JP2004006511A - プラズマ処理装置 - Google Patents

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渡邉 祐樹
Takahiro Harada
原田 隆宏
Masuhiro Kokoma
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Abstract

【課題】放電空間内に均一かつ高安定なプラズマを発生させ、処理基材の均一な処理を行え、かつ簡素で安価な装置を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも反応容器内に電極と対向電極を備え、反応容器内に反応ガス及び/又は希釈ガスを供給するためのガス供給手段、反応ガス及び/又は希釈ガスを排出するためのガス排出手段を有し、該電極に電源から電圧を印加することにより電極と対向電極間にプラズマを発生させ、電極と対向電極間に位置する処理基材をプラズマ処理するプラズマ処理装置において、前記電極と対向電極間のプラズマ反応領域にガスの対流を作るガス対流手段を具備したことを特徴とするプラズマ処理装置を提供するものである。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマにより処理基材を処理するためのプラズマ処理装置に関するものである。さらに詳しくは、100〜1000Torrの大気圧近傍の圧力下でのグロー放電プラズマにより高安定性かつ均一性を有した処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高分子フィルム、シリコンウエハ等の基材表面に、機能性の薄膜を積層する方法として、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、減圧プラズマCVD等の方法が用いられてきた。しかしながら、これらの方法はいずれも真空中でのプロセスである。そのため、真空度に見合った減圧のための設備が必要であり、それにともない排気に要する時間もかかるため、設備コストやランニングコストが高いという問題点があった。一方、電極間に固体誘電体を被覆することで大気圧近傍の圧力下でも均一なグロー放電プラズマが発生することが発見され、従来、真空中のプロセスであった薄膜形成、表面処理の分野で盛んに研究が進められている。真空中のプロセスに比べて、大気圧プラズマCVDは真空中でのプロセスを必要としないため、設備コストやランニングコストが極めて安価である。
【0003】
上記したとおり、大気圧プラズマは、真空中のプロセスに比べ大きな利点を有している。しかしながら、大気圧の近傍の圧力下においては、ガスの対流がないため、減圧時に比べ、ガスが拡散しにくく、ガスの流れが滞る部分が存在しやすい。すなわち、放電空間内に反応に必要なガスを導入する場合、ガスは均一に拡散せず、ガスの偏りが生じるため、処理が不均一になりやすい。
【0004】
【発明が解決しようとする問題】
本発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、放電空間内に均一かつ高安定なプラズマを発生させ、処理基材の均一な処理を行え、かつ簡素で安価な装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、少なくとも反応容器内に電極と対向電極を備え、反応容器内に反応ガス及び/又は希釈ガスを供給するためのガス供給手段、反応ガス及び/又は希釈ガスを排出するためのガス排出手段を有し、該電極に電源から電圧を印加することにより電極と対向電極間にプラズマを発生させ、電極と対向電極間に位置する処理基材をプラズマ処理するプラズマ処理装置において、前記電極と対向電極間のプラズマ反応領域にガスの対流を作るガス対流手段を具備したことを特徴とするプラズマ処理装置である。
【0006】
請求項2の発明は、前記ガス対流手段が、前記ガス排出手段及び/又は前記ガス供給手段に、ファンを備えることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置である。
【0007】
請求項3の発明は、前記ガス排出手段またはガス供給手段に備えてなるファンに、加熱手段を具備することを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置である。
【0008】
請求項4の発明は、前記ガス排出手段またはガス供給手段に備えてなるファンに、回転数を制御する手段を具備することを特徴とする請求項2又は3に記載のプラズマ処理装置である。
【0009】
請求項5の発明は、前記ガス排出手段から反応ガス及び/又は希釈ガスを回収し、この回収したガスを前記ガス供給手段から再び循環供給する手段を具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマ処理装置である。
【0010】
