JP2004017362A - 平面記録装置のクリーニング方法及び平面記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像記録に先立って、記録ステージの表面、記録ステージに搬送される記録対象等をクリーニングすることにより、高画質な記録を行うことのできる平面記録装置のクリーニング方法及び平面記録装置を提供する。
【解決手段】少なくとも画像形成層を支持体の片面上に有する転写シートと、記録対象23の記録面とを重ね合わせて、転写シートに所望の画像を記録した後、転写シートを記録対象23から剥離して画像形成層を画像様に記録面へ転写する際に、記録対象23を記録ステージ27に供給して固定し、転写シートを記録部39に供給すると共に記録対象23の記録面に画像形成層を重ね合わせ、転写シートの画像形成層を記録対象23の記録面に密着させるまでの間に、記録ステージ表面、記録対象23の記録面、転写シートの表面のうち、少なくともいずれかの表面に粘着ローラ129を接触させてクリーニングする。
【選択図】 図11

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像、文字、或いはパターン等の情報を記録する平面記録装置のクリーニング方法及び平面記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー画像を表示させる表示装置の表示面には、コントラスト比の改善等を目的としたブラックストライプ(ブラックマトリクス)を形成することがある。例えば陰極線管では、前面パネルに紫外線硬化樹脂を塗布し、色選別機構を通過させた光で露光を行い、未露光部分を現像除去して紫外線硬化樹脂のストライプを形成する。次いで、その面にカーボンを塗布した後、紫外線硬化樹脂を反転剤によって分解除去することで、ブラックストライプを形成する。
【0003】
また、液晶表示装置の場合にも、表示側透明基板に画素電極間の光の洩れを遮断しコントラスト比を高めるためのブラックストライプを形成する。液晶表示装置の場合は陰極線管の場合と異なり、色選別機構を使用しないため、他の記録方法によりブラックストライプのパターン形成を行うことができる。
【0004】
ところで、平面記録方法には種々のものがあり、記録対象や記録目的によって適宜方式を選定して記録を行っている。例えば薄状シート等への記録には、レーザ露光による転写記録や静電記録、サーマルヘッドによる感熱記録等がある。これらの記録方法を、従来、膜形成方法として用いられてきたスピンコート、ロールコート、或いは、薄膜形成に用いる蒸着、スパッタ等の成膜手法に代用して用いることは、制御技術や記録精度等の格段の進歩により可能なレベルになってきている。このため、例えば上記液晶表示装置のブラックストライプ等の平面支持体上に堆積させる膜形成物を、レーザ記録により形成する方法を代用して行うことも考えられる。
【0005】
例えば、レーザ露光により転写記録を行う際は、まず、記録装置に設けたステージ上に記録媒体を載置し、記録媒体の上面に転写シートを重ね合わせる。記録媒体表面には受像層が形成されており、また、転写シートには支持層に光熱変換層と画像形成用のトナー層とが形成されている。この状態で、転写シート側からレーザ光を画像様に照射することにより、転写シートのトナー層が画像様に記録媒体の受像層に転写記録される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した転写記録方法を用いて、例えば上述のブラックストライプを形成しようとすると、異物が介入した場合に発生する欠陥が、単なる記録画像欠陥では済まずに、光学的には光漏れや、電気的には断線するといった致命的な事態を生じて、大きな問題となる。具体的には、図31に示したように、支持体5とこれを載置するステージ3との間に塵埃等の異物Xが介在すると、異物Xが存在する位置を中心に転写シート7が凸状に変形する。この凸状変形を受けて、異物位置の周囲で転写シート7と支持体5との間に隙間Gが環状に形成される。その結果、隙間Gが形成される範囲S1にリング抜けと呼ばれる画像欠陥が生じる。
【0007】
なお、異物Xは、図32に示すように、支持体5と転写シート7との間に混入することもある。この場合は、異物Xが存在する位置を中心に転写シート7が凸状に変形する。これにより、支持体5と転写シート7との間に隙間Gが形成される。この転写シート7が凸状に変形して隙間Gが形成された範囲S2において、記録画像に白抜けが発生することになる。
【0008】
従って、記録パターンがストライプ状である場合には、図33に示すように、ストライプ形状に欠け171や巣172が発生したり、断線173等が発生することになる。
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、画像記録に先立って記録部位周辺の異物除去を確実に行い、画像欠陥のない高品位の記録が行える平面記録装置のクリーニング方法及び平面記録装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る請求項1記載の平面記録装置のクリーニング方法は、少なくとも画像形成層を支持体の片面上に有する転写シートと、記録対象の記録面とを重ね合わせて、前記転写シートに所望の画像を記録した後、前記転写シートを前記記録対象から剥離して画像形成層を画像様に前記記録面へ転写する平面画像記録のクリーニング方法であって、前記記録対象を記録ステージに供給して固定し、前記転写シートを記録部に供給すると共に前記記録対象の記録面に画像形成層を重ね合わせ、前記転写シートの画像形成層を前記記録対象の記録面に密着させるまでの間に、前記記録ステージ表面、前記記録対象の記録面、前記転写シートの表面のうち、少なくともいずれかの表面に粘着ローラを接触させてクリーニングすることを特徴とする。
【0011】
この平面記録装置のクリーニング方法では、画像記録に先立って記録ステージの表面や記録対象の記録面、更に転写シートの表面に粘着ローラを接触させてクリーニング、即ち異物を除去するので、画像欠陥のない高品位の記録が行える。
【0012】
請求項2記載の平面記録装置のクリーニング方法は、前記記録ステージの前記記録対象の記録ステージへの供給前に前記粘着ローラを接触させてクリーニングすることを特徴とする。
【0013】
このクリーニング方法では、記録ステージ表面をクリーニングしてから記録対象を供給するので、記録材料が供給される時点では記録ステージに異物が無く、高品位な画像記録を行える。
【0014】
請求項3記載の平面記録装置のクリーニング方法は、前記記録ステージに前記記録対象が供給された後で且つ前記転写シートの供給前に、前記記録対象の記録面に前記粘着ローラを接触させてクリーニングすることを特徴とする。
【0015】
このクリーニング方法では、記録体の表面が転写シートの供給される前にクリーニングされるので、両者の重ね合わせ間に異物が介在せず、画像欠陥の発生を未然に防止できる。
【0016】
請求項4記載の平面記録装置のクリーニング方法は、前記転写シートの支持体側の面、該支持体側とは反対側の面のうち、少なくとも何れか一方の面をクリーニングすることを特徴とする。
【0017】
このクリーニング方法では、転写シートの搬送経路等において転写シートの少なくとも片側面がクリーニングされるので、記録ステージに供給される以前に異物が除去される。
【0018】
請求項5記載の平面記録装置のクリーニング方法は、前記粘着ローラの押圧力P[MPa]と、粘着力ρ[hPa]が、
P≦−0.01ρ+0.3  且つ、 P≧0.01[MPa]
の関係を満足することを特徴とする。
【0019】
このクリーニング方法では、粘着ローラの粘着力と圧力とが異物除去に最適な範囲に設定されるので、異物が確実に除去される。
【0020】
請求項6記載の平面記録装置は、少なくとも光熱変換層と画像形成層とを支持体の片面上に有する転写シートを用いて、記録対象の記録面に所望の画像を形成する平面記録装置であって、前記記録対象を固定する記録ステージと、前記記録ステージに固定された記録対象に転写シートを供給する記録媒体供給部と、前記記録面にレーザービームを照射する記録ヘッドと、前記転写シートを前記記録対象の記録面から剥離する剥離手段と、前記記録ステージの表面、前記記録対象の記録面、前記転写シートの表面のうち、少なくともいずれかの表面と接触動作可能に支持された粘着ローラを配置したことを特徴とする。
【0021】
