JP2004012506A - 像加熱装置、画像形成装置、および加熱体 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置が冷えた状態からの記録材通紙実行時の端部像加熱性の確保、且つ、連続した記録材通紙実行時の非通紙部の過剰昇温の防止、を両立させた、もしくは両立を可能にすることができる像加熱装置の提供する。
【解決手段】加熱体11を有する加熱部材と、該加熱部材とニップNを形成する加圧部材20を有し、ニップで画像tを担持した記録材Pを挟持搬送させて記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、加熱体11は少なくとも2系列の通電発熱抵抗層11b・11cを有し、少なくとも1系列の通電発熱抵抗層11cは通電により中央部に比べて端部の発熱量が大きくなる通電発熱抵抗層であり、該通電発熱抵抗層11cと他の通電発熱抵抗層11bの少なくとも1系列との通電比率が任意に変動可能な通電制御を行え、前記通電比率の制御は、記録材の通紙枚数に応じた通電比率テーブルに従い制御することを特徴とする像加熱装置。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録材上の画像を加熱する像加熱装置(未定着画像を記録材上に永久画像として加熱定着させる定着装置、未定着画像を記録材上に仮定着させる加熱装置、画像を担持した記録材を再加熱してつや等の画像表面性を改質する加熱装置など)、該像加熱装置を具備する画像形成装置、および加熱体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式、静電記録方式などの複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に具備させる画像加熱定着手段としては、熱ローラ方式の加熱定着装置や、クィックスタート性(オンデマンド性)を有し、スタンバイ時に装置に電力を供給せず、消費電力を極力低く抑えた、省エネルギータイプのフィルム加熱方式の加熱定着装置等が採用されている。
【0003】
熱ローラ方式の加熱定着装置は、ハロゲンヒータ等の内装熱源で加熱されて所定の温度に温調される加熱部材としての回転定着ローラと、この定着ローラに所定に圧接された加圧部材としての回転加圧ローラとを有し、両ローラの圧接ニップ部(定着ニップ部)に記録材を導入して挟持搬送させることで未定着画像を記録材面に加熱定着させるものである。
【0004】
フィルム加熱方式の加熱定着装置は特開昭63−313182号公報・特開平1−263679号公報・特開平2−157878号公報・特開平4−44075〜44083号公報等に提案されている。
【0005】
図11はフィルム加熱方式の定着装置の一例の定着ニップ部の横断面模型図である。11は加熱体であり、一般にセラミックヒータが使用される。このヒータ11は耐熱性・剛性のステイホルダー(支持体)12に保持させて固定配設してある。このヒータ11に移動部材としての、例えばポリイミド等の耐熱性定着フィルム13を加圧部材としての弾性加圧ローラ20で密着させて摺動搬送させ、該定着フィルム13を挟んでヒータ11と加圧ローラ20とで形成される定着ニップ部Nの定着フィルム13と加圧ローラ20との間に画像定着すべき記録材Pを導入して定着フィルム13と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送させることによりヒータ11の熱を定着フィルム13を介して記録材に付与して記録材P上の未定着トナー像tを記録材面に加熱定着させるものである。定着ニップ部Nを通った記録材Pは定着フィルム13の面から分離されて搬送される。
【0006】
加熱体としてのセラミックヒータ11は、記録材Pの搬送方向に直交する方向(図面に対して垂直方向)を長手とする横長・薄肉で全体に低熱容量の部材であり、例えばアルミナ等の電気絶縁性・良熱伝導性・低熱容量のセラミック基板(ヒータ基板)11aと、このヒータ基板上に長手に沿って形成具備させた銀パラジューム(Ag/Pd)・TaN等の通電発熱抵抗層11b等を基本構成体とするものである。通電発熱抵抗層11bに対する電力供給により該通電発熱抵抗層の発熱でヒータ11が全体的に迅速に昇温する。このヒータ11の温度がヒータ11に設けたサーミスタ等の温度検知素子14により検知され、不図示の通電制御部へフィードバックされる。通電制御部は温度検知素子14で検知されるヒータ温度が所定の温度に維持されるように通電発熱抵抗層11bに対する通電を制御する。すなわち、これによりヒータ11は所定の定着温度に加熱・温調される。
【0007】
このようなフィルム加熱方式の定着装置は、昇温の速い、低熱容量の加熱体や、移動部材として薄肉のフィルム材を用いることができるため、また、加熱体としてのセラミックヒータの高い剛性のために、弾性層を有している加圧ローラがこれを圧接させたヒータの扁平下面にならって圧接部で扁平になって所定幅の定着ニップを形成し、定着ニップのみを加熱することでクィックスタートを達成することで、スタンバイ中はヒータへの通電を行わない大きく省エネルギーを達成した加熱定着を実現しており、省電力化やウエイトタイムの短縮化等が可能となる、画像形成装置等の本機の機内昇温を低めることができる等の利点があり、効果的なものである。
【0008】
クィックスタートを実現するために、フィルム加熱方式の加熱定着装置を構成する部材は、可能な限り低熱容量の部材で構成されている。そのため、加熱定着装置の各部材は、連続した定着を実行するに従って、各部材が昇温してしまうため、定着温調温度を一定に維持したままにすると、定着過多の状態となり高温オフセットが発生してしまう。そこで、連続した加熱定着を実行する場合は、連続して通紙した枚数に応じて段階的に定着温調温度を下げるなどの制御とするのが一般的である。
【0009】
また、加熱定着を実行開始する時の温度検知素子の検知温度に応じて定着温調温度を適したもの、すなわち、開始時の検知温度が高ければ加熱定着装置は過熱された状態にあると判断し定着温調温度を低く設定し、開始時の検知温度が低ければ加熱定着装置は冷えている状態にあると判断し定着温調温度を高く設定する、などの通電制御も一般的に行われている。詳細な説明に関しては割愛するが、特開平07−248700号公報で提案されている。
【0010】
以上の構成において、ヒータ11の通電発熱抵抗層11bと加圧ローラ20との配置関係を図12を用いて説明する。図において、Aはヒータ基板11aの長手方向の幅寸法、Wは通電発熱抵抗層11bの長手方向の幅(発熱領域)、Bは定着フィルム13の幅寸法、Cは記録材搬送領域(最大通紙幅)、Dは加圧ローラ20の弾性層の長手方向の幅寸法(=定着ニップ部Nの長手方向の幅)である。Sは記録材搬送基準であり、本例の場合は画像形成装置本体の記録材搬送領域の長手方向中央に基準を設けた中央基準搬送である。
【0011】
ヒータ11の通電発熱抵抗層11bの長手方向の幅Wは定着フィルム13を介してヒータ11に当接される加圧ローラ20の弾性層の幅Dに比べ若干狭い幅で形成されている。これは、通電発熱抵抗層11bが加圧ローラ20よりはみ出ることによって、局所的に昇温し、その熱応力により破損するのを防止するためである。また、通電発熱抵抗層11bはトナー像を形成担持させた記録材の搬送領域Cより十分広い幅Wで形成されている。これにより、端部温度だれ(ヒータ端部の通電用電気接点及びコネクタ等への熱のリークによるもの)の影響をなくすことができ、これにより記録材全面にわたって良好な定着性が得られる。更に、通紙域端部の通電発熱抵抗層の幅を絞り、端部の発熱量を上げ、端部の定着性を補う場合もある。
【0012】
Sは記録材搬送基準であり、本例の場合は画像形成装置本体の記録材搬送領域の長手方向中央に基準を設けた中央基準搬送である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例で示すようなフィルム加熱方式の加熱定着装置においては、以下のような問題がある。
【0014】
すなわち、前述したように、スタンバイ中はヒータへの通電を行わず、画像形成時の直前からヒータを加熱・昇温させることで定着可能状態に移行するクィックスタート性を満足するために、フィルム加熱方式の加熱定着装置における各部材は、強度の確保、耐久性の確保などがなされる限り、可及的に熱容量を小さくする構成となっている。そのため、下記に説明するような課題がある。
【0015】
1)加熱定着装置が冷えている(室温に近い)場合
