JP7277478B2 - 表面保護フィルムおよび光学部材 - Google Patents

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Description

本発明は、表面保護フィルムおよびそれを伴う光学部材に関する。
近年、様々な技術分野において、高い透明性を有する表面保護フィルムが利用されている。例えばフラットパネルディスプレイ(FPD)の技術分野では、FPDに組み込まれる各種の光学部材において、その製造過程や、検査工程、輸送過程等での表面保護を目的として、部材表面に表面保護フィルムが貼り合わされる場合がある。このような表面保護フィルムについては、例えば、下記の特許文献1,2に記載されている。
特開2012-17399号公報 特開2016-74899号公報
表面保護フィルムによって表面が被覆保護されることのある光学部材の一例として、ディスプレイ用のカバーガラスなど透明なカバー部材が挙げられる。ディスプレイ用のそのようなカバー部材は、その外観表面に湾曲箇所や屈曲箇所など非平坦箇所を含むようデザイン設計される場合がある。
しかしながら、従来の表面保護フィルムは、湾曲箇所や屈曲箇所など非平坦箇所を含む保護対象面に対する貼り合わせが試みられても、非平坦箇所の表面形状(非平坦表面形状)に充分に追従できずに当該非平坦箇所において保護対象面に貼着しない部分を生ずる場合がある。また、従来の表面保護フィルムは、前記非平坦表面形状に一旦は追従する場合であっても、自身のその追従形状を維持することができずに当該非平坦箇所において剥離を生ずることがある。
本発明は、以上のような事情のもとで考え出されたものであって、湾曲箇所や屈曲箇所など非平坦箇所を含む保護対象面を被覆保護するのに適した表面保護フィルム、およびそのような表面保護フィルムを伴う光学部材を提供することを、目的とする。
本発明の第1の側面によると、表面保護フィルムが提供される。この表面保護フィルムは、基材フィルムと粘着剤層とを含む積層構造を有する。基材フィルムの130℃での貯蔵弾性率(第1貯蔵弾性率)は、700MPa以下であり、好ましくは500MPa以下、より好ましくは300MPa以下、より好ましくは200MPa以下、より好ましくは100MPa以下、より好ましくは80MPa以下である。基材フィルムの30℃での貯蔵弾性率(第2貯蔵弾性率)は、1000MPa以上であり、好ましくは1500MPa以上、より好ましくは2000MPa以上、より好ましくは2500MPa以上、より好ましくは2700MPa以上、より好ましくは2800MPa以上である。基材フィルムの80℃での貯蔵弾性率は、第1貯蔵弾性率以上であって第2貯蔵弾性率以下であり、例えば700~1100MPa、好ましくは700~1000MPaである。また、本表面保護フィルムの粘着剤層は、粘着剤として例えばアクリル系ポリマーおよび/またはウレタン系ポリマーを含有する。このような構成の表面保護フィルムは、その粘着剤層側で被着体の保護対象面に貼り合わせられて使用されるものである。
本表面保護フィルムの基材フィルムは、上述のように、130℃での貯蔵弾性率が700MPa以下であって好ましくは500MPa以下、より好ましくは300MPa以下、より好ましくは200MPa以下、より好ましくは100MPa以下、より好ましくは80MPa以下である。このような構成は、湾曲箇所や屈曲箇所など非平坦箇所を含む被着体保護対象面に対し、表面保護フィルムを、例えば100℃程度以上への加熱によって充分に軟化させた状態で非平坦箇所の表面形状に追従させつつ、貼り合わせるのに適する。
加えて、本表面保護フィルムの基材フィルムは、上述のように、30℃での貯蔵弾性率が1000MPa以上であって好ましくは1500MPa以上、より好ましくは2000MPa以上、より好ましくは2500MPa以上、より好ましくは2700MPa以上、より好ましくは2800MPa以上である。このような構成は、湾曲箇所や屈曲箇所など非平坦箇所を含む被着体保護対象面に対して表面保護フィルムが例えば100℃程度以上への加熱によって充分に軟化して非平坦箇所の表面形状に追従しつつ貼り合わせられた後、当該フィルムが室温程度にまで降温した状態において、非平坦表面形状に対する表面保護フィルムの追従形状を維持するのに適する。
以上のように、本表面保護フィルムは、例えば100℃程度以上への加熱によって充分に軟化させた状態で保護対象面内の非平坦表面形状に追従させつつ当該保護対象面に貼り合わせるのに適するとともに、そのような貼合せ後の室温程度の温度条件下で非平坦表面形状に対する追従形状を維持するのに適する。このような本表面保護フィルムは、湾曲箇所や屈曲箇所など非平坦箇所を有する保護対象面を被覆保護するうえで、好適である。
前記基材フィルムを構成する材料は、ポリエステルを含むことが好ましい。この構成は、好適な貯蔵弾性率(第1貯蔵弾性率、第2貯蔵弾性率)が実現されやすいこと等から、好適である。
本表面保護フィルムにおいて、基材フィルムは、好ましくは、帯電防止層を含む積層構造を有する。帯電防止層は、好ましくは、第四級アンモニウム基を有する帯電防止剤および/または導電性ポリマーを含有する。これら構成は、本表面保護フィルムの帯電を防止または抑制するのに適する。表面保護フィルムにおける帯電の防止または抑制は、表面保護フィルムについて保護対象面への貼合せ作業等における取り扱いやすさを確保するのに適する。また、表面保護フィルムにおける帯電の防止または抑制は、表面保護フィルムとそれが貼り合わせられる保護対象面との間への塵埃など微小異物の入り込みを防止または抑制するのに適する。
本表面保護フィルムは、好ましくは、真空圧空成形貼合せ型フィルムである。真空圧空成形貼合せ型フィルムとは、真空圧空成形の手法によって被着体表面に貼り合わせられるタイプのフィルムをいうものとする。真空圧空成形は、フィルムを加熱して軟化させつつ被着体表面に貼り合わせるための一手法である。本表面保護フィルムが真空圧空成形貼合せ型フィルムであるという構成は、本表面保護フィルムについて、被着体の保護対象面内の湾曲箇所や屈曲箇所など非平坦箇所の表面形状に適切に追従させつつ当該保護対象面に貼り合わせて使用するのに適する。
本発明の第2の側面によると、光学部材が提供される。この光学部材は、本発明の第1の側面に係る上述の表面保護フィルムを含む。本光学部材によると、その表面保護フィルムにおいて、本発明の第1の側面に関して上述したのと同様の技術的効果を享受することができる。
本発明の一の実施形態に係る表面保護フィルムの部分断面図である。 本発明の他の実施形態に係る光学部材の部分断面図である。 実施例および比較例の表面保護フィルムについての追従性評価試験で用いたモデルガラス板の断面寸法を表す。
図1は、本発明の表面保護フィルムの一の実施形態に係るフィルム10の部分断面図である。フィルム10は、基材フィルム11と粘着剤層12とを含む積層構造を有する。フィルム10は、例えば、ディスプレイに組み込まれるディスプレイ用透明カバー部材など各種の光学部材の製造過程や、検査工程、輸送過程等での光学部材表面の保護を目的として、部材表面に貼り合わされて使用され得るものである。また、フィルム10は、本実施形態では、被着体に対して加熱されつつ貼り合わせられるタイプのフィルムであり、好ましくは真空圧空成形貼合せ型フィルムである。
フィルム10における基材フィルム11は、光透過性を有するフィルム状の基材であって、フィルム10において支持体として機能する要素である。基材フィルム11は、例えばプラスチックフィルムである。プラスチックフィルムの構成材料としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、およびポリフルオロエチレンが挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、およびエチレン-ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、および部分芳香族ポリアミドが挙げられる。基材フィルム11は、一種類の材料からなってもよし、二種類以上の材料からなってもよい。基材フィルム11は、単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。
基材フィルム11は、プラスチックフィルムよりなる場合、二軸延伸フィルムであってもよいし、一軸延伸フィルムであってもよいし、無延伸フィルムであってもよい。基材フィルム11が延伸フィルムである場合、その延伸倍率は例えば1.2~10である。基材フィルム11のいわゆるMD方向の延伸倍率といわゆるTD方向の延伸倍率とは、同じであってもよいし、異なってもよい。
基材フィルム11の厚さは、フィルム10における支持体として基材フィルム11が機能するための強度を確保するという観点からは、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、より好ましくは25μm以上である。また、フィルム10において適度な可撓性を実現するという観点からは、基材フィルム11の厚さは、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下である。
基材フィルム11は、帯電防止性を有してもよい。例えば、基材フィルム11は、帯電防止成分が分散する樹脂材料から製膜されたものであってもよいし、帯電防止層を含む積層構造を有してもよい。帯電防止層は、基材フィルム11のための上述のプラスチックフィルムにおける、粘着剤層12側の表面に設けられてもよいし、粘着剤層12とは反対の側の表面に設けられてもよい。
