JP2004004382A - 電気泳動表示装置用表示液 - Google Patents

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和久 寿男
Hiroaki Koizumi
小泉 博明
Masakatsu Takahashi
高橋 政勝
Toshifumi Kamimura
上村 敏文
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Abstract

【課題】本発明は、凝集が起こりにくく、かつ電気泳動速度が早い微粒子を利用した電気泳動表示装置用表示液を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも1種類の帯電微粒子と電気絶縁性溶媒とを含んでなる電気泳動表示装置用表示液であって、前記帯電微粒子が、樹脂と着色剤と帯電剤とを含んでなり、かつ、前記帯電剤が、カリックスアレーン化合物である電気泳動表示装置用表示液。
帯電微粒子の粒子の最短径と最長径との比が、1:1.1〜1:50の非球形微粒子であり、かつ帯電微粒子の平均粒子径が0.01〜50μmである上記電気泳動表示装置用表示液。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気泳動表示装置用表示液に関する。
【0002】
【従来の技術】
電界の作用により可逆的に視認状態を変化させうる表示媒体に用いられる表示素子としては、液晶素子、エレクトロクロミック素子、電気泳動素子、磁気泳動素子等が知られている。それらを用いた表示媒体の多くは、一対の電極基板とその間に挿入された表示素子からなり、該表示媒体には各電極に画像を表示するための信号を印加する駆動回路が接続されている。
【0003】
これらの表示媒体のうち、電気泳動表示素子には、分散媒に対して染料を溶解させかつ顔料粒子を非溶解状で分散させた電気泳動表示装置用表示液、または2種の顔料粒子を分散させた電気泳動表示装置用表示液が用いられる。このような分散粒子と該分散粒子と異なる色調に着色された分散媒とからなる電気泳動用表示液をマイクロカプセル中に封入し、これらのマイクロカプセルを電極間に配装する構成の電気泳動表示装置が提案され(特開公平1−86116号公報)、電気泳動表示装置の構成方法としても簡便な手段が提案されるようになってきた。
【0004】
このような電気泳動表示装置用表示液は、染料を溶解して着色された分散媒中に一般に二酸化チタンなどの高屈折率の無機顔料を分散させている。
【0005】
また、上記表示液のコントラストを改善するために、染料溶液を用いないシステムが提案されている。たとえば、高絶縁性低粘度の無色分散媒中に色調および電気泳動性が互いに異なる少なくとも2種類の電気泳動性粒子を分散した液を少なくとも一方が透明な2枚の対向電極間にスペーサーを介して形成されるセル内に封入した電気泳動表示素子が提案されている(特開昭62−269124号公報)。
【0006】
また、高絶縁性低粘度の無色分散媒中に電気泳動性が同一で色調および電気泳動速度が互いに異なる少なくとも2種類の電気泳動性粒子を分散した液を少なくとも一方が透明な2枚の対向電極間にスペーサーを介して形成されるセル内に封入した電気泳動表示素子が提案されている(特開昭63−50886号公報)。
【0007】
また、前述の特開昭62−269124にて提案されている電気泳動表示液と同一の分散媒をマイクロカプセル内に内包した例がWO98・03896号に例示されているが、この場合も同様である。
【0008】
一方、このような色調および電気泳動性(帯電電荷)が互いに異なる2種類の電気泳動性粒子を分散した液の粒子間の凝集を改善する手段として、立体障害剤や電荷調整剤による立体的あるいは電気的反発効果を用いることが提案されている(特表平8−510790号公報)。
【0009】
また、樹脂と白色顔料からなる大きめの隠蔽用白色粒子と表示用磁性着色粒子と溶媒からなる画像表示用インク組成物が提案されている(特開平10−149117号公報)。
【0010】
