JP2016102136A - 両面粘着フィルム及びそれを用いた情報表示画面用の保護部材 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の情報表示画面用の保護部材は、透明保護カバーと、基材フィルムの一方の面に、シリコーン樹脂を主成分とする吸着層を積層し、もう一方の面にアクリル系粘着剤からなる粘着剤層を積層してなり、前記吸着層に貼り合わされたセパレータからなる両面粘着フィルムとを、前記粘着剤層を介して貼着した状態で提供されるものである。
本発明の情報表示画面用の保護部材の構成部材のうち、前記透明保護カバーは、ガラス板で波長が380〜780nmの領域の可視光の全光線透過率が85%以上のものを使用することが好ましい。全光線透過率が85%未満の場合には、画面から発せられた光が透明部材を透過しにくくなるので、視認性が低下するからである。
ここでの全光線透過率は、JIS K 7105に準じ、積分球式濁度計(日本電色工業株式会社製、NDH2000)により測定した。
本発明の情報表示画面用の保護部材に用いる両面粘着フィルムは、基材フィルムの一方の面に、シリコーン樹脂を主成分とする吸着層を積層し、もう一方の面にアクリル系粘着剤からなる粘着剤層を積層してなり、前記吸着層にプラスチックフィルムからなるセパレータを貼り合わせたものであり、さらに前記粘着剤層に、ポリエステル系樹脂フィルムにシリコーン離型処理を施したカバーフィルムを貼り合わせた状態で提供されるものである。
本発明で使用する基材フィルムは、各種のプラスチックからなるフィルムであれば、特に限定されない。例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリアミドイミド、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等よりなるフィルムが例示されるが、これらに限定されるものではない。シリコーンゴムの熱架橋時の取り扱い性、コストの面からポリエステルフィルムやポリカーボネートフィルムが好ましい。透明性の点では、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。基材の厚みは、用途に応じて適宜選択すればよいが、通常5〜400μm、特に20〜250μmの範囲であるのが好ましい。
本発明の粘着剤層には、両面粘着フィルムの全光線透過率が80%以上になるような高透明粘着剤が得やすい等の理由から、各種アクリルモノマー及び/またはオリゴマーを共重合して得られるアクリル系共重合体と、架橋剤を必須成分とするアクリル系粘着剤が好適に使用することができる。
、前記粘着剤層に透明保護カバーを粘着した保護部材の状態で前記吸着層の表面を平滑に保つことができなくなり、情報表示画面に前記保護部材の吸着層を貼り付ける際に気泡の巻き込みが生じてしまう。添加量が2.0重量%を超えた場合は粘着剤層としては硬くなりすぎて、透明保護カバー表面の凹凸や、前記吸着層表面の凹凸を打ち消す様に粘着剤層が塑性変形できなくなる。その結果、前記粘着剤層に透明保護カバーを粘着した保護部材の状態で前記吸着層の表面を平滑に保つことができなくなり。情報表示画面に前記保護部材の吸着層を貼り付ける際に気泡の巻き込みが生じてしまう。
本発明の両面粘着フィルムを構成する粘着剤層のゲル分率は、所定の大きさにカットした基材上に粘着剤層のみが設けられた粘着フィルムを30分間トルエンに浸漬させ、浸漬後45℃で24時間乾燥した後に浸漬後の粘着剤層の重量を測定し、あらかじめ測定しておいた浸漬前の粘着剤層の重量との重量比として求められる。
本発明の両面粘着フィルムを構成する粘着剤層表面のマルテンス硬度の測定は、超微小押し込み硬さ試験機(株式会社エリオニクス製 ENT−2100)を使用して下記条件にて行った。
使用圧子:球状圧子(半径200μm)
最大荷重:10μN
荷重時間:10sec
保持時間:5sec
徐荷時間:10sec
