JP4020606B2 - Pivka−iiの測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、PIVKA−IIの免疫学的測定法、PIVKA−II測定用試薬、並びにPIVKA−II測定用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
PIVKA−II(Protein Induced by Vitamin K Absence or Antagonist II)は、ビタミンK依存性血漿蛋白質の一つであるプロトロンビンの前駆物質で、アミノ末端領域にある10個のグルタミン酸残基についてのγ−カルボキシル化の程度が不完全なものを指して言う。一方、カルボキシル化の程度が完全なものを正常プロトロンビンと言い、PIVKA−IIは正常プロトロンビンのγ−カルボキシグルタミン酸残基についての脱カルボキシル化体であるとも言えることから、PIVKA−IIという名称以外に異常プロトロンビン(Abnormal prothrombin)と呼ばれることもある。通常、10個のグルタミン酸残基中いくつがγ−カルボキシル化を受けるかにより数種類のPIVKA−IIが混在した状態で存在している。
【0003】
PIVKA−II測定の臨床的な有用性としては、ビタミンKの不足状態あるいは抑制状態において当該γ−カルボキシル化が不完全となり、その結果PIVKA−IIが血液中に出現するので、ビタミンKの不足状態あるいは抑制状態のマーカーとなることが知られている。また最近では、肝細胞腫瘍にともなって血中にPIVKA−IIが出現することが明らかにされ、従来肝細胞腫瘍の良いマーカーとされてきたα−フェトプロテイン(AFP)が陰性を示す肝細胞腫瘍患者においてもPIVKA−IIが高濃度に出現することがあることから、AFPと並び肝細胞腫瘍を検出するマーカーとしても広く用いられている。
【0004】
現在用いられているPIVKA−IIの測定方法としては、特異的モノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体を吸着させたプラスチックプレート等の固相担体と、血清や血漿等の生物学的試料との一次反応を行った後に、反応結合物と未反応物の分離(以下、B/F分離とも称する)を行い、蛍光物質、酵素、放射性同位元素等で標識したヒトプロトロンビンに特異的なモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体との二次反応を行って、反応により形成された免疫複合体の蛍光、発光量、酵素活性、放射能等を測定する免疫学的測定法が最も一般的である。
【0005】
一般に、このような免疫学的測定法において、B/F分離の操作は、測定を煩雑にし、時間のかかるものにしている主な原因の一つとなっている。B/F分離は、通常、チューブ、マイクロタイターウェル等の反応管から未反応物を含む反応液を廃棄した後、洗浄液の供給、インキュベーション、洗浄液の廃棄という洗浄操作を数回繰り返すことにより行われるが、これらの煩雑な操作を迅速簡便に行うために様々な技術が開発されている。例えば、一次抗体を担持させた担体(一次担体)としてラテックス等の不溶性粒子を利用した測定法は、フィルターにより迅速簡便にB/F分離が実施できることから自動化しやすいという特徴があり、広く用いられている。また、担体として磁性粒子を用いた測定法は、磁力を利用して更に簡便にB/F分離を行うことができる方法として知られている。
【0006】
従って、臨床的に有用なPIVKA−IIについても、このような技術を応用して迅速簡便に測定を行う方法の開発が望まれていた。
また、特にこのような粒子を担体として利用した測定法においては、測定条件によって溶液中の粒子が不安定になり凝集しやすくなったり、または、用いる試料や測定対象によっては担体に担持された抗体と非特異的に反応する因子が存在し、該因子が担体を凝集させることにより二次反応が阻害されて負の測定誤差を生じるという問題点があることが解ってきた。このような問題点はPIVKA−IIの測定においても生じることが明らかになり、測定の精度や安定性が損なわれ、全自動化を困難にしていた。従って、これらの問題点を解決し、臨床的に非常に有用なPIVKA−IIの測定を、精度良く簡便に行う方法の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、精度が良く安定的で、かつ簡便なPIVKA−IIの免疫学的測定法を提供することを解決すべき課題とする。本発明はまた、精度が良く安定的で、かつ簡便なPIVKA−IIの免疫学的測定を可能にするPIVKA−II測定用試薬およびPIVKA−II測定用キットを提供することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体を用いるPIVKA−IIの免疫学的測定法において、該担体の凝集を阻害する物質の存在下において該担体と該試料とを接触させることにより、該担体の凝集を阻害することができ、その結果、測定誤差を回避できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
【0009】
