JP2004018763A - 高分子ナノ複合材料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非極性有機高分子材料中に、非層状構造を有し且つ平均粒径が1nm以上300nm以下の無機材料を0.001重量%以上1重量%未満含有した高分子ナノ複合材料。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非極性有機高分子材料を改質するために、非層状構造を有し且つ平均粒径が1nm以上300nm以下の無機材料が該非極性有機高分子材料中に分散してなる高分子ナノ複合材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、平均粒径が1マイクロメートル(1μm)未満のナノオーダーの超微粒子無機材料を有機高分子材料中に分散した高分子ナノ複合材料が、高性能化及び高機能化を実現できる材料として注目されている。このような高分子ナノ複合材料はナノコンポジットとも称され、平均粒径1μm以上の無機材料を有機高分子材料中に分散した従来型高分子複合材料に比べて、遥かに優れた物性を示すことが知られている。
例えば、極めて微細な薄片状結晶が積層した層状構造を有する層状無機材料を用い、この薄片状結晶を化学的または物理的な手段によって層間剥離して有機高分子材料中に均一に分散させることで、該有機高分子材料の特性は大幅に改善されることが公知である。
【0003】
このような層状無機材料としては層状珪酸塩が代表的である。また、有機高分子材料としては、極性を有する官能基(以下本発明では『極性基』と称する)を含む有機高分子材料が用いられるのが一般的である。極性基を含む有機高分子材料が主に用いられる理由は、超微粒子無機材料を有機高分子材料中に均一に且つ安定的に分散させるためには超微粒子無機材料と有機高分子材料との界面で親和力を増すことが必要だからである。即ち、超微粒子無機材料と有機高分子材料との間で何らかの相互作用が存在することが必要である。通常、層状珪酸塩は薄片状結晶が間にイオンを挟みつつ積層した構造を有しており、各薄片状結晶はイオンを介してファンデルワース力でお互い結合している。そのため、分散媒体である有機高分子材料として極性基を有する有機高分子材料を使用すれば、極性相互作用を利用して該薄片状結晶を一層ずつ層間剥離し且つ安定に分散することが可能になる。例えば、ポリアミド(PA)は分子鎖中に極性基を有することから層状珪酸塩の層間剥離に有利であり、高分子ナノ複合材料化して性能向上を図るのに好適である。特公平8−22946号公報には、ポリアミドを含む樹脂と該樹脂中に均一にかつ分子レベルの厚さの単位で分散させた珪酸塩層とからなる複合材料が、機械的強度及び耐熱性に優れた性能を示す高分子ナノ複合材料として開示されている。
【0004】
これに対し、実質的に極性基を有しない有機高分子材料(本発明で『非極性有機高分子材料』と称する)では層状無機材料との相互作用が期待できないため、層状珪酸塩の層間剥離や安定分散に不利であり、無機材料のナノレベルでの分散は困難であると考えられてきた。このような非極性有機高分子材料としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エポキシ樹脂等が挙げられる。一般に非極性有機高分子材料の多くは汎用樹脂として利用価値は高く、上記困難を克服できれば、汎用樹脂の高分子ナノ複合材料化が可能となり、工業的、経済的に多くの利点をもたらすものと期待される。
【0005】
このため近年、上記困難を克服するための種々の試みがなされている。例えば、特開平9−183910号公報には、結晶性熱可塑性樹脂に核剤として層状珪酸塩を分子レベルで分散させて、機械的、熱的性質を改良した、結晶性熱可塑性樹脂組成物が開示されている。また特開平10−182892号公報には、官能基を含有するポリオレフィン系オリゴマーと、該官能基に水素結合した有機化層状粘土鉱物と、該オリゴマーと有機化層状粘土鉱物を分散させたポリオレフィン樹脂のマトリックスよりなる粘土複合材料が開示されており、機械的性質が顕著に改善されることが報告されている。特開2002−60555号公報には、ポリオレフィン系樹脂及び有機化層状珪酸塩からなるポリオレフィン系複合材料が、弾性率、耐熱性、ガスバリア性、難燃性等を改良できる材料として開示されている。特表2002−506906号公報には、通常のポリオレフィンに比べて向上した特性を示す複合材料として、ポリオレフィン中に層状金属酸化物または金属酸化物塩に由来するナノ充填材粒子が分散しているポリオレフィンナノ複合体が開示されている。
【0006】
これら従来技術は、層間剥離によって薄片状結晶をナノ分散させるために、層状無機材料を有機変性したり或いは有機高分子材料に極性基を付加する等の方法を用いて有機高分子材料を層間挿入し易くした後溶融混練法等で有機高分子材料を強制的に層間挿入する方法を用いたり、或いは有機高分子材料の重合時に有機化処理した層状無機材料を共存させて重合と同時に層間剥離を行って薄片状結晶を分散させる方法を用いる。しかしながら、そもそも薄片状結晶を極性相互作用を利用せずに層間剥離し且つ安定的に非極性有機高分子材料に分散すること自体に無理があることから、いずれの従来技術においてもナノオーダーの分散を充分安定して得られないという欠点があった。また溶融混練法等の強制的に有機高分子材料を層状無機材料の層間に挿入する方法を用いる場合、有機高分子材料に高いせん断力を与えるため、有機高分子材料の劣化等の好ましからざる影響も懸念される。また、層状無機材料を有機化したり、有機高分子材料に官能基を付加したりすることは、余分な処理工程が増えることから、時間的にも経済的にも消費が大きく、また異物や不純物が入り込む確率が高くなり、さらには該処理により有機高分子材料が化学的に変性・劣化してしまう等、幾多の欠点を有していた。
【0007】
一方で、このように極性を有する薄片状結晶が積層された層状珪酸塩の代わりに、実質的に極性を有しない無機材料、例えばシリカ、アルミナ、マグネシア、ゼオライト等を用いた高分子ナノ複合材料も公知である。この場合、無機材料の分散方法としては、溶融混練法等が用いられる。しかしながら、極性相互作用を利用せずして無機材料を平均粒径100nm以下に超微粒子化し且つ安定的に分散させることは、容易ではない。従来技術の中にはシリカを無機材料として超微粒子化して分散させた例も見受けられるが、その場合、シリカ表面に存在する水酸基との相互作用を利用してシリカを分散させる方法、具体的にはゾル−ゲル法が用いられる。従ってそのようなゾル−ゲル法に適用可能な有機高分子材料としては、例えばポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ヒドロキシプロプルセルロース(HPC)、ポリフッ化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリウレタン(PU)等の水素結合性を有する有機高分子材料に限定され、非極性有機高分子材料を用いることは困難であった。
【0008】
さらに従来技術における高分子ナノ複合材料では、高機能・高性能化を実現するために必要な無機材料の量は、少なくとも1重量%であり、通常数重量%以上、時には10重量%以上もの無機材料が必要であった。このように従来技術では多量の無機材料を必要であり、一般に有機高分子材料に比べ無機材料の比重が高いことから、該高分子ナノ複合材料の重量は重くなる傾向にあった。これは、省エネルギー化のために強く求められている材料の軽量化という社会的要請に背くものであり、また多量の無機材料を含有せしめるほど、当該高分子ナノ複合材料の樹脂的性質、特に溶融粘弾性、溶融流動性、成形性等が悪影響を受け、樹脂本来の持つ性質を次第に発揮できなくなるという欠点もあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の欠点を改良するものであり、機械的特性、熱的特性、光学的特性等に優れた非極性有機高分子材料の高分子ナノ複合材料を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術の欠点を改良し非極性有機高分子材料を用いた高分子ナノ複合材料を実現すべく鋭意研究を重ねた結果、非極性有機高分子材料を特定の原材料及び方法を用いて製造した触媒系で重合すると、驚くべきことに、無機材料の含有量が比較的少量でも、機械的特性、熱的特性、光学的特性等が特段に優れた高分子ナノ複合材料が非極性有機高分子材料において得られることを見出し、本発明を成すに至った。
【0011】
即ち、本発明は、
非極性有機高分子材料中に、非層状構造を有し且つ平均粒径が1nm以上300nm以下の無機材料を0.001重量%以上1重量%未満含有することを特徴とする高分子ナノ複合材料であり、
さらには、
非層状構造を有し且つ一次粒子の平均粒径が1nm以上100nm以下の無機材料に、
(A)環状アニオン配位子がη結合してなる遷移金属を含む遷移金属化合物、
(B)該遷移金属化合物(A)と反応して触媒活性を有する金属錯体を形成することが可能である活性化化合物、
及び、必要に応じて
(C)下記の式(1):
【化2】
(式中、
Mは周期表第1族〜第15族に属する元素群から選ばれる元素を表し、Rは各々独立して、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表し、Xは、各々独立して、ハライド、ヒドリドまたは炭素数1〜10のアルコキシド基を表し、mはMの形式酸化数であり、nは1〜mの整数であって、mは上で定義した通りである)
