JP2004009458A - 樹脂被覆装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロール表面に付着して食い込んだ異物によって周期的に連続した皮膜欠陥が樹脂フィルムに生じず、かつ異物が付着して食い込んだロール表面を清拭するために装置をしばしば停止する必要のない、生産性の高い樹脂被覆装置を提供する。
【解決手段】金属板1に有機樹脂2を当接して圧着する樹脂被覆装置において、有機樹脂2と金属板1との圧着に用いられる圧着ロール6を除き、該樹脂被覆装置に配設されている有機樹脂2と接触する全てのロールの表面を、金属やセラミックスなどの硬質材料とする。
【選択図】図1
【解決手段】金属板1に有機樹脂2を当接して圧着する樹脂被覆装置において、有機樹脂2と金属板1との圧着に用いられる圧着ロール6を除き、該樹脂被覆装置に配設されている有機樹脂2と接触する全てのロールの表面を、金属やセラミックスなどの硬質材料とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属板に有機樹脂を当接して圧着する樹脂被覆装置に関し、特に樹脂被覆装置に配設されているロールのうち、有機樹脂と金属板との圧着に用いられる圧着ロールを除き、有機樹脂と接触する全てのロールの表面が、非弾性体でかつ被覆する樹脂よりも硬い材質からなる樹脂被覆装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
長尺帯状の金属板に連続的に有機樹脂を当接して圧着する樹脂被覆装置としては、樹脂フィルムを接着剤を介して金属板に圧着する、または加熱した金属板に有機樹脂を当接して熱圧着するフィルムラミネート装置や、樹脂を加熱溶融してTダイからフィルム状にして金属板上に押し出す押出ラミネート装置が用いられている。これらのいずれの樹脂被覆装置においても、ラミネート前の金属板やラミネート後の樹脂被覆金属板は長尺帯状であるので、樹脂被覆装置においては、これらの長尺帯状の金属板と樹脂フィルムまたは押し出された樹脂との圧着、または移動、搬送、方向転換、さらに金属板や樹脂被覆金属板と接触することによる加熱および冷却、さらに金属板と樹脂フィルムの張力負荷を行うために、回転自在のロールが数多く用いられている。
【0003】
従来、これらのロールのうち、金属板と樹脂フィルムまたは押し出された樹脂との圧着に用いる、圧接に必要なニップを弾性変形して形成させることが可能な耐熱性ゴムなどの弾性体からなるラミネートロール(圧着ロール)や、金属板や樹脂被覆金属板と接触して加熱冷却するために良好な熱伝導性を必要とするクロムめっき鋼などからなる伝熱ロール以外の、移動、搬送、方向転換、および張力負荷に用いるロールとしては、ウレタンゴムなどからなる硬質樹脂製のロールが用いられていた。
【0004】
しかし、これらの硬質樹脂製のロールは金属粉などの硬質の異物が付着すると食い込みやすく、製造現場における金属粉などの硬質の異物が金属板や樹脂フィルムなどに付着して製造工程に持ち込まれてロール表面に付着すると食い込んで突起となり、この突起が樹脂フィルムに転写されるため、樹脂フィルムに周期的に連続した欠陥を生じてしまうようになる。この欠陥はロールに付着して食い込んだ異物が樹脂フィルムに付着して除去されるまで発生し続ける。このため、しばしば樹脂被覆装置を停止してロール表面を清拭する必要があり、生産性を低下する原因にもなっている。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、ロール表面に付着して食い込んだ異物によって周期的に連続した皮膜欠陥が樹脂フィルムに生じず、かつ異物が付着して食い込んだロール表面を清拭するために装置をしばしば停止する必要のない、生産性の高い樹脂被覆装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂被覆装置は、金属板に有機樹脂を当接して圧着する樹脂被覆装置において、有機樹脂と金属板との圧着に用いられる圧着ロールを除き、該樹脂被覆装置に配設されている有機樹脂と接触する全てのロールの表面が硬質材料からなることを特徴とする樹脂被覆装置であり、さらに、
