JP2004001637A - 助手席用エアバッグ装置 - Google Patents

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【課題】エアバッグを好適に展開膨張可能な助手席用エアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】助手席用エアバッグ装置Mは、助手席前方のインストルメントパネ1の部位に搭載される。エアバッグ装置Mは、膨張用ガスGを流入させて膨張するエアバッグ40と、エアバッグ40に膨張用ガスGを供給するパイロタイプでかつロングマスフロータイプとしたインフレーター11と、を備えて構成される。エアバッグ40は、空気圧を20kPaとした際の単位面積当たりの通気量を、1.0リットル/cm/min以下で、かつ、重量を、230g/m以下としている。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、助手席前方のインストルメントパネル(以下、インパネと略す)の部位に搭載される助手席用エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、インストルメントパネルに搭載される助手席用エアバッグ装置は、エアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、を備えて構成されていた(特開平9−86319号公報等参照)。
【0003】
さらにまた、上記公報のインフレーターは、燃焼反応等の化学反応により、ガス発生剤から膨張用ガスを発生させるパイロタイプとしており、膨張用ガスを充填させたハイブリッドタイプと相違して、コンパクトなことから、車両に搭載する上で好適であった。
【0004】
しかし、従来のパイロタイプのインフレーターでは、助手席用のエアバッグに膨張用ガスを供給するタイミングに関し、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するもので、エアバッグを好適に展開膨張可能な助手席用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る助手席用エアバッグ装置は、助手席前方のインパネの部位に搭載される助手席用エアバッグ装置であって、
膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグと、
エアバッグに膨張用ガスを供給するパイロタイプでかつロングマスフロータイプとしたインフレーターと、
を備えて構成され、
エアバッグが、空気圧を20kPaとした際の単位面積当たりの通気量を、1.0リットル/cm/min以下で、かつ、重量を、230g/m以下としていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る助手席用エアバッグ装置では、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターが、膨張用ガスを化学反応により発生させるパイロタイプで、かつ、ロングマスフロータイプとしている。
【0008】
このロングマスフロータイプのインフレーターは、助手席用のエアバッグが膨張して乗員に対する反力が最も必要となるタイミング以降、すなわち、インフレーターの着火後における30msec以降に、エアバッグに流入されるガス吐出量を、従来タイプより増大させているものである。
【0009】
このロングマスフロータイプのインフレーターは、具体的には、マスフローカーブの総面積に対する、着火後の30msec以降の面積の割合が、約25%以上としているインフレーターである。換言すれば、マスフローカーブの総面積に対する20msec以降の面積の割合が約45%以上であるインフレーターである。あるいは、マスフローカーブの総面積に対する、ピーク時間以前の面積の割合が、約55%以下であるインフレーターである。さらに換言すれば、マスフローカーブのピーク時間が、着火後の約15〜35msecとしているインフレーターである。
【0010】
マスフローカーブは、インフレーターのガス吐出口からの単位時間当たりのガス吐出量と時間との関係を示すカーブであり、タンク燃焼試験から得られるタンクカーブデータから、計算により得られるものである。
【0011】
タンク燃焼試験は、内容積60リットルのステンレス鋼製タンク内に、インフレーターを固定し、室温においてタンクを密閉後、インフレーターを外部着火電気回路に接続する。そして、タンクに設置された圧力トランスデューサーにより、着火電気回路スイッチを入れた(着火電流印加)時間を0として、タンク内の圧力上昇変化を時間0〜200msecの間、測定する。各測定データをコンピュータ処理により最終的にタンク圧力/時間曲線として、インフレーターの性能を評価する曲線(これがタンクカーブである)を得る。このタンクカーブ(タンク圧力−時間)を積分し、時間当たりのガス発生率(ガス発生率−時間)へ変換すれば、マスフローカーブを計算することができる。
【0012】
そして、上記の、マスフローカーブの総面積に対する、着火後の30msec以降の面積の割合が、約25%以上とは、単位時間当たりのガス量の、時間変化を表すカーブにおいて、着火後の30msec〜マスフローがなくなり零となる時間まで、のマスフローの面積の合計が、マスフローカーブの全面積中に占める割合の約25%以上とするものである。このようなインフレーターであれば、助手席用のエアバッグが膨張して乗員に対する反力が最も必要となる30msec以降のタイミングに、全ガス発生量の内の約25%以上というガスを発生させることから、好適に、エアバッグによって乗員を保護することができる。なお、30msecというタイミングは、2つの燃焼室を有するデュアルタイプのインフレーターにおいては、最初に燃焼する第1燃焼室のガス発生剤を燃焼させる場合に重要となる。また、上記の、マスフローカーブの総面積に対する、着火後の30msec以降の面積の割合は、好ましくは、約35%以上、さらに好ましくは、約45%以上がよい。
【0013】
上記のマスフローカーブの総面積に対する20msec以降の面積の割合が約45%以上とは、単位時間当たりのガス量の、時間変化を表すカーブにおいて、20msec〜マスフローがなくなり零となる時間まで、のマスフローの面積の合計が、マスフローカーブの全面積中に占める割合の約45%以上とするものである。このようなインフレーターでは、助手席用のエアバッグが膨張して乗員に対する反力が必要となる20msec以降のタイミングに、全ガス発生量の内の約45%以上というガスを発生させることから、好適に、エアバッグによって乗員を保護することができる。なお、20msecというタイミングは、燃焼室が1つのシングルタイプのインフレーターや、2つの燃焼室を有したデュアルタイプのインフレーターにおいて、2室のガス発生剤を同時に燃焼させた場合に、重要となる。また、上記の、マスフローカーブの総面積に対する20msec以降の面積の割合は、好ましくは、約55%以上がよい。
【0014】
上記のマスフローカーブの総面積に対するピーク時間以前の面積の割合が約55%以下とは、単位時間当たりのガス量の、時間変化を表すカーブにおいて、0msec〜マスフローがピークになる時間まで、のマスフローの面積の合計が、マスフローの全面積中に占める割合の約55%以下とするものである。このようなインフレーターであれば、マスフローがピークになる時間よりも前のガス発生量の割合が全ガス発生量の55%以下と少なくでき、エアバッグの膨張展開初期に、必要最小限のガスのみを供給して、ピーク後に多くのガスをエアバッグに供給できて、好適に、エアバッグによって乗員を保護することができる。なお、デュアルタイプのインフレーターにおいて、2つの燃焼室のガス発生剤を同時に燃焼させる場合や、シングルタイプのインフレーターでは、マスフローカーブの総面積に対するピーク時間以前の面積の割合は約40%以下が好ましく、また、デュアルタイプのインフレーターにおいて、最初に燃焼させる燃焼室でガス発生剤を燃焼させる場合において、約50%以下が好ましい。
