JPH11320933A - 感熱記録装置 - Google Patents

感熱記録装置

Info

Publication number
JPH11320933A
JPH11320933A JP10130475A JP13047598A JPH11320933A JP H11320933 A JPH11320933 A JP H11320933A JP 10130475 A JP10130475 A JP 10130475A JP 13047598 A JP13047598 A JP 13047598A JP H11320933 A JPH11320933 A JP H11320933A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
image
image data
recording
thermal head
recording speed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10130475A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Yamaguchi
晃 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP10130475A priority Critical patent/JPH11320933A/ja
Publication of JPH11320933A publication Critical patent/JPH11320933A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】どのような記録速度であっても、画像データに
対応した適切な濃度で記録することができる記録速度可
変の感熱記録装置を提供する。 【解決手段】画像の記録速度に応じて、感熱材料の移動
速度を制御する制御部を備えており、さらに画像の記録
速度に応じて、サーマルヘッドの電源電圧を制御する電
源制御部、画像の記録速度に応じて、サーマルヘッドの
押圧力を制御する押圧力制御部、画像の記録速度に応じ
て、サーマルヘッドの押圧位置を制御する位置制御部、
画像の記録速度に応じて、発熱分散数を制御する記録制
御部、および、画像の記録速度に応じて、画像データに
補正処理を施す画像処理部の内の少なくとも1つを備え
ることにより、上記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録速度可変の感
熱記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超音波診断画像の記録に、フィルムや紙
等の支持体の片面に感熱記録層を形成した感熱記録材料
(以下、感熱材料という)を用いる感熱記録が利用され
ている。また、感熱記録は湿式の現像処理が不要であ
り、取り扱いが簡単である等の利点を有することから、
近年では、超音波診断のような小型の画像記録のみなら
ず、MRI診断やX線診断等の大型かつ高画質な画像が
要求される用途において、医療診断のための画像記録へ
の利用も検討されている。
【0003】感熱記録装置においては、1ライン分の画
素数に相当する個数の発熱素子を主走査方向に配列した
グレーズが形成されたサーマルヘッドを用い、グレーズ
を感熱材料の感熱記録層に若干押し当てた状態で、両者
を主走査方向とほぼ直交する副走査方向に相対的に移動
させながら、グレーズの各発熱素子を記録画像の画像デ
ータに応じて加熱することにより、感熱材料の感熱記録
層を加熱して画像記録が行われている。
【0004】ここで、上述するサーマルヘッドは、図7
に示すように、スイッチ素子66を介して電源とグラン
ドとの間に発熱素子64を接続して構成されている。ス
イッチ素子66は、例えば各画素の画像データをパルス
幅変調した制御信号によってそのオンオフが制御され、
発熱素子64は、スイッチ素子66を介して、制御信号
のハイレベルのパルス幅に相当する時間通電されること
により、画像データに対応する所定の温度に制御され
る。
【0005】なお、以下の説明では、制御信号の1周期
に相当する時間に対して、スイッチ素子66をオンさせ
る時間の割合を発熱デューティという。また、発熱素子
64を制御信号のハイレベルのパルス幅に相当する時間
通電した時、発熱素子64へ与えられる記録エネルギー
Eは、E=(V2 /R)・(t/S)により与えられ
る。ここで、Vはサーマルヘッド14の電源電圧、Rは
発熱素子64の抵抗値、tは制御信号のハイレベルのパ
ルス幅、Sは発熱素子64の画素面積である。
【0006】ところで、感熱記録装置の記録速度を高速
化した場合、記録速度が低速の場合よりも記録に要する
時間が短くなるため、記録速度が低速の場合と同じ記録
エネルギーEを短い記録時間で得るためには、図8
(a)に示すように、サーマルヘッドの電源電圧を高く
する必要がある。
【0007】また、前述のように、サーマルヘッドの電
源電圧を高くすることによって、サーマルヘッドの表面
温度は上昇する。ここで、図8(b)に、同一記録速度
におけるサーマルヘッドの電源電圧と制御信号の発熱デ
ューティおよびサーマルヘッドの表面温度との間の関係
を表すグラフを示す。このグラフの横軸はサーマルヘッ
ドに供給する電源電圧(V)、右側の縦軸は制御信号の
発熱デューティ(%)、左側の縦軸はサーマルヘッドの
表面温度(℃)である。図8(b)のグラフに示すよう
に、サーマルヘッドの電源電圧を高くしても、サーマル
ヘッドの平均温度Taveはほとんど変化しないが、サ
ーマルヘッドの最高温度Tpeakは、電源電圧が高く
なるにしたがって上昇する。
【0008】ここで、まず、図9に、記録速度とサーマ
ルヘッドの電源電圧との間の関係を表す一例のグラフを
示す。このグラフの横軸はプラテンローラのライン周期
(ms)であり、縦軸はサーマルヘッドの電源電圧
(V)である。このグラフは、濃度D=3の画像を記録
する時の制御信号の発熱デューティが70%となるよう
にサーマルヘッドに供給する必要のある電源電圧を、ラ
イン周期毎に示したものである。
【0009】続いて、図10に、記録速度とサーマルヘ
ッドの表面温度との間の関係を表す一例のグラフを示
す。このグラフの横軸は同じくライン周期(ms)であ
り、縦軸はサーマルヘッドのグレーズの表面温度(℃)
である。このグラフは、濃度D=3の画像を記録するた
めに必要な記録エネルギーをサーマルヘッドに与えた場
合の、サーマルヘッドのグレーズの表面の平均温度およ
び最高温度を、ライン周期毎に示したものである。
【0010】これらのグラフに示すように、ライン周期
が短くなる、すなわち、記録速度が高速になるにしたが
って、サーマルヘッドの電源電圧を高くする必要があ