基材フィルム11が帯電防止層を含む積層構造を有する場合、その帯電防止層は、帯電防止成分を含有する。帯電防止層は、一種類の帯電防止成分を含有してもよいし、二種類以上の帯電防止成分を含有してもよい。また、帯電防止層は必要に応じてバインダー成分を含有する。
上記の帯電防止成分としては、例えば、カチオン型帯電防止剤、アニオン型帯電防止剤、両性イオン型帯電防止剤、およびノニオン型帯電防止剤が挙げられる。
カチオン型帯電防止剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩の形態の官能基、ピリジニウム塩の形態の官能基、および、第一、第二または第三級アミノ基などを、カチオン性官能基として有する帯電防止剤が挙げられる。カチオン性官能基としての第四級アンモニウム塩すなわち第四級アンモニウム基を有する帯電防止剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、アルキルベンジルメチルアンモニウム塩、アシル塩化コリン、およびポリジメチルアミノエチルメタクリレートなど第四級アンモニウム基を有するアクリル系共重合体、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなど第四級アンモニウム基を有するスチレン共重合体、並びに、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなど第四級アンモニウム基を有するジアリルアミン共重合体が挙げられる。
アニオン型帯電防止剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、および、スルホン酸基含有スチレン共重合体が挙げられる。
両性イオン型帯電防止剤としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン、および、カルボベタイングラフト共重合体が挙げられる。
ノニオン型帯電防止剤としては、例えば、脂肪酸アルキロールアミド、ジ(2-ヒドロキシエチル)アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸グリセリンエステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン、および、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記の帯電防止成分としては導電性ポリマーも挙げられる。導電性ポリマーとしては、例えば、ポリアニリンスルホン酸などのポリアニリン系導電性ポリマー、および、ポリアニオン類によってドープされているポリチオフェン類などのポリチオフェン系導電性ポリマーが挙げられる。
帯電防止成分として採用される導電性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1×103以上であり、より好ましくは5×103以上である。導電性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)により測定して得られた、標準ポリスチレン換算の値をいうものとする。
導電性ポリマーとしてポリアニリンスルホン酸を採用する場合、そのポリアニリンスルホン酸の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5×105以下、より好ましくは3×105以下である。ポリアニリンスルホン酸の市販品としては、例えば、三菱レイヨン株式会社製の商品名「aqua-PASS」が挙げられる。
上記ポリチオフェン類としては、例えば、ポリチオフェン、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3-エチルチオフェン)、ポリ(3-プロピルチオフェン)、ポリ(3-ブチルチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルチオフェン)、ポリ(3-オクチルチオフェン)、ポリ(3-デシルチオフェン)、ポリ(3-ドデシルチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルチオフェン)、ポリ(3-ブロモチオフェン)、ポリ(3-クロロチオフェン)、ポリ(3-ヨ-ドチオフェン)、ポリ(3-シアノチオフェン)、ポリ(3-フェニルチオフェン)、ポリ(3,4-ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4-ジブチルチオフェン)、ポリ(3-ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3-メトキシチオフェン)、ポリ(3-エトキシチオフェン)、ポリ(3-ブトキシチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3-デシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-メトキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-エトキシチオフェン)、ポリ(3-カルボキシチオフェン、ポリ(3-メチル-4-カルボキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシエチルチオフェン)、およびポリ(3-メチル-4-カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。基材フィルム11ないし帯電防止層において、高い導電性を発現させ、従って良好な帯電防止性を発現させるという観点からは、上記ポリチオフェン類としてはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が好ましい。
上記ポリアニオン類は、アニオン基を有する構成単位の重合体であり、ポリチオフェン類に対するドーパントとして働く。ポリアニオン類としては、例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(4-スルホブチルメタクリレート)、ポリメタリルオキシベンゼンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸、およびポリスルホン化フェニルアセチレンが挙げられる。上記ポリチオフェン類において高い導電性を発現させるという観点からは、ポリアニオン類としてはポリスチレンスルホン酸が好ましい。
基材フィルム11ないし帯電防止層において良好な帯電防止性を発現させるという観点からは、基材フィルム11ないし帯電防止層は、好ましくは、帯電防止成分として第四級アンモニウム基を有する上記帯電防止剤および/または上記導電性ポリマーを含有する。また、帯電防止成分たる導電性ポリマーとしては、基材フィルム11ないし帯電防止層において高い導電性を発現させて良好な帯電防止性を発現させるという観点からは、ポリアニオン類たるポリスチレンスルホン酸によってドープされているポリチオフェン類たるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が好ましい。
帯電防止層におけるバインダー成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル-ウレタン樹脂、アクリル-スチレン樹脂、アクリル-シリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリシラザン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、およびエポキシ樹脂が挙げられる。
帯電防止層ないしそれを形成するための組成物は、必要に応じて、滑剤や、レベリング剤、架橋剤、酸化防止剤、着色剤(顔料,染料等)、流動性調整剤(チクソトロピー剤,増粘剤等)、造膜助剤、触媒(例えば、紫外線硬化型樹脂を含む組成物中の紫外線重合開始剤)など、各種の添加剤を更に含有してもよい。架橋剤としては、一般的な樹脂の架橋に用いられるイソシアネート系架橋剤や、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤など各種の架橋剤を、適宜選択して用いることができる。
本実施形態では、基材フィルム11は帯電防止層を含む積層構造を有し、且つその帯電防止層ないしそれを形成するための組成物は、好ましくは滑剤を含有する。帯電防止層においては、一種類の滑剤が用いられてもよいし、二種類以上の滑剤が用いられてもよい。
滑剤としては、好ましくは、脂肪酸アミドおよび/または脂肪酸エステルが用いられる。帯電防止層中の滑剤として脂肪酸アミドおよび/または脂肪酸エステルを用いることは、帯電防止層の表面に剥離処理(例えば、シリコーン系剥離剤や長鎖アルキル系剥離剤など剥離処理剤を層表面に塗布して乾燥させる処理)を施さない場合であっても帯電防止層表面において充分に高い滑り性を得るのに適し、従って、帯電防止層ないし基材フィルム11において高い耐擦過性を得るのに適する。帯電防止層ないし基材フィルム11の露出表面に剥離処理が施されていないという構成は、剥離処理用の剥離剤に起因する白化(例えば、加熱加湿条件下に保存されることによる白化)を回避できるという点で好ましく、また、帯電防止層ないし基材フィルム11の露出表面における耐溶剤性の点からも有利である。
