JP2004002294A - ジアミンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ジアルデヒドを原料とし、高収率で工業的に有利に、不純物を低減させたジアミンを製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】(1)ジアルデヒドを、アルコールと水素化触媒の存在下に、アンモニアおよび水素と反応させることにより対応するジアミンを合成し、(2)工程(1)で得られる反応混合液を蒸留することにより該反応混合液からアルコールを分離回収し、(3)工程(2)で得られる蒸留残査を精製することによりジアミンを分離取得し、そして(4)工程(2)で得られるアルコールの少なくとも一部を工程(1)に供給して、ジアミンを合成するに際し、工程(1)の反応器内に含まれる一級アミンの量に対してアンモニアの量を200倍モル以上とすることを特徴とするジアミンの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】(1)ジアルデヒドを、アルコールと水素化触媒の存在下に、アンモニアおよび水素と反応させることにより対応するジアミンを合成し、(2)工程(1)で得られる反応混合液を蒸留することにより該反応混合液からアルコールを分離回収し、(3)工程(2)で得られる蒸留残査を精製することによりジアミンを分離取得し、そして(4)工程(2)で得られるアルコールの少なくとも一部を工程(1)に供給して、ジアミンを合成するに際し、工程(1)の反応器内に含まれる一級アミンの量に対してアンモニアの量を200倍モル以上とすることを特徴とするジアミンの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジアルデヒドから対応するジアミンを製造する方法に関する。本発明により製造されるジアミンは、ポリアミドやポリウレタンなどの高分子原料として、また各種化学品の原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
ジアルデヒドとアンモニアおよび水素とを水素化触媒の存在下に反応させることにより、ジアミンを製造する様々な方法が知られている。例えば、(1)ジアルデヒドをアンモニア、水素および水素化触媒を含む反応器中へ、ジアルデヒドの消失速度よりも大きくない速度で供給する方法が報告されており、触媒としてラネーニッケル、溶媒として水を用いて収率60%でジアミンを得ている実施例が示されている(特許文献1参照)。(2)水素化触媒、溶媒、水素およびアンモニアが存在する反応系にジアルデヒドのアルコール溶液を供給する方法が報告されており、その実施例では、触媒としてラネーニッケル、溶媒としてメタノールまたはエタノールを用いて収率86.9〜91.6%でジアミンが得られており、アルコール溶媒を使用しない場合には、反応液がポリマー化して目的物は全く得られないことが示されている(特許文献2参照)。
【0003】
(3)ジアルデヒドをアルコールなどの希釈剤と混合する際に、混合温度を最高5℃に制限し、それによってヘミアセタールの形成を抑えて調製した混合物を、還元アミノ化の反応器に加える方法が報告されており、その実施例では、ジアルデヒドとして1,8−オクタンジアルデヒドを用い、シリカ/アルミナ上にニッケルを担持した触媒を用い、希釈剤としてメタノールを用いた場合に収率95%、トルエンを用いた場合に収率90.1%、メチルt−ブチルエーテルを用いた場合に収率87.8%で、それぞれ1,8−オクタンジアミンが得られている(特許文献3参照)。(4)水素化触媒として無機酸化物に担持されたニッケル触媒を用いる方法が報告されており、その実施例では、ジアルデヒドとして1,9−ノナンジアールと2−メチル−1,8−オクタンジアールの混合物を用い、ケイソウ土に担持されたニッケル触媒を用い、溶媒として1−ブタノ−ルを用いた場合に収率92.6%、メタノールを用いた場合に収率93.5%、2−プロパノールを用いた場合に収率89.0%、テトラヒドロフランを用いた場合に収率92.1%、1,4−ジオキサンを用いた場合に収率91.2%で、それぞれ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物が得られている(特許文献4参照)。
【0004】
(5)ジアルデヒドに対して4モル%以下の、アンモニアを除くアミン化合物の存在下に該ジアルデヒドを低級アルコールに溶解して還元アミノ化する方法が報告されており、その実施例では、ジアルデヒドとして1,9−ノナンジアールと2−メチル−1,8−オクタンジアールの混合物を用い、触媒としてラネーニッケルを用い、溶媒としてメタノールを用いた場合に、トリエチルアミンなどのアミン化合物を添加することにより、最高で95%の1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物が得られている(特許文献5参照)。(6)溶媒として炭素数3〜10のアルコール系溶媒を用いて還元アミノ化する方法が報告されており、その実施例では、ジアルデヒドとして1,9−ノナンジアールと2−メチル−1,8−オクタンジアールの混合物を用い、ラネーニッケル触媒を用い、溶媒としてn−ブタノ−ルを用いた場合に収率90.5%、イソプロピルアルコールを用いた場合に収率92.0%、n−オクチルアルコールを用いた場合に収率90.8%で、それぞれ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物が得られ、またケイソウ土に担持されたニッケル触媒を用い、溶媒としてn−ブタノ−ルを用いた場合に収率97%で1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物が得られ、さらにジアルデヒドとして3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0]デカンジカルバルデヒドを用い、ラネーニッケル触媒を用い、溶媒としてn−ブタノ−ルを用いた場合に収率91.6%でトリシクロデカンジメタナミンが得られている(特許文献6参照)。
【0005】
(7)溶媒としてアルコール系溶媒を用い、反応液中の水濃度が5〜15重量%の範囲で反応を行う方法が開示されており、その実施例では、ジアルデヒドとして1,9−ノナンジアールと2−メチル−1,8−オクタンジアールの混合物を用い、溶媒としてn−ブタノールを用いた場合に収率96%、メタノールを用いた場合に収率95%、イソアミルアルコールを用いた場合に収率95%で、それぞれ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物が得られ、またジアルデヒドとして3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0]デカンジカルバルデヒドを用い、溶媒としてn−ブタノ−ルを用いた場合に収率96%でトリシクロデカンジメタナミンが得られている(特許文献7参照)。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第2636051号明細書(第9〜12欄)
【特許文献2】
特開平5−17413号公報(第2〜4頁)
【特許文献3】
特開平7−69999号公報(第2頁および第5〜6頁)
【特許文献4】
特開平7−196586号公報(第2頁および第5頁)
【特許文献5】
特開平10−130210号公報(第2頁および第4頁)
【特許文献6】
特開平10−310559号公報(第2頁および第4〜5頁)
【特許文献7】
特開平11−29534公報(第2頁および第4〜6頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の溶媒として水を用いる方法(1)は、ジアミンの収率が低いという問題点がある。上記の方法(2)〜(7)を参照すれば、ジアミンを高収率で得るには、溶媒としてメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、イソアミルアルコール、n−オクチルアルコールなどのアルコール;トルエンなどの芳香族炭化水素;またはメチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテルを用いるのが適当であることが示唆される。
【0008】
本発明者らは、溶媒と反応成績の関係について検討した結果、本明細書の参考例1に示すように、溶媒として炭素数3以上のアルカノール、トルエンなどの芳香族炭化水素およびメチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテルを使用した場合には、メタノールおよびエタノールを使用した場合に比べて、生産性が低く、目的物の収率が低下することが判明した。これより、高い収率と高い生産性で工業的に有利にジアミンを製造するには、溶媒としてメタノールまたはエタノールを用いる方法が最適であるとの知見を得た。
【0009】
本発明者らは、溶媒としてメタノールまたはエタノールを用いてジアミンを製造する方法を鋭意検討した結果、ジアミンを合成する反応条件下において、メタノールまたはエタノールから対応するメチル基またはエチル基を有する一級アミンであるメチルアミンまたはエチルアミンが少量副生することが判明した。さらに、反応に使用したアルコール溶媒は経済性および環境負荷低減の観点から使い捨てにはせず、蒸留分離などの回収操作により反応に再使用することが一般的であるが、かかる操作を繰り返すことにより、少量副生した上記の一級アミンは回収アルコール溶媒中に次第に蓄積されてしまう。ところが、当該一級アミンと原料のジアルデヒドから、アミノ基の水素原子がメチル基またはエチル基に置換されたジアミンが生成される。かかるN−メチル置換ジアミンまたはN−エチル置換ジアミンは、目的物のジアミンと沸点などの物性が類似しており、蒸留などの分離操作で分離することが難しく、目的物であるジアミンの不純物となり、このようなジアミンを高分子原料や化学品原料として使用する場合、最終製品の物性を劣化させることになる。
【0010】
上記の方法(2)〜(5)および(7)には、前記のアルコール溶媒からの一級アミンの生成、アルコール溶媒を回収使用することによる該アルコール溶媒への一級アミンの蓄積、これに伴うN―アルキル置換ジアミンの生成などについて何ら言及されておらず、その対応は一切取られていない。また上記の方法(6)には、アルコール溶媒由来のN―アルキル置換ジアミンの生成について記載されているが、本明細書の参考例1に示すように収率と生産性の観点から最適の溶媒であるメタノールまたはエタノールの選択、これらアルコール溶媒に由来するN―アルキル置換ジアミンの生成を抑制する方法については何ら言及されていない。
【0011】
本発明の目的は、ジアルデヒドを原料とし、アルコールを溶媒として回収再使用し、かつアルコール由来のジアミン不純物を低減させて、高収率で工業的に有利にジアミンを製造する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、メタノールまたはエタノールを溶媒として用いたジアルデヒドの還元アミノ化反応において、該アルコールに由来する一級アミンから生成するN―アルキル置換ジアミンの抑制方法について検討した結果、反応条件下における該一級アミンに対するアンモニアのモル比を一定量より多く保つことにより、驚くべきことにN−アルキル置換ジアミンの生成が抑制できることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
すなわち、本発明は、(1)ジアルデヒドを、下記一般式(I)
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、Rはメチル基またはエチル基を表す。)
で示されるアルコール[以下、これをアルコール(I)と略称する]と水素化触媒の存在下に、アンモニアおよび水素と反応させることにより対応するジアミンを合成し、
(2)工程(1)で得られる反応混合液を蒸留することにより該反応混合液からアルコール(I)を分離回収し、
(3)工程(2)で得られる蒸留残査を精製することによりジアミンを分離取得し、そして
(4)工程(2)で得られるアルコール(I)の少なくとも一部を工程(1)に供給して、
ジアミンを合成するに際し、工程(1)の反応器内に含まれる下記一般式(II)
【0016】
【化4】
【0017】
(式中、Rは前記定義のとおりである。)
で示される一級アミン[以下、これを一級アミン(II)と略称する]の量に対してアンモニアの量を200倍モル以上とすることを特徴とするジアミンの製造方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
ジアルデヒドとしては、例えば、ブタンジアール、ヘキサンジアール、オクタンジアール、ノナンジアール、デカンジアール、ウンデカンジアール、ドデカンジアール、テトラデカンジアール、ヘキサデカンジアール、オクタデカンジアール、エイコサンジアールなどの直鎖脂肪族ジアルデヒド;2−メチルオクタンジアール、2−メチルノナンジアール、2,7−ジメチルオクタンジアールなどの分岐鎖脂肪族ジアルデヒド;1,3−シクロヘキサンジカルバルデヒド、1,4−シクロヘキサンジカルバルデヒド、3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0]デカンジカルバルデヒド、2(3),5(6)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルバルデヒドなどの脂環式ジアルデヒド;テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒドなどの芳香族ジアルデヒドなどが使用される。これらのジアルデヒドは、公知化合物であり、例えば炭素数が1個少ない不飽和アルデヒドまたは2個少ないジオレフィンのヒドロホルミル化反応により容易に合成することができる。また、同じ炭素数を有する環状オレフィンのオゾン分解とそれに続く還元反応、または同じ炭素数を持つジカルボン酸の還元反応によっても得ることができる。
【0019】
