JP2004017341A - サーマルヘッドの蓄熱量補正装置及びサーマルプリンタ - Google Patents
サーマルヘッドの蓄熱量補正装置及びサーマルプリンタ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】尾引き現象を抑制し、画像パターン及び印画速度の如何に拘わらず、常に高品位の画像を印画できるサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】サーマルヘッドに蓄積される熱量に応じて該サーマルヘッドに供給する印刷データを補正する蓄熱量補正装置は、印刷すべきラインの注目画素の階調値を、該注目画素の属する列と同じ列に属する画素の階調値の前記印刷すべきラインの直前のラインまでの累積和に応じて補正する手段3,5を備え、蓄熱量の補正を画素単位で行うことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】サーマルヘッドに蓄積される熱量に応じて該サーマルヘッドに供給する印刷データを補正する蓄熱量補正装置は、印刷すべきラインの注目画素の階調値を、該注目画素の属する列と同じ列に属する画素の階調値の前記印刷すべきラインの直前のラインまでの累積和に応じて補正する手段3,5を備え、蓄熱量の補正を画素単位で行うことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルプリンタに搭載されるサーマルヘッドに蓄積される熱量に応じて該サーマルヘッドに供給する印刷データを補正する蓄熱量補正装置及びサーマルプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
サーマルプリンタは、発熱抵抗体が配列されてなるサーマルヘッドを有し、これらの発熱抵抗体に印刷データに従って通電することにより印字が行われるが、印字を繰り返すことによりサーマルヘッドに熱が蓄積して行き、そのままでは印字濃度が濃くなるので、これを補正する必要がある。
【0003】
そのため、例えば特開平6−79901号公報に記載のサーマルプリンタは、第1ラインを印字する際の通電時間は温度センサで検出したサーマルヘッドの温度に基づいて決定し、第2ライン以降の印字の際は累計印字数(画素数)に基づいて通電時間を補正する構成を有する。
【0004】
また、特開2000−71506号公報に記載のサーマルプリンタは、各ラインの印字の際に、サーマルヘッドに蓄積された熱量に応じて印字階調データを補正する構成を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のサーマルプリンタにおいて濃度の非常に濃い領域の直下に濃度が急激に薄くなる領域が存在する画像を印画する場合、濃度の薄い領域内に薄く色のついた部分が延びる、いわゆる尾引き現象が発生するという問題がある。これは、従来のサーマルプリンタでは通電時間の補正または印字階調データの補正はライン単位で行うので、領域単位では十分な補正効果が得られないという理由によるものであり、印画速度を速めた場合には尾引き現象は更に大きくなる。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、上記の尾引き現象を抑制し、画像パターン及び印画速度の如何に拘わらず、常に高品位の画像を印画できるサーマルプリンタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明は、サーマルヘッドに蓄積される熱量に応じて該サーマルヘッドに供給する印刷データを補正する蓄熱量補正装置において、
印刷すべきラインの注目画素の階調値を、該注目画素の属する列と同じ列に属する画素の階調値の前記印刷すべきラインの直前のラインまでの累積和に応じて補正する手段を備え、蓄熱量の補正を画素単位で行うことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成すべく、請求項2に記載の発明は、サーマルヘッドに蓄積される熱量に応じて該サーマルヘッドに供給する印刷データを補正する蓄熱量補正装置において、