前記硬質材料からなる表面を有するロールは、表面硬度Hv(JIS Z2244)が500以上であること、
前記硬質材料が、炭素鋼もしくは合金鋼、またはクロムめっきを施した炭素鋼もしくは合金鋼、またはステンレス鋼、またはセラミックスであること、
を特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明においては、金属板に有機樹脂を当接して圧着する樹脂被覆装置において、有機樹脂と金属板との圧着に用いられる圧着ロールを除き、該樹脂被覆装置に配設されている有機樹脂と接触する全てのロールの表面を、金属やセラミックスなどの硬質材料とすることにより、ロール表面に付着して食い込んだ異物によって周期的に連続した皮膜欠陥が樹脂フィルムに生じず、異物が付着して食い込んだロール表面を清拭するために装置をしばしば停止する必要のない、生産性の高い樹脂被覆装置とすることが可能となった。
即ち、本発明において、上記ロール表面の形成に使用される硬質材料とは、ウレタンゴムなどの硬質樹脂材料を含まず、金属やセラミックなどの無機材料を意味するものであり、例えば、このような硬質材料からなるロール表面は、硬度Hv(JIS Z2244)が500以上である。
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の樹脂被覆装置の一例であるフィルムラミネート装置の概略図である。図1に示すフィルムラミネート装置20において、長尺帯状の金属板1は図示しない金属板供給手段から連続的に供給され、加熱ロール3と接触して加熱され、デフレクターロール4で進行方向を変更される。一方、樹脂フィルム2aは樹脂フィルム供給手段11から連続的に供給され、デフレクターロール5により進行方向を変更されるとともに張力を付与され、前記連続的に供給される加熱された金属板1に当接される。次いで両者は対のラミネートロール(圧着ロール)6で圧着されて樹脂被覆金属板10となる。
【0009】
樹脂被覆金属板10はラミネートロール6の下方に設けられた図上で水平方向に可動なデフレクターロール8で進行方向を変更され、それに伴って樹脂被覆金属板10とラミネートロール6の一方(図では左側)との接触面積が増加し、金属板1の片側(左側)のみラミネートロール6による冷却量を増加させ、樹脂フィルム2aの配向がコントロールされる。このとき、樹脂被覆金属板10とラミネートロール6の一方(図では左側)との接触を補助するための押さえ用のデフレクターロール7を設けてもよい。次いで樹脂被覆金属板10はデフレクターロール9により進行方向を元に戻され、冷却用に水を張ったクエンチタンク12に浸漬され、さらにクエンチタンク12中に設けたデフレクターロール9qにより進行方向を変えられ、巻き取り手段13により巻き取られる。
【0010】
図2は本発明の樹脂被覆装置の他の一例である押し出しラミネート装置の概略図である。図2に示す押し出しラミネート装置30において、長尺帯状の金属板1は図示しない金属板供給手段から連続的に供給され、加熱ロール3と接触して加熱され、最終加熱ロールを兼ねるデフレクターロール4で進行方向を変更される。一方、樹脂2はTダイ14から連続的に押し出され、加熱された金属板1に当接される。次いで両者は対のラミネートロール6で圧着されて樹脂被覆金属板10となる。
【0011】
次いで樹脂被覆金属板10は冷却用に水を張ったクエンチタンク12に浸漬され、さらにクエンチタンク12中に設けたデフレクターロール9qにより進行方向を変えられ、巻き取り手段13により巻き取られる。
【0012】