この平面記録装置では、粘着ローラによって、画像記録に先立って記録ステージの表面、転写シートの表面等をクリーニングできるので、異物を除去した状態で画像記録が行われ、画像欠陥のない高品位の記録が行える。
【0022】
請求項7記載の平面記録装置は、前記記録媒体供給部と前記記録ステージとの間の転写シートの上側、下側の少なくともいずれか一方に、前記粘着ローラを配置したことを特徴とする。
【0023】
この平面記録装置では、転写シート等が記録媒体供給部から記録ステージまで搬送される間に、粘着ローラによって少なくとも片面がクリーニングされるので、異物の無い状態で画像記録を行うことができる。
【0024】
請求項8記載の平面記録装置は、前記粘着ローラが、軸方向中央部を拡径したクラウン形状を有することを特徴とする。
【0025】
この平面記録装置では、粘着ローラの圧力が均一化され、異物除去をムラ無く行える上に良好な画像記録を行うことができる。
【0026】
請求項9記載の平面記録装置は、前記粘着ローラが、複数の粘着ローラを互いに接触させて平行に配置した多段状のローラであって、クリーニングする前記表面に接触させる一段目の粘着ローラの粘着力が、他の粘着ローラの粘着力以下であることを特徴とする。
【0027】
この平面記録装置では、クリーニングによって記録媒体などから一段目の粘着ローラに付着した異物が、接触している粘着力の強い粘着ローラに付着するので、一段目の粘着ローラの表面が汚れることがなく、長期間にわたって使用しても記録対象に悪影響を及ぼさない。
【0028】
請求項10記載の平面記録装置は、前記一段目の粘着ローラを除く他の粘着ローラのいずれかを脱着可能に設けたことを特徴とする。
【0029】
この平面記録装置では、粘着力の弱い一段目の粘着ローラと粘着力の強い他の粘着ローラとの固着を防止できる。
【0030】
請求項11記載の平面記録装置は、前記粘着ローラは、TiOx(酸化チタン)を含むゴム、TiOx(酸化チタン)を含み、且つ、Ba(バリウム)を含まないゴム、C−O又はSi−Oの官能基を持つ炭化水素化合物を含むゴムを用いて形成したことを特徴とする。
【0031】
この平面記録装置では、クリーニングに最適な粘着力の粘着ローラを得ることができる。
【0032】
請求項12記載の平面記録装置は、前記粘着ゴムが、導電性を有することを特徴とする。
【0033】
この平面記録装置では、粘着ローラが帯電しないので、静電気で故障しやすい記録対象であっても支承なく取り扱うことができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る平面記録装置のクリーニング方法及び平面記録装置の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る平面記録装置の概念的な構成を表したブロック構成図、図2は支持体の断面図である。
【0035】
本実施形態による平面記録装置100は、その主要な構成として、記録対象としての支持体23を保持し且つ支持体23の記録面25と平行な面に沿って移動自在なステージ27と、スタンバイ位置65又は記録原点位置69のいずれかの位置に移動してレーザービームを出射させて形成した複数のスポットで画像を記録する記録ヘッド29と、ステージ27に保持した支持体23に、記録媒体(受像シート又は転写シート)を供給する記録媒体供給部31と、詳細は後述するが記録媒体を押圧して支持体23の記録面25に密着させる粘着ローラと、記録媒体を支持体23から剥離する剥離手段(剥離ローラ、剥離溝、剥離爪)とを有している。
【0036】
さらに、平面記録装置100は、これら主要構成に加えて、支持体23を積層して載置する支持体供給部33と、支持体供給部33から支持体23をステージ27へ搬送する後述の搬入機構49と、画像の転写された支持体23をステージ27から排出する後述の排出機構51と、排出機構51によって排出した支持体23を積層して載置する支持体受部35とを付設している。また、図1中の37は、使用済みの記録媒体を廃棄する廃棄箱を示す。
【0037】
平面記録装置100は、記録ステージ27(以下、単にステージと略称する)、記録ヘッド29を有する記録部39と、記録媒体供給部31との外周を、レーザ漏出防止の安全上の観点から遮蔽フレーム41により覆うことが望ましい。なお、この遮蔽フレーム41には、支持体23を搬入・排出するための開閉可能な通過開口部や、使用済み記録媒体を排出する通過開口部を設けている。
【0038】
液晶用ブラックストライプ、又は液晶用カラーフィルタを形成する目的で本記録装置100を用いる場合には、少なくとも記録装置100の本体と、支持体供給部33、支持体受部35をクリーンルーム内に設置する。
【0039】
本発明において、記録の対象物となる記録対象物は、液晶表示装置等に用いられる透明基板、この他にも、ガラス基板、タイル、石材、セラミック等の硬質材料の他、弾性域で折り曲げることのできない硬さ(厚さ)の金属等を記録対象物とすることができる。なお、軟質の材料であっても、例えば固定板に貼り付ける等の常套手段により本平面記録装置に適用することができる。
【0040】
図2に示すように、この支持体23としては、記録面25に予め機能層(即ち、トナー層(画像形成層)を受け止める受像層26)の形成された支持体23を用いてもよい。この機能層は例えばシアンカップリング処理によっても得られる。これによりトナー層の転写性が向上すると共に記録工程が簡略化される。また、支持体23は、この機能層を有することなく、本平面記録装置100において受像層26を転写形成するものであってもよい。また、支持体上に直接転写可能な転写シートもあり、この場合には、機能層を設けることなく記録を行うことができる。本実施の形態においては、受像層26を有しない支持体23に、本平面記録装置100を用いて受像層87cを転写形成する場合を例として説明する。
【0041】
次に、本実施形態の平面記録装置の詳細な構成及び動作を、以下に順次説明する。
図3は図1に示した平面記録装置の正面図、図4は支持体供給部における支持体の積載状態を表す斜視図である。
支持体供給部33は、複数の支持体23を所定間隔で積層して載置する。通常、支持体23は、埃等が降り積もらないようにするため、記録面25が下側となるようにして載置する。また、支持体23は、記録面25に極力異物が付着しないようにするため、点接触で支持することが望ましい。この点接触による支持は、例えば図4に示す先端の尖った形状のピン45、或いは先端が球面のピンを用いる。ピン45は、支持体23が四角形である場合には、四隅を支持できるように少なくとも4本を配設する。また、支持体23の大きさや曲げこわさに応じて、必要とあれば4本以上ピンを配設してもよい。
【0042】
一枚の支持体23を支持する四本のピン45は、図示しない枠体等によって支持体供給部33の台座47に多段状に配設される。この台座47は、最上層の支持体23が所望の高さとなるように、昇降機構を有することが好ましい。この場合、昇降機構の高さ制御方法としては、支持体23の重量を検出して、支持体23の減少数に応じて高さを一定に管理する方法や、最上層の支持体23の位置を検出して高さを一定に管理する方法、或いは支持体23の厚さを記憶しておき、使用枚数を減算しながら高さを管理する方法等を採用することができる。
【0043】
平面記録装置100は、支持体供給部33とステージ27との間に搬入機構49を有している。また、平面記録装置100は、ステージ27と支持体受部35との間に排出機構51を有している。これらの搬入機構49及び排出機構51は、支持体23を保持するための真空吸引方式の吸盤53を有している。吸盤53は、少なくとも3個以上を設け、好ましくは4個とする。それぞれの吸盤53には図示しないエア配管を接続し、このエア配管の端部には真空ポンプやブロア等の吸引源55を接続する。なお、吸盤の数は、支持体23のサイズ、重量等により、必要に応じて増やしてもよい。
【0044】
搬入機構49及び排出機構51は、吸盤53を基台57に取り付けている。基台57は、図示しないスライドレール又はガイド溝によって、ステージ27と、搬入機構49又は排出機構51との間を往復できるようになっている。この基台57は、電動モータ、エアシリンダ、油圧シリンダ等のいずれかの駆動源を用いて駆動させる。また、搬入機構49、排出機構51は、上記した構成を一体化したリニアモータや、ロボットアームを用いるものであってもよい。
【0045】