加熱定着装置が十分に冷えている(室温状態に近い)状態から画像形成動作が実行された場合、加熱定着装置全体が冷えた状態にあるため、加熱源である加熱用ヒータの通電発熱抵抗層への通電によって発熱する熱エネルギーは、定着ニップを加熱するが、同時に、装置の長手方向端部からは定着に不必要である部分や雰囲気中に放熱してしまう。
【0016】
このため、図13に示したように初期温度分布としては、ヒータ長手中央付近(温度検知素子が設置されている)では、定着を実行するために必要な定着温度が保たれているにも拘わらず、端部では熱エネルギーの損失により温度が低くなってしまう。そのため、画像形成装置で通紙可能な最大幅に近い記録材を加熱定着する場合、記録材端部の定着性能は中央部の定着性能に対して劣ってしまう課題がある。
【0017】
これを回避するために、ヒータの発熱領域を最大通紙可能な記録材よりも幅広くしたり、端部が中央よりも発熱するように通電発熱抵抗層の端部抵抗を高くすることで端部がより昇温するような発熱分布とする、などの対策がとられることになる。
【0018】
しかし、通電発熱抵抗層11bの長手長さを長くした場合、装置全体の大きさが大きくなってしまう、そのために余分な熱エネルギーを消費することになる、などの問題がある。
【0019】
また、発熱する領域を記録材よりも広くしたり、通電発熱抵抗層の端部発熱量を大きくした場合、定着初期は記録材端部にわたって十分な定着性能が得られることになるが、連続した加熱定着を実行した場合、次の2)項に説明するような課題が発生することになる。
【0020】
2)加熱定着装置が過熱、または、連続して加熱定着を実行している状態
加熱源である加熱用ヒータ11の通電発熱抵抗層11bへの通電によって発生した熱エネルギーは定着フィルム13を介して記録材Pに伝えられるが、定着ニップ部N内において、記録材Pが搬送されている領域と搬送されていない領域(加熱部材長手の端部に相当)では、連続した加熱定着を実行している場合、昇温の度合いが異なる。
【0021】
即ち、記録材Pが搬送される領域では通電発熱抵抗層11bで発生した熱エネルギーは、記録材P上のトナーを溶融、定着するために消費されるが、記録材Pが搬送されない領域では、直接加圧ローラ20を加熱することになり(熱エネルギーは記録材によって消費されない)、徐々に熱エネルギーが蓄積されることになる。
【0022】
図13は、加熱定着装置が冷えている状態(初期状態)時と、連続通紙状態時とのヒータ長手方向温度分布グラフである。初期状態時の定着温調温度Taは約230℃の設定であり、連続通紙状態時の定着温調温度Tbは約195℃の設定に変更される。図13に示すように加熱定着装置が冷えている状態(初期状態)では、中央に比べて温度が低かった端部の温度も、徐々に加熱、昇温させられることになる。ここで、中央の温度(ほぼ定着温調温度と同等の温度)は、初期状態は略230℃と高く、連続通紙状態では定着温調温度を低く設定することよって略195℃となっているが、中央の温度に対する端部の温度状態は、図に示したように、端部においては過剰に昇温した状態となってしまう。特に、記録材Pの搬送領域より通電発熱抵抗層11bの長手長さを長くすることで通電発熱抵抗層11bが搬送領域よりはみ出す幅を広くしたり、通電発熱抵抗層11bに抵抗分布を持たせることで端部の発熱量を増やした場合には、連続した加熱定着実行時の端部の過剰昇温は更に激しくなる。
【0023】
更に、近年の画像形成装置の高速化に伴い、通電発熱抵抗層11bで消費する電力が多くなってくると、記録材Pの搬送領域と非搬送領域での温度差はより顕著に発生することになる。即ち、画像形成装置の高速化に伴い、一定時間に加熱定着する記録材Pの量が多くなると、その記録材Pを定着するために必要となる熱エネルギーも多くなることから、高速化を図ろうとすると、非搬送領域での昇温はより過剰なものとなってしまう。非搬送領域での過剰昇温は、該当部の構成部材の耐熱グレードをより対高温性に優れるものとする必要性が生じる、また、定着フィルム内面の劣化、ヒータ電極での給電の安定性を損なうなどの問題を招く恐れがある。
【0024】
一方で、通電発熱抵抗層11bに投入する電力を多くすることで、単位時間あたりの記録材Pの定着可能枚数を多くしたいが、画像形成装置の電源としては一般家庭などにも広く普及している商業用電源とする必要性、要望があるため、加熱用ヒータ11に投入できる電力の上限は自ずから決まってしまうことになる。
【0025】
そのため、画像形成装置の高速化を図るためには加熱用ヒータ11からの熱エネルギーをより効率よく記録材Pに与なければならず、従来のフィルム加熱方式の加熱定着装置のように、加熱定着装置全体の昇温を抑えるために、複数段階の定着温調温度を設けて、画像通紙枚数に応じた段階的な温調制御を行うのが難しくなっている。
【0026】
即ち、高速化に伴い、従来のフィルム加熱方式の加熱定着装置とは異なり、加熱用ヒータ11から発生する熱エネルギーは記録材Pに奪われる熱エネルギーを補うことで消費されてしまい、記録材Pの搬送領域では過剰となることはない。
【0027】
そのため、従来のフィルム加熱方式の加熱定着装置のように3〜6程度の複数段階の定着温調温度を設定して加熱用ヒータ11を制御することは難しく、単一または1〜3段階程度の定着温調温度の設定となってしまう。そのため、従来のフィルム加熱方式の加熱定着装置のように、定着温調温度の設定用の温調テーブルに従った、加熱用ヒータ11の通電制御は厳しくなっている。
【0028】
以上、説明してきたように、フィルム加熱方式の加熱定着装置では、クィックスタートによる省エネルギーを達成するため、可能な限り構成部材の熱容量を小さく抑えるようにしているため、長手方向の熱伝導性が悪いものとなってしまっている。そのため、記録材の搬送される領域と通電発熱抵抗層の発熱領域の関係から、加熱定着装置が冷えている状態(初期状態)では端部の熱エネルギー不足による端部部定着性の悪化、連続した加熱定着実行時は非搬送領域となる端部での過剰昇温が発生してしまう。
【0029】
そのため、現時点では、クィックスタート性を確保し、且つ、初期の端部定着性不良の防止、連続加熱定着実行時の非搬送領域の過剰昇温の防止、の全てを達成する技術は確立されていない。また、画像形成装置の高速化に伴い上述した課題がよりネックとなっている。
【0030】
そこで本発明は、装置が冷えた状態からの記録材通紙実行時(加熱定着実行時)の端部像加熱性(端部定着性)の確保、且つ、連続した記録材通紙実行時(加熱定着実行時)の非通紙部の過剰昇温の防止、を両立させた、もしくは両立を可能にすることができる、像加熱装置、画像形成装置、および加熱体の提供を目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では下記の構成を特徴とする像加熱装置、画像形成装置、および加熱体を提供するものである。
【0032】
(1)加熱体を有する加熱部材と、該加熱部材とニップを形成する加圧部材を有し、ニップで画像を担持した記録材を挟持搬送させて記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
加熱体は少なくとも2系列の通電発熱抵抗層を有し、少なくとも1系列の通電発熱抵抗層は長手方向に抵抗値分布を有することで、通電により中央部に比べて端部の発熱量が大きくなる通電発熱抵抗層であり、
該端部の発熱量が多い通電発熱抵抗層と他の通電発熱抵抗層の少なくとも1系列との通電比率が任意に変動可能な通電制御を行え、
前記通電比率の制御は、記録材の通紙枚数に応じた通電比率テーブルに従い制御することを特徴とする像加熱装置。
【0033】
(2)一連の連続した記録材通紙が終了した時点で、通電比率テーブル用の記録材通紙枚数をリセットすることを特徴とする(1)に記載の像加熱装置。
【0034】
(3)通電比率テーブルは、連続した記録材通紙実行時は、端部の発熱量が大きい通電発熱抵抗層への通電を他の少なくとも1系列の通電発熱抵抗層への通電に比較して、徐々に少なく変動させるものであり、該通電比率テーブルに従い通電制御することを特徴とする(1)または(2)に記載の像加熱装置。
【0035】
(4)通電比率テーブルは、通紙される記録材の幅に応じて、端部発熱量が大きい通電発熱抵抗層への通電を他の少なくとも1系列の通電発熱抵抗層への通電に比較して、記録材の幅が狭くなるに従い段階的に少なくするものであり、該通電比率テーブルに従い通電制御することを特徴とする(1)から(3)の何れかに記載の像加熱装置。
【0036】