で表される有機金属化合物、
とからなるメタロセン触媒を担持した担持触媒を用い、オレフィンを単独重合または2種以上のオレフィンを共重合することを特徴とする高分子ナノ複合材料の製造方法である。
【0012】
本発明の高分子ナノ複合材料は、機械的特性、熱的特性、光学的特性等に特段に優れており、射出、中空、押出、延伸、発泡、フィルム、ラミネーション等の幅広い成形分野に適用でき、高性能、高機能の有機高分子材料の成形体を得ることができる。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の非極性有機高分子材料とは、極性基を全く含まないか又は含んでいたとしてもその量はごく僅かであり実質的に含まないのと同等の化学的性質を示す有機高分子材料をいう。本発明の非極性有機高分子材料に含まれる極性基の量は、0.1重量%以下であり、好ましくは0.01重量%以下であり、更に好ましくは0.001重量%以下である。また本発明で、極性基とは極性を有する官能基を意味し、例えば、アセチル基、アミノ基、イミノ基、エステル基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、ニトリロ基、ニトロ基、ヒドロキシル基等が例示される。
このような非極性有機高分子材料としては、例えばオレフィン重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ブタジエン系重合体、イソプレン系重合体等が挙げられ、特にオレフィン重合体は好適である。
【0014】
本発明でオレフィン重合体とは、オレフィンの単独重合体、2種以上のオレフィンの共重合体の群から選ばれ、それらの混合物であってもよい。そのようなオレフィン重合体として、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等が例示される。
本発明ではオレフィンは、炭素数2乃至20のα−オレフィン、炭素数3乃至20の環状オレフィン、ビニル基を有する環式炭化水素化合物、及び炭素数4乃至20の直鎖状、分岐状または環状のジエンよりなる群から選ばれる。
【0015】
本発明で、炭素数2乃至20のα−オレフィンは、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンよりなる群から選ばれ、炭素数3乃至20の環状オレフィンが、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及び2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンよりなる群から選ばれ、ビニル基を有する環式炭化水素化合物が、例えば、スチレン、ビニルシクロヘキサンであり、炭素数4乃至20の直鎖状、分岐状または環状のジエンが、例えば、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、及びシクロヘキサジエンよりなる群から選ばれる。
【0016】
本発明でポリエチレンとは、エチレンの単独重合体及びエチレンとエチレン以外のオレフィンとの共重合体の群から選ばれ、またこれらの混合物であっても良い。本発明のポリエチレンは、その構成単位であるエチレンユニット−(−CH2 −CH2 −)−を50モル%以上含む。
本発明のポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体及びプロピレンとプロピレン以外のオレフィンとの共重合体から選ばれ、それらの混合物であっても良く、また該共重合体は、ブロック共重合体或いはランダム共重合体であっても良い。本発明のポリプロピレンは、その構成単位であるプロピレンユニット−(−CH2 −C(CH3 )H−)−を50モル%以上含む。
本発明のポリスチレンとは、スチレンの単独重合体、或いはスチレンとスチレン以外のオレフィンとの共重合体の群から選ばれ、これらの混合物であっても良い。本発明のポリスチレンは、その構成単位であるスチレンユニット−(−CH2 −C(C6 H5 )H−)−を50モル%以上含む。
【0017】
本発明のブタジエン系重合体は、ブタジエンの単独重合体、或いはブタジエンとオレフィンとの共重合体、或いはブタジエンと他のジエンとの共重合体、或いはブタジエンと例えばスチレンのようなビニル基を有する芳香族炭化水素化合物との共重合体、或いはそれらの水添物の群から選ばれる。
本発明のオレフィン重合体は、溶液重合、懸濁重合、気相重合等の公知の方法を用いて重合できる。
本発明の無機材料は、非層状構造を有する。本発明で非層状構造とは、薄片状結晶が積層した構造以外の構造をいう。本発明の無機材料は、粒子形状が板状ではなく、薄片状結晶が積層した構造ではないため、層状珪酸塩のように薄片状結晶に邂逅することはできない。本発明で薄片状結晶とは、結晶の長径と厚みの比が10以上の板状の結晶をいう。
【0018】
本発明の高分子ナノ複合材料中に含まれる無機材料は、平均粒径が1nm以上であり、また300nm以下である。本発明では、該無機材料の平均粒径は、好ましくは5nm以上であり、より好ましくは10nmよりも大きく、さらに好ましくは30nmよりも大きい。また、該無機材料の平均粒径が300nmを超えると、その効果は低下し、高性能化や高機能化等を充分達成できなくなる。本発明では、高分子ナノ複合材料中に含まれる無機材料の平均粒径は、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは150nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下であり、よりさらに好ましくは70nm以下であり、最も好ましくは50nm以下である。本発明の高分子ナノ複合材料中に含まれる無機材料の平均粒径の範囲は、例えば1nm以上300nm以下であり、好ましくは5nm以上200nm以下であり、より好ましくは10nm超150nm以下であり、さらに好ましくは30nm超100nm以下である。
【0019】
一般に無機材料の粉体の一粒一粒は、一次粒子が凝集してできたものであることが多い。無機材料の粉体が一次粒子の凝集体であることは、電子顕微鏡で観察することができる。
本発明でいう一次粒子とは、無機材料の粉体を構成する最小の粒子をいう。
本発明では、無機材料の一次粒子の平均粒径は、1nm以上であることが好ましい。本発明の該一次粒子の平均粒径は、より好ましくは5nm以上であり、最も好ましくは10nmよりも大きい。また本発明の無機材料の一次粒子の平均粒径は、100nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以下であり、好ましくは30nm以下である。本発明の該一次粒子の平均粒径の範囲は、例えば1nm以上100nm以下であることが好ましく、より好ましくは5nm以上50nm以下であり、さらに好ましくは10nm超30nm以下である。
【0020】
本発明では、無機材料ができるだけ一次粒子の粒径まで邂逅され且つ安定的に分散されることが望ましい。しかしながら、高分子ナノ複合材料中に含まれる無機材料が、実態として一次粒子が凝集した粒子として存在していても構わない。
本発明で高分子ナノ複合材料中に含まれる無機材料の平均粒径は、高分子ナノ複合材料の断面を電子顕微鏡で観察し、該複合材料に含まれる多数の無機材料の粒径を計測し数平均を算出することで求めることができる。
本発明の高分子ナノ複合材料は、無機材料を0.001重量%以上含有する。
【0021】
無機材料の含有量が0.001重量%未満であると、無機材料を含有せしめ高性能化や高機能化を達成する目的を充分果たすことができない。無機材料の含有量が増えるに従い、その効果は拡大する。本発明の無機材料の含有量は、好ましくは0.005重量%以上であり、より好ましくは、0.01重量%以上である。本発明の高分子ナノ複合材料が含有する無機材料の量は、1重量%未満が好ましい。無機材料の含有量が1重量%以上になると、無機材料同士の再凝集や分散不良等が生じ、性能及び機能の向上効果が得られないばかりか、逆に低下することもあり得る。また、一般に無機材料が高価であることから、むやみに無機材料の含有量を増やすことは、経済的にも不利である。本発明の無機材料の量は、好ましくは0.5重量%以下であり、より好ましくは0.1重量%以下であり、さらに好ましくは0.05重量%以下である。本発明の高分子ナノ複合材料が含有する無機材料の含有量の範囲は、例えば0.001重量%以上1重量%未満であり、好ましくは0.005重量%以上0.5重量%以下であり、より好ましくは0.01重量%以上0.1重量%以下であり、さらに好ましくは0.01重量%以上0.05重量%以下である。
【0022】
本発明の高分子ナノ複合材料は、非層状構造を有し且つ一次粒子の平均粒径が1nm以上100nm以下の無機材料に触媒を担持した触媒系を用い、非極性有機高分子材料を重合することによって製造できる。
本発明で用いられる触媒としては、例えばチーグラー触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒等が挙げられ、特にメタロセン触媒が好適である。
【0023】
本発明のメタロセン触媒は、
(A)環状アニオン配位子がη結合してなる遷移金属を含む遷移金属化合物、
(B)該遷移金属化合物(A)と反応して触媒活性を有する金属錯体を形成することが可能である活性化化合物、
及び、必要に応じて
(C)下記の式(1):
【化3】
(式中、
