JP2004017056A - ポート部材製造方法、ポート部材およびこれに用いるガイド部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリンダヘッドのポート部材を作成する際に適当に溶湯を流すことができ、かつ、実際に車両に適用する際にポート部材の中空通路を流れる空気の圧力が分岐地点において損失されないポート部材の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の分岐する中空通路を備えるポート部材10を鋳造する鋳型と、中空通路を形成するための中子とを用いてポート部材10を製造するポート部材製造方法であって、鋳型内に、中子とともに、中子により形成される中空通路の分岐地点11に該当する位置に中空通路が分岐する方向に沿って幅が広くなる略三角柱状のガイド部材5を配置する工程と、鋳型内に溶湯を供給することにより、ガイド部材5を鋳ぐるんでポート部材10を形成する工程とを有するポート部材製造方法。
【選択図】 図7
【解決手段】複数の分岐する中空通路を備えるポート部材10を鋳造する鋳型と、中空通路を形成するための中子とを用いてポート部材10を製造するポート部材製造方法であって、鋳型内に、中子とともに、中子により形成される中空通路の分岐地点11に該当する位置に中空通路が分岐する方向に沿って幅が広くなる略三角柱状のガイド部材5を配置する工程と、鋳型内に溶湯を供給することにより、ガイド部材5を鋳ぐるんでポート部材10を形成する工程とを有するポート部材製造方法。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の分岐する中空通路が形成されたポート部材の製造方法、該製造方法により製造されたポート部材、および、該ポート部材の製造に用いるガイド部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関を構成するシリンダヘッドでは、吸気ポート部材および排気ポート部材が複数の中空通路に分岐した形状に形成されることが多い。一般的にこのようなシリンダヘッドは、鋳造により成形される。これらは内部に複雑な中空通路を有しているので、鋳造の際には、シリンダヘッドの外形を成形する外型に、シリンダヘッド内の中空通路を成形する中子を挿入して、これに溶湯を注入してシリンダヘッドを成形している。
【0003】
溶湯の凝固後には、中子を砕いて除去し、シリンダヘッドが完成する。中子は、鋳型として使用された後に、砕いて取り除く必要があるため、たとえば、砂を押し固めて形成されている。
【0004】
このように、シリンダヘッドを形成する際には、そのポート部材を成形するために、中子が必要となる。中子は、複数の分岐した中空通路を形成するために用いられるので、それ自身が中空通路と合致した形状を有しており、すなわち、分岐した形状を有している。
【0005】
中子は、分岐する部位同士の間が所定の幅より細くならないように形成されている。これは、中子の分岐する部位同士の間に所定の幅より細い部分があると、鋳造の際に、その細い部位に溶湯が流れず、該細い部分を鋳造により再現することができないからである。したがって、溶湯が流れる細さの限界が鋳造による製造要求として、上記所定の幅として設定されている。
【0006】
しかし、上記のように、中子の分岐する部位同士の間が所定の幅よりも太く形成される中子を用いて鋳造を行ったのでは、シリンダヘッドのポート部材にできる中空通路の分岐地点にも所定の幅を有する部分が形成されてしまう。
【0007】
これでは、実際に車両に適用する場合、ポートの中空通路に流れる空気が、分岐地点において分岐される際に、該分岐地点に形成される所定の幅の部位に衝突するので、圧力損失が大きくなり、内燃機関の能力を低下させる要因となってしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、シリンダヘッドのポート部材を作成する際に適当に溶湯を流すことができ、かつ、実際に車両に適用する際にポート部材の中空通路を流れる空気の圧力が分岐地点において損失されないポート部材の製造方法、該製造方法により製造したポート部材、および、該ポート部材の製造に用いるガイド部材の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
(1)本発明のポート部材製造方法は、複数の分岐する中空通路を備えるポート部材を鋳造する鋳型と、前記中空通路を形成するための中子とを用いてポート部材を製造するポート部材製造方法であって、前記鋳型内に、前記中子とともに、該中子により形成される前記中空通路の分岐地点に該当する位置に該中空通路が分岐する方向に沿って幅が広くなる略三角柱状のガイド部材を配置する工程と、前記鋳型内に溶湯を供給することにより、前記ガイド部材を鋳ぐるんで前記ポート部材を形成する工程とを有する。
【0011】
(2)前記ガイド部材は、前記三角柱の側面のうち前記分岐地点に対向し、該分岐地点側に凹状となる円弧面を有してなる。
【0012】
(3)前記ガイド部材は、前記中子と一体に成形される。
【0013】
(4)前記ガイド部材は、前記三角柱の側面のうち前記分岐地点に対向する面の両端が前記中子に食い込んでなる。
【0014】
(5)前記ガイド部材は、端部に、前記鋳型に対する位置決め部材を有する。
【0015】
(6)前記ガイド部材は、端部に、前記中子を成形するための中子成形型に対する位置決め部材を有する。
【0016】
(7)本発明のポート部材は、分岐する複数の中空通路を備え鋳造成形されるポート部材において、前記中空通路の分岐地点においてる通路内側に鋭角な分岐面を形成し、かつ、通路外側に溶湯の流れをガイドする凹状の円弧面を形成するガイド部材が鋳造時に一体的に鋳ぐるまれてなる。
【0017】
(8)本発明のガイド部材は、分岐する複数の中空通路を備え鋳造成形されるポート部材に鋳ぐるまれるガイド部材であって、前記中空通路の分岐地点において通路内側に鋭角な分岐面を形成し、かつ、通路外側に溶湯の流れをガイドする凹状の円弧面を形成する。