(5)加熱体を有する加熱部材と、該加熱部材とニップを形成する加圧部材を有し、ニップで画像を担持した記録材を挟持搬送させて記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
加熱体は少なくとも2系列の通電発熱抵抗層を有し、少なくとも1系列の通電発熱抵抗層は長手方向に抵抗値分布を有することで、通電により中央部に比べて端部の発熱量が大きくなる通電発熱抵抗層であり、
該端部の発熱量が多い通電発熱抵抗層と他の通電発熱抵抗層の少なくとも1系列との通電比率が任意に変動可能な通電制御を行え、
前記通電比率の制御は、記録材通紙実行開始時の装置に具備された温度検知素子の検知温度に応じた通電比率に制御することを特徴とする像加熱装置。
【0037】
(6)連続した記録材通紙実行時の前記通電比率の制御は、記録材通紙枚数に応じた通電比率テーブルに従い制御することを特徴とする(5)に記載の像加熱装置。
【0038】
(7)一連の連続した記録材通紙動作が終了した時点で、通電比率テーブル用の記録材通紙枚数をリセットすることを特徴とする(5)または(6)に記載の像加熱装置。
【0039】
(8)通電比率テーブルは、連続した記録材通紙実行時は、端部の発熱量が大きい通電発熱抵抗層への通電を他の少なくとも1系列の通電発熱抵抗層への通電に比較して、徐々に少なく変動させるものであり、該通電比率テーブルに従い通電制御することを特徴とする(5)から(7)の何れかに記載の像加熱装置。
【0040】
(9)通電比率テーブルは、通紙される記録材の幅に応じて、端部発熱量が大きい通電発熱抵抗層への通電を他の少なくとも1系列の通電発熱抵抗層への通電に比較して、記録材の幅が狭くなるに従い段階的に少なくするものであり、該通電比率テーブルに従い通電制御することを特徴とする(5)から(8)の何れかに記載の像加熱装置。
【0041】
(10)加熱部材は移動部材を有し、該移動部材を挟んで加圧部材とのニップが形成され、該ニップの移動部材と加圧部材との間で画像を担持した記録材を挟持搬送させて加熱体により記録材上の画像を移動部材を介して加熱することを特徴とする(1)から(9)の何れかに記載の像加熱装置。
【0042】
(11)加熱部材のニップ対応部分に加熱体が存在していることを特徴とする(1)から(10)の何れかに記載の像加熱装置。
【0043】
(12)ニップに通紙される記録材上の画像が未定着画像であることを特徴とする(1)から(11)の何れかに記載の像加熱装置。
【0044】
(13)記録材に未定着画像を形成担持させる作像手段と、未定着画像を記録材上に永久画像として加熱定着する定着手段を有する画像形成装置において、前記定着手段が(1)から(12)の何れかに記載の像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0045】
(14)基板上に通電発熱抵抗層を有する加熱体において、少なくとも2系列の通電発熱抵抗層を有し、少なくとも1系列の通電発熱抵抗層は長手方向に抵抗値分布を有することで、通電により中央部に比べて端部の発熱量が大きくなる通電発熱抵抗層であり、該端部の発熱量が多い通電発熱抵抗層と他の通電発熱抵抗層の少なくとも1系列との通電比率を変動可能に通電制御されることを特徴とする加熱体。
【0046】
【発明の実施の形態】
〈第1の実施例〉
以下に、本発明に係る実施例を示すが、まず図1は、本発明に係る画像形成装置の構成略図である。
【0047】
(1)画像形成装置の説明
図1は本実施例における画像形成装置の構成略図である。本例の画像形成装置は電子写真プロセス利用のレーザプリンタであり、プロセスカートリッジ着脱式で、記録材の装置内搬送は中央基準搬送、最大通紙幅LTRサイズ(通紙方向幅216mm)、1分間あたり32枚の出力が可能である。
【0048】
2は感光ドラムであり、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の素管上に形成されている。
【0049】
感光ドラム2は矢印の方向に回転駆動され、まず、その表面は帯電装置としての帯電ローラ3によって一様帯電される。
【0050】
次に、その回転感光ドラム19の一様帯電面に対してレーザスキャナユニット80によりレーザビーム走査露光Lが施されて画像情報の静電潜像が形成される。感光ドラム2に対するレーザビーム走査露光Lは画像情報に応じて点灯制御されたレーザビームがレーザスキャナユニット80内で回転するポリゴンミラーにより反射されてなされる。
【0051】
この静電潜像は現像装置4で現像、可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
【0052】
可視化されたトナー像は、転写装置としての転写ローラ5により、給紙機構部から所定のタイミングで搬送された記録材(転写材)P上に感光ドラム2上より転写される。
【0053】
記録材Pは給紙機構部の選択された上段または下段のカセット72から給紙ローラ対73によってピックアップされ、給紙搬送路74を経て、紙先端部を検知するレジストローラ対75に送られ、感光ドラム2上の可視像であるトナー像とタイミングを一致させた後、感光ドラム2と転写ローラ5との当接部である転写ニップに搬送されることになる。このとき記録材Pは感光ドラム2と転写ローラ5に一定の加圧力で挟持搬送される。
【0054】
転写ニップでトナー像が転写された記録材Pは感光ドラム2の面から分離されて定着装置7へと搬送され、永久画像として定着され、排紙ローラ対71を経て、排紙トレイ70に排出されることになる。
【0055】
一方、感光ドラム2上に残存する転写残りの残留トナーは、クリーニング部材6により感光ドラム表面より除去され、感光ドラム2は繰返して作像に供される。
【0056】
本例のプリンタは、上記の感光ドラム2、帯電ローラ3、現像装置4、クリーニング装置6の4つのプロセス機器を一括してプリンタ本体に対して着脱交換自在のプロセスカートリッジとしてある。
【0057】
(2)加熱定着装置7
図2は加熱定着装置7の概略構成の横断面模型図、図3は縦断面模型図である。本例の加熱定着装置7は、特開平4−44075〜44083、4−204980〜204984号公報等に開示の、移動部材として円筒状(エンドレスベルト状)の定着フィルムを用いた、フィルム加熱方式、加圧用回転体駆動方式(テンションレスタイプ)の加熱装置である。
【0058】
1)装置7の全体的構成
10は定着部材(定着ユニット)、20は加圧部材としての弾性加圧ローラであり、両者10・20の圧接により定着ニップ部Nを形成させている。
【0059】
定着部材10は図2において紙面に垂直方向を長手とする部材であり、横断面略半円弧状樋型の耐熱性・剛性を有するステイホルダー(支持体)12と、このステイホルダー12の下面に、該部材の長手に沿って設けた凹溝部に嵌め入れて固定して配設した、加熱体としてのセラミックヒータ(以下、ヒータと記す)11と、該ヒータ11を取り付けたステイホルダー12にルーズに外嵌した移動部材としての、熱容量の小さな、円筒状の耐熱性の定着フィルム13と、ステイホルダー12の両端部側にそれぞれ嵌着したフランジ部材17等からなる。
【0060】
加圧ローラ20は芯金21の両端部を装置シャーシーの手前側と奥側の側板29・29間に軸受部材を介して回転自由に軸受保持させて配設してある。
【0061】
定着部材10は、この加圧ローラ20の上側に、ヒータ11側を下向きにして加圧ローラ20に並行に配置し、ステイホルダー12の両端部に嵌着したフランジ部材17・17をそれぞれバネ25・25にて加圧ローラ20の軸線方向に総圧122Nで押圧附勢することで、ヒータ11の下向き面を定着フィルム13を介して加圧ローラ20の弾性層22に該弾性層の弾性に抗して圧接させ、加熱定着に約7mm幅の定着ニップ部Nを形成させてある。
【0062】
加圧ローラ20は芯金21に固着した加圧ローラ駆動ギア26に駆動系Mから回転力が伝達されることにより図2において矢印aの反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。この加圧ローラ20の回転駆動による該加圧ローラ20の外面と定着フィルム13との、定着ニップ部Nにおける圧接摩擦力により円筒状の定着フィルム13に回転力が作用して該定着フィルム13がその内面側がヒータ11の下向き面に密着して摺動しながらステイホルダー12の外回りを矢印aの時計方向に従動回転状態になる。フランジ部材17・17はこの回転する定着フィルム13の端部を受止めて長手位置を規制し、該定着フィルムの軸線方向への寄り移動を規制する。
【0063】