印刷すべきラインの注目画素の階調値を、該注目画素の属する列と同じ列に属する画素の階調値の前記印刷すべきラインの直前のラインまでの累積和と、前記同じ列に隣接する所定数の列にそれぞれ属する画素の階調値の前記直前のラインまでのそれぞれの累積和とに応じて補正する手段を備え、蓄熱量の補正を画素単位で行うことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記手段が、各列の画素の階調値の累積和にそれぞれ重み係数を乗算して重み付けし、重み付けされた累積和の総和に基づいて前記注目画素の階調値を補正するように構成され、前記重み係数は、前記注目画素の属する列から離れるほど小さくなることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載のサーマルプリンタは、請求項1から3のいずれか一項に記載のサーマルヘッドの蓄熱量補正装置を有することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1に本発明の実施の形態1に係るサーマルヘッドの蓄熱量補正装置の構成を示す。本実施形態の蓄熱量補正装置は、元の画像データ(各画素の階調値)を記憶する記憶素子1と、後述の熱履歴データを演算により求める積算演算部2と、補正後の画像データを演算により求める印刷データ補正演算部5と、サーマルヘッド7への通電及び駆動制御を行う信号処理ヘッド駆動部6とから構成される。
【0012】
積算演算部2は、第nラインの画素の印刷の際、下記の式(1)に従い、同じ列に属する画素の階調値を第1ラインから直前の第n−1ラインまで累積し、熱履歴データSnを求める。ここでは、画素はそれぞれ256階調のR,G,B系の画素であり、例えば赤のデータの場合、階調0が最も濃い赤を表し、階調256が白を表すものとする。
Sn=(255−An−1)+α・Sn−1 (1)
【0013】
(1)式において、An−1は第n−1ライン上の同じ列に属する画素の画素データ(画素の階調値)、Sn−1は第n−1ラインの印刷の際に求めた熱履歴データ(但しS0は0とする)、αは重み係数である。
【0014】
蓄熱エネルギーは階調値が小さいほど大きく、逆に階調値が大きいほど蓄熱エネルギーは小さい。熱履歴データSn−1の影響は、前のラインの印刷から時間が経過するにつれ小さくなるので、熱履歴データSn−1には経過時間に応じた値の重み係数α(0<α<1)を乗算している。
【0015】
積算演算部2は、画素データAn−1と熱履歴データSn−1の値の種々の組み合わせについて熱履歴データSnを予め演算して求め、その結果を格納したテーブル3を備えており、該テーブル3を参照して熱履歴データSnを得るようにしている。
【0016】
印刷データ補正演算部4は、積算演算部2から供給される熱履歴データSnと記憶素子1から供給される画素データAnとから、下記の式(2)に従い補正後の画素データAn’を求める。
An’=An+K・Sn (2)
【0017】
(2)式において、K(0<K<1)は重み係数であり、K・Snは元の画素の濃度、即ちその階調値から減算すべき値(但し、階調値は0が最大濃度を表すため、(2)式では加算の形を取る)を表している。この減算すべき値はサーマルヘッドの蓄熱量に相当するものであり、図2に示すように印画開始から印画終了まで次第に増加して行く。
【0018】
印刷データ補正演算部4は、画素データAnと熱履歴データSnの値の種々の組み合わせについて補正後の画素データAn’を予め演算して求め、その結果を格納したテーブル5を備えており、該テーブル5を参照して補正後の画素データAn’を得るようにしている。
【0019】
以上の蓄熱補正処理により、図3に示すように、第1ライン〜第nラインの元の画素データA0〜Anは、A0’〜An’に補正されることになる。信号処理ヘッド駆動部6は印刷データ補正演算部4から供給される補正後の画素データA0’〜An’に基づき、サーマルヘッド7の発熱抵抗体に印加する電圧値あるいはパルス幅を制御することにより、印刷用紙に画像を印画する。
【0020】
本実施の形態1の蓄熱量補正装置は、蓄熱補正の演算を画素単位で行い、蓄熱補正処理を画素単位で精密に行うので、蓄熱補正処理をライン単位で行う従来の装置で発生していた尾引き現象が抑制され、画像パターン及び印画速度の如何に拘わらず、常に高品位の画像を印画することができる。
【0021】
実施の形態2.