すなわち、本発明によれば、抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体を用いて試料中のPIVKA−IIを免疫学的に測定する方法において、該担体の凝集を阻害する物質の存在下において該担体と該試料とを接触させることを特徴とするPIVKA−IIの免疫学的測定法が提供される。
【0010】
本発明の好ましい態様によれば、
担体の凝集を阻害する物質が、試料中に存在する担体を凝集させる因子に対する抗体であることを特徴とする測定法;
担体の凝集を阻害する物質が、ヒトのIgG、IgM、IgGもしくはIgMの部分鎖、または、IgGもしくはIgMの部分ペプチドに対する抗体であることを特徴とする測定法;
担体の凝集を阻害する物質が、ヒトIgMのH鎖に対する抗体であることを特徴とする測定法;
担体の凝集を阻害する物質と試料とを反応させた後、これと抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体を接触させることを特徴とする測定法;
粒子状担体の粒径が0.05〜10μmであることを特徴とする測定法;
担体が磁性担体であることを特徴とする測定法;
担体が高分子担体であることを特徴とする測定法;
抗PIVKA−II抗体が標識されていることを特徴とする測定法;
免疫学的測定法が、第1の抗PIVKA−II抗体、及び該抗体とは異なる抗原決定基を認識する第2の抗PIVKA−II抗体を用いるサンドイッチ法であることを特徴とする測定法;
第1の抗PIVKA−II抗体および/又は第2の抗PIVKA−II抗体が標識されていることを特徴とする測定法;
第2の抗PIVKA−II抗体が状担体に担持されていることを特徴とする測定法;
担体が標識されていることを特徴とする測定法;並びに、
(1)抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体と試料とを接触させて抗PIVKA−II抗体と試料中のPIVKA−IIとを反応させる工程、及び(2)粒子状担体の凝集の度合いを測定することにより、該試料中に存在するPIVKA−IIの量を測定する工程を含むことを特徴とする測定法:
が提供される。
【0011】
本発明の別の側面によれば、抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体の凝集を阻害する物質を含有することを特徴とする、PIVKA−II測定用試薬が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、少なくとも、(1)抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体を含む試薬、及び(2)該担体の凝集を阻害する物質を含む試薬を含むことを特徴とするPIVKA−II測定用キットが提供される。
本発明の好ましい態様によれば、
前記抗PIVKA−II抗体とは異なる抗原決定基を認識する第2の抗PIVKA−II抗体を含有する試薬をさらに含むことを特徴とするキット;並びに、
(1)抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体を含む試薬、及び(2)該担体の凝集を阻害する物質を含む試薬が、同一の懸濁液に含有されていることを特徴とする、キットが提供される。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体および該抗体とは異なる抗原決定基を認識する第2の抗PIVKA−II抗体を用いてPIVKA−IIを免疫学的に測定する方法において、該担体の粒径が0.05〜4μmであることを特徴とするPIVKA−IIの免疫学的測定法が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明においてPIVKA−II(Protein Induced by Vitamin K Absence or Antagonist II)とは、ビタミンK依存性血漿蛋白質の一つであるプロトロンビンの前駆物質で、アミノ末端領域にある10個のグルタミン酸残基についてのγ−カルボキシル化の程度が不完全なものを指して言う。この蛋白質には、通常、10個のグルタミン酸残基が存在しており、その中のいくつかがγ−カルボキシル化を受けているかにより数種類のPIVKA−IIが混在した状態で存在している。
【0015】
本発明の免疫学的測定法は、試料中のPIVKA−IIの測定を目的としており、本発明においてPIVKA−IIとは、特に断らない限り、数種類のPIVKA−IIが混在しているものを意味する。本発明で用いる試料の種類は特に限定されないが、好ましくは生物学的試料であり、例えば、被験者の血液、血清、血漿、尿、唾液等の体液、種々の細胞、組織やそれらの抽出液等が挙げられる。
【0016】
本発明のPIVKA−IIの免疫学的測定法は、抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体を用いて試料中のPIVKA−IIを免疫学的に測定する方法である。
【0017】
本発明において粒子状担体に担持される抗PIVKA−II抗体は、抗原抗体反応によりPIVKA−IIと特異的に結合する抗体であればいかなるものでもよいが、PIVKA−IIがプロトロンビンの前駆物質で、アミノ末端領域にある10個のグルタミン酸残基のγ−カルボキシル化の程度が不完全なものであることから、PIVKA−IIと反応するがプロトロンビンとは反応しない抗体を用いることが好ましい。このような抗体としては、例えば、10個のグルタミン酸残基を含むアミノ末端領域に対する抗体が挙げられる。
