JP2004126328A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱定着される記録材を判別し、温調を最適化することにより定着不良、高温オフセットを防止する。
【解決手段】オンデマンド定着器において、加熱用ヒータの背面に記録材搬送方向に複数の温度検知手段を設け、該温度検知手段の検知温度の差に応じて記録材の種類を判別し、それぞれの記録材に最適な温調温度でヒータ温度を制御する。また、カセット開閉を検知する手段を有し、以前の記録材判別結果を反映してヒータの最適温度制御を行う。また、小サイズ紙の記録材判別を行い、最適な温度制御およびスループットに設定することで、一定時間内のプリント枚数をできる限り多くする。
【選択図】 図1
【解決手段】オンデマンド定着器において、加熱用ヒータの背面に記録材搬送方向に複数の温度検知手段を設け、該温度検知手段の検知温度の差に応じて記録材の種類を判別し、それぞれの記録材に最適な温調温度でヒータ温度を制御する。また、カセット開閉を検知する手段を有し、以前の記録材判別結果を反映してヒータの最適温度制御を行う。また、小サイズ紙の記録材判別を行い、最適な温度制御およびスループットに設定することで、一定時間内のプリント枚数をできる限り多くする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリにおける画像形成装置に用いられる定着装置で、特に耐熱性の定着フィルムを介して発熱体により未定着トナーを記録紙に加熱定着させる定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式の複写機、プリンタ等の多くは定着手段として熱効率、安全性が良好な接触加熱型の熱ローラ定着方式や、スタンバイ時に加熱定着装置に電力を供給せず、消費電力を極力低く抑えた方法、詳しくはヒータ部と加圧ローラの間に薄肉のフィルムを介して記録材上のトナー像を定着する省エネルギータイプのフィルム加熱方式を採用している。フィルム加熱方式による加熱定着方法の1例が特開昭63−313182号公報・特開平2−157878号公報・特開平4−44075号公報・特開平4−204980公報等に提案されている。図12にフィルム加熱方式の1例の概略構成を示した。すなわち図12において、ステイホルダー(支持体)1に固定支持させた加熱部材(加熱体、以下ヒータと記す)2と、該ヒータ2に耐熱性の薄肉フィルム(以下、定着フィルムと記す)3を挟んで後述する加圧手段により所定のニップ幅のニップ部(定着ニップ部)を形成させて圧接させた弾性加圧ローラ4を有する。ヒータ2は通電により所定の温度に加熱・温調される。定着フィルム3は不図示の駆動伝達手段あるいは加圧ローラ4の回転力により、定着ニップ部においてヒータ2面に密着・摺動しつつ矢印の方向に搬送移動される、円筒状あるいはエンドレスベルト状、もしくはロール巻きの有端ウエブ状の部材である。
【0003】
ヒータ2を所定の温度に加熱・温調させ、定着フィルム3を矢印の方向に搬送移動させた状態において、定着ニップ部の定着フィルム3と加圧ローラ4との間に被加熱材としての未定着トナー像を形成担持させた記録材を導入すると、記録材は定着フィルム3の面に密着して該定着フィルム3と一緒に定着ニップ部を挟持搬送される。この定着ニップ部において、記録材・トナー像がヒータ2により定着フィルム3を介して加熱されて記録材上のトナー像が加熱定着される。定着ニップ部を通った記録材部分は定着フィルム3の面から剥離して搬送される。
【0004】
加熱部材としてのヒータ2には一般にセラミックヒータが使用される。例えば、アルミナ等の電気絶縁性・良熱伝導性・低熱容量のセラミック基板の面(定着フィルム3と対面する側の面)に基板長手(図面に垂直の方向)に沿って銀パラジューム(Ag/Pd)・Ta2N等の通電発熱抵抗層をスクリーン印刷等で形成具備させ、さらに該発熱抵抗層形成面を薄肉のガラス保護層で覆ってなるものである。このセラミックヒータ2は通電発熱抵抗層に通電がなされることにより該通電発熱抵抗層が発熱してセラミック基板・ガラス保護層を含むヒータ全体が急速昇温する。このヒータ2の昇温がヒータ背面に設置された温度検知手段5により検知されて不図示の通電制御部へフィードバックされる。通電制御部は温度検知手段5で検知されるヒータ温度が所定のほぼ一定温度(定着温度)に維持されるように通電発熱抵抗層に対する給電を制御する。すなわちヒータ2は所定の定着温度に加熱・温調される。
【0005】
定着フィルム3は、定着ニップ部においてヒータ2の熱を効率よく被加熱材としての記録材に与えるため、厚みは20〜70μmとかなり薄くしている。定着フィルム3は図13に示すようにフィルム基層3a、導電性プライマー層3b、離型性層3cの3層構成で構成されており、フィルム基層3a側がヒータ側であり、離型性層3cが加圧ローラ側である。フィルム基層3aは絶縁性の高いポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK等であり、耐熱性、高弾性を有しており、可撓性のある厚み15〜60μm程度で形成されている。また、フィルム基層3aにより定着フィルム3全体の引裂強度等の機械的強度を保っている。導電性プライマー層3bは厚み2〜6μm程度の薄い層で形成されており、定着フィルム表面に一部露出している。静電オフセット等を防止するため、定着フィルム表面に露出した導電性プライマー層には不図示の導電ブラシが接しており、プリント中はトナーと同極性のバイアスを印加している。離型性層3cは定着フィルム3に対するトナーオフセット防止層であり、離型性の良好なPFA、PTFE、FEP等のフッ素樹脂を厚み5〜15μm程度に被覆して形成してある。また、定着フィルム3表面のチャージアップを軽減し、静電オフセットを防止するため、離型性層中には比抵抗が103Ωcm〜106Ωcm程度のカーボンブラック等の導電部材が混入されている。
【0006】
また、ステイホルダー1は、例えば耐熱性プラスチック製部材より形成され、ヒータ2を保持するとともに定着フィルム3の搬送ガイドも兼ねている。よって定着フィルム3との摺動性を高めるために、定着フィルム3とヒータ2やステイホルダー1の外周面の間に耐熱性の高いグリース等を介在させてある。また、加圧部材4は芯金6の外部にシリコンゴムを成形した弾性層あるいはシリコンゴムを発泡して成るスポンジ弾性層7、さらにその外層に定着ローラと同様のPTFEあるいはPFA、FEP等の離型性層8をチューブ状に、あるいはコーティング塗工して形成して成る。
【0007】
以上の加熱定着器の構成において未定着画像を定着させるための定着温調制御は図14のように、プリント枚数が増加するにしたがって階段状に定着温度が降下するようになっている。すなわち定着器が冷えた状態からプリントする場合、プリント初期はヒータの熱が定着部材や加圧ローラなどに奪われるため、定着温度を高く設定する必要がある。その後プリント枚数が増加すると定着部材が暖められヒータの熱が主に記録材への熱供給に使われるようになるとともに、加圧ローラ温度の上昇により加圧ローラの熱が定着に寄与するようになる。加圧ローラ温度はプリント枚数が増加するにつれて上昇するため定着温度は図14のように階段状に降下させても定着性を満足させることができる。ここで定着温度を降下させずに連続プリントを行った場合はプリント枚数が増加するにしたがって記録材への熱供給が過剰気味になりホットオフセットが発生してしまう。また、定着器および加圧ローラが暖まっている場合は、ヒータに当接されているサーミスタの検知温度や前のプリント履歴等によって加圧ローラの暖まり具合を判別し、その判別結果により図14においてどの温調からプリントを開始するかを決定することにより、加圧ローラが暖まっている場合でもホットオフセットや定着不良がないように設定している。
【0008】
以上のように定着温度は、定着不良、ホットオフセットが発生せず、定着部材の耐熱性や耐久性が維持できることを前提として、省電力を考慮してなるべく低い温度に設定している。しかし、定着性やホットオフセットは紙種に大きく依存している。即ち、表面粗さの小さい紙(平滑紙)は定着ニップから熱を奪いやすいため、比較的低い温度で定着性を満足できるのに対して表面粗さの大きい紙(ラフ紙)は定着ニップから熱を奪いにくいため定着温度を高くしなければ定着性を満足できない。したがって、図15のように定着温度はラフ紙と平滑紙において定着不良はホットオフセットの発生しないように設定している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