【0018】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、ポート部材の中空通路が分岐する方向に沿って幅が広くなる三角柱状のガイド部材をポート部材に鋳ぐるんで形成するので、実際にポート部材をシリンダヘッドなどに適用する際に、中空通路の分岐地点を通過する空気が、該分岐地点においてポート部材と衝突することがなく、圧力損失を防止することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、ガイド部材が凹状となる円弧面を有しているので、ガイド部材を鋳ぐるんでポート部材を鋳造する際に、円弧面付近に狭い部分が発生せず、溶湯の流れが良好となり、また、狭い部分への溶湯の急激な流れ込みによる設備の破損等も防止することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、ガイド部材が中子と一体に成形されるので、ポート部材の鋳造時にガイド部材と中子との相対的な位置決めが容易となる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、ガイド部材の三角柱の側面のうち分岐地点に対向する面の両端が中子に食い込むので、鋳造後には中空通路側にガイド部材が突出する。したがって、鋳造に多少のばらつきがあっても、中空通路が分岐する方向に空気が流れる場合、ガイド部材と中空通路とによって空気が衝突するような段差ができず、圧力損失を防止することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、ガイド部材が端部に、鋳型に対する位置決め部材を有するので、鋳造の際にガイド部材を容易に位置決めすることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、ガイド部材が端部に、中子成形型に対する位置決め部材を有するので、中子成形の際に一体に成形するガイド部材を容易に位置決めすることができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、中空通路の分岐地点において通路内側に鋭角な分岐面を形成し、かつ、通路外側に溶湯の流れをガイドする凹状の円弧面を形成するガイド部材がポート部材に鋳ぐるまれるので、鋳造後には、中空通路の分岐地点を通過する空気が、該分岐地点においてポート部材と衝突することがなく、圧力損失を防止することができ、鋳造時には、中空通路外側を流れる溶湯をガイドして、溶湯の流れを良好となり、また、狭い部分への溶湯の急激な流れ込みによる設備の破損等も防止することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、ガイド部材が中空通路の分岐地点において通路内側に鋭角な分岐面を形成し、かつ、通路外側に溶湯の流れをガイドする凹状の円弧面を形成するので、ポート部材の鋳造後には、中空通路の分岐地点を通過する空気の衝突を避け、圧力損失を防止することができ、鋳造時には、中空通路外側を流れる溶湯をガイドして、溶湯の流れを良好し、また、狭い部分への溶湯の急激な流れ込みによる設備の破損等も防止することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1はシリンダヘッド全体の形成に使用される中子を示す概略図、図2は図1に示す中子1をA−A断面からみた概略構成を示す断面図である。
【0028】
内燃機関のシリンダヘッドを成形する際には、鋳型内に中子を配置し、溶湯を注入して、溶湯の凝固後に中子を砕き、中子のあった部分を中空とする。砕く必要のある中子は鋳造時の溶湯の圧力には耐え、かつ溶湯の凝固後には砕きやすい性質を持った鋳砂により形成される。
【0029】
シリンダヘッド成形時には、たとえば、図1に示すように、吸気ポート部材用の中子1と、ウォータージャケット用の中子120とを鋳型内に配置する。これら中子1および120を鋳型内に配置することによって、内部形状が複雑なシリンダヘッドでも容易に作成することができる。
【0030】
本発明では特にポート部材の内部構造に特徴を有する。以下では、ポート部材の一つである吸気ポート部材に注目して説明し、シリンダヘッドとして同時に製造される他の部分については説明を省略する。
【0031】
図2に示すように、中子1は、鋳型の上型2および下型3の間に挟まれ、鋳型内に小許の隙間4を介して配置される。この隙間4に溶湯が注入されることにより、該隙間4の形状に吸気ポート部材が形成される。
【0032】
また、中子1は分岐した形状に成形されているので、図2の断面図では2つに分離して示される。中子1が分岐した形状に成形されるのは、吸気ポート部材内に複数の中空通路を形成するためである。
【0033】
分岐する中子1の間には、分岐地点からガイド部材5が挟まれている。ガイド部材5は、中子1を構成する鋳砂とは異なり、中子1の粉砕時に砕けない物質により形成されている。たとえば、ガイド部材5は、アルミニウム合金など鋳型に注入される溶湯と同一の物質により形成されている。
【0034】
したがって、鋳造の際には、溶湯がガイド部材5と一体化し、その後中子1を砕いてもガイド部材5は砕けることがなく、中子1のみが除去され、ガイド部材5が鋳ぐるまれる。ガイド部材5が鋳ぐるまれることにより、吸気ポート部材を自動車などの車両に適用する際に吸気ポート部材内を通る空気の流れをスムーズにすることができる。ガイド部材5の形状、およびこれを鋳ぐるむことによる効果については後述する。
【0035】
次に、ガイド部材5が取り付けられた中子1について、具体的に説明する。
【0036】
図3は吸気ポート部材の成形に使用される中子1の平面図、図4は中子1を成形するための鋳型およびガイド部材5を示す図、図5はガイド部材5の全体を示す斜視図、図6はガイド部材5に設けられた凸部を示す図である。
【0037】
図3に示すように、ガイド部材5は、中子1が分岐を始める地点、すなわち中子1の分岐地点に取り付けられる。鋳造の際には中子1の形状に基づいて吸気ポート部材内に空気が通る中空通路が形成され、中子1の除去後、該中空通路の分岐地点にガイド部材5が配置されることになる。
