JP2004004175A - 反射防止樹脂シート、画像表示装置用基板、画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蛍光灯や太陽光等の照明光やキーボーダーなどの外部環境が画面上に映り込む、いわゆるゴースト現象を防止する防眩機能を有し、薄型かつ軽量で耐久性に優れた液晶セル基板や有機EL表示装置用基板等の画像表示装置用の基板等を形成しうる反射防止樹脂シート、およびそれを用いた液晶表示装置、有機EL表示装置等の画像表示装置を提供する。
【解決手段】基材層、ガスバリア層、外側表面に凹凸構造を有するハードコート層がこの順で積層され、かつ、前記ハードコート層上に当該ハードコート層形成樹脂よりも屈折率の低い材料よりなる低屈折率層が形成されている反射防止樹脂シート。
【選択図】 図3
【解決手段】基材層、ガスバリア層、外側表面に凹凸構造を有するハードコート層がこの順で積層され、かつ、前記ハードコート層上に当該ハードコート層形成樹脂よりも屈折率の低い材料よりなる低屈折率層が形成されている反射防止樹脂シート。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はゴーストを防止し、防眩性に優れた画像表示装置用基板等を形成しうる反射防止樹脂シート、およびそれを用いた液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置等の画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種画像表示装置の一つに液晶表示装置があるが、近年、視認性向上の要望がよりいっそう高まっている。表示デバイスとしての見やすさ、例えば、液晶表示装置の高精細化、高画質化を追求するためには、液晶表示装置ヘの外部光の映り込み、反射、ギラツキ等を極力抑える必要がある。とりわけ、例えばカーナビゲーション用モニター、ビデオカメラ用モニター、携帯電話、PHS、各種携帯情報端末等を屋外で使用する場合には、視認性の低下が屋内で使用する場合に比べて顕著である。
【0003】
このため、液晶表示装置等の画像表示装置においては、表面に凹凸構造を有する防眩シートを液晶セルの視認側に貼り付け、蛍光灯や太陽光等の照明光やキーボーダーなどの外部環境が画面上に映り込む、いわゆるゴースト現象を防止する方法が知られていた。しかし、液晶表示装置の薄型化、軽量化の点から防眩シートを液晶セルの視認側に貼り付ける代わりに、防眩機能を液晶セル基板に付与することが検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、蛍光灯や太陽光等の照明光やキーボーダーなどの外部環境が画面上に映り込む、いわゆるゴースト現象を防止する防眩機能を有し、薄型かつ軽量で耐久性に優れる液晶セル基板やエレクトロルミネッセンス表示装置(以下、有機EL表示装置)用基板等の画像表示装置用の基板等を形成しうる反射防止樹脂シート、およびそれを用いた液晶表示装置、有機EL表示装置等の画像表示装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、基材層上に、凹凸構造を有するハードコート層をその凹凸構造が外側表面となるように設け、さらにその凹凸構造の上に、当該ハードコート層を形成する樹脂よりも屈折率の低い材料よりなる低屈折率層を形成することにより、ゴースト現象を防止できるとともに、薄型かつ軽量の反射防止シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、基材層、ガスバリア層、外側表面に凹凸構造を有するハードコート層がこの順で積層され、かつ、前記ハードコート層上に当該ハードコート層形成樹脂よりも屈折率の低い材料よりなる低屈折率層が形成されてなることを特徴とする反射防止樹脂シートを提供するものである。画像表示装置においては、水分や酸素が液晶セル基板を透過してセル内に侵入すると、液晶の変質や気泡の形成による外観不良、透明導電膜パターンの断線などを発生させるおそれがあるが、基材層とハードコート層の間にガスバリア層を設けることで、水分やガス透過を防止することができる。
【0007】
前記の反射防止樹脂シートにおいては、基材層のガスバリア層とは反対側にハードコート層がもう1層積層されていることが好ましい。該ハードコート層は、樹脂シートの片側表面層を形成することより、基材層の表面コート層として機能しうるため、かかるハードコート層を設けることにより樹脂シートの耐薬品性、耐擦傷性等が向上する。この基材層のガスバリア層とは反対側に積層されたハードコート層は、透明粒子を含有することが好ましい。光学用途を目的とする場合には、透明性等の光学特性に優れるものであることが望ましいからであり、透明粒子を含有させることにより光拡散機能が付与されバックライトに起因するギラツキを防止できる。なお、透明粒子は光学的に透明な粒子であればよい。
【0008】
反射防止効果がよく、表示品位の高い反射防止樹脂シートを得るには、屈折率が前記関係:ハードコート層>基材層>低屈折率層となるように、ハードコート層と反射防止層の屈折率差が大きいことが好ましい。そのため、本発明の反射防止樹脂シートにおいては、前記ハードコート層の屈折率が1.45〜1.80であり、かつ、前記低屈折率層の屈折率が1.35〜1.50であることが好ましい。上記屈折率を有するハードコート層上に上記屈折率を有する低屈折率層を積層することにより、良好な反射防止効果が得られる。ただし、低屈折率層の屈折率<ハードコート層の屈折率であることが必要である。
【0009】
本発明の反射防止樹脂シートにおいては、前記凹凸構造の表面粗さが80nm〜500nmであることが好ましい。あるいは、前記凹凸構造の山谷間隔が20μm〜80μmであることが好ましい。
【0010】
また、本発明の反射防止樹脂シートにおいては、前記基材層がエポキシ系樹脂からなることが好ましく、前記ハードコート層がウレタン系樹脂からなることが好ましい。基材層には、表面平滑性を得るために熱硬化性樹脂が好ましく用いられるが、熱硬化性樹脂の中では色相の点よりエポキシ系樹脂が特に好ましく用いられる。ウレタン系樹脂は、光学特性、および後述する支持体に対する易剥離性、特にステンレス系支持体に対する易剥離性、ハードコート性などの点よりハードコート層に好ましく用いられる。
【0011】
前記の反射防止樹脂シートの製造方法は特に限定されるものではないが、前記凹凸構造が、支持体表面に形成された凹部の転写により形成されたものであることが好ましい。かかる方法にて凹凸構造を形成することにより、緻密かつ均一で規則正しい凹凸構造を簡易に形成することができるため、ゴースト現象をより一層効果的に防止しうる。
【0012】
また、本発明は、前記の反射防止樹脂シートからなることを特徴とする画像表示装置用基板、太陽電池用基板、およびこれらを用いた画像表示装置を提供するものである。画像表示装置用基板としては、例えば、液晶セル基板、有機EL表示装置用基板等があげられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の反射防止樹脂シートは、基材層、ガスバリア層、外側表面に凹凸構造を有するハードコート層がこの順で積層され、かつ、前記ハードコート層上に当該ハードコート層形成樹脂よりも屈折率の低い材料よりなる低屈折率層が形成されているものである。基材層のガスバリア層とは反対側に、ハードコート層がもう1層積層されていてもよい。これらの場合、ガスバリア層は耐衝撃性、耐薬品性がハードコート層や基材層よりも劣ることがあるので、ガスバリア層は最外層に積層されないほうがよい。
【0014】
本発明において、基材層を形成する樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルイミドやポリアミド等の熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル、ポリジアリルフタレートやポリイソボニルメタクリレート等の熱硬化樹脂があげられる。これらの樹脂は1種または2種以上を用いることができ、他成分との共重合体や混合物などとして用いうる。シートの表面平滑性を得るために熱硬化性樹脂が好ましく、熱硬化性樹脂の中では色相の点よりエポキシ系樹脂が最も好ましく用いられる。
【0015】
本発明において基材層を形成するエポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型やそれらの水添加の如きビスフェノール型、フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型の如きノボラック型、トリグリシジルイソシアヌレート型やヒダントイン型の如き含窒素環型、脂環式型、脂肪族型、ナフタレン型の如き芳香族型、グリシジルエーテル型、ビフェニル型の如き低吸水率タイプ、ジシクロ型、エステル型、エーテルエステル型やそれらの変成型などがあげられる。これらは単独で使用してもあるいは併用してもよい。上記各種エポキシ系樹脂の中でも、変色防止性などの点よりビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート型を用いることが好ましい。
【0016】
このようなエポキシ系樹脂としては、一般にエポキシ当量100〜1000、軟化点120℃以下のものが、得られる液晶セル基板の柔軟性や強度等の物性などの点より好ましく用いられる。さらに塗工性やシート状への展開性等に優れるエポキシ樹脂含有液を得る点などよりは、塗工時の温度以下、特に常温において液体状態を示す二液混合型のものが好ましく用いうる。
【0017】
またエポキシ系樹脂は、硬化剤、硬化促進剤、および必要に応じて従来から用いられている老化防止剤、変成剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤等の従来公知の各種添加物を適宜に配合することができる。
【0018】
前記、硬化剤についても特に限定はなく、エポキシ系樹脂に応じた適宜な硬化剤を1種または2種以上用いることができる。ちなみにその例としては、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸やメチルヘキサヒドロフタル酸の如き有機酸系化合物類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンやそれらのアミンアダクト、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンやジアミノジフェニルスルホンの如きアミン系化合物類があげられる。
【0019】
また、ジシアンジアミドやポリアミドの如きアミド系化合物類、ジヒドラジットの如きヒドラジド系化合物類、メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、ウンデシルイミダゾール、ヘプタデシルイミダゾールや2−フェニル−4−メチルイミダゾールの如きイミダゾール系化合物類も前記硬化剤の例としてあげられる。
【0020】
さらに、メチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、エチルイミダゾリン、イソプロピルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、フェニルイミダゾリン、ウンデシルイミダゾリン、ヘプタデシルイミダゾリンや2−フェニル−4−メチルイミダゾリンの如きイミダゾリン系化合物、その他、フェノール系化合物、ユリア系化合物類やポリスルフィド系化合物類も前記硬化剤の例としてあげられる。
【0021】
加えて、酸無水物系化合物類なども前記硬化剤の例として挙げられ、変色防止性などの点より、かかる酸無水物硬化剤が好ましく用いうる。その例としては無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ジクロロコハク酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物やクロレンディック酸無水物などがあげられる。
