JP2004010900A - 延伸ポリ乳酸フィルムあるいはシートの滑性・シール強度を高める方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 滑り性能或いはヒートシール等のシール強度に優れたポリ乳酸フィルムおよびシートを提供する。
【解決手段】 ポリ乳酸系重合体100重量部に対して、ガラス転移点Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステルを3〜70重量部配合し、かつ少なくとも1軸方向に延伸し熱処理を施すようにしてポリ乳酸フィルムおよびシートを作製する。これによって、滑り性に関しては、JIS K 7125による静摩擦係数を0.72以下とすることができ、シール強度に関しては、所定の試験におけるヒートシール強度を0.93Kgf/cm以上とすることができる。
【選択図】   なし

Description

 本発明は、ポリ乳酸系重合体と生分解性脂肪族ポリエステルとからなる延伸フィルムあるいはシートに関し、特にそのの滑性・シール強度を高める方法に関する。
 従来のプラスチック製品の多く、特にプラスチック包装材は使用後すぐに棄却されることが多い。一般包装用プラスチックにはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルなどが使用されている。
 上述したポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートは燃焼時の発熱量が高く、焼却処理中に燃焼炉を痛める恐れがある。また、ポリ塩化ビニルは自己消火性のため燃焼することができない。このため、これらプラスチック製品は埋立処理されることが多いが、その化学的、生物的安定性のためほとんど分解せず残留し、埋立地の寿命を短くするなど、廃棄物処理が課題となっている。
 このため燃焼熱量が低く、土壌中で分解し、かつ安全である生分解性プラスチックが望まれ、多くの研究がなされている。その一例としてポリ乳酸がある。ポリ乳酸は燃焼熱量はポリエチレンの半分以下であり、さらに、土中・水中で自然に加水分解が進行し、次いで微生物により無害な分解物となる。
 しかし、ポリ乳酸フィルムは滑りが悪い。このため、ポリ乳酸フィルムを得るために、ポリ乳酸を押出機で溶融押出して作製、ワインダーで連続して巻き取る際に、巻き取り中にしわが入ったりフィルムが蛇行して、巻き取りが困難となり、極めて生産性が劣る。そこで、滑剤をポリマーに練り込んだり、フィルムに塗布・噴霧しながら巻き取ることも検討されるが、分解性の滑剤を選択することが難しい。
 また、フィルム二次加工品の用途を広げる目的で、ヒートシール性能および溶断シール性能が優れていることが好ましい。しかし、ポリ乳酸フィルムはヒートシール性能および溶断シール性能ともに、上述した従来使用されているプラスチックフィルムに比べて劣っていた。
 一方、特許文献1、特許文献2ではポリ乳酸フィルム、シートを延伸することが開示されている。延伸することにより、脆いポリ乳酸フィルム、シートの脆性を改良することができる。ところが、延伸を行ったフィルムは加熱すると再び収縮する。その性質を利用して収縮フィルムとして使用できるが、収縮フィルム以外には不適切である。
 そこで、収縮を防止、いわゆる熱寸法安定性を付与するために、熱処理である熱固定を行うことが知られている。しかし、熱処理は高温状態にフィルムをさらすため、熱処理中にフィルムが融解してしまうことがあり、処理条件の設定は容易ではなかった。
特表平5−508819号公報 特開平6−23836号公報
 以上述べたように、ポリ乳酸は生分解性プラスチック原料として期待されているが、実用化するには各種の改良が望まれていた。本発明の目的は、特に滑り性能に優れたポリ乳酸フィルムおよびシートを提供することにある。また、ヒートシール性能および溶断シート性能に優れたポリ乳酸フィルムおよびシートを提供することにある。さらに、熱寸法安定性を付与したポリ乳酸フィルムおよびシートを提供することにある。
 本発明の本旨は、L−乳酸とD−乳酸の組成比が100:0〜94:6または6:94〜0:100であるポリ乳酸系重合体と、ガラス転移点Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステルとを主成分とし、前記生分解性脂肪族ポリエステルの含有量は前記ポリ乳酸系重合体100重量部に対して3〜70重量部であり、かつ、少なくとも1軸方向に延伸された後に熱処理が施されたことを特徴とする延伸ポリ乳酸フィルムあるいはシートである。
