JP2007328020A - 像加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転体の温度を検知する温度検知手段について熱応答性及び感度の低下を防止できるとともに、回転体外周面の温度の均一化を達成できる像加熱装置の提供。
【解決手段】回転体10の外周面と耐熱性シート16との接触領域において前記回転体と反対側に温度検知手段15を有する。制御手段27は、前記温度検知手段で検知する前記回転体の温度に応じて、前記耐熱性シートを介して前記回転体を加熱する加熱体14の発熱を制御する。
【選択図】図2
【解決手段】回転体10の外周面と耐熱性シート16との接触領域において前記回転体と反対側に温度検知手段15を有する。制御手段27は、前記温度検知手段で検知する前記回転体の温度に応じて、前記耐熱性シートを介して前記回転体を加熱する加熱体14の発熱を制御する。
【選択図】図2
Description
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンター等の画像形成装置に搭載する画像加熱定着装置として用いれば好適な像加熱装置に関する。
電子写真方式の複写機やプリンター等に搭載する画像加熱定着装置(定着器)として、特許文献1のものが知られている。この定着装置は、弾性層を有する定着ローラと、定着ローラの外周面に接する耐熱性シートと、このシートを定着ローラの外周面と挟みシートを介して定着ローラを加熱するプレート状のヒータと、定着ローラと接してニップ部を形成する加圧部材と、を有する。そして、ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材上の未定着トナー画像を加熱定着する。
記録材面に担持された未定着トナーは、その全てが適度に加熱溶融されて記録材面に定着されるのが理想的である。ところが、記録材面に溶け切れないコールドオフセット状態のトナーや溶け過ぎたホットオフセット状態のトナーが存在すると、これらのトナーは記録材面に接する定着ローラの外周面(表面)に転移する。
上記の定着装置は、定着ローラ表面に耐熱性シートが接しているため、記録材面から定着ローラ表面に転移したオフセットトナー等をシートに付着させることができる。そして、オフセットトナー等によるシートの汚れの度合いに応じてシートを移動させることにより、シートと定着ローラ表面との接触面を綺麗な面に保つことができる。定着ローラの温度はヒータに設けられたサーミスタによりシートを介して検知している。そしてその検知温度に基づいて温調制御部によりヒータの発熱を制御するようにしている。
特開2003−186327号公報
本発明は上記従来技術をさらに発展させたものである。そこで、本発明の目的は、回転体の温度を検知する温度検知手段について熱応答性及び感度の低下を防止できるとともに、回転体外周面の温度の均一化を達成できる像加熱装置を提供することにある。
本発明に係る像加熱装置の代表的な構成は、回転体と、前記回転体の外周面と接する耐熱性シートと、前記耐熱性シートを前記回転体の外周面に接触させてニップ部を形成し前記ニップ部で前記耐熱性シートを介して前記回転体を加熱する加熱体と、前記加熱体の発熱を制御する制御手段と、を有し、前記回転体の熱によって記録材上の像を加熱する像加熱装置において、
前記回転体の外周面と前記耐熱性シートとの接触領域において前記回転体と反対側に温度検知手段を有し、前記温度検知手段で検知する前記回転体の温度に応じて前記制御手段により前記加熱体の発熱を制御することを特徴とする像加熱装置である。
前記回転体の外周面と前記耐熱性シートとの接触領域において前記回転体と反対側に温度検知手段を有し、前記温度検知手段で検知する前記回転体の温度に応じて前記制御手段により前記加熱体の発熱を制御することを特徴とする像加熱装置である。
本発明によれば、回転体外周面と耐熱性シートとの接触領域で耐熱性シートを介して回転体の温度を温度検知手段により検知するため、温度検知手段の熱応答性及び感度の低下を防止できる。回転体外周面の熱が直接温度検知手段に吸熱されないため、回転体外周面の温度の均一化を達成できる。
以下、本発明を図面に基づいて詳しく説明する。
(1)画像形成装置例
図1は本発明に係る像加熱装置を加熱定着装置(定着器)として搭載できる画像形成装置の一例の概略構成模型図である。
図1は本発明に係る像加熱装置を加熱定着装置(定着器)として搭載できる画像形成装置の一例の概略構成模型図である。
本実施例の画像形成装置は、転写式電子写真プロセス利用のレーザービームプリンタである。
51は像担持体としてのドラム形状の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)である。感光ドラム51は、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料をアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基盤上に形成することにより構成してある。
この感光ドラム51は矢印方向に所定の周速度をもって回転される。そしてその回転中に感光ドラム51の外周面(表面)が帯電装置としての帯電ローラ52によって一様に帯電される。
その一様帯電面に対して、像露光手段であるレーザースキャナー53より、画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザービームLによる走査露光が施され、感光ドラム51表面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置55によりトナーによって現像される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
一方、カセット56から給送ローラ57によって記録材Pが1枚ずつ繰り出され、レジストローラ58に送られる。レジストローラ58は、感光ドラム51表面に形成されたトナー画像と同期させてその記録材Pを感光ドラム51と転写手段としての転写ローラ59間の転写ニップ部に所定のタイミングで搬送する。すなわち、感光ドラム51表面のトナー画像の画像形成位置と記録材Pの先端の書き出し位置が合致するようにトップセンサS1にて記録材Pの先端を検知し、その検知信号に基づいてレジストローラ58により記録材Pを転写ニップ部に送り出している。