近年のプリンタの高速化に伴い定着性を満足させるのが非常に困難になってきている。紙が定着器を通過する時間が短くなると紙に与えることのできる熱量が少なくなってしまうためである。定着温度を高く設定すると様々な弊害が起こる。例えば定着部材の耐久性、耐久性の悪化である。特に定着フィルムの削れが問題となる。高い温調温度で連続プリントすると定着器の寿命の前に紙の端部でフッ素樹脂から形成されている定着フィルムのトップ層及びプライマ層が摩耗し易くなり削られてしまい基層が露出してしまう。そうすると露出した基層部分は離型性が悪くなるため、基層が露出した部分にトナーが付着し、それがプリント時の画像に影響する恐れがある。また、静電オフセット等を防止するために定着フィルムのプライマ層に給電を行っているが、プライマ層が削られることによりこの給電が正常に行われなくなる恐れがある。またラフ紙の定着性を満足するような定着温度で平滑紙をプリントした場合は必要以上に熱を供給しており、ホットオフセットが発生し易くなる可能性があるばかりでなく、無駄な電力を消費していることになる。以上のように設定可能な定着温度には上限があり、それは定着部材の耐久性や耐熱性及びホットオフセットによって制限されている。この結果画像形成装置の高速化にも限度が生じる。
【0010】
また、設定可能な定着温度には下限もある。それは十分な定着性を得られる温度である。定着性を満足させるために必要な定着温度は紙種に大きく依存している。すなわち、紙の表面粗さが小さい平滑紙は定着温度が低くてよいが、紙の表面粗さの大きいラフ紙は高い温度でなければ定着しない。これらすべての紙種において十分な定着性を得なければならないため定着性の悪いラフ紙が定着性を満足するように定着温度を設定する必要がある。
【0011】
以上のように設定可能な定着温度は、上限はホットオフセットや定着部材の耐熱性、耐久性によって制限されており、下限は定着性によって制限されている。下限の定着温度は高速化していくにつれて高くなり、上限の定着部材の耐熱性や耐久性は変わらないため、この設定可能な温度領域は高速化するにつれて狭くなり、更に高速化が進むと存在しなくなってしまう。
【0012】
一方プリントする際に紙種を判別し紙種に最適な定着温度で定着する画像形成装置がある。紙種に応じて最適な定着温度で定着できれば平滑紙をプリントする場合に定着温度をラフ紙が定着する温度に設定する必要がなく、低い定着温度でプリントすることができる。
【0013】
従って紙種を判別する手段を有すれば紙種に応じた定着温度でプリントできるため高速化に対応することは可能である。しかし、紙種を判別する手段として例えば特開2000−314618号公報にあるように圧電素子等のメディアセンサを用いなければならず、これらは特殊な回路を必要とするばかりではなく、紙の搬送経路にメディアセンサを設置するスペースを設けなければならない。また、紙に接触しメディア検知を行うため、耐久していくと紙によってセンサ部が摩耗していき判別性能が悪化してしまう。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記課題を解決するため、以下のことを特徴とする画像形成装置としている。
【0015】
未定着画像が形成された記録材を、加圧部材と加熱ヒータを具備した加熱部材により互いに圧接してなる定着ニップ間を通過させることにより、上記未定着画像を記録材上に永久画像として加熱定着させる画像形成装置において、
上記加熱ヒータの通紙方向に複数の温度検知素子を設け、その温度検知素子の温度差によって紙種の判別を行い、その判別結果をもとにして定着温度を設定することを特徴とした画像形成装置とする。
【0016】
これによりどのような紙種であっても最適の定着温度で定着することができ、定着不良やホットオフセットが発生させることなく、定着部材の熱による耐久劣化を抑えることができる。また、消費電力を抑えることもできる。
【0017】
また、メディアセンサを使用する場合と比較しても本発明は紙搬送経路にスペースをとる必要がない。さらに紙に接触しないため、耐久によって判別性能が悪化する事もない。
【0018】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
以下に、本発明に係る実施例を示すが、まず図1は、本発明に係る画像形成装置の構成図である。
【0019】
図1において、19は感光ドラムであり、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基盤上に形成されている。感光ドラム19は矢印の方向に回転駆動され、まずその表面は帯電装置としての帯電ローラ20によって一様帯電される。次に画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザビーム21がスキャナユニット内で回転するポリゴンミラーにより反射して感光ドラムに走査露光が施され、静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置22で現像、可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
【0020】
可視化されたトナー像は、転写装置としての転写ローラ23により、所定のタイミングで搬送された記録材P上に感光ドラム19上より転写される。ここで感光ドラム19上のトナー像の画像形成位置と記録材の先端の書き出し位置が合致するように24のセンサにて記録材の先端を検知し、タイミングを合わせている。所定のタイミングで搬送された記録材Pは感光ドラム19と転写ローラ23に一定の加圧力で挟持搬送される。このトナー像が転写された記録材Pは定着装置25へと搬送され、永久画像として定着される。一方、感光ドラム19上に残存する転写残りの残留トナーは、クリーニング装置26により感光ドラム19表面より除去される。
【0021】
図2に、本発明に係る加熱定着装置25の構成を示す。図2において、定着部材27は以下の部材から構成される。14は熱容量の小さな定着フィルムであり、熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、膜厚を総厚100μm以下、本実施例では60μmとした。さらにオフセット防止や記録材の分離性を確保するために表層にはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(エチレン テトラフルオロエチレン共重合体)、CTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱樹脂を混合ないし単独で被覆したものである。また、15は定着フィルム14の内部に具備された加熱用ヒータであり、これにより記録材上のトナー像を溶融、定着させるニップ部の加熱を行う。加熱用ヒータ15はアルミナ等の高絶縁性のセラミックス基板やポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂基板の表面に長手方向に沿って、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の通電発熱抵抗層をスクリーン印刷等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工して形成した通電加熱用部材である。あるいは、金属製基板上の定着ニップ反対側に絶縁層、通電発熱抵抗層を順次積層してなる金属製加熱用ヒータであり、該金属製基板は定着ニップ側が湾曲した形状であっても良い。
【0022】
上記基板の背面には通電発熱抵抗層の発熱に応じて昇温した加熱用ヒータの温度を検知するためのサーミスタ等の温度検知素子28−1が2本の通電発熱抵抗層の間に配設されておりこの温度検知素子28−1の信号に応じて、長手方向端部にある不図示の電極部から通電発熱抵抗層に印加される電圧のデューティー比や波数等を適切に制御することで、定着ニップ内での温調温度を略一定に保ち、記録材上のトナー像を定着するのに必要な加熱を行う。温度検知素子28から不図示の温度制御部へのDC通電は不図示のDC通電部およびDC電極部を介して不図示のコネクタにより達成している。また、加熱用ヒータ15への電力供給は加熱用ヒータ両端部に配設された不図示のコネクタより行われる。さらに、温調制御用の温度検知素子28−1の上流側、下流側に紙種判別用の温度検知素子28−2が配設されている。また、加熱用ヒータ15の通電発熱抵抗層の表面には、定着フィルム14との摺擦に耐えることが可能な薄層のガラスコート、フッ素樹脂層等の保護層を設けている。あるいは上記基板として耐摩耗性に優れ、熱伝導性の良好なAlN(チッ化アルミ)等を用いた場合には通電発熱抵抗層を上記基板に対して定着ニップと反対側に形成してあっても良い。