【0015】
さらに、上記のマスフローカーブのピーク時間が約15〜35msecとは、単位時間当たりのガス量の、時間変化を表すカ−ブにおいて、そのピークとなる時間帯を約15〜35msecの間とするものである。このようなインフレーターであれば、エアバッグからの反力を最も必要とする着火後の30msec以降のタイミングに近い段階に、より多くのガスをエアバッグに供給できることから、好適に、エアバッグによって乗員を保護することができる。なお、デュアルタイプのインフレーターにおいて、2つの燃焼室で同時にガス発生剤を燃焼させる場合や、シングルタイプのインフレーターにおいては、マスフローカーブのピーク時間は、約16〜24msecが好ましく、また、デュアルタイプのインフレーターにおいて、最初に燃焼させる燃焼室でガス発生剤を燃焼させる場合には、マスフローカーブのピーク時間は、約25〜30msecが好ましい。
【0016】
そして、このロングマスフロータイプのインフレーターから膨張用ガスが助手席用エアバッグに供給されれば、膨張用ガスの吐出量が、着火後の30msec以降、好ましくは、30〜60msecに、従来のインフレーターに比べて、増大されることから、好適に、助手席の乗員を保護することができる。
【0017】
したがって、本発明に係る助手席用エアバッグ装置では、パイロタイプで、かつ、ロングマスフロータイプのインフレーターを使用していることから、コンパクトなインフレーターを使用でき、かつ、助手席用のエアバッグを好適に展開膨張させることができる。
【0018】
なお、ロングマスフロータイプのインフレーターを使用して、膨張用ガスの吐出量を、着火後の30msec以降に、従来のインフレーターに比べて、増大させても、エアバッグからの膨張用ガスの漏れが生じては、ロングマスフロータイプのインフレーターを使用する意義が、無くなる。
【0019】
この対処として、エアバッグの内周面に、ガス漏れ防止用のシリコン等からなるコーティング層を設けることが考えられるが、エアバッグにコーティング層を設けては、エアバッグの製造工数・コストを上昇させ、また、エアバッグの重量を増大させることから、車両搭載部品の軽量化に反してしまう。
【0020】
しかしながら、本発明に係る助手席用エアバッグ装置では、エアバッグの通気量が、空気圧を20kPaとした際の単位面積当たり、1.0リットル/cm/min以下として、小さいことから、ロングマスフロータイプのインフレーターを使用しても、インフレーターからの膨張用ガスがエアバッグ内に供給された際、エアバッグからの膨張用ガスの漏れが抑えられて、ロングマスフロータイプのインフレーターの特性を、生かすことができ、エアバッグの円滑な膨張状態を確保することができる。
【0021】
また、エアバッグの重量が、230g/m以下としていることから、エアバッグの重量増加を防止することができる。なお、この重量範囲のエアバッグでは、重くなる太い糸や軽い細い糸を平織りや袋織り等で織ったエアバッグ用基布を、コーティング層を設けずに使用して、縫製等して製造したエアバッグ、あるいは、軽い細い糸を平織りや袋織り等で織ったエアバッグ用基布に、薄いコーティグ層を設けて製造したエアバッグ、が含まれる。
【0022】
さらに、エアバッグの通気量が低いことから、ロングマスフロータイプのインフレーター自体も、膨張用ガスの吐出容量を小さくすることができ、軽量化を図ることができる。
【0023】
したがって、本発明に係る助手席用エアバッグ装置では、ロングマスフロータイプのインフレーターを使用しても、エアバッグの円滑な展開膨張を確保できて、軽量化を図ることができる。
【0024】
特に、請求項2のように、インフレーターとして、膨張用ガスの吐出容量を、エアバッグの膨張完了時の単位容量当たり、0.026mol/リットル以下としていれば、エアバッグの単位容量当たりの吐出容量を0.029〜0.032mol/リットルとした従来のパイロタイプのインフレーターより、インフレーター自体の重量を、軽量化することができて、一層、エアバッグ装置の軽量化を図ることができる。勿論、このような小容量のインフレーターを使用しても、エアバッグからのガス漏れが生じないことから、円滑なエアバッグの展開膨張状態を、阻害しない。なお、エアバッグの単位容量あたりのインフレーターの吐出容量は、エアバッグの内圧を確保する上で、0.02mol/リットル以上とすることが望ましい。
【0025】
そして、請求項3のように、エアバッグの拘束性能試験のFMVSS−208−66FR65403におけるベルト無拘束状態での前面衝突FRB試験において、頭部前後減加速度を100m/s以上としていれば、助席用のエアバッグの乗員拘束性能に関し、好適となる。
【0026】
さらにまた、請求項4のように、膨張用ガスを流入させてエアバッグが膨張する際、インパネの内部からインパネ外に突出しているエアバッグ内の位置で、インフレーターからのインパネ内からインパネ外へ流れる膨張用ガスを受けて、膨張用ガスの流れを変更させる整流布が、配置されるように、エアバッグが、構成されていれば、つぎのような作用・効果を得ることができる。
【0027】
すなわち、エアバッグ内に流入した膨張用ガスが、エアバッグ内におけるインパネから突出した部位で、整流布によって、方向を変更され、直接、エアバッグの内周面に当たることが防止される。換言すれば、膨張用ガスは、エアバッグの袋形状を構成する基布におけるインパネから突出している内周面の部位に対して、インパネから突出しているエアバッグ内へ流入した当初の状態で、直線的に、当たらない。そのため、エアバッグの袋形状を構成する基布へのダメージを抑えることができて、エアバッグからのガス漏れを抑えることができ、その結果、車両搭載状態でのエアバッグの通気量を、一層、低下することが可能となって、エアバッグの展開膨張を、促進することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mは、図1・2に示すように、インパネ(インストルメントパネル)1の表面における上面1a側の内部に配置されるトップマウントタイプである。このエアバッグ装置Mは、折り畳まれたエアバッグ40と、エアバッグ40に膨張用ガスを供給するインフレーター11と、エアバッグ40及びインフレーター11を収納保持するケース24と、エアバッグ40をケース24に取り付けるためのリテーナ17と、折り畳まれたエアバッグ40を覆うエアバッグカバー32と、を備えて構成されている。
【0029】
エアバッグカバー32は、図1〜4に示すように、実施形態の場合、インパネ1と一体的に形成されている。このインパネ1は、裏面側のポリプロピレン等の硬質合成樹脂からなるベース部2と、ベース部2の外表面側を覆う発泡ポリウレタン等の発泡層とスキン層とを有した被覆層3と、を備えて構成されている。そして、エアバッグカバー32の部位には、ベース部2の代わりに、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等の軟質合成樹脂製の軟質部4が配設されている。このエアバッグカバー32は、周囲に薄肉の破断予定部35を配置させた二つの扉部33F・33Bを配設させて、構成されている。破断予定部35は、インパネ1の上方から見てH字形状に配置されており(図1参照)、二つの扉部33F・33Bが、それぞれ、前端側と後端側とをヒンジ部34として、前後両側に開くように、構成されている。