【0022】
特に、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物やメチルヘキサヒドロフタル酸無水物の如く無色系ないし淡黄色系で、分子量が約140〜約200の酸無水物系硬化剤が好ましく用いられる。
【0023】
前記エポキシ系樹脂と硬化剤の配合割合は、硬化剤として酸無水物系硬化剤を用いる場合、エポキシ系樹脂のエポキシ基1当量に対して酸無水物当量を0.5〜1.5当量となるように配合することが好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.2当量がよい。酸無水物が0.5当量未満では、硬化後の色相が悪くなり、1.5当量を超えると、耐湿性が低下する傾向がみられる。なお他の硬化剤を単独で又は2種以上を併用して使用する場合にも、その使用量は前記の当量比に準じる。
【0024】
前記硬化促進剤としては、第三級アミン類、イミダゾール類、第四級アンモニウム塩類、有機金属塩類、リン化合物類や尿素系化合物類等があげられるが、特に第三級アミン類、イミダゾール類やリン化合物類を用いることが好ましい。これらは単独であるいは併用して使用することができる。
【0025】
前記硬化促進剤の配合量は、エポキシ系樹脂100重量部に対して0.05〜7.0重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜3.0重量部がよい。硬化促進剤の配合量が0.05重量部未満では、充分な硬化促進効果が得られず、7.0重量部を超えると硬化体が変色するおそれがある。
【0026】
前記老化防止剤としては、フェノール系化合物、アミン系化合物、有機硫黄系化合物やホスフィン系化合物等の従来公知のものがあげられる。
【0027】
前記変性剤としては、グリコール類、シリコーン類やアルコール類等従来公知のものがあげられる。
【0028】
前記界面活性剤は、エポキシ系液晶セル基板を流延法でエポキシ樹脂を空気に触れながら成形する場合に、シートの表面を平滑にするために添加される。界面活性剤としてはシリコーン系、アクリル系やフッ素系等があげられるが、とくにシリコーン系が好ましい。
【0029】
基材層の形成法は、特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。例えば、エポキシ樹脂塗工液の展開は、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤバーコート法、ディップコート法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法などの適宜な方式にてエポキシ樹脂塗工液をガスバリア層の上に流動展開させてシート状の展開層を形成することにより行うことができる。必要に応じて加熱処理、光照射処理ないし硬化処理することで被膜化する。
【0030】
基材層の厚さは、反射防止樹脂シートの使用目的などに応じ100μm以上の厚さで適宜に決定することができる。一般には、剛直性ないし柔軟性や薄型軽量性等のシートとしての特性を活かす点などより1mm以下、好ましくは900μm以下、特に800μm以下とされる。なお光学用途などでは200μm〜500μmの厚さが有利な場合も多い。
【0031】
本発明においてガスバリア層を形成する材料としては、水蒸気や酸素ガス等の目的とするガスの透過阻止能に優れ、とりわけ、酸素透過係数が小さいものが用いられる。例えば、ポリビニルアルコールやその部分けん化物、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール系ポリマーや、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン等があげられる。高ガスバリア性、水分の拡散性ないし吸水度の均一性などの点より、ビニルアルコール系ポリマーが特に好ましい。
【0032】
ガスバリア層の形成法は、特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。また、ガスバリア層の厚みは、透明性、着色防止、ガスバリア性等の機能性、薄型化、得られるエポキシ樹脂シートのフレキシビリティーなどの点により15μm以下、好ましくは13μm以下、さらに好ましくは2μm〜10μm、特に好ましくは3μm〜5μmの厚さにするのがよい。ガスバリア層の厚みを2μm以上にすれば十分なガスバリア機能を付与することができ、10μm以下にすれば液晶セル基板の黄色度指数(YI値)が小さくなる。
【0033】
本発明においてハードコート層を形成する材料としては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコールやエチレン・ビニルアルコール共重合体の如きポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂や塩化ビニリデン系樹脂があげられる。
【0034】
また、ポリアリレート系樹脂、スルホン系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂やアクリロニトリル系樹脂なども樹脂層の形成に用いることができる。なお樹脂層の形成には、適宜な樹脂の2種以上のブレンド物なども用いることができる。
【0035】
これらの樹脂の中では、光学特性、および後述する支持体に対する易剥離性、特にステンレス系支持体に対する易剥離性、ハードコート性などの点より、ウレタン系樹脂が好ましく、ウレタンアクリレートが特に好ましく用いられる。なかでも、下記の化学式(化1)で示されるウレタンアクリレートが好ましい。
【化1】
【0036】
本発明においては、ハードコート層が表面凹凸構造を有することにより防眩機能が付与される。本発明において、凹凸構造を有するハードコート層の表面粗さ(Ra)は80nm〜500nmであることが好ましく、さらに好ましくは100nm〜400nmであるのが良い。凹凸構造を有するハードコート層の表面粗さ(Ra)が80nmよりも小さい場合や500nmよりも大きい場合は、十分な防眩機能を付与することができない。なお、本発明における表面粗さはJIS
B 0601に記載の「算術平均粗さRa」のことである。
【0037】
また前記の表面凹凸構造を有するハードコート層の山谷間隔は、20μm〜80μmであることが好ましく、さらに好ましくは30μm〜70μmであるのが良い。山谷間隔が20μmよりも小さい場合や80μmよりも大きい場合は、十分な防眩機能を付与することができない。なお本発明における山谷間隔はJIS
B 0601に記載の「凹凸の平均間隔Sm」のことである。
【0038】
本発明において、ハードコート層の形成法は、特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。例えば、ハードコート層形成樹脂溶液からなる塗工液を調製し、これをロールコート法、スピンコート法、ワイヤバーコート法、ディップコート法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法などの適宜な方式にて塗布後乾燥等させることにより、ハードコート層を形成することができる。乾燥後、必要に応じて加熱処理、光照射処理ないし硬化処理することで被膜化する。
【0039】
ハードコート層の厚さは、適宜に決定しうるが、一般には製造時の易剥離性や剥離の際にヒビ割れの生じることを防止する点などより、1μm〜10μm、好ましくは8μm以下、特に2μm〜5μmとすることが好ましい。
【0040】
ハードコート層表面に凹凸構造を形成する場合は、その方法は特に限定されるものではないが、表面に凹部を形成した支持体の該凹部をハードコート層表面に転写し、ハードコート層表面に凹凸構造を形成するのが好ましい。支持体は通常、ベルト状や板状であり、具体的には流延用のエンドレスベルトや注型用の平板金型等が挙げられる。
【0041】
ハードコート層上に所定の凹凸構造を形成するためには、支持体の表面粗さ(Ra)が80nm〜500nmであることが好ましく、さらに好ましくは100μm〜400μmであるのが良い。また、支持体に形成された凹凸の山谷間隔は20μm〜80μmであることが好ましく、さらに好ましくは30μm〜70μmであるのが良い。
【0042】
流延法においては、凹凸部が形成された支持体上にハードコート層形成樹脂溶液を塗布後乾燥してハードコート層を形成し、ガスバリア層や基材層を積層させた後にこれらの積層体を支持体から剥離することにより、ハードコート層上に凹凸構造が形成された液晶セル基板を得ることができる。また、支持体側とは反対の最外層にもう1層ハードコート層を積層させることにより2層のハードコート層を有する液晶セル基板が得られる。この場合、このハードコート層は凹凸構造を有さない。
【0043】
注型法においては、まず凹凸部が形成された金型と表面無垢な金型にハードコート層形成樹脂溶液を塗布後乾燥してハードコート層を形成する。次に、凹凸部が形成された金型にガスバリア層形成樹脂含有液を塗布後乾燥しガスバリア層を形成させた後、2枚の金型を樹脂塗布面が向かい合うようにしてスペーサーやシーリング材を介して型組を行う。次にその隙間に基材層形成樹脂含有液を注入後硬化させ基材層を形成し、2枚の金型から剥離することにより、支持体に形成された凹部の転写でハードコート層上に凹凸構造が形成された液晶セル基板を得ることができる。また、ガスバリア層は、表面無垢な金型に形成されたハードコート層上に、ハードコート層形成樹脂液を塗布後、形成してもよい。
【0044】
注型法においても凹凸が形成された金型の表面粗さ(Ra)は80nm〜500nmであることが好ましく、さらに好ましくは100μm〜400μmであるのが良い。また、金型に形成された凹凸の山谷間隔は20μm〜80μmであることが好ましく、さらに好ましくは30μm〜70μmであるのが良い。
【0045】
本発明においてハードコート層形成樹脂よりも屈折率の低い材料よりなる低屈折率層を形成する材料としては、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂系材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド系材料、テトラエトキシシラン、チタンテトラエトキシド等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル系材料等があげられる。また、それぞれの材料は、表面の防汚染性付与するためフッ素基含有化合物が用いられる。耐擦傷性の面からは、無機成分含有量が多い低屈折率層材料が優れる傾向にあり、特にゾル−ゲル系材料が好ましい。
【0046】
前記フッ素基を含有するゾル−ゲル系材料としては、パーフルオロアルキルアルコキシシランを例示できる。パーフルオロアルキルアルコキシシランとしては、たとえば、一般式(1):CF3(CF2)nCH2CH2Si(OR)3(式中、Rは、炭素数1〜5個のアルキル基を示し、nは0〜12の整数である)で表される化合物があげられる。具体的には、たとえば、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどがあげられる。これらのなかでも前記nが2〜6の化合物が好ましい。
【0047】
低屈折率材料としてフッ素基含有化合物を用いるとともに、正荷電を有する官能基および/または正荷電しうる官能基を有する化合物を用いて、見かけ上、反射防止層の最表面を電気的に中性化するようにしてもよい。反射防止層の最表面の帯電が低減されて、挨、塵等の付着性、抜き取り性の問題が解消可能となる。
【0048】
