JP2004006630A - 半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム及び該粘着フィルムを用いる半導体ウエハの裏面加工方法 - Google Patents
半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム及び該粘着フィルムを用いる半導体ウエハの裏面加工方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】基材フィルムの片表面に粘着剤層が形成された半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムであって、基材フィルムが、下記要件Aと、要件B及びCの少なくとも1要件を備えた層を少なくとも1層含むことを特徴とする半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム。要件A:18〜50℃の全温度域における貯蔵弾性率が1×109〜1×1010Paである高弾性率特性(A)。要件B:50〜90℃の少なくとも一部の温度域における貯蔵弾性率が1×108Pa以下である高弾性率特性(B)。要件C:23℃、90%RHにおいて4時間経過後の吸水による寸法変化率が0.05〜0.5%である吸水膨張性高弾性率特性(C)。
【選択図】 なし。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム、及び該半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを用いる半導体ウエハの裏面加工方法に関する。詳しくは、シリコン、ガリウム−砒素等の半導体ウエハの集積集積回路が形成された側の面に粘着フィルムを貼着して該ウエハの他の面を加工する際に用いる半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム、及び該半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを用いる半導体ウエハの裏面加工方法に関する。更に詳しくは、薄層化した半導体チップの製造工程、特に、裏面加工工程、粘着フィルム剥離工程、搬送操作中等において、半導体ウエハの破損防止、生産性向上のために好適である半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム及びそれを用いる半導体ウエハの裏面加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICカード、携帯通信機器等の普及、或いは電子機器の小型化、薄層化の要求が高まって来たことに伴い、半導体チップのさらなる薄層化が望まれている。従来、半導体チップの厚みは300μm程度であったが、用途によっては150μm以下に薄層化されることが要求されるようになってきた。
【0003】
半導体チップは、集積回路が形成された半導体ウエハの表面に半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを貼着する工程、半導体ウエハの裏面加工により薄層化する工程、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを剥離する工程を経た後、半導体ウエハをダイシング加工することにより製造されるのが一般的である。特に、厚みが150μm以下に薄層化された半導体チップを製造する際の裏面加工は、先ず、従来行われている研削加工によって200〜150μm程度まで薄層化し、次いで、研磨加工、化学エッチング加工等によりさらに薄層化することもある。最近では研磨加工、化学エッチング等の加工なしに、研削加工のみによって半導体ウエハを25μmまで薄層化する技術も開発されている。
【0004】
しかし、薄層化した半導体ウエハは、剛性の低下により、半導体ウエハの反り変形が著しく大きくなる場合があり、製造上問題となっている。通常、半導体チップを薄層化する工程では、半導体ウエハは、ロボットにより専用のケースから一枚ごと取り出し、加工機械内のチャックテーブルと称される治具に固定した後、裏面加工が施される。裏面加工後のウエハは、再びロボットにより、専用のケースに収納、または、次の工程へ搬送される。この際、ウエハの反りが大きいと、ウエハが破損したり、ロボットによる搬送ができないこと等により工程が停止することがある。また、半導体ウエハ表面保護粘着フィルムの剥離工程では、剥がし機械内のチャックテーブルにウエハを固定する際、無理な平坦化によってウエハの破損が発生する等、重大な問題が生じることがある。
【0005】
薄層化された半導体ウエハは反りが発生しやすい。ウエハの反りは、ウエハの表面に貼着されている半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムの残留応力と、ウエハ表面に付設されている集積回路保護膜の残留応力により発生するといわれている。半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムの残留応力は、半導体ウエハの表面に粘着フィルムを貼着する際、該粘着フィルムにかかる張力により発生する。一般的に、伸びやすい軟質の基材フィルムを用いた半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムは、残留応力が大きく、半導体ウエハの反りが発生し易い。
【0006】
一方、回路保護膜の残留応力は、ポリイミド系保護膜において顕著である。特に、ポリイミド系保護膜が厚い場合には、半導体ウエハを薄層化したとき、該ポリイミド系保護膜の残留応力によってウエハの反りが大きくなり、ウエハが破損したり、ロボットによる搬送ができないこと等が起こり、工程が停止する等の重大な支障が生じる。
【0007】
このような薄層化後のウエハの反りを低減させる手段として、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを半導体ウエハ表面に貼着した際の残留応力を低減することに着目した試みが種々検討されている。例えば、特開2000−150432号公報には、応力緩和率が高い基材フィルムを用いた半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム、特開2000−212524公報には、高い引張り弾性率を持つ基材フィルムを用いた半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムがそれぞれ開示されている。
【0008】
特開2000−150432号公報に記載された応力緩和率が高い基材フィルムを用いた半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムは、それを半導体ウエハ表面に貼着する際の残留応力を低減する効果はあるものの、回路保護膜の残留応力による半導体ウエハの反りを防止できない欠点がある。また、特開2000−212524公報に記載された高い引張り弾性率を持つ基材フィルムを用いた半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムは、半導体ウエハの反りを矯正する効果はあるが、半導体ウエハ表面からの剥離が困難であることがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、半導体ウエハの裏面研削加工においてウエハの厚みを150μm以下まで薄層化した場合であっても、半導体ウエハの回路保護膜の残留応力による半導体ウエハの反りを矯正、防止し、ウエハを破損することなしに容易に剥離することができる半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム、及びそれを用いる半導体ウエハの裏面加工方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、半導体ウエハの反り低減に関して検討を重ねた結果、粘着フィルムの基材フィルムとして、(A)室温近傍の温度から50℃の全温度域においては高い剛性を維持する特性、(B)50℃以上に加熱することにより剛性が低下する特性、(C)23℃、相対湿度(RH)90%において4時間経過後の吸水による寸法変化率が0.05〜0.5%である特性に着目し、これらの(A)及び(B)の2特性、(A)及び(C)の2特性、又は、(A)、(B)及び(C)の3特性を有する基材フィルムを用いることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到った。
【0011】
すなわち、本発明は、基材フィルムの片表面に粘着剤層が形成された半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムであって、基材フィルムが、下記要件Aと、要件BまたはCの少なくとも1要件を備えたことを特徴とする半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム。に関する。
要件A:50℃におけるフィルム剛軟度の値が、0.08〜1.50Nの範囲である高剛性特性(A)。
要件B:90℃におけるフィルム剛軟度の値が、50℃の温度域におけるフィルム剛軟度の3分の1以下である特性(B)。
要件C:23℃、90%RHにおいて4時間経過後の吸水による寸法変化率が0.05〜0.5%である吸水膨張性高弾性率特性(C)。
更に、基材フィルムの片表面に粘着剤層が形成された半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムであって、基材フィルムが、下記要件A‘と、要件B’またはCの少なくとも1要件を備えた層を少なくとも1層含むことを特徴とする半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム。に関する。