 以上説明したように、延伸ポリ乳酸フィルムあるいはシートは滑り性能に優れているので、生産性に優れる。また、ヒートシール性能および溶断シート性能、熱寸法安定性が付与されているので、フィルムあるいはシートを二次加工品に使用できる。
発明の実施の形態
 本発明において述べているフィルムとシートは、特に違いがあるものではなく、「フィルム」と「シート」は置き換えて使用することができる。
 ポリ乳酸は、乳酸の構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)さらにはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)がある。また、これらの混合体もある。
 重合法としては、縮重合法、開環重合法など公知のいずれの方法を採用することができる。例えば、縮重合法ではL−乳酸またはD−乳酸あるいはこれらの混合物を直接脱水縮重合して任意の組成を持ったポリ乳酸を得ることができる。
 また、開環重合法では乳酸の環状2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を使用してポリ乳酸を得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、さらにL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成、結晶性をもつポリ乳酸を得ることができる。
 分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを使用できる。重合体の重量平均分子量の好ましい範囲としては6万から100万であり、この範囲を下回る場合は実用物性がほとんど発現されず、上回る場合には、溶融粘度が高すぎ成形加工性に劣る。
 上述した、本発明に使用される生分解性脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸を除く、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステル、菌体内で生合成される脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
 脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族ジオールとしてエチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としてコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカン二酸等が代表的に挙げられる。これらの中からそれぞれ1種類以上選んで縮合重合し、あるいは必要に応じてイソシアネート化合物等でジャンプアップして所望のポリマーを得ることができる。
 環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステルとしては、環状モノマーとしては、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等が代表的に挙げられ、これらから1種類以上選ばれて重合される。
 合成系脂肪族ポリエステルとしては、環状酸無水物とオキシラン類、例えば、無水コハク酸とエチレンオキサイド、プロピオンオキサイド等との共重合体等が挙げられる。
 菌体内で生合成される脂肪族ポリエステルとしては、アルカリゲネスユートロファスを始めとする菌体内でアセチルコエンチームA(アセチルCoA)により生合成される脂肪族ポリエステルが知られている。この脂肪族ポリエステルは、主にポリ−β−ヒドロキシ酪酸(ポリ3HB)であるが、プラスチックとしての実用特性向上のために、吉草酸ユニット(HV)を共重合し、ポリ(3HB−co−3HV)の共重合体にすることが工業的に有利である。HV共重合比は一般的に0〜40%である。さらに長鎖のヒドロキシアルカノエートを共重合してもよい。