次に本発明の実施の形態2に係るサーマルヘッドの蓄熱量補正装置を説明する。本実施の形態2は、画素データの補正を、同じ列に属する画素の画素データのみならず、右側に隣接するm本の列にそれぞれ属する画素の画素データ及び左側に隣接するm本の列にそれぞれ属する画素の画素データも参照して行うようにした点で実施の形態1と異なる。但しmは、(1ラインの画素数)/2より小さい正の整数である。
【0022】
図4は、本実施の形態2において第nライン上の第l列の画素データAn lの補正の際に参照する画素の範囲を示している。図4では、第nラインにおける第(l−m)列から第(l+m)列の熱履歴データを、Sn l−m,Sn l−(m−1),...,Sn l+mで表している。
【0023】
各列の熱履歴データSn l−m〜l+mは、下記の式(3)で求められる。
Sn l−m〜l+m=(255−An−1 l−m〜l+m)+α・Sn−1 l−m〜l+m (3)
【0024】
補正後の画素データAn l’は、下記の式(4)から求められる。
An l’=An l+K0・Sn l+K1・(Sn l+1+Sn l−1)+K2・(Sn l+2+Sn l−2)+…+Km・(Sn l+m+Sn l−m) (4)
【0025】
上記の式(4)において、重み係数K0〜Kmは、例えば、Km=1,Km−1=2,Km−2=4…,K1=100とし、各列の熱履歴データの重み係数が補正すべき画素の存在する列から水平方向に離れるにつれて大きくなるように設定することにより、離れた位置にある列の熱履歴データの影響を補正に反映しながらもその影響を小さくしている。尚、画素データの値が大きいほど熱転写エネルギーは小さく白レベルに近づくので、重み係数K0〜Kmの値を大きくすれば蓄熱補正への影響は大きくなり、重み係数K0〜Kmの値を小さくすれば蓄熱補正への影響は小さくなる。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態2においては、補正すべき画素から離れるにつれ、蓄熱補正に及ぼす熱履歴データの影響が徐々に小さくなるようにしており、従って重み係数K0〜Kmは、以下の式で表される関係を満たしている。
K0≧K1≧K2≧…≧Km (5)
【0027】
尚、(4)の演算は、実施の形態1と同様、画素データ及び熱履歴データの値の種々の組み合わせについて補正後の画素データを予め演算により求め、その結果を格納したテーブルを参照して行うことができるが、本実施の形態2では組み合わせの種類の数は非常に多いのでテーブルのメモリ容量は非常に大きくなる。テーブルのメモリ容量が限られており、大きくできない場合には、mの値を小さくするかあるいはK1=K2、K3=K4=…=Kmとすればよい。
【0028】
本実施の形態2によれば、同じ列のみならず、隣接の複数の列の熱履歴データも参照して蓄熱補正処理を行うので、尾引き現象がより効果的に抑制される。また、サーマルプリンタの印画速度、印画濃度等の仕様に応じてテーブルのメモリ容量を設定できるという柔軟性も備えている。
【0029】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、蓄熱補正の演算を画素単位で行い、蓄熱補正処理を画素単位で精密に行うので、蓄熱補正処理をライン単位で行う従来の装置で発生していた尾引き現象が抑制され、画像パターン及び印画速度の如何に拘わらず、常に高品位の画像を印画することができる。
【0030】
請求項2及び3に記載の発明によれば、隣接の複数の列の熱履歴データも参照して蓄熱補正処理を行うので、尾引き現象がより効果的に抑制される。
【0031】
請求項4に記載の発明によれば、尾引き現象を抑制し、画像パターン及び印画速度の如何に拘わらず、常に高品位の画像を印画できるサーマルプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るサーマルヘッドの蓄熱量補正装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1において、演算により求めた蓄熱補正量の印画開始から印画終了までの変化の一例を示すグラフである。
【図3】実施の形態1における、蓄熱補正前及び蓄熱補正後の画素データを比較して示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るサーマルヘッドの蓄熱量補正装置において、補正画素データの演算の際に参照する画素の範囲を示す図である。
【符号の説明】
1 記憶素子、 2 積算演算部、 3,5 テーブル、 4 印刷データ補正演算部、 6 信号処理ヘッド駆動部、 7 サーマルヘッド。
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルプリンタに搭載されるサーマルヘッドに蓄積される熱量に応じて該サーマルヘッドに供給する印刷データを補正する蓄熱量補正装置及びサーマルプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