要件A‘:18〜50℃の全温度域における貯蔵弾性率が1×109〜1×101 0Paである高弾性率特性(A‘)。
要件B‘:50〜90℃の少なくとも一部の温度域における貯蔵弾性率が1×108Pa以下である高弾性率特性(B‘)。
要件C:23℃、90%RHにおいて4時間経過後の吸水による寸法変化率が0.05〜0.5%である吸水膨張性高弾性率特性(C)。
【0012】
本発明に係わる半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムの特徴は、基材フィルムが、前記要件A及びB、A及びC、又は、A、B及びCを備えていることにある。
本発明の他の発明に係わる半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムの特徴は、基材フィルムが、下記要件A‘と、要件B’またはCの少なくとも1要件を備えた層を少なくとも1層含むことである。
本発明に係わる半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムは、要件A‘と、要件B’またはCの少なくとも1要件を備えた層が、18〜50℃の温度域における貯蔵弾性率の最低値(E‘min)に対する最高値(E‘max)の比(E‘max/E‘min)が1.0〜1.1であることが好ましい態様である。
また、前記半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム、基材フィルムが低弾性率樹脂層を少なくとも1層含む前記半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムは好ましい態様である。
【0013】
本発明の他の発明は、前記半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを用いる半導体ウエハの裏面加工方法であって、半導体ウエハの集積回路形成面に半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムをその粘着剤層を介して貼着し、半導体ウエハの厚みが150μm以下になるまで裏面加工し、次いで、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを50〜90℃に加熱して剥離する半導体ウエハの裏面加工方法である。
【0014】
本発明に係わる半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを用いることにより、半導体ウエハの裏面研削加工において、集積回路が保護膜によって保護されたウエハが、厚みが150μm以下になるまで薄層化された場合であっても、半導体ウエハの集積回路形成面に半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを貼着する際の基材フィルムの伸びを抑制することとができ、半導体ウエハの回路保護膜の残留応力によるウエハの反りを矯正、防止することができる。また、半導体ウエハの集積回路非形成面を研削する際に注水される冷却水、粘着フィルム表面の洗浄水等により、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムの基材フィルムが適度に膨張し、半導体ウエハの反りを矯正、防止することができ、ウエハの破損を防止できる。また、半導体ウエハの集積回路形成面から本発明に係わる半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを剥離する際、加温することにより基材フィルムが低弾性率化し、ウエハを破損することなしに容易に剥離することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムは、基材フィルムの片面に粘着剤層が形成されたものである。本発明の半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムは、通常、室温近傍の温度、即ち、18〜30℃程度の室内において、半導体ウエハの集積回路形成面(以下、表面という)に粘着剤層を介して貼着した後、半導体ウエハの集積回路非形成面(以下、裏面という)に加工を施し、次いで、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを加熱して剥離する半導体ウエハの裏面加工工程に用いられるものである。
【0016】
先ず、本発明の半導体ウエハ表面表面保護用粘着フィルム(以下、粘着フィルムという)について説明する。本発明の粘着フィルムは、基材フィルムを作成した後、その片面に粘着剤層を形成することにより製造される。通常、粘着剤層の表面に剥離フィルムが貼着される。粘着剤層を形成する方法として、剥離フィルムの片面に、粘着剤塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形成した後、得られた粘着剤層を基材フィルムの片面に転写する方法、基材フィルムの片面に粘着剤塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形成する方法が挙げられる。前者の方法による場合は、使用する際に剥離フィルムを剥離する。後者の方法による場合は、環境に起因する汚染等から保護するために粘着剤層の表面に剥離フィルムを貼着することが好ましい。
【0017】
基材フィルム又は剥離フィルムのいずれの片面に粘着剤塗布液を塗布するかは、基材フィルム及び剥離フィルムの耐熱性、半導体ウエハ表面の非汚染性を考慮して決める。例えば、剥離フィルムの耐熱性が基材フィルムのそれより優れている場合は、剥離フィルムの表面に粘着剤層を設けた後、基材フィルム側へ転写する。耐熱性が同等または基材フィルムの方が優れている場合は、基材フィルムの表面に粘着剤層を設け、粘着剤層の表面に剥離フィルムを貼着する。
【0018】
しかし、粘着フィルムは、剥離フィルムを剥離したときに露出する粘着剤層の表面を介して半導体ウエハ表面に貼着されることを考慮し、粘着剤層による半導体ウエハ表面の汚染防止を図るためには、基材フィルムの耐熱性にかかわらず、耐熱性の良好な剥離フィルムを使用し、その表面に粘着剤塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形成する方法が好ましい。
【0019】
本発明に係わる粘着フィルムに用いる基材フィルムの特徴は、下記要件Aと、要件BまたはCの少なくとも1要件を備えていることにある。具体的には、要件A及びBの2要件、要件A及びCの2要件、又は、要件A、B及びCの3要件を備えた基材フィルムを用いることにある。
50℃において、更に好ましくは18〜50℃の全温度域において、フィルム剛軟度の値が、0.08〜1.50Nの範囲、更に好ましくは0.1〜1.0Nの範囲である高剛性特性(A)(以下、要件Aという)。
90℃において、更に好ましくは50〜90℃の少なくとも一部の温度域において、フィルム剛軟度の値が、50℃におけるフィルム剛軟度の3分の1以下、更に好ましくは18〜50℃の温度域におけるフィルム剛軟度の最大値の3分の1以下、更に好ましくは5分の1以下である特性(B)(以下、要件Bという)。23℃、90%RHにおいて4時間経過後の吸水による寸法変化率が0.05〜0.5%、好ましくは0.1〜0.5%である吸水膨張性高弾性率特性(C)(以下、要件Cという)。
また、本発明の他の発明に係わる粘着フィルムに用いる基材フィルムの特徴は、基材フィルムの少なくとも一層が下記要件A‘と、要件B’または要件Cの少なくとも1要件を備えていることにある。
具体的には、要件A‘及びB‘の2要件、要件A‘及びCの2要件、又は、要件A‘、B‘及びC‘の3要件を備えた層を少なくとも1層含む基材フィルムを用いることにある。
18〜50℃の全温度域における貯蔵弾性率が1×109〜1×1010Pa、更に好ましくは1×109Pa〜7×109Paの範囲である高弾性率特性(A‘)(以下、要件A‘という)
50〜90℃の少なくとも一部の温度域における貯蔵弾性率が1×108Pa以下、更に好ましくは5×107Pa以下である高弾性率特性(B‘)(以下、要件B‘という)
上記要件B‘は、50℃を超える温度から90℃の少なくとも一部の温度域における貯蔵弾性率が1×108Pa以下、更に好ましくは1×107Pa以下であることが好ましい。
更には、要件Aと、要件Bまたは要件Cの少なくとも1要件を備えた基材フィルムの少なくとも一層が要件A‘と要件B’または要件Cを備えていることが好ましい。
【0020】
粘着フィルムの基材フィルムが、前記要件A及びBの2要件を備えることにより、その剛性により、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを半導体ウエハ表面に貼着する際の基材フィルムの伸びを抑制し、半導体ウエハがその表面に形成されている回路保護膜の残留応力により生じるウエハの反りを矯正し、ウェハの破損を防止する効果を奏する。また、粘着フィルムをウェハ表面から剥離する際、50〜90℃程度に加温することにより基材フィルムの剛性を低下させることができ、ウエハを破損することなしに粘着フィルムを容易に剥離することが可能となるのである。
【0021】
18〜50℃の全温度域におけるフィルム剛軟度の値が、1.50Nの範囲を越えると、その過大な剛性により、粘着フィルムを半導体ウエハ表面に貼着することが難しくなる場合がある。また、18〜50℃の全温度域における剛軟度が、0.08N未満であると半導体ウエハの回路保護膜の反りの矯正効果が少なくなる場合がある。
また、粘着フィルムの基材フィルムの少なくとも1層が、前記要件A‘及びB’の2要件を備えることにより、その剛性により、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを半導体ウエハ表面に貼着する際の基材フィルムの伸びを抑制し、半導体ウエハがその表面に形成されている回路保護膜の残留応力により生じるウエハの反りを矯正し、ウェハの破損を防止する効果を奏する。また、粘着フィルムをウェハ表面から剥離する際、50〜90℃程度に加温することにより基材フィルムの剛性を低下させることができ、ウエハを破損することなしに粘着フィルムを容易に剥離することが可能となるのである。