【0018】
本発明で用いる抗PIVKA−II抗体としてはポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよいが、好ましくはモノクローナル抗体である。なお、抗PIVKA−II抗体は公知であり、例えば、特開昭60−60557号公報、特開平5−249108号公報、及び特開平7−313186号公報(これら公開特許公報に記載の内容は全て本明細書の開示の一部として本明細書中に引用するものとする)に記載の方法、又は当業者に公知の通常の抗体取得方法により取得することができる。
【0019】
抗PIVKA−IIモノクローナル抗体の作成方法の一例を以下に示す。先ず、ワーファリン服用者血漿よりBaSO4 、BaCO3処理してヒトプロトロンビンを吸着除去し、次にDE−52 Celluloseによるイオン交換をおこない、最後にPIVKA−IIおよび正常プロトロンビンと反応する抗プロトロンビン抗体を用いたアフィニティーカラムに吸着せしめ、4M塩酸グアニジンで溶出し、透析し、濃縮して精製PIVKA−IIを得る。次にこの精製PIVKA−IIをマウスに免疫してその脾臓細胞を採取し、Koehler G.等の方法(KoehlerG.Milstein C.Deviation of specificantibody−producting culture and tumor lines by cell fusion.Eur.J.Immunol.1976;6:511−9)によりミエローマ細胞株P3U1と細胞融合し、限界希釈法により3回クローニングを行うことにより、正常プロトロンビンとは反応せずにPIVKA−IIとのみ反応する抗体産生セルラインとして確立される細胞が分泌するモノクローナル抗体を抗PIVKA−IIモノクローナル抗体として取得することができる。
【0020】
抗PIVKA−II抗体を担持させる粒子状担体としては、測定に用いられる種々の溶液に実質的に不溶性のものであれば特に限定されないが、磁性粒子、ポリスチレン等の高分子またはそのラテックス、ゼラチン、リポソーム、赤血球などの生体成分等を用いるのが好ましい。中でも、迅速簡便なB/F分離を実現する観点においては磁性粒子が特に好ましく、具体的には、例えば、四酸化三鉄(Fe3O4)、三酸化二鉄(Fe2O3)、種々のフェライト、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロムなどの金属、コバルト、ニッケル、マンガンなどの合金からなる微粒子等の磁性粒子が好ましく用いられる。また、これらの磁性粒子を、ポリスチレン等の高分子のラテックスや、ゼラチン、リポソーム、赤血球などの生体成分等の内部に含まれる形で調製したり、表面に固定化したものを好ましく用いることができる。
【0021】
このような粒子状担体を用いた免疫学的測定におけるB/F分離は、フィルター法、二抗体法、沈降法等により行うことができるが、磁性粒子の場合には磁力を利用して迅速簡便に行うことができる。これらの担体の粒径は、精度良くB/F分離を行うことができればいかなる大きさでもよいが、粒径が小さすぎると分離の効率が悪く、凝集し易くなり、大きすぎると沈殿し易くなる。従って、粒径の下限は、0.05μm、好ましくは0.1μm、上限は10μm、好ましくは4μm、より好ましくは2μmが適当であり、粒径の範囲はこれら上限と下限の組み合わせから選ばれる。担体の粒径の具体的範囲としては、通常、0.05〜10μm、好ましくは0.05〜4μm、より好ましくは0.1〜2μmが適当である。
【0022】
上記したような担体に抗PIVKA−II抗体を担持させる方法としては、それ自体既知の通常用いられる方法により行うことができる。具体的には、例えば、化学結合法、物理吸着法等が挙げられ、中でも化学結合法が好ましく用いられる。物理的に吸着させる方法としては、不溶性磁性粒子に、抗体または抗原を直接固定化する方法、アルブミンなどの他のタンパク質に化学的に結合させてから吸着させて固定化する方法が挙げられる。化学的に担持させる方法としては、磁性粒子の表面に存在するアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、エポキシ基などを化学的に修飾することにより抗体または抗原分子と結合させることができる官能基を利用して、直接粒子上に固定化する方法、粒子と抗体または抗原分子の間にスペーサー分子を化学結合で導入して固定化する方法、アルブミンなどの他のタンパク質に抗体または抗原を化学結合させた後、そのタンパク質を粒子に化学結合させる方法が挙げられる。その他、固定化したい抗体または抗原と特異的に結合する物質(たとえば抗体、プロテインAなど)を粒子表面に物理的または化学的に結合させた後、目的の抗体または抗原を結合させることにより粒子表面に固定化する方法も挙げられる。これらの方法の詳細については、特開平6−160387号公報等にも開示されている。
【0023】
本発明の抗PIVKA−II抗体を担持させた担体を用いるPIVKA−IIの免疫学的測定法の一例としては、抗PIVKA−II抗体と試料中のPIVKA−IIとを反応させた後に、担体の凝集の度合いを測定することにより、該試料中に存在するPIVKA−IIの量を測定する方法が挙げられる。