転写ニップ部に送り出された記録材Pは感光ドラム51と転写ローラ59とにより挟持搬送される。その搬送過程で転写ローラ59により感光ドラム51表面から記録材P上にトナー画像が転写される。未定着トナー画像を担持した記録材Pは加熱定着装置60へ搬送される。この定着装置60によりトナー画像は記録材P上に永久画像として定着され、その記録材Pは排出トレイ61へと排出される。
転写後に感光ドラム1表面に残る残留トナーはクリーニング装置62により感光ドラム51表面より除去され、感光ドラム51は次の画像形成に供される。
S2は定着装置60内に設けられた排紙センサである。この排紙センサS2は、記録材PがトップセンサS1と排紙センサS2の間で紙詰まりなどを起こした際に、それを検知する為のセンサである。
(2)定着装置60
図2は定着装置60の一例の構成模型図である。
図2は定着装置60の一例の構成模型図である。
以下の説明において、定着装置及びその構成部材について、長手方向とは記録材面において記録材搬送方向と直交する方向をいう。短手方向とは記録材面において記録材搬送方向をいう。幅とは記録材搬送方向における寸法をいう。
定着装置60は、定着ローラ(回転体)10と、耐熱性シート16と、ヒータ(加熱体)14と、断熱ステイホルダー(保持部材)24と、弾性加圧ローラ(バックアップ部材)20と、温度検知手段(温度検知素子)15と、を有する。
1)定着ローラ10
定着ローラ10は以下の部材から構成される。アルミ或いは鉄製の芯金11の外側にシリコーンゴムで形成された弾性層12(ソリッドゴム層)を有する。あるいはより断熱効果を持たせるために弾性層12として、シリコーンゴムを発泡して形成されたスポンジゴム層、あるいはシリコーンゴム層内に中空のフィラーを分散させ、硬化物内に気体部分を持たせ、断熱作用を高めた気泡ゴム層を用いることができる。
定着ローラ10は以下の部材から構成される。アルミ或いは鉄製の芯金11の外側にシリコーンゴムで形成された弾性層12(ソリッドゴム層)を有する。あるいはより断熱効果を持たせるために弾性層12として、シリコーンゴムを発泡して形成されたスポンジゴム層、あるいはシリコーンゴム層内に中空のフィラーを分散させ、硬化物内に気体部分を持たせ、断熱作用を高めた気泡ゴム層を用いることができる。
定着ローラ10は熱容量が大きく、また熱伝導率が少しでも大きいと、定着ローラ10の外周面(表面)から受けるヒータ14の熱を内部に吸収しやすく、定着ローラ10表面温度が上昇しにくくなる。そのため、弾性層12はできるだけ低熱容量で熱伝導率が低く、断熱効果の高い材質の方が、定着ローラ10表面温度の立ち上がり時間に有利である。
ここで、上記シリコーンゴムのソリッドゴム層は熱伝導率が0.25〜0.29W/(m・K)、スポンジゴム・気泡ゴムは0.11〜0.16W/(m・K)であり、スポンジゴム・気泡ゴムはソリッドゴムの約半分の値を示す。また、熱容量に関係する比重はソリッドゴムが約1.05〜1.30、スポンジゴム・気泡ゴムが約0.75〜0.85である。したがって、定着ローラ10の弾性層12の好ましい形態としては、熱伝導率が約0.15W/m・K以下で、比重が0.85以下の断熱効果の高いスポンジゴム層や気泡ゴム層の方が好ましい。また、定着ローラ10の外径は小さい方が熱容量を抑えられるが、小さすぎると加熱ニップ部Hが稼ぎにくくなるので適度な外径が必要である。弾性層12の肉厚に関しても、薄すぎれば金属製の芯金11に熱が逃げるので適度な厚みが必要である。以上を考慮して本実施例では、適正な加熱ニップ部Hを形成でき、且つ熱容量を抑えるために、肉厚が4mmの気泡ゴムを用いて弾性層12を形成し、外径がφ18mmの定着ローラを使用した。また、芯金11は中空芯金でも良い。
上記に述べた弾性層12の上には、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂(FEP)等のフッ素樹脂離型成層13を形成する。あるいは、GLSラテックスコーティングを施したものであっても良い。離型層13はチューブを被覆させたものでも表面を塗料でコートしたものであってもどちらでもよい。
定着ローラ10は、長手端部の芯金剥き出し部分において図示しない軸受け等を介して回転自在に装置フレームに保持されている。
2)耐熱性シート16
シート16は、耐熱性、可撓性を有するポリイミド、ポリイミドアミド、PEEK、PPS、PEA、PTFE、FEP等を基層とした樹脂製のシート、あるいは薄肉のSUSなどから形成される十分な強度をもった薄肉金属層のシートである。ヒータ14からの熱を効率よく定着ローラ10に伝えるために厚みは50μm以下で形成されている。樹脂製のシートの場合は、基層中にBN、アルミ、アルミナ、窒化アルミ等の熱伝導性を向上させるフィラーが混入されていても良い。また、定着ローラ10外周面と摺動する摺動面側には離型性や摺動性に優れた性質を持つPFA、PTFE、FEP等の樹脂薄膜をコーティングした多層構造であっても良い。このシート16の長手長さは定着ローラ10の長手長さと略等しい。そしてシート16は、定着ローラ10の回転方向において少なくともヒータ14と温度検知素子15を並列に配置できる領域を確保するように定着ローラ10表面に接触させてある。そしてシート16幅方向の一端はテンションローラ17の長手方向に沿って巻きつけられ、シート16幅方向の他端は巻き取りローラ18の長手方向に沿って巻きつけられている。そして、テンションローラ17及び巻き取りローラ18を回転させ、テンションローラ17でシート16の一端を送り出すとともに巻き取りローラ18でシート16他端を巻き取る構成としてある。この構成はシート16にオフセットトナー等の汚れが蓄積した場合に有効な構成である。つまり、汚れトナーの蓄積が認められた時や、あるいはある一定の通紙枚数(ニップ部Nへの記録材の導入枚数)毎に、巻き取りローラ18が回転することによって定着ローラ10表面に対しシート16をスライドすることができる。プリント(画像形成)中はシート16は、定着ローラ10表面に対しテンションを保ったまま固定され摺擦することになる。