本発明の両面粘着フィルムには、粘着剤層面にポリエステル系樹脂フィルムをカバーフィルムとして貼り合わせることが好ましい。カバーフィルムの中心線表面粗さは0.20μm以下であることが好ましい。より好ましくは、カバーフィルムの中心線表面粗さが0.10μm以下であることが好ましい。中心線表面粗さが0.20μmより大きくなるとカバーフィルム表面の粗さが粘着剤層に転写し、さらに転写してできた粘着剤層表面の凹凸が、透明保護カバーと粘着剤層を貼着して保護部材となした際に、吸着剤層表面に影響を与えて粘着剤層の塑性変形では打ち消せない凹凸を吸着剤表面に生じさせてしまい、前記保護部材をディスプレイパネルの情報表示画面へ貼り付けた際に、気泡の混入が発生しやすくなる。
本発明の吸着層に用いるシリコーン樹脂の性状としては、透明性が高く、ゴムのような柔軟性を持っていて被着体の表面に対しても、吸着層の面が被着体表面に沿うことが求められる。さらに剥離の際には、小さい剥離力で容易に剥離できることが求められる。また、少なくとも厚み10μm以上で、目付け加工の方法を用いることなく塗布及び加熱処理だけで架橋吸着層を設けるためには、シリコーン組成物の硬化反応に際して、白金触媒等のもとで、150℃以下の低温短時間で深部まで架橋し、透明で耐熱性、圧縮永久歪み特性に優れかつ低粘度で液状タイプである、1分子中に2個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサンと架橋剤としてSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応により熱架橋する付加反応型液状シリコーン組成物の使用が好ましい。
本発明においては、基材フィルムと吸着層との接着力の向上、および被着体への保護部材の貼着後、前記保護部材を再剥離する際に、前記吸着層と基材フィルム間で剥離することなく、被着体からスムーズに剥離できることを目的として、前記基材フィルムと吸着層との間にアンカー層を設けてもよい。
本発明においては、吸着層の表面の汚れや異物付着を防いだり、両面粘着フィルムのハンドリングを向上させるため、そして特に前記両面粘着フィルムを透明保護カバーに貼り合わせて情報表示画面の保護部材として用いたときに、気泡の混入を抑える目的で、プラスチックフィルムからなるセパレータを吸着層面に貼り合わせて用いる。
本発明における中心線表面粗さの測定は、接触型表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、AY−22)を用いて行い、測定した得られた中心線平均粗さRaを用いる。
プラズマ処理された厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、下記アンカー層塗工液をグラビアコーターで塗工、乾燥して、厚み2μmのアンカー層を形成した。
(アンカー層塗工液)
アクリルポリオール樹脂 20部
(東レファインケミカル製、コータックスLH455、固形分:50%)
ポリチオフェン 27部
(信越ポリマー製、セプルジーダOC−SC100、固形分:3%)
MEK 40部
トルエン 13部
前記のアンカー層の上に、下記に記載の吸着層塗工液をダイコーターにて塗工して設けた後、オーブンにて150℃、100秒で架橋させて、厚み45μmの吸着層を形成した。
(吸着層塗工液)
分子末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン 68.59部
(Mw:540,000)/無溶剤型
オルガノハイドロジェンシロキサン−ジオルガノシロキサンコポリマー 0.41部
(Mw:2,000)/無溶剤型
白金触媒(信越ポリマー製、PL−56) 1.00部
トルエン 30.00部
合 計 100.00部
前記の吸着層が形成された各粘着フィルムの吸着層面に、厚さ50μmのポリエステルフィルムのセパレータを2本のロール(ゴムロールとメタルロール)にて挟み込み、空気を逃がしながら両者を貼り合わせて、プラズマ処理された厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に吸着層、セパレータが積層された粘着フィルムを得た。
前記粘着フィルムの、吸着層が形成された面とは反対側の面に、下記に記載の粘着剤層塗工液をダイコーターで塗工し、100℃で2分間加熱・乾燥して、10μmの厚みになる様調整して粘着剤層を形成した。
(粘着剤層塗工液)
アクリル酸エステル系共重合物 100.0部
(サイデン化学(株)製、サイビノールAT−D45、固形分:50%)
アルミニウムキレート架橋剤(固形分10%) 1.6部