【0024】
具体的には、例えば、ラテックス凝集反応、赤血球凝集反応、ゼラチン凝集反応、金属コロイド凝集反応等の、担体の凝集の度合いがすなわち反応の強度として得られる測定法が挙げられる。これらの凝集反応は、比濁法、沈降法、粒子を直接計数する方法等によってその凝集度合いを測定することができる。例えば、ラテックス凝集反応を用いた測定法の場合は、抗PIVKA−II抗体を担持させたポリスチレン等のラテックスを試料と接触させた後、試料中に存在するPIVKA−IIによって生じた担体の凝集度合いを吸光度や散乱光測定法等の光学的方法により測定すればよい。
【0025】
しかしここで、試料中に上記担体を凝集させる因子が存在すると、PIVKA−IIに由来しない非特異的な凝集が生じるために測定値に誤差を生じる可能性がある。試料中に上記担体を凝集させる因子が存在する可能性がある場合は、該因子の活性を阻害する物質の存在下で試料と担体とを接触させることによって、精度良く安定的な測定を行うことができる。また、溶液中における担体の分散状態が不安定になるために凝集が生じる場合には、溶液中での担体の安定性を増すことによって該担体の凝集を阻害する物質を添加することにより、安定的な測定を行うことができる。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体を用いて試料中のPIVKA−IIを免疫学的に測定する方法において、該担体の凝集を阻害する物質の存在下において該担体と該試料とを接触させることを特徴とするPIVKA−IIの測定方法が提供される。
【0026】
上記発明における免疫学的測定法として、例えば、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、化学発光法、電気化学発光法、放射免疫測定法等の標識化免疫測定法を好ましく用いることができる。
【0027】
これらの方法を用いる場合、より精度の高い測定のためには、担体に担持された抗PIVKA−II抗体(第1の抗PIVKA−II抗体)と、該抗体とは異なる抗原決定基を認識する第2の抗PIVKA−II抗体とを用いるサンドイッチ法による測定が特に好ましい。ここで第2の抗PIVKA−II抗体としては、第1の抗PIVKA−II抗体とは異なる抗原決定基を認識してPIVKA−IIと特異的に結合する抗体であればいかなるものでもよいが、例えば、抗プロトロンビン抗体(PIVKA−IIとプロトロンビンの共通抗原に対する抗体)や、10個のグルタミン酸残基を含むアミノ末端領域中に存在する、第1の抗PIVKA−II抗体とは異なる抗原決定基を認識する抗体等が挙げられる。これらの中で、抗プロトロンビン抗体が好ましく用いられる。
【0028】
本発明で用いることができる抗プロトロンビン抗体は、好ましくは、トロンビンと反応しない抗プロトロンビン抗体である。このような抗プロトロンビン抗体は例えば以下の方法により作製することができる。まず、新鮮ヒト血漿よりShapiro等(Shapiro S.et al.The purification of human prothrombin.Thromb.Diath.Haemorph.,1966;16:469−90)の方法により精製ヒトプロトロンビンを得る。次にこのヒトプロトロンビンでウサギを免疫し、採血して抗血清を得る。抗血清に硫酸アンモニウムを加えて塩析し、透析後、DE−52Celluloseでイオン交換する。これを、ヒトプロトロンビンアフィニティ カラムにかけ、4M塩酸グアニジンで溶出して抗ヒトプロトロンビンウサギIgG抗体を得る。透析して塩酸グアニジンを除去後トロンビンアフィニティカラムにかけて、素通り分画を採取し、トロンビンと反応しない抗プロトロンビン抗体とする。また上記のポリクローナル抗体の他に、精製ヒトプロトロンビンをマウスに免疫してその脾臓細胞を採取し、上記したKoehler G.等の方法によりミエローマ細胞株P3U1と細胞融合し、限界希釈法により3回クローニングをおこない、トロンビンと反応せずにPIVKA−IIおよび正常プロトロンビンと反応する抗プロトロンビン抗体産生セルラインとして確立される細胞が分泌するモノクローナル抗体をトロンビンと反応しない抗プロトロンビン抗体として使用することもできる。
【0029】
第2の抗PIVKA−II抗体は、抗PIVKA−II抗体と同様に担体に担持させてもよい。該担体としては、前記の抗PIVKA−II抗体の担持に用いるものと同様に適宜選択して用いればよい。この場合、第1の抗PIVKA−II抗体を磁性粒子に担持させた場合は、簡便にB/F分離を行うために、磁性を有さない粒子が好ましく用いられる。このような担体としては、前記したポリスチレン等の高分子またはそのラテックス、ゼラチン、リポソーム、赤血球のような生体成分等が挙げられる。
【0030】