図1および図2において発明の対象とするロールは、金属板1と樹脂2(樹脂フィルム2a)の圧接に必要な、ニップを弾性変形して形成させることが可能な耐熱性ゴムなどの弾性体からなるラミネートロール(圧着ロール)6以外のロールである。すなわち、金属板用の加熱ロール3、金属板用のデフレクターロール4、樹脂フィルム用のデフレクターロール5、樹脂被覆金属板用の押さえ用のデフレクターロール7、樹脂被覆金属板用の可動デフレクターロール8、樹脂被覆金属板用のデフレクターロール9などが本発明の対象とするロールである。これらのロールは図1および2において、説明の便宜上から必要とする最低限の数で示しているが、装置としての利便性から図に示したこの数に限るものではなく、また図に示した箇所のみならず、それぞれの果たす効果に応じて、図示した箇所以外の箇所に配接してもよい。
【0013】
上記の各ロールのうち、加熱ロール3は耐熱性および熱伝導性が良好であることを必要とされるため、炭素鋼や合金鋼のロール表面にクロムめっきを施したロール、またはステンレス鋼からなるロールが従来より用いられている。
【0014】
樹脂フィルム用のデフレクターロール5、金属板用のデフレクターロール4、樹脂被覆金属板用の押さえロール7、樹脂被覆金属板用の可動デフレクターロール8、樹脂被覆金属板用のデフレクターロール9のロール表面としては、従来ウレタンゴムなどの硬質樹脂が用いられていたが、ウレタンゴムは金属板や樹脂フィルムに付着して持ち込まれる金属粉などの硬質の異物が付着すると食い込みやすい。また、樹脂フィルム2aには巻き取りを可能とするためのシリカなどの硬質粒子が不可避的に含まれており、さらに用途によっては酸化チタンなどの微細な硬質粒子からなる顔料が含まれるため、樹脂フィルム2aと接触するデフレクターロール5などのロール表面もこれらの硬質粒子により摩耗して摩耗粉が生じ、この摩耗粉が塊状に堆積してロール表面に食い込む場合もある。
【0015】
そのため、これらのロールのロール表面としては、表面硬度Hv(JIS Z2244)が500以上であれば良く、例えば硬質異物が付着しても食い込みにくい炭素鋼や合金鋼、または炭素鋼や合金鋼の表面にクロムめっきを施したものが好ましく、クエンチタンクなど水と接触するロール表面としてはステンレス鋼が好ましい。また、アルミナなどのセラミックスやサーメットなどであってもよく、炭素鋼や合金鋼、またクロムめっきを施した炭素鋼や合金鋼、もしくはステンレス鋼の表面に溶射法やスパッタリング法などを用いてセラミックス、サーメット、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボンなどの層を形成させたものを用いる。
【0016】
【実施例】
(実施例1)
図1に示したフィルムラミネート装置20において、加熱ロール3として合金鋼(SNC415)にクロムめっきを施したロール表面を有するもの、デフレクターロール4、可動デフレクターロール8、およびデフレクターロール9として炭素鋼(S30C)にクロムめっきを施したロール表面を有するもの、デフレクターロール5として炭素鋼(S45C)と合金鋼(SNC415)からなるもの、ラミネートロール6としてシリコンゴムのロール表面を有するもの、押さえ用のデフレクターロール7としてS45Cにアルミナのスリーブをロール表面として冷やし填めしたもの、デフレクターロール9qとしてステンレス鋼(304)からなるものを装填した。
【0017】
各ロール表面を清拭した後、金属板1として厚さ:0.30mmのアルミニウム合金板(5052H38)、樹脂フィルム2aとして厚さ:25μmのエチレンテレフタレート(88モル%)/エチレンイソフタレート(12モル%)共重合体の二軸配向フィルムを用い、ラミネートロール6を通過した直後のアルミニウム合金板の部分に、長さ方向:5cmにわたって硬質の異物として鉄粉を付着させ、80m/minの通板速度でラミネートを開始し、5分間予備通板作業としてラミネートを行った後、続けて1分間本通板作業としてラミネートを行い、樹脂被覆金属板10を巻き取り手段13に巻き取った。その後各ロール表面を観察したところ、鉄粉などの異物付着は認められなかった。また、巻き取られた樹脂被覆金属板10を巻き解き、本作業部分の80mの長さの樹脂被覆金属板10から評価用の試料を20枚採取して樹脂表面を観察したところ、樹脂面に異物付着が認められたものが1枚、樹脂面に傷が生じたものは皆無であった。これらの結果、鉄粉は各ロールに殆ど食い込んでおらず、付着したとしても予備通板作業時に樹脂フィルムに付着して実質的に全て除去されることが確認された。