【0023】
17は加熱用ヒータ15を保持し、ニップと反対方向への放熱を防ぐための断熱ステイホルダーであり、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成されており、定着フィルム14が余裕をもってルーズに外嵌されていて、矢印の方向に回転自在に配置されている。定着フィルム14は内部の加熱用ヒータ15および断熱ステイホルダー17に摺擦しながら回転するため、加熱用ヒータ15および断熱ステイホルダー17と定着フィルム14の間の摩擦抵抗を小さく抑える必要がある。このため加熱用ヒータ15および断熱ステイホルダー17の表面に耐熱性グリース等の潤滑剤を介在させてある。これにより定着フィルム14はスムーズに回転することが可能となる。
【0024】
また加圧部材18は芯金29の外側にシリコンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコンゴムを発泡して形成された弾性層30からなり、この上にPFA、PTFE、FEP等の離型性層31を形成してあってもよい。加圧部材18は上記の定着部材27の方向に不図示の加圧手段により、長手方向両端部から加熱定着に必要なニップ部を形成するべく十分に加圧されている。以上が加熱定着装置の構成であるが、記録材Pは不図示の供給手段によって適宜供給され、耐熱性の定着入口ガイド32に沿って加熱部材27と加圧部材18によって形成される定着ニップ内に搬送される。その後、定着ニップより排出された記録材Pは耐熱性の不図示の定着排紙ガイドに案内されて不図示の排出トレイ上に排出される。
【0025】
以下に紙種判別温度検知素子により紙種を判別する方法について説明する。図3は本実施例の定着器構成の定着ニップ部である。温調制御用の温度検知素子28−1の上流側、下流側にそれぞれ紙種判別用の温度検知素子28−2が配設されている。紙が定着ニップに突入すると、定着ニップ内の熱が紙によって奪われる。定着性の良い平滑な紙は熱を奪いやすいが定着性の悪い表面性の悪い紙は熱を奪いづらい。したがって、温調制御用の温度検知素子28−1は所定の温度に保たれているのに対し、温調制御用の温度検知素子の上流及び下流に配設された紙種判別用の温度検知素子の検知温度は熱を奪いやすい平滑紙と熱を奪いにくいラフ紙では差があると考えられる。即ち、紙がニップ内に入った直後では紙の温度が低いため紙に多くの熱量を伝達しようとする。この時伝達熱量は定着フィルムの熱伝導によって支配されるため、平滑紙、ラフ紙による差は生じにくく上流側の温度検知素子の検知温度は平滑紙、ラフ紙ともにほとんど変わらない。一方紙がニップを通過した後の下流側では平滑紙、ラフ紙とも上流側に比べ紙に伝達される熱量は減るため、紙に伝わる熱量はは定着フィルムの熱伝導と紙と定着フィルム間の接触熱抵抗の影響を受け易く、ラフ紙の方が熱の伝熱性が悪いため、熱が紙の影響が大きく、熱を奪い易い平滑紙の場合は熱を奪いにくいラフ紙に比べて検知温度は低いと考えられる。従って、上流側の検知温度と下流側の検知温度の差が大きい場合は平滑紙、小さい場合はラフ紙と判別することができる。図4は図5のパターン1の定着温調で平滑紙とラフ紙をプリントした時の上流側と下流側の紙種判別用温度検知素子の測定温度である。プリント時の上流側の紙種判別用温度検知素子の検知温度は紙種によらずほぼ一定である。しかし、平滑紙をプリントした場合は定着ニップ内の熱が紙に奪われやすく、ラフ紙をプリントした場合は定着ニップ内の熱が紙に奪われにくいため、下流側に配設してある紙種判別用温度検知素子の検知温度は平滑紙をプリントした場合はラフ紙をプリントした場合と比較すると低く検知されている。尚図5の定着温調は画像形成速度200mm/secの画像形成装置に適用した場合である。図6にラフ紙プリント時と平滑紙プリント時の紙種判別用温度検知素子の検知温度差をとったグラフを示す。このグラフより上流側と下流側の温度差は平滑紙プリント時の方がラフ紙プリント時より4℃高く、初期を除いて上流側と下流側の温度差がほぼ一定であることが分かった。従って図6のようにしきい値をとり、上流側と下流側の温度差がしきい値以上の場合は平滑紙と判別し、しきい値より小さい場合はラフ紙と判別するようにした。
【0026】
図7、図8は代表的なラフ紙であるFox River Bondの90g紙をそれぞれ図5のパターン1、パターン2の温調でプリントした時の濃度低下率である、一方図9、図10は代表的な平滑紙であるXerox紙の75g紙をそれぞれ図5のパターン1、パターン2の温調でプリントした時の濃度低下率である。濃度低下率の測定は、ある所定の印字パターンがプリントされた紙をこすり試験機でこする前とこすった後の反射濃度から計算した。この結果より、ラフ紙と平滑紙の最適定着温度には約20℃の温度差があるといえる。
【0027】
実際に紙種判別用温度検知素子の検知温度差により、ラフ紙と平滑紙を判別できるようにして通紙耐久及び耐久後の画像評価を行った。温調は図5のパターン1,2を用い、画像形成装置がラフ紙と判別した場合はパターン1、平滑紙と判別した場合はパターン2の温調になるように制御した。耐久はXerox75g紙を200,000枚プリントしたもの(実施例1−1)と、Xerox75g紙とFox River Bond90g紙を50,000枚づつ交互に200,000枚プリントしたもの(実施例1−2)を行った。ここで本実施例では最初の1枚目のみラフ紙も平滑紙も定着できる220℃の温調でプリントを行い、連続プリントの2枚目からは一枚目の判別結果をもとに220℃温調または200℃温調でプリントを行うようにした。比較例としてXerox75g紙をパターン1の温調で200,000枚プリントした。それぞれの場合の耐久結果、及び耐久中、耐久後の画像評価結果を以下に示す。表1は耐久中のホットオフセット評価である。比較例では最適な定着温度よりも20℃高い温度でプリントしているため、数百枚の連続プリントで加圧ローラが温まった状態では熱を与え過ぎておりホットオフセットが発生してしまった。実施例1−1及び実施例1−2では最適な定着温度でプリントしているため、ホットオフセットに対して十分マージンを持っており、加圧ローラ温度が温まった状態でもホットオフセットは発生しなかった。
【0028】
【表1】
【0029】
次に200,000枚プリント後の定着フィルムの耐久結果を表2に示す。定着フィルムの紙端部での削れは定着温度に大きく依存しており定着温度が高いほど削れやすい。比較例ではパターン1の温調でプリントしていたため、定着フィルムに対するダメージが大きく、紙端部でトップ層及びプライマ層が削れて基層が露出していた。実施例1−1では常にパターン1より20℃低いパターン2の温調でプリントしていたため、定着フィルムに対するダメージが比較的少なくて済みトップ層の削れはほとんど無かった。実施例1−2ではパターン1とパターン2の温調をとを交互に繰り返していたため、ある程度トップ層が削れていたが、プライマ層が露出するまでには至らなかった。
【0030】
【表2】
【0031】
次に耐久後の画像評価結果を表3に示す。プリント中は尾引きやオフセット防止のために定着フィルムの端部に露出しているプライマ層から給電を行っている。比較例では紙端部でトップ層及びプライマ層が削れてしまったため、プライマ層からの給電がうまくできておらず、静電オフセットが発生してしまった。実施例1−1及び実施例1−2は給電部分であるプライマ層は耐久によって全く影響を受けておらず、耐久後もプライマ層から安定して給電されるため静電オフセットの発生は見られなかった。
【0032】
【表3】
【0033】
さらに、定着温度を220℃と200℃に固定してXerox75g紙を100枚連続プリントした時の電力を図11に示す。このように、200℃温調と220℃温調では消費電力に40〜50Wの差があり、定着温度が低い方が消費電力も小さい。
【0034】
以上の結果より、紙種判別用温度検知素子を設け、その温度差によりラフ紙、平滑紙の判別を行うことで、それぞれ最適の温調でプリントすることができる。その結果、従来のように定着温度を定着性の悪いラフ紙が定着性を満足できるように設定する場合に比べて平滑紙プリント時は定着温度を20℃下げることが可能となり、ホットオフセットの発生を抑え、耐久による定着フィルムの紙端部位置の削れを防止することができた。また、プリント時の消費電力を40〜50W少なくすることができた。