上記脂肪酸アミドとしては、例えば、ラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、N-オレイルパルチミン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、およびN,N’-ステアリルイソフタル酸アミドが挙げられる。
上記の脂肪酸エステルとしては、例えば、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル(即ち、ワックスエステル)が挙げられる。ワックスエステルをなすための「高級脂肪酸」とは、炭素数8以上のカルボン酸をいうものとする。当該高級脂肪酸は、典型的には一価のカルボン酸であり、当該高級脂肪酸の炭素数は、典型的には10以上であって好ましくは10~40である。ワックスエステルをなすための「高級アルコール」とは、炭素数6以上のアルコールをいうものとする。当該高級アルコールは、典型的には一価または二価のアルコールであって好ましくは一価のアルコールであり、当該高級アルコールの炭素数は、典型的には10以上であって好ましくは10~40である。このようなワックスエステルと上記バインダー成分とを含有する組成を有する帯電防止層は、高温多湿条件に保持されても白化しにくい。基材フィルム11における帯電防止層が白化しにくいことは、基材フィルム11を備える表面保護フィルムであるフィルム10において良好な外観品位を確保するうえで好適である。
上記ワックスエステルとしては、例えば、セロチン酸ミリシル、パルミチン酸ミリシル、パルミチン酸セチル、およびステアリル酸ステアリルが挙げられる。
また、帯電防止層中の滑剤としては、上述のワックスエステルを含有する天然ワックスを採用してもよい。そのような天然ワックスにおける上述のワックスエステルの含有割合(天然ワックスが二種類以上のワックスエステルを含む場合にはそれらの含有割合の合計)は、不揮発分(NV)基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、より好ましくは75質量%以上である。天然ワックスとしては、例えば、カルナバワックス(セロチン酸ミリシルを主成分として含有する)やパームワックスなど植物性ワックス、および、蜜ロウや鯨ロウなど動物性ワックスが挙げられる。カルナバワックスにおけるセロチン酸ミリシルの割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
帯電防止層中の滑剤としてワックスエステルや天然ワックスを採用する場合、そのワックス成分(ワックスエステル,天然ワックス)の融点は、帯電防止層の白化を抑制するうえでは、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、より好ましくは75℃以上である。同融点は、帯電防止層ないし基材フィルム11の露出表面において充分に高い滑り性を確保して高い耐擦過性を実現するうえでは、好ましくは100℃以下である。
滑剤としては、以上の他、例えば、石油系ワックス(パラフィンワックス等)や、鉱物系ワックス(モンタンワックス等)、高級脂肪酸(セロチン酸等)、中性脂肪(パルミチン酸トリグリセリド等)など各種ワックスが挙げられる。また、帯電防止層に配合される滑剤として、シリコーン系滑剤やフッ素系滑剤などワックス以外の滑剤を、ワックスとともに補助的に用いることも可能であるが、本実施形態では、帯電防止層は、シリコーン系滑剤やフッ素系滑剤を実質的に含有しないのが好ましい。また、滑剤配合目的とは別の目的で(例えば、帯電防止層形成用組成物における消泡剤としての機能を期待して)用いられるシリコーン系化合物等が帯電防止層ないしそれを形成するための組成物に配合されることは、排除されないものとする。
基材フィルム11中の帯電防止層の全体に占める滑剤の割合は、帯電防止層表面における滑り性を確保するうえでは、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。帯電防止層の白化を抑制するうえでは、同割合は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
帯電防止層は、例えば、帯電防止成分と必要に応じて配合される樹脂成分とを含む組成物を基材フィルム本体に塗布した後に乾燥させることによって、形成することができる。
基材フィルム11における粘着剤層12側の表面は、粘着剤層12との密着性の向上のための表面処理が施されていてもよい。そのような表面処理としては、コロナ処理やプラズマ処理等の物理的処理、および、下塗り処理等の化学的処理が、挙げられる。
基材フィルム11の130℃での貯蔵弾性率(第1貯蔵弾性率)は、700MPa以下であり、好ましくは500MPa以下、より好ましくは300MPa以下、より好ましくは200MPa以下、より好ましくは100MPa以下、より好ましくは80MPa以下である。基材フィルム11の30℃での貯蔵弾性率(第2貯蔵弾性率)は、1000MPa以上であり、好ましくは1500MPa以上、より好ましくは2000MPa以上、より好ましくは2500MPa以上、より好ましくは2700MPa以上、より好ましくは2800MPa以上である。基材フィルム11の80℃での貯蔵弾性率(第3貯蔵弾性率)は、第1貯蔵弾性率以上であって第2貯蔵弾性率以下であり、例えば700~1100、好ましくは700~1000MPaである。基材フィルム11の貯蔵弾性率の調整は、基材フィルム11に含まれるプラスチックフィルム構成材料の組成の調整や、基材フィルム11の延伸倍率の調整などによって、行うことができる。また、フィルム体の貯蔵弾性率については、動的粘弾性測定装置(商品名「RSA-G2」,TAインスツルメント社製)を使用して行う動的粘弾性測定に基づき求めることができる。その測定においては、測定対象物たる試料片のサイズを幅5mm×長さ30mmとし、試料片保持用チャックの初期チャック間距離を10mmとし、測定モードを引張りモードとし、測定温度範囲を25~170℃とし、周波数を1Hzとし、昇温速度を5℃/分とする。
基材フィルム11を構成する材料としては、好適な貯蔵弾性率(第1貯蔵弾性率、第2貯蔵弾性率、第3貯蔵弾性率)が実現されやすいこと等から、ポリエステルを含むことが好ましい。
前記ポリエステルとしては、典型的には、ジカルボン酸とジオールを重縮合して得られるポリエステルを主成分として含むポリエステルが用いられる。
上記ポリエステルを構成するジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-スルホイソフタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸等の脂肪族ジカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸;これらの誘導体(例えば、テレフタル酸等の上記ジカルボン酸の低級アルキルエステル等)等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ポリエステルを構成するジカルボン酸としては、基材フィルム11が好適な貯蔵弾性率(第1貯蔵弾性率、第2貯蔵弾性率、第3貯蔵弾性率)を実現しやすいこと等から、芳香族ジカルボン酸が好ましい。なかでも好ましいジカルボン酸として、テレフタル酸およびイソフタル酸が挙げられる。例えば、上記ポリエステルを構成するジカルボン酸のうち50重量%以上(例えば80重量%以上、典型的には95重量%以上)が、テレフタル酸、イソフタル酸またはこれらの併用であることが好ましい。上記ジカルボン酸は、実質的にテレフタル酸のみ、実質的にイソフタル酸のみ、または実質的にテレフタル酸およびイソフタル酸のみから構成されていてもよい。
基材フィルム11を構成する材料が、テレフタル酸とイソフタル酸を併用するポリエステルの場合、テレフタル酸とイソフタル酸の比(テレフタル酸/イソフタル酸)は特に限定されないが、例えば99/1~50/50、好ましくは95/5~60/40、より好ましくは90/10~70/30、特に好ましくは87/13~80/20の範囲から適宜選択可能である。
上記ポリエステルを構成するジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ポリオキシテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール;1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,1-シクロヘキサンジメチロール、1,4-シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール、キシリレングリコール、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン等の芳香族ジオール等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ポリエステルを構成するジオールとしては、基材フィルム11が好適な貯蔵弾性率(第1貯蔵弾性率、第2貯蔵弾性率、第3貯蔵弾性率)を実現しやすいこと等から、脂肪族ジオールが好ましい。なかでも好ましいジオールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコールが挙げられる。例えば、上記ポリエステルを構成するジオールのうち50重量%以上(例えば80重量%以上、典型的には95重量%以上)が、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはこれらの併用であることが好ましい。上記ジオールは、実質的にエチレングリコールのみ、実質的にジエチレングリコールのみ、または実質的にエチレングリコールおよびジエチレングリコールのみから構成されていてもよい。