Mは周期表第1族〜第15族に属する元素群から選ばれる元素を表し、Rは各々独立して、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表し、Xは、各々独立して、ハライド、ヒドリドまたは炭素数1〜10のアルコキシド基を表し、mはMの形式酸化数であり、nは1〜mの整数であって、mは上で定義した通りである)
で表される有機金属化合物、
とからなる。
【0024】
本発明のメタロセン触媒は、その一つの成分として
(A)環状アニオン配位子がη結合してなる遷移金属を含む遷移金属化合物[以下、しばしば「成分(A)という」]
を含む。
本発明の成分(A)の例としては、下記の式(2)で表される化合物を挙げることができる:
【化4】
(式中、
Lは、各々独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、及びオクタヒドロフルオレニル基からなる群より選ばれるη結合性環状アニオン配位子を表し、該配位子は場合によっては1〜8個の置換基を有し、該置換基は各々独立して炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のハロゲン置換炭化水素基、炭素数1〜12のアミノヒドロカルビル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜12のジヒドロカルビルアミノ基、炭素数1〜12のヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基であり;
Mは、形式酸化数が+2、+3または+4の周期表第4族に属する遷移金属群から選ばれる遷移金属であって、少なくとも1つの配位子Lにη5 結合している遷移金属を表し;Wは、50個までの非水素原子を有する2価の置換基であって、LとMとに各々1価ずつの価数で結合し、これによりL及びMと共働してメタロサイクルを形成する2価の置換基を表し;
Xは、各々独立して、1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、及びLとMとに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子からなる群より選ばれる、60個までの非水素原子を有するアニオン性σ結合型配位子を表し;
X’は、各々独立して、40個までの非水素原子を有する中性ルイス塩基配位性化合物を表し;
jは1または2であり、但し、jが2である時、場合によっては2つの配位子Lが、20個までの非水素原子を有する2価の基を介して互いに結合し、該2価の基は炭素数1〜20のヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のハロヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンオキシ基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンアミノ基、シランジイル基、ハロシランジイル基及びシリレンアミノ基からなる群より選ばれる基であり;kは0または1であり;
pは0、1または2であり、但し、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子、またはLとMとに結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数より1以上小さい整数であり、またXがMにのみ結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数より(j+1)以上小さい整数であり;
qは0、1または2である)。
【0025】
上記式(2)の化合物中の配位子Xの例としては、ハライド、炭素数1〜60の炭化水素基、炭素数1〜60のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜60のヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜60のヒドロカルビルフォスフィド基、炭素数1〜60のヒドロカルビルスルフィド基、シリル基、これらの複合基等が挙げられる。
上記式(2)の化合物中の中性ルイス塩基配位性化合物X’の例としては、フォスフィン、エーテル、アミン、炭素数2〜40のオレフィン、炭素数1〜40のジエン、これらの化合物から誘導される2価の基等が挙げられる。
本発明の成分(A)としては、前記式(2)(ただし、j=1)で表される遷移金属化合物が好ましい。
【0026】
前記式(2)(ただし、j=1)で表される化合物の好ましい例としては、下記の式(3)で表される化合物が挙げられる:
【化5】
(式中、
Mは、チタン、ジルコニウム及びハフニウムからなる群より選ばれる遷移金属であって、形式酸化数が+2、+3または+4である遷移金属を表し;
R3 は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン原子及びこれらの複合基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基を表し、但し、該置換基R3 が炭素数1〜8の炭化水素基、シリル基またはゲルミル基である時、場合によっては2つの隣接する置換基R3 が互いに結合して2価の基を形成し、これにより該2つの隣接する該置換基R3 にそれぞれ結合するシクロペンタジエニル環の2つの炭素原子間の結合と共働して環を形成し;
X″は、各々独立して、ハライド、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜18のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜18のヒドロカルビルアミノ基、シリル基、炭素数1〜18のヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜18のヒドロカルビルフォスフィド基、炭素数1〜18のヒドロカルビルスルフィド基及びこれらの複合基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基を表し、但し、場合によっては2つの置換基X″が共働して炭素数4〜30の中性共役ジエンまたは2価の基を形成し;
Yは、− O− 、− S− 、− NR* − または− PR* − を表し、但し、R* は、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1〜8のヒドロカルビルオキシ基、シリル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基、またはこれらの複合基を表し;
ZはSiR* 2 、CR* 2 、SiR* 2 SiR* 2 、CR* 2 CR* 2 、CR* =CR* 、CR* 2 SiR* 2 またはGeR* 2 を表し、但し、R* は上で定義した通りであり;
nは1、2または3である)。
【0027】
前記式(2)(ただし、j=1)で表される化合物のさらに好ましい例としては、下記の式(4)または(5)で表される化合物が挙げられる:
【化6】
【化7】
(式中、
Mは、チタン、ジルコニウム及びハフニウムからなる群より選ばれる遷移金属であって、形式酸化数が+2、+3または+4である遷移金属を表し;
R3 は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン原子及びこれらの複合基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基を表し、但し、置換基R3 が炭素数1〜8の炭化水素基、シリル基またはゲルミル基である時、場合によっては2つの隣接する置換基R3 は互いに結合して2価の基を形成し、これにより該2つの隣接する該置換基R3 とそれぞれ結合するシクロペンタジエニル環の2つの炭素原子間の結合と共働して環を形成し;
Xは、各々独立して、ハライド、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシ基、炭素数2〜12のジ(ヒドロカルビル)アミド基、炭素数2〜12のジ(ヒドロカルビル)フォスフィド基、炭素数1〜12のヒドロカルビルスルフィド基、シリル基及びこれらの複合基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基、またはアリル基、2− (N,N− ジメチルアミノメチル)フェニル基及び2− (N,N− ジメチルアミノ)ベンジル基からなる群より選ばれる安定化アニオン配位子、または炭素数4〜30の共役ジエンに由来する2価の基を表し、但し、場合によっては該2価の基XとMとが共働してメタロシクロペンテン基を形成し;
X’は、各々独立して、非置換または少なくとも1つの炭素数1〜12の炭化水素基で置換された、40個までの炭素原子を有する中性の共役または非共役ジエンであって、Mと共働してπ型錯体を形成するジエンを表し;
Yは、− O− 、− S− 、− NR* − または− PR* − を表し、但し、R* は、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1〜8のヒドロカルビルオキシ基、シリル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基またはこれらの複合基を表し;
ZはSiR* 2 、CR* 2 、SiR* 2 SiR* 2 、CR* 2 CR* 2 、CR* =CR* 、CR* 2 SiR* 2 またはGeR* 2 を表し、但し、R* は上で定義した通りであり;
