及び吸入する油室は、ヨーク23(出力回転部)のシリンダブロック42に対する軸心O周りの相対回転角に対応した領域J,Kによって決まる。
【0107】
この結果、プランジャ58の回転斜面51への突出押圧作用により、前記「出力回転数Nout がNinと2Ninの間の場合」とは逆方向の回転を与える。従って、前記逆方向の回転数と、シリンダブロック42の正方向の回転数との合成(和)が、ヨーク23、連結された前進クラッチ152、出力軸155を介して終減速装置へ伝達される。
【0108】
このときの回転数の和は、逆方向の回転数分減少した正方向の回転数となるため、出力回転数Nout は「出力回転数Nout がNinの場合」に比較して小さくなる。
【0109】
本実施形態では、このとき、斜板面44が直立位置から正の最大傾動角度位置側へと変位すると、図14において第1油圧装置100の行程容積VPは0から−VMmax(前記「−」はポートUから第2油室62に吐出される場合を意味している。)側へと増加し、それに応じて出力回転数Nout はNinから0へと減速する。
【0110】
なお、このときの出力回転数Nout がNinから0に変化するときの第2油圧装置200の1回転当たりの行程容積VMは−VMmaxである。(前記「−」は第2油室62からポートWへ吸入される場合を意味している。)
図11は、このときの状態の模式図である。第1油室61側は、第2油室62側よりも高圧側となっており、油圧閉回路Cでは、図に示す矢印で示すような作動油の流れとなっている。また、Nin,Nout に付された矢印は、該当する部材の回転方向を示している。
【0111】
(出力回転数Nout が0の場合)
クラッチ機構300でエンジン22からの入力回転を切断することによって、ヨーク23を停止させる。
【0112】
(出力回転数Nout が0未満の場合)
クラッチ機構300を切断状態でシフトレバー146を後進域側へシフトすると、このシフトレバー146の操作に応動して、ギヤシフト装置150の前進クラッチ152が切り離され、後進クラッチ153が接続される。このとき、エンジン22側からの回転が無段変速機20に伝わらなくなるため、プランジャ58の回転斜面51に対する押圧作用がなくなり、ヨーク23は第2油圧装置200からフリーとなる。このため、ヨーク23の後進クラッチ153の接続、すなわち後進時の切換えを容易に行うことができる。そして、シフトレバー146を後進域側へシフトし終えた後は、クラッチ機構300を再び接続状態にする。尚、前進側へ戻す時も足踏みのクラッチペダルを踏み込み、クラッチ機構300を切断状態にする。このとき、同じ理由で前進時の切換えを容易に行うことができる。
【0113】
(出力回転数Nout が0と−Ninの間の場合)
後進クラッチ153による後進接続が行われた後は、図11に示すように出力回転数Nout と、第1油圧装置100及び第2油圧装置200の最大行程容積の変化状態は、前進(正転)の場合と同じであり、(出力回転数Nout が0とNinの間の場合)の説明と同じため説明を省略する。図11は作動油の流れ及び回転方向を示している。なお、この場合、回転斜面51に付与される回転は、ヨーク23、アイドラギヤ156、アイドラギヤ157、後進クラッチ153、出力軸155を介して終減速装置へ伝達される。
【0114】
(出力回転数Nout がNinと−2Ninの間の場合)
この場合も、第1油圧装置100と第2油圧装置200の作用は(出力回転数Nout がNinと2Ninの間の場合)と同じであるため、説明を省略する。図12は作動油の流れ及び回転方向を示している。この場合も、回転斜面51に付与される回転は、ヨーク23、アイドラギヤ156、アイドラギヤ157、後進クラッチ153、出力軸155を介して終減速装置へ伝達される。
【0115】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の油圧式無段変速機では、プランジャ43(第1プランジャ)とプランジャ43が当接するクレイドル45(斜板)を有する第1油圧装置100と、プランジャ58(第2プランジャ)とプランジャ58が当接する第1ヨーク部材23A(斜板)を有する第2油圧装置200を備える。又、双方のプランジャ43,58を収納する第1プランジャ孔47,第2プランジャ孔57を共通のシリンダブロック42に形成し、双方の第1プランジャ孔47,第2プランジャ孔57を結ぶ油圧閉回路Cをシリンダブロック42に形成している。又、油圧閉回路C内の作動油の流れ方向を切替える第1切替弁66,第2切替弁76(分配弁)を収納する第1弁孔63,第2弁孔64(分配弁孔)をシリンダブロック42に形成している。そして、シリンダブロック42を貫通する入力軸21(軸)を有し、入力軸21とシリンダブロック42とが同期回転するように構成し、双方の第1プランジャ孔47,第2プランジャ孔57が各々入力軸21と平行に形成している。又、第2油圧装置200の回転斜面51がシリンダブロック42の軸心O周りに回転自在に支持した。