【0038】
中子1を形成する際には、図4に示すように、中子1を成形するための中子成形型の下型6上に、ガイド部材5を配置して、その上に図示しない上型をかぶせる。そして、中子成形型内に鋳砂を注入し、凝固させることにより、ガイド部材5が中子1に一体に取り付けられる。ガイド部材5が中子1と一体に成形されるので、ポート部材の鋳造時にガイド部材5と中子1との相対的な位置決めが容易となる。
【0039】
中子1に取り付けられるガイド部材5は、図5に示すように、略三角柱状に形成されている。この三角柱の側面のうち2つの側面が、図3に示すように、中子1の分岐地点において、中子1と接触する。以下では、中子1に取り付けられたときに、該中子1に接触するガイド部材5の2つの側面を分岐面51という。この2つの分岐面51は、中子1の分岐に沿って鋭角をなす。また、中子1の分岐地点に対向する三角柱の残りの1つの側面52は、分岐地点側に凹状に形成されている。この側面52を、以下では円弧面52という。
【0040】
また、ガイド部材5は、図5および図6に示すように、上端部および下端部に位置決め部材として凸部7が設けられている。この凸部7は、中子成形型の下型6および上型に設けられた凹部(図示せず)と合致する形状を有している。したがって、中子1を成形する際には、中子成形型の凹部にガイド部材5の凸部7をはめ込むことによりガイド部材5を決まった位置に容易に位置決めすることができる。この位置決めにより中子1に対して決まった位置にガイド部材5を取り付けることができる。
【0041】
ガイド部材5は、中子1が分岐する分岐地点に取り付けられるように位置決めされる。中子1を分岐形状に形成するために、中子成形型の下型6および上型には、位置決めされたガイド部材5から続く隔壁61が設けられている。
【0042】
隔壁61は、ガイド部材5の円弧面52に接触する端部62を有する。この端部62の幅は円弧面52の幅よりも小さく、すなわち、円弧面52の幅が端部62の幅以上の大きさに形成されている。円弧面52の幅と端部62の幅とが一致することが好ましいが、加工にばらつきがあるのでこれに対応するために円弧面52の幅の方を若干大きくしている。円弧面52の幅を大きくする効果については後述する。
【0043】
以上のように、中子成形型にガイド部材5を位置決めし、該中子成形型内に鋳砂を注入すると、図3に示すようにガイド部材5が取り付けられた中子1が成形される。この中子1を図2に示す鋳型2および3内に配置し、隙間4に溶湯を注入すると、溶湯とガイド部材5とが一体化する。その後、中子1を除去すると、ガイド部材5が中空通路に残り、製品としての吸気ポート部材が図7に示すように形成される。
【0044】
図7は吸気ポート部材10の形状を示す断面図である。なお、図7は、吸気ポート部材10の幅が最も広くなる位置で切った断面図である。
【0045】
吸気ポート部材10は、図3に示す中子1と合致する形状の中空通路が空気の流路として形成されている。この中空通路の分岐地点11には、上述のように、ガイド部材5が鋳込まれている。
【0046】
このようにガイド部材5が鋳込まれた吸気ポート部材10では、中空通路の分岐地点11においてガイド部材5が空気の分岐する流れをスムーズにする。
【0047】
以下では、ガイド部材5を用いることによる効果について説明する。
【0048】
最初に、ガイド部材5を吸気ポート部材10に鋳込ませることによる効果について、従来の吸気ポート部材と比較して説明する。図8は、従来の吸気ポート部材100を示す断面図である。
【0049】
図7に示すように、吸気ポート部材10では分岐する方向に空気が流れる。本発明では、空気の分岐地点11にガイド部材5が配置されるので、分岐地点11において空気が吸気ポート部材10と衝突することがなく、空気がスムーズに分岐され、通気抵抗が減少し、圧力損失を防止することができる。結果として、内燃機関への流入空気量が向上し、出力の向上を図ることができる。
【0050】
一方、図8に示すような従来の吸気ポート100では、分岐地点101にはガイド部材5が設けられていないので、分岐地点11において空気が吸気ポート部材100と衝突し、通気抵抗が減少し、圧力損失が発生してしまう。結果として、内燃機関への流入空気量が低減し、出力が低減してしまう。
【0051】
以上から、本発明のように吸気ポート部材10にガイド部材5を鋳込むことにより、従来よりも内燃機関の効率を向上できることがわかる。
【0052】
次に、本発明のガイド部材5を吸気ポート部材10に鋳込む際に、中子1にガイド部材5を取り付けていることによる効果について、従来の吸気ポート部材を鋳造するための中子と比較して説明する。図9は、従来の中子110を示す図である。
【0053】
図3に示すように本発明で用いる中子1にはガイド部材5が取り付けられている。このガイド部材5は、中空通路の分岐地点に対向する凹状の円弧面52を有している。中子1を鋳型内に配置して溶湯を注入する場合、溶湯は矢印で示すように中子1の表面、すなわち後に形成される中空通路外側に沿って流れる。
【0054】
ここで、円弧面52は、所定の幅を有してRをつけて凹状に形成されているので、溶湯が狭い部分に流れ込むことがなく、溶湯を均等に流入することができる。また、狭い部分がないので、急激に狭い部分に溶湯が流れ込んで高圧になり、中子1が崩れるということも防止できる。
【0055】
図9に示す従来の中子110は、本発明のガイド部材5および中子1の外形と同様の形状となっている。したがって、従来の中子110でも、表面に狭い部分がなく、溶湯の流入の際に不具合はない。しかし、従来の中子110には本発明のようなガイド部材5が取り付けられていないので、従来の中子110により吸気ポート部材を鋳造した場合でも、図8に示すような吸気ポート部材100しかできず、この吸気ポート部材100では上述したような出力抵抗等の問題を解決できない。
【0056】