基材フィルム11を構成する材料が、エチレングリコールとジエチレングリコールを併用するポリエステルの場合、エチレングリコールとジエチレングリコールの比(エチレングリコール/ジエチレングリコール)は特に限定されないが、例えば99.9/0.1~80/20、好ましくは99.5/0.5~85/15、より好ましくは99/1~90/10、特に好ましくは98/2~95/5の範囲から適宜選択可能である。
上記基材フィルム11は、好適な貯蔵弾性率(第1貯蔵弾性率、第2貯蔵弾性率、第3貯蔵弾性率)が実現されやすいこと等から、延伸フィルムであることが好ましい。基材フィルム11が延伸フィルムである場合、二軸延伸フィルムであってもよいし、一軸延伸フィルムであってもよい。基材フィルム11が延伸フィルムである場合、その延伸倍率は、好適な貯蔵弾性率(第1貯蔵弾性率、第2貯蔵弾性率、第3貯蔵弾性率)が実現されやすいこと等から、例えば1.1~3、好ましくは1.2~2、より好ましくは1.3~1.8、特に好ましくは1.4~1.6である。基材フィルム11のいわゆるMD方向の延伸倍率といわゆるTD方向の延伸倍率とは、同じであってもよいし、異なってもよい。
フィルム10の粘着剤層12ないしそれを形成するための粘着剤組成物は、粘着剤を含有し、且つ光透過性を有する。粘着剤層12は、例えば、アクリル系粘着剤たるアクリル系ポリマー、ウレタン系粘着剤たるポリウレタン、およびシリコーン系粘着剤からなる群より選択される少なくとも一種を粘着剤として含む。表面保護フィルムの粘着剤層に求められる程度の粘着力と高い透明性とを併せて実現するという観点からは、粘着剤層12中の粘着剤としてはアクリル系ポリマーを採用するのが好ましい。また、粘着剤層12は、被着体に貼着し得る粘着面12aを有する。
粘着剤層12がアクリル系粘着剤たるアクリル系ポリマーを含有する場合、好ましくは、当該アクリル系ポリマーは、炭素数が例えば4~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するモノマーユニットを重量割合で最も多い主たるモノマーユニットとして含む。以下では、「(メタ)アクリレート」をもって、「アクリレート」および/または「メタクリレート」を表す。
上記アクリル系ポリマーのモノマーユニットをなすための(メタ)アクリル酸アルキルエステル、即ち、上記アクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分に含まれる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、およびドデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。アクリル系ポリマーのための当該(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、一種類の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられてもよいし、二種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いられてもよい。本実施形態では、アクリル系ポリマーのための(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、および2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種が用いられる。上記アクリル系ポリマーにおける、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来のモノマーユニットの割合は、例えば50~99.9質量%であり、好ましくは70~99.9質量%であり、より好ましくは80~99.5質量%である。
上記アクリル系ポリマーは、水酸基含有モノマーに由来するモノマーユニットを含んでもよい。水酸基含有モノマーは、モノマーユニット内に少なくとも一つの水酸基を有することとなるモノマーである。粘着剤層12内のアクリル系ポリマーが水酸基含有モノマーユニットを含む場合、粘着剤層12において接着性や適度な凝集力が得られやすい。粘着剤層12形成用の粘着剤組成物が水酸基含有モノマーユニットを含むアクリル系ポリマーと例えばイソシアネート系架橋剤とを含有する場合、水酸基含有モノマーユニットの水酸基(含活性水素官能基)は架橋点として機能しうる。
上記アクリル系ポリマーのモノマーユニットをなすための水酸基含有モノマー、即ち、当該アクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分に含まれる水酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、および[4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレートが挙げられる。アクリル系ポリマーのための水酸基含有モノマーとしては、一種類の水酸基含有モノマーが用いられてもよいし、二種類以上の水酸基含有モノマーが用いられてもよい。本実施形態では、アクリル系ポリマーのための水酸基含有モノマーとして、好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが用いられる。形成される粘着剤層12において接着性や適度な凝集力を実現するという観点からは、上記アクリル系ポリマーにおける、水酸基含有モノマー由来のモノマーユニットの割合は、例えば0.1~30質量%であり、好ましくは0.5~20質量%である。
粘着剤層12に含有されるアクリル系ポリマーは、カルボキシ基含有モノマーに由来するモノマーユニットを含んでもよい。カルボキシ基含有モノマーは、モノマーユニット内に少なくとも一つのカルボキシ基を有することとなるモノマーである。粘着剤層12内のアクリル系ポリマーがカルボキシ基含有モノマーユニットを含む場合、粘着剤層12において良好な接着信頼性が得られやすい。粘着剤層12形成用の粘着剤組成物がカルボキシ基含有モノマーユニットを含むアクリル系ポリマーと例えばイソシアネート系架橋剤とを含有する場合、カルボキシ基含有モノマーユニットのカルボキシ基(含活性水素官能基)は架橋点として機能しうる。
上記アクリル系ポリマーのモノマーユニットをなすためのカルボキシ基含有モノマー、即ち、当該アクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分に含まれるカルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、およびβ-カルボキシエチルアクリレートが挙げられる。アクリル系ポリマーのためのカルボキシ基含有モノマーとしては、一種類のカルボキシ基含有モノマーが用いられてもよいし、二種類以上のカルボキシ基含有モノマーが用いられてもよい。本実施形態では、アクリル系ポリマーのためのカルボキシ基含有モノマーとして、好ましくはアクリル酸が用いられる。形成される粘着剤層12において良好な接着信頼性を確保するという観点から、上記アクリル系ポリマーにおける、カルボキシ基含有モノマー由来のモノマーユニットの割合は、例えば0.1~20質量%、好ましくは0.5~15質量%である。
粘着剤層12に含有されるアクリル系ポリマーは、ビニルエステル系モノマーに由来するモノマーユニットを含んでもよい。ビニルエステル系モノマーは、モノマーユニット内に少なくとも一つのビニルエステル基を有することとなるモノマーである。粘着剤層12内のアクリル系ポリマーがビニルエステル系モノマーユニットを含む場合、粘着剤層12において良好な凝集力が得られやすい。
上記アクリル系ポリマーのモノマーユニットをなすためのビニルエステル系モノマー、即ち、当該アクリル系ポリマーを形成するためのモノマー成分に含まれるビニルエステル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルが挙げられる。アクリル系ポリマーのためのビニルエステル系モノマーとしては、一種類のビニルエステル系モノマーが用いられてもよいし、二種類以上のビニルエステル系モノマーが用いられてもよい。本実施形態では、アクリル系ポリマーのためのビニルエステル系モノマーとして、好ましくは酢酸ビニルが用いられる。形成される粘着剤層12において良好な凝集力を確保するという観点から、上記アクリル系ポリマーにおける、ビニルエステル系モノマー由来のモノマーユニットの割合は、例えば10~60質量%、好ましくは20~50質量%である。