請求項6の発明は、前記ガス排出手段より回収したガスをトラップする手段を具備することを特徴とする請求項4に記載のプラズマ処理装置である。
【0011】
請求項7の発明は、前記未反応のガスをトラップする手段が、反応ガスの蒸気圧を利用した冷却トラップであることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理装置である。
【0012】
請求項8の発明は、前記ガス供給手段に、前記ガス排出手段より回収したガスに含まれる粉塵、異物を回収するためのフィルターを備えることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のプラズマ処理装置である。
【0013】
請求項9の発明は、ガスを前記ガス供給手段から再び循環供給する手段に、1個以上のマスフローコントローラーを設けることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載のプラズマ処理装置である。
【0014】
請求項10の発明は、100〜1000Torrの大気圧近傍の圧力下で、プラズマを生成させることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のプラズマ処理装置である。
【0015】
請求項11の発明は、前記反応ガス及び/又は希釈ガスが、ヘリウム、アルゴン、窒素の単体または2種類以上の混合物を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のプラズマ処理装置である。
【0016】
請求項12の発明は、前記プラズマ処理がプラズマCVD成膜処理であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のプラズマ処理装置である。
【0017】
【実施の形態】
次に本発明の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は平行平板型のプラズマ処理装置で図3は巻き取り式のプラズマ処理装置の装置例である。
【0018】
図1において反応容器1内に電極2と対向電極3が配置されており、電極2には電源ユニット5が接続されている。対向電極3には隣接して処理基材4が配置されている。反応容器の上部に反応ガスを供給するためのガス供給手段7を備え、電極2を通してプラズマ反応領域16に反応ガスを供給する。反応容器の下部に反応ガスを排出するためのガス排出手段8を備え、プラズマ反応領域16から反応ガスを排出する。前記ガス供給手段7よりプラズマ反応領域16に反応ガスを供給し、電源ユニット5より電極2に電圧を印加してプラズマ反応領域にプラズマを発生させ、処理基材4をプラズマ処理するものである。
【0019】
反応容器内の圧力がそれほど低くない状態でプラズマ処理を行うとき、特に100〜1000Torrの大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理を行うとき、ガスが非常に拡散しにくく、ガスの流れが滞ったり、反応領域16内でガスが偏りやすくなるため、処理が不均一になりやすい。反応領域内にガスの流れを作るために、反応容器内に導入するガス流量を増やす方法も考えられるが、ガス流量を増やし、ガスの流速を上げすぎるとプラズマCVDに応用したとき、膜表面にクラックが発生し易くなり、また、成膜効率も低下する。更に未反応のままで反応領域を通過する原料ガスも増え、ガス流量を稼ぐために希釈ガスも大量に必要とするため、コストがかかる。また、真空ポンプを使ってガス流速を制御する方法も考えられるが、排気量の微妙な制御が困難なため、装置が大がかりになり、ランニングコストもかかる。
【0020】
そこで、本発明では、真空ポンプでガス流速を制御する代わりに、ガス供給手段7及び/又はガス排出手段8に、ファン13を取り付けることにより、ガス供給手段7からガス排出手段8に向かう方向にガスの流れを発生させることができる。すなわち、反応容器内に均一なガスの流れを作ることができ、反応領域10に安定したプラズマを発生させることができる。また、ファンの数に制限はなく、ガス供給手段とガス排出手段の両方に備える場合は、対向するように備えることが好ましい。
【0021】
また、ファン13の回転数を制御することで、反応容器内のガス流速を簡単に制御できる。ファンを用いることで、大気圧近傍の圧力下において、制御が安易であり、真空ポンプに比べて装置も簡素にすることを可能とする。
【0022】
上記のファン13は反応ガスの特性に応じて、加熱してあることが望ましい。特にプラズマCVD成膜として用い、反応ガスとして常温近傍で液体であり膜の原料を含む原料ガスを用いる場合に有効である。ファン上の温度が低いと、反応領域からガスを回収する際に、未反応のまま回収された原料ガスがファン上に凝集してしまう。また、回収し、ガスを再供給する際には、ファンを通過し原料ガスと合流するときに、この再利用ガスの温度が低いと、原料ガスがガス供給管等に凝集してしまう。ファンに加熱機構を取り付けることで、原料ガスの凝集を防ぐことができる。