【0030】
また、エアバッグカバー32の部位には、扉部33F・33Bの配置位置を囲むように、裏面側から下方へ突出する略四角筒形状の連結壁部36が、配設されている。連結壁部36には、前後方向で対向する壁部36a・36bの所定位置に、複数の係止孔37が貫通されている。これらの係止孔37には、ケース24に形成された係止爪30が挿入され、連結壁部36が係止爪30に係止されている。各係止爪30の連結壁部36の係止は、連結壁部36とケース24との連結状態を確保して、膨張時のエアバッグ40が、円滑に、扉部33F・33Bを押し上げて破断予定部35を破断できるようにするためである。
【0031】
なお、軟質部4は、実施形態の場合、エアバッグカバー32の各扉部33F・33Bの裏面側と、連結壁部36自体と、扉部33F・33Bの各ヒンジ部34付近のインパネ1の裏面側において、連結壁部36を越えた前後部位と、に配置されている。
【0032】
ケース24は、図2〜5に示すように、上端側に長方形状の開口24aを有した板金製の略直方体形状に形成され、長方形板状の底壁部25と、底壁部25の外周縁から略四角筒形状に、エアバッグカバー32側の上方へ延びる側壁部29と、を備えて構成されている。底壁部25は、左右方向に長く延びた長方形板状としており、中央に、インフレーター11の上部12a側を下方からエアバッグカバー32側の上方へ挿入可能な略円形に開口した挿入孔26を、備えている。底壁部25の挿入孔26の周縁には、リテーナ17の各ボルト20を挿通可能な取付孔27が、形成されている。また、底壁部25には、ケース24を車両のボディ6側に連結させるブラケット28が、底壁部25の左右両側部位の下面側に、固定されている。各ブラケット28には、ボルト9を螺合させるためのナット28aが、固着されている。ボディ6側には、リインフォースメント7から延びるブラケット8が配設され、ボルト9は、ブラケット8の取付座8aを貫通して、ナット28aに螺合されることとなる。各ボルト9のナット28aへ締め付けにより、ケース24、すなわち、エアバッグ装置Mが、ボディ6側に取付固定されることとなる。
【0033】
なお、底壁部25の挿入孔26の近傍周縁には、挿入孔26を囲むように上方へ突出するリブ25aが、形成されている。このリブ25aは、リテーナ17の基部18の下方領域に配置されて、基部18の底壁部25側への押圧時、底壁部25とエアバッグ40のガス流入口50の周縁51(図4参照)とのシール性を向上させるために、配設されている。
【0034】
また、ケース24の側壁部29には、車両の前後の部位の上端に、ケース24の外方でかつ下方へ反転する複数の係止爪30が、形成されている。各係止爪30は、既述したように、エアバッグカバー32の連結壁部36の係止孔37に挿入されて、連結壁部36を係止している。
【0035】
インフレーター11は、所定のガス発生剤(例えば、ニトログアニジン:34重量%、硝酸ストロンチウム:50重量%、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩:9重量%、酸性白土:7重量%のガス発生剤組成物)の燃焼反応によって膨張用ガスを発生させるタイプ(所謂、パイロタイプ)で、かつ、図2〜6に示すように、略円柱状の本体部12を備えたディスクタイプとしている。そしてさらに、このインフレーター11は、図20に示すようなマスフローカーブを描くロングマスフロータイプとしている。実施形態のインフレーター11では、図20に示すように、膨張用ガスの吐出量が、点火直後は少ないものの、着火後の30msec以降に、従来のインフレーターに比べて、増大されていることから、インフレーター11からの膨張用ガスで膨らむエアバッグ40は、好適に、助手席の乗員を保護することができる。
【0036】
このインフレーター11は、内部に、燃焼ガスからなる膨張用ガスの吐出容量を2.4mol分とした所定量のガス発生剤を充填させた円柱状の本体部12と、インフレーター11をケース24に取り付けるためのフランジ部14と、を備えて構成されている。フランジ部14は、本体部12の外周面から突出する略四角環状(略正方形板状)として、その四隅に、それぞれ、取付孔15を貫通させている。各取付孔15は、ケース24の底壁部25の各取付孔27と対応する位置に配置されるとともに、取付孔27の内径寸法と同一の内径寸法としている。
【0037】
本体部12は、底壁部25の挿入孔26の内径寸法より、僅かに小さい外径寸法の円柱状として、フランジ部14の上方側の上部12aの外周面12bには、膨張用ガスGを吐出させる複数のガス吐出口13が、配設されている。実施形態の場合、ガス吐出口13は、本体部12の上部12aの外周面12bにおける上端面12c側に、上下二段の千鳥状に配置されている。
【0038】
リテーナ17は、図2〜5に示すように、板金から形成されて、ケース24の挿入孔26と略同形に開口する挿入孔19を備えた基部18と、基部18の外周縁からエアバッグカバー32側の上方に延びる略四角筒形状のガイド壁部21と、を備えて構成されている。
【0039】
基部18は、外周縁を略四角形状(略正方形状)に形成されて、その四隅の部位18bに、下方に延びるボルト20を固着させている。各ボルト20は、リテーナ17がエアバッグ40内に配置された状態で、エアバッグ40の取付孔52、ケース24の底壁部25の取付孔27、及び、インフレーター17のフランジ部14の取付孔15に挿入されて、ナット16を締め付けられることにより、エアバッグ40とインフレーター17とをケース24の底壁部25に取り付けることとなる。すなわち、各ボルト20へのナット16の締め付け時、エアバッグ40のガス流入口50の周縁51が基部18によって底壁部25に押し付けられて、エアバッグ40が底壁部25に取り付けられ、インフレーター11のフランジ部14が挿入孔26の周縁に押し付けられて、インフレーター11が底壁部25に取り付けられることとなる。
【0040】
また、リテーナ17のガイド壁部21は、上方に延びた先端21aを、インフレーター11の上端面12cと一致する高さまで、延ばして配設されている。ガイド壁部21は、基部18の略四角形とする外縁からエアバッグカバー32側の上方へ延ばしており、先端21aは、基部18の直線状の外縁部位18aだけに配置されている。すなわち、基部18のボルト20を配置させた外周縁のコーナ部18bでは、ガイド壁部21の上端21aを分離するように、下方へ凹む凹部22が、形成されている。
【0041】
これらの凹部22は、インフレーター11から吐出される膨張用ガスGのエアバッグカバー32側への流量を抑えるように、調整するために、配設されている。すなわち、少量の膨張用ガスGを、凹部22を経て、ガイド壁部12の外方へ流して、膨張用ガスGのエアバッグカバー32側への流量を調整するために、凹部22が形成されている。
【0042】
なお、リテーナ17は、一枚の板金を、挿入孔19やボルト20の取付用の孔、あるいは、凹部22を孔明け加工するとともに、絞り加工して、基部18とガイド壁部21とを形成し、ボルト20を組み付けて、製造されている。
【0043】
エアバッグ40は、図6・7に示すように、展開膨張完了時の形状として、乗員側で略鉛直方向に沿って配置される乗員側壁部41と、乗員側壁部41の外周縁から車両前方側に略円錐状に狭まる周壁部48と、を備える形状としている。展開膨張完了時の周壁部48における下部側となる下部側周壁49の前部側には、膨張用ガスG(図7参照)をエアバッグ40内に流入させるように、円形状に開口するガス流入口50が、設けられている。
【0044】
なお、実施形態の場合、エアバッグ40は、膨張完了時の容量を110リットルとしている。
