JP2004012434A - ペプシノーゲン測定方法および測定用キット - Google Patents
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Abstract
【課題】経時の異なる検体について、異なる経時の影響を抑えてペプシノーゲン濃度を測定することが可能なペプシノーゲン測定法および測定用キットを提供すること。
【解決手段】ヒト由来の検体中のペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIを、抗ペプシノーゲンI抗体または抗ペプシノーゲンII抗体と抗原抗体反応により凝集反応せしめてペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIの濃度を測定する方法。その際、上記凝集反応を行う前にヒト由来の検体を予め第4級アンモニウム塩と混合し次いで前記凝集反応を弱酸性ないし中性の条件下で実施するとともに同条件下でペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIの濃度を測定する。
【選択図】 なし
【解決手段】ヒト由来の検体中のペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIを、抗ペプシノーゲンI抗体または抗ペプシノーゲンII抗体と抗原抗体反応により凝集反応せしめてペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIの濃度を測定する方法。その際、上記凝集反応を行う前にヒト由来の検体を予め第4級アンモニウム塩と混合し次いで前記凝集反応を弱酸性ないし中性の条件下で実施するとともに同条件下でペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIの濃度を測定する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペプシノーゲンIまたはIIの濃度を測定するためのペプシノーゲンIまたはII測定方法およびペプシノーゲンIまたはII測定用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
ペプシノーゲンは、胃粘膜から分泌される蛋白分解酵素ペプシンの前駆体で、ペプシノーゲンIとペプシノーゲンIIに分けられる。慢性萎縮性胃炎が進行すると血液中のペプシノーゲンIの濃度は低下するが、ペプシノーゲンIIの濃度は低下しないといわれている。ペプシノーゲン法は、血液中のペプシノーゲンIの低下およびIとIIの比を調べることにより、慢性萎縮性胃炎の進行度を調べ、胃がんになりやすい状態か否かのふるいわけを行う方法であり、胃がん高危険群のスクリーニング法として有用性が高く評価されている(厚生省がん研究助成金による血清ペプシノーゲンによる胃がんスクリーニングに関する研究9−8、平成12年度研究報告 参照)。
【0003】
ペプシノーゲンIまたはIIの測定には、放射線免疫測定法、酵素免疫測定法、化学発光免疫法、ラテックス凝集免疫比濁法が用いられている。
【0004】
特に、ラテックス凝集免疫比濁法は、他法に比べて簡便かつ迅速な測定方法である。なお、ラテックス比濁法の詳細については、例えば、臨床検査機器・試薬,21(6),607−612,1998を参照されたい。このように、ラテックス凝集免疫比濁法は、簡便かつ迅速にペプシノーゲンIまたはIIの測定が行える方法となっているものの、他方、検体鮮度の影響により正しい値が測定できない問題があった。すなわち、採血直後における測定値と、検体を冷蔵保存した後における測定値が変動したり、あるいは検体を冷蔵保存した日数によっても測定値が相違したりする方法となっていた。従って、従来のラテックス凝集免疫比濁法を用いて、正確なペプシノーゲン濃度を得るためには、採血後、一定期間内に測定を行うといった管理が必要になっていたが、このような管理を行うことは極めて困難であった。そのような理由から、正確に測定するためには検体を凍結保存して測定するなどの管理が必要であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、経時の異なる検体について、異なる経時の影響を抑えてペプシノーゲン濃度を測定することが可能なペプシノーゲン測定法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、本発明のペプシノーゲン測定法に好適に使用されるペプシノーゲン測定用キットを提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、ヒト由来の検体中のペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIを、抗ペプシノーゲンI抗体または抗ペプシノーゲンII抗体と抗原抗体反応により凝集反応せしめてペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIの濃度を測定する方法であって、上記凝集反応を行う前にヒト由来の検体を予め第4級アンモニウム塩と混合し次いで前記凝集反応を弱酸性ないし中性の条件下で実施するとともに同条件下でペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIの濃度を測定する、ことを特徴とする前記方法によって達成される。
