JP2004017468A - ウェザーストリップの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ドア開口部の各部分に取付けられる中空シール部の各端末を、コーナー成形型Fにより成形された中空状のコーナー接続部を介して接続するウェザーストリップの製造方法であって、前記コーナー成形型Fは、上下の各型11,12と、前記コーナー接続部の中子型分割体D1〜D3のうち中子型分割体D2に水抜穴成形型Eを有し、前記中子型分割体D2を支持した状態で、前記上下の各型11,12と前記中子型と前記水抜穴成形型Eとの各型で形成されるキャビティCに成形原料を射出して、前記コーナー接続部を成形すると共に、中空シール部どうしを接続することにより、前記コーナー接続部の成形と同時に、その一部に水抜穴を形成する。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のドアによって開閉される車体開口部の周縁に取付けられるウェザーストリップの製造方法に関し、更に詳しくは、ウェザーストリップのうち前記車体開口部の横側及び下側にそれぞれ取付けられる各シール部材の各端末を接続するコーナー接続部の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ウェザーストリップの一つとして、図1及び図2に示されるように、スライドドア41を有するワンボックスカーにおいては、その車体後部のドア開口部42の周縁部に略方形枠状(方形環状)のオープニングシールSが装着され、ドア閉時に、前記スライドドア41のインナーパネル(図示せず)と、車体のアウターパネル43との間をシールして、外部の水や埃が車内に入り込むのを防止している。なお、図1において、44は、ワンボックスカーの前側のドア開口部を示す。
【0003】
そして、前記オープニングシールSは、ドア開口部42の周縁の下側、後横側、前横側、及び上側にそれぞれ取付けられる各シール部材S1,S2,S3,S4 との4つの各部分から構成されて、それぞれ押出成形され、互いに連続する各シール部材S1,S2,S3,S4 の各端末は、型成形(典型的には、射出成形型を用いた射出成形)されたコーナー接続部N1,N2,N3,N4 で互いに接続されて、全体が略方形枠状(方形環状)となっている。一方、図3に示されるように、前記オープニングシールSは、その機能の面からは、車体のドア開口部42の周縁に取付けられるトリム部(取付け部)1と、取付状態において前記トリム部1から車外側に突出して、ドア車体との間をシールする管状をした中空シール部2との2つの部分で構成される。
【0004】
また、前記各コーナー接続部N1,N2,N3,N4 の成形方法の一つとして、中子型を利用したものがあり、連続する2本の各シール部(例えば、下側及び後横側の各シール部材S1,S2)の各端末を中子型の両端に差し込んで、この接続部分を後述するコーナー成形型Fにセットして射出成形することにより、コーナー接続部N1(下側及び前横側の各シール部材S1,S3 を接続する場合には、コーナー接続部N2)を成形し、このコーナー接続部の中央に形成された中子型取出穴から前記中子型を取り出すという製法がある。
【0005】
そして、前記オープニングシールSを構成する中空シール部2内に水滴が滞留するのを防止するために、ドア開口部42の下側周縁に取付けられる下側シール部材S1 に水抜穴を形成することがある。従来、この水抜穴を形成するには、前記各コーナー接続部N1,N2,N3,N4 の成形後において、下側シール部材S1 の下側面にドリル等による穴開けにより形成していた。このため、水抜穴を開けるための工数が余分にかかると共に、誤って穴開け時に中空シール部を損傷させてしまう恐れもあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、コーナー接続部の成形と同時に中空シール部に水抜穴を形成して、ウェザーストリップ全体としての成形工数を削減することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、中空シール部を有し、車体開口部の横側及び下側の各部分に取付けられる横側及び下側の各シール部材における前記中空シール部の各端末を、コーナー成形型により成形された中空状のコーナー接続部を介して接続するウェザーストリップの製造方法であって、前記コーナー成形型は、前記コーナー接続部の外周面形状を定める上下の各型と、前記コーナー接続部の内周面形状を定める分割構造の中子型と、前記中子型を構成する複数の中子型分割体のうち前記下側