り、このようにサーマルヘッドの電源電圧を高くするこ
とによって、サーマルヘッドの表面温度が上昇してしま
うことがわかる。
【0011】ここで、例えば感熱記録装置の記録速度を
可変とし、どのような記録速度であっても、画像データ
に対応した適切な濃度で記録できるようにしようとした
場合、サーマルヘッドの電源電圧が固定電圧であるとす
れば、電源電圧を高速の記録速度用の高電圧に設定する
必要がある。その理由は、サーマルヘッドの電源電圧を
低速の記録速度用の低電圧に設定すると、高速の記録速
度の時に適切な高濃度で記録することができないからで
ある。
【0012】したがって、感熱記録装置の記録速度を可
変とした場合、記録速度が低速の時に、サーマルヘッド
に必要以上に高電圧の電源電圧が供給されることにな
り、サーマルヘッドの表面温度が不要に高温になるた
め、記録画像の色味が変化したり、サーマルヘッドの耐
久性が劣化する、すなわち、サーマルヘッドの表面温度
が高温になるほど、グレーズが摩耗しやすくなるし、発
熱素子自身の特性も劣化する等の問題が発生しやすくな
る。
【0013】また、画像の記録速度に応じて、例えば感
熱材料にサーマルヘッドを押圧する圧力やその押圧位置
等の最適値も変動してしまうため、これらの押圧力や押
圧位置等が、画像の記録速度に応じて最適化されていな
いと、サーマルヘッドが感熱材料にきちんと接触せず、
記録画像がかすれたり、サーマルヘッドと感熱材料が当
たったり当たらなかったりしてすじ状のむらになるステ
ィッキングが発生するという問題もある。
【0014】さらに、感熱記録装置では、記録画像の画
質を改善するために各種の補正処理が行われている。し
かし、補正処理の中には、記録速度に応じて補正処理を
行わなければ、かえって逆効果になってしまうものもあ
る。このような補正処理の精度の低下は、仕上がり記録
画像の画質の低下につながり、特に、高画質な画像記録
を要求される医療分野においては、診断のミスにもつな
がりかねないため重大な問題となっている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術に基づく問題点をかえりみて、どのような記録
速度であっても、画像データに対応した適切な濃度で記
録することができる記録速度可変の感熱記録装置を提供
することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、画像に対応する画像データに基づき、1
次元方向に前記画像を記録するサーマルヘッドにより、
前記1次元方向と略直交する方向へ相対的に移動する感
熱記録材料に2次元的に前記画像を記録する、記録速度
可変の画像記録装置であって、前記画像の記録速度に応
じて、前記感熱記録材料の移動速度を制御する制御部を
備えており、さらに前記画像の記録速度に応じて、前記
サーマルヘッドに供給する電源の電圧を制御する電源制
御部、前記画像の記録速度に応じて、前記サーマルヘッ
ドが前記感熱記録材料に押圧される圧力を制御する押圧
力制御部、前記画像の記録速度に応じて、前記サーマル
ヘッドが前記感熱記録材料に押圧される位置を制御する
位置制御部、前記画像の記録速度に応じて、前記画像デ
ータを複数の分割画像データに略等分割し、これらの略
等分割された複数の分割画像データが、前記感熱記録材
料の移動方向に分散して記録されるよう発熱分散数を制
御する記録制御部、および、前記画像の記録速度に応じ
て、前記画像データに補正処理を施す画像処理部の内の
少なくとも1つを備えていることを特徴とする感熱記録
装置を提供するものである。
【0017】ここで、前記画像処理部は、前記画像の記
録速度に応じて、少なくとも温度上昇補正、負荷変動補
正、シェーディング補正の各補正処理を前記画像データ
に施すのが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、添付の図面に示す好適実
施例に基づいて、本発明の感熱記録装置を詳細に説明す
る。
【0019】図1は、本発明の感熱記録装置の一実施例
の構成概念図である。同図は、記録速度可変の感熱記録
装置10の一例を示すもので、画像記録制御装置16の
制御によって、プラテンローラ12とサーマルヘッド1
4との間に、シート状の感熱記録材料(以下、感熱材料
という)Sを挟持した状態で矢印Y方向に搬送しなが
ら、サーマルヘッド14で1次元方向(矢印X方向)に
階調画像を記録することにより、感熱材料Sに2次元階
調画像を記録するものである。
【0020】ここで、プラテンローラ12は、後述する
画像記録制御装置16の記録制御部62の作用の下で、
ステップモータ20により回転駆動され、感熱材料Sを
所定速度で矢印Y方向に搬送する。また、サーマルヘッ
ド14は、1次元方向(矢印X方向)に多数の発熱素子
22を配列して構成され、各発熱素子22は、画像記録
制御装置16の電源制御部54から供給される所定電圧
の駆動電流によって感熱材料Sを所定の階調で発色させ
るべく発熱する。
【0021】続いて、画像記録制御装置16は、画像の
記録速度に応じて、サーマルヘッド14の押圧力および
押圧位置、サーマルヘッド14の電源電圧、画像データ
の補正処理、記録画像の1画素当たりの発熱分散数等を
制御しつつ、本発明の感熱記録装置10全体の動作を制
御するもので、図示例の場合、押圧力制御部50、位置
制御部52、電源制御部54、データ記憶部56、画像
処理部58、画像メモリ60および記録制御部62を有
する。
【0022】ここで、まず、押圧力制御部50は、画像
の記録速度にしたがって、サーマルヘッド14が、感熱
材料S(すなわちプラテンローラ12)に押圧される圧
力を制御する。サーマルヘッド14の押圧力は、記録速
度が速くなるにしたがって大きくするのが好ましい。な
お、感熱材料Sに対するサーマルヘッド14の押圧力を
制御してもよいし、逆に、感熱材料Sに対するプラテン
ローラ12の押圧力を制御してもよい。
【0023】また、位置制御部52は、画像の記録速度
にしたがって、前述のように、サーマルヘッド14が、
感熱材料Sに押圧される位置を制御する。サーマルヘッ
ド14が押圧される位置は、記録速度が高速になるにし
たがって、プラテンローラ12の中心軸上の位置から、
感熱材料Sの搬送方向の後の位置にずらす、すなわち、
図2に示すように、サーマルヘッド14のグレーズがプ
ラテンローラ12より搬送方向下流側に位置するように
するのが好ましい。なお、プラテンローラ12またはサ
ーマルヘッド14のいずれか一方を他方に対して相対的
にずらしてやればよい。
【0024】電源制御部54は、画像の記録速度にした
がって、サーマルヘッド14に供給する電源の電圧を制
御する。例えば、図7に示すサーマルヘッド14のグレ
ーズの場合、画像の記録速度にしたがって、発熱素子6
4に供給する電源の電圧Vを制御する。サーマルヘッド