pは0、1または2であり;
qは0または1であり、但し:
pが2で且つqが0である時は、Mの形式酸化数は+4であり、且つXは、各々独立して、ハライド、炭素数1? 20の炭化水素基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシ基、炭素数2〜12のジ(ヒドロカルビル)アミド基、炭素数2〜12のジ(ヒドロカルビル)フォスフィド基、炭素数1〜12のヒドロカルビルスルフィド基、シリル基及びこれらの複合基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基を表し;
pが1で且つqが0である時は、Mの形式酸化数は+3であり、且つXはアリル基、2− (N,N− ジメチルアミノメチル)フェニル基及び2− (N,N− ジメチルアミノ)ベンジル基からなる群より選ばれる安定化アニオン配位子を表すか、または、Mの形式酸化数は+4であり、且つXは炭素数4〜30の共役ジエンに由来する2価の基を表すか、あるいはXとMとが共働してメタロシクロペンテン基を形成し;
pが0で且つqが1である時は、Mの形式酸化数は+2であり、且つX’は非置換または少なくとも1つの炭素数1〜12の炭化水素基で置換された、40個までの炭素原子を有する中性の共役または非共役ジエンを表し、該共役ジエンはMと共働してπ型錯体を形成する)。
【0028】
前記式(2)(ただし、j=1)で表される化合物の最も好ましい例としては、下記の式(6)で表される化合物が挙げられる。
【化8】
(式中、
Mはチタンを表し;
Xは、s− トランス− η4−1,4− ジフェニル− 1,3− ブタジエン、s− トランス− η4−3− メチル− 1,3− ペンタジエン、s− トランス− η4−1,4− ジベンジル− 1,3− ブタジエン、s− トランス− η4−2,4− ヘキサジエン、s− トランス− η4−1,3− ペンタジエン、s− トランス− η4−1,4− ジトリル− 1,3− ブタジエン、及びs− トランス− η4−1,4− ビス(トリメチルシリル)− 1,3− ブタジエンからなる群より選ばれるs− トランスジエン、またはs− シス− η4−1,4− ジフェニル− 1,3− ブタジエン、s− シス− η4−3− メチル− 1,3− ペンタジエン、s− シス− η4−1,4− ジベンジル− 1,3− ブタジエン、s− シス− η4−2,4− ヘキサジエン、s− シス− η4−1,3− ペンタジエン、s− シス− η4−1,4− ジトリル− 1,3− ブタジエン、及びs− シス− η4−1,4− ビス(トリメチルシリル)− 1,3− ブタジエンからなる群より選ばれるs− シスジエンであって、Mと共働してπ型錯体を形成するs− シスジエンを表し;
R3 は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、シリル基及びこれらの複合基からなる群より選ばれる置換基を表し、但し、置換基R3 が炭素数1〜10の炭化水素基またはシリル基である際には、場合によっては2つの隣接する置換基R3 は互いに結合して2価の基を形成し、これにより該2つの隣接する置換基R3 にそれぞれ結合するシクロペンタジエニル環の2つの炭素原子間の結合と共働して環を形成し;
R3 ′は炭素数1〜10のヒドロカルビル基を表し;
R3 ″は、各々独立して、水素原子または炭素数1〜10のヒドロカルビル基を表し;
Eは、各々独立して珪素原子または炭素原子を表し;
mは1または2である)。
【0029】
上でXとして挙げられた各ジエン類は非対称構造を有する。一般に、上記の各ジエン類は幾何異性体の混合物の形で存在する。
上記式(6)中の基R3 ′の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基ならびにその異性体、シクロドデシル基、ノルボルニル基、ベンジル基等のアルキル基;及びフェニル基が挙げられる。
式(6)中の基ER3 ″の例としては、ジメチルシランジイル基、エタンジイル基等が挙げられる。
式(6)中の環状の非局在化された(delocalized) π型結合基の例としては、シクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、オクタヒドロフルオレニル基等が挙げられる。
【0030】
本発明において用いられる成分(A)の具体例としては、以下に示すような化合物が挙げられる:
[(N− t− ブチルアミド)(テトラメチル− η5−シクロペンタジエニル)− 1,2− エタンジイル]チタニウムジメチル、[(N− t− ブチルアミド)(テトラメチル− η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N− メチルアミド)(テトラメチル− η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N− フェニルアミド)(テトラメチル− η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N− ベンジルアミド)(テトラメチル− η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N− t− ブチルアミド)(η5−シクロペンタジエニル)− 1,2− エタンジイル]チタニウムジメチル、[(N− t− ブチルアミド)(η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N− メチルアミド)(η5−シクロペンタジエニル)− 1,2− エタンジイル]チタニウムジメチル、[(N− メチルアミド)(η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N− t− ブチルアミド)(η5−インデニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、及び[(N− ベンジルアミド)(η5−インデニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル。
【0031】
本発明において用いられる成分(A)の具体例としては、さらに、成分(A)の具体例として上に挙げた各化合物の名称の「ジメチル」の部分(これは、各化合物の名称末尾の部分と「チタニウム」という部分の直後とに現れているものであり、前記式(3)中のX″の部分に対応する名称である)を、以下に掲げる任意のものに替えてできる名称を持つ化合物も挙げられる:「ジベンジル」、「2− (N,N− ジメチルアミノ)ベンジル」、「2− ブテン− 1,4− ジイル」、「s− トランス− η4−1,4− ジフェニル− 1,3− ブタジエン」、「s− トランス− η4−3− メチル− 1,3− ペンタジエン」、「s− トランス− η4−1,4− ジベンジル− 1,3− ブタジエン」、「s− トランス− η4−2,4− ヘキサジエン」、「s− トランス− η4−1,3− ペンタジエン」、「s− トランス− η4−1,4− ジトリル− 1,3− ブタジエン」、「s− トランス− η4−1,4− ビス(トリメチルシリル)− 1,3− ブタジエン」、「s− シス− η4−1,4− ジフェニル− 1,3− ブタジエン」、「s− シス− η4−3− メチル− 1,3− ペンタジエン」、「s− シス− η4−1,4− ジベンジル− 1,3− ブタジエン」、「s− シス− η4−2,4− ヘキサジエン」、「s− シス− η4−1,3− ペンタジエン」、「s− シス− η4−1,4− ジトリル− 1,3− ブタジエン」、及び「s− シス− η4−1,4− ビス(トリメチルシリル)− 1,3− ブタジエン」。
【0032】
本発明において用いられる遷移金属化合物(A)は、一般に公知の方法で合成できる。本発明において成分(A)として用いられる遷移金属化合物の好ましい合成法の例としては、米国特許第5,491,246号明細書に開示された方法を挙げることができる。
【0033】
また、本発明の成分(A)の他の具体例としては、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(インデニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナト)ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジフェニルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナト)、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルシクロペンタジエニル、メチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、メチレンビス(インデニル)ジフェニルジルコニウム、メチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナト)、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、メチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナト)、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)シクロヘキシルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナト)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム(メタンスルホナト)、ビス(メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド等も挙げられる。