サンドイッチ法を用いて測定を行う場合には、第1の抗PIVKA−II抗体または第2の抗PIVKA−II抗体を、用いる測定法に応じて標識する。標識物質としては、例えば、酵素免疫測定法ではHRP(Horse Radish Peroxidase)、アルカリフォスファターゼ等の酵素が挙げられ、蛍光免疫測定法ではEu(ユーロピウム)等の蛍光物質が、放射免疫測定法では125I、131I、14C等の放射性同位元素が挙げられる。また、第1の抗PIVKA−II抗体または第2の抗PIVKA−II抗体を標識するのではなく、いずれかの担体を標識する方法が、本発明において好ましく用いられる。該担体を標識する物質も、用いる測定法に応じて適宜選択することができ、例えば、蛍光免疫測定法により測定を行う場合には蛍光物質であればいずれも使用できるが、Eu(ユーロピウム)、Tb(テルビウム)、Sm(サマリウム)等の希土類キレートが特に好ましく用いられる。
【0031】
具体的には、例えば、抗PIVKA−II抗体(一次抗体)を担持させた担体と試料とを接触(一次反応)させた後、B/F分離を行い、標識化担体に担持された抗プロトロンビン抗体(二次抗体)または標識化抗プロトロンビン抗体との二次反応を行って、反応により形成された免疫複合体の蛍光、発光、酵素活性、放射能等の標識物質のシグナルを測定する。この場合、試料中に該担体を凝集させる因子が存在すると非特異的な凝集が生じてしまい、二次抗体の反応を妨げたり、蛍光や化学発光の検出を妨害する等により測定値に誤差を生じる。しかし、本発明の方法を用いて、該因子の活性を阻害する物質の存在下で接触させることによって、このような測定誤差を回避し、精度良く安定的な測定を簡便に行うことができる。また、溶液中において担体の分散状態が不安定になるために凝集が生じてしまう場合には、溶液中での担体の安定性を増すことによって該担体の凝集を阻害する物質を添加することにより、安定的な測定を行うことができる。本発明の方法は、一次抗体および二次抗体の両方が担体に担持されている場合に、特に好適である。
【0032】
本発明で用いることができる担体の凝集を阻害する物質としては、試料中に存在する担体を凝集させる因子を認識してこの活性(即ち、担体を凝集させる活性)を阻害するものであれば特に限定されないが、具体的には、例えば、該因子に対する抗体が挙げられる。このような抗体としては、例えば、ヒトのIgG、IgM、IgGもしくはIgMの部分鎖、または、IgGもしくはIgMの部分ペプチドに対する抗体が挙げられる。IgGもしくはIgMの部分鎖に対する抗体としては、例えば、H鎖(heavy chain)、L鎖(light chain)、J鎖(joining chain)等に対する抗体が挙げられ、IgGもしくはIgMの部分ペプチドに対する抗体としては、例えば、F(ab’)2フラグメント、Fcフラグメント、pFc’フラグメント等に対する抗体が挙げられる。中でも、PIVKA−IIの免疫学的測定法においては、IgMのH鎖に対する抗体である抗μ抗体が特に好ましく用いられる。これらの抗体はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれを用いても良いし、取得に用いる動物種も限定されるものではない。また、これらの抗体はそれ自体既知の通常用いられる方法により取得して用いてもよいし、市販のものを任意に選択して用いることもできるが、目的の抗体以外の抗体や他の物質をできるだけ排除するために、アフィニティカラム等を用いて十分に精製してから用いることが好ましい。また、溶液中において粒子状担体の分散状態が不安定になるために凝集が生じてしまう場合には、溶液中において該担体の分散状態の安定性を増す効果を有する物質を、本発明の担体の凝集を阻害する物質として添加してもよい。そのような物質としては、例えば、種々の界面活性剤、蛋白質等が挙げられる。
【0033】
免疫測定系中の担体を凝集させる因子の活性を阻害する物質の添加濃度としては、PIVKA−IIの測定精度に問題がない程度に該因子の活性を阻害しうる濃度であれば特に限定されず、用いる該物質の種類・力価等によって最適な濃度を決めることができる。具体的な添加濃度は、後記する方法によりその効果を測定して決めればよい。具体的には、抗体の添加濃度としては、例えば、抗μ抗体の場合には、下限が0.1mg/ml、好ましくは1mg/ml、上限が20mg/ml、好ましくは10mg/ml、濃度範囲としては、0.1〜20mg/ml、好ましくは1〜10mg/ml程度が適当である。
【0034】
また、上記したような担体を凝集させる因子の活性を阻害する物質の添加方法としては、試料にあらかじめ添加することにより該試料中に存在する担体を凝集させる因子の活性を阻害し、その後に上記担体と接触させてもよいし、該担体を含む溶液等にあらかじめ添加して調製し、この溶液を試料に接触させることによって該因子の活性を阻害してもよい。
【0035】
このような担体の凝集を阻害する物質の添加の効果は、抗原の添加回収率を測定する方法、担体の凝集度合いを測定する方法等によって判定することができる。ここで、抗原の添加回収率とは、測定された抗原の量を添加した抗原の量で除して100を乗じた値(%)である。すなわち、実験的に目的の抗原を添加することにより存在する抗原量が既知である測定系を用いて、上記した物質を添加した場合と添加しない場合の測定値を得て、抗原の添加回収率を求めることにより、該物質の添加効果を判定することができる。
【0036】
一方、担体の凝集度合いを測定することにより該物質の添加効果を判定する方法としては、例えば、該物質を添加した場合と添加しない場合の担体の凝集度合いを比較してもよいし、サンドイッチ法を用いた場合には、一次反応時と二次反応時の凝集の度合いを比較してもよい。具体的には、例えば、蛍光免疫測定法を用いてサンドイッチ法によりPIVKA−IIの測定を行う場合には、測定と平行して任意の波長における反応液の吸光度(A)の測定を行い、得られた値を用いて、以下の式から凝集度合いを求めることができる。