14の電源電圧は、記録速度が高速になるにしたがって
高くする必要があるが、記録速度に対応する記録時間内
に所望の記録エネルギーが得られる必要十分な電圧とす
るのが好ましい。
【0025】以上のように、本発明の感熱記録装置10
においては、まず、画像の記録速度に応じて、サーマル
ヘッド14の押圧力および押圧位置、ならびに、サーマ
ルヘッド14の電源電圧が設定される。
【0026】続いて、データ記憶部56には、例えば発
熱素子の温度に応じて発熱エネルギーを調整する温度上
昇補正、記録濃度に応じた感熱材料とサーマルヘッドと
の間の界面の摩擦力の変化に起因するすじ状の濃度むら
を補正する負荷変動補正、サーマルヘッドのグレーズの
形状バラツキ等によって生じる濃度むらを補正するシェ
ーディング補正、画像の輪郭を強調するための鮮鋭度補
正(シャープネス処理)、記録パターンの変化によるサ
ーマルヘッドの電源電圧の降下量変化によらず、同じ濃
度に対応する画像データを同濃度で発色させるための黒
比率補正、感熱材料のγ値や感熱記録装置の個体差等に
対応して適正画像を得るための階調補正、各発熱素子の
抵抗値の差を補正する抵抗値補正等のための各種の補正
データが保持されている。
【0027】画像記録に用いられる画像データは、例え
ばCTやMRI等の図示していない画像入力装置から画
像処理部58に供給され、画像処理部58において、サ
ーマルヘッド14の温度等のサーマルヘッド14から得
られる情報や、データ記憶部56に保持されている各種
の補正データ等に基づき、画像の記録速度に応じて、前
述の各種補正処理を含む各種の画像処理が施される。こ
こで、前述の各種の補正処理は、以下のようにして行わ
れる。
【0028】まず、温度上昇補正とは、発熱素子の温度
に応じて発熱エネルギーを調整し、各発熱素子の温度履
歴の差によって生じる濃度むらを補正するものである。
サーマルヘッド14の各発熱素子の加熱は、例えば記録
画像の各画素の画像データに対応して所定時間通電する
ことにより行われる。しかし、各発熱素子の温度は、前
ラインまでの記録画像(発熱履歴)に応じて個々に異な
るため、同じ画像データに応じて各発熱素子に同一時間
通電しても、加熱後の発熱素子の間で温度差が生じ、濃
度むらが発生する。
【0029】また、発熱素子の上昇温度は画像の記録速
度に影響され、記録速度が速くなるにしたがって発熱素
子の温度も速く上昇する。ここで、図3(a)に、通電
時間と発熱素子の温度との間の関係を表す一実施例のグ
ラフを示す。このグラフの横軸は通電時間、縦軸は発熱
素子の温度である。また、図中符号HおよびLは、それ
ぞれ高速時および低速時の関係を表すものである。この
グラフに示すように、発熱素子の温度は通電時間に応じ
て上昇するが、記録速度が速くなるにしたがってより短
い時間で所定温度に到達する。これに基づいて、本発明
の感熱記録装置10では、画像の記録速度に応じて画像
データの温度上昇補正が行われる。
【0030】温度上昇補正の方法には特に限定はなく、
公知の方法が各種利用可能であるが、例えば前処理とし
て1画面の記録画像を、所定数の画素を有する所定数の
領域(ブロック)に分割して、分割された各領域毎に画
像データの代表値を算出しておき、この画像データの代
表値とサーミスタ等により検出される温度初期値とから
各領域の温度予測値を算出して、この温度予測値から各
領域に対する温度補正値を算出し、各領域に対する温度
補正値を補間して、1画面の記録画像の各画素に対する
温度補正値を算出し、この温度補正値を用いて各画素の
画像データを補正する方法が例示される。なお、温度上
昇補正の方法は、例えば本出願人による特願平8−25
035号明細書に詳述されている。
【0031】ところで、感熱記録装置10では、感熱材
料Sに記録する濃度に応じて、感熱材料Aとサーマルヘ
ッド14との間の界面の摩擦力が変化する。このため、
低濃度に記録する部分から高濃度に記録する部分に変化
する境界線の部分では、一瞬、感熱材料Sの搬送速度が
速くなり、境界線の部分の記録濃度が低下して白いすじ
状の濃度むらが発生するし、これとは逆に、高濃度に記
録する部分から低濃度に記録する部分に変化する境界線
の部分では、黒いすじ状の濃度むらが発生するという問
題点がある。負荷変動補正とは、上記すじ状の濃度むら
が発生するのを防止するための補正処理である。
【0032】負荷変動による影響を受けるライン数は画
像の記録速度に影響され、記録速度が速くなるにしたが
って影響を受けるライン数も増大する。ここで、図3
(b)に、ライン数と補正係数との間の関係を表す一実
施例のグラフを示す。このグラフの横軸は負荷変動の影
響を受けるライン数、縦軸は影響を受ける各ラインの画
像データに対する負荷変動補正の補正係数である。ま
た、図中符号HおよびLは、それぞれ高速時および低速
時の関係を表すものである。このグラフに示すように、
記録速度が速くなるにしたがって、ゴムローラの変形量
が大きくなり、負荷変動の影響を受けるライン数が増大
する。これに基づいて、本発明の感熱記録装置10で
は、画像の記録速度に応じて画像データの負荷変動補正
が行われる。
【0033】負荷変動補正の方法には特に限定はなく、
公知の方法が各種利用可能であるが、例えば予め算出し
てある、画像データと、感熱材料とサーマルヘッドとの
間の摩擦力(搬送トルク)と、の間の関係を表す関数に
基づいて、下記算出式に示されるように、前ラインの各
画素に対応する摩擦力の総和から、現ラインの各画素に
対応する摩擦力の総和を減算することにより、前ライン
から現ラインにわたる摩擦力の変化量を算出し、この摩
擦力の変化量に基づいて、各ラインの各画素毎に画像デ
ータを補正する。
【0034】
【数1】
【0035】ここで、nは記録画像の行番号、iはnラ
イン目の画素番号、D’n (i)およびDn (i)は、
それぞれ補正後および補正前のnライン目のi画素目の
画像データ値、kは補正係数、Hn はnライン目の感熱
材料とサーマルヘッドとの間の摩擦力変化を示す量、M
は1ラインの画素総数、f(D)は画像データ値Dと、
感熱材料とサーマルヘッドとの間の摩擦力と、の間の関
係を表す関数式である。なお、負荷変動補正の方法につ
いては、例えば本出願人による特願平9−50295号
明細書に詳述されている。
【0036】続いて、シェーディング補正とは、サーマ
ルヘッド14のグレーズの形状バラツキ等によって生じ
る濃度むらを補正するものである。前述のように、サー
マルヘッド14は発熱素子が一方向に配列されてなるグ
レーズを有するが、このグレーズの形状を全画素にわた
って均一にすることは困難であり、通常は、個々の画素
である程度の形状バラツキを有する。また、各発熱素子
の発熱量は、グレーズの延在方向の位置によっても異な