【0034】
また、本発明のメタロセン触媒は、その成分として
(B)該遷移金属化合物(A)と反応して触媒活性を有する金属錯体を形成することが可能である活性化化合物[以下、しばしば「成分(B)という」]
を含む。
本発明のメタロセン触媒では、成分(A)と成分(B)との反応によって金属錯体が形成され、この金属錯体が高いオレフィン重合活性を示す触媒活性種として働く。
【0035】
本発明の成分(B)としては、例えば下記の式(7)で表される化合物を挙げることができる:
【化9】
(式中、
[L− H]d+はプロトン供与性のブレンステッド酸を表し、但し、Lは中性のルイス塩基を表し、
dは1〜7の整数であり;
[Mm+Qp ] d−は両立性の非配位性アニオンを表し、但し、Mは、周期表第5族〜第15族のいずれかに属する金属またはメタロイドを表し、
Qは、各々独立して、ヒドリド、ハライド、炭素数2〜20のジヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基、及び炭素数1〜40の置換された炭化水素基からなる群より選ばれ、但し、ハライドであるQの数は1以下であり、
mは1〜7の整数であり、
pは2〜14の整数であり、
dは上で定義した通りであり、
p− m=dである。)
【0036】
本発明の成分(B)の好ましい例としては、下記の式(8)で表される化合物を挙げることができる:
【化10】
(式中、
[L− H]d+はプロトン供与性のブレンステッド酸を表し、但し、Lは中性のルイス塩基を表し、
dは1〜7の整数であり;
[Mm+Qn [ Gq ( T− H) r ] z ] d−は両立性の非配位性アニオンを表し、但し、Mは、周期表第5族〜第15族のいずれかに属する金属またはメタロイドを表し、
Qは、各々独立して、ヒドリド、炭素数2〜20のジアルキルアミド基、炭素数1〜20のアルコキシド基、炭素数6〜30のアリールオキシド基、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜40のハロゲン置換炭化水素基及び炭素数1〜40のヒドロカルビル− またはハロヒドロカルビル− 置換オルガノメタロイド基からなる群より選ばれ、但し、ハライドであるQの数は1以下であり、
Gは、各々独立して、(r+1)価の炭素数1〜30の多価炭化水素基を表し、Tは、− O− 、− S− 、− NR− または− PR− を表し、但し、Rは、水素原子、炭素数1〜12のヒドロカルビル基、炭素数1〜8のトリヒドロカルビルシリル基または炭素数1〜8のトリヒドロカルビルゲルマニウム基を表し;
mは1〜7の整数であり、
nは0〜7の整数であり、
qは0または1であり、
rは1〜3の整数であり、
zは1〜8の整数であり、
dは上で定義した通りであり、
n+z− m=dである。)
式(8)中の基Gが二価の基である場合には、基GはM及びTの両方に結合することが好ましい。
【0037】
本発明で用いられる成分(B)のさらに好ましい例として、下記の式(9)で表される化合物を挙げることができる:
【化11】
(式中、
[L− H]+ はプロトン供与性のブレンステッド酸を表し、但し、Lは、炭素、窒素、リンまたは硫黄を含有する中性のルイス塩基を表し;
[BQ3 Q′] − は両立性の非配位性アニオンを表し、但し、Qは、各々独立して、非置換または炭素数6〜0の炭化水素基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された炭素数6〜20のアリール基を表し、Q′は、水酸基で置換された炭素数6〜20のアリール基を表す。)
【0038】
上記式(9)において、Lは下記の式で表される化合物であることが好ましい:
MRn
(式中、
Mは炭素、窒素、リンまたは硫黄を表し;
Rは、各々独立して、水素、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリール基を表し、但し、2つの基Rが炭素数1〜30の直鎖状または分岐状のアルキル基である場合、該2つの基RはMと共同して環を形成してもよい;
nは2または3であり、但し、nが2であるときは、Mは炭素または硫黄を表し、nが3であるときは、Mは窒素またはリンを表す。)
【0039】
本発明において用いられるプロトン供与性のブレンステッド酸の具体例としては、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(n− ブチル)アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリ(t− ブチル)アンモニウム、トリ(オクチル)アンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム、ジブチルエチルアンモニウム、ジヘキシルメチルアンモニウム、ジオクチルメチルアンモニウム、ジデシルメチルアンモニウム、ジドデシルメチルアンモニウム、ジテトラデシルメチルアンモニウム、ジヘキサデシルメチルアンモニウム、ジオクタデシルメチルアンモニウム、ジイコシルメチルアンモニウム、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム等の、アンモニウムカチオンの4個のプロトンのうち3個をアルキル基で置換して得られるトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N− ジメチルアニリニウム、N,N− ジエチルアニリニウム、N,N− 2,4,6− ペンタメチルアニリニウム、N,N− ジメチルベンジルアニリニウム等のN,N− ジアルキルアニリニウムカチオン等が挙げられる。プロトン供与性のブレンステッド酸の具体例としては、さらに、ジ(i− プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム等のジアルキルアンモニウムカチオン;トリフェニルフォスフォニウム、トリ(メチルフェニル)フォスフォニウム、トリ(ジメチルフェニル)フォスフォニウム等のトリアリールフォスフォニウムカチオン;ジメチルスルフォニウム、ジエチルスルフォニウム等のジアルキルスルフォニウムカチオン;フェニルスルフォニウム等のジアリールスルフォニウムカチオン等が挙げられる。
【0040】
本発明において用いられる両立性の非配位性アニオンの具体例としては、下記のアニオンが挙げられる:トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニルジ(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4− ジヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(p− トリル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(2,4− ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5− ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5− ジ− トリフルオリメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(2− ヒドロキシエチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4− ヒドロキシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4− ヒドロキシシクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)[4− (4´− ヒドロキシフェニル)フェニル]ボレート、及びトリス(ペンタフルオロフェニル)(6− ヒドロキシ− 2− ナフチル)ボレート。
これらの硼酸塩化合物の中で、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレートが最も好ましい。
【0041】
本発明において用いられる両立性の非配位性アニオンの具体例としてさらに、上に例示された硼酸塩の水酸基をNHR基(ここで、Rは、メチル基、エチル基またはtert− ブチル基を表す)に置換することによって得られる硼酸塩が挙げられる。
本発明において、式(7)乃至(9)で表される成分(B)のモル量は、好ましくは成分(A)のモル量の0.8〜5倍が好ましく、より好ましくは1〜2倍である。
【0042】
本発明の成分(B)の他の例としては、以下の式(10)で表されるユニットを含む有機金属オキシ化合物が挙げられる。
【化12】
(ただし、Mは周期律表第13族乃至第15族の金属またはメタロイドであり、Rは各々独立に炭素数1乃至12の炭化水素基又は置換炭化水素基であり、nは金属Mの価数であり、mは2以上の整数である。)
【0043】
本発明の成分(B)の好ましい例は、例えば次式で示されるユニットを含む有機アルミニウムオキシ化合物である。
【化13】
(但し、Rは炭素数1乃至8のアルキル基であり、mは2乃至100の整数である。)