ジアルデヒドの濃度は、特に制限されないが、反応液全体に対して5〜30重量%の範囲であるのが好ましい。ジアルデヒドの濃度が5重量%未満である場合には、反応の容積効率が小さくなって生産性が小さい上、ジアミンの分離精製工程におけるアンモニアおよび溶媒の回収量が多くなり、設備負担が増大するので工業的な価値が小さくなる傾向となる。また、30重量%を超える場合には、反応系中においてポリマーなどの副生成物の生成量が増大する傾向となり、ジアミンの収率および水素化触媒の活性が共に低下する傾向となる。
【0020】
溶媒として使用するアルコール(I)は、具体的にはメタノールまたはエタノールである。これら溶媒の使用量は、特に制限されないが、ジアルデヒドに対して0.5〜50倍重量の範囲であるのが好ましく、2〜10倍重量の範囲であるのがより好ましい。
【0021】
水素化触媒としては、例えば、ラネーニッケル、ラネーコバルト、ラネー銅などのラネー触媒;ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、銅などの水素化活性のある金属を珪藻土、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、粘土、チタニア、ジルコニア、マグネシア、カルシア、酸化ランタン、酸化ニオブ、炭素などの担体に担持してなる担持触媒を用いることができる。水素化触媒は粉末状、粒状、円柱状などのいずれの形状のものでもよい。水素化触媒の使用量は、所望の反応速度に応じて変化させることができるが、反応混合物に対して0.01〜30重量%の範囲であるのが好ましく、0.1〜10重量%の範囲であるのがより好ましい。水素化触媒は反応液相に懸濁させて使用してもよいし、固定床として使用してもよい。また、水素化触媒は反応前に水素による活性化処理を行った後に使用することもできる。
【0022】
アンモニアの使用量は、工程(1)の反応器内のアルコールに由来して生成した一級アミン(II)の量に対して200倍モル以上となるように設定する必要がある。一級アミン(II)に対して200倍モル以上のアンモニアを使用することにより、アルコール由来のジアミン不純物の生成を十分に抑制することができる。さらに、アンモニアの使用量は、ジアルデヒドに対して2〜300倍モルの範囲であるのが好ましく、5〜100倍モルの範囲であるのがより好ましく、5〜50倍モルの範囲であるのが特に好ましい。アンモニアの使用量がジアルデヒドに対して2倍モルよりも少ない場合には、ジアミンの収率が低下する傾向となり、また300倍モルよりも多い場合には、未反応のアンモニアを回収するための設備が過大となって実用的に不利となる。
【0023】
反応温度は40〜200℃の範囲であるのが好ましく、100〜180℃の範囲であるのがより好ましい。反応温度が40℃より低い場合には、反応の進行が極めて遅くなる傾向となり、200℃より高い場合には、ポリマーなどの副生成物の量が増大し、収率低下を引き起こす傾向となる。
【0024】
反応圧力は特に制限されないが、水素分圧として0.1〜20MPaの範囲であるのが好ましく、0.5〜15MPaの範囲であるのがより好ましい。なお、反応で消費された水素を補給するように水素を追加してもよく、水素を常に反応系に流通させながら反応を行ってもよい。
【0025】
反応は、回分式または連続式のいずれの方式でも行うことができるが、水素化速度より遅い速度でジアルデヒドを反応器に供給する方法、すなわちジアルデヒドまたは反応中間体が反応器内に蓄積しないような速度でジアルデヒドを供給する方法が推奨される。回分式反応器の場合には、水素化触媒、溶媒、アンモニアおよび水素が充填された反応器に、ジアルデヒドまたはジアルデヒドを溶媒に溶解させて得られた溶液を、水素化速度より遅い速度で供給しながら反応させる方法が好ましい。また、連続式の場合は、例えば、水素化触媒、溶媒および水素が充填された反応器に、ジアルデヒドまたはジアルデヒドを溶媒に溶解させて得られた溶液およびアンモニアを、水素化速度より遅い速度で供給しながら反応させる方法が好ましい。なお、ジアルデヒドまたはジアルデヒドを溶媒に溶解させて得られた溶液の反応器への供給は、一定速度で連続的に行ってもよく、また断続的に行ってもよい。
【0026】
上記の反応により、ジアルデヒドに対応するジアミンが得られる。ジアミンとしては、例えば、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、オクタデカンジアミン、エイコサンジアミンなどの直鎖脂肪族ジアミン;2−メチルオクタンジアミン、2−メチルノナンジアミン、2,7−ジメチルオクタンジアミンなどの分岐鎖脂肪族ジアミン;1,3−シクロヘキサンジメタナミン、1,4−シクロヘキサンジメタナミン、3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0]デカンジメタナミン、2(3),5(6)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジメタナミンなどの脂環式ジアミン;p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンなどが挙げられる。
【0027】
工程(1)で得られる反応混合液を蒸留することにより、アンモニアが分離回収され、次いで溶媒として使用したアルコール(I)が分離回収される[工程(2)]。その蒸留残査をさらに精密蒸留、再結晶などの精製操作により高純度のジアミンを分離取得することができる[工程(3)]。
【0028】
工程(2)で得られるアルコール(I)の少なくとも一部を工程(1)に供給し[工程(4)]、再び工程(1)の反応に使用する。この際に、前記のとおり、アンモニアの使用量を、工程(1)の反応器内に含まれるアルコール(I)に由来して生成した一級アミン(II)の量に対して200倍モル以上となるように設定する必要がある。このようにアンモニアの使用量を調整することにより、目的物であるジアミンの不純物となるN−アルキル置換ジアミンの生成を抑制することができる。工程(1)の反応器内において、一級アミン(II)とアンモニアの量比を上記の範囲内に保つ方法としては、工程(2)でアルコール(I)を蒸留回収する際に、一級アミン(II)の少なくとも一部を蒸留精製により分離除去したアルコール(I)を工程(1)に供給し、工程(1)の反応器内において一級アミン(II)とアンモニアの量比が上記の範囲内になるようにすればよい。また別の方法としては、工程(2)で回収したアルコール(I)に含まれる一級アミン(II)の量を測定し、工程(1)の反応器内において一級アミン(II)とアンモニアの量比が上記の範囲内になるように、工程(1)で使用するアンモニア量を設定して、工程(2)で分離回収したアルコール(I)を工程(1)に供給すればよい。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例および比較例において、目的物のジアミン、アンモニア、副生した一級アミン(II)およびN−アルキル置換ジアミンの定量は次の方法により行った。
【0030】
(1)ジアミンおよびN−アルキル置換ジアミンの定量
粗反応混合液中または溶媒回収後の蒸留ボトム中に含まれるジアミンおよびN−アルキル置換ジアミンの定量は、次の条件下におけるガスクロマトグラフィー分析により行った。
【0031】
[分析条件]
カラム:財団法人化学品検査協会製G−205、長さ20m、フィルム厚さ2.0μm、直径1.2mm
注入温度および検出温度:280℃
昇温プログラム条件:140℃(8分間保持)→10℃/分→280℃(15分間保持)
【0032】
(2)アンモニアの定量
反応終了後、反応器内に残存していたアンモニアの定量は、硫酸水溶液を用いる方法により行った。すなわち、オートクレーブ内のガスを20重量%の硫酸を含む水溶液にくぐらせて残存しているアンモニアをトラップし、さらに、オートクレーブ内の粗反応混合液に窒素ガスを流通して該粗反応混合液に残存しているアンモニアを追い出し、硫酸水溶液にトラップし、トラップ後の硫酸残量をアルカリ滴定により求め、初期の硫酸量とアンモニアトラップ後の硫酸残量の差し引きから、アンモニアトラップに使用された硫酸の量を算出し、トラップされたアンモニアの量を求めて、これをアンモニアの残存量とした。
【0033】
(3)一級アミンの定量
反応終了後、反応器内に存在していた一級アミンの定量は、粗反応混合液から溶媒回収を行った蒸留留分、およびアンモニアの定量に用いた硫酸水溶液トラップを過剰の水酸化ナトリウムにより処理した後、溶媒回収を行った蒸留留分を、次の条件下におけるガスクロマトグラフィー分析に付すことにより行った。
【0034】
[分析条件]
カラム:ジェイ アンド ダブリュ サイエンティフィック インコーポレイテッド(J&W Scientific Incorporated)製キャピラリーカラムCAM、長さ30m、フィルム厚さ0.25μm、直径0.25mm注入温度および検出温度:40℃
昇温プログラム条件:35℃(一定)
【0035】
実施例1
(繰り返し反応1回目)
容量300ミリリットルの電磁攪拌式オートクレーブにメタノール63g、ケイソウ土に担持されたニッケル触媒(ニッケル含有率52%)1.15gを入れ、水素を導入して水素分圧を6MPaとした後、140℃に昇温し、この温度で2時間、触媒の還元処理を行った。オートクレーブを室温まで冷却してから水素を放圧した。次に、オートクレーブにアンモニア30.6gを仕込み、水素分圧3MPaをかけて140℃まで温度を上げた後、さらに水素を導入して全圧を8.5MPaにした。水素ガスを20リットル/時で流しながら、1,9−ノナンジアール13.5gおよび2−メチル−1,8−オクタンジアール5.2gをメタノール56.3gに溶解させて得られたメタノール溶液75gを1時間30分かけて高圧定量ポンプによりオートクレーブ内に供給した。これらの溶液を供給後、さらに1時間、140℃で攪拌下に水素ガスを通じた。
【0036】
反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.3gであった。粗反応混合液を取出し、濾過により触媒を分離し、得られた粗反応混合液を分析した結果、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。粗反応混合液から精留塔を備えた蒸留装置を用いてメタノール留分を回収した。また、アンモニアをトラップした硫酸水溶液を精留塔を備えた蒸留装置に仕込み、過剰の水酸化ナトリウムを加えて、アンモニアおよび少量含まれるメチルアミンを硫酸と遊離させた後、蒸留によりメチルアミンを含むメタノール留分を回収した。回収したメタノールは116.0gであった。このメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.09g含まれていた。また、蒸留後のボトム液を分析した結果、1,9−ノナンジアミンが12.7g(収率93%)、2−メチル−1,8−オクタンジアミンが4.9g(収率93%)得られた。
【0037】
この繰り返し反応1回目では、反応開始時の反応器内には、アンモニアは30.6g存在しており、メチルアミンは存在していない。反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.09g、アンモニア26.3g(メチルアミンに対して533倍モル量)が存在していた。
【0038】
(繰り返し反応2回目)
繰り返し反応2回目は、繰り返し反応1回目で回収したメタノールを用いて、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、回収メタノール留分に蒸留などの操作でロスした分だけの少量のメタノールを新たに追加して119.3gとして、最初にオートクレーブに仕込むメタノール63gおよびオートクレーブ内に供給する原料を溶解させたメタノール56.3gに分けて用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.2gであった。粗反応混合液を取出し、濾過により触媒を分離し、得られた粗反応混合液を分析した結果、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。繰り返し反応1回目と同じ方法により、粗反応混合液およびアンモニアをトラップした硫酸水溶液から精留塔を備えた蒸留装置を用いて溶媒回収を行った。この際に、メチルアミン0.08gを含むメタノール留分5.0gおよびメチルアミン0.11gを含むメタノール留分112.3gを回収した。蒸留後のボトム液を分析した結果、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は、それぞれ92%および92%であった。
【0039】
この繰り返し反応2回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.09g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して620倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.19g、アンモニア26.2g(メチルアミンに対して251倍モル量)が存在していた。
【0040】
(繰り返し反応3回目)
繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.11gを含むメタノール112.3gを用いて、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、回収メタノール留分にロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして、最初にオートクレーブに仕込むメタノール63gおよびオートクレーブ内に供給する原料を溶解させたメタノール56.3gに分けて用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.5gであった。また、繰り返し反応1回目と同様の方法により溶媒回収を行い、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.24g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は92%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は91%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0041】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.11g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して507倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.24g、アンモニア26.5g(メチルアミンに対して201倍モル量)が存在していた。