【0037】
凝集度合い(%)=((一次反応時の反応液のA−二次反応時の反応液のA)/一次反応時の反応液のA)×100
【0038】
測定を行う吸光度の波長としては、吸収曲線が最大値を示す波長において測定を行うのが好ましいが、担体の粒径によって吸収曲線が変化するので、用いた担体の粒径に基づいて任意に決定すればよい。
【0039】
定量を行う場合は、予め既知の濃度のPIVKA−IIを試料として測定を行い、得られた定量値を試料のPIVKA−II濃度に対して図示することにより検量線が得られるので、濃度未知の試料の反応定量値からPIVKA−IIの濃度を求めることができる。
【0040】
本発明の試薬は、少なくとも、抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体の凝集を阻害する物質を含有し、PIVKA−IIの免疫学的測定に用いられるものである。例えば、該物質として抗μ抗体を用いる場合には、該抗体を0.1〜20mg/ml程度含有する溶液等の形態で調製することができる。このような試薬を用いれば、PIVKA−IIの免疫学的測定を精度良く安定的に、かつ簡便に行うことができる。
【0041】
本発明のキットは、少なくとも、(1)抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体を含む試薬、及び(2)該担体の凝集を阻害する物質を含む試薬を含み、PIVKA−IIの免疫学的測定に用いられるものである。また、前記抗PIVKA−II抗体とは異なる抗原決定基を認識する第2の抗PIVKA−II抗体を含有する試薬をさらに含んでいてもよい。抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体を含む試薬、及び該担体の凝集を阻害する物質を含む試薬は、同一の懸濁液に含有されていてもよい。上記試薬の形態は特に限定されず、液体でも固体でもよく、液体の形態も懸濁液又は溶液など任意の形態とすることができる。
【0042】
本発明のキットは、本発明の免疫学的測定法を行うことができるものであればいかなる構成のものでもよく、例えば、前記した懸濁液の他に、反応希釈液、基質溶液、基質溶解液、洗浄液、反応停止液等を含んでいてもよい。このようなキットを用いることにより、PIVKA−IIの免疫学的測定を迅速簡便に、かつ、精度良く安定的に行うことができる。
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【0043】
【実施例】
なお、本実施例において用いた抗PIVKA−IIモノクローナル抗体、抗プロトロンビン抗体、PIVKA−II抗原はいずれも特開昭60−60557号公報、特開平5−249108号公報に記載の方法により調製したものである。
【0044】
実施例1:試薬類の調製
標識物質としてEu(ユーロピウム)を用いた蛍光免疫測定法により、PIVKA−IIの測定を行うこととした。まず、試薬類の調製を行った。
(1)溶液の調製
(a)反応溶液:0.15Mトリス緩衝液(pH8.0)、0.5M NaCl、0.01% Tween20、0.1% NaN3、0.1% Benzamidine、0.5% EDTA、0.5% BSA
(b)洗浄液:LPIA−A700用BF液(三菱化学社製)
(c)アルカリ液:LPIA−A700用アルカリ液(三菱化学社製)
【0045】
(2)抗PIVKA− II 抗体を担持させたMgラテックス試薬の調製
平均粒径1.09μmの磁性体含有ポリスチレンラテックス(ローヌプーラン社製;以下、これを「Mgラテックス」と称する)に、抗PIVKA−IIモノクローナル抗体(特開昭60−60557号公報、特開平5−249108号公報に記載の方法により調製)を、カルボジイミドを用いて化学結合法により固定化した。その後、BSAで処理することにより粒子を安定化させ、緩衝液に0.1%の濃度で懸濁させて、抗PIVKA−II抗体を担持させたMgラテックス試薬とした。
【0046】
(3)抗プロトロンビン抗体を担持させたEuラテックス試薬の調製
Euキレート化合物であるEuNTA(ユーロピウム−ナフトイルトリフルオロアセトン)化合物1×10-4モルと、TOPO(トリオクチルホスホスフィンオキシド)2×10-4モルをアセトン40gに溶解した後、平均粒径0.21μlのポリスチレンラテックス(セラダイン社製)3gを水40mlに懸濁させたものと混合した。混合物中のアセトンをエバポレーターにより除去して、ラテックス粒子にEuNTAをTOPOと協同抽出させ、Euキレートで標識されたラテックス(以下、Euラテックスと称する。)を調製した。TOPOとの協同抽出によりEuキレート化合物をラテックス内部に閉じこめる方法は、特開昭54−101439号公報等に記載の方法に従って行った。
【0047】
EuラテックスにもMgラテックスと同様に化学結合法で抗プロトロンビン抗体(特開昭60−60557号公報、特開平5−249108号公報に記載の方法により調製)を固定化し、BSAで処理した後、0.003%の濃度で緩衝液に懸濁して抗プロトロンビン抗体を担持させたEuラテックス試薬を調製した。