サーマルプリンタは、発熱抵抗体が配列されてなるサーマルヘッドを有し、これらの発熱抵抗体に印刷データに従って通電することにより印字が行われるが、印字を繰り返すことによりサーマルヘッドに熱が蓄積して行き、そのままでは印字濃度が濃くなるので、これを補正する必要がある。
【0003】
そのため、例えば特開平6−79901号公報に記載のサーマルプリンタは、第1ラインを印字する際の通電時間は温度センサで検出したサーマルヘッドの温度に基づいて決定し、第2ライン以降の印字の際は累計印字数(画素数)に基づいて通電時間を補正する構成を有する。
【0004】
また、特開2000−71506号公報に記載のサーマルプリンタは、各ラインの印字の際に、サーマルヘッドに蓄積された熱量に応じて印字階調データを補正する構成を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のサーマルプリンタにおいて濃度の非常に濃い領域の直下に濃度が急激に薄くなる領域が存在する画像を印画する場合、濃度の薄い領域内に薄く色のついた部分が延びる、いわゆる尾引き現象が発生するという問題がある。これは、従来のサーマルプリンタでは通電時間の補正または印字階調データの補正はライン単位で行うので、領域単位では十分な補正効果が得られないという理由によるものであり、印画速度を速めた場合には尾引き現象は更に大きくなる。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、上記の尾引き現象を抑制し、画像パターン及び印画速度の如何に拘わらず、常に高品位の画像を印画できるサーマルプリンタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明は、サーマルヘッドに蓄積される熱量に応じて該サーマルヘッドに供給する印刷データを補正する蓄熱量補正装置において、
印刷すべきラインの注目画素の階調値を、該注目画素の属する列と同じ列に属する画素の階調値の前記印刷すべきラインの直前のラインまでの累積和に応じて補正する手段を備え、蓄熱量の補正を画素単位で行うことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成すべく、請求項2に記載の発明は、サーマルヘッドに蓄積される熱量に応じて該サーマルヘッドに供給する印刷データを補正する蓄熱量補正装置において、
印刷すべきラインの注目画素の階調値を、該注目画素の属する列と同じ列に属する画素の階調値の前記印刷すべきラインの直前のラインまでの累積和と、前記同じ列に隣接する所定数の列にそれぞれ属する画素の階調値の前記直前のラインまでのそれぞれの累積和とに応じて補正する手段を備え、蓄熱量の補正を画素単位で行うことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記手段が、各列の画素の階調値の累積和にそれぞれ重み係数を乗算して重み付けし、重み付けされた累積和の総和に基づいて前記注目画素の階調値を補正するように構成され、前記重み係数は、前記注目画素の属する列から離れるほど小さくなることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載のサーマルプリンタは、請求項1から3のいずれか一項に記載のサーマルヘッドの蓄熱量補正装置を有することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1に本発明の実施の形態1に係るサーマルヘッドの蓄熱量補正装置の構成を示す。本実施形態の蓄熱量補正装置は、元の画像データ(各画素の階調値)を記憶する記憶素子1と、後述の熱履歴データを演算により求める積算演算部2と、補正後の画像データを演算により求める印刷データ補正演算部5と、サーマルヘッド7への通電及び駆動制御を行う信号処理ヘッド駆動部6とから構成される。
【0012】
積算演算部2は、第nラインの画素の印刷の際、下記の式(1)に従い、同じ列に属する画素の階調値を第1ラインから直前の第n−1ラインまで累積し、熱履歴データSnを求める。ここでは、画素はそれぞれ256階調のR,G,B系の画素であり、例えば赤のデータの場合、階調0が最も濃い赤を表し、階調256が白を表すものとする。
Sn=(255−An−1)+α・Sn−1 (1)
【0013】
(1)式において、An−1は第n−1ライン上の同じ列に属する画素の画素データ(画素の階調値)、Sn−1は第n−1ラインの印刷の際に求めた熱履歴データ(但しS0は0とする)、αは重み係数である。
【0014】
蓄熱エネルギーは階調値が小さいほど大きく、逆に階調値が大きいほど蓄熱エネルギーは小さい。熱履歴データSn−1の影響は、前のラインの印刷から時間が経過するにつれ小さくなるので、熱履歴データSn−1には経過時間に応じた値の重み係数α(0<α<1)を乗算している。
【0015】
積算演算部2は、画素データAn−1と熱履歴データSn−1の値の種々の組み合わせについて熱履歴データSnを予め演算して求め、その結果を格納したテーブル3を備えており、該テーブル3を参照して熱履歴データSnを得るようにしている。