【0045】
また、エアバッグ40の内部には、ガス流入口50を覆うように、エアバッグ40内に流入する膨張用ガスGの流れを変える整流布69が、配設されている。さらに、整流布69の左右方向の中央69a付近は、前後両側の開口69b・69cとともに、エアバッグ40の膨張時、インパネ1の上面1aより上方位置に配置されるように、エアバッグ40内に配設されている(図2参照)。
【0046】
そして、ガス流入口50の周縁51には、四個の取付孔52が貫通されており、これらの取付孔52には、リテーナ17の各ボルト20が挿通されて、エアバッグ40が、ケース24の底壁部25に保持されることとなる。また、周壁部48の左右の側面部位には、それぞれ、余剰の膨張用ガスを排気するベントホール64が設けられている。さらに、エアバッグ40の内周面側におけるガス流入口50周縁の取付孔52付近には、略四角環状の補強布67が配設されている。
【0047】
そして、エアバッグ40がリテーナ17によってケース底壁部25に保持され、ケース24がボディ6に取り付けられて、エアバッグ装置Mが車両に搭載された際には、ガス流入口50の開口面は、開口周縁51の前縁51a側が後縁51b側より若干高くなって、開口周縁51とともに、略水平方向に沿うように、配置されることとなる(図19参照)。
【0048】
さらに、エアバッグ40は、図8・9に示すように、第1・2基布65・66を縫合して製造されており、第1基布65は、略正六角形状の部位を二つ(上側部65aと下側部65e)連結させた形状として、中央付近の左右両縁を凹ませた瓢箪形に形成され、第2基布66は、略正六角形状に近似した略円形状に形成されている。これらの基布65・66は、平面的な縫合作業によって立体的なエアバッグ40を縫製できるように、設定されている。
【0049】
なお、第2基布66は、エアバッグ40の乗員側壁部41の略全域を構成し、第1基布65は、エアバッグ40の周壁部48の略全域を構成することとなる。さらに、第1基布65の上側部65aは、周壁部48の上部側となる上部側周壁59の略全域を構成し、第1基布65の下側部65eは、周壁部48の下部側となる下部側周壁49の略全域を構成することとなる。
【0050】
また、これらの第1・2基布65・66・補強布67・整流布69は、ポリエステルやポリアミド等の糸からなる織布から形成され、シリコン等のコーティング剤を塗布しないノンコート布として、構成されている。
【0051】
さらに、実施形態の場合、第1・2基布65・66は、420デニールのロングフィラメントでかつマルチフィラメントからなるポリアミド糸の経糸と緯糸とを使用し、織密度を経糸56本/インチ、緯糸55本/インチとして、平織りにより形成されている。そして、第1・2基布65・66は、空気圧を20kPaとした際の単位面積当たりの通気量を、1.0リットル/cm/min以下の0.69リットル/cm/minとし、かつ、重量を、230g/m以下の220g/mとしている。
【0052】
整流布69は、図6・7に示すように、エアバッグ40内でガス流入口50を覆い可能に、ガス流入口50の前後左右の寸法より大きな形状として、かつ、エアバッグ40の展開膨張時に、ガス流入口50の中央付近と対向する前後方向の断面形状を、ガス流入口50から離れる上方向へ膨らむ円弧状の曲線状としている。
【0053】
実施形態の場合、整流布69は、図8に示すように、エアバッグ40に取り付ける前の状態では、整流布素材68として構成されており、整流布素材68は、ガス流入口50に対応した開口68aを備えるとともに、開口68aの車両左右方向両側から延びる帯部68b・68bを備え、帯部68b・68b先端相互を縫合して、整流布69が形成されている。なお、整流布素材68には、取付孔52に対応する孔も配設されている。
【0054】
このエアバッグ40の製造について述べると、まず、図8・9のAに示すように、第1基布65におけるエアバッグ40の内周面側となるガス流入口50の開口周縁51に、縫合糸Sを利用して、補強布67と整流布素材68とを縫合する。ついで、図9のBに示すように、整流布素材68の帯部68bの端部相互を、縫合糸Sを利用して円弧状に縫合し、整流布69を所定形状に形成する。
【0055】
なお、実施形態の場合には、予め、第1基布65に、ベントホール64、ガス流入口50、及び、取付孔52を形成し、整流布素材68や補強布67にも、予め、ガス流入口50(68a)、及び、取付孔52を形成しておいたものを示したが、補強布67と整流布素材68とを第1基布65に縫合した後、ベントホール64、ガス流入口50、及び、取付孔52を孔明け加工してもよい。
【0056】
その後、第1基布65におけるガス流入口50の近傍の左右両縁において、図9のB・Cに示すように、上側部65aと下側部65eとの間で左右方向に延びる第1基準線X1で折り返し、縫合糸Sを利用して、基準線X1の近傍の上側・下側部65a・65eの一方の直線状の片縁部65b・65f相互を縫合するとともに、他方の直線状の片縁部65c・65g相互を縫合する。
【0057】
ついで、図9のC・Dに示すように、上側部65aの左右方向に膨出した位置の左右方向に延びる第2基準線X2で折り曲げて、上側・下側部65a・65eの縫合していない残部周縁65d・65hを相互に離隔するように広げる。これらの残部周縁65d・65hを広げた外形形状は、第2基布66の外形形状と同形状としている。
【0058】
そして、第2基布66を重ね、図9のD・Eに示すように、縫合糸Sを利用して、重ねた外周縁相互を縫合すれば、エアバッグ40を袋状に形成することができる。
【0059】
さらに、各部位を縫合した縫い代が、エアバッグ40の外周面側に露出しないように、エアバッグ40を袋状に形成した後には、ガス流入口50を利用して、エアバッグ40を裏返す。
【0060】
なお、ガス流入口50を利用して裏返す作業が困難な場合には、整流布素材68の帯部68bの端部相互を縫合する作業を、エアバッグ40を裏返した後に、帯部68bをガス流入口50から引き出して、行うようにしても良い。
【0061】
上記のように製造したエアバッグ40の車両への搭載を説明すると、まず、各取付孔52からボルト20を突出させるように、内部にリテーナ17を配設させた状態で、エアバッグ40を折り畳み、さらに、折り崩れしないように、折り畳んだエアバッグ40を、破断可能なラッピングシート39(図3参照)でくるんでおく。
【0062】
そして、このエアバッグ40の折り畳みは、予備折り工程を経た後、横折り工程と縦折り工程とを経て、折り畳む。
【0063】
予備折り工程では、図11・12に示すような予備折りエアバッグ70を形成することとなる。この予備折りでは、乗員側壁部41における上縁42の近傍部位46を、ガス流入口50と上下方向で対向するように、ガス流入口50の上方位置に、配置させて(図16参照)、乗員側壁部41を周壁部48の下部側周壁49に重ねて平らにした形状としている。さらに、実施形態の場合には、周壁部48側を折り畳んで、乗員側壁部41の左縁44付近と右縁45付近との一部を除いて、乗員側壁部41の略全域が、平らに展開されるように、予備折りしている。
【0064】