【0009】
また、本発明の上記目的および利点は、本発明によれば、第2に、第4級アンモニウム塩の水溶液並びに不溶性担体に担持した抗ペプシノーゲンI抗体のラテックスおよび/または不溶性担体に担持した抗ペプシノーゲンII抗体のラテックスの組合せからなる、ペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンII測定用キットによって達成される。
【0010】
【発明の好ましい実施形態】
本発明のペプシノーゲン測定方法の具体的な実現方法は、特に限定されない。いわゆる、一液型の試薬の使用により実現してもよく、二液型の試薬の使用により実現してもよい。好ましくは二液型の試薬での実現である。
【0011】
例えば、検体を希釈するための第一試薬であって、第4級アンモニウム塩を含む第一試薬と、前記第一試薬によって希釈された前記検体と混和される第二試薬であって、抗ペプシノーゲンIまたはII抗体が感作された不溶性担体を含む第二試薬とを用意しておき(例えばペプシノーゲンIまたはII測定用キットとして)、まず、検体と第一試薬とを混和し、つぎに得られた混和物と第二試薬とを混和することによって反応系を調整し、その反応系内で生ずる前記不溶性担体の凝集反応に基づき前記ペプシノーゲンIまたはIIの濃度を測定するといった手順で、本発明にかかるペプシノーゲンIまたはIIの測定方法を実現することができる。
【0012】
本発明によるペプシノーゲンIまたはIIの測定方法を使用する場合、反応系における第4級アンモニウム塩の含有率(濃度)を高くしておいた方が、検体経時の影響がより少ない状態での測定が可能となる。しかしながら、第4級アンモニウム塩の濃度が高くなるほど測定感度が低下するようになるため、反応系内の第4級アンモニウム塩の含有率(重量基準)は、0.5〜10%程度であることが好ましく1〜5%、特に2〜3%としておくことがさらに好ましい。このとき、反応系のpHを弱酸性〜弱塩基性、好ましくは弱酸性にすると塩基性に比べて測定感度を高くすることができる。つまり、反応系を弱酸性から中性にすることで第4級アンモニウム塩を多く含ませることができる。
【0013】
また、上記の如く第一試薬と第二試薬とを用いる態様で本発明を実施する場合には、その混合の結合物の第4級アンモニウム塩含有率が上記範囲となるようにしておけばよい。すなわち、第一試薬と第二試薬の双方に第4級アンモニウム塩を含ませておいてもよく、一方のみに第4級アンモニウム塩を含ませておいてもよい。後者の場合は、第一試薬に第4級アンモニウム塩を含ませておいた方が好ましい。
【0014】
第4級アンモニウム塩としては、例えば塩化コリン、臭化コリンまたは塩化アセチルコリンが好ましく用いられる。
【0015】
また、第一試薬のpHが、弱酸性〜弱塩基性において、検体を希釈することによって、測定における検体鮮度の影響性を軽減できる。具体的には、第一試薬のpHが6〜8.2が好ましい。特にペプシノーゲンIIの測定では、第一試薬のpHが6〜7が好ましい。
【0016】
さらに好ましくは、ペプシノーゲンIの濃度の測定では、第4級アンモニウム塩がpH6〜8.6の2〜10重量%の塩化コリン水溶液として用いられそして抗ペプシノーゲンI抗体が不溶性担体に担持されそしてpH6〜7.5のラテックスとして用いられる。
【0017】
また、ペプシノーゲンIIの濃度の測定では、第4級アンモニウム塩がpH6〜7の1〜5重量%の塩化コリン水溶液として用いられそして抗ペプシノーゲンII抗体が不溶性担体に担持されそしてpH6〜7.5のラテックスとして用いられる。
【0018】
不溶性担体としては、一般に免疫学的凝集法に用いられているラテックス粒子を用いることができることは当然として、その他リポゾーム、金コロイド等を用いることができる。好ましくはその粒子径は0.05〜0.5μmであり、より好ましくは0.2〜0.5μmである。また、何種類かの不溶性担体を組合せて用いてもよい。抗ペプシノーゲンIまたはII抗体は、ポリクロナール抗体、モノクロナール抗体のいずれであってもよい。また、抗体由来の動物種は特に限定されない。不溶性担体への抗ペプシノーゲンIまたはII抗体の感作は、周知の方法を用いて抗ペプシノーゲンIまたはII抗体を不溶性担体へ吸着または結合させることにより実現できる。
【0019】
また、第一試薬は、グリシン緩衝液、トリス緩衝液、リン酸緩衝液などを元として調製することができる。その際、アルブミン等のタンパク、ポリエチレングリコール等の高分子、ツイーン、トライトン等の界面活性剤、塩化ナトリウム等の塩化物、アジ化ナトリウム等の防腐剤等を含めることもできる。
【0020】