特開平11−119704号公報では、少なくとも1種類の帯電粒子と、界面活性剤とを含んだ分散媒体によって構成されており、前記帯電粒子の少なくとも1種類には、少なくとも第4級アンモニウム化合物が含有されていると記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術に記載された方法は、電気的な安定性が充分でなかったり、電気泳動速度が不足しているという問題があった。
【0012】
本発明は、凝集が起こりにくく、かつ電気泳動速度が早い微粒子を利用した電気泳動表示装置用表示液を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも1種類の帯電微粒子と電気絶縁性溶媒とを含んでなる電気泳動表示装置用表示液であって、
前記帯電微粒子が、樹脂と着色剤と帯電剤とを含んでなり、かつ、前記帯電剤が、カリックスアレーン化合物である電気泳動表示装置用表示液に関する。
【0014】
また、本発明は、帯電微粒子の粒子の最短径と最長径との比が、1:1.1〜1:50の非球形微粒子であり、かつ帯電微粒子の平均粒子径が0.01〜50μmである上記電気泳動表示装置用表示液に関する。
【0015】
また、本発明は、電気泳動表示装置用表示液が、さらに、カリックスアレーン化合物を含まない微粒子を含む上記電気泳動表示装置用表示液に関する。
【0016】
また、本発明は、少なくとも1種類の帯電微粒子が、さらに、アイオノマーを含む上記電気泳動表示装置用表示液に関する。
【0017】
また、本発明は、上記電気泳動表示装置用表示液を含んでなるマイクロカプセルに関する。
【0018】
また、本発明は、上記電気泳動表示装置用表示液を含んでなる電気泳動表示装置に関する。
【0019】
また、本発明は、少なくとも1種類の帯電微粒子と電気絶縁性溶媒とを含んでなる電気泳動表示装置用表示液の製造方法であって、
前記帯電微粒子が、カリックスアレーン化合物と、樹脂と着色剤との混合物を粉砕したものである電気泳動表示装置用表示液の製造方法に関する。
【0020】
また、本発明は、粉砕が冷凍粉砕する工程を含む上記電気泳動表示装置用表示液の製造方法に関する。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる帯電微粒子は、正または負に帯電しており、着色剤を含むことにより各種色に着色される。
【0022】
本発明に用いる帯電の電気泳動性微粒子は、少なくとも樹脂と着色剤と、カリックスアレーン化合物を含む帯電剤からなる。カリックスアレーンを帯電剤として用いると、通常、負帯電の電気泳動性微粒子となる。必要に応じて用いられるカリックスアレーンを含まない電気泳動性微粒子は、少なくとも樹脂と着色剤とからなる。カリックスアレーンを含まない電気泳動性微粒子は、通常、カリックスアレーンを含む微粒子とは異なる帯電のものが用いられる。それらは電気絶縁性溶媒中に分散されて、電気泳動表示装置用表示液となる。
【0023】
本発明で用いられる正帯電または負帯電微粒子の樹脂としては、スチレン系、スチレン−アクリル系、スチレン−イソプレン系、ジビニルベンゼン系、メチルメタクリレート系、メタクリレート系、エチルメタクリレート系、エチルアクリレート系、n−ブチルアクリレート系、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等のアクリル酸系、アクリロニトリル系、アクリルゴム−メタクリレート系、ポリエチレンーアクリル酸共重合体、ポリエチレン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体のNa塩,Zn塩,Ca塩、エチレンアクリル酸共重合体のNa塩,Zn塩,Ca塩,Mg塩、エチレンエチルアクリレ−ト共重合体、エチレンマレイン酸共重合体等のエチレン系、ナイロン系、シリコーン系、ウレタン系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、フェノール系、フッソ(テトラクロロエチレン)系、塩化ビニリデン系、4級ピリジニウム塩系、合成ゴム、セルロース、酢酸セルロース、キトサン、アルギン酸カルシウム、ポリ塩化ビニル樹脂、ニトロセルロース、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリイソシアネート樹脂、ポリアミド樹脂,エポキシ樹脂等があげられるが、これらのポリマー材料に限定されるものではない。