シート16は、耐熱性、可撓性を有するポリイミド、ポリイミドアミド、PEEK、PPS、PEA、PTFE、FEP等を基層とした樹脂製のシート、あるいは薄肉のSUSなどから形成される十分な強度をもった薄肉金属層のシートである。ヒータ14からの熱を効率よく定着ローラ10に伝えるために厚みは50μm以下で形成されている。樹脂製のシートの場合は、基層中にBN、アルミ、アルミナ、窒化アルミ等の熱伝導性を向上させるフィラーが混入されていても良い。また、定着ローラ10外周面と摺動する摺動面側には離型性や摺動性に優れた性質を持つPFA、PTFE、FEP等の樹脂薄膜をコーティングした多層構造であっても良い。このシート16の長手長さは定着ローラ10の長手長さと略等しい。そしてシート16は、定着ローラ10の回転方向において少なくともヒータ14と温度検知素子15を並列に配置できる領域を確保するように定着ローラ10表面に接触させてある。そしてシート16幅方向の一端はテンションローラ17の長手方向に沿って巻きつけられ、シート16幅方向の他端は巻き取りローラ18の長手方向に沿って巻きつけられている。そして、テンションローラ17及び巻き取りローラ18を回転させ、テンションローラ17でシート16の一端を送り出すとともに巻き取りローラ18でシート16他端を巻き取る構成としてある。この構成はシート16にオフセットトナー等の汚れが蓄積した場合に有効な構成である。つまり、汚れトナーの蓄積が認められた時や、あるいはある一定の通紙枚数(ニップ部Nへの記録材の導入枚数)毎に、巻き取りローラ18が回転することによって定着ローラ10表面に対しシート16をスライドすることができる。プリント(画像形成)中はシート16は、定着ローラ10表面に対しテンションを保ったまま固定され摺擦することになる。
3)ヒータ14
図3はヒータ14の構成と温調制御系を表す説明図である。図4は定着装置60における加熱ニップ部H付近の拡大断面図である。
図3はヒータ14の構成と温調制御系を表す説明図である。図4は定着装置60における加熱ニップ部H付近の拡大断面図である。
ヒータ14は、低熱容量のプレート状に形成してある。このヒータ14は、アルミナや窒化アルミ等の絶縁性セラミック基板やポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂基板などから成る細長い基板14aを有する。基板14aにおいてシート16側の表面には長手方向に沿ってAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の通電発熱抵抗層14bが、厚み約10μm、幅約1〜5mm程度でスクリーン印刷等により形成されている。また、基板14a表面には、熱効率を損なわない範囲で抵抗層14bを保護する保護層14cを設けてあっても良い。保護層14cの厚みは十分薄く、表面性を良好にする程度が望ましい。保護層14cの材料としては、フッ素樹脂層が考えられる。フッ素樹脂層として、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂(FEP)等を用いることができる。その他にも、エチレンテトラフルオロエチレン樹脂(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(CTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等を用いることができる。また、保護層14cとして、ポリイミドあるいはポリアミドイミド等のイミド系樹脂層を単層あるいは混合して被覆することが考えられる。また、保護層14cとして、グラファイト、ダイアモンド・ライク・カーボン(DLC)、二硫化モリブデン等から成る乾性皮膜潤滑剤を用いることが考えられる。また、一般的にはガラスコート等の保護層が考えられる。14dは電極部であり、抵抗層14bと電気的に接続してある。
また、基板14aとして熱伝導性の良好な窒化アルミ等を使用する場合には、抵抗層14bは基板14aにおいてシート16側の表面と反対側の裏面に形成してあってもよい。
ヒータ14を保持する断熱ステイホルダー24は、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等の耐熱性樹脂により形成される。熱伝導率が低いほど定着ローラ10への熱伝導が良くなるので、樹脂層中にガラスバルーンやシリカバルーン等のフィラーを内包してあっても良い。
ホルダー24は、長手両端部において図示しない加圧ばね等の加圧手段により定着ローラ10に対して加圧され、ヒータ14表面をシート16に当接させている。これによりヒータ14は、シート16を定着ローラ10表面に接触させ、シート16と定着ローラ10表面との間に、定着ローラ10を加熱するための所定幅の加熱ニップ部Hを形成している(図4)。
4)弾性加圧ローラ20
加圧ローラ20は、SUS(steel use stainless)、SUM(steel use machinab-ility)、Al等の金属製芯金21の外側にシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコーンゴムを発泡して形成された弾性層22からなるローラである。その弾性層22の上にPFA、PTFE、FEP等の離型性層23を形成してあってもよい。加圧ローラ20も、定着ローラ10と同様に、低熱容量で熱伝導率が低く断熱効果の高い材質の方が、定着ローラ10の熱を吸収しにくく、表面温度が高く維持できるので、スポンジゴム層や気層ゴム層のほうが望ましい。
加圧ローラ20は、SUS(steel use stainless)、SUM(steel use machinab-ility)、Al等の金属製芯金21の外側にシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコーンゴムを発泡して形成された弾性層22からなるローラである。その弾性層22の上にPFA、PTFE、FEP等の離型性層23を形成してあってもよい。加圧ローラ20も、定着ローラ10と同様に、低熱容量で熱伝導率が低く断熱効果の高い材質の方が、定着ローラ10の熱を吸収しにくく、表面温度が高く維持できるので、スポンジゴム層や気層ゴム層のほうが望ましい。
定着ローラ10と並列に配された加圧ローラ20は、長手端部の芯金剥き出し部分において図示しない軸受け等を介して回転自在に装置フレームに保持されている。そしてその軸受け部において図示しない加圧ばね等の加圧手段により定着ローラ10に対して加圧され、定着ローラ10表面との間に記録材Pを挟持搬送するための所定幅のニップ部(定着ニップ部)Nを形成している。
一方、定着ローラ10は長手方向端部から芯金11を介して回転駆動機構Mにより、矢印の方向に回転駆動される。この定着ローラ10の回転駆動に伴って、加圧ローラ20はニップ部Nにおいて回転力を受けて従動回転する。
また、ヒータ14とシート16の間に熱伝導性が良好な耐熱性グリースを介在させることによりヒータ14とシート16間の接触熱抵抗を減らすことができる。これによって、熱を効率よく定着ローラ10表面に伝えることが可能となる。
5)温度検知手段