前記の正荷電を有する官能基および/または正荷電しうる官能基を有する化合物としては、各種のものを使用できるが、当該官能基は、たとえば、アミノ基、アンモニウム塩基等の窒素原子を含む官能基や、燐酸基等のリン原子を含む官能基、スルホニウム基等のイオウ原子を含む官能基等があげられる。なかでも、アミノ基、アンモニウム塩基等の窒素原子を含む官能基が、挨、塵等の付着防止性、拭き取り性に優れており好ましい。
【0049】
窒素原子を含む官能基を有する化合物としては、たとえば、ポリエチレンイミンや、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩があげられる。また、特にシラン系化合物としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤があげられる。
【0050】
フッ素基含有化合物と官能基を有する化合物との配合割合は特に制限されないが、フッ素基を含有する化合物1モル部に対して、官能基を有する化合物の配合割合を0.1〜1.5モル部程度、さらには0.5〜1モル部とするのが好ましい。官能基を有する化合物の配合割合が少ないと液体をはじく性質に係わる防汚染性は良好であるが、挨、塵等の付着防止性、抜き取り性が充分発現し難く、一方、多すぎると挨・塵等の付着防止性、抜き取り性は良好であるが防汚染性が低下する傾向がある。低屈折率層形成材料は、前記各化合物を前記配合割合となるように混合した塗工液として調製できる。
【0051】
また、低屈折率層形成材にはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、フッ化マグネシウム、セリア等をアルコール溶媒に分散したゾルなどを添加しても良い。その他、金属塩、金属化合物などの添加剤を適宜に配合することができる。
【0052】
低屈折率層の屈折率は、ハードコート層の屈折率よりも低い。また基材層の屈折率よりも低くなるように調整するのが好ましい。低屈折率層の屈折率は、1.35〜1.50であるのが好ましい。
【0053】
低屈折率層の形成法は、特に制限されず、適宜な方式にてハードコート層上に施される。例えば、ドクターブレード法、グラビアロールコーター法、デイッピング法、蒸着法等の適宜な方式にて形成することができる。低屈折率層の厚さは特に制限されず、通常、平均80nm〜150nm程度である。
【0054】
本発明による反射防止樹脂シートの流延法による製造例を図1に、注型法による製造例を図2に示した。
【0055】
まず注型法においては、図2に示すように、表面無垢な金型(13)にハードコート層形成樹脂溶液を塗布後乾燥してハードコート層を形成する。表面加工金型(14)にハードコート層形成樹脂溶液を塗布後乾燥してハードコート層を形成し、さらにガスバリア層形成樹脂含有液を塗布後乾燥しガスバリア層を形成させる。その後、2枚の金型を樹脂塗布面が向かい合うようにしてスペーサー(16)やシーリング材(15)を介して型組を行う。次にその隙間に基材層形成樹脂含有液を注入後硬化させて基材層を形成し、2枚の金型から剥離した後、最外層に低屈折率層を形成することにより、本発明の反射防止樹脂シートを得ることができる。この場合、必要に応じハードコート層形成樹脂溶液に透明粒子を含有させ、塗布後乾燥させることにより透明粒子を含有したハードコート層を形成することができる。
【0056】
図1に例示の製造工程は、支持体にエンドレスベルトを用いて流延法により反射防止樹脂シートを連続製造するものである。
【0057】
図1に例示の流延法にては、エンドレスベルト(1)からなる支持体を駆動ドラム(4)および従動ドラム(5)を介し、例えば0.1〜50m/分、好ましくは0.2〜5m/分の一定速度で走行させつつ、その上にダイ(7)よりハードコート層形成樹脂溶液、ダイ(9)よりガスバリア層形成樹脂含有液を塗布して乾燥、あるいは必要に応じ加熱または光照射等により硬化処理して皮膜(10)、(11)とする。なお図例では加熱装置(3)、UV硬化装置(8)が配置されている。また、エンドレスベルト(1)には凹凸部が形成されており、その表面粗さ(Ra)や凹凸の山谷間隔(Sm)は上記した通りである。
【0058】
次に、皮膜(10)、(11)の上にダイ(2)を介して基材層形成樹脂含有液を塗布してシート状に展開し、加熱または光照射により完全に硬化させ、皮膜(6)とする。図例では加熱装置(3)が配置されており、加熱方法は熱風、赤外線ヒーター等により行い、これらを併用してもよい。熱風風速は通常0.1〜5m/secであるが、熱可塑性もしくは熱硬化性樹脂含有液の加熱の場合は0.2〜1m/secが好ましい。
【0059】
前記加熱装置(3)は樹脂含有液の温度依存による低粘度化、硬化反応による増粘化で起こる粘度変化をコントロールするため、10ゾーン程度に分かれていることが好ましい。また、各ゾーンともエンドレスベルトの上面、下面、もしくは両面で加熱が可能である。加熱温度は30〜250℃が好ましい。加熱温度精度は±0.5℃/cm以下が好ましく、さらに好ましくは±0.1℃/cm以下がよい。加熱温度が30℃未満であると基材層形成樹脂が硬化しにくくなる。加熱温度が250℃を超えると基材層形成樹脂含有液の粘度が低下するため、樹脂シートの厚みの精度が悪くなる。また加熱温度精度が±0.5℃/cmより大きくなると樹脂シートの厚みの精度が悪くなり外観不良が生じやすくなる。
【0060】
基材層形成樹脂含有液を吐出させるダイ(2)の温度は10〜40℃が好ましく、さらに好ましくは20〜30℃がよい。またダイの温度精度は±0.5℃以下が好ましく、さらに好ましくは±0.1℃以下がよい。ダイの温度が10℃未満になると、基材層形成樹脂含有液の粘度が上昇するため、操作性の面で問題がある。40℃を超えるとダイ中で基材層形成樹脂の硬化が進むので塗工が困難となる。またダイの温度精度が±0.5℃より大きくなると、樹脂シートの厚みの精度が悪くなり外観不良が生じやすくなる。
【0061】
吐出させる基材層形成樹脂含有液の粘度は0.1Pa・s〜50Pa・sが好ましく、エクストルージョンコートを行う場合は15Pa・s〜30Pa・sが好ましい。前記樹脂含有液の粘度が0.1Pa・s未満の場合は樹脂シートの厚みの精度が悪くなる。前記樹脂含有液の粘度が50Pa・sを超える場合は操作性が悪くなる。
【0062】
また基材層形成樹脂含有液の塗布方法としては、カーテンコート、エクストルージョンコート、ロールコート等が好ましく、特に好ましくはエクストルージョンコートがよい。
【0063】
また加熱装置のエンドレスベルトの裏面にはガイドロールを設置しており、水平度レベルセンサーによって水平レベルを調整することができる。支持体水平レベルは1mm/(5×有効巾)mm以下が好ましく、さらに好ましくは1mm/(40×有効巾)mm以下がよい。水平レベルが1mm/(5×有効巾)mmよりも大きい場合は樹脂シートの厚みの精度が悪くなる。
【0064】
流延法でハードコート層を2層有する樹脂シートを得るためには、エンドレスベルトとは反対の最外層にハードコート層形成樹脂溶液を塗布して乾燥、あるいは必要に応じて加熱または光照射等により硬化処理すればよい。この場合、第1のハードコート層、ガスバリア層、基材層からなる積層体をエンドレスベルト1より剥離後スピンコート法や単板ダイコータ等により第2のハードコート層を形成することができる。またハードコート層形成樹脂溶液に透明粒子を含有させることにより、透明粒子を含有したハードコート層を形成することができる。
【0065】
また、支持体の両側に液流れ防止の堰を耐熱性の樹脂で設けてもよい。具体的にはポリエチレンテレフタレート等が好ましく用いられる。
【0066】
支持体からの樹脂シートの回収に際しては、必要に応じ剥離手段を用いることができる。またかかる回収は、割れ防止などの点よりガラス転移点以上の等の高温雰囲気下で行うことが好ましい。さらに形成された連続状態の樹脂シートは、レーザー光線や超音波カッター、ダイシングやウォータージェットなどの適宜な切断手段を介し適宜な寸法に切断して回収することもできる。前記の流延法によれば、支持体を介した展開層の移動速度の調節で製造速度を容易に制御でき、またその移動速度や展開量の調節で得られる樹脂シートの厚さも容易に制御することができる。このようにして回収した樹脂シートのハードコート層上に低屈折率層を適宜な方法で形成することにより、本発明の反射防止シートを得ることができる。
【0067】
図3〜図5には、本発明の液晶セル基板(反射防止樹脂シート)(31)を搭載した液晶表示装置の構成例を示した。図中、17が低屈折率層、18がハードコート層、19がガスバリア層、20が基材層である。118は透明粒子を含有するハードコート層である。
【0068】
液晶表示装置は一般に、偏光板、液晶セル、反射板又はバックライト、及び必要に応じての光学部品等の構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成される。本発明においては、上記した液晶セル基板を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じて形成することができる。従って、本発明における液晶表示装置の形成に際しては、例えば視認側の偏光板の上に設ける光拡散板、アンンチグレア層、反射防止膜、保護層、保護板、あるいは液晶セルと視認側の偏光板の間に設ける補償用位相差板などの適宜な光学部品を前記液晶セル基板に適宜に組み合わせることができる。なお、本発明においては、視認性向上のために、透明粒子含有ハードコート層が液晶層に最も近くなるような視認側に液晶セル基板を配置することが望ましい。
【0069】
次いで、有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
【0070】
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0071】
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
【0072】
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0073】
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
【0074】
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0075】
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
【0076】
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0077】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。各例中、特に言及しない限り、部および%は重量基準である。本発明の屈折率の測定は、(株)アタゴ製アッベ屈折率計により行った。
【0078】
実施例1
(低屈折率層形成剤の調製)
トリデカフルオロヘキシルトリエトキシシラン1モル部に対し、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1モル部を配合し、さらにエタノール溶媒にて固形成分が約1%になるように調整して、低屈折率層形成剤を調製した。
【0079】
(ハードコート層形成樹脂液の調製)
UV硬化樹脂であるNKオリゴUN−01(新中村化学製;固形分85%)100重量部、イルガキュア♯184(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製)3重量部に、トルエン450重量部を混合攪拌して、樹脂固形分濃度16%のハードコート層形成樹脂溶液を得た。
【0080】
(基材層形成樹脂液の調製)
(化2)の化学式で示される3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート400重量部と(化3)の化学式で示されるメチルヘキサヒドロ無水フタル酸500重量部、(化4)の化学式で示されるテトラ−n−ブチルホスホニウムo,o−ジエチルホスホロジチオエート15重量部、グリセリン9重量部、界面活性剤1重量部を混合攪拌して基材層形成樹脂含有液を得た。