【0023】
また、ガス排出手段8から回収した反応ガス及び/又は希釈ガスを、再びガス供給手段7から反応領域に供給する循環機構を設けることで、大量に必要とする雰囲気ガスを再利用することができる。この際、回収したガスの再供給口にもガス供給手段7から反応領域16側に向かう方向にガスが流れるようにファンを取り付けることが好ましい。2つのファンの回転数を制御することにより、反応容器内のガス流速および圧力の制御を容易にし、より均等なガスの流れを作ることができる。
【0024】
ガス排出手段8より回収されたガスのうち、未反応で反応領域内を通過した反応ガスに関しては、ガスがファンを通過したあとにトラップ機構を設けて回収することが望ましい。 特にプラズマCVD成膜として用い、反応ガスとして常温近傍で液体であり膜の原料を含む原料ガスを用いる場合に有効である。このトラップ機構は、原料ガスの蒸気圧を利用することにより液体として回収を行える冷却トラップが特に好ましい。この冷却トラップを通過したガスは、マスフローコントローラーで流量を制御して、再び反応容器内に送り込まれる。この際、原料ガスが凝集しないように、ガスを必要な温度に加熱しながら反応領域に送り込むことが望ましい。
【0025】
ガス排出手段8付近には、反応領域16内で発生した粉塵、異物等を回収するためのフィルター15を設けることで、反応領域で生成された粉塵、異物等のガス循環ラインへの進入を防ぐことができる。
【0026】
本発明は、平行平板型のプラズマ処理装置にも巻き取り式のプラズマ処理装置にも用いることができる。巻き取り式プラズマ処理装置に応用する場合、例えば図3のようにファンを配置しガスの流れを作ることができる。また、図1では上部電極から下部電極に向かってガスが流れるようにしてあるが、これに限定されるものではなく上部電極から下部電極へ向かう方向に対して直行する方向に流れるようにしても良い。図3においても同様で、効率よく処理ができれば、どのようなガスの流れにしても構わない。また図1、3は原料ガス容器8を備え、プラズマCVD成膜用に書かれているが、基材の表面処理に用いる場合も基本的な構造は同じであり、応用できるものである。
【0027】
なお、図3の巻き取り式のプラズマ処理装置ではプラズマ処理の前後に別のプラズマ処理ユニット106を配置し、基材の親水処理、汚れ除去などの前処理、帯電除去、表面酸化処理などの後処理などをインラインで行っても良い。また、ロール電極102は、円柱状または円筒状の電極であって、曲面電極103は、ロール状電極表面と一定の間隔を隔てて同軸回転面を表面とすることができる。また曲面電極103の代わりに平板電極を用いても良い。
【0028】
本発明のプラズマ処理における雰囲気圧力は、100〜1000Torrの大気圧近傍の圧力であり、圧力調整が容易な760±100Torrの範囲の圧力が特に好ましい。大気圧近傍下にすることにより、生産性が向上し、また本発明の対流機構を具備することによりさらに効果的になるというものである。
【0029】
反応ガス及び/又は希釈ガスとしては、特に制限するものではなく、基材の表面処理、プラズマCVD成膜などのプラズマ処理の目的に応じて使い分けをすることができる。例えば、不活性なガスとして、ヘリウム、アルゴン、窒素を単体、またはこれら2種類以上の混合物等が挙げられる。また、反応性ガスとしては、酸素、水素、炭化水素、アンモニア、二酸化炭素等が挙げられる。これらは所定の薄膜組成やその物性に応じて選択される。また混合ガス成分に関しては、希ガス濃度が混合ガス成分の90%以上であることが望ましい。
【0030】
また、プラズマCVD成膜として用いる場合は、反応ガスとして膜の原料を含む原料ガスを用いることができる。原料ガスの原料として使用する材料は、常温常圧において液体である有機金属化合物が望ましい。有機珪素化合物では、具体的な例としては、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、メチルトリエトキシシラン、1,1,3,3,テトラメチルジシロキサン、テトラメトキシシラン、メトキシトリメチルシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルトリシロキサン、テトラクロロシラン、トリクロロメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルクロロシランなどを挙げることができるが、特に、テトラエトキシシラン(TEOS:C20Si:沸点169℃)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO:C18OSi:沸点100℃)が好ましい化合物である。
またこれらの原料ガスは2種類以上用いても良く、また前述した反応ガスと組み合わせることができる。
【0031】