平面記録装置100の本体は、記録ヘッド29の画像形成回路、記録ヘッド29の駆動モータ、ステージ27の駆動モータ、搬入機構49、排出機構51、吸引源55等を制御するコントローラ59と、このコントローラ59や吸引源55並びに各駆動モータ等へ電源を供給する電源61を備えている。また、平面記録装置100は、コントローラ59とホストコンピュータ63とを通信線で接続し、画像形成制御、支持体23の供給及び排出等の制御が制御信号の送受信によって行えるようになっている。
【0046】
次に、支持体供給部33から支持体23を取り出してステージ27へ搬入する動作について説明する。
図5は記録ヘッドとステージの動作を説明する平面図、図6は搬入機構が支持体供給部33に進入して支持体23を吸着するまでの動作を(a)〜(d)で示した動作説明図、図7は搬入機構49が支持体23を保持して上昇し支持体供給部33から支持体23を取り出すまでの動作を(e)〜(h)で示した動作説明図である。
【0047】
図5に示すように、平面記録装置100の本体において、記録ヘッド29は、ステージ27上から記録ヘッドスタンバイ位置65へ退避させておく。また、ステージ27は、支持体23の供給位置67に移動させておく。ここで、記録部39は、図1に示すように、中心位置が記録ヘッド29の記録原点位置69となる。また、ステージ27の移動範囲は、記録原点位置69を中心として、各面積がステージ27と同面積の第一象限、第二象限、第三象限、第四象限の範囲となる。つまり、ステージ27は、縦横サイズの二倍の距離を移動可能となっている。これにより、記録原点位置69に位置した記録ヘッド29は、ステージ27上の全ての位置に相対的に走査可能となっている。
【0048】
搬入機構49は、図6(a)に示すように、基台57を、支持体供給部33の最上層に載置した支持体23の上方まで略水平方向に移動させる。基台57は、支持体供給部33において上方に突出しているピン45と干渉しない寸法となっている。例えば、平面記録装置100側から支持体供給部33を見た、図6(b)に示す位置関係において、Y方向に並んだピン45,45の内側に、基台57及び吸盤53が進入可能となる位置関係となっている。
略水平方向に移動された基台57は、図6(c)に示すように支持体23の上方で停止する。次いで、基台57は、図6(d)に示すように、下降を開始して、吸盤53が支持体23に当接したときに下降を停止する。この停止の制御は、例えば吸盤53に加わる反力を圧力センサ等により検出することで行うことができる。また、停止の制御は、下降の移動量を検出することで行ってもよい。
【0049】
搬入機構49は、吸盤53が支持体23に当接した状態で、吸引源55を駆動させて吸盤53に負圧を作用させる。この際、エア配管中の真空度が所定値になるまで基台57の上昇動作を保留する。エア配管内の真空度が所定値となった後、図7(e)に示すように、基台57を上昇させ、支持体23をピン45から浮上させて吸着保持する。支持体23は、吸盤53による吸着面と反対側の面(図7の下面)が記録面25となる。このため、記録面25には吸盤による吸着跡が残ることはない。
【0050】
支持体23を保持した基台57は、図7(f)に示すように、略水平方向に平面記録装置100本体側へ移動する。このようにして支持体供給部33から支持体23を取り出した基台57は、図7(g)に示すように、平面記録装置100の本体手前で一旦停止する。次いで、図7(h)に示すように、基台57は、搬入機構49の図示しない反転装置によって上下を反転させ、記録面25が上向きとなるようにして支持体23を支持する。基台57は、この支持姿勢のまま、遮蔽フレーム41に形成した図示しない搬入開口部を通過して、支持体23をステージ27の上方まで搬入する。
【0051】
ここで、図8は底面からピンを突出させた状態のY方向から見たステージ27を表す断面図、図9は凹部に支持体を収容したステージ27の平面図、図10は凹部に支持体を収容したステージ27の断面図である。
図8に示すように、ステージ27の上面には、支持体23の厚みと略同一の深さとなった平面視四角形状の凹部71を形成している。この凹部71は、ザクリ加工等により形成され、図9に示すように内部に支持体23を収容する。四角形状に形成した凹部71の対向する側面同士間の距離は、これら側面に対応する支持体23の対向する側面同士間の距離より長く形成されており、その結果、凹部71は、支持体23を遊びを有して収容している。
【0052】
また、この凹部71の底面には、支持体23を支持しながら持ち上げる昇降自在な複数のピン73が立設されている。また、凹部71は、直交する2つの側面のそれぞれに、対向する側面に向かって片寄せする突出自在な片寄せピン75を有している。
【0053】
図10に示すように、ステージ27は、凹部71周縁の土手部70及び凹部71の底面に、複数の吸引用孔77を穿設している。この吸引用孔77は、吸引源55にエア配管によって接続される。ステージ27は、吸引用孔77からエアを吸引することで、支持体23を凹部71の底面に吸引固定するようになっている。なお、ステージ27の凹部71周縁の土手部70に穿設した吸引用孔77は、後述する記録媒体を吸着固定するためのものである。
【0054】
図8に示すように。搬入機構49の基台57がステージ27の上方で停止した際、ステージ27はピン73を突出させている。この状態で、基台57は下降する。基台57は、支持体23がピン73に接したときに下降を停止する。この下降停止の制御は、例えば吸盤53に加わる反力を圧力センサ等により検出することで行うことができる。また、停止の制御は下降の移動量を検出することで行ってもよい。
【0055】
搬入機構49は、基台57が停止するとエア配管を大気に開放する。すると支持体23がピン73により支持される。搬入機構49は、吸盤53内の真空度が大気圧となるまで動作を停止した後、基台57を遮蔽フレーム41の通過開口部から平面記録装置100の本体外部へと退避させる。ステージ27は、ピン73を下降させることにより、支持体23を凹部71内に載置する。ステージ27は、支持体23が凹部71の底面に接したなら、直交する2つの側面から片寄せピン75を対向する側面に向かって移動させる。これにより、支持体23は、図9に示すように直交する2つの側面が、凹部71の直交する2つの側面に当接し、XY方向の位置決めが行われる。なお、図9に示した支持体23は、右上角部が記録原点位置69となる。
【0056】
次いで、ステージ27は、吸引源55によって吸引用孔77からエアを吸気し、支持体23を凹部71内の底面に吸引固定する。これにより、支持体23のステージ27への保持が完了する。
【0057】
次に、ステージに保持された支持体に対して記録を行うための構成を説明する。
図11は記録媒体供給部と記録部とを表した要部構成図、図12は平面記録装置に使用する受像シート及び転写シートの断面図、図13はステージと粘着ローラとの関係を示す斜視図、図14は図13のQ−Q断面を示す断面図である。
図11に示すように、記録媒体供給部31は、受像シート供給部81と、転写シート供給部83とを備える。受像シート供給部81は、記録部39に受像シートを供給する。また転写シート供給部83は、複数の種類の転写シートを記録部39へ供給することが可能であり、複数の種類の転写シートの中から1種類の転写シートを選択的に供給することができる。
【0058】
受像シート供給部81は受像シートロール85を有している。受像シートロール85は芯に受像シート87が巻回されたものである。受像シート87は、図12(a)に示すように、支持層87aの上に受像層87cが形成されている。支持層87aとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)ベース、TAC(トリアセチルセルロース)ベース、PEN(ポリエチレンナフタレート)ベース等を用いることができる。受像層87cは、転写されるトナーを受け止める働きを有する。
【0059】
受像シート供給部81は、さらに、受像シート搬送部89を有している。受像シート搬送部89は、モータ(図示略)と、駆動伝達用のベルト又はチェーン(図示略)と、搬送用ローラ91,93と、支持ガイド95と、受像シート切断部97と、受像シートの端点を検出する検出センサ(図示略)とを有している。搬送用ローラ91及び搬送用ローラ93はそれぞれ一対のローラを有している。このような駆動機構によって、受像シート87を記録部39へ送出或いは記録部39から戻すことができる。
【0060】