 フィルムおよびシートの製膜方法を説明する。まず、ポリ乳酸と生分解性脂肪族ポリエステルの混合は同一の押出機にそれぞれの原料を投入して直接シートを作製する方法、あるいは、一旦ストランド形状に押し出してペレットを作製した後、再び押出機にてシートを作製する方法がある。いずれも、押出機中での分解による分子量の低下を考慮しなければならない。ポリ乳酸と生分解性脂肪族ポリエステルとを均一に混合させるには、後者の方が好ましい。
 ポリ乳酸と生分解性脂肪族ポリエステルと十分に乾燥、水分を除去した後、押出機で溶融する。ポリ乳酸と生分解性脂肪族ポリエステルとの混合物の溶融押出温度はL−乳酸構造とD−乳酸構造の組成比、使用する生分解性脂肪族ポリエステルの融点、および、混合比率を考慮して、適宜選択する。通常、100〜250℃の温度範囲が選択される。
 シート状に溶融成形されたポリマーは、回転するキャスティングドラム(冷却ドラム)に接触させて急冷するのが好ましい。混合するポリマーの性質と割合にもよるがキャスティングドラムの温度は60℃以下が適当である。これより高いとポリマーがキャスティングドラムに粘着し、引き取れない。また、ポリ乳酸部分の結晶化が促進されて、球晶が発達し延伸できなくなるため、60℃以下に設定して急冷し、ポリ乳酸部分を実質上非晶性にすることが好ましい。
 得られたシートは少なくとも一方向に延伸される。シートの延伸倍率は、例えば、延伸倍率は縦(長手)方向、横(幅)方向それぞれ1.5〜5倍の範囲で、延伸温度は50℃〜90℃の範囲で適宜選択される。延伸工程はシートを周速差のある2個のロール間で延伸するロール延伸、および/または、テンターを用いクリップでシートを把持しながらクリップ列の列間隔を拡大させて延伸するテンター延伸によって行われる。二軸に延伸する方法は、特に限定されるものではなく、同時あるいは逐次延伸法、どちらでも構わない。
 延伸時に、ポリ乳酸と生分解性脂肪族ポリエステルとの変形挙動が異なるので、得られるフィルムの表面を荒らす。そこで、静摩擦係数が小さくなり、フィルムの滑り性は良好になる。このように、生分解性脂肪族ポリエステルが分解性の滑剤として働く。その効果は少なくともポリ乳酸100重量部に対して、生分解性脂肪族ポリエステルが3重量部以上で発現する。また、ポリ乳酸100重量部に対し脂肪族ポリエステルが70重量部を越えると、シートの延伸性を阻害し、さらに、後述する熱固定ができない。
 テンター延伸法はテンターでシートを延伸後、テンター内で熱固定することができるので有用である。熱固定温度としては、例えば、90℃〜170℃の範囲で3秒以上熱処理することにより、シートに熱寸法安定性が付与できる。この範囲内で熱処理温度が高いほど、また熱処理時間が長いほど熱寸法安定性は向上する。
 熱寸法安定性を得るためには、結晶性の高いポリ乳酸を使用することが好ましい。結晶性の高いポリ乳酸とは、具体的には、L−乳酸とD−乳酸との組成比が100:0〜94:6または6:94〜0:100である。
 一般的に、脂肪族ポリエステルはポリ乳酸より分解速度が速い。そこで、ポリ乳酸および生分解性脂肪族ポリエステルの混合比を適宜選択することで、分解速度を調整することができる。すなわち、脂肪族ポリエステルの含有量を増すことで、分解速度を速くできる。
 以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例中に示す測定、評価は次に示すような条件で行った。
 (1)ガラス転移点パ−キンエルマ−製DSC−7を用い、フィルムサンプル10mgをJIS−K7122に基づいて、昇温速度10℃/分で昇温したときのサ−モグラムからガラス転移点を求めた。
 (2)静摩擦係数JIS−K7125に準じて測定を行った。
 (3)ヒートシール強度および溶断シール強度フィルムを長手方向100mm、幅方向10mmのサイズに切り出したフィルム試験片を、同フィルムを2枚そろえて重ね、長手方向に垂直に片端を10mm幅にヒートシールした。シール面は10mm×10mmになる。ヒートシール条件は10mm幅の加熱バーで、圧力1.0Kgf/cm2、温度190℃、シール時間5秒で行ない、ヒートシール強度を測定する試料を作成した。
 また上記フィルム試験片を所定の電流を流した1mmφのニクロム線で溶断させながらフィルムをシールして、溶断シール強度を測定する試料を作成した。