上記プラズマ処理に用いる基材としては、高分子フィルム、シリコン基板等の金属基板、ガラス基板、セラミック等が挙げられる。高分子フィルムの具体的な例としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナイロン−6、ナイロン−66、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらの高分子フィルムには添加剤、例えば可塑剤、帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤等が含まれていてもよい。
【0032】
次に、本発明を金属酸化物薄膜のプラズマCVD成膜に応用した例を説明する。図1において、装置内を排気できるように、ロータリーポンプを、バルブを介して設置した。反応容器1内の残留ガスの影響を少なくするため、真空装置内を排気した後、装置内を所定の圧力になるまで、雰囲気ガスで置換する。その後、ファンの回転数により、反応容器内のガス流量または流速を制御して、反応領域16内にガスの流れを作る。ガスの流れが安定した後、反応性のガスおよび原料ガスを供給して、100〜1000Torr、好ましくは760±100Torrの大気圧近傍の圧力下で大気圧プラズマCVD法により成膜を行い、所望の薄膜を基材に形成させる。
【0033】
基板表面に付着した汚れ、主に表面有機物の除去、および表面活性化のための前処理として、オゾン処理、紫外線処理、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理等を行うことが望ましい。本装置では、例えば、雰囲気ガスとOを混合した雰囲気下で、反応領域内に流すガス種を変えるだけで大気圧プラズマ表面処理をも行える。また、必要に応じて、薄膜を形成させた後に、後処理として、雰囲気ガスとOを混合した雰囲気下で、酸化後処理をしても良い。
【0034】
本発明によって、従来の蒸着、スパッタリング、プラズマCVD等のように真空系を必要とすることがなく、高効率で均一な薄膜製造が可能である。装置が大掛かりにならないため、これらの過程をインラインで行うことを容易とする。また、本発明によって、SiO、TiO、ZrO、Al等の金属酸化膜や、その他各種の薄膜の作成が可能となる。
また、基材の表面処理に応用すれば高効率で均一に基材の表面処理が可能である。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により、本発明の装置を更に具体的に説明する。
<実施例1、2、3>
図1は本発明方法を実施するための大気圧プラズマ処理装置の概要を示す説明図である。厚さ30μmの二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを基材として図1に示す形式の試験装置を使用し、表1の条件でコーティングフィルムを作製し、性能評価を行った。
【0036】
図1の装置において、試験はパイレックス(登録商標)ガラス製反応容器1内の下部電極3上にPET基材4を設置し、温度調節器により50℃に温度を調整した下部電極3と上部電極2、両電極間の距離を1〜10mmに適宜調整した後、反応容器1内を排気用の真空ポンプ6を用いて0.05〜0.1Torr程度まで排気した。次いで反応容器1内に、He、Ar、Nをガス容器10のそれぞれボンベから、原料ガスを所定の量だけ原料容器9に接続されているガス導入管から、反応容器1内が大気圧になるまで導入した。大気圧になったところで一端ガスの供給を止め、ファン13を回し、排気口を通るガスの流量または流速を制御する。流速を制御した後、ガス容器10のOボンベより所定の量だけOを導入する。
【0037】
上部電極2および下部電極3は導電体(アルミニウム)表面にアルマイト処理を施してあり、表面の電気的絶縁性は保たれている。また、下部電極3内は温度調整器が入っており、温度調整(0〜150℃)が可能である。また、原料ガスは導入管から上部電極内を通り、電極表面から両電極間に供給される。
【0038】
雰囲気ガス(He、Ar、Nの混合ガス)とOでチャンバ内を大気圧にした後、上部放電電極2に高周波電源ユニット5により100kHz、100Wの電力で供給し、先ず、雰囲気ガスとOの雰囲気下でグロープラズマを発生させ、PETフィルム上の汚れ物質の除去や表面の活性化を行うための前処理を行った。次いで原料として有機珪素化合物であるテトラエトキシシラン(TEOS)を用いて、所定量のHe及びOガスとともに760Torrの圧力下に流し、所定の電力でグロープラズマを発生させて酸化珪素系化合物のコーティングを行った。液体であるTEOSの供給はTEOSを入れた原料ガス9にHeガスを導入してバブリングさせ、このHeガスをキャリアガスとしてTEOSを搬送させるようにした。
【0039】
<比較例1、2、3>