【0048】
実施例2:LPIA−A700による蛍光免疫測定
後述する(1)〜(5)については、すべて以下に示す方法に従い、全自動分析装置LPIA−A700(三菱化学社製)を用いて測定を行った。標識物質として用いたEu(ユーロピウム)は励起されてから蛍光を発するまでにタイムラグを有するので、LPIA−A700を用いた時間分解蛍光免疫測定を行った。
【0049】
まず、反応溶液100μl、脱イオン水124μl、サンプル26μl、Mgラテックス試薬50μlをキュベット中にて混合し、37℃で4分30秒間反応(一次反応)させたのち、Mgラテックスを磁石でトラップしながらBF液で洗浄することにより、B/F分離を行った。キュベット中のMgラテックスに反応溶液100μl、脱イオン水100μl、Euラテックス試薬100μlを加えて混合し、37℃で12分反応(二次反応)させた。反応後、一次反応と同様にMgラテックスを磁石でトラップしながらBF液で洗浄した。キュベット中のMgラテックスにアルカリ液400μlを添加して処理し、EuラテックスとMgラテックスとの結合をはずした。処理後、磁石によりMgラテックスをトラップしてアルカリ液を分取し、LPIA−A700を用いてアルカリ液中に残存したEuラテックスに由来する遅延蛍光の量を測定して、検体中のPIVKA−II量を求めた。
【0050】
また、反応と平行してLPIA−A700により波長540nmにおける反応液の吸光度(A540)を測定し、得られた値を用いて、以下の式からMgラテックスの凝集度合いを求めた。
【0051】
凝集度合い(%)=((一次反応時の反応液のA540−二次反応時の反応液のA540)/一次反応時の反応液のA540)×100
【0052】
(1)担体を凝集させる因子の活性を阻害する物質の添加効果
9例の正常人ヒト血清にPIVKA−II抗原(エーザイ社製)を400mAU/mlとなるように添加して、測定用サンプルとした。反応溶液には、担体を凝集させる因子の活性を阻害する物質としてヤギ抗μ抗体(IIC社製)を3mg/mlを加え、ヤギ抗μ抗体無添加の対象と抗原の添加回収率を比較した。抗原の添加回収率は、測定された抗原の量を、添加した抗原の量で除して100を乗じた値(%)である。
その結果、ヤギ抗μ抗体を添加した系ではMgラテックスの凝集が抑制されており、添加回収率が安定していることが解った。ヤギ抗μ抗体無添加の場合の結果を図1に、ヤギ抗μ抗体を添加した場合の結果を図2に示した。
【0053】
(2)抗PIVKA− II 抗体と他の抗体における、担体を凝集させる因子の活性を阻害する物質の添加効果の比較
担体を凝集させる因子を含むことをあらかじめ確認したヒト血清をサンプルとして用いた。反応溶液にヤギ抗μ抗体を3mg/ml加え、ヤギ抗μ抗体無添加の対象とMgラテックスの凝集度合いを比較した。Mgラテックスとしては、抗PIVKA−II抗体を担持させたMgラテックス試薬の他に、抗PIVKA−II抗体と同様の方法で抗HBsAg抗体(3A10F3、15A3、8H5の3クローン)または抗T3抗体(E20425の1クローン)を担持させたMgラテックス、及び、抗体を担持していないMgラテックス(抗体なし)を使用した。抗HBsAg抗体は、公知の方法に従って組換えHBsAg蛋白質およびモノクローナル抗体の調製を行い、得られたクローンの中から特異性や感度等に優れたクローンとして上記3クローンを選択して用いた。抗T3抗体は、バイオデザイン社製のものを用いた。
【0054】
その結果、上記サンプルを用いると抗PIVKA−IIを担持させたMgラテックスは強く凝集するが、反応溶液にヤギ抗μ抗体を3mg/ml添加することにより凝集を顕著に抑制できることが示された。また、他の4種の抗体では凝集は起こらず、ヤギ抗μ抗体の添加による影響もないことが確認できた。これにより、本発明がPIVKA−IIの測定に非常に有効であることが示された。結果を図3に示した。
【0055】
(3)試作キットを用いた測定1(検量線の作成)
担体を凝集させる因子の活性を阻害する物質として15mg/mlの抗μ抗体を含むキットの試作品を作製し、これを用いてLPIA−A700による全自動測定を行った。
PIVKA−II抗原をそれぞれ0、20、40、100、1000、10000、30000、50000mAU/mlとなるように調製した緩衝液をサンプルとした。その結果、30000mAU/mlまでは十分に定量的な測定濃度領域が得られることが確認された。結果を図4に示す。
【0056】
(4)試作キットを用いた測定2(感度の検討)
上記(3)と同じ試作キットを用いて、LPIA−A700による測定を行った。
PIVKA−II抗原をそれぞれ0、10、20、30、40mAU/mlとなるように調製した緩衝液をサンプルとし、N=10で測定した(Nはサンプル数)。得られた値を±2SD法により解析した結果、感度、すなわち定量的測定が可能な抗原の最低濃度は10mAU/mlと求められた。これは、全自動の蛍光免疫測定法においては十分に高い感度であった。結果を図5に示す。
【0057】
(5)試作キットを用いた測定3(従来技術との比較)
上記(3)および(4)と同じ試作キットを用いて、LPIA−A700による測定を行った。