本発明によれば、本発明の上記測定法に好適に使用される免疫学的測定用キットが同様に提供される。このキットは、第4級アンモニウム塩の水溶液例えば上記の如きpHや濃度を持つ第4級アンモニウム塩の水溶液と、不溶性担体に担持された抗ペプシノーゲンI抗体のラテックスおよび/または不溶性担体に担持された抗ペプシノーゲンII抗体のラテックスの組合せからなる。上記水溶液とラテックスとは、それぞれ別個の容器に収容されそして測定時に例えば前記第一試薬および第二試薬として用いられる。
【0021】
【実施例】
以下の実施例によって、さらに詳しく本発明の説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0022】
実施例1
(1)ペプシノーゲンI抗体感作ラテックス試薬(第二試薬)の調製
抗ペプシノーゲンIモノクロナール抗体(A)3mgをリン酸ナトリウム緩衝液9.5mLに溶解し、0.3μmのポリスチレンラテックス(固形分10重量%緩衝液)0.5mLを加え、37℃で2時間インキュベーションした。次いで、これに2%BSA−リン酸緩衝液2mLを加え、37℃で90分間インキュベーションすることによりポストコーティングを行った。次に遠心分離(15,000rpmにて15分間遠心)を行い、上清を捨て、沈殿を牛血清アルブミン溶液(0.1Mグリシン、0.05M塩化ナトリウム、0.05%アジ化ナトリウム、0.2%BSA、5%コリン)に懸濁させ、ペプシノーゲンI抗体感作ラテックス(A)を調製した。同様に、抗ペプシノーゲンI抗体(B)を用いて、ペプシノーゲンI抗体感作ラテックス(B)を調製した。(A)および(B)を混合して、ペプシノーゲンI抗体感作ラテックス試薬を調製した。
【0023】
(2)ペプシノーゲンI測定用緩衝液(第一試薬)の調製
1%BSA−50mMグリシン緩衝液(150mM塩化ナトリウム、0.1%アジ化ナトリウムを含む)に塩化コリン5%を加えて調製した。
【0024】
(3)ペプシノーゲンIの測定
自動分析装置7170(日立社製)を用いて行った。前記調製法によって得られたペプシノーゲンIの各々の第一試薬、第二試薬を用いて以下の条件で測定した。
検体量:10μL、第一試薬:270μL、第二試薬:50μL
測定波長:700nm、測定温度:37℃、測定ポイント20−34p
【0025】
検体に第一試薬を添加して約4.5分間インキュベーションを行った後、第二試薬を添加して約1分後から5分後の吸光度の差を測定し、濁度変化量(ΔOD)とした。検体の代わりにペプシノーゲンIの標準品を用いて前記の通りに測定して検量線を作成しておき、この検量線から検体のペプシノーゲンIの濃度を測定した。ヒト血清15例を検体として測定に用いた。検体は採血後0、4、15日間冷蔵保存(5℃)されたものを測定して、その経時変化を比較した。その結果を図1に示す。ここで、変化率とは、保存期間が0日である検体のペプシノーゲンIの測定結果C0と、保存期間がn日である検体のペプシノーゲンIの測定結果Cnとから、100×(Cn−C0)/C0で算出した値のことである。
【0026】
比較例1
対照第一試薬の調製
1%BSA−50mMグリシン緩衝液(150mM塩化ナトリウム、0.1%アジ化ナトリウムを含む)を調製した。実施例1において、塩化コリンを加えない他は最終的に実施例1の(2)と同じ組成になるように調製した。
上記コリンを含まない第一試薬を用いる他は実施例1と同様に行った。結果を図2に示した。
図1および図2に示した結果の対比から、実施例1の方法(塩化コリン存在下)では比較例1の方法(従来の方法)に比べて検体の経時変化の影響を受けずに測定できたことが分かる。
【0027】
実施例2
(1)ペプシノーゲン II 抗体感作ラテックス試薬(第二試薬)の調製
抗ペプシノーゲンIIモノクロナール抗体(A)および(B)を用いて、実施例1と同様に操作して、ペプシノーゲンII抗体感作ラテックス試薬を調製した。
(2)ペプシノーゲン II 測定用緩衝液(第一試薬)の調製
実施例1と同様に操作して、塩化コリン2.0%を含むペプシノーゲンII測定用緩衝液(第一試薬)を調製した。
(3)ペプシノーゲン II の測定
実施例1と同様に操作して、ペプシノーゲンIIを測定した。その結果を図3に示す。
【0028】
比較例2
対照第一試薬の調製
1%BSA−50mMグリシン緩衝液(150mM塩化ナトリウム、0.1%アジ化ナトリウムを含む)を調製した。実施例2において、塩化コリンを加えない他は最終的に実施例2の(2)と同じ組成になるように調製した。結果を第4図に示す。
図3および図4に示した結果の対比から、実施例2の方法(塩化コリン存在下)は比較例2の方法(従来の方法)に比べ検体の経時変化を受けずに測定できたことが分かる。
【0029】
実施例3
(1)ペプシノーゲンIおよび II 抗体感作ラテックス試薬(第二試薬)の調製
実施例1および2で調製したペプシノーゲンIおよびII抗体感作ラテックス試薬を調製した。
(2)ペプシノーゲンIおよび II 測定用緩衝液(第一試薬)の調製