【0035】
(実施例2)
以下に実施例2について説明する。装置全体の構成は前記実施例1で示した図1と同様であり、加熱定着装置内の構成も前記実施例1で示した図2及び図3と同様であるため説明を省く。実施例1では1枚目のプリントでの紙種判別用温度検知素子の温度差によって紙種を判別するため、1枚のみのプリントでは紙種判別結果を反映できない。本実施例ではプリント前から紙種を予測し、1枚目のプリントから紙種に適した温調でプリントする場合について説明する。
【0036】
給紙カセットの開閉を検知する手段を有し、前のプリントからカセットの開閉がない場合は前のプリントの紙種判別結果を反映してプリントを行うことを特徴とする。このようにすることにより、高い精度でプリント前から紙種を判別することができ、1枚毎のプリントでも定着温度を紙種に応じた温度にすることができる。以上のような制御で平滑紙を1枚毎の間欠で200,000枚プリントした(実施例2)。比較例として同様に平滑紙を1枚毎の間欠でラフ紙が定着姓を満足する温度(220℃)で200,000枚プリントした。その結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
間欠プリントでは加圧ローラの昇温が早いため、比較例ではプリント開始から数十枚でホットオフセットが発生した。一方、実施例2では定着温度が20℃低いため、ホットオフセットは発生しなかった。また、耐久後の定着フィルムは比較例では紙端部位置でトップ層、プライマ層ともに削れて基層が露出していたが、実施例ではトップ層の削れも少なかった。耐久後の画像評価も比較例ではプライマ層が削れておりフィルムに給電されないため静電オフセットが発生したのに対し、実施例2ではプライマ層の耐久によるダメージが全くないためフィルムへの給電が行われ、静電オフセットの発生は無かった。また、消費電力も実施例1の図11から分かるように40〜50W抑えることができた。
【0039】
以上のようにカセットの開閉を検知する手段を有し、前のプリントからカセットの開閉が無い場合に前のプリントの紙種判別結果を反映してプリントを行うことにより、高い精度でプリント前から紙種を判別することができ、1枚毎のプリントでもホットオフセットや定着フィルムの削れ、定着フィルム削れによって発生する静電オフセットを防止することができた。また、消費電力も40〜50W抑えることができた。
【0040】
(実施例3)
以下に実施例3について説明する。装置全体の構成は前記実施例1で示した図1と同様であり、加熱定着装置内の構成も前記実施例1で示した図2及び図3と同様であるため説明を省く。
【0041】
本実施例ではB5やExecutiveサイズの紙を通紙した場合のスループットについて説明する。B5サイズなど定着ヒータの発熱体の長手方向幅に比べて十分に小さいサイズの記録材をプリントした場合、定着ニップ部内で記録材が通過しない領域では発熱体の熱を紙が奪っていかないため記録材が通過する領域に比べて温度が上昇してしまう。この非通紙部昇温が大きくなると非通紙部において定着部材の耐熱温度以上まで昇温してしまい、ステイホルダーが溶けてしまったり、小サイズ紙プリント後に普通サイズの紙をプリントした場合に非通紙部昇温していた場所でホットオフセットが発生してしまったりするなどの問題がある。この非通紙部昇温を抑えるために、プリント枚数増加とともに記録材を供給する間隔をあけてスループットを低下させている。
【0042】
非通紙部昇温はヒータ温調温度が同じならば一般にラフ紙より平滑紙の方が大きくなる。これは定着中に消費される電力が平滑紙の方が多いため、非通紙部にも多くの電力が供給されるためである。このため従来は定着性を得るためのヒータ設定温度はラフ紙にあわせ、非通紙部昇温を抑えるための小サイズスループット低下量は平滑紙にあわせて設定していた。しかし、本実施例では紙種判別用温度検知素子の温度差によって紙種を判別できることにより、平滑紙プリント時に定着温度を下げることができ、非通紙部昇温も低くなる。又ラフ紙プリント時には定着温度は高くなるが非通紙部昇温は小さくなるためにスループット低下量はあまり大きくない。
【0043】
以下具体例を比較例とともに示す。第1の実施例と同じ画像形成装置を用い、平滑紙としてB5サイズで坪量が128g/m2の小サイズ紙Aを連続通紙するときの温調温度とスループットの関係、ラフ紙としてEXEサイズで坪量が90g/m2の小サイズ紙Bを連続通紙するときの温調温度とスループットの関係をしめす。又比較例として本発明を適用せず、温調温度は定着性の悪いBの紙にあわせ、スループットは非通紙部昇温の悪いAの紙にあわせたときの温調温度とスループットの関係を示す。
【0044】
【表5】
【0045】
上記表のように本実施例のような制御を行うことで定着性とスループットの最適化を図ることができる。
【0046】
一方、紙種を判別できても定着温度を下げられない場合がある。例えばユーザ設定によりとにかくどんな紙種でも十分な定着性が得られるように高い温調温度を設定する場合である。この時は本実施例の紙種判別結果に応じて最適なスループット制御を行うことができる。以下その実施例を示す。
【0047】
【表6】
【0048】
従来の制御ではラフ紙、平滑紙に関わらず上記表の平滑紙Aと同じ制御となるが、このように温調固定モードにおいては逆にラフ紙の方のスループットを早めることが可能となる。一般的にこの様な設定をを行う場合はラフ紙が多いため、ユーザにとっては十分メリットが生じる。
【0049】
以上のように非通紙部昇温が問題となるような小サイズプリント時に平滑紙とラフ紙の識別を行い、判別結果をもとにスループットを設定することにより、プリントスピードを速める事ができた。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、
未定着画像が形成された記録材を、加圧部材と加熱部材により互いに圧接してなる定着ニップ間を通過させることにより、上記未定着画像を記録材上に永久画像として加熱定着させる画像形成装置において、
加熱部材に複数の温度検知素子を設け、プリント中における温度検知素子の検知温度の差を測定することにより、定着性の悪いラフ紙と定着性の良い平滑紙を判別することができた。また、その判別結果によって定着温度を設定することにより、ラフ紙、平滑紙ともに最適の定着温度で定着できるためホットオフセットの発生なくプリントすることができた。また、平滑紙プリントにおいて定着温度を下げてプリントすることができるため、通紙耐久によって発生する定着フィルムにおける紙端部の削れを防止することができた。さらに、定着フィルムにおける紙端部の削れが原因で発生する静電オフセットを防止することもできた。また、平滑紙をプリントする場合は従来ラフ紙の定着性を満足するために設定された温調でプリントできるため40〜50W消費電力を抑えることができた。
【0051】
また、小サイズプリント時は非通紙部の昇温状態がラフ紙と平滑紙で異なるが、それぞれの昇温状態に応じてスループットを低下させることができるため、加熱部材の耐熱温度やホットオフセットの問題が起こらない範囲で最速のスループットでプリントできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる画像形成装置の構成図
【図2】本発明に係わる加熱定着装置の構成図
【図3】本発明に係わる加熱到着装置の構成図
【図4】本実施例における紙種検知用温度検知素子の検知温度
【図5】本実施例における定着温度テーブル
【図6】紙種検知用温度検知素子の上流側と下流側の温度差
【図7】パターン1の定着温度でプリントした時のFox River Bond紙の濃度低下率
【図8】パターン2の定着温度でプリントした時のFox River Bond紙の濃度低下率
【図9】パターン1の定着温度でプリントした時のXerox 75g紙の濃度低下率
【図10】パターン2の定着温度でプリントした時のXerox 75g紙の濃度低下率
【図11】本発明における定着温度220℃と200℃での連続プリント時の消費電力
【図12】従来例に係わる加熱定着装置の構成図
【図13】従来例に係わる定着フィルムの断面図
【図14】従来例における定着温度テーブル
【図15】従来例における定着温度の設定範囲を説明する図
【符号の説明】
19 感光ドラム
20 帯電ローラ
21 レーザビーム
22 現像装置