温度検知素子(第1温度検知手段)15は、定着ローラ10表面の温度をシート16を介して検知する為の、サーミスタ等の温度検知素子である。具体的な設置箇所は、図2に示すように、シート16と定着ローラ10が接触し、且つヒータ14が存在しないところであれば良い。つまり、定着ローラ10表面とシート16との接触領域において定着ローラ10と反対側である。定着ローラ10の回転方向に対して上流側でも下流側でも選択出来るが、本実施例ではヒータ14に加熱された定着ローラ10表面の温度を瞬時に検知しやすい為、ヒータ14の下流側に配置させている。
温度検知素子(第1温度検知手段)15は、定着ローラ10表面の温度をシート16を介して検知する為の、サーミスタ等の温度検知素子である。具体的な設置箇所は、図2に示すように、シート16と定着ローラ10が接触し、且つヒータ14が存在しないところであれば良い。つまり、定着ローラ10表面とシート16との接触領域において定着ローラ10と反対側である。定着ローラ10の回転方向に対して上流側でも下流側でも選択出来るが、本実施例ではヒータ14に加熱された定着ローラ10表面の温度を瞬時に検知しやすい為、ヒータ14の下流側に配置させている。
ヒータ4の基板14a裏面には基板14aの温度を検知するためのサーミスタ等の温度検知素子(第2温度検知手段)19が配設されている。この温度検知素子19は、ヒータ14の温度制御あるいは昇温異常を監視する目的で設けられている。
定着ローラ10表面の温度制御を行う際は、シート16上の温度検知素子15とヒータ14の温度検知素子19の出力信号を制御手段としての温調制御部27が取り込む。
温調制御部27では、その出力信号に基づいてヒータ14の長手方向端部にある電極部(図3)14dから抵抗層14bに印加される電圧のデューティ比や波数等を適切に制御することで、ヒータ14を発熱させ、定着ローラ10の表面を加熱・温調する。
温調制御部27では、その出力信号に基づいてヒータ14の長手方向端部にある電極部(図3)14dから抵抗層14bに印加される電圧のデューティ比や波数等を適切に制御することで、ヒータ14を発熱させ、定着ローラ10の表面を加熱・温調する。
シート16上の温度検知素子15のみで適切に且つ安全に温度制御が可能であれば、ヒータ14の基板14a裏面の温度検知素子19は省略することも可能である。
本実施例では、ヒータ14の基板14a裏面の温度検知素子19は、基板14a裏面の温度が異常昇温することを監視し、温度検知素子19がある閾値温度を越えた場合は、ヒータ14への通電を遮断したり、投入する電力を絞ったりする制御を行っている。
通常の動作では、シート16上の温度検知素子15による信号に基づいて、定着ローラ10表面の温度(目標温度)が定着可能温度に達した時点で、その温度が維持されるように温度制御が行われる。そしてその温度に維持された状態で、未定着トナー画像tを担持した記録材Pはニップ部Nに導入される。そしてその記録材Pはニップ部Nで挟持搬送されて熱と圧力を受けることによってトナー画像tが記録材P面上に定着される。
通常の動作では、シート16上の温度検知素子15による信号に基づいて、定着ローラ10表面の温度(目標温度)が定着可能温度に達した時点で、その温度が維持されるように温度制御が行われる。そしてその温度に維持された状態で、未定着トナー画像tを担持した記録材Pはニップ部Nに導入される。そしてその記録材Pはニップ部Nで挟持搬送されて熱と圧力を受けることによってトナー画像tが記録材P面上に定着される。
(3)本実施例における温度制御方法
図19に本実施例の定着装置の比較例として、温度検知素子を定着ローラに直接接触させた定着装置80を示す。
図19に本実施例の定着装置の比較例として、温度検知素子を定着ローラに直接接触させた定着装置80を示す。
比較例に示す定着装置80は、芯金82上に設けられた弾性層83上に離型層85を有する定着ローラ81と、その定着ローラ81表面に接触して加熱ニップ部Hを形成するヒータ86を有する。そして定着ローラ81表面には加圧ローラ87を圧接させて、定着ローラ81表面と加圧ローラ87表面とでニップ部Nを形成している。
この定着装置80は、定着ローラ81表面に接触させたサーミスタ等の温度検知素子88の出力信号によりヒータ86の温度制御を行い、未定着トナー画像tを担持した記録材Pをニップ部Nで挟持搬送することによりトナー画像tの加熱定着を行う構成である。
本実施例の定着装置39では、定着ローラ10表面の温度検知を行うための温度検知素子(以下、サーミスタと記す)15を、定着ローラ10表面とシート16との接触領域において定着ローラ10と反対側でシート16に接触させている。比較例のように定着ローラ81表面に温度検知素子88(以下、サーミスタと記す)を接触させる場合と比較して、次のように温度制御方法を変える必要がある。
比較例のように定着ローラ81表面に接触させたサーミスタ88を用いて温度制御を行った際に、実験的にシート16上にもサーミスタ15を設置させ、各々の温度プロファイルを計測した。結果を図5に示す。
図5より明らかなように、定着ローラ10表面の温度が定着可能温度である200℃で温調を行っている時は、シート16上のサーミスタ15の温度は190℃を示している。この結果を元に、シート16上のサーミスタ15が190℃に維持されるように温度制御を行ったところ、定着ローラ10表面のサーミスタ88が200℃に維持できることがわかった。したがって、シート16上のサーミスタ15を用いて温調制御を行う為には、単純に定着ローラ10表面温度との温度差をシフトさせて温調すればよい。
また、本実施例では、シート16として厚みが25μmのポリイミドシートを用いた。しかし、シート16に用いる材料の材質や厚みが異ったり、シート16の設置方法が異なる場合は、それぞれ応じて定着ローラ10表面温度との温度差を実験的に求め、その温度差分をシフトさせて温調を行えば、およそ問題のない温度制御が可能となる。
(4)本実施例の定着装置60と比較例の定着装置80との比較
以下に、本実施例の定着装置60が比較例の定着装置80よりも優れている点について順を追って説明する。
以下に、本実施例の定着装置60が比較例の定着装置80よりも優れている点について順を追って説明する。
1)汚れ付着性について
比較例の定着装置80のように定着ローラ82表面に直接サーミスタ88を接触させた場合は、耐久によって通紙枚数が増えるにつれて、オフセットトナーがサーミスタ88表面に付着し、サーミスタ88の応答性や感度が初期状態より悪くなる傾向がある。その結果、定着ローラ81の温度制御が不安定になったり、正確な温度が検知できない為に、目標温度を維持するのに余分な電力が投入されたりする不具合があった。また、サーミスタ88表面に蓄積するトナー汚れによって、定着ローラ81表面を傷つけてしまい、ハーフトーン等の画像上に縦スジが生じるような不具合も発生した。