シール部材の側に配設される中子型分割体における前記下側シール部材の端末に近い部分に対して進退動して嵌合又は当接、及びその解除を行う水抜穴成形型を有し、前記下側シール部材の側を成形する中子型分割体に前記水抜穴成形型を嵌合又は当接させて前記中子型分割体を支持した状態で、前記上下の各型と前記中子型と前記水抜穴成形型との各型で形成されるキャビティに接続部成形原料を射出充填して、前記コーナー接続部を成形すると共に、成形された前記コーナー接続部により各シール部材の中空シール部どうしを接続することにより、前記コーナー接続部の成形と同時に、その一部に水抜穴を形成することを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明によれば、(1)従来の上下の各型と、分割構造の中子型の他に、前記中子型を構成する複数の中子型分割体のうち前記下側シール部材の側に配設される中子型分割体における前記下側シール部材の端末に近い部分に対して嵌合又は当接、及びその解除を行う水抜穴成形型を用いているので、横側及び下側の各シール部材の各端末をコーナー接続部で接続すると同時に、前記コーナー接続部のうち下側シール部材に近い部分に水抜穴が形成できる。(2)下側シール部材の側に配設される中子型分割体における前記下側シール部材の端末に近い部分、即ち、前記中子型分割体の自由端に近い部分は、前記水抜穴成形型で支持されているので、溶融原料の射出圧力によって前記中子型分割体がぐらつくのを防止できて、安定した成形が可能となる。(3)前記中子型分割体が水抜穴成形型により支持されているので、量産時において繰り返し受けることになる前記射出圧力による中子型分割体自体の変形も抑制できる。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記中子型分割体には、前記水抜穴成形型の先端部を嵌合させるための嵌合凹部が形成され、両者が嵌合した状態で、前記キャビティに原料を射出することを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の作用効果に加えて、下側シール部材の側の中子型分割体の嵌合凹部に水抜穴成形型の先端部が嵌合した状態で、即ち、前記中子型分割体の自由端部が側方から支持された状態で原料を射出するために、原料の射出圧力、又は射出後における射出済原料による保圧力によって中子型分割体が位置ずれするのを一層確実に防止できる。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、成形品取出時において、前記水抜穴成形型の先端から圧縮空気を噴出させて、コーナー接続部の内周面と中子型との密着を剥がすことを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2の発明の作用効果に加えて、下型から成形品であるコーナー接続部を取り出し、コーナー接続部から中子型を抜き取る際に、コーナー接続部の内周面と中子型とがはがれ易くなるので、コーナー接続部を損傷させず、しかも取り出し易くなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。なお、「従来の技術」の項目での説明部分は、そのまま援用して、重複説明しない。図1は、後側のドア開口部42の周縁にオープニングシールSを装着したワンボックスカーの側面図であり、図2は、オープニングシールSの正面図であり、図3は、オープニングシールSの後下側のコーナー接続部N1 の部分の拡大斜視図であり、図4は、オープニングシールSの後下側のコーナー接続部N1(又は前下側のコーナー接続部N2)を成形するためのコーナー成形型Fの成形前の状態の斜視図であり、図5は、同様の状態の平面図であり、図6は、成形後のコーナー成形型Fの平面図であり、図7は、中子型Dを構成する各中子型分割体D1 〜D3 を分離させて垂直方向に配置した状態の斜視図であり、図8は、図5のX1 −X1 線拡大断面図であり、図9は、図5のX2 −X2 線拡大断面図である。
【0014】
最初に、図4ないし図9を参照して、オープニングシールSの後下側のコーナー接続部N1(又は前下側のコーナー接続部N2)を成形するためのコーナー成形型Fの構成について説明して、その後に前記コーナー成形型Fを使用して前記コーナー接続部N1(又はN2)を成形する方法について説明する。このコーナー成形型Fは、下型11と、上型12と、前記コーナー接続部N1(又はN2)を中空状に成形するための中子型Dと、中空状をした前記コーナー接続部N1(又はN2)のうち下側シール部材S1 に近い部分に水抜穴H1 を形成するための水抜穴成形型Eと、前記下型11と上型12との間に配設される第1ないし第4の各中板13ないし16とで構成される。