【0116】
又、双方のプランジャ43、58が各々の第1プランジャ孔47、第2プランジャ孔57内に設けられたコイルスプリング43b、コイルスプリング58b(バネ)によってクレイドル45、第1ヨーク部材23A(斜板)側へ付勢されるようにした。さらに、第1油圧装置100のクレイドル45(斜板)を入力軸21を支持する円錐コロ軸受39(第1スラスト・ラジアル兼用軸受)の外輪39aにて支持するようにした。加えて、第2油圧装置200の第1ヨーク部材23A(斜板)を入力軸21(軸)を支持する円錐コロ軸受31(第2スラスト・ラジアル兼用軸受)の外輪31aにて支持するようにした。そして、円錐コロ軸受39、31の内輪39b、31bが入力軸21の軸方向に固定した。
【0117】
この結果、各プランジャ43、58がコイルスプリング43b、コイルスプリング58bにより、クレイドル45、第1ヨーク部材23Aへそれぞれ付勢され、このクレイドル45、第1ヨーク部材23Aが円錐コロ軸受39、31に押しつけられる。このため、円錐コロ軸受39、31に入力軸21の軸方向への力が常時働くことになる。
【0118】
従って、従来と異なり、シム調整による煩雑な作業を省いて、円錐コロ軸受39、31に対して予圧を付与することができる。
(2)本実施形態の油圧式無段変速機では、円錐コロ軸受39(第1スラスト・ラジアル兼用軸受)の内輪39b側面に平行で且つ微小距離だけ離間した内輪39b側側面を有するカバー15(部材)を備えている。又、本実施形態の油圧式無段変速機では、円錐コロ軸受31(第1スラスト・ラジアル兼用軸受)の内輪31b側面に平行で且つ微小距離だけ離間した係止段部50dを有する第2ヨーク部材23B(部材)を備えている。
【0119】
このため、どちらかの円錐コロ軸受39、31側にシリンダブロック42が押し付けされても、円錐コロ軸受39、31の内輪39b、31b側面に平行で微小距離だけ離間したカバー15の内輪39b側側面や係止段部50dの面に、内輪39b、31bが当接する。
【0120】
このため、円錐コロ軸受39、31の内輪39b、31bと外輪39a、31aの最大隙間を制限できる。
(3) 本実施形態では、第1弁孔63,第2弁孔64(分配弁孔)を入力軸21と平行で且つ第1プランジャ孔47,第2プランジャ孔57よりも入力軸21側に形成した。又、第1プランジャ孔47,第2プランジャ孔57と第1弁孔63,第2弁孔64を結ぶ第1油路65,第2油路75をシリンダブロック42の径方向に形成した。
【0121】
この結果、第1プランジャ孔47,第2プランジャ孔57と第1弁孔63,第2弁孔64(分配弁孔)を結ぶ第1油路65,第2油路75が最短になるので、作動油のムダ容積を低減できる。
【0122】
(4) 本実施形態では、第1弁孔63,第2弁孔64(分配弁孔)を入力軸21と平行で且つシリンダブロック42を貫通して形成した。
この結果、第1弁孔63,第2弁孔64が入力軸21と平行で且つシリンダブロック42を貫通して形成しているため、シリンダブロック42の片側からのみの穴加工を行うのみ良くなり、加工工数を低減し、加工精度も向上できる。
【0123】
(5) 本実施形態の油圧式無段変速機では、第1油室61(高圧油室)と第2油室62(低圧油室)とを、油圧閉回路C上で且つ第1プランジャ孔47,第2プランジャ孔57よりも入力軸21側に形成し、シリンダブロック42の軸方向に並設した。
【0124】
又、シリンダブロック42を入力軸21に対してスプライン嵌合し、第2油室62(低圧油室)を入力軸21に形成されたスプライン部21cと連通するようにした。
【0125】
この結果、第2油室62(低圧油室)がスプライン部21cと連通しているため、スプライン部21c用の潤滑油路を設けることなく、潤滑を行うことができる。又、スプライン部21cからシリンダブロック42外部に漏出するが、第2油室62(低圧油室)からの作動油漏れなので、油圧式無段変速機の容積効率が悪化することはない。
【0126】
(6) 本実施形態の油圧式無段変速機では、第2油圧装置200の第1ヨーク部材23A(斜板)は、その外周面を、第1ヨーク部材23Aの回転斜面51(斜板面)に垂直な線Pを第1加工中心軸として切削した。