【0018】
(比較例1)
実施例1と同一のフィルムラミネート装置20において、加熱ロール3、ラミネートロール6以外のデフレクターロール4、デフレクターロール5、押さえ用のデフレクターロール7、可動デフレクターロール8、デフレクターロール9、デフレクターロール9qとして、それぞれウレタンゴムのロール表面を有するものを用いた以外は同一の条件で、実施例1と同一のアルミニウム合金板に実施例1と同一の樹脂フィルムをラミネートし、樹脂被覆金属板10を巻き取り手段13に巻き取った。その後各ロール表面を観察したところ、可動デフレクターロール8、デフレクターロール9、デフレクターロール9qのいずれのロール表面においても異物付着が認められた。また、巻き取られた樹脂被覆金属板10を巻き解き、実施例1と同一の条件で本作業部分の80mの長さの樹脂被覆金属板10から評価用の試料を20枚採取して樹脂表面を観察したところ、樹脂面に異物付着が認められたものが17枚、樹脂面に傷が生じたものが9枚であった。また、異物付着は採取した試料の樹脂被覆金属板としての幅方向の同一箇所において発生しており、また採取枚数において周期的に発生しており、ロールに付着して食い込んだ異物が樹脂フィルムに付着して除去されるまで発生し続けることが確認された。
【0019】
【発明の効果】
金属板に有機樹脂を当接して圧着する樹脂被覆装置において、有機樹脂と金属板との圧着に用いられる圧着ロールを除き、該樹脂被覆装置に配設されている有機樹脂と接触する全てのロールの表面を、金属やセラミックスなどの硬質材料とすることにより、ロール表面に付着して食い込んだ異物によって周期的に連続した皮膜欠陥が樹脂フィルムに生じず、異物が付着して食い込んだロール表面を清拭するために装置をしばしば停止する必要のない、生産性の高い樹脂被覆装置とすることが可能となった。
本発明の樹脂被覆装置は有機樹脂と金属板との圧着に用いられる圧着ロールを除き、該樹脂被覆装置に配設されている有機樹脂と接触する全てのロールの表面が炭素鋼または合金鋼、それらにクロムめっきを施したもの、ステンレス鋼やセラミックスなどの硬質材料からなるロールを用いることを特徴とする樹脂被覆装置であり、ロール表面に異物が食い込みにくく、そのため異物が付着して食い込んだロール表面を清拭するために装置をしばしば停止する必要がなく、高い生産性で樹脂被覆金属板を生産することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂被覆装置の一例であるフィルムラミネート装置の概略図。
【図2】本発明の樹脂被覆装置の他の一例である押し出しラミネート装置の 概略図。
【符号の説明】
1 : 金属板
2 : 有機樹脂
2a: 有機樹脂
3 : 加熱ロール
4 : デフレクターロール
5 : デフレクターロール
6 : ラミネートロール
7 :押さえ用のデフレクターロール
8 : 可動デフレクターロール
9 : デフレクターロール
9q: デフレクターロール
10 : 樹脂被覆金属板
11 :樹脂フィルム供給手段
12 : クエンチタンク
13 : 巻き取り手段
14 : Tダイ
20 : フィルムラミネート装置
30 : 押し出しラミネート装置
【発明の属する技術分野】
本発明は金属板に有機樹脂を当接して圧着する樹脂被覆装置に関し、特に樹脂被覆装置に配設されているロールのうち、有機樹脂と金属板との圧着に用いられる圧着ロールを除き、有機樹脂と接触する全てのロールの表面が、非弾性体でかつ被覆する樹脂よりも硬い材質からなる樹脂被覆装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