比較例の定着装置80のように定着ローラ82表面に直接サーミスタ88を接触させた場合は、耐久によって通紙枚数が増えるにつれて、オフセットトナーがサーミスタ88表面に付着し、サーミスタ88の応答性や感度が初期状態より悪くなる傾向がある。その結果、定着ローラ81の温度制御が不安定になったり、正確な温度が検知できない為に、目標温度を維持するのに余分な電力が投入されたりする不具合があった。また、サーミスタ88表面に蓄積するトナー汚れによって、定着ローラ81表面を傷つけてしまい、ハーフトーン等の画像上に縦スジが生じるような不具合も発生した。
本実施例の定着装置60では、サーミスタ15は定着ローラ10に接触しないので、オフセットトナーがサーミスタ15表面に付着することがない。したがって、サーミスタ15の応答性や感度が初期状態より悪くなることがない。その結果、定着ローラ10表面の温度検知を正確に行うことができる。これにより、定着ローラ10の温度制御が不安定になったり、目標温度を維持するのに余分な電力が投入されたりする不具合を解消できる。
2)サーミスタ15の保護性について
定着装置60内において記録材Pが紙詰まりを起こしたり、あるいは定着ローラ10に巻きついたりすることがある(以下、記録材のジャムと呼ぶ)。この場合、比較例の定着装置80のようにサーミスタ88が定着ローラ81表面に接触していると、ジャムした紙がサーミスタ88に接触する可能性がある。ジャム紙がサーミスタ88に接触した状態で、ユーザーがその紙を強い力で引っ張って除去する場合や、あるいはジャム紙を極端に斜めに除去するような場合、ジャム紙がサーミスタ88に引っかかったりして大きなダメージを与えることがある。それによってサーミスタ88の表面が傷ついたり、サーミスタ88が初期の設置状態から移動するようなことがあれば、温度制御が不安定になったり、場合によっては定着装置80の故障等を招くことになる。
定着装置60内において記録材Pが紙詰まりを起こしたり、あるいは定着ローラ10に巻きついたりすることがある(以下、記録材のジャムと呼ぶ)。この場合、比較例の定着装置80のようにサーミスタ88が定着ローラ81表面に接触していると、ジャムした紙がサーミスタ88に接触する可能性がある。ジャム紙がサーミスタ88に接触した状態で、ユーザーがその紙を強い力で引っ張って除去する場合や、あるいはジャム紙を極端に斜めに除去するような場合、ジャム紙がサーミスタ88に引っかかったりして大きなダメージを与えることがある。それによってサーミスタ88の表面が傷ついたり、サーミスタ88が初期の設置状態から移動するようなことがあれば、温度制御が不安定になったり、場合によっては定着装置80の故障等を招くことになる。
本実施例の定着装置60では、ジャム紙や定着ローラ10に巻きついた紙がサーミスタ15に接触することがないので、これらの問題を防止する事ができる。
ここで、定着装置60に用いられるサーミスタ15(詳しくはサーミスタ素子を含むサーミスタユニット)の詳細な断面構成を図6に示す。
15aはサーミスタ素子であり、図示しない電線を通じて通電制御部27と接続されている。本実施例ではサーミスタとして芝浦電子(株)製のビーズサーミスタを用いている。15bはサーミスタ素子15aの応答性を向上させる為に素子15aの裏側(被測定物と反対側)に配設された熱コレクタであり、厚さ15μm程度のアルミ箔より成る。サーミスタ素子15aは熱コレクタ15bの上に熱伝導接着剤15c等で接着されている。15dは熱コレクタ15bの裏側に配置されたセラミックペーパであり、熱コレクタ15bおよびサーミスタ素子15aを保持するとともに、それ自体は弾性を有するものである。
通常サーミスタ素子15aはより高精度な温度検知を行う為に、被測定物に対して所定の付勢力により押圧されるような構成が望ましい。本実施例のように弾性を有するセラミックペーパ(耐熱部材)15dによって均等で適度な圧力がかかるようになっている。セラミックペーパ15dを含む一体のユニットはさらにポリイミド等の耐熱性を有する樹脂フィルム15eによって覆われており、サーミスタ素子15aを被測定物より保護すると共に、周囲の導電性物質との絶縁を強化する役割も併せ持つ。また15fはセラミックペーパ15dを保持するPEEKやPPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂より成る保持部材である。このような部材を一体のユニットとして構成されるものをサーミスタ15として温度検知に用いている。
図7は比較例の定着装置80にサーミスタ15を使用した場合のサーミスタ15の様子を表す説明図である。
比較例の定着装置80のように回転する定着ローラ81に直接サーミスタ15を接触させると、サーミスタ15は摩擦力によって常に回転方向の力を受けることになる。画像形成装置の耐久が進むと、図7(a)及び(b)に示すように、セラミックペーパ15d部分が斜めに変形したり、さらにはサーミスタ素子15aの接着が外れて下流側に移動したりすることがある。これらの不具合は、温度制御のバラツキ原因になる他、サーミスタ電線を断線させてしまう原因にもなる。
ところが、本実施例の定着装置60のようにシート16上にサーミスタ15を配置させれば、サーミスタ15は定着ローラ10表面から回転力を受けることがないので、上記のような問題を防ぐことが出来る。また、シート16が樹脂製であれば、サーミスタ素子15aの保護層や絶縁層として利用でき、上記に説明したサーミスタ15を覆う樹脂性の保護フィルム15eを削減できる。これにより、サーミスタ15において部品コストを削減できる他、サーミスタ素子15aの熱応答性をさらに向上させる利点がある。
また、比較例も含めてヒータ14と定着ローラ10の間にシート16を設けることは、上記に説明したサーミスタユニット15の保護性と同様に、ヒータ14が定着ローラ10からの回転力を受けない。そのため、定着ローラ10回転時のヒータ14のガタ及び基板14aのズレ等を防止でき、定着ローラ10に対してより安定し且つ効率の良い熱伝達を達成できる。
3)画像ムラの軽減
比較例のように、定着ローラ81表面に直接サーミスタ88を接触させると、ヒータ86から定着ローラ81に伝達した熱の一部がサーミスタ88に吸熱されるため、定着ローラ81表面の長手方向においてサーミスタ88部分のみが温度低下する問題があった。特に画像形成装置において定着装置80が温まっていない電源オン直後のような状態ではその温度差が大きい。このような状態で、ハーフトーンや写真等のベタ画像を加熱定着すると、温度ムラが原因となって定着後の画像に光沢ムラが顕著に出る。