本発明の成分(B)の最も好ましい例は、例えば次式で示されるユニットを含むメチルアルモキサンである。
【化14】
(但し、mは2乃至100の整数である。)
【0044】
本発明で上記式(10)乃至(12)で表される成分(B)の使用量は、成分(A)の1倍モル相当量以上であり、好ましくは成分(A)の5倍モル相当量以上であり、より好ましくは10倍モル相当量以上であり、また1000倍モル相当量以下であり、好ましくは500倍モル相当量以下であり、より好ましくは100倍モル相当量以下である。
本発明において、成分(B)のモル数は成分(B)に含まれる金属またはメタロイドのモル数換算である。例えば、成分(B)に1モルの金属またはメタロイドが含まれている場合、成分(B)のモル数は1モルである。この時、当然ながら、成分(B)の金属またはメタロイドのモル数は、成分(B)の1分子中に含まれているモル数を示しているわけではなく、分子の集合体全体に含まれるモル数をいう。
【0045】
また、本発明のメタロセン触媒は、必要に応じて
(C)下記の式(1):
【化15】
(式中、
Mは周期表第1族〜第15族に属する元素群から選ばれる元素を表し、
Rは各々独立して、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表し、
Xは、各々独立して、ハライド、ヒドリドまたは炭素数1〜10のアルコキシド基を表し、
mはMの形式酸化数であり、
nは1〜mの整数であって、mは上で定義した通りである。)
で表される有機金属化合物[以下、しばしば「成分(C)」という]
を用いる。
【0046】
本発明の成分(C)のより好ましい例としては、成分(C)が上記式(1)で表され、上記式(1)中のMが周期表第2族及び第13〜15族に属する元素群から選ばれる元素を表し、且つ上記式(1)中のR、X、m及びnが上記式(1)で定義した通りである有機金属化合物が挙げられる。
また成分(C)は、上記式(1)で表される複数の種類の化合物の混合物であってもよい。
さらに、本発明の成分(C)の最も好ましい例は、下記の式(13):
【化16】
(式中、
Rは、各々独立して、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表し;
Xは、各々独立して、ハライド、ヒドリドまたは炭素数1〜10のアルコキシド基を表し;
nは1、2または3である。)
で表される化合物である。
【0047】
成分(C)の好ましい形態を表す上記式(13)中の基Rの例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。成分(C)の好ましい形態を表す上記式(13)中の基Xの例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、塩素原子等が挙げられる。
【0048】
本発明において用いられる成分(C)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、及びこれらのトリアルキルアルミニウムとメチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール等のアルコールとの反応生成物が挙げられる。そのような反応生成物の例としては、メトキシジメチルアルミニウム、エトキシジエチルアルミニウム、ブトキシジブチルアルミニウム等が挙げられる。このような反応生成物を製造する際、トリアルキルアルミニウムとアルコールとの混合比は、Al/OHのモル比で、0.3〜20の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.5〜5であり、さらに好ましくは0.8〜3である。混合比がAl/OHのモル比で1としたアルキルアルミニウムとアルコールとの反応により得られる反応生成物の典型的な例としては、メトキシジメチルアルミニウム、エトキシジメチルアルミニウム、エトキシジエチルアルミニウム等を挙げることができる。
【0049】
本発明において、成分(C)の特に好ましい具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム等が挙げられる。本発明において成分(C)のモル量は、成分(B)のモル量の0.05〜20倍であることが好ましい。成分(C)のより好ましいモル量は、成分(B)のモル量の0.07〜2倍であり、さらに好ましくは0.1〜1倍であり、最も好ましくは0.2〜0.8倍のモル量である。
【0050】
本発明では、触媒を担体に担持して用いる。
本発明では、触媒を担持する担体には、本発明の非極性有機高分子材料中に含有せしめる無機材料を用いる。従って、本発明で触媒を担持するために用いる無機材料は、非層状構造を有する。
本発明では、このように触媒を無機材料に担持した担持触媒を用いることにより、無機材料を分散させた高分子ナノ複合材料を得ることが可能になる。
また、本発明で触媒を担持するために用いる無機材料の一次粒子の平均粒径は、1nm以上であることが好ましい。本発明の該一次粒子の平均粒径は、より好ましくは5nm以上であり、最も好ましくは10nmよりも大きい。また本発明で触媒を担持するために用いる無機材料の一次粒子の平均粒径は、100nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以下であり、好ましくは30nm以下である。本発明で触媒を担持するために用いる無機材料の一次粒子の平均粒径の範囲は、例えば1nm以上100nm以下であることが好ましく、より好ましくは5nm以上50nm以下であり、さらに好ましくは10nm超30nm以下である。
【0051】
そのような無機材料の例としては、例えばシリカ、アルミナ、マグネシア、塩化マグネシウム、ジルコニア、チタニア、酸化硼素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、五酸化バナジウム、酸化クロム及び酸化トリウム等のような周期律表第2、3、4、13及び14族元素の無機固体酸化物、及びそれらの混合物、並びにそれらの複酸化物から選ばれる少なくとも1種の無機固体酸化物が挙げられる。シリカの複酸化物としては、例えばシリカマグネシア、シリカアルミナ等のようなシリカと周期律表第2族または第13族元素との複酸化物が挙げられる。本発明においては、シリカ、アルミナ、シリカと周期律表第2族または第13族元素との複酸化物が好適であり、特にシリカが好適である。
【0052】
本発明の無機材料は、その形状には特に制限はなく、顆粒状、球状、凝集状、ヒューム状等であっても構わない。本発明の無機材料がシリカである場合、好適なシリカの具体例としては、例えばデグサAG社のAEROSIL(商品名)が挙げられる。
本発明の無機材料としてシリカを使用する場合、一般にシリカは表面に水酸基を有することから、無機材料を使用する前に予め熱処理及び/又は化学処理等を施し、表面から水酸基を除去することが好ましい。
本発明で行う無機材料の熱処理は、不活性雰囲気下若しくは還元雰囲気下で、30℃乃至1000℃の温度で10分乃至50時間加熱することにより行うことができる。
【0053】
また水酸基を除去するため行う化学処理としては、無機材料を有機金属化合物と接触させることが推奨される。この化学処理に用いられる有機金属化合物の例としては、周期表第2族〜第13族に属する元素の化合物等が挙げられる。これらの化合物の中で特に好ましいのは、有機珪素、有機アルミニウム、有機マグネシウム、及び本発明の上記式(10)乃至上記式(12)で表される有機金属オキシ化合物である。
【0054】
無機材料の化学処理に用いられる好ましい有機アルミニウム化合物としては、例えば本発明で前出の上記式(13)で表される化合物が挙げられる:
【化17】
(式中、
Rは、各々独立して、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表し;
Xは、各々独立して、ハライド、ヒドリドまたは炭素数1〜10のアルコキシド基を表し;
nは1、2または3である)。
【0055】
上記式(13)で表される化合物は、単独で使用してもよいし組み合わせて使用してもよい。
上記式(13)中の基Rの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。また上記式(13)中の基Xとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、水素原子、塩素原子等が挙げられる。
【0056】
無機材料の前駆体の化学処理に用いられる有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム化合物、及びこれらのトリアルキルアルミニウム化合物とアルコール(たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール)との反応生成物が挙げられる。そのような反応生成物の例としては、メトキシジメチルアルミニウム、エトキシジエチルアルミニウム、ブトキシジブチルアルミニウム等が挙げられる。このような反応生成物を製造する場合、トリアルキルアルミニウムのアルコールに対する比は、Al/OHのモル比で、0.3〜20の範囲にあることが好ましく、0.5〜5の範囲にあることがさらに好ましく、0.8〜3の範囲にあることがさらに好ましい。
【0057】
無機材料の前駆体の化学処理に用いられる好ましい有機マグネシウム化合物の例として、下記の式(14):
【化18】
(式中、