トルエン 9.3部
合計 110.9部
下記に記載の粘着剤層塗工液を、実施例1と同様の工程にて塗工、乾燥して厚さ10μmの粘着剤層を形成した。
(粘着剤層塗工液)
アクリル酸エステル系共重合物 100.0部
(サイデン化学(株)製、サイビノールAT−D45、固形分:50%)
アルミニウムキレート架橋剤(固形分10%) 0.016部
トルエン 9.3部
合計 109.316部
下記に記載の粘着剤層塗工液を、実施例1と同様の工程にて塗工、乾燥して厚さ10μmの粘着剤層を形成した。
(粘着剤層塗工液)
アクリル酸エステル系共重合物 100.0部
(サイデン化学(株)製、サイビノールAT−D45、固形分:50%)
アルミニウムキレート架橋剤(固形分10%) 0.16部
トルエン 9.3部
合計 109.46部
下記に記載の粘着剤層塗工液を、実施例1と同様の工程にて塗工、乾燥して厚さ10μmの粘着剤層を形成した。
(粘着剤層塗工液)
アクリル酸エステル系共重合物 100.0部
(サイデン化学(株)製、サイビノールAT−D45、固形分:50%)
アルミニウムキレート架橋剤(固形分10%) 10.0部
トルエン 9.3部
合計 119.3部
実施例1と同組成の塗工液を実施例1と同様の工程にて塗工、乾燥して厚さ5μmの粘着剤層を形成した。
実施例1と同組成の塗工液を実施例1と同様の工程にて塗工、乾燥して厚さ30μmの粘着剤層を形成した。
下記に記載の粘着剤層塗工液を、実施例1と同様の工程にて塗工、乾燥して厚さ10μmの粘着剤層を形成した。
(粘着剤層塗工液)
アクリル酸エステル系共重合物 100.0部
(サイデン化学(株)製、サイビノールAT−D45、固形分:50%)
アルミニウムキレート架橋剤(固形分10%) 0.005部
トルエン 9.3部
合計 109.305部
下記に記載の粘着剤層塗工液を、実施例1と同様の工程にて塗工、乾燥して厚さ10μmの粘着剤層を形成した。
(粘着剤層塗工液)
アクリル酸エステル系共重合物 100.0部
(サイデン化学(株)製、サイビノールAT−D45、固形分:50%)
アルミニウムキレート架橋剤(固形分10%) 15.0部
トルエン 9.3部
合計 124.3部
実施例1と同組成の塗工液を実施例1と同様の工程にて塗工、乾燥して厚さ2μmの粘着剤層を形成した。
実施例1と同組成の塗工液を実施例1と同様の工程にて塗工、乾燥して厚さ40μmの粘着剤層を形成した。
下記に記載の粘着剤層塗工液を、実施例1と同様の工程にて塗工、乾燥して厚さ10μmの粘着剤層を形成した。
(粘着剤層塗工液)
アクリル酸エステル系共重合物 100.0部
(サイデン化学(株)製、サイビノールAT−D45、固形分:50%)
イソシアネート系架橋剤 1.0部
(ヘキサメチレンジイソシアネート、固形分100%)
トルエン 9.3部
合計 110.3部
下記に記載の粘着剤層塗工液を、実施例1と同様の工程にて塗工、乾燥して厚さ10μmの粘着剤層を形成した。
(粘着剤層塗工液)
アクリル酸エステル系共重合物 100.0部
(サイデン化学(株)製、サイビノールAT−D45、固形分:50%)
イソシアネート系架橋剤 2.0部
(キシリレンジイソシアネート、固形分50%)
トルエン 8.3部
合計 110.3部
前記の粘着剤層が形成された各粘着フィルムの粘着剤面に、厚さが25μmのシリコーン系剥離剤を塗工したカバーフィルム(ポリエチレンテレフタレート製)の剥離剤塗工面を向かい合わせて2本のロール(ゴムロールとメタルロール)にて挟み込み、空気を逃がしながら両者を貼り合わせた後、本発明の両面粘着フィルムを得た。
(粘着剤層のゲル分率)
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基材とし、実施例1〜6、比較例1〜6の粘着剤層塗工液を前記基材の片面に塗工し、100℃で2分間加熱・乾燥して、実施例1〜6、比較例1〜6に提示した厚みの粘着剤層を形成した。この粘着剤層のみを設けたフィルムを100mm×100mmの大きさにカットして試験片を作製し、その試験片の重量を測定した。次に前記の各試験片をトルエンに30分浸漬させた後、試験片及びトルエン溶液をろ過した残渣を45℃で24時間乾燥させて、浸漬後の試験片の乾燥後重量およびトルエン溶液をろ過した残渣の乾燥後重量を測定した。その後、乾燥後試験片から粘着剤層を除去して基材重量を測定した。ゲル分率は以下の式によって算出した。