比較例のように、定着ローラ81表面に直接サーミスタ88を接触させると、ヒータ86から定着ローラ81に伝達した熱の一部がサーミスタ88に吸熱されるため、定着ローラ81表面の長手方向においてサーミスタ88部分のみが温度低下する問題があった。特に画像形成装置において定着装置80が温まっていない電源オン直後のような状態ではその温度差が大きい。このような状態で、ハーフトーンや写真等のベタ画像を加熱定着すると、温度ムラが原因となって定着後の画像に光沢ムラが顕著に出る。
これに対し、本実施例の定着装置60のように定着ローラ10表面とヒータ14との間にシート16を設けることで定着ローラ10の熱が直接サーミスタ15に吸熱されることを防止できる。これにより、定着ローラ81表面の長手方向の温度ムラが均一化される。したがって、上記のような光沢ムラなどの画像不良を軽減する事ができる。
本実施例では、定着装置の他の例を説明する。本実施例においては、実施例1の定着装置60と同じ部材、部分には同じ符号を付して、再度の説明を省略する。実施例3、実施例4についても同様とする。
本実施例に示す定着装置60は、シート16上に設置するサーミスタ15をホルダー25に保持させたことを特徴とする。
図8は定着装置60におけるホルダー25の一例を表す断面図である。図9、及び図10は、それぞれ、ホルダー25の他の例を表す断面図である。
ヒータ14の基板14aとサーミスタ15を保持するホルダー25は、基本的には実施例1で説明したホルダー24を基板14a短手方向に延長させ、サーミスタ保持エリアを設けたものである。したがって、その材質としては耐熱性・摺動性に優れた液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等の樹脂部材が適している。このホルダー25は図示しない加圧手段によりシート16を挟んで定着ローラ10に加圧されるが、このときにサーミスタ15がシート16に対して浮かないように注意する必要がある。そのためにもホルダー25を定着ローラ10表面に対して加圧する前の状態は、図9に示すように、サーミスタ15の定着ローラ10表面との接触部分は定着ローラ10表面と対向するホルダー25の下面よりも出っ張ったような形状の方が望ましい。
また、定着ローラ10の外径が小さい場合、定着ローラ10表面に対するホルダー25の接触面、及び、ヒータ14及びサーミスタ15の接触面が同一平面になるような形状であると、ヒータ14及びサーミスタ15は定着ローラ10表面に接触し難くなる。そこで、図10に示すように、実際に使用する定着ローラ10の外径に応じて、ホルダー25の下面形状も凹形状(逆R形状)に成型させても良い。
(実施例1との比較)
本実施例の定着装置60のように、ヒータ14とサーミスタ15をホルダー25に保持させることで、ヒータ14に対するサーミスタ15の位置精度を向上させることができる。また、サーミスタ15をヒータ14と独立に設置する場合よりも、部品点数を削減できる。よって、定着装置60内にヒータ14とサーミスタ15をコンパクトに配置させることができる。
本実施例の定着装置60のように、ヒータ14とサーミスタ15をホルダー25に保持させることで、ヒータ14に対するサーミスタ15の位置精度を向上させることができる。また、サーミスタ15をヒータ14と独立に設置する場合よりも、部品点数を削減できる。よって、定着装置60内にヒータ14とサーミスタ15をコンパクトに配置させることができる。
また、シート16に対するサーミスタ15当接位置でサーミスタ15は長手方向全体にホルダー25により保持されているので、サーミスタ15が定着ローラ10表面と接触することによる定着ローラ10表面の長手方向の画像ムラもより改善することができる。
本実施例では、定着装置の他の例を説明する。
図11(a)は本実施例の定着装置60における加熱ニップ部H付近の断面図、(b)は実施例1の定着装置60における加熱ニップ部H付近の断面図である。
図11(a)に示すように、本実施例に示す定着装置60は、定着ローラ10の回転方向においてサーミスタ15をシート16上でヒータ14よりも上流側に配置することを特徴とする。その目的としては、ヒータ14から定着ローラ10へ供給した熱エネルギーのロスを最小限に抑えるとともに、シート16と定着ローラ10間に蓄積するオフセットトナー等の汚れを減少させることにある。
図11(a)においては、実施例1のようにヒータ14とサーミスタ15を別体のホルダーに収容しているが、ヒータ14とサーミスタ15の配置形態はこれに限定されるものではない。実施例2のようにヒータ14とサーミスタ15はホルダー25により一体に保持されていても良い。
(実施例1との比較)
本実施例のような外部加熱方式の定着装置6では、加熱ニップ部Hにおいてプレート状のヒータ14から定着ローラ10表面に与えた熱が回転しながらニップ部Nまで到達し、その定着ローラ10で記録材Pの未定着トナー画像tの加熱を行う。したがって、加熱ニップHからニップ部Nに至る経路の間には、定着ローラ10表面の温度を吸熱するような部材はできる限り削除した方が望ましい。
本実施例のような外部加熱方式の定着装置6では、加熱ニップ部Hにおいてプレート状のヒータ14から定着ローラ10表面に与えた熱が回転しながらニップ部Nまで到達し、その定着ローラ10で記録材Pの未定着トナー画像tの加熱を行う。したがって、加熱ニップHからニップ部Nに至る経路の間には、定着ローラ10表面の温度を吸熱するような部材はできる限り削除した方が望ましい。
実施例1、2のように定着ローラ10の回転方向においてサーミスタ15をヒータ14の下流側に設置すると、サーミスタ15自身のほかにもそれらを保持するホルダー、さらにシート16が下流方向に延長されている。その為、そのホルダー、及びシート16が吸熱部材となって、定着ローラ10表面の温度を下げる要因となる。
実際に、定着ローラ10の回転方向においてサーミスタ15をヒータ14の上流側と下流側に設置した場合に、シート16出口近傍の温度がどれほど異なるか比較してみた。ただし、ここではサーミスタ15の位置による温度制御方法の違いの影響を取り除く為に、定着ローラ10が室温状態からヒータ14に一定の電力600Wを投入した時の、10秒後の温度で比較を行った。結果を下記表1に示す。
結果から明らかなように、本実施例の構成の方が、定着ローラ10表面の温度が高くなっていることが解かる。