周壁部48の予備折りは、実施形態の場合、図10〜16に示すように、周壁部48におけるガス流入口50の左右の部位53・54と、周壁部48における乗員側壁部上縁42との連結部位の近傍部位60と、が、谷折りの折目CL・CR・CHを付けて、折り畳まれている。すなわち、ガス流入口50の左方側部位53と右方側部位54との折り畳みは、それぞれ、平らに展開された乗員側壁部41の左右の縁44・45までの略中間部位53a・54aを、ガス流入口50に接近させる(折目CL・CR相互を接近させる)とともにガス流入口周縁51の乗員側壁部41側に配置させて、左方側・右方側部位53・54が、前後方向に沿う谷折りの折目CL・CRを付けて、折り込まれるようにして、行っている。また、周壁部48における上縁42側の近傍部位60の折り畳みは、上部側周壁59における前後方向の谷折りの折目CL・CRの前端側の突出頂部61から乗員側壁部上縁42までの略中間部位59aを、ガス流入口50に接近させるとともに、ガス流入口周縁51の乗員側壁部41側に配置させて、上縁近傍部位60が、左右方向に沿う谷折りの折目CHを付けて、折り込まれるようにして、行っている。この折目CHは、図15・16に示すように、ガス流入口50の後縁51bより、前方側に配置されている。
【0065】
このような予備折りは、周壁部48におけるガス流入口50の前縁51a側における左右方向の中央付近から乗員側壁部上縁42における左右方向の中央付近までの略中間部位(突出頂部61となる)と、周壁部48におけるガス流入口50の後方側部位56の左右方向の中央付近56aと、を把持して、把持箇所61・56a相互を離すように、前後方向に引っ張ることにより、行える。後方側部位56の把持箇所56aは、予備折り時に乗員側壁部41の略全域を平らに展開できるように、極力、乗員側壁部41の下縁43の近傍とすることが望ましい。
【0066】
なお、周壁部48におけるガス流入口50の前方側部位55から突出頂部61までの部位62では、実施形態の場合、ガス流入口50の開口周縁51を、乗員側壁部41と平行として平らにするために、ガス流入口50側に接近させるように、谷折りしている。
【0067】
また、実施形態の予備折りエアバッグ70では、周壁部48におけるガス流入口50の上部側となる部位である上部側周壁59における谷折りの折目CH・62を、図15・16に示すように、ガス流入口50の後縁51bより前方側に配置させている。すなわち、予備折りエアバッグ70では、周壁部48におけるガス流入口50の上部側となる部位である上部側周壁59を、ガス流入口50の後縁51bより前方側の範囲内において、折り畳んで配置させていることとなる。
【0068】
そして、このように予備折りした後には、図11・図17のA・B・図18のA・Bに示すように、予備折りエアバッグ70におけるガス流入口50の後方側部位71と前方側部位72とについて、左右方向に沿う折目を付けて、端部71a・72aをガス流入口50に接近させるように、横折りを行う。実施形態の場合、後方側部位71は、後端71aを下部側周壁49側に巻いて、乗員側壁部41側の上に載せるロール折りとしている。また、前方側部位72は、蛇腹折りとしている。
【0069】
横折りを行った後には、横折り工程後のエアバッグ40におけるガス流入口50の左方側部位73と右方側部位74とについて、図18のB・Cに示すように、前後方向に沿う折目を付けて、端部73a・74aをガス流入口50に接近させるように、縦折りを行う。実施形態の場合、左方側・右方側部位73・74は、端部73a・74a側を下部側周壁49側に巻くロール折りとしている。
【0070】
縦折り工程を経てエアバッグ40の折り畳みが完了したならば、既述したように、折り崩れしないように、折り畳んだエアバッグ40を破断可能なラッピングシート39でくるんでおく。
【0071】
そして、各ボルト20を、上方から取付孔27に挿通させつつ、開口24aから、折り畳んだエアバッグ40を、ケース24の底壁部25上に載置させる。ついで、インフレーター11の本体部12の上部12aを、下方から、挿入孔26、ガス流入口50、及び、挿入孔19に挿入させるとともに、底壁部25から下方に突出している各ボルト20を、インフレーター11のフランジ部14の取付孔15に挿通させる。その後、インフレーター11のフランジ部14から突出した各ボルト20に、ナット16を締結させれば、ケース24の底壁部25に対して、折り畳んだエアバッグ40とインフレーター11とを取り付けることができる。
【0072】
その後、車両に搭載されたインパネ1におけるエアバッグカバー32の連結壁部36内に、ケース24の側壁部29を挿入させて、ケース24の各係止爪30を連結壁部36の係止孔37に挿入させて、各係止爪30を連結壁部36に係止させる。そしてさらに、各ブラケット28のナット28aに、取付座8aを経て、ボルト9を締結すれば、助手席用エアバッグ装置Mを車両に搭載することができる。
【0073】
なお、エアバッグ装置Mの車両への搭載は、予め、インパネ1のエアバッグカバー32に対して、エアバッグ40とインフレーター11とを取り付けたケース24を組み付けて、インパネ1を車両に取り付ける際、ボルト9を利用して、エアバッグ装置Mをボディ6側に連結固定して、エアバッグ装置Mを車両に搭載してもよい。
【0074】
エアバッグ装置Mの車両への搭載後、インフレーター11の各ガス吐出口13から膨張用ガスGが吐出されれば、エアバッグ40が、膨張して、ラッピングシート39を破断するとともに、エアバッグカバー32の破断予定部35を破断させて扉部33F・33Bを図2・3の二点鎖線に示すように開かせることにより、エアバッグ40は、エアバッグカバー32における扉部33F・33Bの開いた開口38から、大きく突出することとなる。
【0075】
そして、エアバッグ40は、膨張を完了させるとともに、余剰の膨張用ガスをベントホール47から排出することとなる。なお、図2の符号Wの部材は、ウインドシールドである。
【0076】
このエアバッグ40の膨張時、実施形態のエアバッグ装置Mでは、パイロタイプで、かつ、ロングマスフロータイプのインフレーター11を使用していることから、コンパクトなインフレーター11を使用でき、かつ、助手席用のエアバッグ40を好適に展開膨張させることができる。
【0077】
また、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、エアバッグ40の袋形状を構成する基布65・66の通気量が、空気圧を20kPaとした際の単位面積当たり、1.0リットル/cm/min以下の0.69リットル/cm/minとして、小さいことから、ロングマスフロータイプのインフレーター11を使用しても、インフレーター11からの膨張用ガスGがエアバッグ40内に供給された際、エアバッグ40からの膨張用ガスGの漏れが抑えられて、ロングマスフロータイプのインフレーター11の特性を、生かすことができ、エアバッグ40の円滑な膨張状態を確保することができる。
【0078】
ちなみに、基布65・66の通気量が、空気圧を20kPaとした際の単位面積当たり、1.0リットル/cm/minを越えるように、大きければ、膨張用ガスGの漏れが多くなって、インフレーター11の着火後の30msec以降にエアバッグ40に発生させる反力が低くなり、ロングマスフロータイプのインフレーター11を使用する意義がなくなってしまう。
【0079】
また、実施形態では、エアバッグ40の重量が、230g/m以下の220g/mとしていることから、エアバッグ40の重量増加を防止することができる。
【0080】
さらに、エアバッグ40の通気量が低いことから、ロングマスフロータイプのインフレーター11自体も、膨張用ガスGの吐出容量を小さくすることができ、軽量化を図ることができる。ちなみに、エアバッグ40の重量が、230g/mを越えてしまえば、エアバッグ40の重量増加を招いて、インフレーター11の軽量化を相殺してしまう。
【0081】
したがって、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、ロングマスフロータイプのインフレーター11を使用しても、エアバッグ40の円滑な展開膨張を確保できて、軽量化を図ることができる。
【0082】