粘着剤層12に含有されるアクリル系ポリマーは、他のモノマーに由来するモノマーユニットを含んでもよい。他のモノマーとしては、上述の水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー及びビニルエステル系モノマー以外の含活性水素官能基含有モノマー、窒素原子含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アルコキシ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、スチレン系モノマー、イソシアネート基含有モノマー、複素環を有する(メタ)アクリル酸エステル、ハロゲン原子含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、シロキサン結合含有モノマー、脂環式炭化水素基含有(メタ)アクリレート、芳香族炭化水素基含有(メタ)アクリレート、および、多官能(メタ)アクリレートなど多官能モノマーが挙げられる。
前記窒素原子含有モノマーとしては、例えばN-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、2-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、5-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、2-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、4-ビニルオキサゾール、N-ビニルモルホリン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記エポキシ基含有モノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
前記アルコキシ基含有モノマーとしては、例えばメトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記シアノ基含有モノマーとしては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
前記スチレン系モノマーとしては、例えばスチレン、置換スチレン(α-メチルスチレン等)、ビニルトルエンなどが挙げられる。
前記イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。
複素環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記ハロゲン原子含有モノマーとしては、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデンなどが挙げられる。
前記アルコキシシリル基含有モノマーとしては、例えば3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
シロキサン結合を有するモノマーとしては、例えばシリコーン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。、
前記脂環式炭化水素基含有(メタ)アクリレートとして、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記芳香族炭化水素基含有(メタ)アクリレートとして、例えばアリール(メタ)アクリレート(例えばフェニル(メタ)アクリレート)、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート)、アリールアルキル(メタ)アクリレート(例えばベンジル(メタ)アクリレート)などが挙げられる。
前記多官能性モノマーとして、例えばヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ここに開示される技術における他のモノマー原料は、アクリル系ポリマーのTg調整や凝集力向上等の目的で1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着剤層12に含有されるアクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、例えば10万~300万であり、好ましくは20万~200万、より好ましくは30万~150万、より好ましくは40万~100万である。アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)により測定して得られた、標準ポリスチレン換算の値をいうものとする。
粘着剤層12に含有されるアクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、例えば0℃以下であり、好ましくは-10℃以下、より好ましくは-30℃以下、より好ましくは-50℃以下である。アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、動的粘弾性装置を用いた測定方法や、FOXの式による計算値などを用いることができる。
粘着剤層12用の粘着剤としての上記ウレタン系ポリマーは、多数のウレタン結合を分子鎖中に有するポリマーであり、ポリマーグリコールや低分子グリコール等の多価アルコール、ジイソシアネート等の多官能イソシアネート、および、必要に応じて用いられる活性水素基含有化合物の、重合体である。このウレタン系ポリマーは、本実施形態では、イソシアネート系架橋剤と反応可能な水酸基やカルボキシル基などの含活性水素官能基を主鎖または側鎖上に有するのが好ましい。
粘着剤層12中のアクリル系ポリマーやウレタン系ポリマーなど粘着剤は、架橋剤によって架橋されていてもよい。当該架橋剤による粘着剤の架橋を利用して、粘着剤層12のゲル分率を調整することが可能である。そのような架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、および金属キレート系架橋剤が挙げられる。粘着剤層12を形成するための粘着剤組成物は、一種類の架橋剤を含有してもよいし、二種類以上の当該架橋剤を含有してもよい。本実施形態では、好ましくはイソシアネート系架橋剤および/またはエポキシ系架橋剤が用いられる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、脂肪族イソシアネート類、脂環式イソシアネート類、および芳香族イソシアネート類が挙げられる。脂肪族イソシアネート類としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、およびダイマー酸ジイソシアネートが挙げられる。脂環式イソシアネート類としては、例えば、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが挙げられる。芳香族イソシアネート類としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、およびキシリレンジイソシアネートが挙げられる。また、イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商品名「コロネートL」,東ソー株式会社製)やヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌル体(商品名「コロネートHX」,東ソー株式会社製)も挙げられる。
エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、およびネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。
粘着剤層12形成用の粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合、形成される粘着剤層12において被着体に対する充分な接着信頼性を実現するという観点から、当該組成物中の粘着剤100質量部に対して例えば0.1~20質量部であり、好ましくは0.5~15質量部、より好ましくは1~10質量部である。
粘着剤層12ないしそれを形成するための粘着剤組成物は、必要に応じて、架橋促進剤や、粘着付与樹脂、老化防止剤、充填剤、酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤など、各種の添加剤を更に含有してもよい。
粘着剤層12の厚さは、被着体に対する充分な粘着力を実現するという観点からは、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上である。また、形成のしやすさという観点からは、粘着剤層12の厚さは、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。
また、フィルム10の厚さ方向のヘーズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、より好ましくは1.5%以下である。ヘーズは、JIS K 7136に準拠して測定される値とする。