【0042】
比較例1
実施例1において繰り返し反応1回目および2回目と溶媒回収を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用い、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、メチルアミン0.19gを含む回収メタノール留分117.0gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして、最初にオートクレーブに仕込むメタノール63gおよびオートクレーブ内に供給する原料を溶解させたメタノール56.3gに分けて用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.4gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.32g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は92%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は92%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体が、両ジアミンに対して0.02モル%検出された。
【0043】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.19g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して294倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.32g、アンモニア26.4g(メチルアミンに対して150倍モル量)が存在していた。
【0044】
実施例2
実施例1において使用する溶媒をエタノールとした以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、エチルアミン0.12gを含むエタノール留分4.5gと、エチルアミン0.17gを含むエタノール留分113.0gを回収し、繰り返し反応3回目は繰り返し反応2回目で回収したエチルアミン0.17gを含むエタノール113.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.8gであった。また、溶媒回収を行って、回収したエタノールを分析した結果、エチルアミンが0.35g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は91%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は90%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にエチル基が導入されたN−エチル置換体は検出されなかった。
【0045】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、エチルアミン0.17g、アンモニア30.6g(エチルアミンに対して476倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、エチルアミン0.35g、アンモニア26.8g(エチルアミンに対して203倍モル量)が存在していた。
【0046】
比較例2
実施例2において繰り返し反応1回目と2回目を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したエチルアミンを多く含むエタノール留分とエチルアミンが少ないエタノール留分を合わせて用い、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、エチルアミン0.29gを含む回収エタノール留分117.0gにロス分のエタノールを新たに追加して119.3gとして用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.9gであった。また、溶媒回収を行って、回収したエタノールを分析した結果、エチルアミンが0.46g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は91%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は91%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にエチル基が導入されたN−エチル置換体が、両ジアミンに対して0.03モル%検出された。
【0047】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、エチルアミン0.29g、アンモニア30.6g(エチルアミンに対して279倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、エチルアミン0.46g、アンモニア26.9g(エチルアミンに対して155倍モル量)が存在していた。
【0048】
実施例3
実施例1において繰り返し反応1回目および2回目と溶媒回収を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用いた。すなわち、メチルアミン0.18gを含む回収メタノール留分116.5gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして、最初にオートクレーブに仕込むメタノール63gおよびオートクレーブ内に供給する原料を溶解させたメタノール56.3gに分けて用いた。また、アンモニアの仕込み量を38.5gとし、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は34.8gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.31g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は92%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は92%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0049】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.18g、アンモニア38.5g(メチルアミンに対して390倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.31g、アンモニア34.8g(メチルアミンに対して205倍モル量)が存在していた。
【0050】
比較例3
実施例1において繰り返し反応1回目および2回目と溶媒回収を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用いた。すなわち、メチルアミン0.18gを含む回収メタノール留分116.5gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして、最初にオートクレーブに仕込むメタノール63gおよびオートクレーブ内に供給する原料を溶解させたメタノール56.3gに分けて用いた。また、アンモニアの仕込み量を19.3gとし、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は15.3gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.30g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は90%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は90%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体が、両ジアミンに対して0.10モル%検出された。
【0051】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.18g、アンモニア19.3g(メチルアミンに対して196倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.30g、アンモニア15.3g(メチルアミンに対して93倍モル量)が存在していた。
【0052】
実施例4
実施例1において触媒としてラネーニッケル2.3gを使用した以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、メチルアミン0.10gを含むメタノール留分5.0gと、メチルアミン0.12gを含むメタノール留分112.0gを回収した。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.12gを含むメタノール112.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.6gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.24g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は92%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は92%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0053】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.12g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して465倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.24g、アンモニア26.6g(メチルアミンに対して202倍モル量)が存在していた。
【0054】
比較例4
実施例4において繰り返し反応1回目と2回目を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用い、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、メチルアミン0.22gを含む回収メタノール留分117.0gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.5gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.34g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は91%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は91%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体が、両ジアミンに対して0.05モル%検出された。
【0055】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.22g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して254倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.34g、アンモニア26.5g(メチルアミンに対して142倍モル量)が存在していた。
【0056】
実施例5
実施例1においてケイソウ土に担持されたニッケル触媒5.5gを使用し、反応温度を100℃とした以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、メチルアミン0.07gを含むメタノール留分5.0gと、メチルアミン0.10gを含むメタノール留分112.0gを回収した。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.10gを含むメタノール112.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.3gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.22g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は90%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は90%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0057】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.10g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して558倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.22g、アンモニア26.3g(メチルアミンに対して218倍モル量)が存在していた。
【0058】
比較例5