る。このため、同一記録濃度の画像データを用いて画像
記録を行っても、この形状バラツキや位置に起因する濃
度むら、いわゆるシェーディングが発生する。
【0037】また、サーマルヘッドのシェーディングは
画像の記録速度に影響され、記録速度が速くなるにした
がってグレーズの蓄熱による影響が出やすくなるためシ
ェーディングも増大する。ここで、図3(c)に、各発
熱素子毎のシェーディング補正データを表す一実施例の
グラフを示す。このグラフの横軸はサーマルヘッドの各
発熱素子のドット、縦軸は各発熱素子のシェーディング
補正データの値である。また、図中符号HおよびLは、
それぞれ高速時および低速時の関係を表すものである。
このグラフに示すように、記録速度が速くなるにしたが
って、濃度むらの強度が大きくなり、シェーディング補
正データの値も大きくなる。これに基づいて、本発明の
感熱記録装置10では、画像の記録速度に応じて画像デ
ータのシェーディング補正が行われる。
【0038】シェーディング補正の方法には特に限定は
なく、所定濃度の画像データに対応する発熱エネルギー
をサーマルヘッド14の全画素(発熱素子)に供給し、
実際に感熱記録画像を形成して、画像濃度を濃度計等を
用いて光学的に測定し、画像データが対応する記録濃度
と実際に測定された記録画像の濃度とから、形成される
記録画像の濃度が均一になるように画像データを補正す
るシェーディング補正データ(補正係数)を各画素毎に
算出してデータ記憶部56に記憶しておき、画像データ
にシェーディング補正データを乗算する方法が例示され
る。なお、シェーディング補正の方法については、例え
ば本出願人による特願平8−42969号明細書に詳述
されている。
【0039】続いて、鮮鋭度補正(シャープネス処理)
とは、明瞭で、かつメリハリのある画像を得るために、
記録画像の輪郭を強調して、画像の鮮鋭性を向上する補
正である。鮮鋭度は画像の記録速度に影響され、記録速
度が速くなるにしたがって記録画像の鮮鋭度も低下す
る。ここで、図3(d)に、サーマルヘッドのグレーズ
の保護膜厚と鮮鋭度との間の関係を表す一実施例のグラ
フを示す。このグラフの横軸はサーマルヘッド14のグ
レーズの保護膜厚、縦軸は記録された画像の鮮鋭度であ
る。また、図中符号HおよびLは、それぞれ高速時およ
び低速時の関係を表すものである。このグラフに示すよ
うに、記録画像の鮮鋭度は、グレーズの保護膜厚が厚く
なるにしたがって、かつ、記録速度が速くなるにしたが
って低下する。これに基づいて、本発明の感熱記録装置
10では、画像の記録速度に応じて画像データの鮮鋭度
補正が行われる。
【0040】鮮鋭度補正は、公知の各種の方法が利用可
能であるが、一例として、下記のようにして行われる。
1画面がn×n画素に分割されるものであり、ある画素
ラインiにおけるグレーズの延在方向j番目の画像デー
タをSij(i=1,2…n、j=1,2…n)とする
と、鮮鋭度補正においては、この画像データSijを、ま
ず、電気的にぼけた画像データである第1アンシャープ
ネス信号U1 ijに変換する。この第1アンシャープネス
信号U1 ijは、画像データSijとその周囲の画像データ
を平均化することにより得られるものであり、下記式
(1)で求められる。
【0041】
【数2】
【0042】なお、Mは第1アンシャープネス信号U1
ijを作成するのに用いる画素数すなわちマスクサイズで
あり、Lは(M−1)/2で定義される。次いで、第1
アンシャープネス信号U1 ijをさらに平均化して、第2
アンシャープネス信号U2 ijを算出する。第2アンシャ
ープネス信号U2 ijは、第1アンシャープネス信号U1
ijと同様に下記式(2)で算出される。
【0043】
【数3】
【0044】次いで、第1アンシャープネス信号U1 ij
と第2アンシャープネス信号U2 ijとの差を求める。そ
して、この差に鮮鋭度補正係数Kを乗算して、第1アン
シャープネス信号U1 ijを加算することにより、すなわ
ち、下記式(3)により、鮮鋭度補正された画像データ
ijが得られる。 Sij=U1 ij+K・(U1 ij−U2 ij) …(3) なお、鮮鋭度補正の方法については、例えば本出願人に
よる特願平8−200389号明細書に詳述されてい
る。
【0045】ここで、温度上昇補正、負荷変動補正、シ
ェーディング補正および鮮鋭度補正は、前述のように、
画像の記録速度に応じて影響を受けるものである。本発
明の感熱記録装置10では、これら4種類の補正処理の
内、少なくとも温度上昇補正、負荷変動補正およびシェ
ーディング補正については、画像の記録速度に応じて補
正処理を施すのが好ましい。また、さらに好ましくは、
鮮鋭度補正についても記録速度に応じて補正処理を施す
のがよい。
【0046】続いて、黒比率補正とは、記録パターンの
変化によるサーマルヘッド14の電源電圧の降下量変化
によらず、同じ画像データを同濃度で発色させるための
補正である。例えば、1ラインの画像データの中に高濃
度部分が多い場合、同時に通電される発熱素子の数が多
くなって電流量が増大し、例えば電源からサーマルヘッ
ド14までの電源ケーブル等の内部抵抗によって、電流
量に応じた電圧降下が発生する。このため、サーマルヘ
ッド14に供給される電源電圧が画像データの濃度に応
じて各ライン毎および各発熱素子毎に変動してしまい、
画像データは同一であっても記録画像には濃度差が生じ
るという、いわゆる黒比率むらが発生する。このため、
黒比率補正が行われる。
【0047】黒比率補正の方法には特に限定はなく、公
知の方法が各種利用可能である。例えば、各ライン毎
に、各画素の画像データを加算して1ラインの全印加エ
ネルギーを算出し、この全印加エネルギーに基づいて個
々の画素の画像データを補正する方法、すなわち1ライ
ン中の電圧降下量は一定であるものとして、各画素の画
像データの電圧降下による熱エネルギーの損失分を補正
する黒比率補正方法が例示される。
【0048】階調補正(濃度補正ともいう)とは、記録
装置の状態や感熱材料Aのγ値等に応じて画像データを
補正し、適正に階調(濃度)が表現された画像を得るた
めの補正である。感熱記録装置10において、例えばデ
ジタルデータで512の画像データが濃度(D)1.2
に対応する場合、512の画像データを受け取った場合
には、基本的に濃度1.2の画像を出力することが要求
される。しかしながら、装置には個体差があり、また設
置環境等も異なる。さらに、メーカや製造ロット等によ
っては感熱材料Aのγ値も異なる。このため、すべての
装置が供給された画像データに応じて所定濃度の画像を
出力することは不可能である。従って、画像データに応
じて適正に階調が表現された感熱記録画像を形成するた
めに、階調補正が行われる。
【0049】階調補正の方法には特に限定はなく、公知
の方法が各種利用可能であるが、例えば、感熱記録装置