1%BSA−グリシン緩衝液(150mM塩化ナトリウム、0.1%アジ化ナトリウムを含む)pH9.5およびpH8.2を調製した。また、同様に1%BSA−リン酸緩衝液(150mM塩化ナトリウム、0.1%アジ化ナトリウムを含む)pH6.0およびpH7.0を調製した。
(3)ペプシノーゲンIおよび II の測定
実施例1または2と同様に操作して、ペプシノーゲンIおよびIIを測定した。第一試薬は、pHの異なる4種類について比較した。第一試薬のpHが6.0、8.2、9.5のとき、反応液中のpHは7.17、7.56、9.44となった。図5はペプシノーゲンIについての、また図6はペプシノーゲンIIについての、反応液中のpHと検体鮮度の影響性の関係を表す(ヒト血清15例を検体として測定に用いた。検体は採血後0日と7日間冷蔵保存(5℃)されたものを測定して、その経時変化を比較した。)ここで、変化率とは、保存期間が0日である検体のペプシノーゲンIまたはIIの測定結果C0と、保存期間がn日である検体のペプシノーゲンIまたはIIの測定結果Cnとから、100×(Cn−C0)/C0で算出した値のことである。図7はペプシノーゲンIについての、図8はペプシノーゲンIIについての、反応液中のpHと吸光度変化量(ΔOD)との関係を表す。
【0030】
図5に示したように、ペプシノーゲンIの測定においては、反応液中のpHが中性から弱アルカリ性(第一試薬のpHが6〜8.2)で検体鮮度の影響が受けにくいことがわかる。pHが9.44(第一試薬のpHが9.5)では変動率が10%を超える。また、ペプシノーゲンIIでは、中性付近(第一試薬のpHが6〜7)、もしくはpHが9.44(第一試薬のpHが9.5)で検体鮮度の影響を受けにくいが、塩基性が強くなると吸光度変化量(ΔOD)が小さくなるため(図6)、相関係数が低下する。
【0031】
実施例4
(1)ペプシノーゲンIおよび II 抗体感作ラテックス試薬(第二試薬)の調製
実施例1および2で調製したペプシノーゲンIおよびII抗体感作ラテックス試薬を使用した。
(2)ペプシノーゲンIおよび II 測定用緩衝液(第一試薬)の調製
1%BSA−グリシン緩衝液(150mM塩化ナトリウム、0.1%アジ化ナトリウムを含む)pH8.2を調製した。これに塩化コリンを0%、5%および10%を加えて3種類の第一試薬を調製した。
(3)ペプシノーゲンIおよび II の測定
実施例1または2と同様に操作して、ペプシノーゲンIおよびIIを測定した。塩化コリンの含有量と吸光度変化量(ΔOD)の関係を図9(ペプシノーゲンIについて)および図10(ペプシノーゲンIIについて)に示す。
ペプシノーゲンIおよびIIは、より多くの塩化コリンを含む第一試薬を用いた方が、検体鮮度の影響を受けたいためには有効であるが、図9および図10に示すように、第一試薬中の塩化コリン濃度を増やすと、吸光度変化量(ΔOD)が低下してしまう。
【0032】
実施例5
(1)ペプシノーゲン II 抗体感作ラテックス試薬(第二試薬)の調製
実施例2と同様に操作して、ペプシノーゲンII抗体感作ラテックス試薬を調製した。
(2)ペプシノーゲン II 測定用緩衝液(第一試薬)の調製
実施例2、3と同様に操作して、塩化コリンは2.5%を含む1%BSA−リン酸緩衝液(150mM塩化ナトリウム、0.1%アジ化ナトリウムを含む)pH6.0であるペプシノーゲンII測定用緩衝液(第一試薬)を調製した。
(3)ペプシノーゲン II の測定
実施例1の手順と同様に操作して、ペプシノーゲンIIを測定した。その結果を図11に示す。
図11に示した結果から、実施例5の方法(2.5%の塩化コリン存在下、第一試薬pH6.0)は検体鮮度の影響を受けにくい測定であることがわかる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、径時の異なる検体について、異なる径時の影響を抑えてペプシノーゲン濃度を測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】保存日数が0日である検体と保存日数が4日または15日である検体についてのペプシノーゲンIの測定結果の関係(実施例1)。
【図2】保存日数が0日である検体と保存日数が4日または15日である検体についてのペプシノーゲンIの測定結果の関係(比較例1)。
【図3】保存日数が0日である検体と保存日数が4日または15日である検体についてのペプシノーゲンIIの測定結果の関係(実施例2)。
【図4】保存日数が0日である検体と保存日数が4日または15日である検体についてのペプシノーゲンIIの測定結果の関係(比較例2)。
【図5】ペプシノーゲンIについての変動率と相関係数のpH依存性(実施例3)。
【図6】ペプシノーゲンIIについての変動率と相関係数のpH依存性(実施例3)。
【図7】ペプシノーゲンIについてのΔODのpH依存性(実施例3)。
【図8】ペプシノーゲンIIについてのΔODのpH依存性(実施例3)。
【図9】ペプシノーゲンIについてのΔODに対する塩化コリン濃度の影響(実施例4)。
【図10】ペプシノーゲンIIについてのΔODに対する塩化コリン濃度の影響(実施例4)。