【0015】
また、図4、図8及び図9に示されるように、下型11には、その上面に平面視でコーナー接続部に対応する曲線形状にわん曲した段差部が形成されていて、前記段差部を形成する面のうち低い側の第1セット面11aに、下側及び後横側(又は前横側)の各シール部材S1,S2(又はS3)のトリム部1が段差面11bに密着してセットされる。前記オープニングシールSにおいては、これを構成する4つの各シール部材S1 〜S4 の各トリム部1は、大きさを含めて同一形状となっていて、図8及び図9に示されるように、前記トリム部1の略下半部のみが前記した段差面11bに密着していて、その略上半部は、後述する第1中板13の下方密着面13aに密着する。本実施形態では、下側シール部材S1 の端末部は、その端末から起算してコーナー接続部N1 の長さと同一長だけ中空シール部2のみが切除され、中空シール部2が欠落されているトリム部1の端面は、後横側シール部材S2 のトリム部1の端面に対して当接している。即ち、下側シール部材S1 のトリム部1の直上に、コーナー接続部N1(N2)を成形する後述のキャビティCが形成される。
【0016】
また、下型11における段差部を境にして高さの高い側の第2セット面11cには、第1中板13がセットされ、前記第1中板13の先端面の全体形状は、両端面(正確には、各トリム部1の端面)が互いに当接し合った下側及び後横側の各シール部材S1,S2 の接続部のわん曲形状に対応して、凸状のわん曲面となっている。また、前記第1中板13の先端面の下半部は、上述したように、下側及び後横側の各シール部材S1,S2 を構成するトリム部1の上半部側面に密着する下方密着面13aとなっており、その上半部の長手方向(わん曲方向)の両端部は、下側及び後横側の各シール部材S1,S2 を構成する中空シール部2の略下半部の外周面に密着すると共に、残りの大部分は、コーナー接続部N1(N2)を成形するためのキャビティCを形成するキャビティ形成面13bとなる。このため、第1中板13の先端面の高さ方向の中央部は、板面と平行な方向に突出した形状になっている。なお、本実施形態では、下側及び後横側の各シール部材S1,S2 を構成する中空シール部2,2’の断面形状が同一でないために、前記第1中板13のキャビティ形成面13bの横断面形状は、その両端のみがそれぞれ各中空シール部2,2’の外周面形状に対応していて、その間においては、横断面形状の異なる各中空シール部2,2’の外周面形状を互いに接続すべく、徐々に変化している。
【0017】
また、下型11の第1セット面11aには、第2中板14が配設される。第2中板14の先端面14aの全体形状は、下側及び後横側の各シール部材S1,S2 の接続部のわん曲形状に対応して、わん曲面となっており、下側及び後横側の各シール部材S1,S2 の各トリム部1の開口端面に当接する(図8及び図9参照)。ここで、第2中板14は、図8及び図9の二点鎖線で示すように、各トリム部1の開口溝の底に当接するように、その先端が突出していることもあり、更に突出した先端の根元近傍には、トリム部1の開口端の形状に対応した凹部が形成されることもある。この場合、第2中板14の突出した先端がトリム部1内に入り込むことにより、また前記凹部にトリム部1の開口端が嵌まり込むことにより、シール部材のセット時やコーナー接続部の形成時の位置ずれを防止し、シール部材を所定の位置に安定して固定しておくことができる。また、第2中板14の先端がトリム部1の溝内に入り込むことにより、コーナー接続部成形の際の原料の流入を防ぐこともできる。
【0018】
また、中子型Dは、コーナー接続部N1(N2)を中空状に成形するためのものであって、コーナー接続部N1(N2)の成形後において、その中空部から取り出し可能にするために、図4及び図7に示されるように、長手方向に沿って3分割されている。即ち、中子型Dは、中央部に配設される第1中子型分割体D1 と、下側シール部材S1 の側に配置される第2中子型分割体D2 と、後横側シール部材S2 の側に配設される第3中子型分割体D3 との3つの部分で構成される。第1〜第3の各中子型分割体D1 〜D3 は、いずれもキャビティCを形成するための本体部21a,21b,21c と、コーナー接続部N1(N2)に中子型抜穴H2 を形成するための基部22a,22b,22c とから成る。
【0019】