上記受像シートロール85は、シート先端部が搬送用ローラ91に挟まれた状態で、モータ等の前述の駆動機構によって受像シート87が引き出される。これによって、受像シートロール85は回転して受像シート87が繰り出されていく。受像シート87はさらに搬送用ローラ93に挟まれ、支持ガイド95に案内されて搬送される。
【0061】
受像シート搬送部89によって搬送された受像シート87は、受像シート切断部97によって所定の長さに切断される。長さの測定には光センサ等の検出センサが利用される。即ち、受像シート87の先端を検出センサにより検出し、モータの回転数等を考慮すること等によって長さを測定する。受像シート87は、この測定結果に基づいて所定の長さに切断され、記録部39へと供給される。なお、受像シート切断部97は図示しないカッタの他に支持部やガイドを有する。上記の駆動により受像シートロール85から繰り出された受像シート87は、上述した受像シート長の測定結果に基づいて、その搬送が停止された後、カッタによって所定の長さに切断される。
以上のようにして、受像シート供給部81は、受像シートロール85の一部を繰り出して切断することによって、所定の長さの受像シート87を記録部39に対して供給する。
【0062】
一方、転写シート供給部83は、回転ラック99を有している。この回転ラック99は後述するように回転軸101を中心にインデックス回転駆動される。また、回転ラック99には、複数(図では6個)の転写シートロール103が収容されており回転軸101を中心にして「放射状」に配置されている。
各転写シートロール103は、芯とそれに巻回される転写シートと、芯の両側から差し込まれるフランジ(図示なし)とを有している。各々の転写シートロール103は各芯を中心に回転自在に保持されている。フランジの外径は転写シート部分の径よりも大とすることで、転写シート部分が崩れないようになっている。
【0063】
各転写シートは、図12(b)に示すように、支持層7a上に、光熱変換層7bと画像形成層(トナー層)7cとがこの順序で積層されている。支持層7aは、レーザ光が透過する物であれば一般的な支持体材料(例えば上記した受像シート87の支持層87aと同じ支持体材料)から任意なものを選択できる。光熱変換層7bは、レーザエネルギを熱に変換する働きを有する。この光熱変換層7bは、カーボン、黒色物質、赤外吸収色素、特定波長吸収物質等光エネルギを熱エネルギに変換する物質であれば一般的な光熱変換材料から任意なものを選択できる。トナー層7cとしては、例えば、ブラック(K)、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の4色の他、印刷用のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)や、特色と呼ばれる金、銀、オレンジ、グレー、ピンク等がある。
【0064】
転写シートロール103においては、トナー層7cが支持層7aに対して外側になるように巻回されている。後述するように、トナー層7cはトナーインクを有しており、このトナーインクがレーザ露光により受像シートに転写される。
【0065】
図11では、6つの転写シートロール103が回転ラック99内に収容されている場合が示されており、この6種類の転写シートとしては、例えば、上記したブラック、レッド、グリーン、ブルーの4色の転写シートが含まれている。
【0066】
回転ラック99は、さらに、これらの複数の転写シートロール103のそれぞれに対応して、それぞれ転写シート繰出し機構107を有している。この転写シート繰出し機構107は、フィードローラ109と支持ガイド111とから成っている。図においては、このような転写シート繰出し機構107が6つ設けられている。フィードローラ109はローラ109a,109bを有しており、ローラ109aは、後述するようにギア機構によってモータと接続されており、モータによって駆動される。ローラ109aはローラ109bとの間で所定の圧力で転写シート7を挟み込む。そして、ローラ109bは、ローラ109aの回転とは逆向きに回転することによって、転写シート7を搬送する。転写シート7は、ローラ109a,109bによって挟持され、送り出されたり或いは逆に戻されたりすることが可能である。
【0067】
このような構造を有する転写シート繰出し機構107によって、転写シート7が記録部39に対して供給される。転写シート7の先端がフィードローラ109に挟まれた状態において、モータ等の前述の駆動機構によってフィードローラ109を駆動する。この駆動により転写シート7は繰り出されていく。また転写シート7は、さらに後述する転写シート搬送部113において、所定長さに切断されて記録部39に対して供給される。
以上のように、複数の転写シートロール103を収容する回転ラック99は、所望の種類の転写シート7を転写シート搬送部113に対して選択的に供給することができる。
【0068】
転写シート搬送部113は、モータ(図示なし)と、駆動伝達用のベルト又はチェーン(図示なし)と、搬送用ローラ115,117と、ガイド119と、転写シート切断部121と、転写シートの端を検出する検出センサ(図示なし)とを有している。搬送用ローラ115,117は、それぞれ一対のローラを有しており、これらローラ115,117は、駆動伝達用のベルト又はチェーンによってモータと接続され、モータの駆動により転写シート7が搬送される。
【0069】
このような駆動機構によって、転写シート7を記録部39の方へ送出、或いは逆に戻すことができる。また、このようにして搬送された転写シート7は、転写シート切断部121によって所定の長さに切断される。転写シート7の長さの測定には、光センサ等の検出センサが利用される。即ち、転写シート7の端を検出センサにより検出し、モータの回転数等を考慮すること等によって長さを測定する。転写シート7は、この測定結果に基づいて所定の長さに切断され、記録部39へと供給される。転写シート切断部121は、図示しないがカッタの他に支持部やガイド等を有する。
以上のようにして、転写シート供給部83は、転写シートロール103の一部を繰り出して切断することによって、所定の長さの転写シート7を記録部39に供給することができる。
【0070】
上記の転写シート7が繰り出されて消費されると、使用済みの転写シートロール103を取り外して、新しい転写シート7と交換する必要がある。
この転写シートロール103の交換は、平面記録装置100の上部又は側部に設けた図示しない蓋を開けて行うことができる。この際には、回転ラック99を回転させることにより、交換対象の転写シートロール103を、蓋に対応する所定の交換位置に移動させておく。一方、受像シートロール85の交換も、蓋を開けることによって行う。
【0071】
記録媒体供給部31のガイド95,119と、記録部39との間には、記録媒体供給部31から送られた記録媒体(受像シート87又は転写シート7)が載るガイド板123が設けられている。ガイド板123は、ステージ27の移動に干渉しないように、上昇又は折り畳まれて退避するようになっている。
【0072】
ガイド板123の上方には、記録媒体の幅方向(図11の紙面垂直方向)に複数の吸盤を並べた吸盤列125を配設している。この吸盤列125は、吸引源55にエア配管によって接続され、さらに支持アーム等によって昇降方向及びステージ移動面に対して平行方向に移動自在に支持されている。吸盤列125は、ガイド板123の上方から下降することにより、ガイド板123上に載った受像シート87の端部をガイド板123に押し付けて吸着する。受像シート87の端部を吸引保持した吸盤列125は、ステージ27の記録媒体供給部31側とは反対側端部(始端側)まで移動することで、受像シート87を引き出す。これによって、ステージ27上に保持した支持体23の上面に、受像シート87が重ねられる。ここで、受像シート87の幅(X方向長さ)は支持体23の幅と略一致していることが望ましい。
【0073】
ここで、上記受像シート87をステージ27上に重ね合わせる前に、ステージ27やステージ27の凹部に収容された支持体23の表面をクリーニングすることが好ましい。以下に、このクリーニング工程のための構成と手順を説明する。
【0074】
図13にステージと粘着ローラとの関係を示す斜視図、図14に図13のQ−Q断面図を示した。ステージ27の上面には、図13に示すように四角形の凹部71を形成しており、その内部底面に前述した手順に基づいて支持体23が載置されている。