また、基材フィルムの少なくとも一層が、18〜50℃の全温度域において、高弾性率樹脂層の貯蔵弾性率が、1×1010Paを超えると、その過大な剛性により、粘着フィルムを半導体ウエハ表面に貼着することが難しくなる場合がある。また、18〜50℃の全温度域における貯蔵弾性率が1×109Pa未満であると、半導体ウエハの回路保護膜の反りの矯正効果が少なくなる場合がある。上記要件B‘の高弾性率樹脂層の50〜90℃の少なくとも一部の温度域における貯蔵弾性率の下限は、好ましくは1×105Pa程度である。
【0022】
粘着フィルムの基材フィルムが、前記要件A及びCの2要件を備えることにより、その剛性により、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを半導体ウエハ表面に貼着する際の基材フィルムの伸びを抑制し、半導体ウエハがその表面に形成されている回路保護膜の残留応力により生じるウエハの反りを矯正し、ウェハの破損を防止する効果を奏する。
【0023】
また、ウエハ裏面を研削加工する際に、粘着テープ表面を洗浄する時に使用される水、又はウエハの冷却用として注水される冷却水(以下、研削水という)を基材フィルムが吸水することにより、基材フィルムが膨張し、その膨張によって発生する力により、ウエハの反りを矯正することが可能となる。この場合、薄い基材フィルムでも大きなウエハの反り矯正効果が得られる。18〜50℃の全温度域において、剛軟度が、1.5Nを超えると、その過大な剛性により、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを半導体ウエハ表面に貼着することが難しくなる場合がある。
【0024】
また、18〜50℃の全温度域における剛軟度が0.08N未満であると、半導体ウエハの回路保護膜の反りの矯正効果が少なくなる場合がある。23℃、90%RH(相対湿度)の環境下、4時間経過後の吸水による寸法変化率が0.05%未満である場合、膨張によるウェハの反りの矯正効果が小さくなる。寸法変化率が0.5%を超える場合、粘着フィルムを作製した後、時間が経過すると共に空気中の水分を吸収し、粘着フィルムが変形することがある。
また、 粘着フィルムの基材フィルムの少なくとも一層が、前記要件A’及びCの2要件を備えることにより、その剛性により、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを半導体ウエハ表面に貼着する際の基材フィルムの伸びを抑制し、半導体ウエハがその表面に形成されている回路保護膜の残留応力により生じるウエハの反りを矯正し、ウェハの破損を防止する効果を奏する。要件Cを備えることにより、ウエハ裏面を研削加工する際に、粘着テープ表面を洗浄する時に使用される水、又はウエハの冷却用として注水される冷却水(以下、研削水という)を吸水することにより、基材フィルムが膨張し、その膨張によって発生する力により、ウエハの反りを矯正することが可能となる。この場合、薄い基材フィルムでも大きなウエハの反り矯正効果が得られる。
【0025】
粘着フィルムの基材フィルムが、前記要件A、B及びCの3要件を備えることにより、要件A及びB、並びに、A及びCを備えることにより奏される効果の全てが相乗的に奏される。従がって、本願発明の解決課題を考慮するとき、前記要件A、B及びCの3要件を備えることが好ましい。
粘着フィルムの基材フィルムの少なくとも1層が、前記要件A‘、B‘及びCの3要件を備えることにより、要件A’及びB‘、並びに、A’及びCを備えることにより奏される効果の全てが相乗的に奏される。従がって、本願発明の解決課題を考慮するとき、粘着フィルムの基材フィルムの少なくとも1層が、前記要件A’、B‘及びCの3要件を備えることが好ましい。
【0026】
本発明に係わる粘着フィルムに用いる基材フィルムは、上記要件A‘及びB‘、要件A‘及びC、又は、要件A‘、B‘及びCを備えた樹脂層により全層を形成してもよいし、又、少なくとも1層を上記要件を備えた樹脂層で形成し、他の樹脂層を上記特性を有するもの以外の樹脂層で形成しても良い。即ち、上記特性を有する樹脂層と他の樹脂層との積層体でもよい。他の樹脂層と積層する場合、他樹脂の吸水特性等を考慮しその構成を設計することが好ましい。例えば、吸水性の少ない樹脂と要件Cを備えた樹脂を積層する場合は、要件Cを備えた樹脂層を最外層にすることが好ましい。
【0027】
本発明に係わる粘着フィルムに用いる基材フィルムの要件A’と、要件B’またはCの少なくとも1要件を備えた層は、上記要件A‘に加え、18〜50℃の温度域における貯蔵弾性率の最低値(E‘min)に対する最高値(E‘max)の比(E‘max/E‘min)が1.0〜1.1である要件を備えることが好ましい。該貯蔵弾性率の最低値(E‘min)に対する最高値(E‘max)の比(E‘max/E‘min)が、上記範囲を超えて大きくなる場合、半導体ウエハの裏面加工中に、その研削熱により基材フィルムが収縮変形を起こすなどにより、裏面加工後の半導体ウエハの反りが増大することがある。また、高弾性率樹脂層の厚みが厚い場合、高弾性率樹脂層が、50〜90℃の全域における貯蔵弾性率が1×108Paを超えると、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを剥離することが困難となる。
【0028】
また、粘着フィルムを半導体ウエハ表面に貼着する際の基材フィルムの伸びを抑制すること、及び半導体ウエハがその表面に形成されている回路保護膜の残留応力により生じるウエハの反りを矯正、防止する効果等を考慮すると、上記特性を有する樹脂層の厚みは、30〜300μm、更に好ましくは30〜200μmμmであることが好ましい。上記特性を有する樹脂層は、1層でも良いし複数層でもよい。複数層とする場合は、上記特性を有する各層を比較的薄くして合計厚みを30〜300μmとすればよい。
【0029】
上記要件(A‘)及び(B‘)の特性を有する樹脂としては、例えば、ニトリル系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(三井化学(株)製、商品名:アペル)、非結晶性ポリエチレンテレフタレート(三菱樹脂(株)製、商品名:PET−G)等の樹脂が挙げられる。以下、上記要件(A‘)及び(B‘)の特性を有する樹脂として好ましく用いられるニトリル系樹脂について説明する。該ニトリル系樹脂は、ゴム状重合体の存在下、不飽和ニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び必要に応じてこれらと共重合可能な他の単量体からなる単量体混合物をグラフト共重合することにより製造される。ニトリル系樹脂の製造に用いるゴム状重合体は、共役ジエン単位のみを含む重合体、または共役ジエン単位及び共役ジエンと共重合性の単量体、例えば、不飽和ニトリル、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸エステル等の単量体単位を含む共重合体である。
【0030】
共役ジエンとしては、1,3−ブタジエンの他、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン等が例示される。入手の容易さや重合性が良い等の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等が挙げられ、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリルである。又、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレンである。不飽和カルボン酸エステルとしては、炭素数が1〜4のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルを挙げることができる。好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルである。
【0031】
具体的には、ゴム状重合体としては、1,3−ブタジエン重合体、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル及びメタクリロニトリル共重合体、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル及びスチレン共重合体、1,3−ブタジエン−スチレン共重合体が好ましく挙げられる。より好ましくは1,3−ブタジエン重合体、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、1,3−ブタジエン−スチレン共重合体である。
【0032】
これらのゴム状重合体に含まれる共役ジエン単位の割合は、得られるニトリル系樹脂の耐衝撃性に影響する。かかる点を考慮すると、共役ジエン単位を50重量%以上含むことが好ましい。さらに好ましくは、60重量%以上である。また、ニトリル系樹脂中に占めるゴム状重合体の割合は、樹脂の成形加工性等に影響を及ぼす。ゴム状重合体の量が、3重量%未満である場合、耐衝撃性が低下し、また、30重量%を超える場合、成形加工性が低下する。かかる点を考慮すると、ニトリル系樹脂全体に占めるゴム状重合体の量は、3〜30重量%であることが好ましい。さらに好ましくは、5〜20重量%である。ゴム状重合体は、公知の方法によって製造できるが、乳化重合法が好適である。また、重合温度には特に制限はないが、重合速度、生産性等を考慮すると、30〜70℃の温度範囲が好ましい。
【0033】