ファンおよびガス循環機構を具備しない図2のような装置を用いて、実施例と同じ条件で成膜を行った。図2の装置は、ファンおよびガス循環機構を具備しない以外は、図1と類似した構造になっている。排気口は、成膜中には解放されており、反応容器内は自然に大気圧付近の圧力に保たれる。
【0040】
作成したフィルムの膜厚を、分光反射率測定器(OLYMPUS社製、USPM−RU)を用いて、反射率より測定した。測定方法は、各サンプル碁盤目状に5mm間隔に測定を行い、膜の平均厚さおよびばらつきを算出し、膜厚の均一性を調べた。
【0041】
<評価>
作成したフィルムの試料について、酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN10/50)を使用して、酸素透過量を測定し酸素ガスバリア性を、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W6)を使用して、水蒸気透過量を測定し水蒸気バリア性を評価した。
また、透明性については全光線透過率を測定し、透過率が70%以上のものを透明性◎、50%以上70%未満のものを○、50%未満のものを×として評価した。テープ剥離試験は、碁盤目状に100ブロックに分け、剥離していないブロック数を数え、90以上を◎、90以下75以上を○、75以下を×とした。
【0042】
【表1】
Figure 2004006511
【0043】
【表2】
Figure 2004006511
【0044】
作成した試料の作成条件および膜厚分布を表1に、性能評価試験結果を表2に示す。試料No.1〜3はそれぞれ実施例1〜3で作成した試料、試料No.4〜6はそれぞれ比較例1〜3で作成した試料である。また、表3の試料No.0は比較のため、未処理のPETフィルム基材のガスバリア性を示したものである。
【0045】
膜質は、どの試料も膜質にほぼ変化は見られず、どの試料においても均一に酸化珪素にモノマーの残存と思われる炭素が含まれるものが生成された。
【0046】
次に膜厚の比較を行うと、それぞれの試料で平均膜厚に大きな変化はないが、膜厚のばらつきはガスの総流量を変えると変化が見られた。試料No.1〜3および4〜6においてもガス流量を増やした方が、膜厚のばらつきは少なくなる。
【0047】
また、本発明で提案する装置において作成した試料1〜3は、比較のために図2に図示したような装置で作成した試料4〜6に比べ、膜厚にばらつきが少ない。図2に示した装置では、ガス流量の調整は圧力およびガス流量を意図的に調整しているわけではなく、外気との自然な圧力調整に頼っている。一方、本発明で提案する図1に示した装置では、ファンを取り付けることによって、圧力およびガス流量の調整が容易に行える。すなわち、図2で示した装置においては、ガスは均等に拡散しておらず、流れに滞りが生じやすくなり、膜厚にばらつきを生じやすいと考える。本発明による装置によれば、比較的簡単に、ガスをきれいに拡散させることができ、放電区域でのガスの滞りを低減させることが可能である。
【0048】
ガス総流量が2000ml/minの場合、試料No.1と4を比較すると、1に比べ4は酸素および水蒸気のバリア性能に劣る。また4の場合、バリア性能に関してはテープ剥離試験の結果に現れているとおり、基材と膜の密着性に欠けるためだと思われる。また、2000ml/minではガスの拡散が悪いため、ガスの滞りができやすいためか、所々にやや白みがかった透明性に欠ける膜ができた。1の試料においては、これらの性能の低減を抑えていることが分かる。
【0049】
ガス総流量が4000ml/minの場合、試料No.2および5の双方の試料においても比較的良好な膜が得られ、図1および図2に示した両方の装置共に、今回の条件の中ではこの4000ml/minが最適なガス流量であることが分かる。しかし、試料5は試料2に比べ、バリア性能およびテープ剥離試験において性能がやや劣る。このことからも、最適な流量を流していても、ガスが反応領域内を均一に拡散するように、ガスの流れを調整する必要性があることを示唆している。
【0050】
ガス総流量が6000ml/minの場合、試料No.3および6においても、ガス総流量400ml/minに比べ、バリア性能およびテープ剥離試験において性能が劣ることが分かる。ガス流速を増やすと、膜厚のばらつきは抑えられるものの、逆に、膜は粗になりやすく、更に基材と膜の密着性が悪くなる傾向にあることが分かる。
【0051】
ガス流量を増やすと膜厚のばらつきは低減されるものの、今回使用した反応容器に関しては、反応領域のガス総流量4000ml/minが最適な条件であることが分かる。もちろんこの最適流量は反応容器の容量、ガスの流し方、電極間距離、電界強度等の様々な条件によっても変化する。また、ガスを均一に拡散させるためには、ガスの流速を制御する必要があることが分かり、本発明で提案する装置の有効性が示された。
【0052】
大気圧下でのプラズマでは、反応性のガスに比べ、パージするガス(雰囲気ガス)の方が圧倒的に使用量が多く、連続的に使用する程、ガスは消費される。図1の装置においては、反応領域を通った不要な雰囲気ガスを回収し、再供給するため、図2の装置に比べて、ガス使用量は少なく済み、低コストかつ環境に優しい。