【0075】
記録部39のステージ27上方には、粘着ローラ129が昇降方向及びY方向に移動自在に支持されている。粘着ローラ129は、例えば図14に示すように、筒状の芯129aとその外側に形成された粘着ゴム129bとを一体に形成してなり、粘着ゴム129bの幅Laは、対応するステージ27の凹部71の溝幅Waより小さく設定されている。また、粘着ゴム129bの厚さtは、凹部71のザグリ深さdより大きく設定されている。
【0076】
従って、図14に示すように、凹部71に支持体23を収容した状態で、粘着ローラ129を支持体に当接する位置まで下降させると、粘着ゴム129bが凹部71内に入り込み、支持体23の表面に均一に当接するようになる。そして、粘着ローラ129を回転させつつ矢印Y方向に移動することにより、粘着ローラ129が支持体23の表面を押圧すると共に、該表面をクリーニングしながら進み、支持体23の表面に付着していた異物を粘着ゴム129bの粘着力によって取り除くことができる。
【0077】
また、このクリーニング工程は、支持体23をステージ27の凹部71に載置する前に、凹部71の底面に対して施してもよい。そして、粘着ローラ129によるクリーニング工程は、支持体23上に搬送された受像シート87の表面に対しても行うことが好ましい。この場合には、粘着ローラ129が、始端側に移動された吸盤列125の記録媒体供給部31側の近傍で下降して、受像シート87の端部を押さえ付けた後、受像シート87を押圧しながら記録媒体供給部31側へ回転して移動することで、受像シート87を支持体23にスクイーズさせて、受像シート87のシワを伸ばすと共に、受像シート87表面をクリーニングする。
上記クリーニング工程によって、図31や図32に示すようなリング抜けや白抜けの発生を防止できる。
【0078】
上記粘着ゴム129bの材質としては、TiOx(酸化チタン)、及び(又は)C−O又はSi−Oの官能基を有する炭化水素化合物とを含み、しかもBa(バリウム)を含まない粘着性ゴムが好適に使用できる。この材料を用いることにより、記録媒体域に付着している異物を長期間にわたって取り除くことができる。そして、同じ粘着ゴム材料であっても、充填剤としてTiOxを含み、且つ、可塑剤としてC−O又はSi−Oの官能基を有する炭化水素化合物を含む粘着ゴムが、搬送性が良く、粘着力の自然経時の劣化が遅いので、本実施形態の粘着ローラ129に用いて最適である。逆に、Baを含む粘着ゴムは、平面記録装置100の異物除去用としては不適となる。
【0079】
従って、本実施形態の粘着ローラ129の粘着ゴム材料に適用可能な成分構成としては、以下の(B1)〜(B5)のいずれかとなる。
(B1)TiOxを含む
(B2)TiOxを含み、且つ、Baを含まない
(B3)C−O又はSi−Oの官能基を持つ炭化水素化合物を含む
(B4)TiOxを含み、且つ、C−O又はS−iの官能基を持つ炭化水素化合物を含む
(B5)TiOxを含み、且つ、C−O又はSi−Oの官能基を持つ炭化水素化合物を含み、且つBaを含まない。
【0080】
また、粘着ローラ129の材質としては、導電性ゴムを使用することが好ましい。これは、TFT等の回路が形成されているガラス基板等の静電気で故障しやすい支持体を本平面記録装置100で取り扱うことも考えられ、このような場合でも、不具合を生じさせずに、クリーニング工程を行うことが可能となるためである。なお、導電性ゴムとしては、表面電気抵抗が1×10 [Ω/cm]以下のものが好ましい。
【0081】
ところで、粘着ローラ129には、支持軸の両端に一定の圧力を負荷しても、ローラ両端部の圧力に対して中央部の圧力は低下する傾向がある。このため、粘着ローラ129の形状をクラウン形状としてもよい。クラウン形状としては、幅方向端部にテーパ面を有するテーパクラウン形状や幅方向全体にわたって曲面に形成されたラジアルクラウン形状等があるが、いずれのクラウン形状であっても本実施形態の粘着ローラ129として好適に使用できる。
【0082】
なお、記録部39は、粘着ローラ129の他に、加圧ローラ(スクイーズローラ)を設けて、この加圧ローラを支持体23表面への受像シート等の密着用として用いてもよい。また、さらに補助的に、ヒートローラを備えるものとしてもよい。ヒートローラは、粘着ローラ129や加圧ローラによるスクイーズ又はクリーニングの終了した受像シート87上を、さらに加熱押圧しながら転動する。このようなヒートローラを備えれば、粘着ローラ129又は加圧ローラのみを用いて受像シート87を支持体23に密着させる場合に比べて、より高い密着力で受像シート87を支持体23に密着させることができ、剥離強度を向上できる。また、粘着ローラ129がヒートローラを兼用するものであってもよい。
【0083】
次に、支持体23に密着させた受像シート87を剥離することで、支持体23の記録面25に受像層87cを形成する。
ここで、図15は剥離溝を設けたステージの凹部周縁の拡大斜視図、図16は受像シートの剥離動作を説明する記録部近傍の要部構成図である。
このステージ27の剥離始端側である凹部71周縁の土手部70には、剥離手段である剥離溝127を形成している。剥離溝127は、ステージ27の図11中の右側の面で開口し、後述の剥離爪が挿入可能となっている。吸盤列125によって受像シートロール85から引き出された受像シート87の端部は、この剥離溝127を覆うようにしてステージ27上に被せられる。
【0084】
記録部39は、粘着ローラ129と同様に昇降方向及びY方向に移動する剥離ローラを有している。なお、この剥離ローラは、粘着ローラ129と共用するものであってもよい。本実施の形態では、粘着ローラ129を、この剥離ローラとしても用いる場合を例に説明する。
【0085】
また、記録部39は、ステージ27の始端側に剥離爪131を有している。この剥離爪131は、上記したステージ27凹部周縁の土手部70に設けた剥離溝127に進入可能に設けられ、使用時以外はステージ27等との干渉を避けるため、退避位置に移動するようになっている。
【0086】
受像シート87の剥離の際は、図16(a)に示すように、粘着ローラ129を吸盤列125の剥離進行方向上流側近傍に下降させ、受像シート87の端部近傍を粘着ローラ129によって押圧する。次いで、図16(b)に示すように吸盤列125を少し上昇させ、剥離溝127に剥離爪131を進入させる。そして、剥離爪131を少し(ステージ27や支持体23に干渉しない位置まで)上昇させ、粘着ローラ129に接近する方向(図16(b)の左方向)に移動させる。
【0087】
その後、図16(c)に示すように、例えば粘着ローラ129の位置を固定したまま、吸盤列125と、受像シート87と、支持体23と、ステージ27とを共に粘着ローラ129から離反する方向(−Y方向)に移動させることで、受像シート87と支持体23、及び、粘着ローラと剥離爪131の双方を相対移動させる。すると、剥離力が粘着ローラ129の押し付け部に加わり、さらにこの押し付け部が支持体23の一方の端部から他方の端部へと相対移動することで、記録面全面からの受像シート87の剥離が可能となる。
【0088】
受像シート87は、支持体23から剥離されることで、受像層87cが支持体23の記録面25に転写され、支持層87aのみとなる。この支持層87aは、吸盤列125に吸引保持されたままとなる。吸盤列125は、支持層87aを吸引保持した状態で、図11中の右方向(−Y方向)に移動し、遮蔽フレーム41に設けた通過開口部を通過して、不要となった支持層87aを廃棄箱37に投入して廃棄する。
【0089】
次に、受像シートの剥離後に転写シートをステージへ供給する。ここで、図17は転写シートの固定動作を説明するステージの断面図である。図17に示すように、受像層87cを形成した支持体23の上面には、記録媒体供給部31から受像シート87と同様にして転写シート7が供給される。なお、転写シート7は、記録媒体供給部31の転写シート搬送部113から、受像シート87の場合と同様にして供給される。
転写シート7の面積は、ステージ27の凹部71の面積より大きいものとする。支持体23からはみ出した転写シート7の周縁は、ステージ27の凹部71周縁に載った状態となる。この状態で、吸引用孔77からエアーを吸引して、転写シート7の周縁を凹部71の周縁に吸引固定して、転写シート7を支持体23に密接させる。
【0090】
次に、この転写シート7の上方から、記録ヘッド29を相対的に走査して露光記録を行う。図18に記録ヘッドと支持体との相対移動方向を表す斜視図を示した。