なお、最初から中子を図3に示す中子1と同じ形状にし、本発明のようなガイド部材5を取り付けず、吸気ポート部材の鋳造に用いることも考えられる。しかし、このような中子では、本発明でガイド部材5が配置される位置にガイド部材5がないので、中子の表面にRが小さく、幅が狭い部分ができる。これでは、溶湯の流入が流れにくく、流れたとしても高圧により中子が破損するおそれがあり採用できない。
【0057】
このように、本発明は、従来にないガイド部材5を中子1に取り付けておくことにより、吸気ポート部材10を鋳造する際に、溶融が流れにくかったり高圧で中子が破損したりすることがなく、また、車両に適用して使用する際に、内燃機関の効率を向上することができる。
【0058】
以上の効果をまとめると、鋳ぐるまれるガイド部材5により、鋳造後には、中空通路の分岐地点11を通過する空気がポート部材10と衝突することを防止して、圧力損失を防止することができ、鋳造時には、中空通路外側を流れる溶湯をガイドして、溶湯の流れを良好とし、狭い部分への溶湯の急激な流れ込みによる設備の破損等も防止することができる。
【0059】
最後に、ガイド部材5の円弧面52の幅が、中子成形型に設けられた隔壁61の端部62の幅と同等または若干それより大きく形成されていることによる効果について説明する。図10は中子1の一部およびガイド部材5を示す拡大図、図11は吸気ポート部材10の一部を示す拡大図である。
【0060】
円弧面52と隔壁61の幅が同じであれば、成形して得られる中子1は図3に示すようになる。しかし、円弧面52の幅の方が隔壁61の端部62の幅より若干大きい場合、成形して得られる中子1は、ガイド部材5近傍において、図10に示すようになる。
【0061】
すなわち、ガイド部材5は、図10に示すように、中子1に端部53が食い込む。このように、ガイド部材5が食い込んだ中子1を用いて鋳造することにより得られる吸気ポート部材10は、ガイド部材5近傍において、図11に示すようになる。
【0062】
つまり、中子1にガイド部材5が食い込んでいた部分が、段差54として中空通路に現れる。しかし、この段差54には、図11に示すように、分岐する方向に流れる空気は衝突しないので、圧力損失が発生することはない。
【0063】
したがって、円弧面52の幅の方が中子成形型の隔壁61の端部62の幅よりも多少大きくなるようにしておけば、鋳造等の加工に多少のばらつきがあったとしても、鋳造されてできる吸気ポート部材10内で圧力損失の発生原因となるような段差が形成されることがない。換言すると、加工のばらつきによる、内燃機関の効率の変動を防止することができ、内燃機関の効率を常に高く維持できる。
【0064】
このように、円弧面52の幅を隔壁61の端部62の幅より若干大きくすることにより、加工のばらつきによる内燃機関の作業効率の変動を防止できる。
【0065】
上記実施の形態では、本発明を内燃機関の吸気ポート部材10の製造に適用する場合について説明してきた。しかし、本発明は、吸気ポート部材10の製造だけでなく、排気ポート部材の製造にも適用することができる。
【0066】
排気ポート部材の製造に適用する場合、排気ポート部材では内部を通る空気は合流する方向に流れるので、空気の流れが吸気ポート部材と反対になることに注意が必要である。
【0067】
たとえば、吸気ポート部材の場合、上述したように、ガイド部材5の円弧面52の幅を、中子成形型の隔壁61の端部62の幅よりも若干大きくして、加工のばらつきによる内燃機関の効率の変動を防止していた。しかし、排気ポート部材に適用する場合には、空気が合流する方向に流れるので、図11に示すような段差54ができると空気が段差54に衝突し、圧力損失の原因となる。したがって、吸気ポートの場合には、円弧面52の幅を、隔壁61の端部62よりも若干小さくしておく必要がある。
【0068】
また、上記実施の形態では、中子1にガイド部材5を一体として取り付けていた。しかし、これに限られず、中子1とガイド部材5とを別体としてもよい。この場合、ポート部材の鋳造には、別個に製造した中子1およびガイド部材5を組み合わせて鋳型内に配置する。鋳型内にガイド部材5を配置する際には、ガイド部材5に設けられた位置決め部材を用いることもできる。ガイド部材5が、鋳型に対する位置決めにも使用できることにより、ガイド部材の位置決めを容易にすることができる。
【0069】
さらに、上記実施の形態では、ガイド部材5に位置決め部材として凸部7が設けられていたが、これに限られない。位置決め部材としては、凸部ではなく凹部が形成されてもよい。この場合、中子成形型には凹部に合致する凸部が設けられ、これらが嵌合することによりガイド部材5を容易に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリンダヘッド全体の形成に使用される中子を示す概略図である。
【図2】図1に示す中子をA−A断面からみた概略構成を示す断面図である。
【図3】吸気ポート部材の成形に使用される中子の平面図である。
【図4】中子を成形するための鋳型およびガイド部材を示す図である。
【図5】ガイド部材の全体を示す斜視図である。
【図6】ガイド部材に設けられた凸部を示す図である。
【図7】吸気ポート部材の形状を示す断面図である。
【図8】従来の吸気ポート部材を示す断面図である。
【図9】従来の中子を示す図である。
【図10】中子の一部およびガイド部材を示す拡大図である。
【図11】吸気ポート部材の一部を示す拡大図である。
【符号の説明】
1…中子、
2…上型、
3…下型、
4…隙間、
5…ガイド部材、
6…中子成形型の下型、
7…凸部(位置決め部材)、
10…ポート部材、
11…分岐地点、
51…分岐面、
52…円弧面、
53…端部、
54…段差、
61…隔壁、
62…端部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の分岐する中空通路が形成されたポート部材の製造方法、該製造方法により製造されたポート部材、および、該ポート部材の製造に用いるガイド部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関を構成するシリンダヘッドでは、吸気ポート部材および排気ポート部材が複数の中空通路に分岐した形状に形成されることが多い。一般的にこのようなシリンダヘッドは、鋳造により成形される。これらは内部に複雑な中空通路を有しているので、鋳造の際には、シリンダヘッドの外形を成形する外型に、シリンダヘッド内の中空通路を成形する中子を挿入して、これに溶湯を注入してシリンダヘッドを成形している。