以上のような積層構造を有するフィルム10は、粘着剤層12の粘着面12aを被覆するようにセパレータないし剥離ライナーが設けられていてもよい。セパレータは、フィルム10の粘着剤層12が露出しないように保護するための要素であり、フィルム10を被着体に貼り合せる際にフィルム10から剥がされる。セパレータとしては、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素ポリマーからなる低接着性基材、および、無極性ポリマーからなる低接着性基材が挙げられる。セパレータの表面は、離型処理、防汚処理、または帯電防止処理が施されていてもよい。セパレータの厚さは、例えば5~200μmである。フィルム10は、具体的には、粘着剤層12の粘着面12aを被覆するセパレータを伴うシート状の形態をとってもよいし、セパレータを伴わずにフィルム10の基材フィルム11と粘着剤層12とが交互に配されるようにロール状に巻回された形態をとってもよい。
以上のような構成のフィルム10は、例えば次のようにして製造することができる。まず、粘着剤層12形成用の組成物を調製する。この組成物は、粘着剤層12に関して上述した所定の成分と溶剤とを含有する。溶剤としては、例えば、酢酸エチルなどエステル類、トルエンなど芳香族炭化水素類、n-ヘキサンなど脂肪族炭化水素類、および、シクロヘキサンなど脂環式炭化水素類が挙げられる。次に、粘着剤層12形成用の粘着剤組成物を基材フィルム11上に塗布して粘着剤組成物層を形成し、その組成物層を乾燥・固化させることによって、粘着剤層12を形成する。或いは、フィルム10は、セパレータ上に粘着剤層12を形成した後、その粘着剤層12を基材フィルム11に対して貼り合せることによって、作製してもよい。
以上のような構成を備える表面保護フィルムであるフィルム10において、基材フィルム11は、上述のように、130℃での貯蔵弾性率が700MPa以下であって好ましくは500MPa以下、より好ましくは300MPa以下、より好ましくは200MPa以下、より好ましくは100MPa以下、より好ましくは80MPa以下である。このような構成は、湾曲箇所や屈曲箇所など非平坦箇所を含む被着体保護対象面に対し、フィルム10を、例えば100℃程度以上への加熱によって充分に軟化させた状態で非平坦箇所の表面形状に追従させつつ、貼り合わせるのに適する。
加えて、フィルム10の基材フィルム11は、上述のように、30℃での貯蔵弾性率が1000MPa以上であって好ましくは1500MPa以上、より好ましくは2000MPa以上、より好ましくは2500MPa以上、より好ましくは2700MPa以上、より好ましくは2800MPa以上である。このような構成は、湾曲箇所や屈曲箇所など非平坦箇所を含む被着体保護対象面に対してフィルム10が例えば100℃程度以上への加熱によって充分に軟化して非平坦箇所の表面形状に追従しつつ貼り合わせられた後、当該フィルムが室温程度にまで降温した状態において、非平坦表面形状に対するフィルム10の追従形状を維持するのに適する。
以上のように、フィルム10は、例えば100℃程度以上への加熱によって充分に軟化させた状態で保護対象面内の非平坦表面形状に追従させつつ当該保護対象面に貼り合わせるのに適するとともに、そのような貼合せ後の室温程度の温度条件下で非平坦表面形状に対する追従形状を維持するのに適する。このようなフィルム10は、湾曲箇所や屈曲箇所など非平坦箇所を有する保護対象面を被覆保護するうえで、好適である。
フィルム10の基材フィルム11は、上述のように、好ましくは、帯電防止層を含む積層構造を有する。帯電防止層は、上述のように、好ましくは、第四級アンモニウム基を有する帯電防止剤および/または導電性ポリマーを含有する。これら構成は、フィルム10の帯電を防止または抑制するのに適する。フィルム10における帯電の防止または抑制は、フィルム10について保護対象面への貼合せ作業等における取り扱いやすさを確保するのに適する。また、フィルム10における帯電の防止または抑制は、フィルム10とそれが貼り合わせられる保護対象面との間への塵埃など微小異物の入り込みを防止または抑制するのに適する。
フィルム10は、上述のように、好ましくは真空圧空成形貼合せ型フィルムである。フィルム10が真空圧空成形貼合せ型フィルムであるという構成は、フィルム10について、被着体の保護対象面内の湾曲箇所や屈曲箇所など非平坦箇所の表面形状に適切に追従させつつ当該保護対象面に貼り合わせて使用するのに適する。
図2は、本発明の他の実施形態に係るフィルム10付きの光学部材20の部分断面図である。
光学部材20は、例えば、ディスプレイに組み込まれるディスプレイ用の透明カバー部材である。ディスプレイとしては、例えば、スマートフォンやテレビ用の液晶ディスプレイおよび有機エレクトロルミネッセンスディスプレイが挙げられる。また、光学部材20は、表面保護フィルムによる保護の対象とされる表面21を有する。表面21は、湾曲箇所21aおよび屈曲箇所21bを有する。このような光学部材20は、例えば、透明な樹脂系材料またはガラス系材料よりなる。
このような光学部材20の表面21に対し、表面保護フィルムとしての上述のフィルム10がその粘着剤層(図2では図示せず)側にて貼り合わせされている。フィルム10は、表面21の湾曲箇所21aおよび屈曲箇所21bにわたって貼り合わされている。
フィルム10付きのこの光学部材20によると、そのフィルム10において、フィルム10に関して上述したのと同様の技術的効果を享受することができる。すなわち、フィルム10付きの光学部材20において、上述のフィルム10は、湾曲箇所21aや屈曲箇所21bなど非平坦箇所を有する表面21(保護対象面)を被覆保護するうえで、好適である。
〔基材フィルムF1の作製〕
イソフタル酸ユニット(7モル%)とテレフタル酸ユニット(44モル%)とエチレングリコールユニット(48モル%)とジエチレングリコールユニット(1モル%)とを有する原料フィルムとしてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ100μm,重量平均分子量(Mw)72000,ガラス転移温度75℃)から、所定の加熱ロール群およびテンターを具備する延伸装置を使用して、2軸延伸フィルムを作製した。まず、このPETフィルムを、85℃の加熱ロール群を通過させながら、いわゆるMD方向に1.6倍の延伸倍率で延伸し、一軸配向PETフィルムを作製した。次に、このPETフィルムについて、テンター内に導き、100℃の加熱ゾーンでいわゆるTD方向に1.6倍の延伸倍率で延伸し、続いて、テンター内の200℃の熱処理ゾーンで熱固定を施し、厚さ38μmのポリエステル系フィルムを得た。次に、このポリエステル系フィルムの片面にコロナ処理を施した。以上のようにして、片面にコロナ処理面を有するポリエステル系フィルム(基材フィルムF1)を作製した。
〔基材フィルムF2の作製〕
第四級アンモニウム基を側鎖中に含むアクリル系共重合体であるアクリル系帯電防止剤(商品名「ボンディップ-PA100主剤」,コニシ株式会社製)と、硬化剤であるエポキシ樹脂(商品名「ボンディップ-PA100硬化剤」)とが、水とイソプロピルアルコールとの混合溶媒中に質量比100:100で含まれる溶液(帯電防止層形成用溶液)を用意した。次に、この溶液を上記の基材フィルムF1のコロナ処理面に塗布した後、その塗膜を乾燥させた。これにより、ポリエステル系フィルムの表面に、厚さ100nmの帯電防止層を形成した。以上のようにして、帯電防止層(厚さ100nm)を片面に有するポリエステル系フィルム(基材フィルムF2)を作製した。
〔基材フィルムF3の作製〕
上記原料フィルムとしてのPETフィルム(厚さ100μm,重量平均分子量(Mw)72000,ガラス転移温度75℃)から、所定の加熱ロール群およびテンターを具備する延伸装置を使用して、2軸延伸フィルムを作製した。まず、このPETフィルムを、85℃の加熱ロール群を通過させながら、いわゆるMD方向に1.4倍の延伸倍率で延伸し、一軸配向PETフィルムを作製した。次に、このフィルムについて、テンター内に導き、100℃の加熱ゾーンでいわゆるTD方向に1.4倍の延伸倍率で延伸し、続いて、テンター内の200℃の熱処理ゾーンで熱固定を施し、厚さ50μmのポリエステル系フィルムを得た。次に、このポリエステル系フィルムの片面にコロナ処理を施した。一方、バインダとしての飽和共重合ポリエステル樹脂を25質量%含む分散液S1(商品名「バイロナールMD-1480」,東洋紡株式会社製)と、滑剤としてのカルナバワックスの水分散液S2と、導電性ポリマーとしてのポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)0.5質量%およびポリスチレンスルホネート(数平均分子量15万)0.8質量%を含む水溶液S3(商品名「Baytron P」,H.C.Stark社製)と、メラミン系架橋剤の溶液S4(商品名「ニカレヂンS-176」,日本カーバイド工業株式会社製)とを用意した。そして、水とエタノールとの体積比1:3の混合溶媒に、上記分散液S1を固形分量で100質量部と、上記水分散液S2を固形分量で30質量部と、上記水溶液S3を固形分量で50質量部と、上記溶液S4を固形分量で10質量部とを加え、約20分間撹拌して混合した。これにより、不揮発成分(NV)濃度 約0.15質量%のコーティング材を調製した。このコーティング材を、延伸倍率1.4倍の上記の2軸延伸ポリエステル系フィルムのコロナ処理面に塗布した後、その塗膜を乾燥させた。これにより、当該ポリエステル系フィルムの表面に、厚さ15nmの帯電防止層を形成した。以上のようにして、帯電防止層(厚さ15nm)を片面に有するポリエステル系フィルム(基材フィルムF3)を作製した。
〔基材フィルムF4の作製〕