特に、実施形態では、インフレーター11として、膨張用ガスGの吐出容量を、エアバッグ40の膨張完了時の容量の110リットル当たりに対して、2.8mol(エアバッグの単位容量当たり0.026mol/リットル)以下の2.4mol(エアバッグの単位容量当たり0.022mol/リットル)としており、エアバッグ容量の110リットル当たりの吐出容量を3.2〜3.5mol(エアバッグの単位容量当たり0.029〜0.032mol/リットル)とした従来のパイロタイプのインフレーターより、インフレーター11自体の重量を、軽量化することができて、一層、エアバッグ装置Mの軽量化を図ることができる。勿論、このような小容量のインフレーター11を使用しても、エアバッグ40からのガス漏れが生じないことから、円滑なエアバッグ40の展開膨張状態を、阻害しない。
【0083】
ちなみに、実施形態のインフレーター11では、エアバッグ容量を110リットルに対応させた従来のパイロタイプのインフレーターに対して、約25%の軽量化を図ることができた。
【0084】
さらに、実施形態では、膨張用ガスGを流入させてエアバッグ40が膨張する際、インパネ1の内部からインパネ1外に突出しているエアバッグ40内の位置で、インフレーター11からのインパネ1内からインパネ1外へ流れる膨張用ガスGを受けて、膨張用ガスGの流れを車両の前後方向両側に変更させる整流布69が、配置されている。
【0085】
このような構成では、図2の二点鎖線や図7に示すように、エアバッグ40内に流入した膨張用ガスGが、エアバッグ40内におけるインパネ1から突出した部位で、整流布69によって、略直交する方向のGF・GB方向に変更され、直接、エアバッグ40の内周面に当たることが防止される。換言すれば、膨張用ガスGは、エアバッグ40の袋形状を構成する基布65・66におけるインパネ1から突出している内周面の部位に対して、インパネ1から突出しているエアバッグ40内へ流入した当初のFL方向に流れる状態で、直線的に、当たらない。そのため、エアバッグ40の袋形状を構成する基布65・66へのダメージを抑えることができて、エアバッグ40からのガス漏れを抑えることができ、その結果、車両搭載状態でのエアバッグ40の通気量を、一層、低下することが可能となって、エアバッグ40の展開膨張を、促進することができる。
【0086】
さらに、実施形態のエアバッグ40では、補強布67は、図7に示すように、エアバッグ40の膨張時に、整流布69の前後両側にガスGを流すように開く開口69b・69cに対向するように、前後方向両側に延びて配置されている。そのため、整流布69で車両の前後両側に整流された膨張用ガスGF・GBが、直接、第1基布65に接触し難く、整流布69によって前後両側に向くように整流された膨張用ガスGF・GBによる第1基布65のダメージを、低減することができる。
【0087】
なお、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mについて、エアバッグ40の拘束性能試験のFMVS−208−66FR65403におけるベルト無拘束状態での車速を20〜25mile/hとした前面衝突FRB(Full Rap Barrier)試験を行なって、ダミーの頭部前後減加速度を測定した結果を、図21に示す。図21の実線で示したグラフ図が、実施形態のものである。二点鎖線に示したグラフ図が、エアバッグの通気量が、空気圧を20kPaとした際の単位面積当たり、1.39リットル/cm/minとした比較例のものであって、他のエアバッグの折り方やインフレーター等は、実施形態と同様のものである。破線のグラフ図は、インフレーターを従来タイプのもの(吐出容量を3.5molとしたもの)を使用して、他のエアバッグ等は実施形態と同様のものである。
【0088】
このグラフ図から解るように、判定エリア(55〜75msec)では、実施形態のエアバッグ40は、頭部前後減加速度を100m/s以上とした120m/s以上を確保できており、十分な反力を確保して乗員を保護できて、助手席の乗員の拘束性能に関し、好適なことが解る。一方、従来タイプのインフレーターを使用した場合には、100m/s以下となる部分もあって、乗員を拘束する際の反力が、実施形態のものより低く、さらに、通気量の多いエアバッグ仕様の比較例の場合には、従来タイプのインフレーターを使用する場合に比べても、大きく下がっている。
【0089】
さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、展開膨張時のエアバッグ40が、ガス流入口50から膨張用ガスGを流入させて、横折りや縦折りの折目を解消しつつ、展開膨張することとなる。
【0090】
その際、実施形態のエアバッグ40では、予備折り時において、ガス流入口50と対向するガス流入口50の上方位置に、乗員側壁部41の上縁42の近傍となる上縁近傍部位46が配置されていることから、ガス流入口50と対向する乗員側壁部41の上縁近傍部位46が、流入当初の膨張用ガスGの押圧力F(図14〜16参照)によって、乗員側壁部42の下縁43側の部位等の他の部位に比べて、先行して、上方へ強く押し上げられることから、その後の乗員側壁部41を、略鉛直方向に沿うように配置させ易くなる(図19参照)。なお、実施形態の場合には、膨張用ガスGの押圧力Fは、整流布69・周壁部48の谷折り部位62・周壁部48の上縁近傍部位60(中間部位59a)、さらには、周壁部48の左右の中間部位53a・54a付近を介在させた状態で、乗員側壁部41の上縁近傍部位46に作用している。
【0091】
そして、この乗員側壁部41の上縁近傍部位46が、強く押し上げられれば、横折りや縦折りの折目を素早く解消させることにも寄与できて、乗員側壁部41を広く展開させることも可能となる。
【0092】
したがって、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、エアバッグ40の展開膨張時、ガス流入口周縁51と略直交する状態となる乗員側壁部41を、素早く略鉛直方向に沿うように配置させることができて、さらに、乗員側へ部分的な押圧力を作用させないように、エアバッグ40を、広く開いた状態で展開させることが可能となる。
【0093】
さらに、実施形態では、エアバッグ40の予備折り時に、乗員側壁部41の略全域を、平らに展開させて、周壁部48側を折り畳んでおり、乗員側壁部41側を折り畳んでいないことから、エアバッグ40の予備折りの作業を簡便に行うことができる。また、実施形態では、エアバッグ40の予備折り時に、乗員側壁部41の略全域が平らに展開されているため、乗員壁部側41を折り畳む場合に比べて、エアバッグ40の展開膨張時、上下左右に広く展開した状態で、乗員側に移動しやすくなり、乗員側壁部41の乗員側への移動速度を一層抑えることが可能となる。
【0094】
さらにまた、実施形態では、周壁部48におけるガス流入口50の上部側となる部位である上部側周壁59が、ガス流入口50の後縁51bより前方側の範囲で、折り畳まれており、ガス流入口50より後方側へ大きく延びるように折り畳まれていない。そのため、ガス流入口50から膨張用ガスGが流入されれば、乗員側壁部41の上縁近傍部位46が、上部側周壁59を介在させて押し上げられ、かつ、上部側周壁59自体も押し上げられることとなる。その際、上部側周壁59は、押し上げられることに伴って折りを解消し、ガス流入口50から離脱する。その結果、乗員側壁部41の上縁近傍部位46が、直接的に、ガス流入口50と対向する状態となって、乗員側壁部41を略鉛直方向に沿うように配置させ易くなる。
【0095】