実施例5において繰り返し反応1回目と2回目を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用い、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、メチルアミン0.17gを含む回収メタノール留分117.0gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.5gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.30g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は92%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は92%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体が、両ジアミンに対して0.03モル%検出された。
【0059】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.17g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して328倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.30g、アンモニア26.5g(メチルアミンに対して161倍モル量)が存在していた。
【0060】
実施例6
実施例1においてケイソウ土に担持されたニッケル触媒0.35gを使用し、反応温度を180℃とした以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、メチルアミン0.10gを含むメタノール留分5.0gと、メチルアミン0.13gを含むメタノール留分112.0gを回収した。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.13gを含むメタノール112.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.8gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.24g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は91%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は91%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0061】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.13g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して429倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.24g、アンモニア26.8g(メチルアミンに対して204倍モル量)が存在していた。
【0062】
比較例6
実施例6において繰り返し反応1回目と2回目を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用い、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、メチルアミン0.23gを含む回収メタノール留分117.0gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.5gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.34g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は91%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は91%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体が、両ジアミンに対して0.03モル%検出された。
【0063】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.23g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して243倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.34g、アンモニア26.5g(メチルアミンに対して142倍モル量)が存在していた。
【0064】
実施例7
実施例1において反応器の全圧を5.5MPaとした以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、メチルアミン0.08gを含むメタノール留分5.0gと、メチルアミン0.11gを含むメタノール留分112.0gを回収した。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.11gを含むメタノール112.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.7gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.24g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は90%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は90%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0065】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.11g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して507倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.24g、アンモニア26.7g(メチルアミンに対して203倍モル量)が存在していた。
【0066】
比較例7
実施例7において繰り返し反応1回目と2回目を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用い、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、メチルアミン0.19gを含む回収メタノール留分117.0gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.3gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.32g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は91%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は91%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体が、両ジアミンに対して0.02モル%検出された。
【0067】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.19g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して294倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.32g、アンモニア26.3g(メチルアミンに対して150倍モル量)が存在していた。
【0068】
実施例8
実施例1において反応器の全圧を18MPaとした以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、メチルアミン0.10gを含むメタノール留分5.0gと、メチルアミン0.13gを含むメタノール留分112.0gを回収した。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.13gを含むメタノール112.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.9gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.24g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は90%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は90%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0069】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.13g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して429倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.24g、アンモニア26.9g(メチルアミンに対して204倍モル量)が存在していた。
【0070】
比較例8
実施例8において繰り返し反応1回目と2回目を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用い、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、メチルアミン0.23gを含む回収メタノール留分117.0gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.4gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.34g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は92%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は92%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体が、両ジアミンに対して0.03モル%検出された。
【0071】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.23g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して243倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.34g、アンモニア26.4g(メチルアミンに対して142倍モル量)が存在していた。
【0072】
実施例9
実施例1において反応器に供給する原料を1,6−ヘキサンジアール13.7gとした以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、メチルアミン0.09gを含むメタノール留分5.0gと、メチルアミン0.13gを含むメタノール留分112.0gを回収した。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.13gを含むメタノール112.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.5gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.23g含まれていた。得られた1,6−ヘキサンジアミンの収率は92%であった。この際、1,6−ヘキサンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0073】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.13g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して429倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.23g、アンモニア26.5g(メチルアミンに対して210倍モル量)が存在していた。
【0074】
実施例10
実施例1において反応器に供給する原料を3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0]デカンジカルバルデヒド23.0gとした以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、メチルアミン0.08gを含むメタノール留分5.0gと、メチルアミン0.11gを含むメタノール留分112.0gを回収した。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.11gを含むメタノール112.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.7gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.22g含まれていた。得られた3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0]デカンジメタナミンの収率は90%であった。この際、3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0]デカンジメタナミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0075】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.11g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して507倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.22g、アンモニア26.7g(メチルアミンに対して221倍モル量)が存在していた。
【0076】
参考例1