バインダとしての飽和共重合ポリエステル樹脂を25質量%含む分散液S1(商品名「バイロナールMD-1480」,東洋紡株式会社製)と、導電性ポリマーとしてのポリアニリンスルホン酸の溶液S5(商品名「aquaPASS」,重量平均分子量4万,三菱レイヨン株式会社製)と、架橋剤としての、ジイソプロピルアミンでブロックしたヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体の溶液S6と、滑剤としてのオレイン酸アミドの溶液S7とを用意した。そして、水とエタノールとの体積比1:3の混合溶媒に、上記分散液S1を固形分量で100質量部と、上記溶液S5を固形分量で75質量部と、上記溶液S6を固形分量で10質量部と、上記溶液S7を固形分量で30質量部とを加え、約20分間撹拌して混合した。これにより、不揮発成分(NV)濃度 約0.4質量%のコーティング材を調製した。このコーティング材を、延伸倍率1.4倍の上記の2軸延伸ポリエステル系フィルムのコロナ処理面に塗布した後、その塗膜を乾燥させた。これにより、当該ポリエステル系フィルムの表面に、厚さ45nmの帯電防止層を形成した。以上のようにして、帯電防止層(厚さ45nm)を片面に有するポリエステル系フィルム(基材フィルムF4)を作製した。
〔基材フィルムF5の作製〕
結晶性ホモポリプロピレン(商品名「F-704NP」,樹脂密度0.900,株式会社プライムポリマー製)40質量部と、ランダムポリプロピレン(商品名「F-744NP」,樹脂密度0.900,株式会社プライムポリマー製)40質量部と、エチレン-プロピレン共重合体(商品名「タフマーP0180」,三井化学株式会社製)20質量部とを、Tダイ法により、ダイス温度220℃の条件で厚さ40μmに製膜した。次に、得られたフィルムの片面にコロナ処理を施した。このようにして、厚さ40μmのポリオレフィン系フィルム(基材フィルムF5)を作製した。
〔アクリル系粘着剤組成物A1の調製〕
還流冷却器、窒素ガス導入管、撹拌機、および温度計を備え付けたフラスコ(反応容器)内で、2-エチルヘキシルアクリレート96.2質量部と、ヒドロキシエチルアクリレート3.8質量部と、重合開始剤である2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部と、酢酸エチル150質量部とを含む混合物を、窒素雰囲気下で穏やかに撹拌しつつ、60℃で6時間、反応を行った。これにより、40質量%の濃度でアクリル系ポリマーを含有する溶液(アクリル系ポリマー溶液)を得た。このアクリル系ポリマーの重量平均分子量は54万であった。そして、アクリル系ポリマー濃度が25質量%となるようにアクリル系ポリマー溶液を酢酸エチルで希釈した後、当該アクリル系ポリマー溶液400質量部(固形分100重量部)に、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である架橋剤(商品名「コロネートL」,固形分濃度75質量%の酢酸エチル溶液,東ソー株式会社製)を固形分量で4質量部と、架橋触媒であるジラウリン酸ジオクチルスズ(商品名「エンビライザー OL-1」,東京ファインケミカル株式会社製)を固形分量で0.02質量部と、架橋遅延剤であるアセチルアセトン3質量部とを加えて、これらを撹拌混合した。これにより、アクリル系粘着剤組成物(アクリル系粘着剤組成物A1)を得た。
〔アクリル系粘着剤組成物A2の調製〕
架橋剤として、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である架橋剤(商品名「コロネートL」,固形分濃度75質量%の酢酸エチル溶液,東ソー株式会社製)の代わりに、三官能イソシアネート化合物であるヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌル体(商品名「コロネートHX」,東ソー株式会社製)を固形分量で4質量部用いたこと以外は、アクリル系粘着剤組成物A1の調製と同様にして、別のアクリル系粘着剤組成物(アクリル系粘着剤組成物A2)を調製した。
〔アクリル系粘着剤組成物A3の調製〕
還流冷却器、窒素ガス導入管、撹拌機、および温度計を備え付けたフラスコ(反応容器)内で、ブチルアクリレート96質量部と、アクリル酸4質量部と、重合開始剤である2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部と、酢酸エチル150質量部とを含む混合物を、窒素雰囲気下で穏やかに撹拌しつつ、60℃で6時間、反応を行った。これにより、40質量%の濃度でアクリル系ポリマーを含有する溶液(アクリル系ポリマー溶液)を得た。このアクリル系ポリマーの重量平均分子量は58万であった。そして、このアクリル系ポリマーの固形分100質量部と、エポキシ系化合物である1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名「テトラッド-C」,三菱ガス化学株式会社製)3質量部とを混合して、アクリル系粘着剤組成物(アクリル系粘着剤組成物A3)を得た。
〔アクリル系粘着剤組成物A4の調製〕
還流冷却器、窒素ガス導入管、撹拌機、および温度計を備え付けたフラスコ(反応容器)内で、2-エチルヘキシルアクリレート100部と、酢酸ビニル80部と、アクリル酸5部と、過酸化物系重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO,日油(株)製「ナイパー(登録商標)BW」)0.3部と、トルエン275部とを含む混合物を、窒素雰囲気下の室温で穏やか1時間攪拌した。その後、容器内容物の温度を63℃に昇温し、窒素気流中で重合を6時間行った。その後、容器内容物の温度を80℃に昇温して6時間反応した。これにより、40質量%の濃度でアクリル系ポリマーを含有する溶液(アクリル系ポリマー溶液)を得た。このアクリル系ポリマーの重量平均分子量は43万であった。そして、このアクリル系ポリマーの固形分100質量部と、エポキシ系化合物である1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名「テトラッド-C」,三菱ガス化学株式会社製)3質量部とを混合して、アクリル系粘着剤組成物(アクリル系粘着剤組成物A4)を得た。
〔ウレタン系粘着剤組成物の調製〕
ウレタン系ポリマー(商品名「オリバインSH-109」,トーヨーケム株式会社製)を酢酸エチルで25質量%に希釈してウレタン系ポリマー溶液を得た。そして、この溶液400質量部(固形分100質量部)に、架橋剤として、三官能イソシアネート化合物であるヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌル体(商品名「コロネートHX」,東ソー株式会社製)10質量部(固形分10質量部)を加えて、混合撹拌を行った。このようにして、ウレタン系粘着剤組成物を調製した。
[実施例1]
片面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナー(厚さ38μm)のシリコーン処理面上に、上記のアクリル系粘着剤組成物A1を塗布して粘着剤組成物層を形成した。次に、この粘着剤組成物層を130℃で20秒間加熱して、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。次に、この粘着剤層の露出面に、上記の基材フィルムF2の帯電防止層形成面とは反対の面を貼り合わせた。このようにして、実施例1の表面保護フィルムを作製した。
[実施例2]
アクリル系粘着剤組成物A1に代えてアクリル系粘着剤組成物A2を用いたこと以外は実施例1の表面保護フィルムと同様にして、実施例2の表面保護フィルムを作製した。
[実施例3~5]
基材フィルムF2に代えて基材フィルムF3(実施例3)、基材フィルムF4(実施例4)、または基材フィルムF1(実施例5)を用いたこと以外は実施例1の表面保護フィルムと同様にして、実施例3~5の各表面保護フィルムを作製した。
[実施例6]
片面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナー(厚さ38μm)のシリコーン処理面上に、上記のウレタン系粘着剤組成物を塗布して粘着剤組成物層を形成した。次に、この粘着剤組成物層を130℃で20秒間加熱して、厚さ10μmの粘着剤層を形成した。次に、この粘着剤層の露出面に、上記の基材フィルムF1のコロナ処理面を貼り合わせた。このようにして、実施例6の表面保護フィルムを作製した。
[実施例7]
アクリル系粘着剤組成物A1に代えてアクリル系粘着剤組成物A4を用い、厚さ20μmに代えて、厚さ5μmの粘着剤層を形成し、基材F1のコロナ処理面に貼合わせたこと以外は実施例1の表面保護フィルムと同様にして、実施例7の表面保護フィルムを作製した。
[比較例1]
基材フィルムF2に代えて別のポリエステル系フィルム(基材フィルムF6)(商品名「ASTROLL CE900」,厚さ38μm,KOLON社製)を用いたこと以外は実施例1の表面保護フィルムと同様にして、比較例1の表面保護フィルムを作製した。
[比較例2]
ポリオレフィン系フィルムである上記基材フィルムF5(厚さ40μm)のコロナ処理面上に、上記のアクリル系粘着剤組成物A3を塗布して粘着剤組成物層を形成した。次に、この粘着剤組成物層を80℃で1分間加熱して、厚さ5μmの粘着剤層を形成した。次に、粘着剤層の露出面に対し、片面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナー(厚さ38μm)のシリコーン処理面側を貼り合わせた。次に、基材フィルムF5上の粘着剤層について、室温で5日間のエージングを施した。このようにして、比較例2の表面保護フィルムを作製した。