さらにまた、実施形態では、エアバッグ40の周壁部48の予備折り時、ガス流入口50の左方側・右方側部位53・54が、それぞれ、平らに展開された乗員側壁部41の左右の縁44・45までの中間部位53a・54aを、ガス流入口50に接近させるとともにガス流入口周縁51の乗員側壁部41側に配置させて、前後方向に沿う谷折りの折目CL・CRを付けて、折り込まれている。さらに、周壁部48における乗員側壁部41の上縁42との連結部位の近傍部位60が、左右方向に沿う谷折りの折目CHを付けて、折り込まれている。すなわち、エアバッグ40の周壁部48を、ガス流入口50を中心として、左右対称形に折り畳んでいることから、予備折りの作業が容易となる。
【0096】
特に、この周壁部48の予備折り形状は、周壁部48におけるガス流入口50の前縁51a側の左右方向の中央付近から乗員側壁部上縁42における左右方向の中央付近までの略中間部位61と、周壁部48におけるガス流入口50の後方側の左右方向の中央付近56aと、を把持して、把持箇所61・56a相互を離すように、前後方向に引っ張ることにより、円滑に、行えることから、予備折りの作業を、一層、簡便にすることができる。
【0097】
さらに、実施形態では、上部側周壁59の谷折りの折目CHを形成した略中間部位(谷折部位)CHが、ガス流入口50の後縁51bより前方側に配置されている。そのため、ガス流入口50が、直接的に、乗員側壁部41の上縁近傍部位46に対向し易くなって、乗員側壁部41の上縁近傍部位46を押し上げる膨張用ガスGの押圧力Fを、上縁近傍部位46に対して直接的に作用させて、高めることができる。その結果、乗員側壁部41を、一層、鉛直方向に沿うように配置させ易くなる。
【0098】
なお、実施形態では、周壁部48におけるガス流入口50の前方側部位55から突出頂部61までの部位(谷折り部位)62が、ガス流入口50の前縁51aより後方側に配置されて、ガス流入口50に対向している。しかし、この谷折り部位62は、ガス流入口50に近接して配置されるものであり、乗員側壁部41の上縁近傍部位46を押し上げる膨張用ガスGの押圧力Fに影響を与えるものではない。
【0099】
また、周壁部48の予備折りに関し、図22〜25に示すように、エアバッグ40Aを予備折りして、予備折りエアバッグ70Aを形成してもよい。このエアバッグ40Aは、前述のエアバッグ40と同様に、第1・第2基布65・66・補強布67・整流布素材68を使用して、エアバッグ40と同一形状に形成されている。
【0100】
エアバッグ40Aを予備折りした予備折りエアバッグ70Aでは、周壁部48における谷折りの折目CHを、ガス流入口50の後縁51bより、後方側に配置させるように、予備折りされている。その予備折りは、乗員側壁部41の略全域を平らに展開した状態で、周壁部48におけるガス流入口50の前縁51a側の左右方向の中央付近から乗員側壁部上縁42における左右方向の中央付近までの略中間部位61と、乗員側壁部41の下縁43における左右方向の中央付近43aと、を把持して、引っ張ることにより、行っている。把持箇所43aは、前述のエアバッグ40における把持箇所56aの後方側となる部位である。すなわち、エアバッグ40Aでは、乗員側壁部41を後方側にずらして、把持個所61・43aを把持し、把持箇所61・43a相互を離すように、前後方向に引っ張ることにより、予備折りを行なうことができる。その際、エアバッグ40Aでは、把持箇所43a側を、大きく引っ張ることとなる。
【0101】
この予備折りエアバッグ70Aでは、周壁部48における谷折りの折目CHを、ガス流入口50の後縁51bより、後方側に配置させているものの、折目CHは、後縁51bの近傍に配置されている。すなわち、予備折りエアバッグ70Aでは、周壁部48の上部側周壁59を、ガス流入口50の後縁51b近傍から前方側の範囲で、折り畳んで配置させていることとなる。
【0102】
また、この予備折りエアバッグ70Aは、図26のA・B・C・Dに示すように、予備折りエアバッグ70と同様に、横折りと縦折りとを行って折り畳む。具体的には、予備折りエアバッグ70Aにおけるガス流入口50の後方側部位71を、端部71aをガス流入口50に接近させるように、左右方向に沿う折目を付けてロール折りし、ガス流入口50の前方側部位72を、端部72aをガス流入口50に接近させるように、折り返している。その後、ガス流入口50の左方側部位73と右方側部位74とについて、前後方向に沿う折目を付けて、端部73a・74aをガス流入口50に接近させるように、縦折りする。図例の場合には、左方側・右方側部位73・74は、端部73a・74a側を下部側周壁49側に折り返した後、乗員側壁部41側の上に載せる蛇腹折りとしている。
【0103】
そして、エアバッグ40Aを折り畳んだ後には、エアバッグ40と同様に、エアバッグ装置Mに組み付けて、車両に搭載することとなる(図27参照)。
【0104】
このエアバッグ40Aでは、予備折りエアバッグ70Aにおいて、周壁部48における谷折りの折目CHをガス流入口50の後縁51bより後方側に配置させていることから、膨張用ガスGの押圧力Fを、前述のエアバッグ40のごとく、上縁近傍部位46に対して、直接的に、作用させることができない。しかし、エアバッグ40Aでは、予備折りエアバッグ70Aにおいて、周壁部48の上部側周壁59を、ガス流入口50の後縁51b近傍から前方側の範囲で折り畳んで配置させている。そのため、ガス流入口50から膨張用ガスが流入されれば、乗員側壁部41の上縁近傍部位46が、上部側周壁59を介在させて押し上げられ、かつ、上部側周壁59自体も押し上げられる。その際、上部側周壁59は、押し上げられることに伴って折りを解消し、ガス流入口50から離脱する。すなわち、周壁部48における谷折りの折目CHを、ガス流入口50の後縁51bより後方側に配置させていても、上部側周壁59が折りを解消して、乗員側壁部41の上縁近傍部位46が、直接的に、ガス流入口50と対向する状態となる。その結果、乗員側壁部41を略鉛直方向に沿うように配置させ易くなる。
【0105】
また、エアバッグ40Aでは、前述のエアバッグ40と同様に、乗員側壁部41の略全域を平らに展開させて、周壁部48を折り畳んでいることから、前述のエアバッグ40と同様な作用・効果を得ることができる。
【0106】
なお、実施形態のエアバッグ40では、展開膨張時、膨張用ガスGがガス流入口50から流入して、乗員側壁部41における上縁近傍部位46を押し上げた後、整流布69が上方へ突出するように湾曲して膨らんだ際には、膨張用ガスGは、整流布69と干渉して、車両の前方側へ流れるガスGFと後方側へ流れるガスGBとに分岐される(図7参照)。その際、整流布69が、膨張用ガスGの流入時におけるガス流入口50と対向する車両前後方向の断面形状を、ガス流入口50から離れる方向へ膨らむ曲線状としている。そのため、ガス流入口50から流入した膨張用ガスGが、整流布69のガス流入口50と対向する部位と干渉して、車両後方側へ流れる膨張用ガスGBは、整流布69の曲線に沿って、インパネ上面1aと平行ではなく、インパネ1の上面1a側に向かう方向へ変えられて、エアバッグ40を展開させることとなる。その結果、エアバッグ40の折り畳み部位71が、極力、インパネ1の上面1aに沿って、後方側へ向かうこととなり、一層、乗員側壁部41を広くすることができる。
【0107】
また、実施形態のエアバッグ40・40Aでは、予備折り後、最初に横折りを行い、その後、縦折りを行って、折り畳み工程を完了させたが、予備折り後に、縦折りを行い、その後に、横折りを行ったり、あるいは、予備折り後に、横折り工程の途中で、縦折り工程を入れ、その後に、横折り工程を再開して、折り畳みを完了させたり、予備折り後に、縦折り工程を行い、その縦折り工程の途中で、横折り工程を入れ、その後に、縦折り工程を再開させて、折り畳みを完了させてもよい。
【0108】