【0003】
溶湯の凝固後には、中子を砕いて除去し、シリンダヘッドが完成する。中子は、鋳型として使用された後に、砕いて取り除く必要があるため、たとえば、砂を押し固めて形成されている。
【0004】
このように、シリンダヘッドを形成する際には、そのポート部材を成形するために、中子が必要となる。中子は、複数の分岐した中空通路を形成するために用いられるので、それ自身が中空通路と合致した形状を有しており、すなわち、分岐した形状を有している。
【0005】
中子は、分岐する部位同士の間が所定の幅より細くならないように形成されている。これは、中子の分岐する部位同士の間に所定の幅より細い部分があると、鋳造の際に、その細い部位に溶湯が流れず、該細い部分を鋳造により再現することができないからである。したがって、溶湯が流れる細さの限界が鋳造による製造要求として、上記所定の幅として設定されている。
【0006】
しかし、上記のように、中子の分岐する部位同士の間が所定の幅よりも太く形成される中子を用いて鋳造を行ったのでは、シリンダヘッドのポート部材にできる中空通路の分岐地点にも所定の幅を有する部分が形成されてしまう。
【0007】
これでは、実際に車両に適用する場合、ポートの中空通路に流れる空気が、分岐地点において分岐される際に、該分岐地点に形成される所定の幅の部位に衝突するので、圧力損失が大きくなり、内燃機関の能力を低下させる要因となってしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、シリンダヘッドのポート部材を作成する際に適当に溶湯を流すことができ、かつ、実際に車両に適用する際にポート部材の中空通路を流れる空気の圧力が分岐地点において損失されないポート部材の製造方法、該製造方法により製造したポート部材、および、該ポート部材の製造に用いるガイド部材の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
(1)本発明のポート部材製造方法は、複数の分岐する中空通路を備えるポート部材を鋳造する鋳型と、前記中空通路を形成するための中子とを用いてポート部材を製造するポート部材製造方法であって、前記鋳型内に、前記中子とともに、該中子により形成される前記中空通路の分岐地点に該当する位置に該中空通路が分岐する方向に沿って幅が広くなる略三角柱状のガイド部材を配置する工程と、前記鋳型内に溶湯を供給することにより、前記ガイド部材を鋳ぐるんで前記ポート部材を形成する工程とを有する。
【0011】
(2)前記ガイド部材は、前記三角柱の側面のうち前記分岐地点に対向し、該分岐地点側に凹状となる円弧面を有してなる。
【0012】
(3)前記ガイド部材は、前記中子と一体に成形される。
【0013】
(4)前記ガイド部材は、前記三角柱の側面のうち前記分岐地点に対向する面の両端が前記中子に食い込んでなる。
【0014】
(5)前記ガイド部材は、端部に、前記鋳型に対する位置決め部材を有する。
【0015】
(6)前記ガイド部材は、端部に、前記中子を成形するための中子成形型に対する位置決め部材を有する。
【0016】
(7)本発明のポート部材は、分岐する複数の中空通路を備え鋳造成形されるポート部材において、前記中空通路の分岐地点においてる通路内側に鋭角な分岐面を形成し、かつ、通路外側に溶湯の流れをガイドする凹状の円弧面を形成するガイド部材が鋳造時に一体的に鋳ぐるまれてなる。
【0017】
(8)本発明のガイド部材は、分岐する複数の中空通路を備え鋳造成形されるポート部材に鋳ぐるまれるガイド部材であって、前記中空通路の分岐地点において通路内側に鋭角な分岐面を形成し、かつ、通路外側に溶湯の流れをガイドする凹状の円弧面を形成する。
【0018】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、ポート部材の中空通路が分岐する方向に沿って幅が広くなる三角柱状のガイド部材をポート部材に鋳ぐるんで形成するので、実際にポート部材をシリンダヘッドなどに適用する際に、中空通路の分岐地点を通過する空気が、該分岐地点においてポート部材と衝突することがなく、圧力損失を防止することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、ガイド部材が凹状となる円弧面を有しているので、ガイド部材を鋳ぐるんでポート部材を鋳造する際に、円弧面付近に狭い部分が発生せず、溶湯の流れが良好となり、また、狭い部分への溶湯の急激な流れ込みによる設備の破損等も防止することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、ガイド部材が中子と一体に成形されるので、ポート部材の鋳造時にガイド部材と中子との相対的な位置決めが容易となる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、ガイド部材の三角柱の側面のうち分岐地点に対向する面の両端が中子に食い込むので、鋳造後には中空通路側にガイド部材が突出する。