〈貯蔵弾性率の測定〉
実施例1~7および比較例1,2の表面保護フィルムにおける各基材フィルムについて、動的粘弾性測定装置(商品名「RSA-G2」,TAインスツルメント社製)を使用して行う動的粘弾性測定によって引張貯蔵弾性率(MPa)を調べた。その測定において、測定対象物たる基材フィルム試料片のサイズを幅5mm×長さ30mmとし、試料片保持用チャックの初期チャック間距離を10mmとし、測定モードを引張りモードとし、測定温度範囲を25~170℃とし、周波数を1Hzとし、昇温速度を5℃/分とした。30℃、80℃、および130℃での測定結果を表1に掲げる。
〈表面抵抗率〉
実施例1~4の表面保護フィルムにおける各基材フィルムについて、室温での7日間のエージングを経た後、抵抗率計(商品名「ハイレスタ-UP MCP-HT450」,株式会社三菱ケミカルアナリテック製)を使用して表面抵抗率(Ω/□)を測定した。この測定において、印加電圧は10Vとし、電圧印加時間は10秒とした。また、この測定は、23℃および50%RHの環境下で行った。測定結果を表1に掲げる。
〈対ガラス粘着力の測定〉
実施例1~7および比較例1,2の各表面保護フィルムについて、ガラス平面に対する粘着力を調べた。具体的には、まず、表面保護フィルムについての室温での7日間のエージングの後、表面保護フィルムから幅25mmおよび長さ100mmのサイズの試験片を切り出した。試験片から剥離ライナーを剥離した後、ガラス板(商品名「青板切放品(縁磨)」,厚さ1.35mm×幅100mm×長さ100mm,松浪硝子工業株式会社製)の表面に対して、2kgハンドローラー1往復の作業によって試験片をその粘着剤層側にて圧着させた。ガラス板上において試験片を23℃および50%RHの環境下で30分放置した後、試験片につき、万能式引張試験機を使用してガラス板から剥離する剥離試験を行い、対ガラス粘着力(N/25mm)」を測定した。この測定において、剥離角度は180°とし、引張速度は0.3m/分とした。また、この測定は、23℃および50%RHの環境下で行った。測定結果を表1に掲げる。
〈3Dガラス板に対する追従性〉
実施例1~7および比較例1,2の各表面保護フィルムについて、非平坦箇所を有する被着体表面に対する追従性を調べた。具体的には、まず、表面保護フィルムについて室温での7日間のエージングの後、表面保護フィルムから幅210mm×長さ300mmのサイズのサンプルフィルムを必要数 切り出した。次に、サンプルフィルムから剥離ライナーを剥離した後、真空圧空成形機(商品名「真空圧空成形機NGF-0406-S」,布施真空株式会社製)を使用して、四辺に斜面を有するモデルガラス板(厚さ1mm×幅70mm×長さ150mm,斜面部長さ2.5mm,図3に断面寸法を示す)の斜面を含む側の表面(図3では、図中下面を除く表面)にサンプルフィルムをその粘着剤層側にて貼り合わせる真空圧空成形を行った。表面保護フィルムごとに、一のサンプルフィルムを用いてのフィルム加熱温度80℃での真空圧空成形による貼り合わせと、別のサンプルフィルムを用いてのフィルム加熱温度130℃での真空圧空成形による貼り合わせとを、行った。各貼り合わせ後には、四辺に斜面を有するモデルガラス板の底部外周に沿ってサンプルフィルムの余剰部(ガラスに貼り付いていない部分)をカッターナイフで切断除去した(トリミング)。そして、モデルガラス板斜面部におけるサンプルフィルムの浮き(部分的な剥離)の有無を目視で観察し、評価した。貼り合わせの2日後に浮きが無い場合を“良”と評価し、貼り合わせ直後から1日以内に浮きが発生した場合を“可”と評価し、貼り合わせ直後に浮きやシワが発生した場合を“不良”と評価した。その評価結果を表1に掲げる。比較例2の表面保護フィルムについてのフィルム加熱温度130℃での真空圧空成形による貼り合わせは、フィルムに熱収縮が生じたので実施できなかった。
〈表面保護フィルムの作業性〉
実施例1~7および比較例1,2の各表面保護フィルムについて、真空圧空成形機への取付け作業性を評価した。具体的には、上記の追従性評価試験を行う過程での、剥離ライナー剥離後のサンプルフィルム(表面保護フィルム)の真空圧空成形機への取付け作業において、問題なく取り付け可能であった場合を“良”と評価し、剥離ライナー剥離後に発生した静電気でフィルムがまとわりついたものの取り付け可能であった場合を“可”と評価し、剥離ライナー剥離後に発生した静電気でフィルムがまとわりつき且つフィルム自体にコシがなかったために、取り付け作業が困難であった場合を“不良”と評価した。その評価結果を表1に掲げる。
〈再剥離性〉
追従性評価試験に関して上述した真空圧空成形による貼合せ作業から2日後、表面保護フィルムをモデルガラス板から手作業で剥離し、その際の剥離作業のしやすさを再剥離性として評価した。具体的には、表面保護フィルムの再剥離性につき、表面保護フィルムを容易に剥離可能であった場合を“良”と評価し、表面保護フィルムの剥離が困難であった場合を“不良”と評価した。その評価結果を表1に掲げる。
〈濡れ性〉
実施例1~7および比較例1,2の各表面保護フィルムについて、ガラス平面に対する粘着剤層ないし粘着面のいわゆる濡れ性を調べた。具体的には、まず、表面保護フィルムについて、7日間のエージングの後、表面保護フィルムから幅25mmおよび長さ100mmのサイズの試験片を切り出した。試験片から剥離ライナーを剥離した後、ガラス板(商品名「青板切放品(縁磨)」,厚さ1.35mm×幅100mm×長さ100mm,松浪硝子工業株式会社製)の表面に対して試験片の粘着面の一端領域(幅25mm×長さ5mm)を接触させ、ガラス板表面に対して試験片がなす角度が仰角20~30°となるように試験片を保持した。次に、試験片の保持を解除して、試験片の自重で前記仰角が次第に小さくなるとともに試験片粘着面とガラス板表面との接触面積が次第に大きくなる過程を経て、試験片粘着面の全体をガラス板表面に接触させた。試験片の保持を解除した時点から試験片粘着面の全体がガラス板表面に接触するに至るまで、に要する時間を測定した。測定結果を表1に掲げる。
[評価]
本発明の構成を具備する実施例1~7の表面保護フィルムにおいては、いずれも、上記の追従性評価試験において良好な結果が得られた。これに対し、比較例1,2の表面保護フィルムにおいては、いずれも、上記の追従性評価試験において良好な結果が得られなかった。
Figure 0007277478000001
上記で説明した発明のバリエーションを以下に付記する。
[1]130℃での貯蔵弾性率が700MPa以下であり、且つ30℃での貯蔵弾性率が1000MPa以上である、基材フィルムと、
粘着剤層と、を含む積層構造を有する表面保護フィルム。
[2]前記基材フィルムは、帯電防止層を含む積層構造を有する、前記[1]に記載の表面保護フィルム。
[3]前記帯電防止層は、第四級アンモニウム基を有する帯電防止剤および/または導電性ポリマーを含有する、前記[2]に記載の表面保護フィルム。
[4]前記基材フィルムを構成する材料は、ポリエステルを含む、前記[1]から[3]のいずれか一つに記載の表面保護フィルム。
[5]前記粘着剤層は、アクリル系ポリマーおよび/またはウレタン系ポリマーを含有する、前記[1]から[4]のいずれか一つに記載の表面保護フィルム。
[6]真空圧空成形貼合せ型フィルムである、前記[1]から[5]のいずれに記載の表面保護フィルム。
[7]前記[1]から[6]のいずれか一つに記載の表面保護フィルムを含む、光学部材。
本発明の表面保護フィルムは、外観表面に湾曲箇所や屈曲箇所など非平坦箇所を含む光学部材の保護フィルムとして好適に使用することができる。
10 フィルム(表面保護フィルム)
11 基材フィルム
12 粘着剤層
20 光学部材

Claims (7)

  1. 130℃での貯蔵弾性率が700MPa以下であり、30℃での貯蔵弾性率が1000MPa以上であり、且つ80℃での貯蔵弾性率が700~1100MPaである、基材フィルムと、
    粘着剤層と、を含む積層構造を有する表面保護フィルムであって、
    前記基材フィルムを構成する材料は、ポリエステルを含み、
    前記ポリエステルを構成するジカルボン酸は、テレフタル酸およびイソフタル酸を含む、表面保護フィルム
  2. 前記基材フィルムは、帯電防止層を含む積層構造を有する、請求項1に記載の表面保護フィルム。
  3. 前記帯電防止層は、第四級アンモニウム基を有する帯電防止剤および/または導電性ポリマーを含有する、請求項2に記載の表面保護フィルム。
  4. 前記ポリエステルを構成するジオールは、エチレングリコールおよびジエチレングリコールを含む、請求項1から3のいずれか一つに記載の表面保護フィルム。
  5. 前記粘着剤層は、アクリル系ポリマーおよび/またはウレタン系ポリマーを含有する、請求項1から4のいずれか一つに記載の表面保護フィルム。
  6. 真空圧空成形貼合せ型フィルムである、請求項1から5のいずれに記載の表面保護フィルム。
  7. 請求項1から6のいずれか一つに記載の表面保護フィルムを含む、光学部材。
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