【0024】
本発明で用いられる白色の着色剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、シリカ、珪酸カルシウム、アルミナ、硫化亜鉛、鉛白、亜鉛華、リトポン、二酸化アンチモン、カオリン、雲母、硫酸バリウム、グロスホワイト、タルクなどが使用可能である。これらの着色剤の樹脂に対しての含有比率は、10〜90重量%の範囲が良い。
本発明で用いられる白色以外の着色剤としては、カドミウムイエロー、カドミウムリポトンイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、チタンバリウムイエロー、カドミウムオレンジ、カドミウムリポトンオレンジ、モリブデートオレンジ、ベンガラ、鉛丹、銀朱、カドミウムレッド、カドミウムリポトンレッド、アンバー、褐色酸化鉄、亜鉛鉄クロムブラウン、クロムグリーン、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、チタンコバルトグリーン、紺青、コバルトブルー、群青、セルリアンブルー、コバルトアルミニウムクロムブルー、コバルトバイオレット、ミネラルバイオレット、カーボンブラック、鉄黒、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅クロムブラック、銅クロムマンガンブラック、チタンブラック、アルミニウム粉、銅粉、鉛粉、鈴粉、亜鉛粉、ニグロシン、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アントラピリミジンイエロー、イソインドリンイエロー、銅アゾメチンイエロー、キノフタロインイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、ニッケルジオキシムイエロー、モノアゾイエローレーキ、ジニトロアニリンオレンジ、ピラゾロンオレンジ、ペリノンオレンジ、ナフトールレッド、トルイジンレッド、パーマネントカーミン、ブリリアントファストスカーレット、ピラゾロンレッド、ローダミン6Gレーキ、パーマネントレッド、リソールレッド、ボンレーキレッド、レーキレッド、ブリリアントカーミン、ボルドー10B、ナフトールレッド、キナクリドンマゼンタ、縮合アゾレッド、ナフトールカーミン、ペリレンスカーレッド、縮合アゾスカーレッド、ベンズイミダゾロンカーミン、アントラキノニルレッド、ペリレンレッド、ペリレンマルーン、キナクリドンマルーン、キナクリドンスカーレッド、キナクリドンレッド、ジケトピロロピロールレッド、ベンズイミダゾロンブラウン、フタロシアニングリーン、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、アルカリブルートーナー、インダントロンブルー、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットレーキ、ジオキサジンバイオレット、ナフトールバイオレット等が挙げられる。これらの顔料は単独で、或いは混合して使用出来る。これらの着色剤の樹脂に対しての含有比率は0.1〜60重量%が好ましい。
【0025】
本発明に用いられるカリックスアレーン化合物の代表例を式1または式2に例示する。
【0026】
式1
【0027】
【化1】
Figure 2004004382
【0028】
Figure 2004004382
(式中、Rは、アルキル基、アルカリ金属、または水素原子を表す。Rは、アルキ ル基、アルケニル基、アリサイクリック基、アラルキル基、フェニル基、ハロゲン、ま たはニトロ基を表す。nは、4〜8の整数を表す)
式2
【0029】
【化2】
Figure 2004004382
【0030】
(式中、RおよびRは、アルキル基、アルカリ金属、または水素原子を表す。R およびRは、アルキル基、アルケニル基、アリサイクリック基、アラルキル基、フ ェニル基、ハロゲン、またはニトロ基を表す。n+mは、3〜8の整数を表す。)