したがって、鋳造に多少のばらつきがあっても、中空通路が分岐する方向に空気が流れる場合、ガイド部材と中空通路とによって空気が衝突するような段差ができず、圧力損失を防止することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、ガイド部材が端部に、鋳型に対する位置決め部材を有するので、鋳造の際にガイド部材を容易に位置決めすることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、ガイド部材が端部に、中子成形型に対する位置決め部材を有するので、中子成形の際に一体に成形するガイド部材を容易に位置決めすることができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、中空通路の分岐地点において通路内側に鋭角な分岐面を形成し、かつ、通路外側に溶湯の流れをガイドする凹状の円弧面を形成するガイド部材がポート部材に鋳ぐるまれるので、鋳造後には、中空通路の分岐地点を通過する空気が、該分岐地点においてポート部材と衝突することがなく、圧力損失を防止することができ、鋳造時には、中空通路外側を流れる溶湯をガイドして、溶湯の流れを良好となり、また、狭い部分への溶湯の急激な流れ込みによる設備の破損等も防止することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、ガイド部材が中空通路の分岐地点において通路内側に鋭角な分岐面を形成し、かつ、通路外側に溶湯の流れをガイドする凹状の円弧面を形成するので、ポート部材の鋳造後には、中空通路の分岐地点を通過する空気の衝突を避け、圧力損失を防止することができ、鋳造時には、中空通路外側を流れる溶湯をガイドして、溶湯の流れを良好し、また、狭い部分への溶湯の急激な流れ込みによる設備の破損等も防止することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1はシリンダヘッド全体の形成に使用される中子を示す概略図、図2は図1に示す中子1をA−A断面からみた概略構成を示す断面図である。
【0028】
内燃機関のシリンダヘッドを成形する際には、鋳型内に中子を配置し、溶湯を注入して、溶湯の凝固後に中子を砕き、中子のあった部分を中空とする。砕く必要のある中子は鋳造時の溶湯の圧力には耐え、かつ溶湯の凝固後には砕きやすい性質を持った鋳砂により形成される。
【0029】
シリンダヘッド成形時には、たとえば、図1に示すように、吸気ポート部材用の中子1と、ウォータージャケット用の中子120とを鋳型内に配置する。これら中子1および120を鋳型内に配置することによって、内部形状が複雑なシリンダヘッドでも容易に作成することができる。
【0030】
本発明では特にポート部材の内部構造に特徴を有する。以下では、ポート部材の一つである吸気ポート部材に注目して説明し、シリンダヘッドとして同時に製造される他の部分については説明を省略する。
【0031】
図2に示すように、中子1は、鋳型の上型2および下型3の間に挟まれ、鋳型内に小許の隙間4を介して配置される。この隙間4に溶湯が注入されることにより、該隙間4の形状に吸気ポート部材が形成される。
【0032】
また、中子1は分岐した形状に成形されているので、図2の断面図では2つに分離して示される。中子1が分岐した形状に成形されるのは、吸気ポート部材内に複数の中空通路を形成するためである。
【0033】
分岐する中子1の間には、分岐地点からガイド部材5が挟まれている。ガイド部材5は、中子1を構成する鋳砂とは異なり、中子1の粉砕時に砕けない物質により形成されている。たとえば、ガイド部材5は、アルミニウム合金など鋳型に注入される溶湯と同一の物質により形成されている。
【0034】
したがって、鋳造の際には、溶湯がガイド部材5と一体化し、その後中子1を砕いてもガイド部材5は砕けることがなく、中子1のみが除去され、ガイド部材5が鋳ぐるまれる。ガイド部材5が鋳ぐるまれることにより、吸気ポート部材を自動車などの車両に適用する際に吸気ポート部材内を通る空気の流れをスムーズにすることができる。ガイド部材5の形状、およびこれを鋳ぐるむことによる効果については後述する。
【0035】
次に、ガイド部材5が取り付けられた中子1について、具体的に説明する。
【0036】
図3は吸気ポート部材の成形に使用される中子1の平面図、図4は中子1を成形するための鋳型およびガイド部材5を示す図、図5はガイド部材5の全体を示す斜視図、図6はガイド部材5に設けられた凸部を示す図である。
【0037】
図3に示すように、ガイド部材5は、中子1が分岐を始める地点、すなわち中子1の分岐地点に取り付けられる。鋳造の際には中子1の形状に基づいて吸気ポート部材内に空気が通る中空通路が形成され、中子1の除去後、該中空通路の分岐地点にガイド部材5が配置されることになる。
【0038】
中子1を形成する際には、図4に示すように、中子1を成形するための中子成形型の下型6上に、ガイド部材5を配置して、その上に図示しない上型をかぶせる。そして、中子成形型内に鋳砂を注入し、凝固させることにより、ガイド部材5が中子1に一体に取り付けられる。ガイド部材5が中子1と一体に成形されるので、ポート部材の鋳造時にガイド部材5と中子1との相対的な位置決めが容易となる。
【0039】
中子1に取り付けられるガイド部材5は、図5に示すように、略三角柱状に形成されている。この三角柱の側面のうち2つの側面が、図3に示すように、中子1の分岐地点において、中子1と接触する。以下では、中子1に取り付けられたときに、該中子1に接触するガイド部材5の2つの側面を分岐面51という。この2つの分岐面51は、中子1の分岐に沿って鋭角をなす。また、中子1の分岐地点に対向する三角柱の残りの1つの側面52は、分岐地点側に凹状に形成されている。この側面52を、以下では円弧面52という。
【0040】
また、ガイド部材5は、図5および図6に示すように、上端部および下端部に位置決め部材として凸部7が設けられている。この凸部7は、中子成形型の下型6および上型に設けられた凹部(図示せず)と合致する形状を有している。したがって、中子1を成形する際には、中子成形型の凹部にガイド部材5の凸部7をはめ込むことによりガイド部材5を決まった位置に容易に位置決めすることができる。この位置決めにより中子1に対して決まった位置にガイド部材5を取り付けることができる。
【0041】
ガイド部材5は、中子1が分岐する分岐地点に取り付けられるように位置決めされる。中子1を分岐形状に形成するために、中子成形型の下型6および上型には、位置決めされたガイド部材5から続く隔壁61が設けられている。
【0042】
隔壁61は、ガイド部材5の円弧面52に接触する端部62を有する。この端部62の幅は円弧面52の幅よりも小さく、すなわち、円弧面52の幅が端部62の幅以上の大きさに形成されている。円弧面52の幅と端部62の幅とが一致することが好ましいが、加工にばらつきがあるのでこれに対応するために円弧面52の幅の方を若干大きくしている。円弧面52の幅を大きくする効果については後述する。