さらに、予備折り後の横折りに関して、前方側部位72を、蛇腹折りでなく、端部72aを乗員側壁部41に巻くロール折りにより折り畳んだり、図26に示すように、前方側部位72を、折り畳んだ後方側部位71の上方に配置させてもよい。また、前方側部位72を、端部72aを折り畳んだ後方側部位71の下方に配置させるようにして、折り畳んだ後方側部位71の前方側に配置させてもよい。
【0109】
さらに、予備折り後の縦折りに関しては、左方側・右方側部位73・74の端部73a・74aを巻き付けない蛇腹折りや通常のロール折りとしてもよい。
【0110】
さらにまた、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、図3・4に示すように、リテーナ17が、インフレーター11におけるガス吐出口13を備えた端部側、すなわち、上部12a、の外周面12bとの間で、膨張用ガスGをエアバッグカバー32側の上方側へ案内可能に、基部18から、ガス吐出口13を覆うように、エアバッグカバー32側へ延びるガイド壁部21を、備えている。
【0111】
そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、インフレーター11のガス吐出口13から膨張用ガスGが吐出されると、膨張用ガスGは、図3・4に示すように、リテーナ17のガイド壁部21と、インフレーター11におけるガス吐出口13を配置させた上部12a側の外周面12bと、の間に充満し、ついで、ガイド壁部21が、エアバッグカバー32側へ向かって延びていることから、エアバッグカバー32側の上方に流れる。その結果、エアバッグカバー32は、膨張用ガス32の押圧力を受けて、破断予定部35を迅速に破断させ、扉部33F・33Bを円滑に開かせることとなる。
【0112】
勿論、実施形態では、リテーナ17の基部18に押えられたエアバッグ40の開口周縁51に隣接する部位63(図3・4参照)も、リテーナ17のガイド壁部21にカバーされる態様となるため、高温の膨張用ガスGから、保護することができる。
【0113】
なお、ガイド壁部21には、基部18のコーナ部18bの位置に、凹部22が形成されており、この部位から、エアバッグ40の部位63に、直接、膨張用ガスGが当たるが、その部位63に流れるガスGの量は少なく、かつ、その部位49には、補強布67や整流布69が配置されており、ガス漏れを生ずるようなダメージを、第1基布65には与えない。
【0114】
さらに、実施形態では、リテーナ17のガイド壁部21が、インフレーター11の本体部12の周囲を囲む略四角筒形状に、配設させた場合を示したが、本体部12の周囲を囲む略円筒状に、ガイド壁部21を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の助手席用エアバッグ装置が搭載されたインパネを示す斜視図である。
【図2】同実施形態の使用態様を示す車両前後方向の概略断面図である。
【図3】同実施形態のエアバッグ装置の車両前後方向の拡大概略断面図である。
【図4】同実施形態のエアバッグ装置の車両左右方向の拡大概略断面図である。
【図5】同実施形態のエアバッグ装置に使用するリテーナ、ケース、及び、インフレーターの斜視図である。
【図6】同実施形態に使用するエアバッグを単体で膨張させた状態の斜視図である。
【図7】同実施形態に使用するエアバッグを単体で膨張させた状態の車両前後方向の断面図である。
【図8】同実施形態に使用するエアバッグを構成する部材を示す平面図である。
【図9】同実施形態に使用するエアバッグの製造工程を示す図である。
【図10】同実施形態に使用するエアバッグの予備折りする際の折目を示す斜視図である。
【図11】同実施形態に使用するエアバッグを予備折りした後を示すもので、ガス流入口側から見た図である。
【図12】同実施形態に使用するエアバッグを予備折りした後を示すもので、乗員側壁部側から見た図である。
【図13】図11のXIII−XIII部位の端面図である。
【図14】図11のXIV−XIV部位の端面図である。
【図15】図11のXV−XV部位の端面図である。
【図16】図11の XVI− XVI部位の端面図である。
【図17】同実施形態に使用するエアバッグの予備折り後の折り畳み工程を示す図である。
【図18】同実施形態に使用するエアバッグの折り畳み工程を示す図であり、図17の後の工程を示す。
【図19】同実施形態の作動時を説明する図であり、車両の側方から見た状態を示す。
【図20】同実施形態に使用するインフレーターのマスフローカーブを示すグラフ図である。
【図21】同実施形態のエアバッグ装置、従来タイプ、及び、比較例において、エアバッグの拘束性能試験のFMVS−208−66FR65403におけるベルト無拘束状態での車速を20〜25mile/hとした前面衝突FRB試験を行なって、ダミーの頭部前後減加速度を測定したグラフ図である。
【図22】他の実施形態のエアバッグを予備折りした後を示すもので、ガス流入口側から見た図である。
【図23】図22に示した予備折りエアバッグを、乗員側壁部側から見た図である。
【図24】図22のXXIV−XXIV部位の端面図である。
【図25】図22に示した予備折りエアバッグの予備折りする際の折目を示す斜視図である。
【図26】図22に示したエアバッグにおける予備折りした後の折り畳み工程を示す図である。
【図27】図26で折り畳んだエアバッグの車両搭載状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…(インストルメントパネル)インパネ、
11…インフレーター、
40・40A…エアバッグ、
69…整流布、
G…膨張用ガス、
M…助手席用エアバッグ装置。

Claims (4)

  1. 助手席前方のインストルメントパネルの部位に搭載される助手席用エアバッグ装置であって、
    膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグと、
    前記エアバッグに膨張用ガスを供給するパイロタイプでかつロングマスフロータイプとしたインフレーターと、
    を備えて構成され、
    前記エアバッグが、空気圧を20kPaとした際の単位面積当たりの通気量を、1.0リットル/cm/min以下で、かつ、重量を、230g/m以下としていることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
  2. 前記インフレーターが、膨張用ガスの吐出容量を、エアバッグの膨張完了時の単位容量当たり、0.026mol/リットル以下としていることを特徴とする請求項1に記載の助手席用エアバッグ装置。
  3. 前記エアバッグの拘束性能試験のFMVSS−208−66FR65403におけるベルト無拘束状態での前面衝突FRB試験において、頭部前後減加速度を100m/s以上としていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の助手席用エアバッグ装置。
  4. 前記膨張用ガスを流入させて前記エアバッグが膨張する際、前記インストルメントパネルの内部から前記インストルメントパネル外に突出している前記エアバッグ内の位置で、前記インフレーターからの前記インストルメントパネル内から前記インストルメントパネル外へ流れる前記膨張用ガスを受けて、前記膨張用ガスの流れを変更させる整流布が、配置されるように、前記エアバッグが、構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の助手席用エアバッグ装置。
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