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリにおける画像形成装置に用いられる定着装置で、特に耐熱性の定着フィルムを介して発熱体により未定着トナーを記録紙に加熱定着させる定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式の複写機、プリンタ等の多くは定着手段として熱効率、安全性が良好な接触加熱型の熱ローラ定着方式や、スタンバイ時に加熱定着装置に電力を供給せず、消費電力を極力低く抑えた方法、詳しくはヒータ部と加圧ローラの間に薄肉のフィルムを介して記録材上のトナー像を定着する省エネルギータイプのフィルム加熱方式を採用している。フィルム加熱方式による加熱定着方法の1例が特開昭63−313182号公報・特開平2−157878号公報・特開平4−44075号公報・特開平4−204980公報等に提案されている。図12にフィルム加熱方式の1例の概略構成を示した。すなわち図12において、ステイホルダー(支持体)1に固定支持させた加熱部材(加熱体、以下ヒータと記す)2と、該ヒータ2に耐熱性の薄肉フィルム(以下、定着フィルムと記す)3を挟んで後述する加圧手段により所定のニップ幅のニップ部(定着ニップ部)を形成させて圧接させた弾性加圧ローラ4を有する。ヒータ2は通電により所定の温度に加熱・温調される。定着フィルム3は不図示の駆動伝達手段あるいは加圧ローラ4の回転力により、定着ニップ部においてヒータ2面に密着・摺動しつつ矢印の方向に搬送移動される、円筒状あるいはエンドレスベルト状、もしくはロール巻きの有端ウエブ状の部材である。
【0003】
ヒータ2を所定の温度に加熱・温調させ、定着フィルム3を矢印の方向に搬送移動させた状態において、定着ニップ部の定着フィルム3と加圧ローラ4との間に被加熱材としての未定着トナー像を形成担持させた記録材を導入すると、記録材は定着フィルム3の面に密着して該定着フィルム3と一緒に定着ニップ部を挟持搬送される。この定着ニップ部において、記録材・トナー像がヒータ2により定着フィルム3を介して加熱されて記録材上のトナー像が加熱定着される。定着ニップ部を通った記録材部分は定着フィルム3の面から剥離して搬送される。
【0004】
加熱部材としてのヒータ2には一般にセラミックヒータが使用される。例えば、アルミナ等の電気絶縁性・良熱伝導性・低熱容量のセラミック基板の面(定着フィルム3と対面する側の面)に基板長手(図面に垂直の方向)に沿って銀パラジューム(Ag/Pd)・Ta2N等の通電発熱抵抗層をスクリーン印刷等で形成具備させ、さらに該発熱抵抗層形成面を薄肉のガラス保護層で覆ってなるものである。このセラミックヒータ2は通電発熱抵抗層に通電がなされることにより該通電発熱抵抗層が発熱してセラミック基板・ガラス保護層を含むヒータ全体が急速昇温する。このヒータ2の昇温がヒータ背面に設置された温度検知手段5により検知されて不図示の通電制御部へフィードバックされる。通電制御部は温度検知手段5で検知されるヒータ温度が所定のほぼ一定温度(定着温度)に維持されるように通電発熱抵抗層に対する給電を制御する。すなわちヒータ2は所定の定着温度に加熱・温調される。
【0005】
定着フィルム3は、定着ニップ部においてヒータ2の熱を効率よく被加熱材としての記録材に与えるため、厚みは20〜70μmとかなり薄くしている。定着フィルム3は図13に示すようにフィルム基層3a、導電性プライマー層3b、離型性層3cの3層構成で構成されており、フィルム基層3a側がヒータ側であり、離型性層3cが加圧ローラ側である。フィルム基層3aは絶縁性の高いポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK等であり、耐熱性、高弾性を有しており、可撓性のある厚み15〜60μm程度で形成されている。また、フィルム基層3aにより定着フィルム3全体の引裂強度等の機械的強度を保っている。導電性プライマー層3bは厚み2〜6μm程度の薄い層で形成されており、定着フィルム表面に一部露出している。静電オフセット等を防止するため、定着フィルム表面に露出した導電性プライマー層には不図示の導電ブラシが接しており、プリント中はトナーと同極性のバイアスを印加している。離型性層3cは定着フィルム3に対するトナーオフセット防止層であり、離型性の良好なPFA、PTFE、FEP等のフッ素樹脂を厚み5〜15μm程度に被覆して形成してある。また、定着フィルム3表面のチャージアップを軽減し、静電オフセットを防止するため、離型性層中には比抵抗が103Ωcm〜106Ωcm程度のカーボンブラック等の導電部材が混入されている。
【0006】
また、ステイホルダー1は、例えば耐熱性プラスチック製部材より形成され、ヒータ2を保持するとともに定着フィルム3の搬送ガイドも兼ねている。よって定着フィルム3との摺動性を高めるために、定着フィルム3とヒータ2やステイホルダー1の外周面の間に耐熱性の高いグリース等を介在させてある。また、加圧部材4は芯金6の外部にシリコンゴムを成形した弾性層あるいはシリコンゴムを発泡して成るスポンジ弾性層7、さらにその外層に定着ローラと同様のPTFEあるいはPFA、FEP等の離型性層8をチューブ状に、あるいはコーティング塗工して形成して成る。
【0007】
以上の加熱定着器の構成において未定着画像を定着させるための定着温調制御は図14のように、プリント枚数が増加するにしたがって階段状に定着温度が降下するようになっている。すなわち定着器が冷えた状態からプリントする場合、プリント初期はヒータの熱が定着部材や加圧ローラなどに奪われるため、定着温度を高く設定する必要がある。その後プリント枚数が増加すると定着部材が暖められヒータの熱が主に記録材への熱供給に使われるようになるとともに、加圧ローラ温度の上昇により加圧ローラの熱が定着に寄与するようになる。加圧ローラ温度はプリント枚数が増加するにつれて上昇するため定着温度は図14のように階段状に降下させても定着性を満足させることができる。ここで定着温度を降下させずに連続プリントを行った場合はプリント枚数が増加するにしたがって記録材への熱供給が過剰気味になりホットオフセットが発生してしまう。また、定着器および加圧ローラが暖まっている場合は、ヒータに当接されているサーミスタの検知温度や前のプリント履歴等によって加圧ローラの暖まり具合を判別し、その判別結果により図14においてどの温調からプリントを開始するかを決定することにより、加圧ローラが暖まっている場合でもホットオフセットや定着不良がないように設定している。
【0008】
以上のように定着温度は、定着不良、ホットオフセットが発生せず、定着部材の耐熱性や耐久性が維持できることを前提として、省電力を考慮してなるべく低い温度に設定している。しかし、定着性やホットオフセットは紙種に大きく依存している。即ち、表面粗さの小さい紙(平滑紙)は定着ニップから熱を奪いやすいため、比較的低い温度で定着性を満足できるのに対して表面粗さの大きい紙(ラフ紙)は定着ニップから熱を奪いにくいため定着温度を高くしなければ定着性を満足できない。したがって、図15のように定着温度はラフ紙と平滑紙において定着不良はホットオフセットの発生しないように設定している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
近年のプリンタの高速化に伴い定着性を満足させるのが非常に困難になってきている。紙が定着器を通過する時間が短くなると紙に与えることのできる熱量が少なくなってしまうためである。定着温度を高く設定すると様々な弊害が起こる。例えば定着部材の耐久性、耐久性の悪化である。特に定着フィルムの削れが問題となる。高い温調温度で連続プリントすると定着器の寿命の前に紙の端部でフッ素樹脂から形成されている定着フィルムのトップ層及びプライマ層が摩耗し易くなり削られてしまい基層が露出してしまう。そうすると露出した基層部分は離型性が悪くなるため、基層が露出した部分にトナーが付着し、それがプリント時の画像に影響する恐れがある。また、静電オフセット等を防止するために定着フィルムのプライマ層に給電を行っているが、プライマ層が削られることによりこの給電が正常に行われなくなる恐れがある。またラフ紙の定着性を満足するような定着温度で平滑紙をプリントした場合は必要以上に熱を供給しており、ホットオフセットが発生し易くなる可能性があるばかりでなく、無駄な電力を消費していることになる。以上のように設定可能な定着温度には上限があり、それは定着部材の耐久性や耐熱性及びホットオフセットによって制限されている。この結果画像形成装置の高速化にも限度が生じる。
【0010】