上記ゴム状重合体の存在下で実施するグラフト共重合用の単量体として、不飽和ニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び必要に応じてこれらと共重合可能な他の単量体が用いられる。グラフト共重合用単量体として用いる不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等が挙げられる。好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリルである。ニトリル系樹脂の特性は、マトリックス成分に含まれる不飽和ニトリル単位の組成に影響される。すなわち、不飽和ニトリル単位の割合が65重量%未満である場合、耐薬品性が低下する他、剛性にも影響を及ぼす。また、80重量%を超える場合、成形加工性が低下すると共に成形時に黄色に変色して色調等が低下する。かかる点を考慮すると、マトリックス成分中に65〜80重量%の不飽和ニトリル単位を含むことが好ましい。さらに好ましくは、70〜80重量%である。
【0034】
グラフト共重合用単量体として用いる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル基の種類により、得られるニトリル系樹脂の特性が変化する。得られるニトリル系樹脂の物性を高位に安定せしめるためには、それらのうち、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルが好ましい。
【0035】
上記不飽和ニトリル及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単量体としては、芳香族ビニル化合物、ビニルエーテル、ビニルエステル、α−オレフィン等が挙げられる。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等、ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオンビニル、酪酸ビニル等、ビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルイソプロペニルエーテル、エチルイソプロペニルエーテル等、α−オレフィンとしては、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−オクテン、2−エチル−1−ブテン、2−プロピル−1−ブテン等が挙げられる。それらのうち、スチレンが好ましい。
【0036】
マトリックス成分中の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位及び必要に応じて用いるこれらと共重合可能な単量体単位の組成は、ニトリル系樹脂の物性に影響を及ぼす。具体的には、マトリックス成分中に占める(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位とこれらと共重合可能な単量体単位の合計の割合が20重量%未満である場合には、成形加工性が低下する。また、35重量%を超える場合には、貯蔵弾性率が低下する。かかる点を考慮すると、マトリックス成分中に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位とこれらと共重合可能な単量体単位の合計20〜35重量%を含むことが好ましい。さらに好ましくは、20〜30重量%である。
【0037】
不飽和ニトリル及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単量体単位は、マトリックス成分中に最大含有量20重量%程度まで含んで良い。20重量%以下であれば、得られるニトリル系樹脂の特性にさほど影響を及ぼさず、目的に応じて使用可能である。
上記ニトリル系樹脂の重合方法は、乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、またはこれらの組合せ等公知の重合方法が適用できる。しかし、重合熱の除去の容易さ、重合後の後処理の容易さ、有機溶媒の回収・再生等の付帯設備の簡易化等を考慮すると乳化重合が好ましく適用される。乳化重合法の場合は、重合体生成物はラテックス状で得られるので、従来公知の方法、例えば、電解質または溶媒による凝集法、または凍結法等により凝固、分離し、水洗の後、乾燥して樹脂を得る方法が挙げられる。
【0038】
グラフト共重合時に用いる界面活性剤は、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルから選ばれた少なくとも1種のアニオン系界面活性剤が挙げられる。得られた樹脂中に残存する界面活性剤は、重合体の凝固、分離、水洗の処理程度に反映し、本発明のニトリル系樹脂組成物において帯電防止性を発現するには、ニトリル系樹脂中に0.05〜2重量%含有することが好ましい。
【0039】
グラフト共重合の温度には特に制限はなく、0〜100℃の任意の温度において実施できる。重合速度、転化率、生産性等を考慮すると、30〜70℃の温度範囲が好ましい。また、可塑剤、安定剤、潤滑剤、染料及び顔料、充填剤等を、必要に応じて重合後に添加することも可能である。
上記要件(A‘)及び(C)の特性を有する樹脂としては、例えば、上記ニトリル系樹脂、環状ポリオレフィン、非結晶性ポリエチレンテレフタレート等の非晶性ポリエステル、PESが挙げられる。前記要件C(吸水膨張性高弾性率特性(C))を備えた樹脂層は、吸水することで剛性が若干低下する。例えば、ウエハ裏面を研削する際の研削水などに接触した場合、吸水して若干柔らかくなる。そのため、ウエハの裏面研削が終了した後、粘着フィルムを剥離する際の剥離性が良好となる。
【0040】
非結晶性ポリエステルとしては、非結晶性ポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。市販品としては、三菱樹脂(株)製、商品名:ディアフィクス等が挙げられる。
また、上記要件(A‘)、(B‘)及び(C‘)の3特性を有する樹脂としては、前記ニトリル系樹脂、環状ポリオレフィン、非結晶性ポリエステル等が挙げられる。
基材フィルムの総厚みは50〜300μmであることが好ましい。より好ましくは50〜200μmである。総厚みが50μm未満であると半導体ウエハの反りの低減効果が少なくなると共に、ウェハ裏面の研削中のウェハの保護性能が低下する場合がある。また、300μmを超えると、裏面研削後のウエハが集積回路面を上にして凸状に大きく反ること、粘着フィルムの剥離が困難となること等が発生することがある。また、粘着フィルムを半導体ウエハ表面に貼着する際、貼り付け作業性が低下する等の問題が発生することがある。
【0041】
本発明に係わる粘着フィルムに用いる基材フィルムは、上記特性を有する樹脂層に、裏面加工時の振動吸収、半導体ウエハ表面の段差吸収等を目的として低弾性率樹脂層を積層することができる。低弾性率樹脂層を形成する樹脂について例示すると、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アルキルアクリレート共重合体(アルキル基の炭素数1〜4)等が挙げられる。これらの内、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。更に好ましくは、酢酸ビニル単位の含有量が5〜50重量%程度のエチレン−酢酸ビニル共重合体である。
低弾性率フィルム層の厚みは30〜250μmであることが好ましい。より好ましくは30〜150μmである。厚みが30μm未満であるとウエハ表面の段差を充分に吸収できない場合がある。また、250μmを超えるとウエハの裏面加工後の半導体ウエハの厚みが大きくばらつき、半導体ウエハの品質に悪影響を及ぼす場合がある。
【0042】
基材フィルムの代表的な製造方法として、Tダイ押出法、インフレーション法、カレンダー法等が挙げられる。上記特性を有する高弾性率樹脂層を少なくとも1層含む多層フィルムを製造する場合は、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の低弾性率樹脂を押出機で押出成形しながら、予め用意しておいた上記高弾性率フィルムとラミネートする方法が挙げられる。これら多層フィルムの層間における接着力を高めるために、両者の間に新たに接着層を設けてもよいし、コロナ放電処理または化学処理等を施しても良い。粘着剤層を設ける面にはコロナ放電処理または化学処理等を施すことが好ましい。低弾性率樹脂層を積層する場合は、低弾性率樹脂層側に粘着剤層を形成することが好ましい。
【0043】
本発明に係わる粘着フィルムに用いる粘着剤層は、半導体ウエハ表面に対し極めて低汚染性であることが好ましい。粘着フィルムを剥離した後、ウエハ表面に汚染が多い場合は洗浄する必要があるが、薄層化したウエハにおいては、洗浄工程において破損する頻度が高くなる。
本発明において、粘着剤層は、通常、架橋剤と反応し得る官能基を有する粘着剤ポリマー100重量部、及び、1分子中に2個以上の架橋反応性官能基を有する架橋剤0.1〜30重量部を含む。このような粘着剤としては、例えば、放射線硬化型、熱硬化型、加熱発泡型等の粘着力スイッチング機能を有する粘着剤、スイッチング機能を有しない通常の粘着剤等が挙げられる。
【0044】
スイッチング機能を有しない通常の粘着剤としては、天然ゴム系、合成ゴム系、シリコーンゴム系、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等のアクリル系粘着剤等が挙げられる。これらの粘着剤の中でも、粘着剤物性の制御、再現性等を考慮するとアクリル系の粘着剤が好ましい。