 各々の試料を広げて、引張り試験機にチャックしてシールした箇所が剥離あるいは破断する最大強度を求めた。ヒートシール強度および溶断シール強度は幅1cm当たりの強度(Kgf/cm)で示した。引張り試験は東洋精機(株)テンシロン2型機を用いチャック間80mm、引張速度100mm/minで行なった。
 (4)熱収縮率シートサンプルを試験方向を長手として140mm×10mmに切り出し、長手方向に100mm間の評線をいれ、80℃の温水バスに5分浸漬した後、その評線間の寸法を計り、次式にしたがって熱収縮率を算出した。
Figure 2004010900
(実験例1)
 L−乳酸からなる構造単位とD−乳酸からなる構造単位との割合が98:2でガラス転移点58℃、融点175℃、重量平均分子量24万のポリ乳酸を30mmφ単軸エクストルーダーにて、210℃でTダイより押し出し、キャスティングロールにて急冷し、厚み200μmの未延伸シートを得た。
 200μmの未延伸シートを長手方向に70℃で2.5倍にロール延伸、次いで、幅方向にテンターで70℃で2.5倍に延伸した。引続き、熱処理をテンターの熱処理ゾーンで温度120℃、処理時間25秒で行って延伸ポリ乳酸フィルムを得た。得られた延伸ポリ乳酸フィルムの製造条件、静摩擦係数、ヒートシール強度および溶断シール強度、強度熱収縮率を表1に示した。
(実験例2〜4)
 実験例1で使用したポリ乳酸100重量部と、Tgが−60℃のポリカプロラクトンであるプラクセルH7(ダイセル化学社製)を1重量部とを各々乾燥した後、混合して溶融押し出しにてペレット形状にした。得られたペレットを、実験例1と同様の条件で、延伸ポリ乳酸フィルムを得た。得られた延伸ポリ乳酸フィルムを実験例2とした。
 また、プラクセルH7(ダイセル化学社製)を5重量部とした以外は実験例2と同様にして、延伸ポリ乳酸フィルムを得た。得られた延伸ポリ乳酸フィルムを実験例3とした。さらに実験例3で使用したペレットから、表1で示した条件で延伸ポリ乳酸フィルムを得た。得られた延伸ポリ乳酸フィルムを実験例4とした。実験例2〜4で得られた延伸ポリ乳酸フィルムの製造条件、静摩擦係数、ヒートシール強度および溶断シール強度、熱収縮率を表1に示した。
(実験例5〜8)
 実験例1で使用したポリ乳酸100重量部と、主に1,4−ブタンジオールとコハク酸の縮合体にアジピン酸を加えて縮合したTg−45℃のビオノーレ#3010(昭和高分子社製)を5重量部とを各々乾燥した後、混合して溶融押し出しにてペレット形状にした。得られたペレットから表1に示した条件で、延伸ポリ乳酸フィルムを得た。得られた延伸ポリ乳酸フィルムを実験例5とした。
 また、ビオノーレ#3010(昭和高分子社製)を30,60および80重量部とした以外は実験例5と同様にして、延伸ポリ乳酸フィルムを得た。得られた延伸ポリ乳酸フィルムを実験例6〜8とした。実験例6〜8で得られた延伸ポリ乳酸フィルムの製造条件、静摩擦係数、ヒートシール強度および溶断シール強度、熱収縮率を表2に示した。
(実験例9)
 実験例1で使用したポリ乳酸100重量部と、クロロホルム中での固有粘度が約1.3で、Tgが37℃のポリグリコリドを30重量部とを各々乾燥した後、混合して溶融押し出しにてペレット形状にした。得られたペレットから表1に示した条件で、延伸ポリ乳酸フィルムを得た。得られた延伸ポリ乳酸フィルムを実験例9とした。得られた延伸ポリ乳酸フィルムの製造条件、静摩擦係数、ヒートシール強度および溶断シール強度、熱収縮率を表3に示した。
(実験例10)
 L−乳酸からなる構造単位とD−乳酸からなる構造単位との割合が96:4でガラス転移点57℃、融点152℃、重量平均分子量14万のポリ乳酸100重量部と、ビオノーレ#3010(昭和高分子社製)を30重量部とした以外は実験例5と同様にして、延伸ポリ乳酸フィルムを得た。得られた延伸ポリ乳酸フィルムを実験例10とした。実験例10で得られた延伸ポリ乳酸フィルムの製造条件、静摩擦係数、ヒートシール強度および溶断シール強度、熱収縮率を表3に示した。
(実験例11)
 L−乳酸からなる構造単位とD−乳酸からなる構造単位との割合が93:7でガラス転移点57℃、融点125℃、重量平均分子量14万のポリ乳酸100重量部と、ビオノーレ#3010(昭和高分子社製)を30重量部とした以外は実験例5と同様にして、延伸ポリ乳酸フィルムを得た。得られた延伸ポリ乳酸フィルムを実験例11とした。実験例11で得られた延伸ポリ乳酸フィルムの製造条件、静摩擦係数、ヒートシール強度および溶断シール強度、熱収縮率を表3に示した。