Rは、各々独立して、炭素数1〜12の直鎖状,分岐状もしくは環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表し;
Xは、各々独立して、ハライド、ヒドリドまたは炭素数1〜10のアルコキシド基を表し;
nは1または2である。)
で表される化合物が挙げられる。
【0058】
上記式(14)で表される化合物は、単独で使用してもよいし異なる2種類の有機マグネシウム化合物を組み合わせて使用してもよい。
上記式(14)中の基Rの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。上記式(14)中の基Xの例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、水素原子、塩素原子等が挙げられる。
【0059】
無機材料の前駆体の化学処理に用いられる有機マグネシウム化合物の具体例としては、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ブチルオクチルマグネシウム等が挙げられる。
無機材料の前駆体を化学処理する場合、上述の有機アルミニウム化合物及び有機マグネシウム化合物は、これらを混合した状態で使用してもよい。
無機材料の前駆体を化学処理する場合、有機金属化合物は、無機材料の前駆体の表面に存在する水酸基のモル量と同じまたはそれより多い量が用いられる。化学処理に用いられる有機金属化合物の上限は、通常は無機材料の表面に存在する水酸基のモル量の10倍量、好ましくは5倍量、さらに好ましくは2倍量、さらに好ましくは1.5倍量、最も好ましくは1.3倍量である。
【0060】
このような化学処理は、不活性炭化水素媒体中で行うことが推奨される。そのような不活性炭化水素媒体としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;及びエチルクロライド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物等を挙げることが出来る。
【0061】
本発明の無機材料特にシリカは、上記化学処理を行うことにより、親水性から疎水性へと改質することができ、この処理により不活性炭化水素媒体中でシリカを邂逅し、微分散させることが有利になる。
本発明では、無機材料の邂逅・分散をより確実に行うために、上記化学処理に用いた以外の化合物として、さらに界面活性剤を加えても構わない。
また本発明ではシリカの化学処理の際に、機械的応力を化学処理と同時に無機材料に付加することが推奨される。そのような機械的応力の付加により、より効果的に一層無機材料の邂逅・分散を進展させることが可能になる。機械的応力を付加する方法としては、例えば攪拌、擂り潰し、超音波分散等の方法が挙げられる。これらの方法は、組み合わせて用いても構わない。このような機械的応力の付加は、無機材料が邂逅・分散するに足る充分なエネルギーと時間を掛けて行うことが推奨される。
本発明では無機材料に上記化学処理を施し、必要に応じて機械的力を付加することにより、無機材料を効果的にナノオーダーで不活性炭化水素媒体中に分散することが可能になる。
【0062】
本発明では、無機材料を分散させた不活性炭化水素媒体に、触媒成分を加え該触媒成分を無機材料に担持する。このように触媒成分を加える場合、成分(A)、成分(B)、必要に応じて成分(C)を順次加えてもよく、或いは予め2成分以上を混合した後加えてもよい。本発明では、成分(B)を加えた後に成分(A)或いは必要に応じて成分(A)と成分(C)の混合物を加えることが、特に推奨される。また、触媒の各成分を一成分ずつ順次加えるか或いは2 種以上の成分を予め混合した後加える場合、攪拌、擂り潰し、超音波等の機械的分散方法を併用することが、触媒の各成分を担持した無機材料の分散に効果的である。
本発明では、このように分散させた無機材料に触媒を担持し、重合することで、非極性有機高分子材料においても高性能・高機能の高分子ナノ複合材料を製造することが可能になる。
【0063】
本発明では一次粒子の平均粒径が1nm以上100nm以下の無機材料を触媒担体として用いることが推奨されるが、その場合、一般にそのような微小な粒径の一次粒子は強く凝集する傾向にあることから、該無機材料を様々な手段を用いて邂逅・分散させて触媒を担持することは、本発明の効果を得るためにも特に重要である。従って本発明では、触媒を担持する無機材料は、できるだけ一次粒子の粒径まで邂逅され且つ安定的に分散されることが望ましい。しかしながら該無機材料が、実態として一次粒子が凝集した粒子に触媒が担持されていても構わない。
【0064】
本発明において、触媒を担持する無機材料の平均粒径は、1nm以上であり50μm以下であることが好ましい。本発明では、該無機材料の平均粒径は、好ましくは5nm以上であり、好ましくは10nmよりも大きく、好ましくは30nmよりも大きい。また、該無機材料の平均粒径は、好ましくは10μm以下であり、好ましくは1μm以下であり、好ましくは500nm以下であり、好ましくは300nm以下であり、好ましくは100nm以下であり、好ましくは70nm以下であり、最も好ましくは50nm以下である。本発明では、触媒を担持する無機材料の平均粒径の範囲は、例えば1nm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは5nm以上10μm以下であり、さらに好ましくは10nm超1μm以下であり、よりさらに好ましくは30nm超500nm以下であり、なおさらに好ましくは30nm超300nm以下であり、よりなお好ましくは30nm超100nm以下であり、よりさらになお好ましくは30nm超70nm以下であり、最も好ましくは30nm超50nm以下である。
【0065】
本発明の触媒の活性は、本発明の高分子ナノ複合材料に含まれる無機材料の含有量と相関している。本発明において、本発明の触媒を用いた重合により生成する非極性有機高分子材料の重量と該触媒の担体である無機材料の重量との比(即ち、非極性有機高分子材料の重量/触媒に含まれる無機材料の重量)で触媒の活性を表した時、該活性は100よりも大きいことが好ましく、より好ましくは200以上であり、さらに好ましくは1,000以上であり、よりさらに好ましくは2,000以上である。また、該活性は100,000以下であることが好ましく、より好ましくは50,000以下であり、さらに好ましくは10,000以下である。本発明の該触媒の活性範囲は、例えば100よりも大きく100,000以下であることが好ましく、より好ましくは200以上50,000以下であり、さらに好ましくは1,000以上10,000以下であり、よりさらに好ましくは2,000以上10,000以下である。
【0066】
本発明の触媒の存在下における重合の具体的な態様について、エチレンの重合を例にとり、さらに詳しく説明する。
本発明のオレフィン重合用触媒を用いて、エチレンを単独重合させるか、あるいはエチレンと炭素数3乃至20のα−オレフィン、炭素数3乃至20の環状オレフィン、ビニル基を有する環式炭化水素化合物、及び炭素数4乃至20の直鎖状、分岐状または環状のジエンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンとを共重合させることができる。
【0067】
本発明で、炭素数3乃至20のα−オレフィンは、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンよりなる群から選ばれ、炭素数3乃至20の環状オレフィンが、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及び2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンよりなる群から選ばれ、ビニル基を有する環式炭化水素化合物が、例えば、スチレン、ビニルシクロヘキサンであり、炭素数4乃至20の直鎖状、分岐状または環状のジエンが、例えば、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、及びシクロヘキサジエンよりなる群から選ばれる。
【0068】
エチレンと上記した各種オレフィン(コモノマー)との共重合により、エチレン重合体の密度や物性を制御可能である。
本発明によるオレフィンの重合は、溶液重合法、懸濁重合法あるいは気相重合法のいずれにおいても実施できる。
懸濁重合法においては、懸濁重合の媒体として不活性炭化水素媒体を用いることができ、さらにオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
かかる不活性炭化水素媒体としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;及びエチルクロライド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、あるいはこれらの混合物等を挙げることが出来る。
【0069】
また本発明では重合の際に、不純物の影響を排除し触媒の高活性を得るために、有機金属化合物を用いることが推奨される。そのような有機金属化合物としては、上記式(10)乃至上記式(14)で表される化合物、或いはそれらの混合物、或いはそれらの複合化合物等が好適である。本発明では、特に複合化合物である有機マグネシウムアルミニウム化合物が推奨される。