粘着剤がアクリル系である場合、粘着剤ポリマーを構成する主モノマーは、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルを含むものが好ましい。アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルの例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用しても、又、2種以上を混合して使用してもよい。主モノマーの使用量は、粘着剤ポリマーの原料となる全モノマーの総量中に、60〜99重量%の範囲で含まれていることが好ましい。かかる組成のモノマー混合物を用いることにより、ほぼ同組成のアクリル酸アルキルエステル単位、メタクリル酸アルキルエステル単位、又はこれらの混合単位を含むポリマーが得られる。
【0045】
粘着剤ポリマーは、架橋剤と反応し得る官能基を有していることが好ましい。架橋剤と反応し得る官能基としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられる。粘着剤ポリマー中にこれらの架橋剤と反応しうる官能基を導入する方法としては、粘着剤ポリマーを重合する際にこれらの官能基を有するコモノマーを共重合させる方法が一般に用いられる。
【0046】
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、メサコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ターシャル−ブチルアミノエチルアクリレート、ターシャル−ブチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。これらのコモノマーの内の1種を上記主モノマーと共重合させてもよいし、又2種以上を共重合させてもよい。上記の架橋剤と反応しうる官能基を有するコモノマーの使用量(共重合量)は、粘着剤ポリマーの原料となる全モノマーの総量中に、1〜40重量%の範囲内で含まれていることが好ましい。かかる組成のモノマー混合物を用いることにより、ほぼ同組成のコモノマー単位を含むポリマーが得られる。
【0047】
本発明において、上記粘着剤ポリマーを構成する主モノマー単位及び架橋剤と反応し得る官能基を有するコモノマー単位の他に、界面活性剤としての性質を有する特定のコモノマー(以下、重合性界面活性剤と称する)を共重合してもよい。重合性界面活性剤は、主モノマー及びコモノマーと共重合する性質を有しており、万一粘着剤層に起因する汚染がウエハ表面に生じたとしても、水洗により容易に除去することが可能となる。
【0048】
このような重合性界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を導入したもの〔第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンRN−10、同RN−20、同RN−30、同RN−50等〕、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を導入したもの〔第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンHS−10、同HS−20等〕、及び分子内に重合性二重結合を持つ、スルホコハク酸ジエステル系のもの〔花王(株)製;商品名:ラテムルS−120A、同S−180A等〕等が挙げられる。
【0049】
さらに必要に応じて、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イソシアネートエチルアクリレート、イソシアネートエチルメタクリレート、2−(1−アジリジニル)エチルアクリレート、2−(1−アジリジニル)エチルメタクリレート等の自己架橋性の官能基を持ったモノマー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の重合性二重結合を持ったモノマー、ジビニルベンゼン、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等の多官能性のモノマー等を共重合してもよい。
【0050】
粘着剤ポリマーの重合反応機構としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げられる。粘着剤の製造コスト、モノマーの官能基の影響及び半導体ウエハ表面へのイオンの影響、等を等慮すれば、ラジカル重合によって重合することが好ましい。ラジカル重合反応によって重合する際、ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−ターシャル−ブチルパーオキサイド、ジ−ターシャル−アミルパーオキサイド等の有機過酸化物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等のアゾ化合物、等が挙げられる。
【0051】
粘着剤ポリマーの重合法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法等が挙げられる。これらの中では乳化重合法が好ましい。粘着剤ポリマーを乳化重合法により重合する場合には、これらのラジカル重合開始剤の中で、水溶性の過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、同じく水溶性の4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物が好ましい。半導体ウエハ表面へのイオンの影響を考慮すれば、過硫酸アンモニウム、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物がさらに好ましい。4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物が特に好ましい。
【0052】
本発明に用いる1分子中に2個以上の架橋反応性官能基を有する架橋剤は、粘着剤ポリマーが有する官能基と反応させて、架橋密度、粘着力及び凝集力を調整する為に用いる。架橋剤としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系架橋剤、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、ポリイソシアネート等のイソシアネート系架橋剤等が挙げられる。これらの架橋剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
また、粘着剤が水系(エマルションを含む)である場合には、イソシアネート系架橋剤は水との副反応による失活速度が速い為、粘着剤ポリマーとの架橋反応が十分に進行しない場合がある。従って、この場合には上記の架橋剤の中でアジリジン系もしくはエポキシ系の架橋剤を用いることが好ましい。
本発明における1分子中に2個以上の架橋反応性官能基を有する架橋剤の含有量は、粘着剤ポリマー100重量部に対し架橋剤0.1〜30重量部、特に好ましくは0.5〜25重量部である。架橋剤の含有量が少ないと、粘着剤層の凝集力が不十分となり、ウエハ表面に汚染を生じることがある。多過ぎると、粘着剤層とウエハ表面との密着力が弱くなり、研削加工中に水や研削屑が浸入し、ウエハを破損したり、研削屑によるウエハ表面の汚染が生じることがある。
【0054】
本発明における粘着剤層を構成する粘着剤には、上記の架橋剤と反応しうる官能基を有する粘着剤ポリマー、一分子中に2個以上の架橋反応性官能基を有する架橋剤の他に、粘着特性を調整する為に、ロジン系、テルペン樹脂系等のタッキファイヤー、各種界面活性剤等を適宜含有してもよい。又、粘着剤ポリマーがエマルション液である場合は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の増膜助剤を本発明の目的に影響しない程度に適宜含有してよい。
また、粘着剤中に放射性硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分、放射線重合開始剤を加えることにより、粘着剤層を放射線硬化型の粘着剤とすることもできる。この放射線硬化型の粘着剤を用いた場合、半導体ウエハ表面から粘着フィルムを剥離する前に紫外線等の放射線を照射することで、該粘着剤を硬化させ、粘着力を低減することができる。
【0055】
粘着剤層の厚みは、半導体ウエハ表面の汚染性、粘着力等に影響を及ぼす。粘着剤層の厚みが薄くなると、ウエハ表面に残留することがある。粘着剤層の厚みが厚すぎると粘着力が高くなり、剥離の際の作業性が低下することがある。かかる観点から、粘着剤層の厚みは1〜100μmであることが好ましい。
【0056】
本発明において、基材フィルムの片表面に粘着剤層を形成する際には、上記粘着剤を溶液又はエマルション液(以下、これらを総称して粘着剤塗布液と称する)として、ロールコーター、コンマコーター、ダイコーター、メイヤーバーコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター等の公知の方法に従って塗布、乾燥して粘着剤層を形成する方法を用いることができる。この際、塗布した粘着剤層を環境に起因する汚染等から保護する為に、塗布した粘着剤層の表面に剥離フィルムを貼着することが好ましい。あるいは、剥離フィルムの片表面に、上記の公知の方法に従って粘着剤塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形成した後、ドライラミネート法等の慣用の方法を用いて粘着剤層を基材フィルムに転写させる方法(以下、転写法という)をとってもよい。
【0057】
粘着剤を乾燥する際の乾燥条件には特に制限はないが、一般的には、80〜300℃の温度範囲において、10秒〜10分間乾燥することが好ましい。さらに好ましくは、80〜200℃の温度範囲において15秒〜5分間乾燥する。本発明においては、架橋剤と粘着剤ポリマーとの架橋反応を十分に促進させる為に、粘着剤塗布液の乾燥が終了した後に、粘着フィルムを40〜80℃において5〜300時間程度加熱してもよい。