【0081】
【化2】
【化3】
【化4】
【0082】
(液晶セル基板の作製)
次に、図2に示した金型を用いて、注型法により液晶セル基板を製造した。その製造方法を図2及び図3を参照しながら説明する。
【0083】
まず、金型として1枚は450mm×450mm、表面粗さRa=5nmの無垢金型(13)を用いた。もう一方は450mm×450mm、表面粗さRa=100nm、山谷間隔30μmに表面加工した表面加工金型(14)を用いた。まず、無垢金型(13)の加工面にハードコート層形成樹脂溶液をスピンコートにより塗布し、トルエンを乾燥後、UVを照射(中心波長254nm、積算光量2000mJ/cm2)して、膜厚2μmのハードコート層(18)を形成した。次に他方の表面加工金型(14)の加工面にハードコート層形成樹脂溶液をスピンコートにより塗布し、トルエンを乾燥後、UVを照射(中心波長254nm、積算光量2000mJ/cm2)して、膜厚が2μmのハードコート層(18)を形成した。ハードコート層の屈折率は1.51であった。
【0084】
次に、表面加工金型(14)に形成されたハードコート層(18)上にポリビニルアルコール(重合度:1,800)の5.5重量%水溶液をスピンコート法で塗布後乾燥して硬化し、膜厚3.7μmのガスバリア層(19)を形成した。
【0085】
次に、その2枚の金型の樹脂形成面を向かい合わせるようにして、図2に示したように、隙間調整用スペーサー(16)及びシーリング剤(15)を介して、隙間の幅が400μmとなるように注型用金型を組み立てた。その隙間に上記で調製した基材層形成樹脂含有液を注入し、120℃×30分+180℃×1時間硬化させた。その後、2枚の金型を、割り開くと同時に、樹脂層と金型の界面を剥離して樹脂シートを取り出した後、ハードコート層(18)上に上記で調製した低屈折率層形成剤を、乾燥・硬化時に平均厚み約100nmになるように塗工して低屈折率層(17)を形成し、反射防止樹脂シート(31)からなる液晶セル基板<a>を得た。この時の乾燥・硬化条件は90℃、40時間とした。低屈折率層の屈折率は1.40であった。
【0086】
得られた液晶セル基板<a>は、金型の凹凸部が転写された面は表面粗さRa=100nm、山谷間隔は45μmであり、もう一方は表面粗さRa=5nmであった。また液晶セル基板<a>の平均厚みは400μm、厚みの標準偏差は9μmであった。
【0087】
次に、液晶を挟んでもう一方の液晶セル基板を以下のように作製した。まず2枚の表面無垢金型に上記ハードコート層形成樹脂溶液を塗布後乾燥させハードコート層(18)を形成した。次にその2枚の金型の樹脂形成面を向かい合わせるようにして、図2に示したように、隙間調整用スペーサー及びシーリング剤を介して、隙間の幅が400μmとなるように注型用金型を組み立てた。
【0088】
そしてその隙間に、黒色顔料三菱カーボンブラックMA100を、基材層形成樹脂含有液:MA100=10:1(重量比)の割合で分散した黒色顔料含有基材層形成樹脂含有液を注入した後、120℃×30分+180℃×1時間硬化させ、金型より液晶セル基板<b>を取り出した。得られた液晶セル基板<b>は、両面の表面粗さRa=4nm、平均厚みは400μm、厚みの標準偏差は8μmであった。
【0089】
(液晶セルの作製)
得られた液晶セル基板<a>と<b>を所定の形状に切り出した後、Ar雰囲気中でプラズマ処理を施し、酸化インジウム・スズ(ITO)薄膜をスパッタリングにて形成した。次に、液晶セル基板<a>のハードコート層(18)上、および樹脂シート<b>のどちらか片面のハードコート層上にITO薄膜(21)を形成した。
【0090】
その後、液晶セル基板<a>のITO薄膜(21)を2分割した後、ラビング膜(22)のラビング方向が直交するように上記基板の一対をITO薄膜(21)を対向させて、球形のガラスビーズよりなるギャップ調整材を配した後、シール材で固定した。その後、トリメチルプロパントリアクリレート(TMPTA)10部、および2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)10部、およびアクリルオリゴマー(東亜合成化学「M−1200」)25部、光硬化開始剤としてメルク社製「ダロキュア−1173」を0.5部、液晶としてBDH社製液晶「E7」を50部混合し、均一に溶解させた混合液を注入した。その後、セルの液晶セル基板<a>側から紫外線を照射し、図3に例示の液晶セルを作製した。
【0091】
実施例2
(透明粒子含有ハードコート層形成樹脂液の調製)
UV硬化樹脂であるNKオリゴUN−01(新中村化学製)100重量部、イルガキュア♯184(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製)3重量部、平均粒径が1.8μmの合成シリカ粒子(屈折率1.46)28重量部に、トルエン450重量部を混合攪拌して樹脂固形分濃度20%の透明粒子含有ハードコート層形成樹脂溶液を得た。
【0092】
1層のハードコート層が透明粒子を含有するように、表面無垢な金型に透明粒子含有ハードコート層形成樹脂溶液を塗布した以外は、実施例1と同様にして液晶セル基板<a’>を形成した。その後、実施例1と同様に液晶セル基板<b>と組合せ、図4に例示の液晶セルを作製した。
【0093】
実施例3
図1に示す装置を用いて、流延法により液晶セル基板を製造した。まず実施例1で調製したハードコート層形成樹脂溶液をダイ(7)より吐出させ、ステンレス製エンドレスベルト(1)(表面粗さRa=100nm、山谷間隔30μm)に走行速度:0.2m/分で流延塗布し、トルエンを揮発させて、UV硬化装置(8)で硬化(中心波長254nm、積算光量2000mJ/cm2)し、膜厚5μm、幅500mmのハードコート層(11)を得た。
【0094】
続いて、ポリビニリルアルコールの5.5重量%水溶液を、ダイ(9)より吐出させ、ハードコート層上に流延塗布し、加熱乾燥(60℃×10分)させ、膜厚4μm、幅450mmのガスバリア層(10)を得た。
【0095】
得られたハードコート層、ガスバリア層の両端に幅40mmの耐熱PET基材テープ(MT−3155:日東電工社製)を貼付け、実施例1と同様の基材層形成樹脂含有液(20Pa・s、25℃)を、ダイ2より吐出させ、上記ガスバリア層の表面に、塗工幅430mmで流延塗布し、加熱装置(3)により、90℃×5分、120℃×5分、140℃×15分で硬化させて基材層(6)を形成し、130℃に温調されたドラム(5)上でステンレス製エンドレスベルトとハードコート層間で剥離を行い430mm幅の液晶セル基板を得た。尚、加熱部の支持体水平レベルを200μm/1000mm、支持体上下より熱風加熱を行い温度精度0.4℃/cmとした。ハードコート層上に実施例1で調製した低屈折率層形成剤を、実施例1と同様の条件にて塗工し低屈折率層を形成し、反射防止樹脂シートからなる液晶セル基板<c>を得た。
【0096】
得られた液晶セル基板<c>を流れ方向に490mm間隔で切断を行い、490mm×490mmのサイズとした。得られた液晶セル基板<c>の厚みの平均は400μm、標準偏差は7μmであった。なお、厚みの平均値、及び標準偏差は480mm×480mmの面内で60点測定して求めた。また、表面粗さは、基材層側でRa=0.2nm、低屈折率層側でRa=100nmであった。なお、表面粗さは、480mm×480mmの面内で10点測定した平均値である。
【0097】
続いて、液晶セル基板<c>のハードコート層側にITO薄膜を形成し、実施例1と同様に液晶セル基板<b>と組合せ、図5に例示の液晶セルを作製した。
【0098】
比較例1
ハードコート層上に低屈折率層を形成しない以外は、実施例1と同様にして液晶セル基板<d>を作製した。次に実施例1と同様に液晶セル基板<b>と組合せ、図6に例示の液晶セルを作製した。
【0099】
(評価試験)
実施例1〜3及び比較例1で作製した液晶セルを用いて液晶表示装置を組み立て、暗室中で20°の角度でリング状照明装置を照射して、液晶表示装置の電圧印加状態で黒色表示の表示品位を調べ、電圧無印加状態で白色表示の表示品位を調べた。
【0100】
(反射率)
反射防止樹脂シートの低屈折率層とは反対側の最外層を、サンドペーパーを用いて荒らした後、黒のアクリルラッカーを塗布して反射防止層に対して裏面側の反射光をなくした状態で、傾斜積分球付き分光光度計(島津製作所製UV−2400)を用いて、全反射率を測定した。なお、反射率の測定にあたっては、上記分光反射率からCIE1931XYZ表色系に基づき、C光源に対する視感度補正した反射率Yを採用した。
【0101】
実施例1〜3においては、黒色表示、白色表示ともに表示品位は良好であった。一方、比較例1においては、白色表示においてリング状照明の映り込みが見られた。また、実施例1〜3で得た樹脂シートの反射率は2.6%であったが、比較例1では3.2%となった。以上の結果から、低屈折率層を設けた場合は、反射が抑制されていた。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、基材層、ガスバリア層、外側表面に凹凸構造を有するハードコート層がこの順で積層され、かつ、前記ハードコート層上に当該ハードコート層形成樹脂よりも屈折率の低い材料よりなる低屈折率層が形成されているため、蛍光灯や太陽光等の照明光やキーボーダーなどの外部環境が画面上に映り込む、いわゆるゴースト現象を防止する防眩機能を有するとともに、薄型かつ軽量の反射防止樹脂シートが得られる。
【0103】
この反射防止樹脂シートを液晶セル基板、有機EL表示装置用基板等の画像表示装置用基板に用いることにより、ガラス系基板に比べて薄型かつ軽量で、しかも耐久性に優れた基板となる。また液晶セル基板に防眩機能が付与されることにより、防眩シートを液晶セルの視認側に貼り付ける必要がなくなり、その結果液晶セルの薄型、軽量化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】流延法による液晶セル基板の製造方法の一例を説明する図である。
【図2】注型法による液晶セル基板の製造方法の一例を説明する図である。
【図3】実施例1の液晶セルの構成を示す断面模式図である。
【図4】実施例2の液晶セルの構成を示す断面模式図である。
【図5】実施例3の液晶セルの構成を示す断面模式図である。
【図6】比較例1の液晶セルの構成を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1:エンドレスベルト(支持体)
2:基材層塗布用ダイ
3:加熱装置
4:駆動ドラム
5:従動ドラム
6:基材層
7:ハードコート層塗布用ダイ
8:UV硬化装置
9:ガスバリア層塗布用ダイ
10:ガスバリア層
11:ハードコート層
12:端部補強テープ
13:表面無垢金属金型
14:表面加工金属金型
15:シーリング材
16:隙間調整用スペーサー
17:低屈折率層
18:ハードコート層
118:透明粒子を含有するハードコート層
19:ガスバリア層
20:基材層
21:ITO
22:ラビング膜
23:液晶
24:黒色顔料を有する基材層
31:液晶セル基板(反射防止樹脂シート)
【産業上の利用分野】
本発明はゴーストを防止し、防眩性に優れた画像表示装置用基板等を形成しうる反射防止樹脂シート、およびそれを用いた液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置等の画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種画像表示装置の一つに液晶表示装置があるが、近年、視認性向上の要望がよりいっそう高まっている。表示デバイスとしての見やすさ、例えば、液晶表示装置の高精細化、高画質化を追求するためには、液晶表示装置ヘの外部光の映り込み、反射、ギラツキ等を極力抑える必要がある。とりわけ、例えばカーナビゲーション用モニター、ビデオカメラ用モニター、携帯電話、PHS、各種携帯情報端末等を屋外で使用する場合には、視認性の低下が屋内で使用する場合に比べて顕著である。