(トルエン浸漬後の試験片及びろ過残渣の乾燥重量−基材重量)/(トルエン浸漬前の試験片重量−基材重量)(%)
上記作成した両面粘着フィルムを10mm×10mmの大きさにカットして試験片を作製し、超微小押し込み硬さ試験機(株式会社エリオニクス製 ENT−2100)を使用して下記条件にて各サンプルの粘着剤層表面のマルテンス硬度を測定した。
使用圧子:球状圧子(半径200μm)
最大荷重:10μN
荷重時間:10sec
保持時間:5sec
徐荷時間:10sec
上記作成した両面粘着フィルムを100mm×100mmにカットし、写像性試験器(スガ試験機株式会社製ICM−1DP)を使用してJIS K 7374に準拠した方法にて各サンプルの写像性を測定した。
上記作成した両面粘着フィルムを25mm幅にカットし、表面を研磨したSUS304のステンレス板に前記両面粘着フィルムの粘着剤層を貼着し、2kgの荷重をかけたロールを2往復させ、30分間常温放置した後に、粘着剤層面から180度方向に引き剥がした際の引き剥がし力を測定した。
上記作成した両面粘着フィルムを120mm×55mmにカットし、厚み300μmの透明保護カバー(ガラス板)に、前記両面粘着フィルムのセパレーターを積層した吸着層側から、2kgの荷重ロールを2往復させて粘着剤層を貼着した後、常温(25℃)で、24時間放置して、本発明の情報表示画面用の保護部材を得た。その後、前記保護部材のセパレーターを剥離して、吸着層を厚み3mmのソーダ石灰ガラス板に貼り合わせ、気泡の混入を目視確認した。
評価基準
◎:気泡の混入が全くない
○:気泡の混入が殆どなし
×:気泡が混入し、残っている
10 両面粘着フィルム
2 アンカー層
20 透明保護カバー
3 吸着層
30 情報表示画面用の保護部材
4 セパレータ
5 粘着剤層
6 カバーフィルム
7 透明保護カバー(ガラス板)
8 光反射防止層
Claims (5)
- ディスプレイパネルの情報表示画面に透明保護カバーを貼着するための両面粘着フィルムであって、基材フィルムの一方の面に、シリコーン樹脂を主成分とする吸着層を積層し、もう一方の面にアクリル系共重合体と架橋剤を必須成分とするアクリル系粘着剤からなる粘着剤層を積層してなり、前記粘着剤層表面のマルテンス硬度が8〜15mN/mm2であり、かつ前記粘着剤層のゲル分率が20%未満であることを特徴とする両面粘着フィルム。
- 前記架橋剤が金属キレート化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の両面粘着フィルム。
- 前記吸着層の厚みが10〜50μmであり、かつ前記粘着剤層の厚みが5〜30μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の両面粘着フィルム。
- 前記吸着層が、1分子中に2個以上のアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンからなるシリコーン組成物を、付加反応により硬化してなるものであり、前記ジオルガノポリシロキサンが、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン、両末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン、末端にのみビニル基を有する分岐状ジオルガノポリシロキサン、末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ジオルガノポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の両面粘着フィルム。
- 透明保護カバーと、請求項1〜4のいずれかに記載の両面粘着フィルムの粘着剤層を貼り合わせてなり、前記吸着層を介してディスプレイパネルの情報表示画面に貼着される情報表示画面用の保護部材において、前記透明保護カバーが、厚さ100〜1,000μm、全光線透過率85%以上であるガラス板であることを特徴とする情報表示画面用の保護部材。
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