第1及び第3の各中子型分割体D1,D3 の本体部21a,21c は、わん曲状となった第2中子型分割体D2 の本体部21bに比較して短くて、しかもストレート状になっている。第1〜第3の各中子型分割体D1 〜D3 の基部22a,22b,22c は、前記第2中板14の上面にセットした状態において、互いに密着し合う形状になっている。即ち、第1中子型分割体D1 には、その全長に亘って基部22aが形成され、第2中子型分割体D2 には、第1中子型分割体D1 と接続する側の端部に基部22bが部分的に形成され、更に、第3中子型分割体D3 には、後横側シール部材S2 の端末部の中空シール部2に挿入される部分を除いて、その全長に亘って基部22cが形成されている。
【0020】
そして、図4及び図7に示されるように、わん曲状となった第2中子型分割体D2 の本体部21bにおける基部22bと反対側の端部であって、しかもセット状態で外側方となる部分には、水抜穴成形型Eの先端部を嵌合させるための略方形状をした嵌合穴23が形成されている。
【0021】
また、図4、図5及び図8に示されるように、第2中板14の上面における第2中子型分割体D2 の基部22bの側方から下側シール部材S1 に至る部分には、コーナー接続部N1(N2)のキャビティCを成形するための第3中板15がセットされる。即ち、第3中板15の全体形状が凹状となった先端面は、キャビティ形成面15aとなっている。また、第3中板15における前記第2中子型分割体D2 の本体部21bに設けられた嵌合穴23に対応する部分には、ロッド状をした前記水抜穴成形型Eが前記第2中子型分割体D2 の本体部21bに対して進退可能にするための摺動嵌合溝15b(図4及び図5参照)が形成されている。
【0022】
また、水抜穴成形型Eは、コーナー接続部N1(N2)のキャビティCを貫通して、その先端部が前記第2中子型分割体D2 の本体部21bの嵌合穴23に嵌合させて、成形部であるコーナー接続部N1(N2)に水抜穴H1 を形成するものである。水抜穴成形型Eの横断面形状は、方形状であるが、その先端面31は、わん曲円柱状の前記本体部21bの外周面に形成された嵌合穴23に体して嵌合可能にするために、凹面状となっている。更に、図7に示されるように、水抜穴成形型Eには、成形後のコーナー接続部N1(N2)の内部から中子型Dを取り出す際に、コーナー接続部N1(N2)の内周面と中子型Dとの間に圧縮空気を及ぼして、コーナー接続部N1(N2)の内周面と中子型Dとの密着を剥がして、両者の分離を容易にするために、前記圧縮空気の噴出穴32が貫通して形成されている。なお、図4及び図5において、16は、後横側シール部材S2 に対して前記第1中板13と反対側に配設される第4中板を示す。
【0023】
そして、上記コーナー成形型Fを用いて、オープニングシールSを構成する下側シール部材S1 と後横側シール部材S2 とを接続するコーナー接続部N1 を成形するには、以下のようにして行う。まず、中子型Dを構成する第2中子型分割体D2 の本体部21bの先端部を下側シール部材S1 の中空シール部2に挿入すると共に、第3中子型分割体D3 の本体部21cの先端部を後横側シール部材S2 の中空シール部2’に挿入する。次に、第1〜第3の各中子型分割体D1 〜D3 の各本体部21a〜21cが連続するように、下側及び後横側の各シール部材S1,S2 を、下型11の第1セット面11aにセットして、そのトリム部1を下型11の段差面11bに密着させる。
【0024】
次に、下型11の第2セット面11cに、第1中板13を配設して、その先端の下方密着面13aを、下側及び後横側の各シール部材S1,S2 の連続したトリム部1の底部(開口とは逆の側)の上半部に当接させる。一方、下型11の第1セット面11aに第2中板14を配設して、そのわん曲した先端面14aを、下側及び後横側の各シール部材S1,S2 の連続したトリム部1の開口側に当接させる。これにより、第1〜第3の各中子型分割体D1 〜D3 の各基部22a〜22cは、前記第2中板14で支持される。次に、第2中板14の上面における中子型Dの各基部22a〜22cを挟んだ両側にそれぞれ第3及び第4の各中板15,16を配設して、第3中板15に形成された摺動嵌合溝15bに水抜穴成形型Eを挿入嵌合した後に、第2中子型分割体D2 の本体部21bに対して前記水抜穴成形型Eを接近させて、その先端部を、前記本体部21bに形成した嵌合穴23に嵌合させる。これにより、わん曲棒状をした第2中子型分割体D2 の本体部21bにおける基部22bと反対側が支持されて、前記第2中子型分割体D2 の本体部21bは、その基部22bと水抜穴成形型Eとで両端支持された状態となって、下側シール部材S1 の中空シール部2に挿入される側の端部の支持が安定する。