長尺帯状の金属板に連続的に有機樹脂を当接して圧着する樹脂被覆装置としては、樹脂フィルムを接着剤を介して金属板に圧着する、または加熱した金属板に有機樹脂を当接して熱圧着するフィルムラミネート装置や、樹脂を加熱溶融してTダイからフィルム状にして金属板上に押し出す押出ラミネート装置が用いられている。これらのいずれの樹脂被覆装置においても、ラミネート前の金属板やラミネート後の樹脂被覆金属板は長尺帯状であるので、樹脂被覆装置においては、これらの長尺帯状の金属板と樹脂フィルムまたは押し出された樹脂との圧着、または移動、搬送、方向転換、さらに金属板や樹脂被覆金属板と接触することによる加熱および冷却、さらに金属板と樹脂フィルムの張力負荷を行うために、回転自在のロールが数多く用いられている。
【0003】
従来、これらのロールのうち、金属板と樹脂フィルムまたは押し出された樹脂との圧着に用いる、圧接に必要なニップを弾性変形して形成させることが可能な耐熱性ゴムなどの弾性体からなるラミネートロール(圧着ロール)や、金属板や樹脂被覆金属板と接触して加熱冷却するために良好な熱伝導性を必要とするクロムめっき鋼などからなる伝熱ロール以外の、移動、搬送、方向転換、および張力負荷に用いるロールとしては、ウレタンゴムなどからなる硬質樹脂製のロールが用いられていた。
【0004】
しかし、これらの硬質樹脂製のロールは金属粉などの硬質の異物が付着すると食い込みやすく、製造現場における金属粉などの硬質の異物が金属板や樹脂フィルムなどに付着して製造工程に持ち込まれてロール表面に付着すると食い込んで突起となり、この突起が樹脂フィルムに転写されるため、樹脂フィルムに周期的に連続した欠陥を生じてしまうようになる。この欠陥はロールに付着して食い込んだ異物が樹脂フィルムに付着して除去されるまで発生し続ける。このため、しばしば樹脂被覆装置を停止してロール表面を清拭する必要があり、生産性を低下する原因にもなっている。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、ロール表面に付着して食い込んだ異物によって周期的に連続した皮膜欠陥が樹脂フィルムに生じず、かつ異物が付着して食い込んだロール表面を清拭するために装置をしばしば停止する必要のない、生産性の高い樹脂被覆装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂被覆装置は、金属板に有機樹脂を当接して圧着する樹脂被覆装置において、有機樹脂と金属板との圧着に用いられる圧着ロールを除き、該樹脂被覆装置に配設されている有機樹脂と接触する全てのロールの表面が硬質材料からなることを特徴とする樹脂被覆装置であり、さらに、
前記硬質材料からなる表面を有するロールは、表面硬度Hv(JIS Z2244)が500以上であること、
前記硬質材料が、炭素鋼もしくは合金鋼、またはクロムめっきを施した炭素鋼もしくは合金鋼、またはステンレス鋼、またはセラミックスであること、
を特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明においては、金属板に有機樹脂を当接して圧着する樹脂被覆装置において、有機樹脂と金属板との圧着に用いられる圧着ロールを除き、該樹脂被覆装置に配設されている有機樹脂と接触する全てのロールの表面を、金属やセラミックスなどの硬質材料とすることにより、ロール表面に付着して食い込んだ異物によって周期的に連続した皮膜欠陥が樹脂フィルムに生じず、異物が付着して食い込んだロール表面を清拭するために装置をしばしば停止する必要のない、生産性の高い樹脂被覆装置とすることが可能となった。
即ち、本発明において、上記ロール表面の形成に使用される硬質材料とは、ウレタンゴムなどの硬質樹脂材料を含まず、金属やセラミックなどの無機材料を意味するものであり、例えば、このような硬質材料からなるロール表面は、硬度Hv(JIS Z2244)が500以上である。