【0127】
次に、素材WOに対して回転中心軸であるシリンダブロック42の軸心O(入力軸21の中心線)を加工中心軸として、すなわち、素材WOの軸心Mを加工中心軸として、外周面を切削加工し、連結フランジ37のための外周面を含む周面SUを形成した(図9(a)及び図9(b)参照)。
【0128】
さらに、素材WOに対して回転中心軸であるシリンダブロック42の軸心O(入力軸21の中心線)に平行で、すなわち、素材WOの軸心Mに平行で、かつ、回転斜面51(斜板面)と反斜板面側の面(後に連結フランジ37となる側の端面)の軸方向距離が狭まる側に所定量e分オフセットした線αを想定した。
【0129】
この線αを第2加工中心軸として、素材WOの外周面を切削加工して、連結フランジ37を形成した。
この結果、第2油圧装置200の第1ヨーク部材23A(斜板)の回転バランスが、簡単な切削加工のみで調整できる効果を奏する。
【0130】
(7) 本実施形態の動力伝達装置400では、前記油圧式無段変速機と、入力軸21への動力を伝達又は断切のいずれかを行う手段として、クラッチ機構300を備えている。さらに、動力伝達装置400は、第2油圧装置200の第1ヨーク部材23A(斜板)の回転力を伝達し且つ第2油圧装置200の第1ヨーク部材23A(斜板)と同方向又は逆方向いずれかの回転を与える手段として、ギヤシフト装置150を備えている。
【0131】
この結果、上記(1)〜(6)に記載の油圧式無断変速機の利点を有する動力伝達装置を実現できる。
(8) 上記第実施形態では、クラッチ機構300を切断することにより、ヨーク23の回転を切り換える(正→逆、又は逆→正)際の同ヨーク23に掛かるトルクを解放でき正逆回転切替えを容易に行うことができる。
【0132】
なお、本発明の実施形態は、前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように実施してもよい。
・ 前記実施形態のニードルベアリング11及びニードルベアリング38の構成を玉軸受に代えること。
【0133】
・ 前記実施形態の円錐コロ軸受31,39を他のスラスト・ラジアル兼用軸受の構成にすること。
・ 第1弁孔63,第2弁孔64をシリンダブロック42に貫通する構成に代えて、有底の孔とすること。こうすると、ボルト63a、蓋板63b、ボルト64a、蓋板64bを省略することができる。
【0134】
・ 入力軸21のヨーク23側の出力端を出力ギヤ24の径よりも小径に形成し、出力ギヤ24の端面から突出する構成とし、突出した端部をPTO軸とすること。
【0135】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1乃至請求項7の発明によれば、第1及び第2油圧装置の各斜板を支持するスラスト・ラジアル兼用軸受の予圧付与を簡易に行うことができる。
【0136】
請求項2に記載の発明によれば、スラスト・ラジアル兼用軸受の内輪と外輪の最大隙間を制限できる効果を奏する。
請求項3の発明によれば、プランジャ孔と分配弁孔を結ぶ油路が最短になるので、作動油のムダ容積を低減できる。
【0137】
請求項4の発明によれば、分配弁孔が前記軸と平行で且つシリンダブロックを貫通して形成されるので、片側からのみの第1,第2油圧装置の穴加工で済み、加工工数を低減し、加工精度も向上できる。
【0138】
請求項5の発明によれば、低圧油室がスプライン部と連通するので、スプライン部用の潤滑油路を設けることなく、潤滑が行える。又、低圧油室からの作動油漏れなので、変速機の容積効率が悪化することもない。
【0139】
請求項6の発明によれば、第2油圧装置の斜板の回転バランスが、簡単な切削加工のみで調整できる。
請求項7の発明によれば、請求項1から6いずれか記載の油圧式無断変速機の利点を有する動力伝達装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した実施形態の無段変速機の平断面図。
【図2】同じく要部断面図。
【図3】同じく要部断面図。
【図4】同じく無段変速機のシリンダブロックの横断面図。
【図5】同じく実施形態の動力伝達装置400の概念図。
【図6】第1切替弁66、第2切替弁76によるポートが開口するタイミングを示す説明図。
【図7】(a)及び(b)は第1ヨーク部材23Aの製造工程の説明図。
【図8】(a)及び(b)は第1ヨーク部材23Aの製造工程の説明図。
【図9】(a)及び(b)は第1ヨーク部材23Aの製造工程の説明図。