【0003】
このため、液晶表示装置等の画像表示装置においては、表面に凹凸構造を有する防眩シートを液晶セルの視認側に貼り付け、蛍光灯や太陽光等の照明光やキーボーダーなどの外部環境が画面上に映り込む、いわゆるゴースト現象を防止する方法が知られていた。しかし、液晶表示装置の薄型化、軽量化の点から防眩シートを液晶セルの視認側に貼り付ける代わりに、防眩機能を液晶セル基板に付与することが検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、蛍光灯や太陽光等の照明光やキーボーダーなどの外部環境が画面上に映り込む、いわゆるゴースト現象を防止する防眩機能を有し、薄型かつ軽量で耐久性に優れる液晶セル基板やエレクトロルミネッセンス表示装置(以下、有機EL表示装置)用基板等の画像表示装置用の基板等を形成しうる反射防止樹脂シート、およびそれを用いた液晶表示装置、有機EL表示装置等の画像表示装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、基材層上に、凹凸構造を有するハードコート層をその凹凸構造が外側表面となるように設け、さらにその凹凸構造の上に、当該ハードコート層を形成する樹脂よりも屈折率の低い材料よりなる低屈折率層を形成することにより、ゴースト現象を防止できるとともに、薄型かつ軽量の反射防止シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、基材層、ガスバリア層、外側表面に凹凸構造を有するハードコート層がこの順で積層され、かつ、前記ハードコート層上に当該ハードコート層形成樹脂よりも屈折率の低い材料よりなる低屈折率層が形成されてなることを特徴とする反射防止樹脂シートを提供するものである。画像表示装置においては、水分や酸素が液晶セル基板を透過してセル内に侵入すると、液晶の変質や気泡の形成による外観不良、透明導電膜パターンの断線などを発生させるおそれがあるが、基材層とハードコート層の間にガスバリア層を設けることで、水分やガス透過を防止することができる。
【0007】
前記の反射防止樹脂シートにおいては、基材層のガスバリア層とは反対側にハードコート層がもう1層積層されていることが好ましい。該ハードコート層は、樹脂シートの片側表面層を形成することより、基材層の表面コート層として機能しうるため、かかるハードコート層を設けることにより樹脂シートの耐薬品性、耐擦傷性等が向上する。この基材層のガスバリア層とは反対側に積層されたハードコート層は、透明粒子を含有することが好ましい。光学用途を目的とする場合には、透明性等の光学特性に優れるものであることが望ましいからであり、透明粒子を含有させることにより光拡散機能が付与されバックライトに起因するギラツキを防止できる。なお、透明粒子は光学的に透明な粒子であればよい。
【0008】
反射防止効果がよく、表示品位の高い反射防止樹脂シートを得るには、屈折率が前記関係:ハードコート層>基材層>低屈折率層となるように、ハードコート層と反射防止層の屈折率差が大きいことが好ましい。そのため、本発明の反射防止樹脂シートにおいては、前記ハードコート層の屈折率が1.45〜1.80であり、かつ、前記低屈折率層の屈折率が1.35〜1.50であることが好ましい。上記屈折率を有するハードコート層上に上記屈折率を有する低屈折率層を積層することにより、良好な反射防止効果が得られる。ただし、低屈折率層の屈折率<ハードコート層の屈折率であることが必要である。
【0009】
本発明の反射防止樹脂シートにおいては、前記凹凸構造の表面粗さが80nm〜500nmであることが好ましい。あるいは、前記凹凸構造の山谷間隔が20μm〜80μmであることが好ましい。
【0010】
また、本発明の反射防止樹脂シートにおいては、前記基材層がエポキシ系樹脂からなることが好ましく、前記ハードコート層がウレタン系樹脂からなることが好ましい。基材層には、表面平滑性を得るために熱硬化性樹脂が好ましく用いられるが、熱硬化性樹脂の中では色相の点よりエポキシ系樹脂が特に好ましく用いられる。ウレタン系樹脂は、光学特性、および後述する支持体に対する易剥離性、特にステンレス系支持体に対する易剥離性、ハードコート性などの点よりハードコート層に好ましく用いられる。
【0011】
前記の反射防止樹脂シートの製造方法は特に限定されるものではないが、前記凹凸構造が、支持体表面に形成された凹部の転写により形成されたものであることが好ましい。かかる方法にて凹凸構造を形成することにより、緻密かつ均一で規則正しい凹凸構造を簡易に形成することができるため、ゴースト現象をより一層効果的に防止しうる。
【0012】
また、本発明は、前記の反射防止樹脂シートからなることを特徴とする画像表示装置用基板、太陽電池用基板、およびこれらを用いた画像表示装置を提供するものである。画像表示装置用基板としては、例えば、液晶セル基板、有機EL表示装置用基板等があげられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の反射防止樹脂シートは、基材層、ガスバリア層、外側表面に凹凸構造を有するハードコート層がこの順で積層され、かつ、前記ハードコート層上に当該ハードコート層形成樹脂よりも屈折率の低い材料よりなる低屈折率層が形成されているものである。基材層のガスバリア層とは反対側に、ハードコート層がもう1層積層されていてもよい。これらの場合、ガスバリア層は耐衝撃性、耐薬品性がハードコート層や基材層よりも劣ることがあるので、ガスバリア層は最外層に積層されないほうがよい。
【0014】
本発明において、基材層を形成する樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルイミドやポリアミド等の熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル、ポリジアリルフタレートやポリイソボニルメタクリレート等の熱硬化樹脂があげられる。これらの樹脂は1種または2種以上を用いることができ、他成分との共重合体や混合物などとして用いうる。シートの表面平滑性を得るために熱硬化性樹脂が好ましく、熱硬化性樹脂の中では色相の点よりエポキシ系樹脂が最も好ましく用いられる。
【0015】
本発明において基材層を形成するエポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型やそれらの水添加の如きビスフェノール型、フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型の如きノボラック型、トリグリシジルイソシアヌレート型やヒダントイン型の如き含窒素環型、脂環式型、脂肪族型、ナフタレン型の如き芳香族型、グリシジルエーテル型、ビフェニル型の如き低吸水率タイプ、ジシクロ型、エステル型、エーテルエステル型やそれらの変成型などがあげられる。これらは単独で使用してもあるいは併用してもよい。上記各種エポキシ系樹脂の中でも、変色防止性などの点よりビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート型を用いることが好ましい。
【0016】
このようなエポキシ系樹脂としては、一般にエポキシ当量100〜1000、軟化点120℃以下のものが、得られる液晶セル基板の柔軟性や強度等の物性などの点より好ましく用いられる。さらに塗工性やシート状への展開性等に優れるエポキシ樹脂含有液を得る点などよりは、塗工時の温度以下、特に常温において液体状態を示す二液混合型のものが好ましく用いうる。
【0017】
またエポキシ系樹脂は、硬化剤、硬化促進剤、および必要に応じて従来から用いられている老化防止剤、変成剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤等の従来公知の各種添加物を適宜に配合することができる。
【0018】
前記、硬化剤についても特に限定はなく、エポキシ系樹脂に応じた適宜な硬化剤を1種または2種以上用いることができる。ちなみにその例としては、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸やメチルヘキサヒドロフタル酸の如き有機酸系化合物類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンやそれらのアミンアダクト、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンやジアミノジフェニルスルホンの如きアミン系化合物類があげられる。
【0019】
また、ジシアンジアミドやポリアミドの如きアミド系化合物類、ジヒドラジットの如きヒドラジド系化合物類、メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、ウンデシルイミダゾール、ヘプタデシルイミダゾールや2−フェニル−4−メチルイミダゾールの如きイミダゾール系化合物類も前記硬化剤の例としてあげられる。
【0020】
さらに、メチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、エチルイミダゾリン、イソプロピルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、フェニルイミダゾリン、ウンデシルイミダゾリン、ヘプタデシルイミダゾリンや2−フェニル−4−メチルイミダゾリンの如きイミダゾリン系化合物、その他、フェノール系化合物、ユリア系化合物類やポリスルフィド系化合物類も前記硬化剤の例としてあげられる。
【0021】
加えて、酸無水物系化合物類なども前記硬化剤の例として挙げられ、変色防止性などの点より、かかる酸無水物硬化剤が好ましく用いうる。その例としては無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ジクロロコハク酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物やクロレンディック酸無水物などがあげられる。
【0022】
特に、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物やメチルヘキサヒドロフタル酸無水物の如く無色系ないし淡黄色系で、分子量が約140〜約200の酸無水物系硬化剤が好ましく用いられる。
【0023】
前記エポキシ系樹脂と硬化剤の配合割合は、硬化剤として酸無水物系硬化剤を用いる場合、エポキシ系樹脂のエポキシ基1当量に対して酸無水物当量を0.5〜1.5当量となるように配合することが好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.2当量がよい。酸無水物が0.5当量未満では、硬化後の色相が悪くなり、1.5当量を超えると、耐湿性が低下する傾向がみられる。なお他の硬化剤を単独で又は2種以上を併用して使用する場合にも、その使用量は前記の当量比に準じる。
【0024】
前記硬化促進剤としては、第三級アミン類、イミダゾール類、第四級アンモニウム塩類、有機金属塩類、リン化合物類や尿素系化合物類等があげられるが、特に第三級アミン類、イミダゾール類やリン化合物類を用いることが好ましい。これらは単独であるいは併用して使用することができる。
【0025】
前記硬化促進剤の配合量は、エポキシ系樹脂100重量部に対して0.05〜7.0重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜3.0重量部がよい。硬化促進剤の配合量が0.05重量部未満では、充分な硬化促進効果が得られず、7.0重量部を超えると硬化体が変色するおそれがある。