フィルター付きサンプリング管を備えたオートクレーブを用い、実施例1において表1に示す溶媒を用いた以外は同様にして繰り返し反応1回目を行った。原料のオートクレーブ内への供給が終了した直後と、供給終了後、140℃で1時間反応を追い込んだ後にサンプリングを行い、目的物の収率を調べた。結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、ジアルデヒドを原料とし、アルコールを溶媒として回収再使用し、かつアルコール由来のジアミン不純物を低減させて、高収率で工業的に有利にジアミンを製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジアルデヒドから対応するジアミンを製造する方法に関する。本発明により製造されるジアミンは、ポリアミドやポリウレタンなどの高分子原料として、また各種化学品の原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
ジアルデヒドとアンモニアおよび水素とを水素化触媒の存在下に反応させることにより、ジアミンを製造する様々な方法が知られている。例えば、(1)ジアルデヒドをアンモニア、水素および水素化触媒を含む反応器中へ、ジアルデヒドの消失速度よりも大きくない速度で供給する方法が報告されており、触媒としてラネーニッケル、溶媒として水を用いて収率60%でジアミンを得ている実施例が示されている(特許文献1参照)。(2)水素化触媒、溶媒、水素およびアンモニアが存在する反応系にジアルデヒドのアルコール溶液を供給する方法が報告されており、その実施例では、触媒としてラネーニッケル、溶媒としてメタノールまたはエタノールを用いて収率86.9〜91.6%でジアミンが得られており、アルコール溶媒を使用しない場合には、反応液がポリマー化して目的物は全く得られないことが示されている(特許文献2参照)。
【0003】
(3)ジアルデヒドをアルコールなどの希釈剤と混合する際に、混合温度を最高5℃に制限し、それによってヘミアセタールの形成を抑えて調製した混合物を、還元アミノ化の反応器に加える方法が報告されており、その実施例では、ジアルデヒドとして1,8−オクタンジアルデヒドを用い、シリカ/アルミナ上にニッケルを担持した触媒を用い、希釈剤としてメタノールを用いた場合に収率95%、トルエンを用いた場合に収率90.1%、メチルt−ブチルエーテルを用いた場合に収率87.8%で、それぞれ1,8−オクタンジアミンが得られている(特許文献3参照)。(4)水素化触媒として無機酸化物に担持されたニッケル触媒を用いる方法が報告されており、その実施例では、ジアルデヒドとして1,9−ノナンジアールと2−メチル−1,8−オクタンジアールの混合物を用い、ケイソウ土に担持されたニッケル触媒を用い、溶媒として1−ブタノ−ルを用いた場合に収率92.6%、メタノールを用いた場合に収率93.5%、2−プロパノールを用いた場合に収率89.0%、テトラヒドロフランを用いた場合に収率92.1%、1,4−ジオキサンを用いた場合に収率91.2%で、それぞれ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物が得られている(特許文献4参照)。
【0004】
(5)ジアルデヒドに対して4モル%以下の、アンモニアを除くアミン化合物の存在下に該ジアルデヒドを低級アルコールに溶解して還元アミノ化する方法が報告されており、その実施例では、ジアルデヒドとして1,9−ノナンジアールと2−メチル−1,8−オクタンジアールの混合物を用い、触媒としてラネーニッケルを用い、溶媒としてメタノールを用いた場合に、トリエチルアミンなどのアミン化合物を添加することにより、最高で95%の1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物が得られている(特許文献5参照)。(6)溶媒として炭素数3〜10のアルコール系溶媒を用いて還元アミノ化する方法が報告されており、その実施例では、ジアルデヒドとして1,9−ノナンジアールと2−メチル−1,8−オクタンジアールの混合物を用い、ラネーニッケル触媒を用い、溶媒としてn−ブタノ−ルを用いた場合に収率90.5%、イソプロピルアルコールを用いた場合に収率92.0%、n−オクチルアルコールを用いた場合に収率90.8%で、それぞれ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物が得られ、またケイソウ土に担持されたニッケル触媒を用い、溶媒としてn−ブタノ−ルを用いた場合に収率97%で1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物が得られ、さらにジアルデヒドとして3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0]デカンジカルバルデヒドを用い、ラネーニッケル触媒を用い、溶媒としてn−ブタノ−ルを用いた場合に収率91.6%でトリシクロデカンジメタナミンが得られている(特許文献6参照)。
【0005】
(7)溶媒としてアルコール系溶媒を用い、反応液中の水濃度が5〜15重量%の範囲で反応を行う方法が開示されており、その実施例では、ジアルデヒドとして1,9−ノナンジアールと2−メチル−1,8−オクタンジアールの混合物を用い、溶媒としてn−ブタノールを用いた場合に収率96%、メタノールを用いた場合に収率95%、イソアミルアルコールを用いた場合に収率95%で、それぞれ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物が得られ、またジアルデヒドとして3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0]デカンジカルバルデヒドを用い、溶媒としてn−ブタノ−ルを用いた場合に収率96%でトリシクロデカンジメタナミンが得られている(特許文献7参照)。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第2636051号明細書(第9〜12欄)
【特許文献2】
特開平5−17413号公報(第2〜4頁)
【特許文献3】
特開平7−69999号公報(第2頁および第5〜6頁)
【特許文献4】
特開平7−196586号公報(第2頁および第5頁)
【特許文献5】
特開平10−130210号公報(第2頁および第4頁)
【特許文献6】
特開平10−310559号公報(第2頁および第4〜5頁)
【特許文献7】
特開平11−29534公報(第2頁および第4〜6頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の溶媒として水を用いる方法(1)は、ジアミンの収率が低いという問題点がある。上記の方法(2)〜(7)を参照すれば、ジアミンを高収率で得るには、溶媒としてメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、イソアミルアルコール、n−オクチルアルコールなどのアルコール;トルエンなどの芳香族炭化水素;またはメチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテルを用いるのが適当であることが示唆される。
【0008】
本発明者らは、溶媒と反応成績の関係について検討した結果、本明細書の参考例1に示すように、溶媒として炭素数3以上のアルカノール、トルエンなどの芳香族炭化水素およびメチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテルを使用した場合には、メタノールおよびエタノールを使用した場合に比べて、生産性が低く、目的物の収率が低下することが判明した。これより、高い収率と高い生産性で工業的に有利にジアミンを製造するには、溶媒としてメタノールまたはエタノールを用いる方法が最適であるとの知見を得た。
【0009】
本発明者らは、溶媒としてメタノールまたはエタノールを用いてジアミンを製造する方法を鋭意検討した結果、ジアミンを合成する反応条件下において、メタノールまたはエタノールから対応するメチル基またはエチル基を有する一級アミンであるメチルアミンまたはエチルアミンが少量副生することが判明した。さらに、反応に使用したアルコール溶媒は経済性および環境負荷低減の観点から使い捨てにはせず、蒸留分離などの回収操作により反応に再使用することが一般的であるが、かかる操作を繰り返すことにより、少量副生した上記の一級アミンは回収アルコール溶媒中に次第に蓄積されてしまう。ところが、当該一級アミンと原料のジアルデヒドから、アミノ基の水素原子がメチル基またはエチル基に置換されたジアミンが生成される。かかるN−メチル置換ジアミンまたはN−エチル置換ジアミンは、目的物のジアミンと沸点などの物性が類似しており、蒸留などの分離操作で分離することが難しく、目的物であるジアミンの不純物となり、このようなジアミンを高分子原料や化学品原料として使用する場合、最終製品の物性を劣化させることになる。
【0010】
上記の方法(2)〜(5)および(7)には、前記のアルコール溶媒からの一級アミンの生成、アルコール溶媒を回収使用することによる該アルコール溶媒への一級アミンの蓄積、これに伴うN―アルキル置換ジアミンの生成などについて何ら言及されておらず、その対応は一切取られていない。また上記の方法(6)には、アルコール溶媒由来のN―アルキル置換ジアミンの生成について記載されているが、本明細書の参考例1に示すように収率と生産性の観点から最適の溶媒であるメタノールまたはエタノールの選択、これらアルコール溶媒に由来するN―アルキル置換ジアミンの生成を抑制する方法については何ら言及されていない。
【0011】
本発明の目的は、ジアルデヒドを原料とし、アルコールを溶媒として回収再使用し、かつアルコール由来のジアミン不純物を低減させて、高収率で工業的に有利にジアミンを製造する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、メタノールまたはエタノールを溶媒として用いたジアルデヒドの還元アミノ化反応において、該アルコールに由来する一級アミンから生成するN―アルキル置換ジアミンの抑制方法について検討した結果、反応条件下における該一級アミンに対するアンモニアのモル比を一定量より多く保つことにより、驚くべきことにN−アルキル置換ジアミンの生成が抑制できることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
すなわち、本発明は、(1)ジアルデヒドを、下記一般式(I)
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、Rはメチル基またはエチル基を表す。)
で示されるアルコール[以下、これをアルコール(I)と略称する]と水素化触媒の存在下に、アンモニアおよび水素と反応させることにより対応するジアミンを合成し、
(2)工程(1)で得られる反応混合液を蒸留することにより該反応混合液からアルコール(I)を分離回収し、
(3)工程(2)で得られる蒸留残査を精製することによりジアミンを分離取得し、そして
(4)工程(2)で得られるアルコール(I)の少なくとも一部を工程(1)に供給して、
ジアミンを合成するに際し、工程(1)の反応器内に含まれる下記一般式(II)
【0016】
【化4】
【0017】
(式中、Rは前記定義のとおりである。)
で示される一級アミン[以下、これを一級アミン(II)と略称する]の量に対してアンモニアの量を200倍モル以上とすることを特徴とするジアミンの製造方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
ジアルデヒドとしては、例えば、ブタンジアール、ヘキサンジアール、オクタンジアール、ノナンジアール、デカンジアール、ウンデカンジアール、ドデカンジアール、テトラデカンジアール、ヘキサデカンジアール、オクタデカンジアール、エイコサンジアールなどの直鎖脂肪族ジアルデヒド;2−メチルオクタンジアール、2−メチルノナンジアール、2,7−ジメチルオクタンジアールなどの分岐鎖脂肪族ジアルデヒド;1,3−シクロヘキサンジカルバルデヒド、1,4−シクロヘキサンジカルバルデヒド、3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0]デカンジカルバルデヒド、2(3),5(6)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルバルデヒドなどの脂環式ジアルデヒド;テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒドなどの芳香族ジアルデヒドなどが使用される。これらのジアルデヒドは、公知化合物であり、例えば炭素数が1個少ない不飽和アルデヒドまたは2個少ないジオレフィンのヒドロホルミル化反応により容易に合成することができる。また、同じ炭素数を有する環状オレフィンのオゾン分解とそれに続く還元反応、または同じ炭素数を持つジカルボン酸の還元反応によっても得ることができる。
【0019】
ジアルデヒドの濃度は、特に制限されないが、反応液全体に対して5〜30重量%の範囲であるのが好ましい。ジアルデヒドの濃度が5重量%未満である場合には、反応の容積効率が小さくなって生産性が小さい上、ジアミンの分離精製工程におけるアンモニアおよび溶媒の回収量が多くなり、設備負担が増大するので工業的な価値が小さくなる傾向となる。また、30重量%を超える場合には、反応系中においてポリマーなどの副生成物の生成量が増大する傾向となり、ジアミンの収率および水素化触媒の活性が共に低下する傾向となる。
【0020】
溶媒として使用するアルコール(I)は、具体的にはメタノールまたはエタノールである。これら溶媒の使用量は、特に制限されないが、ジアルデヒドに対して0.5〜50倍重量の範囲であるのが好ましく、2〜10倍重量の範囲であるのがより好ましい。
【0021】
水素化触媒としては、例えば、ラネーニッケル、ラネーコバルト、ラネー銅などのラネー触媒;ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、銅などの水素化活性のある金属を珪藻土、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、粘土、チタニア、ジルコニア、マグネシア、カルシア、酸化ランタン、酸化ニオブ、炭素などの担体に担持してなる担持触媒を用いることができる。水素化触媒は粉末状、粒状、円柱状などのいずれの形状のものでもよい。水素化触媒の使用量は、所望の反応速度に応じて変化させることができるが、反応混合物に対して0.01〜30重量%の範囲であるのが好ましく、0.1〜10重量%の範囲であるのがより好ましい。水素化触媒は反応液相に懸濁させて使用してもよいし、固定床として使用してもよい。また、水素化触媒は反応前に水素による活性化処理を行った後に使用することもできる。