10によって複数の濃度の画像が記録された補正チャー
トを作成し、この補正チャートに記録された画像の濃度
を濃度計で測定し、感熱記録装置10が目的とした画像
濃度と補正チャートに記録された画像濃度とから、濃度
補正アルゴリズムを用いて補正テーブルすなわち階調カ
ーブ(あるいは補正関数)を作成し、この補正テーブル
を用いて画像データを変換する方法が例示される。
【0050】また、抵抗値補正とは、各発熱素子の抵抗
値の差を補正して、適正な画像を得るための補正であ
る。サーマルヘッド14に用いられる発熱素子の抵抗値
は均一ではなく、製造誤差や素材のバラツキ等に起因す
る抵抗値のバラツキを有する。また、抵抗体である発熱
素子の抵抗値は使用すなわち発熱時間および発熱エネル
ギー(発熱履歴)に応じて変化するが、各発熱素子の発
熱履歴は均一ではなく、経時と共に抵抗値変化量にも差
が生じ、抵抗値のバラツキは変動する。このような抵抗
値のバラツキに起因して、同じ時間発熱させても各発熱
素子の発熱量が異なってしまい、それが記録画像の濃度
むらの要因の一つとなっている。このため、これに起因
する濃度むらの補正すなわち抵抗値補正が行われる。
【0051】抵抗値補正の方法には特に限定はなく、各
発熱素子の抵抗値を実際に測定して、各発熱素子毎に抵
抗値補正データ(例えば、[R/Rm]で、Rはその発
熱素子の抵抗値を、Rmは全発熱素子中の最大抵抗値を
示す)を算出してデータ記憶部86に記憶しておき、こ
れを画像データに乗算する方法等が例示される。
【0052】画像データは、画像処理部58において、
上述する各種の画像処理が施された後、画像メモリ60
に格納される。画像メモリ60に格納された画像処理後
の画像データは記録制御部62に読み出され、記録制御
部62において、画像メモリ60に格納された画像デー
タに基づいて、サーマルヘッド14のグレーズを構成す
る個々の発熱素子の発熱が制御され、記録画像が形成さ
れる。
【0053】ここで、記録制御部62は、図4に示すよ
うに、画像メモリ60に記憶された2次元画像データを
1次元画像データ毎に記憶するラインメモリ28と、1
次元画像データのとり得る全画像データを8分割した分
割画像データを記憶する分割画像データメモリ30と、
分割画像データに基づきサーマルヘッド14を駆動し、
感熱材料Sに画像を記録するサーマルヘッド駆動部24
と、これらを制御する制御部18と、制御部18から出
力されるピクセルクロック信号PCLKをカウントし
て、ラインメモリ28から1次元画像データを画素毎に
出力させるためのアドレスデータをラインメモリ28に
供給するカウンタ32と、制御部18から出力されるラ
インクロック信号LCLKをカウントして、分割画像デ
ータメモリ30から分割画像データを出力させるための
アドレスデータの下位3ビットとなる出力データB0
2 を供給するとともに、画像メモリ58からラインメ
モリ28に1次元画像データを読み出すためのタイミン
グ信号TSを発生するタイミング信号発生回路33に出
力データB3 を出力するカウンタ34とを備える。
【0054】なお、分割画像データメモリ30から分割
画像データを出力させるためのアドレスデータの上位1
1ビットは、ラインメモリ28から画素毎に出力される
1次元画像データによって供給される。
【0055】また、ラインメモリ28と分割画像データ
メモリ30との間、および、分割画像データメモリ30
とサーマルヘッド駆動部24との間には、分割画像デー
タメモリ30に対して制御部18から分割画像データを
格納するための切換器36,38が接続されている。ま
た、制御部18は、ROMやRAM等のメモリ40を有
し、このメモリ40には、少なくとも上述した全ての8
分割画像データが格納される。
【0056】記録制御部60では、まず、画像記録に先
立って、分割画像データが、切換器36,38を接点b
側に接続させた状態で制御部18を介してメモリ40か
ら転送され、分割画像データメモリ30に記憶される。
例えば、ラインメモリ28から分割画像データメモリ3
0に供給される1次元画像データを11ビットとし、カ
ウンタ34から供給される出力データ(B0 〜B2 )を
3ビットとし、分割画像データを8ビットとした場合、
この分割画像データメモリ30には、11ビットの1次
元画像データを分割画像データ読み出しアドレスデータ
の上位11ビット(A3 〜A13)とし、その下位3ビッ
ト(A0 〜A2 )をカウンタ34からの3ビットの出力
データ(B0 〜B2 )とする14ビットのアドレスデー
タA0 〜A13の全てに対して、対応する全ての8ビット
の分割画像データが記憶される。
【0057】ここで、代表例として、分散記録点数(発
熱分散数)が8、画像データの分割数(データ分散数)
が8、1画素当たりの多階調画像データが11ビット、
分割画像データが8ビットである場合を例に挙げて、以
下に、多階調画像データの分割方法を説明する。下記表
1に、前述のように、11ビットの多階調画像データの
0から2047までの2048種類にわたる、発熱8分
散、データ8分散の場合の分割画像データを示す。
【0058】
【表1】
【0059】上記表1に示すように、ここでは、1画素
当たりの発熱記録点(サーマルヘッド14全体では1画
素当たりの記録可能なライン)は、感熱材料Sの搬送方
向に対して8点A〜H(0ラインA〜7ラインH)に分
散される。続いて、ラインメモリ28から供給される1
次元画像データの1画素の多階調画像データを略等分し
て、略均等な複数の分割画像データを算出する算出方法
について説明する。
【0060】ここで、1画素の画像データの1つを
P 、分割数をM、分割後のM個の分割画像データをd
1 ,d2 ,…,dM とすると、画像データDP は、 DP =d1 +d2 +…+dM =[DP /M]+ [(DP −d1 )/(M−1)]+ [(DP −d1 −d2 )/(M−2)]+ … + [(DP −d1 −d2 − … −dM-1 )] の関係に基づき、略均等なM個の分割画像データd1
2 ,…,dM に分割される。
【0061】例えば、分割数M=4とすると、画像デー
タDP =1に対して、分割画像データ(d1 ,d2 ,d
3 ,d4 )=(0,0,0,1)、以下同様に、DP
2に対して(d1 ,d2 ,d3 ,d4 )=(0,0,
1,1)、DP =3に対して(d1 ,d2 ,d3
4 )=(0,1,1,1)、DP =4に対して
(d1 ,d 2 ,d3 ,d4 )=(1,1,1,1)、D
P =5に対して(d1 ,d2 ,d3,d4 )=(1,
1,1,2)、…の関係が得られる。
【0062】なお、上記表1では、画像データDP =2
040の時、0ラインA〜7ラインHまでの全ての分割
画像データがいずれも255となるため、DP =204