【0016】
印刷データ補正演算部4は、積算演算部2から供給される熱履歴データSnと記憶素子1から供給される画素データAnとから、下記の式(2)に従い補正後の画素データAn’を求める。
An’=An+K・Sn (2)
【0017】
(2)式において、K(0<K<1)は重み係数であり、K・Snは元の画素の濃度、即ちその階調値から減算すべき値(但し、階調値は0が最大濃度を表すため、(2)式では加算の形を取る)を表している。この減算すべき値はサーマルヘッドの蓄熱量に相当するものであり、図2に示すように印画開始から印画終了まで次第に増加して行く。
【0018】
印刷データ補正演算部4は、画素データAnと熱履歴データSnの値の種々の組み合わせについて補正後の画素データAn’を予め演算して求め、その結果を格納したテーブル5を備えており、該テーブル5を参照して補正後の画素データAn’を得るようにしている。
【0019】
以上の蓄熱補正処理により、図3に示すように、第1ライン〜第nラインの元の画素データA0〜Anは、A0’〜An’に補正されることになる。信号処理ヘッド駆動部6は印刷データ補正演算部4から供給される補正後の画素データA0’〜An’に基づき、サーマルヘッド7の発熱抵抗体に印加する電圧値あるいはパルス幅を制御することにより、印刷用紙に画像を印画する。
【0020】
本実施の形態1の蓄熱量補正装置は、蓄熱補正の演算を画素単位で行い、蓄熱補正処理を画素単位で精密に行うので、蓄熱補正処理をライン単位で行う従来の装置で発生していた尾引き現象が抑制され、画像パターン及び印画速度の如何に拘わらず、常に高品位の画像を印画することができる。
【0021】
実施の形態2.
次に本発明の実施の形態2に係るサーマルヘッドの蓄熱量補正装置を説明する。本実施の形態2は、画素データの補正を、同じ列に属する画素の画素データのみならず、右側に隣接するm本の列にそれぞれ属する画素の画素データ及び左側に隣接するm本の列にそれぞれ属する画素の画素データも参照して行うようにした点で実施の形態1と異なる。但しmは、(1ラインの画素数)/2より小さい正の整数である。
【0022】
図4は、本実施の形態2において第nライン上の第l列の画素データAn lの補正の際に参照する画素の範囲を示している。図4では、第nラインにおける第(l−m)列から第(l+m)列の熱履歴データを、Sn l−m,Sn l−(m−1),...,Sn l+mで表している。
【0023】
各列の熱履歴データSn l−m〜l+mは、下記の式(3)で求められる。
Sn l−m〜l+m=(255−An−1 l−m〜l+m)+α・Sn−1 l−m〜l+m (3)
【0024】
補正後の画素データAn l’は、下記の式(4)から求められる。
An l’=An l+K0・Sn l+K1・(Sn l+1+Sn l−1)+K2・(Sn l+2+Sn l−2)+…+Km・(Sn l+m+Sn l−m) (4)
【0025】
上記の式(4)において、重み係数K0〜Kmは、例えば、Km=1,Km−1=2,Km−2=4…,K1=100とし、各列の熱履歴データの重み係数が補正すべき画素の存在する列から水平方向に離れるにつれて大きくなるように設定することにより、離れた位置にある列の熱履歴データの影響を補正に反映しながらもその影響を小さくしている。尚、画素データの値が大きいほど熱転写エネルギーは小さく白レベルに近づくので、重み係数K0〜Kmの値を大きくすれば蓄熱補正への影響は大きくなり、重み係数K0〜Kmの値を小さくすれば蓄熱補正への影響は小さくなる。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態2においては、補正すべき画素から離れるにつれ、蓄熱補正に及ぼす熱履歴データの影響が徐々に小さくなるようにしており、従って重み係数K0〜Kmは、以下の式で表される関係を満たしている。
K0≧K1≧K2≧…≧Km (5)
【0027】
尚、(4)の演算は、実施の形態1と同様、画素データ及び熱履歴データの値の種々の組み合わせについて補正後の画素データを予め演算により求め、その結果を格納したテーブルを参照して行うことができるが、本実施の形態2では組み合わせの種類の数は非常に多いのでテーブルのメモリ容量は非常に大きくなる。テーブルのメモリ容量が限られており、大きくできない場合には、mの値を小さくするかあるいはK1=K2、K3=K4=…=Kmとすればよい。
【0028】
本実施の形態2によれば、同じ列のみならず、隣接の複数の列の熱履歴データも参照して蓄熱補正処理を行うので、尾引き現象がより効果的に抑制される。また、サーマルプリンタの印画速度、印画濃度等の仕様に応じてテーブルのメモリ容量を設定できるという柔軟性も備えている。
【0029】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、蓄熱補正の演算を画素単位で行い、蓄熱補正処理を画素単位で精密に行うので、蓄熱補正処理をライン単位で行う従来の装置で発生していた尾引き現象が抑制され、画像パターン及び印画速度の如何に拘わらず、常に高品位の画像を印画することができる。