【0026】
前記老化防止剤としては、フェノール系化合物、アミン系化合物、有機硫黄系化合物やホスフィン系化合物等の従来公知のものがあげられる。
【0027】
前記変性剤としては、グリコール類、シリコーン類やアルコール類等従来公知のものがあげられる。
【0028】
前記界面活性剤は、エポキシ系液晶セル基板を流延法でエポキシ樹脂を空気に触れながら成形する場合に、シートの表面を平滑にするために添加される。界面活性剤としてはシリコーン系、アクリル系やフッ素系等があげられるが、とくにシリコーン系が好ましい。
【0029】
基材層の形成法は、特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。例えば、エポキシ樹脂塗工液の展開は、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤバーコート法、ディップコート法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法などの適宜な方式にてエポキシ樹脂塗工液をガスバリア層の上に流動展開させてシート状の展開層を形成することにより行うことができる。必要に応じて加熱処理、光照射処理ないし硬化処理することで被膜化する。
【0030】
基材層の厚さは、反射防止樹脂シートの使用目的などに応じ100μm以上の厚さで適宜に決定することができる。一般には、剛直性ないし柔軟性や薄型軽量性等のシートとしての特性を活かす点などより1mm以下、好ましくは900μm以下、特に800μm以下とされる。なお光学用途などでは200μm〜500μmの厚さが有利な場合も多い。
【0031】
本発明においてガスバリア層を形成する材料としては、水蒸気や酸素ガス等の目的とするガスの透過阻止能に優れ、とりわけ、酸素透過係数が小さいものが用いられる。例えば、ポリビニルアルコールやその部分けん化物、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール系ポリマーや、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン等があげられる。高ガスバリア性、水分の拡散性ないし吸水度の均一性などの点より、ビニルアルコール系ポリマーが特に好ましい。
【0032】
ガスバリア層の形成法は、特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。また、ガスバリア層の厚みは、透明性、着色防止、ガスバリア性等の機能性、薄型化、得られるエポキシ樹脂シートのフレキシビリティーなどの点により15μm以下、好ましくは13μm以下、さらに好ましくは2μm〜10μm、特に好ましくは3μm〜5μmの厚さにするのがよい。ガスバリア層の厚みを2μm以上にすれば十分なガスバリア機能を付与することができ、10μm以下にすれば液晶セル基板の黄色度指数(YI値)が小さくなる。
【0033】
本発明においてハードコート層を形成する材料としては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコールやエチレン・ビニルアルコール共重合体の如きポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂や塩化ビニリデン系樹脂があげられる。
【0034】
また、ポリアリレート系樹脂、スルホン系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂やアクリロニトリル系樹脂なども樹脂層の形成に用いることができる。なお樹脂層の形成には、適宜な樹脂の2種以上のブレンド物なども用いることができる。
【0035】
これらの樹脂の中では、光学特性、および後述する支持体に対する易剥離性、特にステンレス系支持体に対する易剥離性、ハードコート性などの点より、ウレタン系樹脂が好ましく、ウレタンアクリレートが特に好ましく用いられる。なかでも、下記の化学式(化1)で示されるウレタンアクリレートが好ましい。
【化1】
【0036】
本発明においては、ハードコート層が表面凹凸構造を有することにより防眩機能が付与される。本発明において、凹凸構造を有するハードコート層の表面粗さ(Ra)は80nm〜500nmであることが好ましく、さらに好ましくは100nm〜400nmであるのが良い。凹凸構造を有するハードコート層の表面粗さ(Ra)が80nmよりも小さい場合や500nmよりも大きい場合は、十分な防眩機能を付与することができない。なお、本発明における表面粗さはJIS
B 0601に記載の「算術平均粗さRa」のことである。
【0037】
また前記の表面凹凸構造を有するハードコート層の山谷間隔は、20μm〜80μmであることが好ましく、さらに好ましくは30μm〜70μmであるのが良い。山谷間隔が20μmよりも小さい場合や80μmよりも大きい場合は、十分な防眩機能を付与することができない。なお本発明における山谷間隔はJIS
B 0601に記載の「凹凸の平均間隔Sm」のことである。
【0038】
本発明において、ハードコート層の形成法は、特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。例えば、ハードコート層形成樹脂溶液からなる塗工液を調製し、これをロールコート法、スピンコート法、ワイヤバーコート法、ディップコート法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法などの適宜な方式にて塗布後乾燥等させることにより、ハードコート層を形成することができる。乾燥後、必要に応じて加熱処理、光照射処理ないし硬化処理することで被膜化する。
【0039】
ハードコート層の厚さは、適宜に決定しうるが、一般には製造時の易剥離性や剥離の際にヒビ割れの生じることを防止する点などより、1μm〜10μm、好ましくは8μm以下、特に2μm〜5μmとすることが好ましい。
【0040】
ハードコート層表面に凹凸構造を形成する場合は、その方法は特に限定されるものではないが、表面に凹部を形成した支持体の該凹部をハードコート層表面に転写し、ハードコート層表面に凹凸構造を形成するのが好ましい。支持体は通常、ベルト状や板状であり、具体的には流延用のエンドレスベルトや注型用の平板金型等が挙げられる。
【0041】
ハードコート層上に所定の凹凸構造を形成するためには、支持体の表面粗さ(Ra)が80nm〜500nmであることが好ましく、さらに好ましくは100μm〜400μmであるのが良い。また、支持体に形成された凹凸の山谷間隔は20μm〜80μmであることが好ましく、さらに好ましくは30μm〜70μmであるのが良い。
【0042】
流延法においては、凹凸部が形成された支持体上にハードコート層形成樹脂溶液を塗布後乾燥してハードコート層を形成し、ガスバリア層や基材層を積層させた後にこれらの積層体を支持体から剥離することにより、ハードコート層上に凹凸構造が形成された液晶セル基板を得ることができる。また、支持体側とは反対の最外層にもう1層ハードコート層を積層させることにより2層のハードコート層を有する液晶セル基板が得られる。この場合、このハードコート層は凹凸構造を有さない。
【0043】
注型法においては、まず凹凸部が形成された金型と表面無垢な金型にハードコート層形成樹脂溶液を塗布後乾燥してハードコート層を形成する。次に、凹凸部が形成された金型にガスバリア層形成樹脂含有液を塗布後乾燥しガスバリア層を形成させた後、2枚の金型を樹脂塗布面が向かい合うようにしてスペーサーやシーリング材を介して型組を行う。次にその隙間に基材層形成樹脂含有液を注入後硬化させ基材層を形成し、2枚の金型から剥離することにより、支持体に形成された凹部の転写でハードコート層上に凹凸構造が形成された液晶セル基板を得ることができる。また、ガスバリア層は、表面無垢な金型に形成されたハードコート層上に、ハードコート層形成樹脂液を塗布後、形成してもよい。
【0044】
注型法においても凹凸が形成された金型の表面粗さ(Ra)は80nm〜500nmであることが好ましく、さらに好ましくは100μm〜400μmであるのが良い。また、金型に形成された凹凸の山谷間隔は20μm〜80μmであることが好ましく、さらに好ましくは30μm〜70μmであるのが良い。
【0045】
本発明においてハードコート層形成樹脂よりも屈折率の低い材料よりなる低屈折率層を形成する材料としては、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂系材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド系材料、テトラエトキシシラン、チタンテトラエトキシド等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル系材料等があげられる。また、それぞれの材料は、表面の防汚染性付与するためフッ素基含有化合物が用いられる。耐擦傷性の面からは、無機成分含有量が多い低屈折率層材料が優れる傾向にあり、特にゾル−ゲル系材料が好ましい。
【0046】
前記フッ素基を含有するゾル−ゲル系材料としては、パーフルオロアルキルアルコキシシランを例示できる。パーフルオロアルキルアルコキシシランとしては、たとえば、一般式(1):CF3(CF2)nCH2CH2Si(OR)3(式中、Rは、炭素数1〜5個のアルキル基を示し、nは0〜12の整数である)で表される化合物があげられる。具体的には、たとえば、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどがあげられる。これらのなかでも前記nが2〜6の化合物が好ましい。
【0047】
低屈折率材料としてフッ素基含有化合物を用いるとともに、正荷電を有する官能基および/または正荷電しうる官能基を有する化合物を用いて、見かけ上、反射防止層の最表面を電気的に中性化するようにしてもよい。反射防止層の最表面の帯電が低減されて、挨、塵等の付着性、抜き取り性の問題が解消可能となる。
【0048】
前記の正荷電を有する官能基および/または正荷電しうる官能基を有する化合物としては、各種のものを使用できるが、当該官能基は、たとえば、アミノ基、アンモニウム塩基等の窒素原子を含む官能基や、燐酸基等のリン原子を含む官能基、スルホニウム基等のイオウ原子を含む官能基等があげられる。なかでも、アミノ基、アンモニウム塩基等の窒素原子を含む官能基が、挨、塵等の付着防止性、拭き取り性に優れており好ましい。
【0049】
窒素原子を含む官能基を有する化合物としては、たとえば、ポリエチレンイミンや、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩があげられる。また、特にシラン系化合物としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤があげられる。
【0050】
フッ素基含有化合物と官能基を有する化合物との配合割合は特に制限されないが、フッ素基を含有する化合物1モル部に対して、官能基を有する化合物の配合割合を0.1〜1.5モル部程度、さらには0.5〜1モル部とするのが好ましい。官能基を有する化合物の配合割合が少ないと液体をはじく性質に係わる防汚染性は良好であるが、挨、塵等の付着防止性、抜き取り性が充分発現し難く、一方、多すぎると挨・塵等の付着防止性、抜き取り性は良好であるが防汚染性が低下する傾向がある。低屈折率層形成材料は、前記各化合物を前記配合割合となるように混合した塗工液として調製できる。
【0051】
また、低屈折率層形成材にはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、フッ化マグネシウム、セリア等をアルコール溶媒に分散したゾルなどを添加しても良い。その他、金属塩、金属化合物などの添加剤を適宜に配合することができる。
【0052】