0〜2047では、分割画像データは全て同じ値255
を取ることになる。
【0063】こうして、例えば表1に示すような全ての
分割画像データが、あらかじめ生成されてメモリ40あ
るいは外部記憶装置等に格納される。このメモリ40あ
るいは外部記憶装置内の全ての分割画像データは、前述
のように、制御部18によって読み出され、分割画像デ
ータメモリ30に記憶されるが、この時、表1に示す各
分割画像データには、下記表2に示すように14ビット
のアドレスデータ0〜16383が付けられる。
【0064】
【表2】
【0065】分割画像データメモリ30には、上記表2
に示すように、1画素の画像データを8分割した分割画
像データが、0ライン目Aから7ライン目Hまでに割り
当てられ、0,0,0,0,0,0,0,0(画像デー
タDP =0)/0,0,0,0,0,0,0,1(画像
データDP =1)/…/127,127,127,12
8,128,128,128,128(画像データDP
=1021)/…/255,255,255,255,
255,255,255,255(画像データDP =2
047)の順に記憶される。
【0066】この場合、上述した14ビットのアドレス
データA0 〜A13の下位3ビット(A2 ,A1 ,A0
は、サーマルヘッド14により感熱材料Sに記録される
0ライン目A(A2 =A1 =A0 =0)、1ライン目B
(A2 =A1 =0、A0 =1)…6ライン目G(A2
1 =1、A0 =0)、7ライン目H(A2 =A1 =A
0 =1)の分割画像データを指定する。また、アドレス
データA0 〜A13の上位11ビット(A3 〜A13)は、
1画素の分割前の11ビットの画像データに係る分割画
像データであることを指定する。
【0067】例えば、以上のようにして、多階調画像デ
ータから分割画像データが算出され、分割画像データメ
モリ30に分割画像データが記憶される。本発明の感熱
記録装置10においては、制御部18の制御により、画
像の記録速度に応じて記録画像の1画素当たりの発熱分
散数が決定され、この記録速度に応じて決定された発熱
分散数にしたがって、多階調画像データから分割画像デ
ータが算出され、分割画像データメモリ30に分割画像
データが記憶される。
【0068】ここで、図5(a)および(b)に、発熱
1分散および発熱8分散の場合の制御信号の一実施例の
グラフを示す。このグラフは、例えば図7に示すサーマ
ルヘッド14のグレーズのスイッチ素子66のオンオフ
を制御する制御信号の一例を示すものであり、横軸は時
間、縦軸はサーマルヘッド14の温度である。また、こ
こでは、サーマルヘッド14の平均温度をTave、最
高温度をTpeak、最低温度をTbottomとして
ある。また、図5(c)に、発熱分散数とサーマルヘッ
ドの表面温度との間の関係を表す一実施例のグラフを示
す。このグラフの横軸は発熱分散数、縦軸はサーマルヘ
ッド14の表面温度である。
【0069】これらのグラフに示すように、サーマルヘ
ッド14の平均温度Taveは、発熱分散数を変更して
もほとんど変動しないが、その最高温度Tpeakは、
発熱分散数を多くするにしたがって低下し、サーマルヘ
ッド14の最低温度Tbottomは、発熱分散数を多
くするにしたがって上昇する。これに基づいて、本発明
の感熱記録装置10では、サーマルヘッド14の最高温
度Tpeakを低下させるように、発熱分散数は、記録
速度が速くなるにしたがって多くするように決定され
る。
【0070】その後、切換器36,38を接点a側に接
続した状態で図6に示すタイミングチャートに従って画
像の記録が開始される。まず、制御部18は、画像の記
録速度にしたがって、ステップモータ20に対して所定
の駆動信号SSを出力する。この駆動信号SSに基づ
き、ステップモータ20がプラテンローラ12を回転駆
動し、感熱材料Sが、記録速度に応じた所定の一定速度
で矢印Y方向に搬送される。一方、制御部18は、ピク
セルクロック信号PCLKおよびラインクロック信号L
CLKを生成し、それぞれカウンタ32およびカウンタ
34に出力する。
【0071】この時、カウンタ34は出力データB3
出力し、この出力データB3 を受けて、タイミング発生
回路33が駆動信号SSに同期または比例したタイミン
グ信号TSを出力する。このタイミング信号TSがライ
ンメモリ28に供給されると、画像メモリ58に記憶さ
れた2次元画像データが、感熱材料Sの矢印X方向に記
録される1次元画像データ毎に読み出され、ラインメモ
リ28に転送され記憶される。
【0072】また、制御部18からカウンタ32にピク
セルクロック信号PCLKが入力されると、カウンタ3
2は、ピクセルクロック信号PCLKに同期して順次カ
ウントアップし、その出力データをアドレスデータとし
てラインメモリ28に供給する。ラインメモリ28は、
供給されるアドレスデータに従って1次元画像データを
画素毎に出力し、切換器36を介して分割画像データメ
モリ30の上位11ビット(A3 〜A13)にアドレスデ
ータとして供給する。
【0073】一方、制御部18からカウンタ34にライ
ンクロック信号LCLKが入力されると、カウンタ34
は、ラインクロック信号LCLKに同期して順次カウン
トアップし、その出力データの最下位ビット側からの3
ビットのデータB0 〜B2 を切換器36を介して分割画
像データメモリ30の下位3ビット(A0 〜A2 )にア
ドレスデータとして供給するとともに、前述のように、
最上位ビットの出力データB3 をタイミング発生回路3
3にタイミング信号TSを発生させるための信号として
供給する。
【0074】この場合、分割画像データメモリ30に
は、上位11ビットが分割前の1次元画像データからな
り、下位3ビットが感熱材料Sの0ライン目A〜7ライ
ン目Hを示す14ビットのアドレスデータが供給される
ことになる。
【0075】従って、下記表3が、表2に基づいて記録
される階調画像データの一例である時、表3に示す1,
3,401,1022,2040,7,0,…の画像デ
ータの0ライン目Aを記録する場合、カウンタ34から
出力されるデータB0 ,B1,B2 は0番目のラインク
ロック信号LCLKによってリセットされてともに0と
なり、下位3ビットのアドレスデータがA0 =A1 =A
2 =0であるアドレスに記憶された分割画像データが、
分割画像データメモリ30から1画素毎に選択的に出力
され、切換器38を介してサーマルヘッド駆動部24に
供給される。
【0076】
【表3】
【0077】サーマルヘッド駆動部24は、分割画像デ
ータメモリ30から1画素毎に選択的に出力される当該
0ライン目の1次元方向の全画素の分割画像データを受
け取り、これらをパルス幅変調して、例えば図7に示す
ように、サーマルヘッド14のグレーズのスイッチ素子