【0031】
例えば、式中のアルキル基としては、炭素数1から12の直鎖または分岐鎖のアルキル基、
アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs、
アルケニル基としては、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、
アリサイクリック基としては、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、
アラルキル基としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α−ブチルベンジル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素が挙げられる。
【0032】
カリックスアレーンを構成する単位は、式1のように1種であってもよいし、式2のように2種であってもよいし、3種以上であってもよい。また、2種以上の単位を用いた場合、同一種同士は、必ずしもひとまとまりでなくてランダムに並んでいても良い。また、カリックスアレーンの主鎖であるフェニレンメチレン基の水素原子が、置換基で置換されても良い。また、2種以上のカリックスアレーンの混合物であってもよい。
【0033】
これらのカリックスアレーン化合物は無色であるので、特に白粒子に好適であり、他の着色粒子にも問題なく使用可能である。
【0034】
また、同一微粒子中で、カリックスアレーンとカリックスアレーン以外の帯電剤とを併用しても良い。
【0035】
着色剤を樹脂中に分散させるために公知の顔料誘導体、アイオノマー、低分子量アイオノマー、各種ワックスなどの良好な分散効果を示す添加剤を使用しても良い。特に、低分子量アイオノマーは顔料分散効果は高い。
【0036】
正帯電微粒子に帯電剤を用いる場合の好ましい例としては、オニウム化合物が挙げられる。オニウム化合物としては第1級〜4級まで自由に選択可能で、アンモニウム化合物、スルホニウム化合物、ホスホニウム化合物より選ばれる。窒素、硫黄あるいはリン原子に結合している置換基は、例えば、アルキル基またはアリール基である。通常は、塩として存在し、対となるものとしては、塩素に代表されるハロゲン系元素やヒドロキシ基、カルボン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものでない。中でも第1〜3級アミン塩や第4級アンモニウム塩が特に好ましい。また、アジン系のニグロシン誘導体の電荷付与性染料、アミノ系樹脂も使用可能である。
【0037】
本発明の帯電微粒子の最短径と最長径との比は、1:1.1〜1:50の比率であることが好ましい。非球形であるが故に、立体障害性が発現出来るのと表面積が大きいことにより、その表面に存在する帯電剤の効果が最大限に発揮出来るというメリットがある。より好ましい比率は、1:1.5〜1:20の範囲である。
【0038】
微粒子の平均粒子径は20μm以下が好ましく、さらに良好な電気泳動性と分散安定性を得るには0.1〜10μmの範囲がより好ましい。
【0039】
アイオノマーは、例えばエチレン−アクリル酸共重合体を金属で中和したものであり、アライドシグナル社からACLYNの商標名で市販されているものがある。Ca塩,Mg塩,Na塩,Zn塩タイプがそれぞれあり、いずれも顔料分散の効果がある。酸価は、樹脂との親和性を考慮すると100mgKOH/g以下の範囲が好ましく、より好ましくは60mgKOH/g以下であり、酸価を有しなくても良い。また重量平均分子量は、500〜10000の範囲の低分子量アイオノマーが好ましい。
【0040】
また表示液調整工程において粒子同士の凝集を防止する添加剤を使用してもかまわない。
【0041】
本発明に用いられる電気絶縁性溶媒は、誘電率3.0以下でかつ体積固有抵抗が10Ω・cm以上であるものが使用出来る。例えば、エクソン化学(株)製のアイソパーG,H,L,M、エクソールD3
0,D40,D80,D110,D130、シェル社製シェルゾールA,AB、日本石油(株)ナフテゾルL,M,Hお