【図11】保存日数が0日である検体と保存日数が21日である検体についてのペプシノーゲンIIの測定結果の関係(実施例5)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペプシノーゲンIまたはIIの濃度を測定するためのペプシノーゲンIまたはII測定方法およびペプシノーゲンIまたはII測定用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
ペプシノーゲンは、胃粘膜から分泌される蛋白分解酵素ペプシンの前駆体で、ペプシノーゲンIとペプシノーゲンIIに分けられる。慢性萎縮性胃炎が進行すると血液中のペプシノーゲンIの濃度は低下するが、ペプシノーゲンIIの濃度は低下しないといわれている。ペプシノーゲン法は、血液中のペプシノーゲンIの低下およびIとIIの比を調べることにより、慢性萎縮性胃炎の進行度を調べ、胃がんになりやすい状態か否かのふるいわけを行う方法であり、胃がん高危険群のスクリーニング法として有用性が高く評価されている(厚生省がん研究助成金による血清ペプシノーゲンによる胃がんスクリーニングに関する研究9−8、平成12年度研究報告 参照)。
【0003】
ペプシノーゲンIまたはIIの測定には、放射線免疫測定法、酵素免疫測定法、化学発光免疫法、ラテックス凝集免疫比濁法が用いられている。
【0004】
特に、ラテックス凝集免疫比濁法は、他法に比べて簡便かつ迅速な測定方法である。なお、ラテックス比濁法の詳細については、例えば、臨床検査機器・試薬,21(6),607−612,1998を参照されたい。このように、ラテックス凝集免疫比濁法は、簡便かつ迅速にペプシノーゲンIまたはIIの測定が行える方法となっているものの、他方、検体鮮度の影響により正しい値が測定できない問題があった。すなわち、採血直後における測定値と、検体を冷蔵保存した後における測定値が変動したり、あるいは検体を冷蔵保存した日数によっても測定値が相違したりする方法となっていた。従って、従来のラテックス凝集免疫比濁法を用いて、正確なペプシノーゲン濃度を得るためには、採血後、一定期間内に測定を行うといった管理が必要になっていたが、このような管理を行うことは極めて困難であった。そのような理由から、正確に測定するためには検体を凍結保存して測定するなどの管理が必要であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、経時の異なる検体について、異なる経時の影響を抑えてペプシノーゲン濃度を測定することが可能なペプシノーゲン測定法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、本発明のペプシノーゲン測定法に好適に使用されるペプシノーゲン測定用キットを提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、ヒト由来の検体中のペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIを、抗ペプシノーゲンI抗体または抗ペプシノーゲンII抗体と抗原抗体反応により凝集反応せしめてペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIの濃度を測定する方法であって、上記凝集反応を行う前にヒト由来の検体を予め第4級アンモニウム塩と混合し次いで前記凝集反応を弱酸性ないし中性の条件下で実施するとともに同条件下でペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIの濃度を測定する、ことを特徴とする前記方法によって達成される。
【0009】
また、本発明の上記目的および利点は、本発明によれば、第2に、第4級アンモニウム塩の水溶液並びに不溶性担体に担持した抗ペプシノーゲンI抗体のラテックスおよび/または不溶性担体に担持した抗ペプシノーゲンII抗体のラテックスの組合せからなる、ペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンII測定用キットによって達成される。
【0010】
【発明の好ましい実施形態】
本発明のペプシノーゲン測定方法の具体的な実現方法は、特に限定されない。いわゆる、一液型の試薬の使用により実現してもよく、二液型の試薬の使用により実現してもよい。好ましくは二液型の試薬での実現である。
【0011】
例えば、検体を希釈するための第一試薬であって、第4級アンモニウム塩を含む第一試薬と、前記第一試薬によって希釈された前記検体と混和される第二試薬であって、抗ペプシノーゲンIまたはII抗体が感作された不溶性担体を含む第二試薬とを用意しておき(例えばペプシノーゲンIまたはII測定用キットとして)、まず、検体と第一試薬とを混和し、つぎに得られた混和物と第二試薬とを混和することによって反応系を調整し、その反応系内で生ずる前記不溶性担体の凝集反応に基づき前記ペプシノーゲンIまたはIIの濃度を測定するといった手順で、本発明にかかるペプシノーゲンIまたはIIの測定方法を実現することができる。
【0012】