加圧ローラ20が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着フィルム13が従動回転状態になり、またヒータ11に通電がなされ、該ヒータ11が昇温して所定の温度に立ち上がり温調された状態において、定着ニップ部Nの定着フィルム13と加圧ローラ20との間に未定着トナー像tを担持した記録材Pが耐熱性の定着入口ガイド27に沿って案内されて導入され、定着ニップ部Nにおいて記録材Pのトナー像担持面側が定着フィルム13の外面に密着してフィルム13と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この挟持搬送過程において、ヒータ11の熱が定着フィルム13を介して記録材Pに付与され、記録材P上の未定着トナー像tが記録材P上に加熱・加圧されて溶融定着される。
【0064】
定着ニップ部Nを通過した記録材Pは定着フィルム13から曲率分離され、定着排紙センサ76、定着排紙ローラ61、排紙ローラ対71を経て、排紙トレイ70に排出されることになる。
【0065】
排紙センサ76は定着ニップに記録材が存在するかを判断するセンサであり、ヒータ11への通電制御、記録材の定着ニップへの滞留の検知などに用いられる信号を出力するものである。
【0066】
定着フィルム13は内部のヒータ11及びステイホルダー12に摺擦しながら回転するため、ヒータ11、及び、ステイホルダー12と定着フィルム13の間の摩擦抵抗を小さく抑える必要がある。このためヒータ11、及び、ステイホルダー12の表面に耐熱性グリースを潤滑剤として少量塗布してある。これにより定着フィルム13はスムースに回転することが可能となる。
【0067】
ステイホルダー12はヒータ11を保持し、定着ニップの反対方向側への放熱を防ぐための断熱性部材であり、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成されている。本実施例では液晶ポリマー製の断熱ステイホルダーとしている。
【0068】
フランジ部材17・17としては、耐熱性に優れ、比較的熱伝導性が良くなく、滑り性にも優れる材料として、PPS、液晶ポリマー、PET、PI、PA、等のガラス繊維含有の樹脂が用いられている。
【0069】
加圧ローラ20は、芯金21の外側にシリコンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコンゴムを発泡して形成された弾性層22からなり、この上にPFA、PTFE、FEP、等の離型層23を形成している。加圧ローラ20に対するオフセット防止の目的で、定着フィルム13との間に電位差を設けるために、芯金21と本体GNDの間に、芯金21側をカソード、本体GND側がアノードとなるようにダイオード28(図2)を設置することで、加圧ローラ表面をプラスの電位とし、オフセット防止の電位差が定着フィルム13との間に形成されるような構成としている。
【0070】
2)定着フィルム13
定着フィルム13は熱容量の小さなフィルム材であり、クィックスタートを可能にするために総厚100μm以下の厚みの耐熱性フィルムである。基層として、耐熱性、熱可塑性を有するポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、などの耐熱性樹脂、あるいは耐熱性、高熱伝導性を有するSUS(ステンレス鋼)、Al(アルミニウム)、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、Zn(亜鉛)、などの金属材料を単独ないし複合して形成してある。
【0071】
樹脂製の基層の場合には、熱伝導性を向上するために、BN(窒化ホウ素)、アルミナ、Al、等の高熱伝導性粉末が混入してあっても良い。また、長寿命の定着フィルムを構成するために充分な強度を持ち、耐久性に優れた基層とするには、約25μm以上の厚みが必要となる。
【0072】
よって定着フィルムの総厚みとしては25μm以上100μm以下が最適である。さらにオフセット防止や記録材の分離性を確保するために表層にはPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、等の離型性の良好なフッ素樹脂を混合ないし単独でコーティング、または、被覆したものである。
【0073】
本実施例で用いた定着フィルムは極短時間での定着可能温度までの昇温を可能にするために60μmの総厚と、基層としては、耐熱性、熱可塑性を有するポリイミドの樹脂フィルムであり、熱ストレス、機械的ストレスに耐え、長寿命の加熱定着部材とするために充分な強度を持たせる目的で基層の膜厚は45μmとし、外径は略φ25mmとした。
【0074】
また、基層の上には、カーボン等の導電材を適量分散した導電性プライマー層を、膜厚5μmで塗布している。そして、導電性プライマー層の上には、トナーや紙粉の付着防止、定着フィルムからの記録材の分離性を確保するために、離型性に優れ耐熱性が高いフッ素樹脂としてPFAをディッピング塗布法にて、10μmの膜厚で塗布することで、離型層とし、これらの基層、プライマー層、離型層で、略φ25mmの定着フィルムが形成されている。
【0075】
プライマー層の長手方向の一部は周方向で露出しており、ここにオフセット、尾引き、防止の目的で、定着フィルム表面がプラスの電位にならないように、整流素子としてのダイオード28(図2)をプライマー側がアノードとして本体GNDとの間に設置し、記録材上の未定着トナーが定着フィルムに転移するのを防止している。
【0076】
3)ヒータ11
図4は定着ニップ部部分の拡大横断面模型図、図5の(a)はヒータ11の裏面側の一部切欠き平面模型図、(b)はヒータ11の表面側の平面模型図である。
【0077】
本実施例のヒータ11は、2系列の通電発熱抵抗層11b・11cを具備させた、裏面加熱型のセラミックヒータであり、
▲1▼.通紙方向と直交する方向を長手とする横長の、アルミナ、AlN等のセラミック材料より形成された、耐熱性、高絶縁性・高熱伝導性・低熱容量のヒータ基板11a、
▲2▼.上記のヒータ基板11aの裏面側(定着ニップ部N側とは反対面側)に長手に沿ってスクリーン印刷等により線状あるいは帯状に塗工した、少なくとも第1と第2の2系列の通電発熱抵抗層11b・11c、
▲3▼.第1と第2の通電発熱抵抗層11b・11cの一端部側において両者に電気的に導通させてヒータ基板面にパターン形成した給電用の共通電極11fと、
▲4▼.第1と第2の通電発熱抵抗層11b・11cの他端部側においてそれぞれに電気的に導通させてヒータ基板面にパターン形成した給電用の第1と第2の個別電極11g・11h、
▲5▼.第1と第2の通電発熱抵抗層11b・11cの保護と絶縁性を確保するためにそれ等の上に形成した、厚み10μm程度の薄肉の、耐熱性のポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、ガラス等の絶縁性保護層11d、
▲6▼.この絶縁性保護層11dに上に圧接あるいは接着させて配設した、サーミスタ等の温度検知素子14と、温度ヒューズあるいはサーモスイッチ等のサーモプロテクター15、
▲7▼.ヒータ基板11aの表面側(定着ニップ部N側)の定着フィルム13と摺擦する部分をコートした摺動層11e、
等からなる。
【0078】
ヒータ基板11aの幅は、定着ニップ部Nの幅より広くしてある。
【0079】
第1と第2の通電発熱抵抗層11b・11cは、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、Ni/Cr、RuO、TaN、TaSiO等の導電剤とガラス、ポリイミド等のマトリックス成分からなる材料をスクリーン印刷、蒸着、スパッタリング、メッキ、金属箔等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状で弓状に塗工して形成する。
【0080】
共通電極11f、第1及び第2の個別電極11g・11hは、例えば、銀と白金の合金(Ag/Pt)を用いて、スクリーン印刷、蒸着、スパッタリング、メッキ、金属箔等により形成されている。
【0081】
摺動層11eは、PTFE、PFA、FEP、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)、CTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)等のフッ素樹脂層を単独ないし、混合して被覆するか、あるいはグラファイト、二硫化モリブデン等からなる乾性被膜潤滑剤、ガラス、DLC(ダイアモンドライクカーボン)等を薄く塗布あるいは蒸着することによって形成された層である。これにより、定着フィルム13とヒータ11は低摩擦係数で滑らかに摺動することが可能になる。あるいは、高熱伝導基板11aの定着フィルム13と摺動する面の表面粗さを所定以下に抑え、潤滑性グリース等により摺動性を確保し、熱抵抗を小さく抑えることで熱効率を向上させる構成であっても良い。