(実験例12)
 実験例6で得られた未延伸フィルムを実験例12とし、静摩擦係数、ヒートシール強度および溶断シール強度、熱収縮率を表3に示した。
Figure 2004010900
Figure 2004010900
Figure 2004010900
 実験例3〜7,10は本発明の範囲に含まれる実施例であり、実験例1,2,8,9,11,12は本発明の範囲に含まれない比較例である。
 表1に示した実験例1はポリ乳酸単独からなるフィルムであり生分解性の脂肪族ポリエステルを含有していないので、静摩擦係数が大きく、滑りが悪い。表1に示した実験例2〜4は生分解性の脂肪族ポリエステルとしてプラクセルH7を含有している。実験例2はプラクセルH7の含有量は前記ポリ乳酸系重合体100重量部に対して1重量部と少ないので滑り、ヒートシール強度および溶断シール強度ともに劣る。
 しかし、ポリ乳酸系重合体100重量部に対して5重量部のプラクセルH7を含有している実験例3,4は静摩擦係数が小さく、滑りが良い。実験例1〜4は熱処理を行うことができるため、熱収縮率が小さく、寸法安定性がある。
 表2に示した実験例5〜8は生分解性の脂肪族ポリエステルとしてビオノーレ#3010を使用し、ポリ乳酸系重合体100重量部に対して5,30,60,80重量部を含有する。実験例5〜7は静摩擦係数が小さく、滑りが良い。特に、実験例6,7はヒートシール強度および溶断シール強度ともに大きくなっている。ところが、実験例8は熱処理中にフィルムが破れてしまった。
 表3に示した実験例9は、Tgが0℃以上である生分解性を有する脂肪族ポリエステルであるポリグリコリドとポリ乳酸系重合体とを主成分とするため、静摩擦係数が大きく、滑りが悪い。実験例10と同11はL−乳酸とD−乳酸の組成比を変化している。組成比が本発明の範囲に入る実験例10は静摩擦係数が小さく、滑りが良い。また、ヒートシール強度および溶断シール強度ともに大きくなり、熱処理を行うことができるために熱収縮率が小さく、寸法安定性がある。
 しかし、組成比が本発明の範囲外である実験例11は、熱処理中にフィルムが破れてしまった。また、延伸処理を施していない実験例12は、静摩擦係数が大きく、滑りが悪い。

Claims (4)

  1.  L−乳酸とD−乳酸の組成比が100:0〜94:6または6:94〜0:100であるポリ乳酸系重合体100重量部に対して、ガラス転移点Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステルを3〜70重量部配合し、かつ少なくとも1軸方向に延伸し熱処理を施すことを特徴とする延伸ポリ乳酸フィルムあるいはシートの滑性を高める方法。
  2.  熱処理後の延伸ポリ乳酸フィルムあるいはシートのJIS K 7125による静摩擦係数が0.72以下であることを特徴とする請求項1記載の延伸ポリ乳酸フィルムあるいはシートの滑性を高める方法。
  3.  L−乳酸とD−乳酸の組成比が100:0〜94:6または6:94〜0:100であるポリ乳酸系重合体100重量部に対して、ガラス転移点Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステルを3〜70重量部配合し、かつ少なくとも1軸方向に延伸し熱処理を施すことを特徴とする延伸ポリ乳酸フィルムあるいはシートのシール強度を高める方法。
  4.  熱処理後の延伸ポリ乳酸フィルムあるいはシートの下記試験方法によるヒートシール強度が0.93Kgf/cm以上であることを特徴とする請求項3に記載の延伸ポリ乳酸フィルムあるいはシートのシール強度を高める方法。
     ヒートシール強度試験:長手方向100mm、幅方向10mmのサイズに切り出したフィルム試験片を2枚そろえて重ね、長手方向にその片端を、10mm幅の加熱バーで圧力1.0Kgf/cm2、温度190℃、シール時間5秒で垂直にヒートシールして測定試料を作成し、当該測定試料を広げて引張り試験機によりチャック間80mm、引張速度100mm/minで引張り、シールした箇所が剥離或いは破断する最大強度を幅1cm当たりの強度(Kgf/cm)として求める。

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