低屈折率層の屈折率は、ハードコート層の屈折率よりも低い。また基材層の屈折率よりも低くなるように調整するのが好ましい。低屈折率層の屈折率は、1.35〜1.50であるのが好ましい。
【0053】
低屈折率層の形成法は、特に制限されず、適宜な方式にてハードコート層上に施される。例えば、ドクターブレード法、グラビアロールコーター法、デイッピング法、蒸着法等の適宜な方式にて形成することができる。低屈折率層の厚さは特に制限されず、通常、平均80nm〜150nm程度である。
【0054】
本発明による反射防止樹脂シートの流延法による製造例を図1に、注型法による製造例を図2に示した。
【0055】
まず注型法においては、図2に示すように、表面無垢な金型(13)にハードコート層形成樹脂溶液を塗布後乾燥してハードコート層を形成する。表面加工金型(14)にハードコート層形成樹脂溶液を塗布後乾燥してハードコート層を形成し、さらにガスバリア層形成樹脂含有液を塗布後乾燥しガスバリア層を形成させる。その後、2枚の金型を樹脂塗布面が向かい合うようにしてスペーサー(16)やシーリング材(15)を介して型組を行う。次にその隙間に基材層形成樹脂含有液を注入後硬化させて基材層を形成し、2枚の金型から剥離した後、最外層に低屈折率層を形成することにより、本発明の反射防止樹脂シートを得ることができる。この場合、必要に応じハードコート層形成樹脂溶液に透明粒子を含有させ、塗布後乾燥させることにより透明粒子を含有したハードコート層を形成することができる。
【0056】
図1に例示の製造工程は、支持体にエンドレスベルトを用いて流延法により反射防止樹脂シートを連続製造するものである。
【0057】
図1に例示の流延法にては、エンドレスベルト(1)からなる支持体を駆動ドラム(4)および従動ドラム(5)を介し、例えば0.1〜50m/分、好ましくは0.2〜5m/分の一定速度で走行させつつ、その上にダイ(7)よりハードコート層形成樹脂溶液、ダイ(9)よりガスバリア層形成樹脂含有液を塗布して乾燥、あるいは必要に応じ加熱または光照射等により硬化処理して皮膜(10)、(11)とする。なお図例では加熱装置(3)、UV硬化装置(8)が配置されている。また、エンドレスベルト(1)には凹凸部が形成されており、その表面粗さ(Ra)や凹凸の山谷間隔(Sm)は上記した通りである。
【0058】
次に、皮膜(10)、(11)の上にダイ(2)を介して基材層形成樹脂含有液を塗布してシート状に展開し、加熱または光照射により完全に硬化させ、皮膜(6)とする。図例では加熱装置(3)が配置されており、加熱方法は熱風、赤外線ヒーター等により行い、これらを併用してもよい。熱風風速は通常0.1〜5m/secであるが、熱可塑性もしくは熱硬化性樹脂含有液の加熱の場合は0.2〜1m/secが好ましい。
【0059】
前記加熱装置(3)は樹脂含有液の温度依存による低粘度化、硬化反応による増粘化で起こる粘度変化をコントロールするため、10ゾーン程度に分かれていることが好ましい。また、各ゾーンともエンドレスベルトの上面、下面、もしくは両面で加熱が可能である。加熱温度は30〜250℃が好ましい。加熱温度精度は±0.5℃/cm以下が好ましく、さらに好ましくは±0.1℃/cm以下がよい。加熱温度が30℃未満であると基材層形成樹脂が硬化しにくくなる。加熱温度が250℃を超えると基材層形成樹脂含有液の粘度が低下するため、樹脂シートの厚みの精度が悪くなる。また加熱温度精度が±0.5℃/cmより大きくなると樹脂シートの厚みの精度が悪くなり外観不良が生じやすくなる。
【0060】
基材層形成樹脂含有液を吐出させるダイ(2)の温度は10〜40℃が好ましく、さらに好ましくは20〜30℃がよい。またダイの温度精度は±0.5℃以下が好ましく、さらに好ましくは±0.1℃以下がよい。ダイの温度が10℃未満になると、基材層形成樹脂含有液の粘度が上昇するため、操作性の面で問題がある。40℃を超えるとダイ中で基材層形成樹脂の硬化が進むので塗工が困難となる。またダイの温度精度が±0.5℃より大きくなると、樹脂シートの厚みの精度が悪くなり外観不良が生じやすくなる。
【0061】
吐出させる基材層形成樹脂含有液の粘度は0.1Pa・s〜50Pa・sが好ましく、エクストルージョンコートを行う場合は15Pa・s〜30Pa・sが好ましい。前記樹脂含有液の粘度が0.1Pa・s未満の場合は樹脂シートの厚みの精度が悪くなる。前記樹脂含有液の粘度が50Pa・sを超える場合は操作性が悪くなる。
【0062】
また基材層形成樹脂含有液の塗布方法としては、カーテンコート、エクストルージョンコート、ロールコート等が好ましく、特に好ましくはエクストルージョンコートがよい。
【0063】
また加熱装置のエンドレスベルトの裏面にはガイドロールを設置しており、水平度レベルセンサーによって水平レベルを調整することができる。支持体水平レベルは1mm/(5×有効巾)mm以下が好ましく、さらに好ましくは1mm/(40×有効巾)mm以下がよい。水平レベルが1mm/(5×有効巾)mmよりも大きい場合は樹脂シートの厚みの精度が悪くなる。
【0064】
流延法でハードコート層を2層有する樹脂シートを得るためには、エンドレスベルトとは反対の最外層にハードコート層形成樹脂溶液を塗布して乾燥、あるいは必要に応じて加熱または光照射等により硬化処理すればよい。この場合、第1のハードコート層、ガスバリア層、基材層からなる積層体をエンドレスベルト1より剥離後スピンコート法や単板ダイコータ等により第2のハードコート層を形成することができる。またハードコート層形成樹脂溶液に透明粒子を含有させることにより、透明粒子を含有したハードコート層を形成することができる。
【0065】
また、支持体の両側に液流れ防止の堰を耐熱性の樹脂で設けてもよい。具体的にはポリエチレンテレフタレート等が好ましく用いられる。
【0066】
支持体からの樹脂シートの回収に際しては、必要に応じ剥離手段を用いることができる。またかかる回収は、割れ防止などの点よりガラス転移点以上の等の高温雰囲気下で行うことが好ましい。さらに形成された連続状態の樹脂シートは、レーザー光線や超音波カッター、ダイシングやウォータージェットなどの適宜な切断手段を介し適宜な寸法に切断して回収することもできる。前記の流延法によれば、支持体を介した展開層の移動速度の調節で製造速度を容易に制御でき、またその移動速度や展開量の調節で得られる樹脂シートの厚さも容易に制御することができる。このようにして回収した樹脂シートのハードコート層上に低屈折率層を適宜な方法で形成することにより、本発明の反射防止シートを得ることができる。
【0067】
図3〜図5には、本発明の液晶セル基板(反射防止樹脂シート)(31)を搭載した液晶表示装置の構成例を示した。図中、17が低屈折率層、18がハードコート層、19がガスバリア層、20が基材層である。118は透明粒子を含有するハードコート層である。
【0068】
液晶表示装置は一般に、偏光板、液晶セル、反射板又はバックライト、及び必要に応じての光学部品等の構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成される。本発明においては、上記した液晶セル基板を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じて形成することができる。従って、本発明における液晶表示装置の形成に際しては、例えば視認側の偏光板の上に設ける光拡散板、アンンチグレア層、反射防止膜、保護層、保護板、あるいは液晶セルと視認側の偏光板の間に設ける補償用位相差板などの適宜な光学部品を前記液晶セル基板に適宜に組み合わせることができる。なお、本発明においては、視認性向上のために、透明粒子含有ハードコート層が液晶層に最も近くなるような視認側に液晶セル基板を配置することが望ましい。
【0069】
次いで、有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
【0070】
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0071】
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
【0072】
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0073】
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
【0074】
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0075】
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
【0076】
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0077】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。各例中、特に言及しない限り、部および%は重量基準である。本発明の屈折率の測定は、(株)アタゴ製アッベ屈折率計により行った。
【0078】
実施例1
(低屈折率層形成剤の調製)
トリデカフルオロヘキシルトリエトキシシラン1モル部に対し、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1モル部を配合し、さらにエタノール溶媒にて固形成分が約1%になるように調整して、低屈折率層形成剤を調製した。
【0079】
(ハードコート層形成樹脂液の調製)
UV硬化樹脂であるNKオリゴUN−01(新中村化学製;固形分85%)100重量部、イルガキュア♯184(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製)3重量部に、トルエン450重量部を混合攪拌して、樹脂固形分濃度16%のハードコート層形成樹脂溶液を得た。
【0080】
(基材層形成樹脂液の調製)
(化2)の化学式で示される3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート400重量部と(化3)の化学式で示されるメチルヘキサヒドロ無水フタル酸500重量部、(化4)の化学式で示されるテトラ−n−ブチルホスホニウムo,o−ジエチルホスホロジチオエート15重量部、グリセリン9重量部、界面活性剤1重量部を混合攪拌して基材層形成樹脂含有液を得た。
【0081】
【化2】
【化3】
【化4】
【0082】
(液晶セル基板の作製)
次に、図2に示した金型を用いて、注型法により液晶セル基板を製造した。その製造方法を図2及び図3を参照しながら説明する。
【0083】
まず、金型として1枚は450mm×450mm、表面粗さRa=5nmの無垢金型(13)を用いた。もう一方は450mm×450mm、表面粗さRa=100nm、山谷間隔30μmに表面加工した表面加工金型(14)を用いた。まず、無垢金型(13)の加工面にハードコート層形成樹脂溶液をスピンコートにより塗布し、トルエンを乾燥後、UVを照射(中心波長254nm、積算光量2000mJ/cm2)して、膜厚2μmのハードコート層(18)を形成した。次に他方の表面加工金型(14)の加工面にハードコート層形成樹脂溶液をスピンコートにより塗布し、トルエンを乾燥後、UVを照射(中心波長254nm、積算光量2000mJ/cm2)して、膜厚が2μmのハードコート層(18)を形成した。ハードコート層の屈折率は1.51であった。
【0084】
次に、表面加工金型(14)に形成されたハードコート層(18)上にポリビニルアルコール(重合度:1,800)の5.5重量%水溶液をスピンコート法で塗布後乾燥して硬化し、膜厚3.7μmのガスバリア層(19)を形成した。
【0085】