【0091】
この記録動作は、記録ヘッド29を転写シート7の記録原点位置から、X方向への主走査とY方向への副走査とによって行われる。
記録開始時には、図19に示すように、ステージ27は原点位置となり、記録ヘッド29はスタンバイ位置65(図1参照)から記録原点位置69へと移動する。記録に際し、記録ヘッド29は記録面25の全面を走査することになるが、この走査は、記録ヘッド29のみの移動、ステージ27のみの移動、或いは記録ヘッド29及びステージ27の双方移動によって行うもののいずれであってもよい。つまり、記録ヘッド29と支持体23とが相対的に移動すればよい。本実施の形態では、記録ヘッド29を記録原点位置69に固定し、ステージ27をXY方向に移動する場合を例に説明する。
【0092】
記録ヘッド29は、図18及び図20に示すように、レーザービームLbの照射により、複数のスポットSpを転写シート7の背面(図17の上面)に形成する。このスポットSpは、少なくとも副走査方向(Y方向)に複数個を並べて形成される。これら複数のスポットSpは、図21に記録ヘッドの拡大図を示すように、副走査記録方向上流端のスポットSp1が副走査記録方向下流端のスポットSp2より主走査記録方向下流側に配置される向きで傾斜させることが好ましい。つまり、スポット配列を一次元配列として、副走査記録方向上流端のスポットSp1が副走査記録方向下流端のスポットSp2より主走査記録方向下流側に配置される向きで傾斜させることで、記録時に記録局部で発生したガスが副走査記録方向下流側に逃がされる。これにより、記録済領域のトナー層7cと受像層26(87c)との間にガスが残留することがなくなり、トナー層7cと受像層26との密着性が保たれ、画像欠陥が防止されて、良好な画像が得られるようになる。
【0093】
この記録ヘッド29には、ホストコンピュータ63からコントローラ59を介して画像、文字等のパターンデータが送られる(図3参照)。また、ホストコンピュータ63からは、コントローラ59を介してステージ27等の駆動モータに移動制御信号が送られる。これにより、記録ヘッド29と支持体23とが相対的に移動制御され、転写シート7に画像が形成される。この記録動作は、後述する一般的なシリアル動作とすることができる。本実施の形態では、上記の相対動作によって記録範囲の全面を走査し、画像データの存在する部分のみレーザービームLbを照射して記録を行う。
【0094】
次に、上記のように構成した平面記録装置100によって所望の画像を支持体23に記録する一連の手順を、図22及びこれに関連する各図に基づいて説明する。なお、以下の例は、ブラック(K)、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の4色を用いてブラックマトリクスやカラーフィルタ形成のための画像を記録する場合についての動作手順である。
【0095】
先ずステップ1において、支持体供給部33(図3参照)から支持体23を搬入機構49によって記録部39に供給する。記録部39のステージ27には、上記した動作手順によって支持体23を凹部71に固定する(図10参照)。
次いで、ステップ2で、記録媒体供給部31からステージ27上の支持体23に受像シート87を供給し、受像シート87を重ね合わせる。
この後、受像シート87は、ステップ3において、ヒートローラを用いてさらに加熱圧着(即ち、ラミネート)してもよい。
【0096】
次いで、ステップ4で、受像シート87を支持体23から剥離することにより、受像シート87の受像層87cを支持体23に転写する。受像層87cが転写された受像シート87は、吸盤列125によって記録部39から搬出し、廃棄箱37に廃棄する。なお、以上のステップ2〜ステップ4は、支持体上に直接転写する場合や、受像層を予め備えた支持体の場合には不要となる。
次いで、ステップ5で、記録媒体供給部31の転写シート供給部83から転写シート7をステージ27上に供給する(図17参照)。この後、転写シート7は、受像シート87の場合と同様に、ステップ6で、ヒートローラを用いてさらに加熱圧着(即ち、ラミネート)してもよい。
【0097】
次いで、ステップ7で、予め与えられた画像データに基づいて、転写シート7上に記録ヘッド29からレーザービームLbが出射され、所定のスポットSpが転写シート7の背面を画像様に走査する(図18参照)。ここで、与えられた画像データは、各色ごとの画像にさらに色分解されており、レーザ露光は、色分解された各色ごとの画像データに基づいて行われる。これにより、支持体23の受像層87cに転写シート7のトナー層7cが転写され、支持体23上にブラック(K)での画像が形成される。
【0098】
以上のようしてブラック(K)の画像記録が終了したなら、ステップ8で、ブラックの転写シート7を支持体23から剥離する。支持体23に密着した転写シート7を剥離することで、支持体23の受像層26(87c)にブラックの画像が形成される。
【0099】
そして、別の種類の転写シート7の供給が必要な場合は、上記のステップ5〜8までの処理を繰り返す。つまり、他のレッド、グリーン、ブルーの各色の転写シート7について、ステップ5〜8までの各動作が繰り返される。その結果、4色のトナー層7cのトナーインクKRGBが1枚の支持体23に転写される。以上の手順によって、支持体23の記録面25上に所望の画像が形成される。
【0100】
記録の終了した支持体23は、図3に示す排出機構51によって記録部39から排出して支持体受部35にスタックする。この排出動作では、まず、ステージ27の吸引用孔77(図10参照)からの吸引を解除する。次いで、凹部71の底面からピン73を突出させて、支持体23をステージ27から浮上させた状態に支持する。次いで、排出機構51の基台57を支持体23の下面側に進入させる。この際、基台57は、吸盤53が上向きの状態となっている。次いで、基台57は、上昇を開始し、吸盤53が支持体23に当接したとき、上昇を停止する。
【0101】
排出機構51は、吸盤53が支持体23に当接した状態で、吸引源55を駆動させて吸盤53に負圧を作用させる。この際、エア配管中の真空度が所定値になるまで、基台57の上昇動作を保留する。エア配管内の真空度が所定値となった後、基台57を上昇させ、支持体23をピン73から浮かせて吸着保持する。ここで、支持体23は、吸盤53による吸着面と反対側の面(上面)が記録面25となるため、記録面25に形成された画像を傷つけることはない。
【0102】
支持体23を保持した基台57は、略水平方向に移動する。このようにして記録部39から支持体23を取り出した基台57は、遮蔽フレーム41の通過開口部を通過した直後、一旦停止する。基台57は、この位置で、排出機構51の図示しない反転装置によって上下を反転させ、記録面25が下向きとなるようにして支持体23を支持する。基台57は、この支持姿勢のまま、支持体23を支持体受部35の上方まで搬入する。
【0103】
支持体受部35は、支持体供給部33と同様に、支持体23を間隔を有して積載するピン45を有している。排出機構51の基台57は、水平移動してこのピン45の上方に支持体23を位置合わせして停止する。次いで、基台57は、下降を開始し、支持体23がピン45に当接したとき、下降を停止する。
【0104】
排出機構51は、この停止位置で、エア配管中の真空度が所定値になるまで、基台57の上昇動作を保留する。エア配管内の真空度が所定値となった後、即ち、吸盤53による吸引保持が解除された後、基台57を上昇させ、支持体23をピン45上に受け渡す。支持体23を支持体受部35に排出させた基台57は、次の支持体23の排出に備えて待機位置へと移動する。
【0105】
以上の各動作を繰返すことにより、複数の支持体23に、ブラックマトリクスやカラーフィルタ等のパターンを連続的に形成することができる。
なお、図22に示した記録手順では、ブラックの転写シート7を最初に用いてブラックストライプを形成する例を説明したが、本発明に係る記録方法は、各色の記録の順番を限定するものではない。例えば、図23に示すように、レッド、グリーン、ブルーの3色を記録してカラーストライプを形成したのち、最後に、ブラックの記録を行ってブラックマトリクスを形成するものであってもよい。この場合、ブラックマトリクスをカラーストライプにオーバーラップさせて形成することができ、記録境界部からの光の漏れが確実に防止できる。また、4色に限らず、RGBの3色やいずれかの単色であってもよい。
【0106】