66のオンオフを制御する制御信号を発生し、これを電
源制御部54に供給する。また、電源制御部54は、画
像の記録速度にしたがってサーマルヘッド14の電源電
圧を制御する。
【0078】したがって、サーマルヘッド14の各発熱
素子には、電源制御部54によって、記録速度に応じた
電源電圧が供給され、制御信号によって、分割画像デー
タに応じた所定の一定時間スイッチ素子がオンしている
間、このスイッチ素子を介して電源からグランドに所定
の駆動電流が流れる。このような各画素の分割画像デー
タに応じた所定の時間だけ流れる駆動電流によって、感
熱材料Sには1記録ラインの画像が記録される。
【0079】すなわち、サーマルヘッド駆動部24は、
これらの1次元分割画像データに従ってサーマルヘッド
14を駆動し、まず、0ライン目Aの画像を感熱材料S
に記録する。同様にして、分割画像データメモリ30の
下位3ビットA0 ,A1 ,A 2 のアドレスデータがライ
ンクロック信号LCLKに従って順次更新されること
で、1ライン目B〜7ライン目Hの画像が記録される。
この結果、感熱材料Sには、搬送方向1画素幅内に画像
が8記録ラインに分散して記録され、1画素内の記録開
始側または記録終了側に偏って記録されることがなく、
かすれや画質の劣化のない高品質な画像が形成される。
【0080】以上のように、本発明の感熱記録装置10
においては、画像の記録速度に応じて、感熱材料Sの移
動速度が制御されるのはもちろん、さらには、画像の記
録速度に応じて、サーマルヘッド14の電源電圧が制御
され、画像の記録速度に応じて、サーマルヘッド14の
押圧力および押圧位置が制御され、画像の記録速度に応
じて、発熱分散数が制御され、画像の記録速度に応じ
て、画像データが補正処理される。これにより、記録速
度に応じて画像の記録濃度を最適化することができ、記
録画像の画質を向上させることができる。
【0081】なお、画像の記録速度に応じて、前述のサ
ーマルヘッドの電源電圧の制御、サーマルヘッドの押圧
力および押圧位置の制御、発熱分散数の制御、画像デー
タの補正処理をすべて行うのが最も好ましいのは言うま
でもないことであるが、本発明の感熱記録装置によれ
ば、これらの内の少なくとも1つを実施するだけでも、
記録画像の画質の大幅な向上が認められる。また、画像
記録速度に応じて、少なくとも画像データの補正処理を
行うようにするのが好ましい。
【0082】また、上記実施例では、分割された各画像
をパルス幅変調によって記録しているが、本発明はこれ
に限定されるわけではなく、パルス数変調によって記録
するようにしてもよいし、両者を併用してもよい。ま
た、本発明においては、サーマルヘッド14を構成する
複数の発熱素子22の内、隣接する発熱素子22への駆
動電流の供給タイミングを所定時間ずらすようにして、
一層偏りのない高品質な画像を得るようにしてもよい。
【0083】また、発熱分散数、データ分散数は、例え
ば本出願人による特開平10−44509号公報に開示
のように、発熱分散数よりデータ分散数の方が小さけれ
ばどのように分散してもよいし、どのように組み合わせ
もよい。また、実施例では、1画素当たりの多階調画像
データの階調数を表すビット数が11ビットであり、分
割画像データのビット数が8ビットであるが、本発明に
おいてこれらは特に制限的ではなく、どのように組み合
わせてもよい。
【0084】本発明の感熱記録装置10は、基本的に以
上のようなものである。以上、本発明の感熱記録装置に
ついて詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定さ
れず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の
改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【0085】
【発明の効果】以上詳細に説明した様に、本発明の感熱
記録装置は、画像の記録速度に応じて、感熱材料の移動
速度を制御する制御部を備えており、さらに画像の記録
速度に応じて、サーマルヘッドの電源電圧を制御する電
源制御部、画像の記録速度に応じて、サーマルヘッドの
押圧力を制御する押圧力制御部、画像の記録速度に応じ
て、サーマルヘッドの押圧位置を制御する位置制御部、
画像の記録速度に応じて、発熱分散数を制御する記録制
御部、および、画像の記録速度に応じて、画像データに
補正処理を施す画像処理部の内の少なくとも1つを備え
るものである。これにより、本発明の感熱記録装置によ
れば、感熱記録装置の記録速度を可変とした場合であっ
ても、サーマルヘッドの温度が不要に高くなるのを防止
することができ、記録速度に対して記録濃度を最適化す
ることができるため、画像データに対応した適切な濃度
で画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の感熱記録装置の一実施例の構成概念
図である。
【図2】 サーマルヘッドとプラテンローラとの間の位
置関係を表す一実施例の概念図である。
【図3】 (a)は通電時間と発熱素子の温度との間の
関係を表す一実施例のグラフ、(b)はライン数と負荷
変動の補正係数との間の関係を表す一実施例のグラフ、
(c)は各発熱素子毎のシェーディング補正データを表
す一実施例のグラフ、および、(d)はサーマルヘッド
のグレーズの保護膜厚と鮮鋭度との間の関係を表す一実
施例のグラフである。
【図4】 記録制御部の一実施例の概念図である。
【図5】 (a)および(b)は、それぞれ発熱1分散
および発熱8分散の場合の制御信号の一実施例のグラ
フ、(c)は、発熱分散数とサーマルヘッドの表面温度
との関係を表す一実施例のグラフである。
【図6】 本発明の感熱記録装置の動作を表す一実施例
のタイミングチャートである。
【図7】 サーマルヘッドのグレーズの一例の構成回路
図である。
【図8】 (a)は、サーマルヘッドへ供給される電源
電圧と制御信号の発熱デューティとの間の関係を表す一
例のグラフ、(b)は、電源電圧とサーマルヘッドの表
面温度および制御信号の発熱デューティとの間の関係を
表す一例のグラフである。
【図9】 ライン周期とサーメルヘッドに供給する電源
電圧との間の関係を表す一例のグラフである。
【図10】 ライン周期とサーマルヘッドの表面温度と
の間の関係を表す一例のグラフである。
【符号の説明】
10 感熱記録装置 12 プラテンローラ 14 サーマルヘッド 16 画像記録制御装置 18 制御部 20 ステップモータ 22 発熱素子 24 サーマルヘッド駆動部 28 ラインメモリ 30 分割画像データメモリ 32,34 カウンタ 33 タイミング信号発生回路 36,38 切換器 40 メモリ 50 押圧力制御部 52 位置制御部 54 電源制御部 56 データ記憶部 58 画像処理部 60 画像メモリ 62 記録制御部 64 発熱素子 66 スイッチ素子 S 感熱記録材料