【0025】
最後に、下型11の上方(正確には、下型11の上方に配設された第1〜第4の各中板13〜16の上方)に上型12を下降させてセットし、上下の各型11,12を型締めする。これにより、図8及び図9に示されるように、第1及び第3の各中板13,15の先端面に形成された各キャビティ形成面13b,15a と、上型12の下面に形成されたキャビティ形成面12aとで形成される空間部内に各中子型分割体D1 〜D3 の各本体部21a〜21cの端末が連続した状態で当接するように挿入配置され、これにより残った横断面略リング状をした空間部が、コーナー接続部N1 を成形するキャビティCとなる。また、図8に示されるように、ロッド状をした水抜穴成形型Eの先端部は、前記キャビティCを貫通している。
【0026】
そして、上型12に形成されたスプルー及びランナー(いずれも図示せず)を介して前記キャビティCに、接続部成形原料であるゴム原料Mを射出させると、その射出圧によって、ゴム原料Mは、前記キャビティCの隅々まで射出充填される。ここで、第2中子型分割体D2 の本体部21bは、その両端部が基部22bと水抜穴成形型Eとによって両端支持されているので、前記本体部21bに射出圧が作用しても、所定位置を保ち、位置ずれしないと共に、前記本体部21b自体の変形も防止される。このため、コーナー接続部N1 の成形が安定化する。
【0027】
次に、前記キャビティCに射出されたゴム原料Mが、成形型Fからの伝導熱により加熱されて加硫を終えた後において、水抜穴成形型Eの噴出穴32から圧縮空気を噴出させて、成形された中空状のコーナー接続部N1 と、その中空部に配置された中子型Dとの間に前記圧縮空気を吹き込んで、密着している両者を剥離させる。その後に、上型12を上昇させると同時に、水抜穴成形型Eを後退させる。射出成形によって形成され、下側及び後横側の各シール部材S1,S2 を接続するコーナー接続部N1 は、中子型Dと一緒にして下型11から取り出される。
【0028】
その後に、分割構造の中子型Dのうち、最初に中央の第1中子型分割体D1 を取出し、次に第3及び第2の各中子型分割体D3,D2 を、この順序で順次取り出す。これにより、図3に示されるように、中空状のコーナー接続部N1 の両端部は、それぞれ下側及び後横側の各シール部材S1,S2 を構成する中空シール部2,2’に対して各接合部T1,T2 において一体に接合される。また、コーナー接続部N1 における下側シール部材S1 に近い部分であって、使用状態で下側となる部分には、水抜穴H1 が形成されると共に、コーナー接続部N1 における後横側シール部材S2 に近い部分には、わん曲方向に沿ってスリット状となった中子型抜穴H2 が形成される。なお、図3において、T3 は、下側及び後横側の各シール部材S1,S2 のトリム部1の端末部を示す。
【0029】
また、水抜穴成形型に関しては、上記実施形態のように、中子型分割体D2 の本体部21bに設けられた嵌合穴23に嵌合させることが好ましいが、水抜穴成形型Eの先端面を前記本体部21bの外周面に単に当接させるのみであってもよい。また、図10に示されるように、第2中子型分割体D2 の本体部21bの外側(使用状態において下方となる部分)に向けて被嵌合ピン33を突出状態で嵌合しておいて、前記被嵌合ピン33の先端面に形成された凹部33aに水抜穴成形型E’の先端に形成された凸部34を嵌合させる構成にしてもよい。
【0030】
この構成によると、水抜穴の中空内部側にバリが発生することがなく、水の抜けが良好な水抜穴を形成することができる。
【0031】
また、前記コーナー成形型Fを使用して、下側及び前横側の各シール部材S1,S2 を接続するコーナー接続部N2 も成形できる。なお、残りの二つのコーナー接続部N3,N4 は、水抜穴成形型Eを備えていない通常のコーナー成形型を用いて成形される。
【0032】
また、前記オープニングシールSは、これを構成するトリム部1の横断面形状が大きさを含めて同一であるが、このトリム部1の横断面形状がシール部材S1 と同S2 とで異なる場合には、図3で2点鎖線で示すT4 の位置でシール部材S1 のトリム部を切断し、コーナー接続部N1 の成形時に、シール部材S1 と同S2 との端末どうし(T3,T4)の間に、トリム部の接続部を成形する。また、トリム部1の断面形状が、シール部材S1 と同S2 とで同じ場合であっても、その端末どうし(T3,T4)の間にトリム部の接続部を形成することもあり、接続部によってトリム部の間を切れ目なくつなげることができて、外観が良い。また、各シール部材を成形型にセットする際に、端末どうしの間に隙間があるため、この隙間によってシール部材の長さのばらつきを調整できる。シール部材S1 と同S3 との間など、他のコーナー接続部についても同様である。