このように、上記の記録方法によれば、支持体供給部33からステージ27上に供給した支持体23に、転写シート7を密着させ、記録ヘッド29から出射させたレーザービームで転写シート7に画像を記録し、転写シート7を支持体23から剥離することで支持体23の記録面25にこの画像を転写でき、ガラス基板、石材、セラミックや折り曲げることのできない金属等の支持体23へ、高画質な画像の記録が可能となる。
【0107】
なお、本発明は、記録媒体としてヒートモード材料(感光感熱記録材料)の他に、光熱変換層を有しないフォトンモード材料(感光記録材料)でもよく、剥離現像工程が必要な記録媒体に適応可能である。また、記録ヘッドは、レーザ方式に限らず、複数の発熱素子により記録するサーマルヘッド方式でもよい。いずれにしても、異物除去後に画像記録を行うのであるから、異物による画像欠陥のない高品位の画質の画像記録が行える上に、製品の歩留まりが向上する。
【0108】
次に、本発明に係る平面記録装置の第2実施形態を説明する。
図24はステージへの搬送途中に粘着ローラを設けた平面記録装置の概念的な構成を表したブロック構成図、図25は粘着ローラの具体的な構成を示す構成図である。
なお、本実施形態の平面記録装置200は、受像シートや転写シートの搬送経路において異物を除去するものであり、前述の第1実施形態と同様の部材に対しては同一の符号を付与することでその説明は省略するものとする。
【0109】
図24に示すように、本実施形態の平面記録装置200は、記録媒体供給部31と記録部39との間の搬送路の途中に粘着ローラ151を配設している。粘着ローラ151は、図25(a)に示すように、一対の粘着ローラ153a,153bをシート搬送方向に対して略垂直方向に重ね合わせたものであり、受像シート87や転写シート7を上下から狭持して搬送する。従って、受像シート87や転写シート7は、記録部39に搬送される途中に、上下面に付着する異物が一挙に除去される。
【0110】
なお、図25(b)に示すように、支持体供給部33と記録部39との間に、上側の片側のみ粘着ローラ155を配置した構成としてもよい。この構成によれば構造を簡単化でき、また、第1実施形態で述べた粘着ローラ129をそのまま用いて構成することもできる。
【0111】
次に、本実施形態の粘着ローラを多段に構成した変形例を説明する。
図26は本実施形態の粘着ローラを上下多段構成とした一例を示す構成図である。本変形例の粘着ローラは、図26(a)に示すように、受像シート87や転写シート7と接触しながら回転する第1粘着ローラ159a,159bと、第1粘着ローラ159a,159bに接触して回転する第2粘着ローラ161a,161bとを多段状に構成している。第1粘着ローラ159a,159bの径は、第2粘着ローラ161a,161bの径とは異ならせており、図では第2粘着ローラ161a,161bの径の方を大きく設定している。これは、各粘着ローラ表面の接触位置を回転の度に異ならせるようにするためであり、従って、粘着ローラの径は、少なくとも低い倍数関係にある径を避けて設定する。これにより、粘着ローラの径の差から同じ位置同士が接触し続けることはなく、例えば第2の粘着ローラ161a,161bに異物が付着している位置に、第1の粘着ローラ159a,159bの特定の位置が繰り返し当たり続けることがなくなり、異物の除去が確実に行えるようになる。
【0112】
また、第2粘着ローラ161a,161bの粘着力は、第1粘着ローラ159a,159bの粘着力より大きく設定しており、クリーニングにより第1粘着ローラ159a,159bによって吸着された異物を第1粘着ローラ表面から引き剥がし、第2粘着ローラ161a,161bへと移している。従って、一旦第2粘着ローラ161a,161bに移された異物が、第1粘着ローラ159a,159bに再度付着することはない。
【0113】
この構成によれば、搬送中の受像シート87や転写シート7の上下面に付着していた異物が、第1の粘着ローラ159a,159bに付着して除去され、更により強力な粘着力を有する第2の粘着ローラ161a,161bに付着する。従って、第1の粘着ローラ159a,159bの表面に異物が付着し続けることはなく、常に異物の除去されたクリーニング効果の高い状態で受像シート87や転写シート7に接触することになる。
【0114】
また、図26(b)に示すように、上下共に3段構成とした場合も同様である。即ち、搬送中の受像シート87や転写シート7の上下面に接触する第1粘着ローラ159a,159bと、第1粘着ローラに接触する第2粘着ローラ161a,161bと、第2粘着ローラに接触する第3粘着ローラ163a,163bは、それぞれローラの径が異なっており、図示例では、第1粘着ローラ159a,159bから第2粘着ローラ161a,161b、第3粘着ローラ163a,163bの順で径を大きく設定している。また、粘着力もこの順で大きく設定している。
【0115】
また、図27は、搬送中のシート片面にのみ粘着ローラを多段状に設けた一例を示す構成図で、(a)は2段構成、(b)は3段構成の場合を示している。これらの構成によっても前記同様の効果を得ることができる。
【0116】
なお、ここでは、直径及び粘着力の異なる粘着ローラを多段に積層して異物を除去する構成を示したが、2段目以降の粘着ローラの粘着力が強いので、図示のように接触させたままであると、粘着ローラ同士が固着する可能性があり、固着した場合には、使用時にモータで粘着ローラを回せなくなることがある。そこで、2段目或いは2段目以降の粘着ローラを着脱可能に構成し、未使用時は脱状態を保つようにする。この構成によれば、粘着ローラ間の固着を防止できる上に、粘着ローラの圧接による変形等も防止できる。また、多段構成になることで、異物除去量を増大でき、その結果、メンテナンス期間を長期にすることができる。さらに、粘着ローラに導電性ゴムを使用することによって、静電気で故障しやすい支持体等であっても安全にクリーニングすることができる。
【0117】
【実施例】
次に、図28〜図30を参照して、粘着ローラの粘着ゴムの粘着力と、粘着ローラの押圧力によるクリーニング効果の違いについて説明する。
図28は粘着ゴムの粘着力が13[hPa]とした場合の粘着ローラの幅方向に対する圧力分布を示す特性図、図29は粘着ゴムの粘着力が27[hPa]とした場合の粘着ローラの幅方向に対する圧力分布を示す特性図、図30は好適な粘着ローラの粘着力と押圧力の範囲を示すグラフである。
【0118】
粘着力が13[hPa]の場合は、図28に示すように、実施例1の幅方向の圧力が0.07〜0.19[MPa]の分布であるときに、表2に示すように、記録媒体外れがなく、異物除去が確実に行われる上に、シワも寄らなかった。なお、記録媒体外れとは、受像シートや転写シート等の記録媒体が粘着ローラの表面に密着して支持体から剥がれる現象をいう。
【0119】
【表1】
Figure 2004017362
【0120】
一方、比較例1として示す幅方向の圧力が0.1〜0.22[MPa]の分布であるときには、測定ポイント1,9で記録媒体外れが発生した。このように、粘着ローラの押圧力は0.2[MPa]を限度として記録媒体外れが生じるようになる。
【0121】
また、粘着ローラの粘着力を27[hPa]の場合は、図29に示すように、実施例2に示す幅方向の圧力が0.018〜0.045[MPa]の分布であるときに、記録媒体外れがなく、異物除去が確実に行われる上に、シワも寄らなかった。
一方、比較例2として示す幅方向の圧力が0.035〜0.103[MPa]であるときには、測定ポイント1,2,7,8,9で0.05[MPa]を超え、記録媒体外れが発生した。また、比較例3として示す幅方向の圧力が0〜0.021[MPa]の分布であるときには、測定ポイント1,9を除く全てのポイントが、0.01[MPa]を下回り、押圧力不足により異物除去が不十分となった。
【0122】
以上のことから、図30に示すように、粘着ローラの粘着力が13[hPa]のとき押圧力が0.2[MPa]、粘着力が27[hPa]のとき押圧力が0.01[MPa]を上限として、また、0.01[MPa]を下限とした範囲において、媒体外れがなく、シワも寄らず、良好な異物除去が行える。従って、粘着ローラの押圧力P[MPa]と、粘着力ρ[hPa]とが、
P≦−0.01ρ+0.3 且つ、 P≧0.01[MPa]
の関係を満足することで良好な異物除去が可能となる。