本発明によるペプシノーゲンIまたはIIの測定方法を使用する場合、反応系における第4級アンモニウム塩の含有率(濃度)を高くしておいた方が、検体経時の影響がより少ない状態での測定が可能となる。しかしながら、第4級アンモニウム塩の濃度が高くなるほど測定感度が低下するようになるため、反応系内の第4級アンモニウム塩の含有率(重量基準)は、0.5〜10%程度であることが好ましく1〜5%、特に2〜3%としておくことがさらに好ましい。このとき、反応系のpHを弱酸性〜弱塩基性、好ましくは弱酸性にすると塩基性に比べて測定感度を高くすることができる。つまり、反応系を弱酸性から中性にすることで第4級アンモニウム塩を多く含ませることができる。
【0013】
また、上記の如く第一試薬と第二試薬とを用いる態様で本発明を実施する場合には、その混合の結合物の第4級アンモニウム塩含有率が上記範囲となるようにしておけばよい。すなわち、第一試薬と第二試薬の双方に第4級アンモニウム塩を含ませておいてもよく、一方のみに第4級アンモニウム塩を含ませておいてもよい。後者の場合は、第一試薬に第4級アンモニウム塩を含ませておいた方が好ましい。
【0014】
第4級アンモニウム塩としては、例えば塩化コリン、臭化コリンまたは塩化アセチルコリンが好ましく用いられる。
【0015】
また、第一試薬のpHが、弱酸性〜弱塩基性において、検体を希釈することによって、測定における検体鮮度の影響性を軽減できる。具体的には、第一試薬のpHが6〜8.2が好ましい。特にペプシノーゲンIIの測定では、第一試薬のpHが6〜7が好ましい。
【0016】
さらに好ましくは、ペプシノーゲンIの濃度の測定では、第4級アンモニウム塩がpH6〜8.6の2〜10重量%の塩化コリン水溶液として用いられそして抗ペプシノーゲンI抗体が不溶性担体に担持されそしてpH6〜7.5のラテックスとして用いられる。
【0017】
また、ペプシノーゲンIIの濃度の測定では、第4級アンモニウム塩がpH6〜7の1〜5重量%の塩化コリン水溶液として用いられそして抗ペプシノーゲンII抗体が不溶性担体に担持されそしてpH6〜7.5のラテックスとして用いられる。
【0018】
不溶性担体としては、一般に免疫学的凝集法に用いられているラテックス粒子を用いることができることは当然として、その他リポゾーム、金コロイド等を用いることができる。好ましくはその粒子径は0.05〜0.5μmであり、より好ましくは0.2〜0.5μmである。また、何種類かの不溶性担体を組合せて用いてもよい。抗ペプシノーゲンIまたはII抗体は、ポリクロナール抗体、モノクロナール抗体のいずれであってもよい。また、抗体由来の動物種は特に限定されない。不溶性担体への抗ペプシノーゲンIまたはII抗体の感作は、周知の方法を用いて抗ペプシノーゲンIまたはII抗体を不溶性担体へ吸着または結合させることにより実現できる。
【0019】
また、第一試薬は、グリシン緩衝液、トリス緩衝液、リン酸緩衝液などを元として調製することができる。その際、アルブミン等のタンパク、ポリエチレングリコール等の高分子、ツイーン、トライトン等の界面活性剤、塩化ナトリウム等の塩化物、アジ化ナトリウム等の防腐剤等を含めることもできる。
【0020】
本発明によれば、本発明の上記測定法に好適に使用される免疫学的測定用キットが同様に提供される。このキットは、第4級アンモニウム塩の水溶液例えば上記の如きpHや濃度を持つ第4級アンモニウム塩の水溶液と、不溶性担体に担持された抗ペプシノーゲンI抗体のラテックスおよび/または不溶性担体に担持された抗ペプシノーゲンII抗体のラテックスの組合せからなる。上記水溶液とラテックスとは、それぞれ別個の容器に収容されそして測定時に例えば前記第一試薬および第二試薬として用いられる。
【0021】
【実施例】
以下の実施例によって、さらに詳しく本発明の説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0022】
実施例1
(1)ペプシノーゲンI抗体感作ラテックス試薬(第二試薬)の調製
抗ペプシノーゲンIモノクロナール抗体(A)3mgをリン酸ナトリウム緩衝液9.5mLに溶解し、0.3μmのポリスチレンラテックス(固形分10重量%緩衝液)0.5mLを加え、37℃で2時間インキュベーションした。次いで、これに2%BSA−リン酸緩衝液2mLを加え、37℃で90分間インキュベーションすることによりポストコーティングを行った。次に遠心分離(15,000rpmにて15分間遠心)を行い、上清を捨て、沈殿を牛血清アルブミン溶液(0.1Mグリシン、0.05M塩化ナトリウム、0.05%アジ化ナトリウム、0.2%BSA、5%コリン)に懸濁させ、ペプシノーゲンI抗体感作ラテックス(A)を調製した。同様に、抗ペプシノーゲンI抗体(B)を用いて、ペプシノーゲンI抗体感作ラテックス(B)を調製した。(A)および(B)を混合して、ペプシノーゲンI抗体感作ラテックス試薬を調製した。
【0023】
(2)ペプシノーゲンI測定用緩衝液(第一試薬)の調製
1%BSA−50mMグリシン緩衝液(150mM塩化ナトリウム、0.1%アジ化ナトリウムを含む)に塩化コリン5%を加えて調製した。
【0024】