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の樹脂被覆装置の一例であるフィルムラミネート装置の概略図である。図1に示すフィルムラミネート装置20において、長尺帯状の金属板1は図示しない金属板供給手段から連続的に供給され、加熱ロール3と接触して加熱され、デフレクターロール4で進行方向を変更される。一方、樹脂フィルム2aは樹脂フィルム供給手段11から連続的に供給され、デフレクターロール5により進行方向を変更されるとともに張力を付与され、前記連続的に供給される加熱された金属板1に当接される。次いで両者は対のラミネートロール(圧着ロール)6で圧着されて樹脂被覆金属板10となる。
【0009】
樹脂被覆金属板10はラミネートロール6の下方に設けられた図上で水平方向に可動なデフレクターロール8で進行方向を変更され、それに伴って樹脂被覆金属板10とラミネートロール6の一方(図では左側)との接触面積が増加し、金属板1の片側(左側)のみラミネートロール6による冷却量を増加させ、樹脂フィルム2aの配向がコントロールされる。このとき、樹脂被覆金属板10とラミネートロール6の一方(図では左側)との接触を補助するための押さえ用のデフレクターロール7を設けてもよい。次いで樹脂被覆金属板10はデフレクターロール9により進行方向を元に戻され、冷却用に水を張ったクエンチタンク12に浸漬され、さらにクエンチタンク12中に設けたデフレクターロール9qにより進行方向を変えられ、巻き取り手段13により巻き取られる。
【0010】
図2は本発明の樹脂被覆装置の他の一例である押し出しラミネート装置の概略図である。図2に示す押し出しラミネート装置30において、長尺帯状の金属板1は図示しない金属板供給手段から連続的に供給され、加熱ロール3と接触して加熱され、最終加熱ロールを兼ねるデフレクターロール4で進行方向を変更される。一方、樹脂2はTダイ14から連続的に押し出され、加熱された金属板1に当接される。次いで両者は対のラミネートロール6で圧着されて樹脂被覆金属板10となる。
【0011】
次いで樹脂被覆金属板10は冷却用に水を張ったクエンチタンク12に浸漬され、さらにクエンチタンク12中に設けたデフレクターロール9qにより進行方向を変えられ、巻き取り手段13により巻き取られる。
【0012】
図1および図2において発明の対象とするロールは、金属板1と樹脂2(樹脂フィルム2a)の圧接に必要な、ニップを弾性変形して形成させることが可能な耐熱性ゴムなどの弾性体からなるラミネートロール(圧着ロール)6以外のロールである。すなわち、金属板用の加熱ロール3、金属板用のデフレクターロール4、樹脂フィルム用のデフレクターロール5、樹脂被覆金属板用の押さえ用のデフレクターロール7、樹脂被覆金属板用の可動デフレクターロール8、樹脂被覆金属板用のデフレクターロール9などが本発明の対象とするロールである。これらのロールは図1および2において、説明の便宜上から必要とする最低限の数で示しているが、装置としての利便性から図に示したこの数に限るものではなく、また図に示した箇所のみならず、それぞれの果たす効果に応じて、図示した箇所以外の箇所に配接してもよい。
【0013】
上記の各ロールのうち、加熱ロール3は耐熱性および熱伝導性が良好であることを必要とされるため、炭素鋼や合金鋼のロール表面にクロムめっきを施したロール、またはステンレス鋼からなるロールが従来より用いられている。
【0014】
樹脂フィルム用のデフレクターロール5、金属板用のデフレクターロール4、樹脂被覆金属板用の押さえロール7、樹脂被覆金属板用の可動デフレクターロール8、樹脂被覆金属板用のデフレクターロール9のロール表面としては、従来ウレタンゴムなどの硬質樹脂が用いられていたが、ウレタンゴムは金属板や樹脂フィルムに付着して持ち込まれる金属粉などの硬質の異物が付着すると食い込みやすい。また、樹脂フィルム2aには巻き取りを可能とするためのシリカなどの硬質粒子が不可避的に含まれており、さらに用途によっては酸化チタンなどの微細な硬質粒子からなる顔料が含まれるため、樹脂フィルム2aと接触するデフレクターロール5などのロール表面もこれらの硬質粒子により摩耗して摩耗粉が生じ、この摩耗粉が塊状に堆積してロール表面に食い込む場合もある。