【0082】
上記のヒータ11をその裏面側、すなわち通電発熱抵抗層11b及び11cが形成された側を断熱ステイホルダー12に接着もしくは不図示の保持部材で圧接させて配設してある。
【0083】
そして上記ヒータ11の一端側である通電極11f側には第1の給電用コネクタ18が装着される。また他端側である第1及び第2の個別電極11g・11h側には第2の給電用コネクタ19が装着される。
【0084】
ヒータ駆動回路部36から上記の第1と第2の給電用コネクタ18・19を介して2系列の通電発熱抵抗層である第1と第2の通電発熱抵抗層11b・11cに給電されることで、第1と第2の通電発熱抵抗層11b・11cが発熱してヒータ11が迅速に昇温する(ACライン)。第1の通電発熱抵抗層11bは共通電極11fと第1の個別電極11gとの間に通電されることで、また第2の通電発熱抵抗層11cは共通電極11fと第2の個別電極11hとの間に通電されることで、独立に発熱する。
【0085】
そのヒータ11の温度が温度検知素子14により検知され、検知温度の電気的情報がヒータ駆動回路部36に入力する(DCライン)。
【0086】
ヒータ駆動回路部36は温度検知素子14の検知温度が所定の設定温度(定着温度)に維持されるように給電回路部の出力電力をメモリされている定着温調温度テーブルに従って適切に制御する。これにより、定着ニップ部Nにおいて定着フィルム13の表面温度を定着可能な温度に保つ。すなわち、定着ニップ部Nでの温調温度を略一定に保ち記録材上のトナー像を定着するのに必要な加熱を行う。
【0087】
通電発熱抵抗層への通電制御方法としては、交流電圧の波数によって投入電力を制御する波数制御方式や交流電圧のゼロクロスからの所定の遅延時間後に次のゼロクロスまで通電する位相制御方式等が適用される。
【0088】
ヒータ温度を検知するためのサーミスタ等の温度検知手段14、及びサーモプロテクター15は、装置に通紙使用可能な最小幅の記録材の搬送域(本例では中央搬送基準)内に配置されている。
【0089】
サーモプロテクター15はヒータ11の暴走時に通電発熱抵抗層11b・11cへの通電をシャットダウンするための安全装置であり、ヒータ駆動回路部36と第1の給電用コネクタ18と電路に直列に挿入してヒータ裏面に当接させてあり、ヒータ11が許容以上に過昇温したとき回路を開く動作をする。
【0090】
温度検知素子14については、画像形成装置本体が搬送可能な最小幅の記録材が搬送された場合であっても、記録材上のトナー像を定着不良、高温オフセット等の問題を起こさずに適度な定着温度で加熱定着するために、記録材最小搬送域内に設けられている。一方、サーモプロテクター15についても、最小幅の記録材が搬送された場合に非搬送領域において、搬送領域よりも熱抵抗が小さい非搬送領域で過剰加熱されることにより、通常の搬送時であってもサーモプロテクターが誤動作して通電をシャットアウトする等の問題を引き起こさないように、記録材最小搬送域内に設けられている。
【0091】
ところでサーモプロテクター15をヒータ背面に当接することにより、通電発熱抵抗層11b・11cで発生した熱量がサーモプロテクター15に奪われて、記録材に十分な熱量が与えられなくなり、サーモプロテクター当接位置において定着不良を起こすことがある。これを防ぐために通電発熱抵抗層のサーモプロテクター当接対応位置において、ヒータの通電発熱抵抗層の一部の幅を若干狭めて、該当接位置の抵抗値を他の部分より大きくすることで発熱量を確保している。これにより記録材への給熱量を長手方向に渡って一定とし、定着むらのない良好な加熱定着を実現している。ここで温度検知素子14も同様にヒータ背面に当接させているため、同様に通電発熱抵抗層11b・11cによって発した熱が温度検知素子に奪われることが懸念されるが、チップサーミスタ等熱容量の小さい温度検知素子を用いることにより、ヒータから奪われる熱量を小さく抑えることができる。このためサーモプロテクター15と同様の上記対策を取らなくても、長手方向において記録材の定着均一性を損ねることなく均一な定着が可能となる。
【0092】
2系列の第1と第2の通電発熱抵抗層11b・11cは、図5のように、それぞれ長さL1、L2で形成され、前記したように、第1の通電発熱抵抗層11bは共通電極11fと第1の個別電極11gとの間に通電されることで、また第2の通電発熱抵抗層11cは共通電極11fと第2の個別電極11hとの間に通電されることで、独立に発熱し、給電用電源はそれぞれ独立しており、第1と第2の通電発熱抵抗層11b及び11cへの通電比率は任意に設定可能となっている。
【0093】
また、この2系列の第1と第2の通電発熱抵抗層11b及び11cのうち、少なくとも1系列の通電発熱抵抗層、本例では第2の通電発熱抵抗層11cは、長手方向で抵抗値分布を持っており、端部の単位長さあたりの抵抗値を中央部に比べて高くなるように形成してある。
【0094】
すなわち、第2の通電発熱抵抗層11cは、図5のように、抵抗層長L2の両端部L3の長さにおいて、同一ペーストの通電発熱抵抗層11cの幅を絞ることによってL3の長さだけ中央付近に比べて単位長さあたりの抵抗値を高く設定してある。
【0095】
尚、図5では、幅を変えることによって単位長さあたりの抵抗値を変えているが、厚みや通電発熱抵抗層のペーストを変えることによって抵抗値分布をもたせても良いことは言うまでもない。
【0096】
また、長手方向端部L3の単位長さあたりの抵抗値を中央部付近に比べ大きく設定した第2の通電発熱抵抗層11cは、他の第1の通電発熱抵抗層11bに対して記録材搬送方向の下流側に配置した。
【0097】
また、記録材の最大搬送幅D1(LTR幅 216mm)に対して、第1の通電発熱抵抗層11bはほぼ同等の長さで形成してあり、第2の通電発熱抵抗層11cは若干長くなるように形成した。
【0098】
(3)ヒータ11の通電制御
以上の構成で、ヒータの温度分布を測定した。
【0099】
実験に用いた構成は以下の通りである。まず基本的構成として、ヒータ11のヒータ基板11aとして10mm幅の高熱伝導性AlN基板を用い、このヒータ基板11aの定着ニップ部Nと反対側に、通電発熱抵抗層11b・11cとしてAg/Pdの導電剤とマトリックス成分としての燐酸系ガラスの混合物を有機溶剤、バインダー、分散剤等と混合してペースト状にしたものをスクリーン印刷した後、600℃で焼成したものを用いた。
【0100】
通電発熱抵抗層は図4に示したように第1と第2の2系列11b・11cを形成し、第1の通電発熱抵抗層11bは長手方向に渡って均一抵抗値であるL1=216mmであり、第2の通電発熱抵抗層11cは、長さL2=222mmで、両端からのの距離L3=20mmの単位長さあたりの抵抗値を、中央付近のそれに対して140%となるように形成した。
【0101】
また、AlN基板11aの定着ニップ部N側には摺動層11eとして燐酸系ガラスを厚み10μmでスクリーン印刷により形成した。
【0102】
また、第1と第2のそれぞれの通電発熱抵抗層11b及び11cの抵抗値の比は2:3となるように形成した。
【0103】
この結果、同等のデューティー比で第1と第2の通電発熱抵抗層11b及び11cへの通電を行った場合、上流側の第1の通電発熱抵抗層11bによる発熱量と下流側の第2の通電発熱抵抗層11cによる発熱量の比は3:2となる。
【0104】
また、定着フィルム13は略内径φ24.9mm、肉厚50μmの円筒状シームレスポリイミドに、プライマー層を5μm、10μmのPFA樹脂をディッピング法により塗布することによって略外径φ25mmの円筒状に形成した。
【0105】
また、加圧ローラ20は、φ22mmのAl芯金21上に、弾性層としてシリコンゴム層22を4mmの肉厚で形成し、さらに表層23としてPFAチューブを被覆することで離型層とし、略外径φ30mmの加圧回転体とした。
【0106】
実験では、第1と第2の各通電発熱抵抗層11b及び11cへの通電比率を、加熱定着される記録材の枚数に応じて、表.1のように通電比率専用の枚数テーブルに従ってヒータへの通電を制御した。この枚数テーブルはヒータ駆動回路部36にメモリされており、ヒータ駆動回路部36は画像形成装置のエンジンコントローラー37から入力する画像形成枚数情報に基づいて表.1の枚数テーブルに従って第1と第2の各通電発熱抵抗層11b及び11cへの通電比率を制御する。