【0022】
アンモニアの使用量は、工程(1)の反応器内のアルコールに由来して生成した一級アミン(II)の量に対して200倍モル以上となるように設定する必要がある。一級アミン(II)に対して200倍モル以上のアンモニアを使用することにより、アルコール由来のジアミン不純物の生成を十分に抑制することができる。さらに、アンモニアの使用量は、ジアルデヒドに対して2〜300倍モルの範囲であるのが好ましく、5〜100倍モルの範囲であるのがより好ましく、5〜50倍モルの範囲であるのが特に好ましい。アンモニアの使用量がジアルデヒドに対して2倍モルよりも少ない場合には、ジアミンの収率が低下する傾向となり、また300倍モルよりも多い場合には、未反応のアンモニアを回収するための設備が過大となって実用的に不利となる。
【0023】
反応温度は40〜200℃の範囲であるのが好ましく、100〜180℃の範囲であるのがより好ましい。反応温度が40℃より低い場合には、反応の進行が極めて遅くなる傾向となり、200℃より高い場合には、ポリマーなどの副生成物の量が増大し、収率低下を引き起こす傾向となる。
【0024】
反応圧力は特に制限されないが、水素分圧として0.1〜20MPaの範囲であるのが好ましく、0.5〜15MPaの範囲であるのがより好ましい。なお、反応で消費された水素を補給するように水素を追加してもよく、水素を常に反応系に流通させながら反応を行ってもよい。
【0025】
反応は、回分式または連続式のいずれの方式でも行うことができるが、水素化速度より遅い速度でジアルデヒドを反応器に供給する方法、すなわちジアルデヒドまたは反応中間体が反応器内に蓄積しないような速度でジアルデヒドを供給する方法が推奨される。回分式反応器の場合には、水素化触媒、溶媒、アンモニアおよび水素が充填された反応器に、ジアルデヒドまたはジアルデヒドを溶媒に溶解させて得られた溶液を、水素化速度より遅い速度で供給しながら反応させる方法が好ましい。また、連続式の場合は、例えば、水素化触媒、溶媒および水素が充填された反応器に、ジアルデヒドまたはジアルデヒドを溶媒に溶解させて得られた溶液およびアンモニアを、水素化速度より遅い速度で供給しながら反応させる方法が好ましい。なお、ジアルデヒドまたはジアルデヒドを溶媒に溶解させて得られた溶液の反応器への供給は、一定速度で連続的に行ってもよく、また断続的に行ってもよい。
【0026】
上記の反応により、ジアルデヒドに対応するジアミンが得られる。ジアミンとしては、例えば、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、オクタデカンジアミン、エイコサンジアミンなどの直鎖脂肪族ジアミン;2−メチルオクタンジアミン、2−メチルノナンジアミン、2,7−ジメチルオクタンジアミンなどの分岐鎖脂肪族ジアミン;1,3−シクロヘキサンジメタナミン、1,4−シクロヘキサンジメタナミン、3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0]デカンジメタナミン、2(3),5(6)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジメタナミンなどの脂環式ジアミン;p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンなどが挙げられる。
【0027】
工程(1)で得られる反応混合液を蒸留することにより、アンモニアが分離回収され、次いで溶媒として使用したアルコール(I)が分離回収される[工程(2)]。その蒸留残査をさらに精密蒸留、再結晶などの精製操作により高純度のジアミンを分離取得することができる[工程(3)]。
【0028】
工程(2)で得られるアルコール(I)の少なくとも一部を工程(1)に供給し[工程(4)]、再び工程(1)の反応に使用する。この際に、前記のとおり、アンモニアの使用量を、工程(1)の反応器内に含まれるアルコール(I)に由来して生成した一級アミン(II)の量に対して200倍モル以上となるように設定する必要がある。このようにアンモニアの使用量を調整することにより、目的物であるジアミンの不純物となるN−アルキル置換ジアミンの生成を抑制することができる。工程(1)の反応器内において、一級アミン(II)とアンモニアの量比を上記の範囲内に保つ方法としては、工程(2)でアルコール(I)を蒸留回収する際に、一級アミン(II)の少なくとも一部を蒸留精製により分離除去したアルコール(I)を工程(1)に供給し、工程(1)の反応器内において一級アミン(II)とアンモニアの量比が上記の範囲内になるようにすればよい。また別の方法としては、工程(2)で回収したアルコール(I)に含まれる一級アミン(II)の量を測定し、工程(1)の反応器内において一級アミン(II)とアンモニアの量比が上記の範囲内になるように、工程(1)で使用するアンモニア量を設定して、工程(2)で分離回収したアルコール(I)を工程(1)に供給すればよい。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例および比較例において、目的物のジアミン、アンモニア、副生した一級アミン(II)およびN−アルキル置換ジアミンの定量は次の方法により行った。
【0030】
(1)ジアミンおよびN−アルキル置換ジアミンの定量
粗反応混合液中または溶媒回収後の蒸留ボトム中に含まれるジアミンおよびN−アルキル置換ジアミンの定量は、次の条件下におけるガスクロマトグラフィー分析により行った。
【0031】
[分析条件]
カラム:財団法人化学品検査協会製G−205、長さ20m、フィルム厚さ2.0μm、直径1.2mm
注入温度および検出温度:280℃
昇温プログラム条件:140℃(8分間保持)→10℃/分→280℃(15分間保持)
【0032】
(2)アンモニアの定量
反応終了後、反応器内に残存していたアンモニアの定量は、硫酸水溶液を用いる方法により行った。すなわち、オートクレーブ内のガスを20重量%の硫酸を含む水溶液にくぐらせて残存しているアンモニアをトラップし、さらに、オートクレーブ内の粗反応混合液に窒素ガスを流通して該粗反応混合液に残存しているアンモニアを追い出し、硫酸水溶液にトラップし、トラップ後の硫酸残量をアルカリ滴定により求め、初期の硫酸量とアンモニアトラップ後の硫酸残量の差し引きから、アンモニアトラップに使用された硫酸の量を算出し、トラップされたアンモニアの量を求めて、これをアンモニアの残存量とした。
【0033】
(3)一級アミンの定量
反応終了後、反応器内に存在していた一級アミンの定量は、粗反応混合液から溶媒回収を行った蒸留留分、およびアンモニアの定量に用いた硫酸水溶液トラップを過剰の水酸化ナトリウムにより処理した後、溶媒回収を行った蒸留留分を、次の条件下におけるガスクロマトグラフィー分析に付すことにより行った。
【0034】
[分析条件]
カラム:ジェイ アンド ダブリュ サイエンティフィック インコーポレイテッド(J&W Scientific Incorporated)製キャピラリーカラムCAM、長さ30m、フィルム厚さ0.25μm、直径0.25mm注入温度および検出温度:40℃
昇温プログラム条件:35℃(一定)
【0035】
実施例1
(繰り返し反応1回目)
容量300ミリリットルの電磁攪拌式オートクレーブにメタノール63g、ケイソウ土に担持されたニッケル触媒(ニッケル含有率52%)1.15gを入れ、水素を導入して水素分圧を6MPaとした後、140℃に昇温し、この温度で2時間、触媒の還元処理を行った。オートクレーブを室温まで冷却してから水素を放圧した。次に、オートクレーブにアンモニア30.6gを仕込み、水素分圧3MPaをかけて140℃まで温度を上げた後、さらに水素を導入して全圧を8.5MPaにした。水素ガスを20リットル/時で流しながら、1,9−ノナンジアール13.5gおよび2−メチル−1,8−オクタンジアール5.2gをメタノール56.3gに溶解させて得られたメタノール溶液75gを1時間30分かけて高圧定量ポンプによりオートクレーブ内に供給した。これらの溶液を供給後、さらに1時間、140℃で攪拌下に水素ガスを通じた。
【0036】
反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.3gであった。粗反応混合液を取出し、濾過により触媒を分離し、得られた粗反応混合液を分析した結果、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。粗反応混合液から精留塔を備えた蒸留装置を用いてメタノール留分を回収した。また、アンモニアをトラップした硫酸水溶液を精留塔を備えた蒸留装置に仕込み、過剰の水酸化ナトリウムを加えて、アンモニアおよび少量含まれるメチルアミンを硫酸と遊離させた後、蒸留によりメチルアミンを含むメタノール留分を回収した。回収したメタノールは116.0gであった。このメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.09g含まれていた。また、蒸留後のボトム液を分析した結果、1,9−ノナンジアミンが12.7g(収率93%)、2−メチル−1,8−オクタンジアミンが4.9g(収率93%)得られた。
【0037】
この繰り返し反応1回目では、反応開始時の反応器内には、アンモニアは30.6g存在しており、メチルアミンは存在していない。反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.09g、アンモニア26.3g(メチルアミンに対して533倍モル量)が存在していた。
【0038】
(繰り返し反応2回目)
繰り返し反応2回目は、繰り返し反応1回目で回収したメタノールを用いて、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、回収メタノール留分に蒸留などの操作でロスした分だけの少量のメタノールを新たに追加して119.3gとして、最初にオートクレーブに仕込むメタノール63gおよびオートクレーブ内に供給する原料を溶解させたメタノール56.3gに分けて用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.2gであった。粗反応混合液を取出し、濾過により触媒を分離し、得られた粗反応混合液を分析した結果、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。繰り返し反応1回目と同じ方法により、粗反応混合液およびアンモニアをトラップした硫酸水溶液から精留塔を備えた蒸留装置を用いて溶媒回収を行った。この際に、メチルアミン0.08gを含むメタノール留分5.0gおよびメチルアミン0.11gを含むメタノール留分112.3gを回収した。蒸留後のボトム液を分析した結果、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は、それぞれ92%および92%であった。
【0039】
この繰り返し反応2回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.09g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して620倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.19g、アンモニア26.2g(メチルアミンに対して251倍モル量)が存在していた。
【0040】
(繰り返し反応3回目)
繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.11gを含むメタノール112.3gを用いて、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、回収メタノール留分にロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして、最初にオートクレーブに仕込むメタノール63gおよびオートクレーブ内に供給する原料を溶解させたメタノール56.3gに分けて用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.5gであった。また、繰り返し反応1回目と同様の方法により溶媒回収を行い、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.24g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は92%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は91%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0041】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.11g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して507倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.24g、アンモニア26.5g(メチルアミンに対して201倍モル量)が存在していた。
【0042】
比較例1