【0030】
請求項2及び3に記載の発明によれば、隣接の複数の列の熱履歴データも参照して蓄熱補正処理を行うので、尾引き現象がより効果的に抑制される。
【0031】
請求項4に記載の発明によれば、尾引き現象を抑制し、画像パターン及び印画速度の如何に拘わらず、常に高品位の画像を印画できるサーマルプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るサーマルヘッドの蓄熱量補正装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1において、演算により求めた蓄熱補正量の印画開始から印画終了までの変化の一例を示すグラフである。
【図3】実施の形態1における、蓄熱補正前及び蓄熱補正後の画素データを比較して示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るサーマルヘッドの蓄熱量補正装置において、補正画素データの演算の際に参照する画素の範囲を示す図である。
【符号の説明】
1 記憶素子、 2 積算演算部、 3,5 テーブル、 4 印刷データ補正演算部、 6 信号処理ヘッド駆動部、 7 サーマルヘッド。
Claims (4)
- サーマルヘッドに蓄積される熱量に応じて該サーマルヘッドに供給する印刷データを補正する蓄熱量補正装置であって、
印刷すべきラインの注目画素の階調値を、該注目画素の属する列と同じ列に属する画素の階調値の前記印刷すべきラインの直前のラインまでの累積和に応じて補正する手段を備え、蓄熱量の補正を画素単位で行うことを特徴とするサーマルヘッドの蓄熱量補正装置。 - サーマルヘッドに蓄積される熱量に応じて該サーマルヘッドに供給する印刷データを補正する蓄熱量補正装置であって、
印刷すべきラインの注目画素の階調値を、該注目画素の属する列と同じ列に属する画素の階調値の前記印刷すべきラインの直前のラインまでの累積和と、前記同じ列に隣接する所定数の列にそれぞれ属する画素の階調値の前記直前のラインまでのそれぞれの累積和とに応じて補正する手段を備え、蓄熱量の補正を画素単位で行うことを特徴とするサーマルヘッドの蓄熱量補正装置。 - 前記手段は、各列の画素の階調値の累積和にそれぞれ重み係数を乗算して重み付けし、重み付けされた累積和の総和に基づいて前記注目画素の階調値を補正するように構成され、前記重み係数は、前記注目画素の属する列から離れるほど小さくなることを特徴とする請求項2に記載のサーマルヘッドの蓄熱量補正装置。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載のサーマルヘッドの蓄熱量補正装置を備えることを特徴とするサーマルプリンタ。
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JP2002172410A JP2004017341A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | サーマルヘッドの蓄熱量補正装置及びサーマルプリンタ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002172410A JP2004017341A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | サーマルヘッドの蓄熱量補正装置及びサーマルプリンタ |
Publications (1)
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002172410A Pending JP2004017341A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | サーマルヘッドの蓄熱量補正装置及びサーマルプリンタ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004017341A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007210120A (ja) * | 2006-02-07 | 2007-08-23 | Mitsubishi Electric Corp | サーマルヘッドの蓄熱補正装置及び蓄熱補正方法 |
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2002
- 2002-06-13 JP JP2002172410A patent/JP2004017341A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007210120A (ja) * | 2006-02-07 | 2007-08-23 | Mitsubishi Electric Corp | サーマルヘッドの蓄熱補正装置及び蓄熱補正方法 |
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