粘着フィルムの粘着力は、ウエハ裏面の研削加工、薬液処理時等におけるウエハの保護性と、ウエハから剥離する際の作業性との双方に影響する。ウエハ裏面の研削加工、薬液処理時等におけるウエハの保護性(研削水、研削屑及び薬液等の浸入防止)を考慮すれば、JIS Z−0237に規定される方法に準拠して、被着体としてSUS304−BA板を用い、剥離速度300mm/min、剥離角度180度の条件下で測定した粘着力が、10〜700g/25mmであることが好ましい。より好ましくは10〜500g/25mmである。
本発明に係わる粘着フィルムの製造方法は上記の通りであるが、半導体ウエハ表面の汚染防止の観点から、基材フィルム、剥離フィルム、粘着剤等、全ての原料及び資材の製造環境、粘着剤塗布液の調整、保存、塗布及び乾燥環境は、米国連邦規格209bに規定されるクラス1,000以下のクリーン度に維持されていることが好ましい。
【0058】
次に、本発明に係わる半導体ウエハの裏面加工方法について説明する。本発明の半導体ウエハの裏面加工方法は、半導体ウエハの裏面を研削加工、化学エッチング加工、またはこれらの操作を共に実施する際に、上記粘着フィルムを用いることに特徴がある。その詳細は、通常、温度が18〜30℃に管理された室温近傍の温度において上記粘着フィルムの粘着剤層から剥離フィルムを剥離し、粘着剤層の表面を露出させ、粘着剤層を介して、半導体ウエハの表面に貼着する。次いで、研削機のチャックテーブル等に粘着フィルムの基材フィルム層を介して半導体ウエハを固定し、半導体ウエハの裏面に対し、研削加工、化学エッチング加工等を実施する。本発明においては、研削加工、化学エッチング加工等の何れかを単独で行ってもよいし、両方を行ってもよい。両方を行う場合、その順番はいずれでもよいが、通常、研削加工の後、化学エッチング加工等を行う。
【0059】
研削加工、化学エッチング加工等が終了した後、該粘着フィルムを剥離する。いずれの裏面加工方法においても、必要に応じて、粘着フィルムを剥離した後の半導体ウエハ表面に対して、水洗、プラズマ洗浄等の処理を施してもよい。この様な一連の工程中の、半導体ウエハ裏面の研削加工、化学エッチング等の操作によって、半導体ウエハは研削前の厚みが、通常、500〜1000μmであるのに対して、本発明の方法を適用することにより、150μm以下になるまで、破損等のトラブルを生じることなしに薄層化することができる。半導体チップの種類等に応じ、100μm以下まで、時には50μm程度まで薄層化することができる。裏面の研削加工後のウエハの厚みと化学エッチング後のウエハの厚みは、半導体ウエハの種類、目標最終厚み等により適宜決められる。裏面を研削する前の半導体ウエハの厚みは、半導体ウエハの口径、種類等により適宜決められ、裏面研削後のウエハ厚みは、得られる集積回路の種類、用途等により適宜決められる。
【0060】
粘着フィルムを半導体ウエハに貼着する操作は、人手により行われる場合もあるが、一般的には、ロール状の粘着フィルムを取り付けた自動貼り機と称される装置によって行われる。この様な自動貼り機として、例えば、タカトリ(株)製、形式:ATM−1000B、同ATM−1100、日東精機(株)製、型式:DR8500II)、帝国精機(株)製、形式:STLシリーズ等が挙げられる。
半導体ウエハ裏面の研削加工の方式には特に制限はなく、スルーフィード方式、インフィード方式等の公知の研削方式が採用される。ウエハ裏面を研削する際には、半導体ウエハと砥石に水をかけて冷却しながら行うことが好ましい。ウエハ裏面を研削加工する研削機としては、例えば、(株)ディスコ製、形式:DFG−841、同DFG−850、同DFG−860、(株)岡本工作機械製作所製、形式:SVG−502MKII)等が挙げられる。
【0061】
化学エッチング加工は、薬液処理、CMPと称される裏面研磨とケミカルエッチングを同時に行う方式、プラズマによるエッチング等がある。例えば、薬液処理は弗化水素酸や硝酸、硫酸、酢酸等の単独もしくは混合物等の酸性水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液等からなる群から選ばれたエッチング液を用いる。薬液処理の方式の中には、ウエハごと薬液に浸漬する方式(ディッピング法)、ウエハ裏面を回転させながら裏面に選択的に薬液を接触させる方式(スピンエッチング法)等がある。
【0062】
ウエハ裏面の研削加工、薬液処理等が終了した後、粘着フィルムはウエハ表面から剥離される。粘着フィルムをウエハ表面から剥離する操作は、人手により行われる場合もあるが、一般的には、自動剥がし機と称される装置により行われる。自動剥がし機では、薄く加工されたウエハが真空チャックテーブルに固定され、粘着フィルムが剥離される。粘着フィルムを剥離する際には、チャックテーブルを通して粘着フィルムを加熱することが重要である。加熱温度は、50〜90℃の温度範囲において、使用する樹脂に応じて好適な温度を選択することができる。また、粘着フィルムの剥離は、ダイシングテープ等に固定された状態で行ってもよい。
自動剥がし機としては、タカトリ(株)製、形式:ATRM−2000B、同ATRM−2100、日東精機(株)製、型式:HR−8500II)、帝国精機(株)製、形式:STPシリーズ等がある。
【0063】
本発明に係わる粘着フィルム、及びそれを用いる半導体ウエハの裏面加工方法が適用できる半導体ウエハとして、シリコンウエハのみならず、ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、ガリウム−リン、ガリウム−ヒ素−アルミニウム、等のウエハが挙げられる。本発明の粘着フィルム、及びそれを用いる半導体ウエハの裏面加工方法が好ましく適用できる半導体ウエハは、集積回路がポリイミド系保護膜によって保護されているものである。本発明を適用することにより、ポリイミド系保護膜の厚みが1〜20μm程度であっても、保護膜により生じるウエハの反りが矯正、防止できる。
【0064】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明する。以下に示す全ての実施例及び比較例において、米国連邦規格209bに規定されるクラス1,000以下のクリーン度に維持された環境において粘着剤塗布液の調製及び塗布、半導体シリコンウエハの裏面研削、並びに半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムの剥離等を実施した。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例に示した各種特性値は下記の方法で測定した。
【0065】
1.各種特性の測定方法
1−1.粘着力測定(g/25mm)
下記に規定した条件以外は、全てJIS Z−0237に準じて測定する。
23℃において、実施例又は比較例で得られた粘着フィルムをその粘着剤層を介して、SUS304−BA板(JIS G−4305規定、縦:20cm、横:5cm)の表面に貼着し、1時間放置する。放置後、試料の一端を挟持し、剥離角度:180度、剥離速度:300mm/min.でSUS304−BA板の表面から試料を剥離し、剥離する際の応力を測定してg/25mmに換算する。
1−2.剛軟度測定(N)
縦、横各20cmに基材フィルムを切りだし試験片とする。スリット溝に試験片は8mm押しこまれるときの抵抗値(N)をロードセルにて測定し、この値を剛軟度とする。本測定には、ハンドロメーター(型式:HOM−2、株式会社 大栄科学精器製作所製)を用いた。50℃、90℃の環境下に装置を設置して測定を実施した。
【0066】
1−3.貯蔵弾性率(Pa)
フィルム状シートを、機械方向30mm、機械方向と直交する方向10mmの短冊状にサンプリングする。このサンプルを、動的粘弾性測定装置{レオメトリックス社製、形式;RSA−II、フィルム引っ張り試験用アタッチメントを使用}を用いて、周波数1HZにて、10〜100℃の温度範囲で貯蔵弾性率を測定する。具体的には、上記アタッチメントを介して動的粘弾性測定装置にセットし、10℃から100℃まで3℃/分の昇温速度で昇温しながら貯蔵弾性率を測定する。
【0067】
1−4.基材フィルムの吸水寸法変化率(%)
フィルム状シートに直径約1mmのピンホールを約300mm間隔で開ける。このサンプルのピンホールの間隔を2次元寸法変形測定装置[(株)ミツトヨ製、形式:CRYSTAL*μ、V−606]を用いて測定する。このときのピンホールの間隔をL0とする。その後、23℃、90%RHのオーブン内にピンホールの間隔測定後のサンプルを静置する。4時間後に該サンプルをオーブンから取り出し、ピンホールの間隔を測定する。このときのピンホールの間隔をLとする。以下の式に基づいて吸水寸法変化率(%)を算出する。試料10枚について測定し、その平均値で示す。
寸法変化率(%)=100×(L−L0)/L0
【0068】
1−5.半導体ウエハの反り(mm)
表面がポリイミドで保護(コーティング)されている半導体シリコンウエハ〔直径:約200mm(8インチ)〕をポリイミド保護面を上にして平板上に置き、ウエハ裏面と平板との最大距離を測定する。試料10枚について測定し、その平均値で示す。
【0069】
2.ニトリル系樹脂の調製例1
2−1.ゴム状重合体の調製
下記成分を含む混合物をステンレス製重合反応器に装入して、窒素雰囲気下において、撹拌下、45℃で20時間重合を行い、転化率90%で重合を終了した。未反応の単量体を減圧ストリッピングにより除き、固形分濃度約30重量%のゴム状重合体を得た。また、該重合体より固形分を回収し、乾燥後、元素分析により該重合体中の1,3−ブタジエン及びアクリロニトリル単位の含有量を求めたところ、1,3−ブタジエン単位が71重量%、アクリロニトリル単位が29重量%であった。<ゴム状重合体の調製成分:アクリロニトリル30重量部、1,3−ブタジエン70重量部、脂肪酸石ケン2.4重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部、t−ドデシルメルカプタン0.5重量部、水200重量部>。
【0070】
2−2.グラフト重合体の調製