【0043】
以上のように、中子成形型にガイド部材5を位置決めし、該中子成形型内に鋳砂を注入すると、図3に示すようにガイド部材5が取り付けられた中子1が成形される。この中子1を図2に示す鋳型2および3内に配置し、隙間4に溶湯を注入すると、溶湯とガイド部材5とが一体化する。その後、中子1を除去すると、ガイド部材5が中空通路に残り、製品としての吸気ポート部材が図7に示すように形成される。
【0044】
図7は吸気ポート部材10の形状を示す断面図である。なお、図7は、吸気ポート部材10の幅が最も広くなる位置で切った断面図である。
【0045】
吸気ポート部材10は、図3に示す中子1と合致する形状の中空通路が空気の流路として形成されている。この中空通路の分岐地点11には、上述のように、ガイド部材5が鋳込まれている。
【0046】
このようにガイド部材5が鋳込まれた吸気ポート部材10では、中空通路の分岐地点11においてガイド部材5が空気の分岐する流れをスムーズにする。
【0047】
以下では、ガイド部材5を用いることによる効果について説明する。
【0048】
最初に、ガイド部材5を吸気ポート部材10に鋳込ませることによる効果について、従来の吸気ポート部材と比較して説明する。図8は、従来の吸気ポート部材100を示す断面図である。
【0049】
図7に示すように、吸気ポート部材10では分岐する方向に空気が流れる。本発明では、空気の分岐地点11にガイド部材5が配置されるので、分岐地点11において空気が吸気ポート部材10と衝突することがなく、空気がスムーズに分岐され、通気抵抗が減少し、圧力損失を防止することができる。結果として、内燃機関への流入空気量が向上し、出力の向上を図ることができる。
【0050】
一方、図8に示すような従来の吸気ポート100では、分岐地点101にはガイド部材5が設けられていないので、分岐地点11において空気が吸気ポート部材100と衝突し、通気抵抗が減少し、圧力損失が発生してしまう。結果として、内燃機関への流入空気量が低減し、出力が低減してしまう。
【0051】
以上から、本発明のように吸気ポート部材10にガイド部材5を鋳込むことにより、従来よりも内燃機関の効率を向上できることがわかる。
【0052】
次に、本発明のガイド部材5を吸気ポート部材10に鋳込む際に、中子1にガイド部材5を取り付けていることによる効果について、従来の吸気ポート部材を鋳造するための中子と比較して説明する。図9は、従来の中子110を示す図である。
【0053】
図3に示すように本発明で用いる中子1にはガイド部材5が取り付けられている。このガイド部材5は、中空通路の分岐地点に対向する凹状の円弧面52を有している。中子1を鋳型内に配置して溶湯を注入する場合、溶湯は矢印で示すように中子1の表面、すなわち後に形成される中空通路外側に沿って流れる。
【0054】
ここで、円弧面52は、所定の幅を有してRをつけて凹状に形成されているので、溶湯が狭い部分に流れ込むことがなく、溶湯を均等に流入することができる。また、狭い部分がないので、急激に狭い部分に溶湯が流れ込んで高圧になり、中子1が崩れるということも防止できる。
【0055】
図9に示す従来の中子110は、本発明のガイド部材5および中子1の外形と同様の形状となっている。したがって、従来の中子110でも、表面に狭い部分がなく、溶湯の流入の際に不具合はない。しかし、従来の中子110には本発明のようなガイド部材5が取り付けられていないので、従来の中子110により吸気ポート部材を鋳造した場合でも、図8に示すような吸気ポート部材100しかできず、この吸気ポート部材100では上述したような出力抵抗等の問題を解決できない。
【0056】
なお、最初から中子を図3に示す中子1と同じ形状にし、本発明のようなガイド部材5を取り付けず、吸気ポート部材の鋳造に用いることも考えられる。しかし、このような中子では、本発明でガイド部材5が配置される位置にガイド部材5がないので、中子の表面にRが小さく、幅が狭い部分ができる。これでは、溶湯の流入が流れにくく、流れたとしても高圧により中子が破損するおそれがあり採用できない。
【0057】
このように、本発明は、従来にないガイド部材5を中子1に取り付けておくことにより、吸気ポート部材10を鋳造する際に、溶融が流れにくかったり高圧で中子が破損したりすることがなく、また、車両に適用して使用する際に、内燃機関の効率を向上することができる。
【0058】
以上の効果をまとめると、鋳ぐるまれるガイド部材5により、鋳造後には、中空通路の分岐地点11を通過する空気がポート部材10と衝突することを防止して、圧力損失を防止することができ、鋳造時には、中空通路外側を流れる溶湯をガイドして、溶湯の流れを良好とし、狭い部分への溶湯の急激な流れ込みによる設備の破損等も防止することができる。
【0059】
最後に、ガイド部材5の円弧面52の幅が、中子成形型に設けられた隔壁61の端部62の幅と同等または若干それより大きく形成されていることによる効果について説明する。図10は中子1の一部およびガイド部材5を示す拡大図、図11は吸気ポート部材10の一部を示す拡大図である。
【0060】
円弧面52と隔壁61の幅が同じであれば、成形して得られる中子1は図3に示すようになる。しかし、円弧面52の幅の方が隔壁61の端部62の幅より若干大きい場合、成形して得られる中子1は、ガイド部材5近傍において、図10に示すようになる。
【0061】
すなわち、ガイド部材5は、図10に示すように、中子1に端部53が食い込む。このように、ガイド部材5が食い込んだ中子1を用いて鋳造することにより得られる吸気ポート部材10は、ガイド部材5近傍において、図11に示すようになる。
【0062】
つまり、中子1にガイド部材5が食い込んでいた部分が、段差54として中空通路に現れる。しかし、この段差54には、図11に示すように、分岐する方向に流れる空気は衝突しないので、圧力損失が発生することはない。
【0063】