また、設定可能な定着温度には下限もある。それは十分な定着性を得られる温度である。定着性を満足させるために必要な定着温度は紙種に大きく依存している。すなわち、紙の表面粗さが小さい平滑紙は定着温度が低くてよいが、紙の表面粗さの大きいラフ紙は高い温度でなければ定着しない。これらすべての紙種において十分な定着性を得なければならないため定着性の悪いラフ紙が定着性を満足するように定着温度を設定する必要がある。
【0011】
以上のように設定可能な定着温度は、上限はホットオフセットや定着部材の耐熱性、耐久性によって制限されており、下限は定着性によって制限されている。下限の定着温度は高速化していくにつれて高くなり、上限の定着部材の耐熱性や耐久性は変わらないため、この設定可能な温度領域は高速化するにつれて狭くなり、更に高速化が進むと存在しなくなってしまう。
【0012】
一方プリントする際に紙種を判別し紙種に最適な定着温度で定着する画像形成装置がある。紙種に応じて最適な定着温度で定着できれば平滑紙をプリントする場合に定着温度をラフ紙が定着する温度に設定する必要がなく、低い定着温度でプリントすることができる。
【0013】
従って紙種を判別する手段を有すれば紙種に応じた定着温度でプリントできるため高速化に対応することは可能である。しかし、紙種を判別する手段として例えば特開2000−314618号公報にあるように圧電素子等のメディアセンサを用いなければならず、これらは特殊な回路を必要とするばかりではなく、紙の搬送経路にメディアセンサを設置するスペースを設けなければならない。また、紙に接触しメディア検知を行うため、耐久していくと紙によってセンサ部が摩耗していき判別性能が悪化してしまう。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記課題を解決するため、以下のことを特徴とする画像形成装置としている。
【0015】
未定着画像が形成された記録材を、加圧部材と加熱ヒータを具備した加熱部材により互いに圧接してなる定着ニップ間を通過させることにより、上記未定着画像を記録材上に永久画像として加熱定着させる画像形成装置において、
上記加熱ヒータの通紙方向に複数の温度検知素子を設け、その温度検知素子の温度差によって紙種の判別を行い、その判別結果をもとにして定着温度を設定することを特徴とした画像形成装置とする。
【0016】
これによりどのような紙種であっても最適の定着温度で定着することができ、定着不良やホットオフセットが発生させることなく、定着部材の熱による耐久劣化を抑えることができる。また、消費電力を抑えることもできる。
【0017】
また、メディアセンサを使用する場合と比較しても本発明は紙搬送経路にスペースをとる必要がない。さらに紙に接触しないため、耐久によって判別性能が悪化する事もない。
【0018】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
以下に、本発明に係る実施例を示すが、まず図1は、本発明に係る画像形成装置の構成図である。
【0019】
図1において、19は感光ドラムであり、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基盤上に形成されている。感光ドラム19は矢印の方向に回転駆動され、まずその表面は帯電装置としての帯電ローラ20によって一様帯電される。次に画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザビーム21がスキャナユニット内で回転するポリゴンミラーにより反射して感光ドラムに走査露光が施され、静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置22で現像、可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
【0020】
可視化されたトナー像は、転写装置としての転写ローラ23により、所定のタイミングで搬送された記録材P上に感光ドラム19上より転写される。ここで感光ドラム19上のトナー像の画像形成位置と記録材の先端の書き出し位置が合致するように24のセンサにて記録材の先端を検知し、タイミングを合わせている。所定のタイミングで搬送された記録材Pは感光ドラム19と転写ローラ23に一定の加圧力で挟持搬送される。このトナー像が転写された記録材Pは定着装置25へと搬送され、永久画像として定着される。一方、感光ドラム19上に残存する転写残りの残留トナーは、クリーニング装置26により感光ドラム19表面より除去される。
【0021】
図2に、本発明に係る加熱定着装置25の構成を示す。図2において、定着部材27は以下の部材から構成される。14は熱容量の小さな定着フィルムであり、熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、膜厚を総厚100μm以下、本実施例では60μmとした。さらにオフセット防止や記録材の分離性を確保するために表層にはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(エチレン テトラフルオロエチレン共重合体)、CTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱樹脂を混合ないし単独で被覆したものである。また、15は定着フィルム14の内部に具備された加熱用ヒータであり、これにより記録材上のトナー像を溶融、定着させるニップ部の加熱を行う。加熱用ヒータ15はアルミナ等の高絶縁性のセラミックス基板やポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂基板の表面に長手方向に沿って、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の通電発熱抵抗層をスクリーン印刷等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工して形成した通電加熱用部材である。あるいは、金属製基板上の定着ニップ反対側に絶縁層、通電発熱抵抗層を順次積層してなる金属製加熱用ヒータであり、該金属製基板は定着ニップ側が湾曲した形状であっても良い。
【0022】
上記基板の背面には通電発熱抵抗層の発熱に応じて昇温した加熱用ヒータの温度を検知するためのサーミスタ等の温度検知素子28−1が2本の通電発熱抵抗層の間に配設されておりこの温度検知素子28−1の信号に応じて、長手方向端部にある不図示の電極部から通電発熱抵抗層に印加される電圧のデューティー比や波数等を適切に制御することで、定着ニップ内での温調温度を略一定に保ち、記録材上のトナー像を定着するのに必要な加熱を行う。温度検知素子28から不図示の温度制御部へのDC通電は不図示のDC通電部およびDC電極部を介して不図示のコネクタにより達成している。また、加熱用ヒータ15への電力供給は加熱用ヒータ両端部に配設された不図示のコネクタより行われる。さらに、温調制御用の温度検知素子28−1の上流側、下流側に紙種判別用の温度検知素子28−2が配設されている。また、加熱用ヒータ15の通電発熱抵抗層の表面には、定着フィルム14との摺擦に耐えることが可能な薄層のガラスコート、フッ素樹脂層等の保護層を設けている。あるいは上記基板として耐摩耗性に優れ、熱伝導性の良好なAlN(チッ化アルミ)等を用いた場合には通電発熱抵抗層を上記基板に対して定着ニップと反対側に形成してあっても良い。
【0023】
17は加熱用ヒータ15を保持し、ニップと反対方向への放熱を防ぐための断熱ステイホルダーであり、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成されており、定着フィルム14が余裕をもってルーズに外嵌されていて、矢印の方向に回転自在に配置されている。定着フィルム14は内部の加熱用ヒータ15および断熱ステイホルダー17に摺擦しながら回転するため、加熱用ヒータ15および断熱ステイホルダー17と定着フィルム14の間の摩擦抵抗を小さく抑える必要がある。このため加熱用ヒータ15および断熱ステイホルダー17の表面に耐熱性グリース等の潤滑剤を介在させてある。これにより定着フィルム14はスムーズに回転することが可能となる。
【0024】