【0053】
【発明の効果】
以上、記述したように、本発明で提案する装置によれば、排気口にファンを設け、ガスの循環ラインを具備することで、大気圧近傍下においても、比較的簡単にガスの対流ができ、均等にガスが拡散されるため、ガスの滞る部分ができにくく、均一で高安定なプラズマ処理が行える。また、プラズマCVD成膜に応用した場合、作成される膜は、均一な膜厚分布を示すだけではなく、ガスバリア性能、膜の密着性に優れた膜を提供する。更に、安定したグロープラズマの発生には欠かせない不活性ガスを回収、再供給することから、ガスを無駄遣いせず、低コスト化を図ることができる。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマ処理装置(平行平板型)の一例を示す装置図である。
【図2】比較例で用いた、ファン機構を具備しない装置(平行平板型)の一例を示す装置図である。
【図3】本発明のプラズマ処理装置(平行平板型)の一例を示す装置図である。
【符号の説明】
1   反応容器
2   上部電極
3   下部電極
4   基材
5   電源ユニット
6   真空ポンプ
7   ガス供給手段
8   ガス排出手段
9   原料ガス容器
10  反応ガス及び/又は希釈ガス容器
12  マスフローコントローラー
13  ファン
14  原料トラップ手段
15  フィルタ
16  反応領域
101 チャンバー
102 ロール電極
103 曲面電極
104 巻き出しロール
105 巻き取りロール
106 プラズマ処理ユニット

Claims (12)

  1. 少なくとも反応容器内に電極と対向電極を備え、反応容器内に反応ガス及び/又は希釈ガスを供給するためのガス供給手段、反応ガス及び/又は希釈ガスを排出するためのガス排出手段を有し、該電極に電源から電圧を印加することにより電極と対向電極間にプラズマを発生させ、電極と対向電極間に位置する処理基材をプラズマ処理するプラズマ処理装置において、前記電極と対向電極間のプラズマ反応領域にガスの対流を作るガス対流手段を具備したことを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記ガス対流手段が、前記ガス排出手段及び/又は前記ガス供給手段に、ファンを備えることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記ガス排出手段またはガス供給手段に備えてなるファンに、加熱手段を具備することを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記ガス排出手段またはガス供給手段に備えてなるファンに、回転数を制御する手段を具備することを特徴とする請求項2又は3に記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記ガス排出手段から反応ガス及び/又は希釈ガスを回収し、この回収したガスを前記ガス供給手段から再び循環供給する手段を具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記ガス排出手段より回収したガスをトラップする手段を具備することを特徴とする請求項4に記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記未反応のガスをトラップする手段が、反応ガスの蒸気圧を利用した冷却トラップであることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理装置。
  8. 前記ガス供給手段に、前記ガス排出手段より回収したガスに含まれる粉塵、異物を回収するためのフィルターを備えることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  9. ガスを前記ガス供給手段から再び循環供給する手段に、1個以上のマスフローコントローラーを設けることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  10. 100〜1000Torrの大気圧近傍の圧力下で、プラズマを生成させることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  11. 前記反応ガス及び/又は希釈ガスが、ヘリウム、アルゴン、窒素の単体または2種類以上の混合物を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  12. 前記プラズマ処理がプラズマCVD成膜処理であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
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