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】画像に対応する画像データに基づき、1次
    元方向に前記画像を記録するサーマルヘッドにより、前
    記1次元方向と略直交する方向へ相対的に移動する感熱
    記録材料に2次元的に前記画像を記録する、記録速度可
    変の画像記録装置であって、 前記画像の記録速度に応じて、前記感熱記録材料の移動
    速度を制御する制御部を備えており、さらに前記画像の
    記録速度に応じて、前記サーマルヘッドに供給する電源
    の電圧を制御する電源制御部、前記画像の記録速度に応
    じて、前記サーマルヘッドが前記感熱記録材料に押圧さ
    れる圧力を制御する押圧力制御部、前記画像の記録速度
    に応じて、前記サーマルヘッドが前記感熱記録材料に押
    圧される位置を制御する位置制御部、前記画像の記録速
    度に応じて、前記画像データを複数の分割画像データに
    略等分割し、これらの略等分割された複数の分割画像デ
    ータが、前記感熱記録材料の移動方向に分散して記録さ
    れるよう発熱分散数を制御する記録制御部、および、前
    記画像の記録速度に応じて、前記画像データに補正処理
    を施す画像処理部の内の少なくとも1つを備えているこ
    とを特徴とする感熱記録装置。
  2. 【請求項2】前記画像処理部は、前記画像の記録速度に
    応じて、少なくとも温度上昇補正、負荷変動補正、シェ
    ーディング補正の各補正処理を前記画像データに施すこ
    とを特徴とする請求項1に記載の感熱記録装置。
JP10130475A 1998-05-13 1998-05-13 感熱記録装置 Withdrawn JPH11320933A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10130475A JPH11320933A (ja) 1998-05-13 1998-05-13 感熱記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10130475A JPH11320933A (ja) 1998-05-13 1998-05-13 感熱記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11320933A true JPH11320933A (ja) 1999-11-24

Family

ID=15035145

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10130475A Withdrawn JPH11320933A (ja) 1998-05-13 1998-05-13 感熱記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11320933A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6504562B2 (en) 2000-12-21 2003-01-07 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method of compensation in thermal recording
JP2013107365A (ja) * 2011-11-24 2013-06-06 Kyocera Corp サーマルプリンタ
WO2022130487A1 (ja) * 2020-12-15 2022-06-23 三菱電機株式会社 印刷システムおよび印刷方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6504562B2 (en) 2000-12-21 2003-01-07 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method of compensation in thermal recording
JP2013107365A (ja) * 2011-11-24 2013-06-06 Kyocera Corp サーマルプリンタ
WO2022130487A1 (ja) * 2020-12-15 2022-06-23 三菱電機株式会社 印刷システムおよび印刷方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH07276695A (ja) 感熱記録装置
US6351276B1 (en) Thermal recording apparatus
EP0714780A1 (en) Method and apparatus for thermal printing with voltage-drop compensation
EP0347341B1 (en) Process for correcting down-the-page nonuniformity in thermal printing
JPH11320933A (ja) 感熱記録装置
JP2002160395A (ja) 画像記録方法および装置
JP3902814B2 (ja) 画像記録方法
US5382965A (en) Wax transfer type thermal printing method and thermal printer
JP2902813B2 (ja) 熱記録方法及び装置
JP2978672B2 (ja) 記録装置
JP3039608B2 (ja) 中間調記録方法及び装置
JP4028701B2 (ja) ラインサーマルプリンタの記録制御方法
JP3298598B2 (ja) サーマルプリンタ装置およびその制御方法
JP3329078B2 (ja) 熱転写記録装置
JP4156190B2 (ja) 画像記録方法および装置
JPH0116611Y2 (ja)
JPH0552271B2 (ja)
JPH11320943A (ja) 画像記録方法
JP3727152B2 (ja) サーマルヘッドの駆動方法
JP2776346B2 (ja) 情報印字システム
JP2000037895A (ja) 感熱記録装置
JPH07314758A (ja) サーマルヘッド駆動制御方法及び装置
JP3151317B2 (ja) 画像記録装置
JP2004017341A (ja) サーマルヘッドの蓄熱量補正装置及びサーマルプリンタ
JP2888576B2 (ja) 熱転写プリンタの温度補正方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050802