また加圧部材18は芯金29の外側にシリコンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコンゴムを発泡して形成された弾性層30からなり、この上にPFA、PTFE、FEP等の離型性層31を形成してあってもよい。加圧部材18は上記の定着部材27の方向に不図示の加圧手段により、長手方向両端部から加熱定着に必要なニップ部を形成するべく十分に加圧されている。以上が加熱定着装置の構成であるが、記録材Pは不図示の供給手段によって適宜供給され、耐熱性の定着入口ガイド32に沿って加熱部材27と加圧部材18によって形成される定着ニップ内に搬送される。その後、定着ニップより排出された記録材Pは耐熱性の不図示の定着排紙ガイドに案内されて不図示の排出トレイ上に排出される。
【0025】
以下に紙種判別温度検知素子により紙種を判別する方法について説明する。図3は本実施例の定着器構成の定着ニップ部である。温調制御用の温度検知素子28−1の上流側、下流側にそれぞれ紙種判別用の温度検知素子28−2が配設されている。紙が定着ニップに突入すると、定着ニップ内の熱が紙によって奪われる。定着性の良い平滑な紙は熱を奪いやすいが定着性の悪い表面性の悪い紙は熱を奪いづらい。したがって、温調制御用の温度検知素子28−1は所定の温度に保たれているのに対し、温調制御用の温度検知素子の上流及び下流に配設された紙種判別用の温度検知素子の検知温度は熱を奪いやすい平滑紙と熱を奪いにくいラフ紙では差があると考えられる。即ち、紙がニップ内に入った直後では紙の温度が低いため紙に多くの熱量を伝達しようとする。この時伝達熱量は定着フィルムの熱伝導によって支配されるため、平滑紙、ラフ紙による差は生じにくく上流側の温度検知素子の検知温度は平滑紙、ラフ紙ともにほとんど変わらない。一方紙がニップを通過した後の下流側では平滑紙、ラフ紙とも上流側に比べ紙に伝達される熱量は減るため、紙に伝わる熱量はは定着フィルムの熱伝導と紙と定着フィルム間の接触熱抵抗の影響を受け易く、ラフ紙の方が熱の伝熱性が悪いため、熱が紙の影響が大きく、熱を奪い易い平滑紙の場合は熱を奪いにくいラフ紙に比べて検知温度は低いと考えられる。従って、上流側の検知温度と下流側の検知温度の差が大きい場合は平滑紙、小さい場合はラフ紙と判別することができる。図4は図5のパターン1の定着温調で平滑紙とラフ紙をプリントした時の上流側と下流側の紙種判別用温度検知素子の測定温度である。プリント時の上流側の紙種判別用温度検知素子の検知温度は紙種によらずほぼ一定である。しかし、平滑紙をプリントした場合は定着ニップ内の熱が紙に奪われやすく、ラフ紙をプリントした場合は定着ニップ内の熱が紙に奪われにくいため、下流側に配設してある紙種判別用温度検知素子の検知温度は平滑紙をプリントした場合はラフ紙をプリントした場合と比較すると低く検知されている。尚図5の定着温調は画像形成速度200mm/secの画像形成装置に適用した場合である。図6にラフ紙プリント時と平滑紙プリント時の紙種判別用温度検知素子の検知温度差をとったグラフを示す。このグラフより上流側と下流側の温度差は平滑紙プリント時の方がラフ紙プリント時より4℃高く、初期を除いて上流側と下流側の温度差がほぼ一定であることが分かった。従って図6のようにしきい値をとり、上流側と下流側の温度差がしきい値以上の場合は平滑紙と判別し、しきい値より小さい場合はラフ紙と判別するようにした。
【0026】
図7、図8は代表的なラフ紙であるFox River Bondの90g紙をそれぞれ図5のパターン1、パターン2の温調でプリントした時の濃度低下率である、一方図9、図10は代表的な平滑紙であるXerox紙の75g紙をそれぞれ図5のパターン1、パターン2の温調でプリントした時の濃度低下率である。濃度低下率の測定は、ある所定の印字パターンがプリントされた紙をこすり試験機でこする前とこすった後の反射濃度から計算した。この結果より、ラフ紙と平滑紙の最適定着温度には約20℃の温度差があるといえる。
【0027】
実際に紙種判別用温度検知素子の検知温度差により、ラフ紙と平滑紙を判別できるようにして通紙耐久及び耐久後の画像評価を行った。温調は図5のパターン1,2を用い、画像形成装置がラフ紙と判別した場合はパターン1、平滑紙と判別した場合はパターン2の温調になるように制御した。耐久はXerox75g紙を200,000枚プリントしたもの(実施例1−1)と、Xerox75g紙とFox River Bond90g紙を50,000枚づつ交互に200,000枚プリントしたもの(実施例1−2)を行った。ここで本実施例では最初の1枚目のみラフ紙も平滑紙も定着できる220℃の温調でプリントを行い、連続プリントの2枚目からは一枚目の判別結果をもとに220℃温調または200℃温調でプリントを行うようにした。比較例としてXerox75g紙をパターン1の温調で200,000枚プリントした。それぞれの場合の耐久結果、及び耐久中、耐久後の画像評価結果を以下に示す。表1は耐久中のホットオフセット評価である。比較例では最適な定着温度よりも20℃高い温度でプリントしているため、数百枚の連続プリントで加圧ローラが温まった状態では熱を与え過ぎておりホットオフセットが発生してしまった。実施例1−1及び実施例1−2では最適な定着温度でプリントしているため、ホットオフセットに対して十分マージンを持っており、加圧ローラ温度が温まった状態でもホットオフセットは発生しなかった。
【0028】
【表1】
【0029】
次に200,000枚プリント後の定着フィルムの耐久結果を表2に示す。定着フィルムの紙端部での削れは定着温度に大きく依存しており定着温度が高いほど削れやすい。比較例ではパターン1の温調でプリントしていたため、定着フィルムに対するダメージが大きく、紙端部でトップ層及びプライマ層が削れて基層が露出していた。実施例1−1では常にパターン1より20℃低いパターン2の温調でプリントしていたため、定着フィルムに対するダメージが比較的少なくて済みトップ層の削れはほとんど無かった。実施例1−2ではパターン1とパターン2の温調をとを交互に繰り返していたため、ある程度トップ層が削れていたが、プライマ層が露出するまでには至らなかった。
【0030】
【表2】
【0031】
次に耐久後の画像評価結果を表3に示す。プリント中は尾引きやオフセット防止のために定着フィルムの端部に露出しているプライマ層から給電を行っている。比較例では紙端部でトップ層及びプライマ層が削れてしまったため、プライマ層からの給電がうまくできておらず、静電オフセットが発生してしまった。実施例1−1及び実施例1−2は給電部分であるプライマ層は耐久によって全く影響を受けておらず、耐久後もプライマ層から安定して給電されるため静電オフセットの発生は見られなかった。
【0032】
【表3】
【0033】
さらに、定着温度を220℃と200℃に固定してXerox75g紙を100枚連続プリントした時の電力を図11に示す。このように、200℃温調と220℃温調では消費電力に40〜50Wの差があり、定着温度が低い方が消費電力も小さい。
【0034】
以上の結果より、紙種判別用温度検知素子を設け、その温度差によりラフ紙、平滑紙の判別を行うことで、それぞれ最適の温調でプリントすることができる。その結果、従来のように定着温度を定着性の悪いラフ紙が定着性を満足できるように設定する場合に比べて平滑紙プリント時は定着温度を20℃下げることが可能となり、ホットオフセットの発生を抑え、耐久による定着フィルムの紙端部位置の削れを防止することができた。また、プリント時の消費電力を40〜50W少なくすることができた。
【0035】
(実施例2)
以下に実施例2について説明する。装置全体の構成は前記実施例1で示した図1と同様であり、加熱定着装置内の構成も前記実施例1で示した図2及び図3と同様であるため説明を省く。実施例1では1枚目のプリントでの紙種判別用温度検知素子の温度差によって紙種を判別するため、1枚のみのプリントでは紙種判別結果を反映できない。本実施例ではプリント前から紙種を予測し、1枚目のプリントから紙種に適した温調でプリントする場合について説明する。
【0036】
給紙カセットの開閉を検知する手段を有し、前のプリントからカセットの開閉がない場合は前のプリントの紙種判別結果を反映してプリントを行うことを特徴とする。このようにすることにより、高い精度でプリント前から紙種を判別することができ、1枚毎のプリントでも定着温度を紙種に応じた温度にすることができる。以上のような制御で平滑紙を1枚毎の間欠で200,000枚プリントした(実施例2)。比較例として同様に平滑紙を1枚毎の間欠でラフ紙が定着姓を満足する温度(220℃)で200,000枚プリントした。その結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