したがって、円弧面52の幅の方が中子成形型の隔壁61の端部62の幅よりも多少大きくなるようにしておけば、鋳造等の加工に多少のばらつきがあったとしても、鋳造されてできる吸気ポート部材10内で圧力損失の発生原因となるような段差が形成されることがない。換言すると、加工のばらつきによる、内燃機関の効率の変動を防止することができ、内燃機関の効率を常に高く維持できる。
【0064】
このように、円弧面52の幅を隔壁61の端部62の幅より若干大きくすることにより、加工のばらつきによる内燃機関の作業効率の変動を防止できる。
【0065】
上記実施の形態では、本発明を内燃機関の吸気ポート部材10の製造に適用する場合について説明してきた。しかし、本発明は、吸気ポート部材10の製造だけでなく、排気ポート部材の製造にも適用することができる。
【0066】
排気ポート部材の製造に適用する場合、排気ポート部材では内部を通る空気は合流する方向に流れるので、空気の流れが吸気ポート部材と反対になることに注意が必要である。
【0067】
たとえば、吸気ポート部材の場合、上述したように、ガイド部材5の円弧面52の幅を、中子成形型の隔壁61の端部62の幅よりも若干大きくして、加工のばらつきによる内燃機関の効率の変動を防止していた。しかし、排気ポート部材に適用する場合には、空気が合流する方向に流れるので、図11に示すような段差54ができると空気が段差54に衝突し、圧力損失の原因となる。したがって、吸気ポートの場合には、円弧面52の幅を、隔壁61の端部62よりも若干小さくしておく必要がある。
【0068】
また、上記実施の形態では、中子1にガイド部材5を一体として取り付けていた。しかし、これに限られず、中子1とガイド部材5とを別体としてもよい。この場合、ポート部材の鋳造には、別個に製造した中子1およびガイド部材5を組み合わせて鋳型内に配置する。鋳型内にガイド部材5を配置する際には、ガイド部材5に設けられた位置決め部材を用いることもできる。ガイド部材5が、鋳型に対する位置決めにも使用できることにより、ガイド部材の位置決めを容易にすることができる。
【0069】
さらに、上記実施の形態では、ガイド部材5に位置決め部材として凸部7が設けられていたが、これに限られない。位置決め部材としては、凸部ではなく凹部が形成されてもよい。この場合、中子成形型には凹部に合致する凸部が設けられ、これらが嵌合することによりガイド部材5を容易に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリンダヘッド全体の形成に使用される中子を示す概略図である。
【図2】図1に示す中子をA−A断面からみた概略構成を示す断面図である。
【図3】吸気ポート部材の成形に使用される中子の平面図である。
【図4】中子を成形するための鋳型およびガイド部材を示す図である。
【図5】ガイド部材の全体を示す斜視図である。
【図6】ガイド部材に設けられた凸部を示す図である。
【図7】吸気ポート部材の形状を示す断面図である。
【図8】従来の吸気ポート部材を示す断面図である。
【図9】従来の中子を示す図である。
【図10】中子の一部およびガイド部材を示す拡大図である。
【図11】吸気ポート部材の一部を示す拡大図である。
【符号の説明】
1…中子、
2…上型、
3…下型、
4…隙間、
5…ガイド部材、
6…中子成形型の下型、
7…凸部(位置決め部材)、
10…ポート部材、
11…分岐地点、
51…分岐面、
52…円弧面、
53…端部、
54…段差、
61…隔壁、
62…端部。
Claims (8)
- 複数の分岐する中空通路を備えるポート部材を鋳造する鋳型と、前記中空通路を形成するための中子とを用いてポート部材を製造するポート部材製造方法であって、
前記鋳型内に、前記中子とともに、該中子により形成される前記中空通路の分岐地点に該当する位置に該中空通路が分岐する方向に沿って幅が広くなる略三角柱状のガイド部材を配置する工程と、
前記鋳型内に溶湯を供給することにより、前記ガイド部材を鋳ぐるんで前記ポート部材を形成する工程と、
を有するポート部材製造方法。 - 前記ガイド部材は、前記三角柱の側面のうち前記分岐地点に対向し、該分岐地点側に凹状となる円弧面を有してなる請求項1に記載のポート部材製造方法。
- 前記ガイド部材は、前記中子と一体に成形される請求項1または請求項2に記載のポート部材製造方法。
- 前記ガイド部材は、前記三角柱の側面のうち前記分岐地点に対向する面の両端が前記中子に食い込んでなる請求項3に記載のポート部材製造方法。
- 前記ガイド部材は、端部に、前記鋳型に対する位置決め部材を有する請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のポート部材製造方法。
- 前記ガイド部材は、端部に、前記中子を成形するための中子成形型に対する位置決め部材を有する請求項3に記載のポート部材製造方法。
- 分岐する複数の中空通路を備え鋳造成形されるポート部材において、
前記中空通路の分岐地点においてる通路内側に鋭角な分岐面を形成し、かつ、通路外側に溶湯の流れをガイドする凹状の円弧面を形成するガイド部材が鋳造時に一体的に鋳ぐるまれてなるポート部材。 - 分岐する複数の中空通路を備え鋳造成形されるポート部材に鋳ぐるまれるガイド部材であって、
前記中空通路の分岐地点において通路内側に鋭角な分岐面を形成し、かつ、通路外側に溶湯の流れをガイドする凹状の円弧面を形成するガイド部材。
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US7066139B2 (en) | 2003-07-10 | 2006-06-27 | Hyundai Motor Company | Intake port of lean burn engine and core thereof |
-
2002
- 2002-06-12 JP JP2002171770A patent/JP2004017056A/ja not_active Withdrawn
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