【0123】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る平面記録装置のクリーニング方法によれば、記録対象を記録ステージに供給して固定し、記録対象の記録面に転写シートの画像形成層を密着させるまでの間に、記録ステージの表面や記録対象の記録面、転写シートの表面のうち、少なくともいずれかの表面に粘着ローラを接触させてクリーニングを行うので、画像記録に先立って記録ステージの表面や転写シート表面の異物が除去され、白抜きや画像欠陥の無い高画質の画像記録を行うことができる。
【0124】
本発明に係る平面記録装置によれば、記録対象を記録ステージの表面、前記記録対象の記録面、記録媒体供給部から前記記録ステージに搬送される転写シートのうち、少なくともいずれかの表面と接触動作可能に支持された粘着ローラを備え、画像記録に先立って前記記録ステージの表面や記録面、転写シートの表面に粘着ローラを接触させて異物を除去する構成であるから、異物除去後に画像記録が行われることになり、高画質の記録画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る平面記録装置を概念的に表したブロック構成図である。
【図2】支持体の断面図である。
【図3】平面記録装置の正面図である。
【図4】支持体供給部における支持体の積載状態を表す斜視図である。
【図5】記録ヘッドとステージの動作を説明する平面図である。
【図6】搬入機構が支持体供給部に進入して支持体を吸着するまでの動作を(a)〜(d)で示した動作説明図である。
【図7】搬入機構が支持体を保持して上昇し支持体供給部から支持体を取り出すまでの動作を(e)〜(h)で示した動作説明図である。
【図8】ピンを突出させた状態のY方向から見たステージを表す断面図である。
【図9】凹部に支持体を収容したステージの平面図である。
【図10】凹部に支持体を収容したステージの断面図である。
【図11】記録媒体供給部と記録部とを表した要部構成図である。
【図12】平面記録装置に使用する受像シート及び転写シートの断面図である。
【図13】ステージと粘着ローラとの関係を示す斜視図である。
【図14】図12のQ−Q断面図である。
【図15】剥離溝を設けたステージの凹部周縁の拡大斜視図である。
【図16】受像シートの剥離動作を説明する記録部近傍の要部構成図である。
【図17】転写シートの固定動作を説明するステージの断面図である。
【図18】記録ヘッドと支持体との相対移動方向を表す斜視図である。
【図19】記録原点位置に固定した記録ヘッドとステージ原点との関係を表す平面図である。
【図20】記録ヘッドにより形成されるスポット列を表す説明図である。
【図21】記録ヘッドの拡大図である。
【図22】記録工程を概念的に表した説明図である。
【図23】最後にブラックの記録を行ってブラックマトリクスを形成する様子を示す説明図である。
【図24】ステージへの搬送途中に粘着ローラを設けた平面記録装置の概念的な構成を表したブロック構成図である。
【図25】粘着ローラの具体的な構成を示す構成図である。
【図26】粘着ローラを上下多段構成とした一例を示す構成図である。
【図27】搬送中のシート片面にのみ粘着ローラを多段状に設けた一例を示す構成図である。
【図28】粘着ゴムの粘着力が13[hPa]とした場合の粘着ローラの幅方向に対する圧力分布を示す特性図である。
【図29】粘着ゴムの粘着力が27[hPa]とした場合の粘着ローラの幅方向に対する圧力分布を示す特性図である。
【図30】好適な粘着ローラの粘着力と押圧力の範囲を示すグラフである。
【図31】リング抜けの生じる異物の混入状態を示す断面図である。
【図32】白抜けの生じる異物の混入状態を示す断面図である。
【図33】ストライプ形状に欠け、巣、断線が発生した様子を示す説明図である。
【符号の説明】
3 ステージ
5 支持体
7 転写シート
7c トナー層
7b 光熱変換層
7a 支持層
23 支持体
25 記録面
26 受像層
27 記録ステージ
29 記録ヘッド
39 記録部
85 受像シートロール
87 受像シート
87c 受像層
87a 支持層
100 平面記録装置
103 転写シートロール
129 粘着ローラ
129a 芯
151 粘着ローラ
153a,153b 粘着ローラ
155 粘着ローラ
159a,159b 粘着ローラ(1段目)
161a,161b 粘着ローラ(2段目)
163a,163b 粘着ローラ(3段目)
200 平面記録装置
La 幅
Lb レーザービーム
P 押圧力
Wa 溝幅
X 異物
ρ 粘着力

Claims (12)

  1. 少なくとも画像形成層を支持体の片面上に有する転写シートと、記録対象の記録面とを重ね合わせて、前記転写シートに所望の画像を記録した後、前記転写シートを前記記録対象から剥離して画像形成層を画像様に前記記録面へ転写する平面画像記録のクリーニング方法であって、
    前記記録対象を記録ステージに供給して固定し、前記転写シートを記録部に供給すると共に前記記録対象の記録面に画像形成層を重ね合わせ、前記転写シートの画像形成層を前記記録対象の記録面に密着させるまでの間に、前記記録ステージ表面、前記記録対象の記録面、前記転写シートの表面のうち、少なくともいずれかの表面に粘着ローラを接触させてクリーニングすることを特徴とする平面記録装置のクリーニング方法。
  2. 前記記録ステージの前記記録対象が固定される面を、前記記録対象の記録ステージへの供給前に前記粘着ローラを接触させてクリーニングすることを特徴とする請求項1記載の平面記録装置のクリーニング方法。
  3. 前記記録ステージに前記記録対象が供給された後で且つ前記転写シートの供給前に、前記記録対象の記録面に前記粘着ローラを接触させてクリーニングすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の平面記録装置のクリーニング方法。
  4. 前記転写シートの支持体側の面、該支持体側とは反対側の面のうち、少なくともいずれか一方の面をクリーニングすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の平面記録装置のクリーニング方法。
  5. 前記粘着ローラの押圧力P[MPa]と、粘着力ρ[hPa]が、
    P≦−0.01ρ+0.3 且つ、 P≧0.01[MPa]
    の関係を満足することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の平面記録装置のクリーニング方法。
  6. 少なくとも光熱変換層と画像形成層とを支持体の片面上に有する転写シートを用いて、記録対象の記録面に所望の画像を形成する平面記録装置であって、
    前記記録対象を固定する記録ステージと、
    前記記録ステージに固定された記録対象に転写シートを供給する記録媒体供給部と、
    前記記録ステージの表面、前記記録対象の記録面、前記転写シートの表面のうち、少なくともいずれかの表面と接触動作可能に支持された粘着ローラとを備えたことを特徴とする平面記録装置。
  7. 前記記録媒体供給部と前記記録ステージとの間の転写シート搬送路の上側、下側の少なくともいずれか一方に、前記粘着ローラを配置したことを特徴とする請求項6記載の平面記録装置。
  8. 前記粘着ローラが、軸方向中央部を拡径したクラウン形状を有することを特徴とする請求項6又は請求項7記載の平面記録装置。
  9. 前記粘着ローラが、複数の粘着ローラを互いに接触させて平行に配置した多段状のローラであって、
    クリーニングする前記表面に接触させる一段目の粘着ローラの粘着力が、他の粘着ローラの粘着力以下であることを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれか1項記載の平面記録装置。
  10. 前記一段目の粘着ローラを除く他の粘着ローラのいずれかを脱着可能に設けたことを特徴とする請求項9記載の平面記録装置。
  11. 前記粘着ローラは、TiOx(酸化チタン)を含むゴム、TiOx(酸化チタン)を含み且つBa(バリウム)を含まないゴム、C−O又はSi−Oの官能基を持つ炭化水素化合物を含むゴムを用いて形成したことを特徴とする請求項6〜請求項10のいずれか1項記載の平面記録装置。
  12. 前記粘着ゴムが、導電性を有することを特徴とする請求項6〜請求項11のいずれか1項記載の平面記録装置。
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