【0033】
なお、上記実施形態は、ワンボックスカーの後部のドア開口部の周縁に装着される方形枠状をしたオープニングシールSのコーナー接続部の成形に対して本発明を実施した例である。しかし、本発明は、方形枠状をしたウェザーストリップに限られず、下側及び横側の各シール部材を接続するコーナー接続部を成形するものであればよく、二辺部のみを有するL形のウェザーストリップ等に対しても実施可能である。また、中空シール部が部分的に除去され、トリム部が連続しているウェザーストリップに、新たな中空シール部を形成する場合にも好適に実施される。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、コーナー成形型を使用して、ウェザーストリップを構成する横側及び下側の各シール部のコーナー接続部を成形すると同時に、このコーナー接続部の中空シール部に水抜穴を形成できるので、後工程で別途水抜穴を形成する工程が不要となって、ウェザーストリップ全体としての成形工数が削減される。また、コーナー接続部の成形と同時に、このコーナー接続部の中空シール部に水抜穴が形成されて、その形成位置、及び大きさが一定となるために、ウェザーストリップの品質も高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】後側のドア開口部42の周縁にオープニングシールSを装着したワンボックスカーの側面図である。
【図2】オープニングシールSの正面図である。
【図3】オープニングシールSの後下側のコーナー接続部N1 の部分の拡大斜視図である。
【図4】オープニングシールSの後下側のコーナー接続部N1(又は前下側のコーナー接続部N2)を成形するためのコーナー成形型Fの成形前の状態の斜視図である。
【図5】同様の状態の平面図である。
【図6】成形後のコーナー成形型Fの平面図である。
【図7】中子型Dを構成する各中子型分割体D1 〜D3 を分離させて垂直方向に配置した状態の斜視図である。
【図8】図5のX1 −X1 線拡大断面図である。
【図9】図5のX2 −X2 線拡大断面図である。
【図10】別の実施形態の水抜穴成形型E’の使用状態の断面図である。
【符号の説明】
D:中子型
D1,D2,D3 :中子型分割体
E,E’:水抜穴成形型
F:コーナー成形型
M:溶融ゴム原料(接続部成形原料)
N1,N2 :コーナー接続部
S:オープニングシール(ウェザーストリップ)
S1 :下側シール部
S2 :後横側シール部
S3 :前横側シール部
11:下型
12:上型
21a〜21c:中子型分割体の本体部
23:水抜穴成形型の嵌合穴
32:水抜穴成形型に形成された圧縮空気の噴出穴
Claims (3)
- 中空シール部を有し、車体開口部の横側及び下側の各部分に取付けられる横側及び下側の各シール部材における前記中空シール部の各端末を、コーナー成形型により成形された中空状のコーナー接続部を介して接続するウェザーストリップの製造方法であって、
前記コーナー成形型は、前記コーナー接続部の外周面形状を定める上下の各型と、前記コーナー接続部の内周面形状を定める分割構造の中子型と、前記中子型を構成する複数の中子型分割体のうち前記下側シール部材の側に配設される中子型分割体における前記下側シール部材の端末に近い部分に対して進退動して嵌合又は当接、及びその解除を行う水抜穴成形型を有し、
前記下側シール部材の側を成形する中子型分割体に前記水抜穴成形型を嵌合又は当接させて前記中子型分割体を支持した状態で、前記上下の各型と前記中子型と前記水抜穴成形型との各型で形成されるキャビティに接続部成形原料を射出充填して、前記コーナー接続部を成形すると共に、成形された前記コーナー接続部により各シール部材の中空シール部どうしを接続することにより、
前記コーナー接続部の成形と同時に、その一部に水抜穴を形成することを特徴とするウェザーストリップの製造方法。 - 前記中子型分割体には、前記水抜穴成形型の先端部を嵌合させるための嵌合凹部が形成され、両者が嵌合した状態で、前記キャビティに原料を射出することを特徴とする請求項1に記載のウェザーストリップの製造方法。
- 成形品取出時において、前記水抜穴成形型の先端から圧縮空気を噴出させて、コーナー接続部の内周面と中子型との密着を剥がすことを特徴とする請求項1又は2に記載のウェザーストリップの製造方法。
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