このような、本発明のオレフィン重合用触媒を用いたエチレンの重合における触媒フィード量は、例えば1時間当たりに得られる重合体の重量に対して触媒が0.001重量%以上1重量%未満となるように重合系中の触媒濃度を調整することが望ましい。また重合温度は、通常、0℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは65℃以上であり、最も好ましくは70℃以上であり、且つ250℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは110℃以下、最も好ましくは100℃以下の範囲である。
【0070】
本発明で推奨される重合温度の範囲は、0℃以上250℃以下であり、好ましくは50℃以200℃以下であり、より好ましくは60℃以上150℃以下であり、さらに好ましくは65℃以上110℃以下であり、最も好ましくは70℃以上100℃以下である。
重合圧力は、通常、常圧以上、好ましくは2kg/cm2 以上、より好ましくは5kg/cm2 以上であり、また150kg/cm2 以下、好ましくは100kg/cm2 以下、より好ましくは50kg/cm2 以下の条件下である。
本発明で推奨される重合圧力の範囲は、常圧以上150kg/cm2 以下であり、好ましくは2kg/cm2 以上100kg/cm2 以下であり、より好ましくは5kg/cm2 以上50kg/cm2 以下である。
重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行なうことができる。また、重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行なうことも可能である。
【0071】
さらに、例えば、DE3127133.2に記載されているように、得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温度を変化させることによって調節することができる。
なお、本発明では、オレフィン重合用触媒は、上記のような各成分以外にもオレフィン重合に有用な他の成分を含むことができる。
本発明の高分子ナノ複合材料には、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、滑剤、充填剤、熱可塑性樹脂、ゴムなど、通常有機高分子材料に添加、ブレンドされ得る物質を、必要に応じて使用できる。
本発明の高分子ナノ複合材料は、機械的特性、熱的特性、光学的特性等に特段に優れており、射出、中空、押出、延伸、発泡、フィルム、ラミネーション等の幅広い成形分野に適用でき、高性能、高機能の有機高分子材料の成形体を得ることができる。
【0072】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
(トリエチルアルミニウム処理されたシリカの調製)
一次粒子の平均粒子径が約12nmのシリカ[商品名:AEROSIL200日本アエロジル社製]1gをヘキサン40ml中に分散させ、スラリーを得た。
このスラリーにトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1M)を1.5ml加えた後、超音波処理を15分実施した。その後1時間攪拌し、トリエチルアルミニウムで処理されたシリカスラリーを得た。
【0073】
(シリカに担持された触媒の調製)
ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム− トリス(ペンタフルオロフェニル)(4− ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と略称する)1.14gをトルエン10mlに添加して溶解し、ボレートの100mMトルエン溶液を得た。
このボレートのトルエン溶液にジエチルアルミニウムエトキサイドの0.1Mトルエン溶液1mlを室温で加え、さらにトルエンを加えてトルエン溶液中のボレート濃度が60mMとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。ボレートを含むこの反応混合物0.3mlを、上で得られた、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのスラリー50mlに加え攪拌した後、5分間超音波処理を実施し、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。
【0074】
得られたスラリーに、[(N− t− ブチルアミド)(テトラメチル− η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム− 1,3− ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」という)10mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の体炭化水素混合物の商品名]100mlに溶解して得られる溶液に、組成式AlMg6 (C2 H5 )3 (n−C4 H9 )12で示される有機マグネシウム錯体成分をチタニウム錯体に対してMg+ALとして0.83mmolを加えて得られる溶液0.3mLを上記ボレート担持シリカスラリーに加え、15分間超音波処理を実施し、その後2時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。こうして、シリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されている薄緑色の固体触媒のヘキサンスラリー50mlを得た。
【0075】
(エチレンの重合)
容量1.6Lのオートクレーブにヘキサン800mlを入れ、このオートクレーブに加圧されたエチレンを入れてオートクレーブの内圧を10kg/cm2−Gに高め次いで、オートクレーブの内温を70℃に高め、組成式AlMg6 (C2 H5 )3 (n−C4 H9 )12で示される有機マグネシウム錯体成分をMg+ALとして0.2mmol加えた後、上で得られた固体触媒のスラリーを、固体触媒の重量が50mgとなるような量だけオートクレーブに加え、エチレンの重合を開始した。オートクレーブの内圧が10kg/cm2−Gに維持されるようにエチレンをオートクレーブに加えながら、60分間重合を行った。重合終了後、オートクレーブから反応混合物を抜き出し、メタノールで触媒を失活させた。その後、反応混合物を濾過、洗浄、乾燥し、ポリマーの乾燥粉末90gを得た。得られたポリマーについて、DSCによる1/2結晶化時間の測定を行った。結果を表1に示す。
【0076】
(比較例1 )
実施例1において、シリカとして一次粒子の平均粒子径約20μmのシリカ[商品名:P− 10 富士シリシア社製]を使用した以外は、実施例1と同様な方法で触媒を調整し、重合を行ったところ、ポリマーの乾燥粉末70gを得た。得られたポリマーについて、DSCによる1/2結晶化時間の測定を行った。結果を表1に示す。
【表1】
【0077】
【発明の効果】
本発明は、非極性有機高分子材料中に、非層状構造を有し且つ平均粒径が1nm以上300nm以下の無機材料を0.001重量%以上1重量%未満含有することを特徴とする高分子ナノ複合材料に関する。本発明の高分子ナノ複合材料は、剛性、耐衝撃性等の機械特性、耐熱性等の熱的特性、透明性等の光学特性等に優れ、且つ結晶化速度が速く高速成形にも適していることから、射出、中空、押出、延伸、発泡、フィルム、ラミネーション等の幅広い成形分野に適用でき、高性能、高機能の有機高分子材料成形体を得ることができる。
Claims (6)
- 非極性有機高分子材料中に、非層状構造を有し且つ平均粒径が1nm以上300nm以下の無機材料を0.001重量%以上1重量%未満含有することを特徴とする高分子ナノ複合材料。
- 非極性有機高分子材料が、オレフィンの単独重合体または2種以上のオレフィンの共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の高分子ナノ複合材料。
- 無機材料がシリカであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高分子ナノ複合材料。
- 非極性有機高分子材料が、ポリエチレンであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の高分子ナノ複合材料。
- 非層状構造を有し且つ一次粒子の平均粒径が1nm以上100nm以下の無機材料に、
(A)環状アニオン配位子がη結合してなる遷移金属を含む遷移金属化合物、
(B)該遷移金属化合物(A)と反応して触媒活性を有する金属錯体を形成することが可能である活性化化合物、
及び、必要に応じて
(C)下記の式(1):
Mは周期表第1族〜第15族に属する元素群から選ばれる元素を表し、Rは各々独立して、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表し、Xは、各々独立して、ハライド、ヒドリドまたは炭素数1〜10のアルコキシド基を表し、mはMの形式酸化数であり、nは1〜mの整数であって、mは上で定義した通りである)
で表される有機金属化合物、
とからなるメタロセン触媒を担持した担持触媒を用い、オレフィンを単独重合または2種以上のオレフィンを共重合することを特徴とする高分子ナノ複合材料の製造方法。 - 無機材料がシリカであり、且つエチレンを単独重合またはエチレンと他のオレフィンを共重合することを特徴とする請求項5に記載の高分子ナノ複合材料の製造方法。
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