サンプルとしては、300人より採取した血清検体を用いることとし、対照として、電気化学発光免疫測定法を用いた分析装置であるピコルミ8220(エーザイ社製)による測定を行った。測定後、LPIA−A700による測定値と、ピコルミ8220による測定値との相関性をプロットして解析したところ、図6に示したように相関計数は0.99と高い値を示した。
【0058】
一般にピコルミ8220で用いられている電気化学発光免疫測定法は、LPIA−A700で用いられている蛍光免疫測定法に比して感度が高く、高い精度を得られることが知られている。しかし、上記の結果より、本発明の方法および該方法を行うキットを用いれば、蛍光免疫測定法を用いた全自動分析装置であるLPIA−A700を用いても、ピコルミ8220と同等の精度で安定的にPIVKA−IIの測定が行えることが示された。
【0059】
【発明の効果】
本発明の方法を用いれば、抗PIVKA−II抗体を担持させた担体の凝集を回避し、精度良く安定的にPIVKA−IIの測定を行うことができる。また、本発明の方法を行うキットを用いれば、蛍光免疫測定法を用いる全自動測定においても、高い感度で精度良く測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の(1)において、各サンプルに対してヤギ抗μ抗体を添加しなかった場合の凝集率および添加回収率を示した図である。
【図2】実施例2の(1)において、各サンプルに対してヤギ抗μ抗体を添加した場合の凝集率および添加回収率を示した図である。
【図3】本発明の方法が、他の抗原の測定に比べて、PIVKA−IIの測定において特に有効であることを示した図である。
【図4】本発明のキットの試作品を用いて、LPIA−A700による測定を行った場合の検量線の図である。
【図5】本発明のキットの試作品を用いて、LPIA−A700による測定を行った場合の感度の図である。
【図6】本発明のキットの試作品を用いてLPIA−A700による測定を行った場合の測定値と、エーザイ社製ピコルミ8220による測定値の相関を示す図である。
Claims (14)
- 抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体を用いて試料中のPIVKA−IIを免疫学的に測定する方法において、ヒトIgMのH鎖に対する抗体の存在下において該担体と該試料とを接触させることを特徴とする、PIVKA−IIの免疫学的測定法。
- ヒトIgMのH鎖に対する抗体と試料とを反応させた後、これと抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体を接触させることを特徴とする請求項1に記載の測定法。
- 粒子状担体の粒径が0.05〜10μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の測定法。
- 担体が磁性担体であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の測定法。
- 担体が高分子担体であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の測定法。
- 抗PIVKA−II抗体が標識されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の測定法。
- 免疫学的測定法が、第1の抗PIVKA−II抗体、及び該抗体とは異なる抗原決定基を認識する第2の抗PIVKA−II抗体を用いるサンドイッチ法であることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の測定法。
- 第1の抗PIVKA−II抗体および/又は第2の抗PIVKA−II抗体が標識されていることを特徴とする、請求項7に記載の測定法。
- 第2の抗PIVKA−II抗体が担体に担持されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の測定法。
- 担体が標識されていることを特徴とする請求項9に記載の測定法。
- (1)抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体と試料とを接触させて抗PIVKA−II抗体と試料中のPIVKA−IIとを反応させる工程;及び
(2)粒子状担体の凝集の度合いを測定することにより、該試料中に存在するPIVKA−IIの量を測定する工程を含むことを特徴とする、請求項1から10の何れかに記載の測定法。 - 少なくとも、(1)抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体を含む試薬、及び(2)ヒトIgMのH鎖に対する抗体を含む試薬を含むことを特徴とするPIVKA−II測定用キット。
- 前記抗PIVKA−II抗体とは異なる抗原決定基を認識する第2の抗PIVKA−II抗体を含有する試薬をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のキット。
- (1)抗PIVKA−II抗体を担持させた粒子状担体を含む試薬、及び(2)ヒトIgMのH鎖に対する抗体を含む試薬が、同一の懸濁液に含有されていることを特徴とする、請求項12又は13に記載のキット。
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