よびトルエン、キシレンが使用出来る。 キシレンはその置換基がオルト位、メタ位、パラ位のいずれのものでもよく、またそのいずれの組合せの混合物でもよい。分散媒に対しての微粒子の重量比率は、1〜50重量%の範囲が良い。
【0042】
また、使用する電気絶縁性溶媒は、カリックスアレーンに対して難溶または不溶性であることが好ましい。難溶性または不溶性とは、常温で使用する絶縁性溶媒にカリックスアレーンを0.1重量%添加し、1時間の震蕩後沈殿物が認められる状態のものを指す。
【0043】
本発明における微粒子製造法の流れについての一例を説明する。まず、混練により樹脂中に顔料を充分分散させる。必要に応じて顔料分散剤を添加し混練する。次いで粉砕を行う。粉砕工程は1回だけでもよいし、2回以上であってもよい。また、いくつかの粉砕方式を採用しても良い。例えば、乾式粉砕により予備粉砕を行った後湿式粉砕を行うなどが挙げられる。この場合、最後の湿式粉砕工程において分散媒と帯電剤を添加し微粒子の機能化を行うことができる。機能化とは、帯電性能の付与と非球形形状の発現を意味する。特に粉砕方式は、非球状形状の発現には、好ましいといえる。
【0044】
本発明において於いて用いられる加熱混練は、樹脂と着色剤を、好適には、分散剤を配合し、ヘンシェルミキサー、クーラーミキサー、ナウターミキサー、ドラムミキサー、タンブラー等を用い混合した後に、バンバリーミキサー、コニーダー、二本ロールミル、三本ロールミル、一軸押出機、二軸押出機等により着色剤と樹脂を加熱混練し、それを粗粉砕することで得られる。
【0045】
本発明に於いて用いられる低温凍結粉砕について説明する。一般に粒状の熱可塑性樹脂を常温で粉砕するのは困難である。しかし樹脂及びターボミル等の粉砕機を液体窒素で−196℃に冷却し、樹脂の低温脆性を利用して粉砕することにより、500μm以下に微粉砕することができる。また低温凍結粉砕後、分級機で適度な粒径に分級し、粗大粒子を除去すれば、次工程の湿式粉砕における粉砕効率が向上する。
【0046】
以上の原材料を混合し、湿式粉砕機で粒径が3μm以下になるまで粉砕する。本発明に於いて用いられる湿式粉砕機としては、アトライター、サンドミル、ダイノミル、ボールミル、スーパーアペックスミル、スパイクミル、コボールミル、ダイヤモンドファインミル、DCPミル、OBミル等のメジア型湿式粉砕機、あるいはホモジナイザー、マイコロイダー、トリゴナル、スラッシャー、コロイドミル、キャビトロン、ゴラトール、ジーナス、クレアミックス等のメジアレス型湿式粉砕機が挙げられる。
【0047】
本発明の電気泳動表示装置用表示液をマイクロカプセル内に内包させた電気泳動表示装置用表示粒子に用いられるマイクロカプセルは、in−situ法、界面重合法、コアセルベーション法等により調製することが可能であり、その際マイクロカプセルの壁材としてはポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素−ポリウレタン、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホンアミド、ポリカーボネート、ポリスルフィネート、エポキシリ、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、ゼラチン等が挙げられる。更に、本発明の電気泳動表示装置用表示粒子に用いられるマイクロカプセルの大きさは、0.5〜500μm程度であり、好ましくは1.0〜100μm程度の大きさが良い。
【0048】
このような表示液を用いた電気泳動表示装置の一例としては、次のような形態が挙げられる。
(1)一対のガラス基板の透明部材の一方に所望のパターンで形成された透明電極を有するものを、スペーサーを介して対向配置させて空間をつくり、その空間に本発明の表示液を充填する。
(2)全面電極を施した基板に、多数のスペーサーを介して絶縁フィルムを対向させ不連続の空間をつくり、その空間に本発明の表示液を充填する。
(3)一対のガラス基板等の透明部材の一方に所望のパターンで形成された透明電極を有するものを、スペーサーを介して対向配置させて空間をつくり、その空間に本発明の表示液を内包させたマイクロカプセルを充填する。なお、この例では空間の代りにバインダーが存在していてもよい。