ステンレス製重合反応器に下記組成の原料(初期添加分)を仕込み、撹拌下、窒素雰囲気下において、58℃に昇温し、そのまま30分間撹拌後、重合開始剤として過硫酸カリウム0.08重量部を含む水溶液を添加して重合を開始した。<グラフト重合体の調製原料(初期添加分):アクリロニトリル15重量部、アクリル酸エチル5重量部、上記(2−1)のゴム状重合体(固形分)10.5重量部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.407重量部、ポリビニルピロリドン0.103重量部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.035重量部、水150重量部>。
次いで、重合開始から起算して25分経過後、リン酸を添加してpHを3±0.3に調節し、30分経過後、下記の組成の原料(後添加分)を6.5時間かけて連続的に添加しながら、58℃で重合を継続した。<後添加分原料:アクリロニトリル60重量部、アクリル酸エチル20重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)1.6重量部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1.627重量部、ポリビニルピロリドン0.413重量部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.141重量部、水85重量部>。
この添加の間、重合開始時から5時間まではリン酸も連続的に添加して、7時間まで重合系のpHを3±0.3に保って重合を行った。重合開始から8時間経過後、冷却し、重合終了とした。総転化率は92.7重量%であった。得られた樹脂を、硫酸アルミニウム(濃度45重量%)を加えて凝固させ、次いで水洗、乾燥して粉末状のニトリル系樹脂を得た。
【0071】
3.基材フィルムの製造例
3−1.基材フィルムの製造例1
インフレーション法にて、前項2で得られたニトリル系樹脂をフィルム状に成形し、厚さ70μmのニトリル系樹脂フィルムを得た。得られたニトリル系樹脂フィルムに厚さ50μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル(株)製、銘柄:エバフレックスP−1905(EV460)フィルムを積層した。この際、粘着剤層を形成するエチレン−酢酸ビニル共重合体側はコロナ放電処理を施し、全体の厚みが120μmである基材フィルム1を作製した。厚さ70μmのニトリル系樹脂フィルムの貯蔵弾性率の温度分散(a)を〔図1〕に示す。厚さ70μmのニトリル系樹脂フィルムの吸水寸法変化率は0.25%であった。基材フィルム1の50℃、90℃における剛軟度は、それぞれ0.82N、0.12であった。
【0072】
3−2.基材フィルムの製造例2
インフレーション法にて、前項2で得られたニトリル系樹脂をフィルム状に成形し、厚さ70μmのニトリル系樹脂フィルムを得た。粘着剤層を形成する側には、コロナ放電処理を施し基材フィルム2とした。得られた厚さ70μmのニトリル系樹脂フィルムの貯蔵弾性率の温度分散は、製造例1と同じ値(a)を示す。基材フィルム2の吸水寸法変化率は0.25%であった。基材フィルム1の50℃、90℃における剛軟度は、それぞれ0.30N、0.08Nであった。
【0073】
3−3.基材フィルムの製造例3
Tダイ押出法にて、前項2で得られたニトリル系樹脂をフィルム状に成形し、厚さ175μmのニトリル系樹脂フィルムを得た。粘着剤層を形成する側には、コロナ放電処理を施し、基材フィルム3とした。得られた基材フィルム3の貯蔵弾性率の温度分散(b)を〔図1〕に示す。基材フィルム3の吸水寸法変化率は0.18%であった。基材フィルム1の50℃、90℃における剛軟度は、それぞれ0.54N、0.14Nであった。
【0074】
3−4.基材フィルムの製造例4
Tダイ押出法にて、環状ポリオレフィン樹脂(三井化学(株)製、商品名:アペル)をフィルム状に成形し、厚さ70μmの環状ポリオレフィン樹脂フィルムを得た。粘着剤層を形成する側には、コロナ放電処理を施し、基材フィルム4とした。得られた基材フィルム4の貯蔵弾性率の温度分散(c)を〔図1〕に示す。基材フィルム4の吸水寸法変化率は0.10%であった。基材フィルム1の50℃、90℃における剛軟度は、それぞれ0.34N、0.10Nであった。
【0075】
3−5.基材フィルムの製造例5
厚さ100μmの非結晶性ポリエチレンテレフタレート〔三菱樹脂(株)製、商品名:ディアフィクス〕の粘着剤層形成面にコロナ放電処理を施し基材フィルム5とした。得られた基材フィルム5の貯蔵弾性率の温度分散(d)を〔図1〕に示す。基材フィルム5の吸水寸法変化率は、0.10%であった。基材フィルム1の50℃、90℃における剛軟度は、それぞれ0.51N、0.06Nであった。
【0076】
3−6.基材フィルムの比較製造例1
厚さ70μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを製膜し、粘着剤層を形成する側には、コロナ放電処理を施し、基材フィルム6とした。基材フィルム6の貯蔵弾性率の温度分散(e)を〔図1〕に示す。基材フィルム7の吸水寸法変化率は0.02%であった。基材フィルム1の50℃、90℃における剛軟度は、それぞれ0.54N、0.44Nであった。
【0077】
3−7.基材フィルムの比較製造例2
厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを製膜し、粘着剤層を形成する側には、コロナ放電処理を施し基材フィルム7とした。基材フィルム7の貯蔵弾性率の温度分散(f)を〔図1〕に示す。基材フィルム7の吸水寸法変化率は0.02%であった。基材フィルム1の50℃、90℃における剛軟度は、それぞれ0.80N、0.74Nであった。
【0078】
3−8.基材フィルムの比較製造例3
厚さ70μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを製膜し、粘着剤層を形成する側には、コロナ放電処理を施し基材フィルム8とした。基材フィルム8の貯蔵弾性率の温度分散(g)を〔図1〕に示す。基材フィルム8の吸水寸法変化率は0.02%であった。基材フィルム1の50℃、90℃における剛軟度は、それぞれ0.40N、0.37Nであった。
【0079】
3−9.基材フィルムの比較製造例4
厚さ120μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル(株)製、銘柄:エバフレックスP−1905(EV460)フィルムをTダイ押出により製膜した。粘着剤層を形成する側には、コロナ放電処理を施し基材フィルム9とした。基材フィルム9の貯蔵弾性率の温度分散(h)を〔図1〕に示す。基材フィルム9の吸水寸法変化率は−0.02%であった。基材フィルム1の50℃おける剛軟度は、0.54Nであった。90℃における値は、測定できなかった。
【0080】
4.粘着剤層を構成する粘着剤塗布液の調製例1
重合反応機に脱イオン水150重量部、重合開始剤として4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド〔大塚化学(株)製、商品名:ACVA〕を0.5重量部、アクリル酸ブチル52.25重量部、メタクリル酸メチル25重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル15重量部、メタクリル酸6重量部、アクリルアミド1重量部、水溶性コモノマーとしてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数の平均値;約20)の硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を導入したもの〔第一工業製薬(株)製:商品名:アクアロンHS−20〕0.75重量部を添加し、攪拌下で70℃において9時間乳化重合を実施し、アクリル樹脂系水エマルジョンを得た。これを14重量%アンモニア水で中和し、固形分40重量%を含有する粘着剤ポリマーエマルジョン(粘着剤主剤)を得た。得られた粘着剤主剤エマルジョン100重量部(粘着剤ポリマー濃度:40重量%)を採取し、さらに14重量%アンモニア水を加えてpH9.3に調整した。次いで、アジリジン系架橋剤〔日本触媒化学工業(株)製、商品名:ケミタイトPZ−33〕2.5重量部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテル5重量部を添加して粘着剤層を構成する粘着剤塗布液を得た。
【0081】
5.粘着フィルムの製造例1〜5、同比較製造例1〜4
粘着フィルムの製造例1〜5は、基材フィルムの製造例1〜5で得られた基材フィルム1〜5を用い、粘着フィルムの比較製造例1〜4は、基材フィルムの比較製造例1〜4で得られた基材フィルム6〜9を用いた。片表面にシリコーン処理(離型処理)が施された厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(剥離フィルム)の離型処理が施された側の面に、前項4で得られた粘着剤塗布液をコンマコーターにより塗布し、120℃で4分間乾燥し、厚み10μmの粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層に、前項3−1〜3−9で得られた基材フィルム1〜9のコロナ放電処理が施された側の面をそれぞれドライラミネーターにより貼り合わせて押圧して、粘着剤層を基材フィルム1〜9のそれぞれのコロナ放電処理が施された側の面に転写させた。転写後、60℃において48時間加熱した後、室温まで冷却することにより、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム1〜10を得た。基材フィルム1〜9を用いて作製された粘着フィルム1〜9をそれぞれ半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム1〜9とした。得られた半導体ウエハ表面保護フィルム1〜9の粘着力は、順番に80g/25mm、75g/25mm、90g/25mm、75g/25mm、90g/25mm、75g/25mm、90g/25mm、80g/25mm、85g/25mmであった。