(3)ペプシノーゲンIの測定
自動分析装置7170(日立社製)を用いて行った。前記調製法によって得られたペプシノーゲンIの各々の第一試薬、第二試薬を用いて以下の条件で測定した。
検体量:10μL、第一試薬:270μL、第二試薬:50μL
測定波長:700nm、測定温度:37℃、測定ポイント20−34p
【0025】
検体に第一試薬を添加して約4.5分間インキュベーションを行った後、第二試薬を添加して約1分後から5分後の吸光度の差を測定し、濁度変化量(ΔOD)とした。検体の代わりにペプシノーゲンIの標準品を用いて前記の通りに測定して検量線を作成しておき、この検量線から検体のペプシノーゲンIの濃度を測定した。ヒト血清15例を検体として測定に用いた。検体は採血後0、4、15日間冷蔵保存(5℃)されたものを測定して、その経時変化を比較した。その結果を図1に示す。ここで、変化率とは、保存期間が0日である検体のペプシノーゲンIの測定結果C0と、保存期間がn日である検体のペプシノーゲンIの測定結果Cnとから、100×(Cn−C0)/C0で算出した値のことである。
【0026】
比較例1
対照第一試薬の調製
1%BSA−50mMグリシン緩衝液(150mM塩化ナトリウム、0.1%アジ化ナトリウムを含む)を調製した。実施例1において、塩化コリンを加えない他は最終的に実施例1の(2)と同じ組成になるように調製した。
上記コリンを含まない第一試薬を用いる他は実施例1と同様に行った。結果を図2に示した。
図1および図2に示した結果の対比から、実施例1の方法(塩化コリン存在下)では比較例1の方法(従来の方法)に比べて検体の経時変化の影響を受けずに測定できたことが分かる。
【0027】
実施例2
(1)ペプシノーゲン II 抗体感作ラテックス試薬(第二試薬)の調製
抗ペプシノーゲンIIモノクロナール抗体(A)および(B)を用いて、実施例1と同様に操作して、ペプシノーゲンII抗体感作ラテックス試薬を調製した。
(2)ペプシノーゲン II 測定用緩衝液(第一試薬)の調製
実施例1と同様に操作して、塩化コリン2.0%を含むペプシノーゲンII測定用緩衝液(第一試薬)を調製した。
(3)ペプシノーゲン II の測定
実施例1と同様に操作して、ペプシノーゲンIIを測定した。その結果を図3に示す。
【0028】
比較例2
対照第一試薬の調製
1%BSA−50mMグリシン緩衝液(150mM塩化ナトリウム、0.1%アジ化ナトリウムを含む)を調製した。実施例2において、塩化コリンを加えない他は最終的に実施例2の(2)と同じ組成になるように調製した。結果を第4図に示す。
図3および図4に示した結果の対比から、実施例2の方法(塩化コリン存在下)は比較例2の方法(従来の方法)に比べ検体の経時変化を受けずに測定できたことが分かる。
【0029】
実施例3
(1)ペプシノーゲンIおよび II 抗体感作ラテックス試薬(第二試薬)の調製
実施例1および2で調製したペプシノーゲンIおよびII抗体感作ラテックス試薬を調製した。
(2)ペプシノーゲンIおよび II 測定用緩衝液(第一試薬)の調製
1%BSA−グリシン緩衝液(150mM塩化ナトリウム、0.1%アジ化ナトリウムを含む)pH9.5およびpH8.2を調製した。また、同様に1%BSA−リン酸緩衝液(150mM塩化ナトリウム、0.1%アジ化ナトリウムを含む)pH6.0およびpH7.0を調製した。
(3)ペプシノーゲンIおよび II の測定
実施例1または2と同様に操作して、ペプシノーゲンIおよびIIを測定した。第一試薬は、pHの異なる4種類について比較した。第一試薬のpHが6.0、8.2、9.5のとき、反応液中のpHは7.17、7.56、9.44となった。図5はペプシノーゲンIについての、また図6はペプシノーゲンIIについての、反応液中のpHと検体鮮度の影響性の関係を表す(ヒト血清15例を検体として測定に用いた。検体は採血後0日と7日間冷蔵保存(5℃)されたものを測定して、その経時変化を比較した。)ここで、変化率とは、保存期間が0日である検体のペプシノーゲンIまたはIIの測定結果C0と、保存期間がn日である検体のペプシノーゲンIまたはIIの測定結果Cnとから、100×(Cn−C0)/C0で算出した値のことである。図7はペプシノーゲンIについての、図8はペプシノーゲンIIについての、反応液中のpHと吸光度変化量(ΔOD)との関係を表す。
【0030】
図5に示したように、ペプシノーゲンIの測定においては、反応液中のpHが中性から弱アルカリ性(第一試薬のpHが6〜8.2)で検体鮮度の影響が受けにくいことがわかる。pHが9.44(第一試薬のpHが9.5)では変動率が10%を超える。また、ペプシノーゲンIIでは、中性付近(第一試薬のpHが6〜7)、もしくはpHが9.44(第一試薬のpHが9.5)で検体鮮度の影響を受けにくいが、塩基性が強くなると吸光度変化量(ΔOD)が小さくなるため(図6)、相関係数が低下する。
【0031】
実施例4
(1)ペプシノーゲンIおよび II 抗体感作ラテックス試薬(第二試薬)の調製
実施例1および2で調製したペプシノーゲンIおよびII抗体感作ラテックス試薬を使用した。