【0015】
そのため、これらのロールのロール表面としては、表面硬度Hv(JIS Z2244)が500以上であれば良く、例えば硬質異物が付着しても食い込みにくい炭素鋼や合金鋼、または炭素鋼や合金鋼の表面にクロムめっきを施したものが好ましく、クエンチタンクなど水と接触するロール表面としてはステンレス鋼が好ましい。また、アルミナなどのセラミックスやサーメットなどであってもよく、炭素鋼や合金鋼、またクロムめっきを施した炭素鋼や合金鋼、もしくはステンレス鋼の表面に溶射法やスパッタリング法などを用いてセラミックス、サーメット、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボンなどの層を形成させたものを用いる。
【0016】
【実施例】
(実施例1)
図1に示したフィルムラミネート装置20において、加熱ロール3として合金鋼(SNC415)にクロムめっきを施したロール表面を有するもの、デフレクターロール4、可動デフレクターロール8、およびデフレクターロール9として炭素鋼(S30C)にクロムめっきを施したロール表面を有するもの、デフレクターロール5として炭素鋼(S45C)と合金鋼(SNC415)からなるもの、ラミネートロール6としてシリコンゴムのロール表面を有するもの、押さえ用のデフレクターロール7としてS45Cにアルミナのスリーブをロール表面として冷やし填めしたもの、デフレクターロール9qとしてステンレス鋼(304)からなるものを装填した。
【0017】
各ロール表面を清拭した後、金属板1として厚さ:0.30mmのアルミニウム合金板(5052H38)、樹脂フィルム2aとして厚さ:25μmのエチレンテレフタレート(88モル%)/エチレンイソフタレート(12モル%)共重合体の二軸配向フィルムを用い、ラミネートロール6を通過した直後のアルミニウム合金板の部分に、長さ方向:5cmにわたって硬質の異物として鉄粉を付着させ、80m/minの通板速度でラミネートを開始し、5分間予備通板作業としてラミネートを行った後、続けて1分間本通板作業としてラミネートを行い、樹脂被覆金属板10を巻き取り手段13に巻き取った。その後各ロール表面を観察したところ、鉄粉などの異物付着は認められなかった。また、巻き取られた樹脂被覆金属板10を巻き解き、本作業部分の80mの長さの樹脂被覆金属板10から評価用の試料を20枚採取して樹脂表面を観察したところ、樹脂面に異物付着が認められたものが1枚、樹脂面に傷が生じたものは皆無であった。これらの結果、鉄粉は各ロールに殆ど食い込んでおらず、付着したとしても予備通板作業時に樹脂フィルムに付着して実質的に全て除去されることが確認された。
【0018】
(比較例1)
実施例1と同一のフィルムラミネート装置20において、加熱ロール3、ラミネートロール6以外のデフレクターロール4、デフレクターロール5、押さえ用のデフレクターロール7、可動デフレクターロール8、デフレクターロール9、デフレクターロール9qとして、それぞれウレタンゴムのロール表面を有するものを用いた以外は同一の条件で、実施例1と同一のアルミニウム合金板に実施例1と同一の樹脂フィルムをラミネートし、樹脂被覆金属板10を巻き取り手段13に巻き取った。その後各ロール表面を観察したところ、可動デフレクターロール8、デフレクターロール9、デフレクターロール9qのいずれのロール表面においても異物付着が認められた。また、巻き取られた樹脂被覆金属板10を巻き解き、実施例1と同一の条件で本作業部分の80mの長さの樹脂被覆金属板10から評価用の試料を20枚採取して樹脂表面を観察したところ、樹脂面に異物付着が認められたものが17枚、樹脂面に傷が生じたものが9枚であった。また、異物付着は採取した試料の樹脂被覆金属板としての幅方向の同一箇所において発生しており、また採取枚数において周期的に発生しており、ロールに付着して食い込んだ異物が樹脂フィルムに付着して除去されるまで発生し続けることが確認された。
【0019】
【発明の効果】