また、ヒータ14の下流域に余分な吸熱部材を設けないことは、シート16上に蓄積する汚れトナーの削減にも効果がある。図11(a)に示すように、オフセットトナー等のトナー汚れは、加熱ニップ部Hの最下流部においてシート16が定着ローラ10表面から離れる位置(以下、シート16の出口と記す)に蓄積しやすい。本実施例のようにサーミスタ15をヒータ14上流側に設置したほうが、ヒータ14からシート16の出口までの距離が近い分、その近傍の温度は高く維持できる。オフセットトナー等の汚れは、蓄積エリアの温度がより高く維持される方が、トナーが溶融状態で保持されるので、そのまま定着ローラ10に保持されて吐き出されやすい。
実際に、5000枚程度の通紙試験を行った。すると、本実施例のようにサーミスタ15をヒータ14上流側に設置した方(図11(a))が、サーミスタ15をヒータ14下流側に設置するよりも(図11(b))、蓄積するトナー汚れが少ないことが実機を用いた比較実験より確認できた。
[実施例の他の発展形態]
(1)シート16の懸架方法
図12は定着装置60におけるシート16の懸架方法の一例を表す説明図である。図13は定着装置60におけるシート16の懸架方法の他の例を表す説明図である。
(1)シート16の懸架方法
図12は定着装置60におけるシート16の懸架方法の一例を表す説明図である。図13は定着装置60におけるシート16の懸架方法の他の例を表す説明図である。
図12に示すように、シート16の懸架方法として、ヒータ14を支点に張架させても良い。このような構成にすることで、シート16と定着ローラ10表面との接触面積を小さくすることができる。これにより、定着ローラ10の駆動トルクを低く抑えることができる。また、シート16が定着ローラ10表面の熱を吸収しにくくなるので、実施例3と同様に、熱効率の向上を期待できる。その他にも、シート16を収容させたり固定したりする為の端部に設けた固定部材、あるいは巻き取りローラ等を、定着ローラ10の周囲から遠ざけることができる。そのため、例えば加熱ニップ部Fの出口付近に記録材Pの巻きつきを防止するリブや爪などの機構を設ける為のスペースを提供しやすくなる。
これに対しシート16の懸架方法として、実施例1〜3のように定着ローラ10を支点に張架させたほうが、定着装置60全体をコンパクトにできる、あるいは耐熱性シート16が定着ローラ10からの放射熱を断熱しやすい効果もある。そのため、それぞれの特徴に合わせてシートの懸架方法を選択すればよい。
また、図13に示すように、シート16の懸架方法として、シート16の両端を固定部材26によって固定されるような構成であっても良い。このような固定タイプでは、オフセットトナーが蓄積し難いか、あるいはシート16をすり抜けて定着ローラ10表面に付着したままになり、次にプリントされる記録材Pによって除去されるような場合に有効な構成である。
(2)他のバックアップ部材
バックアップ部材は加圧ローラ20に限られない。バックアップ部材として、以下のような構成を選択することも可能である。
バックアップ部材は加圧ローラ20に限られない。バックアップ部材として、以下のような構成を選択することも可能である。
1)フィルム/ベルト式バックアップ部材
図14はバックアップ部材として可撓性部材33と摺動部材31とを用いた定着装置の一例を表す断面図である。
図14はバックアップ部材として可撓性部材33と摺動部材31とを用いた定着装置の一例を表す断面図である。
可撓性部材33は、円筒状(エンドレス状)のフィルム、あるいはベルトである。具体的には、耐熱性、断熱性を有するポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PPS、PFA、PTFE等を基層とした樹脂製のフィルムである。定着ローラ10側の表層にはPFA、PTFE、FEP等の離型性に良好な樹脂を混合ないしは単独で被覆してあっても良い。また樹脂を基層としたフィルムの替わりに、SUS(steel use stainless)、Mg、Al、Ni、Cu、Zn、Ti等の純金属や合金で形成された金属スリーブ/ベルトを基層として用いても良い。この場合は基層と表層の間に、シリコーンゴム等の弾性層を形成してあってもよい。フィルムあるいはベルトの基層の厚みは、強度等を考慮し20μm以上150μm以下が適当な範囲である。
摺動部材31は、上記の薄肉フィルム33の内部に設けてある。この摺動部材31は、耐熱フェルト、マイカシート、セラミックシート、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK、ポリイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂等の耐熱性を有する樹脂で形成されている。摺動部材31は、定着ローラ10の熱を吸熱しにくい材料、すなわち断熱性を有する部材が適している。薄肉フィルム33と接触する表面には摩擦抵抗を低減するガラスコートやフッ素樹脂等の摺動層をコーティングしてあっても良い。
32は摺動部材31を保持する断熱加圧ホルダーである。ホルダー32は、ヒータ14を保持するホルダー24と同様に、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等、機械的強度と断熱性に優れた部材が適している。また、摺動部材31とホルダー32は一体成型によって形成されてあっても良い。このホルダー32は図示しない加圧手段によって定着ローラ10表面に対して加圧されている。これにより摺動部材31と定着ローラ10表面との間でフィルム33を挟むことによって、フィルム33と定着ローラ10表面との間に所定幅のニップ部Nを形成している。フィルム33と摺動部材31の間には摩擦抵抗を小さく抑えるためのグリス等の潤滑剤が少量介在させてある。フィルム33は定着ローラ10の回転駆動に伴って、摩擦による回転力を受けて摺動部材31に密着しながら従動回転する構成である。
このような構成とすることによって、バックアップ部材全体の熱容量を減らすことができる。これにより、定着ローラ10からバックアップ部材側に吸熱される熱を削減でき、熱効率の向上を図ることができる。
2)パッド/シート式バックアップ部材
図15はバックアップ部材として加圧パッド40を用いた定着装置の一例を表す断面図である。図16はバックアップ部材として加圧シート41を用いた定着装置の一例を表す断面図である。
図15はバックアップ部材として加圧パッド40を用いた定着装置の一例を表す断面図である。図16はバックアップ部材として加圧シート41を用いた定着装置の一例を表す断面図である。