(2)ペプシノーゲンIおよび II 測定用緩衝液(第一試薬)の調製
1%BSA−グリシン緩衝液(150mM塩化ナトリウム、0.1%アジ化ナトリウムを含む)pH8.2を調製した。これに塩化コリンを0%、5%および10%を加えて3種類の第一試薬を調製した。
(3)ペプシノーゲンIおよび II の測定
実施例1または2と同様に操作して、ペプシノーゲンIおよびIIを測定した。塩化コリンの含有量と吸光度変化量(ΔOD)の関係を図9(ペプシノーゲンIについて)および図10(ペプシノーゲンIIについて)に示す。
ペプシノーゲンIおよびIIは、より多くの塩化コリンを含む第一試薬を用いた方が、検体鮮度の影響を受けたいためには有効であるが、図9および図10に示すように、第一試薬中の塩化コリン濃度を増やすと、吸光度変化量(ΔOD)が低下してしまう。
【0032】
実施例5
(1)ペプシノーゲン II 抗体感作ラテックス試薬(第二試薬)の調製
実施例2と同様に操作して、ペプシノーゲンII抗体感作ラテックス試薬を調製した。
(2)ペプシノーゲン II 測定用緩衝液(第一試薬)の調製
実施例2、3と同様に操作して、塩化コリンは2.5%を含む1%BSA−リン酸緩衝液(150mM塩化ナトリウム、0.1%アジ化ナトリウムを含む)pH6.0であるペプシノーゲンII測定用緩衝液(第一試薬)を調製した。
(3)ペプシノーゲン II の測定
実施例1の手順と同様に操作して、ペプシノーゲンIIを測定した。その結果を図11に示す。
図11に示した結果から、実施例5の方法(2.5%の塩化コリン存在下、第一試薬pH6.0)は検体鮮度の影響を受けにくい測定であることがわかる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、径時の異なる検体について、異なる径時の影響を抑えてペプシノーゲン濃度を測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】保存日数が0日である検体と保存日数が4日または15日である検体についてのペプシノーゲンIの測定結果の関係(実施例1)。
【図2】保存日数が0日である検体と保存日数が4日または15日である検体についてのペプシノーゲンIの測定結果の関係(比較例1)。
【図3】保存日数が0日である検体と保存日数が4日または15日である検体についてのペプシノーゲンIIの測定結果の関係(実施例2)。
【図4】保存日数が0日である検体と保存日数が4日または15日である検体についてのペプシノーゲンIIの測定結果の関係(比較例2)。
【図5】ペプシノーゲンIについての変動率と相関係数のpH依存性(実施例3)。
【図6】ペプシノーゲンIIについての変動率と相関係数のpH依存性(実施例3)。
【図7】ペプシノーゲンIについてのΔODのpH依存性(実施例3)。
【図8】ペプシノーゲンIIについてのΔODのpH依存性(実施例3)。
【図9】ペプシノーゲンIについてのΔODに対する塩化コリン濃度の影響(実施例4)。
【図10】ペプシノーゲンIIについてのΔODに対する塩化コリン濃度の影響(実施例4)。
【図11】保存日数が0日である検体と保存日数が21日である検体についてのペプシノーゲンIIの測定結果の関係(実施例5)。
Claims (5)
- ヒト由来の検体中のペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIを、抗ペプシノーゲンI抗体または抗ペプシノーゲンII抗体と抗原抗体反応により凝集反応せしめてペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIの濃度を測定する方法であって、上記凝集反応を行う前にヒト由来の検体を予め第4級アンモニウム塩と混合し次いで前記凝集反応を弱酸性ないし中性の条件下で実施するとともに同条件下でペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンIIの濃度を測定する、ことを特徴とする前記方法。
- 第4級アンモニウム塩が塩化コリン、臭化コリンまたは塩化アセチルコリンである請求項1に記載の方法。
- 第4級アンモニウム塩がpH6〜8.6の2〜10重量%の塩化コリン水溶液として用いられ、抗ペプシノーゲンI抗体が不溶性担体に担持されそしてpH6〜7.5のラテックスとして用いられそしてペプシノーゲンIの濃度を測定する請求項1に記載の方法。
- 第4級アンモニウム塩がpH6〜7の1〜5重量%の塩化コリン水溶液として用いられ、抗ペプシノーゲンII抗体が不溶性担体に担持されそしてpH6〜7.5のラテックスとして用いられそしてペプシノーゲンIIの濃度を測定する請求項1に記載の方法。
- 第4級アンモニウム塩の水溶液並びに不溶性担体に担持した抗ペプシノーゲンI抗体のラテックスおよび/または不溶性担体に担持した抗ペプシノーゲンII抗体のラテックスの組合せからなる、ペプシノーゲンIまたはペプシノーゲンII測定用キット。
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