金属板に有機樹脂を当接して圧着する樹脂被覆装置において、有機樹脂と金属板との圧着に用いられる圧着ロールを除き、該樹脂被覆装置に配設されている有機樹脂と接触する全てのロールの表面を、金属やセラミックスなどの硬質材料とすることにより、ロール表面に付着して食い込んだ異物によって周期的に連続した皮膜欠陥が樹脂フィルムに生じず、異物が付着して食い込んだロール表面を清拭するために装置をしばしば停止する必要のない、生産性の高い樹脂被覆装置とすることが可能となった。
本発明の樹脂被覆装置は有機樹脂と金属板との圧着に用いられる圧着ロールを除き、該樹脂被覆装置に配設されている有機樹脂と接触する全てのロールの表面が炭素鋼または合金鋼、それらにクロムめっきを施したもの、ステンレス鋼やセラミックスなどの硬質材料からなるロールを用いることを特徴とする樹脂被覆装置であり、ロール表面に異物が食い込みにくく、そのため異物が付着して食い込んだロール表面を清拭するために装置をしばしば停止する必要がなく、高い生産性で樹脂被覆金属板を生産することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂被覆装置の一例であるフィルムラミネート装置の概略図。
【図2】本発明の樹脂被覆装置の他の一例である押し出しラミネート装置の 概略図。
【符号の説明】
1 : 金属板
2 : 有機樹脂
2a: 有機樹脂
3 : 加熱ロール
4 : デフレクターロール
5 : デフレクターロール
6 : ラミネートロール
7 :押さえ用のデフレクターロール
8 : 可動デフレクターロール
9 : デフレクターロール
9q: デフレクターロール
10 : 樹脂被覆金属板
11 :樹脂フィルム供給手段
12 : クエンチタンク
13 : 巻き取り手段
14 : Tダイ
20 : フィルムラミネート装置
30 : 押し出しラミネート装置
Claims (6)
- 金属板に有機樹脂を当接して圧着する樹脂被覆装置において、有機樹脂と金属板との圧着に用いられる圧着ロールを除き、該樹脂被覆装置に配設されている有機樹脂と接触する全てのロールの表面が硬質材料からなることを特徴とする、樹脂被覆装置。
- 前記硬質材料からなる表面を有するロールは、表面硬度Hv(JIS Z2244)が500以上である請求項1に記載の樹脂被覆装置。
- 前記硬質材料が炭素鋼または合金鋼である、請求項1に記載の樹脂被覆装置。
- 前記硬質材料がクロムめっきを施した炭素鋼または合金鋼である、請求項1に記載の樹脂被覆装置。
- 前記硬質材料がステンレス鋼である、請求項1に記載の樹脂被覆装置。
- 前記硬質材料がセラミックスである、請求項1に記載の樹脂被覆装置。
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2002164858A JP2004009458A (ja) | 2002-06-05 | 2002-06-05 | 樹脂被覆装置 |
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Cited By (3)
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WO2007037225A1 (ja) * | 2005-09-29 | 2007-04-05 | Toyo Kohan Co., Ltd. | 有機樹脂被覆金属板の製造方法および有機樹脂被覆金属板の製造装置 |
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JP2015148270A (ja) * | 2014-02-06 | 2015-08-20 | Bellmatic株式会社 | 磁気ロール装置 |
-
2002
- 2002-06-05 JP JP2002164858A patent/JP2004009458A/ja active Pending
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