間欠プリントでは加圧ローラの昇温が早いため、比較例ではプリント開始から数十枚でホットオフセットが発生した。一方、実施例2では定着温度が20℃低いため、ホットオフセットは発生しなかった。また、耐久後の定着フィルムは比較例では紙端部位置でトップ層、プライマ層ともに削れて基層が露出していたが、実施例ではトップ層の削れも少なかった。耐久後の画像評価も比較例ではプライマ層が削れておりフィルムに給電されないため静電オフセットが発生したのに対し、実施例2ではプライマ層の耐久によるダメージが全くないためフィルムへの給電が行われ、静電オフセットの発生は無かった。また、消費電力も実施例1の図11から分かるように40〜50W抑えることができた。
【0039】
以上のようにカセットの開閉を検知する手段を有し、前のプリントからカセットの開閉が無い場合に前のプリントの紙種判別結果を反映してプリントを行うことにより、高い精度でプリント前から紙種を判別することができ、1枚毎のプリントでもホットオフセットや定着フィルムの削れ、定着フィルム削れによって発生する静電オフセットを防止することができた。また、消費電力も40〜50W抑えることができた。
【0040】
(実施例3)
以下に実施例3について説明する。装置全体の構成は前記実施例1で示した図1と同様であり、加熱定着装置内の構成も前記実施例1で示した図2及び図3と同様であるため説明を省く。
【0041】
本実施例ではB5やExecutiveサイズの紙を通紙した場合のスループットについて説明する。B5サイズなど定着ヒータの発熱体の長手方向幅に比べて十分に小さいサイズの記録材をプリントした場合、定着ニップ部内で記録材が通過しない領域では発熱体の熱を紙が奪っていかないため記録材が通過する領域に比べて温度が上昇してしまう。この非通紙部昇温が大きくなると非通紙部において定着部材の耐熱温度以上まで昇温してしまい、ステイホルダーが溶けてしまったり、小サイズ紙プリント後に普通サイズの紙をプリントした場合に非通紙部昇温していた場所でホットオフセットが発生してしまったりするなどの問題がある。この非通紙部昇温を抑えるために、プリント枚数増加とともに記録材を供給する間隔をあけてスループットを低下させている。
【0042】
非通紙部昇温はヒータ温調温度が同じならば一般にラフ紙より平滑紙の方が大きくなる。これは定着中に消費される電力が平滑紙の方が多いため、非通紙部にも多くの電力が供給されるためである。このため従来は定着性を得るためのヒータ設定温度はラフ紙にあわせ、非通紙部昇温を抑えるための小サイズスループット低下量は平滑紙にあわせて設定していた。しかし、本実施例では紙種判別用温度検知素子の温度差によって紙種を判別できることにより、平滑紙プリント時に定着温度を下げることができ、非通紙部昇温も低くなる。又ラフ紙プリント時には定着温度は高くなるが非通紙部昇温は小さくなるためにスループット低下量はあまり大きくない。
【0043】
以下具体例を比較例とともに示す。第1の実施例と同じ画像形成装置を用い、平滑紙としてB5サイズで坪量が128g/m2の小サイズ紙Aを連続通紙するときの温調温度とスループットの関係、ラフ紙としてEXEサイズで坪量が90g/m2の小サイズ紙Bを連続通紙するときの温調温度とスループットの関係をしめす。又比較例として本発明を適用せず、温調温度は定着性の悪いBの紙にあわせ、スループットは非通紙部昇温の悪いAの紙にあわせたときの温調温度とスループットの関係を示す。
【0044】
【表5】
【0045】
上記表のように本実施例のような制御を行うことで定着性とスループットの最適化を図ることができる。
【0046】
一方、紙種を判別できても定着温度を下げられない場合がある。例えばユーザ設定によりとにかくどんな紙種でも十分な定着性が得られるように高い温調温度を設定する場合である。この時は本実施例の紙種判別結果に応じて最適なスループット制御を行うことができる。以下その実施例を示す。
【0047】
【表6】
【0048】
従来の制御ではラフ紙、平滑紙に関わらず上記表の平滑紙Aと同じ制御となるが、このように温調固定モードにおいては逆にラフ紙の方のスループットを早めることが可能となる。一般的にこの様な設定をを行う場合はラフ紙が多いため、ユーザにとっては十分メリットが生じる。
【0049】
以上のように非通紙部昇温が問題となるような小サイズプリント時に平滑紙とラフ紙の識別を行い、判別結果をもとにスループットを設定することにより、プリントスピードを速める事ができた。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、
未定着画像が形成された記録材を、加圧部材と加熱部材により互いに圧接してなる定着ニップ間を通過させることにより、上記未定着画像を記録材上に永久画像として加熱定着させる画像形成装置において、
加熱部材に複数の温度検知素子を設け、プリント中における温度検知素子の検知温度の差を測定することにより、定着性の悪いラフ紙と定着性の良い平滑紙を判別することができた。また、その判別結果によって定着温度を設定することにより、ラフ紙、平滑紙ともに最適の定着温度で定着できるためホットオフセットの発生なくプリントすることができた。また、平滑紙プリントにおいて定着温度を下げてプリントすることができるため、通紙耐久によって発生する定着フィルムにおける紙端部の削れを防止することができた。さらに、定着フィルムにおける紙端部の削れが原因で発生する静電オフセットを防止することもできた。また、平滑紙をプリントする場合は従来ラフ紙の定着性を満足するために設定された温調でプリントできるため40〜50W消費電力を抑えることができた。
【0051】
また、小サイズプリント時は非通紙部の昇温状態がラフ紙と平滑紙で異なるが、それぞれの昇温状態に応じてスループットを低下させることができるため、加熱部材の耐熱温度やホットオフセットの問題が起こらない範囲で最速のスループットでプリントできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる画像形成装置の構成図
【図2】本発明に係わる加熱定着装置の構成図
【図3】本発明に係わる加熱到着装置の構成図
【図4】本実施例における紙種検知用温度検知素子の検知温度
【図5】本実施例における定着温度テーブル
【図6】紙種検知用温度検知素子の上流側と下流側の温度差
【図7】パターン1の定着温度でプリントした時のFox River Bond紙の濃度低下率
【図8】パターン2の定着温度でプリントした時のFox River Bond紙の濃度低下率
【図9】パターン1の定着温度でプリントした時のXerox 75g紙の濃度低下率
【図10】パターン2の定着温度でプリントした時のXerox 75g紙の濃度低下率
【図11】本発明における定着温度220℃と200℃での連続プリント時の消費電力
【図12】従来例に係わる加熱定着装置の構成図
【図13】従来例に係わる定着フィルムの断面図
【図14】従来例における定着温度テーブル
【図15】従来例における定着温度の設定範囲を説明する図
【符号の説明】
19 感光ドラム
20 帯電ローラ
21 レーザビーム
22 現像装置
Claims (3)
- 未定着画像が形成された記録材を、加圧部材と加熱部材とを互いに圧接してなる定着ニップ間を通過させることにより、上記未定着画像を記録材上に永久画像として加熱定着させる加熱定着装置を具備する画像形成装置において、
加熱部材に複数の温度検知素子を設けた構成であって、上記未定着画像が定着ニップを通過中に上記温度検知素子の検知温度の差によって記録材の種類を判別し、その判別結果に基づいて定着温度を設定することを特徴とする画像形成装置。 - プリント履歴をもとに記録材の種類を予測することを特徴とした請求項1に記載の画像形成装置。
- 小サイズプリント時は記録材の種類の判別結果によりスループットを変化させることを特徴とした請求項1または2に記載の画像形成装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007078875A (ja) * | 2005-09-12 | 2007-03-29 | Canon Inc | 画像形成装置および記録材搬送方法 |
JP2007206327A (ja) * | 2006-02-01 | 2007-08-16 | Canon Inc | 加熱装置、加熱装置の制御方法及び画像形成装置 |
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-
2002
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