次に、その2枚の金型の樹脂形成面を向かい合わせるようにして、図2に示したように、隙間調整用スペーサー(16)及びシーリング剤(15)を介して、隙間の幅が400μmとなるように注型用金型を組み立てた。その隙間に上記で調製した基材層形成樹脂含有液を注入し、120℃×30分+180℃×1時間硬化させた。その後、2枚の金型を、割り開くと同時に、樹脂層と金型の界面を剥離して樹脂シートを取り出した後、ハードコート層(18)上に上記で調製した低屈折率層形成剤を、乾燥・硬化時に平均厚み約100nmになるように塗工して低屈折率層(17)を形成し、反射防止樹脂シート(31)からなる液晶セル基板<a>を得た。この時の乾燥・硬化条件は90℃、40時間とした。低屈折率層の屈折率は1.40であった。
【0086】
得られた液晶セル基板<a>は、金型の凹凸部が転写された面は表面粗さRa=100nm、山谷間隔は45μmであり、もう一方は表面粗さRa=5nmであった。また液晶セル基板<a>の平均厚みは400μm、厚みの標準偏差は9μmであった。
【0087】
次に、液晶を挟んでもう一方の液晶セル基板を以下のように作製した。まず2枚の表面無垢金型に上記ハードコート層形成樹脂溶液を塗布後乾燥させハードコート層(18)を形成した。次にその2枚の金型の樹脂形成面を向かい合わせるようにして、図2に示したように、隙間調整用スペーサー及びシーリング剤を介して、隙間の幅が400μmとなるように注型用金型を組み立てた。
【0088】
そしてその隙間に、黒色顔料三菱カーボンブラックMA100を、基材層形成樹脂含有液:MA100=10:1(重量比)の割合で分散した黒色顔料含有基材層形成樹脂含有液を注入した後、120℃×30分+180℃×1時間硬化させ、金型より液晶セル基板<b>を取り出した。得られた液晶セル基板<b>は、両面の表面粗さRa=4nm、平均厚みは400μm、厚みの標準偏差は8μmであった。
【0089】
(液晶セルの作製)
得られた液晶セル基板<a>と<b>を所定の形状に切り出した後、Ar雰囲気中でプラズマ処理を施し、酸化インジウム・スズ(ITO)薄膜をスパッタリングにて形成した。次に、液晶セル基板<a>のハードコート層(18)上、および樹脂シート<b>のどちらか片面のハードコート層上にITO薄膜(21)を形成した。
【0090】
その後、液晶セル基板<a>のITO薄膜(21)を2分割した後、ラビング膜(22)のラビング方向が直交するように上記基板の一対をITO薄膜(21)を対向させて、球形のガラスビーズよりなるギャップ調整材を配した後、シール材で固定した。その後、トリメチルプロパントリアクリレート(TMPTA)10部、および2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)10部、およびアクリルオリゴマー(東亜合成化学「M−1200」)25部、光硬化開始剤としてメルク社製「ダロキュア−1173」を0.5部、液晶としてBDH社製液晶「E7」を50部混合し、均一に溶解させた混合液を注入した。その後、セルの液晶セル基板<a>側から紫外線を照射し、図3に例示の液晶セルを作製した。
【0091】
実施例2
(透明粒子含有ハードコート層形成樹脂液の調製)
UV硬化樹脂であるNKオリゴUN−01(新中村化学製)100重量部、イルガキュア♯184(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製)3重量部、平均粒径が1.8μmの合成シリカ粒子(屈折率1.46)28重量部に、トルエン450重量部を混合攪拌して樹脂固形分濃度20%の透明粒子含有ハードコート層形成樹脂溶液を得た。
【0092】
1層のハードコート層が透明粒子を含有するように、表面無垢な金型に透明粒子含有ハードコート層形成樹脂溶液を塗布した以外は、実施例1と同様にして液晶セル基板<a’>を形成した。その後、実施例1と同様に液晶セル基板<b>と組合せ、図4に例示の液晶セルを作製した。
【0093】
実施例3
図1に示す装置を用いて、流延法により液晶セル基板を製造した。まず実施例1で調製したハードコート層形成樹脂溶液をダイ(7)より吐出させ、ステンレス製エンドレスベルト(1)(表面粗さRa=100nm、山谷間隔30μm)に走行速度:0.2m/分で流延塗布し、トルエンを揮発させて、UV硬化装置(8)で硬化(中心波長254nm、積算光量2000mJ/cm2)し、膜厚5μm、幅500mmのハードコート層(11)を得た。
【0094】
続いて、ポリビニリルアルコールの5.5重量%水溶液を、ダイ(9)より吐出させ、ハードコート層上に流延塗布し、加熱乾燥(60℃×10分)させ、膜厚4μm、幅450mmのガスバリア層(10)を得た。
【0095】
得られたハードコート層、ガスバリア層の両端に幅40mmの耐熱PET基材テープ(MT−3155:日東電工社製)を貼付け、実施例1と同様の基材層形成樹脂含有液(20Pa・s、25℃)を、ダイ2より吐出させ、上記ガスバリア層の表面に、塗工幅430mmで流延塗布し、加熱装置(3)により、90℃×5分、120℃×5分、140℃×15分で硬化させて基材層(6)を形成し、130℃に温調されたドラム(5)上でステンレス製エンドレスベルトとハードコート層間で剥離を行い430mm幅の液晶セル基板を得た。尚、加熱部の支持体水平レベルを200μm/1000mm、支持体上下より熱風加熱を行い温度精度0.4℃/cmとした。ハードコート層上に実施例1で調製した低屈折率層形成剤を、実施例1と同様の条件にて塗工し低屈折率層を形成し、反射防止樹脂シートからなる液晶セル基板<c>を得た。
【0096】
得られた液晶セル基板<c>を流れ方向に490mm間隔で切断を行い、490mm×490mmのサイズとした。得られた液晶セル基板<c>の厚みの平均は400μm、標準偏差は7μmであった。なお、厚みの平均値、及び標準偏差は480mm×480mmの面内で60点測定して求めた。また、表面粗さは、基材層側でRa=0.2nm、低屈折率層側でRa=100nmであった。なお、表面粗さは、480mm×480mmの面内で10点測定した平均値である。
【0097】
続いて、液晶セル基板<c>のハードコート層側にITO薄膜を形成し、実施例1と同様に液晶セル基板<b>と組合せ、図5に例示の液晶セルを作製した。
【0098】
比較例1
ハードコート層上に低屈折率層を形成しない以外は、実施例1と同様にして液晶セル基板<d>を作製した。次に実施例1と同様に液晶セル基板<b>と組合せ、図6に例示の液晶セルを作製した。
【0099】
(評価試験)
実施例1〜3及び比較例1で作製した液晶セルを用いて液晶表示装置を組み立て、暗室中で20°の角度でリング状照明装置を照射して、液晶表示装置の電圧印加状態で黒色表示の表示品位を調べ、電圧無印加状態で白色表示の表示品位を調べた。
【0100】
(反射率)
反射防止樹脂シートの低屈折率層とは反対側の最外層を、サンドペーパーを用いて荒らした後、黒のアクリルラッカーを塗布して反射防止層に対して裏面側の反射光をなくした状態で、傾斜積分球付き分光光度計(島津製作所製UV−2400)を用いて、全反射率を測定した。なお、反射率の測定にあたっては、上記分光反射率からCIE1931XYZ表色系に基づき、C光源に対する視感度補正した反射率Yを採用した。
【0101】
実施例1〜3においては、黒色表示、白色表示ともに表示品位は良好であった。一方、比較例1においては、白色表示においてリング状照明の映り込みが見られた。また、実施例1〜3で得た樹脂シートの反射率は2.6%であったが、比較例1では3.2%となった。以上の結果から、低屈折率層を設けた場合は、反射が抑制されていた。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、基材層、ガスバリア層、外側表面に凹凸構造を有するハードコート層がこの順で積層され、かつ、前記ハードコート層上に当該ハードコート層形成樹脂よりも屈折率の低い材料よりなる低屈折率層が形成されているため、蛍光灯や太陽光等の照明光やキーボーダーなどの外部環境が画面上に映り込む、いわゆるゴースト現象を防止する防眩機能を有するとともに、薄型かつ軽量の反射防止樹脂シートが得られる。
【0103】
この反射防止樹脂シートを液晶セル基板、有機EL表示装置用基板等の画像表示装置用基板に用いることにより、ガラス系基板に比べて薄型かつ軽量で、しかも耐久性に優れた基板となる。また液晶セル基板に防眩機能が付与されることにより、防眩シートを液晶セルの視認側に貼り付ける必要がなくなり、その結果液晶セルの薄型、軽量化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】流延法による液晶セル基板の製造方法の一例を説明する図である。
【図2】注型法による液晶セル基板の製造方法の一例を説明する図である。
【図3】実施例1の液晶セルの構成を示す断面模式図である。
【図4】実施例2の液晶セルの構成を示す断面模式図である。
【図5】実施例3の液晶セルの構成を示す断面模式図である。
【図6】比較例1の液晶セルの構成を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1:エンドレスベルト(支持体)
2:基材層塗布用ダイ
3:加熱装置
4:駆動ドラム
5:従動ドラム
6:基材層
7:ハードコート層塗布用ダイ
8:UV硬化装置
9:ガスバリア層塗布用ダイ
10:ガスバリア層
11:ハードコート層
12:端部補強テープ
13:表面無垢金属金型
14:表面加工金属金型
15:シーリング材
16:隙間調整用スペーサー
17:低屈折率層
18:ハードコート層
118:透明粒子を含有するハードコート層
19:ガスバリア層
20:基材層
21:ITO
22:ラビング膜
23:液晶
24:黒色顔料を有する基材層
31:液晶セル基板(反射防止樹脂シート)
Claims (10)
- 基材層、ガスバリア層、外側表面に凹凸構造を有するハードコート層がこの順で積層され、かつ、前記ハードコート層上に当該ハードコート層形成樹脂よりも屈折率の低い材料よりなる低屈折率層が形成されてなることを特徴とする反射防止樹脂シート。
- 前記ハードコート層の屈折率が1.45〜1.80であり、かつ、前記低屈折率層の屈折率が1.35〜1.50であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止樹脂シート。
- 前記凹凸構造の表面粗さが80nm〜500nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止樹脂シート。
- 前記凹凸構造の山谷間隔が20μm〜80μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止樹脂シート。
- 前記基材層がエポキシ系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止樹脂シート。
- 前記ハードコート層がウレタン系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止樹脂シート。
- 前記凹凸構造が、支持体表面に形成された凹部の転写により形成されたものである請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止樹脂シート。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止樹脂シートからなることを特徴とする画像表示装置用基板。
- 請求項8に記載の画像表示装置用基板を用いたことを特徴とする画像表示装置。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止樹脂シートからなることを特徴とする太陽電池用基板。
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-
2002
- 2002-05-30 JP JP2002158011A patent/JP2004004175A/ja not_active Withdrawn
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