(4)全面電極を施した基板に多数のスペーサーを介して絶縁フィルムを対向させ不連続の空間をつくり、その空間に本発明の表示液を内包させたマイクロカプセルを充填する。なお、この例では空間の代りにバインダーが存在していてもよい。
(5)全面電極を施した基板に、本発明の表示液を内包させたマイクロカプセルをバインダーとともに塗布する。
【0049】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。例中、部とあるのは重量部を、%とあるのは重量%をそれぞれ示す。
(実施例1)負帯電微粒子液の調製:着色剤である酸化チタン300部と樹脂であるエチレン−メタクリル酸共重合体N1525(三井・デュポンポリケミカル株式会社製)300部とを、二本ロールで加熱混練後1〜10mm角に粗粉砕し、着色チップを得た。次いで、液体窒素にて冷却しながらピンミルで粉砕(冷凍粉砕)し、150μmの目開きのメッシュで分級すると、表1に示す平均粒子径(SA−CP3L、島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定機)の粒度分布をもつ粉砕物が得られた。
DCPミル(ドライスヴェルケ社製)による粉砕:上記粉砕物 120部アイソパーL(エクソン化学社製) 520部 ボントロン E−89(カリックスアレーン:オリエント化学工業株式会社製) 10部を60分間粉砕し表1に示す平均粒子径(MS2000 シスメックス社製)の電気泳動表示粒子母液を得た。この液をアイソパーLで不揮発分4.0%に調整し、電気泳動表示液aを得た。この粒子は良好な負帯電性を示した。
【0050】
正帯電微粒子液の調製:着色剤であるカーボンブラック128部と樹脂であるエチレン−メタクリル酸共重合体N1110H(三井・デュポンポリケミカル株式会社製)460部と顔料分散剤として低分子アイオノマーACLYN246A(アライドシグナル社製)12部を、二本ロールで加熱混練後1〜10mm角に粗粉砕し、着色チップを得た。次いで、液体窒素にて冷却しながらピンミルで粉砕(冷凍粉砕)し、150μmの目開きのメッシュで分級すると、表1に示す平均粒子径(SA−CP3L、島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定機)の粒度分布をもつ粉砕物が得られた。
【0051】
DCPミルによる粉砕:上記粉砕物 120部アイソパー L  520部 ボントロンP−51(第4級アンモニウム塩:オリエント化学工業株式会社製) 10部を60分間粉砕し表1に示す平均粒子径(MS2000 シスメックス社製)の電気泳動表示粒子母液を得た。この液をアイソパーLで不揮発分4.0%に調整し、電気泳動表示液bを得た。この粒子は良好な正帯電性を示した。
【0052】
混合液の調製:上記の電気泳動表示液aと電気泳動表示液bとを同量混合し、電気泳動表示液cを得た。
<評価方法>評価装置は図1に示す。各評価方法および判定基準は以下の通りで、評価結果を表2に示した。
凝集防止性:+50Vおよび−50Vの電圧を1秒間間隔で交互に5分間印加しITOガラス側から確認出来る表示液aの色調と表示液bの色調が交互変化する状態を400倍の光学顕微鏡で観察し、均一表示状態が5分後も持続していれば○、粒子凝集により不均一な表示になれば×とした。
泳動性:+50Vおよび−50Vの電圧を0.025秒間間隔で交互に印加すると正極側には電気泳動表示液bの粒子が、負極側には電気泳動表示液aの粒子がそれぞれ移動・付着する様子を高速カメラ(HASTURTLE 菱光社)で400画面/秒で観察した。0.025秒で記録される10画面のうち6画面以上が表示色を保持していれば○、1〜5画面なら△、表示色が1画面も明確に観察されなければ×とした。
電気安定性:0.1mmの距離を介して対向する電極間にサンプル液を注入し電圧DC100Vを5秒間印加して、その時間内に流れる電流値をモニターしてグラフ化し、30秒後に再び同じ操作をして同様のグラフを得て、そのグラフを比較して、以下の評価値とした。
【0053】