図15に示すように、加圧パッド40は、図示しない加圧手段により定着ローラ10表面に対し加圧されてニップ部Nを形成する。この加圧パッド40は、耐熱性、断熱性を有する液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK、ポリイミド、ポリアミドイミド等により成型されている。定着ローラ10表面と接触する加圧パッド40の表面には定着ローラ10との摩擦力を低減する為に、PFAやPTFE、FEP等のフッ素樹脂が混合ないしは単独でコートや被覆されてあってもよい。
図16に示すように、加圧シート41は上記樹脂材料により弾性を有するシート状に成型してある。この加圧シート41は、短手方向の一端を金属や樹脂等の保持部材42により固定し、他端を定着ローラ10表面に弾性を利用して加圧状態に接触させてニップ部Nを形成する。
このような加圧パッド40、或いは加圧シート41をバックアップ部材として用いる場合は、ニップ部Nを通過する記録材Pは、トナー画像を担持した面と反対側の面が加圧パッド40、或いは加圧シート41に摺擦しながら搬送される。したがって、定着ローラ10表面と記録材Pの間の摩擦力が小さいと、記録材Pがニップ部N内でスリップしてしまい搬送することが不可能になる。
記録材Pの安定した搬送を実現する為には、定着ローラ10表面の摩擦力を大きくし、記録材Pの搬送力を大きくする必要がある。
そのために、定着ローラ10において、例えば芯金11の外側にはシリコーン層12のみを設け、その表面はPEAやPTFEなどのフッ素系樹脂を被覆させないように構成したものを定着ローラ10として用いても良い。あるいは、表層13に用いるPFA、PTFE、FEP等の樹脂材料中に、シリカやアルミナなどをはじめとする無機フィラー等を混入させることにより、表層の摩擦力を大きくしたような構成のものを定着ローラ10として用いることも可能である。
そのために、定着ローラ10において、例えば芯金11の外側にはシリコーン層12のみを設け、その表面はPEAやPTFEなどのフッ素系樹脂を被覆させないように構成したものを定着ローラ10として用いても良い。あるいは、表層13に用いるPFA、PTFE、FEP等の樹脂材料中に、シリカやアルミナなどをはじめとする無機フィラー等を混入させることにより、表層の摩擦力を大きくしたような構成のものを定着ローラ10として用いることも可能である。
これらの加圧パッド40及び加圧シート41は、樹脂材料を用いる為、加工性に自由度がある。図17は加圧パッド40の加工例の一例を表す説明図である。図18は加圧パッド40の加工例を他の例を表す説明図である。
図17に示すように、加圧パッド40は、定着ローラ10表面との接触面を凹部(逆R形状)に成型することによって、ニップ部Nを広く稼ぐ構成に対応することも容易である。また、図18に示すように、加圧パッド40の定着ローラ10表面との接触部分に凹凸部(突起等)を設けることにより、ニップ部N内の圧力分布を変化させ、画質の向上や記録材Pがニップ部Nから分離しやすい等の利点を得ることができる。また、加圧パッド40をバックアップ部材として用いているので、ローラやフィルム等をバックアップ部材として用いる構成に較べて、部品点数を減らすことができる。これにより、定着装置60の小型化が可能となり、定着装置60の占有スペースの削減にも有効である。
10:定着ローラ、12:弾性層、14:ヒータ、15:サーミスタ、16:耐熱性シート、20:加圧ローラ、25:ホルダー、27:温調制御部、33:可撓性部材、31:摺動部材、40:加圧パッド、41:加圧シート、N:ニップ部、P:記録材
Claims (9)
- 回転体と、前記回転体の外周面と接する耐熱性シートと、前記耐熱性シートを前記回転体の外周面に接触させてニップ部を形成し前記ニップ部で前記耐熱性シートを介して前記回転体を加熱する加熱体と、前記加熱体の発熱を制御する制御手段と、を有し、前記回転体の熱によって記録材上の像を加熱する像加熱装置において、
前記回転体の外周面と前記耐熱性シートとの接触領域において前記回転体と反対側に温度検知手段を有し、前記温度検知手段で前記シートを介して検知する前記回転体の温度に応じて前記制御手段により前記加熱体の発熱を制御することを特徴とする像加熱装置。 - 前記加熱体を保持する保持部材を有しており、前記温度検知手段は前記保持部材に保持されることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 前記温度検知手段は、前記回転体の回転方向において前記加熱体よりも下流側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 前記温度検知手段は、前記回転体の回転方向において前記加熱体よりも上流側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 前記回転体は弾性層を有しており、前記回転体の外周面と接して前記記録材を挟持するためのニップ部を形成するバックアップ部材を有することを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 前記バックアップ部材は、弾性層を有する加圧回転体であることを特徴とする請求項5に記載の像加熱装置。
- 前記バックアップ部材は、可撓性部材と、前記可撓性部材が摺動可能で、かつ前記可撓性部材を前記回転体の外周面と挟むことによって前記ニップ部を形成する摺動部材と、を有することを特徴とする請求項5に記載の像加熱装置。
- 前記可撓性部材は、樹脂を基層とするエンドレスタイプのフィルムであることを特徴とする請求項7に記載の像加熱装置。
- 前記バックアップ部材は、摺動性を有する樹脂材料により成型された加圧パッド及び加圧シートの何れかであることを特徴とする請求項5に記載の像加熱装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010014309A (ja) * | 2008-07-02 | 2010-01-21 | Nippon Steel Corp | 耐火物の目地の施工方法、及び耐火物の目地構造 |
US8606164B2 (en) | 2010-07-28 | 2013-12-10 | Canon Kabushiki Kaisha | Rotatable image heating member and image heating device |
-
2006
- 2006-06-06 JP JP2006157257A patent/JP2007328020A/ja active Pending
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