【0107】
ここで、表1中の通電比率は、長手に渡って均一抵抗である第1の通電発熱抵抗層11bの通電比率に対する第2の通電発熱抵抗層11cへの通電比を表している。即ち、数値が大きいほど、端部の発熱分布が多い第2の通電発熱抵抗層11cへの通電の割合いが多くなるため、長手方向両端部での発熱量が多くなる。また、加熱定着した記録材は図5に示す最大搬送幅D1より若干幅の狭いD2(A4サイズ 210mm)幅、坪量105g/mの厚紙である。通紙枚数は連続500枚で確認した。
【0108】
【表1】
Figure 2004012506
【0109】
以上の通電比率テーブル、定着温調温度テーブルで連続加熱定着した場合のヒータ11における長手方向での温度分布の測定結果を図6に示す。図中、横軸はヒータ11の長手方向の位置であり、記録材搬送基準(S)を0mm(中央基準)として、左右にそれぞれ5mmピッチで120mm位置までヒータ11の反定着フィルム面側に熱電対を設置して測定した。
【0110】
縦軸は各測定点における測定温度である。初期状態とは、1枚目の記録材が加熱定着装置7に突入した際の温度分布、一方、連続通紙時とは、500枚目の記録材が加熱定着装置に突入した際の温度分布である。
【0111】
また、本実施例では、表.2に示したように、定着温調温度は記録材の通紙枚数に応じた3段階のテーブル設定として、多数頁の加熱定着でも1頁から最後の頁にわたって定着性を満足するような設定としている。
【0112】
【表2】
Figure 2004012506
【0113】
図6より、初期状態では、両端部の温度が中央に対して若干下がっているものの、略均一的な温度分布を保っており、端部定着性も問題ないものであった。また、連続通紙時の温度分布においても、非搬送部での昇温は問題の発生しない範囲の温度に抑えられていることが分かる。特に従来例の説明で用いた図13と比較すると、端部の過剰昇温を抑える効果は顕著であり、画像形成装置の高速化に伴って懸念される初期状態での端部定着性の確保、連続した加熱定着実行時の端部の過剰昇温の防止、の双方が達成されていることが分かる。
【0114】
このように、従来、一般的に用いられてきた定着温調温度の切替設定用のテーブルとは独立した、複数の通電発熱抵抗層11b・11cの通電比を制御するテーブルを設けたことで、通電発熱抵抗層の通電比は11段階と多岐にわたる通電比率の制御が可能となっている。
【0115】
また、本実施例では、通紙する記録材サイズとして、最大通紙幅D1より少し狭いA4サイズ(=D2)を通紙した場合を例として説明したが、本画像形成装置の最大通紙幅である記録材であるLTRサイズ、幅216mm(=D1)を通紙する場合の、通電比率制御に関して説明する。先に述べた、A4サイズ(幅210mm)よりも、記録材の幅が6mm広いため、A4サイズより両端部に3mm幅分の領域は記録材が搬送されることになるため、A4サイズよりは端部での昇温は抑えられることになる。その反面、端部の定着性は不利な方向となるため、各通電発熱抵抗層11b・11cへの通電比率は、先の表.1に対して、より端部発熱の多い第2の通電発熱抵抗層11cへの通電割合を高く設定している。その設定を表.3に示す。尚、LTRサイズにおける定着温調温度の設定は、表.4に示したように先に説明したA4サイズと同様の設定である。
【0116】
【表3】
Figure 2004012506
【0117】
【表4】
Figure 2004012506
【0118】
表.3に示したように、第1と第2の各通電発熱抵抗層11b・11cへの通電比率の制御テーブルは記録材サイズの幅が広い分、端部の定着性を確保するために、A4サイズに比較して端部の発熱が多い第2の通電発熱抵抗層11cへの通電の割合が多くなるように設定した。このような設定としたことで、LTRサイズにおいても、ヒータ面の温度分布は略均一な温度分布を保っており、端部定着性も十分なものであった。
【0119】
また、連続通紙時の温度分布においても、端部の発熱が多い第2の通電発熱抵抗層11cへの通電割合を多くしたが、記録材サイズの幅が広いため非搬送部での昇温は抑えられていた。
【0120】
このように、定着温調温度は同様の定着温調温度用の枚数カウンタに従ってヒータ11の温度を制御しているが、端部定着性の確保や端部の過剰昇温を抑えるために、記録材サイズと通紙枚数に応じた定着温調温度とは独立した各通電発熱抵抗層への通電制御とすることで、端部定着性の確保や端部の過剰昇温を抑えることが可能となる。
【0121】
ここでは、A4サイズに対して記録材幅が広いLTRサイズについて説明したが、逆に、幅の狭い記録材では、端部の発熱が多い第2の通電発熱抵抗層11cへの通電の割合を、より少なくなるように通電制御を制御することで、より幅の狭い記録材、例えば、B5サイズ(182mm、図中のD3に相当)などでも、端部の過剰昇温を小さく抑えることが可能であり、定着性も問題ない加熱定着装置として達成できるものである。
【0122】
以上のように、画像形成装置の高速化に伴い、よりシビアとなる定着性の確保、端部の過剰昇温に起因する高温オフセットなどの問題が発生しない加熱定着装置を確立し提供することが達成できる。
【0123】
すなわち、未定着画像tが形成された記録材Pを、定着部材10と加圧部材20により互いに圧接してなる定着ニップN間を通過させることにより、上記未定着画像tを記録材P上に永久画像として定着させる加熱定着装置において、上記定着部材10は、加熱源として通電発熱抵抗層11b・11cを有する加熱用ヒータ11、及び、厚み20〜100μmの樹脂性フィルム13、若しくは、薄肉金属製回転体(双方を定着フィルムと称す)を具備し、該定着フィルム内面に接触状態のヒータからなる加熱定着装置とする。
【0124】
また、該ヒータ11は複数の通電発熱抵抗層11b・11cが形成されており、少なくとも2系列の通電発熱抵抗層11b・11cが長手方向において異なった発熱分布をもつように発熱する構成となっている。詳しくは、少なくとも1系列の通電発熱抵抗層11cは長手方向の中央に比べ端部の発熱量が、他の系列の通電発熱抵抗層11bに比べて、大きくなるように形成されている。
【0125】
そして、複数の通電発熱抵抗層11b・11cへの通電は任意に独立したものであり、複数の通電発熱抵抗層11b・11cへの通電比率は変動可能である通電制御であり、この通電比率の制御は、画像形成枚数に応じた専用の通電比率テーブルに従い制御することで、ヒータ11の長手方向の温度分布を、加熱定着装置の状態によらず常に略均一になるように制御することが出来た。
【0126】
また、連続した加熱定着動作の実行時は、端部の発熱量が大きい通電発熱抵抗層11cへの通電を他の少なくとも1系列の通電発熱抵抗層11bへの通電に比較して、徐々に少なく変動する通電比率テーブルとしたことで、加熱定着装置が冷えている状態では端部の発熱量が多い通電発熱抵抗層への通電の割合を多くし、加熱定着装置が過熱状態では、端部の発熱量が多い通電発熱抵抗層への通電の割合を少なくなるように、通電比率のカウンターを設定した。
【0127】
これらにより、加熱定着装置が冷えている(室温に近い)状態からの加熱定着時は、端部からの熱の逃げを補うために、より端部の発熱量の多い通電発熱抵抗層への通電を多くすることで端部定着性を確保し、且つ、連続した加熱定着実行時(加熱定着装置が過熱された状態)は、端部の発熱量の多い通電発熱抵抗層11cへの通電を少なくすることで、非搬送領域での過剰な昇温を抑えることが可能となった。
【0128】
これらの通電比率の制御を、加熱定着枚数に応じた、独立した通電比率専用の制御テーブルを持たせることで、画像形成装置の高速化にも対応できる、よりシビアな加熱用ヒータの通電制御として提供することが実現できた。
【0129】
〈第2の実施例〉
以下に、本発明に係る第2の実施例を示す。
【0130】
第2の実施例は、第1と第2の各通電発熱抵抗層11b・11cへの通電比率の制御を、画像形成直前のヒータ11に当接してある温度検知素子14の検知温度に応じて、加熱定着開始時の通電比率を制御をするものである。
【0131】
先に述べた、従来の技術や第1の実施例と、相違ない箇所に関しては記述・説明を省略し、本実施例での特徴となる点についてのみ説明を行うものとする。また、本実施例で用いた画像形成装置、加熱定着装置、及び、それらを構成する各部材は同様のものを用いた。
【0132】