実施例1において繰り返し反応1回目および2回目と溶媒回収を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用い、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、メチルアミン0.19gを含む回収メタノール留分117.0gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして、最初にオートクレーブに仕込むメタノール63gおよびオートクレーブ内に供給する原料を溶解させたメタノール56.3gに分けて用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.4gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.32g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は92%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は92%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体が、両ジアミンに対して0.02モル%検出された。
【0043】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.19g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して294倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.32g、アンモニア26.4g(メチルアミンに対して150倍モル量)が存在していた。
【0044】
実施例2
実施例1において使用する溶媒をエタノールとした以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、エチルアミン0.12gを含むエタノール留分4.5gと、エチルアミン0.17gを含むエタノール留分113.0gを回収し、繰り返し反応3回目は繰り返し反応2回目で回収したエチルアミン0.17gを含むエタノール113.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.8gであった。また、溶媒回収を行って、回収したエタノールを分析した結果、エチルアミンが0.35g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は91%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は90%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にエチル基が導入されたN−エチル置換体は検出されなかった。
【0045】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、エチルアミン0.17g、アンモニア30.6g(エチルアミンに対して476倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、エチルアミン0.35g、アンモニア26.8g(エチルアミンに対して203倍モル量)が存在していた。
【0046】
比較例2
実施例2において繰り返し反応1回目と2回目を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したエチルアミンを多く含むエタノール留分とエチルアミンが少ないエタノール留分を合わせて用い、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、エチルアミン0.29gを含む回収エタノール留分117.0gにロス分のエタノールを新たに追加して119.3gとして用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.9gであった。また、溶媒回収を行って、回収したエタノールを分析した結果、エチルアミンが0.46g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は91%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は91%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にエチル基が導入されたN−エチル置換体が、両ジアミンに対して0.03モル%検出された。
【0047】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、エチルアミン0.29g、アンモニア30.6g(エチルアミンに対して279倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、エチルアミン0.46g、アンモニア26.9g(エチルアミンに対して155倍モル量)が存在していた。
【0048】
実施例3
実施例1において繰り返し反応1回目および2回目と溶媒回収を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用いた。すなわち、メチルアミン0.18gを含む回収メタノール留分116.5gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして、最初にオートクレーブに仕込むメタノール63gおよびオートクレーブ内に供給する原料を溶解させたメタノール56.3gに分けて用いた。また、アンモニアの仕込み量を38.5gとし、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は34.8gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.31g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は92%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は92%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0049】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.18g、アンモニア38.5g(メチルアミンに対して390倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.31g、アンモニア34.8g(メチルアミンに対して205倍モル量)が存在していた。
【0050】
比較例3
実施例1において繰り返し反応1回目および2回目と溶媒回収を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用いた。すなわち、メチルアミン0.18gを含む回収メタノール留分116.5gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして、最初にオートクレーブに仕込むメタノール63gおよびオートクレーブ内に供給する原料を溶解させたメタノール56.3gに分けて用いた。また、アンモニアの仕込み量を19.3gとし、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は15.3gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.30g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は90%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は90%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体が、両ジアミンに対して0.10モル%検出された。
【0051】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.18g、アンモニア19.3g(メチルアミンに対して196倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.30g、アンモニア15.3g(メチルアミンに対して93倍モル量)が存在していた。
【0052】
実施例4
実施例1において触媒としてラネーニッケル2.3gを使用した以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、メチルアミン0.10gを含むメタノール留分5.0gと、メチルアミン0.12gを含むメタノール留分112.0gを回収した。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.12gを含むメタノール112.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.6gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.24g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は92%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は92%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0053】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.12g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して465倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.24g、アンモニア26.6g(メチルアミンに対して202倍モル量)が存在していた。
【0054】
比較例4
実施例4において繰り返し反応1回目と2回目を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用い、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、メチルアミン0.22gを含む回収メタノール留分117.0gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.5gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.34g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は91%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は91%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体が、両ジアミンに対して0.05モル%検出された。
【0055】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.22g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して254倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.34g、アンモニア26.5g(メチルアミンに対して142倍モル量)が存在していた。
【0056】
実施例5
実施例1においてケイソウ土に担持されたニッケル触媒5.5gを使用し、反応温度を100℃とした以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、メチルアミン0.07gを含むメタノール留分5.0gと、メチルアミン0.10gを含むメタノール留分112.0gを回収した。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.10gを含むメタノール112.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.3gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.22g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は90%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は90%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0057】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.10g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して558倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.22g、アンモニア26.3g(メチルアミンに対して218倍モル量)が存在していた。
【0058】
比較例5
実施例5において繰り返し反応1回目と2回目を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用い、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、メチルアミン0.17gを含む回収メタノール留分117.0gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.5gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.30g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は92%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は92%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体が、両ジアミンに対して0.03モル%検出された。
【0059】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.17g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して328倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.30g、アンモニア26.5g(メチルアミンに対して161倍モル量)が存在していた。