【図10】(a)及び(b)は第1ヨーク部材23Aの製造工程の説明図。
【図11】同じく作用を示す無段変速機の概念図。
【図12】同じく作用を示す無段変速機の概念図。
【図13】シフトレバーの平面図
【図14】同じく行程容積と出力回転数とを表した特性図。
【符号の説明】
21…入力軸(軸)、21c…スプライン部
23…ヨーク、23A…第1ヨーク部材、
23B…第2ヨーク部材(第2油圧装置の斜板)
31…円錐コロ軸受(第2スラスト・ラジアル兼用軸受)
31a…外輪、31b…内輪
39…円錐コロ軸受(第1スラスト・ラジアル兼用軸受)
39a…外輪、39b…内輪
42…シリンダブロック
43…プランジャ(第1プランジャ)、43b…コイルスプリング(バネ)
44…斜板面
45…クレイドル(第1油圧装置の斜板)
47…第1プランジャ孔、51…回転斜面
57…第2プランジャ孔
58…プランジャ(第2プランジャ)、58b…コイルスプリング(バネ)
61…第1油室(高圧油室)
62…第2油室(低圧油室)
63…第1弁孔(分配弁孔)
64…第2弁孔(分配弁孔)
65…第1油路(油路)
66…第1切替弁(分配弁)
75…第2油路(油路)
76…第2切替弁(分配弁)
100…第1油圧装置、200…第2油圧装置
C…油圧閉回路、P…線(第1加工中心軸)、α…線(第2加工中心軸)

Claims (7)

  1. 第1プランジャと第1プランジャが当接する斜板を有する第1油圧装置と、第2プランジャと第2プランジャが当接する斜板を有する第2油圧装置から成り、双方のプランジャを収納するプランジャ孔が共通のシリンダブロックに形成され、双方のプランジャ孔を結ぶ油圧閉回路がシリンダブロックに形成され、該回路内の作動油の流れ方向を切替える分配弁を収納する分配弁孔がシリンダブロックに形成され、シリンダブロックを貫通する軸を有し、当該軸とシリンダブロックが同期回転し、前記双方のプランジャ孔が各々前記軸と平行に形成され、前記第2油圧装置の斜板が前記軸の軸芯周りに回転自在に支持された油圧式無段変速機において、
    双方のプランジャが各々のプランジャ孔内に設けられたバネによって斜板側へ付勢され、第1油圧装置の斜板が前記軸を支持する第1スラスト・ラジアル兼用軸受の外輪にて支持され、第2油圧装置の斜板が前記軸を支持する第2スラスト・ラジアル兼用軸受の外輪にて支持され、第1及び第2スラスト・ラジアル兼用軸受の内輪が前記軸の軸方向に固定されたことを特徴とする油圧式無段変速機。
  2. 第1スラスト・ラジアル兼用軸受の内輪側面に平行で且つ微小距離だけ離間した面を有する部材と、第2スラスト・ラジアル兼用軸受の内輪側面に平行で且つ微小距離だけ離間した面を有する部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の油圧式無段変速機。
  3. 前記分配弁孔が前記軸と平行で且つプランジャ孔よりも軸側に形成され、
    前記プランジャ孔と分配弁孔を結ぶ油路が径方向に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の油圧式無段変速機。
  4. 前記分配弁孔が前記軸と平行で且つシリンダブロックを貫通して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の油圧式無段変速機。
  5. 前記油圧閉回路上で且つプランジャ孔よりも軸側に形成され、軸方向に並設された高圧油室と低圧油室を有し、
    前記シリンダブロックが前記軸とスプライン嵌合され、
    前記低圧油室が前記軸に形成されたスプライン部と連通することを特徴とする請求項1に記載の油圧式無段変速機。
  6. 第2油圧装置の斜板の外周面が、同斜板の斜板面に垂直な線を第1加工中心軸として切削され、回転中心軸である前記軸の中心線を加工中心軸として切削され、さらに、回転中心軸である前記軸の中心線に平行で、前記斜板面と反斜板面側の面の軸方向距離が狭まる側にオフセットした線を第2加工中心軸として切削されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の油圧式無段変速機。
  7. 請求項1から6のうちいずれかに記載の油圧式無段変速機と、前記軸への動力を伝達又は断切のいずれかを行う手段と、第2油圧装置の斜板の回転力を伝達し且つ第2油圧装置の斜板と同方向又は逆方向いずれかの回転を与える手段とから成る動力伝達装置。
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