本実施例では、第1と第2の各通電発熱抵抗層11b及び11cへの通電比率を、画像形成動作が実行される直前の加熱定着装置の温度状態を、温度検知素子14の検知温度から知ることで制御するものとしている。
【0133】
具体的には、画像形成装置に画像形成信号が入力された時点で、ヒータ11の温度を検知する温度検知素子14の検知温度により、下記の表.5に従い、第1と第2の各通電発熱抵抗層11b・11cへの通電を制御するものである。表中の通電比率が示しているものは、先の第1の実施例と同様のものである。
【0134】
【表5】
Figure 2004012506
【0135】
以上の通電比率テーブルで、画像形成を実行開始した時点での温度検知素子14の検知温度に基づいた通電比率として、第1と第2の各通電発熱抵抗層11a・11bへの通電制御とした場合のヒータ11の長手方向における温度分布を確認した。確認は、温度検知素子14の検知温度をモニタしながら、通電比率の各テーブルの所定温度になったタイミングで、画像形成を実行させることで確認した。
【0136】
ここで、実験に用いた記録材は、第1の実施例と同様のA4サイズ(210mm)、坪量105g/mの記録材を通紙した。測定結果を図7に示す。図中の横軸、縦軸が示すものは第1の実施例と同様である。
【0137】
図に示されるように、プリント1枚目の記録材が定着ニップに突入する直前のヒータの温度分布は、画像形成の実行開始時の検知温度に基づいた各設定テーブルで、ほぼ同様の温度プロファイルを示していることが分かる。ここで、画像形成の実行開始時の温度が高いほうが、ヒータ11の全体的な温度が低く、また、端部の温度だれが小さくなっていることが分かる。
【0138】
これは、従来例で説明したように、画像形成を実行開始する時の温度検知素子の検知温度に応じて、定着開始実行時の定着温調温度を表.6に示すように設定しているため、検知温度が高い場合は定着温調温度を低く設定することになるため、ヒータ中央部の温度分布もその定着温調温度に対応したものとなっている。対して、ヒータ端部の温度は、加熱定着装置が過熱状態にあるため各部材の熱状態が飽和状態となり、端部の温度だれが小さくなっている。そのため、画像形成を実行開始する時の検知温度が高いほうが、端部の定着性不良は発生しにくくなる。この時の加熱定着実行時の1枚目の端部定着性は、上記の表.5に示したように、各テーブルで問題のないもとなっている。
【0139】
【表6】
Figure 2004012506
【0140】
このことから、加熱定着装置が過熱された状態にある場合は、加熱定着実行時の1枚目の通電比率は、端部の発熱の多い第2の通電発熱抵抗層11cへの通電割合を少なくしても、端部の定着性を確保することが可能であることが分かる。メリットとして、連続した加熱定着を実行した時の端部の過剰昇温をより抑えることが可能となることがある。
【0141】
本実施例では、画像形成の実行開始時の温度検知素子14の検知温度に基づいて、第1と第2の各通電発熱抵抗層11b・11cへの通電を通電比率テーブル従いヒータ11への通電制御を行うものであるが、連続した加熱定着実行時のその後の第1と第2の各通電発熱抵抗層11b・11cへの通電比率は、先の第1の実施例で説明した実施形態を模倣して、表.7に示した通紙枚数に従い、端部発熱が多い第2の通電発熱抵抗層11cへの通電の割合を減らすことで、連続した加熱定着実行時の端部の昇温を抑えるものとする。
【0142】
例えば、加熱定着の実行開始時の温度検知素子14の検知温度が90℃であった場合、加熱定着の実行開始時の通電比率は95から始まる。即ち、端部の発熱が多い第2の通電発熱抵抗層11cへの通電は、他方の第1の通電発熱抵抗層11bに対して、95%の割合で通電が成されることになる。この状態から50枚の連続した加熱定着を実行する場合には、最初の10頁は通電比率95で通電制御を行い、11〜20頁は通電比率90として通電制御を行い、・・・、最後の41〜50頁は通電比率60として通電制御を行い加熱定着を実行するものである。この通電制御のフローを一例として図8に示す。
【0143】
【表7】
Figure 2004012506
【0144】
また、先の第1の実施例と同様に、記録材の幅が狭い時は端部発熱の多い第2の通電発熱抵抗層11cへの通電割合を少なくし、逆に記録材の幅が広い時は端部発熱の多い第2の通電発熱抵抗層11cへの通電割合を多くすることで、記録材のサイズに適した、問題とならない定着性の確保、及び、端部の過剰昇温を小さく抑えられる、ことの双方を実現することが可能な、加熱定着装置として提供できるものである。
【0145】
以上のように、画像形成装置の高速化に伴い、よりシビアとなる定着性の確保、端部の過剰昇温に起因する高温オフセットなどの問題が発生しない加熱定着装置を確立し提供することが達成できる。
【0146】
また、本実施例では、中央基準で記録材を搬送する画像形成装置で説明したが、片側端部を記録材搬送基準とする画像形成装置であっても、同様に反基準側端部の発熱量を多くした通電発熱抵抗層を少なくとも1系列形成することで、同様の効果を得られる。
【0147】
すなわち、未定着画像tが形成された記録材Pを、定着部材10と加圧部材20により互いに圧接してなる定着ニップN間を通過させることにより、上記未定着画像tを記録材P上に永久画像として定着させる加熱定着装置において、上記定着部材10は、加熱源として通電発熱抵抗層11b・11cを有するヒータ、及び、厚み20〜100μmの樹脂性フィルム13、若しくは、薄肉金属製回転体(双方を定着フィルムと称す)、該ヒータ11の温度を検知することで通電を制御するための温度検知素子14を具備し、該定着フィルム内面に接触状態のヒータ11、及び、ヒータ11に温度検知素子14が当接されている構成からなる加熱定着装置とする。
【0148】
また、該ヒータ11は複数の通電発熱抵抗層11b・11cが形成されており、少なくとも2系列の通電発熱抵抗層11b・11cが長手方向において異なった発熱分布をもつように発熱する構成となっている。詳しくは、少なくとも1系列の通電発熱抵抗層11cは長手方向の中央に比べ端部の発熱量が、他の系列の通電発熱抵抗層11bに比べて、大きくなるように形成されている。
【0149】
そして、複数の通電発熱抵抗層11b・11cへの通電は任意に独立したものであり、複数の通電発熱抵抗層11b・11cへの通電比率は変動可能である通電制御であり、この通電比率の制御は、画像形成実行開始時の温度検知素子14の検知温度に応じた通電比率に制御することで、ヒータ11の長手方向の温度分布を、加熱定着装置の状態によらず常に略均一になるように制御することが出来た。
【0150】
また、連続した加熱定着動作の実行時は、端部の発熱量が大きい通電発熱抵抗層11cへの通電を他の少なくとも1系列の通電発熱抵抗層11bへの通電に比較して、徐々に少なくなるように変動させることで、加熱定着装置が冷えている状態では端部の発熱量が多い通電発熱抵抗層11bへの通電の割合が多くし、加熱定着装置が過熱状態では、端部の発熱量が多い通電発熱抵抗層11cへの通電の割合を少なくなるように、通電制御する。
【0151】
これらにより、加熱定着装置が冷えている(室温に近い)状態からの加熱定着時は、端部からの熱の逃げを補うために、より端部の発熱量の多い通電発熱抵抗層11cへの通電を多くすることで、端部定着性を確保し、且つ、連続した加熱定着実行時(加熱定着装置が過熱された状態)は、非搬送領域での昇温を端部の発熱量の多い通電発熱抵抗層11cへの通電を少なくすることで、過剰な昇温を抑えることが可能となった。
【0152】
これらの通電制御を、加熱定着実行時の加熱用ヒータに当接された温度検知素子14の検知温度に応じたものとして制御することで、画像形成装置の高速化にも対応できる、よりシビアな加熱用ヒータの通電制御として提供することが実現できた。
【0153】
〈その他〉
1)加熱体としてのセラミックヒータ11の構成形態は実施例のものに限られないことは勿論である。例えば、図9のように、通電発熱抵抗層11b・11cをヒータ基板11aの表面側すなわち定着ニップ対向面側に形成具備させた、表面加熱型のヒータ11とすることもできる。通電発熱抵抗層は2本以上多数本形成具備させることもできる。
【0154】
ヒータ11は必ずしも定着ニップ部Nに位置していなくてもよい。例えば、図10のようにヒータ11を定着ニップ部Nよりもフィルム移動方向上流側に位置させて配設することも出来る。
【0155】