○:グラフ面積がほぼ変わらない
△:30秒後のグラフ面積が70%以下となる
×:30秒後のグラフ面積が50%以下となる
(実施例2)負帯電用の帯電剤をボントロン F−21(カリックスアレーン:オリエント化学工業株式会社製)に変更する以外は実施例1と同様にサンプル作成・評価を行った。
(実施例3)負帯電微粒子液の調整においてカーボンブラック128部と樹脂であるN1525 460部と顔料分散剤としてACLYN246A12部を二本ロールで加熱混練、また、正帯電微粒子液の調整において酸化チタン300部とN1110H 300部とを二本ロールで加熱混練したこと以外は実施例1と同様にサンプル作成・評価を行った。
(実施例4)正帯電微粒子に帯電剤を添加しないこと以外は実施例1と同様にサンプル作成・評価を行った。
(実施例5)アイソハ゜ーL  100部に対して油溶性染料であるオイルブルー1部を添加するだけで電気泳動表示液bの代わりの表示補助液としたこと以外は、実施例1と同様にサンプル作成・評価を行った。
(実施例6)カーボンブラックに替えてFiness Red  F2B(東洋インキ製造株式会社製)を使用したこと以外は実施例1と同様にサンプル作成・評価を行った。
(比較例1)負帯電用の帯電剤をボントロン E−84(サリチル酸系金属錯体:オリエント化学工業株式会社製)に変更する以外は実施例1と同様にサンプル作成・評価を行った。
(比較例2)負帯電用の帯電剤をボントロン E−88(サリチル酸系金属錯体:オリエント化学工業株式会社製)に変更する以外は実施例1と同様にサンプル作成・評価を行った。
(比較例3)負帯電用の帯電剤を使用しないこと以外は実施例1と同様にサンプル作成・評価を行った。
【0054】
【表1】
Figure 2004004382
【0055】
【表2】
Figure 2004004382
【0056】
【発明の効果】
実施例と比較例とを比較して明らかなように、本発明のカリックスアレーン化合物を用いた電気泳動表示装置用表示液は、公知の帯電剤を用いた表示液に比べて格段の効果を有していた。
本発明により、表示液の変色がなく、凝集が起こりにくく、かつ電気泳動速度が早い微粒子を利用した電気泳動表示装置用表示液を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、表示液の凝集防止性、泳動性、電気安定性を測定する装置の概念図を示す。
【符号の説明】
1:透明ガラスITO基板
2:評価サンプル液
3:対向電極
4:電圧印加装置
5:光学顕微鏡または高速カメラ

Claims (8)

  1. 少なくとも1種類の帯電微粒子と電気絶縁性溶媒とを含んでなる電気泳動表示装置用表示液であって、
    前記帯電微粒子が、樹脂と着色剤と帯電剤とを含んでなり、かつ、前記帯電剤が、カリックスアレーン化合物である電気泳動表示装置用表示液。
  2. 帯電微粒子の粒子の最短径と最長径との比が、1:1.1〜1:50の非球形微粒子であり、かつ帯電微粒子の平均粒子径が0.01〜50μmである請求項1記載の電気泳動表示装置用表示液。
  3. 電気泳動表示装置用表示液が、さらに、カリックスアレーン化合物を含まない微粒子を含む請求項1または2記載の電気泳動表示装置用表示液。
  4. 少なくとも1種類の帯電微粒子が、アイオノマーを含む請求項1〜3いずれか記載の電気泳動表示装置用表示液。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の電気泳動表示装置用表示液を含んでなるマイクロカプセル。
  6. 請求項1〜4いずれか記載の電気泳動表示装置用表示液を含んでなる電気泳動表示装置。
  7. 少なくとも1種類の帯電微粒子と電気絶縁性溶媒とを含んでなる電気泳動表示装置用表示液の製造方法であって、
    前記帯電微粒子が、カリックスアレーン化合物と、樹脂と着色剤との混合物を粉砕したものである電気泳動表示装置用表示液の製造方法。
  8. 粉砕が冷凍粉砕する工程を含む請求項7記載の電気泳動表示装置用表示液の製造方法。
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