【0060】
実施例6
実施例1においてケイソウ土に担持されたニッケル触媒0.35gを使用し、反応温度を180℃とした以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、メチルアミン0.10gを含むメタノール留分5.0gと、メチルアミン0.13gを含むメタノール留分112.0gを回収した。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.13gを含むメタノール112.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.8gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.24g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は91%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は91%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0061】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.13g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して429倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.24g、アンモニア26.8g(メチルアミンに対して204倍モル量)が存在していた。
【0062】
比較例6
実施例6において繰り返し反応1回目と2回目を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用い、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、メチルアミン0.23gを含む回収メタノール留分117.0gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.5gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.34g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は91%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は91%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体が、両ジアミンに対して0.03モル%検出された。
【0063】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.23g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して243倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.34g、アンモニア26.5g(メチルアミンに対して142倍モル量)が存在していた。
【0064】
実施例7
実施例1において反応器の全圧を5.5MPaとした以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、メチルアミン0.08gを含むメタノール留分5.0gと、メチルアミン0.11gを含むメタノール留分112.0gを回収した。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.11gを含むメタノール112.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.7gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.24g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は90%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は90%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0065】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.11g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して507倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.24g、アンモニア26.7g(メチルアミンに対して203倍モル量)が存在していた。
【0066】
比較例7
実施例7において繰り返し反応1回目と2回目を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用い、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、メチルアミン0.19gを含む回収メタノール留分117.0gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.3gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.32g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は91%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は91%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体が、両ジアミンに対して0.02モル%検出された。
【0067】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.19g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して294倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.32g、アンモニア26.3g(メチルアミンに対して150倍モル量)が存在していた。
【0068】
実施例8
実施例1において反応器の全圧を18MPaとした以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、メチルアミン0.10gを含むメタノール留分5.0gと、メチルアミン0.13gを含むメタノール留分112.0gを回収した。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.13gを含むメタノール112.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.9gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.24g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は90%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は90%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0069】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.13g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して429倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.24g、アンモニア26.9g(メチルアミンに対して204倍モル量)が存在していた。
【0070】
比較例8
実施例8において繰り返し反応1回目と2回目を同様の方法で行った。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミンを多く含むメタノール留分とメチルアミンが少ないメタノール留分を合わせて用い、それ以外は繰り返し反応1回目と同様の方法で実施した。すなわち、メチルアミン0.23gを含む回収メタノール留分117.0gにロス分のメタノールを新たに追加して119.3gとして用いた。反応終了後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.4gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.34g含まれていた。得られた1,9−ノナンジアミンの収率は92%、2−メチル−1,8−オクタンジアミンの収率は92%であった。この際、1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体が、両ジアミンに対して0.03モル%検出された。
【0071】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.23g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して243倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.34g、アンモニア26.4g(メチルアミンに対して142倍モル量)が存在していた。
【0072】
実施例9
実施例1において反応器に供給する原料を1,6−ヘキサンジアール13.7gとした以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、メチルアミン0.09gを含むメタノール留分5.0gと、メチルアミン0.13gを含むメタノール留分112.0gを回収した。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.13gを含むメタノール112.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.5gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.23g含まれていた。得られた1,6−ヘキサンジアミンの収率は92%であった。この際、1,6−ヘキサンジアミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0073】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.13g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して429倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.23g、アンモニア26.5g(メチルアミンに対して210倍モル量)が存在していた。
【0074】
実施例10
実施例1において反応器に供給する原料を3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0]デカンジカルバルデヒド23.0gとした以外は同様の方法に従って繰り返し反応を実施した。この際、繰り返し反応2回目の溶媒回収で、メチルアミン0.08gを含むメタノール留分5.0gと、メチルアミン0.11gを含むメタノール留分112.0gを回収した。繰り返し反応3回目は、繰り返し反応2回目で回収したメチルアミン0.11gを含むメタノール112.0gを用いた。繰り返し反応3回目の後、硫酸水溶液を用いて反応器内に残存していたアンモニアをトラップした結果、アンモニアの残存量は26.7gであった。また、溶媒回収を行って、回収したメタノールを分析した結果、メチルアミンが0.22g含まれていた。得られた3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0]デカンジメタナミンの収率は90%であった。この際、3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0]デカンジメタナミンの片側の窒素にメチル基が導入されたN−メチル置換体は検出されなかった。
【0075】
この繰り返し反応3回目では、反応開始時の反応器内には、メチルアミン0.11g、アンモニア30.6g(メチルアミンに対して507倍モル量)が存在しており、反応終了後の反応器内には、メチルアミン0.22g、アンモニア26.7g(メチルアミンに対して221倍モル量)が存在していた。
【0076】
参考例1
フィルター付きサンプリング管を備えたオートクレーブを用い、実施例1において表1に示す溶媒を用いた以外は同様にして繰り返し反応1回目を行った。原料のオートクレーブ内への供給が終了した直後と、供給終了後、140℃で1時間反応を追い込んだ後にサンプリングを行い、目的物の収率を調べた。結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、ジアルデヒドを原料とし、アルコールを溶媒として回収再使用し、かつアルコール由来のジアミン不純物を低減させて、高収率で工業的に有利にジアミンを製造することができる。
Claims (1)
- (1)ジアルデヒドを、下記一般式(I)
で示されるアルコールと水素化触媒の存在下に、アンモニアおよび水素と反応させることにより対応するジアミンを合成し、
(2)工程(1)で得られる反応混合液を蒸留することにより該反応混合液からアルコールを分離回収し、
(3)工程(2)で得られる蒸留残査を精製することによりジアミンを分離取得し、そして
(4)工程(2)で得られるアルコールの少なくとも一部を工程(1)に供給して、
ジアミンを合成するに際し、工程(1)の反応器内に含まれる下記一般式(II)
で示される一級アミンの量に対してアンモニアの量を200倍モル以上とすることを特徴とするジアミンの製造方法。
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