【0082】
6.半導体ウエハの裏面加工方法の実施例
6−1.半導体ウエハの裏面加工方法の実施例1
厚み10μmのポリイミドで保護されている半導体シリコンウエハ[直径:200mm(8インチ)、厚み:725μm]の表面に半導体ウエハ表面保護フィルム1を粘着剤層を介して貼着し、研削装置{(株)ディスコ製、形式;DFG―860}を用いて、水をかけて冷却しながら半導体シリコンウエハの裏面を厚みが50μmになるまで研削加工した。10枚の半導体シリコンウエハについて同様にして裏面加工を行った。裏面研削加工中に、半導体ウエハが脱落、割れるなどのトラブルは発生しなかった。裏面加工が終了した後、半導体シリコンウエハの反りを半導体ウエハ表面保護フィルム1が貼着された状態で上記方法により測定した。その結果、ウエハの反り量の平均値は1.5mmであった。その後、表面保護用テープ剥がし機{日東精機(株)製、HR−8500II;使用剥がしテープ:三井化学(株)製、イクロスRM}を用い、チャックテーブルを通して80℃に加熱した状態で、半導体ウエハ表面保護フィルム1を剥離した。剥離の際、ウエハの破損は認められなかった。さらに、半導体ウエハ表面保護フィルム1を剥離した後のウエハ反り量を上記方法により測定した。その結果、ウエハ反り量の平均値は25mmであった。得られた結果を表1に示す。
【0083】
6−2.半導体ウエハの裏面加工方法の実施例2〜5、同比較例1〜4
半導体ウエハの裏面加工方法の実施例2〜5では、半導体ウエハ表面保護フィルム2〜5、同比較例1〜4では半導体ウエハ表面保護フィルム6〜9をそれぞれ用いた以外、実施例1と同様の方法を実施した。
その結果、実施例2〜5では、ウェハ裏面の研削加工中に、半導体ウエハが脱落、割れるなどのトラブルは発生しなかった。また、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムの剥離性には何ら問題はなかった。ウエハ研削後の反り量の平均値は、順に1.8mm、0.5mm、1.7mm、1.0mmであり、問題なかった。
比較例1〜3ではウェハ裏面の研削加工中に、半導体ウエハが脱落、割れるなどのトラブルは発生しなかったが、比較例4ではウエハ裏面の研削加工中に5枚のウエハが破損した。また、半導体ウエハ表面保護フィルムの剥離性については、比較例1では、7枚のウェハが端部に欠けが発生した。比較例2では、粘着フィルムの基材フィルムが剛性が高く、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムが剥離できなかった。比較例3では、3枚のウエハが端部に欠けが発生した。比較例4では破損しなかったに関して粘着フィルムの剥離を行ったところ、剥離性に問題なかった。ウエハ研削後の反り量の平均値は、順に1.9mm、0.5mm、5mm、26mmであった。
得られた結果を表1〜2に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
<表1〜2の記載の説明>
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体、非結晶性PET:非結晶性ポリエチレンテレフタレート、PET:2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、OPP:2軸延伸ポリプロピレン、最大/最小の比:18〜50℃の温度域における貯蔵弾性率の最低値(E‘min)に対する最高値(E‘max)の比(E‘max/E‘min)。
【0087】
【発明の効果】
本発明に係わる半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを用いることにより、半導体ウエハの裏面研削加工において、集積回路が保護膜によって保護されたウエハが、厚みが150μm以下になるまで薄層化された場合であっても、半導体ウエハの集積回路形成面に半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを貼着する際の基材フィルムの伸びを抑制することとができ、半導体ウエハの回路保護膜の残留応力によるウエハの反りを矯正、防止することができる。また、半導体ウエハの集積回路非形成面を研削する際に注水される冷却水、粘着フィルム表面の洗浄水等により、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムの基材フィルムが適度に膨張し、半導体ウエハの反りを矯正、防止することができ、ウエハの破損を防止できる。また、半導体ウエハの集積回路形成面から本発明に係わる半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを剥離する際、加温することにより基材フィルムが低弾性率化し、ウエハを破損することなしに容易に剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種基材フィルムの貯蔵弾性率の温度分散を示す
【符号の説明】
(a):厚み70μmのニトリル系樹脂フィルム
(b):厚み175μmのニトリル系樹脂フィルム
(c):厚み70μmの環状ポリオレフィンフィルム
(d):厚み100μmの非結晶性ポリエチレンテレフタレートフィルム
(e):厚み70μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
(f):厚み175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
(g):厚み70μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム
(h):厚み120μmのエチレン−酢酸ビニルフィルム
Claims (9)
- 基材フィルムの片表面に粘着剤層が形成された半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムであって、基材フィルムが、下記要件Aと、要件BまたはCの少なくとも1要件を備えたことを特徴とする半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム。
要件A:50℃におけるフィルム剛軟度の値が、0.08〜1.50Nの範囲である高剛性特性(A)。
要件B:90℃のフィルム剛軟度の値が、50℃におけるフィルム剛軟度の3分の1以下である特性(B)。
要件C:23℃、90%RHにおいて4時間経過後の吸水による寸法変化率が0.05〜0.5%である吸水膨張性高弾性率特性(C)。 - 基材フィルムの片表面に粘着剤層が形成された半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムであって、基材フィルムが、下記要件A‘と、要件B’またはCの少なくとも1要件を備えた層を少なくとも1層含むことを特徴とする半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム。
要件A‘:18〜50℃の全温度域における貯蔵弾性率が1×109〜1×101 0Paである高弾性率特性(A‘)。
要件B‘:50〜90℃の少なくとも一部の温度域における貯蔵弾性率が1×108Pa以下である高弾性率特性(B‘)。
要件C:23℃、90%RHにおいて4時間経過後の吸水による寸法変化率が0.05〜0.5%である吸水膨張性高弾性率特性(C)。 - 前記要件A‘と、要件B’またはCの少なくとも1要件を備えた層が、18〜50℃の温度域における貯蔵弾性率の最低値(E‘min)に対する最高値(E‘max)の比(E‘max/E‘min)が1.0〜1.1であることを特徴とする請求項2記載の半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム。
- 前記要件A‘と、要件B’またはCの少なくとも1要件を備えた層の厚みが30〜300μmであることを特徴とする請求項2記載の半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム。
- 基材フィルムが、低弾性率樹脂層を少なくとも1層含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム。
- 低弾性率樹脂層が、エチレン−酢酸ビニル共重合体層であることを特徴とする請求項5記載の半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム。
- 低弾性率樹脂層の厚みが30〜250μmであることを特徴とする請求項5記載の半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム。
- 基材フィルムの総厚みが50〜300μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体ウエハ表面保護用粘着フィルム。
- 半導体ウエハの集積回路形成面に半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムをその粘着剤層を介して貼着し、半導体ウエハの厚みが150μm以下になるまで裏面加工し、次いで、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを50〜90℃に加熱して剥離する半導体ウエハの裏面加工方法であって、半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムとして、請求項1または2項に記載の半導体ウエハ表面保護用粘着フィルムを用いることを特徴とする半導体ウエハの裏面加工方法。
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