2)フィルム加熱方式の加熱定着装置は、実施例のものは加圧用回転体駆動方式であるが、エンドレスの定着フィルムの内周面に駆動ローラを設け、フィルムにテンションを加えながら駆動する方式の装置であってもよいし、フィルムをロール巻きの有端ウエブ状にし、これを走行駆動させる方式の装置であってもよい。
【0156】
3)本発明において像加熱装置はフィルム加熱方式に限られるものではなく、加熱部材と加圧部材とのニップで画像を担持した記録材を挟持搬送させて記録材上の画像を加熱する像加熱装置であればよい。
【0157】
4)本発明の像加熱装置には、未定着画像を記録材上に永久画像として加熱定着させる定着装置ばかりでなく、未定着画像を記録材上に仮定着させる加熱装置、画像を担持した記録材を再加熱してつや等の画像表面性を改質する加熱装置なども包含される。
【0158】
5)画像形成装置の作像方式は電子写真方式に限られず、静電記録方式、磁気記録方式等であってもよいし、また転写方式でも直接方式でもよい。
【0159】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、装置が冷えた状態からの記録材通紙実行時(加熱定着実行時)の端部像加熱性(端部定着性)の確保、且つ、連続した記録材通紙実行時(加熱定着実行時)の非通紙部の過剰昇温の防止、を両立させた、もしくは両立を可能にすることができる、像加熱装置、画像形成装置、および加熱体を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例における画像形成装置の概略構成模型図
【図2】加熱定着装置の概略構成を示す横断面模型図
【図3】加熱定着装置の概略構成を示す縦断面模型図
【図4】定着ニップ部の拡大横断面模型図
【図5】加熱体としてのセラミックヒータの構成模型図と通電制御系のブロック回路図
【図6】ヒータの長手方向の温度分布測定グラフ
【図7】第2の実施例におけるヒータの長手方向の温度分布測定グラフ
【図8】制御系の動作フロー図
【図9】ヒータを表面加熱型にした定着ニップ部の拡大横断面模型図
【図10】他の構成の加熱定着装置の構成模型図
【図11】フィルム加熱方式の加熱定着装置例の定着ニップ部の拡大横断面模型図
【図12】装置構成部材間の幅関係の説明図
【図13】従来の技術での課題を説明する図
【符号の説明】
1・・・・プロセスカートリッジ、2・・・・感光ドラム、3・・・・帯電ローラ、4・・・・現像装置、5・・・・転写ローラ、6・・・・クリーニング部材、7・・・・加熱定着装置、10・・・・定着部材、11‥‥加熱体(加熱用ヒータ)、11a‥‥セラミック基板、11b・11c‥‥通電発熱抵抗層、11d‥‥薄肉ガラス保護層、11e・・・・摺動層、11f・11g・11h‥‥電極、12・・・・ステイホルダー、13‥‥定着フィルム、14‥‥温度検知素子、15‥‥サーモプロテクター、17・・・・フランジ部材、18・19・・・・コネクタ、20‥‥加圧ローラ、21‥‥加圧ローラ芯金、22‥‥加圧ローラ弾性層、23・・・・加圧ローラ離型層、25・・・・加圧バネ、26・・・・加圧ローラ駆動用ギア、27・・・・定着入口ガイド、28・・・・ダイオード、76・・・・定着排紙センサ、N・・・・定着ニップ、L・・・・レーザビーム、P・・・・記録材、t・・・・未定着トナー像、S・・・・記録材搬送基準

Claims (14)

  1. 加熱体を有する加熱部材と、該加熱部材とニップを形成する加圧部材を有し、ニップで画像を担持した記録材を挟持搬送させて記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
    加熱体は少なくとも2系列の通電発熱抵抗層を有し、少なくとも1系列の通電発熱抵抗層は長手方向に抵抗値分布を有することで、通電により中央部に比べて端部の発熱量が大きくなる通電発熱抵抗層であり、
    該端部の発熱量が多い通電発熱抵抗層と他の通電発熱抵抗層の少なくとも1系列との通電比率が任意に変動可能な通電制御を行え、
    前記通電比率の制御は、記録材の通紙枚数に応じた通電比率テーブルに従い制御することを特徴とする像加熱装置。
  2. 一連の連続した記録材通紙が終了した時点で、通電比率テーブル用の記録材通紙枚数をリセットすることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  3. 通電比率テーブルは、連続した記録材通紙実行時は、端部の発熱量が大きい通電発熱抵抗層への通電を他の少なくとも1系列の通電発熱抵抗層への通電に比較して、徐々に少なく変動させるものであり、該通電比率テーブルに従い通電制御することを特徴とする請求項1または2に記載の像加熱装置。
  4. 通電比率テーブルは、通紙される記録材の幅に応じて、端部発熱量が大きい通電発熱抵抗層への通電を他の少なくとも1系列の通電発熱抵抗層への通電に比較して、記録材の幅が狭くなるに従い段階的に少なくするものであり、該通電比率テーブルに従い通電制御することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の像加熱装置。
  5. 加熱体を有する加熱部材と、該加熱部材とニップを形成する加圧部材を有し、ニップで画像を担持した記録材を挟持搬送させて記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
    加熱体は少なくとも2系列の通電発熱抵抗層を有し、少なくとも1系列の通電発熱抵抗層は長手方向に抵抗値分布を有することで、通電により中央部に比べて端部の発熱量が大きくなる通電発熱抵抗層であり、
    該端部の発熱量が多い通電発熱抵抗層と他の通電発熱抵抗層の少なくとも1系列との通電比率が任意に変動可能な通電制御を行え、
    前記通電比率の制御は、記録材通紙実行開始時の装置に具備された温度検知素子の検知温度に応じた通電比率に制御することを特徴とする像加熱装置。
  6. 連続した記録材通紙実行時の前記通電比率の制御は、記録材通紙枚数に応じた通電比率テーブルに従い制御することを特徴とする請求項5に記載の像加熱装置。
  7. 一連の連続した記録材通紙動作が終了した時点で、通電比率テーブル用の記録材通紙枚数をリセットすることを特徴とする請求項5または6に記載の像加熱装置。
  8. 通電比率テーブルは、連続した記録材通紙実行時は、端部の発熱量が大きい通電発熱抵抗層への通電を他の少なくとも1系列の通電発熱抵抗層への通電に比較して、徐々に少なく変動させるものであり、該通電比率テーブルに従い通電制御することを特徴とする請求項5から7の何れかに記載の像加熱装置。
  9. 通電比率テーブルは、通紙される記録材の幅に応じて、端部発熱量が大きい通電発熱抵抗層への通電を他の少なくとも1系列の通電発熱抵抗層への通電に比較して、記録材の幅が狭くなるに従い段階的に少なくするものであり、該通電比率テーブルに従い通電制御することを特徴とする請求項5から8の何れかに記載の像加熱装置。
  10. 加熱部材は移動部材を有し、該移動部材を挟んで加圧部材とのニップが形成され、該ニップの移動部材と加圧部材との間で画像を担持した記録材を挟持搬送させて加熱体により記録材上の画像を移動部材を介して加熱することを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の像加熱装置。
  11. 加熱部材のニップ対応部分に加熱体が存在していることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の像加熱装置。
  12. ニップに通紙される記録材上の画像が未定着画像であることを特徴とする請求項1から11の何れかに記載の像加熱装置。
  13. 記録材に未定着画像を形成担持させる作像手段と、未定着画像を記録材上に永久画像として加熱定着する定着手段を有する画像形成装置において、前記定着手段が請求項1から12の何れかに記載の像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
  14. 基板上に通電発熱抵抗層を有する加熱体において、少なくとも2系列の通電発熱抵抗層を有し、少なくとも1系列の通電発熱抵抗層は長手方向に抵抗値分布を有することで、通電により中央部に比べて端部の発熱量が大きくなる通電発熱抵抗層であり、該端部の発熱量が多い通電発熱抵抗層と他の通電発熱抵抗層の少なくとも1系列との通電比率を変動可能に通電制御されることを特徴とする加熱体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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